特許第6789710号(P6789710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789710
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   A61B3/10 100
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-149772(P2016-149772)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-15398(P2018-15398A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】大番 英之
(72)【発明者】
【氏名】三澤 一慎
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 慎一
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−160024(JP,A)
【文献】 特開2013−090903(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/026250(WO,A1)
【文献】 特開2016−052386(JP,A)
【文献】 実開平05−053602(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0233457(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源より射出された光から分離された測定光を被検査物に照射して得た戻り光と、前記光から分離された参照光とを合波して得た干渉光に基づいて、前記被検査物の画像を取得する撮像装置であって、
前記光源を内蔵し、気体の流入口及び流出口を有する第一の筐体と、
前記参照光の光学系の少なくとも一部を内蔵する第二の筐体と、
前記第一の筐体及び前記第二の筐体を内蔵し、気体が流入する通気口と気体が流出する排気開口とを有する第三の筐体と、
前記流出口と前記排気開口とを連通させるダクトと、
気体が、前記通気口から前記第三の筐体の内部に流入し、前記第二の筐体の周囲を経て前記流入口から前記第一の筐体の内部に流入し、前記第一の筐体の内部から前記流出口及び前記ダクトを経て前記排気開口から排出されるように、気体の流れを形成するためのファンと、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記通気口は、前記第三の筐体の下面の全周において環状の通気口として構成されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第一の筐体は前記第三の筐体内の上方に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第二の筐体は、前記第三の筐体内の下方であって前記通気口の上方に配置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記排気開口は、前記第二の筐体の上方に設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第三の筐体は前記通気口を下方に有し、
前記第一の筐体は前記第三の筐体内の上方に配置され、
前記第二の筐体は前記第三の筐体内の下方且つ前記通気口の上方に配置され、
前記排気開口は、前記第二の筐体よりも上方における前記第三の筐体の側壁に設けられることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第三の筐体は、前記被検査物に対して三軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第三の筐体が前記三軸方向に移動可能となるように、架台に支持された移動台を更に備え、
前記通気口は、前記移動台と前記第三の筐体との間の隙間により構成されることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
測定光の光学系を内蔵する第四の筐体を更に備え
前記第四の筐体は前記第二の筐体より前記第一の筐体に近くに配置され、
前記通気口から前記第三の筐体の内部に流入した気体が前記第四の筐体の周囲を経て前記流入口から前記第一の筐体の内部に流入するように、前記ファンが前記気体の流れを形成するように構成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第四の筐体は、前記第二の筐体に内蔵されない光学部材を内蔵することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第二の筐体及び前記第四の筐体の両側面は前記第三の筐体の側壁の内面に対し等しい距離に位置することを特徴とする請求項9又は10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第三の筐体は、側壁又は前後壁に設けられて前記気体が流入可能な第二の通気口を有することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
光源より射出された光から分離された測定光を被検査物に照射して得た戻り光と、前記光から分離された参照光とを合波して得た干渉光に基づいて、前記被検査物の画像を取得する撮像装置であって、
前記光源が設けられた光源ユニットと、
前記参照光の光学系の少なくとも一部が設けられた参照光学ユニットと、
