(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
容器に詰められた製品を長期間保存でき室温であっても化学的/物理的に安定とできかつ感覚刺激の点でも安定とできるよう、細菌汚染管理環境において種々の作業が行われる無菌技術を用いる包装ラインが既に知られている。
【0004】
設計的な差異は別として、「従来の」無菌容器詰めラインでは、
熱可塑性物質で形成されたパリソンから容器を成形し、
形成された容器を化学的に殺菌し、
無菌環境において、容器をすすぎ、充填して、充填された容器に蓋を被せる(キャッピング)
ことが想定される。
【0005】
従来のラインの主な欠点は、容器が成形された後その容器を殺菌し、その後のすべての作業において例えば充填作業や蓋を被せる作業のすべてにわたって殺菌された状態を維持する必要があることに関連する。
【0006】
これに代わり、無菌容器詰めラインの現代の概念では、
化学的薬剤または放射殺菌を用いてパリソンを殺菌し、
殺菌されたパリソンからまず容器を「無菌」成形し、
無菌環境において、容器を充填して、充填された容器に蓋を被せる
ことが想定される。
【0007】
これに関連して、成形回転ラックが細菌汚染管理環境を形成するよう構成された隔離装置によって保護されており、回転ラックと型とを移動させるための移動手段が隔離装置の外部に配置されている、無菌状態で成形を行うための成形装置を、本願出願人は開発した(欧州特許出願公開第2246176号明細書(EP2246176)を参照)。
【0008】
予備殺菌ステージには、例えば把持部材と延伸ロッドと被吹き付け空気回路とを含む、延伸吹き付けによって成形されるパリソンと接触する装置がすべて含まれる。このように、本願出願人は、延伸ロッド(欧州特許出願公開第2340157号明細書(EP2340157)参照)と被吹き付け空気回路(欧州特許出願公開第2643142号明細書(EP2643142)参照)とに関する特定の解決法を開発した。
【0009】
こうして、それぞれの作業ユニットのプロセス区域が専用の微生物学的分離器によって保護されており、パリソン/容器の移動・操作手段はそこには含まれていない、完全無菌吹き付け機械と容器詰めラインとを、本願出願人は開発した(欧州特許出願公開第2279850号明細書(EP2279850)を参照)。明らかに、この解決法の主な欠点は、その構造がかなり複雑になることにある。
【0010】
なお、作業の際に必要となるすべての手作業(例えば障害物の除去)は、ハンドリング・グローブを用いて行われるとは限らないことを追記しておく。ある場合には、分離器のアクセスドアを開くことが必要となり、そのため、無菌状態が失われる。その作業が完了すると、無菌環境を回復する必要があり、その結果、ラインの中断時間のために時間が失われることは明らかである。
【0011】
構造が複雑ではあるが、上述の解決法は、入口においてパリソンを受け取る容器詰めラインの内部を無菌状態に確実に維持することができる。
【0012】
無菌ラインにおいて、容器および封止部品の殺菌の能力は、基準微生物に対して実行できる殺菌処理のD値(the number of D-value reductions)によって表現される。例えば低い酸性度の製品を包装する無菌ラインに対しては6D値が一般に要求されるが、高い酸性度の製品を処理するラインにおいては4D値で十分である。
【0013】
異常事態による不慮の細菌汚染をも考慮するので、殺菌仕様は非常に厳格である。一方、原料(PET顆粒)から容器が形成されて蓋が被される生産プロセスにおいて、細菌汚染レベルが管理できないいくつかの経路が存在する。
【0014】
実際、パリソンを成形する生産は、PET顆粒からまず始める専用設備(当該分野においてコンバータとして知られている)において行われ、PET顆粒は、塑性状態から粘性状態に変わるよう溶融され、その後、適切な機械の型(プレス)に射出される。
【0015】
プレスからの出口において、パリソンは、オクタビン(つまり八角形の基部を有する柱状の厚紙パック)に収集され、容器詰め設備に移送されて、そこで特別な倉庫(スペシャル・ストア)に保管される。生産速度に合わせて、オクタビンは開けられ、口が上に向くようパリソンの向きを調整し容器を成形する機械(当該分野において「ブロワ」として知られている)へとパリソンを供給する配列ユニットへと通過させるために、パリソンを軽く傾けてホッパへ入れる。
【0016】
したがって、明らかに、無菌容器詰めラインの上流のすべての工程において、作業者による手作業の関与(例えばオクタビンにおけるパリソンの手作業包装または手作業でパリソンをホッパへとチッピングする)や移送および保管の際のオクタビンへのダメージの両方のために、パリソンの細菌汚染の危険性が潜在的に高くなる。
【0017】
これらの工程においては、上述した殺菌能力が少しも低下することがないようには細菌汚染の管理が厳格には行われていない。
【0018】
しかしながら、確実に4または6D値を達成するには、無菌ラインの複雑性と全体的な体積(ボリューム)とに対する影響が大きくなり、なかでも、生産コストが増加する。
【0019】
これらの理由から、近年、ある製造会社は、同じ設備において、包装ラインの上流側でパリソンの生産を行う解決法を開発した。
【0020】
しかしながら、パリソンの型成形プレスを容器詰めラインに組み込むには制約がある。プレスは、管理するのに取り扱いに非常に注意が必要な溶融プラスチック材料に対して機能するすなわち作用する機械であるからである。さらに、プレスには、かなり面倒で長い形状変更作業が伴う。
【0021】
例えば、欧州特許出願公開第2578504号明細書(EP2578504)には、パリソン型成形プレスを含むすべての作業ユニットがクリーンチャンバ内に配置される無菌充填システムが開示されている。それぞれの作業ユニットは、クリーンチャンバより高圧状態の専用のキャビンにさらに収容されており、これにより、キャビンの内側の純度より確実に高くなる。作業者は、ラインにおけるそれぞれのキャビンに対して作業(アクセス)を行う場合がある。
【0022】
同様の解決法は、米国特許出願公開第2011/0219728号明細書(US2011/0219728)(特に公報の
図2に示された実施形態を参照)、欧州特許出願公開第0794903号明細書(EP0794903)および欧州特許出願公開第2324987号明細書(EP2324987)に開示されている。
