(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水流を発生させる相対的に長時間の稼動状態と、水流を発生させない相対的に短時間の停止状態とに前記ポンプ部を電解中に繰り返し切替制御する制御部により前記ポンプ部の稼動状態において多孔電極板に付着生成した剥離困難気泡を遊離させる手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の水素水生成装置。
前記多孔電極板は、当該多孔電極板の気泡流通孔の間を区画する区画部が、前記水流に向かう尖端となる角部を有する断面多角形状である、ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の水素水生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、下記の順序に従って本発明を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
(3)第3の実施形態:
(4)第4の実施形態:
(5)第4の実施形態の変形例:
(6)まとめ:
【0034】
(1)第1の実施形態:
図1及び
図2は、水素水生成装置の外観構成を示す斜視図、
図3は、上ケースを取り外して下ケース内を露見させた状態を示す図、
図4は、上ケースから保護ケースを取り外した上ケースを示す斜視図、
図5は、上ケース内面を下方から見た斜視図、
図6は、
図1に示すA−A断面を示す断面図、
図7は、電解部の斜視図、
図8は、電解部の底面図、B−B断面図、及びB−B断面の拡大図である。
【0035】
本実施形態に係る水素水生成装置100は、浴槽等の溜水した容器内に浸漬可能なケース10内に、ポンプ部20と、電解部30と、電源部40と、を収容配設してあり、しかも、電解部30は、複数の多孔電極板を一定間隔を保持して配設されており、ポンプ部20からの水流が多孔電極板の板面に向かうよう構成されている。これにより、従来に比べて水が含有する水素の微泡性が向上し、水における水素の気泡成長を緩和した水素水を生成できる。
【0036】
以下、図面に示す水素水生成装置100の具体的な一態様について説明する。
【0037】
ケース10は、合成樹脂等の不透水性材料を用いて水密構造に形成されており、流入口11から流出口12までの水が流通する通水路13を除くケース10内に水が侵入しないように部材継ぎ目がシーリング材等で封止されている。
図1、
図2等に示す例では、上ケース10aと下ケース10bを上下合体させて内部を水密に構成し、上ケース10aの上面にリブ構造を有する保護部材10cを装着してある。
【0038】
保護部材10cは、上ケース10aの上面を覆うように伸びる基部10c1と、当該基部上面に立設されたリブ10c2とを有し、上ケース10a上面に露見する電解部30と対面する部位に開口10c3を有し、上ケース10a上面に設けた操作スイッチ15と対面する部位に開口10c4を有する。開口10c3の上にはリブ10c2が架設されており、電解部30の長手方向に沿って人の指が通らない程度の一定間隔でリブを並設して利用者の手指と電解部30との接触を防止しつつ電解部30から流出する水が水素水生成装置100の上面から上方へ噴出可能にしている。
【0039】
ケース10の水密部分には、水素水生成装置100の電気的構成要素のほぼ全てが配設されるが、電解部30を構成する多孔電極板31〜33については水密部分の外部に配設されており、具体的には通水路13内に配設されている。
【0040】
ポンプ部20は通水路13の途中に介装されており、ポンプ部20の内部通水路21が通水路13の一部を構成している。ポンプ部20が稼働すると、内部通水路21内の水にポンプ圧力を加えて、このポンプ圧力によって通水路13全体の水が通水路13内を流動し、流入口11からは水が吸引されるとともに、流出口12からは水が排出される。なお、本実施形態では内蔵式のポンプ部を例に取り説明を行っているが、ケース10外にポンプ部を設けてもよく、チューブ等で外部のポンプ部と接続して通水路13の水にポンプ圧力を加える構成としてもよい。
【0041】
流入口11は、ケース10の側面と下面の角に設けられた凹部内に開口が設けられており、流出口12はケース10の上面に設けられている。流入口11や流出口12をケース10の下面に沿う位置に設けないことで、ケース10の下面を容器の内底面から一定距離だけ離間させる脚部材を設ける必要が無くなる。流出口12をケース10の上面に設けることにより、電解部30で発生・成長して電解部30から離脱上昇中の気泡を、水素水生成装置100が吐出する水流に巻き込むことができる。なお、流入口11には、塵や湯垢、髪の毛等の侵入を防止するフィルター14を設けて、通水路13の詰まりや汚れを防止している。
【0042】
その他、ケース10の上面には操作スイッチ15と照明・動作確認LED16(Light Emitting Diode)が設けられている。操作スイッチ15を操作すると、水素水生成装置100の電源オン/オフや、後述する照明・動作確認LED16の表示のオン/オフや表示色の切り替え等の各種操作入力を行える。ケース10の側面には、蓄電可能に構成された電源部40の充電端子17が設けられており、ACアダプタ等を介して充電端子17を商用交流電源に接続して電源部40を充電することができる。
【0043】
なお、水素水生成装置100には充電端子17を覆うための不図示のカバー部材が付属しており、カバー部材を装着して充電端子17を覆うことで、水素水生成装置100を水中に浸漬した際に、充電端子17の短絡や漏電を防止する構成となっている。
【0044】
ケース10の水密部分には、水素水生成装置100を電気的に制御する制御主体としての制御・充電基板18が固設されている。制御・充電基板18からは多数の配線が延出されており、ポンプ部20、電解部30、電源部40、操作スイッチ15、照明・動作確認LED16にそれぞれ接続されている。なお、図面中には、電解部30と制御・充電基板18との間の配線のみを示してある。
【0045】
電解部30に接続される配線は、通水路13内の電解部30に直接接続されるのではなく、多孔電極板31〜33に連結された導体棒34,35の先端に対して接続される。導体棒34,35は、通水路13壁面の貫通孔13aを通して水密部分に突出している。多孔電極板31,33は一方の導体棒(例えば、導体棒34)に接続され、多孔電極板32には当該一方の導体棒の挿通孔が形成される。一方、多孔電極板32は他方の導体棒(例えば、導体棒35)に接続され、多孔電極板31,33には当該他方の導体棒の挿通孔が形成される。通水路13壁面の貫通孔13aと導体棒34,35の間はシール材等で封止される。
図5に示す例では、貫通孔13aを通して水密部分に露見した導体棒34,35の先端にボルトを螺合し、ボルトと通水路13壁面との間にOリング等のシール材を介挿挟持することにより貫通孔13aを封止してある。
【0046】
通水路13には、流出口12付近に、流出口12に近づくほど徐々に拡幅する圧力室13bを有しており、電解部30を構成する複数の多孔電極板31〜33は、圧力室13bの幅広開口に近い通水路13において、通水路13の流路断面の略全体をそれぞれが閉塞するように配設されている。これにより、通水路13を流通する水は、必ず各多孔電極板31〜33の気泡流通孔31a〜33aを通って流出口12に到達することになる。また、圧力室13bの出口開口をポンプ部20付近の通水路13より大断面積に形成することにより、水素水を浴槽等の溜水した容器内に供給する供給口が大きくなり、水素水生成装置100から供給される水素水の容器内への拡散が促進される。なお、圧力室13bの形状は、漏斗状拡幅形状に限るものではなく、電解部30に均等な水圧を加え、流出口12からの水素水の拡散促進が可能であれば、様々な形状を採用可能である。
【0047】
多孔電極板31〜33は、金や白金でメッキされたチタン等の導電性金属材料で板状に形成されており、板面を表裏に貫通する気泡流通孔31a〜33aが複数設けられている。多孔電極板31〜33は、互いに接触しないよう一定間隔を保持した状態で通水路13内に固定されており、上述した配線及び導体棒34,35を介して多孔電極板31〜33に電源部40から給電される。なお、気泡流通孔31a〜33aは多孔電極板31〜33の板面全体に亘って万遍なく形成されている。
【0048】
多孔電極板31〜33は、隣り合う板の間に電位差が生じるようにそれぞれ電圧が印加されており、例えば、多孔電極板31,33に高電圧を印加する場合は多孔電極板32に低電圧を印加し、多孔電極板31,33に低電圧を印加する場合は多孔電極板32に高電圧を印加する。これにより、多孔電極板31〜33の隣り合う板に対向する面の間で電気分解が行われ、多孔電極板31〜33の板面付近に水素(及び酸素)が発生する。
【0049】
多孔電極板31〜33は、圧力室13bの幅広開口を閉塞しており、通水路13にはポンプ部20がポンプ圧力を加えている。このポンプ圧力により、通水路13を流通して圧力室13bに至った水は、拡幅形状に沿って流路断面全体に広がって多孔電極板31〜33の板面に向かう水流が発生し、通水路13の流出口12を閉塞する多孔電極板31〜33の板面に水流の圧力を加えることで、多孔電極板の表面に電解で発生する水素や酸素の気泡を電解の瞬間に押しのけるように水流内に取り込む効果があり、水素水生成装置100の流出口から流出する水が含む水素の気泡が微泡化される。また、目に見える水素気泡が微泡化するだけでなく、目に見えないサイズの水素気泡や気泡成長前の水素が水流に溶存する効果も期待され、例えば、水素が電解直後の分子レベルで水流内に取り込まれる効果、水素がナノバブルやマイクロバブルで水流内に取り込まれる効果も期待できる。また、
図9において濃淡で示すように、圧力室13bの中でも特に上流側の多孔電極板間隙において下流側に配置された多孔電極板の気泡流通孔による抵抗で水が加圧されるため、水中に水素がより強制的に溶解されることとなり、溶存水素濃度が向上する。なお、
図9では、より多くの多孔電極板を設けた例として、多孔電極板31,32,33,33−1,33−2の5枚を備えた電解部30を示しているが、3枚や4枚であっても、5枚以上であっても良いのは言うまでもない。また、圧力室13bを設けるとともにその出口である流出口12を閉塞するように多孔電極板31〜33を設けているため、多孔電極板31全面に略均等な水圧が加わり、多孔電極版31全面の複数の気泡流通孔31aに万遍なく水が流入し、多孔電極板33全面の複数の気泡流通孔33aから万遍なく水が流出する。これにより、多孔電極板31〜33の板面全体に形成された各気泡流通孔31a〜33aに万遍なく水が行き渡る水流が形成され、多孔電極板31〜33の板面方向の全域において板面付近に水が滞留しにくくなる。すなわち、通水路13内の水の置換効率が多孔電極板31〜33の板面付近において向上する。
【0050】
多孔電極板31〜33の気泡流通孔31a〜33aは、
図8に示すように、隣り合う多孔電極板の間で互い違いの位置関係で形成されるようにしてもよい。すなわち、平面視において、多孔電極板31の気泡流通孔31aと多孔電極板32の気泡流通孔32aとが一部重複した位置関係又は非重複位置にそれぞれ形成され、多孔電極板32の気泡流通孔32aと多孔電極板33の気泡流通孔33aも一部重複した位置関係又は非重複位置にそれぞれ形成される。
【0051】
