特許第6789979号(P6789979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6789979有機ポリスルフィドおよびそれらの塩の製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789979
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】有機ポリスルフィドおよびそれらの塩の製造
(51)【国際特許分類】
   C07C 319/24 20060101AFI20201116BHJP
   C07C 321/14 20060101ALI20201116BHJP
   C07C 321/28 20060101ALI20201116BHJP
   C07C 323/12 20060101ALI20201116BHJP
   C07D 285/125 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C07C319/24
   C07C321/14
   C07C321/28
   C07C323/12
   C07D285/125
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-558478(P2017-558478)
(86)(22)【出願日】2016年4月29日
(65)【公表番号】特表2018-514579(P2018-514579A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】US2016029929
(87)【国際公開番号】WO2016182759
(87)【国際公開日】20161117
【審査請求日】2019年4月9日
(31)【優先権主張番号】62/158,690
(32)【優先日】2015年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・シー・フォートマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・エス・スミス
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−501721(JP,A)
【文献】 特開2001−089440(JP,A)
【文献】 特表2015−513206(JP,A)
【文献】 米国特許第03075019(US,A)
【文献】 特表2014−516926(JP,A)
【文献】 特開平08−231496(JP,A)
【文献】 米国特許第03022351(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 319/24
C07C 321/14
C07C 321/28
C07C 323/12
C07D 285/125
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリスルフィドまたはその塩を製造するための方法であって、
前記方法が、有機モノスルフィドまたはその塩と元素状硫黄とを混合する工程を含み、
前記有機モノスルフィドまたはその塩及び元素状硫黄が固体状態にあり、
前記混合が、室温で、いかなる溶媒も存在させることなく、前記有機ポリスルフィドまたはその塩を製造するのに有効な時間の間実施され
前記有機ポリスルフィドまたはその塩が、一般式(I):
R−[Sn−M]p (I)
[式中、nは2以上の整数であり、pは少なくとも1の整数であり、Rは、1〜25個の炭素原子を含み、場合によっては1個または複数の水素原子および/または1個または複数のヘテロ原子をさらに含む有機残基であり、Mは、形式陽電荷を担持する元素または残基であって、Li、Na、K、(1/2)Ca、その他の金属、ホスホニウム残基及びアンモニウム残基より成る群から選択される]
に相当し;
前記有機モノスルフィドまたはその塩が、一般式(II):
R−[S−M]p (II)
[式中、R、M、およびpは、一般式(I)と同じ意味を有する]
に相当する、方法。
【請求項2】
pが、1〜3の整数である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
nが、2〜30の整数である、請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
Rが、場合によっては1個または複数のヘテロ原子を含む炭化水素残基である、請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Rが、N、O、S、Se、P、およびハロゲンからなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合が、臼と杵、ボールミル、リボンブレンダー、ロータリーキルン、ジェットミル、ロッドミル、グラインディングロール、ブーアストンミル、スタードミル、ビブラトリーミル、ハンマーミル、ディスクミル、ランダムオービットミキサーミル、アトリションミル、スモールメディアミル、アジテーテッドメディアミル、およびスタードメディアミルからなる群から選択される少なくとも1種の装置を使用して実施される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記混合に、前記有機モノスルフィドまたはその塩と元素状硫黄とをグラインディングまたはミリングすることが含まれる、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、無機ポリスルフィド塩である副生物をさらに形成する、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記混合が、触媒の非存在下で実施される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
