(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記コンテナ荷役車両では、フックアームはスライドアームの先端部に連結されているので、スライドアームがベースアームに対してスライドするときに、フックアームもベースアームに対して移動する。その際、上記センサもスライドアームに対して移動する。また、上記センサは、荷役アームが回動する際にも、荷役アームの回動中心を中心として移動することになる。このようにセンサが移動する場合、そのセンサに接続された信号線の断線が懸念される。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フックアームまたはスライドアームに取り付けられたセンサの信号線が、センサの移動に追従する配線構造でありながら断線しにくいコンテナ荷役車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンテナ荷役車両は、車台に回動可能に支持されたベースアームと、
前記ベースアームと同一方向に延びる横アーム部と、前記横アーム部から上方に屈曲した縦アーム部とを有し、前記横アーム部の根元部が前記ベースアームにスライド可能に連結されたスライドアームと、前記スライドアームの先端部に回動可能に支持されたフックアームと、前記スライドアームまたは前記フックアームに取り付けられたセンサと、前記センサに接続された信号線と、
前記縦アーム部の側壁に固定された第1ブラケットと、前記ベースアームの側壁に固定され、前記ベースアームの上端よりも下方に配置された第2ブラケットと、前記ベースアームおよび前記スライドアームの外側に配置されたケーブル類保護案内装置と、を備える。前記ケーブル類保護案内装置は、前記第1ブラケットを介して前記縦アーム部の側壁に支持された第1端部と、前記第1端部から前記スライドアームのスライド方向に延びる第1延伸部と、
前記第2ブラケットを介して前記ベースアームの側壁に支持された第2端部と、前記第2端部から前記スライドアームのスライド方向に延びる第2延伸部と、前記第1延伸部と前記第2延伸部とを繋ぐ接続部とを有し、
その内部に前記信号線が収容され
ている。前記コンテナ荷役車両は更に、
前記縦アーム部の前記側壁のうち前記第1延伸部と前記第2延伸部との間の部分に設けられ、前記ケーブル類保護案内装置を支持可能なガイド部材を備えている。
前記ケーブル類保護案内装置の前記接続部は、前記第1ブラケットよりも前方に位置する。
【0009】
上記コンテナ荷役車両によれば、センサに接続された信号線はケーブル類保護案内装置に収容されている。ケーブル類保護案内装置は、複数の中空部材が蛇腹状かつU字状に連結されてなるものであり、第1延伸部と第2延伸部とが平行な状態を保ったまま、スライドアームのスライドに追従して変形する。そのため、スライドアームがスライドしても、信号線はケーブル類保護案内装置によって良好に保護される。しかし、ベースアームの回動に伴い、ケーブル類保護案内装置はベースアームの回動中心を中心として旋回する。そのため、単にケーブル類保護案内装置を設けただけでは、ベースアームの回動時にケーブル類保護案内装置が、例えば第1延伸部と第2延伸部とが互いに接近または離反する様な想定外の変形を起こすおそれがある。ところが、上記コンテナ荷役車両によれば、前記第1延伸部と前記第2延伸部との間に、ガイド部材が配置されている。そのため、このガイド部材によって、ケーブル類保護案内装置の想定外の変形を抑えることができる。よって、コンテナ荷役車両においてケーブル類保護案内装置を好適に利用することが可能となり、信号線をケーブル類保護案内装置により十分に保護することができる。したがって、信号線がセンサの移動に追従する配線構造でありながら信号線が断線しにくいコンテナ荷役車両を提供することができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記スライドアームを側方から見たときに、前記接続部は湾曲しており、前記スライドアームを側方から見たときに、前記ガイド部材の輪郭は前記接続部の形状に対応して湾曲している。
【0011】
上記態様によれば、ガイド部材は、スライドアームのスライドに伴うケーブル類保護案内装置の変形を良好にガイドできるとともに、ベースアームの回動に伴うケーブル類保護案内装置の想定外の変形を良好に抑制することができる。そのため、信号線の断線をより確実に防止することができる。
【0012】