このように隣り合う多孔電極板31〜33の間で気泡流通孔31a〜33aが互い違いの位置関係で形成された場合、多孔電極板31〜33を通過する水がジグザグに流れるため、多孔電極板31〜33の間の隅々まで多孔電極板に沿って水が流通することとなり、多孔電極板の表面全体で離泡性を向上することができる。すなわち、電解板表面における水素(及び酸素)気泡の滞在時間が短縮し、電解板表面が気泡で覆われにくくなる。これにより、電解効率が向上し、電解板表面で気泡が成長しにくく、電解板表面から離脱する水素(及び酸素)を微泡化したり、分子レベル水素、ナノバブルやマイクロバブル状態での水素溶存も期待できる。この結果、水素水生成装置100から排出された水の水素溶存量が向上し、しかも、容器内の広範囲の水の水素溶存量を向上できる。
【0052】
図10は、水素水生成装置100の制御部50が実行する処理の流れを示す図である。同図に示す処理は、電源部40から制御部50への給電の開始により開始される。なお、制御部50は、上述した制御主体としての制御・充電基板18に搭載されるマイコン等の制御回路により構成される。
【0053】
図10に示す処理において、制御部50は、まず操作スイッチ15を介して運転開始を指示する運転開始操作入力(例えば、2秒以上の長押し等)を受け付けたか否かを判断し(S1)、運転開始操作入力を受け付けた場合は(S1:Yes)、水素水生成装置100の運転開始処理を実行し(S2)、運転開始操作入力を受け付けていない場合は(S1:No)、運転開始操作入力を受け付けるまでステップS1の判断を周期的に繰り返し実行する。
【0054】
運転開始処理(S2)は、主に、多孔電極板31〜33に対する給電開始と、ポンプ部20に対する給電開始である。多孔電極板31〜33への給電は、例えば、多孔電極板31,33が高電圧を給電される正極板の場合、多孔電極板32が低電圧を給電される負極板となり、多孔電極板31,33が低電圧を給電される負極板の場合、多孔電極板32が高電圧を給電される正極板となる。本実施形態では、前者を正電解モード、後者を逆電解モードと呼ぶことにする。本実施形態では、一定時間(モード持続時間)置きに正電解モードと逆電解モードとを切り替える構成となっている。ポンプ部20は、給電が開始されると、通水路13にポンプ圧力を加えて通水路13に水の流れを発生させる。
【0055】
次に、制御部50は、モード持続時間(例えば、29秒等)の経過を判断する(S3)。制御部50は、何れかのモードでの多孔電極板31〜33への連続給電時間を計時しており、この連続給電時間がモード持続時間を超えている場合は(S3:Yes)、電解モードを正負反転させ(S4)、連続給電時間がモード持続時間を超えていない場合は(S3:No)、ステップS4をスキップしてステップS5に進む。なお、モード切替の間には、短時間、多孔電極板31〜33への通電を停止する通電停止時間(例えば、1秒等)を設ける。
【0056】
このように、一定時間おきに電解モードの切り替えにより電解極性を反転することで、陰極となる多孔電極板の表面に付着する炭酸カルシウムスケールが溶解し、ポンプ部20が発生する水流によって排出される。これにより、多孔電極板31〜33の電解性能の維持と長寿命化を実現することができる。
【0057】
次に、制御部50は、自動運転時間の経過を判断する(S5)。制御部50は、ステップS2で運転を開始してから経過した運転継続時間を計時しており、この運転継続時間が自動運転時間を超えている場合は(S5:Yes)、運転を停止し(S6)、運転継続時間が自動運転時間を超えていない場合は(S5:No)、ステップS7の判断に進む。このように、水素水生成装置100は、運転開始後、一定時間(例えば、15分等)が経過すると運転を自動的に停止する構成となっている。
【0058】
ステップS7では、運転を停止させる運転停止操作(例えば、2秒以上の長押し等)が操作スイッチ15に対して行われたか否かを判断し、運転停止操作が行われた場合は(S7:Yes)、運転を停止し(S6)、運転停止操作が行われていない場合は(S7:No)、ステップS3〜の処理を繰り返し実行する。
【0059】
なお、運転中には、照明・動作確認LED16を点灯させる運転表示を行ってもよく、照明・動作確認LED16として複数色のLEDを設ける場合は、発光色を一定周期で切り替えて発光させてもよい。発光色の切り替えタイミングとしては、例えば、上述したモード切替のタイミングとすることができる。具体的には、正電解モードで照明・動作確認LED16を例えば赤色に点灯させた場合、通電停止期間の間は照明・動作確認LED16を消灯し、次に負電解モードに切り替わると同時に照明・動作確認LED16を青色に点灯させる、等が考えられる。また、操作スイッチ15に対して所定の操作入力(例えば、2秒未満の押圧操作等)を行った際に、点灯色を切り替える構成としてもよい。
【0060】
以上説明したように電解部30やポンプ部20、照明・動作確認LED16を制御することにより、多孔電極板31〜33への炭酸カルシウムスケールの付着を防止して高い電解性能を維持しつつ装置寿命を長寿命化することができる。しかも、照明・動作確認LED16の点灯により、運転状況を使用者に知らしめるとともに、容器内の装飾照明としての視覚的な興趣ある雰囲気を醸し出すこともできる。
【0061】
なお、本第1の実施形態において圧力室13bでは、多孔電極板31〜33の3枚の電極板や、多孔電極板31〜33−2の5枚の多孔電極板によりその幅広開口を閉塞することで各多孔電極板の間隙や圧力室13bの内部を加圧雰囲気下として水中への水素の溶存を高めることとしたが、例えば各多孔電極板よりも下流側、すなわち各多孔電極板の上方にて流路規制を行うことにより圧力室13bの内圧を高めるようにしても良い。
【0062】
具体的には、
図11の(a)に示すように電解部30の上部を覆う電解部カバー体30aを設けると共に、同電解部カバー体30aの天面部に複数の放出孔30bを形成し、その放出孔30bの幾つかについて開放・閉塞をコントロールする制御・充電基板18に電気的に接続された電磁弁30cを配設するようにしても良い。
【0063】
この場合、電磁弁30cを開放状態とした際には通水路13の流路規制は、
図9で示した場合と同様に多孔電極板の間隙にて行われ、所定の効率で水中に水素が溶解することとなるが、制御・充電基板18により電磁弁30cを閉塞制御した時には圧力室13bの内部、特に電解部30の下流側にあたる電解部カバー体30aの内方空間部分を濃淡にて示すように加圧雰囲気下とすることができ、水中への水素の溶解効率を更に向上させることができる。
【0064】
また、必ずしも電磁弁30c等の電気的手段による必要はなく、
図11(b)に示すように、電解部カバー体30aに穿設した放出孔30bと対向する位置にニードル30dを配設したニードルプレート30eを配置し、使用者が操作可能な位置に設けたニードル昇降ネジ30fを回動することにより、手動により放出孔30bに対してニードル30dを出入させて、流路規制を行うようにしても良い。
【0065】
このような構成によっても、ニードル30dを放出孔30bに進入させることで、圧力室13b内、特に電解部30の下流側にあたる電解部カバー体30aの内方空間部分を加圧雰囲気下とすることができ、水中への水素の溶解効率を更に向上させることができる。
【0066】
また、本第1実施形態において、ポンプ部20は一定の送水量で稼動するものとして説明したが、ポンプ部20の送水量を変更可能とし、通水路13(圧力室13b)における流速を調整可能としても良い。
【0067】
上述の例では、電解部30において狭隘な電極板間隙を流動する水は流速は大きく、例えば陰極板表面で生じた水素の気泡は、発生直後の未だ小さい状態で速やかに剥離し、水中へ効率的に溶解することとなる。
【0068】
ここでポンプ部20の送水量を低下させると、電極板間隙における水の流速は小さくなり、陰極板表面にて生じた水素の気泡は即座には剥離せず、時間経過と共に徐々に水素が蓄積され肥大化して水流から受ける抵抗力が陰極板表面に対する気泡の付着力より大きくなった時点で陰極板表面から剥離する。
【0069】
そして、浴槽中に放たれた大きめの水素気泡は、速やかに湯水表面に至り、浴室中に拡散する。
【0070】
この場合、微細な水素気泡ほど浴槽内の湯に水素を溶解する効率は期待できないものの、浴室に拡散した水素は入浴中の使用者の呼吸によって体内へ取り込まれ、より直接的な健康増進作用が期待できることとなる。
【0071】
すなわち、本第1実施形態に係る水素水生成装置をはじめ、本明細書に記載の水素水生成装置には、ポンプ部20とポンプ部20の送水量を制御する制御部(例えば制御・充電基板18)とによって構成される気泡径調節手段(気泡径調節部)を備えるようにしても良く、これにより高濃度の水素水による温浴での効果と、浴室中に拡散させた水素による効果との両者の健康増進効果を選択的に享受することが可能となる。
【0072】
(2)第2の実施形態:
本実施形態に係る水素水生成装置は、電解部の構成を除くと上述した第1の実施形態に係る水素水生成装置100と同様の構成であるため、電解部以外の構成については第1の実施形態と同じ符号を用いて説明する。
【0073】
図12は、本実施形態に係る水素水生成装置を説明する図である。
【0074】
電解部30は、複数の多孔電極板231〜233(多孔電極板232,233は図中に露見せず)を一定間隔を保持して配設されている。多孔電極板231〜233は、互いに接触しないよう一定間隔を保持した状態で通水路13内に固定されており、上述した配線及び導体棒34,35を介して多孔電極板231〜233に電源部40から給電される点は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0075】
一方、本実施形態に係る多孔電極板231〜233は、多孔電極板231〜233の気泡流通孔の間を区画する区画部が、ポンプ部20の発生する水流に向かう尖端となる角部を有する断面多角形状となっている。すなわち、多孔電極板231〜233は、区画部の両側の気泡流通孔に向かって角部を挟んでそれぞれ形成される各面が、ポンプ部20の発生する水流を各気泡流通孔に向かって受け流す方向に傾斜する傾斜面となる。この傾斜面に沿って流れる水流により、多孔電極板231〜233の表面で発生する気泡の離泡性が向上する。また、多孔電極板231〜233の気泡流通孔の間の面が、角部を挟んで不連続な別の面として構成されるため、一方の面で発生した泡が他方の面で発生した泡と合体しにくく、多孔電極板231〜233から離脱する気泡を、より微泡化したり、分子レベル水素、ナノバブルやマイクロバブル状態での水素溶存も期待できる。また、気泡流通孔の間の多孔電極板231〜233が水流に向かう角部を有することにより、多孔電極板231〜233の気泡流通孔を流通する水流がスムーズになり、ポンプ部20から最も遠い多孔電極板233の気泡流通孔を流通するまで水勢を維持できる。また、角部は表面張力が小さいため、水流が直接当たる多孔電極板231〜233の気泡流通孔の間の角部で発生する気泡の離泡性が向上する。このような、ポンプ部20の発生する水流に向かう角部を有する断面多角形状が、気泡流通孔の間の板面に形成された多孔電極板231〜233の一例として以下で説明するメタルラス板がある。
【0076】
図13は、メタルラス板で構成した多孔電極板231〜233の細部形状を説明する図である。本実施形態に係る多孔電極板231〜233は、金属薄板に切れ目を入れ、切れ目方向と略垂直方向に金属薄板を伸長して菱形網目状に形成したメタルラス板により構成されている。メタルラス板により構成された多孔電極板231〜233は、区画ワイヤWを交差状に配置した網状の部材であり、区画ワイヤWで囲まれた開口が水の流通する気泡流通孔231a〜233aとなる。気泡流通孔231a〜233aは菱形であり、第1対角線L1が第2対角線L2よりも長く、第1対角線L1上の頂部H1,H2の角度が、第2対角線L2上の頂部H3,H4の角度よりも小さくなっている。
