【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書において、ロジンエステルが提供される。ロジンエステルは、改善された色(たとえばロジンエステルは、4以下のニートガードナーカラーを有することができる)、改善された酸化安定性(たとえば、ロジンエステルと組み合わせて1000ppm以下の酸化防止剤が存在するとき、ロジンエステルは130℃で少なくとも30分の酸化誘導時間を示すことができる)、改善された色安定性(たとえば、160℃の温度に3時間加熱したときに、ロジンエステルは5以下のニートガードナーカラーを保持することができる)、またはその組み合わせを示すことができる。
【0019】
ロジンエステルは、ロジンのエステル化によって形成することができる。コロホニーまたはグリークピッチ
【化1】
とも呼ばれるロジンは、植物、典型的にはマツ(たとえばダイオウマツ(Pinus palustris及びPinus caribaea)などの針葉樹の固体炭化水素分泌物である。ロジンは、ロジン酸の混合物を含むことができ、ロジンの詳細な組成は、一部、植物種に依存して変動する。ロジン酸は、数及び位置が異なる二重結合を含む三つの縮合した六個の炭素の環の核を有するC
20縮合環モノカルボン酸である。ロジン酸の例としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、レボピマール酸、サンダラコピマール酸、イソピマール酸及びパルストリン酸が挙げられる。天然のロジンは典型的には、少量の他の成分と一緒に、7または8種の樹脂酸の混合物からなる。
【0020】
ロジンは市販されており、オレオレジン(oleoresin)の蒸留(ガムロジンは蒸留残渣である)、松の根(ウッドロジン)の抽出またはトールオイル(トールオイルロジン)の分留により松の木から得ることができる。本明細書で記載するロジンエステルを製造するために、トールオイルロジン、ガムロジン及びウッドロジン及びそれらの混合物を含む任意の種類のロジンを使用することができる。特定の態様では、ロジンエステルはトールオイルロジンから誘導される。市販のロジンの例としては、Arizona Chemicalより市販のSYLVAROS(登録商標)90などのトールオイルロジンが挙げられる。
【0021】
上記のように、ロジンは、その環系内に共役二重結合を含むことができるロジン酸(たとえばアビエタジエン酸)の混合物を含む。これらの共役二重結合は、酸化不安定性の源となりえる。従って、場合によっては、ロジン、ロジンエステル、またはその組み合わせを処理して共役二重結合を含む成分の重量パーセントを減らす。たとえば、ロジンまたはロジンエステルのPAN数は、ロジンまたはロジンエステルの全重量を基準として、ロジンまたはロジンエステル中に存在するアビエタジエン酸(特に、パルストリン酸、アビエチン酸及びネオアビエチン酸)の重量パーセントを指す。本明細書中で使用する「PAN数(PAN number)」は具体的には、ASTM D5974−00(2010)に記載の方法に従って測定して、ロジンまたはロジンエステル中のパルストリン酸、アビエチン酸及びネオアビエチン酸部分の重量パーセントの合計を指す。
【0022】
ロジンエステルは低いPAN数を有することができる。態様によっては、ロジンエステルは、ASTM D5974−00(2010)に記載の方法に従って測定して、15.0以下(たとえば14.5以下、14.0以下、13.5以下、13.0以下、12.5以下、12.0以下、11.5以下、11.0以下、10.5以下、10.0以下、9.5以下、9.0以下、8.5以下、8.0以下、7.5以下、7.0以下、6.5以下、6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、または1.0以下)のPAN数を有することができる。
【0023】
ロジンエステルは、ロジンエステルの全重量を基準として、少なくとも70重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸(たとえば少なくとも75重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸、少なくとも80重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸、少なくとも85重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸、少なくとも90重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸または少なくとも95重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸)を含むことができる。
【0024】
態様によっては、ロジンエステル中のエステル化デヒドロアビエチン酸対エステル化ジヒドロアビエチン酸の重量比は、1.3:1以下(たとえば、1.25:1以下、1.2:1以下、1.15:1以下、1.1:1以下、1.05:1以下、1:1以下、1:1.05以下、1:1.1以下、1:1.15以下、1:1.2以下、1:1.25以下、1:1.3以下、1:1.35以下、1:1.4以下、1:1.45以下、1:1.5以下、1:1.55以下、1:1.6以下、1:1.65以下、1:1.7以下、1:1.75以下、1:1.8以下、1:1.85以下、1:1.9以下、1:1.95以下、1:2以下、1:2.05以下、1:2.1以下、1:2.15以下、1:2.2以下、1:2.25以下、1:2.3以下、1:2.35以下、1:2.4以下、1:2.45以下、1:2.5以下、または1:2.55)である。態様によっては、ロジンエステル中のエステル化デヒドロアビエチン酸対エステル化ジヒドロアビエチン酸の重量比は、少なくとも1:2.6(たとえば、少なくとも1:2.55、少なくとも1:2.5、少なくとも1:2.45、少なくとも1:2.4、少なくとも1:2.35、少なくとも1:2.3、少なくとも1:2.25、少なくとも1:2.2、少なくとも1:2.15、少なくとも1:2.1、少なくとも1:2.05、少なくとも1:2、少なくとも1:1.95、少なくとも1:1.9、少なくとも1:1.85、少なくとも1:1.8、少なくとも1:1.75、少なくとも1:1.7、少なくとも1:1.65、少なくとも1:1.6、少なくとも1:1.55、少なくとも1:1.5、少なくとも1:1.45、少なくとも1:1.4、少なくとも1:1.35、少なくとも1:1.3、少なくとも1:1.25、少なくとも1:1.2、少なくとも1:1.15、少なくとも1:1.少なくとも1:1.05、少なくとも1:1、少なくとも1.05:1、少なくとも1.1:1、少なくとも1.15:1、少なくとも1.2:1、または少なくとも1.25:1)である。
【0025】
ロジンエステル中のエステル化デヒドロアビエチン酸対エステル化ジヒドロアビエチン酸の重量比は、上記最小値のいずれか乃至上記最大値のいずれかの範囲のことができる。たとえば、ロジンエステル中のエステル化デヒドロアビエチン酸対エステル化ジヒドロアビエチン酸の重量比は、1.3:1〜1:2.6(たとえば、1.3:1〜1:2.5、1.3:1〜1:1.6、または1.2:1〜1:1.5)の範囲のことができる。
【0026】
ロジンエステルは、任意の好適なアルコールから誘導することができ、その例としては、モノアルコール、ジオール及び他のポリオールが挙げられる。好適なアルコールの例としては、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、2−エチルヘキサノール、ジグリセロール、トリペンタエリトリトール、C