本発明に係る他のコンテナ荷役車両は、車台に回動可能に支持されたベースアームと、根元部が前記ベースアームにスライド可能に連結されたスライドアームと、前記スライドアームの先端部に回動可能に支持されたフックアームと、前記スライドアームまたは前記フックアームに取り付けられたセンサと、前記センサに接続された信号線と、ケーブル類保護案内装置と、を備える。前記ケーブル類保護案内装置は、前記スライドアームの側壁から前記スライドアームのスライド方向に延びる第1延伸部と、前記ベースアームの側壁から前記スライドアームのスライド方向に延びる第2延伸部と、前記第1延伸部と前記第2延伸部とを繋ぐ接続部とを有し、内部に前記信号線が収容されている。前記コンテナ荷役車両は更に、前記スライドアームの前記側壁のうち前記第1延伸部と前記第2延伸部との間の部分に設けられ、前記ケーブル類保護案内装置を支持可能なガイド部材と、前記スライドアームの側壁から側方に延びる第1横板部を有し、前記スライドアームの前記側壁に固定された第1ブラケットと、を備えている。前記ケーブル類保護案内装置の前記第1延伸部の少なくとも一部は、前記スライドアームを側方から見たときに前記スライドアームのスライド方向と垂直な方向に関して、前記第1ブラケットの前記第1横板部と前記ガイド部材との間に配置されている。
【0013】
上記コンテナ荷役車両によれば、第1延伸部の少なくとも一部が第1ブラケットの第1横板部とガイド部材との間に配置されているので、ベースアームが回動したときに、第1延伸部の少なくとも一部は第1ブラケットの第1横板部またはガイド部材によって支持される。そのため、第1延伸部の想定外の変形を抑えることができ、信号線の断線をより確実に防止することができる。
【0014】
本発明に係る他のコンテナ荷役車両は、車台に回動可能に支持されたベースアームと、根元部が前記ベースアームにスライド可能に連結されたスライドアームと、前記スライドアームの先端部に回動可能に支持されたフックアームと、前記スライドアームまたは前記フックアームに取り付けられたセンサと、前記センサに接続された信号線と、ケーブル類保護案内装置と、を備える。前記ケーブル類保護案内装置は、前記スライドアームの側壁から前記スライドアームのスライド方向に延びる第1延伸部と、前記ベースアームの側壁から前記スライドアームのスライド方向に延びる第2延伸部と、前記第1延伸部と前記第2延伸部とを繋ぐ接続部とを有し、内部に前記信号線が収容されている。前記コンテナ荷役車両は更に、前記スライドアームの前記側壁のうち前記第1延伸部と前記第2延伸部との間の部分に設けられ、前記ケーブル類保護案内装置を支持可能なガイド部材と、前記ベースアームの前記側壁から側方に延びる第2横板部を有し、前記ベースアームの前記側壁に固定された第2ブラケットと、を備えている。前記ケーブル類保護案内装置の前記第2延伸部の少なくとも一部は、前記スライドアームを側方から見たときに前記スライドアームのスライド方向と垂直な方向に関して、前記第2ブラケットの前記第2横板部と前記ガイド部材との間に配置されている。
【0015】
上記コンテナ荷役車両によれば、第2延伸部の少なくとも一部が第2ブラケットの第2横板部とガイド部材との間に配置されているので、ベースアームが回動したときに、第2延伸部の少なくとも一部は第2ブラケットの第2横板部またはガイド部材によって支持される。そのため、第2延伸部の想定外の変形を抑えることができ、信号線の断線をより確実に防止することができる。
【0016】
本発明に係る他のコンテナ荷役車両は、車台に回動可能に支持されたベースアームと、根元部が前記ベースアームにスライド可能に連結されたスライドアームと、前記スライドアームの先端部に回動可能に支持されたフックアームと、前記スライドアームまたは前記フックアームに取り付けられたセンサと、前記センサに接続された信号線と、ケーブル類保護案内装置と、を備える。前記ケーブル類保護案内装置は、前記スライドアームの側壁から前記スライドアームのスライド方向に延びる第1延伸部と、前記ベースアームの側壁から前記スライドアームのスライド方向に延びる第2延伸部と、前記第1延伸部と前記第2延伸部とを繋ぐ接続部とを有し、内部に前記信号線が収容されている。前記コンテナ荷役車両は更に、前記スライドアームの前記側壁のうち前記第1延伸部と前記第2延伸部との間の部分に設けられ、前記ケーブル類保護案内装置を支持可能なガイド部材と、前記スライドアームに支持された一端部と、前記フックアームに支持された他端部とを有する油圧シリンダと、を備えている。前記スライドアームが最も前記ベースアーム側に位置しているときに、前記ケーブル類保護案内装置の前記ベースアーム側と反対側の端部が、前記油圧シリンダの前記ベースアーム側と反対側の端部よりも前記ベースアーム側に位置するように構成されている。
【0017】
