【実施例】
【0016】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。なお、以下の実施例では、
図1に示すヘッド・アンプ分離型の超音波流量計を中心に説明するが、ヘッドとアンプが一体になった、ヘッド・アンプ一体型の超音波流量計にも本発明を適用可能であることは言うまでもない。
【0017】
図1を参照して、実施例の超音波流量計1は、センサヘッド2とコントローラ4とで構成されている。センサヘッド2とコントローラ4は別体構造である。センサヘッド2とコントローラ4はケーブル6によって接続されている。センサヘッド2は可撓性チューブ10の周面に脱着可能に後付けされる。可撓性チューブ10は合成樹脂製である。なお、
図1では、コントローラ4のケーブル6が接続される面の反対側の面には、例えばPLCなどの外部機器(図示略)に繋がるケーブルが接続される。コントローラ4は、このケーブルを通じて、PLCなどの外部機器に対し、配管を流れる流体の流量に関するオン・オフ信号を出力する。
【0018】
図2は、実施例の超音波流量計1の機能ブロック図である。コントローラ4は、制御部12を有し、また、記憶部14、送信増幅部16、受信増幅部18を有する。送信増幅部16、受信増幅部18は送信・受信切替回路20に接続されている。なお、
図2では、各部をコントローラ4側に配置しているが、コントローラ4に配置した要素の例えば一部をセンサヘッド2側に配置しても構わない。
【0019】
制御部12に含まれる送信信号発生部22で生成したアナログ信号は、送信増幅部16を経由して送信・受信切替回路20を通じて第1、第2の超音波素子24、26に供給され、第1、第2の超音波素子24、26から超音波が発生される。
【0020】
第1超音波素子24から発生された超音波は、チューブ10(
図1)の中を通る流体に入射される。流体内を伝播する超音波は、第2超音波素子26によって受信され、第2超音波素子26は、受信した超音波に基づくアナログ信号を出力する。第2超音波素子26から出力されたアナログ信号は送信・受信切替回路20を通じて受信増幅部18に供給される。
【0021】
受信増幅部18では、送信・受信切替回路20から受け取ったアナログ信号を増幅すると共にA/D変換回路によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は制御部12に供給される。
【0022】
他方、第2超音波素子26が発生した超音波は、チューブ10(
図1)の中を通る流体に入射される。流体内を伝播する超音波は、第1超音波素子24によって受信され、第1超音波素子24は、受信した超音波に基づくアナログ信号を出力する。第1超音波素子24から出力されたアナログ信号は送信・受信切替回路20を通じて受信増幅部18に供給される。
【0023】
受信増幅部18では、送信・受信切替回路20から受け取ったアナログ信号を増幅すると共にA/D変換回路によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は制御部12に供給される。
【0024】
制御部12は、記憶部14に記憶されているプログラムを実行することにより、信号演算部30、流量演算部32、比較・判定部34の機能が実現される。信号演算部30では、受信増幅部18から与えられるデジタル信号に基づいて時間差Δtを測定する。この時間差Δtは、第1超音波素子24が出力した超音波が第2超音波素子26によって受信されるまでの時間t1と、第2超音波素子26が出力した超音波が第1超音波素子24によって受信されるまでの時間t2との差である。流量演算部32は、信号演算部30により測定された時間差Δtに基づいて、チューブ10の中を流れる流体の速度を所定の式に基づいて算出すると共に、当該流体の流量を別の所定の式に基づいて算出する。
【0025】
コントローラ4は、ユーザが操作するボタンなどの操作部36(
図1)や7セグメントLEDや薄型表示器で構成される表示部38(
図1)等を有し、また、外部機器とのインターフェースを構成するコネクタなどの出力部40(
図2)を有する。なお、
図2においては、ヘッド・アンプ一体型の超音波流量計では、センサヘッド2(の機能)がコントローラ4内に組み込まれることになる。一方、ヘッド・アンプ分離型の超音波流量計1において、ヘッドとアンプの切り分けをどこで行うかは自由である。例えば、受信増幅部18、送信増幅部16、及び送信・受信切替回路20を、センサヘッド2側に組み込んでもよい。
【0026】
