(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱伝導部材は、前記第一のLED素子の発光面の上方かつ前記第二の基板の下方の領域にて、前記第二の基板から前記第一のLED素子へ向けて断面積が漸増する領域を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
ただし、以下に示す実施形態は、本発明の思想を具体化するためのLED発光装置を例示するものであって、本発明は以下に説明する構成に特定するものではない。特に実施形態に記載されている構成部材の材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく説明例に過ぎない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は説明をわかりやすくするために誇張していることがある。
【0021】
説明にあっては、同一要素には同一番号を付し、重複する説明は省略するものとする。また、発明に関係のない部分は省略している。
尚、各実施形態において、「発光方向の中心線を通る断面図」を掲示しているが、「発光方向」とは、
図1(c)の矢印Pの方向を示す。また、「中心線を通る断面図」とは、
図1(c)のY−Y´断面を示す。
【0022】
[第1の実施形態の説明:
図1]
図1を用いて、第1の実施形態のLED発光装置100を説明する。
図1(a)はLED発光装置100の発光方向の中心線を通る断面図を示し、
図1(b)は、
図1(a)の切断線A−A´における断面図を示す。また、
図1(c)は、
図1(a)の断面を説明する斜視図である(各実施形態に共通)。
【0023】
第1の実施形態の特徴は、波長変換部材3の下面と基板20の上面とを透光性の熱伝導部材4で接続した点である。
【0024】
図1(a)に示す様に、LED発光装置100は、上面(実装面)に図示しないボンディングパッドが設けられた基板20と、ボンディングパッドに実装された複数のLED素子1と、貫通孔10を備え複数のLED素子1を取り囲むように基板20に接合された枠体2と、枠体2の上面に支持されLED素子1の発光面から離間して接合された波長変換部材3と、波長変換部材3の下面の中央と基板20の上面の中央とを接続する透光性の熱伝導部材4とから構成されている。
【0025】
基板20に実装された複数のLED素子1は、例えば、GaN系の材料からなる発光層を持つ紫外LED素子あるいは青色LED素子を用いることができる。複数のLED素子1は、例えばAuバンプを備えており、フリップチップ実装等によって実装することができる。尚、本実施例ではLED素子1の発光面と波長変換部材3の下面は離間して配置されているので、フリップチップ実装に限定されずワイヤボンディング実装を用いることができる。
【0026】
基板20は、例えば、表面が酸化絶縁処理された熱伝導性の高い金属基板を用い、図示しないボンディングパッド、入力電極、それらを接続する配線等が、スルーホール技術やフォトリソグラフィ技術等を用いて形成されている。また、基板20の中央には熱伝導部材4を位置決めする凹部12が設けられている。枠体2は、例えば、熱伝導性及び光反射性の高い金属を用い、貫通孔10を有し、基板20に、例えば、ハンダ、低融点ガラス、又は高い熱伝導性を有する接着剤等により接合されている。
【0027】
波長変換部材3は、例えば、ガラスに所定量の蛍光体を均一に含有させ所定の厚さの平板状に形成したものを用い、枠体2に、例えば低融点ガラスや接着剤等により接合されて
いる。熱伝導部材4は、例えば、ガラスや透光性のセラミックスなどの熱伝導性の高い透光性部材からなり、下端側は基板20に設けられた凹部12に嵌合させて位置決めされ、ハンダ、低融点ガラス、又は高い熱伝導性を有する接着剤等により接着されており、上端側は波長変換部材3の下面と当接又は低融点ガラスや透明接着剤等により接合されている。
【0028】
また、
