特許第6789953号(P6789953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789953
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】動的基準点アレイ及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20201116BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20201116BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20201116BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20201116BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A61B6/00 390C
   A61B6/12
   A61B6/03 377
   A61B5/055 390
   A61B17/56
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-538351(P2017-538351)
(86)(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公表番号】特表2018-509949(P2018-509949A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】US2016014316
(87)【国際公開番号】WO2016118744
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2018年10月30日
(31)【優先権主張番号】14/602,723
(32)【優先日】2015年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】セオドア,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】クローフォード,ネイル
(72)【発明者】
【氏名】フォスター,ミッチェル
【審査官】 井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−531596(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0118750(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0306499(US,A1)
【文献】 特開2006−081569(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0052792(US,A1)
【文献】 特表2006−518655(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0215888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 13/00−18/18
A61B 34/00−34/37
A61B 5/05−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的基準点アレイであって、
足場と、
カメラによって追跡可能な複数の追跡マーカと、
前記足場に連結され、前記複数の追跡マーカとは別個である複数の基準点マーカであって、患者に関する医学画像において検出される複数の基準点マーカと、
回動機構により前記足場に連結された取付部材であって、
前記取付部材に対する前記足場の移動を可能にしつつ、前記足場を前記患者に固定するように構成されており、
前記複数の基準点マーカを前記患者の近くの第1ポジションまたは、前記患者の体表から離れた第2ポジションに位置付けるように構成されており、
前記複数の追跡マーカを前記第1ポジションまたは前記第2ポジションに位置付けるように構成されている取付部材と、
不注意に追跡してナビゲートすることを防止できるように、前記追跡マーカまたは前記基準点マーカが前記第1ポジションにあるか前記第2ポジションにあるかを自動的に判定するように構成されているイメージ誘導ソフトウェアと、を備える、動的基準点アレイ。
【請求項2】
前記基準点マーカは、放射線不透過性マーカであり、前記追跡マーカは、赤外線マーカである、請求項1に記載の動的基準点アレイ。
【請求項3】
前記基準点マーカおよび前記追跡マーカのうちの少なくとも一部は、放射線不透過性マーカ及び赤外線マーカの両方
である、請求項1に記載の動的基準点アレイ。
【請求項4】
前記回動機構は、玉継手、ヒンジピン、またはスライド機構を含んでいる、請求項1に記載の動的基準点アレイ。
【請求項5】
前記取付部材は、ヒンジピンを有するクランプを含んでいる、請求項1に記載の動的基準点アレイ。
【請求項6】
前記取付部材は、クランプを含んでいる、請求項1に記載の動的基準点アレイ。
【請求項7】
前記取付部材は、患者へ取り付けのための2つのポストを含んでいる、請求項1に記載の動的基準点アレイ。
【請求項8】
前記2つのポストは、前記ポストを前記足場に連結する球状特徴部を有しており、前記球状特徴部が前記回動機構の一部を形成している、請求項7に記載の動的基準点アレイ。
【請求項9】
前記複数の追跡マーカの少なくとも1つは、前記足場に連結され、かつ、前記複数の追跡マーカのその他に対して相対的に当該少なくとも1つが移動可能に構成されるように、前記取付部材に連結される、請求項1に記載の動的基準点アレイ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年6月21日に出願された「Surgical Robot Platform」という名称の米国特許出願第13/924,505号の一部継続出願であり、当該特許出願第13/924,505号は、2012年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/662,702号に基づく優先権を主張する仮出願である2013年3月15日に出願された米国特許出願第61/800,527号の本出願である。なお、これらの文献は参照によって、その全体が本明細書に援用されるものとする。
[背景技術]
実施形態は、外科的なナビゲーション手法を対象とし、より詳しくは、実施形態は、放射線不透過性の基準マーカまたは追跡マーカとし得る複数の作動部材を含む動的基準点アレイを対象とする。
