特許第6789872号(P6789872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789872
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】分析方法、分析装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/12 20200101AFI20201116BHJP
【FI】
   G01R31/12 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-75546(P2017-75546)
(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公開番号】特開2018-179598(P2018-179598A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年1月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長 広明
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】鷹箸 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】水出 隆
(72)【発明者】
【氏名】樽井 将邦
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−131366(JP,A)
【文献】 特開平10−170596(JP,A)
【文献】 特開平1−234015(JP,A)
【文献】 特開平7−234257(JP,A)
【文献】 特開2001−74802(JP,A)
【文献】 特許第6702573(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器からの放電を検出するためのセンサで取得した信号を、処理部が、複数の周波数帯域に分割する過程と、
前記処理部で分割された周波数帯域毎の前記信号に基づいて、分析部が、所定の第1パラメータ値を算出し、算出された前記第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する過程と、
判定部が、前記複数の周波数帯域のうちの特定の帯域である特定周波数帯域の信号に含まれ前記分析部が算出した前記類似度が所定の閾値を超える第1信号と、前記複数の周波数帯域のうちの前記特定周波数帯域以外の一の周波数帯域の信号に含まれ前記分析部が算出した前記類似度が所定の閾値を超える第2信号とを比較し、前記第1信号と前記第2信号とが同期している場合に前記第1信号と前記第2信号とを放電信号と判定し、前記放電信号以外を排除して再合成した再合成信号について所定の第3パラメータ値を算出し、算出された再合成信号についての前記第3パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する過程、
を有する分析方法。
【請求項2】
前記特定周波数帯域は、100メガヘルツから1ギガヘルツまでの帯域の少なくとも一部を含むものである、
請求項1に記載の分析方法。
【請求項3】
対象機器からの放電を検出するためのセンサで取得した信号を、処理部が、複数の周波数帯域に分割する過程と、
前記処理部で分割された周波数帯域毎の前記信号に基づいて、分析部が、所定の第1パラメータ値を算出し、算出された前記第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する過程と、
を有し、
前記処理部が、前記信号を前記複数の周波数帯域に分割する際の前記周波数帯域の数を、前記信号の周波数スペクトルのピーク数に応じたものとする、
分析方法。
【請求項4】
複数の前記センサを、前記対象機器の複数の箇所に設け、前記センサの各々からの信号の強度に基づいて前記対象機器における部分放電の発生位置を推定する、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項5】
複数の前記センサを、前記対象機器の複数の箇所に設け、前記センサの各々からの信号のタイミングに基づいて前記対象機器における部分放電の発生位置を推定する、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項6】
前記センサを、前記対象機器の接地配線または電気的に接地となる部分の信号を取得する位置に設ける、
請求項1から5までのいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項7】
対象機器からの放電を検出するためのセンサと、
前記センサで取得した信号を、複数の周波数帯域に分割する処理部と、
前記処理部で分割された周波数帯域毎の前記信号に基づいて、所定の第1パラメータ値を算出し、算出された前記第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する分析部と、