上記の第1、第2の超音波素子24、26はV配置(
図3)又はZ配置(
図4)される。
図3、
図4において、参照符号42は音響結合媒体つまりカプラントを示す。カプラント42は弾性カプラントであるのがよい。ここで、カプラント42は、配管に押し付けられていない状態では、くさび部材の底面から所定量だけ突出している。言い換えると、くさび部材は、それぞれ配管と当接する当接面を有し、カプラント42は、これら当接面から所定量だけ突出するように構成されている。後述する第1センサ部材206や第2センサ部材208(
図12)が配管に押し付けられたとき、カプラント42は、当接面から突出しなくなるまで圧縮される。
【0027】
このように、本実施例では、カプラント42のつぶし量(配管の径方向における圧縮量)を規定するために、後述する第1センサ部材206や第2センサ部材208(
図12)の底面に、配管と当接しない凹所を形成するとともに、その凹所にカプラント42を配置するのが好ましい。この凹所の深さと、カプラント42の厚みは、超音波の伝達効率が高くなるように最適な寸法に設計される。
【0028】
表示部38の表示や出力部40を通じた外部機器には、予め設定したしきい値(設定値)に基づく制御出力が出力される。また、積算流量毎にパルス出力される。また、例えば通信を使って流量計測値がデジタル出力される。
【0029】
以下、本発明を適用した超音波流量計の実施例を説明するが、上述した要素と同じ要素には同じ参照符号を付す。
【0030】
第1実施例(図5、図6):
図5、
図6は、上述したセンサヘッド2(
図1)を示す。
図5は、センサヘッド2の分解斜視図である。センサヘッド2はヘッド本体50とチューブ保持部材52とで構成され、ヘッド本体50及びチューブ保持部材52は共に合成樹脂製の成型品であるが、金属製であってもよい。
【0031】
チューブ保持部材52は第1、第2のハーフ保持部材52a、52bで構成され、第1、第2のハーフ保持部材52a、52bは、夫々、チューブ10の円形断面と相補的な半円状の支持面54を有し、また、切り欠き56を有し、この切り欠き56によって半円状の支持面54に窓58が形成されている。窓58を通じてチューブ10の一部が露出している(
図5)。
【0032】
図5を参照して、ヘッド本体50はボックスを半割した形状を有し、第1ハーフボックス60と、第2ハーフボックス62とで構成されている。第2ハーフボックス62は、その互いに対抗する端壁62a、62bに矩形の開口64が形成されている。
【0033】
このセンサヘッド2は、第1、第2超音波素子24、26がV配置である。すなわち、第1ハーフボックス60には、その内部にセンサ部材66を有し(
図6)、このセンサ部材66は、チューブ10の長手方向に離間して配置された第1、第2の超音波素子24、26を有し、また、第1、第2の超音波素子24、26に共通のくさび部材68を有する。センサ部材66は、ヘッド本体50に定置されていてもよいが、チューブ10の直径方向に変位可能且つ付勢部材70(典型的にはバネ)でチューブ10の方向に付勢されていてもよい。
【0034】
チューブ10を挟み込んだ状態のチューブ保持部材52は、第2ハーフボックス62の中に嵌入され、この第2ハーフボックス62の中に定置される。第1ハーフボックス60の中に収容されているセンサ部材66は、チューブ保持部材52の窓58を通じてチューブ10の外周面に圧接される。この圧接に伴うチューブ10の局部的な変形及びチューブ10の中を流体が通過することに伴うチューブ10の膨張は、チューブ保持部材52によって規制される。すなわち、チューブ保持部材52は、チューブ10の膨張や局部的な変形を抑制する規制部材としての機能を有している。
【0035】
図5を参照すると直ちに理解できるように、第2ハーフボックス62はチューブ保持部材52を受け入れる凹所を有し、この凹所はチューブ保持部材52の外形と相補的な形状の内壁面及び底面を有し、チューブ保持部材52を凹所の中に入れることで、第2ハーフボックス62に収容されたチューブ保持部材52は位置固定される。この位置固定は、凹所の内壁面及び底面の一部をチューブ保持部材52の外面と係合させることにより行ってもよい。第1ハーフボックス60は第2ハーフボックス62に対して4本のネジ72によって固定される(
図5)。
【0036】
第2実施例(図7〜図9):
図7〜
図9は第2実施例の超音波流量計に含まれるセンサヘッド100を示す。上記センサヘッド2(
図5、
