特許第6789723号(P6789723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ HOYA株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6789723-内視鏡形状検出用位置センサ 図000002
  • 特許6789723-内視鏡形状検出用位置センサ 図000003
  • 特許6789723-内視鏡形状検出用位置センサ 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789723
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】内視鏡形状検出用位置センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   A61B1/00 552
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-160598(P2016-160598)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-27219(P2018-27219A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 幹治
(72)【発明者】
【氏名】片山 暁元
(72)【発明者】
【氏名】丹内 克哉
【審査官】 相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−111969(JP,A)
【文献】 特開2005−103093(JP,A)
【文献】 特開2011−254874(JP,A)
【文献】 特開2016−131727(JP,A)
【文献】 特開2002−065583(JP,A)
【文献】 特開平09−028660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡形状検出装置に接続可能であって、内視鏡先端部の位置を患者体表面側から検出可能な位置センサであって、
硬性のセンサ本体と、
前記センサ本体内に設けられるコイルと、
前記コイルと前記内視鏡形状検出装置とを接続する電線とを備え、
前記電線が、前記コイルと接続するマグネットワイヤと、前記マグネットワイヤと接続する絶縁電線とを有し、
前記マグネットワイヤと前記絶縁電線とが、前記センサ本体内に形成された空間で接続していることを特徴とする位置センサ。
【請求項2】
前記マグネットワイヤがエナメル線を有し、前記絶縁電線が銅線を有することを特徴とする請求項1に記載の位置センサ。
【請求項3】
前記エナメル線が1対のエナメル線であって、前記銅線が1対の銅線であって、
一方のエナメル線と銅線との電線軸方向に沿った接続位置が、他方のエナメル線と銅線の接続位置と異なることを特徴とする請求項2に記載の位置センサ。
【請求項4】
前記1対のエナメル線が、撚対線状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の位置センサ。
【請求項5】
前記エナメル線が、前記銅線に半田付けされていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項6】
前記エナメル線と前記銅線との接続部分が、保護チューブで覆われていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項7】
前記センサ本体から延びる信号ケーブルが、前記絶縁電線を覆うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の位置センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器官などの観察対象を撮像し、処置などを行う内視鏡装置に関し、特に、内視鏡挿入部の形状検出に使用される位置センサに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置では、可撓性のある内視鏡挿入部を体内に挿入して消化器官など観察部位を撮像し、必要に応じて処置などを行う。大腸、小腸などの管腔形状は複雑に曲がりくねった形状であり、オペレータにとって挿入状態での挿入部形状を把握することが難しい。そのため、操作時の安全性を確保する観点から、内視鏡挿入部形状を検出する内視鏡操作支援システムが提案されている。
【0003】