前記複数の周波数帯域のうちの特定の帯域である特定周波数帯域の信号に含まれ前記分析部が算出した前記類似度が所定の閾値を超える第1信号と、前記複数の周波数帯域のうちの前記特定周波数帯域以外の一の周波数帯域の信号に含まれ前記分析部が算出した前記類似度が所定の閾値を超える第2信号とを比較し、前記第1信号と前記第2信号とが同期している場合に前記第1信号と前記第2信号とを放電信号と判定し、前記放電信号以外を排除して再合成した再合成信号について所定の第3パラメータ値を算出し、算出された再合成信号についての前記第3パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する判定部と、
を備える分析装置。
【請求項8】
対象機器からの放電を検出するためのセンサと、
前記センサで取得した信号を、複数の周波数帯域に分割する処理部と、
前記処理部で分割された周波数帯域毎の前記信号に基づいて、所定の第1パラメータ値を算出し、算出された前記第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する分析部と、
を備え、
前記処理部は、前記信号を前記複数の周波数帯域に分割する際の前記周波数帯域の数を、前記信号の周波数スペクトルのピーク数に応じたものとする、
分析装置。
【請求項9】
コンピュータを、
対象機器からの放電を検出するためのセンサで取得した信号を、複数の周波数帯域に分割する処理部と、
前記処理部で分割された周波数帯域毎の前記信号に基づいて、所定の第1パラメータ値を算出し、算出された前記第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する分析部と、
前記複数の周波数帯域のうちの特定の帯域である特定周波数帯域の信号に含まれ前記分析部が算出した前記類似度が所定の閾値を超える第1信号と、前記複数の周波数帯域のうちの前記特定周波数帯域以外の一の周波数帯域の信号に含まれ前記分析部が算出した前記類似度が所定の閾値を超える第2信号とを比較し、前記第1信号と前記第2信号とが同期している場合に前記第1信号と前記第2信号とを放電信号と判定し、前記放電信号以外を排除して再合成した再合成信号について所定の第3パラメータ値を算出し、算出された再合成信号についての前記第3パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する判定部と、
を備える分析装置、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
対象機器からの放電を検出するためのセンサで取得した信号を、複数の周波数帯域に分割する処理部と、
前記処理部で分割された周波数帯域毎の前記信号に基づいて、所定の第1パラメータ値を算出し、算出された前記第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する分析部と、
を備え、
前記処理部は、前記信号を前記複数の周波数帯域に分割する際の前記周波数帯域の数を、前記信号の周波数スペクトルのピーク数に応じたものとする、
分析装置、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、診断方法、診断装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力設備は、社会インフラストラクチャを支える重要な設備であり、長期の安定稼働が求められる。安定稼働のためには、電力設備の劣化状態を把握し、保全・更新を刑確定に実施する必要がある。スイッチギア等の受配電機器において、部分放電が発生すると、絶縁性能が著しく低下する場合があり、地絡事故につながる恐れがある。そのため、絶縁性能の低下を検知する手法として、部分放電の検出が一般的に行われている。
【0003】
接地線に流れる電流を検出する手法は、多くの機器から発せられる部分放電信号を含む電気信号を全て検出してしまうため、ノイズの影響により、部分放電を正しく診断することが困難な場合がある。電磁波を検出する手法は、電気機器内での反射の影響や電磁ノイズの影響を受け、正しい診断が難しい場合がある。
【0004】
これら従来技術に属する手法において、誤診断を防ぐために、部分放電信号と認識したピークが商用電圧と同期しているか否かを判定し、同期していないと判断した信号レベルと同期信号からの時間的な差異を用いて放電信号を判定し、誤診断を低減させる絶縁診断装置が提案されている。また、複数周波数帯を計測可能な計測手段を有することで、放送波と放電信号とを弁別する手法を備えた電気機器絶縁診断装置も提案されている。
【0005】
しかしながら、電源周波数との同期により放電信号を判定する方法では、電源に同期したノイズを含む部分放電現象を正確にとらえることができない場合があった。また、複数の周波数計測手段を有する方法では、電波ノイズの多い場所での計測において誤診断する可能性があり、コスト的にも不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−045977号公報