【0023】
このように、参照文献から、クリーンチャンバの内面と、単一の作業ユニットを収容しているキャビン/ボックスの外面と、を殺菌する必要があることは明らかである。
【0024】
無菌ラインの内部にパリソンの型成形プレスを組み込むこれらの解決法の主な欠点は、作業開始の前に殺菌される体積および表面が大きくなり、そして生産の際に無菌状態に維持される体積が大きくなることと関連する。
【0025】
このことは、ラインの殺菌および管理に関するすべての作業が複雑になることを意味する。さらに、洗浄・殺菌サイクルが長くなる。
【0026】
さらなる欠点は、下流側ユニットの生産速度と対応させるためにプレスの複雑性が増加することに起因する。例えば、欧州特許出願公開第2578504号明細書(EP2578504)は、プレスとブロワとの間のパリソンの一時的保管緩衝域(バッファ)に関連している。
【0027】
この明細書において、技術的な課題に基づいて、本発明は、先に引用した従来技術の欠点を解決する無菌容器の生産装置、その装置を備える容器詰めプラント、および無菌容器の生産方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図面を参照して、符号1は、無菌容器2を生成するための装置を表す。
【0074】
装置1は、熱可塑性物質で、好ましくはPETで形成されるパリソン4から延伸吹き付けによって容器2を成形するための成形ユニット3を備える。
【0075】
成形ユニット3は好ましくは回転転ラック・タイプである。あるいは、成形ユニット3は線形状(リニア)タイプとすることもできる。
【0076】
パリソン4は好ましくは、管状(チューブ)体4aと、型成形プロセスを受けない首部4bと、を有する。また、この理由で、以下の説明においては、参照符号4bは成形された容器2の首部を表すようにも用いる。
【0077】
それぞれに、二つの半切の型6a,6bすなわち片方ずつの部分を備える型6が配置される複数の成形ステーション5を、成形ユニット3は備える。
【0078】
特に、それぞれの型6の半切の型6a,6bは、一方が他方に対して少なくとも第一構成と第二構成との間で相対的に移動可能である。第一構成において、両半分の型は少なくともパリソン4のハウジング・キャビティ7を形成するように連結される。第二構成において、パリソン4を型6内に導入できるよう、または成形された容器2を引き出すよう、両半分の型は離間して配置される。
【0079】
各型6の半切の型6a,6bは好ましくは、共通の連結軸回りに回転するように互いにヒンジ状に連結される。
【0080】
例えば、それぞれの型6は「ブック」タイプである。あるいは、それぞれの型は「ワニ」タイプである。
【0081】
さらなる変形において、それぞれの型6はリニアタイプである、つまり半切の型6a,6bが互いに平行に移動可能である。
【0082】
各型6において、二つの半切の型6a,6bは好ましくは内部が、形成される容器2の側部の輪郭を再現するように形成される。
【0083】
好ましくは、形成される容器2の内側部分(底部)を形成するよう二つの半切の型6a,6bと協働する底部を各型6は備える。
【0084】
それぞれの型成形装置6は好ましくはさらに、吹き付けノズル10(またはシール)と延伸ロッド11とを備える(
図8参照)。特に、延伸ロッド11は、パリソン4を引き伸ばすようパリソン4内に徐々に挿入可能である。
【0085】
特に、吹き付けノズル10は、流体を吹き付けるために首部4bの横方向突出部4c(当該分野においては専門用語「フィニッシュ」として知られている)に当接して密封を形成するよう、パリソン4の首部4bに取り付けられる。
【0086】
特に、吹き付けノズル10は、成形の際にしっかりと密封を行うよう、パリソン4の口部4dを封止するようにフィニッシュ4cに密封を形成する。また、以下の説明においては、参照符号4dは成形された容器2の口部を表すよう用いる。
【0087】
独創的な特徴として、それぞれの成形ステーション5には、対応するハウジング・キャビティ7に到達したパリソン4に機能的に作用する殺菌装置12が備えられている。
【0088】
独創的な特徴として、成形ユニット3の上流側には、熱可塑性物質(例えばPET)の果粒から形成されるパリソン4の型成形ユニット13が備えられる。
【0089】
パリソン4の型成形ユニット13は好ましくは、複数の型成形ステーションを備える。それぞれの型成形ステーションには、凹部16a(メス側ともいう)とその凹部16aに挿入可能な凸部16b(オス側ともいう)とから構成される型16が配置される。
【0090】
説明を分かりやすくするために、成形ユニット3の型6を表現するために「第一の型」を用い、型成形ユニット13の型16を表現するために「第二の型」を用いる。
【0091】
好ましくは、型成形ユニット13は、第二の型16を二つの状態間で変動させるサイクル(オルタネーティング・サイクル)を用いる、射出(インジェクション)タイプの、従来タイプの機械である。
【0092】
あるいは、型成形ユニット13は、第二の型16が圧縮(コンプレッション)タイプまたは射出・圧縮(コンプレッション・インジェクション)タイプである、連続タイプの回転式機械である。
【0093】
型成形ユニット13は、パリソン4と接触するよう構成された第二の型16の表面を洗浄するための洗浄手段17を備える。
【0094】
洗浄手段17は好ましくは、少なくとも型16の凸部16bの外面に洗浄液体の噴射を行うよう配置される洗浄液体を供給するためのノズル18を備える。実際、外面は、パリソン4の内部と必然的に接触する。
【0095】
供給ノズル18は好ましくは、パリソン4の外部と接触する凹部16aの内面にも洗浄流体を供給するように配置される。さらなる実施形態では、供給ノズル18は、除菌を行うよう、パリソン4の内面にも洗浄流体を供給するように配置される。
【0096】
例えば、洗浄流体は、高い蒸気張力(スチーム・テンション)を有し、容易に蒸発し、反粘着作用を有するイソプロピルアルコールである。
【0097】
一の実施形態では、洗浄手段17は、パリソン4と接触するよう構成された第二の型16の表面にドライアイスを当てる手段である。
【0098】