図1(b)に示す様に、複数のLED素子1は、基板20の上面にマトリックス状に配置されていて、中央には透光性の熱伝導部材4が配置されている。また、基板20の外周部は貫通孔10を有する枠体2が複数のLED素子1を囲うように配置されている。
【0029】
[動作の説明:
図1]
図1(a)に示す様に、LED発光装置100は、所定の面積の基板20に複数のLED素子1が実装されており、図示しない入力電極に駆動電圧が供給されると、各LED素子1が例えば青色光を発光する。LED素子1は発光するとともに発熱するが、波長変換部材3は各LED素子1の発光面から離間して配置されているので、LED素子1の熱によって直接影響を受けることはない。また、各LED素子1の光の多くは、直接又は枠体2の内側面で反射して波長変換部材3に入射する。そしてLED素子1から発せられた光は波長変換部材3内の蛍光体を励起し、LED素子1の光とは異なる色の励起光(例えば黄色光)を放出し、蛍光体と遭遇しなかったLED素子1の光と混色してLED素子1の光とは異なる色の光(例えば白色光)を放出する。また、各LED素子1の光の一部は、熱伝導部材4に取り込まれて波長変換部材3に導光され蛍光体を励起し、一部は熱伝導部材4を透過する。これにより、熱伝導部材5による影をでき難くしている。
【0030】
一方、波長変換部材3内では励起光の放出とともに励起熱を発生する。この励起熱の一部は、波長変換部材3の外周部から枠体2を経由して基板20に放熱されるが、波長変換部材3の枠体から離れている中央付近には励起熱が溜まりやすい。ここで、波長変換部材4の中央と基板20の中央を繋ぐように設けられた熱伝導部材4により、励起熱を熱伝導部材4から基板20に効率的に逃がすことができる。このようにして、波長変換部材3は放熱性が向上するので、励起光の輝度を高めることができる。
【0031】
[効果の説明]
LED発光装置100は、このような構造とすることによって、熱伝導部材4によって発光の一部を取り込んで波長変換部材3に導光し、一部は透過する。これにより、熱伝導部材による影をでき難くすることができる。また、波長変換部材の熱を枠体にのみに逃がしていた従来の放熱ルートでは、波長変換部材3の中央付近に溜まりやすかった励起熱を、波長変換部材の中央と接する熱伝導部材4を経由して基板20の中央に逃がすことができる。これにより波長変換部材3の温度消光が低下するので発光効率の低下を防ぐことができる。この結果、発光効率を低下させることなく所定の基板面積において輝度を高めると共に、一般的な照明用光源として有用な発光装置を提供することができる。
【0032】
尚、基板20に凹部12を設けて熱伝導部材4を位置決めするようにしたが、これに限定されるものではなく、凹部12を設けずに治具等を用いて位置決めして接着してもよい。また、熱伝導部材4の上端面と波長変換部材3の下面との接合において低融点ガラスや透明接着剤等を用いる場合は、接合面における屈折または界面反射等の悪影響を避けるために屈折率が互いに近い材料を選択することが望ましい。また、枠体2の貫通孔10の形状は図に示すような角型に限定されず円形または他の形状でもよい。また、複数のLED素子1は図のような配列や個数に限定されず輝度と放熱性を考慮して決めることが好ましい。また、熱伝導部材4は円柱状としたが、これに限定されず、角柱状としてもよく、また、直径(又は断面積)は輝度と放熱性を考慮して決めることが好ましい。また、熱伝導
部材4は波長変換部材3及び基板20の中央以外に配置されても良く、例えば枠体と接するように配置しても良いが、波長変換部材3及び基板20の中央に配置した時に波長変換部材3の励起熱を最も効率的に放熱することができる。
【0033】
ここで、特に限定はしないが、基板20に用いる主な材料をあげておく。
例えば、金属であるアルミニウムにAl
2O
3の酸化被膜を形成したものや、セラミックスであるAl
2O
3、AlNなどであり、より熱伝導性が高く高反射性を備えた材料であることが望ましい。
また、特に限定はしないが、枠体2に用いる主な材料をあげておく。
例えば、金属であるアルミニウムや、セラミックスであるAl
2O