そこでは、複数のコイルが内視鏡挿入部先端側に配置されており、外部の受信アンテナがコイルから発信される磁界を検出し、その検出信号に基づいてコイル位置を算出する。このコイル位置から内視鏡挿入部先端形状を推定し、専用モニタに内視鏡先端部形状を3次元表示する。外部に磁界発生装置を設け、内視鏡挿入部先端側に配置されたコイルで磁界を検知することも可能である。
【0004】
また、コイル内蔵のマーカー(以下、患者マーカーという)が、シート等を介して、体表面の特定位置(例えば肛門近傍など)に設置、固定される。患者マーカーから発信される磁気によって患者マーカー位置を算出することにより、患者マーカー位置を基準位置として体内での内視鏡先端部の位置を把握することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−079129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内視鏡先端部の体内位置をより詳細に検出したい場合、患者マーカーとは異なるコイル内蔵の位置センサが使用される。看護師などの補助作業者(介助者)は、処置、手術状況に応じて、位置センサを保持しながら体表面の特定位置周辺まで運び、探るように動かしながら位置センサの位置を専用モニタによって確認する。位置センサを当てる箇所は処置内容、手術内容によって様々であり、また、手術中にも異なる個所に位置センサを当てる状況が生じることになり、位置センサを動かす範囲は広い。
【0007】
そのため、位置センサと内視鏡形状検出装置とを接続させる信号ケーブルは、柔軟性、屈曲性をもたせる必要がある。一方、信号ケーブル内の信号線が通常の電線であるとコイルの作用に影響を与え、誤った位置が算出されてしまう。これを防ぐため、絶縁性の優れたエナメル線などが信号ケーブル内に配置される。しかしながら、エナメル線のような電線は強度が弱く、作業補助者が位置センサを大きくその位置を移動させるときに断線する恐れがある。
【0008】
したがって、位置センサを動かしたときに断線するのを防ぐ強度を持たせるとともに、信号ケーブルがコイルに影響を与えず、位置センサの位置を正確に検出することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の位置センサは、内視鏡形状検出装置に接続可能な位置センサであって、硬性のセンサ本体と、センサ本体内に設けられるコイルと、コイルと内視鏡形状検出装置とを接続する電線とを備え、電線が、コイルと接続するマグネットワイヤと、マグネットワイヤと接続する絶縁電線とを有し、マグネットワイヤと絶縁電線とが、センサ本体内で接続している。例えば、センサ本体から延びる信号ケーブルが、絶縁電線を覆う。
【0010】
例えば、マグネットワイヤがエナメル線であり、絶縁電線は絶縁性素材で被覆された銅線で構成できる。1対のエナメル線、1対の銅線で構成し、一方のエナメル線と銅線との電線軸方向に沿った接続位置が、他方のエナメル線と銅線の接続位置と異なるようにすることができる。また、1対のエナメル線を、撚対線状に形成することも可能である。例えばエナメル線が、銅線に半田付けされている。また、エナメル線と銅線との接続部分を、保護チューブで覆うことも可能である。
【0011】
本発明の他の態様における内視鏡形状検出装置は、コイルを内蔵した位置センサと接続される内視鏡形状検出装置であって、位置センサの信号ケーブル内で延びる絶縁電線と接続するケーブル接続口と、コイルからの信号が入力される回路を有する基板と、ケーブル接続口と基板とを接続するマグネットワイヤとを備える。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、内視鏡作業中、コイルを内蔵した位置センサを自在に動かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態である内視鏡システムのブロック図である。
図2】位置センサの概略的断面図である。
図3】エナメル線と銅線との接続部分を拡大して示した概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照して本実施形態である内視鏡システムについて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態である内視鏡システムのブロック図である。
【0016】
内視鏡システムは、その挿入部分が体内へ挿入されるビデオスコープ10と、プロセッサ30とを備え、ビデオスコープ10はプロセッサ30に着脱自在に接続される。プロセッサ30には、観察画像表示用のモニタ80が接続されている。さらに内視鏡システムは、磁界発生装置(FGU)40と、内視鏡形状検出装置(NCU)50とを備え、NCU50には、内視鏡形状を3次元表示する専用モニタ90が接続されている。
