(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記推定位置として算出することを特徴とする請求項1に記載の漏洩箇所特定装置。
前記制御装置は、前記風向風速入手手段により入手された風向及び風速に基づいて、前記経過時間における前記収容手段の周囲の風の流跡線解析を行い、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記解析した風の流跡線を風上方向に辿った位置を、前記推定位置として算出することを特徴とする請求項1に記載の漏洩箇所特定装置。
前記制御装置は、前記圧力検出手段により検出された前記収容手段の内圧が低下してから、所定時間が経過しても前記検知手段のいずれでも前記拡散物質が検知されなかった場合、前記漏洩箇所の特定を行わないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の漏洩箇所特定装置。
前記制御装置は、複数の前記検知手段で前記拡散物質を検知するごとに、前記推定位置を複数算出し、複数算出された前記推定位置に基づいて前記漏洩箇所を特定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の漏洩箇所特定装置。
前記最大間隔は、前記風向風速入手手段により入手された前記風向に沿って配置された前記検知手段同士の距離であることを特徴とする請求項6に記載の漏洩箇所特定装置。
空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに間隔を空けつつ複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段、及び、前記収容手段の内圧を検出する圧力検出手段から入手した情報を用いて前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定する漏洩箇所特定方法であって、
前記圧力検出手段により検出された前記収容手段の内圧が低下してから、一つの前記検知手段で前記拡散物質を検知するまでの時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、
前記風向風速入手手段により入手された風向及び風速と前記経過時間とに基づいて、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置を算出し、
前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、
ことを特徴とする漏洩箇所特定方法。
空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに規則的に間隔を空けつつ並んで複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段、及び、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段から入手した情報を用いて前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定する漏洩箇所特定方法であって、
前記検知手段の一つで前記拡散物質を検出したとき、前記検知手段の水平方向における最大間隔を前記風向風速入手手段により入手された風速で除算して得られる時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、
前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として算出し、
前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、
ことを特徴とする漏洩箇所特定方法。
空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに規則的に間隔を空けつつ複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段、及び、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段から入手した情報を用いて前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定する漏洩箇所特定方法であって、
一つの前記検知手段で前記拡散物質を検知してから、前記一つの前記検知手段と隣り合って配置される他の前記検知手段で前記拡散物質を検知するまでの時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、
前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として算出し、
前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、
ことを特徴とする漏洩箇所特定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の拡散状況予測装置は、計測装置により計測された拡散物質の濃度や、拡散物質の拡散状況を視覚化するカメラ(放射性物質観測装置)からの情報等を用いて、拡散物質の発生源を逆解析手法により推定している。しかしながら、この手法は、カメラ等の高価な計測機器が必要となる。また、解析に時間を要するため、速やかに漏洩箇所を特定することができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能な漏洩箇所特定装置及び漏洩箇所特定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに間隔を空けつつ複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段と、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段と、前記収容手段の内圧を検出する圧力検出手段と、前記検知手段、前記風向風速入手手段、及び、前記圧力検出手段から入手した情報を用いて、前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定するための制御を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記圧力検出手段により検出された前記収容手段の内圧が低下してから、一つの前記検知手段で前記拡散物質を検知するまでの時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、前記風向風速入手手段により入手された風向及び風速と前記経過時間とに基づいて、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置を算出し、前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる漏洩箇所特定装置は、収容手段の内圧低下、すなわち拡散物質の漏洩が始まったタイミングを基点とし、一つの検知手段で拡散物質を検知するタイミングを終点とすることで、拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間を正確に算出することができる。また、算出した経過時間と収容手段の周囲の風向及び風速とに基づいて、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置を精度良く算出することができ、推定位置に基づいて漏洩箇所を精度良く特定することができる。これにより、漏洩箇所を特定するに際して、拡散物質を検知する検知手段、風向及び風速を入手する風向風速入手手段、及び収容手段の圧力を検知する圧力検出手段といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所の特定を行うことができる。また、逆解析手法といった複雑な処理を行う必要がなくなる。従って、本発明の漏洩箇所特定装置によれば、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となる。
【0008】
また、前記制御装置は、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記推定位置として算出することが好ましい。これにより、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置を精度良く、かつ、簡易な計算で算出することができる。