【特許文献2】特開平9−292433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、精度良く電力機器の絶縁診断をすることができる診断方法、診断装置、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の診断方法は、次の各過程を持つ。即ち、診断対象機器からの放電を検出するためのセンサで取得した信号を、処理部が、複数の周波数帯域に分割する過程。そして、前記処理部で分割された周波数帯域毎の前記信号に基づいて、分析部が、所定の第1パラメータ値を算出し、算出された前記第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関する第2パラメータ値との類似度を算出する過程。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の診断装置の概略機能構成を示すブロック図。
図2】第1の実施形態の診断装置による処理の詳細を示すフローチャート。
図3】第1の実施形態の処理部において信号を複数の周波数帯域に分割する処理の概念を示す概略図。
図4】第1の実施形態のセンサで得られた信号を、処理部が複数の周波数帯域に分割した例を示すグラフ。
図5】第1の実施形態の分析部が行うパラメータ計算の結果の一部を示すグラフ。
図6】第1の実施形態のデータベース内に格納されているパラメータ情報の構成を示す概略図。
図7】第2の実施形態の診断装置の概略機能構成を示すブロック図。
図8】第2の実施形態の診断装置による処理の詳細を示すフローチャート。
図9】第2の実施形態の判定部による処理の内容を説明するための信号を示す概略図。
図10】第2の実施形態のデータベースの構成例を示す概略図。
図11】第3の実施形態の診断装置の概略機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の診断方法、診断装置、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による診断装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、診断装置1は、センサ101と、処理部102と、分析部103と、表示部105と、データベース200とを備える。
センサ101は、部分放電信号を検出する。センサ101は、検出した信号を出力する。
処理部102は、センサ101が検出した信号を処理する。具体的には、処理部102は、センサ101で取得した信号を、複数の周波数帯域に分割する。
分析部103は、処理部102によって処理された信号を分析する。
具体的には、分析部103は、処理部102によって分割された周波数帯域毎の信号に基づいて、所定のパラメータ値(第1パラメータ値と呼ぶ)を算出する。そして、分析部103は、算出された第1パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関するパラメータ値(第2パラメータ値と呼ぶ)との類似度を算出する。
表示部105は、前段までの各部の処理の結果を表示する。
データベース200は、分析処理等に必要なデータを保持する。
【0012】
なお、センサ101として、例えば、接地配線(電気的に接地となる部分も、同様)の信号を取得する方式にしてもよい。こうすることにより、例えば、配電盤の盤面の電位を取得して診断を行うことも可能となる。また、センサを予め設置していなかった場合にも、停電および盤面の開放が不要である。
【0013】
図2は、診断装置1による処理の詳細を示すフローチャートである。なお、診断装置1が診断の対象とする機器は、交流電源を扱う電力機器である。この電力機器には、所定の周波数(例えば、50ヘルツ、あるいは60ヘルツ等)の商用の交流電源が供給される。診断対象である電力機器は、例えば、スイッチギア等の受配電機器である。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0014】
まずステップS1において、処理部102は、センサ101が取得した信号を、診断対象機器に供給される交流電源の周期に分割する。つまり、処理部102は、センサ101が取得した信号を、位相0度から360度までの1周期ずつの区間に分割する。
次に、ステップS2において、処理部102は、ステップS1で分割した信号を、複数の周波数帯域に分割する。本ステップで、信号は、少なくとも2つの周波数帯域に分割される。
【0015】
次に、ステップS3において、分析部103は、ステップS2で分割された周波数帯域毎に所定の処理を行うことにより、予め定められた複数のパラメータの値を算出する。