3、AlNなどであり、より熱伝導性が高く高反射性を備えた材料であることが望ましい。
また、特に限定はしないが、波長変換部材3に用いる主な材料をあげておく。
例えば、ガラスに蛍光体を含有したもの、シリコーン樹脂に蛍光体を含有させたシートをサファイアに貼り付けたもの、シリコーン樹脂に蛍光体を含有したものなど透光性を備えたものであり、より熱伝導性が高い材料であることが望ましい。
また、特に限定はしないが、熱伝導部材4に用いる主な材料をあげておく。
例えば、サファイア、ガラス、透光性セラミックスなどであり、より熱伝導性が高く、より透明であることが望ましい。
以上にあげた各部材に用いる主な材料は、以下に説明する他の実施形態又は変形例に用いる部材にも適用することができる。
【0034】
[第2の実施形態の説明:
図2]
次に、
図2を用いて、第2の実施形態のLED発光装置200を説明する。
図2(a)は、LED発光装置200の発光方向で中心線を通る断面図を示し、
図2(b)は、
図2(a)の切断線B−B´における断面図を示し、
図2(c)は、
図2(a)の切断線C−C´における断面図を示す。
【0035】
第2の実施形態のLED発光装置200の特徴は、2つの基板を用いて二層構造とし、波長変換部材3の下面と下層側の基板30(第一の基板)の上面とを、熱伝導部材5によって、上層側の基板40(第二の基板)を貫通して接続した点である。また、熱伝導部材5は第二の基板40とも接触している。尚、LED発光装置200における第二の基板40よりも上層側は、LED発光装置100と基本的に共通するので、同一要素には同一番号又は同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0036】
図2(a)に示す様に、LED発光装置200は、中央に貫通孔14を備え複数のLED素子21(第二のLED素子)を実装した第二の基板40と、第二の基板40の下にあって中央に凹部12を備え複数のLED素子11(第一のLED素子)を実装した基板30と、第二の基板40の上面に接合された枠体2と、第1の基板30と第二の基板40との間に接合された枠体2aと、第二のLED素子21の発光面から離間するように枠体2の上面に接合された波長変換部材3と、波長変換部材3の下面と第一の基板30の上面とを、第二の基板40を貫通して接続し、上端部に光散乱剤9を備える透光性の熱伝導部材5とから構成されている。
【0037】
図2(b)に示す様に、第二の基板40に実装されるLED素子1の配列及び実装方法等はLED発光装置100と同様である(
図1参照)。また、
図2(c)に示す様に、第一の基板30に実装されるLED素子1の配列及び実装方法等はLED発光装置100と同様である。
また、
図2(a)に示す様に、第一の基板30及び第二の基板40に用いる材質、枠体2及び枠体2aに用いる材質はLED発光装置100と同様である。また、接合方法等も同様である。
【0038】
熱伝導部材5は、例えば、ガラスや透光性のセラミックスなどの熱伝導性の高い透光性部材からなり、下端側は、第二の基板40に設けられた貫通孔14を貫通して、さらに第一の基板30に形成された凹部12に嵌合されて位置決めされ、例えばハンダ、低融点ガラス、又は高い熱伝導性を有する接着剤等により接着されている。一方、熱伝導部材5の上端側は、光散乱剤9を備え、波長変換部材3に当接又は低融点ガラスや透明接着剤等により接合されている。光散乱剤9は、例えば、熱伝導部材5と同様の透光性部材に、例えば、アルミナ粒子等の反射性を有する部材を所定量含有させて用いている。
【0039】
[動作の説明:
図2]
