(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パウチが、前記パウチの前記第1の部分と前記第2の部分の間の折り畳み線に沿って折り畳まれて、前記セパレータが前記第1の電極材料と前記第2の電極材料の間に配置されている、請求項1に記載の電気化学的セル。
前記第1の集電体及び前記第2の集電体のうちの少なくとも1つが、物理蒸着、化学蒸着、メッキ、電気メッキ、及び電着のうちの少なくとも1つを使用して堆積される、請求項5に記載の電気化学的セル。
前記パウチ材料の前記第1の部分上に前記第1の集電体を配置する工程が、物理蒸着を使用して前記パウチ材料の前記第1の部分に前記第1の集電体を堆積させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
前記パウチ材料の前記第1の部分上に前記第1の集電体を配置する工程が、化学蒸着を使用して前記パウチ材料の前記第1の部分に前記第1の集電体を堆積させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
前記パウチ材料の前記第1の部分上に前記第1の集電体を配置する工程が、メッキを使用して前記パウチ材料の前記第1の部分に前記第1の集電体を堆積させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
前記パウチ材料の前記第1の部分上に前記第1の集電体を配置する工程が、電気メッキを使用して前記パウチ材料の前記第1の部分に前記第1の集電体を堆積させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
前記パウチ材料の前記第1の部分上に前記第1の集電体を配置する工程が、電着を使用して前記パウチ材料の前記第1の部分に前記第1の集電体を堆積させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1050] 本明細書に記載する実施形態は、一般にシングルパウチバッテリセルに関し、さらに詳細には、バッテリモジュール又はバッテリパックのシングルパウチバッテリセルを製造及び使用するシステム及び方法に関する。いくつかの実施形態では、シングルパウチバッテリセルは、アノードと、カソードと、それらの間に配置されたセパレータと、アノード、カソード及びセパレータを収容してシングルパウチバッテリセルを形成するパウチとを含む。いくつかの実施形態では、アノード及び/又はカソードは、半固体電極材料を含む。
【0009】
[1051] バッテリセル内の非電気化学的活性材料の量を減少させることにより、所与のバッテリセルのエネルギー密度を高めることができる。集電体の厚さは、通常は、電流密度を考慮するより、取扱いが容易になるように、かつ/又は電極の機械的支持を提供するように、選択される。換言すれば、集電体は、一般に、バッテリ内の電気化学的反応によって生成される高い電流密度に対応するために必要な厚さよりも厚いが、集電体が薄くなると(すなわち電流密度のために最適化されると)非常に脆くなる可能性があり、製造プロセス中に容易に破れるおそれがある。例えば、いくつかの従来のバッテリで現在使用されている厚さ20μmの集電体は、従来のバッテリで生成される量の電流を容易に取り扱うことができるが、その電子を往復させるために必要なのは、わずか数μmの集電体である。
【0010】
[1052] 本明細書に記載するように、シングルパウチセルは、バッテリセル構造の他の点を改善しながら、より薄い集電体を使用できるようにすることができる。例えば、集電体をパウチに結合して、パウチが集電体の物理的支持を提供し、取扱いを改善することができるようにして、パウチを使用しながら電気伝導のためにより薄い集電体を使用することができるようにすることができる。この手法のいくつかの追加の利点は、これらに限定されるわけではないが、(i)1つのバッテリセルから隣接する1つ又は複数のバッテリセルへの欠陥伝搬の軽減又は解消、(ii)従来のバッテリの大量の可燃性電解質によって引き起こされる火災危険またその他の熱的危険の低減、(iii)従来のバッテリの製造における溶接プロセス中に電極材料に混入する可能性があり、バッテリ内の内部短絡を引き起こすことによってバッテリの性能を損なうおそれがある、金属による汚染の低減又は解消、(iv)複数のシングルパウチバッテリセルを積み重ねてバッテリモジュール又はバッテリパックにする際の個々のパウチの取扱いの容易化、(v)マルチパウチ又はマルチスタックバッテリを製造する際の個々のパウチの選別及び排除の利便性による製造歩留まりの向上(容量、厚さ、インピーダンス、重量などによる)、(vi)バッテリ又は電極の製造中に半固体電極材料を支持する手段の提供と、それによる電極材料の均一な分布(例えば均一な厚さ)の実現及びバッテリセルからの電極材料の漏出の回避、ならびに(vii)溶接火花が、通常可燃性である電解質に点火する可能性がある溶接プロセスにおける、濡れた電極の火災危険の低減又は解消を含む。シングルパウチバッテリセルの手法は、全ての溶接プロセスを、個々のバッテリセルがパウチ内に収容された後で実行することができるので、溶接火花が電解質に到達して点火することを防止することができ、このような火災危険を低減又は解消することができる。本明細書で使用する「半固体」という用語は、例えば粒子懸濁液、コロイド懸濁液、乳濁液、ゲル、又はミセルなど、液相と固相が混合した材料を指している。
【0011】
[1053] 本明細書で使用する「シングルパウチバッテリセル」という用語は、1つのアノード、1つのカソード、及び1つのセパレータを含む1つのユニットセルアセンブリを通常は収容するパウチを含むバッテリセル(本明細書では電気化学的セルとも呼ぶ)を指している。いくつかの場合には、本明細書に明示的に述べるように、シングルパウチバッテリセルは、ユニットセルアセンブリを2つ含むこともできる。
【0012】
[1054] 本明細書で使用する「約」及び「およそ」という用語は、一般に、述べられている値のプラスマイナス10%を含む。例えば、「約5」であれば、4.5〜5.5を含み、「およそ10」であれば9〜11を含み、「約100」であれば90〜110を含むことになる。
【0013】
[1055] 通常のバッテリ製造では、複雑で費用のかかるプロセスを多数連続して実行する必要があり、そのそれぞれで歩留まりの損失が生じ、機器の資本経費を生じ、エネルギー消費及び消耗材料の営業経費を伴う。バッテリ製造工程は、最初に、通常は電気化学的に活性なイオン貯蔵化合物と、導電性添加物と、ポリマー結合材との混合物である別個のアノード混合物/カソード混合物(「スラリ」とも呼ぶ)を準備することを含む。次いで、この混合物で可撓性金属箔の表面を被覆して電極(アノード及びカソード)を形成する。形成された電極を、通常は高圧下で圧縮して、密度を高め、厚さを調整する。これらの圧縮した電極/箔複合体を、次いで、製造するバッテリの特定の形状係数に適したサイズ及び/又は形状に切断する。
【0014】
[1056] 1つのアノード、1つのカソード、及び1つのセパレータを積み重ねて、ユニットセルアセンブリを形成することができる。各ユニットセルアセンブリは、通常は、電極を外部回路に結合する導電性タブ(リードとも呼ぶ)も含む。次いで、複数のユニットセルアセンブリを積み重ね、又は配列して、バッテリセルを形成する。1つのバッテリセル内のユニットセルアセンブリの数は、例えば得られるバッテリセルの所望の容量及び/又は厚さに応じて様々であってよい。これらの積み重ねたユニットセルアセンブリは電気的に並列であり、各ユニットセルアセンブリのタブ同士は、通常は特に抵抗溶接、レーザ溶接、超音波溶接、シーム溶接、及び電気ビーム溶接などの溶接プロセスによって溶接される。次いで、真空パウチ密封工程を実行して、バッテリセルを形成することができる。真空パウチ密封中に、通常は積み重ねたユニットセルアセンブリ中に電解質を注入し、このユニットセルアセンブリと電解質とをパウチ内に密封する。
【0015】
[1057] 次いで、密封したバッテリセルに形成プロセスを施す。このプロセスで、初期充電動作を実行して、電極/電解質界面を不動態化して副反応を防止することができる、安定した固体電解質界面(SEI)を作成することができる。さらに、通常はバッテリの数サイクルの充電及び放電も実行して、バッテリの容量が所要の仕様を満たすことを保証する。通常は、ガス抜き工程を実行して、事前充電工程と呼ばれる初期充電ステージ中、又はバッテリ形成工程における電気化学的反応中に導入されるガスを放出する。電極中に閉じ込められたガスが存在すると、一般に、電極の導電性及び密度が低下し、バッテリセル中に配置することができる活性の電気化学的材料の量が制限され、さらに、サイクル寿命や全体の安全性能といったバッテリの性能を低下させるリチウム樹枝状結晶が生じるおそれがある。閉じ込められたガスを解放した後で、再密封工程を行ってバッテリセルを再度密封することができる。
【0016】
[1058] 上述の製造プロセス及びそれにより得られるバッテリには、いくつかの問題がある。第1の問題は、バッテリの製造中又は動作中の欠陥伝搬である。さらに詳細には、製造中に、1つのユニットセルアセンブリに問題がある場合に、通常複数のユニットセルアセンブリを含むセル全体が欠陥状態になる可能性がある。したがって、1つのユニットセルアセンブリの欠陥が伝搬して、同じバッテリセル内の複数のユニットセルアセンブリが破棄されることになり、それにより製造歩留まりに影響が出るおそれがある。さらに、バッテリの動作中にも、欠陥が1つのユニットセルアセンブリから隣接する1つ又は複数のユニットセルアセンブリに伝搬するおそれがある。例えば、バッテリの代表的な欠陥は熱暴走であり、熱暴走時には、温度の上昇がより活発な電気化学的反応を引き起こし、これがさらに温度を上昇させることにより、ポジティブフィードバックのループと、場合によってはサイクルの破壊とをもたらす可能性がある。バッテリセル内の1つのユニットセルアセンブリで熱暴走反応が生じた場合には、それが、ケース間の直接接触、高温の通気ガスの衝突、又は燃えている通気ガスの衝突など様々な熱伝達機構を介して隣接するユニットセルアセンブリでも熱暴走を引き起こす可能性が高い。連鎖反応が発生して、数秒で、又は各セルを使用している数時間のうちにパックが破壊されるおそれがある。
【0017】
[1059] 従来のバッテリ製造における第2の問題としては、各バッテリセル内の大量の電解質によってもたらされる火災危険が挙げられる。リチウムイオンバッテリでは、一般的に電解質は炭化水素系であり、通常は可燃性である。リチウムイオンセルにおいて炭化水素系電解質であるということは、火災状態では、これらのセルが、水性電解質を含む鉛蓄電池、NiMH又はNiCdセルとは異なる挙動をする可能性があるということである。さらに詳細には、リチウムイオンセルの漏れ又は通気により、可燃性蒸気が解放されるおそれがある。水性電解質を含むセルに火が触れた場合には、セル内の水が熱を吸収することにより、火が放出する熱全体を減少させ、危険を軽減することができる。これに対して、リチウムイオンセルに火が触れると、可燃性電解質の解放を引き起こし、これにより火が放出する熱全体を増大させ、火災危険を悪化させることになる。バッテリセル内の電解質の量は、同バッテリセル内の電極材料の量にほぼ比例する。複数のユニットセルアセンブリ(すなわち複数のアノード/カソードのスタック)を含む従来のバッテリセルは、通常、それに相応する大量の電解質を含む。したがって、各バッテリセル内の大量の電解質が、火災危険の増大をもたらす可能性がある。
【0018】
[1060] 従来のバッテリ製造における第3の問題としては、溶接プロセス中に生じる金属汚染が挙げられる。溶接は、通常、複数の電極スタックを含むバッテリセル全体をパウチ内に密封する前に実行されるので、電極は、溶接部分から飛び散る金属粒子に曝される。これらの金属粒子が溶接部分の近傍に付着すると、電気的短絡が発生する可能性がある。さらに、これらの金属粒子は、溶接中に電極材料内に分散し、内部短絡を引き起こす可能性もある。このセル内の汚染金属は、金属の樹枝状結晶を生じるおそれがあり、これが短絡を生じる。例えば、カソード領域への溶接中の銅汚染物質が、バッテリサイクル中にアノード側に電気化学的に堆積する可能性があり、これにより、銅がカソード材料のほとんどの電圧で不安定であるために内部短絡を生じる可能性がある。銅の樹枝状結晶は、リチウムの樹枝状結晶と比較して、融点が高いためにより頑健である。
【0019】
シングルパウチバッテリセル及びバッテリモジュール
[1061]
図1Aは、従来のバッテリ製造の前述の問題に少なくとも部分的には対処することができるバッテリセルを示す概略図である。バッテリセル100は、アノード集電体150(本明細書では「ACC150」とも呼ぶ)上に配置されたアノード材料111を含むアノード110、カソード集電体160(本明細書では「CCC160」とも呼ぶ)上に配置されたカソード材料121を含むカソード120、及びアノード110とカソード120との間に配置されたセパレータ130とを含む。アノード110、カソード120及びセパレータ130のアセンブリは、実質的にパウチ140内に収容され、パウチ140は、バッテリセル100をバッテリモジュール若しくはパック内の隣接する1つ又は複数のセルから分離することにより、故意でない電気化学的反応を個々のセル内に限定することによって、欠陥伝搬(例えば火災危険)を軽減することができる。任意選択で、ACC150及びCCC160は、アノード110、カソード120、又はバッテリセル100を組み立てる前にパウチ140の内側に配置することもできる。パウチを使用することにより、電極(すなわちアノード110及びカソード120)がバッテリセルを短絡させる可能性がある金属粒子又は任意のその他の物質からパウチ140によって保護されるので、バッテリモジュール/パックの構築時の溶接プロセス中の電極における金属汚染を軽減又は解消することもできる。任意選択で、いくつかの実施形態では、ACC150及びCCC160のうちの少なくとも一方が、1つ又は複数の外部電気回路に接続するための電気的リード(又は接続点)として作用するタブ又はタブ接続部(図示せず)を含むこともできる。
【0020】
[1062] いくつかの実施形態では、ACC150及びCCC160(本明細書ではまとめて「集電体」と呼ぶ)は、基板、シート、又は箔の形態で、あるいはその他の任意の形状係数で、導電性材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、集電体は、アルミニウム、銅、リチウム、ニッケル、ステンレス鋼、タンタル、チタン、タングステン、バナジウム、あるいはそれらの混合物、組合せ、又は合金を含むことができる。他の実施形態では、集電体は、炭素、カーボンナノチューブ、又は金属酸化物(例えばTiN、TiB
2、MoSi
2、n−BaTiO
3、Ti
2O
3、ReO
3、RuO
2、IrO
2など)などの非金属材料を含むこともできる。いくつかの実施形態では、集電体は、前述の金属材料及び非金属材料のうちのいずれかの上に配置された導電性コーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、導電性コーティングは、複合体又は層状物質などの、炭素系材料、導電性金属、及び/又は非金属材料を含み得る。
【0021】
[1063] いくつかの実施形態では、集電体は、集電体の機械的性質、熱的性質、化学的性質、又は電気的性質を改善するような1つ又は複数の表面コーティングを有するベース基板を含む。1つの例では、集電体の1つ又は複数のコーティングは、腐食を軽減し、接着特性を改変するように構成することができる(例えばそれぞれ親水性コーティング又は疎水性コーティング)。別の例では、集電体の1つ又は複数のコーティングは、ベース基板の全体的な電荷輸送を改善するために高い導電性を有する材料を含むことができる。さらに別の例では、コーティングは、ベース基板の熱放散を促進し、バッテリを過熱から保護するために高い熱伝導率を有する材料を含むことができる。さらに別の例では、コーティングは、バッテリの火災危険を防止するために耐熱性又は難燃性の材料を含むことができる。さらに別の例では、コーティングは、表面積を増大し、かつ/又は電極材料(例えばアノード材料111及びカソード材料121)との接着性を高めるように、粗く構成することができる。さらに別の例では、コーティングは、電極材料との良好な接着性又は糊付け性を有する材料を含むことができる。
【0022】
[1064] いくつかの実施形態では、集電体は、電極材料と集電体の間の機械的接触、電気的接触及び熱的接触を改善するように粗面化された表面を有する導電性の基板、シート又は箔を含む。集電体の粗面化された表面は、電極材料と集電体の間の物理的接触面積を増大させることにより、集電体に対する電極材料の接着性を高めることができる。このように物理的接触面積を増大させることによっても、集電体と電極材料の間の電気的及び熱的接触を改善する(例えば電気抵抗及び熱抵抗を低下させる)ことができる。
【0023】
[1065] いくつかの実施形態では、集電体は、金網など、多孔性集電体を含む。金網(本明細書ではメッシュとも呼ぶ)は、ウィービング、ブレイディング、ニッティングなどによって作製される一定のパターン又は構造、あるいはワイヤを無作為に分布させ、それらを溶接、接着又はその他の適当な技術によって連結することによって作製されるより無作為なパターン又は構造など、適当なプロセスを使用して様々な構成に組み上げることができる任意数のフィラメントワイヤを含むことができる。さらに、網を含むワイヤは、任意の適当な材料とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ワイヤは、鋼、アルミニウム、銅、チタン又はその他の任意の適当な金属など、金属である。他の実施形態では、ワイヤは、例えばカーボンナノファイバ又はその他の任意の適当な材料など、導電性の非金属材料とすることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤは、コーティングを含むことができる。例えば、コーティングは、腐食を軽減し、接着特性を向上又は低下させる(例えばそれぞれ親水性コーティング又は疎水性コーティング)ように構成することができる。多孔性集電体の例は、参照によりその開示の全体を本明細書に組み込む、「Semi−Solid Electrode Cell Having A Porous Current Collector and Methods of Manufacture」と題する米国特許公開第US2013/0065122号、及び「Semi−Solid Electrodes with Porous Current Collectors and Methods of Manufacture」と題する米国特許出願第US15/097838号に記載されている。
【0024】
[1066] いくつかの実施形態では、集電体は、これらに限定されるわけではないが、化学蒸着(CVD)(イニシエートCVD、ホットワイヤCVD、プラズマ強化CVD、及びその他の携帯のCVDなど)、物理蒸着、スパッタ堆積、マグネトロンスパッタリング、高周波スパッタリング、原子層堆積、パルスレーザ堆積、メッキ、電気メッキ、浸漬被覆、ブラッシング、スプレー被覆、ゾルゲル法(浸漬被覆、ブラッシング又はスプレー被覆による)、静電スプレー被覆、3D印刷、スピンコーティング、電着、粉体被覆、焼結、自己集合法及びそれらの技術の任意の組合せなどの被覆又は堆積技術のうちのいずれかによって作製することができる。
【0025】
[1067] いくつかの実施形態では、堆積又は被覆によって形成される集電体の性質を、堆積中に堆積パラメータを変化させることによって最適化することができる。例えばコーティングのテクスチャ、コーティングの厚さ、厚さの均一性、ならびに表面粗さ、多孔性、また破壊靱性、延性、及び引張り強さなどの一般的機械的性質などの表面形態といった物理的特性は、堆積パラメータの微調整によって最適化することができる。同様に、例えば電解質及び塩に対する耐薬品性及び耐腐食性、並びに特別な反応性、接着性及び親和性などの化学的性質は、堆積パラメータを変化させることによって最適化して、機能性集電体を作製することができる。いくつかの実施形態では、堆積又は被覆によって形成される集電体の様々な物理的及び化学的性質は、堆積後に、アニーリング又は急熱(フラッシュ)アニーリング、あるいは電気化学研磨などの後続の表面処理又は温度処理によって、またこれらの技術の任意の組合せを使用して、さらに改善又は修正することができる。