気体が流出する排気開口を有する外装カバー内に設けられた前記光源ユニット及び前記参照光学ユニットが移動可能となるように、架台に支持された移動台と、
前記光源ユニットの内部と前記排気開口とを連通させるダクトと、
前記外装カバーと前記移動台との間の隙間から前記外装カバーの内部に流入した気体が、前記参照光学ユニットの周囲を経て前記光源ユニットの内部に流入し、前記流入した気体が前記ダクトを経て前記排気開口から排出されるように、気体の流れを形成するためのファンと、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
前記参照光の光学系の少なくとも一部は、前記参照光の光路長を調整する光学部材を含むことを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記参照光の光学系の少なくとも一部は、前記参照光の光学系を経た前記参照光を集光する光学部材を含むことを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記参照光の光学系の少なくとも一部は、前記光源より射出された光から分離された参照光と前記測定光とを合波する合波手段に前記参照光を導く光ファイバを含むことを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記被検査物は被検眼であることを特徴とする請求項1乃至16の何れか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の画像、特に断層画像の取得に好適な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、低コヒーレンス光による干渉を利用した光断層画像撮像(Optical Coherence Tomography:OCT)装置(以下、OCT装置と記載)が実用化されている。これは、眼等の被検査物の断層画像を高分解能で且つ非侵襲に取得することができる。そのため、OCT装置は、特に眼科領域において、被検眼の眼底の断層画像を得るうえで、必要不可欠な装置になりつつある。また、眼科領域以外でも、皮膚の断層観察や、内視鏡やカテーテルとしてOCT装置を構成して、消化器、循環器の壁面断層画像撮像等が試みられている。
【0003】
ここで、眼科分野におけるOCT装置において、撮像取得中の被検眼の動きにより断層画像の位置ずれが生じる可能性があるため、撮像時間の短縮が求められている。そこで、測定速度を向上させたOCT装置として、波長掃引光源を用いたOCT装置(Swept Source OCT装置、以下、SS−OCT装置と記載。)が盛んに開発されている。特許文献1は、SS−OCT装置の構成の一例を開示しており、波長掃引光源として、ファイバーリング共振器及び波長選択フィルタを用いた光源を例示している。
【0004】
一方、診療現場では、複数の医療機器を設置する必要があることから、個々の装置をできるだけ小型化することが望まれている。このとき、単にOCT装置を小型化するだけだと、装置の筐体内の空間が減るために部材同士の距離が短くなる。そのため、波長掃引光源の発熱による光学系等への影響(熱膨張、熱変位に起因する光ファイバ端の光軸に対する位置合わせ精度の低下等)が無視できなくなる。特許文献2には、波長掃引光源と同様に発熱量の大きいレーザ光源と光学系とを光ファイバを介して熱隔離し、該レーザ光源を筐体に固着させてレーザ光源の発熱の影響を抑制したレーザ測量装置が開示されている。特許文献2に開示されるように、熱源となるレーザ光源と光学系とを熱隔離し、且つ光ファイバを介することで両構成間をある程度離すことによって光学系の熱上昇は抑制できる。より詳細には、レーザ光源及び光学系を各々ケース等の筐体に内蔵し且つこれら筐体を離して配置することで、レーザ光源から光学系への熱伝達を抑制している。このような構成を採用することで、レーザ光源から光学系への熱影響もある程度は抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−115578号公報
【特許文献2】特開平9−113272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、レーザ光源の発する熱により、レーザ光源を内蔵する筐体自体の温度が上がり、当該筐体の発する熱によりその周辺の気体の温度も上昇してしまう。従って、これら構成全てを内蔵する筐体内の温度が、レーザ光源から発せられる熱によって時間の経過と共に上昇することは避けられない。このため、光学系を内蔵する筐体にも、その周囲の気体を解してレーザ光源由来の熱が伝わる。以上より、光学系の温度上昇を抑える上で、当該構成では更なる改善がなされることが好ましい。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑みたものであって、発熱量の大きい光源を内部に有していながら、光学系の温度上昇を低減できる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一実施態様に係る撮像装置は、
光源より射出された光から分離された測定光を被検査物に照射して得た戻り光と、前記光から分離された参照光とを合波して得た干渉光に基づいて、前記被検査物の画像を取得する撮像装置であって、
前記光源を内蔵し、気体の流入口及び流出口を有する第一の筐体と、
前記参照光の光学系の少なくとも一部を内蔵する第二の筐体と、
前記第一の筐体及び前記第二の筐体を内蔵し、気体が流入する通気口と気体が流出する排気開口とを有する第三の筐体と、