図6)に含まれる要素と同じ要素には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
センサヘッド100は、合成樹脂製の成型品である第1、第2のハーフ保持部材52a、52bを有し、窓58(
図7)を有する第1のハーフ保持部材52aにヘッド本体50が積層されている。すなわち、センサヘッド100は、合成樹脂製の成型品であるヘッド本体50、第1ハーフ保持部材52a、第2ハーフ保持部材52bを積層した形状を有し、これらは4本のネジ72で互いに固定されている(
図8)。
【0038】
ヘッド本体50は、第1実施例に含まれるセンサヘッド2と同様にV配置であり、ヘッド本体50には、その内部にセンサ部材66を有し(
図9)、このセンサ部材66は、チューブ10の長手方向に離間して配置された第1、第2の超音波素子24、26を有し、また、第1、第2の超音波素子24、26に共通のくさび部材68を有する。センサ部材66は、ヘッド本体50に定置されていてもよいが、チューブ10の直径方向に変位可能且つ付勢部材70(典型的にはバネ)でチューブ10の方向に付勢されていてもよい。
【0039】
第3実施例(図10〜図22):
図10〜
図22は第3実施例の超音波流量計に含まれるセンサヘッド200及びその変形例を示す。上記センサヘッド2(
図5、
図6)に含まれる要素と同じ要素には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
チューブ保持部材52は合成樹脂製又は金属製の成型品であり、
図11から理解できるように、チューブ10を挟んで対向し且つチューブ10の長手方向に離間した2つの切り欠き56を有し、各切り欠き56には窓58が形成され、この窓58を通じてチューブ10の一部が露出している(
図11)。
【0041】
ヘッド本体50は合成樹脂製の第1、第2のハーフボックス60、62で構成され、第1、第2のハーフボックス60、62はヒンジ202で互いに連結され、また、フック204によって第1、第2のハーフボックス60、62が相互に固定される(
図13)。
【0042】
センサヘッド200の第1、第2の超音波素子24、26は
図12から分かるようにZ配置である。第1ハーフボックス60には第1センサ部材206が配置されている。第2ハーフボックス62には第2センサ部材208が配置されている。第1センサ部材206は第1超音波素子24を有し、また、第1くさび部材210を有する。第2センサ部材208は第2超音波素子26を有し、また、第2くさび部材212を有する。
【0043】
第1センサ部材206及び第2センサ部材208は、第1、第2のガイド面214、216によってチューブ10の直径方向に対して傾斜した方向に変位可能である。そして、第1センサ部材206は、第1付勢部材218によって、チューブ10と圧接する方向に付勢されている。第2センサ部材208は、第2付勢部材220によって、チューブ10と圧接する方向に付勢されている。すなわち、第1センサ部材206、第2センサ部材208は超音波を相互に受信可能な位置関係となるように、第1、第2ガイド面214、216によって、その変位方向が規定され、そして、第1、第2の付勢部材218、220によってチューブ10と接する方向に付勢されている。
【0044】
図12を参照して、各センサ部材206、208は、夫々、ストッパー機構224を有している。ストッパー機構224は、各センサ部材206(208)のくさび部材210(212)に形成された突起224aと、各ハーフ保持部材52a(52b)に形成された段部224bで構成され、段部224bは溝226の端面で構成されている。各センサ部材206(208)がバネ付勢されてチューブ10と圧接するときに、過度にチューブ10に各センサ部材206(208)が押し付けられるのをストッパー機構224によって阻止することができる。すなわち、ストッパー機構224によって、各センサ部材206(208)を適度にチューブ10に押し付けた状態を形成することができる。なお、この場合、各センサ部材206、208のチューブ10と当接する当接面は、チューブ保持部材52と接触していなくてもよい。すなわち、ストッパー機構224があることで、各センサ部材206、208のチューブ10と当接する当接面と、チューブ10との間に、隙間ができても構わない。また、ストッパー機構224が存在しない場合であっても、各センサ部材206、208のチューブ10と当接する当接面がチューブ保持部材52に突き当たることにより、過渡にチューブ10を押圧してしまうことを防ぐことができる。