【0002】
動的基準点アレイは、典型的に、ナビゲートされる外科的な手技の間に患者の解剖学的構造に一時的に取り付け得る剛体とすることができる。動的基準点アレイは、通常「標的合わせ治具(targeting fixtures)」と呼ぶこともできる。動的基準点アレイは、骨へのピンあるいはクランプを用いて患者の解剖学的構造に取り付け得るマーカツリーを含むことができる。動的基準点アレイの目的は、患者の解剖学的構造の3次元位置のリアルタイムな追跡と、患者の解剖学的構造のコンピュータ化された3次元(3D)座標系へのマッピングとを可能にすることにある。動的基準点アレイが位置合わせされたときに、例えばロボットのような機械的システムは、コンピュータ化された3次元座標系における既知の場所に対応する、患者の解剖学的構造上での場所を標的とすることが可能であり、その機械的システムがネジもしくはニードルの挿入をガイドし、または標的合わせを必要とする他の外科的なもしくは治療的な手技を実行することを可能にする。動的基準点アレイの位置合わせは、ポイント間での位置合わせ、ポイントクラウド位置合わせ、または代替的な方法を用いてなすことができる。
【0003】
ポイント間の位置合わせは、カメラ座標系及び解剖学的座標系に共通の既知の点が識別されることを必要とする。動的基準点アレイの構造上での解剖学的な目印または基準点マークは、デジタル化プローブを用いて識別できるが、それは埋め込まれた追跡マーカを有するワンドとすることができ、ワンドのハンドルに埋め込まれた基準マーカの位置に基づいてワンドの先端の3次元場所をシステムが外挿できるようにする。例えば、画像誘導システムは、ソフトウェアの機能によりL4棘状突起の先端にワンドで触れなければならないことをユーザに表示することができ、かつユーザはソフトウェア上でこの手順を確認しつつ、そのツールでその点に物理的に触れることができる。続いて、システムはL5棘状突起の先端をワンドで触れなければならないことを表示することができ、次いで他の点については、解剖学的座標系とカメラ座標系の良好な相互の位置合わせを確実にするために十分な点が識別されるまでこのプロセスが繰り返される。
【0004】
ポイントクラウド位置合わせは、典型的に骨の表面の全体にわたってデジタル化プローブまたはワンドの先端を引きずることにより、点のアレイ(クラウド)がユーザにより手動で識別されることを必要とし得る。骨の輪郭が特徴付けられ得ると、システムは、合致する骨の表面輪郭について解剖学的画像を検索できる。物理的に識別された点アレイの輪郭が、骨の解剖学的構造の画像処理により見出された輪郭に合致する場合、解剖学的座標系とカメラ座標系は、正確に相互に位置合わせすることができる。これらのポイント間の位置合わせ及びポイントクラウド位置合わせの方法は、当該技術分野において既知である。
【0005】
ポイント間の位置合わせ及びポイントクラウド位置合わせの方法を用いることに加えて、動的基準点アレイ上に一時的にあるいは恒久的に装着された追加の部片を活用する自動的な位置合わせの代替的な方法を用いることができる。この位置合わせ方法は、ソフトウェアにおいて、自動であるいは手動で「基準点アレイ」と呼ばれる3つ以上の放射線不透過性基準点マーカの3次元の医学画像空間内の位置を突き止めることができる。放射線不透過性は、医学画像の3次元空間内において、基準点マーカが可視でありかつ識別可能な特性を指す。これらの基準点マーカの物理的な位置はユーザの介入なしに光学追跡システムにより見出すことができる。基準点マーカは、動的基準点アレイの一部である追跡マーカに対し既知の位置において、動的基準点アレイに装着できるからである。基準点マーカの追跡マーカに対する固定された関係、3次元画像空間内の基準点マーカの既知の位置、及びカメラ座標系における追跡マーカの検出された位置を用いることにより、カメラ座標系と画像座標系の相互の位置合わせが可能である。
【0006】
患者の手術を実行する場所の近くに基準点アレイを装着することが好ましい。基準点マーカからの距離が増加すると、解剖学的構造の場所を突き止める精度が低下するからである。しかしながら、追跡マーカが手術の道具や開創器等と干渉しないように、患者の手術を実行する場所から離して追跡マーカを装着することが好ましい。
【0007】
したがって、同一の動的基準点アレイ上で放射線不透過性の基準点部材及び追跡部材の両方を用いることができる装置の必要性がある。更に、手術の間に手術の道具と干渉しないようにしつつ、患者の解剖学的構造にできる限り近づけて動的基準点アレイを配置する必要性がある。単一の動的基準点アレイで患者の手術を実行する能力は、手術の準備及び手術の間に消費する時間を大幅に減少させる。動的基準点アレイの適用及び動的基準点アレイと共に用いる技術は、全体的な外科手術及び手術の結果を改良できる。
[発明の概要]
当該技術分野における、これら及び他の必要性は、一実施形態において対処される。そこにおいて、動的基準点アレイは、足場、足場に連結される複数のマーカ、及び回動機構を有する足場に連結される取付部材を備え、該取付部材は、取付部材に対する足場の移動を可能にしつつ、動的基準点アレイを患者に固定するように構成される。他の実施態様においては、動的基準点アレイを用いて、動的基準点アレイを患者に取り付けることと、動的基準点アレイ上の足場が第1の位置にある間に患者を走査することと、患者の解剖学的構造に対して動的基準点アレイを位置合わせすることと、動的基準点アレイが患者に取り付けられたままである間へと足場を移動させることとを含むことができる、方法に取り組む。
【0008】
前述は、以下の発明の詳細な説明がよりよく理解することができるように、本発明の特徴及び技術的利点をやや広義に概説した。本発明の追加の特徴及び利点は、本発明の請求項の対象となる以下に記載されている。開示される概念及び特定の実施形態が、本発明の同じ目的を実行するための他の実施形態を変更するかまたは設計するための基礎として、容易に利用できることを当業者は理解するであろう。当業者には、そのような等価な実施形態が添付の請求項に記載の本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことも理解されるべきである。
[図面の簡単な説明]
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明のために、ここで添付の図面を参照する。
【0009】
図1]人間の脊椎モデルの腰椎の棘状突起に装着された動的追跡装置の一実施形態を図示している。
【0010】
図2]位置合わせ(較正)及び追跡するための方法の一実施形態を図示している。
【0011】