【0009】
また、前記制御装置は、前記風向風速入手手段により入手された風向及び風速に基づいて、前記経過時間における前記収容手段の周囲の風の流跡線解析を行い、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記解析した風の流跡線を風上方向に辿った位置を、前記推定位置として算出することが好ましい。これにより、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置をより精度良く算出することができる。
【0010】
また、前記制御装置は、前記圧力検出手段により検出された前記収容手段の内圧が低下してから、所定時間が経過しても前記検知手段のいずれでも前記拡散物質が検知されなかった場合、前記漏洩箇所の特定を行わないことが好ましい。これにより、圧力検出手段による収容手段の内圧の低下が、拡散物質の漏洩に起因しないものである場合、オペレータに誤報を提示しないようにすることができる。
【0011】
また、前記制御装置は、複数の前記検知手段で前記拡散物質を検知するごとに、前記推定位置を複数算出し、複数算出された前記推定位置に基づいて前記漏洩箇所を特定することが好ましい。これにより、検知手段で拡散物質を検知するごとに算出される複数の推定位置を用いて、漏洩箇所を精度良く絞りこむことができる。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに規則的に間隔を空けつつ複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段と、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段と、前記検知手段、及び、前記風向風速入手手段から入手した情報を用いて、前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定するための制御を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記検知手段の一つで前記拡散物質を検出したとき、前記検知手段の水平方向における最大間隔を前記風向風速入手手段により入手された風速で除算して得られる時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として算出し、前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる漏洩箇所特定装置は、検知手段同士が収容手段の周囲に規則的に間隔を空けて配置されるため、検知手段の水平方向における最大間隔を風速で除算して得られる時間は、拡散物質の漏洩が始まってから、いずれかの検知手段で拡散物質を検知するまでの最大時間と推定することができる。この最大時間を拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間とすることで、経過時間を比較的に正確に算出することができる。また、拡散物質を検知した検知手段から、収容手段の周囲の風向の反対方向に、算出した経過時間と風速とを乗算した距離だけ離れた位置を、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として、精度良く算出することができる。その結果、推定位置に基づいて漏洩箇所を精度良く特定することができる。これにより、漏洩箇所を特定するに際して、拡散物質を検知する検知手段、及び、風向及び風速を入手する風向風速入手手段といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所の特定を行うことができる。また、逆解析手法といった複雑な処理を行う必要がなくなる。従って、本発明の漏洩箇所特定装置によれば、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となる。
【0014】
また、前記検知手段は、格子状に配置され、前記最大間隔は、対角線上に配置された前記検知手段同士の距離であることが好ましい。これにより、簡易な計算で拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間を算出することができる。
【0015】
また、前記最大間隔は、前記風向風速入手手段により入手された前記風向に沿って配置された前記検知手段同士の距離であることが好ましい。これにより、拡散物質が漏洩し始めてから、いずれかの検知手段で検知されるまでの間に、拡散物質が風によって運ばれ得る最大の距離に基づいて、拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間をより正確に算出することができる。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに規則的に間隔を空けつつ複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段と、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段と、前記検知手段、及び、前記風向風速入手手段から入手した情報を用いて、前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定するための制御を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置は、一つの前記検知手段で前記拡散物質を検知してから、前記一つの前記検知手段と隣り合って配置される他の前記検知手段で前記拡散物質を検知するまでの時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として算出し、前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、ことを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる漏洩箇所特定装置は、検知手段同士が収容手段の周囲に規則的に間隔を空けて配置されるため、隣り合う検知手段同士で拡散物質を検知するまでの時間を拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間とすれば、経過時間を比較的に正確に算出することができる。また、拡散物質を検知した検知手段から、収容手段の周囲の風向の反対方向に、算出した経過時間と風速とを乗算した距離だけ離れた位置を、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として、精度良く算出することができる。その結果、推定位置に基づいて漏洩箇所を精度良く特定することができる。これにより、漏洩箇所を特定するに際して、拡散物質を検知する検知手段、及び、風向及び風速を入手する風向風速入手手段といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所の特定を行うことができる。また、逆解析手法といった複雑な処理を行う必要がなくなる。従って、本発明の漏洩箇所特定装置によれば、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となる。
【0018】
また、前記制御装置は、前記算出された経過時間に基づいて、空気中における前記拡散物質の水平方向の拡散幅を算出し、前記算出された推定位置を中心として前記拡散幅の所定倍数を半径とする範囲を、前記漏洩箇所があると推定される推定範囲として算出し、前記算出された推定範囲内に前記漏洩箇所があると特定する、ことが好ましい。これにより、漏洩箇所がある可能性が高い推定範囲を精度良く算出することができ、漏洩箇所を精度良く絞りこむことが可能となる。
【0019】
また、前記算出された推定範囲を表示する表示手段をさらに備え、前記制御装置は、前記算出された推定範囲と前記収容手段とが重なる領域内に前記漏洩箇所があると特定し、前記領域を他の領域とは異なる表示方法で前記表示手段に表示させることが好ましい。これにより、特定した漏洩箇所をオペレータにわかりやすく提示することができる。
【0020】
また、前記収容手段は、前記拡散物質を輸送する配管であり、前記検知手段は、前記配管の軸方向に沿って互いに等間隔を空けつつ、かつ、前記配管の径方向に沿って互いに等間隔を空けつつ、少なくとも前記配管の両側部に配置されることが好ましい。これにより、広い範囲に配索される配管についても、いずれの位置に拡散物質の漏洩箇所があるかを容易に特定することができる。