上記コンテナ荷役車両によれば、スライドアームのスライド位置に拘わらず、ケーブル類保護案内装置は油圧シリンダよりもベースアーム側と反対側に飛び出ることがない。よって、ケーブル類保護案内装置は他の部品等に接触しにくい。ケーブル類保護案内装置が傷つきにくいので、信号線の断線をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、フックアームまたはスライドアームに取り付けられたセンサの信号線が、センサの移動に追従する配線構造でありながら断線しにくいコンテナ荷役車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1は、車台2と、キャブ3と、前輪4と、後輪5とを備えている。また、コンテナ荷役車両1は、コンテナ100の積み込みおよび降ろしを行う荷役装置8を備えている。
【0021】
図2および
図3に示すように、荷役装置8は、車台2に固定された荷役フレーム10と、ダンプフレーム12と、荷役アーム20とを備えている。ダンプフレーム12は、左右に延びる軸11により荷役フレーム10に回動可能に支持されている。
【0022】
荷役アーム20は、L型アーム21とフックアーム27とを含んでいる。L型アーム21は、ベースアーム23とL型のスライドアーム25とを含んでいる。
【0023】
図2に示すように、ベースアーム23は、車台2に対し、左右に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。ここでは、ベースアーム23は、左右に延びる軸22によりダンプフレーム12に回動可能に支持されている。なお、本実施形態では、ベースアーム23はダンプフレーム12および荷役フレーム10を介して車台2に間接的に支持されているが、ベースアーム23は車台2に直接支持されていてもよい。本明細書では特に断らない限り、「支持されている」とは、直接支持されている場合と、他の部材を介して間接的に支持されている場合との両方が含まれるものとする。
【0024】
図3に示すように、スライドアーム25は、ベースアーム23と同一方向に延びる横アーム部25Aと、横アーム部25Aから屈曲した縦アーム部25Bとからなっている。ここでは、側方から見て、縦アーム部25Bは横アーム部25Aに対して垂直である。ただし、側方から見たときの縦アーム部25Bと横アーム部25Aとの角度は何ら限定されない。横アーム部25Aは、ベースアーム23に対してスライド可能に連結されている。ここでは、ベースアーム23および横アーム部25Aは、中空状に形成されている。ベースアーム23および横アーム部25Aは、横断面が矩形の筒状に形成されている。横アーム部25Aは、ベースアーム23の内側にスライド可能に挿入されている。
【0025】
フックアーム27は、スライドアーム25の縦アーム部25Bに対し、左右に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。ここでは、フックアーム27は、左右に延びる軸28により縦アーム部25Bの先端部に回動可能に連結されている。フックアーム27の先端には、コンテナを引っ掛けるフック29が設けられている。
【0026】
図2に示すように、荷役装置8は、荷役アーム20を回動させる一対の第1油圧シリンダ31を備えている。第1油圧シリンダ31の一端部31aは、荷役フレーム10に対し、左右に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。ここでは、第1油圧シリンダ31の一端部31aは、荷役フレーム10に固定されたブラケット41に対し、左右に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。第1油圧シリンダ31の他端部31bは、ベースアーム23に対し、左右に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。ここでは、第1油圧シリンダ31の他端部31bは、ベースアーム23に固定されたブラケット42に対し、左右に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。第1油圧シリンダ31が伸張すると、荷役アーム20は軸22周りに後方に向けて回動する。第1油圧シリンダ31が収縮すると、荷役アーム20は軸22周りに前方に向けて回動する。
【0027】
また、荷役装置8は、
図3に示すように、フックアーム27を回動させる第2油圧シリンダ32を備えている。第2油圧シリンダ32の一端部32aはスライドアーム25の先端部に支持され、他端部32bはフックアーム27に支持されている。ここでは、第2油圧シリンダ32の一端部32aは、スライドアーム25に固定されたブラケット43に支持され、他端部32bはフックアーム27に固定されたブラケット44に支持されている。一端部32aおよび他端部32bは、左右に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。第2油圧シリンダ32が伸張すると、フックアーム27は軸28周りに後方に向けて回動する。第2油圧シリンダ32が収縮すると、フックアーム27は軸28周りに前方に向けて回動する。