【0077】
上述したように、メタルラス板は金属薄板に断続的に切れ目を入れて形成した破線状亀裂を複数本並設し、切れ目方向と略垂直方向に金属薄板を伸長して切れ目部分を菱形網目状に形成することで作成されるものであり、破線状亀裂の切れ目と切れ目の間の連結部Xは、隣接する破線状亀裂の切れ目の中ほどに位置している。
【0078】
切れ目を形成された金属薄板を破線状亀裂の並設方向に伸長すると、破断状亀裂の間の線状部分が線状部分の長さ方向を軸として回転するように捩れる。このため、メタルラス板の網目を構成する断面略方形状の区画ワイヤWは、その方形の面が、多孔電極板231〜233の面方向に対して傾斜した方形傾斜面を有する。本実施形態では、多孔電極板231〜233の面方向に対する傾斜角θを略45°としてあり、多孔電極板231〜233の板面に対して方形傾斜面が略同一傾斜となっている。
【0079】
このように形成された多孔電極板231〜233においては、
図14に示すように、気泡流通孔の間の区画ワイヤWが、ポンプ部20の発生する水流に向かう角部を有する断面多角形状であり、区画ワイヤWが水流に対して傾斜した方形傾斜面を有する。このため、多孔電極板231〜233の表面で発生する気泡の離泡性が向上する。また、区画ワイヤWのポンプ部20の発生する水流に向かう側は、角部を挟んで不連続な別の面として構成されるため、一方の面で発生した泡が他方の面で発生した泡と合体しにくく、多孔電極板231〜233から離脱する気泡をより微泡化したり、分子レベル水素、ナノバブルやマイクロバブル状態での水素溶存も期待できる。また、区画ワイヤWの角部先端が水流に向かって配向するため、多孔電極板231〜233の気泡流通孔を流通する水流の勢いが区画ワイヤWで阻害されにくく、ポンプ部20から最も遠い多孔電極板233の気泡流通孔を流通するまである程度の水勢を維持できる。また、区画ワイヤWの角部は表面張力が小さいため、その角部で発生する気泡の離泡性が向上する。なお、区画ワイヤWの角部先端は、電荷集中部としての機能も有している。この電荷集中部については、追って第4の実施形態の中で説明する。すなわち、多孔電極板としてメタルラス板を採用した場合においても、同多孔電極板における気泡流通孔の周縁には電荷集中部が形成されているものと解釈することもできる。
【0080】
(3)第3の実施形態:
本実施形態に係る水素水生成装置は、通水路の形状を除くと上述した第1の実施形態に係る水素水生成装置100と同様の構成であり、通水路以外の構成については第1の実施形態と同じ符号を用いて説明する。
図15は、本実施形態に係る水素水生成装置を説明する図である。
【0081】
本実施形態に係る通水路313は、流出口12付近に、流出口12に近づくほど徐々に拡幅する圧力室313bを有しており、電解部30を構成する複数の多孔電極板31〜33は、圧力室313bの幅広開口に近い通水路313において、通水路313の流路断面の略全体をそれぞれが閉塞するように配設されている点は上述した第1の実施形態と同様である。なお、第1の実施形態と同様に、圧力室313bの形状は、漏斗状拡幅形状に限るものではなく、電解部30に均等な水圧を加え、流出口12から容器内への水素水の拡散促進が可能であれば、様々な形状を採用可能である。
【0082】
この圧力室313bの側面を貫通して、ポンプ部20に連通する通水路の一部を構成する筒状水路313cが圧力室313bの中央付近まで延設されており、筒状水路313cの先端は、圧力室313bの縮径部313dに向けて開口している。すなわち、筒状水路313cを通って流入する水は、圧力室の縮径部313dに向けて吐水する。圧力室313bにおいて、縮径部313d側は閉塞されており、拡径部313e側は流出口12に向けて開口しているが、拡径部313eは電解部30が流路を閉塞するように配設されている。従って、筒状水路313cから吐出された水は、圧力室313bの縮径部313dに衝突して、圧力室313bの壁面に沿って拡径部313eに向けて流れる水流となり、筒状水路313cの開口の背面側で合流して拡径部313e付近では圧力室313bの水路断面全体で略均一な水流が形成される。これにより、拡径部313e付近に配設される電解部30の多孔電極板31〜33の全面に略同等の水圧を加える構成を実現することできる。
【0083】
更に、
図15に示す例では、拡径部313e付近における圧力室313bの水路断面全体の水流の均一性を向上するべく、整流フィン313f1〜313f4を設けてある。すなわち、圧力室313bの底面を区画するように整流フィン313f1〜313f4を立設してある。筒状水路313cから吐出された水流は、整流フィン313f1〜313f4によって区画割合に応じた配分の水流が各区画に流入するように分流され、分流された水流は区画毎に縮径部313dに衝突して圧力室313bの壁面に沿って多孔電解板31〜33に向けて立ち昇る水流となる、これにより、圧力室313bの水路断面全体で拡径部313e付近の水流の均一性が向上し、電解部30の多孔電極板31〜33に加わる水圧の均一性が向上する。
【0084】
なお、筒状水路313c先端は、縮径部313d以外の圧力室313bの他の側壁に開口を向ける構成としてもよく、例えば漏斗状を構成する傾斜面に向けて吐出させたり、新たな衝突用の壁面を立設してその壁面に向けて吐出させたりすることなども考えられる。すなわち、電解部30に直接向かわない方向であれば様々な方向に開口を向ける構成であっても、多孔電極板31〜33の全面に略同等の水圧を加える構成を実現することできる。
【0085】
このように、多孔電極板31〜33とは別方向に水を噴出する構成でも、通水路13の流出口12を閉塞する多孔電極板31〜33の板面に水流の圧力を加えて、多孔電極板31〜33の表面に電解で発生する水素や酸素の気泡を電解の瞬間に押しのけるように水流内に取り込むことが可能であり、水素水生成装置300の流出口12から流出する水が含む水素の気泡を微泡化したり、分子レベル水素、ナノバブルやマイクロバブル状態での水素溶存も期待できる。
【0086】
(4)第4の実施形態
次に、第4の実施形態に係る水素水生成装置について、
図16〜
図28を参照しながら説明する。
【0087】
図16(a)に示すように、本第4の実施形態に係る水素水生成装置400は、水素水生成装置100等と同様、浴槽内の底部に配置し、浴槽内に電解水素水を供給するための装置である。
【0088】
図16(b)に示すように、水素水生成装置400は、全体的に角部のない外観視オーバル形状の化粧筐体405の内部に、前述の通水路13や制御・充電基板18、ポンプ部20、電解部30、電源部40等を内蔵した水密状の水素水生成本体部410を収容して構成している。
【0089】
図17は、水素水生成装置400の構造を示した分解斜視図である。
図17からも分かるように、水素水生成装置400は、把持板401と、上化粧カバー402と、下化粧カバー403とよりなる化粧筐体405と、水素水生成の主体となる水素水生成本体部410とで構成している。
【0090】
把持板401と上化粧カバー402と下化粧カバー403との上下合体により構成される化粧筐体405は、浴槽での水素水生成に使用している以外では、水素水生成本体部410内の電源部40に充電する受け皿形状の充電台406上に載置されるように構成されている。
【0091】
充電台406は、上方開口箱型、すなわち、略方形状の充電台底板406aの周縁に周壁406bを立設して内部を受け皿状に構成しており、また、その一隅部には上部に載置する水素水生成本体部410内の電源部40に給電するための通電接続部406cが凸状に形成されている。
【0092】
符号406dは通電接続部406cに突設した通電端子を示し、通電端子406dは充電台406の内部に配設された変圧回路基板を介して通電ワイヤ410e(破線で示す)に接続されており、通電ワイヤ410eの終端にはコンセントに接続可能なプラグ(図示せず)が連接されている。
【0093】
また後に詳述するが、水素水生成装置400は浴槽内に浸漬した際に、化粧筐体405の内部であって水素水生成本体部410の外側となる隙間空間(以下、浸水空間という。)に湯水が浸入するよう形成されている。したがって、浴槽内から取出した直後の水素水生成装置400内には、一時的に若干の水が残存することとなるが、充電台406は、周壁406bを立ち上げた受け皿状に形成しているため、浴槽内からの取出し直後に充電台406に載置した場合であっても、水素水生成装置400内の残留水が周壁406b内に溜まることとなり、周囲を濡らしてしまうことがない。
【0094】
また、通電接続部406cや通電端子406dは、周壁406bよりも高い位置に形成している。したがって、充電台406内に水が多量に貯留された場合でも、水嵩が通電端子406dに到達する前に溢水することとなるため、通電端子406dが水没することを防止できる。
【0095】
このように構成された充電台406上に水素水生成装置400を載置することにより、水素水生成本体部410内の電源部40に給電され、この電力を使用して水素水生成装置400内で電気分解により水素を生成し、水素水生成装置400外の風呂浴槽内の浴水に水素を放出して浴水に水素を溶存させる。
【0096】
把持板401は、
図16及び
図17に示すように、平面視において楕円の長軸方向中央部を短軸方向へ狭窄させた形状を有する上方へ凸状にやや湾曲した中空板状の部材であり、水素水生成装置400の運搬時などにおいて、この狭窄状とした部分が把持部として機能するようにしている。
【0097】
また、この把持板401は、
図16(b)に示すように、上化粧カバー402上に配置された状態において、同上化粧カバー402との間に略半円弧状の切欠放出口401aが形成される。この切欠放出口401aは流出口12として機能する部位であり、水素水生成本体部410から吐出された電解水素水や気泡が放出される。
【0098】
また、把持板401の表面側頂部には複数条の空気穴401bが形成されており、浴槽への水素水生成装置400の沈下時に、中空状に形成された把持板401の内部に水をゆっくりと浸入させて、徐々に浮力を減じながら水素水生成装置400が水面下に沈降するよう構成している。
【0099】
また、把持板401の裏面側、すなわち、後述する水素水生成本体部410の電解部30と対向する部分には、同電解部30より放出された水流や気泡を前述した2つの切欠放出口401aへ分流するための分流部401cが形成されている。
【0100】
図19は、
図16(b)のB−Bの位置にて切断した水素水生成装置400の上半部を示す断面図である。
図19からも分かるように、把持板401の裏面は、下方へ突出した中央部から短軸方向両端へ向けて上方へ傾斜するスロープ状に形成しており、電解部30より吐出された電解水素水は気泡と共に中央部にて短軸方向両側へ分岐し、分流部401cを起点とするスロープに沿って把持板401の裏面を流れ、切欠放出口401aより水流による若干の指向性をもって放出される。
【0101】
上化粧カバー402は
図17に示すように、水素水生成本体部410の略上半部を収容する外観視略截頭楕円半球状で中空状の化粧カバーであり、その天面には水素水生成本体部410の電解部30を臨ませて露出させる矩形状の露出開口部402aと、同じく水素水生成本体部410に配設された照明・動作確認LED16や操作スイッチ15を露出させる複数の円孔402bが形成されている。
【0102】
下化粧カバー403は、水素水生成本体部410の下半部を収容する化粧カバーであり、上方解放の箱型に構成し、全体形状を略長方形とし、四隅部を湾曲して全体的に略長楕円形状に構成している。