【0021】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに間隔を空けつつ複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段、及び、前記収容手段の内圧を検出する圧力検出手段から入手した情報を用いて前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定する漏洩箇所特定方法であって、前記圧力検出手段により検出された前記収容手段の内圧が低下してから、一つの前記検知手段で前記拡散物質を検知するまでの時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、前記風向風速入手手段により入手された風向及び風速と前記経過時間とに基づいて、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置を算出し、前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、ことを特徴とする。
【0022】
本発明にかかる漏洩箇所特定方法は、収容手段の内圧低下、すなわち拡散物質の漏洩が始まったタイミングを基点とし、一つの検知手段で拡散物質を検知するタイミングを終点とすることで、拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間を正確に算出することができる。また、算出した経過時間と収容手段の周囲の風向及び風速とに基づいて、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置を精度良く算出することができ、推定位置に基づいて漏洩箇所を精度良く特定することができる。これにより、漏洩箇所を特定するに際して、拡散物質を検知する検知手段、風向及び風速を入手する風向風速入手手段、及び収容手段の圧力を検知する圧力検出手段といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所の特定を行うことができる。また、逆解析手法といった複雑な処理を行う必要がなくなる。従って、本発明の漏洩箇所特定方法によれば、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となる。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに規則的に間隔を空けつつ並んで複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段、及び、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段から入手した情報を用いて前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定する漏洩箇所特定方法であって、前記検知手段の一つで前記拡散物質を検出したとき、前記検知手段の水平方向における最大間隔を前記風向風速入手手段により入手された風速で除算して得られる時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として算出し、前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、ことを特徴とする。
【0024】
本発明にかかる漏洩箇所特定方法は、検知手段同士が収容手段の周囲に規則的に間隔を空けて配置されるため、検知手段の水平方向における最大間隔を風速で除算して得られる時間は、拡散物質の漏洩が始まってから、いずれかの検知手段で拡散物質を検知するまでの最大時間と推定することができる。この最大時間を拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間とすることで、経過時間を比較的に正確に算出することができる。また、拡散物質を検知した検知手段から、収容手段の周囲の風向の反対方向に、算出した経過時間と風速とを乗算した距離だけ離れた位置を、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として、精度良く算出することができる。その結果、推定位置に基づいて漏洩箇所を精度良く特定することができる。これにより、漏洩箇所を特定するに際して、拡散物質を検知する検知手段、及び、風向及び風速を入手する風向風速入手手段といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所の特定を行うことができる。また、逆解析手法といった複雑な処理を行う必要がなくなる。従って、本発明の漏洩箇所特定方法によれば、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となる。
【0025】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空気中に拡散可能な拡散物質を内部に含む収容手段の周囲に、互いに規則的に間隔を空けつつ複数配置され、前記拡散物質を検知する検知手段、及び、前記収容手段の周辺の風向及び風速を入手する風向風速入手手段から入手した情報を用いて前記収容手段から前記拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定する漏洩箇所特定方法であって、一つの前記検知手段で前記拡散物質を検知してから、前記一つの前記検知手段と隣り合って配置される他の前記検知手段で前記拡散物質を検知するまでの時間を、前記拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間として算出し、前記拡散物質を検知した前記一つの前記検知手段から、前記風向風速入手手段により入手された風向の反対方向に、前記風向風速入手手段により入手された前記風速と前記経過時間とを乗算した距離だけ離れた位置を、前記拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として算出し、前記算出した推定位置に基づいて、前記漏洩箇所を特定する、ことを特徴とする。
【0026】
本発明にかかる漏洩箇所特定方法は、検知手段同士が収容手段の周囲に規則的に間隔を空けて配置されるため、隣り合う検知手段同士で拡散物質を検知するまでの時間を拡散物質の漏洩が始まってからの経過時間とすれば、経過時間を比較的に正確に算出することができる。また、拡散物質を検知した検知手段から、収容手段の周囲の風向の反対方向に、算出した経過時間と風速とを乗算した距離だけ離れた位置を、拡散物質が風で運ばれ始めたと推定される推定位置として、精度良く算出することができる。その結果、推定位置に基づいて漏洩箇所を精度良く特定することができる。これにより、漏洩箇所を特定するに際して、拡散物質を検知する検知手段、及び、風向及び風速を入手する風向風速入手手段といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所の特定を行うことができる。また、逆解析手法といった複雑な処理を行う必要がなくなる。従って、本発明の漏洩箇所特定装置によれば、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となる。従って、本発明の漏洩箇所特定方法によれば、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる漏洩箇所特定装置及び漏洩箇所特定方法は、より安価な設備で、速やかに拡散物質の収容手段からの漏洩箇所を特定することが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明にかかる漏洩箇所特定装置及び漏洩箇所特定方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0030】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置を示す概略構成図である。第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aは、空気中に拡散可能な拡散物質を含む収容手段から拡散物質が漏洩している漏洩箇所を特定するための装置である。漏洩箇所特定装置10Aは、例えば、プラント設備に適用される。
図2は、漏洩箇所特定装置が適用されるプラント設備の要部を示す概略構成図である。本実施形態において、拡散物質は、プラント設備1において用いられるLNG(液化天然ガス)である。また、本実施形態において、拡散物質を内部に含む収容手段は、
図2に示すように、LNGを輸送する配管2である。配管2は、プラント設備1の所定範囲に張り巡らされている。