図2(a)に示す様に、所定の面積を有する第一の基板30及び第二の基板40に、それぞれ複数の第一のLED素子11、第二のLED素子21が実装されており、図示しない入力電極に電圧が供給されると、下層側の第一の基板30及び上層側の第二の基板40に実装された第一のLED素子11及び第二のLED素子21が発光する。上層側の第二の基板40の発光動作は前述したLED発光装置100と同様である。下層側の第一の基板30に実装された第一のLED素子11からの発光は、すべてではないが透光性の熱伝導部材5に取り込まれて波長変換部材3に向けて導光される。そして第二の基板40と波長変換部材3との間において、第一の基板30の各第一のLED素子11から取り込まれた光と、第二の基板40の各LED素子21から取り込まれた光が合流する。したがって、前述したLED発光装置100に比べて、波長変換部材3と熱伝導部材5(または光散乱剤9)との接合部では、光量が増加して輝度を高めることができる。ここで、光散乱剤9は、例えばアルミナ粒子の様な反射性を有する粒子を含有して用いるので、増加した光の一部を、接合部より下方の領域(光散乱剤部)において拡散させることができる。これにより、熱伝導部材5に導光された光を波長変換部材3との接合部から離れた領域に、拡散させて入射させることができる。
【0040】
一方、波長変換部材3内では励起光の放出とともに励起熱を発生する。この励起熱の一部は波長変換部材3から枠体2及び枠体2aを経て第一の基板30及び第二の基板40に放熱されるが、波長変換部材3の枠体から離れている中央付近には励起熱が溜まりやすい。ここで、波長変換部材3の中央に接するように設けられた熱伝導部材5により、励起熱を熱伝導部材5から第一の基板30及び第二の基板40に効率的に逃がすことができる。尚、第二の基板40より上層側の各LED素子21の発光の一部は、熱伝導部材5に取り込まれて波長変換部材3に導光されるが、このとき熱伝導部材5は、透光性を有することから熱伝導部材5による影をでき難くしている。
【0041】
[効果の説明]
LED発光装置200は、このような構造とすることによって、2層構造によって発光量を増加させて輝度を高めることができる。また、第一のLED素子11、第二のLED素子21より出射された光のうち熱伝導部材5に入った光を光散乱剤9によって拡散させることによって、輝度ムラや色ムラを低減することができる。一方、前述したLED発光装置100と同様に、波長変換部材3の励起熱の放熱ルートが、従来は枠体2のみであったのに対し、さらに熱伝導部材5を経由して第一の基板30及び第二の基板40に逃がす放熱ルートができるので、温度消光による発光効率の低下を防ぐことができる。また、熱伝導部材5が透光性を有することから熱伝導部材による影をでき難くすることができる。この結果、発光効率を低下させることなく所定の基板面積において輝度を高めると共に、一般的な照明用光源として有用な発光装置を提供することができる。
【0042】
尚、光散乱剤9は、熱伝導部材5と同様の透光性部材に光散乱粒子を均一に含有させた部材を接着してもよく、あるいは、熱伝導部材5の所定領域に光散乱粒子を含有させたものでも良い。また、光散乱剤9の位置を熱伝導部材5の上端側としたがこれに限定されず
、波長変換部材3の下面と第二の基板40の上面との間の任意の位置でもよく、場合によっては設けなくてもよい。また、第一の基板30に凹部12を設けて熱伝導部材5を位置決めするようにしたがこれに限定されず、凹部を設けずに治具等を用いて位置決めして接着剤等により接着してもよい。また、枠体2及び枠体2aの貫通孔10の形状は図に示すような角型に限定されず円形または他の形状でもよい。また、第一の基板30及び第二の基板40に実装される複数の第一のLED素子11及び第二のLED21は、図のような配列や個数に限定されず輝度と放熱性を考慮して決めることが好ましい。また、熱伝導部材4は円柱状としたが、これに限定されず、角柱状または多角柱状としてもよい。また、本実施形態では、2つの基板を用いた2層構造としたが、これに限定されず、3層以上の複数層とすることもできる。
【0043】
ここで、特に限定はしないが、光散乱剤に用いる主な材料をあげておく。
例えば、アルミナ粒子、酸化チタン粒子等である。
【0044】
[第2の実施形態の変形例の説明:
図3]
次に、
図3を用いて、第2の実施形態の変形例のLED発光装置210を説明する。
図3(a)は、LED発光装置210の発光方向で中心線を通る断面図を示し、
図3(b)は、