【0028】
また、荷役装置8は、
図2に示すように、L型アーム21を伸縮させる第3油圧シリンダ33を備えている。第3油圧シリンダ33は、スライドアーム25をベースアーム23に対してスライドさせることにより、L型アーム21を伸縮させる。第3油圧シリンダ33は、ベースアーム23およびスライドアーム25の内部に配置されている。第3油圧シリンダ33の一端部はベースアーム23に支持され、他端部はスライドアーム25に支持されている。第3油圧シリンダ33が伸張すると、スライドアーム25は前方に向かってスライドし、L型アーム21は伸張する。第3油圧シリンダ33が収縮すると、スライドアーム25は後方に向かってスライドし、L型アーム21は収縮する。
【0029】
図3に示すように、荷役装置8は、フックアーム27の回動位置を検出するセンサ35を備えている。センサ35の数および構成は何ら限定されない。センサ35として、公知の任意のセンサを用いることができる。例えば、センサ35として、特許第5258464号公報に開示されたセンサを備えていてもよい。センサ35は、スライドアーム25またはフックアーム27に取り付けられている。センサ35の取付位置は特に限定されないが、ここではスライドアーム25の右側壁に取り付けられている。
【0030】
センサ35には信号線60が接続されている。センサ35は、信号線60を介して荷役装置8の制御装置(図示せず)に接続されており、制御装置に信号を送信するように構成されている。信号線60は、スライドアーム25の右側から前側を通って左側に回り込んでいる。なお、信号線60には、公知の任意の電線を用いることができる。
【0031】
荷役装置8は、信号線60を保護するケーブル類保護案内装置70を備えている。ケーブル類保護案内装置は、複数の角筒状の要素部材が蛇腹状に連結されることにより構成されており、要素部材の内部に信号線60を収容することにより、信号線60を保護する。ケーブル類保護案内装置70として、例えばケーブルベア(登録商標)を好適に用いることができる。ケーブル類保護案内装置70は、隣り合う要素部材同士の傾きが変わることにより、容易に屈曲することができる。なお、ケーブル類保護案内装置70は、微視的には連続的に屈曲するが、巨視的には湾曲する。以下では、ケーブル類保護案内装置70の変形のことを、単に湾曲と称することとする。
【0032】
図4はスライドアーム25が最もベースアーム23側に位置しているときのケーブル類保護案内装置70等の斜視図である。言い換えると、L型アーム21が最も収縮しているときのケーブル類保護案内装置70等の斜視図である。
図5はスライドアーム25が最もベースアーム23側と反対側に位置しているときのケーブル類保護案内装置70等の斜視図である。言い換えると、L型アーム21が最も伸張しているときのケーブル類保護案内装置70等の斜視図である。
図6は、スライドアーム25が最もベースアーム23側に位置しているときのケーブル類保護案内装置70等の側面図である。
【0033】
図6に示すように、ケーブル類保護案内装置70は、スライドアーム25の左側壁25Lに支持された第1端部70aと、ベースアーム23の左側壁23Lに支持された第2端部70bとを有している。第1端部70aは左側壁25Lに直接支持されていてもよく、第2端部70bは左側壁23Lに直接支持されていてもよいが、本実施形態では、第1端部70aは第1ブラケット81を介して左側壁25Lに間接的に支持され、第2端部70bは第2ブラケット82を介して左側壁23Lに間接的に支持されている。なお、
図6では、第2ブラケット82の一部を破断して図示している。
【0034】
第1ブラケット81は、L型の金具によって構成されている。
図7は第1ブラケット81を後方から見た図である。
図7に示すように、第1ブラケット81は、スライドアーム25の左側壁25Lと平行な第1縦板部81aと、左側壁25Lから左方に延びる第1横板部81bとを有している。第1横板部81bは、第1縦板部81aの下端から左方に延びている。第1縦板部81aは左側壁25Lに固定されている。ここでは、第1縦板部81aは左側壁25Lにボルト83によって固定されているが、第1縦板部81aの固定方法は特に限定されない。ケーブル類保護案内装置70の第1端部70aは、第1横板部81bに固定されている。ここでは、第1端部70aは第1横板部81bにボルト84によって固定されているが、第1端部70aの固定方法は特に限定されない。
【0035】