【0031】
図1に示すように、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aは、検知手段11と、風向風速入手手段12と、圧力検出センサ(圧力検出手段)13と、制御装置14Aと、表示手段15とを備える。
【0032】
検知手段11は、空気中に拡散したLNGを検知可能なガス検知センサである。検知手段11は、
図2に示すように、配管2の周囲に、規則正しく互いに間隔を空けつつ水平方向と平行な平面に並んで複数配置される。検知手段11は、格子状に配置される。本実施形態において、拡散物質であるLNGは、空気よりも重い気体である。そのため、検知手段11は、配管2よりも鉛直方向下側において、水平方向と平行な平面に並んで配置される。検知手段11は、
図2に示すように、配管2の軸心の真下と、配管2の両側部に配置される。検知手段11は、配管2の軸方向(
図2に示すY軸方向)に沿って、互いに間隔Lyを空けて配置される。また、検知手段11は、配管2の径方向(
図2に示すX軸方向)に沿って、互いに間隔Lxを空けて配置される。なお、検知手段11は、例えば配管2同士を連結するフランジ部の付近といった、LNGの漏洩が発生しやすい箇所に配置されることが好ましい。それにより、検知手段11の個数を削減することができる。各検知手段11は、制御装置14Aに接続されている。各検知手段11は、空気中のLNGを検知すると、検知結果を制御装置14Aへと出力する。
【0033】
風向風速入手手段12は、配管2の周囲の風向及び風速を入手する。風向風速入手手段12は、例えば、風向及び風速を計測する風向風速計測センサである。風向風速入手手段12は、外部と通信して配管2の周囲の気象データを取得可能な通信手段であってもよい。風向風速入手手段12は、制御装置14Aに接続されている。風向風速入手手段12は、入手した配管2の周囲の風向及び風速を制御装置14Aへと出力する。
【0034】
また、圧力検出センサ13は、配管2の内部に所定区間ごとに複数設けられている。各圧力検出センサ13は、所定区間内における配管2の内圧Pを検出する。各圧力検出センサ13は、制御装置14Aに接続されている。各圧力検出センサ13は、検出した配管2の内圧Pを制御装置14Aへと出力する。
【0035】
制御装置14Aは、各検知手段11からのLNGの検知結果を入力する。制御装置14Aは、風向風速入手手段12からの配管2の周囲における風向及び風速を入力する。制御装置14Aは、各圧力検出センサ13からの配管2の内圧Pを入力する。また、制御装置14Aは、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定方法として、検知手段11、風向風速入手手段12及び圧力検出センサ13から入力した情報に基づいて、配管2からのLNGの漏洩箇所を特定するための第一漏洩箇所特定制御を実行する。
【0036】
表示手段15は、例えば、ディスプレイ、プリンタなどである。表示手段15は、制御装置14Aに接続されている。制御装置14Aは、第一漏洩箇所特定制御の実行によって特定したLNGの漏洩箇所を表示手段15に表示させる。
【0037】
次に、制御装置14Aによって実行される第一漏洩箇所特定制御の詳細について説明する。
図3は、第一漏洩箇所特定制御の処理内容を示すフローチャートであり、
図4は、配管からのLNGの漏洩が発生した様子を示す説明図であり、
図5は、LNGの漏洩が発生した際の配管の内圧の挙動を示す説明図である。
図4において、白色矢印は、風向を示し、破線矢印は、風で運ばれたLNGの基本的な移動方向を示し、太い実線は、風で運ばれたLNGの範囲を示す。
【0038】
制御装置14Aは、
図3に示す第一漏洩箇所特定制御を繰り返し実行する。制御装置14Aは、まず、ステップST1として、各圧力検出センサ13から入力された配管2の所定区間ごとの内圧Pの単位時間あたりの低下量が所定値以上であるか否かを判定する。
図4に示すように、漏洩箇所3において配管2からのLNGの漏洩が発生したとする。この場合、
図5に示すように、漏洩箇所3を含む区間において、配管2の内圧Pが低下する(時刻T0)。なお、単位時間及び所定値は、配管2からのLNGの漏洩が発生した場合の配管2の内圧Pの挙動変化を想定して設定される。
【0039】
制御装置14Aは、圧力検出センサ13からの配管2の内圧Pの単位時間あたりの低下量が所定値以上でないと判定した場合(ステップST1,No)、本処理を一旦終了して、再びステップST1以降の処理を実行する。この場合、配管2からLNGの漏洩が発生していないと考えられるためである。制御装置14Aは、圧力検出センサ13からの配管2の内圧Pの単位時間あたりの低下量が所定値以上であると判定した場合(ステップST1,Yes)、ステップST2に進む。
【0040】
制御装置14Aは、ステップST2として、ステップST1で配管2の内圧Pの低下量が所定値以上であることを判定してから、所定時間以内に、いずれかの検知手段11でLNGを検知したか否かを判定する。所定時間は、配管2からのLNGの漏洩が発生してから、いずれかの検知手段11でLNGを検知するまでに必要と考えられる最大の時間である。所定時間は、例えば、配管2の周囲の風速を極めて小さな値(0.01m/s等)と仮定し、検知手段11の水平方向における最大間隔Dをこの風速で除算した時間とすることができる。本実施形態の場合、最大間隔Dは、検知手段11同士の間隔Lx及び間隔Lyに基づいて、次式(1)で求めることができる。すなわち、最大間隔Dは、
図2に示すように、対角線上に配置された検知手段11同士の距離とすることができる。
【0041】
D=Sqrt(Lx
2+Ly
2)・・・(1)
【0042】
最大間隔Dは、風向風速入手手段12により入手された風向に沿って配置された検知手段11同士の距離であってもよい。
図6及び
図7は、最大間隔の他の例を示す説明図である。例えば、風向風速入手手段12により入手された風向が、
図6に白色矢印で示す方向である場合、最大間隔Dは、次式(2)により算出することができる。また、風向風速入手手段12により入手された風向が、
図7に白色矢印で示す方向である場合、最大間隔Dは、次式(3)により算出することができる。すなわち、最大間隔Dは、各風向角度において、ある検知手段11から最大間隔Dだけ離れた位置に、他の検知手段11が必ず一つはある距離とすることができる。なお、「風向に沿って配置された」とは、風向に沿って、ある程度の幅を持った範囲内に検知手段11が配置されていることを意味する。
【0043】
D=Sqrt(Lx
2+(2Ly)
2)・・・(2)
D=Sqrt((2Lx)
2+Ly
2)・・・(3)
【0044】
制御装置14Aは、配管2の内圧Pの低下量が所定値以上であることを判定してから、所定時間以内に、いずれの検知手段11でもLNGを検知しなかった場合(ステップST2,No)、本処理を一旦終了して、再びステップST1以降の処理を実行する。この場合、配管2の内圧Pの低下は、LNGの漏洩以外の理由に起因すると考えられるためである。制御装置14Aは、配管2の内圧Pの低下量が所定値以上であることを判定してから、所定時間以内に、いずれかの検知手段11でLNGを検知した場合(ステップST2,Yes)、ステップST3に進む。
【0045】
制御装置14Aは、ステップST3として、配管2の内圧Pの低下量が所定値以上であることを判定してから、ステップST2で検知手段11によりLNGを検知するまでの経過時間ΔT1を算出する。いま、
図4に示すように、漏洩箇所3で漏洩したLNGが、風によって図中に白色矢印で示す風下側へと運ばれ、検知手段111によって検知されたとする。この場合、
図5に示すように、配管2の内圧Pが低下した時刻T0から検知手段111によってLNGを検知した時刻T1までの時間が経過時間ΔT1として算出される。制御装置14Aは、経過時間ΔT1を算出すると、ステップST4に進む。
【0046】
制御装置14Aは、ステップST4として、ステップST3で算出した経過時間ΔT1に基づいて、LNGの水平方向の拡散幅σを算出する。
図8は、空気中に拡散したLNGの水平方向における濃度分布を示す説明図である。図示するように、LNGは、一般に、拡散幅σを標準偏差とする正規分布に従って拡散すると仮定することができる。水平方向の拡散幅σは、ステップST3で算出された経過時間ΔT1に所定の係数αを乗算した値として求めることができる。所定の係数αは、LNG(拡散物質)の種類に応じて定められる。制御装置14Aは、拡散幅σを算出すると、ステップST5に進む。
【0047】