【0045】
図14は、変形例のセンサヘッド230を示す。この変形例のセンサヘッド230は、第1付勢部材218を有しているが、第2付勢部材220は省かれている。勿論、第2付勢部材220の代わりに第1付勢部材218を省いてもよい。
【0046】
図15は、小径のチューブ10に対する適用例を説明するための図である。識別のために
図13に図示のチューブ10に(L)を付記し、
図15に図示のチューブ10に(S)を付記してある。Lは相対的に大径を意味し、Sは相対的に小径を意味する。すなわち、
図13は、大径のチューブ10(L)に対する適用例を示す。
図15は、小径のチューブ10(S)に対する適用例を示す。径の違うチューブ10には、それぞれ専用のチューブ保持部材52が適用される。そして、各専用のチューブ保持部材52に対してヘッド本体50は共通である。具体的に、
図15に図示のチューブ保持部材52は、第1、第2のハーフ保持部材222a、222bで構成され、これらのハーフ保持部材222a、222bは、夫々、小径のチューブ10(S)の外形と相補的な半円状の支持面54を備えている。勿論、
図13に図示のチューブ保持部材52を構成する第1、第2のハーフ保持部材52a、52bは、夫々、大径のチューブ10(L)の外形と相補的な半円状の支持面54を備えている。
【0047】
すなわち、チューブ保持部材52は、径の異なる各チューブ10毎の専用品である。他方、ヘッド本体50は共用である。このことは、第1実施例に含まれるセンサヘッド2(
図1)、第2実施例に含まれるセンサヘッド100についても同じである。
【0048】
図16、
図17は、チューブ保持部材52の変形例を示す。
図16は、チューブ保持部材52の両端に弾性リング240を配置した例を示す。
図17は、チューブ保持部材52の両端部に突起242を配置した例を示す。弾性リング240、突起242はチューブ10の滑りを防止する機能を有している。弾性リング240は、チューブ10が比較的硬質であるときに、該チューブ10の滑りを効果的に防止することができる。
【0049】
図18は、
図13等を参照して説明したフック204の作用を説明するための図である。固定部材であるフック204は、上下方向に延びる細長い形状を有し、その中間部分に支持軸204aが設けられている。支持軸204aは第2ハーフボックス62に固定されている。揺動フック204の下端部には、第2ハーフボックス62との間に圧縮バネ244が介装されている。他方、揺動フック204の上端部には爪204bが形成されている。爪204bは、第1ハーフボックス60を閉めたときに、第1ハーフボックス60の段部60aと係合することができる。すなわち、第1ハーフボックス60を閉めると、第2ハーフボックス62のフック204が第1ハーフボックス60の段部60aに係止され、これにより第1、第2のハーフボックス60、62は互いに固定される。
【0050】
図19、
図20は、Z配置のためのチューブ保持部材52に関し、その窓58を形成するための互いに対抗する2つの切り欠き56を形成する2つの方法を説明するための図である。切り欠き56を各ハーフ保持部材52a、52bの各々に形成してもよいし(
図19)、各切り欠き56を2つのハーフ保持部材52a、52bで形成してもよい(
図20)。
【0051】
図21はZ配置に関し、
図12と対応した図である。
図12に図示のセンサヘッド200は、各センサ部材206、208の変位方向を規定する第1、第2ガイド面214、216がチューブ10の直径方向に対して傾斜した面で構成されている。これに対して、
図21に図示のセンサヘッド250は、第1、第2ガイド面214、216がチューブ10の直径方向に延びる面で構成されている。
【0052】
図22は、センサ本体の付勢方向に関する変形例270を示す。
図22は、ヘッド本体50の半分しか図示していないが、図外の半分も実質的に同じ構造であると理解されたい。
図22を参照して第2センサ部材208はチューブ10の軸線方向に付勢するバネ272を備えている。すなわち、第2センサ部材208の一端面を付勢するバネ272を備えている。第2センサ部材208の他端面には、チューブ10の軸線方向に延びる段部278を有し、この段部278を受け止める受け面266がハーフ保持部材52(52b)に形成されている。第2センサ部材208はネジ棒276によってチューブ10と圧接する方向に押し付けられる。そして、第2センサ部材208は、その段部278がハーフ保持部材52(52b)の受け面266によって受け止められるため、ネジ棒276の締め込みによって第2センサ部材208が過度にチューブ10に押し付けられるのを阻止することができる。図中、符号274はスライド可能なプレートを示し、このプレート274にネジ棒276が螺着されている。なお、このプレート274を