前記流出口と前記排気開口とを連通させるダクトと、
気体が、前記通気口から前記第三の筐体の内部に流入し、前記第二の筐体の周囲を経て前記流入口から前記第一の筐体の内部に流入し、前記第一の筐体の内部から前記流出口及び前記ダクトを経て前記排気開口から排出されるように、前記気体の流れを形成するためのファンと、を備えることを特徴とする。

【発明の効果】
【0009】
本発明による撮像装置では、発熱量の大きい光源を内部に有していながら、光学系の温度上昇を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係るSS−OCT装置の構成を示す概略図である。
図2図1に示すSS−OCT装置の参照光学系の構成を示す概略図である。
図3】本発明の一実施例に係るSS−OCT装置における筐体内の熱源、冷却用の気体の流れ、及び各光学系の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。
【0012】
図1及び2を用いて、本発明の一実施例に係るSS−OCT装置の概略構成について説明する。該SS−OCT装置は、発熱量の大きい波長掃引光源を内部に有する撮像装置である。また、図3を用いて、該SS−OCT装置における筐体内の熱源、冷却用気体の流れ、及び各光学系の位置関係について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例に係るSS−OCT装置の概略構成を示す。当該SS−OCT装置1は、光源部10、光量調整光学系20、干渉部30、測定光学系40、参照光学系50、検出部60、情報取得部70、及び表示部80を有する。光源部10は、後述する測定光及び参照光に分離される光を出射する。光量調整光学系20は、光源部10から射出された光の光量を調整する。干渉部30は、測定光の被検眼Eからの戻り光と参照光とから干渉光を生成する。測定光学系40は、被検眼Eに測定光を照射し、該被検眼Eからの戻り光を干渉部30へ出射する。参照光学系50は、測定光学系40から出射される戻り光と干渉させる参照光の光路長を調整し、調整後の参照光を出射する。検出部60は干渉光を検出し、情報取得部70は検出された干渉光より被検眼Eの眼底情報を取得する。表示部80は、情報取得部70が取得した情報を表示する。
【0014】
なお、ここでは、情報取得部70及び表示部80がSS−OCT装置1に包含されて一体となった形態を例示している。しかし、情報取得部70及び表示部80は、各々SS−OCT装置とは別個の構成とし、各々の間でデータ或いは情報を有線或いは無線によってやり取りする構成としてもよい。また、以上に述べた各構成は、不図示の制御手段によって各々の動作の制御が行われる。
【0015】
本実施例において、光源部10は、波長掃引光源100、光ファイバカプラ101、及びクロック生成部102を有する。波長掃引光源100は、本実施例において発熱量の大きい光源であって、出射される光の波長を掃引する。光ファイバカプラ101は、波長掃引光源100から射出された光を光ファイバで伝播し、当該光を光量調整光学系20に入射する光とクロック生成部102に入射する光とに分離する。クロック生成部102は、入射した光源からの光に基づいてクロック信号を生成し、該クロック信号を検出部60に送る。
【0016】
波長掃引光源100には、出射される光の波長を掃引することができる光源であれば、任意の光源を用いることができる。そのため、波長掃引光源100は、例えば、特許文献1に記載されるファイバーリング共振器、及び波長選択フィルタを用いた光源であっても良いし、その他の市販の波長掃引レーザ等であっても良い。また、光ファイバカプラ101はビームスプリッタ等を用いても良い。なお、ビームスプリッタ等への置換に関しては以降の構成で挙げられるその他の光ファイバカプラに関しても同様である。
【0017】
光量調整光学系20は、第一の光量調整手段202、光ファイバカプラ200、及び光量測定手段201を有する。光源部10から出射されて光ファイバで導かれた光は、第一の光量調整手段202を経て光ファイバカプラ200に至る。当該光は更に、該光ファイバカプラ200により、干渉部30に入射する光と光量測定手段201に入射する光とに分離される。光量測定手段201は入射した光の光量を測定し、不図示の制御手段は第一の光量調整手段202を用いて被検眼Eに照射される測定光が適切な光量を有するように光量調整を行う。なお、第一の光量調整手段202の詳細については、後述する第二の光量調整手段51と同様の構成であることからここでの説明は省略する。
【0018】
干渉部30は、光ファイバカプラ300及び光ファイバカプラ301を有する。光ファイバカプラ300は、光ファイバを介して光ファイバカプラ200、光ファイバカプラ301、測定光学系40、及び参照光学系50に接続されている。光ファイバカプラ300は、光量調整光学系20から出射されて光ファイバで導かれた光を、測定光学系40へ入射させる測定光と参照光学系50へ入射させる参照光とに分離する。
【0019】
測定光は、測定光学系40を経由して被検眼Eに照射される。被検眼Eによって反射或いは散乱された後の該測定光の戻り光は、再び測定光学系40を経て、光ファイバカプラ300に至る。該戻り光は光ファイバを介して、光ファイバカプラ301へ入射する。一方、参照光は、参照光学系50を経由し、該参照光学系50と光ファイバカプラ301とを結ぶ光ファイバを介して、光ファイバカプラ301に入射する。光ファイバカプラ301に入射した戻り光と参照光とは該光ファイバカプラ301において互いに干渉し、干渉光となる。該光ファイバカプラ301は、戻り光と参照光とを合波して干渉光を得る合波手段として機能する。生じた干渉光は、該光ファイバカプラ301において、一方の光の位相が他方の光の位相より反転された位相となる位相の異なる2つの光に分離され、分離後の光は各々光ファイバを介して検出部60へ導かれる。なお、干渉光を得る構成はここで例示された態様に限定されず、他の公知の種々の干渉系を用いることが可能である。
