特許第6789854号(P6789854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789854
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05F 3/14 20060101AFI20201116BHJP
   E05F 5/00 20170101ALI20201116BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   E05F3/14
   E05F5/00 A
   E06B7/28 Z
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-44277(P2017-44277)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-145747(P2018-145747A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
(72)【発明者】
【氏名】松田 宏
(72)【発明者】
【氏名】千野 哲玄
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−14791(JP,A)
【文献】 再公表特許第00/47855(JP,A1)
【文献】 特開2010−158946(JP,A)
【文献】 特開2002−340057(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2138661(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
E06B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠に対してスライドして移動可能な建具であって、
磁性流体を含み、前記磁性流体の粘性により前記建具の移動速度を抑える制動部と、
前記移動速度に応じて前記磁性流体の粘性係数を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記建具が移動することによって発電電圧を出力する発電部を備え、
前記制動部は、前記磁性流体の粘性係数を変化させるための電磁石を含み、
前記制御部は、前記発電電圧に応じた制御電圧を前記電磁石に供給することを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記制御部は、前記移動速度が増加するにつれて前記制御電圧を増やすように制御することを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記制御部は、前記建具の移動開始から移動速度が予め定められた設定値に到達するまで、前記制御電圧の供給を実質的に停止することを特徴とする請求項2または3に記載の建具。
【請求項5】
回転可能に設けられる回転部材と、
前記回転部材に対して相対的に移動可能に設けられ、前記建具が移動するとき、前記回転部材を回転させる移動部材と、
を備え、
前記回転部材が回転するとき、前記発電部は前記発電電圧を出力することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記移動部材の前記回転部材とは反対側に設けられ、前記移動部材を案内するガイド部を備えることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記回転部材にはピニオンギアが設けられ、
前記移動部材には、前記ピニオンギアと噛み合うラックギアが設けられることを特徴とする請求項5または6に記載の建具。
【請求項8】
前記回転部材には、周方向に複数の磁極が設けられた回転部材側磁石が設けられ、
前記移動部材には、前記複数の磁極と対向する別の複数の磁極が設けられた移動部材側磁石が設けられることを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の建具。
【請求項9】
前記回転部材にはローラが設けられ、
前記移動部材には、前記ローラと当接する当接面部が設けられることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の建具。
【請求項10】
前記移動部材は、前記建具に移動可能に支持され、前記枠に設けられた枠側係合部に少なくとも一時的に係合される移動側係合部を有し、
前記建具が移動するとき、前記枠側係合部が前記移動側係合部に係合して、前記移動部材が前記回転部材に対して相対的に移動することを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の建具。
【請求項11】
前記移動部材の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記枠側係合部の移動経路を規制する案内部材を備えることを特徴とする請求項10に記載の建具。
【請求項12】
前記制動部は、回転可能な回転体を含み、
前記発電部は、回転可能な回転子を含み、
前記建具が移動するとき、前記回転子は、前記回転体と同等以上の速度で回転することを特徴とする請求項2から11のいずれかに記載の建具。
【請求項13】
前記発電部は、前記回転子の回転軸が前記回転体の回転軸と非同軸になるように配置されることを特徴とする請求項12に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や家具などに取付けるスライドして移動可能な建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物や家具などに取付ける引き戸が知られている。例えば特許文献1には部屋の間仕切り又は食器棚等の収納家具における戸閉具が記載されている。この戸閉具は、係止溝を有する棒状ケーシングとシリンダ部とピストンロッドとからなる緩衝ダンパとフック部材と引張り弾性体とカバー部材とを備えている。この戸閉具では、引戸が閉じられるときに、フック部材が緩衝ダンパに荷重を入力し、戸閉終了間際における引戸の速度を減速させて戸閉動作を制限するように構成されている。この戸閉具では、閉められている引戸を開く際にも緩衝ダンパが引戸の動作を制限するから、特に開き始めの荷重が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5336252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、建物や家具などに取付ける引き戸について以下の認識を得た。
引き戸が軽くスライドするように引き戸のスライド抵抗を小さくすると、勢いよく戸閉めしたときに引き戸が高速のままフレームに衝突して大きな衝突音を出し、使用者に違和感を与えるおそれがある。移動速度を抑制するために、引き戸のスライド抵抗を大きくすると、引き戸を開く際の開き始めのスライド抵抗も大きくなり使い勝手が低下するおそれがある。このような課題は、引き戸に限られず、スライドするその他の種類の建具についても生じうる。
このことから、本発明者は、スライド可能な建具について、建具を閉める際の速度を緩和しつつ、建具の開き始めなど起動するときのスライド抵抗を減らす観点から改善の余地があることを認識した。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、閉める際の速度を緩和しつつ、起動するときのスライド抵抗を減らすことが可能な建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の建具は、枠に対してスライドして移動可能な建具であって、磁性流体を含み、磁性流体の粘性により建具の移動速度を抑える制動部と、移動速度に応じて磁性流体の粘性係数を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この態様によると、抑制機構が制御部を備えることで、建具の移動速度に応じて磁性流体の粘性係数を制御することができる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、閉める際の速度を緩和しつつ、起動するときのスライド抵抗を減らすことが可能な建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る建具の周辺を示す正面図である。
図2図1の建具の抑制機構を説明する平面図である。
図3図1の建具の抑制機構を説明する正面図である。
図4図1の建具の抑制機構を説明するブロック図である。
図5図1の建具の発電部と制動部を説明する断面図である。
図6図1の建具の制御部の一例を示す回路図である。
図7図1の建具の移動速度と制動力の関係を示すグラフである。
図8図1の建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図9図1の建具の変換部の周辺を示す側面図である。
図10図1の建具の第1伝達部の歯車列の一例を示す平面図である。
図11図1の建具の第1伝達部の歯車列の一例を示す正面図である。
図12】第2実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図13】第2実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す側面図である。
図14】第3実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図15】第3実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す側面図である。
図16】第4実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図17】第4実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す側面図である。
図18】第5実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図19】第5実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す側面図である。
