(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら以下に説明する。なお、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にする為に拡大又は縮小等して図示した部分がある。
【0018】
<第1実施形態>
(透明導電性フィルム)
図1は、本実施形態の透明導電性フィルムの一例を示す断面図である。
図1の透明導電性フィルムは、透明樹脂フィルム1の片面に、硬化樹脂層2を介して、透明導電膜3を有する。透明導電膜3はパターン化されている。なお、各図において、透明導電膜3がパターン化されていることは、透明導電膜3を有するパターン部aと透明導電膜3を有しない非パターン部bを有することで示している。また、前記非パターン部bには前記硬化樹脂層2を有する。
【0019】
(透明樹脂フィルム)
前記透明樹脂フィルム1としては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。例えば、その材料として、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。
【0020】
透明樹脂フィルム1の厚みは特に限定されないものの、5μm以上200μm以下の範囲内であってもよく、20μm以上130μm以下の範囲内であってもよく、40μm以上130μm以下の範囲内であってもよい。一般的に透明樹脂フィルム1が厚くなるほど吸湿性が高まって膨張しやすくなるものの、下記の特定の硬化樹脂層を採用することにより、上記範囲の厚みの透明樹脂フィルムであっても透明導電膜のクラックを防止して所期の電気特性を発揮することができる。
【0021】
前記透明樹脂フィルム1には、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、この上に設けられる硬化樹脂層2の前記透明樹脂フィルム1に対する密着性を向上させるようにしてもよい。また、硬化樹脂層2を設ける前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化してもよい。
【0022】
(硬化樹脂層)
硬化樹脂層2は、重量平均分子量が1500以上のエポキシ樹脂(以下、便宜上「高分子量エポキシ樹脂」ともいう。)を含む樹脂組成物を硬化した硬化物膜である。高分子量エポキシ樹脂は、樹脂組成物の主成分であることが好ましい。主成分とは、樹脂組成物に含まれる成分のうち含有量が最大の成分のことをいい、その含有量は樹脂組成物の合計量に対して20重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。
【0023】
上記高分子量エポキシ樹脂としては、広く一般的に用いられているものを使用することができ、グリシジル基、脂環式エポキシ基、脂肪族エポキシ基などのエポキシ基を分子中に1つ以上、好ましくは2つ以上有するエポキシ基含有化合物を使用することができる。具体的には、例えば、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン−ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸−グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、III−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンなどのごとき多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するポリシロキサン、石油樹脂などのごとき不飽和重合体のエポキシ化物等のエポキシ樹脂うち重量平均分子量が1500以上のエポキシ樹脂が例示される。高分子量エポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
中でも、高分子量エポキシ樹脂としては、得られる硬化物膜の強度や柔軟性、耐候性の点から、重量平均分子量が1500以上の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂や水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0025】
高分子量エポキシ樹脂とともに、上記列挙したエポキシ樹脂のうち重量平均分子量が1500未満のエポキシ樹脂(以下、便宜上「低分子量エポキシ樹脂」ともいう。)を用いることができる。低分子量エポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂が好ましい。脂環式エポキシ樹脂としては、公知のものを好適に採用することができ、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸アリル、重量平均分子量が1500未満の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。低分子量エポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