【0020】
測定光学系40は、レンズ400、合焦レンズ401、Xスキャナ402、Yスキャナ403、及び対物レンズ404を有する。干渉部30より光ファイバを介して測定光学系40に入射した測定光は、レンズ400により平行光とされる。合焦レンズ401は、該測定光を被検眼Eに焦点合わせするためのものであり、不図示の駆動部により光軸方向に移動可能である。この焦点合わせによって、被検眼Eからの戻り光は同時に、測定光が射出された光ファイバ先端(フェルール)にスポット状に結像される。
【0021】
Xスキャナ402、及びYスキャナ403は、それぞれ回転軸が互いに直交するよう配置されたガルバノミラーから構成され、これら両スキャナにより測定光を被検眼E上で走査することができる。Xスキャナ402は測定光の被検眼E上でのX方向の走査を行い、Yスキャナ403は測定光の被検眼E上でのY方向の走査を行う。なお、測定光は、被検眼Eに対向して配置された対物レンズ404を透過して、被検眼Eに対して照射される。被検眼Eに照射された測定光は、例えば眼底において後方散乱光として反射される。眼底からの反射光は、上述した戻り光として測定光学系40を再び経由して、光ファイバを介して干渉部30へ入射する。
【0022】
検出部60は、検出器600、及びA/D変換器601を有している。検出器600は、干渉部30より光ファイバを介して伝播された上述した2つの干渉光を検出する。また、検出器600は、検出した干渉光に基づく干渉信号を生成し、これをA/D変換器601に送る。A/D変換器601には、上述したクロック生成部102が接続されている。A/D変換器601は、クロック生成部102より送られるクロック信号に同期して干渉信号をサンプリングし、デジタル信号に変換する。A/D変換器601によりデジタル信号に変換された干渉信号は、情報取得部70に送られる。
【0023】
情報取得部70は、検出部60から受け取ったデジタル信号に対してフーリエ変換等の周波数解析を行い、被検眼Eの情報を得る。また、情報取得部70は、検出器600で検出した位相の異なる2つの干渉光に基づく2つの干渉信号の差を取ることで、干渉信号の差動を検出し、該干渉信号における被検眼Eの情報の信号対非干渉成分の信号の比(S/N比)を低減することができる。情報取得部70は、得られた被検眼Eの情報を表示部80に送る。なお、情報取得部70は、CPUやMPUなどを備えた任意の情報処理部としてSS−OCT装置1内に構成しても良いし、汎用コンピュータを用いて構成しても良い。
【0024】
表示部80は受け取った情報を断層像として表示する。なお、表示部80は、SS−OCT装置1に備え付けられたモニタであっても良いし、SS−OCT装置1に接続された個別のモニタであっても良い。
【0025】
上述した構成により、SS−OCT装置1は、被検眼Eの、例えば眼底のある1点における断層に関する情報を取得することができる。このように、被検眼Eの該1点に測定光を照射して被検眼Eの深さ(Z)方向の断層情報を取得することを、Aスキャンと呼ぶ。このAスキャンが被検眼Eの横断方向で連続的に行われるように測定光を走査することで、該被検眼Eの横断方向と深さ方向とからなる2次元の断層情報を取得することができる。この2次元断層情報を得るための測定光の走査を、Bスキャンと呼ぶ。更に、Aスキャン及びBスキャンの何れの走査方向とも直交する方向に、測定光を被検眼E上にて走査することで、3次元の断層情報を取得することができる。この測定光の走査をCスキャンと呼ぶ。特に、3次元断層情報を取得する際に被検眼Eの眼底面内を2次元ラスタ走査する場合、高速に走査が行われる方向をBスキャン方向、相対的に低速で走査が行われる方向をCスキャン方向と呼ぶ。Bスキャン、及び、Cスキャンは上述したXスキャナ402及びYスキャナ403により行われる。
【0026】
次に、図2を参照して、SS−OCT装置1における参照光学系50について説明する。 図2は、本発明の一実施例に係るSS−OCT装置1の参照光学系50の概略構成を示す。参照光学系50は、強レンズ502、第二の光量調整手段51、第一ミラー503、第二ミラー504、分散補償ガラス505、光路長調整手段52、集光部53、及び偏光コントローラ507を有している。
【0027】
干渉部30より出射された参照光は、光ファイバ500により参照光学系50に導かれ、フェルール501より参照光学系50に射出される。フェルール501より射出された参照光は、強レンズ502により平行光とされた後に第二の光量調整手段51に至る。
【0028】
第二の光量調整手段51は、透過率可変型NDフィルタ510(Neutral Density)、モータ511、シャフト512、及び押え部材513を有する。モータ511はシャフト512を介して透過率可変型NDフィルタ510に接続され、該透過率可変型NDフィルタ510を回動させる。押え部材513は、透過率可変型NDフィルタ510をシャフト512に固定する。図2に点線で示すように、透過率可変型NDフィルタ510に入射した参照光は屈折し、第一ミラー503へ向かい該透過率可変型NDフィルタ510内を透過する。一方、透過率可変型NDフィルタ510により生じる多重反射光は、透過率可変型NDフィルタ510の入射面が、光軸に垂直な平面に対し傾斜しているため、参照光より偏心して透過しようとする。しかし、多重散乱光の透過領域は押え部材513により遮蔽されているため、これら光は第一ミラー503には至らない。第二の光量調整手段51では、検出部60にて検出される干渉光の干渉強度に応じてモータ511が駆動され、透過率可変型NDフィルタ510の参照光の透過領域を変えることにより参照光の光量を調整する。