図20】第6実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す正面図である。
図21】第6実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図22図20のピニオンギアの周辺を拡大して示す拡大図である。
図23】第7実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図24】第7実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図25】第7実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図26】第7実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図27】第7実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図28】第7実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図29】第8実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図30】第8実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図31】第8実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図32】第8実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図33】第8実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図34】第8実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
図35】第9実施形態に係る建具の変換部の周辺を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は、スライド移動する建具について考察し、以下のような認識を得た。
引き戸が軽くスライドするように引き戸のスライド抵抗を小さくすると、勢いよく戸閉めしたときに引き戸が高速のままフレームに衝突して大きな衝突音を出し、使用者に違和感を与えるおそれがある。移動速度を抑制するために、引き戸のスライド抵抗を大きくすると、引き戸の開き始めなど起動するときのスライド抵抗も大きくなり使い勝手が低下するおそれがある。このような課題は、引き戸に限られず、スライドするその他の種類の建具、例えば縦方向にスライドする建具についても生じうる。
【0012】
移動速度を抑制するために、電磁的なブレーキを用いる構成が考えられる。例えば、引き戸のスライド動作により発電する発電機と、この発電機の出力を抵抗器で短絡しショートブレーキをかける構成が考えられる。しかし、大開口用のサッシなど質量の大きなものを停止させるにはより大きな発電機を備えることで大型化し、適用範囲が制限されることが考えられる。
【0013】
そこで、本発明者は、電磁石により粘性係数を増減できる磁性流体を用いて建具の移動速度を抑制する構成を見出した。例えば、建具のスライド動作により発電した電力をこの電磁石に供給することで、強力な制動力を建具に作用させることができる。
第1実施形態はこのような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
【0014】
以下、本発明を好適な第1実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。第1実施形態、変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において第1実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は種々の構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0015】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る建具10について説明する。図1は、第1実施形態に係る建具10の周辺を示す正面図である。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向あるいは右方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向で正方向を上方向、Z軸方向で負方向を下方向と表記することがある。このような方向の表記は建具10の使用姿勢を制限するものではなく、建具10は任意の姿勢で使用されうる。
【0016】
(建具)
建具10は、一例として、壁18に設けた開口部18bを開閉する引き戸である。建具10は、図1においてX軸方向である左右方向にスライド可能にサッシ枠16に支持される。建具10は、枠部12と、ガラス部10bと、抑制機構20と、戸車10dと、を含む。枠部12は、種々の形状に形成してもよいが、第1実施形態では矩形に組み合わされた上枠12b、下枠12c、第1縦枠12d、第2縦枠12eと、を含む。上枠12bには抑制機構20が収容される。枠部12は、種々の素材から形成されてもよいが、第1実施形態ではアルミニウムなどの金属材料から形成されている。ガラス部10bは、枠部12に嵌め込まれた矩形状の板ガラスであってもよい。戸車10dは、左右に離間して下枠12c内に2つ設けられる。2つの戸車10dがサッシ枠16の下側の枠に設けた図示しない走行溝を走行することで、建具10は左右に円滑にスライドできる。サッシ枠16の上側の枠にはX軸方向に延在するレール50が設けられる。レール50には、後述する移動部材42が設けられる。
【0017】
(抑制機構)
次に、抑制機構20について説明する。図2は、抑制機構20を説明する平面図である。図3は、抑制機構20を説明する正面図である。図4は、抑制機構20を説明するブロック図である。図5は、発電部26と制動部28を説明する断面図である。抑制機構20は、粘性係数が可変な媒体の粘性抵抗により建具10の移動速度を抑制する要素を含む。第1実施形態の抑制機構20は、変換部40と、伝達機構24と、発電部26と、制動部28と、制御部30と、を主に含む。
【0018】
変換部40は、建具10のスライド運動を回転運動に変換して出力する運動変換機構である。変換部40は、回転部材46と移動部材42を含み、建具10がスライド移動するとき、移動部材42は回転部材46を回転させるように構成される。伝達機構24は、変換部40からの出力回転40mを発電部26および制動部28に伝達する回転伝達要素である。伝達機構24は種々の伝達経路を含みうる。第1実施形態では、伝達機構24は、第1伝達部23と、第2伝達部25と、を含む。第1伝達部23は、変換部40の出力回転40mを制動部28の回転体28bに伝達して回転させる。第2伝達部25は、制動部28の回転体28bの回転28nを発電部26の回転子26bに伝達して回転させる。変換部40と伝達機構24については後述する。
【0019】
(発電部)
発電部26は、建具10がスライド移動することによって出力端子に発電電圧26dを出力する。発電部26は、入力回転の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して出力するエネルギー変換要素を含む。発電部26は、種々の原理に基づくエネルギー変換要素を含んでもよい。第1実施形態の発電部26は、一例として、マグネットを有する回転子26bと、電機子コイル26cと、から構成されている。シャフト26fに支持された回転子26bのマグネットが回転すると、電機子コイル26cの出力端子26h、26jに発電電圧26dが出力される。発電部26には、直流モータ、交流モータ、ステッピングモータ、これらに歯車が付与されたギアドモータなどの各種のモータを、発電機として用いることができる。つまり、これらのモータの出力シャフトに入力回転を付与することで、これらのモータの入力端子に出力電圧を出力させることができる。第1実施形態の発電部26は、一例として、ステッピングモータを含んでいる。このため、入力回転速度に対する発電電圧の比を大きくすることが可能で、発電部26の小型化が容易になる。第1実施形態の発電部26では、移動速度Vsに略比例する大きさの発電電圧26dを出力する。
【0020】
(制動部)
制動部28は、回転体28bの回転を抑制するブレーキ要素を含む。第1実施形態の制動部28は、ケーシング28aと、回転体28bと、固定円盤28cと、電磁石28dと、磁性流体28eと、を主に含む。ケーシング28aは、両端部が閉じられた円筒状の部材で、中空部を包囲する。回転体28bは、回転円盤28gと、回転円盤28gの中心に固定されたシャフト28fと、を含む。シャフト28fは、ケーシング28aに設けられた軸受に支持される。シャフト28fの両端部はケーシング28aから外側に突出ている。磁性流体28eは、電磁石28dにより磁界を変化させることよって粘性係数を変化させることが可能な流体である。磁性流体28eは、粒径が1nm〜100μmの範囲の磁性粒子を含むことができる。磁性流体28eの粘性係数は、所望の制動力を発生し得る範囲にシミュレーションまたは実験により定めることができる。制動部28は、入力端子28h、28jへの制御電圧30sを増やすと、磁性流体28eの粘性係数が大きくなり、制動部28の制動力Fsも大きくなる。電磁石28dへの制御電圧30sの通電を実質的に停止させることにより、磁性流体28eの粘性係数が最小になり、制動力Fsが最小になる。
【0021】
(制御部)
制御部30は、発電電圧26dに基づき制御電圧30sを出力する。図6は、制御部30の一例を示す回路図である。図6の例では、制御部30は、入力整流部30bと、供給制御部30cと、を含む。図6の制御部30では、供給制御部30cの前段に入力整流部30bを設けている。発電部26の構造により、発電電圧26dが交流の場合があり、直流の場合でも建具10のスライド方向によって発電の極性が変化するので、供給制御部30cに供給する電圧の極性を揃えるためである。入力整流部30bは、発電電圧26dを整流と平滑をした整流電圧30dを供給制御部30cに出力する。発電電圧26dの極性に拘わらず、一定の極性の整流電圧30dを供給制御部30cに出力することができる。