8−C
11分枝または非分枝アルキルアルコール、及びC
7−C
16分枝または非分枝アリールアルキルアルコールが挙げられる。特定の態様では、ロジンエステルは、多価アルコールから誘導される。特定の態様では、多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、マンニトール及びその組み合わせからなる群から選択することができる。
【0027】
ロジンエステルは、ASTM D5296−05に記載のように、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定して、少なくとも800g/mol(たとえば、少なくとも850g/mol、少なくとも900g/mol、少なくとも950g/mol、少なくとも1000g/mol、少なくとも1050g/mol、少なくとも1100g/mol、少なくとも1150g/mol、少なくとも1200g/mol、少なくとも1250g/mol、少なくとも1300g/mol、少なくとも1350g/mol、少なくとも1400g/mol、少なくとも1450g/mol、少なくとも1500g/mol、少なくとも1550g/mol、少なくとも1600g/mol、少なくとも1650g/mol、少なくとも1700g/mol、少なくとも1750g/mol、少なくとも1800g/mol、少なくとも1850g/mol、少なくとも1900g/mol、または少なくとも1950g/mol)の重量平均分子量を有することができる。ロジンエステルのブレンドは、2000g/mol以下(たとえば、1950g/mol以下、1900g/mol以下、1850g/mol以下、1800g/mol以下、1750g/mol以下、1700g/mol以下、1650g/mol以下、1600g/mol以下、1550g/mol以下、1500g/mol以下、1450g/mol以下、1400g/mol以下、1350g/mol以下、1300g/mol以下、1250g/mol以下、1200g/mol以下、1150g/mol以下、1100g/mol以下、1050g/mol以下、1000g/mol以下、950g/mol以下、900g/mol以下、または850g/mol以下)の重量平均分子量を有することができる。
【0028】
ロジンエステルは、上記最小値のいずれか乃至上記最大値のいずれかの範囲の重量平均分子量を有することができる。たとえば、ロジンエステルは、800g/mol〜2000g/mol(たとえば、900g/mol〜1600g/mol、または1000g/mol〜1500g/mol)の重量平均分子量を有することができる。
【0029】
ロジンエステルは低いニートガードナーカラーを有することができる。態様によっては、ロジンエステルは、ASTM D1544−04(2010)に記載の方法に従って測定して、4.0以下(たとえば、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、または0.5以下)のニートガードナーカラーを有する。
【0030】
特定の態様では、ロジンエステルは、改善された色安定性を示すことができる。たとえば、160℃の温度に3時間加熱したときに、エステルは、5以下(たとえば、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、または0.5以下)のニートガードナーカラーを保持することができる。
【0031】
ロジンエステルは改善された酸化安定性も示すことができる。たとえば態様によっては、ロジンエステルと組み合わせて1000ppm以下の酸化防止剤が存在するとき、ASTM D5483−05(2010)に記載の方法を使用して測定して、130℃において、少なくとも30分(たとえば、少なくとも31分、少なくとも32分、少なくとも33分、少なくとも34分、少なくとも35分、少なくとも36分、少なくとも37分、少なくとも38分、少なくとも39分、少なくとも40分、少なくとも41分、少なくとも42分、少なくとも43分、少なくとも44分、少なくとも45分、少なくとも50分、少なくとも55分、少なくとも60分、少なくとも65分、少なくとも70分、少なくとも75分、またはより長い)の酸化誘導時間を示すことができる。たとえば、ロジンエステルが1000ppmの酸化防止剤を含むとき、またはロジンエステルが1000ppm未満の酸化防止剤(たとえば、酸化防止剤800ppm、酸化防止剤600ppm、酸化防止剤400ppm、酸化防止剤200ppm、酸化防止剤100ppm、酸化防止剤50ppm、または酸化防止剤0ppm)を含むとき、ロジンエステルは、ASTM D5483−05(2010)に記載の方法を使用して測定して、130℃で上記の酸化誘導時間を示すことができる。場合により、ロジンエステルと組み合わせて1000ppm以下の酸化防止剤が存在するとき、ロジンエステルは、ASTM D5483−05(2010)に記載の方法に従って測定して、130℃で250分以下(たとえば、200分以下)の酸化誘導時間を示すことができる。
【0032】
場合により、ロジンエステルは低い水酸基価(hydroxyl number)を有することができる。態様によっては、ロジンエステルは、DIN 53240−2に提供された標準方法の修正版(異なる溶媒のテトラヒドロフランを適用)を使用して測定して、5.0以下(たとえば、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、または1.0以下)の水酸基価を有する。この水酸基価は、ロジンエステル試料1グラム当たりのKOHのmgとして表される。
【0033】
ロジンエステルは低い酸価を有することができる。態様によっては、ロジンエステルは、ASTM D465−05(2010)に記載の方法に従って測定して、10.0以下(たとえば、9.5以下、9.0以下、8.5以下、8.0以下、7.5以下、7.0以下、6.5以下、6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、または1.0以下)の酸価を有する。この酸価は、ロジンエステル試料1g当たりのKOHのmgとして表される。
【0034】
ロジンエステルは、場合によって、少量の硫黄含有量を有することができる。硫黄含有量は、ASTM D5453−05に記載の標準方法を使用してANTEK(登録商標)9000硫黄分析器で測定することができる。態様によっては、ロジンエステルは、400ppm未満の硫黄(たとえば、350ppm未満の硫黄、300ppm未満の硫黄、250ppm未満の硫黄、または200ppm未満の硫黄)を含む。
【0035】
また、本明細書中に記載のロジンエステルと、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーと、を含むポリマー組成物も提供される。これに関連して、エチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、少なくとも一部、エチレン性不飽和モノマーの重合から誘導したポリマーを含む。たとえば、エチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物のラジカル重合により得ることができる。エチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合(たとえばラジカル重合)により得られるモノマー単位を含むといえる。ポリマー組成物は、本明細書に記載のロジンエステルと、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導した二種以上のポリマーのブレンドも含むことができる。これらの場合において、二種以上のポリマーのブレンドは、たとえば様々な化学組成(たとえばエチレン酢酸ビニル共重合体とポリ酢酸ビニルとのブレンド;またはエチレンと酢酸ビニルモノマーの様々な重量パーセントから誘導した二種のエチレン酢酸ビニル共重合体のブレンド)を有する二種以上のポリマーのブレンドでありえる。