【0029】
なお、第二の光量調整手段51の構成はここで述べた例に限られず、例えばモータに接続された遮蔽板により構成されても良い。また、本実施例において、上述した第一の光量調整手段202はここで述べた第二の光量調整手段51と同様の構成からなることとしている。しかし、両光量調整手段が同じ構成である必要はなく、一方を遮蔽板からなる構成としてもよい。
【0030】
本実施例では、第一ミラー503及び第二ミラー504により、参照光学系50内における参照光の経路をコの字にしている。当該配置とすることで、効率的に光路長を稼ぐことができ、装置の小型化を図ることが可能となる。ただし、参照光の経路は本実施例の構成に限定されず、一直線状にこれら光学部材が並ぶように配置しても良いし、光路がL字又はS字等となるようにミラーを配置しても良い。また、参照光の光路に配置される分散補償ガラス505は、戻り光を得る際に測定光が照射される被検眼Eの分散に対して参照光の分散を対応させる分散特性を有し、該参照光の分散の度合いを補償する。
【0031】
光路長調整手段52には、プリズム型のレトロリフレクタ520が設けられ、該レトロリフレクタ520は不図示のモータにより図2の矢印方向に移動可能である。該レトロリフレクタ520を矢印方向に移動させることにより、測定光が被検眼Eを経由する測定光学系40における光路長に応じて、参照光学系50の光路長を調整することができる。なお、レトロリフレクタ520の入射面は、一点鎖線にて示すように光軸に垂直な平面に対し、角度θだけ傾斜している。これにより、レトロリフレクタ520の正反射光が同一光路を逆に戻る戻り光となるのを回避すると共に、多重反射光が結合されるのを回避することができる。
【0032】
光路長調整手段52を経由し、第一ミラー503及び第二ミラー504で折り返された参照光は、集光部53にて集光され、フェルール532のコアにスポット状に結像される。参照光は、該フェルール532を介してこれに接続される光ファイバ508に導かれる。その後、参照光は、光ファイバ508に設けられた偏光コントローラ507により測定光に応じて偏光を調整され、光ファイバ508を介して干渉部30へ入射される。
【0033】
ここで、本実施例の如く光ファイバの入射端と出射端とが異なる光学系においては、特に入射端において光束を効率的に結合させることを要する。本実施例では、このため、集光部53では強レンズ530と弱レンズ531とを用いること、及び以下の手順により該集光部53を組みたてることにより、この要請を満たしている。なお、以下の説明等で用いる用語「弱レンズ」及び「強レンズ」は、同一の光学系で用いられるレンズの相対的強さを表す。強レンズに対して、弱レンズの方が焦点距離の絶対値が大きくなる。
【0034】
図2に示す集光部53では、まず強レンズ530とフェルール532のXYZ3方向のアライメントが行われる。該アライメントでは、例えば、強レンズ530の光軸の中心に対し、フェルール532を光軸に垂直な平面の2(XY)方向でのアライメントを行う。その後、フェルール532に対し、強レンズ530の焦点距離が適切になるように光軸(Z)方向のアライメントを行う。このとき、弱レンズ531は、強レンズ530とフェルール532の間において、弱レンズ531の光軸中心近傍領域が、強レンズ530とフェルール532の光軸中心近傍領域と重ならないように仮固定されている。強レンズ530とフェルール532のXYZ3方向のアライメントが完了した後、強レンズ530とフェルール532は、保持部材に対して恒久的に取り付けられる。
【0035】
しかし、その際に、一つ以上の光学構成要素に移動が生じることがある。光学部材の既知の恒久的な取り付け方としては、レーザ溶接、紫外線又は熱で硬化する接着剤、半田付け等が挙げられるが、これらどの方法においても、その取り付け過程にてこれら光学部材の移動が生じる可能性がある。そこで、これらの恒久的な固定後に、仮固定しておいた弱レンズ531をXY方向に移動させることで、上述した光学部材の移動により生じる結合効率の損失を補償することができる。その結果、光束とフェルール532の高精度なアライメントが実現される。なお、弱レンズ531の恒久的な取り付けの際にも、弱レンズ531の移動が生じることがあり得る。しかし、弱レンズ531は強レンズ530に対してレンズのパワーが小さいため、強レンズ530及びフェルール532といったその他の光学部材に比べ、結合効率に対する影響を無視できる。
【0036】
なお、このような構成においては、強レンズ502の焦点距離の絶対値と、強レンズ530と弱レンズ531との複合焦点距離の絶対値とが一致していることが望ましい。これら2つの焦点距離が一致している場合、フェルール501及びフェルール532には同一の部材を使用することができる。
【0037】
また、フェルール532はTEC加工を施し、コア径を大きくすることにより、フェルール532に対する光束のXY方向のずれ許容量を大きくすることができる。なお、ここで述べるTEC加工とは、熱処理等により、ファイバのコア径を実質的に拡大させる加工を指す。このようなフェルール532のコア径の拡大により、SS−OCT装置の使用される環境温度の変化によるフェルール532の位置ずれの影響を抑制し、結合効率の維持が可能となる。更に、参照光の入射出に関与する光学部材各々の焦点距離を一致させた上、フェルール532と同様の観点から、フェルール501に対してもTEC加工を施すことが望ましい。また、フェルール501及び強レンズ502と、フェルール532、弱レンズ531及び強レンズ530とは同一の保持部材で保持されることで、環境温度の変化に対して、入射側と出射側の相対的な位置ずれ量を低減できる。上述した参照光学系50に含まれて、参照光の光路長を調整する光学部材は、調整光学系を構成する。