【0026】
[1068] いくつかの実施形態では、アノード集電体150は、約1μm〜約20μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約1μm〜約18μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約1μm〜約17μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約1μm〜約16μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約1μm〜約15μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約1μm〜約14μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約1μm〜約13μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約1μm〜約12μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約2μm〜約11μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約3μm〜約10μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約4μm〜約9μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約5μm〜約8μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、約6μm〜約7μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ACC150は、以下の値の間の厚さも全て含めて、約1μm未満、約2μm未満、約3μm未満、約4μm未満、約5μm未満、約6μm未満、約7μm未満、約8μm未満、約9μm未満、約10μm未満、約11μm未満、約12μm未満、約13μm未満、約14μm未満、約15μm未満、約16μm未満、約17μm未満、約18μm未満、約19μm未満、及び約20μm未満の厚さを有することができる。
【0027】
[1069] アノード材料111は、様々な材料から選択することができる。いくつかの実施形態では、アノード材料111は、これらに限定されるわけではないが、硬質炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、多孔性カーボン、及びグラフェンなどの炭素系材料を含む。いくつかの実施形態では、アノード材料111は、これらに限定されるわけではないが、スピネルLi
4Ti
5O
12(LTO)、二酸化チタン(TiO
2、チタニア)などのチタン系酸化物を含む。いくつかの実施形態では、アノード材料111は、これらに限定されるわけではないが、ケイ素、一酸化ケイ素(SiO)、ゲルマニウム、酸化スズ(SnO
2)などの合金又は脱合金材料を含む。いくつかの実施形態では、アノード材料111は、遷移金属化合物(例えば酸化物、リン化物、硫化物、窒化物など)を含む。遷移化合物の一般式は、M
xN
yと書くことができ、ここで、Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、及びニッケル(Ni)から選択することができ、Nは、酸素(O)、リン(P)、硫黄(S)、及び窒素(N)から選択することができる。
【0028】
[1070] いくつかの実施形態では、アノード材料111は、非晶質炭素、無秩序炭素、黒鉛状炭素、あるいは金属被覆又は金属装飾された炭素、グラファイト、非黒鉛状炭素、メソカーボンマイクロビーズ、ホウ素炭素合金、硬質又は無秩序炭素、リチウムチタンスピネル、あるいは例えばSi、Ge、Sn、Bi、Zn、Ag、Al、任意のその他の適当な金属合金、メタロイド合金又はそれらの組合せなど、リチウムと反応して電子化合物を形成する固体金属又は金属合金又はメタロイド又はメタロイド合金、あるいはLiAl、Li
9Al
4、Li
3Al、LiZn、LiAg、Li
10Ag
3、Li
5B
4、Li
7B
6、Li
12Si
7、Li
21Si
8、Li
13Si
4、Li
21Si
5、Li
5Sn
2、Li
13Sn
5、Li
7Sn
2、Li
22Sn
5、Li
2Sb、Li
3Sb、LiBi、又はLi
3Biなどの化合物のようなリチウム化金属又は金属合金、あるいはリチウム化又は非リチウム化組成物、任意のその他の材料又はそれらの合金の非晶質金属合金、あるいはそれらの任意のその他の組合せからなる一群から選択される固体を含むことができる。
【0029】
[1071] いくつかの実施形態では、アノード材料111は、電子化合物を含む。電子化合物は、化学式MM’を基本とすることができるが、ここでMは1つの金属元素、M’は異なる金属元素である。電子化合物は、2種類を超える金属元素を含むこともできる。電子化合物のM原子は、例えばCu、Li、及びMnとすることができ、電子化合物のM’元素は、例えばSbとすることができる。例示的な電子化合物は、特に、Cu
2Sb、Li
2CuSb、及びLi
3Sbである。1つの例では、アノード材料111の電子化合物は、M又はM’原子が無作為に配列される完全無秩序構造を有することができる。別の例では、アノード材料111の電子化合物は、結晶格子中のM又はM’原子が非無秩序に配列される部分無秩序構造を有する。
【0030】
[1072] いくつかの実施形態では、アノード材料111は、表面積を増大させ、得られる電極のリチウムインターカレーション速度を高めるように、多孔性にすることができる。1つの例では、アノード材料111は、例えばMnCO
3小球体の熱分解によって準備することができる多孔性Mn
2O
3を含む。別の例では、アノード材料111は、例えばポリアクリロニトリルとポリ(1−ラクチド)の混合溶液を電界紡糸した後に炭化を行うことによって準備される多孔性カーボンファイバを含む。いくつかの実施形態では、アノード材料111の多孔性は、多孔性集電体を使用することによって実現する、又は高めることができる。例えば、アノード材料111は、特定の多孔度を有するように、多孔性発泡構造上にコンフォーマルに堆積させたCu
2Sbを含むことができる。
【0031】
[1073] いくつかの実施形態では、アノード材料111の厚さは、以下の値の間の厚さも全て含めて、約250μm〜約2000μmの範囲内、約300μm〜約2000μmの範囲内、約350μm〜約2000μmの範囲内、約400μm〜約2000μmの範囲内、約450μm〜約2000μmの範囲内、約500μm〜約2000μmの範囲内、約250μm〜約1500μmの範囲内、約300μm〜約1500μmの範囲内、約350μm〜約1500μmの範囲内、約400μm〜約1500μmの範囲内、約450μm〜約1500μmの範囲内、約500μm〜約1500μmの範囲内、約250μm〜約1000μmの範囲内、約300μm〜約1000μmの範囲内、約350μm〜約1000μmの範囲内、約400μm〜約1000μmの範囲内、約450μm〜約1000μmの範囲内、約500μm〜約1000μmの範囲内、約250μm〜約750μmの範囲内、約300μm〜約750μmの範囲内、約350μm〜約750μmの範囲内、約400μm〜約750μmの範囲内、約450μm〜約750μmの範囲内、約500μm〜約750μmの範囲内、約250μm〜約700μmの範囲内、約300μm〜約700μmの範囲内、約350μm〜約700μmの範囲内、約400μm〜約700μmの範囲内、約450μm〜約700μmの範囲内、約500μm〜約700μmの範囲内、約250μm〜約650μmの範囲内、約300μm〜約650μmの範囲内、約350μm〜約650μmの範囲内、約400μm〜約650μmの範囲内、約450μm〜約650μmの範囲内、約500μm〜約650μmの範囲内、約250μm〜約600μmの範囲内、約300μm〜約600μmの範囲内、約350μm〜約600μmの範囲内、約400μm〜約600μmの範囲内、約450μm〜約600μmの範囲内、約500μm〜約600μmの範囲内、約250μm〜約550μmの範囲内、約300μm〜約550μmの範囲内、約350μm〜約550μmの範囲内、約400μm〜約550μmの範囲内、約450μm〜約550μmの範囲内、又は約500μm〜約550μmの範囲内とすることができる。
【0032】
[1074] いくつかの実施形態では、カソード120は、カソード集電体160及びカソード材料121を含む。カソード120のカソード集電体160は、上述したアノード110のアノード集電体150と実質的に同じであり、したがって、アノード集電体150の堆積及び/又は被覆技術に関連して述べたのと同じ技術が、カソード集電体160の作製にも適用可能であることがある。いくつかの実施形態では、カソード集電体160は、約1μm〜約40μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約38μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約36μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約34μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約32μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約30μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約28μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約26μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約24μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約22μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約20μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約2μm〜約18μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約3μm〜約16μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約4μm〜約14μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約5μm〜約12μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約6μm〜約10μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、約7μm〜約8μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、CCC160は、以下の値の間の厚さも全て含めて、約1μm未満、約2μm未満、約3μm未満、約4μm未満、約5μm未満、約6μm未満、約7μm未満、約8μm未満、約9μm未満、約10μm未満、約11μm未満、約12μm未満、約13μm未満、約14μm未満、約15μm未満、約16μm未満、約17μm未満、約18μm未満、約19μm未満、約20μm未満、約21μm未満、約22μm未満、約23μm未満、約24μm未満、約25μm未満、約26μm未満、約27μm未満、約28μm未満、約29μm未満、約30μm未満、約31μm未満、約32μm未満、約33μm未満、約34μm未満、約35μm未満、約36μm未満、約37μm未満、約38μm未満、約39μm未満、及び約40μm未満の厚さを有することができる。
【0033】
[1075] カソード120のカソード材料121は、例えば、ニッケルコバルトアルミニウム(NCA)、コアシェルグラジエント(CSG)、スピネル系リチウムイオン(LMO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、コバルト系リチウムイオン(LCO)及びニッケルコバルトマンガン(NCM)とすることができる。いくつかの実施形態では、カソード材料121は、ニッケル水素(NiMH)バッテリ及びニッケルカドミウム(NiCd)バッテリで使用されるような、当業者には既知の固体化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、カソード材料121は、D−NaFeO
2(いわゆる「層状化合物」)又は斜方LiMnO
2構造型を有するもの、あるいは異なる結晶対称性、原子秩序又は金属もしくは酸素の部分置換を有するそれらの誘導体など、秩序岩塩化合物LiMO
2の一般族を含むことができる。Mは、少なくとも1つの第1列遷移金属を含むが、これらに限定されるわけではないがAl、Ca、Mg又はZrなどの非遷移金属を含むこともある。このような化合物の例は、LiCoO
2、MgがドープされたLiCoO
2、LiNiO
2、Li(Ni、Co、Al)O
2(「NCA」と呼ばれる)及びLi(Ni、Mn、Co)O
2(「NMC」又は「NCM」と呼ばれる)を含む。他の族の例示的なカソード材料121は、LiMn
2O
4及びその誘導体などスピネル構造を有するもの、その構造が秩序岩塩及びスピネル秩序を有するナノスコピック領域を含むいわゆる「層状スピネルナノ複合体」、カンラン石LiMPO
4(MはMn、Fe、Co又はNiのうちの1つ又は複数を含む)及びその誘導体、LiVPO
4Fなどの部分フッ化化合物、以下に述べるその他の「ポリアニオン」化合物、ならびにV
2O
5及びV
6O
11などの酸化バナジウムV
xO
yを含むことができる。
【0034】
[1076] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、例えば米国特許第7338734号に記載されるような遷移金属ポリアニオン化合物を含む。いくつかの実施形態では、カソード材料121は、アルカリ金属遷移金属酸化物又はリン酸塩を含み、例えば、この化合物は、A
x(M’
1−aM”
a)
y(XD
4)
z、A
x(M’
1−aM”
a)
y(DXD
4)
z又はA
x(M’
1−aM”
a)
y(X
2D
7)
zという組成を有し、x+y(1−a)×(M’の1つ又は複数の形式原子価)+ya×(M”の1つ又は複数の形式原子価)が、z×(XD
4、X
2D
7又はDXD
4族の形式原子価)に等しくなるような値を有する、あるいはこの化合物は、(A
1−aM”
a)
xM’
y(XD
4)
z、(A
1−aM”
a)
xM’
y(DXD
4)
z又は(A
1−aM”
a)
xM’
y(X
2D
7)
zという組成を有し、(1−a)x+(量ax)×(M”の1つ又は複数の形式原子価)+y×(M’の1つ又は複数の形式原子価)が、z×(XD
4、X
2D
7又はDXD
4族の形式原子価)に等しくなるような値を有する。この化合物において、Aは、アルカリ金属及び水素のうちの少なくとも1つであり、M’は、第1列遷移金属であり、Xは、リン、硫黄、ヒ素、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも1つであり、M”は、IIA族、IIIA族、IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIIIA族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族、VB族、及びVIB族金属のうちのいずれかであり、Dは、酸素、窒素、炭素又はハロゲンのうちの少なくとも1つである。カソード材料121は、カンラン石構造化合物LiMPO4とすることができ、ここで、Mは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiのうちの1つ又は複数であり、この化合物は、任意選択で、Li、M又はOの位置でドープされる。Li位置における欠陥は、金属又はメタロイドの添加によって補償され、O位置における欠陥は、ハロゲンの添加によって補償される。いくつかの実施形態では、カソード材料121は、カンラン石構造と化学式(Li
1−xZ
x)MPO
4を有する、熱的に安定な遷移金属ドープリチウム遷移金属リン酸塩を含む。ここで、Mは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiのうちの1つ又は複数であり、Zは、Ti、Zr、Nb、Al又はMgのうちの1つ又は複数などの非アルカリ金属ドーパントであり、xは、0.005〜0.05の範囲である。
【0035】
[1077] 他の実施形態では、リチウム遷移金属リン酸塩材料は、Li
1−x−zM
1+zPO
4という全体の組成を有し、ここで、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる一群から選択される少なくとも1つの第1列遷移金属であり、xは、0〜1であり、zは、正でも負でもよい。MはFeを含み、zは、約0.15〜0.15の間である。この材料は、0<x<0.15の組成範囲の固溶体を呈することができる、又は0から少なくとも約0.05の間のxの組成範囲で、安定した固溶体を呈することができる、又は室温(22〜25℃)で0から少なくとも0.07の間のxの組成範囲で安定した固溶体を呈することができる。この材料は、例えばx≧0.8、又はx≧0.9、又はx≧0.95など、リチウムの乏しいレジームで固溶体を呈することもある。
【0036】
[1078] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、置換又は変換反応を受けることによってアルカリイオンを貯蔵する金属塩を含む。このような化合物の例は、Liと反応すると置換又は変換反応を起こして、Li
2Oと、より還元された酸化物の形態又はその金属の形態の金属成分との混合物を形成し、リチウムバッテリでは通常は不電極として使用される、CoO、Co
3O
4、NiO、CuO及びMnOなどの金属酸化物を含む。他の例は、置換又は変換反応を起こしてLiF及び還元された金属成分を形成する、CuF
2、FeF
2、FeF
3、BiF
3、CoF
2及びNiF
2などの金属フッ化物を含む。このようなフッ化物は、リチウムバッテリでは、正電極として使用することができる。他の実施形態では、カソード材料121は、一フッ化炭素又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、置換又は変換反応を起こすカソード材料121は、100ナノメートル以下の平均寸法を有する粒子の形態をしている。いくつかの実施形態では、置換又は変換反応を起こすカソード材料121は、これらに限定されるわけではないが、炭素、又は金属、又は金属硫化物のような導電性で比較的延性のある化合物などの不活性ホストと混合したカソード材料121のナノ複合物を含む。FeS
2及びFeF
3も、非水又は水性のリチウム系で安価な導電性のカソード材料121として使用することができる。いくつかの実施形態では、CF
x電極、FeS
2電極、又はMnO
2電極が、リチウムバッテリを作製するためにリチウム金属の負電極と共に使用される正カソード材料である。いくつかの実施形態では、このようなバッテリは、一次電池である。いくつかの実施形態では、このようなバッテリは、蓄電池である。
【0037】
[1079] いくつかの実施形態では、カソード材料121で働く動作イオンは、Li
+、Na
+、H
+、Mg
2+、Al
3+、又はCa
2+からなる一群から選択される。いくつかの実施形態では、動作イオンは、Li
+又はNa
+からなる一群から選択される。いくつかの実施形態では、カソード材料121は、イオン貯蔵化合物などの固体を含む。いくつかの実施形態では、このイオンは、陽子又はヒドロキシルイオンであり、カソード材料121は、ニッケルカドミウムバッテリ又はニッケル水素バッテリで使用されるそれらのイオンを含む。いくつかの実施形態では、このイオンは、リチウムであり、カソード材料121は、CuF
2、FeF