図22の水平方向にスライド可能とすることで、第2センサ部材208の内部に塵や埃が侵入することを防ぐ防塵効果を奏する。
【0053】
第4実施例(図23〜図29):
図23〜
図29は、第4実施例の超音波流量計に含まれるセンサヘッド300を示す。
図23は、センサヘッド300をチューブ10に取り付けた状態を示し、
図24は、センサヘッド300の分解斜視図である。
【0054】
センサヘッド300は、一部を除き金属製の成型品である複数の部品から構成されている。センサヘッド300はチューブ保持部材302とセンサ保持部材304とを有している。チューブ保持部材302は、ベース部材302aと形状保持部材302bと間隔規制部材302cで構成されている。センサ保持部材304は、本体部304aと取り付け部材304bとで構成されている。
【0055】
図24、
図27〜
図29を参照して、チューブ保持部材302について説明すると、ベース部材302aは、センサ保持部材304を固定する機能と、形状保持部材302bと協働してチューブ10を固定する機能を有する。説明の都合上、チューブ10を固定する機能を先に説明すると、ベース部材302aはその両端に、チューブ10を受け入れるベース側開口ハーフ306(
図24)を有している。
【0056】
形状保持部材302bは、その両端に、チューブ10を受け入れるクランプ側開口ハーフ308(
図24)を有している。形状保持部材302bは、また、その長手方向中間部分に一つのリップ310を有している。間隔規制部材302cはガイド穴312を有し、このガイド穴312にリップ310が挿入される(
図25)。一対のリップ310は、ガイド穴312に案内されて、ベース部材302a側に進むに従って互いの間隔が広がるように、形状保持部材302bの本体から傾斜して延びている。また、一対の間隔規制部材302cのガイド穴312は、形状保持部材302bから遠ざかるほど、互いの間隔が広がるように傾斜して延びている。この間隔規制部材302cは例えば合成樹脂製の成型品である。
【0057】
チューブ10にセンサヘッド300を取り付ける際に、先ず、チューブ保持部材302をチューブ10に固定する。この固定は4本のボルト314を使って、チューブ10を挟んで位置決めしたベース部材302aと形状保持部材302bとを締結することにより行われる(
図24)。すなわち、ボルト314はベース部材302aと形状保持部材302bとを締結する締結部材を構成する。チューブ保持部材302は、径の異なるチューブに対して共用される。
【0058】
図29の(I)は、比較的小径のチューブ10(S)に適用した例を示す。
図29の(II)は、比較的大径のチューブ10(L)に適用した例を示す。チューブ10は、その互いに対抗する面が一対の間隔規制部材302cによって支持される。また、チューブ10の他の面が形状保持部材302bによって支持される。また、ベース部材302aは、上記形状保持部材302bと対向して一対の窓形成片316を有し、この一対の窓形成片316の各々がチューブ10の長手方向に延びている。一対の窓形成片316は互いに間隔を隔てて配置され、そして、この一対の窓形成片316によって窓318が形成されている。この一対の窓形成片316及び間隔規制部材302c及びそのガイド穴312、形状保持部材302bによってチューブ10は、その周面が4つの面で支持されチューブ10の膨張及び局部的な変形が規制されている。
【0059】
センサ保持部材304は、前述したように、本体部304aと取り付け部材304bとで構成されている(
図24)。取り付け部材304bは、4つの張出部320を有し、この張出部320を使って取り付け部材304bはベース部材302aに固定することができる。この操作を簡略化するには、一つの操作で固定できるのがよい。このワンタッチの操作性は、例えば張出部320に爪を設け、この爪を係止する溝をベース部材302aに設けるのがよい。
【0060】
取り付け部材304bは本体部304aがチューブ保持部材302を受け入れる座を構成し、本体部304aは例えば2本のボルト322を使ってチューブ保持部材302(ベース部材302a)に固定される。
【0061】
本体部304aには、前述した第1、第2の超音波素子24、26を含むセンサ部材324(