【0022】
(入力整流部)
入力整流部30bは、ブリッジ接続された4つのダイオードD1〜D4と、コンデンサCAP1と、を含む。入力整流部30bは、入力端子30h、30jに入力された発電電圧26dを4つのダイオードD1〜D4により整流し、コンデンサCap1で平滑して、中間端子30f、30eに整流電圧30dとして出力する。ダイオードD1〜D4に用いる整流素子に特別な制限はない。第1実施形態では、ダイオードD1〜D4としてショットキーバリアダイオードを用いている。これは、ダイオードD1〜D4の電圧降下が大きいと、その分だけ整流電圧30dが不足するからである。また、ダイオードD1での電力損失が大きいと、抑制機構20の効率が低下することも考えられるからである。
【0023】
(供給制御部)
供給制御部30cは、整流電圧30dを入力として、整流電圧30dの変化に応じた制御電圧30sを出力する。制御電圧30sを制御するために、BPトランジスタやMOSFETなど種々の制御素子を用いることができる。第1実施形態では、制御部30は、制御電圧30sを制御するためのサイリスタQ1を含んでいる。サイリスタは一度ターンオン(点弧)されてオン状態になると、整流電圧が小さくなりゲート電圧が失われても導通し続け、低速での制御を確保しやすい点で好ましい。
【0024】
整流電圧30dのプラス電位が供給される中間端子30fと、マイナス側が供給される中間端子30eと、の間には抵抗器R1と可変抵抗器R2とが直列に接続され、これらの接続点には分圧された分圧電圧30gが提供される。NPN型のトランジスタQ2の、エミッタE2は中間端子30eに、ベースB2は抵抗器R1と可変抵抗器R2との接続点に、コレクタC2は抵抗器R3を介してPNP型のトランジスタQ3のベースB3に、それぞれ接続されている。トランジスタQ3の、エミッタE3は中間端子30fに、コレクタC3は抵抗器R4を介してサイリスタQ1のゲートG1に、それぞれ接続されている。サイリスタQ1の、アノードA1は中間端子30fに、カソードK1は出力端子30kに、それぞれ接続されている。
【0025】
整流電圧30dがゼロのときは、サイリスタQ1は非導通状態になる。整流電圧30dが低く、分圧電圧30gがトランジスタQ2をオン状態にさせるに足りる電圧Vo未満のときは、トランジスタQ2、Q3は共にオフ状態で、サイリスタQ1のゲートG1は非駆動電位であり、サイリスタQ1は非導通状態を維持する。整流電圧30dが上昇し、分圧電圧30gがトランジスタQ2をオン状態にさせるに足りる電圧Voを超えると、トランジスタQ2、Q3は共にオン状態になり、ゲートG1にターンオン(点弧)電位を与える。ターンオンされたサイリスタQ1はアノードA1とカソードK1の間で導通状態になり、出力端子30kに、整流電圧30dを制御電圧30sとして出力する。一度導通状態になったサイリスタQ1は、整流電圧30dが低くなっても、通過電流がゼロになるまで導通状態を維持し、出力端子30kに、整流電圧30dを制御電圧30sとして出力し続ける。サイリスタQ1のアノードA1とカソードK1との間に、これらの間を短絡するようにスイッチSWが接続されている。
【0026】
制御部30の供給制御部30cは、1つまたは複数の供給モードを備えてもよい。図6の例では第1モードと第2モードの2つの供給モードを備えている。図6において、スイッチSWを導通させた状態では、制御部30は第1モードにより制御電圧30sを供給し、スイッチSWを非導通にした状態では、制御部30は第2モードにより制御電圧30sを供給する。なお、スイッチSWを設けることは必須ではない。
【0027】
第1モードについて説明する。第1モードでは、制御部30は、スイッチSWが導通状態であるため、サイリスタQ1の導通状態に拘わらず、整流電圧30dをそのまま制御電圧30sとして制動部28に供給する。第1モードでは、建具10の移動速度Vsが速くなるほど整流電圧30dすなわち制御電圧30sが高くなる。特に、制御部30は、移動速度Vsが増加するにつれて制御電圧30sを増やすように制御している。制御電圧30sが高くなると制動部28の制動力Fsが増加し、建具10の移動速度Vsがより強く抑制される。つまり、移動速度Vsは、遅い場合には殆ど抑制されず、速くなるほど強く抑制される。図7は、移動速度Vsと制動力Fsの関係を示すグラフである。この図の(a)のグラフは、第1モードにおける関係を示し、この図の(b)のグラフは、後述する第2モードにおける関係を示している。図7では、理解を容易にするため、ダイオードD1〜D4の電圧降下の影響を無視して示している。図7のグラフ線g1に示すように、制動力Fsは移動速度Vsに略比例して変化する。図7の矢印X1は、建具10の起動時(例えば、開き始め)から最高速度に達するまでの加速時のグラフ線g1上の経路を示す。矢印X2は、最高速度に達してから建具10が停止するまでの減速時のグラフ線g1上の経路を示す。加速時の経路と減速時の経路とは同じグラフ線g1上を往き来する。
【0028】
第2モードについて説明する。開き始めなど、建具10を起動して加速するときには、制動力Fsはより小さいことが望ましい。そこで、第1実施形態では、建具10が起動してから移動速度Vsが予め定められた設定値Veに到達するまでは、制御電圧30sの供給を実質的に停止するように制御する第2モードを設けている。第2モードでは、スイッチSWが非導通状態であるため、サイリスタQ1が非導通のときには、制御電圧30sの供給が停止され、制御電圧30sは略ゼロになる。サイリスタQ1が導通しているときには、制動部28には整流電圧30dが制御電圧30sとして供給される。
【0029】
設定値Veは、建具10を開けるときおよび閉めるときにおける安全な移動速度の範囲に設定することができる。この観点から、設定値Veは、例えば10cm/秒〜40cm/秒の範囲に設定してもよい。第1実施形態では、一例として、設定値Veは25cm/秒〜35cm/秒の範囲に設定している。
【0030】
このような制御を実現するために、供給制御部30cでは、移動速度Vsが設定値Veを超えるとき、分圧電圧30gがトランジスタQ2をオン状態にさせるに足りる電圧Voを超えるように、変換部40、伝達機構24、発電部26および供給制御部30cの各パラメータが設定されている。この設定の細部の調整は、移動速度Vsが設定値Veと等しいとき、分圧電圧30gが電圧Voと等しくなるように、可変抵抗器R2の抵抗値を調整することで容易にすることができる。
【0031】
可変抵抗器R2について説明する。建具10の質量など、抑制機構20を構成する部材の特性により適切な設定値Veは異なることがある。また、制御部30の電子部品の特性にも一定のバラツキが考えられる。このため、個々の建具10について、設定値Veを微調整できることが望ましい。そこで、第1実施形態の建具10では、制御部30は、設定値Veを調整可能な可変抵抗器R2を有する。この構成によれば、抑制機構20の動作を確認しながら可変抵抗器R2を調整できるから、短い作業時間にて、より高い精度の所望の動作を実現することができる。可変抵抗器R2は半固定抵抗器であってもよい。
【0032】
図7の(b)のグラフは、第2モードでの移動速度Vsと制動力Fsの関係を示している。この図7において、矢印Y1、Y2、Y3は、例えば開き始めなど建具10を起動してから加速して最高速度に達するまでの加速過程のグラフ線g2上の経路を示す。矢印Y4、Y5は、最高速度に達してから建具10が停止するまでの減速時のグラフ線g3上の経路を示す。矢印Y1、Y5は、移動速度Vsが設定値Ve以下の第1速度領域におけるグラフ上の経路を示している。矢印Y3、Y4は、移動速度Vsが設定値Veを超える第2速度領域におけるグラフ上の経路を示している。矢印Y2は、移動速度Vsが第1速度領域から第2速度領域に遷移するグラフ上の経路を示している。
【0033】
まず、第2モードにおける加速の過程を説明する。停止していた建具10が起動してから移動速度Vsが設定値Ve以下である第1速度領域では、矢印Y1で示すように、制動力Fsは略最小状態を維持する。この間、制動力Fsが小さいので、建具10を容易に移動させることができる。移動速度Vsが上昇して設定値Veを超える第2速度領域では、矢印Y2で示すように、制動力Fsは大きく増加し、移動速度Vsの加速が抑制される。第2速度領域では、制御部30は、移動速度Vsが増加するにつれて制御電圧30sを増やすように制御している。このため、矢印Y3で示すように、移動速度Vsが大きくなるほど、制動力Fsは大きくなり、移動速度Vsの加速はより強く抑制される。制御部30は、移動速度Vsが増加するにつれて制御電圧30sを増やすように制御している。
【0034】
次に、第2モードにおける減速の過程を説明する。第1実施形態では、建具10の減速過程において、供給制御部30cは、制動力Fsが徐々に減少するように制御する。これは、制動力Fsが急激に低下すると、建具10がオーバーランするおそれがあるからである。建具10の減速過程では、矢印Y4、Y5に示すように、移動速度Vsが小さくなるほど、制動力Fsが小さくなる。移動速度Vsが設定値Veを下回っても、矢印Y5に示すように、制動力Fsは、急激に減少するのではなく、移動速度Vsに略比例して徐々に減少する。
【0035】
(変換部)
次に、変換部40について説明する。変換部40は、建具10のスライド運動を回転運動に変換して出力する運動変換要素を含む。例えば、建具が直線状または曲線状にスライド移動する場合、変換部は直線状または曲線状の運動を回転運動に変換するように構成される。第1実施形態では、建具10は直線状にスライド移動するので、変換部40は、直線運動を回転運動に変換するように構成されている。変換部40は公知の種々の運動変換機構を含んでもよい。
【0036】
図8は、第1実施形態に係る建具10の変換部40の周辺を示す平面図である。図9は、変換部40の周辺を示す側面図である。変換部40は、一例として、回転可能に設けられる回転部材46と、回転部材46に対して相対的に移動可能に設けられる移動部材42と、を含む。移動部材42は、建具10がスライド移動するとき、回転部材46を回転させながら移動するように構成されている。特に、変換部40は、レール50と、移動部材42と、ラックギア44と、回転部材46と、第1ギア47と、ガイド部49と、ケース52と、を主に含む。回転部材46、第1ギア47、ガイド部49およびケース52は、建具10に支持され、建具10と一体にスライド移動する。このとき、レール50、移動部材42およびラックギア44は、建具10に対して相対的に移動する。