図3]放射線不透過性基準点マーカの検出座標を用いて医学画像を位置合わせする方法の一実施形態を図示している。
【0012】
図4A]誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
【0013】
図4B]誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
【0014】
図4C]誘導システムと共にした較正フレームの特徴付けの一実施形態を図示している。
【0015】
図4D]誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
【0016】
図4E]誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
【0017】
図5A]クランプ機構を備える変更されたマウントを備える、動的基準点アレイの一実施形態を図示している。
【0018】
図5B]クランプ機構を備える変更されたマウントを備える動的基準点アレイの一実施形態を図示している。
【0019】
図5C]クランプ機構を備える変更されたマウントを備える動的基準点アレイの一実施形態を図示している。
【0020】
図6A]棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
【0021】
図6B]棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
【0022】
図7A]棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
【0023】
図7B]棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
【0024】
図8A]仮のマーカスカートを含む動的基準点アレイにより変更されたクランプ機構を図示している。
【0025】
図8B]仮のマーカスカートが取り外された動的基準点アレイにより変更されたクランプ機構を図示している。
【0026】
図9A]下降位置の動的基準点アレイを図示している。
【0027】
図9B]上昇位置の動的基準点アレイを図示している。
【0028】
図10A]静的位置にある代替的なトラッカと共に下降位置にある動的基準点アレイを図示している。
【0029】
図10B]静的位置にある代替的なトラッカと共に下降位置にある動的基準点アレイを図示している。
【0030】
図11A]動的基準点アレイを骨に固定するために用い得る2つの柱を図示している。
【0031】
図11B]2つの柱を選択された位置に固定するために用いられる開いたクランプの内側の視野を示している。
【0032】
図11C]2つの柱を動きから固定している、閉じたクランプを図示している。
[発明を実施するための形態]
動的基準点アレイは、本明細書において、「DRA」と呼ぶが、ナビゲートされる外科的手技の間に一時的に患者に取り付けられる剛体である。それらの目的は、DRAに埋め込まれている追跡マーカの位置を3次元位置測定システムが追跡できるようにし、それによって、関連する解剖学的構造のリアルタイムな位置を追跡することにある。そのような追跡が有益なデータを提供することができる前に必要となり得るステップは、解剖学的構造を位置合わせすることであり得、それにより、解剖学的構造の座標系(例えば、3次元CT走査空間)から追跡システムの座標系への変換を定めることができる。位置合わせの方法を以下に簡単に説明する。
【0033】
図1は、患者1のモデルの範囲内の棘状突起2を表示している。DRA4は棘状突起2に取り付けることができる。この特定のDRA4は、足場6、複数の追跡マーカ8、及びクランプ機構10を備えている。足場6とクランプ機構10は、単一構造とし、または図9A図9B図10A及び図10Bに図示されているように角度調整のための回動機構12によって、接続できる。回動機構12はヒンジ、ボールとソケット、または他の適切な継手を含むことができ、DRA4が骨に堅固に固定されまたは締結されたままである間に足場6の配向を調整できるようにする。追跡マーカ8は、足場6上の何らかの適切な場所に配置できる。追跡マーカ8は、その3次元位置をセンサを用いて正確に検出できる何らかの軽量な装置とすることができる。例えば、追跡マーカ8は、2つ以上の光学カメラによる立体写真計測法を用いて追跡される反射球体、2つ以上の光学カメラによる立体写真計測法を用いて追跡される赤外発光ダイオード、磁界の範囲内の位置を検出できる磁気センサ、及び/またはその位置を部屋の周りの既知の位置に固定された無線周波受信機への飛行時間を計測する方式により検出できる無線周波エミッタとすることができる。それらの追跡システムに対する追跡マーカ8の位置は、回動機構12を用いて調整できる。例えば、DRA4上の反射球体の位置は、カメラから治具へのより良好な見通し線が存在するように回動機構12を用いて調整できる。
【0034】
図2は位置合わせ方法に用い得るアルゴリズムを図示している。図示されるように、位置合わせの方法14はブロック16から始まる。ブロック16は、医学画像にアクセスする(例えば、受信する、読み出す、または取得する)ことを含むことができる。本明細書に説明するように、その医学画像は、CT走査、磁気共鳴画像走査(以下「MRI走査」と記載)、3次元蛍光透視法走査、及び/または他の解剖学的な走査を含む3次元解剖学的画像走査とすることができるが、それらには限定されない。ここで理解されるべきことは、どの3次元解剖学的走査も、図示しない外科的なロボットと共に用いることができ、かつ本発明の範囲内であり得ることである。いくつかの実施形態では、ブロック18において、位置合わせ方法14は、DRA4を医学画像に対して較正することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、その較正は半自動または自動とすることができる。いくつかの実施形態では、ブロック20において、位置合わせ方法14は、医学画像に関連する意図された軌道を表すデータを受信することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、ブロック22において、位置合わせが完了した後、位置合わせ方法14は、実質的に意図された軌道上にロボットを維持することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、制御プラットフォーム(図示されない)は、実質的に意図された軌道を維持するためにロボットの移動を調整できる。
【0035】