【0103】
下化粧カバー403の底部には水素水生成本体部410の底部を露出させる矩形状の底部開口403aが設けられており、また、その周辺には水素水生成本体部410の底部に配設された流入口11を臨ませる取水開口403bや、同じく水素水生成本体部410の底部に配設された充電端子17を臨ませる受電開口403cが形成されている。
【0104】
また、下化粧カバー403の側壁下部や上化粧カバー402の天面周縁には、水素水生成装置400を浴槽内に沈降させたり、浴槽から引き上げたりした際に、化粧筐体405内の空気の流出入や湯水の流出入を行わせるためのスリット421が形成されている。
【0105】
前述のように本実施形態に係る水素水生成装置400は、浴槽内に浸漬した際に浸水空間(例えば、
図19において符号430で示す浸水空間。)に湯水が浸入するよう形成しており、把持板401の表面側頂部に形成した複数条の空気穴401bと同様、これらスリット421から浸水空間に湯水を浸入させ、浮力を減じて水素水生成装置400が水面下に沈降するよう構成している。
【0106】
またスリット421は、使用者が浴槽内で水素水生成装置400が底部に配置される前に水中で手を離した場合であっても、水素水生成装置400が急激に沈降して浴槽底部に衝突することがないよう、浸水空間に湯水が徐々に流入し、浸水空間からは徐々に空気が抜ける開口形状や面積で形成している。
【0107】
水素水生成本体部410は、前述の水素水生成装置100と略同様の構成を備えた水素水の生成主体として機能する略直方体形状の部材であり、
図17において外観的特徴について述べるならば、その上面略中央部には平面視略矩形状の電解部30が配設されると共に、同電解部30の長辺外側方には4つの照明・動作確認LED16及び操作スイッチ15が設けられている。
【0108】
照明・動作確認LED16は、前述した上化粧カバー402の円孔402bから露出して上方へ向けて所定の照射角で光を出射するのであるが、
図19に示すように、この照明・動作確認LED16は、同照明・動作確認LED16より出射される光が、切欠放出口401aより分流部401cのスロープに沿った方向へ指向させつつ放出される気泡や水流と交差する位置に配置している。
【0109】
したがって、照明・動作確認LED16から出射された光は、水素の気泡を含む水流により散乱された状態で使用者に視認されることとなり、使用者はその光の散乱状態を目視することで、水素の微細な気泡を含んだ水流の生成状態や広がりを確認することができる。
【0110】
また、気泡を含んだ水流によって散乱する光は浴槽中でゆらゆらと変化するため、浴室内において幻想的な雰囲気を演出することができ、使用者をリラックスさせ快適なバスタイムを提供することができる。すなわち、照明・動作確認LED16は、流出口から流出する水流と交差する方向へ光を出射する発光手段(発光部)として機能する。
【0111】
図17の説明に戻り、水素水生成本体部410の底部には、水素水生成本体部410内に供給される水をフィルター14により濾過して取水する流入口11と、水素水生成装置400を充電台406に載置した際に下化粧カバー403の受電開口403cを介して通電接続部406cと接触し受電するための充電端子17とが配置されている。
【0112】
また水素水生成本体部410の内部構成については、
図18に示すように、制御・充電基板18やポンプ部20、電源部40を備えた機能部422と、同機能部422を収容する上ケース410a及び下ケース410bと、電解部30とで構成されている。
【0113】
機能部422は、前述の水素水生成装置100と略同様であるため説明を簡略化するが、制御・充電基板18の制御に基づき、電源部40から電力を得てポンプ部20を駆動すると共に、電解部30へ所定の極性で電力を供給する。また、ポンプ部20を介して水を流通させる通水路13も備えている。
【0114】
下ケース410bは機能部の略下半部を収容するためのケースであり、平面視略矩形状で上部開口を有する箱状に形成されている。
【0115】
下ケース410bの上部には下方開放逆箱型の上ケース410aが機能部422を収容した状態で密封状に載置固定される。すなわち、下ケース410bと上ケース410aとは、周縁部に配置されるパッキン423を介して互いに密封合体される。
【0116】
従って、水素水生成装置400を風呂浴槽内に沈下させても浴水が下ケース410bと上ケース410aの内部に侵入しない。
【0117】
上ケース410aの天面略中央部には、電解部収容凹部424が形成されている。電解部収容凹部424内には、ポンプ部20から連通延出された通水路13の開口部425が上方に向けて開口しており、更には通水路13の開口部425上方には電解部30が収納される。このとき、電解部30の下方には通水路終端を形成する圧力室13bが形成される。
【0118】
また、上ケース410aの電解部収容凹部424の左右部には、機能部422上に上ケース410aを配置した際に、電解部30に通電するための充電基板18に立設した導体棒34,35が水密状に垂設されるよう構成している。この導体棒34,35はその周面部において電解部30に導通すると共に、下端部は機能部422に配設された制御・充電基板18に連設されて、導体棒34,35を介して電源部40から電解部30に給電可能に構成している。すなわち、電源部40に導通して、電源部40から電解部30に通電して電気分解可能に構成している。なお図中、符号34a及び符号35aは、後述する複数の多孔電極板を各導体棒34,35に対して接触又は非接触状態として交互に異なる極性とするための保持部材である。
【0119】
電解部30は一定の間隔を保持した多孔電極板31,32,33,33−1,33−2の5枚の上下積層により構成された積層電極体426を備えており、対向隣接する多孔電極板にはそれぞれ互い違いに高電位と低電位になるよう電圧を印加して対向する板面の間で浴水の電気分解を生起して板面近傍で水素と酸素とを生成する。
【0120】
具体的には、多孔電極板31,32,33,33−1,33−2の表面に電解により生成された水素や酸素の気泡はポンプ部20からの圧力水の水流により微細状態で水流に押し流され、微細状態の水素が溶解された溶存水素となる。
【0121】
特に本発明では、前述の如くポンプ部20からの水流の流速を調整することにより、水中で電気分解により徐々に大きくなる気泡が押し流されるまでの時間を調整し気泡径を調整することも可能である。
【0122】
このように気泡径を調整可能とした場合、気泡径を大きく形成すればそれだけ早く水中を脱して早く空気中に放出させることができ、逆に気泡径を小さく形成すればそれだけ長時間浴水中で水素の気泡状態を保持することができることになる。
【0123】
従って、ポンプ部20からの水流の流速を調整して水素気泡径を大小調整することにより水素水生成装置の利用目的に合致した水素水を得ることができる。
【0124】
付言すれば、気泡は電極板上に付着している状態において水流による抵抗を受け、その抵抗により生じる剥離力が電極板への付着力を上回った時に剥離されるのであるが、流速を変化させることにより、気泡が小さいうちに付着力を上回る剥離力を生じさせて細かな気泡を水中に遊離させたり、時間の経過と共に気泡が大きく成長し表面積が大きくなった時点で付着力を上回る剥離力を生じさせて大きめの気泡を水中に遊離させることができ、放出する水素ガスの気泡径を自在に調整することができる。
【0125】
また、水流の流速が早い場合には、水流が対向配置された電極板の間をジグザグ状態で流れる際に、陰極板の板面にて生成された水素気泡が、多孔の縁部分(エッジ部分)にて生起される水流のインジェクション機能によって剪断力を受けて微細化し、効率的に水中に溶存するという効果も得られる。
【0126】
また、積層電極体426の上方には、樹脂等の絶縁体にて形成された略矩形板状の電極カバー427を配設している。この電極カバー427は、
図16(b)に示す切欠放出口401aを介して使用者が誤って手足を挿入した場合など、直接電極に触れることがないよう保護する役割を有するものであり、また、積層電極体426にて生成した電解水素水や気泡の放出を阻害することのないよう、多孔電極板と同様に多数の孔427aが規則的に穿設されている。
【0127】
特に、この電極カバー427に形成された多数の孔427aは、対向する多孔電極板同士の穴の位置関係と同様に、最上部の多孔電極板31に対して互い違いとなる位置関係で配置されている。
【0128】
したがって、
図20(a)に示すように、電極カバー427が無い場合は、例えば導電性を有する小片428が積層電極体426上に落下した場合、それぞれ異なる極性を有した対向する2枚の多孔電極板に接触して短絡させるおそれがあるが、本実施形態に係る水素水生成装置400の如く電極カバー427を備えているならば、
図20(b)に示すように小片428が多孔電極板31に接触したとしても他方の電極カバー427は通電されておらずまた導電性も有しないため短絡することはなく、更に高い安全性を確保することができる。
【0129】
また、本実施形態に係る水素水生成装置400の積層電極体426における特徴として、
図20(b)の拡大図に示すように、各多孔電極板の気泡流通孔431の周縁には、尖鋭状の電荷集中部432が形成されている。なお、
図20(b)の拡大図において電荷集中部432は、構成の理解を容易とするために誇張して模式的に示しており、各多孔電極板の厚み等との関係においてその大きさや数は必ずしも正確ではない。
【0130】
本実施形態において各多孔電極板は、チタン製の基板433aの表面に白金メッキ層433bを形成してなるものであるが、このように形成した白金メッキ済みチタン基板にパンチング加工を施して穿孔することで気泡流通孔431を備えた多孔電極板を形成している。
【0131】
それゆえ、このパンチング加工の際に白金メッキ済みチタン基板を貫通するパンチにより、形成した気泡流通孔431の周縁にエッジ状の電荷集中部432が形成されることとなる。
【0132】
電荷集中部432は、水素水生成装置400の使用時に、使用者が視認可能な程度の気泡径を有する水素気泡を生成する役割を有している。
【0133】
本来、浴槽中の被電解水を電解して水素を含有する電解水素水を生成するのであれば、水素気泡は小径であるほど溶存効率が高まるため好ましい。
【0134】
しかしながら、ナノバブルの如き極めて小径の気泡ばかりが発生すると、水素水生成装置400の使用者は、実際に気泡が発生している状況を視認することはできず、電解水素水で入浴している実感を得難いという問題がある。
【0135】
そこで水素水生成装置400では、気泡流通孔431の周縁に尖鋭状の電荷集中部432を設け、同電荷集中部432に電荷を集中させて電解を部分的に促進することで、白濁状に視認されうる水素気泡を生成するようにしている。
【0136】
このような構成とすることで、水中への溶解性が比較的高いながらも、使用者により視認可能な水素気泡を多く生成することができ、水素生成の演出効果を発揮しつつ使用者に電解水素水で入浴している実感を持たせることができる。
【0137】
なお、電荷集中部432は、白金メッキ済みチタン基板をパンチング加工することで形成したが、尖鋭状の電荷集中部432を備えるのであれば、パンチング加工を施したチタン基板に白金メッキ処理したものを各多孔電極板としても良い。ただ、穿孔後にメッキ処理を行うと、尖鋭状に形成されたエッジ部分が鈍り、白濁状に視認されうる水素気泡の生成効率が落ちる場合があるので留意すべきである。
【0138】
