(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記X線源装置には、前記軌道をたどり、前記物理的な軌道支持構造体を提供するガイドレールに沿って移動可能に支持される少なくとも1つの可動X線源が提供されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載のシステム。
前記少なくとも1つのX線検出器が取り付けられる前記支持アームは、前記患者台及び前記X線源装置との関連で様々なX線検出器位置を提供するロボット支持アームである、
請求項1乃至6の何れか一項に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、空間要件が減少され、実用性が向上され、また、C型アーク又はU字型ブラケットを有する医用X線イメージングシステムのイメージング品質と同様のイメージング品質のX線画像を提供する医用X線イメージングシステムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成され、更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。なお、本発明の以下に説明される態様は、医用イメージングシステム、物体のX線画像データを提供する方法、対応するコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用される。
【0006】
本発明によれば、少なくとも1つのX線検出器と、X線源装置(X線源アレンジメント)と、患者台とを含む医用X線イメージングシステムが提供される。
【0007】
患者台は、物体の関心領域をイメージングするために、当該物体を支える。少なくとも1つのX線検出器は、天井から延在する支持アームに、移動可能に取り付けられる。更に、X線源装置は、患者台の下に少なくとも部分的に延在する物理的な軌道支持構造体を含む。また、X線源装置は、X線放射を、凹状の開いた軌道を規定する幾つかのX線源位置から関心領域に提供する。物理的な軌道支持構造体は、支持アームから切り離されている。つまり、2つの支持体は、物理的に連続していない。
【0008】
好適には、軌道の中央部は、患者台の下に位置付けられ、その2つの端領域は、患者台の2つの側部側及び患者台の上方に延在する。更に、そこからX線源装置がX線放射を提供する複数の位置が、物理的な軌道支持構造体によって提供される。
【0009】
「凹状軌道を形成する位置」との表現は、関心領域との関連で少なくとも3つの位置に関連する。本発明の好適な実施形態では、3つの位置の場合、1つの位置は、患者台の下、従って、関心領域の下に位置付けられ、2つの位置は、それぞれ、患者台の異なる側部側それぞれに位置付けられ、これらの2つの位置は更に、患者台の上方でもある。これらの3つの位置は、軌道によってつなげられる。2つの端位置は、中央部よりも上方に配置される。
【0010】
したがって、結果として得られる軌道は、凹状である、即ち、「凹んで」いる。したがって、これらの3つの位置は、「凹状軌道を形成する」と言える。
【0011】
一例において、凹状軌道上のすべての点について、M1及びM2を凹状軌道の一対の点とすると、M1からM2までの直線は、M1とM2との間の軌道の一部の上方にある。一例において、少なくとも2つの位置が、それぞれ、患者台の上方で、患者台の異なる側部側それぞれに位置付けられ、少なくとも1つの位置は、患者台の下に位置付けられる。
【0012】
「物理的な軌道支持構造体」との用語は、そこからX線放射が提供される個々の位置を提供する構造体に関する。例えば可動X線源の場合、複数の(例えば少なくとも3つの)位置を有する構造体、又は、複数の(例えば少なくとも3つの)別個の固定X線源を含む構造体である。別の例において、1つ以上の可動X線源と、1つ以上の固定X線源との組み合わせが、物理的な軌道支持構造体として提供される。更に、可動X線源の場合、軌道は、X線源伸張軌道と呼ばれてもよい。
【0013】
したがって、凹状の開いた軌道を規定する幾つかのX線源位置から提供されるX線放射は、当該位置を介して移動する可動X線源から提供されるか、又は、当該位置に位置付けられる複数の別個の固定X線源から提供される。
【0014】
本発明は更に、天井に取り付けられている支持アーム上のX線検出器の複数のX線源位置との組み合わせは、十分に多数のX線イメージング位置を提供するという見識に基づいている。つまり、本発明によるシステムを使用して、介入又は診断手順中に、通常、必要とされるすべてのイメージング位置が実現できる。したがって、比較的単純でコンパクトな構造を有し、必要なX線イメージング機能に関して妥協することなく、患者へのアクセスを容易にするシステムが提供される。
【0015】