【0036】
態様によっては、ロジンエステルは一を超える種類のロジンエステルを含む。たとえば、ロジンエステルは、同じ種類のロジンと二種の異なるアルコールから誘導される二種のロジンエステルの混合物(たとえばトールオイルロジンのペンタエリトリトールエステルとトールオイルロジンのグリセロールエステル)、同じアルコールと二種の異なる種類のロジンから誘導される二種のロジンエステルの混合物(たとえば、トールオイルロジンのペンタエリトリトールエステルとガムロジンのペンタエリトリトールエステル)、または二種の異なる種類のアルコールと二種の異なる種類のロジンから誘導される二種のロジンエステルの混合物(たとえば、トールオイルロジンのペンタエリトリトールエステルと、ガムロジンのグリセロールエステル)を含むことができる。
【0037】
ポリマーは、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したホモポリマーまたはコポリマー(たとえば、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマー)でありえる。言い換えれば、ホモポリマーまたはコポリマーは、一種以上のエチレン性不飽和モノマーのモノマー単位を含むことができる。ポリマーは分枝ポリマーまたはコポリマーでありえる。たとえば、ポリマーは、ポリマー骨格と、このポリマー骨格にグラフトした複数のポリマー側鎖とを有するグラフトポリマーでありえる。場合によっては、ポリマーは、第一の化学組成の骨格と、前記ポリマー骨格にグラフトした(たとえばポリマー骨格と異なる化学組成を有する)ポリマー骨格と構造的に異なる複数のポリマー側鎖とを有するグラフトコポリマーでありえる。
【0038】
好適なエチレン性不飽和モノマーの例としては、(メタ)アクリレートモノマー、芳香族ビニルモノマー(たとえば、スチレン)、カルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体、エチレン性不飽和脂肪族モノマー(たとえば、エチレン、ブチレン、ブタジエン)及びその組み合わせが挙げられる。本明細書中で使用する、「(メタ)アクリレートモノマー」なる用語は、アクリレート、メタクリレート、ジアクリレート、及びジメタクリレートモノマーを包含する。同様に、「(メタ)アクリロニトリル」なる用語は、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどを包含し、「(メタ)アクリルアミド((meth)acrylamide)」なる用語は、アクリルアミド、メタクリルアミドなどを包含する。
【0039】
好適な(メタ)アクリレートモノマーとしては、3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸と、1〜20個の炭素原子を有するアルカノールとのエステル(たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸と、C
1−C
20、C
1−C
12、C
1−C
8、またはC
1−C
4アルカノールとのエステル)が挙げられる。例示的な(メタ)アクリレートモノマーとしては、これらに限定されないが、メチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、クロトン酸アルキル、酢酸ビニル、ジ−n−ブチルマレエート、ジ−オクチルマレエート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2,3−ジ(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルポリグリコール(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート及びその組み合わせが挙げられる。
【0040】
好適なビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−及びp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、ビニルトルエン及びそれらの組み合わせが挙げられる。カルボン酸の好適なビニルエステルとしては、20個以下の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステル、たとえばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸(versatic acid)ビニルエステル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なハロゲン化ビニルとしては、塩化ビニル及び塩化ビニリデンなどの、塩素、フッ素または臭素により置換されたエチレン性不飽和化合物を挙げることができる。好適なビニルエーテルとしては、たとえばビニルメチルエーテルまたはビニルイソブチルエーテルなどの、1〜4個の炭素原子を含むアルコールのビニルエーテルを挙げることができる。2〜8個の炭素原子と1個または2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素としては、たとえばエチレンなどの2〜8個の炭素原子と1個のオレフィン性二重結合とを有する炭化水素、並びにブタジエン、イソプレン及びクロロプレンなどの、4〜8個の炭素原子と2個のオレフィン性二重結合とを有する炭化水素を挙げることができる。
【0041】
態様によっては、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマーは、エチレンとアクリル酸n−ブチルとのコポリマーを含む。態様によっては、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマーは、スチレンと、イソプレン及びブタジエンの一種以上とのコポリマーを含む。特定の態様では、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマーは、メタロセン触媒ポリオレフィンを含む。好適なメタロセン触媒ポリオレフィンの例としては、Exxon Mobil Corporation(商品名EXACT(登録商標))及びDow Chemical Company(商品名AFFINITY(登録商標))から市販のメタロセンポリエチレンホモポリマー及びメタロセンポリエチレンコポリマーが挙げられる。
【0042】
特定の態様では、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、酢酸ビニルから誘導したポリマーを含む。酢酸ビニルから誘導したポリマーとしては、少なくとも一部、酢酸ビニルモノマーの重合から誘導したポリマーが挙げられる。たとえば、酢酸ビニルから誘導したポリマーは、酢酸ビニルのホモポリマー(即ち、ポリ酢酸ビニル:PVA)でありえる。また酢酸ビニルから誘導したポリマーは、酢酸ビニルと、一種以上の追加のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマー(たとえば、エチレン酢酸ビニル共重合体、EVA)でありえる。これらの態様において、酢酸ビニルから誘導したポリマーは、特定の用途に好適な化学的及び物理的特性を有するポリマーを提供するために、様々な量の酢酸ビニルから誘導することができる。
