(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789623
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】マスカラ塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
A45D34/04 515A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-210300(P2015-210300)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-79959(P2017-79959A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】501449702
【氏名又は名称】戎屋化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】辻井 宣博
(72)【発明者】
【氏名】井戸家 ゆかり
【審査官】
芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−083105(JP,A)
【文献】
特開2012−061344(JP,A)
【文献】
特開2004−000587(JP,A)
【文献】
特開2005−192996(JP,A)
【文献】
特表2015−501683(JP,A)
【文献】
特開2012−147837(JP,A)
【文献】
特開2000−152817(JP,A)
【文献】
韓国公開実用新案第20−2014−0005680(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00〜34/06
A45D 40/00〜40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布軸の先端の塗布ヘッドに、マスカラ液を塗布する塗布体と、マスカラ液が塗布されたまつ毛を梳き整えるコーム体とを設けてなるマスカラ塗布具において、柔軟性を有するエラストマから構成されてなる塗布ヘッドを形成する平坦な押圧面を備えた塗布体及びコーム体を、背中合わせに配置するとともに、塗布体の先端部に、先端側を細く、先端にRを付した2等辺3角形形状に形成し、静電植毛法によりパイルが固定された1つのへら状突起体を一体に設け、塗布体を第1の嵌着部を介してコーム体に嵌着し、コーム体を第2の嵌着部を介して塗布軸に嵌着するようにしたことを特徴とするマスカラ塗布具。
【請求項2】
塗布軸の先端の塗布ヘッドに、マスカラ液を塗布する塗布体と、マスカラ液が塗布されたまつ毛を梳き整えるコーム体とを設けてなるマスカラ塗布具において、柔軟性を有するエラストマから構成されてなる塗布ヘッドを形成する平坦な押圧面を備えた塗布体及びコーム体を、背中合わせに配置するとともに、塗布体の先端部に、先端側を細く、先端にRを付した2等辺3角形形状に形成し、静電植毛法によりパイルが固定された1つのへら状突起体を一体に設け、塗布体及びコーム体を一体成形して構成し、塗布ヘッドを嵌着部を介して塗布軸に嵌着するようにしたことを特徴とするマスカラ塗布具。
【請求項3】
塗布体に静電植毛法によりパイルが固定されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスカラ塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスカラ塗布具に関し、特に、マスカラ液をまつ毛に塗布する塗布体と、まつ毛に塗布されたマスカラ液を梳き整えるコーム体とを備えているマスカラ塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マスカラ塗布具として、マスカラ液をまつ毛に塗布する塗布体と、まつ毛に塗布されたマスカラ液を梳き整えるコーム体とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
【0003】
このうち、特許文献1に記載されたものは、ブラシ棒の先端に塗布用ブラシ(塗布体)と整え用ブラシ(コーム体)を背中合わせ状に設けて、マスカラブラシを構成している。塗布用ブラシは、一方向へ捻られた芯線でブリッスルを螺旋状に固定して構成してあり、整え用ブラシと背中合わせになる側のブリッスルが除去してある。整え用ブラシは、上下両端のボス部と、ボス部同士を繋ぐコーム枠と、コーム枠の外面に突出する一群のコームとを一体に備えている。上下両端のボス部には、それぞれブラシ支持穴が形成してあり、これらのブラシ支持穴で、塗布用ブラシの芯線の上下を支持することにより、塗布用ブラシと整え用ブラシが背中合わせ状に一体化してある。コーム枠に設けた一群のコームは、コーム枠の長手方向に沿って直線列状に2列形成してある。なお、芯線の中心からブリッスルの先端までの半径と、芯線の中心からコームの先端までの半径とは等しく設定してある。
【0004】
また、特許文献2に記載されたものは、プラスチック製のブラシ台と、ブラシ台に装着される螺旋状のブラシ(塗布体)と、ブラシ台の周面一側に固定されるコーム体とでマスカラブラシを構成している。ブラシ台には、ブラシの芯線の上下両端を支持する基端ボスと先端ボスが設けてあり、さらに、両ボス同士を橋絡するコーム枠と補強枠とが設けてある。ブラシの芯線に固定されたブリッスルは、コーム枠と補強枠の周面間に開口するブリッスル窓から露出している。コーム体は独立部品として形成してあり、ブラシ台に設けたコーム枠の外面に固定してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−329946号公報
【特許文献2】特開2007−050183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のマスカラ塗布具は、塗布体がブラシからなるため、まつ毛に適度の押圧力を加えて、好ましい状態、例えば、立てた状態にまつ毛に癖を付ける操作や、目尻にマスカラ液を塗布する等の細かい操作が行いにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来のマスカラ塗布具の有する問題点に鑑み、まつ毛に適度の押圧力を加えて、好ましい状態、例えば、立てた状態にまつ毛に癖を付ける操作や、目尻にマスカラ液を塗布する等の細かい操作を行うことを可能にしたマスカラ塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のマスカラ塗布具は、塗布軸の先端の塗布ヘッドに、マスカラ液を塗布する塗布体と、マスカラ液が塗布されたまつ毛を梳き整えるコーム体とを設けてなるマスカラ塗布具において、塗布体及びコーム体が、柔軟性を有するエラストマから構成されてなるとともに、塗布体の先端部に先端を細く形成し、静電植毛法によりパイルが固定されたへら状突起体を一体に設けたことを特徴とする。