2、FeF
3、BiF
3、CoF
2、及びNiF
2などの金属フッ化物からなる一群から選択される。
【0038】
[1080] いくつかの実施形態では、このイオンは、リチウムであり、カソード材料121は、CoO、Co
3O
4、NiO、CuO、及びMnOなどの金属酸化物からなる一群から選択される。
【0039】
[1081] いくつかの実施形態では、このイオンは、リチウムであり、カソード材料121は、化学式(Li
1−xZ
x)MPO
4を有する化合物から選択される層間化合物を含む。ここで、Mは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiのうちの1つ又は複数であり、Zは、Ti、Zr、Nb、Al、又はMgのうちの1つ又は複数などの非アルカリ金属ドーパントであり、xは、0.005〜0.05の範囲である。
【0040】
[1082] いくつかの実施形態では、イオンは、リチウムであり、カソード材料121は、化学式LiMPO
4を有する化合物から選択される層間化合物を含む。ここで、Mは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiのうちの1つ又は複数であり、この化合物は、任意選択でLi、M又はOの位置でドープされる。
【0041】
[1083] いくつかの実施形態では、イオンは、リチウムであり、カソード材料121は、A
x(M’
1−aM”
a)
y(XD
4)
z、A
x(M’
1−aM”
a)
y(DXD
4)
z、及びA
x(M’
1−aM”
a)
y(X
2D
7)
zからなる一群から選択される層間化合物を含む。ここで、x+y(1−a)×(M’の1つ又は複数の形式原子価)+ya×(M”の1つ又は複数の形式原子価)は、z×(XD
4、X
2D
7又はDXD
4族の形式原子価)に等しく、Aは、アルカリ金属及び水素のうちの少なくとも1つであり、M’は、第1列遷移金属であり、Xは、リン、硫黄、ヒ素、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも1つであり、M”は、IIA族、IIIA族、IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIIIA族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族、VB族、及びVIB族金属のうちのいずれかであり、Dは、酸素、窒素、炭素又はハロゲンのうちの少なくとも1つである。
【0042】
[1084] いくつかの実施形態では、このイオンは、リチウムであり、カソード材料121は、(A
1−aM”
a)
xM’
y(XD
4)
z、(A
1−aM”
a)
xM’
y(DXD
4)
z及び(A
1−aM”
a)
xM’
y(X
2D
7)
zからなる一群から選択される層間化合物を含む。ここで、(1−a)x+(量ax)×(M”の1つ又は複数の形式原子価)+y×(M’の1つ又は複数の形式原子価)は、z×(XD
4、X
2D
7又はDXD
4族の形式原子価)に等しく、Aは、アルカリ金属及び水素のうちの少なくとも1つであり、M’は、第1列遷移金属であり、Xは、リン、硫黄、ヒ素、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも1つであり、M”は、IIA族、IIIA族、IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIIIA族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族、VB族、及びVIB族金属のうちのいずれかであり、Dは、酸素、窒素、炭素又はハロゲンのうちの少なくとも1つである。
【0043】
[1085] いくつかの実施形態では、このイオンは、リチウムであり、カソード材料121は、α−NaFeO
2及び斜方LiMnO
2構造型を有するもの、あるいは異なる結晶対称性、原子秩序又は金属もしくは酸素の部分置換を有するそれらの誘導体などの秩序岩塩化合物LiMO
2からなる一群から選択される層間化合物を含む。ここで、Mは、少なくとも1つの第1列遷移金属を含むが、これらに限定されるわけではないがAl、Ca、Mg又はZrなどの非遷移金属を含むこともある。
【0044】
[1086] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、非晶質炭素、無秩序炭素、黒鉛状炭素、あるいは金属被覆又は金属装飾された炭素などの固体を含む。
【0045】
[1087] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、例えばナノワイヤ、ナノロッド及びナノテトラポッドなどのナノ構造を含む固体を含むことができる。
【0046】
[1088] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、有機レドックス化合物などの固体を含む。
【0047】
[1089] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、α−NaFeO
2及び斜方LiMnO
2構造型を有するもの、あるいは異なる結晶対称性、原子秩序又は金属もしくは酸素の部分置換を有するそれらの誘導体などの秩序岩塩化合物LiMO
2からなる一群から選択される固体を含む。ここで、Mは、少なくとも1つの第1列遷移金属を含むが、これらに限定されるわけではないがAl、Ca、Mg又はZrなどの非遷移金属を含むこともある。
【0048】
[1090] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、A
x(M’
1−aM”
a)
y(XD
4)
z、A
x(M’
1−aM”
a)
y(DXD
4)
z、及びA
x(M’
1−aM”
a)
y(X
2D
7)
zからなる一群から選択される固体を含むことができる。ここで、x+y(1−a)×(M’の1つ又は複数の形式原子価)+ya×(M”の1つ又は複数の形式原子価)は、z×(XD
4、X
2D
7又はDXD
4族の形式原子価)に等しく、Aは、アルカリ金属及び水素のうちの少なくとも1つであり、M’は、第1列遷移金属であり、Xは、リン、硫黄、ヒ素、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも1つであり、M”は、IIA族、IIIA族、IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIIIA族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族、VB族、及びVIB族金属のうちのいずれかであり、Dは、酸素、窒素、炭素又はハロゲンのうちの少なくとも1つである。
【0049】
[1091] いくつかの実施形態では、カソード材料121は、LiMn
2O
4及びその誘導体、その構造が秩序岩塩及びスピネル秩序を有するナノスコピック領域を含む層状スピネルナノ複合体、これに限定されるわけではないがLiNi
0.5Mn
1.5O
4など、4.3Vを超える電位(vs.Li/Li+)を有するいわゆる「高電圧スピネル」、カンラン石LiMPO
4(MはMn、Fe、Co又はNiのうちの1つ又は複数を含む)及びその誘導体、LiVPO
4Fなどの部分フッ化化合物、その他の「ポリアニオン」化合物、ならびにV
2O
5及びV
6O
11などの酸化バナジウムV
xO
yからなる一群から選択される化合物を含むことができる。
【0050】
[1092] いくつかの実施形態では、カソード材料121の厚さは、以下の値の間の全ての範囲又はその他の任意の距離も全て含めて、約250μm〜約2000μmの範囲内、約300μm〜約2000μmの範囲内、約350μm〜約2000μmの範囲内、約400μm〜約2000μmの範囲内、約450μm〜約2000μmの範囲内、約500μm〜約2000μmの範囲内、約250μm〜約1500μmの範囲内、約300μm〜約1500μmの範囲内、約350μm〜約1500μmの範囲内、約400μm〜約1500μmの範囲内、約450μm〜約1500μmの範囲内、約500μm〜約1500μmの範囲内、約250μm〜約1000μmの範囲内、約300μm〜約1000μmの範囲内、約350μm〜約1000μmの範囲内、約400μm〜約1000μmの範囲内、約450μm〜約1000μmの範囲内、約500μm〜約1000μmの範囲内、約250μm〜約750μmの範囲内、約300μm〜約750μmの範囲内、約350μm〜約750μmの範囲内、約400μm〜約750μmの範囲内、約450μm〜約750μmの範囲内、約500μm〜約750μmの範囲内、約250μm〜約700μmの範囲内、約300μm〜約700μmの範囲内、約350μm〜約700μmの範囲内、約400μm〜約700μmの範囲内、約450μm〜約700μmの範囲内、約500μm〜約700μmの範囲内、約250μm〜約650μmの範囲内、約300μm〜約650μmの範囲内、約350μm〜約650μmの範囲内、約400μm〜約650μmの範囲内、約450μm〜約650μmの範囲内、約500μm〜約650μmの範囲内、約250μm〜約600μmの範囲内、約300μm〜約600μmの範囲内、約350μm〜約600μmの範囲内、約400μm〜約600μmの範囲内、約450μm〜約600μmの範囲内、約500μm〜約600μmの範囲内、約250μm〜約550μmの範囲内、約300μm〜約550μmの範囲内、約350μm〜約550μmの範囲内、約400μm〜約550μmの範囲内、約450μm〜約550μmの範囲内、又は約500μm〜約550μmの範囲内とすることができる。
【0051】
[1093] いくつかの実施形態では、アノード材料又はカソード材料のうちの少なくとも一方は、半固体、又は濃縮イオン貯蔵液体反応物質を含む。「半固体」は、その材料が、例えば半固体の粒子懸濁液、コロイド懸濁液、乳濁液、ゲル又はミセルなど、液相と固相の混合物であることを意味する。「濃縮イオン貯蔵液体」又は「濃縮液体」は、その液体が、水性フローセルのカソード液又はアノード液の場合のような単なる溶剤ではなく、その液体自体がレドックス活性を有することを意味する。このような液体形態は、希釈液又は溶剤である別の非レドックス活性液体によって希釈すること、又はそれと混合することができ、例えばこのような希釈液と混合して、イオン貯蔵液体など、より低融点の液相、乳濁液又はミセルを形成することもできる。カソード又はアノード材料は、流動性のある半固体又は濃縮液体組成物とすることができる。流動性のアノードの半固体(本明細書では「アノード液」と呼ぶ)及び/又は流動性のカソードの半固体(「カソード液」)は、電気化学的に活性な作用物質(アノード粒子及び/又はカソード粒子)及び任意選択で導電性粒子の懸濁液で構成される。カソード粒子及び導電性粒子は、電解質内で共に懸濁して、カソード液の半固体を生成する。アノード粒子及び導電性粒子は、電解質内で共に懸濁して、アノード液の半固体を生成する。これらの半固体は、印加圧力、重力、又はその他の半固体に力を及ぼす場によって、また任意選択で機械的振動の助けにより、流れることができる。半固体懸濁液を利用するバッテリアーキテクチャの例は、参照によりその開示の全体を本明細書に組み込む、「Stationary、 Fluid Redox Electrode」と題する国際特許公開WO2012/024499、及び「Semi−Solid Filled Battery and Method of Manufacture」と題する国際特許公開WO2012/088442に記載されている。
【0052】
[1094] いくつかの実施形態では、セパレータ130は、カソード120をアノード110から電気的に分離するが、放電及び充電中に2つの電極の間で孔を通してイオンを通過させることはできる、薄い微孔性膜とすることができる。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、特にポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、及びポリスチレンなどの熱可塑性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、例えばポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリイソプレン、それらの共重合体、及びそれらの組合せを含むポリオレフィン材料を含む。例示的な組合せは、これらに限定されるわけではないが、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、及びポリプロピレンのうちの2つ以上を含む混合物、ならびに上記のものとエチレンブテン共重合体及びエチレンヘキセン共重合体などの共重合体との混合物を含み得る。
【0053】
[1095] いくつかの実施形態では、バッテリ100は、実質的にパウチ140内に収容される電解質(
図1Aには図示せず)をさらに含む。電解質は、溶剤中のリチウム塩(リチウムイオンバッテリの場合)又はナトリウム塩(ナトリウムイオンバッテリの場合)などの非水電解質を含むことができる。例示的なリチウム塩は、特にLiPF
6、LiBF
4、及びLiClO
4を含み得る。例示的なナトリウム塩は、NaClO
4、NaPF
6及びビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)ナトリウム(Na-TFSI)を含む。例示的な溶剤は、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジメチル(DMC)、ジメトキシエタン(DME)、炭酸ジエチル(DEC)、テトラヒドロフラン(THF)、及びトリエチレングリコールジメチルエーテル(Triglyme)を含む。
【0054】
[1096]
図1Aに示すバッテリセル100のパウチ140は、実質的に、アノード110、カソード120、セパレータ130、及び電解質(図示せず)を収容する。パウチ140は、バッテリセル100を隣接するセルから物理的に分離して、欠陥伝搬を軽減又は解消し、バッテリ製造中のバッテリセル100の取扱いを容易にすることができる。パウチ140は、火花を生じることがあるバッテリ製造において行われ得る溶接プロセス中の可燃性電解質の点火の可能性を低下させることもできる。
【0055】
[1097] いくつかの実施形態では、アノード110、カソード120、セパレータ130及び電解質(図示せず)は、(例えば真空密封によって)パウチ140内に完全に密封される。いくつかの実施形態では、パウチ140は、部分的にしか密封されない、又は全く密封されないこともある。いくつかの実施形態では、パウチ140の周囲を密封して、アノード110、カソード120、セパレータ130及び電解質を封入することもできる。いくつかの実施形態では、パウチ140のシールは、アノード110、カソード120、セパレータ130及び電解質を実質的に封入することができる。いくつかの実施形態では、パウチ140のシールは、密封領域を有し、この密封領域は、以下の値の間の全ての幅及び幅範囲を含めて、約10μm〜約10mmの範囲、約10μm〜約9mmの範囲、約10μm〜約8mmの範囲、約10μm〜約7mmの範囲、約10μm〜約6mmの範囲、約10μm〜約5mmの範囲、約10μm〜約4mmの範囲、約10μm〜約3mmの範囲、約10μm〜約2mmの範囲、約10μm〜約1mmの範囲、約10μm〜約900μmの範囲、約10μm〜約800μmの範囲、約10μm〜約700μmの範囲、約10μm〜約600μmの範囲、約10μm〜約500μmの範囲、約10μm〜約400μmの範囲、約10μm〜約300μmの範囲、約10μm〜約200μmの範囲、約10μm〜約100μmの範囲、及び約10μm〜約50μmの範囲の幅を有する。
【0056】
[1098] いくつかの実施形態では、パウチ140の密封領域は、パウチ140の外側縁部から特定の距離のところにある。いくつかの実施形態では、密封領域と外側縁部の間の距離は、以下の値の間の全ての距離及び距離範囲を含めて、約10μm〜約20mm、約10μm〜約15mm、約10μm〜約10mm、約10μm〜約5mm、約10μm〜約4mm、約10μm〜約3mm、約10μm〜約2mm、約10μm〜約1mm、約10μm〜約900μm、約10μm〜約800μm、約10μm〜約700μm、約10μm〜約600μm、約10μm〜約500μm、約10μm〜約400μm、約10μm〜約300μm、約10μm〜約200μm、約10μm〜約100μm、及び約10μm〜約50μmとすることができる。
【0057】
[1099] いくつかの実施形態では、パウチ140の密封領域は、アノード110及びカソード120のうちの少なくとも一方の最外縁部から特定の距離のところにある。いくつかの実施形態では、密封領域とアノード110及びカソード120のうちの少なくとも一方の最外縁部との間の距離は、以下の値の間の全ての距離及び距離範囲を含めて、約1μm〜約10mm、約1μm〜約9mm、約1μm〜約8mm、約1μm〜約7mm、約1μm〜約6mm、約1μm〜約5mm、約1μm〜約4mm、約1μm〜約3mm、約1μm〜約2mm、約1μm〜約1mm、約1μm〜約900μm、約1μm〜約800μm、約1μm〜約700μm、約1μm〜約600μm、約1μm〜約500μm、約1μm〜約400μm、約1μm〜約300μm、約1μm〜約200μm、約1μm〜約100μm、及び約1μm〜約50μmとすることができる。
【0058】
[1100] いくつかの実施形態では、セパレータ130は、アノード110及びカソード120のうちの少なくとも一方より大きい。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、アノード集電体150及びカソード集電体160のうちの少なくとも一方より大きい。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、アノード材料111及びカソード材料121のうちの少なくとも一方より大きい。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、アノード110、カソード120、アノード材料111、カソード材料121、ACC150及びCCC160のうちの少なくとも1つを超えて延び、したがって、パウチ140で密封領域の内側で密封することができる。換言すれば、セパレータ130は、パウチ140の密封領域の中まで延び、アノード110とカソード120とを効果的に分離する。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、パウチ140の密封領域の中まで延び、アノード110とカソード120とを完全に分離する。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、パウチ140の密封領域の中に部分的に延び、アノード110とカソード120とを部分的に分離する。いくつかの実施形態では、セパレータ130は、パウチ140の密封領域の複数の位置まで延び、それらの位置でアノード110とカソード120とを効果的に分離する。例えば、アノード110及びカソード120のうちの少なくとも一方が外部電気接続を行うためのタブ接続を有する場合には、セパレータ130は、パウチ140のタブ接続部の周りの位置及び領域までは延びないことがある。いくつかの実施形態では、パウチ140の密封領域内に延びるセパレータ130が到達する複数の位置及び領域のうちの1つ又は複数を使用して、シングルパウチバッテリセル100に機能的目的のための1つ又は複数の構造を形成することができる。例えば、機能的目的は、過充電、ガス生成、又はある形態の電気化学的誤動作による圧力発生時の圧力解放又は圧力軽減の形態であることもある。同様に、いくつかの実施形態では、パウチ140の密封領域内でセパレータ130が到達しない複数の位置又は領域のうちの1つ又は複数を使用して、シングルパウチバッテリセル100内に機能的目的のための1つ又は複数の構造を形成することもできる。
【0059】