【0043】
態様によっては、酢酸ビニルから誘導したポリマーは、ポリマーを形成するために重合した全てのモノマーの全重量を基準として、少なくとも5重量%の酢酸ビニル(たとえば、少なくとも7.5重量%、少なくとも9重量%、少なくとも10重量%、少なくとも11重量%、少なくとも12重量%、少なくとも13重量%、少なくとも14重量%、少なくとも15重量%、少なくとも16重量%、少なくとも17重量%、少なくとも18重量%、少なくとも19重量%、少なくとも20重量%、少なくとも21重量%、少なくとも22重量%、少なくとも23重量%、少なくとも24重量%、少なくとも25重量%、少なくとも26重量%、少なくとも27重量%、少なくとも28重量%、少なくとも29重量%、少なくとも30重量%、少なくとも31重量%、少なくとも32重量%、少なくとも33重量%、少なくとも34重量%、少なくとも35重量%、少なくとも37.5重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%)から誘導される。態様によっては、酢酸ビニルから誘導したポリマーは、ポリマーを形成するために重合したすべてのモノマーの全重量を基準として酢酸ビニル95重量%以下(たとえば、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、37.5重量%以下、35重量%以下、34重量%以下、33重量%以下、32重量%以下、31重量%以下、30重量%以下、29重量%以下、28重量%以下、27重量%以下、26重量%以下、25重量%以下、24重量%以下、23重量%以下、22重量%以下、21重量%以下、20重量%以下、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、または7.5重量%以下)から誘導される。
【0044】
酢酸ビニルから誘導されたポリマーは、上記最小値のいずれか乃至上記最大値のいずれかの範囲の量の酢酸ビニルから誘導されたコポリマーでありえる。たとえば、酢酸ビニルから誘導したポリマーは、ポリマーを形成するために重合したすべてのモノマーの全重量を基準として酢酸ビニル5重量%〜100重量%未満(たとえば、酢酸ビニル5重量%〜75重量%、酢酸ビニル10重量%〜40重量%、または酢酸ビニル17重量%〜34重量%)から誘導されるコポリマーでありえる。
【0045】
酢酸ビニルと一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したコポリマーの場合には、任意の好適なエチレン性不飽和モノマーは、特定の用途に適した化学的及び物理的特性を有するコポリマーを提供するために、コポリマーに配合することができる。たとえば、コポリマーに配合しえる好適なエチレン性不飽和モノマーとしては、上記のもの、たとえば(メタ)アクリレートモノマー、芳香族ビニルモノマー(たとえば、スチレン)、カルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体、エチレン性不飽和脂肪族モノマー(たとえば、エチレン、ブチレン、ブタジエン)、及びその組み合わせが挙げられる。
【0046】
特定の態様では、ポリマーはエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。EVAはエチレンと酢酸ビニルから誘導したコポリマーである。EVAは、ホットメルト接着剤、道路標示及び路面標示用途、生物医学用途(たとえば制御薬剤放出用のマトリックスとして)でのコポリマーとして、プラスチックフィルム中の添加剤として、及び様々な消費材における発泡体としてなど様々な用途で広く使用されている。場合により、EVAコポリマーは、特定の用途に必要な特定の化学的物理的特性を有するコポリマーを得るために、ブタジエンなどの好適なオレフィン性モノマーでグラフト化することができる。たとえば、米国特許第3,959,410号明細書(DiRossi)及び同第5,036,129号明細書(Atwellら)を参照されたい。
【0047】
特定の態様において、ポリマーは、ポリマーを形成するために重合したすべてのモノマーの全重量を基準として、酢酸ビニル9重量%から45重量%未満(たとえば、酢酸ビニル17重量%〜40重量%、酢酸ビニル17重量%〜34重量%、酢酸ビニル25重量%〜30重量%)と、55重量%を超え、91重量%までのエチレン(たとえば、酢酸ビニル60重量%〜83重量%、酢酸ビニル66重量%〜83重量%、または酢酸ビニル70重量%〜75重量%)から誘導されるEVAである。一態様において、酢酸ビニルから誘導されたポリマーは、ポリマーを形成するために重合したすべてのモノマーの全重量を基準として、酢酸ビニル26重量%〜28重量%とエチレン72重量%〜74重量%から誘導されるEVAである。
【0048】
態様によっては、ポリマーは、ISO11357−3:2011に記載の標準方法を使用する示差走査熱量計(DSC)により測定して、25℃を超える(たとえば30℃を超える、35℃を超える、40℃を超える、45℃を超える、50℃を超える、55℃を超える、60℃を超える、65°℃を超える、70℃を超える、75℃を超える、80℃を超える、または85℃を超える、90℃を超える、または95℃を超える)融解温度を有する。酢酸ビニルから誘導したポリマーは、100℃未満(たとえば、95℃未満、90℃未満、85℃未満、80℃未満、75℃未満、70℃未満、65℃未満、60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、35℃未満、または30℃未満)の融解温度を有することができる。
【0049】
ポリマーは、上記最小値のいずれか乃至上記最大値のいずれかの範囲の融解温度を有することができる。たとえば、ポリマーはISO11357−3:2011に記載の標準方法を使用して示差走査熱量計(DSC)により測定して、25℃〜100℃(たとえば、25℃〜90℃、35℃〜85℃、または50℃〜80℃)の融解温度を有することができる。
【0050】
ロジンエステルは、組成物の所望の特性に依存して、様々な量でポリマー組成物中に存在することができる。態様によっては、ロジンエステルは、組成物の少なくとも5重量%(たとえば、組成物の少なくとも10重量%、組成物の少なくとも15重量%、組成物の少なくとも20重量%、組成物の少なくとも25重量%、組成物の少なくとも30重量%、組成物の少なくとも35重量%、組成物の少なくとも40重量%、または組成物の少なくとも45重量%)を構成する。態様によっては、ロジンエステルは、組成物の50重量%以下(たとえば、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、または10重量%以下)を構成する。ロジンエステルは、上記最小値のいずれか乃至上記最大値のいずれかの範囲の量で組成物中に存在することができる。態様によっては、ロジンエステルは、組成物の全重量を基準として20重量%〜50重量%の範囲の量(たとえば、30重量%〜40重量%)で組成物中に存在する。
【0051】