一例によれば、軌道には、例えばファン角度を足した180度の関心領域の角度カバレッジが提供される。これは、凹状の開いた軌道を形成する幾つかの位置から提供されるX線放射が、対応する個々のファン角度で、幾つかの位置から放射するように構成されるX線源から到来することを意味する。各X線源からのそのファン角度での各X線放射は、X線放射ビームを形成する。放射ビームは、重ね合わされた場合に、関心領域において、180度の角度をカバーする。X線源ファンは、各X線源について個別に若しくは各X線源に共通に、予め決定されるか、又は、システムの操作者によって選択可能である。
【0016】
別の例によれば、患者台には、長手伸張方向が提供され、軌道は、長手伸張方向を横断するように配置される。
【0017】
別の例によれば、物理的な軌道支持構造体は、患者台との関連で移動可能に取り付けられる。
【0018】
一例によれば、軌道は、それぞれハーフC型アーク形状を有する2つの可動アーム部によって得られる。
【0019】
一例では、軌道は、アルファベット文字「C」の半分(ハーフ)又は半分未満の形状、又は、円の半分又は半分未満の形状を有する2つの可動アーム部によって得られる。
【0020】
例えば可動ハーフアークアームは、アルファベット文字「C」の半分若しくは半分未満の形状(又は円の半分若しくは半分未満の形状)を有し、例えば患者台支持構造体と統合されてもよく、また、患者台の下に位置付けられる物理的な軌道支持構造体に取り付けられる。物理的な軌道支持構造体は、完全に患者台の下の第1の位置から、ハーフアークの一端が患者台の側部側の一方及び患者台の上方に延在する一方で、カンチレバーハーフアークが、依然として、患者台の下の位置に位置付けられるが、患者台の側部側の当該一方の側に向かう方向において、患者台の下に移動している第2の位置までの可動ハーフアークアームの動きを支持する。なお、本コンテキストにおける「C」との用語は、検出器とX線源とが両端に取り付けられていることを意味するものではない。むしろ、本発明では、検出器は、独立して動くことができるように取り付けられている。
【0021】
別の例によれば、2つのアーム部のうちの1つのアームは、2つのアーム部のうちのもう1つのアームの位置に対し、オフセット位置に配置され、当該オフセット位置は、患者台の長手伸張方向に沿って測定される。
【0022】
別の例によれば、X線源装置には、軌道をたどるガイドレールに沿って移動可能に支持される少なくとも1つの可動X線源が提供されている。
【0023】
別の例によれば、X線源装置には、幾つかのX線放射位置における軌道沿いに分布する複数の固定X線源が提供される。当該X線源の組み合わせ又はすべては、スイッチングデバイスによって、連続的又は同時に起動される。
【0024】
別の例によれば、追加のX線源が、患者台の下に提供されるか、患者台と統合されるか、又は、この両方で提供される。
【0025】
別の例によれば、少なくとも1つのX線検出器は、ロボット支持アーム又は天井の摺動支持体に取り付けられる。これは、患者台及びX線源装置との関連で、様々なX線検出器位置を提供し、また、特定のX線イメージング処理に適している場合は、少なくとも1つのX線検出器を室内の最大高さの位置において、したがって、臨床スタッフの頭部から最大距離において、置くことを可能にする。これにより、臨床スタッフの頭部に衝突するリスクが減少される。
【0026】
別の例によれば、アクチュエータが、少なくとも1つのX線検出器を動かすために提供される。更に、制御ユニットが、少なくとも1つのX線検出器に、軌道沿いのX線源位置の変化に応じた対応する動きをさせるように提供される。
【0027】
別の例によれば、X線イメージングシステムは、X線源装置の外側に、移動可能に取り付けられる少なくとも1つの放射線保護シールドを含む。放射線保護シールドは、当該放射線保護シールドが、患者台の下に配置されるか、又は、X線源装置の側面に折り畳まれるパーキング位置と、放射線保護シールドが、少なくとも、患者台の隣に立っているスタッフメンバの脚の領域において、物体とスタッフメンバとの間に提供されている保護位置との間で、移動可能である。
【0028】
本発明によれば、物体のX線画像データを提供する方法も提供される。当該方法は、
a)患者台に、関心領域を含む物体を配置するステップと、
b)凹状の開いた軌道を形成する幾つかの位置から、X線源装置によって、関心領域に、X線放射を連続的に提供するステップと、
c)患者台の上方で移動可能に取り付けられる少なくとも1つのX線検出器によって、ステップb)において提供された連続的なX線放射をそれぞれ検出するステップと、
d)連続的に検出されたX線放射から、X線画像データを生成するステップとを含む。
【0029】