制御装置14Aは、ステップST5として、風向風速入手手段12から入力された風向及び風速と、ステップST3で算出された経過時間ΔT1とに基づいて、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1を算出する。
図9は、推定位置を算出する様子を示す説明図である。制御装置14Aは、まず、ステップST2で検知手段111によりLNGを検知した時点での風速に、経過時間ΔT1を乗算し、LNGが風で運ばれたと推定される距離L1を算出する。次に、制御装置14Aは、
図9において破線白色矢印で示すように、LNGを検知した検知手段111から、ステップST2で検知手段111によりLNGを検知した時点での風向の反対方向(風上方向)に距離L1だけ離れた位置を、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1として算出する。なお、距離L1を算出する際に用いる風速を、ステップST1で配管2の内圧の低下を検知した時点での風速とし、推定位置A1を算出する際に用いる風向を、ステップST1で配管2の内圧Pの低下を検知した時点での風向としてもよい。また、距離L1を算出する際に用いる風速を、ステップST1で配管2の内圧の低下を検知した時点からステップST2で検知手段111によりLNGを検知した時点までの平均の風速の平均とし、推定位置A1を算出する際に用いる風向を、ステップST1で配管2の内圧Pの低下を検知した時点からステップST2で検知手段111によりLNGを検知した時点までの風向の平均としてもよい。制御装置14Aは、推定位置A1を算出すると、ステップST6に進む。
【0048】
制御装置14Aは、ステップST6として、ステップST5で算出された推定位置A1を中心として拡散幅σの所定倍数(本実施形態では、値1、値2、値3)を半径とする範囲を、漏洩箇所があると推定される推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13として算出する。
図9に示すように、推定範囲R12は、推定範囲R11の2倍の半径の同心円であり、推定範囲R13は、推定範囲R11の3倍の半径の同心円である。制御装置14Aは、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13を算出すると、ステップST7に進む。
【0049】
制御装置14Aは、ステップST7として、ステップST6で算出された推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と、配管2とが重なる領域(
図9に示す斜線を付した領域)内に漏洩箇所3があると特定する。その後、制御装置14Aは、ステップST8に進む。
【0050】
制御装置14Aは、ステップST8として、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と配管2とが重なる領域(
図9に示す斜線を付した領域)を、他の領域とは異なる表示方法で表示手段15に表示させる。異なる表示方法は、例えば、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と配管2とが重なる領域のみを表示手段15に表示させ、その他の領域を表示手段15には表示させないことが挙げられる。また、異なる表示方法は、例えば、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と配管2とが重なる領域を、他の領域とは異なる色で表示させることが挙げられる。その後、制御装置14Aは、本処理を一旦終了し、再びステップST1以降の処理を実行する。
【0051】
以上説明したように、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10A及び漏洩箇所特定方法は、配管(収容手段)2の内圧低下、すなわちLNG(拡散物質)の漏洩が始まったタイミングを基点とし、一つの検知手段111でLNGを検知するタイミングを終点とすることで、LNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1を精度良く算出することができる。また、算出した経過時間ΔT1と配管2の周囲の風向及び風速とに基づいて、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1を精度良く算出することができ、推定位置A1に基づいて漏洩箇所3を精度良く特定することができる。
【0052】
これにより、漏洩箇所3を特定するに際して、LNGを検知する検知手段11、風向及び風速を入手する風向風速入手手段12、及び配管2の内圧Pを検知する圧力検出センサ13といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所3の特定を行うことができる。また、LNGの濃度や拡散状況を視覚化するカメラからの情報等を用いた逆解析手法のような複雑な処理を行う必要がなくなる。さらに、LNGの濃度分布の解析精度を高めるためには、多くの検知手段11が必要となるが、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aは、少なくとも一つの検知手段11がLNGを検知すれば、漏洩箇所3の特定を行うことができる。そのため、必要となる検知手段11の個数を従来の手法に比べて削減することができる。従って、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aによれば、より安価な設備で、速やかにLNGの配管2からの漏洩箇所3を特定することが可能となる。
【0053】
また、制御装置14Aは、LNGを検知した一つの検知手段111から、風向風速入手手段12により入手された風向の反対方向に、風向風速入手手段12により入手された風速と経過時間ΔT1とを乗算した距離L1だけ離れた位置を、推定位置A1として算出する。これにより、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1を精度良く、かつ、簡易な計算で算出することができる。
【0054】
また、制御装置14Aは、圧力検出センサ13により検出された配管2の内圧Pが低下してから、所定時間が経過しても検知手段11のいずれでもLNGが検知されなかった場合、漏洩箇所3の特定を行わない。これにより、圧力検出センサ13による配管2の内圧Pの低下が、LNGの漏洩に起因しないものである場合、オペレータに誤報を提示しないようにすることができる。
【0055】
図10は、変形例にかかる第一漏洩箇所特定制御を示すフローチャートである。
【0056】
図10に示す変形例にかかる第一漏洩箇所特定制御において、ステップST11からステップST14の処理は、
図3に示すステップST1からステップST4の処理と同様であるため、説明を省略する。制御装置14Aは、ステップST14でLNGの拡散幅σを算出された後、ステップST15に進む。
【0057】
制御装置14Aは、ステップST15として、風向風速入手手段12から入力された風向及び風速に基づいて、時間経過に伴う風の流跡線解析を行う。
図11は、時間経過に伴う風速ベクトルの変化を示す説明図である。
図11における各白色矢印の方向は、風向を示し、各白色矢印の長さが風速を示す。制御装置14Aは、
図11に示すように、配管2の内圧Pが低下した時刻T0から検知手段111でLNGを検知するまでの時刻T1までの経過時間ΔT1における風速ベクトルの変化に基づいて、経過時間ΔT1における風の流跡線を解析する。その後、制御装置14Aは、ステップST16に進む。
【0058】
制御装置14Aは、ステップST16として、風向風速入手手段12から入力された風向及び風速と、ステップST3で算出された経過時間ΔT1とに基づいて、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1として算出する。
図12は、推定位置を算出する様子を示す説明図である。制御装置14Aは、
図12に破線白色矢印で示すように、検知手段111から、ステップST15で流跡線解析した経過時間ΔT1における風の流跡線を反対方向(風上方向)に辿った位置を、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1として算出する。制御装置14Aは、推定位置A1を算出すると、ステップST17に進む。
【0059】
制御装置14Aは、ステップST17として、
図3に示すステップST6と同様に、推定位置A1を中心として拡散幅σの所定倍数(本実施形態では、値1、値2、値3)を半径とする範囲を、漏洩箇所があると推定される推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13を算出する。制御装置14Aは、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13を算出すると、ステップST18に進む。