【0037】
レール50は、X軸方向に延びてY軸方向に薄板状の部材であり、例えばサッシ枠16に固定される(図1も参照)。レール50は、X軸方向に長手方向を有し、正面視で略矩形状の部材である。レール50は、アルミニウムなどの金属材料や樹脂材料から形成することができる。
【0038】
移動部材42は、X軸方向に延びる正面視で略矩形状の部材である。移動部材42の上面42bには、下向に凹む溝部42fがX軸方向に延設されている。移動部材42は、溝部42fがレール50に嵌め込まれて固定されている。つまり、移動部材42は、レール50を介してサッシ枠16に固定的に支持されている。移動部材42は、平面視において、移動部材42の移動方向であるX軸方向の端部に向かって、Y軸方向の厚みが薄くなるテーパ形状を有する。テーパ形状を有することで、移動部材42の端部が回転部材46に接触するときの衝撃を緩和することができる。移動部材42は、アルミニウムなどの金属材料や樹脂材料から形成することができる。
【0039】
移動部材42の正面にはX軸方向に延在するラックギア44が設けられている。ラックギア44には、複数のラック歯がX軸方向に並べて配置されている。ラックギア44は、別に形成して移動部材42に結合するようにしてもよいが、第1実施形態では移動部材42と一体に形成されている。ラックギア44は、所望の強度を有する樹脂材料や金属材料から形成することができる。
【0040】
回転部材46は、ラックギア44と噛み合うピニオンギア46bを含む。第1ギア47は、回転部材46の回転を伝達機構24に入力する歯車である。第1ギア47は回転部材46と同軸に回転部材46の下側に設けられる。回転部材46および第1ギア47の中心には、上下に延びるシャフト46cが固定される。シャフト46cの上端部、中間部および下端部は軸受52gによって、上板52b、中板52cおよび下板52dに回転可能に支持されている。回転部材46は、上板52bと中板52cの間で回転可能に支持される。第1ギア47は、中板52cと下板52dの間で回転可能に支持される。ピニオンギア46bは、所望の強度を有する樹脂材料や金属材料から形成することができる。ラックギア44とピニオンギア46bとは、ラックピニオン機構を構成する。
【0041】
ガイド部49は、移動部材42と回転部材46のY軸方向の距離を適切に保持する。ガイド部49は、回転可能に設けられるローラ49bを含む。ローラ49bは、移動部材42の背面側において、その間に移動部材42を挟むように設けられる。移動部材42は、回転部材46とローラ49bとの間に挟持されることで、Y軸方向の位置の変動が抑制される。移動部材42のガイド部49は、移動部材42と非接触状態で設けられてもよいが、第1実施形態のガイド部49では、ローラ49bが移動部材42に接触するように設けられている。ローラ49bは、例えばゴムなどの樹脂材料から形成することができる。ローラ49bの中心には、上下に延びるシャフト48cが固定される。シャフト48cの上端部および下端部は軸受52gによって、上板52bおよび中板52cに回転可能に支持されている。ガイド部49は、上板52bと中板52cの間で回転可能に支持される。なお、ガイド部49を設けることは必須ではない。
【0042】
ケース52は、変換部40を収容するハウジングであり、回転部材46、第1ギア47およびガイド部49を回転可能に支持する。ケース52は、略直方体形状を有する。ケース52は、上板52bと、中板52cと、下板52dと、前板52eと、後板52fと、複数の軸受52gと、を主に含む。上板52b、中板52cおよび下板52dは、平面視で矩形状の板部材である。上板52b、中板52cおよび下板52dは、この順で上から下方にそれぞれ離間して設けられる。上板52b、中板52cおよび下板52dには、複数の軸受52gを収容する複数の孔と、前板52eおよび後板52fに結合されるための複数のネジ52j用の複数の孔と、が設けられる。
【0043】
前板52eおよび後板52fは、正面視で矩形状の板部材である。前板52eは、ケース52の前面において上板52b、中板52cおよび下板52dに、複数のネジ52jにより固定される。後板52fは、ケース52の後面において上板52b、中板52cおよび下板52dに、複数のネジ52jにより固定される。ケース52は、アルミニウムなどの金属材料や樹脂材料から形成することができる。軸受52gとしては、種々の原理に基づく軸受手段を用いることができる。第1実施形態では、ボールベアリングを採用している。この場合、軸受によるエネルギー損失が少ないため、抑制機構20の効率が向上するので、抑制機構20を小型化することができ、枠部12に収容可能な大きさを実現することができる。
【0044】
変換部40の動作を説明する。建具10のスライド運動にしたがって、移動部材42が回転部材46に対してスライド移動すると、ラックギア44に噛み合うピニオンギア46bが回転する。ピニオンギア46bが回転すると、シャフト46cを通じて第1ギア47が回転する。第1ギア47が回転することで、その回転が伝達機構24に入力される(図4も参照)。移動部材42の移動速度に対する回転部材46の回転数の比は、任意に設定することができる。第1実施形態では移動部材42の移動速度=30cm/秒のとき、回転部材46の回転数=500rpmになるように設定している。
【0045】
(伝達機構)
伝達機構24は、第1伝達部23と、第2伝達部25と、を含む。第1伝達部23は、変換部40の出力回転40mを制動部28の回転体28bに伝達して回転させる。なお、回転体28bの回転を制動部28の回転と表記することがある。第1伝達部23は、入力回転を変速比S1にて変速して出力してもよい。変速比S1は、入力回転数に対する出力回転数の比として定義され、出力回転数を入力回転数で除して得た値である。変速比S1を大きくして制動部28の回転速度を増やすと、制動力Fsが大きくなり、所望の制動力Fsに対して制動部28を小型化することができる。変速比S1を小さくして制動部28の回転速度を減らすと、制動力Fsが小さくなり、例えば建具10の開き始めのスライド抵抗を減らすことができる。変速比S1は、これらの観点から所望の条件に適合するように設定することができる。第1実施形態では、変速比S1は1/10〜50の範囲に設定しており、これにより、所望の制動力Fsが得られ、枠部12に収容可能な大きさの制動部28が実現される(図1も参照)。
【0046】
図10は第1伝達部23の歯車列の一例を示す平面図であり、図11はその正面図である。第1伝達部23は、入力ギア部23bと、中間ギア列23cと、中間ベベルギヤ部23hと、出力ベベルギヤ部23jと、ジョイント23kと、を主に含む。一例として、中間ギア列23cは、回転を順次伝達すように噛み合わされた4個の平歯車23d、23e、23f、23gを含む。第1伝達部23は、ケース52に収容される。入力ギア部23b、中間ギア列23cおよび中間ベベルギヤ部23hのそれぞれの中心には、上下に延びるシャフトが固定される。各シャフトの上端部および下端部は軸受52gによって、中板52cおよび下板52dに回転可能に支持されている。
【0047】
入力ギア部23b、中間ギア列23cおよび中間ベベルギヤ部24gは、中板52cと下板52dの間で回転可能に支持される。出力ベベルギヤ部23jの中心にはX軸方向に延びるシャフト23pが固定される。シャフト23pのX軸方向の両端部は軸受52gによって、縦板52mおよび縦板52nに回転可能に支持されている。シャフト23pは縦板52nから外部側に突出する突出部を有し、突出部にはジョイント23kの一端が固定される。ジョイント23kの他端は、制動部28の回転体28bのシャフト28fに固定され、回転を出力する。ジョイント23kとしては、例えばユニバーサルジョイントを用いることができる。
【0048】
入力ギア部23bは、入力側で第1ギア47と噛み合い、出力側で中間ギア列23cの平歯車23dと噛み合う平歯車である。中間ギア列23cの平歯車23gは中間ベベルギヤ部23hと共通のシャフトに固定される。中間ベベルギヤ部23hは、出力ベベルギヤ部23jと噛み合う。第1伝達部23は、このように構成されることによって、入力ギア部23bに入力された入力回転を変速比S1にて変速して制動部28の回転体28bに出力する。
【0049】
第2伝達部25は、制動部28の回転体28bの回転28nを発電部26の回転子26bに伝達して回転させる。なお、回転子26bの回転を発電部26の回転と表記することがある。変速比S2は、入力回転数に対する出力回転数の比として定義され、出力回転数を入力回転数で除して得た値である。変速比S2を大きくして発電部26の回転速度を増やすと、発電電圧26dが大きくなり、所望の発電電圧26dに対して発電部26を小型化することができる。変速比S2を小さくして発電部26の回転速度を減らすと、発電部26の回転に伴う鉄損や機械損を減らすことができる。変速比S2は、これらの観点から所望の条件に適合するように設定することができる。第1実施形態では、変速比S2は1/10〜50の範囲に設定しており、これにより、所望の発電電圧26dが得られ、枠部12に収容可能な大きさの発電部26が実現される。
【0050】
第2伝達部25は、入力回転を変速比S2にて変速して出力する変速機構を含んでもよい。この変速機構は、例えば複数の歯車で構成することができる。なお、第2伝達部を設けることは必須ではない。
【0051】
次に、第1実施形態に係る建具10の作用、効果を説明する。
【0052】
第1実施形態の建具10は、サッシ枠16に対してスライドして移動可能な建具10であって、磁性流体を含み、磁性流体の粘性により建具10の移動速度Vsを抑える制動部28と、移動速度Vsに応じて磁性流体の粘性係数を制御する制御部30と、を備える。この構成によれば、制御部30が、速度に応じて建具10の移動速度Vsを制御するから、速度が大きい場合によりブレーキ力を強くし、起動時など速度が小さい場合には、ブレーキ力を弱くすることができる。例えば、建具を勢いよく閉めたときにはブレーキ力を強くして速度を抑え、閉まりきる際のサッシ枠との衝突音を緩和することができる。建具の開き始めの際にはブレーキ力を弱くして移動の抵抗を減らし、使い勝手を改善することができる。このように、衝突音を緩和し、使い勝手を改善することで建具としての商品価値を向上することができる。