また、本実施形態において電荷集中部432はパンチング加工により形成したが、必ずしもパンチング加工に限定されるものではなく、尖鋭状の電荷集中部432が形成されるのであれば、その形成方法は公知のあらゆる方法を適用可能である。
【0139】
従って、
図20(b)の拡大図では、各多孔電極板の孔部周縁の一側面のみに電荷集中部432を形成したが、孔部周縁の両側面に電荷集中部432を設けても良いのは勿論である。
【0140】
次に、本実施形態に係る水素水生成装置400の電気的構成について説明するが、ここではまず、構成の理解を容易とすべく、水素水生成装置400が有するいくつかの特徴的な機能について言及する。
【0141】
水素水生成装置400は、特筆すべき機能として、剥離困難気泡遊離機能、極性反転機能、短絡防止機能を有している。
【0142】
まず、剥離困難気泡遊離機能は、電極表面に発生する剥離困難な気泡を遊離させ、水流にのせて切欠放出口401aから放散させる機能である。
【0143】
前述したように、水素水生成装置400は、積層電極体426を構成する多孔電極板31、32、33、33−1、33−2の板面に向かう水流をポンプ部20により発生させることで、各多孔電極板表面に発生した水素気泡を効率的に剥離して浴槽中に放散させる。
【0144】
しかしながら、本発明者らが長年に亘り行ってきた鋭意研究において、電極板表面には、発生する大多数の剥離容易な水素気泡(以下、剥離容易気泡ともいう。)に混じり、電極表面からの剥離が困難な水素気泡が所定割合で発生しているということが新たに見出された。
【0145】
大多数の剥離容易気泡は、ポンプ部20によって発生する安定した水流によっても電極表面から容易に剥離し拡散するのであるが、この剥離困難気泡は、定流量の流水によっては容易に剥離しない。
【0146】
それゆえ、経時的に一定割合で発生する剥離困難気泡は、電解時間が経過するにつれ電極表面で徐々に多くの面積を占めるようになり、電解効率が低下する一因となっていた。
【0147】
そこで、本実施形態に係る水素水生成装置400では、制御部によりポンプ部20を制御して電解中に水流の流量を変動させることとし、剥離困難気泡に対して水流抵抗の変化を与えて剥離を促進することで剥離困難気泡遊離機能を実現している。
【0148】
より具体的には、電解中に、制御部によりポンプ部20を、水流を発生させる相対的に長時間の稼動状態と、水流を発生させない相対的に短時間の停止状態とに繰り返し切替制御して間欠動作させることとしている。
【0149】
このように、稼動状態と停止状態とよりなる剥離サイクルを制御部によりポンプ部で電解中に実行させることにより、停止状態の後に再度稼動状態となった際、これまで剥離が困難であった剥離困難気泡を電極表面から剥離させることができ、各多孔電極板表面における電解に有効な面積を確保して、電解効率の維持を図ることが可能となる。
【0150】
なお、剥離困難気泡の存在は、水素水生成装置400にとって必ずしも邪魔なばかりの存在ではなく、電極表面から剥離がなされた後は、極めて優れた効果を発揮するものでもある。
【0151】
遊離した剥離困難気泡は、電極表面から容易に剥離されなかった気泡、すなわち、電極表面で長時間に亘り付着していた気泡であるため、その気泡径は剥離容易気泡に比して大きい。
【0152】
従って、水中に遊離した後は比較的大きな浮力を得ることとなり、速やかに水面に達し、浴室の気相に拡散する。この拡散した水素は、使用者の呼吸により肺を介して体内に直接的に取り込まれることとなり、浴槽中に生成される水素水の効果に加え、より効率的なレドックス効果を期待することができる。
【0153】
また、剥離容易気泡はその多くが所謂ナノバブルであり、使用者による水素気泡の目視は困難であるが、剥離困難気泡は剥離容易気泡に比して気泡径が大きいため、使用者による目視確認が可能であり、水素の発生を視覚的に感じさせることで、水素によるレドックス効果を精神的な側面から更に助長することができる。
【0154】
すなわち、本実施形態に係る水素水生成装置400では、剥離困難気泡による大型気泡を意図的に集約して放出させるべく、剥離サイクルを繰り返し行って、ポンプ部20の再稼働を定期的又は不定期的に行う剥離困難気泡遊離手段(剥離困難気泡遊離部)を備えていると理解することもできる。
【0155】
剥離サイクルを構成するポンプ部20の稼動状態と停止状態との時間的な割合は、相対的に稼動状態が長く、停止状態が短ければ特に限定されるものではない。また、剥離サイクル1周期分の時間も特に限定されるものではない。
【0156】
構成の理解のために敢えて限定的な一例を述べるならば、剥離サイクル1周期分の時間は30秒〜120秒とすることができ、また、稼動状態と停止状態との時間配分は、57〜59.5:3〜0.5とすることができる。また、より限定的には、剥離サイクル1周期分の時間を30秒〜120秒、好ましくは45秒〜90秒としつつ、停止状態となる時間を0.5秒〜3秒とし、剥離サイクル1周期分の時間から停止状態となる時間を差し引いた残余時間を稼動時間とすることができる。
【0157】
極性反転機能は、被電解水中に溶存するカルシウム等のミネラル成分、特に水中で陽イオンの状態で存在する金属イオン類が電解中にスケールとして固着するのを防止するための機能である。
【0158】
特に、本実施形態に係る水素水生成装置400では、剥離サイクル所定周期毎に極性の反転を行うこととしている。
【0159】
従って、陰極として機能していた多孔電極板は陽極に、陽極として機能していた多孔電極板は陰極に、所定時間毎に切り替わるため、スケールの沈着が各多孔電極板毎に略均等となり、しかも、陽極に切り替えられた多孔電極板上では沈着したスケールが水中に再溶解してスケールの除去が行われるため、スケール付着による電解効率の低下を抑制することができる。
【0160】
短絡防止機能は、極性の反転に伴う電極間の短絡を防止して、電極の切替を行う回路等を保護するための機能である。
【0161】
前述の通り、積層電極体426は、一定間隔を保持して複数(5枚)の多孔電極板31、32、33、33−1、33−2を対向配置することで構成しており、各多孔電極板毎に交互に正負の電圧を印加することで電気分解を行うこととしている。
【0162】
ここで、これら各多孔電極板のうち正負に印加された対向する任意の一対の多孔電極板に着目すると、多孔電極板への電力の供給を停止した場合、多孔電極板間の電位差はその間に存在する水を介して導通することにより解消されると一見考えられるが、実際はそれぞれの多孔電極板間にはかなりの電位差が保持されたままの状態となることが本発明者らの研究により明らかとなっている。
【0163】
これは、電解を受けた水が多孔電極板間に存在すると容量を持つことが原因であり、この知見もまた本発明者らの更なる解析により新たに分かった事象である。
【0164】
このような状態で電極の切替が行われ、電力の供給が行われると、短絡した状態と実質的に同じ状態となってしまい、電極の切替を行う回路等にダメージを与えてしまうおそれがある。特に、FETなどの半導体素子によって切替の回路を実現している場合には、故障を誘発する可能性が高まるという問題がある。
【0165】
そこで、本実施形態に係る水素水生成装置400では、極性の切替に際し、まず各多孔電極板への電力の供給を停止し、更にポンプ部20により電解を受けていない新鮮な水を供給し、各多孔電極板間の水が新鮮な水に置き換わる0.3秒〜2秒程度の所定時間(以下、水流置換時間ともいう。)の経過後に極性の切替を行うこととしている。
【0166】
このような構成とすることにより、多孔電極板間の容量を低減し、また、多孔電極板間の電位差を無視可能な程度に解消することができ、極性切替時の実質的な短絡状態を防止又は許容可能な程度として、電極の切替を行う回路等へのダメージを抑制することができる。
【0167】
また、この極性の切替のタイミングは、回路保護の観点から、前述したポンプ部が再稼動した直後の剥離困難気泡の少ない状態であるのが望ましい。
【0168】
この点、水素水生成装置400では、剥離サイクル所定周期毎に極性の反転を行うこととしているため、剥離サイクル開始直後に極性を切り替えるタイミングをはかりやすく、堅実に回路の保護を行うことができる。なお、ポンプ部20の再稼働直後は流速が十分に安定していない場合もあるため、極性の切替に際し、各多孔電極板への電力の供給を停止に先立って、水流の流速が安定化するまで待機する0.3秒〜2秒程度の時間(以下、水流安定化時間ともいう。)を設けることとしても良い。
【0169】
次に、これら機能の説明を踏まえ、本実施形態に係る水素水生成装置400の電気的構成について
図21を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係る水素水生成装置400では、剥離サイクルを稼動状態時間58秒、停止状態時間2秒の60秒とし、剥離サイクル5周期毎に極性の切替を行い、水流安定化時間は0.5秒とし、水流置換時間は0.5秒とし、剥離サイクル15回となる約15分で自動的に電解を終了する構成として説明するが、これに限定されるものではない。
【0170】
図21は水素水生成装置400の電気的構成を示した説明図である。制御・充電基板18上に構築される制御部440は、その構成としてCPU441、ROM442、RAM443、EEPROM444、RTC446等を備えており、水素水生成装置400の稼動に必要なプログラムを実行可能としている。
【0171】
具体的には、ROM442はCPU441の処理において必要なプログラム等が格納されており、RAM443はそのプログラム等の実行に際し一時的な記憶領域として機能する。
【0172】
例えばROM442の所定領域には、処理を実現するためのプログラムの他、ポンプ部20を稼動状態に維持しておく時間である稼動状態時間の値(58秒)や、ポンプ部20を停止状態に維持しておく時間である停止状態時間の値(2秒)、水流安定化時間の値(0.5秒)、水流置換時間の値(0.5秒)、切替ギャップ時間の値(0.1秒)、通電再開待機時間の値(0.1秒)などが記憶されている。なお、本段落における括弧内の値は本実施形態における設定値であり、仕様等に応じて適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0173】
また例えばRAM443の所定領域には、極性を反転させるタイミングか否かを示す「極性反転フラグ」や、極性切替のために剥離サイクルの周期数をカウントする「極性切替用カウンタ」、電解終了のために剥離サイクルの周期数をカウントする「サイクル数カウンタ」、水素水生成装置400の稼働中に操作スイッチ15が長押しされて電解が中断されたときに参照される「中断フラグ」等が記憶される。
【0174】
また、EEPROM444は、電解が中断された際にいずれの導体棒が陽極であったかを記憶(本実施形態では、後述する2種の陽極信号のうちいずれの陽極信号を発出していたかについて記憶)したり、そのときのサイクル数を記憶する。EEPROM444は、電力の供給が遮断された後においても記憶を保持する無電源記憶部として機能するものであり、再起動時にCPU441により参照されて、中断した際の極性やサイクル数に応じて再起同時の極性が選択され、また実行される剥離サイクル数が変化する。
【0175】
符号446で示されるRTC(Real Time Clock)は、後述の割込処理を実行するための基準となるクロックパルスを発生させるためのものである。CPU441は、処理を実行している状態であっても、このRTC446から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて処理を中断させ割込処理を実行する。