図8は、第2ブラケット82を後方から見た図である。第2ブラケット82は、L型の金具82Aと、金具82Aよりも長尺のL型の金具82Bとを含んでいる。金具82Aは、ベースアーム23の左側壁23Lと平行な第2縦板部82aと、第2縦板部82aの下端から左方に延びる横板部82bとを有している。金具82Bは、ベースアーム23の左側壁23Lと平行な第3縦板部82dと、第3縦板部82dの下端から右方に延びる第2横板部82cとを有している。第3縦板部82dは左側壁23Lから左方に離間しており、第2縦板部82aから左方に離間している。ここでは、第2縦板部82aは左側壁23Lに溶接されているが、第2縦板部82aの左側壁23Lに対する固定方法は何ら限定されない。横板部82bと第2横板部82cとはボルト85によって固定されているが、横板部82bと第2横板部82cとの固定方法は何ら限定されない。ケーブル類保護案内装置70の第2端部70bは、第2横板部82cに固定されている。ここでは、第2端部70bは第2横板部82cにボルト86によって固定されているが、第2端部70bの固定方法は特に限定されない。
【0036】
図6に示すように、ケーブル類保護案内装置70は、第1端部70aからスライドアーム25のスライド方向に延びる第1延伸部70cと、第2端部70bからスライドアーム25のスライド方向に延びる第2延伸部70dと、第1延伸部70cと第2延伸部70dとを繋ぐ接続部70eとを有する。なお、
図4および
図5から明らかなように、スライドアーム25のスライドに伴い、第1延伸部70cおよび第2延伸部70dの長さは変化する。
【0037】
図3に示すように、信号線60はスライドアーム25の右側から前側を通って左側に至り、第1端部70aからケーブル類保護案内装置70の内部に挿入されている。信号線60は、第1延伸部70c、接続部70e、および第2延伸部70dの内部を経て、第2端部70bからケーブル類保護案内装置70の外部に引き出されている。図示は省略するが、信号線60のうち第2端部70bの後側の部分は、ベースアーム23の左側壁23Lに沿って更に後方に延びている。
【0038】
図4に示すように、スライドアーム25が最も後側に位置しているときであっても、ケーブル類保護案内装置70の前端部は、第2油圧シリンダ32の前端部よりも後方に位置する。言い換えると、スライドアーム25が最もベースアーム23側に位置しているときに、ケーブル類保護案内装置70のベースアーム23側と反対側の端部は、第2油圧シリンダ32のベースアーム23側と反対側の端部よりもベースアーム23側に位置する。すなわち、スライドアーム25のスライド位置に拘わらず、ケーブル類保護案内装置70は第2油圧シリンダ32の前端よりも後方に位置しており、第2油圧シリンダ32よりも前方に出っ張ることがない。
【0039】
図4および
図5に示すように、スライドアーム25がスライドすると、ケーブル類保護案内装置70は、第1延伸部70cおよび第2延伸部70dの長さが変わるように変形する。しかし、スライドアーム25に対する第1端部70aの位置は変化せず、ベースアーム23に対する第2端部70bの位置は変化しない。第1延伸部70cと第2延伸部70dとの間隔も変化しない。このようにケーブル類保護案内装置70はスライドアーム25のスライドに適合するように変形し、信号線60はケーブル類保護案内装置70によって良好に保護される。
【0040】
ところで、コンテナ荷役車両1では、コンテナ100の積み込みおよび降ろしの際に、スライドアーム25がスライドするだけでなく、
図9に示すように、荷役アーム20が回動する。すなわち、ベースアーム23およびスライドアーム25の全体が回動する。ケーブル類保護案内装置70は、第1端部70aがスライドするだけでなく、第1延伸部70c、第2延伸部70d、および接続部70eがベースアーム23の回動中心(
図2に示す軸22の中心)を中心として旋回する。そのため、例えば第1延伸部70cおよび第2延伸部70dが互いに接近または離反するように、ケーブル類保護案内装置70が想定外の変形を起こすおそれがあり、それに伴って信号線60が破損するおそれがある。
【0041】
そこで、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1では、ケーブル類保護案内装置70の想定外の変形を防止するガイド部材75を設けることとした。
図4に示すように、ガイド部材75はスライドアーム25の左側壁25Lに支持されている。ガイド部材75は、ケーブル類保護案内装置70をガイドする外周面75Wを有している。ここでは、
図6に示すように、ガイド部材75は円管状に形成されている。ただし、ガイド部材75は円管状に限らず、円柱状に形成されていてもよい。ガイド部材75は中空体であってもよく、中実体であってもよい。スライドアーム25を側方から見て、ガイド部材75の輪郭は真円状に形成されている。ただし、ガイド部材75の輪郭は、側方から見て真円状に限らず、長円形状、楕円形状、トラック形状など、他の形状であってもよい。