図3に図示するように、医学画像にDRA4を位置合わせするブロック18は、半自動の較正方法を実施できる。ブロック26から始め、複数の放射線不透過性基準点マーカ24(例えば、図1上の基準点マーカ24)の表示を含む医学画像を表すデータを受信できる。一実施形態においては、本明細書に記載するように、そのような複数とは4つの基準点マーカ24を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブロック28において、医学画像に関する座標系における各基準点マーカ24の幾何学的な中心を決定できる。
【0036】
いくつかの実施形態では、各基準点マーカ24の1つ以上のエッジとその幾何学的な中心を定めるために、画像二値化処理を用いることができる。二値化処理は、2次元(2D)領域内の画素強度をモニターし得る画像処理技術を指す。例えば、予め定められた値に達する強度の画素のx、y位置(例えばミリメートルで表される)を読み出すことができる。同様に述べると、その閾値は明るいものから暗いものへの画素強度の遷移を指す。いくつかの実施形態では、医学画像の2次元スライス上で、基準点マーカ24は明るく見えかつ隣接する空間(例えば組織または空気)は暗く見え得る。いくつかの実施形態では、基準点マーカ24の縁部において遭遇する強度での二値化基準を満たす画素を表示することは、医学画像上にマーカの輪郭を描く主に円形の図形を生み出し得る。いくつかの実施形態では、基準点マーカ24を球体とし得るので、基準点マーカ24の中心を2次元視野内に見出す方法は、第1に、球体の高強度の画像が領域の中心に向かいかつ低強度の画素が領域の外縁部に向かうサンプリング領域に2次元視野を限定することを含み得る。第2に、この方法は、平均×閾値の位置を見出すこと(例えば、閾値基準を満たす画素の最大のx座標に閾値基準を満たす画素の最小のx座標を加算して2で除算すること)、及び類似の方法を用いて平均y閾値の位置を見出すことを含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、球体の中心は、直交する2つの視野において、同じ基準点マーカ24を通過するスライスの2次元中心を決定することにより見出すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、この方法は、xyスライスからの平均のxと平均のyを見出し、次にxzスライスから平均のxと平均のzを見出して、基準点マーカ24の中心を表す平均のx、y及びz座標を得ることができる。更に、平均のx、平均のy及び平均のzを見出したときにまたは見出した後に、新しいxy及びxzスライスを再び評価し、かつ最大及び最小のx、y及びzの閾値を再び決定して各視野における閾値対象の寸法を評価できる。この方法により、いくつかの実施形態では、高強度の非球体の対象、例えば脊椎の側面から離れて延びる皮質骨の小さい突起は、(1)その突起が1つ以上の方向において、その領域から飛び出し得ることにより、領域の中央近くは高強度であるが辺り一帯は低強度であるという条件、または(2)中心合わせされた対象のx、y及びzの寸法が互いに整合しない(例えば、非球体の場合)という条件、を満たさないことがあり得ることが認められ得る。
【0038】
図3に図示するように、いくつかの実施形態では、ブロック30において、較正される治具の各基準点マーカ24についての1つの中心合わせされた球体が決定されたかどうかが確認される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのそのような球体が決定されないまたは特定されない場合、閾値の設定が調整され、かつフローはブロック26に向かう。いくつかの実施形態では、ブロック32において、各中心合わせされた球体は複数の基準点マーカ24のうちの各基準点マーカ24にマップされる。図示のように、いくつの実施形態では、ブロック32は、いくつかの実施形態において、特定の中心合わせされた球体を複数の基準点マーカ24のうちの特定の1つに関連付けるためのソートプロセスを実施することを含み得るマッピング動作を表し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、複数の基準点マーカ24は、(例えば、OP1、OP2、OP3及びOP4として表される)4つの基準点マーカ24を含むことができる。いくつかの実施形態では、ソートプロセスは、4つの中心合わせされた基準点マーカ24の各々をOP1、OP2、OP3またはOP4のうちの1つにマップすることができる。いくつかの実施形態では、ソートプロセスは、4つの特定されていない基準点マーカ24の平均位置からのマーカ間距離を測定すると共に、マーカ治具上の各基準点マーカ24について、現存しているマーカ間距離(例えば予め測定されてメモリ、例えば大量記憶装置に保持されているもの)とそのような距離を比較することにより、特定の基準点マーカ24を区別できる。いくつかの実施形態では、DRA4上の基準点マーカ24は非対称に配置することができ、各基準点マーカ24は、そのような基準点マーカ24に対応するマーカ間距離の一意のセットから特定できる。例えば、いくつかの実施形態において、医学画像から測定された、1つの未知の基準点マーカ24の他の3つの基準点マーカ24に対するマーカ間距離の合計がDであるときに、1つの物理的な基準点マーカ24(OP1、OP2、OP3またはOP4のうちの1つ)は、Dについて特定の誤差(例えば±1mm)の範囲内の整合したマーカ間距離の合計を有することができる。いくつかの実施形態では、ブロック34において、中心合わせされた球体の座標を(例えばコンピュータプラットフォームのメモリ内に)保持できる。
【0040】
図4A図4Eは、外科的ロボットシステムと共に用いる代替的な誘導システムを図示している。実施形態では、外科的ロボットシステム(図示せず)は、誘導システムと用いるためにDRA4を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つのDRA4は、図4A図4Eに図示された較正フレーム36を含んでいる。較正フレーム36は、多くの侵襲性の手技と共に用いることができる。例えば、較正フレーム36は、より精密な軌道位置の達成を助けるために、胸腰椎の椎根ねじの挿入に用いることができる。いくつかの実施形態では、較正フレーム36の使用は、較正の手順を単純化できる。本発明のいくつかの実施形態では、較正フレーム36は、患者1(例えば、図1)の医学的な手技のために選択された部位を囲む皮膚に一時的に固定することができ、続いて較正フレーム36によって定められるウインドウを介して医学的な手技を実行できる。
【0041】