高分子量エポキシ樹脂の重量平均分子量は1500以上であればよく、1700以上が好ましく、1800以上がより好ましい。なお、上記重量平均分子量の上限は、得られる硬化樹脂層の過度の硬化による脆化抑制の観点から、5000が好ましく、2000がより好ましい。エポキシ樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、結晶性が高く優れた膜強度を有する硬化樹脂層を形成することができる。
【0027】
なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、TOSOH製HLC−8320GPC)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値である。測定の条件は以下の通りである。カラム:SHODEXGPC KF−802.5/GPC KF−G、カラムサイズ:6.0mm内径×150mm、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、溶液濃度:0.05重量%、流量:1mL/min、検出器:示差屈折計(RI)、カラム温度:40℃、注入量:2mL
【0028】
高分子量エポキシ樹脂は、ゴム変性エポキシ樹脂であることが好ましい。これにより硬化樹脂層に靭性や耐衝撃性を好適に付与することができる。エポキシ樹脂を変性するためのゴム成分としては特に限定されず、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられる。中でも、靭性や耐薬品性の点で、ブタジエンゴムが好ましい。ゴム変性エポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
ゴム変性エポキシ樹脂の調製方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、ゴム成分のポリマー主鎖の末端にカルボキシル基を導入し、このカルボキシル基とエポキシ樹脂のエポキシ基とをリン系触媒やアミン系触媒等の触媒存在下にて反応させる方法等が挙げられる。
【0030】
上記樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことが好ましい。これによりエポキシ樹脂の硬化反応を迅速かつ十分に進行させることができ、膜強度の高い硬化物膜を形成することができる。硬化促進剤としては特に限定されず、例えば、オクタン酸,ステアリン酸,アセチルアセトネート,ナフテン酸,サリチル酸等の有機酸の亜鉛,銅,鉄、アンチモン等の有機金属塩;金属キレート等が挙げられる。中でも、硬化促進剤はアンチモンを含むことが好ましい。アンチモン含有硬化促進剤は、樹脂組成物の硬化反応を迅速かつ十分に進行させることができ、より強固な硬化物膜を効率的に形成することができる。なお、硬化促進剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、0.005〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜4重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部である。硬化促進剤の含有量が上記下限を下回ると、硬化促進効果が不十分となる場合がある。一方、硬化促進剤の含有量が上記上限を上回ると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
【0032】
前記樹脂組成物と前記エポキシ樹脂の硬化促進剤との混合物を170℃で加熱した際のゲル化時間は50秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。硬化促進剤を加えた樹脂組成物のゲル化時間を50秒以下とすることで、樹脂組成物の硬化反応を速やかに、かつ十分に進行させ、より強固な硬化物膜を形成することができる。なお、上記ゲル化時間は短い方が好ましいものの、混合物の安定性やハンドリング性の観点から10秒以上であることが好ましい。
【0033】
樹脂組成物には、エポキシ樹脂のほか、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、シリコーン樹脂等を適宜配合してもよい。さらに樹脂組成物には各種の添加剤を加えることもできる。添加剤としては、例えばレベリング剤、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等を使用することができる。
【0034】
(硬化樹脂層の物性)
硬化樹脂層の表面弾性率は4GPa以上12GPa以下であればよい。さらに当該表面弾性率は4.5GPa以上が好ましく、5GPa以上がより好ましい。また、当該表面弾性率は10GPa以下が好ましく、9GPa以下がより好ましい。硬化樹脂層の表面弾性率が上記下限未満であると、硬化樹脂層の膜強度が不十分となって、透明導電性フィルムの耐湿熱性が低下するおそれがある。一方、硬化樹脂層の表面弾性率が上記上限を超えると、硬化樹脂層の柔軟性が低下し、透明導電性フィルムを折り曲げた際に白化やクラックが生じるおそれがある。
【0035】
硬化樹脂層の温度85℃、湿度85%の雰囲気下での飽和膨張率が0.5%以下であることが好ましく、0.4%以下がより好ましい。硬化樹脂層の飽和膨張率をこのような範囲とすることで透明導電性フィルムの耐湿熱性が高まり、電気特性のアウトプットの安定性及び確実性を高めることができる。なお、上記飽和膨張率は低ければ低いほど好ましいが、硬化樹脂層の柔軟性の点から、0.05%以上であることが好ましい。飽和膨張率は、熱機械測定装置(TMA)を用い、温度85℃、湿度85%の雰囲気中にフィルムを投入し、飽和状態になった時の寸法変化量を求めることにより求められる。