次に、ステップS4において、分析部103は、ステップS3で算出されたパラメータ群の値と、予めデータベースに保存しておいたパラメータ群の値とを比較する。具体的には、分析部103は、算出されたパラメータ群の値と、データベース200に保存されていたパラメータ群の値との類似度を算出する。なお、データベース200には、信号が部分放電に対応する信号である場合のパラメータ群の値を予め保存しておくようにする。また、本ステップで算出される類似度は、例えば、パラメータ群が構成する多次元空間におけるノルムとして予め定義されている。
【0016】
なお、ステップS4で算出された類似度と、所定の閾値とに基づいて、類似性が高いと判断される場合に、その種別の放電が検出されたと推定できる。
【0017】
図3は、処理部102において信号を複数の周波数帯域に分割する処理の概念を示す概略図である。同図において、横軸は周波数(単位は、ヘルツ(Hz))であり、対数目盛りを用いている。また、縦軸は信号の強度を表す値である。同図において、実線で示すグラフは、センサ101で取得した信号を表したものである。処理部102は、この信号を、複数の周波数帯域に適宜分割する。
【0018】
センサ101が取得する信号には、診断対象機器による部分放電信号と、診断対象機器が設置されている環境におけるノイズとが含まれる。センサ101が取得する信号の周波数成分は、数百キロヘルツ(kHz)から1ギガヘルツ(GHz)程度の範囲に広く分布している。部分放電信号は、この広い範囲の中の、比較的狭帯域において発生する。処理部102が信号を周波数帯域に分割する際の分割数は、少なくとも2つである。ここで分割数が多ければ多いほど、得られるS/N比(信号対雑音比,signal-to-noise ratio)が高くなる。しかしながら、分割数が多すぎると診断のための処理(計算等)に要する時間が長くなり、現地(診断対象機器設置場所)での診断に向かなかったり、コスト高なったり、といった不利が生じ得る。したがって、分割数は、概ね2から8までの範囲が望ましい。
【0019】
分割する周波数帯域を予め固定的に決めておく場合、帯域の区切り方は任意であるが、例えば、次のようにする。
分割数が2の場合、第1の周波数帯域を100MHz未満として、第2の周波数帯域を100MHz以上且つ1GHz未満とする。
分割数が4の場合、第1の周波数帯域を1MHz未満として、第2の周波数帯域を1MHz以上且つ10MHz未満として、第3の周波数帯域を10MHz以上且つ100MHz未満として、第4の周波数帯域を100MHz以上且つ1GHz未満とする。
分割数が8の場合、第1の周波数帯域を100kHz以上且つ316.2kHz未満として、第2の周波数帯域を316.2kHz以上且つ1MHz未満として、第3の周波数帯域を1MHz以上且つ3.162MHz未満として、第4の周波数帯域を3.162MHz以上且つ10MHz未満として、第5の周波数帯域を10MHz以上且つ31.62MHz未満として、第6の周波数帯域を31.62MHz以上且つ100MHz未満として、第7の周波数帯域を100MHz以上且つ316.2MHz未満として、第8の周波数帯域を316.2MHz以上且つ1GHz未満とする。
なお、上に例示した区切り方以外で、周波数帯域を分割してもよい。
【0020】
図4は、センサで得られた信号を複数の周波数帯域に分割した例を示すグラフである。同図(A)、(B1)、(B2)のいずれについても、横軸は時間であり、縦軸は電圧レベルである。同図(A)は、センサ101が取得した信号を表す。同図(B1)および同図(B2)は、同図(A)の信号を2つの周波数帯域に分割した結果を示す。同図(B1)が示す信号のほうが、同図(B2)が示す信号よりも、周波数が高い帯域の信号である。外部放電の一例として、沿面放電と樹脂内部放電とをそれぞれ取得して分析した結果、これら2つの放電による信号が有する周波数帯は異なっていることが明らかとなっている。つまり、異なる種類の放電が、異なる周波数帯域の信号の成分に対応していることがわかっている。つまり、処理部102が信号を複数の周波数帯域に分割することにより、部分放電の種類を推定することが可能となる。
【0021】
図5は、分析部103が行うパラメータ計算の結果の一部を示すグラフである。同図(A)および(B)において、横軸は診断対象機器の交流電源の位相(単位は、度)であり、縦軸は信号強度である。このグラフは、処理部102から出力される信号を分析部103が分析した結果を表している。このグラフは、位相−信号強度の2軸で表される平面において1個の放電を1個の点としてプロットするとともに、それらプロットされた点を2つのクラスターに分離した結果である。同図(A)は絶縁物内部放電に対応しており、同図(B)はコロナ放電に対応している。図示するように、同図(A)の絶縁物内部放電は、位相として、概ね、10度から70度までの範囲と、190度から250度までの範囲内に分布している。また、信号強度も、図示する通り、所定の範囲内に分布している。一方、同図(B)のコロナ放電は、位相として、概ね50度から90度までの範囲と、250度から310度までの範囲に分布している。また、50度から90度までの範囲の放電では信号強度が相対的に高く、250度から310度までの範囲の放電では信号強度が相対的に低い。
【0022】