軌道の中央部は、患者台の下に位置付けられ、その2つの端領域は、患者台の2つの側部側及び患者台の上方に延在する。幾つかの位置は、物理的な軌道支持構造体によって提供される。
【0030】
一態様によれば、患者台の下のメインのX線管に加えて、追加のX線管が、ある種の小型のハーフCアーク形状、つまり、アルファベット文字「C」の半分又は半分未満、或いは、円アークの半分又は半分未満として成形される追加のアームと統合される。この最後のコンポーネントは、第1品質の3Dイメージングが十分である場合は、患者台の下に隠されるので、患者アクセスを制限しない。第1品質の3Dイメージングよりも高い品質を必要とする特別な3Dイメージングの場合においてのみ、1つ又は2つのアームが、患者台の下の位置から、患者台の左右の側部側に動かされる。一例において、これらのアームには、1つの焦点位置を有する1つのX線管が具備され、アームを動かすことによって、X線焦点ビーム軌道が実現される。ロボットアーム上の少なくとも1つの移動検出器と組み合わされて、C型アームのような投影シーケンスが収集される。同じことが、患者台の片側又は両側の何れでも行うことができる。更に、画像収集中に、アーム及び/又は検出器を動かすのではなく、固定焦点位置を有する幾つかのX線管間での切り替えも可能である。必要に応じて、X線源を保持するアームを2つの部分(患者の各側に1つ)に切り離すことによって、画像を、様々な位置から患者軸に沿って収集することができる。これらの部分は、それぞれ、患者台の下に又は患者台の横に独立して置くことができるので、患者軸沿いの視野が広がる。更に、ハーフパイプ形状を有するフレキシブル放射線シールドが、アームに取り付けられ、臨床スタッフをX線放射から保護することができる。このフレキシブル放射線シールドは、非常にフレキシブルに取り外すことができ、X線源の既知の形状及び放射線輸送のモデルを使用して、自動制御することも可能である。本発明は、これまで、C型アーク又はU型ブラケットX線イメージングシステムに関連付けられて、又は、離間されたX線源とX線検出器とを有するX線イメージングシステムに関連付けられて行われてきている介入又は診断手順に特に応用され、これを特に参照して説明される。
【0031】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかにされ、また、以下に説明される実施形態を参照することにより説明される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に、本発明による医用X線イメージングシステム100の主要略図が示される。システムは、少なくとも1つのX線検出器110と、X線源装置120と、患者台130とを含む。患者台130は、物体の関心領域140をイメージングするために、当該物体を支える。少なくとも1つのX線検出器110は、天井から延在する支持アームに移動可能に取り付けられる。一般に、X線検出器110は、患者台130の上方に位置付けられる。
【0035】
更に、X線源装置120は、凹状の開いた軌道160を形成する幾つかの位置150から、関心領域にX線放射を提供する。
図1に更に示されるように、軌道の中央部170は、患者台130の下に位置付けられる。軌道の2つの端部180は、患者台の側部側及び患者台の上方に延在する。そこからX線放射が発生される複数の位置150は、X線源装置120の物理的な軌道支持構造体190によって提供される。
図1に示されるシステムでは、物理的な軌道支持構造体190は、患者台130との関連で移動可能に取り付けられる。
【0036】
なお、少なくとも1つのX線検出器110が取り付けられた支持アームと、X線源装置120の物理的な軌道支持構造体とは、比較的コンパクトで、個別に制御可能である別個でかつ連続していない物理的構造体であり、これにより、検出器110を含む支持アームとX線源装置120とは、互いに独立して移動することができる。つまり、検出器110は、X線源装置120を同時に移動させることなく、移動することができ、その逆も同様である。
【0037】
一例によれば、アクチュエータ138が、少なくとも1つのX線検出器を移動するために提供され、制御ユニット134が、少なくとも1つのX線検出器に、軌道沿いのX線源位置の変化に応じた対応する動きをさせるように提供される。
【0038】
一例によれば、患者台130は、X線透過性である。
【0039】
一例では、凹状軌道は、部分的に線形の軌道である。
【0040】
別の例では、凹状軌道は、幾つかの位置にある複数のX線放射源を実質的に接続する。したがって、軌道は、実質上の軌道とも呼ばれる。
【0041】
一例では、凹状軌道は、部分円形アークとして提供される。更なる例では、凹状軌道は、部分楕円体として提供される。
【0042】
一例では、システムは、介入X線システム又は診断X線システムである。
【0043】