[1101] これらの実施形態では、パウチ140は、電解質に点火するおそれがある(例えば溶接プロセスによる)火花の発生に曝される可能性を依然として低下させる、又は解消することができる。溶接プロセスの後で、最終密封工程を実行して、1つ又は複数のシングルパウチバッテリセルを外部パウチ又はパッケージ内に密封することができ、この場合には、外部パウチ又はパッケージは、湿気制御の機能を果たすことができる。いくつかの実施形態では、パウチ140は、カソード120及び/又はアノード110に機械的に取り付けられる。いくつかの実施形態では、パウチ140は、例えばヒートシール、糊付け、又は当業者で既知のその他の任意の方法によって、カソード120の集電体及び/又はアノード110の集電体に取り付けられる。
【0060】
[1102] いくつかの実施形態では、パウチ140は、3層構造を含む、すなわち外側層と内側層によって挟まれた中間層を含み、内側層は、電極及び電解質と接触している。例えば、外側層は、ナイロン系ポリマーフィルムを含むことができる。内側層は、酸又はその他の電解質に対して耐腐食性に、かつ電解質溶剤に不溶性にすることができるポリプロピレン(PP)ポリマーフィルムを含むことができる。中間層は、アルミニウム(Al)箔を含むことができる。この構造により、パウチは、高い機械的可撓性及び強度を両方とも有することができる。
【0061】
[1103] いくつかの実施形態では、パウチ140の外側層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、高密度ポリエチレン(HDPE)、配向ポリプロピレン(o-PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリイミド(PI)、ポリスルホン(PSU)及びそれらの任意の組合せなどのポリマー材料を含む。
【0062】
[1104] いくつかの実施形態では、パウチ140の中間層は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、及びそれらの合金、又はそれらの任意の組合せから構成される金属層(箔、基板、フィルムなど)を含む。
【0063】
[1105] いくつかの実施形態では、パウチ140の内側層は、キャストポリプロピレン(c-PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、PET、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリアミド(PA)、アクリル接着剤、紫外線(UV)/電子ビーム(EB)/赤外線(IR)硬化性樹脂、及びそれらの任意の組合せなどの材料を含む。
【0064】
[1106] いくつかの実施形態では、パウチ140は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、PI、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及びそれらの任意の組合せなどの不燃性材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、パウチ140は、難燃性PETなど、難燃性添加材料のコーティング又はフィルムを含むことができる。
【0065】
[1107] いくつかの実施形態では、パウチ140は、2層構造を含む、すなわち外側層及び内側層を含む。いくつかの実施形態では、外側層は、上述のPET、PBT又はその他の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、内側層は、上述のPP、PE又はその他の材料を含むことができる。
【0066】
[1108] いくつかの実施形態では、パウチ140は、水遮断層及び/又は気体遮断層を含むことができる。いくつかの実施形態では、遮断層は、金属層及び/又は酸化物層を含むことができる。いくつかの実施形態では、酸化物層は絶縁性である傾向があり、バッテリ内の短絡を防止することができるので、酸化物層を含むと有利であることがある。
【0067】
[1109] いくつかの実施形態では、パウチ140内には1つ(又は2つ)しかユニットセルアセンブリがないことがあり、パウチ140は、実質的に、マルチスタックバッテリセルで一般に使用されるパウチより大幅に薄くすることができる。例えば、パウチ140は、200μm未満、150μm未満、100μm未満、50μm未満、45μm未満、40μm未満、35μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、18μm未満、16μm未満、14μm未満、12μm未満、10μm未満、9μm未満、8μm未満、7μm未満、6μm未満、5μm未満、4μm未満、3μm未満、2μm未満、又は1μm未満の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、パウチ140の厚さは、少なくとも2つの側面によって決まることがある。1つの側面では、得られるセルにおいて高エネルギー密度を実現することが望ましいことがあり、この場合には、より薄いパウチの方が、バッテリセル内の空間のより大きな部分を電極材料用に確保することができるので、有用である可能性がある。別の側面では、パウチ140の安全性の利点を維持する、又は向上させることが望ましいことがある。この場合には、より厚いパウチ及び/又は不燃性パウチの方が、例えば火災危険を低減するために有用である可能性がある。いくつかの実施形態では、パウチの厚さは、バッテリセルの全体積に対するパウチの材料が占める体積の比として定量化することができる。
【0068】
[1110] いくつかの実施形態では、集電体及び/又はパウチ140などの非電極材料に対する電極材料(例えばアノード材料111及び/又はカソード材料121)の比は、それらの厚さの比で定義することができる。いくつかの実施形態では、集電体に対する電極材料の比は、以下の値の間の全ての厚さの比も含めて、約12:1、約14:1、約16:1、約18:1、約20:1、約22:1、約24:1、約26:1、約28:1、約30:1、約32:1、約34:1、約36:1、約38:1、約40:1、約42:1、約44:1、約46:1、約48:1、約50:1、約52:1、約54:1、約56:1、約58:1、約60:1、約62:1、約64:1、約66:1、約68:1、約70:1、約72:1、約74:1、約76:1、約78:1、約80:1、約82:1、約84:1、約86:1、約88:1、約90:1、約92:1、約94:1、約96:1、約98:1、約100:1、約110:1、約112:1、約114:1、約116:1、約118:1、約120:1、約122:1、約124:1、約126:1、約128:1、約130:1、約132:1、約134:1、約136:1、約138:1、約140:1、約142:1、約144:1、約146:1、約148:1、約150:1、約152:1、約154:1、約156:1、約158:1、約160:1、約162:1、約164:1、約166:1、約168:1、約170:1、約172:1、約174:1、約176:1、約178:1、約180:1、約182:1、約184:1、約186:1、約188:1、約190:1、約192:1、約194:1、約196:1、約198:1、約200:1、約300:1、約400:1、約500:1、約600:1、約700:1、約800:1、約900:1、約1000:1、及び約2000:1より大きくすることができる。
【0069】
[1111] いくつかの実施形態では、集電体でパウチ140を被覆して、結合厚さを形成することができる。これらの実施形態では、電極材料と集電体及びパウチ140の結合厚さとの間の比は、以下の値の間の全ての厚さの比も含めて、約12:1、約14:1、約16:1、約18:1、約20:1、約22:1、約24:1、約26:1、約28:1、約30:1、約32:1、約34:1、約36:1、約38:1、約40:1、約42:1、約44:1、約46:1、約48:1、約50:1、約52:1、約54:1、約56:1、約58:1、約60:1、約62:1、約64:1、約66:1、約68:1、約70:1、約72:1、約74:1、約76:1、約78:1、約80:1、約82:1、約84:1、約86:1、約88:1、約90:1、約92:1、約94:1、約96:1、約98:1、約100:1、約110:1、約112:1、約114:1、約116:1、約118:1、約120:1、約122:1、約124:1、約126:1、約128:1、約130:1、約132:1、約134:1、約136:1、約138:1、約140:1、約142:1、約144:1、約146:1、約148:1、約150:1、約152:1、約154:1、約156:1、約158:1、約160:1、約162:1、約164:1、約166:1、約168:1、約170:1、約172:1、約174:1、約176:1、約178:1、約180:1、約182:1、約184:1、約186:1、約188:1、約190:1、約192:1、約194:1、約196:1、約198:1、約200:1、約300:1、約400:1、約500:1、約600:1、約700:1、約800:1、約900:1、約1000:1、及び約2000:1とすることができる。
【0070】
[1112] いくつかの実施形態では、パウチ140は、より薄いより低コストの材料の層を1つ含む。例えば、これらの材料は、ポリプロピレン、あるいは熱又は圧力(例えば熱溶融又は真空密封)を使用して共に密封することができる複数のポリオレフィンの組合せとすることができる。
【0071】
[1113] いくつかの実施形態では、パウチ140は、1つのシングルパウチバッテリセルから別のシングルパウチバッテリセルへの火災危険の伝搬を防止するように難燃性材料の層を1つ含む。いくつかの実施形態では、パウチ140は、1つのシングルパウチバッテリセルから解放されるガスの別のシングルパウチバッテリセルへの伝搬を防止し、それにより欠陥伝搬を低減させる、気密材料を含む。
【0072】
[1114] 実際には、バッテリ100は、いくつかの利点を有することができる。例えば、このシングルパウチバッテリセル手法(個別パッケージセル手法とも呼ぶ)は、半固体電極を含むバッテリの製造に統合することができるので好都合である。個別パッケージセルを使用することにより、個々のスタックの取扱い及び処理が容易になる。また、電極スタックをパッケージングするときに発生する可能性がある変形から個々のスタックを保護する方法も提供される。
【0073】
[1115] 1つスタックについて1つのパウチを使用することの別の利点としては、電極材料又は電解質の金属汚染が回避されることが挙げられる。各シングルパウチバッテリセルのパウチは、金属汚染物質(又はその他のタイプの汚染物質)が電極材料及び電解質に進入するのを防止することができる。
【0074】
[1116] いくつかの実施形態では、1つのパウチは、本明細書では「パッケージサイズ」とも呼ぶエネルギー容量を有することができる。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約0.1Ah〜約40Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約0.5Ah〜約35Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約1Ah〜約30Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約1.5Ah〜約25Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約2Ah〜約20Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約2.5Ah〜約15Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約3Ah〜約10Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約3Ah〜約8Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約3Ah〜約6Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約3Ah〜約5Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約0.1Ah〜約5Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約0.1Ah〜約4Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約0.1Ah〜約3Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約0.1Ah〜約2Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、約0.1Ah〜約1Ahのエネルギー容量を含む。いくつかの実施形態では、パッケージサイズは、以下の値の間の全てのエネルギー容量及び容量範囲を含めて、約0.1Ah、約0.2Ah、約0.3Ah、約0.4Ah、約0.5Ah、約0.6Ah、約0.7Ah、約0.8Ah、約0.9Ah、約1Ah、約1.2Ah、約1.4Ah、約1.6Ah、約1.8Ah、約2Ah、約2.2Ah、約2.4Ah、約2.6Ah、約2.8Ah、約3Ah、約3.2Ah、約3.4Ah、約3.6Ah、約3.8Ah、約4Ah、約4.2Ah、約4.4Ah、約4.6Ah、約4.8Ah、約5Ah、約5.5Ah、約6Ah、約6.5Ah、約7Ah、約7.5Ah、約8Ah、約8.5Ah、約9Ah、約9.5Ah、約10Ah、約11Ah、約12Ah、約13Ah、約14Ah、約15Ah、約16Ah、約17Ah、約18Ah、約19Ah、約20Ah、約22Ah、約24Ah、約26Ah、約28Ah、約30Ah、約32Ah、約34Ah、約36Ah、約38Ah、及び約40Ahのエネルギー容量を含む。
【0075】
[1117] さらに、単純なシングルパウチ材料を使用して1つのスタックを密封することにより、従来のバッテリ製造におけるパウチの材料及び密封方法の厳しい要件を緩和することもできる。各パウチは通常1つ又は2つのユニットセルアセンブリしか収容せず、したがって従来のマルチスタックバッテリセルと比較して少ない電極材料及び電解質しか収容しないので、パウチ材料は、多層構造ではなく1層のポリマー層にするなど、より多くの選択肢を有することができる。パウチの厚さは、さらに小さく(例えば<100μm)にすることもでき、密封方法も柔軟にすることができる(例えば圧力封止、ヒートシール、及び/又はUVシールなど)。
【0076】
[1118] いくつかの実施形態では、セパレータ130は、パウチ140と共に配置して密封できるだけの大きさにすることができる。いくつかの実施形態では、パウチ140は、積層シートを含むことができ、この積層シートは、パウチを接合してシールを形成することができるようにセパレータ130の周囲を超えて延びる周囲部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、パウチの内側層は、それぞれそれ自体に熱接着可能な材料で形成して、2枚の積層シートを接合したときに、2つの内側層がそれらの周囲で接合され、互いに熱接着されて気密シールを形成することができるようになっている。さらなる例は、参照によりその開示の全体を本明細書に組み込む、「Electrochemical Cells and Methods of Manufacturing the Same」と題する国際特許公開WO2013/173689に記載されている。
【0077】
[1119] いくつかの実施形態では、タブ(電気リード)は、パウチが密封されたときに、タブがパウチ外に露出して、バッテリセルを電気的に接続するために使用することができるだけの長さにすることができる。例えば、ACC150の第1のタブ及びCCC160の第2のタブを使用して、外部回路の負端子及び正端子のうちの少なくとも1つに接続することができる。いくつかの実施形態では、タブをパウチ内に密封することができ、その場合には、パウチに穴を開けて、ACC150及びCCC160のうちの少なくとも1つと外部接点又は電気回路との間の電気的接続を可能にすることができる。パウチの任意の位置に1つ又は複数の穴を配置することができるが、ACC150及びCCC160にそれぞれ隣接する位置が好ましい。
【0078】
[1120]
図1Bは、「バイセル」と呼ばれることがある本発明の、様々な他の実施形態によるバッテリセル101を示す概略図である。バッテリセル101では、アノード集電体151は、2つのアノード材料111aと111b(まとめて「アノード材料111」と呼ぶ)の間に挟まれる。各アノード材料111a及び111bの上に、それぞれセパレータ131a及び131b(まとめて「セパレータ131」と呼ぶ)が配置される。1対のカソード材料121a及び121b(まとめて「カソード材料121」と呼ぶ)が、それぞれセパレータ131a及び131bの上に配置される。各カソード材料121a及び121bの上に、対応するカソード集電体161a及び161b(まとめて「カソード集電体161」と呼ぶ)が配置される。アノード材料111、アノード集電体151、カソード材料121、カソード集電体161、及びセパレータ131は、
図1Aに関連して上述したものと実質的に同じものとすることができる。1つの例では、アノード集電体151及びカソード集電体161は、実質的に同じ材料を含む。別の例では、アノード集電体151は第1の金属材料(例えば銅)を含み、カソード集電体161は第2の金属材料(例えばアルミニウム)を含む。バッテリセル101は、パウチ(図示せず)に実質的に密封されて、シングルパウチバッテリセルを形成する。
【0079】
[1121]
図1Bに示すバッテリセル101は、両面アノード(アノード集電体151ならびにアノード材料111a及び111bの対を含む)と、両面アノードのそれぞれの側に配置された2つの片面カソード(第1のカソード集電体161a上に配置された第1のカソード材料121a及び第2のカソード集電体161b上に配置された第2のカソード材料121bを含む)とを含むバイセルの例示的な実施形態の断面図である。いくつかの他の実施形態では、バッテリ101は、両面カソードと、このカソードのそれぞれの側に配置された2つの片面アノードとを含むこともできる。本明細書に記載するように、バッテリセル101は、単独でパウチ内にパッケージングすることもできるし、あるいは複数の「バイセル」と共にパウチ内にパッケージングすることもできる。
【0080】
[1122]
図1Cは、
図1Bに示すバッテリセル101を示す上面図である。この上面図から、カソード集電体161aと161bが、バイセル内で位置がずれている、又は互い違いになっていることが分かる。いくつかの実施形態では、アノード集電体151及びカソード集電体161は、バッテリセル101の異なる側に位置する。いくつかの実施形態では、アノード集電体151及びカソード集電体161は、バッテリセル101の反対側に位置する。いくつかの実施形態では、アノード集電体151及びカソード集電体161は、バッテリセル101の同じ側に位置する。
【0081】
[1123]
図1Dは、バッテリセル102の別の実施形態を示す図である。この実施形態では、バッテリセル102は、2つの両面アノードを含む2つのバイセルを含む。いくつかの実施形態では、バッテリセル102は、2つの両面カソードを含む2つのバイセルを含むこともできる。この図に示すように、カソード集電体161c、161d、161e及び161f(本明細書ではまとめて「カソード集電体161x」と呼ぶ)は、バッテリセル102内で位置がずれている、又は互い違いになっていることが分かる。同様に、アノード集電体151a及び151b(本明細書ではまとめて「アノード集電体151x」と呼ぶ)も、バッテリセル102内で位置がずれている、又は互い違いになっていることが分かる。いくつかの実施形態では、アノード集電体151x及びカソード集電体161xは、バッテリセル102の異なる側に位置する。いくつかの実施形態では、アノード集電体151x及びカソード集電体161xは、バッテリセル102の反対側に位置する。いくつかの実施形態では、アノード集電体151x及びカソード集電体161xは、バッテリセル102の同じ側に位置する。
【0082】