図5に例示したパラメータは、分析部103が算出する値の一部に過ぎない。分析部103が他の値をパラメータとして算出してもよい。また、分析部103が、図5に示した分布を基に、さらに別のパラメータを算出するようにしてもよい。また、分析部103が、絶縁物内部放電とコロナ放電以外の、他の放電の特徴を表すパラメータを算出してもよい。
【0023】
分析部103が算出するパラメータとしては、例えば、図5に示す分布における、半周期毎(つまり、位相0度から180度までと、180度から360度まで)の最大信号強度(最大センサ電圧)や、平均センサ電圧や、最低位相や、最大位相や、平均位相や、分布の形状を表す歪度や、分布の形状を表す尖度などを挙げられる。また、前の半周期(位相0度から180度まで)と後の半周期(位相180度から360度まで)における上記パラメータの差を、パラメータとして算出するようにしてもよい。
【0024】
図6は、データベース200内に格納されているパラメータ情報の構成を示す概略図である。図示するように、データベース200内のパラメータ情報は、放電信号に関するパラメータの情報を、放電の種類ごとに保持している。パラメータの情報は、2次元の表の形式のデータとして、磁気ハードディスク装置あるいは半導体メモリ等に書き込まれている。その表の各行は、放電の種類に対応する。図示する例では、データの第1行目は「絶縁物内部放電」に対応し、第2行目は「コロナ放電」に対応する。また、表の各列が、パラメータの種類に対応する。図示する例では、この表は、パラメータの種類として、半周期毎の最大センサ電圧、平均センサ電圧、最低位相、最大位相、平均位相、分布の歪度、分布の尖度などといったものを含む。なお、歪度は、分布の非対称性を表す指標である。また、尖度は、分布のピーク性を表す指標である。そして、この表は、放電の種類ごとに、パラメータの情報(数値等)を保持する。
【0025】
図2を参照しながら既に説明したように、分析部103は、センサ101によって検知された信号に基づいて算出されたパラメータ群の値と、データベース200に予め格納しておいたパラメータ群の値との類似度を計算する。この類似度は、例えばパラメータ群が構成する多次元空間におけるノルムとして予め定義しておく。一例としては、各パラメータの値の差の絶対値に、重み値による重み値を行い、その総和を求めて類似度とする。また、各パラメータの値の差を自乗し、重み値による重み値を行い、その総和を求めて類似度としてもよい。なお、類似度の数値が大きいほど類似の度合いが高くなるようにする場合には、適宜、上記計算結果の逆数あるいは反数をとってもよい。また、他の計算手法によって類似度を求めてもよい。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、センサで検知した信号を複数の周波数帯域に分割し、周波数帯域毎にパラメータの値を算出し、予めデータベースに格納しておいた放電種別ごとのパラメータ値との類似度を求める。これにより、高精度に放電を推定することができ、誤診断を防ぎ、または誤診断を少なくすることが可能となる。
【0027】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項と共通する事項については、以下での説明を省略する場合がある。以下では、本実施形態に特有の事項について主に説明する。
【0028】
図7は、本実施形態による診断装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、診断装置2は、センサ101と、処理部102と、分析部103と、判定部104と、表示部105と、データベース200と、を備える。つまり、診断装置2は、前実施形態による診断装置1の構成に加えて、判定部104を備える。センサ101と、処理部102と、分析部103と、表示部105と、データベース200との機能については、第1の実施形態で既に説明した通りである。ただし、本実施形態におけるデータベースの構成については、後でさらに説明する。
判定部104は、分析部103で分析された信号についての判定を行う。
【0029】
図8は、診断装置2による処理の詳細を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
ステップS1からS4までの処理は、図2において説明した通りであるため、ここでの説明を省略する。
【0030】
次に、ステップS5において、判定部104は、ステップS4で算出された類似度が予め定められた所定の閾値を超える周波数帯域を抽出する。そして、判定部104は、前記閾値に基づいて抽出された周波数帯域の信号と、特定周波数帯域の信号とを比較する。ここで、特定周波数帯域とは、処理部102が分割した周波数帯域のうちの、予め定められた特定の周波数帯域である。「特定周波数帯域」としては、好ましくは、100MHzから1GHzまでの帯域を含むものを選択する。また、100MHzから1GHzまでの帯域がさらに複数の帯域に分割されている場合には、好ましくは、それら複数の帯域のうち最も周波数が高い帯域を、「特定周波数帯域」として選択する。つまり、特定周波数帯域は、100MHzから1GHzまでの帯域の少なくとも一部を含むことが好ましい。すべての放電信号は特定周波数帯域の信号を含むため、このような特定周波数帯域の信号に基づいて判定することで、誤診断を防止し、あるいは少なくすることができる。