説明及び図面から明らかとなるように、当該システムの幾何学的配置は、従来のC型アークシステム又はU型ブラケットシステムの幾何学配置ほどバルキーではなく、これにより、臨床スタッフ及び患者との衝突のリスクが減少される。当該システムの幾何学的配置は更に、介入手順又は診断手順のワークフローを、次の理由から向上させる。
【0044】
本発明によるX線医用イメージングシステムに必要な空間は、従来のC型アークシステム又はU型ブラケットシステムに比べて、減少される。つまり、1つの比較的バルキーなC型アーム又はU型ブラケットの代わりに、互いに独立して移動可能である2つの比較的コンパクトな支持体、即ち、天井の検出器支持体と、患者台の下に少なくとも部分的に提供される軌道支持構造体を有するX線源装置とが提供される。
【0045】
軌道支持構造体190は、患者台の下に部分的に位置付けられている。好適には、軌道支持構造体は更に、患者台の側面に沿って左側及び/又は右側で、患者台のやや上方に延在してもよい。患者台の側面に沿って左側及び/又は右側でのこの軌道の患者台の上方への延長は、従来のC型アークシステム又はU型ブラケットシステムよりも依然としてあまりバルキーではない。更に、X線源装置は、下記から明らかであるように、常に軌道全体を占有するわけではない。
【0046】
イメージング中、患者台の周辺の機器は、X線源装置の軌道又は少なくとも1つのX線検出器の位置と衝突しない限り、所定位置に保持される。少なくとも1つのX線検出器は、専用の天井支持体上に設けられるので、その動作は、X線源装置の任意の動作とは独立しており、当該動作とは関連していない。したがって、医者及びそのスタッフが、X線医用イメージングシステムの要素に衝突される危険性が少ない。
【0047】
具体的には、第1のステップにおいて、例えばX線源装置が移動する一方で、X線検出器は、所定位置に保持される。次に、第2のステップにおいて、少なくとも1つのX線検出器が移動する一方で、X線源装置は、所定位置に保持される。この結果、医者及びそのスタッフは、最初に、注意力を、X線源装置の動きに集中させ、次に、少なくとも1つのX線検出器を含む支持アームの動きに集中させることができ、或いは、その反対も同様である。
【0048】
更に、X線源装置は、患者台の長手伸張方向を横断するように配置される軌道を規定するので、X線源装置の動き又は位置決めは、医者及び臨床スタッフによって予測可能である。結果として、X線源装置の動きのコマンド及び動き自体が、スタッフ及び医者側からの集中力又は注意力をあまり必要とせず、また、システムの操作者側からも、複数の回転軸を有する多関節アームロボットに配置されたC型アーク又はU型ブラケットシステムに必要な集中力又は注意力よりも少ない集中力又は注意力を必要とする。
【0049】
更に、少なくとも1つの移動するX線検出器と組み合わせて、C型アームのような投影シーケンスが得られ、そこから、3Dボリュームが再構成される。
【0050】
別の例では、3Dボリュームは、X線源装置を動かし、これにより、X線源位置を連続的又は離散的に変えることによって、また、X線検出器の位置が固定されていることで取得される投影シーケンスから再構成される。
【0051】
一例では、システムは更に、高品質画像を投影するプロジェクタ192を含む。これに代えて又は加えて、システムは、個別の画像投影のために臨床スタッフによって装着される「グーグル(商標)タイプの眼鏡」といった眼鏡を含むか、又は、実際の患者の身体の表面上に取得された3DX線画像をオーバーレイ表示するオーバーレイ表現手段を含んでもよい。
【0052】
一例では、システムは、少なくとも1つのX線検出器が、X線源装置の動きに従うようにさせる制御ユニット134を含む。制御ユニット134は更に、少なくとも1つのX線検出器の動きと、少なくとも1つのX線検出器の動きに相関する又は相関しないX線源装置の独立した動きとの制御も提供する。
【0053】
一例では、システムは、臨床スタッフの位置を検出し、この情報を、更なる処理のために制御ユニット134に送信するスタッフ追跡ユニット136を追加的に含む。
【0054】
図2は、軌道に、180°にファン角度を足した関心領域の角度カバレッジが与えられている態様を概略的に示す。凹状の開いた軌道を形成する幾つかの位置から提供されるX線放射は、対応する個々のファン角度で、幾つかの位置から放射されるように構成されるX線源から到来する。各X線源からのそのファン角度での各X線放射は、X線放射ビームを形成する。放射ビームは、重ね合わされた場合に、関心領域において、180度にファン角度を足した角度をカバーする。X線源ファンは、予め決定されるか、又は、システムの操作者によって選択可能である。X線源ファンは、各X線源について、予め決定されるか、又は、個別に選択可能である。X線源ファンは、すべてのX線源に共通であってもよい。