【0060】
制御装置14Aは、ステップST18として、この時点で算出されているすべての推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と、配管2とが重なる領域内に漏洩箇所3があると特定する。また、制御装置14Aは、ステップST19として、この時点で算出されているすべての推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と配管2とが重なる領域を、他の領域とは異なる表示方法で表示手段15に表示させる。その後、制御装置14Aは、ステップST20に進む。
【0061】
制御装置14Aは、ステップST20として、検知手段111によりLNGを検知した後、検知手段111とは異なる他の検知手段11でLNGを検知しているか否かを判定する。制御装置14Aは、前回LNGを検知した検知手段111とは異なる他の検知手段11でLNGを検知していないと判定した場合(ステップST20、No)、本処理を一旦終了し、再びステップST11以降の処理を実行する。制御装置14Aは、前回LNGを検知した検知手段111とは異なる他の検知手段11でLNGを検知したと判定した場合(ステップST20、Yes)、再びステップST3以降の処理を実行する。
【0062】
いま、
図12に示すように、検知手段111でLNGを検知した後、検知手段111よりも風下方向に配置される検知手段112でLNGを検知したとする。この場合、制御装置14Aは、再び処理を実行するステップST13として、時刻T0で配管2の内圧Pの低下を判定してから、検知手段112によりLNGを検知する時刻T2(
図11参照)までの経過時間ΔT2を算出する。制御装置14Aは、経過時間ΔT2を算出すると、ステップST14に進む。
【0063】
制御装置14Aは、ステップST14として、経過時間ΔT2に基づいて、LNGの水平方向の拡散幅σを算出する。このとき、
図11に示すように、経過時間ΔT2は経過時間ΔT1よりも長くなるため、拡散幅σは、1回目のステップST14で算出されたものよりも値が大きくなる。制御装置14Aは、拡散幅σを算出すると、ステップST15に進む。
【0064】
制御装置14Aは、ステップST15として、風向風速入手手段12から入力される風向及び風速に基づいて、時間経過に伴う風の流跡線解析を行う。制御装置14Aは、
図11に示すように、配管2の内圧Pが低下した時刻T0から検知手段112でLNGを検知するまでの時刻T2までの経過時間ΔT2における風速ベクトルの変化に基づいて、経過時間ΔT2における風の流跡線を解析する。その後、制御装置14Aは、ステップST16に進む。
【0065】
制御装置14Aは、ステップST16として、
図12に破線白色矢印で示すように、検知手段112から、ステップST15で流跡線解析した経過時間ΔT2における風の流跡線を反対方向(風上方向)に辿った位置を、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A2として算出する。制御装置14Aは、推定位置A2を算出すると、ステップST17に進む。
【0066】
制御装置14Aは、ステップST17として、推定位置A2を中心として拡散幅σの所定倍数(本実施形態では、値1、値2、値3)を半径とする範囲を、漏洩箇所3があると推定される推定範囲R21、推定範囲R22、及び推定範囲R23として算出する。上述したように、2回目のステップST14で算出された拡散幅σは、1回目のステップST14で算出されたものよりも値が大きくなる。そのため、
図12に示すように、推定範囲R21、推定範囲R22、及び推定範囲R23も、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13よりも大きくなる。制御装置14Aは、推定範囲R21、推定範囲R22、及び推定範囲R23を算出すると、ステップST18に進む。
【0067】
制御装置14Aは、ステップST18として、この時点で算出されているすべての推定範囲R11、推定範囲R12、推定範囲R13、推定範囲R21、推定範囲R22、及び推定範囲R23と、配管2とが重なる領域(
図12において斜線を付した領域)内に漏洩箇所3があると特定する。また、制御装置14Aは、ステップST19として、この時点で算出されているすべての推定範囲R11、推定範囲R12及び推定範囲R13、推定範囲R21、推定範囲R22、及び推定範囲R23と、配管2とが重なる領域を、他の領域とは異なる表示方法で表示手段15に表示させる。
【0068】
その後、制御装置14Aは、再びステップST20に進み、検知手段112によりLNGを検知した後、検知手段112とは異なる他の検知手段11でLNGを検知しているか否かを判定する。制御装置14Aは、ステップST20において、いずれの検知手段11でもLNGが検知されていないと判定されるまで、ステップST13からステップST19の処理を繰り返し実行する。それにより、制御装置14Aは、漏洩箇所3があると推定される推定範囲を複数算出し、すべての推定範囲と配管2とが重なる領域に漏洩箇所3があると特定する。なお、制御装置14Aは、ステップST13からステップST19までの処理を所定回数実行した場合、本処理を一旦終了するものとしてもよい。
【0069】
このように、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定方法の変形例において、制御装置14Aは、風向風速入手手段12により入手された風向及び風速に基づいて、経過時間ΔT1、ΔT2における配管2の周囲の風の流跡線解析を行い、LNGを検知した一つの検知手段111、112から、解析した風の流跡線を風上方向に辿った位置を、推定位置A1、A2として算出する。本実施形態の漏洩箇所特定装置10A及び漏洩箇所特定方法は、配管2からのLNGの漏洩が発生してからの経過時間ΔT1、ΔT2を精度良く算出することができるため、経過時間ΔT1、ΔT2が比較的長くなったとしても、経過時間ΔT1、ΔT2における風速ベクトルの流跡線を精度良く算出することができる。その結果、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1、A2をより精度良く算出することができる。
【0070】
また、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定方法の変形例において、制御装置14Aは、複数の検知手段11でLNGを検知するごとに、推定位置(A1、A2)を複数算出し、複数算出された推定位置(A1、A2)に基づいて漏洩箇所3を特定する。これにより、検知手段11でLNGを検知するごとに算出される複数の推定位置(A1、A2)を用いて、漏洩箇所3を精度良く絞りこむことができる。
【0071】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10B及び漏洩箇所特定方法について説明する。
図13は、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置を示す概略構成図である。漏洩箇所特定装置10Bは、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aの制御装置14Aに代えて、制御装置14Bを備える。また、漏洩箇所特定装置10Bは、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aの圧力検出センサ13を備えない。漏洩箇所特定装置10Bのその他の構成は、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aと同様であるため、説明を省略する。
【0072】
制御装置14Bは、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定方法として、検知手段11及び風向風速入手手段12から入力した情報に基づいて、配管2からのLNGの漏洩箇所3を特定するための第二漏洩箇所特定制御を実行する。制御装置14Bのその他の構成は、制御装置14Aと同様であるため、説明を省略する。
図14は、第二漏洩箇所特定制御を示すフローチャートである。
【0073】