[1124] いくつかの実施形態では、集電体の位置がずれている、又は互い違いになっていることにより、シングルパウチセル内で集電体を様々に相互接続することが可能になる。いくつかの実施形態では、例えば延長タブを使用し所望の集電体同士を接続することによって、外部電気接続用に、シングルパウチセルの密封領域内に延びるように1つの延長タブを使用することができる。これにより、シングルパウチセルの外部で電気接点を溶接することによる電極又はバッテリの汚染を防止することができる。
【0083】
[1125]
図1Eは、自己融着の概念を使用するシングルパウチバッテリセルを示す概略図である。
図1Eには、1つの電極(アノード又はカソード)だけが示してあり、バッテリセル内のセパレータ及びその他の電極は、
図1A、
図1B、
図1C又は
図1Dのいずれかに示す実施形態に従って追加することができる。バッテリセル103は、バッテリセル103を他のバッテリセル又は外部電気接点に結合するためのタブ112と、電極材料を収容する複数のスラリポケット142を含む箔122と、複数のスラリポケット142を互いに電気的に結合する複数の箔ブリッジ152と、スラリポケット142及び箔ブリッジ152で覆われていない箔の部分を満たすエポキシ部分132とを含む。
図1Fは、バッテリセル103の一部分の写真である。
【0084】
[1126]
図2は、いくつかの実施形態による、複数のシングルパウチバッテリセルを含むバッテリモジュール200を示す図である。図示のように、バッテリモジュール200は、モジュールケース260に封入された複数のシングルパウチバッテリセル201、202及び203を含む。このバッテリモジュールは、各シングルパウチバッテリセル201〜203のタブを外部タブ252に結合するタブ接続部250も含み、この外部タブ252が、その後、バッテリモジュール200を外部回路に電気的に接続する。
【0085】
[1127] いくつかの実施形態では、各シングルパウチバッテリモジュール201〜203のタブは、それぞれの集電体の一部とすることができる。例えば、シングルパウチバッテリセル201〜203の各集電体は、タブとして電極部分(すなわち電極材料と共に配置される部分)の外に延びるリード部分を有することができる。いくつかの実施形態では、各シングルパウチバッテリセル201〜203のタブは、それぞれの集電体又は電極材料に電気的に結合された追加の独立した構成要素とすることができる。例えば、各タブは、半田付け、溶接、糊付け、又は当技術分野で既知のその他の手段によって集電体に取り付けられた金属ストリップとすることもできる。
【0086】
[1128] いくつかの実施形態では、タブ接続部250と外部タブ252の間の結合は、例えば、溶接点、リベット、ねじ、又は当技術分野で既知のその他の手段によって実現することができる。なお、溶接を使用してタブ接続部250と外部タブ252とを結合するときには、金属粒子が電極材料に到達するのを阻止することができるそれぞれのパウチ内に、各シングルパウチバッテリセル201〜203を密封した後で溶接を実行することができるので、依然として電極材料の金属汚染を実質的に回避することができる。
【0087】
[1129] いくつかの実施形態では、モジュールケース260は、シングルパウチバッテリセル201〜203のスタックに力を印加してバッテリモジュール200にスタック圧力を加えることができる。いくつかの実施形態では、モジュールケース260は、ステンレス鋼などの金属材料を含む。いくつかの実施形態では、モジュールケース260は、プラスチック又はポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、モジュールケース260は、各シングルパウチバッテリセル201〜203内のパウチを構成するのと実質的に同じ材料を含む。これらの実施形態では、モジュールケース260は、欠陥伝搬、火災危険、及び金属汚染をさらに軽減することができる追加パウチと見なすことができる。
【0088】
[1130] いくつかの実施形態では、シングルパウチバッテリセル201〜203は、糊付け、接着剤の塗布、又は熱かしめによって積み重ねて接着することができる。例えば、熱の印加又は接着剤の塗布は、順番に1つずつ糊を塗布して行ってもよいし、全てのシングルパウチバッテリセルに同時に糊を塗布することによって行ってもよい。いくつかの実施形態では、積み重ねプロセスは、非接触加熱手法を含むことができる。例えば、活性化させると熱、UV又はIRなどの光、あるいは超音波もしくは音波、無線周波もしくはマイクロ波、又はそれらの任意の組合せなどの機械的又は電気的動揺が加えられたときに接着剤として作用することができる材料の層又は部分で、各シングルパウチバッテリセルを被覆することができる。
【0089】
[1131]
図2に示すバッテリモジュール200は、3つのシングルパウチバッテリセル201〜203を含む。ただし、実際には、モジュール内のシングルパウチバッテリセルの数は、所望の出力容量、厚さの要件、又はその他の仕様に応じて、3つより多くても3つより少なくてもよい。
【0090】
[1132]
図3は、いくつかの実施形態による、複数のバッテリモジュールを含むバッテリパックを示す概略図である。バッテリパック300は、第1のバッテリモジュール310、第2のバッテリモジュール320、及び第3のバッテリモジュール330を含む。複数のバッテリモジュール310〜330の各バッテリモジュールは、
図2に示すバッテリモジュール200と実質的に同じものとすることができる。複数のバッテリモジュール310〜330の各バッテリモジュールは、それぞれ外部タブ312、322、及び332を含み、これらは外部バスバー352に結合される。外部タブ312〜332と外部バスバー352の間の結合は、例えば溶接、半田付け、リベット締め、ねじ締め、又は当技術分野で既知のその他の手段によって実現することができる。
【0091】
[1133] 複数のバッテリモジュール310〜330の各バッテリモジュールのモジュラ設計により、適用時に実際の需要を満たすことができるバッテリを好都合に構築することができる。いくつかの実施形態では、複数のバッテリモジュール310〜330は、
図3に示すように直列に接続して、より高い出力電圧を得るようにすることができる。いくつかの実施形態では、複数のバッテリモジュール310〜330を並列に接続して、より高い出力電流を得るようにすることができる。いくつかの実施形態では、複数のバッテリモジュール310〜330を
図3に示すように垂直方向に積み重ねて、特定の厚さ又は形状の要件を満たすことができる。いくつかの実施形態では、複数のバッテリモジュール310〜330を水平方向に分散させて、特定の形状係数を得るようにすることができる(例えば特別仕様の厚さを有するバッテリパックのシートが望ましいときなど)。
【0092】
[1134]
図3に示すバッテリパック300は、3つのバッテリモジュール310〜330を含む。ただし、実際には、バッテリパック内のバッテリモジュールの数は、所望の出力容量、厚さの要件、又はその他の仕様に応じて、3つより多くても3つより少なくてもよい。
【0093】
シングルパウチバッテリセル及びモジュールのタブ接続
[1135]
図4A〜
図4Bは、バッテリセルを外部回路、近接するバッテリセル、又は適用分野におけるその他の電気構成要素に結合する導電性タブを含むシングルパウチバッテリを示す斜視図である。
図4Aに示すシングルパウチバッテリセル400は、アノード410、セパレータ430、及びカソード420(セパレータ430の奥にあり、
図4Bに示してある)を含み、これらは上述のように互いに積み重ねられる。パウチ440は、アノード410、カソード420、及びセパレータ430のスタックを実質的に収容する。アノード410は、タブとして集電体(図示せず)の電極部分(すなわちアノード材料で覆われる部分)の外に延びるアノードリード部分412を有する。同様に、カソードも、タブとして集電体の電極部分(すなわちカソード材料で覆われる部分)の外に延びるカソードリード部分422を有する。いくつかの実施形態では、
図4Aに示すリード部分412及び422は、金属ストリップである。いくつかの実施形態では、アノード410及びカソード420で使用される集電体は、メッシュ集電体とすることができ、対応するリード部分412及び422は、例えば金属ワイヤ、金属ワイヤの束、金属ワイヤの編組、又は金属ワイヤのアレイとすることができる。いくつかの実施形態では、金属ワイヤは、メッシュ集電体を構成するワイヤと実質的に同じものとすることができる。いくつかの実施形態では、金属ワイヤは、メッシュ集電体で使用される金属材料とは異なる導電性材料を含むことができる。
【0094】
[1136]
図4Aは、シングルパウチバッテリセルの各構成要素の相対寸法の一例も示している。
図4Aに示すように、アノード410及びカソード420は両方ともセパレータ430より小さく、アノード410とカソード420とが電気的に接触しないようになっている。パウチ440は、アノード410及びカソード420の電極部分ならびにセパレータ430より大きく、バッテリセルを密封し、かつ/又は電極材料及び電解質の漏れを回避するようになっている。2つのタブ412及び422は、パウチ440の外に延び、バッテリセル400を他のバッテリセルなどの外部要素に電気的に結合するようになっている。
【0095】
[1137]
図4Bは、上述の各要素の相対寸法をより明白に示す、シングルパウチバッテリセル400の角部の拡大図である。
図4Bでは、カソード420は、アノード410よりわずかに小さく、したがって、カソード420は、アノード410によってこの図では「隠れて」いる。いくつかの実施形態では、セパレータ430の少なくとも一部分は、パウチ440内でヒートシールされて、アノード410とカソード420の間のいかなる接触も防止している。いくつかの実施形態では、カソード420は、アノード410と実質的に同じサイズとすることができる。
【0096】
[1138] パウチ440が相対的に大きいサイズであることにより、バッテリ製造中に電極材料、特に半固体電極材料を支持する手段が得られる。すなわち、パウチ440は、アノード材料及びカソード材料を保持することができる。パウチ440は、電極スタックをパッケージングするときに発生する可能性がある、特に電極の縁部における変形を電極が起こさないようにすることもできる。
【0097】
[1139] シングルパウチバッテリセル400の各要素の例示的な寸法は、以下のようにすることができる。すなわち、アノード410及びカソード420は、202mm×150mmの寸法を有することができ、セパレータ430は、各方向に3mmだけ大きくする、すなわち205mm×153mmにすることができ、パウチ440は、各方向にアノード410及びカソード420より12mm大きい、214mm×162mmの寸法にすることができる。各電極(アノード410及びカソード420)の厚さは、例えば、150μmより大きくする、200μmより大きくする、又は300μmより大きくすることができる。シングルパウチバッテリの全体の厚さは、例えば、600μmより大きくする、800μmより大きくする、又は1mmより大きくすることができる。
【0098】
[1140]
図5は、金属ケースに封入された複数のシングルパウチバッテリセルを含むバッテリモジュールを示す上面図である。バッテリモジュール500は、複数のシングルパウチバッテリセル(
図5にはシングルパウチバッテリセルを1つだけ示す)を実質的に封入する金属ケース560を含む。各シングルパウチバッテリセルは、アノード510、セパレータ530、及びカソード(セパレータ530の奥にあり、
図5には示していない)を含み、これらは全てパウチ540内に収容され、密封されている。アノード510は、アノードタブとして電極部分の外に延びるリード部分512を有する集電体を有する。同様に、カソードも、カソードタブとして電極部分の外に延びるリード部分522を有する集電体を有する。複数のアノードタブ512及びカソードタブ522は互いに結合され、結合されたタブ521及び522は、さらに外部電気コネクタ514及び524に結合される。さらに詳細には、アノードタブ512は、バッテリモジュール500のアノードコネクタ514に結合され、カソードタブ522は、バッテリモジュール500のカソードコネクタ524に結合される。
【0099】
[1141] アノードコネクタ514は、導電性要素515を含み、導電性要素515は、一端でアノードタブ512に結合され、他端で他のバッテリ又はユーティリティなどの外部要素に結合される。導電性要素515は、金属ケース560の壁面を通して配置され、アノードコネクタカプラ516によって金属ケース560の壁面から電気的に分離され、アノードコネクタカプラ516は、また導電性要素515を実質的に保持し、導電性要素515の滑動を防止している。同様に、カソードコネクタ524は、一端でカソードタブ522に結合され、他端で外部要素に結合される導電性要素525を含む。カソードコネクタカプラ526は、導電性要素525を金属ケース560の壁面から電気的に絶縁し、導電性要素525を実質的に保持するように構成される。いくつかの実施形態では、導電性要素515又は525のうちの1つを、絶縁せずに直接金属ケース560に接続することができる。これらの実施形態では、金属ケース560は、金属ケース560に直接接続された導電性要素(すなわち515又は525)の極性と同じ極性を有することができる。
【0100】
[1142] いくつかの実施形態では、アノードコネクタカプラ516及び/又はカソードコネクタカプラ526は、1対のファスナ(例えばねじ又はボルト)及びナットとすることができ、これらのファスナ及びナットは、非導電性材料で構成される、又は非導電性材料で被覆され、互いに、また金属ケース560の壁面と機械的に結合される。いくつかの実施形態では、アノードコネクタカプラ516及び/又はカソードコネクタカプラ526は、磁力によって互いに結合される1対の磁気カプラとすることができる。いくつかの実施形態では、アノードコネクタカプラ516及び/又はカソードコネクタカプラ526は、金属ケース560の壁面に共に糊付けし、その壁面を通して配置することができる。
【0101】
[1143] いくつかの実施形態では、金属ケース560は、金属ケース560内のバッテリセルを保護するために実質的に剛性である。いくつかの実施形態では、金属ケース560は、より高い耐衝撃性になるように特定の機械的可撓性を有する。いくつかの実施形態では、金属ケース560は、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、あるいはそれらの組合せ又は合金などの材料を含む。いくつかの実施形態では、金属ケース560は、約0.2mm〜2mm、又は0.5mm〜1.5mm、又は0.8mm〜1mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、金属ケース560は、パウチ540よりわずかに大きくすることができる。1つの例では、パウチ540は、214mm×162mmの寸法を有し、金属ケース560は、232mm×165mmの寸法を有する。したがって、シングルパウチバッテリセルは、自由に動くことなく、金属ケース内で実質的に固定されるものと予想される。
【0102】
[1144] いくつかの実施形態では、バッテリモジュール500は、アノードコネクタ514及びカソードコネクタ524を介して電力を提供する独立したバッテリとして機能する。いくつかの実施形態では、バッテリモジュール500を同種又は異種の他のバッテリモジュールに結合して、特定の仕様(例えば容量、電圧、電流、サイズ、形状など)を有するバッテリパックを形成することができる。
【0103】
[1145]
図6A〜
図6Bは、金属ケース内に封入されたシングルパウチバッテリセルを含むバッテリモジュールを示す側面図である。
図6は、協働して金属ケースを形成して複数のシングルパウチバッテリセル601を収容する金属カン660及び蓋662を含むバッテリモジュール600を示す図である。このバッテリモジュールは、アノードコネクタ又はカソードコネクタのいずれかとすることができる電極コネクタ614も含む。
図6Aには電極コネクタを1つしか示していないが、他の電極コネクタが、図示のコネクタの奥にあり、したがって見えていない可能性がある。
【0104】
[1146] 実際には、複数のシングルパウチバッテリセルを金属カン660内に配置することができ、その後に、蓋662を金属カン660の上部に配置して密閉して、バッテリモジュール600を形成することができる。完成したバッテリモジュール600が、
図6Bに示してある。
【0105】
[1147] いくつかの実施形態では、蓋662及び金属カン660は、特にステンレス鋼、銅、及びアルミニウムなど、実質的に同じ材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、蓋662は、金属カン660の材料とは異なる材料を含む。例えば、金属カン660は、ステンレス鋼で構成され、蓋662は、金属カン660により容易に溶接することができるアルミニウム箔又はスズ箔を含む。いくつかの実施形態では、蓋662は、レーザ溶接、シーム溶接、クリンピングなどの機械的方法、又は当技術分野で既知のその他の任意の方法によって金属カン660に取り付けることができる。
【0106】
[1148]
図7Aは、プラスチックフレームに封入された複数のシングルパウチバッテリセルを含むバッテリモジュールを示す上面図である。バッテリモジュール700は、複数のシングルパウチバッテリセル(
図7Aにはシングルパウチバッテリセルを1つしか示していない)の周囲(側面)を実質的に収容するプラスチックフレーム760を含む。各シングルパウチバッテリセルは、アノード710、セパレータ730、及びカソード(セパレータ730の奥にあり、
図7には示していない)を含み、これらは全てパウチ740内に収容され、密封されている。アノード710は、アノードタブとして電極部分の外に延びるリード部分712を含む集電体を有する。同様に、カソードも、カソードタブとして電極部分の外に延びるリード部分722を含む集電体を有する。複数のアノードタブ712及びカソードタブ722は互いに結合され、これらの結合されたタブは、さらに外部電気コネクタに結合される。さらに詳細には、アノードタブ712は、バッテリモジュール700のアノードコネクタ714に結合され、カソードタブ722は、バッテリモジュール700のカソードコネクタ724に結合される。
【0107】
[1149] いくつかの実施形態では、アノードコネクタ714及びカソードコネクタ724は、プラスチックフレーム760が絶縁性であるので、プラスチックフレーム760の壁面と直接接触する。いくつかの実施形態では、
図5に示すカプラ516及び526などの追加のカプラを利用して、アノードコネクタ714及びカソードコネクタ724を機械的に保持することもできる。
【0108】
[1150] いくつかの実施形態では、プラスチックフレーム760は、十分な剛性を実現し、プラスチックフレーム760内のシングルパウチバッテリを保護するように、約2mm〜約10mmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、プラスチックフレーム760の厚さは、約3mm〜約7mm、又は約4mm〜約6mmとすることができる。いくつかの実施形態では、プラスチックフレーム760は、特に、ナイロン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、uPVC、ポリテン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ベークライト、エポキシ樹脂、及びメラミンなどの材料を含む。いくつかの実施形態では、プラスチックフレーム760は、外側表面上、内側上面上、又はプラスチックフレーム760内に、薄い金属板又は箔を含み、ガス又は水の浸透を防止することができる。いくつかの実施形態では、プラスチックフレーム760は、表面コーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、表面コーティングは、水及びガスの浸透を軽減することができる。
【0109】
[1151]
図7Bは、
図7Aに示すバッテリモジュール700を示す側面図である。