図4A及び図4Bに図示するように、本発明のいくつかの実施形態において、較正フレーム36は基準点マーカ24と追跡マーカ8の組み合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、基準点マーカ24はCT走査領域38の内側に配置することができ、かつ追跡マーカ8はCT走査領域33の外側に配置することができる。いくつかの実施形態では、外科的な術野40(すなわち、侵襲性の手技が生じる領域)は、基準点マーカ24により作成される周辺の内部に配置することができる。いくつかの実施形態では、基準点マーカ24と追跡マーカ8の互いの実際の距離は、較正フレーム36の高精度レーザー走査から測定できる。それに加えてまたはそれに代えて、いくつかの実施形態では、ほとんど同時にまたは同時にポインティングデバイス、例えば通常のデジタル化プローブで基準点マーカ24の表面上の1つ以上の場所を指し示しつつ、追跡マーカ8の位置を能動的に測定することにより、実際の相対距離を測定できる。ある実施形態では、デジタル化プローブは、剛体40とその剛体40から延びている先端に埋め込まれた追跡マーカ8を含むことができる。
【0042】
いくつかの用途においては、追跡マーカ8と基準点マーカ24の間の空間的な関係を確定するために、通常のデジタル化プローブ、例えばプローブの先端(例えば図4Cを参照)に対し既知の関係にある追跡マーカ8が埋設された6マーカプローブを用いて各基準点マーカ24を指し示すことができる。いくつかの実施形態では、プローブの先端と較正フレーム36上の追跡マーカ8の位置を同時に記録しつつ、プローブが球体の基準点マーカ24の2つの反対側の表面上の場所を指し示すことができる。続いて、球体の中心に相当する2つの表面座標の平均位置を得ることができる。DRA4と共に用い得るロボット46の画像が図4Dに図示されている。通常の外科的なネジの配置、生体組織検査、注射または他の手技のために、いくつかの実施形態では、ロボット46は較正フレーム36により形成されるウインドウを介して作業できる。外科的な手技の間、いくつかの実施形態では、作業のための入口は較正フレーム36の内部に保持され、基準点マーカは手術が実行される領域から離れて装着されて、較正フレーム36の外側の基準点マーカ24はシステムの精度を改善できる。理論や、シミュレーション及び/またはモデリングにより束縛されることは望まないが、改善された精度の理由は、追跡される較正フレーム36の周辺に追跡マーカ8が配置される場合に、追跡マーカ8の最適な精度を達成できることにあると考えられる。
【0043】
較正フレーム36の更なる実施形態が図4Eに図示されている。この実施形態は外科医にとってより邪魔にならないように単純化されている。いくつかの実施形態では、較正フレーム36は、上に記載されかつ図4A図4Dに描かれている追跡マーカ8より低い輪郭を有する4つの追跡マーカ8を含むことができる。例えば、較正フレーム36は、較正フレーム36から約10°離れる方向に角度が付けられた複数の直立した柱42を含むことができる。いくつかの実施形態では、追跡マーカ8は10°だけ後方に角度が付けられた柱42に装着され、かつこの角度形成は、患者が水平であるにも関わらず、追跡マーカ8がカメラを向き続けるようにする。
【0044】
更に、いくつかの実施形態では、較正フレーム36の前側に配置された一対の追跡マーカ8は、較正フレーム36の後側に配置された一対の追跡マーカ8を覆い隠す機会がより少なくなるように構成できる。例えば、カメラから最も遠くに離れているまたは追跡システム44の検出装置から最も遠く離れている柱42は、図9A図9B図10A及び図10Bに図示されているように、カメラに最も近い柱42よりも背が高くかつ横方向により広く間隔を開けて配置できる。
【0045】
追加の実施形態では、較正フレーム36は、医学画像スキャナによる検出のために放射線不透過性の特性および追跡マーカ8の特性を有する基準点マーカ24を含むことができ、基準点マーカ24をカメラにより視認できるまたはリアルタイムな追跡システム44によって、検出できるようにする。いくつかの実施形態では、基準点マーカ24が両方のタイプの検出特性を有しているので、基準点マーカ24と追跡マーカ8の関係は測定しまたは確定する必要がないものとし得る。したがって、いくつの実施形態では、CT走査(または画像走査)から位置が決定されると直ちに、ロボット46と患者1の解剖学的構造との間の空間的な関係を定めることができる。
【0046】
他の実施形態では、DRA4は可撓性ロール構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、DRA4は、堅固な外側フレームを定める3つ以上の放射線不透過性の基準点マーカ24と、可撓性ロール材料に埋設された9つ以上の追跡マーカ8を備えることができる。先に説明したように、基準点マーカ24は、CT走査及び/または他の医学的な診断画像、例えばMRI上、またはO−armまたはIso−C走査からの再構築により可視とすることができ、かつそれらの重心は3次元画像から決定できる。追跡マーカ8は、カメラまたは他の手段を用いてリアルタイムに検出可能な3次元座標を有する追跡マーカ8を含むことができる。いくつかの実施形態では、反射光システム、赤外線放出マーカシステム、電磁システム、または局地測位システム(「LPS」)に基づく追跡マーカシステムを利用できる。
【0047】
いくつかの実施形態では、DRA4は、患者1の皮膚への一時的な取り付けのために構成された付着可能な治具とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、DRA4は画像形成の間に患者1に一時的に付着され、取り除かれ、続いてその後に続く医学的な手技、例えば手術の間に再び付着される。いくつかの実施形態では、DRA4は、脳深部刺激療法のための電極設置における使用のために患者1の頭蓋骨に適用できる。いくつかの実施形態では、この方法は単一の足場6または2つの関連する足場6を使用できる。この例では、2つの関連する足場6は同一の表面形状を共有できる。しかしながら、1つの足場6は医学画像の走査の間に一時的に取り付けることができ、かつ(追跡マーカ8ではなく)基準点マーカ24を含むことができ、かつ第2の足場6は手術のときに取り付けることができ、かつ(基準点マーカ24ではなく)追跡マーカ8を含むことができる。
【0048】
本発明の実施形態では、DRA4を患者1にしっかりと取り付けるために、DRA4は通常のクランプ機構10(例えば、図1)を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、DRA4は、外科医が棘状突起10を外科的に露出させた後に、患者1の棘状突起10にクランプするように構成できる。図5A図5Cは、いくつかの実施形態による、患者1の腰椎の棘状突起10に装着されるDRA4の下側の支持体を示している。