【0053】
第1実施形態の建具10では、建具10が移動することによって発電電圧26dを出力する発電部26を備え、制動部28は、磁性流体の粘性係数を変化させるための電磁石28dを含み、制御部30は、発電電圧26dに応じた制御電圧30sを電磁石28dに供給する。この構成によれば、電磁石28dにより磁性流体の粘性係数を変化させる制動部28を備えることによって、電磁ブレーキを用いる場合に比べて、小さな電力で大きな制動力を発揮することができる。したがって、所望の制動力に対応する発電部および制動部の小型化を容易にして、建具10の枠の中に収容することができる。
【0054】
第1実施形態の建具10では、制御部30は、移動速度Vsが増加するにつれて制御電圧30sを増やすように制御する。この構成によれば、移動速度Vsが増加したときに、電磁石28dに供給する制御電圧30sを増やしてブレーキ力を強くすることができる。逆に、移動速度Vsが減少したときに、制御電圧30sを減らしてブレーキ力を弱くすることができる。
【0055】
第1実施形態の建具10では、制御部30は、建具10の移動開始から移動速度Vsが予め定められた設定値Veに到達するまで、制御電圧30sの供給を実質的に停止するように制御する。この構成によれば、起動してから設定値Veに到達するまで、制御電圧30sの供給を停止するので、この間ブレーキ力を最小限に低くすることができる。開き始めの際など建具10を起動する際に余計な移動抵抗の増加を抑制することができる。
【0056】
第1実施形態の建具10では、回転可能に設けられる回転部材46と、回転部材46に対して相対的に移動可能に設けられ、建具10が移動するとき、回転部材46を回転させる移動部材42と、を備え、回転部材46が回転するとき、発電部26は発電電圧26dを出力する。この構成によれば、移動部材42と回転部材46とによって、建具10のスライド運動を回転運動に変換することができる。この回転運動を減速または増速することにより、発電に適した回転数および制動に適した回転数を容易に得ることができ、発電部26および制動部28の小型化を容易にすることができる。
【0057】
第1実施形態の建具10では、移動部材42の回転部材46とは反対側に設けられ、移動部材42を案内するガイド部49を備える。この構成によれば、ガイド部49により移動部材42をガイドすることによって移動部材42の位置が安定し、移動部材42と回転部材46の間の距離を適切に保つことができる。ガイド部49を備えず、この距離が変動する場合に比べて、スライド運動を回転運動に変換する際の損失を小さくすることができる。
【0058】
第1実施形態の建具10では、回転部材46にはピニオンギア46bが設けられ、移動部材42には、ピニオンギア46bと噛み合うラックギア44が設けられる。この構成によれば、ピニオンギア46bおよびラックギア44によって確実に運動を伝達することができるので、小型化しても大きなエネルギーのスライド運動を回転運動に変換することができる。回転部材46と移動部材42との間の接触圧力を減らすことが容易で、接触圧力による損失を減らすことができる。
【0059】
第1実施形態の建具10では、制動部28は、回転可能な回転体28bを含み、発電部26は、回転可能な回転子26bを含み、建具10が移動するとき、回転子26bは、回転体28bと同等以上の速度で回転する。この構成によれば、回転子26bを相対的に速く回転させることで、所望の発電電圧を出力するための発電部26を小型化することができる。また、回転体28bをゆっくりと回転させることで、制動部28の損失を減らすことができる。つまり、小型化と低損失を両立させることが可能になる。
【0060】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。これらの別の実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、相違する構成について重点的に説明する。
【0061】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る建具60は、第1実施形態に係る建具10に対して、変換部の構成が異なり他の構成は同様である。したがって、変換部の構成について重点的に説明し、重複する説明を省略する。第1実施形態では、回転部材46に設けたピニオンギア46bと、移動部材42に設けたラックギア44とによって建具10のスライド運動を回転運動に変換する例について説明したが、これに限定されない。第2実施形態では、歯車を有しない移動部材と、この移動部材と当接して摩擦力により運動を伝達するローラを有する回転部材と、によって変換部を構成している。
【0062】
図12は、第2実施形態に係る建具60の変換部62を説明する平面図であり、図8に対応する。図13は、変換部62を説明する側面図であり、図9に対応する。変換部62の移動部材42には、ラックギア44の代わりに当接面部62cが設けられ、回転部材46には、ピニオンギア46bの代わりにローラ62bが設けられる。ローラ62bの中心には、上下に延びるシャフト46cが固定される。ローラ62bは、シャフト46cおよび第1ギア47と一体に回転する。ローラ62bは、例えばゴムなどの樹脂材料から形成することができる。建具60がスライド移動すると、移動部材42は回転部材46に対して相対的に移動して、ローラ62bと当接面部62cとの摩擦力により移動部材42のスライド運動を回転部材46の回転運動に変換する。
【0063】
当接面部62cの表面粗さが小さすぎると、ローラ62bと当接面部62cとの間の摩擦力が不足して空滑りすることが考えられる。当接面部62cの表面粗さが大きすぎると、ローラ62bと当接面部62cの間の摩擦でエネルギー損失が大きくなることが考えられる。当接面部62cの表面粗さは、空滑りを抑制しつつ、摩擦によるエネルギー損失が実用的な範囲内となるように設定することができる。このように構成された第2実施形態の建具60は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第2実施形態の建具60では、回転部材46にはローラ62bが設けられ、移動部材42には、ローラ62bと当接する当接面部62cが設けられる。この構成によれば、移動部材42および回転部材46の接触する面が概ね平坦なので、建具を取付ける際の位置合わせが容易になる。
【0064】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る建具66は、第1実施形態に係る建具10に対して、変換部の構成が異なり他の構成は同様である。したがって、変換部の構成について重点的に説明し、重複する説明を省略する。第1実施形態では、回転部材46に設けたピニオンギア46bと、移動部材42に設けたラックギア44とによって建具10のスライド運動を回転運動に変換する例について説明したが、これに限定されない。第3実施形態では、移動部材をZ軸方向に分割した一方側にラックギア部が設けられ、他方側に当接面部が設けられている。回転部材をZ軸方向に分割した一方側にラックギア部と噛合うピニオンギアが設けられ、他方側に当接面部と接触するローラが設けられている。つまり、第3実施形態では、移動部材と回転部材はZ軸方向に分割した一方側が第1実施形態と同様の構成であり、他方側が第2実施形態と同様の構成である。第3実施形態では、分割したラックギア部とピニオンギアとによって運動を変換するとともに、当接面部とローラとによって運動を変換するように構成している。
【0065】
図14は、第3実施形態に係る建具66の変換部67を説明する平面図であり、図8に対応する。図15は、変換部67を説明する側面図であり、図9に対応する。第3実施形態では、移動部材42はZ軸方向に略半分に分けた上側にラックギア部67bが設けられ、下側に当接面部67dが設けられている。上側と下側の比率は任意に設定できる。当接面部67dはラックギア部67bの上側に設けられてもよい。ラックギア部67bは、Z軸方向の寸法が異なる他は、ラックギア44と同様に構成されてもよい。当接面部67dは、Z軸方向の寸法が異なる他は、当接面部62cと同様に構成されてもよい。
【0066】
変換部67の回転部材46には、ピニオンギア46bの代わりにピニオンギア67cとローラ67fとが設けられる。ピニオンギア67cはラックギア部67bと噛み合う位置に配置され、ローラ67fは当接面部67dと接触する位置に配置される。第3実施形態では、移動部材42はZ軸方向に略半分に分けた上側にピニオンギア67cが設けられ、下側にローラ67fが設けられている。上側と下側の比率は任意に設定することができる。ローラ67fはピニオンギア67cの上側に設けられてもよい。ピニオンギア67cは、Z軸方向の寸法が異なる他は、ピニオンギア46bと同様に構成されてもよい。ローラ67fは、Z軸方向の寸法が異なる他は、ローラ62bと同様に構成されてもよい。ガイド部49には、ローラ49bの代わりに回転可能に設けられるローラ67eが設けられる。ローラ67eは、Z軸方向においてローラ67fに対応する寸法を有してもよく、ローラ67fに対応する位置に設けられてもよい。ローラ67fおよびピニオンギア67cは、それぞれの中心に設けられるシャフト46cに固定され、第1ギア47と一体に回転する。
【0067】
建具66がスライド移動すると、移動部材42は回転部材46に対して相対的に移動して、ピニオンギア67cがラックギア部67bと噛み合うことで、移動部材42のスライド運動を回転部材46の回転運動に変換する。ローラ67fは当接面部67dとの摩擦力により移動部材42のスライド運動を回転部材46の回転運動に変換する。建具66のスライド運動にしたがって、移動部材42が回転部材46に対してスライド移動すると、ラックギア部67bと噛み合うピニオンギア67cが回転する。同時にローラ67fは当接面部67dとの摩擦力により移動部材42のスライド運動を回転部材46の回転運動に変換する。ピニオンギア67cおよびローラ67fが回転すると、シャフト46cを通じて第1ギア47が回転する。第1ギア47が回転するとその回転が伝達機構24に入力される。