【0042】
ガイド部材75は第1延伸部70cと第2延伸部70dとの間に配置されている。第1延伸部70cの少なくとも一部は、スライドアーム25を側方から見たときにスライドアーム25のスライド方向と垂直な方向に関して、第1ブラケット81の第1横板部81bとガイド部材75との間に配置されている。第2延伸部70dの少なくとも一部は、スライドアーム25を側方から見たときにスライドアーム25のスライド方向と垂直な方向に関して、第2ブラケット82の第2横板部82cとガイド部材75との間に配置されている。なお、ガイド部材75がケーブル類保護案内装置70を安定して支持するために、ガイド部材75は第1延伸部70cの一部および第2延伸部70dの一部と常に接触していることが好ましい。ただし、これに限らず、ガイド部材75が第1延伸部70cから離間することがあってもよく、第2延伸部70dから離間することがあってもよい。すなわち、ガイド部材75は、必要な時のみ第1延伸部70cおよび第2延伸部70dと接触するように構成されていてもよい。
【0043】
図5に示すように、本実施形態では、スライドアーム25が最もベースアーム23側と反対側に位置するとき(すなわち、L型アーム21が最も伸張したとき)に、ガイド部材75はケーブル類保護案内装置70の接続部70eと接触するように構成されている。言い換えると、第2延伸部70dの長さが最も長くなるときに、ガイド部材75は接続部70eと接触する。第2延伸部70dの長さが長いときに荷役アーム20が回動すると、ケーブル類保護案内装置70は想定外の変形を起こすおそれがある。しかし、本実施形態によれば、ガイド部材75が接続部70eを安定して支持するので、ケーブル類保護案内装置70の想定外の変形を防止することができる。ただし、ガイド部材75を接続部70eと接触しないように構成することも勿論可能である。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1によれば、センサ35に接続された信号線60はケーブル類保護案内装置70に収容されている。ケーブル類保護案内装置70は、第1延伸部70cと第2延伸部70dとが平行な状態を保ったまま、スライドアーム25のスライドに追従して変形する。そのため、スライドアーム25がスライドしても、信号線60はケーブル類保護案内装置70によって良好に保護される。しかし、ベースアーム23の回動に伴い、ケーブル類保護案内装置70はベースアーム23の回動中心を中心として旋回する。そのため、単にケーブル類保護案内装置70を設けただけでは、ベースアーム23の回動時にケーブル類保護案内装置70が、例えば第1延伸部70cと第2延伸部70dとが互いに接近または離反する様な想定外の変形を起こすおそれがある。ところが、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1によれば、第1延伸部70cと第2延伸部70dとの間にガイド部材75が配置されている。このガイド部材75によって、ケーブル類保護案内装置70の想定外の変形を抑えることができる。よって、本実施形態によれば、コンテナ荷役車両1においてケーブル類保護案内装置70を好適に利用することが可能となり、信号線60をケーブル類保護案内装置70によって十分に保護することができる。したがって、信号線60がセンサ35の移動に追従する配線構造でありながら信号線60が断線しにくいコンテナ荷役車両1を提供することができる。
【0045】
本実施形態では側方から見て、接続部70eは湾曲しており、ガイド部材75の輪郭は接続部70eの形状に対応して湾曲している。ガイド部材75は、スライドアーム25のスライドに伴うケーブル類保護案内装置70の変形を良好にガイドできるとともに、ベースアーム23の回動に伴うケーブル類保護案内装置70の変形を良好に抑制することができる。そのため、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、第1延伸部70cの少なくとも一部が第1ブラケット81の第1横板部81bとガイド部材75との間に配置されているので、ベースアーム23が回動したときに、
図10に示すように、第1延伸部70cの少なくとも一部は第1ブラケット81の第1横板部81bまたはガイド部材75によって支持される。そのため、第1延伸部70cの想定外の変形を抑えることができ、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、第2延伸部70dの少なくとも一部が第2ブラケット82の第2横板部82cとガイド部材75との間に配置されているので、ベースアーム23が回動したときに、第2延伸部70dの少なくとも一部は第2ブラケット82の第2横板部82cまたはガイド部材75によって支持される。そのため、第2延伸部70dの想定外の変形を抑えることができ、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、第2ブラケット82は、