図7Bから分かるように、バッテリモジュール700は、プラスチックフレーム760のそれぞれの側(上部及び底部)に配置された1対の蓋762a及び762bも含み、シングルパウチバッテリセルを実質的に収容する容器全体を形成している。いくつかの実施形態では、蓋762a及び762bは、プラスチックフレーム760に熱融着することができるポリマー箔を含む。いくつかの実施形態では、蓋762a及び762bは、プラスチックフレーム760に真空密封することができるポリマー又はその他のプラスチックの箔を含む。いくつかの実施形態では、蓋762a及び762bは、プラスチックフレーム760に糊付けすることができる箔を含む。いくつかの実施形態では、蓋762a及び762bのうちの一方又は両方は、プラスチック又は金属とすることができる板を含む。いくつかの実施形態では、このプラスチック板は、外側表面又は内側表面上に配置された金属箔を含むことができる。いくつかの実施形態では、この板は、表面コーティングを有することができる。
【0110】
[1152]
図8A〜
図8Cは、金属ケースに封入された複数のシングルパウチバッテリセルを含むバッテリモジュールのタブ設計及び対応するタブ接続領域を示す図である。
図8Aは、複数のシングルパウチバッテリセル801を実質的に収容する金属ケース860(
図8Aにはケース全体の一部分のみを示す)を含むバッテリモジュール800を示す側面図であり、各シングルパウチバッテリセル801は、そのシングルパウチバッテリセルを複数のスペーサ871を介してバッテリモジュール800内の残りのバッテリセルに結合するタブ812を有する。スペーサカプラ872は、スペーサ871及びタブ812を端部片876に電気的に結合し、端部片876は、電極コネクタ814(アノードコネクタ又はカソードコネクタ)に電気的に結合される。電極コネクタ814は、金属ケース860の壁面を貫通する導電性部片815と、導電性部片815を金属ケース860の壁面から電気的に絶縁するコネクタカプラ816とをさらに含む。バッテリモジュール800は、電極コネクタ814を通してユーティリティに電力を提供することができる。いくつかの実施形態では、導電性部片815は、同軸コネクタである。いくつかの実施形態では、導電性部片815は、スナップコネクタである。いくつかの実施形態では、導電性部片815は、ピンコネクタ、又は当技術分野で既知のその他の任意の電気コネクタである。
【0111】
[1153]
図8Bは、
図8Aに示すスペーサ871のうちの1つを示す側面図である。スペーサ871は、ブリッジ部分874及び端部部分875を含む。各スペーサ871のブリッジ部分874は、シングルパウチバッテリセル801のタブ812に押圧される。したがって、これら複数のタブを、複数のスペーサに電気的に結合することができ、またそれらのスペーサは、それらのタブを適所に機械的に保持している。端部部分875は、スペーサカプラ872を受けることができる穴を有する。いくつかの実施形態では、スペーサカプラ872は、リベット、ねじ、ボルト、又はその他の任意の導電性部片である。
【0112】
[1154]
図8Cは、タブの設計を説明するための、タブ812及び電極コネクタ814の近傍のバッテリモジュール800のコネクタ部分870を示す図である。スペーサカプラ872(例えばリベット)が固定されると、各タブ812は、スペーサ871のブリッジ部分874と物理的かつ電気的に接触することができる。ブリッジ部分874は、さらに端部部分875に電気的に結合され、端部部分875は、スペーサカプラ872を介して端部部片876に電気的に結合される。電極コネクタ814は、端部部片876に接続し、外部ユーティリティに電力を提供する、又は外部電源から電力を受け取る(例えばバッテリを充電する)。いくつかの実施形態では、スペーサ871のブリッジ部分874及び端部部分875を両方とも導電性にして、シングルパウチバッテリセル801から電極コネクタ814までの導電性経路を形成することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジ部分874の一部分のみ(例えばタブ812と接触する部分)が導電性である。
【0113】
[1155] いくつかの実施形態では、スペーサ871は、金属材料(例えばステンレス鋼、銅、アルミニウム、銀など)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサ871は、バッテリモジュール800の重量又はコストを低下させるように、導電性材料(例えば金属、炭素、導電性金属酸化物など)で被覆した非導電性基材(例えばプラスチック)を含む。いくつかの実施形態では、いくつかのタブ812を共にスペーサ871ではなく延長タブに接続することができ、この場合には、いくつかの延長タブが、端部部分876に接続される。いくつかの実施形態では、全てのタブをまとめて、一度に端部部片876に接続する。
【0114】
[1156] いくつかの実施形態では、金属ケース860及び/又はバッテリモジュール800は、バッテリの安全性を助長するシリコン油又は任意の液体を含むことができる。このような液体やシリコン油などは、金属ケース860内の圧力(例えばスタック圧力)を維持する助けとなり得る。いくつかの実施形態では、このような液体を使用することにより、金属ケース860及び/又はバッテリモジュール800内への水の浸透を防止する助けにもなり得る。
【0115】
シングルパウチバッテリセル及びモジュールを製造する方法
[1157]
図9は、いくつかの実施形態による、シングルパウチバッテリセル及びモジュールを製造する方法を示す流れ図である。この方法900は、工程910の電極スラリ準備から始まり、この工程では、アノードスラリ及びカソードスラリを別個に準備することができる。
【0116】
[1158] いくつかの実施形態では、電極スラリは、電気化学的に活性イオン貯蔵化合物、導電性添加物、及びポリマー結合材の混合物を含む。
【0117】
[1159] いくつかの実施形態では、アノードスラリ及びカソードスラリのうちの少なくとも一方は、非水液体電解質中の活性材料及び導電性材料の懸濁液を含む半固体電極材料を含む。半固体電極材料の例は、参照によりその開示の全体を本名史書に組み込む、「Semi−solid Electrode Cell Having A Porous Current Collector and Methods of Manufacture」と題する米国特許公開第US2013/0065122A1に記載されている。
【0118】
[1160] 次いで、工程920で、準備した電極スラリを、集電体(例えば箔、メッシュ、多孔性導電性発泡体)上に配置して(例えば塗布又は被覆して)、電極を形成する。電極スラリで被覆された集電体を高圧で圧縮する追加の圧縮工程を実行して、密度を高め、厚さを制御することができる。
【0119】
[1161] いくつかの実施形態では、スラリ準備工程910及び電極形成工程920を結合して、スラリ電極の混合及び形成と呼ばれる1つのステップにすることもでき、この工程は、一般に、(i)原材料の搬送及び/又は供給、(ii)混合、(iii)混合スラリの搬送、(iv)調合及び/又は押出し、ならびに(v)形成を含む。いくつかの実施形態では、このプロセス中の複数の工程を、同時に、かつ/又は同じ機器を使用して、実行することもできる。例えば、スラリの混合及び搬送を、押出機を用いて同時に実行することもできる。このプロセス中の各工程は、1つ又は複数の可能な実施形態を含み得る。例えば、このプロセスの各工程は、手作業で実行してもよいし、あるいは様々なプロセス機器によって実行してもよい。各工程は、1つ又は複数のサブプロセスを含む可能性があり、任意選択で、プロセスの品質を監視する検査工程を含むこともできる。
【0120】
[1162] 原材料の搬送及び/又は供給は、自然供給による材料のバッチ式手計量(例えばミキサが外力なしで材料を受けて混合物にすることができるようにする)、ピストン機構又はねじ式「サイドスタッファ」による強制供給による材料のバッチ式手計量、自然供給による(例えばミキサが自然に材料を受け取ることができる速度で供給する)重量分析スクリューソリッドフィーダ、強制供給による重量分析スクリューソリッドフィーダ(例えばBrabender社製の装置をピストン機構又はねじ式「サイドスタッファ」と組み合わせたもの)、ならびに/又はその他の任意の適当な搬送及び/もしくは供給方法、ならびに/あるいはそれらの任意の適当な組合せを含み得る。
【0121】
[1163] いくつかの実施形態では、スラリは、Banburry(登録商標)型バッチミキサ、2軸スクリュー押出機の混合部、遠心遊星型ミキサ、及び/又は遊星型ミキサを使用して混合することができる。いくつかの実施形態では、スラリは、混合後にサンプリング及び/又は監視して、均質性、レオロジー、導電率、粘度、及び/又は密度を測定及び/又は評価することができる。
【0122】
[1164] いくつかの実施形態では、例えば混合後に、例えばピストンポンプ、蠕動ポンプ、ギア/ローブポンプ、1軸ねじポンプ、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機の混合部、及び又はその他の任意の適当な搬送デバイスを使用して、スラリを搬送及び/又は加圧することができる。いくつかの実施形態では、搬送デバイスのトルク及び/又は出力、搬送デバイスの出口における圧力、流量、ならびに/あるいは温度は、搬送及び/又は加圧中に測定、監視、及び/又は制御することができる。
【0123】
[1165] いくつかの実施形態では、例えば搬送及び/又は加圧後に、スラリを調合及び/又は押し出すことができる。スラリは、例えば「ハンガーダイ」シート押出ダイ、「ウィンターマニフォルド」シート押出ダイ、プロフィルスタイルシート押出ダイ、材料の連続流を基板に塗布するように動作可能な任意のノズル、正しいサイズ及び形状の型への注入(例えばポケットへの材料の充填)、及び/又はその他の任意の適当な調合デバイスを使用して、調合及び/又は押し出すことができる。
【0124】
[1166] いくつかの実施形態では、調合後に、スラリを最終的な電極に形成することができる。例えば、スラリは、カレンダーロール形成する、打抜き加工及び/又はプレス加工する、振動セトリングを施す、かつ/又は個別部分に切断することができる。さらに、いくつかの実施形態では、材料の不要部分を除去し(例えばマスキング及び洗浄)、任意選択でスラリ製造プロセスにリサイクルすることができる。
【0125】
[1167] 電極(アノード及びカソード)を形成した後で、工程930で、ユニットセルを組み立てることができる。いくつかの実施形態では、各ユニットセルアセンブリは、例えば
図1Aに示して上述したように、アノード、カソード、及びアノードとカソードの間に配置されてそれらを電気的に絶縁するセパレータを含むことができる。いくつかの実施形態では、各ユニットセルアセンブリは、
図1Bに示して上述したように、両面アノードと、2つの片面カソードと、2つのセパレータとを含むことができる。
【0126】
[1168] 工程940で、各組み立てたユニットセルを、パウチ内に密封する。いくつかの実施形態では、パウチは、3層構造を含む、例えば、ナイロン系ポリマーフィルムを含む外側層と、ポリプロピレン(PP)ポリマーフィルムを含む内側層と、アルミニウム(Al)箔を含む中間層とを含む。このタイプのパウチは、例えば、MTI社製のMSK−140コンパクトヒートシーラーを使用したヒートシールによって密封することができる。シール温度は、例えば、50°〜200°とすることができ、シール圧力は、例えば、0〜0.7MPaとすることができる。いくつかの実施形態では、パウチは、より薄いより低コストの材料の層を1つ含むことができる。例えば、これらの材料は、ポリプロピレン、樹脂、あるいは熱又は圧力を使用して互いに密封することができる複数のポリオレフィンの組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、個々のパウチをそれぞれ密封する前に、ユニットセルに対して事前充電工程を実行することができる。事前充電工程は、パウチ密封前にガスを生成することができるので、従来バッテリ形成後に実行されていたガス抜きプロセスの必要をなくすことができる。
【0127】
[1169] いくつかの実施形態では、電極スラリは、半固体電極材料であり、準備した電極及びその後のユニットセルアセンブリは、電極材料中に既に電解質を含んでおり、この場合には、パウチは、ユニットセルアセンブリを準備した直後に密封することができる。いくつかの実施形態では、密封前に別の電解質(すなわち液体電解質)がパウチに導入される。
【0128】
[1170] パウチの密封後に、工程950で、各ユニットセルアセンブリについてタブを準備して、バッテリモジュール、バッテリパック、又はその他の応用物の構築を容易にする。いくつかの実施形態では、タブは、集電体の一部とすることができる。例えば、集電体は、電極部分(例えば
図4Aに示す412及び422)の外に延びるリード部分を有することができる。いくつかの実施形態では、タブは、電極に電気的に結合された別個の要素(例えば金属ストリップ又はワイヤ)とすることができる。この結合は、集電体との結合であっても、電極材料(すなわち電極スラリ)との結合であってもよく、溶接、糊付け、ステープル、又は当技術分野で既知のその他の手段によって実現することができる。
【0129】
[1171] 各ユニットセルアセンブリの準備に続いて、工程960で、複数のユニットセルアセンブリを互いに結合して、基本バッテリモジュールを形成する。この工程では、複数のユニットセルアセンブリは、実際の適用分野に応じて、垂直方向に互いに積み重ねてもよいし、水平方向に配列してもよいし、あるいはその両方であってもよい。また、この工程では、通常は、全てのカソードタブをまとめて結合して、カソードコネクタにさらに結合することができる1つの接続点にする。同様に、通常は、全てのアノードタブをまとめて結合して、アノードコネクタにさらに結合することができる1つの接続点にする。いくつかの実施形態では、これらのタブ(アノードタブ又はカソードタブあるいはその両方)は、溶接、半田付け、又は糊付けによって結合される。いくつかの実施形態では、これらのタブは、(例えば
図8A〜
図8Cに示すように)スペーサ及びリベットを使用することによって結合される。いくつかの実施形態では、これらのタブは、ねじによって結合される。
【0130】
[1172] 工程970で、基本バッテリモジュールを、ケース内に封入する。いくつかの実施形態では、(例えば
図5に示すように)このケースは金属である。これらの実施形態では、基本バッテリモジュールは、最初に金属カン内に配置し、その後に各シングルパウチバッテリセルのタブをアノードコネクタ及びカソードコネクタに結合することができる。次いで、金属蓋を金属カンの上に配置して、基本バッテリモジュールの完成した筐体を形成することができる。金属蓋は、例えば溶接、半田付け、又は機械的手段によって金属カンに結合することができる。いくつかの実施形態では、ケースは、(例えば
図7A〜
図7Bに示すように)側面のプラスチックフレームと、上部及び底部の2枚の箔と含む。これらの実施形態では、最初にタブをアノードコネクタ及びカソードコネクタに接続することによって基本モジュールをプラスチックフレームに結合することができ、その後に、2枚の箔を、例えば熱融着又は圧力封止によってプラスチックフレームに結合することができる。
【0131】
[1173] 次いで、工程980で、封入されたバッテリモジュールに形成プロセスを施し、初期充電動作を実行して、電極/電解質界面を不動態化して副反応を防止することができる、安定した固体電解質界面(SEI)を作成することができる。さらに、通常はバッテリの数サイクルの充電及び放電も実行して、バッテリの容量が所要の仕様を満たすことを保証する。
【0132】
[1174]
図10A及び
図10Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による複数のアノードを含むアノードアセンブリレイアウトを示す上面図及び側面図である。
図10Aは、アノード1001a、1001b、1001c及び1001dがその上に配置される、得られるバッテリセルを収容するパウチを構成することができるパウチフィルム1040(例えばPE/PPフィルム)を含むアノードアセンブリ1000を示している。例えば、第1のアノード1001aは、パウチフィルム1040上に配置されたアノード集電体1020a上にさらに配置されたアノード材料1010aを含む。第1のアノード1001aは、第1のアノード1001aが外部回路に結合するように、アノード集電体1020aに電気的に結合されるアノードタブ1022aをさらに含む。同様に、第2のアノード1001bは、タブ1022bと、アノード集電体1020b上に配置されたアノード材料1010bとを含む。各アノード(1001a〜1001d)は、アノードアセンブリ1000内の別のアノードから(例えば物理的分離によって)電気的に絶縁されている。
【0133】
[1175] タブ(1022a、1022bなど)は、それぞれの集電体に対する位置が交互になるように配置される。より詳細には、1つのタブ(例えば1022a)が関連する集電体(1020a)の右側に配置される場合には、それに隣接するタブ(例えば1022b)は、関連する集電体(1020b)の左側に配置される。また、その逆もある。このようにタブを交互に構成することにより、シングルパウチセルの製造における後続の工程で、ユニットセルを好都合に組み立てることが可能になる。
【0134】
[1176]
図10Aに示すアノードアセンブリ1000は、4つのアノード1001a〜1001dを含むが、これは例示のみを目的としたものである。実際には、パウチフィルム1040上に配置されるアノードの数は、4つより多くても少なくてもよい。
【0135】
[1177]
図10Bは、上から下に向かって、アノード材料1010、アノード集電体1020、及びパウチフィルム1040を含むアノードアセンブリ1000を示す断面図(
図10Aに示す10B−10Bに沿ってとった断面図)である。
図10A〜
図10Bから分かるように、アノード材料1010は、アノード集電体1020と比較してサイズが小さく、アノード集電体1020は、パウチフィルム1040と比較してさらにサイズが小さい。このピラミッド構造により、実際に、製造中にアノードを好都合に取り扱うことが可能になる。さらに詳細には、パウチフィルム1040が相対的に大きなサイズであることにより、バッテリ製造中に電極材料、特に半固体電極材料を支持する手段を得ることができる。すなわち、パウチフィルムが電極材料を保持することができる。パウチフィルム1040は、電極スタックのパッケージング時に起こる可能性がある、特に電極の縁部における変形を起こさないように電極を保護することもできる。さらに、パウチフィルム1040は、パウチフィルム1040が画定する空間内に電極材料を収容することによって、バッテリ製造時に起こり得る電極材料の漏出及び他の構成要素の汚染を防止することもできる。
【0136】
[1178]
図10A〜
図10Bに示すアノードアセンブリ1000を準備する方法は、パウチフィルムから開始することができる。次いで、上述のようにタブが交互に構成されるようにして、複数のアノード集電体をパウチフィルム上に(例えば接着剤を用いて)積層することができる。複数のアノード集電体は、後のユニットバッテリセルの組立てが容易になるように、周期構造で配列することができる。いくつかの実施形態では、(例えば
図10Aに示すように)アノード集電体を、1次元アレイで配置する。いくつかの実施形態では、アノード集電体は、2次元アレイで配置することができる。パウチフィルムとアノード集電体とを互いに接着した後で、アノード材料を各アノード集電体上に配置して、アノードアセンブリ1000を形成することができる。
【0137】
[1179] いくつかの実施形態では、複数のアノード集電体は、これらに限定されるわけではないが、化学蒸着(CVD)(イニシエートCVD、ホットワイヤCVD、プラズマ強化CVD、及びその他の形態のCVDなど)、物理蒸着、スパッタ堆積、マグネトロンスパッタリング、無線周波スパッタリング、原子層堆積、パルスレーザ堆積、メッキ、電気メッキ、浸漬被覆、ブラッシング、スプレー被覆、ゾルゲル法(浸漬被覆、ブラッシング又はスプレー被覆による)、静電スプレー被覆、3D印刷、スピンコーティング、電着、粉体被覆、焼結、自己集合法、及びそれらの技術の任意の組合せなどの被覆又は堆積技術のうちのいずれかによってパウチ上に堆積させられることができる。
【0138】