【0036】
硬化樹脂層2は、透明樹脂フィルム1と透明導電膜3の間に設けられるものであり、導電体層としての機能を有しないものである。即ち、硬化樹脂層2は、パターン化された透明導電膜3の間で絶縁できるように誘電体層として設けられる。従って、硬化樹脂層2は、通常、表面抵抗が、1×10
6Ω/□以上であり、好ましくは1×10
7Ω/□以上、さらに好ましくは1×10
8Ω/□以上である。なお、硬化樹脂層2の表面抵抗の上限は特にない。一般的には、硬化樹脂層2の表面抵抗の上限は測定限界である、1×10
13Ω/□程度であるが、1×10
13Ω/□を超えるものであってもよい。
【0037】
硬化樹脂層2の厚みは特に制限されるものではないが、耐湿熱性、前記透明樹脂フィルム1からのオリゴマー発生防止効果、及び光学特性の点から、150nm以下であり、好ましくは20〜100nm程度であり、より好ましくは30〜50nmである。なお、硬化樹脂層2を2層以上設ける場合、各層の厚みは、20〜60nm程度であり、好ましくは25〜55nmである。
【0038】
本実施形態では、パターン化した透明導電膜3と硬化樹脂層2とを有することで、表示素子として見栄えが良好なものが得られる。かかる観点から、硬化樹脂層2の屈折率は、透明導電膜3の屈折率と硬化樹脂層の屈折率の差が、0.1以上を有するものが好ましい。透明導電膜3の屈折率と硬化樹脂層の屈折率の差は、0.1以上0.9以下、さらには0.1以上0.6以下であるのが好ましい。なお、硬化樹脂層2の屈折率は、通常、1.3〜2.5、さらには1.38〜2.3、さらには1.4〜2.3であるのが好ましい。
【0039】
透明導電膜3は、前述の通り、硬化樹脂層2との屈折率の差が0.1以上であるものが好適である。透明導電膜3の屈折率は、通常、1.95〜2.05程度である。
【0040】
硬化樹脂層の形成方法は特に限定されないものの、コーティングによることが好ましい。まず、上述の成分を配合した樹脂組成物を溶媒に均一に溶解、分散し、コーティング溶液を調製する。溶媒としては特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;などが挙げられる。これらの溶媒を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
【0041】
コーティング溶液の固形分濃度は、0.5重量%〜2.5重量%が好ましく、1.0重量%〜2.0重量%がより好ましく、1.5重量%〜1.9重量%が特に好ましい。
【0042】
硬化樹脂層は、透明樹脂フィルム上に、上記のコーティング溶液を塗布し、硬化させることにより形成される。なお、コーティング溶液は、透明樹脂フィルム1上に直接行ってもよく、透明樹脂フィルム1上に形成されたアンダーコート層等の上に行うこともできる。
【0043】
コーティング溶液の塗布方法は、コーティング溶液及び塗装工程の状況に応じて適時選択することができ、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法やエクストルージョンコート法などにより塗布することができる。
【0044】
最後に、得られた塗膜を加熱硬化させることによって、硬化樹脂層を形成することができる。加熱方法としては、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、真空乾燥機、マイクロ波加熱乾燥機等による加熱を採用することができる。加熱温度としては、例えば100〜200℃であり、120〜180℃が好ましい。加熱時間としては、例えば0.5〜10分間であり、1〜5分間が好ましい。
【0045】
(透明導電膜)
前記透明導電膜3の構成材料としては特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズなどが好ましく用いられる。
【0046】
透明導電膜3の厚みは特に制限されないが、その表面抵抗を1×10
3Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚み10nm以上とするのが好ましい。膜厚が、厚くなりすぎると透明性の低下などをきたすため、15〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmの範囲内である。厚みが15nm未満であると表面電気抵抗が高くなり、かつ連続被膜になり難くなる。また、35nmを超えると透明性の低下などをきたしてしまう。
【0047】
透明導電膜3の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。なお、透明導電膜3を形成した後、必要に応じて、100〜150℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化することができる。このため、透明樹脂フィルム1は、100℃以上、更には150℃以上の耐熱性を有することが好ましい。本実施形態では、透明導電膜3は、エッチングしてパターン化される。透明導電膜3を結晶化するとエッチングが困難になる場合があるため、透明導電膜3のアニール化処理は、透明導電膜3をパターン化した後に行うことが好ましい。さらには硬化樹脂層2をエッチングする場合には、硬化樹脂層2のエッチングの後に透明導電膜3のアニール化処理を行うことが好ましい。