【0031】
そして、上記の比較の結果、本ステップで抽出された周波数帯域と、上記の特定周波数帯域との両方において、所定の閾値以上のレベル(電圧)の信号が同時刻(あるいはほぼ同時刻)に検出された場合(即ち、両者が同期している場合)に、その信号を部分放電信号と判定する。なお、ここで「ほぼ同時刻」とは、時刻の差が微小な所定値以下の場合を言う。この「所定値」は、一例として、判定対象としている周波数帯域の中心周波数に対応する周期の半分とすることが好ましい。そうすることにより、高精度に部分放電信号を判定することが可能となる。例えば、判定対象の周波数帯域の中心周波数が1MHzである場合、対応する周期は1μ秒(マイクロ秒)である。したがって、判定のための時間差の閾値をその半分の0.5μ秒とする。ただし、判定対象の信号の周波数に依らず、所定の時間差の閾値を定めてもよい。
【0032】
上記の比較の結果、上記の条件を満たさない場合には、その信号は部分放電信号ではないとみなして排除する。また、判定部104は、部分放電信号であると判定された信号と、上記の特定周波数帯域の信号とを再合成する。
【0033】
次にステップS6において、判定部104は、ステップS5で再合成された信号について、再びパラメータを算出し、データベース200のパラメータ情報(図6を参照)に格納されたパラメータとの比較を行う。具体的には、判定部104は、両パラメータ群の間の類似度を算出する。類似度の算出方法は既に述べた通である。なお、判定部104は、放電の種類毎に、検出された信号との類似度を算出する。なお、判定部104が、最も類似度の高い放電種類が、検出された信号に該当するものであると推定してもよい。
そして、表示部105は、判定部104による判定処理の結果を、画面等に表示出力する。
【0034】
つまり、判定部104は、複数の周波数帯域のうちの特定の帯域である特定周波数帯域の信号に含まれ分析部103が算出した類似度が所定の閾値を超える第1信号と、複数の周波数帯域のうちの特定周波数帯域以外の一の周波数帯域の信号に含まれ分析部103が算出した類似度が所定の閾値を超える第2信号とを比較する。そして、判定部104は、第1信号と第2信号とが同期している場合に第1信号と第2信号とを放電信号と判定し、放電信号以外を排除して再合成した再合成信号を生成する。そして、判定部104は、この再合成信号について所定のパラメータ値(第3パラメータ値と呼ぶ)を算出する。そして、判定部104は、算出された再合成信号についての第3パラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関するパラメータ値(第2パラメータ値)との類似度を算出する。
【0035】
図9は、判定部104による処理の内容を説明するための信号を示す概略図である。同図(A)、(B)、(C)のそれぞれにおいて、横軸は時間(単位は、マイクロ秒)であり、縦軸は信号レベルである。同図(A)は、特定周波数帯域の信号を示す。同図(B)は、特定周波数帯域以外の、1つの周波数帯域の信号を示す。同図(C)は、(A)および(B)の信号に基づいて時刻同期の処理を行った結果の信号を示す。
【0036】
同図(A)の特定周波数帯域の信号において、信号レベルが所定の閾値を超える時間区間が2箇所あり、図内ではそれらの時間区間をそれぞれハッチングして示している。これらの時間帯を便宜上、時間区間A1、および時間区間A2と呼ぶ。また、同図(B)の周波数帯域の信号において、信号レベルが所定の閾値を超える時間区間が3箇所あり、図内ではそれらの時間区間をそれぞれハッチングして示している。これらの時間帯を便宜上、時間区間B1、時間区間B2、および時間区間B3と呼ぶ。判定部104は、これら(A)の信号と(B)の信号との間で、閾値を超える時間帯の同期の有無を調べる。その結果、判定部104は、時間区間A1と時間区間B1とが同期していると判定する。なお、このとき、判定部104は、所定範囲内の誤差を許容したうえで、時間区間A1と時間区間B1のそれぞれの開始時刻および終了時刻が一致しているか否かにより、同期の有無を判定する。その結果、判定部104は、同図(A)に示す信号と同図(B)に示す信号とを再合成し、同図(C)に示す信号を出力する。同図(C)において、上記の同期している時間区間(つまり、時間区間A1とB1)については、両周波数帯域の信号を再び合成している。また、同図(C)におけるその他の時間帯(同期している時間区間以外の全ての時間区間)においては信号レベルをゼロとする。
【0037】
判定部104による上記の処理の結果、再合成された信号(同図(C))は、判定部104は次のような信号を出力する。即ち、判定部104は、放電であると見なされた時間区間のみにおける信号であって、当該放電が検出された周波数帯域(即ち、同図(A)および同図(B)がそれぞれ示した周波数帯域)のみの信号を出力する。