pが、1、2、または3である、請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
Rが、C6〜C25炭化水素基である、請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
Rが、オキシアルキレン含有基である、請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
Rが、二価のオキシエチレン含有基である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Mが、アルカリ金属である、請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
Mが、Liである、請求項14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ポリスルフィドおよびそれらの塩を調製するのに有用なプロセスに関し、それには、溶媒および/または触媒の使用を必要とせず、比較的低い温度で実施することが可能なプロセスが含まれる。
【背景技術】
【0002】
有機ポリスルフィドとしては、ポリスルフィド鎖(−Sn−、ここでnは、2以上の整数である)の第一の硫黄原子に結合された少なくとも1種の有機基、たとえば炭化水素基を含むポリスルフィドが挙げられるが、ここで、そのポリスルフィド鎖の末端硫黄原子が、水素原子で置換されている(チオール、−S−Hとするため)。そのようなポリスルフィドは、有機ポリチオールと呼ばれることもある。そのような有機ポリスルフィドの塩もまた公知であり、そこでは、末端チオール基の水素原子が、カチオン性の化学種たとえばLi+で置換されている。そのような化合物は、有機ポリチオレートと呼ばれることもある。その塩のカチオンの部分は、アルカリ金属のカチオン、アルカリ土類金属のカチオン、その他の金属のカチオン、アンモニウム(たとえば、四級アンモニウム)、またはホスホニウム(たとえば、四級ホスホニウム)などであってよい。そのような有機ポリスルフィドおよび有機ポリスルフィド塩は、各種の用途、たとえばバッテリーの構成成分として有用な物質であることが知られている(国際公開第2013/155038号パンフレットを参照、その開示は、すべての目的のために、そのすべてを参考として引用し本明細書に組み入れたものとする)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、有機ポリスルフィドおよび有機ポリスルフィドの塩を製造するための、実用的で効果的な方法の開発が、大きな商業的関心の的となるであろう。具体的には、高温、溶媒および/または触媒(これらは、一般的に製造コストを押し上げる)を使用する必要がないような合成プロセスが望まれることになろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様は、有機ポリスルフィドおよび/またはその塩を製造するための方法を提供し、その方法には、有機モノスルフィド(および/またはその塩)と元素状硫黄とを混合する工程が含まれるが、その混合は、その有機ポリスルフィドおよび/またはその塩を製造するに有効な時間の間、95℃以下の温度で、いかなる添加液相も存在させることなく実施される。本発明の文脈においては、「いかなる添加液相も存在させることなく(in the absence of any added liquid phase)」という文言は、いかなる追加の成分、たとえば溶媒も、不連続な(discrete)液相(たとえば、その中に、1種または複数の反応剤の少なくとも一部が溶解しているような溶液)を形成させるに十分な量で添加することなく、その混合を実施するということを意味している。しかしながら、その混合温度で液状である溶媒または他の化合物が少量または微量であれば、存在していてもよい。さらには、最初は固体であった反応剤が、混合することによって相互作用を受けて液相を形成するということも可能であるが、そのような液相は、本発明の文脈においては、添加液相とはみなさない。
【0005】
一つの実施態様においては、その有機ポリスルフィドまたはその塩が、一般式(I):
R−[−Sn−M]p (I)
[式中、nは2以上の整数であり、pは少なくとも1の整数であり、Rは、1〜25個の炭素原子を含み、場合によってはさらに1個または複数の水素原子および/または1個または複数のヘテロ原子(官能基の一部を構成するヘテロ原子を含む)を含む有機残基であり、Mは、形式陽電荷を担持する元素または残基である(ポリスルフィド鎖−Sn−の末端S原子が形式陰電荷を担持している)]
に相当し;
有機モノスルフィドまたはその塩が、一般式(II):
R−[−S−M]p (II)