図3(a)の切断線D−D´における断面図を示し、
図3(c)は、
図3(a)の切断線E−E´における断面図を示す。
【0045】
第2の実施形態の変形例のLED発光装置210の特徴は、LED発光装置200に対して、熱伝導部材の数量を増した点である。尚、LED発光装置210は、LED発光装置200と基本的な構成は同一であるので、同一要素には同一番号又は同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0046】
図3(a)に示す様に、LED発光装置210は第2の実施形態に記載のLED発光装置200に比べ、熱伝導部材5の両側に透光性を備えた熱伝導部材6が追加されている。これを
図3(b)、及び
図3(c)で見ると、第一の基板35の四隅に熱伝導部材6が第二の基板45を貫通して配置されていることがわかる。これらの4つの熱伝導部材6は、それぞれ、第二の基板45に設けられた貫通孔14(破線で示す)を貫通して波長変換部材3の下面と第一の基板35の上面とを接続している。また、4つの熱伝導部材6の下端側は、熱伝導部材5と同様に第一の基板35に設けられた凹部12(破線で示す)に嵌合して位置決めされハンダ、低融点ガラス、又は高い熱伝導性を有する接着剤等により接着されている。また、上端側は波長変換部材3に当接又は低融点ガラスや透明接着剤等により接合されている。
【0047】
LED発光装置210は、このような構造とすることで、熱伝導部材5、及び熱伝導部材6により上層側第二のLED素子21及び下層側の第一のLED素子11からの光を効率的に取り込んで波長変換部材3へ導光することができるので輝度をいっそう高めることができる。また、波長変換部材3と熱伝導部材5及び複数の熱伝導部材6との接合部に光を分散させるので熱伝導部材が一本の第2の実施形態に比べ輝度ムラ及び色むらをより低減することが出来る。一方、波長変換部材3に発生する励起熱を熱伝導部材5及び熱伝導部材6から第一の基板35及び第二の基板45に効率的に逃がすことができるので、放熱性がさらに向上し温度消光よる発光効率の低下を防ぐことができる。また、熱伝導部材5及び熱伝導部材6が透光性を有することから熱伝導部材による影をでき難くすることができる。この結果、発光効率を低下させることなく所定の基板面積において輝度をさらに向上させると共に、一般的な照明用光源として有用な発光装置を提供することができる。
【0048】
尚、熱伝導部材6の直径は、熱伝導部材5よりも少し細い直径としたが、これに限定されるものではなく、輝度と放熱性を考慮してそれぞれの断面積を決めることが好ましい。
また、熱伝導部材6は、枠体2又は枠体2aに対して離間して配置したが、これに限定されるものではなく、枠体2又は枠体2aに接するようにしてもよい。また、4つの熱伝導部材6の上端側には光散乱剤9を配置していないが、輝度と放熱性を考慮して必要に応じて配置してもよい。また、各熱伝導部材6は円柱状としたがこれに限定されず角柱状としてもよい。
【0049】
また、熱伝導部材5と熱伝導部材6の配置は、
図3(b)に示すような配置に限定されず、熱伝導部材5又は熱伝導部材6を好適に配置することができる。また、熱伝導部材5又は熱伝導部材6を配置することによって放熱性が向上するので、枠体2又は枠体2aは、例えば、シリコーンなどの樹脂を用いてもよい。
【0050】
[第3の実施形態の説明:
図4]
次に、
図4を用いて、第3の実施形態のLED発光装置300を説明する。
図4(a)は、LED発光装置300の発光方向の中心線を通る断面図を示し、
図4(b)は、
図4(a)の切断線F−F´における断面図を示し、
図4(c)は、
図4(a)の切断線G−G´における断面図を示す。
【0051】
第3の実施形態のLED発光装置300の特徴は、LED発光装置200に対して、下層側の基板50に実装された第一のLED素子11の発光面が熱伝導部材5に向くように基板50の上面を傾斜させた点である。LED発光装置300は、LED発光装置200と基本的な構成は同一であるので、同一要素には同一番号又は同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0052】