型成形ユニット13は好ましくは、ウルトラクリーン環境24に配置される。本明細書において、ウルトラクリーン環境は、外部環境(汚れがある環境)から細菌汚染の侵入を制限するための物理的閉じ込めを用いて外部環境から隔離された空間をいう。特に、物理的閉じ込めは、必ずしも密封されている必要はない。例えば、ウルトラクリーン環境24は約10Paの高い圧力に維持される。この高い圧力を発生するために、適切な装置(HEPAフィルター、例えばH13レベル)によって微細フィルタを用いて濾過された気流が好ましくは生成され、用いられる。ウルトラクリーン環境24を予め形成しておくのは、パリソン4の細菌汚染を制限するためである。
【0099】
装置1は好ましくは、型成型ユニット13と成形ユニット3との間に配置される温度調節ユニット23を備えており、温度調節ユニット23から移出されるパリソン4は、延伸吹き付けによる成形を可能にするのに適した所定の温度分布特性(サーマル・プロファイル)を有する。実際、型成形ユニット13の出口において、パリソン4の温度は約100℃であるので、好ましくは、延伸吹き付けによって成形するのに適したパリソン4を形成するようパリソン4の軸に沿った温度勾配を形成する温度分布特性を与える(サーマル・プロファイリング)工程が含まれる。
【0100】
例えば、温度調節ユニット23は、赤外線タイプまたはマイクロ波タイプである。
【0101】
温度調節ユニット23もまた好ましくは、ウルトラクリーン環境24に配置される。
【0102】
パリソン4の細菌汚染除去ユニット25は好ましくは、型成形ユニット13と成形ユニット3との間に備えられ、配置される。特に、細菌汚染除去ユニット25は、通常6D値が必要とされる低い酸性度製品の包装に対して設計される。
【0103】
特に、細菌汚染除去ユニット25は、熱的に作用可能な殺菌剤をパリソン4の内部に導入するよう構成される。
【0104】
特に、熱的な作用は、型成形ユニット13からの出口におけるパリソン4が達する温度によって達成される。
【0105】
さらなる実施形態において、細菌汚染除去ユニット25は温度調節ユニット23と一体化されている。
【0106】
第一の実施形態では、各殺菌装置12は、対応するハウジング・キャビティ7に機能的に作用可能なプラズマ発生器19を備える。
【0107】
図6〜
図7に示す通り、プラズマ発生器19はハウジング・キャビティ7の外側に配置され、内部に収容されるパリソン4へプラズマを吹き付けるようキャビティ7と関連している。
【0108】
特に、プラズマ発生器19は、気圧より高い圧力で吹き付け流体が流入する入口20と、対応する吹き付けノズル10へ気圧より高い圧力でプラズマを供給するよう構成される出口22と、を有する。このように、プラズマは、対応するハウジング・キャビティ7内に配置されたパリソン4に吹き付けられ、こうして、パリソン4は成形され殺菌される。
【0109】
本明細書において、殺菌は、微生物の完全な除去と、パリソン上に存在する微生物の低減(この後者の場合「細菌汚染除去(decontamination)」程度)と、の両方として理解されたい。
【0110】
吹き付け流体(例えば空気)は、既知のタイプの供給手段21によって供給される。
【0111】
プラズマ形成は、部分的に行うことができる、すなわち、プラズマを約16バールの最大圧力で送出する(前吹き付けフェーズ)ことによって、または、プラズマをその形成が完了するまで送出する(前吹き付けフェーズと実際の吹き付けフェーズ)ことによって行うことができる。
【0112】
図6に示す態様では、吹き付け流体を供給するための供給手段21は、
吹き付け流体を約16バールの最大圧力で送出可能な一次ライン211と、
吹き付け流体を約40バールの最大圧力で送出可能な二次ライン212と、
プラズマ発生器19の入口20と選択的に連通させるよう一次ライン211と二次ライン212とを機能させるように構成されるバルブ(弁)ユニット213と、
を備える。
【0113】
例えば、プラズマ発生器19はバルブユニット213と吹き付けノズル10との間に配置される。
【0114】
プラズマ発生器19は好ましくは、吹き付けノズル10の近傍に配置される。
【0115】
あるいは、プラズマ発生器19はバルブユニット213と一体的に構成される。
【0116】
図6に示す吐出管214は、バルブユニット213をハウジング・キャビティ7と連通させるよう設定できる。容器の成形が完了したとき容器2の内部から残留ガスを迅速に排気するために、この吐出し管214には逆止め弁215が配置されており、逆止め弁215はプラズマ発生器19と平行に配置される。
【0117】
プラズマ発生器19は本質的には本発明の目的ではない。しかしながら、プラズマ発生器19に対して選択された構造設計は、約40バールまでの入口圧力(実際、二次ライン212から出て来る吹き付け流体はこれらの圧力レベルに達する)で動作する必要があることを記載しておくことは本発明の理解に役立つであろう。
【0118】
流入する流体の圧力が増加すると、吐出すべき流体(誘電体として機能する)の抵抗が増加するので、プラズマを発動させることがより困難になることが知られている。したがって、高い入口圧力で作動させる電極間に印加される電圧は、約20〜30kVの範囲にも及ぶことがある。
【0119】
約40バールの圧力で動作に必要な条件を満たすために、プラズマトーチ(すなわちプラズマガン)をプラズマ発生器19として使用することができる。トーチは、ノズルからプラズマの直接的な流れを出力として供給する。特に、プラズマ発生器19は、独国特許出願公開第10115241号明細書(DE10115241)に開示されているプラズマトーチで構成できる。
【0120】
このトーチにおいて、プラズマは、収束要素(コンバージェント・エレメント)が備えられているので、初期の入口圧力より低い圧力で作動できる。次に、圧力は、発散要素(ダイバージェント・エレメント)を用いてその初期のレベルに戻る。第一実施形態においてはこのトーチを使用することで、約30〜40のバールの範囲の入口吹き付け流体が存在する状態であっても、プラズマは6〜8バールの範囲内の圧力で作動できる。
【0121】
「可動プラグ」タイプの自動システムを、流入する流体の圧力レベルに適応させるために、独国特許出願公開第10115241号明細書のプラズマトーチと一体化することもできる。このシステムは、要素の幾何構造を、収束構造から発散構造へと、またはその逆に変化する。このように、プラズマは入口流体圧力レベルとは独立して発生される。
【0122】