【0055】
図3Aは、患者台130に、長手伸張方向200が提供され、軌道160が、当該長手伸張方向を横断するように配置されているシステムを示す。
【0056】
例えば軌道は、患者台の長手伸張方向を横断する平面内に配置される。
【0057】
一例では、患者台は、その長手伸張方向に沿って移動可能である。これは、患者のイメージングを、その長手軸に沿って行うことを可能にする。
【0058】
図3Bは、凹状軌道が、長手伸張方向200の横断平面220と角度210を成す方向にある一例を示す。
【0059】
図4は、軌道が、それぞれハーフC型アーク形状を有する2つの可動アーム部230によって得られるシステムを示す。結果として得られる軌道が、凹状の開いた軌道となる限り、別の湾曲形状が使用されてもよい。
【0060】
一例において、2つのアーム部は、患者台の下で、摺動可能に移動可能である。これに代えて又は加えて、アーム部は、適宜、伸張されたり収縮されたりする伸縮アームとして構成されてもよい。別の例では、2つのアーム部は、患者台に垂直な平面において、患者台の長手方向に従って又は患者台の横断方向に従って、患者台の側面に折り畳み可能である。
【0061】
一例では、通常の3Dイメージング品質が必要である場合、1つ又は2つのアーム部が、患者台の下で、摺動される若しくは収縮され、又は、患者台の側面に折り畳まれる。これは、したがって、いずれも、患者アクセスを制限せず、患者の横からのアクセスを妨げない。しかし、向上された3Dイメージング品質又は3Dトモシンセシスイメージングが必要である場合、1つ又は2つのアーム部が、患者台位置の下から、又は、患者台の側面に折り畳まれた位置から患者台の側方の位置にまで摺動若しくは伸張し、患者台の左側及び/又は右側で、患者台を超えて伸張し、これにより、凹状軌道の物理的な軌道支持が提供される。
【0062】
一例では、2つのアーム部それぞれは、結果として得られる軌道が凹状の開いた軌道であるという制約下で、部分的に線形の形状又は多重線形の形状を有する。別の例では、2つのアーム部それぞれは、それ自体が、2つのアームによって構成される。
【0063】
更なる例では、2つのアーム部それぞれは、グリッド状アームである。即ち、その上にX線源がグリッドの対応する位置に配置されるアームである。1つ又は2つのアーム部は、凹状軌道の物理的な軌道支持構造体を提供する。
【0064】
図5は、2つのアーム部のうちの1つのアームが、2つのアーム部のうちのもう1つのアームの位置に対し、オフセット位置240に配置される本発明によるシステムを示す。当該オフセット位置は、患者台の長手伸張方向に沿って測定される。
【0065】
まず、このオフセットは、患者台の長手伸張方向におけるX線イメージングのより優れたカバレッジを可能にする。次に、このオフセットは、2つのアームが患者台の下で摺動するように動かされる場合に、当該2つのアームが衝突することを防ぐ。
【0066】
図6は、軌道をたどるガイドレール260に沿って移動可能に支持される少なくとも1つの可動X線源250が設けられているX線源装置を有するシステムを示す。「従う」との用語は、少なくとも1つの可動X線源が、ガイドレール上に配置されると、軌道上にある幾つかの位置からX線放射を放射可能であることを意味する。したがって、ガイドレールは、凹状軌道の物理的な軌道支持を提供する。
【0067】
図6では、軌道は、部分円形として概略的に示されているが、軌道は、部分楕円形であっても、部分線形、凹状及び開いていてもよい。
【0068】
図7は、X線源装置に、幾つかのX線放射位置における軌道沿いに分布する複数の固定X線源270が設けられ、当該複数のX線源のうちの幾つかは、スイッチングデバイス280によって、連続的又は同時に起動される本発明によるシステムを示す。すべてのX線源は、起動可能である。
【0069】
複数のX線放射位置は、規則的に又は不規則に離間される又は位置付けられる。
【0070】
一例では、3Dボリュームは、X線源装置を固定位置に置き、X線源装置のX線源の組み合わせ又はすべてをオン若しくはオフにスイッチングして、X線源を起動させる又は停止することによって、また、X線検出器の位置が固定されていることで取得される投影シーケンスから再構成される。
【0071】
一例では、X線源装置のX線源のオン又はオフのスイッチングは、分散配置されたX線源アレイを形成する。
【0072】
一例では、X線源の組み合わせ又はすべては、連続的又はランダムな順番で、連続的に又は同時に、起動されることが可能である。
【0073】
一例では、組み合わせは同期される。同期された2倍、3倍又はより高い倍数での起動組み合わせが可能である。
【0074】