図4(a)及び
図4(b)に示す様に、LED発光装置300は、第二の基板40よりも上層側の構造は前述したLED発光装置200と同様である(
図2参照)。一方、第二の基板40よりも下層側の構造において、第一の基板50の実装面が熱伝導部材5に向かって2つの面が傾斜している。また、
図4(c)に示す様に、第一の基板50の4つの傾斜面が互いに傾斜して対向していることを示している。このように、4つの傾斜した実装面に、それぞれ所定数の第一のLED素子11が実装され、各第一のLED素子11の発光面が熱伝導部材5に向かって配置されている。
【0053】
また、
図4(a)に示す様に、下層側の貫通孔10を有する枠体2bは、下面が傾斜して基板50の4つの斜面に当接し、上面は基板30の下面に当接し、それぞれ接着剤等により接合されている。特に図示はしないが、基板30及び基板50にはボンディングパッド、入力電極、それらを接続する配線等がスルーホール技術やフォトリソグラフィ技術等を用いて形成され、また、基板側面及び枠体側面を利用して外部との電気的な接続ができるようになっている。
【0054】
LED発光装置300は、このような構造とすることによって、第二の基板40よりも下層側にあるLED素子11から発せられた光を、より効率的に透光性の熱伝導部材5に取り込んで輝度を高めることができる。この結果、所定の基板面積において、発光効率を低下させることなく輝度をさらに向上させると共に、一般的な照明用光源として有用な発光装置を提供することができる。
【0055】
尚、下層側の基板50の斜面を4つの斜面として説明したが、これに限定されず、すり鉢状等、目的を同一とする他の斜面形状としてもよい。
【0056】
[第4の実施形態の説明:
図5]
次に、
図5を用いて、第4の実施形態のLED発光装置400を説明する。
図5(a)は、LED発光装置400の発光方向の中心線を通る断面図を示し、
図5(b)は、
図5
(a)の切断線H−H´における断面図を示し、
図5(c)は、
図5(a)の切断線I−I´における断面図を示す。
【0057】
第4の実施形態のLED発光装置400の特徴は、LED発光装置200に対して、下層側の第一の基板60の上面に熱伝導部材5の周囲を取り囲む凹部を備え、凹部の内壁面に第一のLED素子11の発光面が熱伝導部材5に対峙するように配置した点である。LED発光装置400は、LED発光装置200と基本的な構成は同一であるので、同一要素には同一番号又は同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0058】
図5(a)及び
図5(b)に示す様に、LED発光装置400は、第二の基板40の上層側の構造は前述したLED発光装置200と同様である(
図1参照)。一方、第二の基板40の下層側の構造において、基板60の中央部に凹部13が形成されておりLED素子1の実装面は熱伝導部材5の長手方向と平行になっている。また、LED素子1の発光面が熱伝導部材5の外周面に当接するように配置されている。また、
図5(c)に示す様に、下層側の第一の基板60に形成された凹部13の4つの内壁面に実装されたLED素子1が熱伝導部材5の外周面に当接している。
【0059】
図5(a)に示す様に、本実施形態では第二の基板40は第一の基板60上に直接配置されているので、下層側の枠体は不要となっている。特に図示はしないが、基板60は、熱伝導部材5を中心にして長手方向に分割(例えば、2分割、4分割等)して実装面を露出させることにより、第一のLED素子11の実装を容易にすることができる。第二の基板40及び第一の基板60にはボンディングパッド、入力電極、それらを接続する配線等がスルーホール技術やフォトリソグラフィ技術等を用いて形成され、基板側面及び枠体側面を利用して各分割面の電気的な接続ができるようになっている。
【0060】