【0068】
このように構成された第3実施形態の建具66は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第3実施形態の建具66では、ローラ67fとローラ67eとが、移動部材42をY軸方向の両側から挟むから、移動部材42のY軸方向の位置が一定の範囲に制限され、ラックギア部67bとピニオンギア67cの噛み合い深さのバラツキや変動が抑制される。
【0069】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る建具68は、第1実施形態に係る建具10に対して、変換部の構成が異なり他の構成は同様である。したがって、変換部の構成について重点的に説明し、重複する説明を省略する。第1実施形態では、回転部材46のピニオンギア46bと、移動部材42のラックギア44とで建具10のスライド運動を回転運動に変換する例について説明したが、これに限定されない。第4実施形態の変換部は、移動部材の移動部材側磁石69hと、回転部材の回転部材側磁石69gと、から構成されている。
【0070】
図16は、第4実施形態の建具68の変換部69を説明する平面図であり、図8に対応する。図17は、変換部69を説明する側面図であり、図9に対応する。変換部69の移動部材42には、ラックギア44の代わりに移動部材側磁石69hが設けられ、回転部材46には、ピニオンギア46bの代わりに回転部材側磁石69gが設けられる。回転部材側磁石69gには、周方向に複数の磁極69qが設けられる。移動部材側磁石69hには、複数の磁極69qと対向する別の複数の磁極69pが設けられる。磁極69qと磁極69pの磁極ピッチは共通化され、各磁極が引き合うように配置されている。回転部材側磁石69gと移動部材側磁石69hとの磁気的吸引力により移動部材42のスライド運動が回転部材46の回転運動に変換される。回転部材側磁石69gおよび移動部材側磁石69hは、種々の磁石材料から形成することができ、第4実施形態では、一例として、NdFeB系のボンド磁石を採用している。
【0071】
回転部材側磁石69gと移動部材側磁石69hの間の隙間G69が小さすぎると、製造バラツキや経年変化により、これらが接触することが考えられる。これらが接触すると磁石の細かい粉が発生して、汚染の原因となり得る。回転部材側磁石69gと移動部材側磁石69hの間の隙間G69が大きすぎると、吸引力が不足して空滑りすることが考えられる。回転部材側磁石69gと移動部材側磁石69hの間の隙間G69は、空滑りを抑制しつつ、製造バラツキなどによって接触しないように設定することができる。このように構成された第4実施形態の建具68は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第4実施形態の建具68では、回転部材46には、周方向に複数の磁極69qが設けられた回転部材側磁石69gが設けられ、移動部材42には、複数の磁極69qと対向する別の複数の磁極69pが設けられた移動部材側磁石69hが設けられている。この構成によれば、移動部材42と回転部材46との間に隙間を設けることができるので、摩擦によるエネルギー損失を抑制することができる。
【0072】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態に係る建具68は、第1実施形態に係る建具10に対して、変換部の構成が異なり他の構成は同様である。したがって、変換部の構成について重点的に説明し、重複する説明を省略する。第1実施形態では、回転部材46に設けたピニオンギア46bと、移動部材42に設けたラックギア44とによって建具10のスライド運動を回転運動に変換する例について説明したが、これに限定されない。第5実施形態では、移動部材をZ軸方向に分割した一方側には移動部材側磁石69hが設けられ、他方側には当接面が設けられている。回転部材をZ軸方向に分割した一方側には移動部材側磁石69hと引き合う回転部材側磁石69gが設けられ、他方側には当接面と接触するローラが設けられている。つまり、第5実施形態では、移動部材と回転部材はZ軸方向に分割した一方側が第4実施形態と同様の構成であり、他方側が第2実施形態と同様の構成である。第5実施形態では、分割した移動部材側磁石69hと回転部材側磁石69gとによって運動を変換するとともに、当接面とローラとによって運動を変換するように構成している。
【0073】
図18は、第5実施形態の建具70の変換部71を説明する平面図であり、図8に対応する。図19は、変換部71を説明する側面図であり、図9に対応する。移動部材42には、移動部材42をZ軸方向に略半分に分割した上側に移動部材側磁石71hが設けられ、移動部材42の下側には当接面部71eが設けられる。変換部71の回転部材46には、回転部材46をZ軸方向に略半分に分割した上側に回転部材側磁石71gが設けられ、回転部材46の下側にローラ71dが設けられる。回転部材側磁石71gには、周方向に複数の磁極71qが設けられる。移動部材側磁石71hには、複数の磁極71qと対向する別の複数の磁極71pが設けられる。磁極71qと磁極71pの磁極ピッチは共通化され、各磁極が引き合うように配置されている。回転部材側磁石71gと移動部材側磁石69h71hとの磁気的吸引力により移動部材42のスライド運動が回転部材46の回転運動に変換される。
【0074】
上側と下側の比率は任意に設定することができる。ローラ71dは回転部材側磁石71gの上側に設けられてもよい。回転部材側磁石71gは、Z軸方向の寸法が異なる他は、回転部材側磁石69gと同様に構成されてもよい。ローラ71dは、Z軸方向の寸法が異なる他は、ローラ62bと同様に構成されてもよい。ガイド部49には、ローラ49bの代わりに回転可能に設けられるローラ71fが設けられる。ローラ71dは、Z軸方向においてローラ71dに対応する寸法を有してもよく、ローラ71dに対応する位置に設けられてもよい。回転部材側磁石71gおよびローラ71dは、それぞれの中心に設けられるシャフト46cに固定され、第1ギア47と一体に回転する。当接面部71eは、Z軸方向の寸法が異なる他は、当接面部62cと同様に構成されてもよい。ローラ71fは、Z軸方向の寸法が異なる他は、ローラ49bと同様に構成されてもよい。
【0075】
建具70がスライド移動すると、移動部材42は回転部材46に対して相対的に移動して、移動部材側磁石71hが回転部材側磁石71gと引き合うことで、移動部材42のスライド運動を回転部材46の回転運動に変換する。ローラ71dは当接面部71eとの摩擦力により移動部材42のスライド運動を回転部材46の回転運動に変換する。特に、建具70のスライド運動に伴って移動部材42が回転部材46に対してスライド移動すると、移動部材側磁石71hに吸引される回転部材側磁石71gが回転する。同時にローラ71dは、当接面部71eとの摩擦力によって回転する。回転部材側磁石71gおよびローラ71dが回転すると、シャフト46cを通じて第1ギア47が回転する。第1ギア47が回転するとその回転が伝達機構24に入力される。
【0076】
このように構成された第5実施形態の建具70は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第5実施形態の建具70では、ローラ71dとローラ71fとが、移動部材42をY軸方向の両側から挟むから、移動部材42のY軸方向の位置が一定の範囲に制限され、移動部材側磁石71hと回転部材側磁石71gとの間の隙間のバラツキや変動が抑制される。
【0077】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態に係る建具72は、第1実施形態に係る建具10に対して、抑制機構の構成が異なり他の構成は同様である。したがって、抑制機構の構成について重点的に説明し、重複する説明を省略する。第1実施形態では、各回転軸を同軸にして、発電部26と制動部28とを軸線方向に並べて配置した例について説明したが、これに限定されない。第6実施形態では、発電部26と制動部28とは、回転子26bの回転軸74tが制動部28の回転体28bの回転軸74sと非同軸になるように配置されている。この場合、発電部26と制動部28とを各回転軸に垂直な方向に並べて配置することができる。
【0078】
図20は、第6実施形態の建具72の抑制機構74の周辺を示す正面図である。図21は、抑制機構74の平面図である。図20、21では制御部30の記載を省略している。抑制機構74は、移動部材42と、回転部材46と、中間ギア列と、発電部26、制動部28と、を主に含んでいる。発電部26の回転軸74tおよび制動部28の回転軸74sは、同軸ではなく、回転軸に垂直なX軸方向に離間して配置されている。回転部材46と、中間ギア列と、発電部26と、制動部28と、は回転軸がY軸に沿って伸びている。移動部材42には、ラック歯を下方に向けたラックギア74bが固定されている。回転部材46には、ラックギア74bと噛合うピニオンギア74aが固定されている。中間ギア列は、回転力を順次伝達するための平歯車74cと、平歯車74eと、平歯車74dと、平歯車74fと、平歯車74gと、平歯車74jと、平歯車74kと、平歯車74mと、を含んでいる。このうち、平歯車74c、平歯車74e、平歯車74d、平歯車74f、平歯車74gおよび平歯車74jは第1伝達部を構成し、ピニオンギア74aの回転を制動部28に伝達する。また、平歯車74kおよび平歯車74mは、第2伝達部を構成し、回転を発電部26に伝達する。
【0079】
建具72がスライド移動すると、移動部材42は回転部材46に対して相対的に移動して、ラックギア74bがピニオンギア74aと噛合うことで、移動部材42のスライド運動を回転部材46の回転運動に変換する。特に、建具72のスライド運動に伴って移動部材42が回転部材46に対してスライド移動すると、ラックギア74bに駆動されるピニオンギア74aが回転する。ピニオンギア74aが回転すると、シャフト46cを通じて平歯車74cが回転する。平歯車74cが回転すると、これに噛合う平歯車74eが回転する。平歯車74eが回転すると、シャフト74pを介して平歯車74dが回転する。平歯車74dが回転すると、これに噛合う平歯車74fが回転する。平歯車74fが回転すると、シャフト74qを介して平歯車74gが回転する。平歯車74gが回転すると、これに噛合う平歯車74jと制動部28の回転体とが回転する。平歯車74jが回転すると、これに噛合う平歯車74kが回転する。平歯車74kが回転すると、これに噛合う平歯車74mと発電部26の回転子とが回転する。