さらに、パリソン4への吹き付けにおいて用いるのに適合させるようプラズマの特性を変更する目的で、独国特許出願公開第10115241号明細書に開示されているトーチは、さらなる流体(例えば水蒸気または窒素)のためのさらなる入口を有する。
【0123】
図7に示す態様では、吹き付け流体を供給するための供給手段21は、
吹き付け流体を発生可能な少なくとも一の流体用圧縮ステージ216と、
プラズマ発生器19の出口22からプラズマを(直接的にまたは間接的に)受け取るとともに、最大圧力が約16バールのプラズマを送出するための一次ラインと最大圧力が約40バールのプラズマを送出するための二次ラインとを備えるプラズマ分配回路と、
吹き付けノズル10と選択的に連通させるよう一次ラインと二次ラインとを機能させるように構成されるバルブユニットと、
を備える。
【0124】
図7に示す実施形態において、流体の圧縮ステージ216はプラズマ発生器19の上流側に配置される。
【0125】
例えば、単一の圧縮ステージ216が備えられており、最大圧力が約40バールの吹き付け流体を発生する。他の態様では、最大圧力が約40バールの吹き付け流体を発生できるよう、複数の圧縮ステージを連続的に配置することもできる。プラズマの発生が約40バールの圧力で行われるとき、プラズマ分配回路はプラズマ発生器19の出口22からプラズマを直接受け取る。
【0126】
プラズマ発生器19の入口20に供給される吹き付け流体の圧力が高い場合、独国特許出願公開第10115241号明細書に開示されたトーチを、可動プラグと一体化して、この第二実施形態におけるプラズマ発生器19として同様に使用することができる。
【0127】
好ましい変形では、圧縮ステージ216は、圧力が約8バールの吹き付け流体を発生する。この場合、比較的低い入口圧力で動作可能なプラズマ発生器を十分に使用できる。
【0128】
この好ましい変形では、一以上のプラズマ圧縮ステージ221,222が、プラズマ発生器19の下流に配置され、プラズマ発生器19の出口22からプラズマを受け取り、約40バールの最大圧力に圧縮する。
【0129】
例えば、
図7に示す連続的に配置された二つのプラズマ圧縮ステージ221,222は、
約20バールの最大圧力までプラズマを圧縮できる第一ステージ221と、
約40バールの最大圧力までプラズマを圧縮できる第二ステージ222と、
である。
【0130】
この好ましい変形では、プラズマ分配回路は、プラズマ発生器19の出口22からプラズマを間接的に受け取る、つまり、プラズマは、第一ステージ221と第二ステージ222を通る。
【0131】
図9〜
図10に示す第二実施形態において、それぞれの殺菌装置12は一ペアの電極を備える。一ペアの電極の間には電位差が印加され、その電位差に応じて、対応するハウジング・キャビティ7の内部にプラズマが発生する。
【0132】
本実施形態においては、それぞれの延伸ロッド11は、金属材料から部分的にまたは全体的に形成されている。
【0133】
したがって、それぞれの殺菌装置12において、一ペアの電極が、対応する延伸ロッド11と、金属材料で少なくとも部分的に形成されておりハウジング・キャビティ7内に配置されるパリソン4を少なくとも部分的に囲繞できるよう寸法付けられた中空体と、で構成される。
【0134】
延伸ロッド11と中空体との間に電圧差を印加するための手段は、既知のタイプである。
【0135】
プラズマがハウジング・キャビティ7内に既に存在する流体(空気)によって発生される場合、流体は大気圧である。
【0136】
プラズマが吹き付け流体によって発生される場合、流体は大気圧以上である(その場合、大気圧以上の圧力の流体から得られる)。
【0137】
例えば、中空体は、第一構成における二つの半切の型6a,6bを連結することにより構成される。二つの半切の型は、パリソン4のチューブ体4aを全体的に囲繞する。言い換えれば、中空体は、第一構成における二つの半切の型6a,6bの結合によって構成される。二つの半切の型6a,6bは好ましくは、全体的に金属材料で形成されている。
【0138】
延伸ロッド11と第一構成における半切の型6a,6bとの間に電圧差が印加されると、パリソン4のハウジング・キャビティ7の内側にプラズマが発生する。さらに、シール10が二つの半切の型6a,6bと同じ電位にあるとき、パリソン4の首部4bの外部区域にもプラズマが発生する。
【0139】
延伸ロッド11と二つの連結された半切の型6a,6bとの間に必要とされる電圧差は約30kVの値に達することが好ましい。
【0140】
図10に示す実施形態において、中空体は略管状の本体225である。したがって、この中空のチューブ体225は二つの半切の型6a,6bとは別のものである。
【0141】
中空のチューブ体225は好ましくは、ハウジング・キャビティ7の内側において少なくとも動作位置と待機位置との間で移動可能である。動作位置においては、パリソン4のチューブ体4aが部分的にまたは全体的にチューブ体255によって囲繞される。待機位置においては、チューブ体255はパリソン4から移動して離間している。
【0142】
移動手段(図示せず)が好ましくは、中空のチューブ体225を移動させるために備えられる。該移動手段は、待機位置から動作位置へおよびその逆方向に移動させるよう、中空のチューブ体225に機能的に作用する。
【0143】
特に、移動手段は、ハウジング・キャビティ7の長手方向軸Aに沿って直線的に移動させるよう、中空のチューブ体225に機能的に作用する。
【0144】
中空のチューブ体225は好ましくは、ハウジング・キャビティ7と同軸状である。特に、中空のチューブ体225が動作位置にある場合、パリソン4のチューブ体4aと同軸状である。
【0145】
例えば、中空のチューブ体225は略連続的な金属板から形成される。あるいは、中空のチューブ体225は、複数の孔または貫通開口部を有する金属板から形成される。さらなる変形では、メッシュまたは複数の平行に間隔を空けて配置された棒状部材から形成された金属囲い(ケージ)から構成される中空のチューブ体225が備えられる。
【0146】
第三実施形態(図示せず)において、それぞれの殺菌装置12は噴霧ノズルから構成される。特に、噴霧ノズルは、内部に収容されるパリソン4を処理するよう、殺菌手段を対応するハウジング・キャビティ7へと送る。例えば、殺菌手段は、過酸化水素または過酢酸など殺菌剤を含む水性の化合物を蒸発させることにより得られた気相の態様の殺菌流体である。好ましくは、水性の化合物における過酸化水素の濃度は約35%である。