【0017】
ビデオスコープ10は、湾曲部10M、先端部(硬性部)10Tを含む挿入部10Iを備え、医師などのオペレータによって挿入部10Iが体内に挿入される。プロセッサ30内の光源(図示せず)から放射された光はビデオスコープ10内のライトガイド(図示せず)を通って器官内壁などの被写体に照射される。
【0018】
被写体からの反射光は先端部10T内のイメージセンサ(図示せず)に結像し、被写体像がイメージセンサに形成される。1フィールド/フレーム分の画素信号が所定時間間隔でプロセッサ30へ送信され、画素信号に対する画像処理がプロセッサ30内部の画像処理回路(図示せず)で実行される。生成された画像信号がモニタ80に出力されることによって、カラー観察画像がモニタ80に表示される。
【0019】
オペレータは、特定の器官(例えば大腸)に挿入部10Iを挿入させて処置を行う場合、NCU50を使って挿入部10I(特に先端側部分10K)の形状を確認しながらビデオスコープ10を操作することができる。NCU50と接続するFGU40が磁界を発生させると、挿入部先端側部分10Kを含めて挿入部10Iに所定間隔で配置された複数のセンサコイル(図示せず)が磁界を検知し、プロセッサ30を介してコイルに生じた電流(信号)をNCU50へ送信する。
【0020】
NCU50は、送られてきた電流信号に基づいて各センサコイルの位置を算出し、挿入部先端側部分10Kの形状を検出する。そしてNCU50は、3次元画像処理によって、挿入部10Iの3次元画像を専用モニタ90に表示する。
【0021】
内視鏡形状検出を行う場合、患者にシート(図示せず)をかぶせた状態で複数の患者マーカー60が使用される(図1では1つのみ表示)。センサコイル内蔵の患者マーカー60は、シートを介して体表面の特定位置に固定され、NCU50と接続される。患者マーカー60が磁界を検知することによって、NCU50は患者マーカー60の位置を検出し、専用モニタ90に患者マーカー60の位置を示す。
【0022】
さらに、大腸など複雑に屈曲している器官内で内視鏡先端部10Tの体内位置を正確に把握する場合、作業補助者が、位置センサ70を保持しながらスコープ先端部10Tがあると推測される体表面付近に移動させ、その周辺を探るように位置センサ70を動かす。位置センサ70が磁界を検知し、NCU50は位置センサ70の位置を専用モニタ90に表示する。
【0023】
位置センサ70は、信号ケーブル72を通じてNCU50と接続されており、信号ケーブル72は、作業補助者が患者の様々な箇所へ位置センサ70を運べるように、適度な長さと柔軟性、屈曲性を持っている。その一方、信号ケーブル72は位置センサ70が動いているときに破断しないように十分な強度を持つ。以下、これについて詳述する。
【0024】
図2は、位置センサの概略的断面図である。
【0025】
位置センサ70は、硬性のセンサ本体71に信号ケーブル72が接続された構成であり、軟性部77がセンサ本体71の先端部反対側に連設されている。センサ本体71は、長手方向に沿って延在するグリップ部71Aと、コイル76を収容する先端部71Bとを備え、センサ本体71内部には、その軸方向に沿って中空部79が形成されている。作業補助者は、自身の手もしくは図示しないクリッパによってグリップ部71Aを保持しながら、位置センサ70を患者の特定位置まで移動させ、動かす。
【0026】
コイル76に生じる電流は、コイル76から信号ケーブル72の端部にまで渡って延びる電線73を流れていく。電線73は、コイル76と接続するエナメル線73Bと、信号ケーブル72の端部まで延びるビニル被覆電線73Aとを備え、センサ本体71内にビニル被覆電線73Aとエナメル線73Bとの接続部分74を設けている。そして、保護チューブ75が接続部分74を覆うように構成されている。
【0027】
マグネットワイヤの一種であるエナメル線73Bは、例えばポリウレタンなどの絶縁材料を銅線表面に焼き付けたエナメル線であり、ビニル被覆電線73Aは、例えば耐熱ビニルで被覆された撚り銅線によって構成されている。
【0028】
ビニル被覆電線73Aは信号ケーブル72内全体に渡って覆われる形で延びており、内視鏡形状検出装置50の接続口50Aと接続している。一方、内視鏡形状検出装置50内には、患者マーカー60、位置センサ70から送られてくる電流信号に基づいてマーカーとセンサ位置を算出する電子回路を備えた基板(図示せず)が組み込まれている。この基板と接続口50Aとを繋ぐ電線は、図示しないエナメル線(以下、装置内エナメル線という)によって構成されている。すなわち、接続口50Aによってビニル被覆電線73Aと装置内エナメル線とが接続される。
【0029】