【0038】
図10は、本実施形態におけるデータベースの構成例を示す概略図である。図示するように、データベース200は、図6で示したパラメータ情報(放電信号のパラメータ情報201)に加えて、出荷試験データ202と、設計データ203と、異常放電データ204と、センサ信号のトレンドデータ205とを格納している。
【0039】
出荷試験データ202は、診断対象機器の製造年月を表すデータや、出荷試験の結果のデータを保持する。
設計データ203は、診断対象機器に使用されている絶縁材料の種類の情報や、その絶縁材料が使用されている機器内の部位の情報などを保持している。
異常放電データ204は、種々の異常放電が生じた際のセンサ信号から得られるパラメータなどを保持している。
センサ信号のトレンドデータ205は、センサ近傍に取り付けられている別のセンサ信号のトレンドを表すデータである。
【0040】
判定部104は、上記の設計データ203を参照することにより、診断対象機器に使用されている絶縁材料が何であるかを把握できる。また、その絶縁材料が、診断対象機器のどこの部位に使用されているかを把握できる。したがって、判定部104は、絶縁材料の諸特性等をも合わせて判定材料として、診断対象機器の部位毎に放電の起こりやすさや放電の種類などを推定することができる。
また、判定部104は、センサ信号のトレンドデータ205を参照することにより、ノイズ信号の影響の度合いを推定することが可能となる。また、ノイズの推定結果に基づいて、過大なノイズに依る放電の誤診断を少なくすることが可能となる。
【0041】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項と共通する事項については、以下での説明を省略する場合がある。以下では、本実施形態に特有の事項について主に説明する。
【0042】
図11は、本実施形態による診断装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、診断装置11は、複数のセンサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・と、処理部102と、分析部1103と、判定部1104と、表示部105と、データベース200とを備える。つまり、診断装置11の特徴は、複数のセンサを備える点である。
【0043】
複数のセンサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・は、診断対象機器の異なる複数の箇所にそれぞれ設置されるようにする。これらのセンサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・の各々は、接地された箇所における信号を検知し、出力する。
処理部102は、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・のそれぞれから出力される信号について、第1の実施形態等で説明した処理と同様の処理を行う。そして、処理部102は、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・のそれぞれの信号を複数の周波数帯域に分割した結果を出力する。
【0044】
分析部1103は、第1の実施形態等で説明した処理と同様の処理を行う。ただし、分析部1103は、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・から得られた信号の強さの比較を行う。また、分析部1103は、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・の設置場所の情報を参照する。この設置場所の情報は、例えば、予めデータベース200に格納しておくようにする。そして、分析部1103は、推定された放電毎に、信号の強い順に、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・の順位を決定する。
【0045】
判定部1104は、第2の実施形態で説明した処理と同様の処理を行う。ただし、判定部1104は、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・から得られた信号の強さの比較を行う。また、判定部1104は、分析部103と同様に、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・の設置場所の情報を参照する。そして、判定部1104は、は、推定された放電毎に、信号の強い順に、センサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・の順位を決定する。
【0046】
以上のように、分析部1103および判定部1104は、それぞれ、推定された放電毎に、信号の強さ(強度)に基づいてセンサ1101−1,1101−2,1101−3,・・・の順位の情報を出力する。一般に放電の発生源からセンサまでの距離が短いほど、センサによって検知される信号が強くなるという関係がある。したがって、分析部1103および判定部1104が出力する情報は、各放電の発生位置を推定する情報である。