【0038】
次に、図3(a)及び3(b)を参照して、本発明の一実施例に係るSS−OCT装置において冷却用の気体(所謂外気)の流路について、該SS−OCT装置の筐体内に包含される光源の位置及び各光学系の配置を含めて説明する。図3(a)はSS−OCT装置の側面図を、図3(b)は後面図を各々示している。該SS−OCT装置には、架台1001、顔受け台1004、光学部1104、移動台1002、及び操作部材1003を有する。また、光学部1104は、該光学部1104の外縁を画定する外装カバー内に配置される参照光学ユニット1102、測定光学ユニット1103、光源ユニット1105、及びダクト1107、及び外装カバーに固定されるファン1106を有する。
【0039】
装置全体を保持する架台1001には、不図示の電源等、主に装置の電装部が内蔵されている。被検者の顔を支持する顔受け台1004は、架台1001に固定、支持されている。被検者と光学部1104とのアライメントするにあたり、外装カバー含む光学部1104を水平方向、及び上下方向に移動させるための移動台1002は、架台1001に移動可能に支持されている。即ち、該光学部1104は被検眼Eに対してXYZの三軸方向に移動可能であり当該移動によりこれらの位置合わせが行われる。また、操作部材1003は、移動台1002を介して架台1001に支持されており、該操作部材1003を介することで操作者による移動台1002の移動等の指示が行われる。
【0040】
本実施例において、参照光学ユニット1102は、図1等に示した参照光学系50が筐体に内蔵された箱状のユニットとして構成されている。また、測定光学ユニット1103として示され箱体には上述した測定光学系40が、光源ユニット1105として示される箱体には上述した光源部10が、各々個別の筐体に内蔵されている。また、上述したSS−OCT装置1が有するその他の構成も、適宜各ユニット内に包含される。光源部10のみが、高熱源として他の構成と分離されて光源ユニット1105内に配置されている。光源部10、測定光学系40及び参照光学系50は、各々筐体内に内蔵されることにより、互いに熱隔離される。
【0041】
なお、以降の説明において、図3(a)に示すSS−OCT装置1において顔受け台1004が配置されている方向を前側(前方)、その反対方向を後側(後方)とする。また、これら前側と後側に対して図3(b)に示したSS−OCT装置1における左右側を側面側(側方)と称する。また、光学部1104に対して架台1001が配置される側を下側(下方)、該光学部1104における下側の逆を上側(上方)と称する。なお、加熱されて温度上昇した気体が昇る方向(鉛直方向における上方向)を上方、その逆を下方と解することも可能である。
【0042】
ここで、測定光学系40では、測定光及び戻り光は主に空間光として各光学要素の間で導かれている。従って、環境温度の上昇の影響は、レンズ等の光学部材を考慮すればよく、限定的と考えられる。これに対して、参照光学系50では、上述したフェルール532に対する参照光の入射精度等、各種光学部材の配置に対する環境温度の影響を考慮しなければならない。即ち、環境温度の上昇の影響は、測定光学系40に対するよりも参照光学系50に対してより考慮することを要する。
【0043】
本実施例では、以上に鑑みて、光学部1104内における上側である天井部に固定する或いは天井部に近接するように光源ユニット1105を配置している。また、光源ユニット1105に対して距離を隔てられるように、光学部1104内の下側の低い位置に参照光学ユニット1102を配置している。測定光学ユニット1103は参照光学ユニット1102と接合されており、且つ光学部1104において顔受け台1004に近い前側壁の内面の近くに配置されている。また、測定光学ユニット1103と光源ユニット1105とは隔置されており、熱隔離されている。
【0044】
本実施例において、光源ユニット1105を構成する箱体は下側の面に冷却気体の流入口1105aが設けられ、ファン1106が配置される側の側面側には冷却気体の流出口1105bが設けられる。該流出口1105bとファン1106との間には、冷却気体の排気経路を構成するダクト1107が配置される。該ダクト1107は、ファン1106による排気能力が光源ユニット1105の流出口1105bにほぼ直接作用するように、これらを連通させる。光源ユニット1105の流出口1105bから該光源ユニット内に流出する気体は、波長掃引光源100により加熱される。しかし、該ダクト1107の存在により、光源ユニット1105以外の参照光学ユニット1102、測定光学ユニット1103等の光学部1104が配置される空間へ該加熱された気体の拡散は防止できる。なお、本実施例では流出口1105bの開口とダクト1107の接続部開口が同じ大きさとしているが、加熱気体の拡散が防止できればダクト1107の接続部開口はより大きくてもよい。同様に、ファン1106の排気開口とダクト1107の接続開口についても、加熱気体の拡散が防止できればダクト1107の接続部開口はより大きくてもよい。
【0045】