図3は、エナメル線と銅線との接続部分を拡大して示した概略的構成図である。
【0030】
エナメル線73Bは、1対のエナメル線73B1、73B2によって構成されており、それに応じてビニル被覆電線73Aも1対のビニル被覆電線73A1、73A2によって構成されている。1対のエナメル線73B1、73B2は、撚対線状に形成されており、互いに向かい合いながら捻じれた状態でセンサ本体71の長手軸方向に延びている。
【0031】
エナメル線73Bとビニル被覆電線73Aとは半田付けされることにより接続されている。詳述すると、エナメル線73B1は、ビニル被覆電線73A1の絶縁材料が取り除かれた状態で銅線79A1と半田付けにより接続されており、エナメル線73B2とビニル被覆電線73A2の銅線79A2も同様に半田付けにより接続されている。
【0032】
また、エナメル線73Bとビニル被覆電線73Aの長手軸方向に沿った接続位置については、エナメル線73B1とビニル被覆電線73A1の銅線79A1の接続位置が、エナメル線73B2とビニル被覆電線73A2の銅線79A2の接続位置と電線軸方向、すなわちセンサ本体71の長手方向に沿ってずれている。
【0033】
このように、センサ本体71の長手方向に接続位置がずれていることにより、接続部分74の電気的な短絡を防止することができる。保護チューブ75は、耐熱性の高い樹脂材で構成されており、エナメル線73B1、73B2とビニル被覆電線73A1、73A2の絶縁部両方を覆っている。このように保護チューブ75で接続部分74を覆うことにより銅線79A1、79A2がむき出しになることがないため銅線へのノイズの混入を防止することができる。なお、保護チューブ75は熱収縮チューブで構成してもよい。
【0034】
このように、コイル76に接続する電線をエナメル線73Bとし、センサ本体71内部から信号ケーブル72の端部までの電線を、ビニル被覆電線73Aとすることにより、位置センサ70を使用しているときの断線を防ぐことができる。
【0035】
すなわち、エナメル線73Bのように引張強度に弱い電線が信号ケーブル72からコイルまで全体に渡って延びる構成でないため、作業補助者が位置センサ70を広範囲に渡ってランダム、不規則に動かしても、ビニル被覆電線73Aが十分な引張強度を持っているため、断線を防ぐ。また、エナメル線73Bとビニル被覆電線73Aとの接続部分74を硬性であるセンサ本体71内に設けているため、信号ケーブル72が引っ張られたり曲げられたりしたときに、信号ケーブル72から接続部分74へ力が直接影響をうけない。特に、接続部分74において1対のエナメル線を向かい合うように捻じれさせ、1対のエナメル線と1対の銅線との接続位置を電線軸方向に沿ってずらしているため、破断しにくい。
【0036】
一方で、コイル76に接続されるエナメル線73Bは、マグネットワイヤとして電気エネルギーと磁気エネルギーとの交換に用いられる電線であり、コイル76の作用に影響を与えない。また、ビニル被覆電線73Aのコイル76への影響はわずかであり、その抵抗による電流値の増加分あるいは減少分をあらかじめ補正値として求めることで、位置センサ70の正確な位置が算出される。
【0037】
さらに、NCU50では、接続口50Aによってビニル被覆電線73Aと装置内エナメル線とを接続する。これにより、装置内基板においてノイズが電線に生じるのを防ぎ、正確な位置センサ70の位置を求めることができる。
【0038】
このように本実施形態によれば、コイル76を硬性のセンサ本体71に内蔵した位置センサ70において、コイル76と接続するエナメル線73Bと、ビニル被覆電線73Aによって構成される電線73を通じて、磁界検知によりコイル76に生じる電流信号をNCU(内視鏡形状検出装置)50に送る。エナメル線73Bとビニル被覆電線73Aとの接続部分74は、センサ本体71内に設けられている。
【0039】
エナメル線以外のマグネットワイヤを使用してもよく、ビニル被覆電線以外の絶縁性樹脂などで銅線を被覆した絶縁電線を使用してもよい。また、位置センサ内のコイルから磁界を発生させ、外部の受信アンテナで磁界を検知するように構成してもよい。さらには、患者マーカーに対しても同様に電線を構成にすることが可能であり、位置センサの1つとして構成することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 ビデオスコープ
30 プロセッサ
50 内視鏡形状検出装置(NCU)
70 位置センサ
71 センサ本体
72 信号ケーブル
73 電線
73A ビニル被覆電線(絶縁電線)
73B エナメル線(マグネットワイヤ)
74 接続部分
76 コイル
79A1 銅線
79A2 銅線


図1
図2
図3