【0176】
制御部440には、操作スイッチ15やLED16、ポンプ部20、電源部40、第1導体棒34、第2導体棒35が接続されており、制御部440におけるプログラムの実行状況に応じて参照されたり、制御駆動するよう構成している。
【0177】
例えば、制御部440は、ポンプ部20に対し、ポンプ部稼動信号を送信する。ポンプ部20は、このポンプ部稼動信号の状態に応じて動作するよう構成しており、ポンプ部稼動信号が送信されている状態(ON状態)の時は、ポンプ部20は稼動し、送信されていない状態(OFF状態)の時は、ポンプ部20は停止する。
【0178】
また、制御部440には、極性切替回路445が備えられている。この極性切替回路445は、CPU441が発出する第1導体棒陽極信号や第2導体棒陽極信号、電圧印加信号を受信して、電源部40からの電力を第1導体棒34及び第2導体棒35に供給したり、第1導体棒34及び第2導体棒35の正負の極性切替を行う。具体的には、第1導体棒陽極信号を受信した極性切替回路445は、第1導体棒34を陽極とし第2導体棒35が陰極となるよう電圧を印加し、第2導体棒陽極信号を受信した際は、第1導体棒34を陰極とし第2導体棒35が陽極となるよう電圧を印加する。また、電圧印加信号を受信した極性切替回路445は、受信している陽極信号に応じて各導体棒への電力の供給を行う。
【0179】
次に、制御部440において実行される処理について、
図22〜
図26を参照しつつ説明する。
図22は制御部440のCPU441にて実行されるメイン処理を示したフローであり、
図23〜
図26は各サブルーチンでの処理を示したフローである。
【0180】
図22に示すように、メイン処理においてCPU441はまず、操作スイッチ15がON動作(押下動作)がされたか否かについて判断を行う(ステップS11)。ここで、操作スイッチ15がON動作されていないと判断した場合(ステップS11:No)には、CPU441は処理を再びステップS11へ戻す。一方、操作スイッチ15がON動作されたと判断した場合(ステップS11:Yes)には、CPU441は処理をステップS12へ移す。
【0181】
ステップS12においてCPU441は、起動時処理を実行する。本起動時処理においてCPU441は、EEPROM444を参照し、前回の終了時に送信していた陽極信号の種類、及び電極切替用カウンタ値の読み込みを行う。ここでは、前回の終了は中断によるものではなく、また、第2導体棒陽極信号が送信されていた状態で終了したものと仮定し、本起動時処理においてCPU441は、第1導体棒陽極信号を送出することを決定する。また、本起動時処理では、RAM443の各種カウンタやフラグの値のリセットを行う。なお、CPU441がEEPROM444を参照した際に中断フラグがON状態である旨記憶されていた場合には、CPU441は、本起動時処理において、EEPROM444から読み込んだ電極切替用カウンタ値をRAM443上の所定アドレスに書き込みを行い、読み込んだ種類の陽極信号を送出することを決定する。
【0182】
次にCPU441はステップS13において、初回時ポンプ駆動処理を行う。この初回時ポンプ駆動処理は、電解開始に先んじて(例えば、次に述べる通電開始処理の1〜3秒前に前もって)多孔電極板間に水流を形成するための処理であり、ポンプ部稼動信号を送信してポンプ部20を稼動状態とする。
【0183】
次にCPU441はステップS14において、通電開始処理を実行する。通電開始処理においてCPU441は、ステップS12の起動時処理において決定した種類の陽極信号と、電圧印加信号とを極性切替回路445へ送信することで第1導体棒34及び第2導体棒35間、すなわち、各多孔電極板間に所定の極性で電圧を印加する。
【0184】
次にCPU441は、ポンプ駆動処理を実行すると共に、計時を開始する(ステップS15)。本ポンプ駆動処理においてCPU441は、ポンプ部20に対してポンプ部稼動信号を送信し、ポンプ部20を稼動状態とする。ステップS13において既にポンプ部稼動信号を送出している場合には、そのままポンプ部稼動信号の送出を継続する。
【0185】
次いでCPU441はステップS16においてRAM443の所定アドレスを参照し、極性反転フラグがONであるか否かについて判断を行う。ここで極性反転フラグがONではないと判断した場合(S16:No)には、CPU441は処理をステップS19へ移す。一方、極性反転フラグがONであると判断した場合(S16:Yes)には、CPU441は処理をステップS17へ移す。
【0186】
ステップS17においてCPU441は、極性反転処理を行う。この極性反転処理は第1導体棒34及び第2導体棒35に印加する電圧の極性を切り替える処理であり、後に
図25を参照しつつ説明する。
【0187】
次いでCPU441は、RAM443の所定アドレスに記憶されている極性反転フラグの値をOFFとし(ステップS18)、処理をステップS19へ移す。
【0188】
ステップS19においてCPU441は、ステップS15にて計時を開始したタイマを参照し、稼動状態時間(本実施形態では58秒)が経過したか否かについて判断を行う。ここで稼動状態時間が経過していないと判断した場合(ステップS19:No)には、CPU441は処理をステップS19へ戻す。一方、稼動状態時間が経過したと判断した場合(ステップS19:Yes)には、CPU441は処理をステップS20へ移す。
【0189】
ステップS20においてCPU441は、RAM443の所定アドレスに記憶させた電極切替用カウンタに1を加算すると共に、サイクル数カウンタに1を加算する。
【0190】
次にCPU441は、RAM443の所定アドレスを参照し、サイクル数カウンタの値が15であるか否かについて判断を行う(ステップS21)。ここでサイクル数カウンタの値が15であると判断した場合(ステップS21:Yes)には、CPU441は終了処理(ステップS22)を実行し、一連のプログラムの実行を終える(又は、メイン処理のスタートに戻る。)。一方、サイクル数カウンタの値が15ではないと判断した場合(ステップS21:No)には、CPU441はポンプ停止処理(ステップS23)を実行し、処理を再びステップS15へ戻す。なお、ステップS22の終了処理、及びステップS23のポンプ停止処理については、後に
図24及び
図26を参照しつつ説明する。
【0191】
次に、
図23を参照しつつ割込処理について説明する。CPU441は、処理を実行している状態であっても処理を中断させ割込処理を実行する場合がある。RTC446から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて、以下の割込処理を実行する。
【0192】
割込処理においてCPU441は、操作スイッチ15が長押し状態であるか否かについて判断を行う(ステップS31)。ここで操作スイッチ15が長押し状態ではないと判断した場合(ステップS31:No)には、CPU441は処理を分岐前のアドレスに戻す。一方、操作スイッチ15が長押し状態であると判断した場合(ステップS31:Yes)には、CPU441は処理をステップ32へ移す。
【0193】
ステップS32においてCPU441は、RAM443の所定アドレスを参照し、中断フラグの値をONとする書き込みを行う。
【0194】
次いでCPU441は、ステップS33において終了処理(後述)を実行し、再度RAM443の所定アドレスを参照して中断フラグの値をOFFとする書き込みを行い、一連のプログラムの実行を終える(又は、メイン処理のスタートに戻る。)。
【0195】
次に、
図24を参照しつつ、メイン処理のステップS23において実行されるポンプ停止処理について説明する。
【0196】
ポンプ停止処理においてCPU441は、ポンプ部20に対するポンプ部稼動信号の送出を停止することで、ポンプ部20の停止を行う(ステップS41)。
【0197】
次いでCPU441は、ポンプ部稼動信号の送出停止から停止状態時間(本実施形態では2秒)が経過したか否かについて判断を行う(ステップS42)。ここで停止状態時間が経過していないと判断した場合(ステップS42:No)には、CPU441は処理を再びステップS42へ戻す。一方、停止状態時間が経過したと判断した場合(ステップS42:Yes)には、CPU441はRAM443の所定アドレスを参照し、電極切替用カウンタの値が5であるか否かの判断を行う(ステップS43)。
【0198】
ここで電極切替用カウンタの値が5であると判断した場合(ステップS43:Yes)には、RAM443の所定アドレスを参照し、極性反転フラグの値をONにすると共に、極性切替カウンタの値をリセットし(ステップS44)、処理を分岐前のアドレスに戻す。一方、ステップS43において電極切替用カウンタの値が5でないと判断した場合(ステップS43:No)には、CPU441は処理を分岐前のアドレスに戻す。
【0199】
次に、
図25を参照しつつ、メイン処理のステップS17において実行される極性反転処理について説明する。
【0200】
極性反転処理においてCPU441は、ステップS15にて計時を開始した時点から水流安定化時間(本実施形態では0.5秒)が経過したか否かについて判断を行う(ステップS51)。ここで水流安定化時間が経過していないと判断した場合(ステップS51:No)には、CPU441は処理をステップS51へ戻す。一方、水流安定化時間が経過したと判断した場合(ステップS51:Yes)には、CPU441は処理をステップS52へ移す。
【0201】
ステップS52においてCPU441は、極性切替回路445に対する電圧印加信号の送出を停止し、通電の停止処理を行う(ステップS52)。
【0202】
次いでCPU441は、計時開始から水流安定化時間と水流置換時間(本実施形態では0.5秒)の和の時間(本実施形態では1秒)が経過したか否かについて判断を行う。ここで上記和の時間が経過していないと判断した場合(ステップS53:No)には、CPU441は処理をステップS53へ戻す。一方、和の時間が経過したと判断した場合(ステップS53:Yes)には、CPU441は送出していた陽極信号を停止する(ステップS54)。
【0203】
次にCPU441は、計時開始から水流安定化時間と水流置換時間と切替ギャップ時間(本実施形態では0.1秒)の和の時間が経過したか否かについて判断を行う(ステップS55)。ここで上記和の時間が経過していないと判断した場合(ステップS55:No)には、CPU441は処理を再びステップS55へ移す。一方、和の時間が経過したと判断した場合(ステップS55:Yes)には、CPU441は先に送出していた陽極信号とは別の種類の陽極信号、すなわち、先に送出していた陽極信号が第1導体棒陽極信号であれば第2導体棒陽極信号、先に送出していた陽極信号が第2導体棒陽極信号であれば第1導体棒陽極信号の送出を開始し(ステップS56)、処理をステップS57へ移す。
【0204】
ステップS57においてCPU441は、計時開始から水流安定化時間と水流置換時間と切替ギャップ時間と通電再開待機時間(本実施形態では0.1秒)との和の時間が経過したか否かについて判断を行う。ここで上記和の時間が経過していないと判断した場合(ステップS57:No)には、CPU441は処理を再びステップS57へ戻す。一方、和の時間が経過したと判断した場合(ステップS57:Yes)には、CPU441は処理をステップS58へ移す。
【0205】
ステップS58においてCPU441は、極性切替回路445に対し、電圧印加信号を送出することで、通電の開始処理を行い、処理を分岐前のアドレスへ戻す。
【0206】
次に、メイン処理のステップS22や、割込処理のステップS33にて実行される終了処理について