図8は、追加のX線源290が本発明のシステム内に提供されている一例を示し、当該追加のX線源290は、患者台の下に置かれる及び/又は患者台と統合される。一例では、追加のX線源は、床の近くに又は床内に置かれる。したがって、当該追加のX線源は、室内の空間を多く占拠することなく、従来の患者台と組み合わされて使用できる。別の例では、移動可能なメインX線源は、患者台の下で動き、その一方で、移動可能な2つのアーム部は、3Dイメージング性能を拡張する及び/又は患者を再配置する必要なく、傾斜投影図を可能にする。
【0075】
更なる例では、可変ビームコリメータが、X線源の幾つか又は各X線源の近くに位置付けられる。その動作は、少なくとも1つのX線検出器の動きと同期させられる。これにより、可変ビームコリメータは、ビームの立体角を、実際のX線検出器の位置に向けてのみ制限することによって、放射線量を減少させる。
【0076】
図9Aは、少なくとも1つのX線検出器が、天井から延在するロボット支持アーム300に取り付けられる場合を示し、
図9Bは、少なくとも1つのX線検出器が、天井の固定された摺動支持アーム310に取り付けられている簡素化された実施形態を示す。
【0077】
図9A及び
図9Bにおいて、軌道は、部分円形として概略的に示されているが、当該軌道は、部分楕円形であっても、部分的に線形、凹状及び開いていてもよい。
【0078】
ロボット支持アーム又は天井の摺動支持体への少なくとも1つのX線検出器の配置は、患者台及びX線源装置に関連して、様々な検出器位置を提供する。
【0079】
一例では、少なくとも1つの検出器は、天井にあるレールに取り付けられる。
【0080】
一例では、例えば2つの別個のロボット支持アームに2つの検出器が提供される。
【0081】
一例では、3、4又は5つの検出器が提供される。
【0082】
一例では、少なくとも1つのX線検出器は、投影画像のトモシンセシスのようなコレクションを収集するために、角度傾斜を含む幾つかの位置に動かされることが可能である。
【0083】
一例では、2つのロボットアーム上に2つの検出器が提供される。これは、検出器の柔軟なアップグレードパッケージを可能にする。
【0084】
少なくとも1つのX線検出器からの動きにおける柔軟性は、X線検出器とX線配置との間の距離を選択することによる様々な拡大係数の調節を更に可能にする。
【0085】
このシステムは更に、コリメートされたX線ビームによる限られた角度ビューでの最適化された関心領域イメージングを可能にする。
【0086】
一例では、システムは、少なくとも1つのX線検出器が、X線源装置の動きに従うことを可能にする制御手段134を含む。
【0087】
一例では、少なくとも1つのX線検出器は、ワイヤレス検出器であるか、又は、2つ以上のパラレル検出器から構成される検出器である。
【0088】
更なる例では、2つ以上の検出器は、コンピュータ断層撮影(CT)「バナナ」を取得するためといったように、最適化された角度アライメントで取り付けられる。コンピュータ断層撮影(CT)「バナナ」とは、検出器上の放射線プロファイルが、「バナナ」形状であることを意味する。
【0089】
天井にあるロボット支持アーム又は天井にある摺動支持体への少なくとも1つのX線検出器の配置は、臨床スタッフの頭部の天井までの距離が、介入室における患者台の上方の別の点までの距離よりも大きいことにより、衝突のリスクが減少されることを可能にする。
【0090】
図10A及び
図10Bでは、少なくとも1つの放射線保護シールド340が示される。少なくとも1つの放射線保護シールド340は、X線源装置の外側に、移動可能に取り付けられる。放射線保護シールドは、当該放射線保護シールドが患者台の下に配置されるか、又は、X線源装置の側面に折り畳まれるパーキング位置320と、当該放射線保護シールドが、少なくとも、患者台の隣に立っているスタッフメンバの脚の領域において、物体とスタッフメンバとの間に設けられる保護位置330との間で、移動可能である。
【0091】
この放射線保護シールドは、システムの固有の幾何学的配置を介するスタッフへのX線放射照射を減少させることを可能にする。
【0092】
一例では、X線放射シールドは、ハーフパイプ形状を有する。
【0093】
別の例では、X線放射シールドは、部分的に線形の形状を有する。
【0094】
一例では、X線放射シールドの形状は、アーム部の形状に関連する。例えばアーム部がハーフC型アーク形状を有する場合、X線放射シールドは、ハーフパイプ形状を有する。
【0095】
一例では、上記放射線保護シールドは、スタッフを散乱放射線から最大限に保護するように動かされるように自動制御される。
【0096】
一例では、システムは、各X線源位置の散乱放射線の近似をモデルとして計算するモデリングユニットと、散乱がシールドによって最大限に吸収されるように、放射線シールドの位置を自動的に適応させるように当該モデル計算を使用する制御ユニットとを含む。一例では、移動するX線源の位置が連続的にアップデートされ、入力がシールドの機械的コントローラに供給される。一例では、分散配置されたX線源アレイからの選択されたアクティブX線源が、シールドの機械的コントローラに供給される。