【0080】
ピニオンギア74aとラックギア74bの歯のずれは小さいことが望ましい。そこで第6実施形態の回転部材46にはピニオンギア74aの回転方向の位置を調整する弾性部材74uが設けられている。図22はピニオンギア74aの周辺を拡大して示す拡大図である。シャフト46cには外周の一部が半径方向に突出する突出部74vが設けられる。ピニオンギア74aのシャフト46cが嵌まるシャフト孔74wが設けられる。シャフト孔74wは、シャフト46cの外径に対して遊びが形成される程度の大きさに形成される。シャフト孔74wには突出部74vに対応する凹部74xが設けられる。凹部74xと突出部74vとの回転方向の隙間には弾性部材74uが設けられる。弾性部材74uは、スプリングやゴムなどの弾性を有する種々の部材を用いることができる。弾性部材74uを設けることにより、ピニオンギア74aを一定範囲内で回転方向に変位させることができる。ピニオンギア74aとラックギア74bの歯のずれがあった場合に、ピニオンギア74aが回転方向に変位することで、そのずれを吸収することができる。
【0081】
このように構成された第6実施形態の建具72は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第6実施形態の建具72では、発電部26は、回転子26bの回転軸74tが回転体28bの回転軸74sと非同軸になるように配置される。この構成によれば、発電部26と制動部28と歯車列の各回転軸を平行に並べて配置できるので、ベベルギヤ部など回転方向を変換する機構を省略することができ、小型化に有利である。
【0082】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態に係る建具80は、第1実施形態に係る建具10に対して、移動部材の取付構造とその移動機構が異なり他の構成は同様である。したがって、建具がスライド移動する際の移動部材の取付構造とその移動機構について重点的に説明し、重複する説明を省略する。第1実施形態では、移動部材42がサッシ枠16のレール50に固定される例について説明したが、これに限定されない。第7実施形態では、移動部材42は、回転部材46に対して相対的に移動可能な状態で建具80に取り付けられている。第7実施形態では、建具80のスライド範囲内の所定領域において、サッシ枠16に設けられた契合部が、移動部材42に設けられた係合部に係合することで、移動部材42が回転部材46に対して相対的に移動する。
【0083】
図23〜28は、第7実施形態の建具80の変換部84の周辺を示す平面図である。変換部84は、係合ピン84bと、フック84cと、フック回転軸84eと、フックガイドピン84fと、ガイド板84hと、ガイド溝84jと、を主に含む。係合ピン84bは、サッシ枠16から下方の変換部84に向かって突出した円筒状の部材である。フック84cは、移動部材42の端部近傍を支点として回動可能に設けられる部材である。フック84cは、平面視で略G字型に組み合わされた第1延伸部材84k〜第4延伸部材84pを含んでいる。第1延伸部材84kの一端側に回動の中心となる支点孔が形成されている。第2延伸部材84mは、第1延伸部材84kの他端側に、第1延伸部材84kと略直交するように固定される。第3延伸部材84nは、第2延伸部材84mの端部側に、第2延伸部材84mと略直交して、第1延伸部材84kと向い合うように固定される。第4延伸部材84pは、第3延伸部材84nの端部側に、第3延伸部材84nと略直交して、第2延伸部材84mと向い合うように固定される。第2延伸部材84mは第1延伸部材84kと同じ延伸長を有し、第3延伸部材84nは第2延伸部材84mの約半分の延伸長を有し、第4延伸部材84pは第3延伸部材84nの約半分の延伸長を有する。
【0084】
フック回転軸84eは、第1延伸部材84kの支点孔を貫通して移動部材42に固定されるピンである。フック回転軸84eは、フック84cを移動部材42に取付けるとともに、フック84cの回動支点になる。フックガイドピン84fは、フック84cからZ軸方向に突出して設けられたピンである。特に、フックガイドピン84fは、第1延伸部材84kの途中に固定され、ガイド板に向かって突出ている。ガイド板84hは、抑制機構82の上面に設けられた板状の部材である。ガイド溝84jは、フックガイドピン84fを案内するために、ガイド板84hに設けられた溝である。ガイド溝84jは、X軸に平行に伸びる延伸部84dと、延伸部84dの右端から徐々に移動部材42に近づくように傾斜する傾斜部84gと、を含む。ガイド溝84jは、フックガイドピン84fの端部を収容可能な幅と深さを有する。
【0085】
図23〜28を参照して、変換部84の動作について説明する。図23は、係合ピン84bがフック84cと係合していない状態を示している。この状態から建具80をこの図にてX軸方向の右方に移動させると、係合ピン84bがフック84cの第1延伸部材84kに係合する。係合ピン84bは第2延伸部材84mに係合してもよいが、ここでは、第1延伸部材84kに係合する例について説明する。係合ピン84bが第1延伸部材84kに係合した状態で、建具80を右方に移動させると、図24に示すように、第1延伸部材84kは、係合ピン84bに押されて、移動部材42を左方に移動させる。移動部材42が移動すると、ラックギア44がピニオンギア46bを回転させる。建具80をさらに右方に移動させると、図25に示すように、フックガイドピン84fがガイド溝84jの左端に到達するまで、移動部材42は移動し、その移動の間、ラックギア44がピニオンギア46bを回転させる。
【0086】
この状態から反転して、建具80をX軸方向で左方に移動させると、係合ピン84bは、フック84cの第1延伸部材84kから離れて、第4延伸部材84pに係合する。係合ピン84bは第3延伸部材84nに係合してもよいが、ここでは、第4延伸部材84pに係合する例について説明する。係合ピン84bが第4延伸部材84pに係合した状態で、建具80を左方に移動させると、図26に示すように、第4延伸部材84pは、係合ピン84bに押されて、移動部材42を右方に移動させる。移動部材42が移動すると、ラックギア44がピニオンギア46bを回転させる。建具80をさらに左方に移動させると、図27に示すように、フックガイドピン84fがガイド溝84jの傾斜部84gに至るまで、移動部材42は移動し、その移動の間、ラックギア44がピニオンギア46bを回転させる。やがてフックガイドピン84fが傾斜部84gに入ると、徐々にフック84cが時計回りに回転して、図28に示すように、係合ピン84bがフック84cから外れる。建具80をさらに左方に移動させると、図23に示す状態に戻る。
【0087】
以上のように、係合ピン84bがフック84cに係合した状態で、建具80を移動させることにより、移動部材42は回転部材46に対して相対的に移動し、第1実施形態と同様の動作をする。
【0088】
このように構成された第7実施形態の建具80は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第7実施形態の建具80では、移動部材42が、建具80の抑制機構82に設けられているため、ユニットとして生産することができ、抑制機構82を生産するときの調整や検査が容易になる。また、サッシ枠16の構成が簡素化されるのでサッシ枠16の生産性が向上する。
【0089】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態について説明する。第8実施形態に係る建具86は、第1実施形態に係る建具10に対して、移動部材の取付構造とその移動機構が異なり他の構成は同様である。したがって、建具がスライド移動する際の移動部材の取付構造とその移動機構について重点的に説明し、重複する説明を省略する。第1実施形態では、移動部材42がサッシ枠16のレール50に固定される例について説明したが、これに限定されない。第8実施形態では、移動部材42は、建具86に移動可能な状態で建具86に取り付けられている。第8実施形態では、建具86のスライド範囲内の所定領域において、サッシ枠16に設けられた契合部が、移動部材42に設けられた係合部に係合することで、移動部材42が回転部材46に対して相対的に移動する。
【0090】
図29〜34は、第8実施形態の建具86の変換部90の周辺を示す平面図である。変換部90は、係合ピン90bと、フック90cと、フック回転軸90eと、フックガイドピン90fと、ガイド板90kと、ガイド溝90dと、を主に含む。係合ピン90bは、サッシ枠16の上面から下方の変換部90に向かって突出した円筒状の部材である。フック90cは、移動部材42の端部近傍を支点として回動可能に設けられる部材である。フック90cは、中間部でフック回転軸90eが嵌まる支点孔90mと、中間部近傍から、それぞれ反対方向に延伸する第1延伸部90pと、第2延伸部90qと、を有する。第1延伸部90pの延伸端には係合ピン90bと係合するための凹部である係合部90nが設けられる。第2延伸部90qの延伸端の近傍にはフックガイドピン90fが設けられる。
【0091】
フック回転軸90eは、フック90cの支点孔90mを貫通して移動部材42に固定されるピンである。フック回転軸90eは、フック90cを移動部材42に取付けるとともに、フック90cの回動支点になる。フックガイドピン90fは、フック90cからZ軸方向に突出して設けられたピンである。特に、フックガイドピン90fは、第2延伸部90qの端部近傍に固定され、ガイド板に向かって突出ている。ガイド板90kは、抑制機構88の上面に設けられた板状の部材である。ガイド溝90dは、フックガイドピン90fを案内するために、ガイド板90kに設けられた溝である。ガイド溝90dは、X軸に平行に伸びる延伸部90gと、延伸部90gの両端から先端に行くにしたがって徐々に移動部材42に近づくように傾斜する傾斜部90h、90jと、を含む。ガイド溝90dは、フックガイドピン90fの端部を収容可能な幅と深さを有する。
【0092】