図8に示すように、ベースアーム23の左側壁23Lから離間しかつ左側壁23Lと平行な第3縦板部82dを有している。この第3縦板部82dにより、第2延伸部70dが側方に向けて変形することを防止することができる。よって、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0049】
本実施形態によれば、
図10に示すように、ベースアーム23が回動するときに、第1ブラケット81の少なくとも一部とガイド部材75の少なくとも一部と第2ブラケット82の少なくとも一部とが、スライドアーム25の側方から見てスライドアーム25のスライド方向と垂直な方向に並ぶように構成されている。ベースアーム23の回動時に、ケーブル類保護案内装置70の第1延伸部70cが第1ブラケット81の第1横板部81bとガイド部材75とによって支持され、第2延伸部70dが第2ブラケット82の第2横板部82cとガイド部材75とによって支持される。よって、ベースアーム23の回動時におけるケーブル類保護案内装置70の想定外の変形を効果的に抑えるができ、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0050】
ケーブル類保護案内装置70の第1端部70aはスライドアーム25の左側壁25Lに直接固定してもよいが、本実施形態によれば
図7に示すように、第1端部70aは第1ブラケット81の第1横板部81bに固定されている。このように第1ブラケット81を介在させることにより、第1端部70aをスライドアーム25の左側壁25Lに対し、より安定して支持することができる。したがって、ケーブル類保護案内装置70によって信号線60を安定して保護することができ、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0051】
また、ケーブル類保護案内装置70の第2端部70bはベースアーム23の左側壁23Lに直接固定してもよいが、本実施形態によれば
図8に示すように、第2端部70bは第2ブラケット82の第2横板部82cに固定されている。このように第2ブラケット82を介在させることにより、第2端部70bをベースアーム23の左側壁23Lに対し、より安定して支持することができる。したがって、ケーブル類保護案内装置70によって信号線60を安定して保護することができ、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0052】
本実施形態によれば、スライドアーム25が最もベースアーム23側に位置しているときに、ケーブル類保護案内装置70のベースアーム23側と反対側の端部が、第2油圧シリンダ32のベースアーム23側と反対側の端部よりもベースアーム23側に位置するように構成されている(
図4参照)。よって、スライドアーム25のスライド位置に拘わらず、ケーブル類保護案内装置70は第2油圧シリンダ32よりもベースアーム23側と反対側(前側)に飛び出ることがない。したがって、ケーブル類保護案内装置70は他の部品等に接触しにくい。本実施形態によれば、ケーブル類保護案内装置70が傷つきにくいので、信号線60の断線をより確実に防止することができる。
【0053】
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明が前記実施形態に限定されないことは勿論である。
【0054】
前記実施形態では、ケーブル類保護案内装置70、第1ブラケット81、第2ブラケット82、およびガイド部材75はスライドアーム25およびベースアーム23の左側に配置されていたが、それらをスライドアーム25およびベースアーム23の右側に配置することも可能である。ガイド部材75をスライドアーム25の右側壁に設けることも可能である。
【0055】
前記実施形態では、スライドアーム25がベースアーム23の内側に挿入されていたが、ベースアーム23がスライドアーム25の内側に挿入されていてもよい。
【0056】
ケーブル類保護案内装置70の内部に収容される信号線60の本数は限定されない。ケーブル類保護案内装置70の内部に収容される信号線60の本数は1本でもよく、2本以上であってもよい。
【0057】
前記実施形態では、信号線60に接続されたセンサ35は、フックアーム27の回動位置を検出するセンサであるが、センサ35の検出対象はフックアーム27の回動位置に限定されない。信号線60に接続されるセンサは、コンテナ荷役車両1に搭載される任意のセンサであってもよい。