【0049】
実施形態では、画像ガイダンスを具備する通常のクランプ機構10を有したDRA4を使用する間、基準点マーカ24と患者1の骨の解剖学的構造との関係は位置合わせプロセスを用いて確定することができ、既知の目印をデジタル化プローブで触れると同時にトラッカ上の追跡マーカ8を認識できる。本発明のいくつかの実施形態では、プローブ自体は一群の基準点マーカ24または追跡マーカ8から突出するシャフトを有することができ、それによって、図9A図9B図10A及び図10Bに図示されている追跡システム44が、基準点マーカ24または追跡マーカ8に対するプローブ先端の座標を計算できるようにする。
【0050】
実施形態では、DRA4のクランプ機構10は、DRA4が実質的に静止して容易に移動することができないように、棘状突起10にクランプするように構成することができ、または患者1の骨に固定されるように構成できる。いくつかの更なる実施形態では、DRA4は、CTまたは他の3次元画像上で検出される、少なくとも3つの追跡マーカ8と別個の基準点マーカ24を、好ましくは(骨に近い)クランプ16の近くに備える。実施形態では、追跡マーカ8自体は、CTまたは他の3次元画像上に正確に視覚化されるように構成できる。ある実施形態では、足場6のうち基準点マーカ24を含む部分は、3次元画像を取得した後に足場6から取り外すことができるように取り外し可能に作ることができる。実施形態では、基準点マーカ24と追跡マーカ8の組み合せは、上に記載したフレームタイプのDRA4で可能なものと同じやり方で、ロボット46での追跡を可能とすることができる。
【0051】
代替的な誘導システムを用いる手技の更なる図解として、いくつかの実施形態では、光学誘導システムを用いるオープンスクリュー挿入手技ステップが記載される。いくつかの実施形態では、外科的に露出させた後、追跡マーカ8の小さいツリー、例えば追跡マーカ8を備えているDRA4を関心の領域の骨隆起に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、追跡システム44及び医学画像に対する解剖学的構造を確定するために、画像ガイダンスのための通常の較正手順を用いることができる。他の実施例については、DRA4は、堅固に装着された、実質的に恒久的な、または取り外し可能な、CT走査によって撮像できる、基準点マーカ24を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロボット46及び医学画像に対して解剖学的構造を確定するために、較正フレーム36について述べたものに一致する較正の手順を用いることができる。
【0052】
実施形態では、追跡マーカ8を再構築する方法に対する拡張は、同一の追跡マーカ8を追跡する複数のカメラにより複数の不明瞭な同期された見通し線を用いることである。例えば、DRA4またはロボット46上の追跡マーカ8に焦点を合わせた異なる見通しの2つ以上のカメラをセットアップすることができる。実施形態では、1つのカメラユニットは患者のベッドの足元に配置することができ、かつもう1つはロボット46に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、他のカメラユニットを天井に装着できる。実施形態では、全てのカメラが実質的に同時に追跡マーカ8を見るときに、座標を共通の座標系に変換することができ、いずれかの追跡マーカ8の位置は、用いる全てのカメラからのそのマーカの3次元位置の平均値(平均)であると考えることができる。実施形態では、極めて正確なカメラであっても平均を必要とし得る。システムノイズにより、異なるカメラにより知覚された座標が必ずしも等しくなり得ないからである。しかしながら、1つの見通し線が妨げられたときには、ロボット46及びDRA4を追跡するために(追跡マーカ8をまだ見ることができる)他のカメラからの見通し線を用いることができる。実施形態では、1つの見通し線が失われたときにロボット46が引っ張られる動きを軽減するために、妨げられていない見通し線に関連して最後に記憶された追跡マーカ8の位置の間の仮定された固定関係に基づいて前述した方法を用いることで、妨げられた見通し線からの追跡マーカ8の位置を再構築することが可能である。更に、実施形態では、追跡マーカ8のカメラ2からの位置に対するカメラ1からの位置を記憶することができ、カメラ1が妨げられた場合は、その見通し線が回復するまで、この相対位置をコンピュータメモリ(例えばコンピュータプラットフォームのメモリ)から読み出すことができ、かつ追跡マーカ8のカメラ2からの記録された位置に基づいてカメラ1からの追跡マーカ8の再構築を挿入できる。いくつかの実施形態では、この方法は、見通し線の一時的な障害、例えば1つのカメラユニットの前に立っているかまたは歩いている人を補うことができる。
【0053】
実施形態では、基準点マーカ24及び追跡マーカ8の組み合せを含むDRA4の代わりに、他の一時的なDRA4の中間的な位置合わせを介して主たるDRA4を位置合わせすることが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、そのような較正方法の実施例は、基準点マーカ24を含んでいる仮の堅固なプレート(図示せず)を取り付け、追跡マーカ8を既知の位置にいつでも取り付けることができるマウント(例えば止め金、磁石、ベルクロ、または他の構成)を開放すること、を含むことができる。次に、この方法は、(例えばCT、MRI等を用いて)対象を走査すること、(例えば先に記載した)図示しない主たるDRA4または3つ以上の追跡マーカ8を有して患者1の解剖学的構造に堅固に固定される他のDRAを取り付けること、次いで止め金、磁石、ベルクロ等によって、追跡マーカ8を規定された周知の位置において、仮のDRA4に取り付けること、を含む。この主たるDRA4は如何なる基準点マーカ24も必要とし得ない。仮のDRA15の基準点マーカ24の位置により位置合わせが実行されるからである。いくつかの実施形態では、更なるステップは、第2の仮のDRA4と同時に患者1の解剖学的構造に固定された主たるDRA4の位置を読み込むために、カメラを作動させること含み得る。このステップは、主たるDRA4上の追跡マーカ8の位置に対する、仮のDRA4上の追跡マーカ8の位置を確定する。仮のDRA4上の追跡マーカ8に対する仮のDRA4上の基準点マーカ24の位置は知られていて、主たるDRA4上の追跡マーカ8に対する解剖学的構造の位置を確定するからである。位置を確定した後、その追跡マーカ8及び基準点マーカ24を含めて、仮のDRA4を取り除くことができる。堅固に固定された主たるDRA4上の追跡マーカ8に位置合わせが移行したので、これらのマーカはもはや必要ではない。