【0048】
透明導電膜3は、硬化樹脂層2上でパターン化されていてもよい。パターン化は、各種態様を、透明導電性フィルムが適用される用途に応じて、各種のパターンを形成することができる。なお、透明導電膜3のパターン化により、パターン部と非パターン部が形成されるが、パターン部の形状としては、例えば、ストライプ状等があげられる。
図5は、本実施形態の透明導電性フィルムの上面図に係わり、透明導電膜3としてストライプ状に形成した場合の一例であり、透明導電膜3のパターン部aと非パターン部bがストライプ状に形成されている。なお、
図5では、パターン部aの幅が非パターン部bの幅より大きいが、この範囲に制限されるものではない。
【0049】
パターン化した透明導電膜を温度85℃、湿度85%の雰囲気下で240時間置いた前後での透明導電膜の表面抵抗値の変化率は、1.5以下あることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。これにより、透明導電性フィルムが過酷な環境下に置かれた場合であっても所期の電気特性を発揮することができ、これにより多様な用途展開を図ることができる。
【0050】
(その他の構成)
透明樹脂フィルム1の透明導電膜3が形成されている面と反対側の面には、必要に応じてハードコート層や易接着層、ブロッキング防止層等が設けられていてもよい。
【0051】
(透明導電性フィルムの製造方法)
本実施形態の透明導電性フィルムの製造方法は、透明樹脂フィルムの片面または両面に、硬化樹脂層および透明導電膜が上記構造を有するものであれば、その製造方法は特に制限されない。例えば、通常に従って、透明樹脂フィルムの片面または両面に、透明樹脂フィルムの側から少なくとも1層の硬化樹脂層を介して、透明導電膜を有する透明導電性フィルムを調製した後に、前記透明導電膜を、エッチングしてパターン化することにより製造することができる。エッチングに際しては、パターンを形成するためのマスクにより透明導電膜を覆って、エッチング液により、透明導電膜をエッチングする。
【0052】
透明導電膜は、酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズが好適に用いられるため、エッチング液としては、酸が好適に用いられる。酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、およびこれらの混合物、ならびにそれらの水溶液があげられる。
【0053】
また、本実施形態の透明導電性フィルムの片面には、透明基体5が貼り合わされた透明導電性フィルムの片面に前記パターン化された透明導電膜3が配置されるように、透明な粘着剤層4を介して透明基体5を貼り合わせることができる。
図4は、
図1の透明導電性フィルムの透明樹脂フィルム1(透明導電膜3が設けられていない面)に透明な粘着剤層4を介して透明基体5が貼り合わされた構造の透明導電性フィルムである。透明基体5は、少なくとも2枚の透明な基体フィルムを透明な粘着剤層により貼り合わせた複合構造であってもよい。なお、前記透明導電膜3のパターン化は、かかる構造とした透明導電性フィルムに対して施すこともできる。
【0054】
透明基体5の厚みは、通常、90〜300μmであるのが好ましく、より好ましくは100〜250μmに制御される。また、透明基体5を形成する複数の基体フィルムにより形成する場合、各基体フィルムの厚みは10〜200μm、更には20〜150μmであり、これら基体フィルムに透明な粘着剤層を含めた透明基体5としての総厚みが前記範囲に入るように制御される。基体フィルムとしては、前記した透明樹脂フィルム1と同様のものが挙げられる。
【0055】
透明導電性フィルム(例えば、透明樹脂フィルム1)と透明基体5の貼り合わせは、透明基体5側に前記の粘着剤層4を設けておき、これに前記透明樹脂フィルム1を貼り合わせるようにしてもよいし、逆に透明樹脂フィルム1側に前記の粘着剤層4を設けておき、これに透明基体5を貼り合わせるようにしてもよい。後者の方法では、粘着剤層4の形成を、透明樹脂フィルム1をロール状にして連続的に行なうことができるので、生産性の面で一層有利である。また、透明樹脂フィルム1に、順次に複数の基体フィルムを粘着剤層により貼り合せることにより透明基体5を積層することもできる。なお、基体フィルムの積層に用いる透明な粘着剤層には、下記の透明な粘着剤層4と同様のものを用いることができる。また、透明導電性フィルム同士の貼り合わせに際しても、適宜に粘着剤層4を積層する透明導電性フィルムの積層面を選択して、透明導電性フィルム同士を貼り合せることができる。
【0056】
粘着剤層4としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性及び接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0057】
粘着剤層4の構成材料である粘着剤の種類によっては、適当な粘着用下塗り剤を用いることで投錨力を向上させることが可能なものがある。従って、そのような粘着剤を用いる場合には、粘着用下塗り剤を用いることが好ましい。
【0058】