【0147】
図11に示す第四実施形態において、それぞれの延伸ロッド11は、孔が空けられた第一端部11a(パリソン4に面する端部)を有する中空の管状要素である。
【0148】
本実施形態において、各殺菌装置12は、対応する延伸ロッド11の内側に放射線を放出できる放射線の発生器(図示せず)を備える。こうして、放射線は、延伸ロッド11の内部キャビティを通って、孔が空けられた第一端部11aから射出される。
【0149】
特に、放射線発生器は、直接電離放射線(例えば電子)または間接電離放射線(例えばX線)の発生器である。あるいは、非電離放射線発生器(例えば赤外線、紫外部または可視光線)である。
【0150】
装置1の内側のパリソン4の取り扱いは好ましくは、パリソン4の外部でのみ機能的に作用する把持手段14,15を用いて行われる。
【0151】
例えば、把持手段は、パリソン4の首部4bに機能的に作用する掴み器(グリッパ)14から構成される。
図12d〜
図12eに示す通り、グリッパ14は、フィニッシュ4cの上方または下方で当接して、パリソン4を首部4bの横方向から掴む(グリップする)。
【0152】
図12fに示す実施形態において、把持手段は、フィニッシュ4cの上方で当接して、パリソン4の首部4bを上方から掴む把持ヘッド15から構成される。
【0153】
さらなる実施形態(図示せず)において、把持手段は、移送星型(スター)コンベヤーのセルすなわち隔室から構成される。
【0154】
参照番号100は容器詰めプラントを表す。容器詰めプラントは、
上述した、無菌容器2を生産するための装置1と、
成形された容器2に充填を行う装置30と、
充填された容器2を封止する装置40と、
を備える。
【0155】
特に、充填装置30は、複数の充填ステーション35を備える。各充填ステーション35には充填ノズル36が配置される。
【0156】
好ましくは、充填装置30は回転ラック・タイプである。あるいは、充填装置30はリニアタイプとすることもできる。
【0157】
充填装置30は、好ましくは、充填ノズル36から充填ステーション35における容器2の首部4bによって規定される位置へと延設される空間を有している第一細菌汚染管理環境38を形成するための第一分離器37を備える。
【0158】
図13に示す通り、特に、第一細菌汚染管理環境38は容器2のフィニッシュ4cを収容する位置まで延設されており、容器2の本体2aは第一環境38の外部にある。
【0159】
封止装置40は、複数の封止ステーション45を備える。各封止ステーション45には封止ヘッド46が配置される。
【0160】
それぞれの封止ヘッド46は、凹状封止部品50を対応する容器2に取り付け締め付けるよう構成される。本明細書において、凹状封止部品50は、基部50aと、基部50aから延設されて基部50aとともにキャビティを形成する側面50bと、を備えるカプセルまたはキャップ(
図17参照)を意味する。基部50aの反対の側に、封止部品50は、容器2の口部4dを収容するための開口部を有する。
【0161】
凹状封止部品50の取り付けは、軸方向下方向への圧力と、その後の容器2の首部4b回りのねじ込みによって行われる。このために、容器2の首部4bの外ネジにねじ込まれるよう、封止部品50の側面50bには内ネジが形成されている。
【0162】
好ましくは、封止装置40は回転ラック・タイプである。あるいは、封止装置40はリニアタイプとすることもできる。
【0163】
封止装置40は、好ましくは、封止ヘッド46から封止ステーション45における容器2の首部4bによって規定される位置へと延設される空間を有している第二細菌汚染管理環境48を形成するよう構成される第二分離器47を備える。
【0164】
図14に示す通り、特に、第二細菌汚染管理環境48は少なくとも容器2のフィニッシュ4cを収容する位置まで延設されており、容器2の本体2aは第二環境48の外部にある。一の実施形態では、第二細菌汚染管理環境48は容器2のフィニッシュ4cの直下の区域をも収容する位置まで延設されており、これにより、容器2の本体2aの大部分は第二環境48の外部にある。
【0165】
さらなる実施形態において、封止装置40は、凹状封止部品50を容器2に取り付けるユニット140と、容器2に取り付けられた封止部品50を締め付けるユニット141と、の少なくとも二つの別々のユニットを備える。
【0166】
特に、封止部品50の取り付けユニット140は、封止部品50を容器2の口部4dに位置付けし押圧するよう構成される。
【0167】
取り付けユニット140において、それぞれの封止部品50は好ましくは、ガイド(「飛行による(on the fly)」グリップ)を用いて対応する容器2の口部4dに位置付けされ、こうして、移動の際に容器2が出くわす傾斜面Pによって生じる圧力を用いて口部4dへと押圧される。
【0168】
封止部品を取り付けるための取り付けユニット140は、好ましくは、容器2の首部4bの周囲の狭い区域まで延設される空間を有する第三細菌汚染管理環境148を形成するよう構成される第三分離器147を備える。
【0169】
図16に示す通り、特に、第三細菌汚染管理環境148は少なくとも容器2のフィニッシュ4cを収容する位置まで延設されており、容器の本体2aは第三環境148の外部にある。一の実施形態では、第三細菌汚染管理環境148はフィニッシュ4cの直下の区域をも収容する位置まで延設されており、これにより、容器2の本体2aの大部分は第三環境148の外部にある。
【0170】
締め付けユニット141において、それぞれの封止部品50は、対応する容器2の首部4bにねじ込まれ、密封を行いその密封を完全なものとする。
【0171】
締め付けユニット141は好ましくは、既知のタイプの蓋締め器から構成される。
【0172】
容器が互いに接触するのを回避するよう、封止部品の取り付けユニット140と締め付けユニット141との間には好ましくは容器移動システムが備えられる。例えば、この移動システムは、容器2の首部4bに機能的に作用する複数のグリッパまたは複数のセルを支持する移送星型コンベヤーを少なくとも備える。
【0173】
互いに接触しない移動は、封止部品50が浮き上がる虞がある、容器2同士がぶつかり合うのを防止することを目的とする。
【0174】
次に、無菌容器の生産方法を説明する。
【0175】
まず、熱可塑性物質の果粒からパリソン4を成型する工程が含まれる。
【0176】