同様に、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、組成物の所望の特性に依存して、様々な量でポリマー組成物中に存在することができる。態様によっては、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、組成物の少なくとも20重量%(たとえば、組成物の少なくとも25重量%、組成物の少なくとも30重量%、組成物の少なくとも35重量%、組成物の少なくとも40重量%、組成物の少なくとも45重量%、組成物の少なくとも50重量%、組成物の少なくとも55重量%、組成物の少なくとも60重量%、組成物の少なくとも65重量%、組成物の少なくとも70重量%、組成物の少なくとも75重量%、組成物の少なくとも80重量%、組成物の少なくとも85重量%、または組成物の少なくとも90重量%)を構成する。態様によっては、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、組成物の95重量%以下(たとえば、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、または10重量%以下)を構成する。ロジンエステルは、上記最小値のいずれか乃至上記最大値のいずれかの範囲の量で組成物中に存在することができる。態様によっては、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーは、組成物の全重量を基準として20重量%〜60重量%(たとえば、30重量%〜40重量%)の量で組成物中に存在する。
【0052】
特定の態様において、組成物中の一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマー対エステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸の合計の重量比は、少なくとも1:2.2(たとえば、少なくとも1:2.1、少なくとも1:2.0、少なくとも1:1.9、少なくとも1:1.8、少なくとも1:1.7、少なくとも1:1.6、少なくとも1:1.5、少なくとも1:1.4、少なくとも1:1.3、少なくとも1:1.2、少なくとも1:1.1、少なくとも1:1、少なくとも1.1:1、少なくとも1.2:1、少なくとも1.3:1、少なくとも1.4:1、少なくとも1.5:1、少なくとも1.6:1、少なくとも1.7:1、少なくとも1.8:1、少なくとも1.9:1、少なくとも2:1、少なくとも2.1:1、少なくとも2.2:1、少なくとも2.3:1、少なくとも2.4:1、少なくとも2.5:1、少なくとも2.6:1、少なくとも2.7:1、少なくとも2.8:1、少なくとも2.9:1、少なくとも3:1、少なくとも3.1:1、少なくとも3.2:1、少なくとも3.3:1、少なくとも3.4:1、少なくとも3.5:1、少なくとも3.6:1、少なくとも3.7:1、少なくとも3.8:1、少なくとも3.9:1、少なくとも4:1、少なくとも4.1:1、または少なくとも4.2:1)である。特定の態様において、組成物中の一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマー対エステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸の合計の重量比は、4.3:1以下(たとえば、4.2:1以下、4.1:1以下、4:1以下、3.9:1以下、3.8:1以下、3.7:1以下、3.6:1以下、3.5:1以下、3.4:1以下、3.3:1以下、3.2:1以下、3.1:1以下、3:1以下、2.9:1以下、2.8:1以下、2.7:1以下、2.6:1以下、2.5:1以下、2.4:1以下、2.3:1以下、2.2:1以下、2.1:1以下、2:1以下、1.9:1以下、1.8:1以下、1.7:1以下、1.6:1以下、1.5:1以下、1.4:1以下、1.3:1以下、1.2:1以下、1.1:1以下、1:1以下、1:1.1以下、1:1.2以下、1:1.3以下、1:1.4以下、1:1.5以下、1:1.6以下、1:1.7以下、1:1.8以下、1:1.9以下、1:2以下、または1:2.1以下)である。組成物中の一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマー対エステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸の合計の重量比は、上記最小値のいずれか乃至上記最大値のいずれかの範囲のことができる。たとえば態様によっては、組成物中の一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマー対エステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸の合計の重量比は、1:2.2〜4.3:1(たとえば、1:1.1〜2:1)である。
【0053】
場合により、ポリマー組成物は、接着剤配合物(たとえば、ホットメルト接着剤配合物)、インク配合物、コーティング配合物、ゴム配合物、封止材配合物、アスファルト配合物、または路面標示配合物(たとえば、熱可塑性道路標示配合物)でありえる。
【0054】
特定の態様では、組成物はホットメルト接着剤である。これらの態様において、ロジンエステルは、従来のホットメルト接着剤配合物において粘着剤付与成分の全てまたは一部として機能することができる。一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマー(たとえば、EVAなどの酢酸ビニルから誘導したポリマー)、ロジンエステル、及び一種以上の追加の成分は、特定の用途に必要な特性を有するホットメルト接着剤を提供するのに有効な量で存在することができる。たとえば、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマー(たとえば、EVAなどの酢酸ビニルから誘導したポリマー)は、ホットメルト接着剤組成物の10重量%〜60重量%(たとえば、ホットメルト接着剤組成物の20重量%〜60重量%、ホットメルト接着剤組成物の25重量%〜50重量%、またはホットメルト接着剤組成物の30重量%〜40重量%)でありえる。ロジンエステルは、ホットメルト接着剤組成物の20重量%〜50重量%(たとえば、ホットメルト接着剤組成物の25重量%〜45重量%、またはホットメルト接着剤組成物の30重量%〜40重量%)でありえる。
【0055】
ホットメルト接着剤はさらに、一種以上の追加の成分、たとえば追加の粘着付与剤、蝋、安定剤(たとえば、酸化防止剤及びUV安定剤)、可塑剤(たとえば、ベンゾエート及びフタレート)、パラフィン油、核形成剤、蛍光増白剤、顔料、染料、グリッター、殺生物剤、難燃剤、帯電防止剤、滑り防止剤、ブロッキング防止剤(anti−blocking agent)、滑剤及び充填剤などを含むことができる。態様によっては、ホットメルト接着剤はさらに、蝋を含む。好適な蝋としては、パラフィンベースの蝋及び合成フィッシャー・トロプシュ蝋が挙げられる。蝋は、組成物の全重量を基準として、ホットメルト接着剤組成物の10重量%〜40重量%(たとえば、ホットメルト接着剤組成物の20重量%〜30重量%)でありえる。
【0056】
特定の態様では、組成物はホットメルト接着剤であり、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマーはEVAである。特定の態様では、EVAは、EVAを形成するために重合された全てのモノマーの全重量を基準として、酢酸ビニル10重量%〜40重量%(たとえば、酢酸ビニル17重量%〜34重量%)から誘導される。
【0057】