【0054】
図5A図5Cに図示されている実施形態では、棘状突起10の完全な露出なしにDRA4が棘状突起2上でクランプ機構10をスライドさせることができるようにする、DRA4に対する変更を含むことができる。図示されるように、クランプ機構10は、少なくとも1つの面取り縁部50とクランプ歯52を含むクランプ48を有することができる。手術の間、外科医は、正中線に刺切創を作り、次いでクランプ機構10クランプ48を棘状突起2の側面に沿ってスライドさせ、クランプ機構10の先端が前進するときに組織を押しのけることができる。いくつかの実施形態では、図6A及び図6Bに図示するように、クランプ機構10の先頭の縁部は、面取りし(クランプ機構10の各クランプ48の先頭の面取り縁部50を参照)、かつ骨膜剥離器と類似の形状を有することができる。この形状は、クランプ機構10が前進するときに、筋組織を骨の棘状突起2から切り離すことができるようにする。いくつかの実施形態では、クランプ機構10の先頭の面取りされた縁部50は、過剰な出血を防止するために筋肉及び結合組織を通ってより容易にスライドできるようにすべく、電流を流すことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、シャフト上の更に後部から作動する機構(例えばターンスクリューまたは通常のばね等)は、クランプ48上のクランプ歯52を展開するために作動させることができる。同一の機構または他の機構は、クランプ機構10を棘状突起2(図5B図5Cを参照)に確実に固定するために、クランプ48を閉じて互いに加圧できる。加えて、いくつかの実施形態では、棘状突起2内へのねじ切りにより、ハンドル56に位置合わせされたネジ54を配置できる(例えば、図5Cを参照)。
【0056】
上に記載しかつ図5A図5Cに図示されている実施形態は、経皮的椎弓根スクリューロッド手術に特に適し得る。クランプ機構10を装着するために作った穴を、通常の椎弓根スクリューヘッドを相互に接続するための通常のロッドを挿入するための穴として用いることができるからである。更に、上に記載しかつ図5A図5Cに図示されている実施形態は、(他の骨隆起、例えば横突起、長骨、頭蓋底、他のために)マーカツリーを装着するために有益でもある。
【0057】
図6A図6B及び図7A図7Bは、いくつかの実施形態による、棘状突起2上で作動するクランプ機構10の実施形態を図示している。いくつかの実施形態では、クランプ歯52を配置するための機構は中空キャビティ58を有しており、そこに収容されているクランプ歯52は、挿入の間は中空キャビティ58の一方の側にあるが、その機構が配置されたときには埋設された歯が骨を貫通するように反対側に押動できる(図7A及び図7Bの貫通したクランプ歯52の図解を参照)。
【0058】
図7A図7Bは、棘状突起2上のクランプ機構10の作動の代替的な実施形態を図示している。図示のように、クランプ歯52のグループは中空キャビティ58を狭めるロッド60に取り付けることができる。ロッド60はハンドル56(描かれてない枢支点)上で回動し、クランプ歯52を一体に押動する。例えば、実施形態では、ロッド60は、骨から離れた側において、中空キャビティ58内に駆動することができ、クランプ歯52を骨に対して及び内部に押動する(例えば、図7Bにおける貫通したクランプ歯52を参照)。
【0059】
上に記載したように、基準点マーカ24は、解剖学的構造のCT走査の範囲内に存在できる。しかしながら、解像度を改善するためにはできる限り脊椎に接近させてCT走査をトリミングすることが望ましいことがあり得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカ8が配置されているところの近くに基準点マーカ24を用いる代わりに、代替物は、走査するときに棘状突起2の近くに一時的に取り付けることができる基準点マーカ24を含む堅固な拡張部分を有することができる。いくつかの実施形態では、クランプ機構10はDRA4に連結し、またはDRA4により変更できる。例えば、図8A図8Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態による、仮のマーカスカート62を含む、DRA4により変更したクランプ機構10を図示しており、図8Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態による、図8Aに図示したDRA4により変更したクランプ機構10を仮のマーカスカート62を取り除いた状態で図示している。図示のように、仮のマーカスカート62は、クランプ装置16の基部の周囲の仮の「スカート」に基準点マーカ24を含むことができる。仮のマーカスカート62とクランプ装置16の設計は、スカート62の基準点マーカ24が、より離れた追跡のための追跡マーカ8に対し既知の場所を有しているものとすることができる。一旦走査がなされると、基準点マーカ24は必要としないことができる。したがって、実施形態では、通常のリリースを押し下げることにより、仮のマーカスカート62を取り除くことができ、外科医の方向には存在しないことになる(例えば図8Bを参照)。
【0060】
実施形態では、図9A図9Bに図示したように、DRA4は、走査を取得した後にいくつかのまたは全ての追跡マーカの位置の移動を可能にする回転機構12を有することができる。この構造の1つの利益は、図9Aに図示するように、解剖学的構造の近くの皮膚に近いCT走査に最も適した場所に放射線不透過性マーカを配置できるようにすることである。例えば、DRA4は(例えば、約10°またはそれより小さく角度付けられた)患者に沿って略平坦に配置できる。そしてCT走査の後、図9Bに図示したように追跡マーカを追跡に適した位置に同時に配置しつつユーザがDRA4を上方に揺動させ、基準点マーカ24を手術から離して配置できるようにする。例えば、DRA4は直立した位置に移動させることができる。回動は、基準点マーカ24を他の設計よりも追跡マーカの近くに装着されることを可能にし、それによって、DRA4の全体をよりコンパクトなものにする。回動は、同一のマーカが、放射線不透過性の基準点マーカ24及び追跡マーカ8の両方の二役を勤めることを可能にすることができる。例えば、反射する追跡球体は、放射線不透過性の金属またはセラミックコアによって、製造できる。
【0061】