前記粘着用下塗り剤としては、粘着剤の投錨力を向上できる層であれば特に制限はない。具体的には、例えば、同一分子内にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等の反応性官能基と加水分解性のアルコキシシリル基とを有するシラン系カップリング剤、同一分子内にチタンを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するチタネート系カップリング剤、及び同一分子内にアルミニウムを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するアルミネート系カップリング剤等のいわゆるカップリング剤、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エステルウレタン系樹脂等の有機反応性基を有する樹脂を用いることができる。工業的に取扱い易いという観点からは、シラン系カップリング剤を含有する層が特に好ましい。
【0059】
また、前記粘着剤層4には、ベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また、粘着剤層4には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性が付与された粘着剤層4とすることもできる。
【0060】
尚、前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、酸化カルシウム、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性の無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタンの如き適宜なポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子など適宜なものを1種又は2種以上用いることができる。
【0061】
前記粘着剤層4は、通常、ベースポリマー又はその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の粘着剤溶液として用いられる。前記溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の粘着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
【0062】
また、粘着剤層4の厚みが1μm未満となると、そのクッション効果が期待できないため、透明導電膜3の耐擦傷性やタッチパネル用としてのペン入力耐久性および面圧耐久性を向上させることが困難になる傾向がある。その一方、厚くしすぎると、透明性を損なったり、粘着剤層4の形成や透明基体5の貼り合わせ作業性、更にコストの面でも好結果を得にくい。
【0063】
この様な粘着剤層4を介して貼り合わされる透明基体5は、透明樹脂フィルム1に対して良好な機械的強度を付与し、ペン入力耐久性および面圧耐久性の他に、とくに、カールなどの発生防止に寄与するものである。
【0064】
離形フィルムSを用いて粘着剤層4を転写する場合、その様な離形フィルムSとしては、例えばポリエステルフィルムの少なくとも粘着剤層4と接着する面に移行防止層及び/又は離型層が積層されたポリエステルフィルム等を用いるのが好ましい。
【0065】
前記離形フィルムSの総厚は、30μm以上であることが好ましく、60〜100μmの範囲内であることがより好ましい。粘着剤層4の形成後、ロール状態にて保管する場合に、ロール間に入り込んだ異物等により発生することが想定される粘着剤層4の変形(打痕)を抑制する為である。
【0066】
(タッチパネル)
本実施形態の透明導電性フィルムは、例えば、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネルに好適に適用できる。特に、静電容量方式のタッチパネルに好適である。また、本実施形態の透明導電性フィルムは、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、サーマル・リライタブル方式、光書き込み液晶方式、高分子分散型液晶方式、ゲスト・ホスト液晶方式、トナー表示方式、クロミズム方式、電界析出方式などのフレキシブル表示素子に好適に利用できる。
【0067】
<第2実施形態>
第1実施形態では、1層の硬化樹脂層が形成されているのに対し、本実施形態では2層設けられている。
図2は、硬化樹脂層2が2層ある場合である。
図2では、透明樹脂フィルム1の側から硬化樹脂層21、22がこの順で設けられている。
図2では、非パターン部bに硬化樹脂層21、22を有する場合である。第一層目より上側の硬化樹脂層22は、パターン化されていてもよく、パターン化されていなくてもよい。
【0068】
第1実施形態における硬化樹脂層の形成材料以外に、本実施形態では無機物を好適に最良することができる。例えば、無機物として、NaF(1.3)、Na
3AlF
6(1.35)、LiF(1.36)、MgF
2(1.38)、CaF
2(1.4)、BaF
2(1.3)、SiO
2(1.46)、LaF
3(1.55)、CeF
3(1.63)、Al
2O
3(1.63)などの無機物〔上記各材料の括弧内の数値は光の屈折率である〕があげられる。これらのなかでも、SiO