図29〜34を参照して、変換部90の動作について説明する。図29は、係合ピン90bがフック90cと係合していない状態を示してしている。この状態から建具86をこの図にてX軸方向の右方に移動させると、係合ピン90bがフック90cの第1延伸部90pの係合部90nに係合する。係合ピン90bが係合部90nに係合した状態で、建具80を右方に移動させると、図30に示すように、フック90cは、係合ピン90bに押されて、移動部材42を左方に移動させる。移動部材42が移動すると、ラックギア44がピニオンギア46bを回転させる。この状態から、建具86をさらに右方に移動させると、移動部材42はさらに移動し、フックガイドピン90fはガイド溝90dの傾斜部90hから延伸部90gに移動する。フックガイドピン90fが延伸部90gに移動すると、図31に示すように、フック90cは時計回りに回転する。
【0093】
この状態から、建具86をさらに右方に移動させると、移動部材42はさらに移動し、図32に示すように、フックガイドピン90fは延伸部90gの左端に到達する。この状態から、建具86をさらに右方に移動させると、移動部材42はさらに移動し、図33に示すように、フックガイドピン90fは延伸部90gから傾斜部90jに移動する。フックガイドピン90fが傾斜部90jに移動すると、移動部材42はさらに移動し、フック90cは時計回りに回転する。この状態から、建具86をさらに右方に移動させると、移動部材42は途中まで移動し、図34に示すように、フック90cはさらに時計回りに回転し、係合ピン90bはフック90cの係合部90nから外れる。係合ピン90bが外れると、移動部材42は停止し、係合ピン90bが左方に離れていく。これらのように、移動部材42が移動している間、ラックギア44がピニオンギア46bを回転させる。
【0094】
また、図34に示す状態から反転して、建具86を左方に移動させると、図29〜34を参照して説明した動作が逆の順序で行われ、図29に示す状態に到達する。つまり、変換部90はX軸に沿った左方向と右方向とで対称な動作が可能な構成を有する。以上のように、係合ピン90bがフック90cに係合した状態で、建具86を移動させることにより、移動部材42は回転部材46に対して相対的に移動し、第1実施形態と同様の動作を行う。
【0095】
このように構成された第8実施形態の建具86は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、第8実施形態の建具86では、移動部材42は、建具86に移動可能に支持され、サッシ枠16に設けられた枠側係合部である係合ピン90bに少なくとも一時的に係合される移動側係合部であるフック90cを有する。建具86が移動するとき、係合ピン90bがフック90cに係合して、移動部材42が回転部材46に対して相対的に移動する。この構成によれば、移動部材42が、建具80の抑制機構82に設けられているため、サッシ枠16の構成が簡素化される。また、係合ピン90bがフック90cから外れて非係合になる領域を有するから、例えば図29に示すように、建具86を開き始める際の荷重をより小さくすることができる。
【0096】
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態について説明する。第9実施形態に係る建具92は、第8実施形態に係る建具86に対して、係合ピン90bを案内するピンガイド部材96bを備える点で異なり他の構成は同様である。したがって、ピンガイド部材96bについて重点的に説明し、重複する説明を省略する。建具86は見込方向の遊びを含んで取付けられており、その遊びの分、建具86に固定された係合ピン90bの軌道は見込方向に変化する。係合ピン90bが所望の軌道から変化した状態で移動すると、係合ピン90bが係合部90nからずれた位置でフック90cに突き当たり、係合部90nに係合しないことが考えられる。したがって、係合ピン90bの軌道が変化した場合でも、係合ピン90bが係合部90nに通常通り嵌まり込むことが望ましい。そこで、第9実施形態に係る建具92は、移動部材42の少なくとも一部を覆うように設けられ、枠側係合部である係合ピン90bの移動経路を規制する案内部材であるピンガイド部材96bを備えている。
【0097】
図35は、第9実施形態の建具92の変換部96の周辺を示す平面図である。図35を参照して、変換部96およびピンガイド部材96bについて説明する。変換部96は、ピンガイド部材96bを含む点で第8実施形態の変換部90と異なり、その他の構成は変換部90と共通である。したがって、変換部96の構成および動作については、上述した変換部90の説明を参照することができる。ピンガイド部材96bは、移動部材42の一部を覆うようにX軸方向に伸びるカバー状の部材である。ピンガイド部材96bは、係合ピン90bが移動する案内路96fを形成するために、案内路96fのY軸方向の両側に設けられる2つの案内部96cを含む。2つの案内部96cは、案内路96fがX軸方向の両端を連通するように形成される。ピンガイド部材96bは、係合ピン90bの移動の経路を案内路96fの範囲に規制する。
【0098】
2つの案内部96cの間には、係合ピン90bの移動を妨げない程度のY軸方向の隙間Gyが形成される。つまり、案内路96fの幅が隙間Gyに等しい。案内部96cは、X軸方向の両端側に設けられる2つのテーパ部96eと、2つのテーパ部96eの間を接続する中間部96dと、を含む。2つのテーパ部96eは、両端部に近づくにつれて隙間Gyが大きくなるように傾斜している。中間部96dでは、隙間Gyが実質一定になるようにX軸に略平行に形成される。中間部96dと2つのテーパ部96eとは滑らかに接続される。ピンガイド部材96bは、種々の樹脂材料や金属材料から生産することができる。
【0099】
図35を参照して、ピンガイド部材96bの動作を説明する。係合ピン90bがフック90cと係合していない状態から、建具92をこの図にてX軸方向の右方に移動させると、係合ピン90bがフック90cに接近する。係合ピン90bが所望の軌道からこの図にてY軸方向に変位していた場合、図35の破線で示しように、係合ピン90bはピンガイド部材96bのテーパ部96eに接触する。この状態で、建具92をさらに右方に移動させると、係合ピン90bはテーパ部96eに沿って所望の軌道に接近する。建具92をさらに右方に移動させると、係合ピン90bはテーパ部96eを過ぎて中間部96dに沿って進行する。つまり、係合ピン90bは、案内路96fの範囲を進行して、通常通り、係合部90nに嵌まり込む。係合ピン90bの動作は、第8実施形態の建具86と同様であり、説明を省略する。
【0100】
このように構成された第9実施形態の建具92は、第1実施形態の建具10と同様の作用・効果を奏する。加えて、移動部材42が、建具92の抑制機構94に設けられているため、サッシ枠16の構成が簡素化される。係合ピン90bがフック90cから外れて非係合になる領域を有するから、建具92を開き始める際の荷重をより小さくすることができる。ピンガイド部材96bを備えることにより、係合ピン90bは、その軌道が変化しても係合部90nに嵌まり込むから、係合ピン90bと係合部90nとの係合不良を減らすことができる。
【0101】
以上、本発明のいくつかの実施形態をもとに説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0102】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、各実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。各実施形態と重複する説明を適宜省略し、各実施形態と相違する構成について重点的に説明し、重複する説明を省略する。
【0103】
(第1変形例)
上記の各実施形態では、建物の間仕切りに設けた開口部を開閉する建具を例について説明したが、これに限定されない。例えば、本発明に係る建具は、家具や収納庫を開閉する引き戸であってもよい。この場合、各実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0104】
(第2変形例)
上記の各実施形態では、回転部材46の回転は、まず先に制動部28に伝達され、制動部28から発電部26に伝達される例について説明したが、これに限定されない。例えば、回転部材46の回転は、まず先に発電部26に伝達され、発電部26から制動部28に伝達されてもよい。また、回転部材46の回転を、それぞれ別々の経路から制動部28と発電部26とに伝達するようにしてもよい。この場合、各実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0105】
(第3変形例)
上記の各実施形態では、回転部材46の回転は、歯車によって制動部28や発電部26に伝達される例について説明したが、これに限定されない。伝達機構は歯車以外の、例えばベルトやチェーンなどの伝達要素を含んでもよい。この場合、各実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0106】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0107】
説明に使用した図面では、部材の関係を明瞭にするために一部の部材にハッチングを施しているが、当該ハッチングはこれらの部材の素材や材質を制限するものではない。
【符号の説明】
【0108】
10・・建具、 16・・サッシ枠、 24・・伝達機構、 26・・発電部、 28・・制動部、 30・・制御部、 40・・変換部、 42・・移動部材、 44・・ラックギア、 46・・回転部材、 46b・・ピニオンギア、 49・・ガイド部、 50・・レール、 60・・建具、 62・・変換部、 66・・建具、 67・・変換部、 68・・建具、 69・・変換部、 70・・建具、 71・・変換部、 71p・・磁極、 71q・・磁極、 72・・建具、 74・・抑制機構、 80・・建具、 82・・抑制機構、 84・・変換部、 86・・建具、 88・・抑制機構、 90・・変換部、 92・・建具、 94・・抑制機構、 96・・変換部。
図1
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図35