LED発光装置400は、このような構造とすることによって、第一のLED素子11から放熱部材5に直接光を入射できるので、より効率的に熱伝導部材5に光を取り込んで輝度を高めることができる。一方、波長変換部材3内の励起熱を、熱伝導部材5によって効率良く第一の基板60及び第二の基板40へ逃がすことができるだけでなく、第一のLED11の熱も第一の基板60に加えて放熱部材5へ逃がすことが出来る。さらに、第二の基板40は前述の通り第一の基板60に枠体を介さず直接配置されるため、第二のLED素子21から発せられた熱が、第二の実施形態に比べてより第一の基板60へ放熱されやすくなる。これらにより、波長変換部材3、第一のLED素子11及び第二のLED素子21の発光効率が向上する。この結果、所定の基板面積において、発光効率を低下させることなく輝度をさらに向上させると共に、一般的な照明用光源として有用な発光装置を提供することができる。
【0061】
尚、第一の基板60の凹部13を1か所として説明したが、これに限定されず第2の実施形態2の変形例で説明したように(
図3参照)、熱伝導部材6を複数設け、それぞれに対応した凹部13を形成し、第一のLED素子11を実装できるようにしてもよい。また、第一のLED素子11と熱伝導部材5を当接させるとしたが、これに限定されず、熱伝導部材5と離間して配置し、第一のLED素子と熱伝導部材5の間を透明樹脂等によって充填する構造としてもよい。また、熱伝導部材5は円柱状としたがこれに限定されず角柱状としてもよい。
【0062】
[第5の実施形態の説明:
図6]
次に、
図6を用いて、第5の実施形態のLED発光装置500を説明する。
図6(a)は、LED発光装置500の発光方向の中心線を通る断面図を示し、
図6(b)は、
図6(a)の切断線J−J´における断面図を示し、
図6(c)は、
図6(a)の切断線K−K´における断面図を示す。
【0063】
第5の実施形態のLED発光装置500の特徴は、LED発光装置200に対して、上層側の第二の基板40の下面から下層側の第一の基板70の上面に向けて、断面積が漸増する領域を有する熱伝導部材7を設けた点である。LED発光装置500は、LED発光装置200と基本的な構成は同一であるので、同一要素には同一番号又は同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0064】
図6(a)及び
図6(b)に示す様に、LED発光装置500は、第二の基板40より上層側の構造が前述したLED発光装置200と同様である(
図2参照)。一方、
図6(a)及び
図6(c)に示す様に、第二の基板40より下層側の構造は、基板70の実装面に複数の第一のLED素子11を実装し、熱伝導部材7は、基板40の下面と基板70の上面との間において、断面積が漸増する領域Sを有する円錐状部を形成している。また、熱伝導部材7は、下端側において広い底面16を有し、底面16には、各LED素子1が挿入される複数の凹部15を備え、底面16は、基板70に当接している。
【0065】
図6(a)に示す様に、下層側の枠体2cは、熱伝導部材7の断面積が漸増する領域Sを覆うように形成されており熱伝導部材7から枠体2cへの放熱を良くしている。また、枠体2cは、基板40の下面と基板70の上面とを接続するように配置され、接着剤等により接合されている。また、
図6(c)に示す様に、熱伝導部材7の広い底面16は円状であるために、第一のLED素子11の実装数に制限が有り、LED発光装置200の基板30の実装数より若干少なくなっている。
【0066】
LED発光装置500は、このような構造とすることによって、LED素子1を熱伝導部材7の凹部15に挿入して、発光面と凹部15の底面とを近接して対向させることができるので、LED素子1の発光をさらに効率的に熱伝導部材7に導光して輝度を高めることができる。一方、波長変換部材3内の励起熱を熱伝導部材7から効率的に第二の基板40、枠体2c及び第一の基板70へ逃がすことができる。特に、熱伝導部材7の領域Sを有する円錐状部は、枠体2cの内壁面と接しているのでより効率的に放熱ができる。この結果、所定の基板面積において、発光効率を低下させることなく輝度をさらに向上させると共に、一般的な照明用光源として有用な発光装置を提供することができる。