制御装置14Bは、ステップST21として、いずれかの検知手段11においてLNGを検知したか否かを判定する。制御装置14Bは、いずれの検知手段11でもLNGを検知しなかった場合(ステップST21,No)、本処理を一旦終了して、再びステップST21以降の処理を実行する。制御装置14Bは、いずれかの検知手段11でLNGを検知した場合(ステップST21,Yes)、ステップST22に進む。
【0074】
制御装置14Bは、ステップST22として、風向風速入手手段12から入力された風速と、検知手段の水平方向における最大間隔Dとに基づいて、LNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1を算出する。具体的には、制御装置14Bは、最大間隔DをステップST21時点での配管2の周囲の風速で除算して得られる時間を、LNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1として算出する。最大間隔Dは、第一実施形態において説明したように、式(1)で算出される対角線上に配置された検知手段11同士の距離である。制御装置14Bは、経過時間ΔT1を算出するとステップST23以降の処理に進む。
【0075】
制御装置14Bは、ステップST23からステップST27として、
図3に示すステップST4からステップST8と同様の処理を実行する。すなわち、制御装置14Bは、経過時間ΔT1に基づいてLNGの拡散幅σを算出する(ステップST23)。制御装置14Bは、風速と経過時間ΔT1とに基づいてLNGが風により運ばれ始めたと推定される推定位置A1を算出し(ステップST24)、推定位置A1を中心として拡散幅σの所定倍数を半径とする推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13を算出する(ステップST25)。制御装置14Bは、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と配管2とが重なる領域内に漏洩箇所3があると特定し(ステップST26)、この領域を他の領域とは異なる表示方法で表示手段15に表示させる(ステップST27)。
【0076】
以上説明したように、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10B及び漏洩箇所特定方法は、検知手段11同士が配管(収容手段)2の周囲に規則的に間隔Lx、Lyを空けて配置されるため、検知手段11の水平方向における最大間隔Dを風速で除算して得られる時間は、LNG(拡散物質)の漏洩が始まってから、いずれかの検知手段11でLNGを検知するまでの最大時間と推定することができる。この最大時間をLNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1とすることで、経過時間ΔT1を比較的に正確に算出することができる。また、LNGを検知した検知手段111から、配管2の周囲の風向の反対方向に、算出した経過時間ΔT1と風速とを乗算した距離L1だけ離れた位置を、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1として、精度良く算出することができる。その結果、推定位置A1に基づいて漏洩箇所3を精度良く特定することができる。
【0077】
これにより、漏洩箇所3を特定するに際して、LNGを検知する検知手段11及び風向及び風速を入手する風向風速入手手段12といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所3の特定を行うことができる。また、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aに比べて、圧力検出センサ13を用いる必要がないため、さらに安価な設備とすることができる。また、LNGの濃度や拡散状況を視覚化するカメラからの情報等を用いた逆解析手法のような複雑な処理を行う必要がなくなる。さらに、LNGの濃度分布の解析精度を高めるためには、多くの検知手段11が必要となるが、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Bは、一つの検知手段11がLNGを検知すれば、漏洩箇所3の特定を行うことができる。そのため、必要となる検知手段11の個数を従来の手法に比べて削減することができる。従って、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Bによれば、より安価な設備で、速やかにLNGの配管2からの漏洩箇所3を特定することが可能となる。
【0078】
また、検知手段11は、格子状に配置され、最大間隔Dは、対角線上に配置された検知手段11同士の距離である。これにより、簡易な計算でLNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1を算出することができる。
【0079】
また、最大間隔Dは、風向風速入手手段12により入手された風向に沿って配置された検知手段11同士の距離であってもよい。すなわち、最大間隔Dは、第一実施形態において説明したように、式(2)または式(3)等によって算出される距離(各風向角度において、ある検知手段11から他の検知手段11が必ず一つはみつかる距離)であってもよい。これにより、LNGが漏洩し始めてから、いずれかの検知手段11で検知されるまでの間に、LNGが風によって運ばれ得る最大の距離に基づいて、LNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1をより正確に算出することができる。
【0080】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10C及び漏洩箇所特定方法について説明する。
図15は、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置を示す概略構成図である。漏洩箇所特定装置10Cは、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Bの制御装置14Bに代えて、制御装置14Cを備える。漏洩箇所特定装置10Cのその他の構成は、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Bと同様であるため、説明を省略する。
【0081】
制御装置14Cは、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定方法として、検知手段11及び風向風速入手手段12から入力した情報に基づいて、配管2からのLNGの漏洩箇所を特定するための第三漏洩箇所特定制御を実行する。制御装置14Cのその他の構成は、制御装置14Bと同様であるため、説明を省略する。
図16は、第三漏洩箇所特定制御を示すフローチャートである。
【0082】
制御装置14Cは、ステップST31として、隣り合う2つの検知手段11においてLNGを検知したか否かを判定する。制御装置14Cは、隣り合う2つの検知手段11においてLNGを検知していない場合(ステップST31、No)、本処理を一旦終了して、再びステップST31以降の処理を実行する。制御装置14Cは、隣り合う2つの検知手段11においてLNGを検知したと判定した場合(ステップST31,Yes)、ステップST32に進む。ここでは、検知手段111(
図4参照)でLNGを検知した後、検知手段111よりも風下方向に配置される検知手段112(
図4参照)でLNGを検知したとする。
【0083】
制御装置14Cは、ステップST32として、一つの検知手段111でLNGを検知してから、検知手段111と隣り合って配置される他の検知手段112でLNGを検知するまでの時間を、LNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1として算出する。制御装置14Cは、経過時間ΔT1を算出すると、ステップST33以降の処理に進む。
【0084】
制御装置14Cは、ステップST33からステップST37として、
図3に示すステップST4からステップST8と同様の処理を実行する。すなわち、制御装置14Cは、経過時間ΔT1に基づいてLNGの拡散幅σを算出する(ステップST33)。制御装置14Cは、風速と経過時間ΔT1とに基づいてLNGが風により運ばれ始めたと推定される推定位置A1を算出し(ステップST34)、推定位置A1を中心として拡散幅σの所定倍数を半径とする推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13を算出する(ステップST35)。制御装置14Cは、推定範囲R11、推定範囲R12、及び推定範囲R13と配管2とが重なる領域内に漏洩箇所3があると特定し(ステップST36)、制御装置14Cは、この領域を他の領域とは異なる表示方法で表示手段15に表示させる(ステップST37)。