回動機構12の追加の利益及び特徴は、1つ以上の基準点マーカ24または追跡マーカ8が、回動の間に、他の追跡マーカに対して移動するようにして、図10A図10Bに図示するように、追跡マーカの剛体の関係を変更できることにある。言い換えると、1つ以上の基準点マーカ24または追跡マーカ8は、コンピュータメモリに記憶されて任意の追跡フレームの間に比較される構成に対して移動できる。剛体アレイの間隔が変更されたときには、アレイが下にあるか上にあるかをソフトウェアが自動的に決定することが可能である。この特徴は、DRA4が正しい位置に回動する前に、ユーザが不注意に追跡してナビゲートしようとすることを防止する。加えて、1つ以上の基準点マーカ24が回動の間に他の基準点マーカ24に対して移動するようになすことができ、2つの別個の剛体の配置をCT走査上で観察することができて、走査の間にアレイが上にあったか下にあったかをソフトウェアが自動的に検出できることを意味する。DRA4が正しい位置にある前に、ユーザが不注意に追跡してナビゲートすることを防止できる。図10A図10Bは、1つの基準点マーカ24または追跡マーカ31が、複数の追加の基準点マーカ24及び/または追跡マーカ8と共に回動できない構成を図示している。
【0062】
適切に回動するために、DRA4は、クランプ機構10の一部とし得るベース66を備えることができる。ベース66は、任意の適切な手段により、基準点マーカ24及び/または追跡マーカ8と共に、DRA4に対する接続点68に取り付けることができる。適切な手段は、玉継手、ヒンジ、スライド、またはそれらの組み合せとすることができるが、それらには限定されない。更にまた、DRA4は、ベース66に対して任意の方向に回動できる。このことはその構造が左右、上下、斜め、またはそれらの組み合せに移動できるようにする。ベース66に対するDRA4の動きは、ガイド70または外部の部材によって、更に補助できる。実施形態では、図示されていないが、DRA4は、ベース66またはDRA4上に配置された複数の場所において、回動できる。
【0063】
場合によっては、クランプ機構10を装着することができない。例えば、手術は脊椎以外の領域を目的とすることがあり得るし、患者が棘状突起を以前に取り除いた場合の手術を目的とすることがあり得る。図11A図11Cに図示するように、患者1の骨にDRA4を堅固に装着する代替的な方法は、その上にDRA4がクランプされる2つの柱72及び74を含むことができる。2つの柱72及び74が球面構造76を有して、いくらかの平行移動及び回転の自由度を拘束し、クランプ78によって、DRA4を堅固に固定しかつ反復可能な位置に固定することを可能にすることが予想できる。クランプ78は、実施形態では、回動機構12が着座し得るベースとして役立つことができる。この2つの柱の方法については、図11A図11Cに図示するように、柱72に固定されるクランプ78の内部は、フレア状の貫通孔を有するソケット形状の特徴部を有することができる。クランプ78はソケット片のあらゆる平行移動を拘束しつつ、それが回動できるようにする。柱76の周囲のDRAクランプ78の一部は、競馬場の形の貫通孔を有した細長いソケット80を有することができる。この特徴部は、DRA4の全ての回転と他のピンの大部分の方向の平行移動を拘束できる。この構成は、2つの柱のDRA82を一意の配向及び位置にクランプし、次いで取り除き、かつ同じ位置に繰り返して再取り付けできるようにする。
【0064】
柱74とは異なる脊椎骨に柱72を装着する実施形態では、この構成は柱72の柱74に向かうまたは離れる平行移動を妨げず、その場合は柱74は細長いソケット80の内部でスライドすることができる2つの柱のDRA82が柱74の周りに固定されるときに、摩擦がそのような平行移動を禁止するように、誤差を厳しくすることが可能である。または、そのような移動は監視マーカで監視できる。
【0065】
本発明及びその利点を詳細に記載してきたが、添付の請求の範囲によって定められる本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び修正を本明細書においてなし得ることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】人間の脊椎モデルの腰椎の棘状突起に装着された動的追跡装置の一実施形態を図示している。
図2】位置合わせ(較正)及び追跡するための方法の一実施形態を図示している。
図3】放射線不透過性基準点マーカの検出座標を用いて医学画像を位置合わせする方法の一実施形態を図示している。
図4A】誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
図4B】誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
図4C】誘導システムと共にした較正フレームの特徴付けの一実施形態を図示している。
図4D】誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
図4E】誘導システムと共にした較正フレームの使用の一実施形態を図示している。
図5A】クランプ機構を備える変更されたマウントを備える、動的基準点アレイの一実施形態を図示している。
図5B】クランプ機構を備える変更されたマウントを備える動的基準点アレイの一実施形態を図示している。
図5C】クランプ機構を備える変更されたマウントを備える動的基準点アレイの一実施形態を図示している。
図6A】棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
図6B】棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
図7A】棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
図7B】棘状突起上でのクランプ機構の作動の一実施形態を図示している。
図8A】仮のマーカスカートを含む動的基準点アレイにより変更されたクランプ機構を図示している。
図8B】仮のマーカスカートが取り外された動的基準点アレイにより変更されたクランプ機構を図示している。
図9A】下降位置の動的基準点アレイを図示している。
図9B】上昇位置の動的基準点アレイを図示している。
図10A】静的位置にある代替的なトラッカと共に下降位置にある動的基準点アレイを図示している。
図10B】静的位置にある代替的なトラッカと共に下降位置にある動的基準点アレイを図示している。
図11A】動的基準点アレイを骨に固定するために用い得る2つの柱を図示している。
図11B】2つの柱を選択された位置に固定するために用いられる開いたクランプの内側の視野を示している。
図11C】2つの柱を動きから固定している、閉じたクランプを図示している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C