【0009】
この場合において、塗布体が平坦な押圧面を備えてなるようにすることができる。
【0010】
また、塗布体に静電植毛法によりパイルが固定されてなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマスカラ塗布具によれば、塗布体及びコーム体が、柔軟性を有するエラストマから構成されてなることから、マスカラ液の塗布操作において、まつ毛や皮膚に刺激や痛みを与えることがなく、特に、塗布体によって、まつ毛に適度の押圧力を加えて、好ましい状態、例えば、立てた状態にまつ毛に癖を付ける操作を容易に行うことができる。
また、塗布体の先端部に先端を細く形成し、静電植毛法によりパイルが固定されたへら状突起体を一体に設けたことから、このへら状突起体に適量のマスカラ液を含ませることができ、目尻にマスカラ液を塗布する等の細かい操作を容易に行うことができる。
【0012】
また、塗布体が平坦な押圧面を備えてなるようにすることにより、塗布体によって、容易にまつ毛に適度の押圧力を加えることができる。
【0013】
また、塗布体に静電植毛法によりパイルが固定されてなるようにすることにより、塗布体に、適量のマスカラ液を含ませることができ、マスカラ液の塗布操作を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のマスカラ塗布具の第1実施例を示す説明図である。
【
図2】本発明のマスカラ塗布具の第2実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のマスカラ塗布具の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1に、本発明のマスカラ塗布具の第1実施例を示す。
このマスカラ塗布具は、塗布軸1の先端の塗布ヘッド2に、マスカラ液を塗布する塗布体3と、マスカラ液が塗布されたまつ毛を梳き整えるコーム体4とを設けるようにしたものであって、塗布体3及びコーム体4が、柔軟性を有するエラストマから構成されてなるとともに、塗布体3の先端部に先端を細く形成し、静電植毛法によりパイル51が固定されたへら状突起体5を一体に設けるようにしている。
【0017】
本実施例において、塗布ヘッド2を形成する塗布体3及びコーム体4は、塗布体3とコーム体4とを別部材で構成し、コーム体4側に塗布軸1に嵌着するための嵌着部21を形成するとともに、コーム体4に塗布体3を嵌着部32、42を介して嵌着するようにしている。
【0018】
この場合において、塗布体3及びコーム体4を構成する柔軟性を有するエラストマには、天然ゴムや合成ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の熱硬化性樹脂系エラストマ、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性樹脂系エラストマから選ばれた材料を用いることができる。
このように、塗布体3及びコーム体4を、柔軟性を有するエラストマから構成することにより、マスカラ液の塗布操作において、まつ毛や皮膚に刺激や痛みを与えることがなく、特に、塗布体3によって、まつ毛に適度の押圧力を加えて、好ましい状態、例えば、立てた状態にまつ毛に癖を付ける操作を容易に行うことができる。
【0019】
塗布体3の先端部に一体に設けるようにしたへら状突起体5は、先端を細く形成した略2等辺3角形形状に形成し(この場合、先端にはRを付すようにする。)、表面に静電植毛法によりパイル51を密植、固定するようにする。
このように、塗布体3の先端部に先端を細く形成し、静電植毛法によりパイル51が固定されたへら状突起体5を一体に設けることにより、このへら状突起体5に適量のマスカラ液を含ませることができ、目尻にマスカラ液を塗布する等の細かい操作を容易に行うことができる。
【0020】
塗布体3は、平坦な押圧面30を備えるようにしている。
このように、塗布体3に平坦な押圧面30を備えることにより、塗布体3によって、容易にまつ毛に適度の押圧力を加えることができる。
【0021】
塗布体3の表面には、必要に応じて、へら状突起体5と同様に、静電植毛法によりパイル51を密植、固定することができる。
このように、塗布体3の表面に静電植毛法によりパイル51を固定することにより、塗布体3に、適量のマスカラ液を含ませることができ、マスカラ液の塗布操作を確実に行うことができる。
【0022】
マスカラ液が塗布されたまつ毛を梳き整えるコーム体4は、千鳥状に形成した複数列の小突起41を備えて構成するようにしている。
このように、コーム体4に千鳥状に形成した複数列の小突起41を備えることにより、複数列の小突起41によって、容易にまつ毛を梳き整えることができる。
【実施例2】
【0023】
図2に、本発明のマスカラ塗布具の第2実施例を示す。
このマスカラ塗布具は、塗布軸1の先端の塗布ヘッド2に、マスカラ液を塗布する塗布体3と、マスカラ液が塗布されたまつ毛を梳き整えるコーム体4とを設けるようにしたものであって、塗布体3及びコーム体4が、柔軟性を有するエラストマから構成されてなるとともに、塗布体3の先端部に先端を細く形成し、静電植毛法によりパイル51が固定されたへら状突起体5を一体に設けるようにしている。
【0024】
本実施例において、塗布ヘッド2を形成する塗布体3及びコーム体4は、塗布体3とコーム体4とを一体成形して構成し、塗布軸1に嵌着するための嵌着部21を形成するようにしている。
【0025】
本実施例のその他の構成及び作用は、第1実施例のマスカラ塗布具と同様である。
【0026】
以上、本発明のマスカラ塗布具について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のマスカラ塗布具は、まつ毛に適度の押圧力を加えて、好ましい状態、例えば、立てた状態にまつ毛に癖を付ける操作や、目尻にマスカラ液を塗布する等の細かい操作を行うことが可能なことから、マスカラ塗布具の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 塗布軸
2 塗布ヘッド
21 嵌着部
3 塗布体
30 押圧面
31 パイル
32 嵌着部
4 コーム体
41 小突起
42 嵌着部
5 へら状突起体
51 パイル