【0085】
以上説明したように、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10C及び漏洩箇所特定方法は、検知手段11同士が配管(収容手段)2の周囲に規則的に間隔Lx、Lyを空けて配置されるため、隣り合う検知手段11同士でLNG(拡散物質)を検知するまでの時間をLNGの漏洩が始まってからの経過時間ΔT1とすれば、経過時間ΔT1を比較的に正確に算出することができる。また、LNGを検知した検知手段111から、配管2の周囲の風向の反対方向に、算出した経過時間ΔT1と風速とを乗算した距離L1だけ離れた位置を、LNGが風で運ばれ始めたと推定される推定位置A1として、精度良く算出することができる。その結果、推定位置A1に基づいて漏洩箇所3を精度良く特定することができる。
【0086】
これにより、漏洩箇所3を特定するに際して、LNGを検知する検知手段11及び風向及び風速を入手する風向風速入手手段12といった比較的に安価な設備だけを用いて漏洩箇所3の特定を行うことができる。また、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Aに比べて、圧力検出センサ13を用いる必要がないため、さらに安価な設備とすることができる。また、LNGの濃度や拡散状況を視覚化するカメラからの情報等を用いた逆解析手法のような複雑な処理を行う必要がなくなる。さらに、LNGの濃度分布の解析精度を高めるためには、多くの検知手段11が必要となるが、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Cは、少なくとも2つの検知手段11がLNGを検知すれば、漏洩箇所3の特定を行うことができる。そのため、必要となる検知手段11の個数を従来の手法に比べて削減することができる。従って、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Cによれば、より安価な設備で、速やかにLNGの配管2からの漏洩箇所3を特定することが可能となる。
【0087】
また、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10A、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10B、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Cにおいて、制御装置14A、14B、14Cは、算出された経過時間ΔT1(または経過時間ΔT2)に基づいて、空気中におけるLNGの水平方向の拡散幅σを算出し、算出された推定位置A1(または推定位置A2)を中心として拡散幅σの所定倍数を半径とする範囲を、漏洩箇所3があると推定される推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)として算出し、算出された推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)内に漏洩箇所3があると特定する。これにより、漏洩箇所3がある可能性が高い推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)を精度良く算出し、漏洩箇所3を精度良く絞りこむことが可能となる。
【0088】
また、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10A、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10B、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Cは、算出された推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)を表示する表示手段15をさらに備え、制御装置14A、14B、14Cは、算出された推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)と配管2とが重なる領域内に漏洩箇所3があると特定し、この領域を他の領域とは異なる表示方法で表示手段15に表示させる。これにより、特定した漏洩箇所3をオペレータにわかりやすく提示することができる。
【0089】
なお、制御装置14A、14B、14Cは、拡散幅σや推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)を算出することなく、推定位置A1(または推定位置A2)自体を漏洩箇所3として特定してもよいし、推定位置A1(または推定位置A2)を中心にとして任意に定められる範囲内に漏洩箇所があると特定してもよい。
【0090】
また、制御装置14A、14B、14Cは、推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)と配管2とが重なる領域ではなく、推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)のいずれかに漏洩箇所3があると特定してもよい。この場合、制御装置14A、14B、14Cは、推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)とその他の領域とを異なる表示方法で表示手段15に表示させてもよい。また、制御装置14A、14B、14Cは、推定範囲R11、R12、R13(または推定範囲R21、R22、R23)ごとに、異なる表示方法で表示手段15に表示させてもよい。
【0091】
また、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10A、第二実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10B、第三実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10Cは、拡散幅σの所定倍数(本実施形態では、値1、値2、値3)を半径とする範囲を、漏洩箇所3があると推定される推定範囲R11、R12、R13、R21、R22、R23として算出したが、所定倍数は、如何なる値でもよく、推定範囲は、少なくとも一つ算出されればよい。
【0092】
また、第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態において、拡散物質であるLNGを内部に含む収容手段は、LNGを輸送する配管2であり、検知手段11は、配管2の軸方向に沿って互いに等間隔Lyを空けつつ、かつ、配管2の径方向に沿って互いに等間隔Lxを空けつつ、配管2の真下及び両側部に配置される。これにより、プラント設備1において広い範囲に配索される配管2についても、いずれの位置にLNGの漏洩箇所3があるかを容易に特定することができる。なお、検知手段11は、少なくとも配管2の両側部に配置されればよい。
【0093】
また、本発明の適用の対象となる拡散物質は、空気中に拡散可能な物質であれば、LNG以外のいかなる物質であってもよい。拡散物質は、例えば、放射性物質といった粒子状の物質であってもよい。また、第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態において、検知手段11は、配管2よりも鉛直方向下側で、水平方向と平行なに並んで配置されるものとしたが、拡散物質が空気よりも軽い物質である場合、検知手段11は、配管2よりも鉛直方向上側で、水平方向と平行な平面に沿って配置されればよい。また、第二実施形態及び第三実施形態においては、検知手段11は、規則的に間隔Lx、間隔Lyをおいて配置されさえすれば、水平方向と平行な平面に並んで配置されなくてもよい。また、第一実施形態においては、検知手段11は、規則的に間隔Lx、間隔Lyを空けて配置されなくてもよく、水平方向と平行な平面に並んで配置されなくてもよい。
【0094】
また、収容手段は、拡散物質を内部に含むものでさえあれば、配管2以外のいかなる手段であってもよい。収容手段は、例えば、内部にLNGを貯蔵する貯蔵手段としてのタンクであってもよい。なお、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10A及び漏洩箇所特定方法については、収容手段から拡散物質が漏洩した場合に、収容手段の内圧Pが低下するものに限り適用することができる。そのため、第一実施形態にかかる漏洩箇所特定装置10A及び漏洩箇所特定方法は、LNGを輸送する配管2への適用に好適である。