【0067】
尚、熱伝導部材7の領域S部の外周面に、金属膜による反射面を形成して、より熱伝導部材7内の導光を効率的に行えるようにしてもよい。
【0068】
[第5の実施形態の変形例の説明:
図7]
次に、
図7を用いて、第5の実施形態の変形例のLED発光装置510を説明する。
図7(a)は、LED発光装置510の発光方向の中心線を通る断面図を示し、
図7(b)は、
図7(a)の切断線L−L´における断面図を示し、
図7(c)は、
図7(a)の切断線M−M´における断面図を示す。
【0069】
第5の実施形態の変形例のLED発光装置510の特徴は、LED発光装置500に対して、下層側の枠体2dは開口部10を有し、熱伝導部材7の断面積が漸増する領域Sの外周部に空気層8を設けた点である。LED発光装置510は、LED発光装置500と基本的な構成は同一であるので、同一要素には同一番号又は同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0070】
図7(a)に示す様に、LED発光装置510は、第二の基板40より上層側の構造は前述したLED発光装置500と同様である(
図6参照)。一方、下層側の枠体2dは、貫通孔10を有しており、熱伝導部材7の断面積が漸増する領域Sの外周部を覆わずに空気層8を形成している。また、熱伝導部材7、第一の基板70の構成はLED発光装置5
00と同様である。このように、熱伝導部材7の断面積が漸増する領域Sの外周部に空気層8を設けることによって、熱伝導部材7の底面16側から取り込まれた発光が領域Sの斜面に入射するときに全反射を起こし易くして導光を改善することができる。
【0071】
その理由として、例えば、熱伝導部材7の内部に取り込まれた発光の多くは、熱伝導部材7の断面積が漸増する領域Sの内面に到達する。ここで、熱伝導部材7にガラスを用いた場合、到達した光は、屈折率の高い媒質(ガラス:n=1.5とする)から低い方の媒質(空気層:n=1)へ入射する界面反射に相当し、よく知られたスネルの法則を適用できる。詳しい計算は省略するが、全反射する臨界角をθcとすると、θc=約41.8°となり、臨界角θcより大きい入射角で入射する光は全反射して内部へ取り込むことができる。これにより、断面積が漸増する領域Sにおいて、より効率的な導光を行うことができ、領域Sの外側への漏光を減らすことができる。
【0072】
LED発光装置510は、このような構成とすることにより、熱伝導部材7の底面16に形成された凹部15から入射したLED素子1の発光を、より効率的に上端側へ導光して輝度を高めることができる。一方、波長変換部材3内の励起熱を熱伝導部材7から効率的に第二の基板40、枠体2c及び第一の基板70へ逃がすことができる。この結果、所定の基板面積において、発光効率を低下させることなく輝度をさらに向上させると共に、一般的な照明用光源として有用な発光装置を提供することができる。
【0073】
尚、LED発光装置500及び510における熱伝導部材7の底面16について、円状であると説明したが、これに限らず底面16は例えば三角形や四角形などの多角形でもよい。また、熱伝導部材7は第二の基板40の下面と第一の基板70の上面との間において、円錐上部を形成すると説明したが、これに限らず底面16に合わせて多角錘形状としてもよい。
【0074】
以上、LED発光装置の各種実施形態及びその変形例について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態及び変形例に限定されるものではなく、細部の構成、素材、数量において、本発明の思想を逸脱しない範囲で、任意に変更、組合せ、削除することができる。即ち、上述したLED発光装置の実施形態又は変形例に限定されることはなく、それらのすべてを行う必要もなく、特許請求の範囲の各請求項に記載した内容の範囲で種々に変更、組合せ、省略をすることができる。