図26を参照しつつ説明する。
【0207】
終了処理においてCPU441は、RAM443の所定アドレスを参照し、中断フラグの値がONであるか否かについて判断を行う(ステップS61)。ここで中断フラグがONであると判断した場合(ステップS61:Yes)には、CPU441は極性切替回路445に対して送出していた電圧印加信号を止め、通電を停止する処理(ステップS62)を行った後、ステップS66へ処理を移す。一方、中断フラグがONではないと判断した場合(ステップS61:No)には、CPU441は、処理をステップS63へ移す。
【0208】
ステップS63においてCPU441は、停止時間の0.1秒前、すなわち、本実施形態では計時を開始してから59.9秒の時点か否かについて判断を行う。ここで停止時間の0.1秒前ではないと判断した場合(ステップS63:No)には、CPU441は処理を再びステップS63へ戻す。一方、停止時間の0.1秒前であると判断した場合(ステップS63:Yes)には、CPU441は処理をステップS64へ移す。
【0209】
ステップS64においてCPU441は、極性切替回路445に対して送出していた電圧印加信号を止め、通電を停止する処理を行う。
【0210】
次にCPU441は、停止時間であるか否かについて判断を行う(ステップS65)。ここで停止時間ではないと判断した場合(ステップS65:No)には、CPU441は処理を再びステップS65へ戻す。一方、停止時間であると判断した場合(ステップS65:Yes)には、CPU441は、処理をステップS66へ移す。
【0211】
ステップS66においてCPU441は、極性切替回路445に対して送出していた陽極信号と、ポンプ部20に対して送出していたポンプ部稼動信号とを停止しする。
【0212】
次いでCPU441は、EEPROM444の所定アドレスに発信していた陽極信号の種類や、電極切替カウンタの値、中断フラグの値等の書き込みを行い(ステップS67)、処理を分岐前のアドレスへ戻す。
【0213】
次に、上述してきた構成を備える水素水生成装置400の動作について、
図27及び
図28を参照しながら説明する。
図27は水素水生成装置400の操作スイッチ15及び制御部440(CPU441)より発信される各種信号の状態を示したタイミングチャートであり、
図28は
図27にて示した一部時間を拡大して示したタイミングチャートである。
【0214】
図27に示すように、水素水生成装置400は、使用者の操作スイッチ15の押下動作を契機に、約15分間(約900秒間)に亘り各種処理を実行しつつ、被電解水を電解して水素の生成を行う。
【0215】
また、水素水生成装置400は、ポンプ部稼動信号の稼動状態時間(ON時間)と停止状態時間(OFF時間)とよりなる剥離サイクルの1周期分を基準として擬似的な動作クロック信号とみなし、各種処理を実行するようにしている。例えば、各多孔電極板(各導体棒)の極性の切替は剥離サイクル5周期毎、すなわち約5分毎に実行し、電解処理は剥離サイクル15周期分、すなわち約15分で自動的に終了する構成としている。
【0216】
次に、主なイベント毎に各種信号等を参照しながら水素水生成装置400の動作について説明する。
【0217】
図28の左拡大図は水素水生成装置400の起動時におけるタイミングチャートであり、中拡大図はポンプ部20を停止状態とする際のタイミングチャートであり、右拡大図は極性切替動作時におけるタイミングチャートを示している。
【0218】
図28の左拡大図からわかるように、使用者により操作スイッチ15が押下されると、制御部440は初回時ポンプ駆動処理(ステップS13)を実行することで、電解に約2秒先立って水流の生成を開始する。
【0219】
次いで制御部440は、起動時処理(ステップS12)にて発信を決定した陽極信号、ここでは第1導体棒陽極信号を通電開始処理(ステップS14)の実行により電圧印加信号と共に発出し、第1導体棒34を陽極とし第2導体棒35を陰極とする各多孔電極板への電力の供給を開始する。また、ステップS15による計時が開始される。
【0220】
次に制御部440は、
図28の中拡大図に示すように、計時を開始してから稼動状態時間(58秒)が経過したと判断すると(ステップS19:Yes)、ポンプ停止処理(ステップS41)を実行してポンプ部稼動信号の発信を停止し、ポンプ部20の稼動を停止させる。
【0221】
この停止状態が約2秒間継続したのち、制御部440はポンプ駆動処理(ステップS15)を実行することにより、再びポンプ部20を稼動状態とする。
【0222】
ここで、図中黒矢印で示すポンプ部20の再稼働のタイミングで、剥離困難気泡の多孔電極板表面からの剥離が行われることとなる。すなわち、制御部440は、上述の如く稼働中のポンプ部20の停止及び再稼働の処理を実行することにより、多孔電極板に付着生成した剥離困難気泡を遊離させるための剥離困難気泡遊離手段(剥離困難気泡遊離部)として機能することとなる。
【0223】
次に、
図27で示す約300秒付近について
図28の右拡大図を参照すると、ステップS15にて計時を開始してから稼動状態時間(58秒:ここでは、剥離サイクル4周期分である240秒+58秒=298秒)が経過したと判断すると(ステップS19:Yes)、ポンプ停止処理(ステップS41)を実行してポンプ部稼動信号の発信を停止し、ポンプ部20の稼動を停止させる。
【0224】
ここでRAM443に記憶されている電極切替用カウンタの値は、ステップS20の実行により”5”になっているため、ポンプ停止処理において極性反転フラグがONとなり(ステップS44)、6周期目の剥離サイクルに入り、ステップS15によりポンプ部20が稼動状態となった後に極性反転処理(ステップS17)が行われる。すなわち、極性反転処理は、ポンプ部20の稼働中に行うよう構成している。
【0225】
従って、多孔電極板間に存在する既に電解された水が容量を持つことに由来する極性切替時の多孔電極板間の一時的な短絡状態を回避することができ、多孔電極板への給電や切替等を行う電気回路の保全を行うことができる。
【0226】
また、極性の反転処理は、ポンプ部20の再稼働後、水流安定化時間(0.5秒)及び水流置換時間(0.5秒)の分だけ待機してから実行するよう構成しているため、短絡状態をより堅実に回避することができる。
【0227】
(5)第4の実施形態の変形例
次に、上述してきた第4の実施形態に係る水素水生成装置400の変形例について、
図29及び
図30を参照しながら説明する。
【0228】
本変形例に係る水素水生成装置は、水素水生成装置400と略同様の構成を備えるものであるが、水素水生成装置400に比して、圧力室13b内(電解部収容凹部424内)や積層電極体426を構成する多孔電極板31〜33−2間における水の流れを改善するための構成備える点で異なっている。
【0229】
具体的には、本変形例に係る水素水生成装置に特徴的な点として、上ケース410aの電解部収容凹部424の底面に水流規制板を立設している点や、開口部425に対向する多孔電極板(本実施形態では多孔電極板33−2)に無孔領域を形成している点、多孔電極板に穿設された気泡流通孔の一部に閉塞片を配置した点が挙げられる。
【0230】
図29は、本変形例に係る水素水生成装置の水素水生成本体部410に関し、電解部30を分解した状態を示した斜視図である。なお説明の便宜上、電極カバー427等の一部構成については図示を省略している。
【0231】
図29の下図に示すように、上ケース410aに形成された平面視略矩形状の電解部収容凹部424の底面510には、L形水流規制板511と、第2水流規制板512と、第3水流規制板513と、第4水流規制板514とが立設されている。
【0232】
図30(a)に示すように、電解部収容凹部424の底面510には、略矩形状の電解部収容凹部424の長手方向を二等分する補助線x1と、同じく短手方向を二等分する補助線y1とで区画される左上領域の略中央位置、すなわち底面510上で長手方向及び短手方向に偏倚した位置に開口部425が形成されている。なお、以下の説明において、矩形状の電解部収容凹部424を構成する一対の長手壁のうち、開口部425に近い長手壁を近位長手壁530n、遠い長手壁を遠位長手壁530fと称し、同じく一対の短手壁のうち、開口部425に近い短手壁を近位短手壁531n、遠い短手壁を遠位短手壁531fと称する。
【0233】
L形水流規制板511は、長さP1に亘り補助線y1上に伸延するよう配置した第1水流規制板515と、同第1水流規制板515の端部からL字状に延設した第5水流規制板516とで構成している。
【0234】
第1水流規制板515は、開口部425の近傍の水流を規制しつつ流れを整えるための部材であり、開口部425を横断する短手方向への補助線x2と交差する位置、例えば第1水流規制板515の伸延方向中点が補助線x2上又はその近傍に位置するよう立設している。また、長さP1は、電解部収容凹部424の長手方向の長さPに対し、P/3<P1≦P/4.5となるよう、より好ましくは略P/4となるよう構成している。
【0235】
第5水流規制板516は、第1水流規制板515の両端部のうち遠位短手壁531f側の端部から遠位長手壁530fへ向けてL字状に延設された水流規制板であり、開口部425より吐出され近位短手壁531nから遠位長手壁530fに沿った流れを規制する役割を有する。なお、本実施形態において第5水流規制板516は、一端を第1水流規制板515に、他端を遠位長手壁530fに接続するよう構成しているが、第1水流規制板515との間や遠位長手壁530fとの間に多少の隙間が設けられていても良い。すなわち、第1水流規制板515と、第5水流規制板516と、遠位長手壁530fと近位短手壁531nとで囲まれる領域内(以下、第3渦形成領域という。)に、後述する渦の形成が可能な程度であれば、上記隙間が形成されていても良い。
【0236】
第2水流規制板512は、電解部収容凹部424の短手方向の長さMを略四分する各補助線y2、補助線y1、補助線y3のうち、近位長手壁530nに最も近い補助線y2上に、長さP2に亘り伸延するよう配置した水流規制板である。長さP2は、電解部収容凹部424の長手方向の長さPに対し、P/3<P2≦P/4.5となるよう、より好ましくは略P/4となるよう構成している。
【0237】
第3水流規制板513は、第2水流規制板512と同様、遠位長手壁530fに最も近い補助線y3上に、長さP3に亘り伸延するよう配置した水流規制板である。長さP3は、電解部収容凹部424の長手方向の長さPに対し、P/3<P3≦P/4.5となるよう、より好ましくは略P/4となるよう構成している。
【0238】
これら第2水流規制板512及び第3水流規制板513は、いずれも電解部収容凹部424の略中央部の水流を整えるための部材であり、補助線x1と交差する位置、例えば第2水流規制板512や第3水流規制板513の伸延方向中点が補助線x1上又はその近傍に位置するよう配置されている。
【0239】
第4水流規制板514は、開口部425から遠い位置の水流を規制しつつ流れを整えるための水流規制板であり、長さP4に亘り補助線y1上に伸延するよう配置されている。長さP4は、電解部収容凹部424の長手方向の長さPに対し、P/3<P4≦P/4.5となるよう、より好ましくは略P/4となるよう構成している。
【0240】
また、第4水流規制板514は、電解部収容凹部424の長手方向の長さPを四分した際に遠位短手壁531fに最も近い補助線x3と交差する位置、例えば第4水流規制板514の伸延方向中点が補助線x3上又はその近傍に位置するよう配置している。
【0241】