次に、以上の構成からなる光学部1104内部において形成される冷却気体の流れについて述べる。光学部1104は上下方向に移動するが、これを支持する移動台1002は上下動を行わない。この動作を可能とするために、光学部1104の外装カバーの下面と移動台1002との間には全周に隙間が存在することとなる。当該隙間を通気口として用いることにより、該通気口を介して光学部1104の内部に対し、図中FL1にて示される矢印に沿って光学部1104の外気が流入できる。なお、該通気口としては、構造上本来存在する隙間をそのまま設けてもよい。また、通気口は隙間の態様のみならず、外装カバー下面全周に環状に配置される複数の穴、スリット等であってもよい。また、外装カバーの周囲面の下方全周に当該通気口を配置してもよい。しかし、ファン1106の排気能力に鑑みて、光源ユニット1105内を通過する外気が適当な流速及び流量にて効果的に内部を冷却できるように、該通気口の開放部分の面積を定める、或いは変更することが好ましい。
【0046】
参照光学ユニット1102及び測定光学ユニット1103は光学部1104の両側面内壁にから均等な隙間を設けるように配置されている。即ち、これら両光学ユニットは、参照光学ユニット1102及び測定光学ユニット1103の両側面の各々が光学部1104の側壁の内面に対して等しい距離となるように、光学部1104内の略中央に配置される。FL1に沿って光学部1104内に流入した外気は、次にこれら隙間を通るFL2にて示される矢印に沿って流れる。より詳細には、参照光学ユニット1102及び測定光学ユニット1103の両側面に接触し、これらを冷却しながら光源ユニット1105に向かってこれら構成の周囲を流れる。上述したように両光学ユニットの側面に存在する隙間は同じ間隔からなることから、当該隙間を流れる外気の流量及び流速は略等しくなる。参照光学ユニット1102等を両側面から均等に冷却しつつ光源ユニット1105に至った外気は、上述した流入口を介して光源ユニット1105内に流入する。
【0047】
光源ユニット1105内に至った外気は、ファン1106による排気作用によって流出口側に引き込まれ、ダクト1107内に流出する。その際に、当該外気は光源ユニット1105内の波長掃引光源100を冷却して該波長掃引光源100により加熱される。ダクト1107内に流出した加熱された後の外気は、ファン1106により光学部1104の外部に排出される。図中FL3によって示す矢印は、光源ユニット1105内に流入し、ダクト1107内に吸引され、ファン1106により引き込まれて光学部1104の外部に排出される気体の流れを示している。また、ファン1106の排気能力により、強制的な気体流FL1、気体流FL2、及び気体流FL3が生成される。
【0048】
本実施例によれば、気体流FL2により参照光学ユニット1102及び測定光学ユニット1103を冷却してこれらの温度上昇を抑えると共に、光学部1104内の少なくとも下方空間での温度上昇も抑えられる。特に光学部1104の下面全周に通気口を配することにより、該下方空間内の温度分布を均一にすることができると共に、光学部1104内の気体のほぼ全てを効果的に外気により置換することもできる。同時に、光学部1104内において、気流の所謂澱みとなる領域の発生も抑制できる。また、光源ユニット1105が光学部1104の天井側直近に配置されることで、該光源ユニット1105によって加熱された周辺気体の光学部1104内での気体循環による拡散は抑制される。これに気体流FL2の効果を加えることで、光源ユニット1105により加熱された周辺気体の光学部1104内への拡散は、更に抑制される。また、光源ユニット1105内で加熱された気体については、これを直接ファン1106によって光学部1104の外部に強制排出するため、光源ユニット1105内の加熱気体の光学部1104内への影響も抑えられる。
【0049】
以上述べたように、本発明の一態様に係る撮像装置は、第三の筐体である光学部1104と、該光学部1104に内蔵される光源ユニット1105、測定光学系40及び参照光学系50からなる光学系、ファン1106、及びダクト1107を有する。光学部1104は、外気が流入可能な通気口を下方に有する。光源ユニット1105は、光学部1104内の上方に配置され、被検眼Eの情報を得るための測定光を生成する光を射出する波長掃引光源100と、光源を内蔵して光学部1104内の気体が内部に流入可能な流入口を有する光源用筐体とを有する。該光源用筐体は、本実施例における第一の筐体を構成する。
【0050】
上述した光学系は、光学部1104内に配置され、測定光を被検眼Eに導くと共に該被検眼Eの画像取得のための情報を検出する検出手段たる検出器600に測定光の被検眼Eからの戻り光を導く光学部材を少なくとも有する。なお、上述した実施例では、参照光学系50を構成する光学部材を、光学部材用筐体としての参照光学ユニット1102内に内蔵する場合を例示した。該光学部材用筐体は、本実施例における第二の筐体を構成する。しかし、光学部材用筐体に内蔵して光源ユニット1105から熱隔離する構成は参照光学系50の光学部材に限られず、環境温度の変化に影響を受ける部材或いは光学部材であればよい。従って、該光学部材用筐体は、光学部1104内の下方且つ通気口の上方に配置されて、光学系の一部の光学部材を内蔵する構成として定義される。また、測定光学ユニット1103を構成する筐体は、この場合には、光学部材用筐体に内蔵されない光学部材を内蔵する第二の光学部材用筐体である第四の筐体を構成することとなる。なお、一部の光学部材としては、参照光の光路長を調整する光学系、参照光を参照光学ユニット1102に導く光ファイバ等が対応する。これら部材は環境温度として総称される熱の影響を受けて光学特性を変え、その影響は生成される断層画像にも現れる恐れがある。