図29には図示されていない)が窓318を通じてチューブ10に当接可能に取り付けられている。第1、第2の超音波素子24、26の配置はV配置であり、センサ部材324の構成は、実質的に
図6、
図9を参照して説明したセンサ部材66と同じである。センサ部材324は、参照符号326で示す表示灯や表示部、操作部などを含んでいてもよい。このように、
図29に示す超音波流量計によれば、まず、一対の間隔規制部材302cによって、
図29の水平方向へ膨張するような変形を規制する。そして、この状態で鉛直方向に超音波センサを押し付けることによって、チューブ10が鉛直方向に潰れにくくなる。そのため、超音波センサをチューブ10に十分に押し当てることができ、超音波センサとチューブ10の間に隙間が空かないようにすることができる。その結果、流量検出精度を高めることができる。なお、第4実施例に示す超音波流量計は、金属配管にも対応可能なものである。すなわち、硬質な配管の流量を計測したい場合には、一対の間隔規制部材302cを取り外すだけで対応できる。要するに、一対の間隔規制部材302cの着脱によって、硬質配管にも対応できるし、軟質配管にも対応できるという、ハイブリッドな超音波流量計を提供することができる。
【0062】
図30〜
図32は、変形例のチューブ保持部材400を示す。チューブ保持部材400は、そのハーフ保持部材402a、402bによって形成されるチューブ収容部は矩形断面を有している。そして、切り欠き404によって窓406が形成されている。すなわち、ハーフ保持部材402a、402bはその内面がチューブ10の外面と相補的な形状を有していない。しかし、ハーフ保持部材402a、402bはチューブ10を所定の形状に変形させるにしても、チューブ10の膨張や窓406を通じてセンサ部材が圧接することに伴う局部的な変形を規制する機能を有している。
【0063】
すなわち、チューブ保持部材52、302、400は、
図29から最も良く理解できるように、チューブ10の全周に亘って延びる面によってチューブ10の膨張や局部的な変形を規制する必要はない。
図29に図示のチューブ保持部材302は、チューブ10の周周りにおいて間欠的にチューブ10の外面を支持する構成が採用されている。チューブ10の内圧が上昇することに伴うチューブ10の膨張、センサ部材が当接することに伴うチューブ10の局部的な変形を規制できるのであれば、チューブ保持部材52、302、400が形作るチューブ10に対する支持面の形状は任意である。なお、流量計側する際のチューブ10の断面は、
図31や
図32に示すように略矩形でもよいし、略丸形でもよい。
図31や
図32に示すように略矩形にすることで、超音波センサを押し当てたときにチューブ10が(
図31、
図32の縦方向に)変形し難くなる。一方、
図31や
図32のように、縦長の断面になると、超音波が伝播する距離が長くなるため、流量計側の精度が低下する虞がある。そこで、断面が略丸形になるようにすることで、超音波が伝播する距離を短くでき、流量計測の精度を高めることができる。加えて、断面が略丸形になると、チューブ10内の流体の平均流速が均一になりやすく、この意味でも流量計側の精度を高めることができる。
【0064】
なお、本発明の技術思想について、別の側面から説明すると、配管内を流れる流体への超音波の送信および配管内を流れる流体からの超音波の受信のうち少なくとも一方を行う第1の超音波素子と、配管内を流れる流体への超音波の送信および配管内を流れる流体からの超音波の受信のうち他方を行う第2の超音波素子と、第1の超音波素子および第2の超音波素子のうち少なくとも一方の出力信号に基づいて配管内の流体の流量を算出する算出部と、算出部により算出された流量と予め定められた流量閾値とに基づいて、配管を流れる流体の流量に関するオン/オフ信号を出力する出力部とを有する超音波流量センサであって、第1の超音波素子および第2の超音波素子のうち少なくとも一方を内蔵するセンサ部と、配管外形に対応した内壁面により配管を包囲し、センサ部を受け入れるための開口が形成された配管保持部と、配管保持部が取り付けられる第1筐体と、配管保持部に形成された開口内でセンサ部を配管中心に向けて押圧し、配管に密着固定する固定部とを備え、配管保持部は、固定部によりセンサ部が配管に密着固定されるときに、少なくともセンサ部の移動方向とは異なる方向への配管の変形を規制する。これにより、口径の異なるチューブに対しても、そのチューブに適した配管保持部を用意するだけで、簡単に後付けすることができる。