2、MgF
2、A1
2O
3などが好ましく用いられる。特に、SiO
2が好適である。上記の他、酸化インジウムに対して、酸化セリウムを10〜40重量部程度、酸化錫を0〜20重量部程度含む複合酸化物を用いることができる。
【0069】
無機物により形成された硬化樹脂層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスとして、またはウェット法(塗工法)などにより形成できる。硬化樹脂層を形成する無機物としては、前述の通り、SiO
2が好ましい。ウェット法では、シリカゾル等を塗工することによりSiO
2膜を形成することができる。
【0070】
本実施形態では、硬化樹脂層21、22の形成材料として、第1実施形態における樹脂や上記無機物等を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0071】
<他の実施形態>
図2では、硬化樹脂層2が2層の場合を例示しているが、硬化樹脂層2は3層以上であってもよい。硬化樹脂層2が3層以上の場合にも非パターン部bには、透明樹脂フィルム1の側から第一層目の硬化樹脂層21を少なくとも有する。第一層目より上側の硬化樹脂層は、パターン化されていてもよく、パターン化されていなくてもよい。
【0072】
図3も、本実施形態の透明導電性フィルムの一例を示す断面図である。なお、
図3では、
図1と同様の構成をもって説明しているが、
図3においても、当然、
図2で説明した構成と同様の構成を適用できる。
図3の透明導電性フィルムは、透明樹脂フィルム1の両面に、硬化樹脂層2を介して、パターン化された透明導電膜3を有する場合である。なお、
図3の透明導電性フィルムは、両側に、パターン化された透明導電膜3を有するが、片側のみがパターン化されていてもよい。また、
図3の透明導電性フィルムは、両側のパターン化された透明導電膜3のパターン部aと非パターン部bが一致しているが、これらは一致していなくてもよく、各種の態様にて両側で適宜にパターン化することができる。他の、図においても同様である。
【実施例】
【0073】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、各例中、部、%はいずれも重量基準である。
【0074】
《実施例1》
(硬化樹脂層の形成)
ゴム変性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂骨格部分の重量平均分子量:2000)を主成分とするアデカフィルテラBUR−12Aを10部、アンチモン系硬化促進剤であるアデカフィルテラBUR−12Bを0.001部混合し、この混合物に対してメチルイソブチルケトンを90部添加してコーティング溶液を調製した。混合物を170℃にて加熱した際のゲル化時間は10秒であった。厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)からなる透明樹脂フィルムの一方の面に前記コーティング溶液を塗布し、塗膜を乾燥(195℃で1分間)させることにより、厚みが30nmの硬化樹脂層を形成した。
【0075】
混合物のゲル化時間の測定については、混合物量を2gとし、規定温度を170℃に設定したこと以外は「JIS C 6521 5.7 硬化時間」に準じて測定した。すなわち、混合物2gを170℃に調節したホットプレート上に置き、時間計測を開始した。直ちにへらで接触円運動を繰り返し、ゲル化するまでの時間を計った。接触円運動のときには、混合物が直径25mmの範囲内におさまるようにし、へらは混合物の粘度が低い間は持ち上げないようにし,粘度が上昇してきたら時々ホットプレートから約30mm垂直に持ち上げ、糸状のものが切れるまでこの上下運動を繰り返し行った。硬化時間は、ホットプレートに混合物を置いたときからへらを持ち上げたとき糸状のものが切れるときまでとした。なお、接触円運動は1回転1秒程度の速さとした。測定は3回繰り返し、その平均値を硬化時間(ゲル化時間)とした。
【0076】
(透明導電膜の形成)
次に、硬化樹脂層上に、アルゴンガス98%と酸素ガス2%とからなる0.4Paの雰囲気中で、酸化インジウム90重量%、酸化スズ10重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚み20nmのITO膜(光の屈折率2.00)を形成して、透明導電性フィルムを得た。
【0077】
(ITO膜のパターン化)
上記ITO膜上に、ストライプ状にパターン化されるようにセロハンテープを貼り合わせた後、これを50℃、10重量%の塩酸(塩化水素水溶液)に10分間浸漬して、ITO膜のエッチングを行った。得られたITO膜のパターン幅は6mmであり、パターンピッチは6mmであった。その後、セロハンテープを除去し、ITO膜のパターン化を行った。
【0078】
(ITO膜の結晶化)
ITO膜のエッチングを行った後、140℃で90分間の加熱処理を行ってITO膜を結晶化することで、ITO膜がパターン化された透明導電性フィルムを作製した。
【0079】
《実施例2》
硬化樹脂層の形成において、ゴム変性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂骨格部分の重量平均分子量:2000)を主成分とするアデカフィルテラCRX−11を10部、アンチモン系硬化促進剤であるアデカフィルテラBUR−12Bを0.001部混合した混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。この混合物のゲル化時間は32秒であった。