【0097】
一例では、コリメータ位置が、シールドの機械的コントローラに供給される。
【0098】
別の例では、このシステムは、臨床スタッフの位置を検出し、この情報を制御ユニットに送信するスタッフ追跡ユニットを追加的に含む。制御ユニットは、スタッフを最適に保護するように、適宜、シールドを動かす。
【0099】
放射線保護シールドは、放射線保護材料の薄板から構成される。例えば高密度材料、若しくは、厚くされる低密度材料、又は、例えば鉛から構成される。他のタイプの放射線保護材料が使用されてもよい。
【0100】
図10Aは、X線源装置において1つのアーム部が使用される一例を示す。X線放射が生成されない場合、少なくとも1つの放射線保護シールドは、アーム部の側面に折り畳まれる。一例では、放射線保護シールドは、患者台の長手軸に沿って配置可能である。別の例では、放射線保護シールドは、患者台の垂直軸に沿って配置可能である。
【0101】
一例では、システムは、X線検出器の位置と、X線源の位置とを測定し、この情報を、較正及び画像再構成に使用する。
【0102】
図11は、物体のX線画像データを提供するための本発明による方法400を示す。当該方法は、
患者台に、関心領域を含む物体を配置する第1のステップS410と、
凹状の開いた軌道を形成する幾つかの位置からX線源装置によって、関心領域にX線放射を連続的に提供する第2のステップS420と、
患者台の上方で移動可能に取り付けられる少なくとも1つのX線検出器によって、上記ステップにおいて提供された連続的なX線放射をそれぞれ検出する第3のステップ430と、
連続的に検出されたX線放射から、X線画像データを生成する第4のステップS440とを含む。
【0103】
当該方法では、軌道の中央部は、患者台の下に位置付けられる。軌道の2つの端領域は、患者台の2つの側部側及び患者台の上方に延在し、幾つかの位置は、物理的な軌道支持構造体によって提供される。
【0104】
第1のステップS410は、ステップa)とも呼び、第2のステップS420は、ステップb)とも呼び、第3のステップS430は、ステップc)とも呼び、第4のステップS440は、ステップd)とも呼ぶ。
【0105】
図12は、本発明の医用X線イメージングシステムの特定の構成について説明する。
図12では、医者、臨床スタッフ又は医用X線イメージングシステムの操作者は、患者台510の隣に立っている。患者台の各側面にある2つのアーム部520が、X線放射を、幾つかの位置から患者の関心領域に提供している。1つ又は複数のX線放射が、患者台の各側面にそれぞれある各アーム部から提供される。各アーム部からの幾つかのX線放射が、患者台の各側面から患者の関心領域に向かうX線ビームを形成する。一例として、
図12に示される2つのアーム部は、部分円形であるか、ハーフC型アーム形状を有する。したがって、X線放射源は、凹状の軌道上にある。
【0106】
更に、2つの検出器540が提供される。第1の検出器は、天井にある第1のロボットアームに取り付けられ、第2の検出器は、第1のロボットアームとは異なり、こちらも天井にある第2のロボットアームに取り付けられる。
【0107】
第1の検出器は、1つの側面から来るX線ビームの1つの検出を可能にする位置に位置付けられるように第1のロボットアームによって制御される。第2の検出器は、もう1つの側面から来る別のX線ビームの検出を可能にする位置に位置付けられるように第2のロボットアームによって制御される。
【0108】
医用X線イメージングシステムによって生成される医用画像は、3次元の高品質画像又はトモシンセシス画像である。これは、X線源装置及び2つのX線検出器からなる構成によって得られる投影シーケンスは、C型アーム又はU型ブラケットシステムによって得られる投影シーケンスとかなり似ているからである。関心領域のフルカバレッジは、
図12に示されるように、特に2つの検出器が、患者台の横において、左側及び右側の2つの所定の極端位置にある場合に提供される。
【0109】
図12から明らかであるように、当該システムの幾何学的配置は、従来のC型アーム又はU型ブラケットシステムの幾何学的配置よりもあまりバルキーではない。3D医用画像は、スクリーン又はモニタ530上に表示される。患者台の各側部における2つのアーム部には更に、臨床スタッフをX線放射から保護するフレキシブルシールドが具備されていてよい。このフレキシブル放射線保護シールドは、各アーム部に取り付けられ、スタッフを散乱放射線から保護するために、患者台の長手方向、即ち、患者台の長手伸張方向に沿って配置される。患者台の長手方向に沿ってのフレキシブル放射線保護シールドの配置は、放射線、即ち、散乱放射線のレベル及び方向に応じて又は比例して、患者台の長手方向に沿って延在するように制御される。別の例では、このフレキシブル放射線保護シールドは、放射線、即ち、散乱放射線のレベル及び方向に応じて又は比例して、天井に向かう垂直方向に沿って配置されてもよい。