特定の態様では、組成物は熱可塑性道路標示配合物である。熱可塑性道路標示配合物は、熱可塑性道路標示配合物の全重量を基準として、ロジンエステル5重量%〜25重量%(たとえば、熱可塑性道路標示配合物の10重量%〜20重量%)を含むことができる。熱可塑性道路標示配合物はさらに、たとえば熱可塑性道路標示配合物の0.1重量%〜1.5重量%でありえる、一種以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導したポリマー(たとえば、EVAなどの酢酸ビニルから誘導したポリマー)を含むことができる。熱可塑性道路標示配合物は、顔料(たとえば、二酸化チタン1重量%〜10重量%)、ガラスビーズ(たとえば、30重量%〜40重量%)、及び充填剤(たとえば、最高100重量%まで組成物の残余を補うことができる炭酸カルシウム)を含むことができる。熱可塑性道路標示配合物はさらに、油(たとえば、鉱油1重量%〜5重量%)、蝋(たとえば、パラフィンベースの蝋または合成フィッシャー・トロプシュ蝋1重量%〜5重量%)、安定剤(たとえば、ステアリン酸0.1重量%〜0.5重量%)、及び場合により、本明細書に記載のロジンエステル以外の追加のポリマー及び/またはバインダーを含むことができる。
【0058】
態様によっては、本明細書に記載のロジンエステルをポリマー組成物に配合することによって、ポリマー組成物は、高温でのエージング(熱エージング)した時に改善された粘度安定性、熱エージングの時に改善された色安定性、またはその組み合わせを含む改善された熱安定性を示すことができる。
【0059】
態様によっては、本明細書で提供するポリマー組成物は、以下に記載の修正ASTM D4499−07法を使用して分析したときに、177℃で96時間定温放置する際に10%未満の粘度変化(たとえば、9%未満の粘度変化、8%未満の粘度変化、7.5%未満の粘度変化、7%未満の粘度変化、6%未満の粘度変化、5%未満の粘度変化、4%未満の粘度変化、3%未満の粘度変化、2.5%未満の粘度変化、2%未満の粘度変化、または1%未満の粘度変化)を示す。態様によっては、組成物は177℃で96時間の定温放置の際に、実質的に全く粘度変化を示さない(すなわち、0.5%未満の粘度変化)。
【0060】
態様によっては、本明細書で提供するポリマー組成物は、熱エージングの際に色安定性を示す。特定の場合において、本明細書で提供するポリマー組成物は、177℃に96時間加熱した時に、ガードナーカラー単位で5以下の変化(たとえば、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、または0.5以下)を示す。
【0061】
本明細書で提供するポリマー組成物は、接着剤(たとえばホットメルト接着剤)、インク、コーティング、ゴム、封止材、アスファルト並びに熱可塑性道路標示及び路面標示材料などの様々な用途で使用することができる。態様によっては、組成物は、紙及びパッケージングと組み合わせて(たとえば、組み立て及び/または包装の間に段ボール及び板紙カートンの表面を接着するために、自己粘着ラベルを製造するために、ラベルをパッケージに付けるために、または製本などの他の用途で)、不織材料と組み合わせて(たとえば、使い捨ておむつを組み立てる間に不織材料を裏打ちシートに付着させるために)、粘着テープで、アパレルで(たとえば、履物の組み立て、または多層スペシャリティハンドバッグ(specialty handbag)の組み立てで)、電気的及び電子的ボンディング(electrical and electronic bonding)(たとえば、電子デバイスの部品またはワイヤを付けるために)、一般的な木工組立品(たとえば、家具組立品で、またはドア及び造作材の組み立てで)、及び他の工業組立品(たとえば、電化製品の組み立てで)において使用されるホットメルト接着剤である。本明細書で記載されるロジンエステルは、チューインガムの軟化剤及び可塑剤として、飲料中の増量剤及び混濁剤として(たとえば柑橘類でフレーバーを付けた飲料)、界面活性剤、界面活性変性剤(surface activity modulator)または分散剤として、蝋及び蝋ベースの艶出し研磨剤中の添加剤として、化粧品配合物中の改質剤として(たとえばマスカラ)、並びにコンクリート中の硬化剤としてなど、様々な追加の用途でも使用することができる。
【0062】
本明細書に記載のロジンエステルと油とを含む組成物も提供する。例示的な組成物は、本明細書に記載のロジンエステル25重量%〜55重量%(たとえば、30重量%〜50重量%)と、鉱油及びポリブテン油などの油45重量%〜75重量%(たとえば、50重量%〜70重量%)を含むことができる。
【0063】
本明細書に記載のロジンエステルの製造法も提供する。ロジンエステルの製造法は、(a)粗ロジンエステル組成物を提供するために、ロジンをアルコールでエステル化する工程、及び(b)ロジンエステルを形成するために、粗ロジンエステル組成物を水素化する工程、を含むことができる。
【0064】
エステル化工程(a)は、ロジンと好適なアルコールが接触する工程、及び前記ロジンとアルコールとを、粗ロジンエステルを形成するために好適な条件下で、一定時間反応させる工程を含むことができる。ロジンをエステル化する方法は当業界で公知である。たとえば、本明細書中、その全体が参照として含まれる、米国特許第5,504,152号明細書(Douglasら)を参照されたい。ロジンをエステル化するための好適な方法は、反応体の性質(たとえば、ロジンの化学的及び物理的特性、アルコールの同一性(identity)など)及び、得られたロジンエステルの所望の化学的及び物理的特性などの多くの因子を考慮して選択することができる。たとえば、ロジンは、ロジンとアルコールとの熱反応によりエステル化することができる。エステル化は、高温(たとえば30℃を超え250℃までの温度)でロジンとアルコールとを接触させることを含むことができる。態様によっては、エステル化工程(a)は、粗ロジンエステルを形成するために、適切な期間、溶融したロジンとアルコールもしくは場合によってはエステル化触媒を接触させる工程、を含むことができる。場合によっては、エステル化反応は、酸価15以下を有するロジンエステルを提供するために有効な時間、ロジンとアルコールもしくは場合によってはエステル化触媒を接触させる工程を含む。
【0065】
エステル化工程(a)では、任意の好適なロジンを使用することができる。ロジンは、トールオイルロジン、ガムロジン、ウッドロジン、またはその組み合わせでありえる。特定の態様では、ロジンはトールオイルロジンを含む。ロジンは、市販の供給源または天然の供給源から得られるロジンエステルの形成用の原料として使用することができる。市販で入手可能なロジンの例としては、Arizona Chemicalより市販のSYLVAROS(登録商標)90が挙げられる。あるいは、ロジンはロジンエステルを形成するための原料として使用する前に、一つ以上の精製工程(たとえば、減圧下での蒸留、抽出、及び/または結晶化)にかけることができる。
【0066】
任意の好適なアルコールとしては、モノアルコール、ジオール及び他のポリオールが挙げられ、エステル化工程(a)で使用することができる。好適なアルコールの例としては、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、2−エチルヘキサノール、ジグリセロール、トリペンタエリトリトール、C
8−C
11分枝または非分枝のアルキルアルコール、及びC
7−C