また、第1水流規制板515と、第2水流規制板512と、第3水流規制板513と、第4水流規制板514とは、それぞれ長手方向に所定の間隔を開けて配置している。
【0242】
具体的には、第1水流規制板515は、近位短手壁531nとの間に間隔d1を開けて配置すると共に、第2水流規制板512は、第1水流規制板515との間に間隔d2aを開けて配置し、第3水流規制板513は、第1水流規制板515との間に感覚d2bを開けて配置し、第4水流規制板514は、第2水流規制板512及び第3水流規制板513との間にそれぞれ間隔d3a及び間隔d3bを開け、遠位短手壁531fとの間に間隔d4を開けて配置している。
【0243】
これらの間隔d1〜d4は、長さP1〜P4よりも短い長さであれば特に限定されるものではない。なお、前述した電解部収容凹部424の長手方向の長さPは、P=d1+P1+d2a+P2+d3a+P4+d4(P=d1+P1+d2b+P3+d3b+P4+d4)が成り立つ。
【0244】
また、底面510上に立設される第1水流規制板515、第2水流規制板512、第3水流規制板513、第4水流規制板514、第5水流規制板516の高さは、後述する渦を形成可能であれば特に限定されるものではないが、積層電極体426の最下層を構成する多孔電極板(本実施形態では多孔電極板33−2)と底面510との間の距離、すなわち圧力室13bの高さの0.5倍〜1倍とすることができる。
【0245】
一方、
図29に示すように、積層電極体426を構成する多孔電極板31〜33−2のうち、最下層の多孔電極板33−2には、開口部425と対向する位置に、気泡流通孔431が形成されていない無孔領域517(図中、破線で示す)を形成している。
【0246】
特に本変形例では、白金メッキ済みチタン基板に対し千鳥パンチング加工、より具体的には45°千鳥又は60°千鳥でパンチング加工を施すことにより規則的に気泡流通孔431が形成されているところ、開口部425と対向する気泡流通孔431に、同気泡流通孔431を閉塞する閉塞片518を装着することで無孔領域517を形成している。なお、この無孔領域517は、形成されている気泡流通孔431を閉塞することで形成する場合に限られず、開口部425と対向する位置に気泡流通孔431を穿設しないことで無孔領域517を形成しても良い。
【0247】
また、本変形例における多孔電極板32と多孔電極板33−1には、千鳥状に規則的に穿設された気泡流通孔431のうち一部の気泡流通孔431に、同気泡流通孔431を閉塞する閉塞片518を装着して配置している。
【0248】
このように、本変形例に係る水素水生成装置は、簡潔に述べるならば以下の(1)や(2)の特徴を有していることとなる。
(1)最下層の多孔電極板において開口部425と対向する位置に無孔領域517を形成した点
(2)平面視略矩形状の電解部収容凹部424の底面510における長手方向及び短手方向に偏倚した位置に開口部425を形成し、前記底面510と電解部収容凹部424に装着された電解部30との間に形成される下部空間(圧力室)に、底面510より立設した前記長手方向に同長手方向の略1/3〜1/4.5の長さで伸延する第1〜第4の水流規制板を備え、第1水流規制板515は前記開口部425を横断する短手方向略中央部に配置され、第2水流規制板512及び第3水流規制板513は四分した短手方向の略1/4及び略3/4の位置に配置され、第4水流規制板514は短手方向略中央部に配置されており、しかも、第1水流規制板515の端部又は端部近傍からは、開口部425から遠い長手壁である遠位長手壁530f又はその近傍に至るまで第5水流規制板516が略L字状に立設されている点
【0249】
そして、本変形例に係る水素水生成装置では、(1)の構成を備えたことで、多孔電極板33−1と多孔電極板33−2との間に形成された空間における水平方向(空間の広がり方向)への水流の速度ベクトルを大凡均一化することができる。
【0250】
すなわち、無孔領域517を設けず、多孔電極板33−2上の開口部425と対向する位置に気泡流通孔431が穿設されている場合、開口部425から圧力室13bへ吐出された水流が、そのまま気泡流通孔431を介して多孔電極板33−1と多孔電極板33−2との間に形成された空間へ入り、多孔電極板33−1と衝突して水平方向へ広がることとなるため、流れに偏りができてしまう。
【0251】
一方、本変形例の如く無孔領域517を設けることにより、開口部425からの吐水が直接的に多孔電極板33−1と多孔電極板33−2との間に形成された空間に流入することを防ぐと共に、圧力室13b内でこの流れを一旦緩衝させることができ、多孔電極板33−1と多孔電極板33−2との間に形成された空間での流れの偏りを抑制し、同空間における水流の速度ベクトルを大凡均一化することができる。
【0252】
また、本変形例に係る水素水生成装置では、(2)の構成を備えたことで、圧力室13bにおいて渦を積極的に形成することができ、積層電極体426へ向かう水流の均一化を図ることができる。
【0253】
ここで渦の形成について
図30(b)を参照しつつ説明すると、まず、開口部425からの吐水のうち水流F3は、第1水流規制板515により分流され、開口部425から遠位短手壁531f方向へ向かう水流F1と、近位短手壁531n方向へ向かう水流F2とに分流する。
【0254】
水流F1は、第2水流規制板512及び第3水流規制板513により分流され、近位長手壁530nと第2水流規制板512との間を流れる水流F1aや、第2水流規制板512と第3水流規制板513との間を流れる水流F1bや、第3水流規制板513と遠位長手壁530fとの間を流れる水流F1cにそれぞれ分流される。
【0255】
また、水流F1bは、第4水流規制板514により、第4水流規制板514及び近位長手壁530nの間の領域(以下、第1渦形成領域という。)に向かう水流F1b1と、第4水流規制板514及び遠位長手壁530fの間の領域(以下、第2渦形成領域という。)に向かう水流F1b2とに更に分流される。
【0256】
そして、第1渦形成領域では、水流F1aと水流F1b1とが合流・衝突し、乱雑な流れを形成することにより渦が形成されることとなる。
【0257】
また、第2渦形成領域では、水流F1b2と水流F1cとが合流・衝突することで乱雑な流れが形成され、ここにも渦が形成されることとなる。なお、
図30(b)において示した渦は、渦が形成されることを単に模式的に示したものであり、その大きさや数、形状、巻き方向は必ずしも正確ではない。
【0258】
また、水流F2は、近位短手壁531nに突き当たると、同近位短手壁531nに沿って遠位長手壁530fへ向かって流れ、次いで、遠位長手壁530fに沿って流れ始める。
【0259】
この遠位長手壁530fに沿って遠位短手壁531f側へ流れ始めた水流F2は、第5水流規制板516に衝突する。すなわち、遠位長手壁530fに沿った水流F2は第5水流規制板516により分断され、第5水流規制板516に沿う方向へ向きを変え、更に第1水流規制板515に沿った水流となり、第3渦形成領域において新たに流入する水流F2と相俟って複雑な流れを形成し渦を形成することとなる。
【0260】
このように、本変形例に係る水素水生成装置では、各水流規制板が整流手段(整流部)や区画手段(区画部)、分流手段(分流部)、渦形成手段(渦形成部)として機能することにより、圧力室13bにおいて各水流規制板の存在により複数の渦が積極的に形成され、積層電極体426へ向かう水流の均一化が図られる。
【0261】
そして、上述の構成を備える水素水生成装置によれば、長手方向及び短手方向に偏倚した底面510上の位置に開口部425を設けた場合であっても、電解部30の上部から略均一に水素気泡を含む水流を放出させることができる。
【0262】
また、使用者により視認可能な水素気泡を含む水流が放出される場合にあっては、このような構成を備えることにより、視認可能な水素気泡が片寄った状態で放出される場合に比して、水素が浴槽中に満遍なく拡散する心証を使用者に抱かせることができ、水素気泡や水素水によるレドックス効果を心理的な側面からも助長することができる。
【0263】
(5)まとめ
以上説明した各実施形態によれば、水中に浸漬可能であって水の流入口11と流出口12とを連通する通水路313を有するケース10と、ケース10に収容され、通水路313に水流を発生させるポンプ部20と、通水路313に配設される電解部30と、ケース10に収容され、ポンプ部20及び電解部30に給電する電源部40と、を備え、電解部30は、一定間隔を保持して配設された複数の多孔電極板31〜33を有し、ポンプ部20は、多孔電極板31〜33の板面に向かう水流を発生する水素水生成装置を実現することができる。
【0264】
このように構成された水素水生成装置は、水中に浸漬し、ポンプ部20によってケース10の流入口11と流出口12の間の通水路313に水流を発生させ、通水路313に配設された電解部30によって通水路313を流通する水を電気分解する。このとき、電解部30を構成する一定間隔を保持して配設された多孔電極板31〜33の板面に向かう水流をポンプ部20が発生する。このように、水流の圧力を多孔電極板31〜33の板面に加えることで、多孔電極板31〜33の表面に電解で発生する水素や酸素の気泡を電解の瞬間に押しのけるように水流内に取り込む効果があり、水素水生成装置の流出口から流出する水が含む水素の気泡を微泡化したり、分子レベル水素、ナノバブルやマイクロバブル状態での水素溶存も期待できる。
【0265】
また、多孔電極板231〜233は、多孔電極板231〜233の気泡流通孔の間を区画する区画ワイヤWが、ポンプ部20の発生する水流に向かう尖端となる角部を有する断面多角形状になっている。
【0266】
このように構成された水素水生成装置では、多孔電極板231〜233の気泡流通孔の間において、区画ワイヤWがポンプ部20の発生する水流を両側の気泡流通孔に向かって受け流す傾斜面を有するため、多孔電極板231〜233の表面における離泡性が向上する。また、多孔電極板231〜233の気泡流通孔の間の面が、角部を挟んで別面として構成されるため、一方の面で発生した泡が他方の面で発生した泡と合体せず、多孔電極板231〜233から離脱する気泡がより微泡化したり、分子レベル水素、ナノバブルやマイクロバブル状態での水素溶存も期待できる。また、気泡流通孔の間の多孔電極板231〜233が水流に向かう角部を有することにより、多孔電極板231〜233の気泡流通孔を流通する水流がスムーズになり、ポンプ部20から最も遠い多孔電極板231〜233の気泡流通孔を流通するまで水勢を維持できる。また、角部は表面張力が小さいため、水流が直接当たる多孔電極板231〜233の気泡流通孔の間の角部で発生する気泡の離泡性が向上する。
【0267】
また、複数の多孔電極板31〜33の気泡流通孔31a〜33aは、隣接する多孔電極板の間で略互い違いの位置関係で設けられている。
【0268】
このように構成された水素水生成装置においては、複数の多孔電極板31〜33にそれぞれ形成される気泡流通孔31a〜33aの位置が互い違いに形成されているため、気泡流通孔31a〜33aを通る水流が多孔電極板の間の隅々まで多孔電極板に沿って流通することとなり、多孔電極板の表面全体における離泡性を向上させるとともに、複数の多孔電極板の間で水の置換効率を向上することができる。
【0269】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0270】
例えば、上記実施形態において電源部40は蓄電可能に構成したが、これに限定されるものではなく、商用電源などに接続して外的に電力を得るよう電源部40を構成しても良い。