[1180] いくつかの実施形態では、堆積させたアノード集電体の性質は、堆積中に堆積パラメータを変化させることによって最適化することができる。例えばコーティングのテクスチャ、コーティングの厚さ、厚さの均一性、ならびに表面粗さ、多孔性、また破壊靱性、延性、及び引張り強さなどといった一般的機械的性質などを含む表面モフォロジなどの物理的特性は、堆積パラメータの微調整によって最適化することができる。同様に、例えば電解質及び塩に対する耐薬品性及び耐腐食性、ならびに比反応性、接着性及び親和性などのその他の化学的性質などの化学的性質は、堆積パラメータを変化させることによって最適化して、機能性集電体を作製することができる。いくつかの実施形態では、堆積又は被覆によって形成される集電体の様々な物理的及び化学的性質は、堆積後に、アニーリング又は急熱(フラッシュ)アニーリング、あるいは電気化学研磨などの後続の表面処理又は温度処理によって、またこれらの技術の任意の組合せを使用して、さらに改善又は修正することができる。
【0139】
[1181]
図11Aは、いくつかの実施形態による複数のアノードを含むカソードアセンブリレイアウトを示す上面図であり、
図11Bは、そのカソードアセンブリレイアウトの(
図11Aの11B−11Bに沿ってとった)断面図である。カソードアセンブリ1100は、パウチフィルム1140上に配置された複数のカソード1101a、1101b、1101c及び1101dを含む。各カソード(1101a〜1101d)は、パウチフィルム1140上に積層されたカソード集電体1120a上に配置されたカソード材料1110a(第1のカソードを例にとった場合)を含む。各カソードは、電気結合のためのタブ1122aをさらに含む。
図11Bは、上から下に向かって、カソード材料1110、カソード集電体1120、及びパウチフィルム1140を含むカソードアセンブリ1100を示す断面図である。
【0140】
[1182] カソードアセンブリ1100を準備する方法は、上述のアノードアセンブリ1000を準備する方法と実質的に同じにすることができる。この方法は、複数のカソード集電体をアレイ状にパウチフィルム上に積層することから開始することができる。次いで、各カソード集電体上にカソード材料を配置して、カソードアセンブリを形成することができる。
【0141】
[1183] いくつかの実施形態では、
図10A〜
図10Bに示すアノードアセンブリ1000と
図11A〜
図11Bに示すカソードアセンブリとを、同じパウチフィルム(1040又は1140)上に準備することができる。いくつかの実施形態では、アノードアセンブリ1000とカソードアセンブリ1100とを、別個のパウチフィルム上に準備することができる。
【0142】
[1184] 同様に、複数のカソード集電体は、
図10A〜
図10Bに関連して上述したいくつかの堆積又は被覆技術によってパウチフィルム上に堆積させることもできる。また、堆積させたカソード集電体の性質は、上述の最適化技術によって最適化することができる。
【0143】
[1185]
図12は、アノードアセンブリ1201及びカソードアセンブリ1202を両方とも含み、それらが共通のパウチフィルム1240上に配置されている電極アセンブリレイアウト1200を示す上面図である。アノードアセンブリ1201及びカソードアセンブリ1202は、
図10Aのアノードアセンブリ1000及び
図10Bのカソードアセンブリ1100とそれぞれ実質的に同様のものとすることができるので、ここではそれらについて詳細には説明しない。アノードアセンブリ1201とカソードアセンブリ1202とは、電極アセンブリ1200が中央の破線10に沿って折り畳まれたときにアノードアセンブリ1201の各アノードがカソードアセンブリ1202の対応するカソードに重なるように位置合わせされる。さらに、アノードアセンブリのタブ1221及びカソードアセンブリのタブ1222は、相補的に配列される。さらに詳細には、破線10に沿って折り畳まれたときに、各アノードタブ1221は、それぞれの集電体の一方の側にあり、各カソードタブ1222は、各集電体の反対側にある。換言すれば、電極アセンブリ1200を破線10に沿って折り畳んだときに、アノードタブ1221はカソードタブ1222と接触しない。
【0144】
[1186] いくつかの実施形態では、パウチフィルムは、熱の印加、又はその他の任意の適当な折り畳み状態の喪失を防止する方法によって長期間折り畳んだ状態に保つことができる。いくつかの実施形態では、熱の印加、又は折り畳み状態を長持ちさせるその他の任意の適当な方法は、集電体をパウチフィルムに積層する前に実行することができる。いくつかの実施形態では、熱の印加、又は折り畳み状態を長持ちさせるその他の任意の適当な方法は、集電体をパウチフィルムに積層した後で実行することができる。同様に、いくつかの実施形態では、熱の印加、又は折り畳み状態を長持ちさせるその他の任意の適当な方法は、集電体をパウチフィルムに堆積させる、又は集電体でパウチフィルムを被覆する前に実行することができる。いくつかの実施形態では、熱の印加、又は折り畳み状態を長持ちさせるその他の任意の適当な方法は、集電体をパウチフィルムに堆積させる、又は集電体でパウチフィルムを被覆した後で実行することができる。電極アセンブリ1200は、
図10A〜
図10B及び
図11A〜
図11Bに関連して説明したのと同様の方法で準備することができる。ただし、上記の方法の工程(例えば集電体の積層、電極材料の堆積など)は、様々な順序で配列して、電極アセンブリ1200を準備することができる。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ1200を準備する方法は、パウチフィルムから開始され、その後にアノード集電体及びカソード集電体を別個に積層する。その後、各アノード集電体上にアノード材料を配置し、各カソード集電体上にカソード材料を配置すればよい。
【0145】
[1187] いくつかの実施形態では、電極アセンブリ1200を準備する方法は、アノード集電体をパウチフィルム上に積層することから開始され、その後に各アノード集電体上にアノード材料を配置する。その後、この方法は、カソード集電体の積層と、各カソード集電体上へのカソード材料の配置とに進む。
【0146】
[1188] いくつかの実施形態では、アノード集電体及び/又はカソード集電体は、本明細書に記載するいくつかの堆積又は被覆技術によって、順番にパウチフィルム上に堆積させることができる。堆積させたアノード集電体及び/又はカソード集電体の性質も、前述の最適化技術又は手法によって上述したように最適化することができる。
【0147】
[1189] いくつかの実施形態では、集電体は、交互にパウチフィルム上に積層することができる。さらに詳細には、一方のタイプ(アノード又はカソード)の集電体をパウチフィルム上に積層するたびに、他方のタイプ(カソード又はアノード)の集電体を、反対のタイプの集電体と位置合わせして積層する。ここで述べたこれらの実施形態は、例示のみを目的としたものである。当業者なら、様々な他の順序を実施して、電極アセンブリ1200を準備することができることを理解するであろう。
【0148】
[1190] セパレータは、電極アセンブリ1200の準備中又は準備後に、電極アセンブリの各電極(アノード又はカソード)上に配置することができる。いくつかの実施形態では、セパレータは、各アノード材料上に配置される。いくつかの実施形態では、セパレータは、各カソード材料上に配置される。いくつかの実施形態では、セパレータは、電極アセンブリ1200を準備した後で、電極材料上に配置される。いくつかの実施形態では、セパレータは、電極アセンブリの準備中に、電極材料上に配置される。例えば、セパレータは、アノードアセンブリ1201を準備した後、カソードアセンブリ1202を準備する前に、アノード材料上に配置することができる。当業者なら、様々な他の工程順序を実施して、セパレータを電極材料上に配置することができることを理解するであろう。
【0149】
[1191] セパレータ(又は1枚の大きなセパレータのシート)を電極アセンブリ1200(アノードアセンブリ1201、又はカソードアセンブリ1202)上に配置した後で、電極アセンブリ1200を中央の線10に沿って折り畳んで、
図13A〜
図13Bに示すようにユニットセルアセンブリ1300を形成する。ユニットセルアセンブリ1300は、複数のユニットセル1301a、1301b、1301c及び1301dを含む。パウチフィルム1340は、外部構成要素との電気的結合を可能にするためにパウチフィルム1340から突出するタブ1321及び1322を除いて、この複数のユニットセル1301a〜1301dを実質的に収容する。
図13Aには、4つのユニットセルが示してあるが、これは例示のみを目的としたものである。実際には、ユニットセルアセンブリ内のユニットセルの数は、製造の指定に応じて、4つより多くても少なくてもよい。
【0150】
[1192] ユニットセルアセンブリの各ユニットセル(第1のユニットセル1301aを例にとる)は、ユニットセルの片側にカソードタブ1321を含み、ユニットセルの反対側にアノードタブ1322を含む。ユニットセルアセンブリ1300内の隣接するユニットセルは、タブ1321及び1322の構成が反対になっている。第1のユニットセル1301a及び第2のユニットセル1301bを例にとる。第1のユニットセル1301aでは、カソードタブ1321が、ユニットセルの左側にあり、アノードタブ1322が、右側にある。一方、第2のユニットセル1301bでは、カソードタブ1321がユニットセルの右側にあり、アノードタブ1322が、左側にある。このタブの交互構成により、以下で詳細に述べるように、後続の工程において好都合にセルを組み立て、バッテリを製造することが可能になる。
【0151】
[1193]
図13Bは、上から下に向かって第1のパウチフィルム1340a、カソード集電体1310、カソード材料1320、セパレータ1330、アノード材料1330、アノード集電体1350、及び第2のパウチフィルム1340bを含むユニットセルアセンブリ1300を示す断面図(
図13Aの13B−13Bに沿ってとったもの)である。いくつかの実施形態では、第1のパウチフィルム1340aと第2のパウチフィルム1340bとは、例えば
図12に示すように、同じフィルムの異なる部分とすることができる。いくつかの実施形態では、第1のパウチフィルム1340aと第2のパウチフィルム1340bとを異なるパウチフィルムとすることもでき、アノードアセンブリ及びカソードアセンブリはそれらの上にそれぞれ配置される。
【0152】
[1194]
図13A〜
図13Bに示すユニットセルアセンブリ1300に対して密封工程を実行して、それぞれパウチに収容された個々のユニットセル、すなわちシングルパウチユニットセルを形成することができる。
図14は、ユニットセルアセンブリ1300と実質的に同様のものとすることができるユニットセルアセンブリ1400の密封方式を示す図である。ユニットセルアセンブリ1400は、パウチフィルム1440に実質的に収容される、複数のユニットセル1401a〜1401dを含む。破線20は、例えば真空密封又はヒートシールとすることができる密封の位置を示している。
【0153】
[1195] いくつかの実施形態では、密封工程は、最初に2本の水平方向の線(1本はユニットセルアセンブリ1400の上部に、もう1本は底部にある)に沿って実行し、その後に、各垂直方向の線に沿って行うことができる。いくつかの実施形態は、上記の順序を逆にする、すなわち垂直方向の密封を先に行い、その後に水平方向の密封を行うこともできる。いくつかの実施形態では、垂直方向の密封及び水平方向の密封の両方を、所定の密封線20に沿って同時に実行することもできる。
【0154】
[1196]
図15A〜
図15Bは、いくつかの実施形態による、各ユニットセルをパウチ内に密封した後でユニットセルを積み重ねる手続きを示す図である。
図15Aは、
図14に示す密封されたユニットセルアセンブリ1400と実質的に同様のユニットセルアセンブリ1500である。ユニットセルアセンブリ1500は、複数のユニットセル1501a〜1501dを含む。密封は、破線20に沿って行われる。垂直方向の一点鎖線30は、ユニットセルスタックを形成するためにユニットセルアセンブリ1500をそれに沿って折り畳む線の位置を示している。折り畳んだ後、アノードタブは、得られたスタックの一方の縁部にあり、カソードタブは、得られたスタックの他方の縁部にあって、アノードタブがカソードタブから電気的に絶縁されるようになっている。
【0155】
[1197] いくつかの実施形態では、複数のユニットセル1501a〜1501dは、丸めるように折り畳む。例えば、ユニットセル1501dは、半時計回り方向にユニットセル1501cの上に折り畳むことができ、次いで、その結果得られる1501c及び1501dのスタックも、半時計回り方向にユニットセル1501bの上に折り畳むことができる。この丸めプロセスを、アセンブリ中の最後のユニットセル(又は丸め始めたユニットセルによっては最初のユニットセル)まで続けることができる。
【0156】
[1198] いくつかの実施形態では、
図15Bに示すように、複数のユニットセル1501a〜1501dは、ジグザグに折り畳まれる。例えば、ユニットセル1501aと1501bとを半時計回り方向に折り畳むことができる。しかし、ユニットセル1501cと1501dとは、時計回り方向に折り畳むことができる。1501a及び1501bのスタックは、半時計回り方向又は時計回り方向のいずれかに、1501c及び1501dのスタックとともに折り畳むことができる。換言すれば、折り畳み方向は、ユニットセルアセンブリ1500内のユニットセルごとに異なっていてよい。
【0157】
[1199] いくつかの実施形態では、複数のユニットセル1501a〜1501dの折り畳みを、同時に実行することができる。例えば、ユニットセルアセンブリの左側及び右側の両方から力を印加して、ユニットセルを押して、窓エアコンのサイドパネルと同様に、互いに積み重ねることもできる。
【0158】
[1200] いくつかの実施形態では、複数のユニットセル1501a〜1501dの折り畳み状態は、熱の印加、又はその他の任意の適当な折り畳み状態の喪失を防止する方法によって長期間保つことができる。いくつかの実施形態では、熱の印加、又は折り畳み状態を長持ちさせるその他の任意の適当な方法は、半時計回りの折り畳み方向に折り畳んだ後、時計回りの折り畳み方向に折り畳んだ後、ジグザグの折り畳み方向に折り畳んだ後、又はこれらの折り畳み方向の任意の組合せで、実行することができる。いくつかの実施形態では、複数のユニットセル1501a〜1501dの折り畳み状態は、複数のセルを折り畳む前に、熱の印加、又はその他の任意の適当な方法によって長期間保つことができる。いくつかの実施形態では、複数のユニットセル1501a〜1501dの折り畳み状態は、複数のセルのそれぞれを折り畳むたびに、熱の印加、又はその他の任意の適当な方法によって長期間保つことができる。いくつかの実施形態では、複数のユニットセル1501a〜1501dの折り畳み状態は、複数のセルを全て折り畳んだ後で、熱の印加、又はその他の任意の適当な方法によって長期間保つことができる。
【0159】
[1201]
図16Aは、
図15A〜
図15Bに示す方法で準備したユニットセルスタックを示す上面図であり、
図16Bは、そのユニットセルスタックの断面図(
図16Aに示す線16B−16Bに沿ってとったもの)である。ユニットセルスタック1600は、複数のユニットセル1601a〜1601d(まとめてユニットセル1601と呼ぶ)を含む。各ユニットセルは、パウチ1640内に密封されている。カソードタブ1621は、ユニットセルスタック1600の左側縁部に位置合わせされ、アノードタブ1622は、ユニットセルスタック1600の右側縁部に位置合わせされる。カソードタブ1621及びアノードタブ1622は、両方ともパウチ1640から突出して、他のセルスタック、ユーティリティ、又はコネクタなど、システム中の他の構成要素との電気的結合を可能にしている。
【0160】
[1202]
図17A〜
図17Bは、いくつかの実施形態による、シングルパウチバッテリセルの製造中にガス抜きを実行する例示的な方法を示す、ガス生成及び再密封に対応する追加部分を備えたパウチセルを示す図である。
図17Aは、密封線20に沿ってそれぞれのパウチに密封されるユニットセル1701a、1701b、1701c、及び1701dを含むユニットセルアセンブリ1700を示す上面図である。各ユニットセル1701a〜1701dは、本明細書ではガス抜き部分1761a〜1761dとも呼ぶ、セルの形成中に生成されるガスを収容する部分をさらに含む。ガス抜き部分1761a〜1761dは、ユニットセルの電極部分から延び、空のパウチ空間を含む。ガス抜き工程中に生成されるガスは、これらのガス抜き部分1761a〜1761dに収容することができる。ガス抜き工程が完了した後で、ガス抜き部分1761a〜1761dを、
図17Bに示す白い点線に沿って切開して収容したガスを解放し、ユニットセルアセンブリ1700から除去することができる。次いで、ガス抜き済みのユニットセルアセンブリ1700を、新たな密封線25に沿って再密封して、さらに処理する再密封済みのユニットセルアセンブリ(例えば
図15A〜
図15Bに示すユニットセルスタック)を形成することができる。いくつかの実施形態では、ガス抜き工程は、いくつかの積み重ねたパウチ材料を一度に密封することによってユニットセルを積み重ねた後で行うことができる。この手法では、作製をより効果的にすることができる。
【0161】
[1203] いくつかの実施形態では、各ユニットセルにガス抜き部分を含むユニットセルアセンブリ1700は、より大きなサイズのパウチフィルムを使用することを除けば、
図12に関連して上述したのと実質的に同様の方法で準備することができる。さらに詳細には、
図12の中央の線10の両側の領域を拡大して、電極アセンブリを中央の線10に沿って折り畳んだときにガス抜き部分を形成できるようにすることができる。
【0162】
[1204] いくつかの実施形態では、カソードアセンブリとアノードアセンブリとを、追加のフィルムがそれぞれのアセンブリの底部に位置するようにして、別個のパウチフィルム上に準備することができる。次いで、この2つのアセンブリを互いに積み重ねて、
図17Aに示すように破線20に沿って密封して、ユニットセルアセンブリ1700を形成することができる。
【0163】
[1205]
図10A〜
図17Bは、アノードタブ及びカソードタブの両方を得られるユニットセルアセンブリの同じ側に有するユニットセルアセンブリを準備する方法を示している。いくつかの実施形態では、
図18に示すように、アノードタブ1821とカソードタブ1822とがユニットセルアセンブリ1800の反対側にある。この例では、ユニットセル1801a〜1801dのアノードタブ1821及びカソードタブ1822は、集電体のより大きな利用可能な幅を利用することができる。すなわち、タブを幅広にすることができる。タブの幅を大きくすることにより、タブの電気抵抗を低下させることができ、それにより得られるバッテリの性能を改善することができる。より大きな幅を有するタブの方が、腐食しにくい、壊れにくい、あるいはその他の形で物理的及び/又は化学的な理由で損なわれにくいので、幅が大きくなることで、得られるバッテリの機械的及び電気的安定性も改善することができる。
【0164】
[1206] ユニットセルアセンブリ1800は、アノードアセンブリ(例えばタブを幅広にした
図10Aに示す1000)を裏返しにしたカソードアセンブリ(例えばタブを幅広にした
図11Aに示す1100)の上に積み重ねて、カソードタブとアノードタブを得られるユニットセルアセンブリの反対側に構成するようにすることによって準備することができる。次いで、得られたユニットセルアセンブリ1800を密封線20に沿って密封して、個々にパッケージングされたシングルパウチバッテリセルを形成することができる。
【0165】
[1207]
図19A〜
図19Bは、電極アセンブリがアノード及びカソードの両方を同じ列内に含むシングルパウチバッテリセルを準備する例示的な製造方法を示す図である。例示のみを目的として、