16分枝または非分枝のアリールアルキルアルコールが挙げられる。特定の態様では、アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、マンニトール及びその組み合わせからなる群から選択される多価アルコールである。態様によっては、一を超えるアルコールをエステル化工程(a)で使用する。特定の態様では、ペンタエリトリトール及び、グリセロール、ジペンタエリトリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、及びその組み合わせからなる群から選択される一種以上の追加のアルコールをエステル化工程(a)で使用する。
【0067】
ロジンの量に対するエステル化工程(a)で使用されるアルコール量は、アルコールの性質並びに、得られるロジンエステルの所望の化学的及び物理的特性に依存して変動しうる。態様によっては、低い水酸基価を有する得られるロジンエステルを製造するために、ロジンは過剰量で提供される。たとえば、存在するロジン量に対してモル等量未満の水酸基が反応中に存在するような量でアルコールを提供することができる。他の態様では、アルコールは、低い酸価を有する得られるロジンエステルを製造するために、アルコールは過剰量で提供する。
【0068】
当業界で公知のように触媒、溶媒、漂白剤、安定剤及び/または酸化防止剤をエステル化工程(a)に添加することができる。好適な触媒、溶媒、漂白剤、安定剤、及び酸化防止剤は当業界で公知であり、たとえば米国特許第2,729,660号明細書、同第3,310,575号明細書、同第3,423,389号明細書、同第3,780,013号明細書、同第4,172,070号明細書、同第4,548,746号明細書、同第4,690,783号明細書、同第4,693,847号明細書、同第4,725,384号明細書、同第4,744,925号明細書、同第4,788,009号明細書、同第5,021,548号明細書、及び同第5,049,652号明細書に記載されている。エステル化反応を完了させるために、蒸留及び/または真空を適用するなどの標準的な方法を使用して反応器から水を除去することができる。
【0069】
水素化工程(b)は、粗ロジンエステルと水素化触媒を接触させることを含むことができる。ロジンエステルを水素化する方法は当業界で公知である。水素化反応は、触媒、たとえば不均一水素化触媒(たとえばパラジウム触媒、たとえば炭素上に担持されたPd(Pd/C)、プラチナ触媒、たとえばPtO
2、ニッケル触媒、たとえばラネーニッケル(Ra−Ni)、ロジウム触媒、またはルテニウム触媒)を使用して実施することができる。場合によっては、水素化触媒は、粗ロジンエステルの全重量を基準として、0.25%〜5重量%の範囲の量で存在することができる。水素化のための水素供給源は、水素(H
2)または、蟻酸、イソプロパノール、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ジイミドまたはヒドラジンなどの反応条件下で水素を発生しえる化合物でありえる。
【0070】
工程(b)は、高温下、高圧下、またはその組み合わせで実施することができる。たとえば、工程(b)は、150℃〜300℃(たとえば180℃〜280℃、180℃〜240℃、200℃〜280℃、または220℃〜260℃) の範囲の温度で実施することができる。工程(b)は、250〜2000psi(たとえば、250〜1450psi、250〜650psi、または350〜550psi) の範囲の圧力で実施することができる。
【0071】
場合により、溶媒は、エステル化工程(a)、水素化工程(b)、またはその組み合わせにおいて存在することができる。特定の態様では、工程(a)でエステル化されるロジン、及び/または工程(b)で水素化される粗ロジンエステル組成物は、25重量%未満の溶媒を含む。態様によっては、工程(b)で水素化される粗ロジンエステル組成物中のエステル化ロジン酸の濃度は、粗ロジンエステル組成物の全重量を基準として、75重量%以上である。態様によっては、粗ロジンエステル組成物は、実質的に溶媒を含まない(たとえば、粗ロジンエステル組成物は、粗ロジンエステル組成物の全重量を基準として1重量%未満の溶媒を含む)。特定の態様では、工程(b)で水素化される粗ロジンエステル組成物は、25℃で1,000cP以下の粘度を有する。
【0072】
態様によっては、エステル化工程(a)から得られた粗ロジンエステル組成物は、介在する蒸留工程なしに、工程(b)で水素化される。特定の態様では、エステル化工程(a)から得られた粗ロジンエステル組成物は、いかなる精製工程を介在することなく、工程(b)で水素化される。たとえば、エステル化工程(a)から得られる粗ロジンエステル組成物は、工程(b)で直接水素化されることができる。
【0073】
場合によっては、本明細書に記載のロジンエステルの製造方法は、単一の水素化工程を含む。態様によっては、本明細書に記載のロジンエステルの製造方法は、エステル化する工程(a)と水素化する工程(b)から本質的になる。そのような場合、方法は、脱水素、エステル化の前のロジンの水素化(たとえば、事前の水素化)、エステル化の前の不均化(たとえば、事前の不均化)、蒸留、追加の/別の触媒の使用、またはその組み合わせのような、ロジンエステル中のエステル化デヒドロアビエチン酸対エステル化ジヒドロアビエチン酸の重量比に影響を与える追加の処理工程は含まない。特定の態様において、本明細書に記載のロジンエステルの製造方法は、エステル化する工程(a)と水素化する工程(b)からなる。
【0074】
特定の用途のための所望の化学的及び物理的特性を有するロジンエステルを得るために、本明細書に記載のロジンエステルの製造法は場合により、エステル化する工程(a)と水素化する工程(b)に加えて、一つ以上の追加の処理工程をさらに含むことができる。態様によっては、工程(a)でエステル化されるロジン、粗ロジンエステル、及び/またはロジンエステルは、水素化反応から得られた水素化ロジンエステルは、たとえば、ロジン、粗ロジンエステル、及び/またはロジンエステルのPAN数を下げるために;ロジン、粗ロジンエステル、及び/またはロジンエステルに存在する様々なロジン酸及び/またはロジン酸エステルの重量比に影響を与えるために;得られたロジンエステルの水酸基価に影響を与えるために;得られたロジンエステルの酸価に影響を与えるために;またはその組み合わせのために、さらに処理されることができる。好適な追加の処理工程は当業界で公知であり、追加の水素化工程、脱水素、不均化、二量化及び強化(fortification)を含むことができる。特定の態様において、得られたロジンエステルの化学的及び物理的特性を改善するために、エステル化する工程(a)の前にこれらの方法の一つ以上を使用してロジンを処理する。化学的に容認される場合には、そのような方法は、以下詳細に記載するように、所望の化学的及び物理的特性を有するロジンエステルを得るために、エステル化する工程(a)の組み合わせで、エステル化する工程(a)の後であるが水素化する工程(b)の前に、水素化する工程(b)の後に、またはその組み合わせでも実施することができる。
【0075】
特定の態様では、ロジンエステルの製造法はさらに、エステル化する工程(a)の前にロジンの不均化を含むことができる。ロジンの不均化により、アビエタジエン酸部分をデヒドロアビエチン酸及びジヒドロアビエチン酸部分に転換する。不均化の方法は当業界で公知であり、一種以上の不均化剤の存在下で、ロジンの加熱を含むことが多い。ロジンを不均化するための好適な方法は、本明細書中、その全体が参照として含まれる、米国特許第3,423,389号明細書、同第4,302,371号明細書、及び同第4,657,703号明細書に記載されている。
【0076】