【0051】
ファン1106は、光学部1104の壁の光学部材用筐体よりも上方に設けられる排気開口から該光学部1104内、即ち筐体内部の気体の強制排気を行う。また、ダクト1107は、光源ユニット1105内と排気開口とを連通させて、ファン1106により光源ユニット1105内の気体を光学部1104の外部に排出可能とする。即ち、当該ファン1106は、光学部1104下面の通気口より光学部1104内に入り、光源ユニット1105の下面の流入口1105aを介して光源ユニット1105内に至る気流を生成する。更に、当該ファン1106は、光源ユニット1105の流出口1105bからダクト1107を介して光学部1104の外部に至る気流を生成する。
【0052】
以上の構成とすることにより、同一筐体内に参照光学系等と高熱源となる光源とが配置される場合であっても、参照光学系及び該筐体内の各構成の温度上昇を低減することが可能となる。従って、波長掃引光源を用いたSS−OCT装置の小型化を図った場合であっても、該SS−OCT装置に上述した構造を付与することにより、参照光学系等に対する波長掃引光源からの熱の影響を低減し、画像を生成する性能を維持することができる。また、上述した構成であれば、装置の小型化により装置内の参照光学ユニット1102の近傍に光源ユニット1105が配置されたとしても、確定された気体流の存在により参照光学ユニット1102における温度上昇を低減できる。
【0053】
なお、本実施例では光学部1104の下部に構造上配置される隙間を活用し、当該隙間を介して外部空間から吸引した外気を参照光学ユニット1102に接触するように流すことで当該参照光学ユニット1102の冷却効果を得ている。また、参照光学ユニット1102冷却後の外気を、光源を収容する光源ユニット1105内に吸引し且つ光源冷却後の外気をダクト1107とファン1106とを介して光学部1104内に拡散させることなく外部に排出している。以上の構成によれば、従来のOCT装置が本来有する光学部1104と移動台1002との隙間を吸引口として活用し、ダクト1107とファン1106とを付加するのみで効果的に光学部1104内部を冷却することができる。
【0054】
しかし、本発明に係る撮像装置の外気を吸引、或いは排出するための構成は上述した実施例に限定されない。吸引口として、例えば光学部1104の外装カバーの側壁の内面において光源ユニット1105と対向する領域に更なる通気口を設けてもよい。当該通気口を設けることにより従来構成に付加的な加工を行うことを要するが、光源ユニット1105の冷却効果に着目した場合より大きな体積の外気を該光源ユニット1105に吹き付けられ、波長掃引光源100への冷却効果を高めることが期待できる。当該更なる通気口は、この場合、光学部1104の側壁又は前後壁に設けられて光学部1104内に外気を流入可能とする第二の通気口として定義できる。また、この場合、該吸引口に対向する光源ユニット1105の面に対しても、外気を導入できる更なる流入口を設けることとしてもよい。
【0055】
また、本実施例においてファン1106は光学部1104の外装カバーに固定しているが、ダクト1107を更に延長してその先に該ファン1106を配することとしてもよい。また、OCT装置の小型化という観点には逆行して装置が大型化する可能性があるが、光源ユニット1105のダクト1107との連通部分にファン1106を配することも可能である。また、本実施例でファン1106が配置される光学部1104の排出口は、光源ユニット1105で加熱された気体を参照光学ユニット1102に近づけないために、該参照光学ユニット1102よりも上方に配置することが好ましい。ここでOCT装置を小型化且つスリム化した場合、特に上部をスリム化した場合、ファン1106の取り付け位置の確保が困難となる場合も想定される。ダクト1107を配することにより、ファン1106の取り付け位置の自由度を高め、且つ可能な限り下方にファン1106を配置した場合であっても光源ユニット1105により加熱された気体の参照光学ユニット1102への拡散を抑制できる。
【0056】
(その他の実施例)
本発明は、高温となる波長掃引光源を用いるSS−OCT装置を対象とし、本実施例においてもSS−OCT装置について述べている。しかし、本発明の適用対象はSS−OCT装置に限定されず、他のOCT装置、或いは走査型のレーザ検眼鏡(SLO装置)等、高温となる光源を用い且つ環境温度の影響を受けやすい種々の光学部材を内蔵する撮像装置も含まれる。
【0057】
また、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形、変更して実施することができる。例えば、上述した実施例では、被検査物が眼の場合について述べているが、眼以外の皮膚や臓器等の被検査物に本発明を適用することも可能である。この場合、本発明は眼科装置以外の、例えば内視鏡等の医療機器としての態様を有する。従って、本発明は眼科装置に例示される撮像装置として把握され、被検眼は被検査物の一態様として把握されることが望ましい。
【符号の説明】
【0058】
1:SS−OCT装置(撮像装置)、 10:光源部、 20:光量調整光学系、 30:干渉部、 40:測定光学系、 50:参照光学系、 60:検出部、 70:情報取得部、 80:表示部、 E:被検眼、 51:光量調整手段、 52:光路長調整手段、 53:集光部、 530:強レンズ、 531:弱レンズ、 532:フェルール、 1102:参照光学ユニット(光学部材用筐体)、 1103:測定光学ユニット(光学部材用筐体)、 1105:光源ユニット、 1106:ファン、 1107:ダクト
図1
図2
図3