【0047】
また、分析部1103および判定部1104は、信号の強さに基づいて放電の発生源からセンサまでの距離を推定する代わりに、信号を検知した時刻(タイミング)に基づいて放電の発生源からセンサまでの距離を推定するようにしてもよい。つまり、分析部1103および判定部1104は、放電の発生源に近いセンサほど、早く放電の信号を検知することを利用する。そして、最も早く放電の信号を検知したセンサが、放電の発生源に近いと推定することができる。
【0048】
つまり、本実施形態では、複数のセンサを、診断対象機器の複数の箇所に設けている。
分析部1103および判定部1104の各々は、センサの各々からの信号の強度に基づいて診断対象機器における部分放電の発生位置を推定するようにしてもよい。また、分析部1103および判定部1104の各々は、センサの各々からの信号のタイミングに基づいて診断対象機器における部分放電の発生位置を推定するようにしてもよい。
【0049】
上記各実施形態では、処理部102が信号を複数の周波数帯域に分割する際に、帯域の区切りを予め固定的に設定しておく例を説明した。しかしながら、センサが検知した信号に基づいて周波数帯域の区切りを決めてもよい。また、適宜、周波数帯域の区切りを適応的に変更してもよい。処理部102は、例えば、センサによって検知された信号の周波数スペクトルを分析する。そして、周波数のピークが現れる箇所が放電による信号であると推定する。そして、処理部102は、検出された複数のピークのそれぞれがほぼ中心の周波数になるように、周波数帯域を区切る。そして、処理部102は、センサから渡された信号をこれらの周波数帯域に分割する。このようにピーク周波数を用いて分割数を決めることによって、高速に診断できるうえ、強い周波数帯域を際立たせた診断を行うことができる。
つまり、処理部102は、分割する周波数帯域の数を、センサの信号の周波数スペクトルのピーク数に応じて決定する。
【0050】
上記各実施形態では、分析部(103,1103)や判定部(104,1104)は、周波数帯域ごとに分割された信号に基づいてパラメータ値を算出し、それらのパラメータ値と、予めデータベース200に登録しておいたパラメータ値との間の類似度を計算した。そして、分析部(103,1103)や判定部(104,1104)は、算出された類似度に基づいて、その信号が放電を表すものであるか否かを推定した。その代わりに、分析部(103,1103)や判定部(104,1104)は、ガウス分布に基づく統計パラメータと比較して、部分放電信号の有無を判定するようにしてもよい。センサによって検知される信号に含まれるノイズは、ガウス分布にしたがう。しかし、部分放電信号が重畳している場合には、信号はガウス分布にしたがわず、異なる分布を示す。例えば、信号が強度0から連続的に分布せずに、所定の中間値を持たない分布を示す。したがって、センサで取得した信号に放電信号が含まれている場合、分析部(103,1103)や判定部(104,1104)は、部分放電信号をノイズから区別することが可能となる。
つまり、分析部(103,1103)や判定部(104,1104)は、データベース200に蓄えた放電の特徴を表す情報とは別に、ガウス分布に基づいて定めた統計パラメータ(ノイズを表すパラメータ)と比較して、部分放電信号が示す有意な差の有無を判定する。
また、分析部(103,1103)や判定部(104,1104)が、データベース200に蓄えた放電の特徴を表す情報と、ノイズを表すガウス分布の統計パラメータの情報とを併用して、部分放電信号の有無を判定してもよい。
【0051】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、センサで取得した信号を、処理部が複数の周波数帯域に分割する。また、分析部は、処理部で分割された周波数帯域毎の信号に基づいて、所定のパラメータ値を算出し、算出されたパラメータ値と、予めデータベースに格納しておいた部分放電信号に関するパラメータ値との類似度を算出する。この構成を持つことにより、ノイズ等に依る誤診断の少ない、診断方法および診断装置等を実現できる。
【0052】
なお、上述した実施形態における診断装置の少なくとも一部の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリ等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1,2,11…診断装置、101,1101−1,1101−2,1101−3,・・・…センサ、102…処理部、103…分析部、104…判定部、105…表示部、200…データベース、201…放電信号のパラメータ情報、202…出荷試験データ、203…設計データ、204…異常放電データ、205…センサ信号のトレンドデータ、1103…分析部、1104…判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11