様々な好適な不均化剤を使用することができる。好適な不均化剤の例としては、2,2’−チオビスフェノール、3,3’−チオビスフェノール、4,4’−チオビス(レゾルシノール)及びt,t’−チオビス(ピロガロール)、4,4’−15チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)及び4/4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)チオビスナフトールなどのチオビスナフトール類、2,2’−チオ−ビスフェノール、3,3’−チオ−ビスフェノール;パラジウム、ニッケル及びプラチナなどの金属;ヨウ素またはヨウ化物(たとえばヨウ化鉄);スルフィド(たとえば硫化鉄);及びその組み合わせが挙げられる。特定の態様では、ロジンは、フェノールスルフィドタイプの不均化剤を使用して不均化する。好適なフェノールスルフィドタイプの不均化剤の例としては、ポリ−t−ブチルフェノールジスルフィド(Arkema,Inc.から商品名ROSINOX(登録商標)のもと市販されている)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール(Chemturaより商品名LOWINOX(登録商標)TBM−6のもと市販されている)、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー(Albemarle Corp.より商品名ETHANOX(登録商標)TM323のもと市販されているものなど)、及びアミルフェノールジスルフィドポリマー(たとえば、Sovereign Chemical Co.より商品名VULTAC(登録商標)2のもと市販されているものなど)が挙げられる。
【0077】
特定の態様では、ロジンはエステル化する工程(a)の前に不均化される。これらの態様では、不均化ロジンまたは一部不均化されたロジンは、エステル化する工程(a)のための供給材料として使用することができる。場合により、エステル化する工程(a)の間に、不均化またはさらなる不均化を実施することができる。たとえば、不均化ロジンまたは一部不均化されたロジンは、in situで生成され、その後ワンポット合成手順でエステル化してロジンエステルにすることができる。
【0078】
場合により、ロジン、粗ロジンエステル、及び/またはロジンエステルは、得られるロジンエステルの化学的及び物理的特性を改善するために、強化(fortify)することができる。態様によっては、ロジンは、得られたロジンエステルの化学的及び物理的特性を改善するために、エステル化する工程(a)の前に強化される。ロジンの強化は、強化の前にロジンよりも低いPAN値及び高い分子量を有するロジンを提供するために、ロジン中のロジン酸の共役二重結合系の化学的修飾を含む。多くの好適な化学修飾及び関連する化学的方法が当業界で公知である。たとえば、ロジンは、ロジン酸とジエノフィル(dienophile)、たとえばα,β−不飽和有機酸またはそのような酸の無水物とのディールス・アルダーまたはエン付加反応により強化することができる。好適なジエノフィルの例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、これらの酸から誘導したエステル、及び無水マレイン酸が挙げられる。
【0079】
場合により、方法は、得られるロジンエステルの水酸基価に影響を与えるために、得られるロジンエステルの酸価に影響を与えるために;またはこれらの組み合わせのために一つ以上のプロセス工程を含むことができる。所望により、ロジンエステルは、低い水酸基価を有するロジンエステルを提供するために、エステル化の後に(たとえば、エステル化する工程(a)の後であるが、水素化する工程(b)の前、または水素化する工程(b)の後)、化学的に修飾することができる。このプロセスは、当業界で公知の合成法を使用して、エステル化の後、粗ロジンエステルまたはロジンエステル中の残存水酸基部分を化学的に修飾することを含むことができる。たとえば、粗ロジンエステルまたはロジンエステルは、アシル化剤(たとえば、カルボン酸またはその誘導体、たとえば酸無水物)と反応させることができる。たとえば、米国特許第4,380,513号明細書(Ruckel)を参照されたい。粗ロジンエステルまたはロジンエステル中の残存水酸基部分は、対応するカルバメート誘導体を提供するために、イソシアナートなどの求電子性試薬と反応することもできる。たとえば、米国特許第4,377,510号明細書(Ruckel)を参照されたい。残存水酸基部分と反応させるために使用し得る他の好適な求電子性試薬としては、アルキル化剤(たとえばジメチルサルフェートなどのメチル化剤)が挙げられる。所望により、エステル化後(たとえば、エステル化工程(a)の後であるが水素化工程(b)の前、または水素化工程(b)の後)、未反応ロジン並びに他の揮発性成分は、蒸気散布、窒素ガスなどの不活性ガスによる散布、ワイプドフィルム蒸発(wiped film evaporation)、ショートパス蒸発(short path evaporation)、及び減圧蒸留により、粗ロジンエステルまたはロジンエステルから除去することができる。過剰量のロジン(即ち、ロジン酸)を粗ロジンエステルまたはロジンエステルからストリッピングすることにより、得られたロジンエステルの酸価を下げることができる。
【0080】
ホットメルト接着剤などのポリマー組成物の製造法も提供する。ポリマー組成物を製造するための方法としては、本明細書に記載の酢酸ビニルとロジンエステルから誘導したポリマーを混合することを含むことができる(たとえば、少なくとも70重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸を含むロジンエステル、ここで、エステル化デヒドロアビエチン酸対エステル化ジヒドロアビエチン酸の重量比は、1.3:1から1:2.6の範囲である)。方法はさらに、組成物に一種以上の追加の成分、たとえば追加の粘着付与剤、蝋、安定剤(たとえば、酸化防止剤及びUV安定剤)、可塑剤(たとえば、ベンゾエート及びフタレート)、パラフィン油、核形成剤、蛍光増白剤、顔料、色素、グリッター、殺生物剤、難燃剤、帯電防止剤、滑り防止剤、ブロッキング防止剤(anti−blocking agent)、滑剤及び充填剤などを含むことができる。方法はさらに、本明細書に記載の方法を使用してロジンエステル(たとえば、少なくとも70重量%のエステル化デヒドロアビエチン酸及びエステル化ジヒドロアビエチン酸を含むロジンエステル、ここで、エステル化デヒドロアビエチン酸対エステル化ジヒドロアビエチン酸の重量比は、1.3:1から1:2.6の範囲である)を製造することを含むことができる。
【0081】
例示的な道路標示配合物は、(a)ロジンエステル16部、油2.8部(たとえば鉱油、たとえば鉱油;Statoilより入手)、蝋1部(たとえばポリエチレン蝋、たとえばAC6 PE−蝋、Honeywell製)、酢酸エチルから誘導したポリマー1部(たとえば、エチレン酢酸ビニル共重合体、たとえばElvax 22W、DuPont製)、脂肪酸0.2部(たとえば、ステアリン酸)、顔料5.3部(たとえば、二酸化チタン、たとえばKronos製の二酸化チタン)、充填剤42.4部(たとえば炭酸カルシウム)、及び反射型充填剤(reflective filler)37.1部(たとえばガラスビーズ、たとえばSwarco製のガラスビーズ)を標準的なミキサーに充填する;及び(b)気泡が融解物中に入り込まないように加熱(たとえば約180℃で)し、低速でブレンドすることにより製造することができる。
【0082】
非限定的に例示することによって、以下に本開示の特定の態様の例を含める。