成形を開始する前に、好ましくは、パリソン4と接触するよう構成された第二の型16の表面が洗浄される。
【0177】
特に、供給ノズル18は好ましくは、第二の型16の凸部16b(オス側)の外面に洗浄流体をスプレーする。
【0178】
好ましくは、凹部16a(メス側)の内面は洗浄される。
【0179】
供給ノズル18は好ましくは、細菌汚染除去するよう、パリソン4の内側にも洗浄流体をスプレーする。
【0180】
その後、果粒は、射出型成形によってまたは圧縮もしくは射出・圧縮によって、第二の型16において溶融され形を与えられる。
【0181】
パリソン4と接触可能な第二の型16の表面の洗浄工程は好ましくは、所定の、予定設定可能な時間間隔で(例えば、型成形サイクル毎でもよい)周期的に実行される。
【0182】
型成形工程の終了時に、パリソン4は約100℃の温度であり、そして、延伸吹き付けによって成形するのに適した温度分布特性に与えるために温度調節される。
【0183】
またパリソン4は好ましくは、熱的に作用可能な殺菌剤により細菌汚染除去を受ける。
【0184】
温度調節(また必要に応じて細菌汚染除去)の終了時に、その後、パリソン4が延伸吹き付けのための成形ユニット3の第一の型6の内部に導入される。
【0185】
型成形ユニット13から温度調節ユニット23までの移送、そしてそこから成形ユニット3までの移送において、パリソン4は、その首部4bに作用するよう機能する把持器によって、外側が常に把持されている。
【0186】
パリソン4の移動は、「個別に」行われる、つまり、それぞれパリソン4が一つずつ、把持手段14,15によって装填される。把持手段は、例えば上方から把持する把持器14もしくは把持ヘッド15、または移送星型コンベヤーのセルとすることもできる。例えばコンベヤー・ベルトを用いたしっかりとは保持されない(ルーズな)パリソンの移動は考察しない。
【0187】
成形ユニット3においては、各型6の半切の型6a,6bは、ハウジング・キャビティ7の内部に対応するパリソン4を収容するための第二構成に配置される。
【0188】
成形だけでなくパリソン4の細菌汚染除去も、第一の型6の内部で行われる。
【0189】
第一実施形態において、細菌汚染除去は、ハウジング・キャビティ7の外部でプラズマを生成しパリソン4の内部にプラズマを吹き付けることにより行われる。
【0190】
例えば、プラズマの生成は、バルブユニット213から流入する吹き付け流体から、第一の型6の近傍で行われる。
【0191】
特に、最大圧力が約16バールのプラズマをパリソン4へ吹き付ける前吹き付け工程が含まれる。このために、バルブユニット213は、プラズマ発生器19の入口20を、最大圧力が16バールの流体を受ける一次ライン211と連通させることができる。
【0192】
前吹き付け工程に続いて、最大圧力が約40バールのプラズマをパリソン4へ吹き付ける本来の適切な吹き付け工程が含まれる。この場合、バルブユニット213は、プラズマ発生器19の入口20を、最大圧力が約40バールの流体を受ける二次ライン212と連通させることができる。
【0193】
成形プロセスの終了時に、容器2の内部に残っている残留ガスは、吐出ライン214を通じて排気される。プラズマの生成は、吹き付け流体圧縮ステージ216の下流側で行われる。
【0194】
この場合、圧縮ステージ216では、最大圧力が約8バールの吹き付け流体と、プラズマ発生器19によってプラズマに変換される流体と、を生成する。その後、このプラズマは二つのプラズマ圧縮ステージ221,222において約40バールまでさらに圧縮される。
【0195】
前吹き付け工程の間、バルブユニットは、最大圧力約16バールのプラズマを受ける一次ラインを吹き付けノズル10と連通させることができる。
【0196】
また、プラズマを吹き付け続けることにより、実際の吹き付けフェーズの間、最大圧力約40バールのプラズマを受ける二次ラインを対応する吹き付けノズル10と連通状態に設定することができる。
【0197】
前吹き付け工程の間、それぞれの成形ステーション5において、吹き付けノズル10は、しっかりと密封を行うよう、パリソン4の口部を封止するようにフィニッシュ4cに密封を形成する。延伸ロッド11は、パリソン4のチューブ体4aの内部へと、その底部に達するまで、ゆっくりと挿入される。底部に接触した後に、延伸ロッド11は、形成される容器2の所望の長さに十分達するまでパリソン4のチューブ体4aを引き伸ばすよう、直進を続ける。
【0198】
実際の吹き付けフェーズの間、形成された容器2から抜けるまで、延伸ロッド11は後退する。
【0199】
オプションとして、延伸吹き付けによる成形が完了した後、形成された容器2の内壁の細菌汚染除去を、容器の内部により多くのプラズマを吹き付けることによって完了する工程を含むこともできる。成形プロセスが完了したとき、容器の内部に残った残留ガスは、吹き付けノズル10を通過し、バルブユニットによって制御される吐出ラインを通じて排気される。
【0200】
第二実施形態において、殺菌は、ハウジング・キャビティ7の内部にプラズマを直接生成することによって行われる。
【0201】
例えば二つの連結された半切の型6a,6bは、それぞれの成形ステーション5にパリソン4を囲繞する中空体を形成する。特に、二つの連結された半切の型6a,6bは、パリソン4のチューブ体4aを囲繞する。
【0202】
このとき、大気圧より高い圧力の流体がパリソン4へと吹き付けられる。既に説明した通り、前吹き付け工程と実際の吹き付け工程との二つの工程が含まれる。
【0203】
流体がパリソン4へと吹き付けられている間に、延伸ロッド11と連結された半切の型6a,6b(中空体を形成する)との間に電圧差が印加され、その電圧差は、プラズマを発生する放電を生じさせる電圧差である。例えば、印加される電圧差は20〜30kVの範囲である。
【0204】
特に、プラズマの発生は、前吹き付け工程の間に、または次の吹き付け工程の間にのみ同様に行うことができる。
【0205】
また、延伸ロッド11と連結された半切の型6a,6b(中空体を形成する)との間の電圧差の印加は好ましくは、流体を吹き付ける工程が完了した後に行われる。このために、吹き付け工程の後に、延伸ロッド11は、1〜2秒の範囲の時間、形成された容器2の内部に保持される。
【0206】
また、プラズマ発生は、吹き付け工程の後にも含まれ、形成された容器2に直接作用することにより殺菌は完了する。
【0207】