【0110】
通常品質の3Dイメージングが十分である場合、又は、イメージングが行われていない場合、2つのアーム部は、患者台の下に滑り込まされても、又は、患者台の側面に折り畳まれてもよい。そうすると、臨床スタッフは、患者台の周りを自由に動くことができる。
【0111】
本発明の別の例示的な実施形態では、上記実施形態のうちの1つによる方法のステップを適切なシステム上で実行させるように適応されていることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0112】
したがって、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶されていてもよい。当該コンピュータユニットも、本発明の一実施形態の一部であってよい。当該コンピュータユニットは、上記方法のステップを行うか、ステップの実行を誘導するように適応される。更に、当該コンピュータユニットは、上記装置のコンポーネントを動作させるように適応されてもよい。当該コンピュータユニットは、自動的に動作するか、及び/又は、ユーザの命令を実行するように適応される。コンピュータプログラムが、データプロセッサのワーキングメモリにロードされてもよい。したがって、当該データプロセッサは、本発明の方法を実行するように装備されている。
【0113】
本発明のこの例示的な実施形態は、本発明を初めから使用するコンピュータプログラムと、アップデートを介して既存のプログラムが、本発明を使用するプログラムに変換されるコンピュータプログラムとの両方を対象とする。
【0114】
更に、コンピュータプログラム要素は、上記方法の例示的な実施形態の手順を満たすために必要なすべてのステップを提供することが可能である。
【0115】
本発明の更なる例示的な実施形態では、CD−ROMといったコンピュータ可読媒体が提示される。当該コンピュータ可読媒体には、前段に説明されているコンピュータプログラム要素が記憶される。
【0116】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶される及び/又は分散配置されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介した形態といった他の形態で分配されてもよい。
【0117】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブといったネットワーク上に提示され、当該ネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされてもよい。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、ダウンロード用にコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供され、当該コンピュータプログラム要素は、本発明の上記実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成されている。
【0118】
なお、本発明の実施形態は、様々な主題を参照して説明されている。具体的には、方法タイプのクレームを参照して説明される実施形態もあれば、デバイスタイプのクレームを参照して説明される実施形態もある。しかし、当業者であれば、上記及び以下の説明から、特に明記されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、様々な主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本願によって開示されていると見なされると理解できるであろう。しかし、すべての特徴は、特徴の単なる足し合わせ以上の相乗効果を提供する限り、組み合わされることが可能である。
【0119】
本発明は、図面及び上記説明において詳細に例示され、説明されたが、当該例示及び説明は、例示的に見なされるべきであり、限定的に見なされるべきではない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変形態様は、図面、開示内容及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。
【0120】
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。