【0080】
《実施例3》
硬化樹脂層の形成において、ゴム変性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂骨格部分の重量平均分子量:2000)を主成分とするアデカフィルテラCRX−10を10部、アンチモン系硬化促進剤であるアデカフィルテラBU−12Bを0.001部混合した混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。この混合物のゲル化時間は28秒であった。
【0081】
《比較例1》
硬化樹脂層の形成において、アクリル変性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂骨格部分の重量平均分子量:500)を主成分とするアデカフィルテラCRX−6を10部、亜鉛系硬化促進剤(アデカスタブ)を0.5部混合した混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。この混合物のゲル化時間は240秒であった。
【0082】
《比較例2》
硬化樹脂層の形成において、アクリル変性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂骨格部分の重量平均分子量:500)を主成分とするアデカフィルテラCRX−5を10部、亜鉛系硬化促進剤(アデカスタブ)を0.5部混合した混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。この混合物のゲル化時間は99秒であった。
【0083】
《比較例3》
硬化樹脂層の形成において、変性処理をしていないエポキシ樹脂(重量平均分子量:500)を主成分とするアデカフィルテラCRX−4を10部、亜鉛系硬化促進剤(アデカスタブ)を0.5部混合した混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。この混合物のゲル化時間は102秒であった。
【0084】
《比較例4》
硬化樹脂層の形成において、変性処理をしていないエポキシ樹脂(重量平均分子量:500)を主成分とするアデカフィルテラCRX−3を10部、亜鉛系硬化促進剤(アデカスタブ)を0.5部混合した混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。この混合物のゲル化時間は67秒であった。
【0085】
実施例および比較例の透明導電性フィルム(サンプル)について、下記評価を行った。結果を表1又は本文中に示す。
【0086】
(1)各層の厚み
透明樹脂フィルム等の1μm以上の厚みを有するものに関しては、ミツトヨ製マイクロゲージ式厚み計にて測定を行った。硬化樹脂層、ITO膜等の厚みは、大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システムであるMCPD2000(商品名)を用い、干渉スペクトルよりの波形を基礎に算出した。
【0087】
(2)硬化樹脂層の表面弾性率
透明導電性フィルムを50℃、10重量%の塩酸(塩化水素水溶液)に10分間浸漬してITO膜を除去し、硬化樹脂層を露出させた。この硬化樹脂層の表面弾性率を以下の手順にて測定した。Hysitron Inc.製、Triboindenter装置、使用圧子:Berkovich(三角錐型)を用いて単一押し込み法にて温度25℃、押し込み量20nmで測定を実施した。
【0088】
(3)耐湿熱特性
得られた結晶質の透明導電層の表面抵抗値(Ω/□)をJIS K7194(1994年)に準じて四端子法により測定し、これを初期の表面抵抗値R0とした。つぎに、85℃、85%RHに設定した恒温恒湿機(エスペック社製、LHL−113)に240時間放置した際の表面抵抗値R240を測定した。これらより抵抗変化率としてR240/R0を求めた。抵抗変化率が1.5以下の場合を「○」、1.5を超えた場合を「×」として評価した。
【0089】
(4)耐溶剤性
作製した透明導電性フィルムをイソプロパノールに25℃で10分間浸漬した後に取り出し、純水にて洗浄し、乾燥後に硬化樹脂層の表面を目視にて観察した。外観に変化がなかった場合を「○」、粗化ないし変色等の外観の変化があった場合を「×」として評価した。
【0090】
(5)アルカリ耐久性
作製した透明導電性フィルムをアルカリ溶液(5wt%)に50℃で5分間浸漬した後に取り出し、純水にて洗浄し、乾燥後に硬化樹脂層の表面を目視にて観察した。外観に変化がなかった場合を「○」、粗化ないし変色等の外観の変化があった場合を「×」として評価した。
【0091】
(6)オリゴマーの滲出の有無
作製した透明導電性フィルムに対し160℃で2時間加熱処理を行い、その際の硬化樹脂層からのオリゴマーの滲出を目視にて確認した。以下の基準で評価した。
○:オリゴマーの滲出は確認されなかった。
△:オリゴマーの滲出がわずかに確認された。
×:オリゴマーの滲出が広範囲にわたっていた。
【0092】
【表1】
【0093】
表1から、実施例の透明導電性フィルムは、優れた耐湿熱性を有しており、高温高湿条件下での使用にも耐え得ることが認められる。