例えば、吹き付け工程の後に、形成された容器2の外部へと残留ガスが放出され、次に、電圧差が延伸ロッド11と連結された半切の型6a,6bとの間で印加される。形成された容器2内の流体は大気圧であるので、この工程におけるプラズマの発生は明らかに簡単である。
【0208】
あるいは、前吹き付け工程の間にまたは前吹き付け工程の一部の間にのみプラズマを発生することもできる。
【0209】
上に示した通り、パリソン4がハウジング・キャビティ7に装填されるとすぐに、吹き付け工程に先立って、ハウジング・キャビティ7における既に存在している大気圧の空気を用いて、プラズマを発生することもできる。
【0210】
中空体225が管状である実施形態において、二つの型6a,6bの連結の後にまたは間に、中空チューブ体225の移動が、待機位置から動作位置へと移行するよう、行われる。
【0211】
中空チューブ体225は、ハウジング・キャビティ7と好ましくは同軸状であり、第一の型6に形成された溝(図せず)を通じてハウジング・キャビティ7へと挿入される。例えば、この溝は、第一の型6の二つのベースの一方に形成される。
【0212】
特に、パリソン4のチューブ体4aを部分的にまたは全体的に囲繞するまで、中空チューブ体225は、ハウジング・キャビティ7の長手方向軸Aに沿って直線的に移動される。
【0213】
延伸ロッド11と中空チューブ体225との間に十分な電圧差が印加され、その電圧差は、プラズマを発生する放電を生じさせる電圧差である。例えば、印加される電圧差は20〜30kVの範囲である。
【0214】
同時に、大気圧より高い圧力の、好ましくは約8バールの流体がパリソン4へと吹き付けられてもよい。発生したプラズマは、パリソン4を殺菌することができる。
【0215】
次に、中空チューブ体225は待機位置へと戻される。好適には、中空チューブ体225の移動の全期間(待機位置から動作位置、そして逆方向)はコンマ数秒である。
【0216】
容器2の成形は、パリソン4内の最大圧力約40バールの吹き付け流体によって進行する。
【0217】
特に、前吹き付けプロセスの間に、延伸ロッド11は、パリソン4の底部に達するまで、パリソン4内へとゆっくりと射し込まれる。底部に接触した後に、延伸ロッド11は、形成される容器2の所望の長さに十分達するまでパリソン4のチューブ体4aを引き伸ばすよう、直進を続ける。
【0218】
前吹き付け工程の後、本来の適切な吹き付け工程が行われる。
【0219】
延伸ロッド11と連結された半切の型6a,6bとの間に電圧差を印加するための工程が、好ましくは吹き付け工程の後に行われる。このために、吹き付け工程の後に、延伸ロッド11は、1〜2秒の範囲の時間、形成されたパリソン4の内部に保持される。
【0220】
また、吹き付け工程の後に、形成された容器2に直接作用するプラズマを活性化することにより、殺菌は完了する。
【0221】
例えば、吹き付け工程の後に、形成された容器2の外部へと残留ガスが放出され、次に、電圧差が延伸ロッド11と連結された半切の型6a,6bとの間で印加される。
【0222】
形成された容器内の流体は大気圧であるので、この工程におけるプラズマの発生は明らかにより簡単である。
【0223】
吹き付け工程の後にプラズマを発生するための工程が含まれていない場合、延伸ロッド11は吹き付け工程の間に既に後退が開始される。
【0224】
第三実施形態において、第一の型6におけるパリソン4の殺菌は、殺菌流体を噴霧することにより行われる。
【0225】
第四実施形態において、パリソン4の殺菌には、延伸ロッド11を通じて放射線を放出する工程が含まれる。放射線は、第一の孔が空けられた端部11aから出て、パリソン4の内壁に当たる。
【0226】
成形ユニット3からの出口において、容器2は充填装置30に移送される。
【0227】
特に、容器2の本体2aではなく容器2の首部4bと充填ノズル36とを含むよう延設される空間である、充填が行われる空間を実際に分離する第一分離器37が備えられているので、容器2の首部4bは無菌条件に維持される。
【0228】
充填されると、容器2は密封装置40へと移動する。容器2の本体ではなく容器2の首部4bと蓋締めヘッド46と含むよう延設される空間である、容器2の密封が行われる空間を実際に分離する第二分離器47が備えられているので、密封装置40においては、それぞれの容器2の首部4bが無菌条件に維持される。
【0229】
第一分離器37と第二分離器47は好ましくは、容器2の首部4bの区域を封じ込める単一の分離器を構成するよう、互いに連通に状態にある。
【0230】
図15に示す通り、好ましい実施形態において、容器40の密封は二つの工程で行われる。
図16aに示す第一工程において、封止部品50は、容器2の口部4dに位置付けされ(「飛行によって(on the fly)」グリップされ)、口部4dに押圧される。この第一工程は、第三細菌汚染管理環境148において行われる。このように封止部品50は、容器2に汚染菌が入ってくるのを防ぐ一時的な物理的障壁を形成し、これにより、容器2を、細菌汚染される虞がない状態で、第三細菌汚染管理環境148から取り出すことができる。
【0231】
図16bに示す通り、第二工程において、封止部品50は容器2の首部4bにねじ込まれ、容器を封止する。第二工程は、第一工程の後に、従来の、つまり無菌でない蓋締め器141において(したがって非無菌環境において)行われる。
【0232】
以上の説明から、本発明にかかる無菌容器の生産装置、その装置を備える容器詰めプラント、および無菌容器の生産方法の特性は明確であり、それらは有益である。
【0233】
第一に、容器の生産装置の内部にパリソン型成形ユニットを組み込むとともに、パリソンの殺菌をブロワの直上で予め行わせることにより、分離器を境界面で機能するすべての部材(例えば無菌区域と外部環境との間の封止システム、延伸ロッドの閉じ込め、吹き付けられるエアー回路の殺菌システムなどの)とともに用いて「無菌」ブロワの構造が複雑になるのを回避できる。
【0234】
実際、型成形ユニットのこの組み込みにより、パリソンを形成する間のパリソンの細菌汚染を管理下に置き、低い細菌汚染レベルでパリソンをブロワへと送出することができる。これはまた、約100℃である、型成形ユニットから出口におけるパリソンの高温による効果でもある。
【0235】
型成形ユニットの型、特にオス側の洗浄により、パリソンの内面の細菌汚染を回避することができる。
【0236】