図19Aは、同じパウチフィルム1940上に配置され、同じ順序で交互に配列された、2つのアノード(1901a及び1901c)及び2つのカソード(1901b及び1901d)を含む電極アセンブリ1900を示している。第1のアノード1901aと第1のカソード1901bとが、第1の一点鎖線50に沿って折り畳まれたときに第1のユニットセル1901を形成する。第2のアノード1901cと第2のカソード1901dとが、第2の一点鎖線55に沿って折り畳まれたときに第2のユニットセル1902を形成する。いくつかの実施形態では、この2つのユニットセル1901及び1902を実線40に沿ってさらに折り畳んで、単純なユニットセルスタックを形成する。いくつかの実施形態では、複数のユニットセル1901及び1902の実線40に沿った折り畳み状態は、熱の印加、又はその他の任意の適当な折り畳み状態の喪失を防止する方法によって長期間折り畳んだ状態に保つことができる。いくつかの実施形態では、この2つのユニットセル1901及び1902を実線に沿って切断して、2つの個別の独立したユニットセルを形成して、さらに処理(例えば積み重ね、密封など)を行う。
【0166】
[1208]
図19Bは、カソード集電体1910上に配置されたカソード材料1920と、アノード集電体1960上に配置されたアノード材料1950と、アノード材料1950とカソード材料1920の間に配置されたセパレータ1930とを、3つの方向(底部、上部、及び右側)から実質的に収容するパウチフィルム1904を含む、第1のユニットセル1901の折り畳み領域を示す断面図である。いくつかの実施形態では、パウチフィルム1940の接続部分1942でより長いパウチフィルムを使用して、ガス抜き部分を形成することもできる。
【0167】
[1209]
図19C〜
図19Dは、いくつかの実施形態による、円筒型構成のバッテリセルを準備する例示的な製造方法を示す図である。
図19Cは、複数の電極スタックを含む円筒型バッテリセル1903を示す上面図である。各電極スタックは、カソード1913と、アノード1923と、カソード1913とアノード1923の間に配置されたセパレータ1933とをさらに含む。隣接する電極スタック同士は、パウチ層1943によって分離される。
図19Dは、円筒型バッテリセル1903を示す概略図である。
【0168】
[1210]
図19E〜
図19Gは、いくつかの実施形態による、角型構成のバッテリセルを準備する例示的な製造方法を示す図である。
図19Eは、角型バッテリセル1905の全体上面図である
図19Fの円で囲んだ部分の詳細構造を示す、角型バッテリセル1905を示す部分上面図である。角型バッテリセル1905は、複数の電極スタックを含み、各電極スタックは、カソード1915と、アノード1925と、カソード1915とアノード1925の間に配置されたセパレータ1935とをさらに含む。隣接する電極スタック同士は、パウチ層1945によって分離される。
図19Gは、角型バッテリセル1905を示す概略図である。
【0169】
[1211] 円筒型バッテリセル1903及び角型バッテリセル1905は両方とも、下記に記載した方法によって準備することができる。いくつかの実施形態では、カソード(1913又は1915)とアノード(1923又は1925)とを、別個に準備することができる。例えば、カソードは、カソード集電体上にカソード材料を配置することによって準備することができ、アノードは、アノード集電体上にアノード材料を配置することによって準備することができる。次いで、セパレータを、アノード材料又はカソード材料の上に配置することができる。次いで、この準備したカソード及びアノードを互いに積み重ねて電極スタックを形成することができ、その後、この電極スタックの一方の側(アノード側又はカソード側)にパウチ層を配置する。次いで、電極スタックをパウチ層と共に丸めて、円筒型バッテリセル又は角型バッテリセルにすることができる。いくつかの実施形態では、パウチ層は、2つの電極を互いに積み重ねる前に、それらの電極のうちの一方の上に配置して、電極の準備を容易にすることもできる。
【0170】
[1212] いくつかの実施形態では、電極スタック(パウチ層を含む)は、層ごとに準備することができる。例えば、この製造は、アノード集電体をパウチ層の上に配置することから開始することができ、その後にアノード集電体上にアノード材料を配置する。次いで、アノード材料上にセパレータを配置することができ、その上にカソード材料を配置し、その後にカソード集電体を配置する。この層ごとの手続きの後で、得られた電極スタックを丸めて、円筒型構成又は角型構成のバッテリセルにすることができる。いくつかの実施形態では、パウチ層は、電極スタックの形成後に配置することができる。
【0171】
[1213] いくつかの実施形態では、電極スタックを丸めてバッテリセルにする前に、切断工程を実行して、丸めた後に得られるバッテリセルの所望の形状係数を実現することができる。
【0172】
[1214] いくつかの実施形態では、
図19C〜
図19Fに示すバッテリセルを、さらに外部パウチ又はパッケージ内に密封することができる。外部パウチ又はパッケージを使用して、例えば周囲環境の湿気又は化学物質によって引き起こされる腐食を軽減することができる。
【0173】
[1215]
図19C〜
図19Fは、個々のバッテリセル1903又は1905内にパウチ層を1つしか示していないが、実際には、複数のパウチ層を使用することもできる。いくつかの実施形態では、2つのパウチ層を使用することができる。一方のパウチ層はアノード集電体上に配置し、他方のパウチ層はカソード集電体上に配置して、電極の準備を容易にすることができる(例えば電極材料の漏出又は変形を回避する)。
【0174】
[1216]
図20は、上述の方法に従って製造されるシングルパウチバッテリセルを示す図である。バッテリセル2000は、アノード2010と、カソードと、セパレータとを収容するパウチ2040を含む。カソード及びセパレータはアノード2010の奥にあり、参照番号が付されていない。このバッテリセルは、銅で構成されたアノードタブ2010、及びアルミニウムで構成されたカソードタブ2014も含む。
図20から分かるように、パウチ2040は、電極部分を実質的に収容し、タブ2012及び2014は、外部接続のためにパウチの外に延びている。
【0175】
[1217]
図21は、3つのグループのシングルパウチバッテリセルの容量保持率曲線を示す図である。対照グループとも呼ばれる第1のグループは、容量保持率を検査する前にガス抜き工程を施されたシングルパウチバッテリセルを含む。「非ガス抜き」グループとも呼ばれる第2のグループは、検査前にいかなるガス抜きも実行していないシングルパウチバッテリセルを含む。「事前充電」グループとも呼ばれる第3のグループのシングルパウチバッテリセルは、パウチの密封前に事前充電工程が施されている。事前充電は、約1時間にわたってC/10のレートで実行される。第3のグループのバッテリには、ガス抜き工程を実行しない。
【0176】
[1218] 全てのグループのバッテリセルは、スピードミキサで混合されたリン酸鉄リチウム50体積%及び炭素添加物0.936体積%を含むカソードスラリを有する。いくつかの実施形態では、カソードスラリを混合する手順は、650RPMでの3分間の混合を2回繰り返すことと、その後に1250RPMでの1分間の混合を行うこととを含む。バッテリセルで使用されるアノードは、やはりミキサで混合された、黒鉛粉末50体積%及び炭素添加物2体積%を含む。いくつかの実施形態では、アノードスラリを混合する手順は、650RPMでの6分間の混合を行うことを含む。アノードは、約265μmの厚さを有する。これらのバッテリセルで使用される電解質は、50/50の炭酸エチレン/γ−ブチロラクトン(GBL)の溶剤と、この溶媒中に溶解した1MのLiTFSIとを含む。この電解質は、炭酸ビニレン(VC)2%などの添加物をさらに含む。バッテリセルの全体の厚さは、約900μmである。
【0177】
[1219]
図21に示すように、事前充電グループのバッテリセルは、対照グループのバッテリセルと比較して実質的に同じ容量保持率を示す。さらに、非ガス抜きグループのバッテリセルは、最初の15〜20サイクルで容量の増加を示しており、これは、非ガス抜きグループのバッテリセルの全容量がそれらのサイクル中には得られないことを示している。容量保持率の比較により、事前充電プロセスをシングルパウチセルに対して実行すると、ガス抜き工程を不要にし、さらに従来のバッテリ製造の再密封工程を省略することができることが分かる。
【0178】
シングルパウチバッテリセルを含む例示的なバッテリモジュール及びバッテリパック
[1220]
図22は、ケース2220内に封入された、シングルパウチバッテリセル2210(1)〜2210(8)(まとめてバッテリセル2210と呼ぶ)のアレイを含むバッテリモジュール2200を示す上面図である。各バッテリセル2210は、バッテリセルを他のバッテリセルに結合するために使用することができる、アノードタブ2212及びカソードタブ2214を含む。
図22に示すバッテリモジュール2200は、8個のシングルパウチバッテリセルを含むが、これは例示のみを目的としたものである。実際には、バッテリモジュール内のシングルパウチバッテリセルの数は、例えば所望のバッテリ仕様に応じて、8個より多くても少なくてもよい。
【0179】
[1221] さらに、この複数のバッテリセル2210は、2次元アレイで配置されているが、これも例示のみを目的としたものである。いくつかの実施形態では、複数のバッテリセル2210は、一列に(すなわち1次元アレイで)配置される。いくつかの実施形態では、複数のバッテリセル2210は、バッテリモジュール2200が円筒型構成を有することができるように、共通の中心点に向かって放射状に配置される。
【0180】
[1222] さらに、
図22は、バッテリモジュールを1層しか示していないが、これも例示のみを目的としたものである。実際には、バッテリモジュール2200と同様の1つ又は複数のバッテリモジュールを互いに結合して、容量、電圧又は電流など、所望の出力仕様を実現することができる。
【0181】
[1223]
図23A〜
図23Bは、それぞれ、金属ケース内に封入された複数のシングルパウチバッテリモジュールを含むバッテリモジュールを示す展開図及び完成図である。
図23Aに示すように、バッテリモジュール2300は、上部カバー2310と、上部発泡体2320と、セルスタック2330と、セルスタックを収容する一体型ケース2340とを含む。
【0182】
[1224] セルスタック2330は、アノードタブ2334及びカソードタブ2332をさらに含む。アノードタブ2334は、セルスタック2330内のバッテリセルの各アノードと電気連絡しており、カソードタブ2332は、セルスタック2330内のバッテリセルの各カソードと電気連絡している。一体型ケース2340は、アノードコネクタ2344及びカソードコネクタ2342をさらに含む。セルスタック2330が一体型ケース2340内に適切に配置されると、アノードタブ2334は、アノードコネクタ2344に電気的に結合され、カソードタブ2332は、カソードコネクタ2342に電気的に結合されて、バッテリモジュール2300がアノードコネクタ2344及びカソードコネクタ2342を介して電力を提供する(放電中)、又は電力を受け取る(受電中)することができる。
【0183】
[1225] いくつかの実施形態では、上部カバー2310は、一体型ケース2340に使用されるのと同じ金属材料(例えばステンレス鋼、アルミニウム、銅など)を含む。いくつかの実施形態では、上部カバー2310は、上部カバー2310の取外し及び再設置を容易にするように、軽量の材料(例えばポリマー、プラスチック、軽金属など)を含む。
【0184】
[1226] いくつかの実施形態では、上部発泡体2320は、衝撃時にセルスタック2330が損傷する可能性を低下させるように軟らかい(例えばクッション発泡体)。いくつかの実施形態では、上部発泡体2320は、特に合成発泡体、水成膜形成発泡体、耐アルコール性発泡体、及びタンパク質発泡体など、難燃性発泡体を含む。
【0185】
[1227]
図24A〜
図24Bは、それぞれ、プラスチックケース内に封入された複数のシングルパウチバッテリモジュールを含むバッテリモジュールを示す展開図及び完成図である。
図24Aに示すように、バッテリモジュール2400は、上部カバー2410と、上部発泡体2420と、セルスタック2430と、内側ライナ2450と、セルスタックを収容する一体型ケース2440とを含む。上部カバー2410、上部発泡体2420、及びセルスタック2430は、
図23Aに示して上述した上部カバー2310、上部発泡体2320、及びセルスタック2330と実質的に同じとすることができる。一体型ケース2440は、例えばバッテリモジュール2400の重量を削減するために、プラスチック材料を含む。
【0186】
[1228] いくつかの実施形態では、内側ライナ2450は、衝撃時にセルスタック2430が損傷する可能性を低下させるように軟材料(例えばプラスチック、ポリマー、ゴムなど)を含む。いくつかの実施形態では、内側ライナ2450は、火災危険を低下させるために、難燃性材料を含む。いくつかの実施形態では、内側ライナ2450は、長鎖脂肪族アミン(任意選択でエトキシル化されたもの)及びアミド、第四級アンモニウム塩(例えば塩化ベヘントリモニウム又はコカミドプロピルベタミン)、リン酸エステル、ポリエチレングリコールエステル、又はポリオールをベースとする材料などの帯電防止材料を含む。いくつかの実施形態では、内側ライン2450は、湿気によって引き起こされるセルスタック2430内の短絡を防止するように、耐湿性材料を含む。いくつかの実施形態では、内側ライナ2450は、複合材料を含む。例えば、内側ライン2450は、火災危険を低下させるために難燃性材料で被覆された、緩衝用の軟材料を含むことができる。
【0187】
[1229] 一般にバッテリモジュールと呼ぶ
図23A〜
図23Bに示すバッテリモジュール2300及び
図24A〜
図24Bに示すバッテリモジュール2400は、実際の適用を容易にすることができる特徴をいくつか有することができる。いくつかの実施形態では、バッテリモジュールは、特定の所望の仕様(例えば電圧、電流、容量など)を有するバッテリパックを好都合に構築できるように、モジュール間インタロックを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、バッテリモジュールは、個々の適用分野において、各バッテリモジュールが電源として独立して機能することも、他の構成要素と協働することもできるように、モジュラ設計を含む。
【0188】
[1230] いくつかの実施形態では、バッテリモジュールは、以下の仕様を有することができる。すなわち、出力電圧3.2V、セル容量280Ah、セル重量4.5kg、総エネルギー0.896kWh、セル体積4.14L、容積エネルギー密度216Wh/L、及び比エネルギー密度200Wh/kgである。この仕様は、例示のみを目的としたものである。実際には、適用分野における様々な実際の要件を満たすように、様々な仕様を利用することができる。
【0189】
[1231]
図25は、まとめてバッテリモジュール2510と呼ぶ、複数のバッテリモジュール2510(1)〜2510(4)を含むバッテリパック2500を示す概略図である。バッテリモジュール2510は、
図23A〜
図23Bに示すバッテリモジュール2300、又は
図24A〜
図24Bに示すバッテリモジュール2400と実質的に同じとすることができる。
図25に示すバッテリパック2500は、2次元アレイに配置された4つのバッテリモジュール2510を含むが、これは例示のみを目的としたものである。実際には、バッテリパック内のバッテリモジュールの数は、例えば所望の仕様に応じて様々であってよい。このアレイ構成も、変化することができる。例えば、
図26は、例えば特定の空間要件に適合するように1次元の並びに配置された4つのバッテリモジュール2610(1)〜2610(4)のアレイを含むバッテリモジュール2600を示している。
【0190】
[1232]
図27A〜
図27Cは、バッテリパックのインタロック機構を説明するための、垂直方向に積み重ねられたバッテリモジュールを含むバッテリパック、及び積み重ねられたモジュールの拡大部分を示す概略図である。
図27Aに示すバッテリパック2700は、互いに垂直方向に積み重ねられた、第1のバッテリモジュール2710a及び第2のバッテリモジュール2710bを含む。第1のバッテリモジュール2710aの重量によって、第2のバッテリモジュール2710bにスタック圧力を印加することができる。いくつかの実施形態では、28個のモジュールを順番に積み重ねた場合には、最も上のバッテリモジュールと最も下のバッテリモジュールの間の圧力差を約5PSIとすることができる。
【0191】
[1233] バッテリパック2700は、2つのバッテリモジュールの間に左接点部分2712a及び右接点部分2712bを含む。2つの接点部分2712a及び2712bは、それぞれ
図27B及び
図27Cに示してある。
図27B及び
図27Cは、下側のバッテリモジュール2710bの上部を、上側のバッテリモジュール2710aの底部を受けるように構成することができることを示している。この構成により、複数のバッテリモジュールを好都合に互いに結合して、所望の仕様を有するバッテリパックを形成することができる。
【0192】
[1234]
図28A〜
図28Bは、ラック構成(すなわち2次元縦型アレイ)に配置された複数のバッテリモジュール2850(例えばバッテリモジュール2300及び/又は2400)を含むバッテリラック2800を示す完成図及び展開図である。複数の支持フレーム2840が、複数のバッテリモジュール2850の4つの縁部に配置されて、バッテリモジュール2850を合わせて保持している。支持フレーム2840は、複数のボルト2870によってバッテリモジュール2850に機械的に結合される。上部端板2810及び底部端板2880が、それぞれ上及び下から複数のバッテリモジュール2850を囲んでいる。複数の圧縮板2830と、その上に配置された複数の圧縮バネ2820とを、衝撃緩衝のために、上部端板2810と複数のバッテリモジュール2850との間に配置することができる。各バッテリモジュールは、そのバッテリモジュールと他のバッテリモジュールの間の電気的結合を容易にするためにバッテリケーブル2860を含む。得られたバッテリラック2800の完成図を、
図28Aに示す。
【0193】
[1235] バッテリラック2800の1つの例示的な仕様は、以下のようにすることができる。すなわち、出力電圧716V、セル容量280Ah、セル重量1150kg、総エネルギー200kWh、ラック寸法600mm×760mm×2100mm、容積エネルギー密度210Wh/L、及び比エネルギー密度175Wh/kgである。この仕様は、例示のみを目的としたものである。実際には、適用分野における様々な実際の要件を満たすように、様々な仕様を利用することができる。
【0194】
[1236] 以上、様々な実施形態について説明したが、それらは例示のみを目的として提示したものであり、限定を目的としたものではないことを理解されたい。例えば、本明細書の実施形態は、例えばリチウムイオンバッテリなどの電気化学的デバイスを説明しているが、本明細書に記載するシステム、方法及び原理は、電気化学的に活性な媒体を含む全てのデバイスに適用することができる。換言すれば、例えばバッテリ、コンデンサ、電気二重層キャパシタ(例えばウルトラキャパシタ)、リチウムイオンキャパシタ(ハイブリッドキャパシタ)、擬似キャパシタなど、少なくとも活性材料(電荷担体のソース又はシンク)、導電性添加物、及びイオン伝導性媒体(電解質)を含む任意の電極及びデバイスは、本開示の範囲に含まれる。さらに、上記の実施形態は、非水及び/又は水性電解質バッテリ化学物質と共に使用することができる。
【0195】
[1237] 上述の方法及び工程は、特定の事象が特定の順序で起こるものとして示しているが、本開示の特典を有する当業者なら、特定の工程の順序を修正することができること、及びこのような修正が本発明の変形形態によるものであることを認識するであろう。さらに、これらの工程のうちの特定の工程は、可能である場合には並列プロセスで同時に実行することもできるし、また上述のように順番に実行することもできる。さらに、特定の工程は、部分的に完了したところで後続の工程に進む、かつ/又は省略して後続の工程に進むこともできる。
【0196】
[1238] 様々な実施形態を具体的に図示して説明したが、様々な変更を形態及び細部に加えることができる。例えば、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして様々な実施形態を説明したが、本明細書に記載する実施形態のうちのいずれかの、任意の特徴及び/又は構成要素の任意の組合せ又は部分的な組合せを有する他の実施形態も可能である。これら様々な構成要素の具体的な構成も、変化させることができる。