パリソンの外面に作用する把持手段のみによるパリソンの取り扱い、およびパリソンをウルトラクリーン環境に維持することも、これに役立つ。
【0237】
型成形ユニットから出て来るパリソンは、無菌状態であるとは考えることができないが、次の殺菌工程を簡単にして、無菌状態の維持するための臨界パラメータの数を制限することができる高いクリーンレベルに達することができる。例えば、無菌のラインにおいて通常必要とされる4/6D値の代わりに、2D値を用いることができる。
【0238】
無菌能力のこの緩和により、より迅速に殺菌を行うことができる。
【0239】
特にブロワの内部の殺菌にはプラズマが関連する。
【0240】
実際、第一実施形態において、大気圧より高い圧力でプラズマを生成すること、そしてそれを吹き付け流体の代わりに用いることによって、パリソンの型成形と細菌汚染除去とを同時に行うことができる。
【0241】
第一実施形態においては、延伸吹き付けによって成形するための成形装置における既に備えられている通常の要素(コンプレッサ、バルブユニット、型、延伸ロッド、吹き付けノズルなど)に加えて必要とされるのはプラズマ発生器のみであるので、提案する装置はコンパクトで構造的に簡単である。
【0242】
また、吹き付けノズルの近傍にプラズマ発生器を配置することにより、寿命が短い、プラズマに存在するラジカル種(「活性酸素種(Reactive Oxygen Species)」の頭字語R.O.S.としても一般に知られている)の経路が短くなるので、高い効率が達成される。
【0243】
バルブユニットにプラズマ発生器を組み込むことにより、より一層コンパクトな解決法が得られる。
【0244】
プラズマ発生器と平行に形成される吐出ラインによって、残留ガスをプラズマ発生器へと排気することによる圧力低下が防止される。
【0245】
プラズマ発生器が比較的低い入口圧力(最大約8バール)で動作する場合、全体的な構造設計をさらに簡単にできる。
【0246】
さらに、吹き付けノズルはフィニッシュに密閉を行うので、プラズマはまた、パリソンの首部の外面に全体に流れ、その首部の外面をも殺菌する。
【0247】
第二実施形態において、プラズマは、二つの電極間に電位差を印加することにより、パリソンのハウジング・キャビティの内部に直接生成される。
【0248】
延伸ロッドと第一の型とを電極として用いることにより、したがって追加の要素は必要でないので、コンパクトさ、および構造的な簡単さの点からその利点は明確である。
【0249】
延伸ロッドと中空チューブ体とを電極として用いることにより、電極間の距離が短くなり、電極間の誘電体がプラズマを発生しやすくさせる。
【0250】
形成工程前にまたは前吹き付け工程の一部において、したがって明らかに低い圧力(大気圧であってもよい)で、ハウジング・キャビティ内でプラズマを直接発生することは、相対的にさらに容易である。実際、入ってくる流体の圧力が増加すると、吐出する流体(誘電体として機能する)の抵抗が増加するので、プラズマを発動させることがより困難になることが知られている。
【0251】
さらに、中空チューブ体を金属ケージとして構成することにより、金属ケージを移動させるための移動時間(ケージが中実壁を有する本体より軽量な場合)を短縮するという利点があり、したがって、成形工程に先立って殺菌をすぐさま開始することができ、前吹き付け工程を開始する前に迅速にケージを移動できる利点がある。実際、金属ケージの移動に必要な全時間はコンマ数秒である。さらに、吹き付け工程の後に大気圧でプラズマを生成する(延伸ロッドと半切の型との間に電圧差を印加することにより)ことによって、形成された容器の殺菌を完了する。
【0252】
プラズマを用いる(第一実施形態および第二実施形態)場合において、パリソンの殺菌と成形とは不可分なプロセスであり、したがって、所望のレベルより低い細菌汚染環境を維持するさらなる対策は必要ではない。実際、吹き付けられてまたは発生するプラズマによって、容器は無菌の状態で形成される。
【0253】
このため、これまでは常に前後して行われていた二つの工程を、つまり殺菌工程と成形工程とを、同時に行うので、全包装時間を短縮できる。
【0254】
吹き付け自体の前、間、または後に、殺菌プロセスが吹き付けキャビティにおいて行われるので、「従来の」ブロワを用いることができる。この「従来の」ブロワはしたがってブロワ/殺菌器になる。
【0255】
環境と吹き付けられる空気とを殺菌する殺菌サイクルは必要ではない。
【0256】
このため、特に酸性度が高い飲料を包装する場合には、ブロワの上流側でパリソンを殺菌するための殺菌器を省略することができる。
【0257】
さらに、プラズマの使用は、化学的手段または放射線の使用と比較してさらに有用である。殺菌時間を短縮でき、容器内に過酸化物の残留物が成形されるのを回避でき、そして略均一にパリソンおよび容器の内面と外側首部を殺菌できるからである。
【0258】
なお、型成形ユニットおよび温度調節ユニット、さらにはあらゆる実際の中間移送ユニットは、殺菌・成形工程までパリソンの細菌汚染を管理するよう維持するウルトラクリーン環境に配置されることを記載しておく。
【0259】
容器詰めラインの初期工程(型成形工程および延伸吹き付け工程)の簡略化は、次のユニットにおいても繰り返される。実際、容器の充填工程と蓋被せ工程との両方は、首部の区域周囲に制限的な無菌空間を予め形成する工程を含む。
【0260】
したがって、無菌区域はブロワの下流側のみに形成される。
【0261】
特に、形成の終了時に、容器は内部が無菌状態であり、そして首部の区域も無菌状態である。それは、充填装置に第一分離器を予め形成して、首部区域のみを閉じ込めておくことによって、容器の外面にあるすべての汚染菌が首部を通って容器の内部に達するのを防止できる。
【0262】
同じことが容器を密封する装置にも行われる。
【0263】
密封装置を密封部品の取り付けユニットと締め付けユニットとに分割する実施形態にはさらなる利点がある。
【0264】
封止部品を容器の口部に位置付けし次に押圧することにより、細菌汚染管理区域において、内部を無菌状態に維持することができ、その結果、区域の外側で(つまり非無菌区域において)、一例では従来の蓋締め器(非無菌の)において、封止部品をねじ込むことによって容器を締め付けることができる。
【0265】
これによっても、無菌空間をさらに低減でき、その結果、殺菌時間をさらに短縮できる。