[式中、R、p、およびMは、一般式(I)と同じ意味を有する]
に相当する。
【0006】
Rには、一つの実施態様においては、N、O、S、Se、P、およびハロゲンからなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子が含まれていてよい。pの値は、本発明の各種の実施態様においては、1、2、または3、さらには4以上であってよい。Mは、本発明の各種の態様においては、H、金属(たとえば、Li、Na、K、(1/2)Ca)、ホスホニウム(たとえば、四級ホスホニウム)、およびアンモニウム(たとえば、四級アンモニウム)からなる群から選択される。本発明のさらなる態様においては、その有機モノスルフィドが一般式(III):
R−S−R’ (III)
[式中、RおよびR’は、互いに同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、1〜25個の炭素原子を含み、場合によってはさらに1個または複数の水素原子および/または1個または複数のヘテロ原子を含む有機残基である]
に相当する。
【0007】
その方法の混合工程は、たとえば以下のものからなる群から選択される少なくとも1種の装置を使用して実施することができる:臼と杵、ドライブレンドデバイス、ドライパウダーブレンダー、ホリゾンタルドライパウダーミキサー、ロータリーバッチミキサー、リボンブレンダー、パドルブレンダー、タンブルブレンダー、バーティカルブレンダー、ドラムブレンダー、ボールミル、ロッドミル、グラインディングロール、ブーアストンミル、スタードミル、ジェットミル、ビブラトリーミル、ハンマーミル、ディスクミル、ランダムオービットミキサーミル、アトリションミル、スモールメディアミル、アジテーテッドメディアミル、およびスタードメディアミル。その混合には、反応剤(有機モノスルフィドまたはその塩および元素状硫黄)をグラインディングまたはミリングすることが含まれていてよい。その混合は、溶媒の非存在下、触媒の非存在下、または溶媒と触媒両方の非存在下で実施するのがよい。本発明の一つの態様においては、0℃〜95℃の温度でその混合を実施することができる。
【0008】
ある種の実施態様においては、その方法で、無機ポリスルフィド塩である副生物がさらに生成してもよい。
【0009】
本発明によってさらに、本明細書に記載の方法によって得られる有機ポリスルフィドまたはその塩も提供される。それらの組成物はさらに、より大きな系、たとえば電気化学セルまたはバッテリーの成分ともすることもできるが、そこでは、本明細書に記載の方法によって調製された組成物が、電極の成分の一つとして、または各種電解質の成分として使用される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一つの実施態様においては、有機モノスルフィドおよび/または有機モノスルフィドの塩を元素状硫黄と反応させて有機ポリスルフィド塩を形成させる。異なった有機モノスルフィドの組合せ、異なった有機モノスルフィド塩の組合せ、または有機モノスルフィドと有機モノスルフィド塩との組合せを、元素状硫黄とそのように反応させてもよい。その反応は、前述の出発物質を、95℃以下の温度で、いかなる添加液相も存在させることなく、有機ポリスルフィドまたはその塩を製造させるのに有効な時間をかけて混合することにより達成される。この望ましい反応は、少なくともその元素状硫黄がそのような混合するより前には固体状態であるような条件下で、反応剤を共に混合することによって達成させてもよい。また別な実施態様においては、混合する前には、すべての反応剤が固体状態である。たとえば、いずれかの反応剤を溶解させることが可能ないかなる溶媒も存在させず、それら反応剤の融点よりも低い温度でその反応を実施するのがよい。また別な実施態様においては、元素状硫黄溶解させることが可能ないかなる溶媒も存在させることなく、元素状硫黄の融点(約95℃)よりも低い温度で、その混合を実施する。
【0011】
異なった組成または表面エネルギーの固相の間で密な接触をさせると、それら固相の一つまたは複数の融点の降下が起きる可能性があるということは、当業者のよく知るところであろう。この密な接触とその結果としての融点降下は、固体原料を混合した結果として、液相を生じさせることになるかもしれない。しかしながら、そのような液相は、添加液相、たとえば出発物質の一つまたは双方を溶解させることが可能な溶媒を含むことによって形成される溶液とはみなされないであろう。したがって、本発明の主題は、混合する前に固体状態にある原料に関し、出発物質を混合したり密に接触させたりした結果として、液相が生成するかどうかとは無関係である。
【0012】
出発物質の有機モノスルフィド(またはその塩)の選択は、製品として望まれている有機ポリスルフィド(またはその塩)の構造に基づくことになるであろうが、その理由は、有機残基(1個または複数)および得られる有機ポリスルフィド塩の「カチオン性の」部分(1個または複数)は、一般的には、有機モノスルフィドまたは有機モノスルフィド塩の反応剤の中に存在しているものに相当するであろうからである。すなわち、有機モノスルフィド(またはその塩)は、典型的には、有機残基(1個または複数)と有機ポリスルフィド(または有機ポリスルフィド塩)の「カチオン性の」部分(1個または複数)との反応生成物寄与するであろう(「カチオン性の(cationic)」という用語は、形式陽電荷、たとえばH+、Li+、Na+、Ca+2、K+、その他の金属のカチオン、四級アンモニウム、四級ホスホニウムなどを担持する末端硫黄原子に関わる化合物の一部を指している)。次の式を使用することによって、本発明の一つの態様において起きる反応全体を説明することができる:
[R−S]-[M]++Sq→[R−Sn-[M]++M2m(ここで、m+n=q+1)
【0013】
nの値は、2より大のいかなる整数であってもよいが、典型的には2〜30の範囲(たとえば、2〜10)である。さらに、この反応からの生成物として、各種のnおよびmの値を有する化学種が形成され、共存することができる。Mは、たとえば、H、Li、Na、Ca、K、その他の金属、アンモニウム(四級アンモニウムを含む)、および/またはホスホニウム(四級ホスホニウムを含む)とすることができる。この例示反応スキームに示したように、有機ポリスルフィド塩に加えて、無機ポリスルフィド塩も副生物として生成する可能性がある。得られる反応生成物には、nの値の点で異なっている有機ポリスルフィドまたはそれらの塩の混合物が含まれていてよい。その反応生成物にはさらに、最初の反応剤の化学量論量および採用された混合条件に依存して、ある程度の量の未反応の有機モノスルフィド(または有機モノスルフィド塩)および/または元素状硫黄が含まれているかもしれない。
【0014】
本発明の一つの実施態様においては、その出発物質の有機モノスルフィド(またはその塩)には、有機残基と、その有機残基に結合している少なくとも1個のモノスルフィド基、−S−Mとが含まれている(すなわち、−S−M基の硫黄原子が、有機残基の炭素原子に結合されている)。本発明のまた別な実施態様においては、その出発物質の有機モノスルフィドが、チオエーテルであって、そこでは、二つの有機残基が、単一の硫黄原子に共役結合的に結合されている(たとえば、その有機モノスルフィドが、構造R−S−R’(RおよびR’がそれぞれ有機残基であって、互いに同一であるかまたは異なっていてよい)に相当していてよい)。
【0015】
その有機モノスルフィド(またはその塩)の中に存在している有機残基(1種または複数)のタイプには制限はなく、1個または複数個の炭素原子と、さらには可能であれば1個または複数の水素原子および1個または複数のヘテロ原子たとえば、N、O、S、Se、P、ハロゲン、およびそれらの組合せを含む、いかなる有機基であってもよい。たとえば、その有機残基が、1〜30個または2〜20個の炭素原子を含んでいてよい。
【0016】
本発明の一つの態様においては、その有機モノスルフィド(またはその塩)が、一般式(II):
R−[−S−M]p (II)
に相当する
【0017】
本発明の各種の実施態様においては、pが少なくとも1の整数であり(たとえば、1、2、3、4など)、Rが、1〜25個の炭素原子を含み、場合によってはさらに1個または複数の水素原子および/または1個または複数のヘテロ原子を含む有機残基であり、Mが、形式陽電荷を担持する元素または残基である(S原子が形式陰電荷を担持している)。Rの原子価は、pの値に依存するであろう。たとえば、p=1なら、Rが一価、たとえばアルキル基であり、p=2ならば、Rが二価、たとえばアルキレン基である。Rの中に場合によっては存在するヘテロ原子は、たとえば、N、O、S、Se、P、ハロゲンなど、またはそれらの組合せであってよい。
【0018】
式(II)における(そして、相当する式(I)における)基Rについては、以下において説明するであろう;基Rは、それに対して1個の硫黄原子が結合している、一価の基の名称で示されるであろう。式(II)においては、Rは、場合によっては少なくとも1個の置換基を有する脂肪族炭化水素基、場合によっては少なくとも1個の置換基を有する脂環族炭化水素基、場合によっては少なくとも1個の置換基を有する芳香族炭化水素基、場合によっては少なくとも1個の置換基を有する複素環族基、またはオキシアルキレン含有基を表すことができる。「脂肪族炭化水素基」という用語には、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基が包含される。
【0019】
「アルキル基」の例としては、以下のものが挙げられる:メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ノニル基、i−ノニル基、デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、およびステアリル基。たとえば、C6〜C25アルキル基を使用するのがよい。
【0020】
「アルケニル基」の例としては、以下のものが挙げられる:ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ペンタデセニル基、エイコセニル基、およびトリコセニル基。C6〜C25アルケニル基を使用するのがよい。
【0021】
「アルキニル基」の例としては、以下のものが挙げられる:エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−2−ブチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−ペンタデシニル基、1−エイコシニル基、および1−トリコシニル基。たとえば、C6〜C25アルキニル基を使用するのがよい。
【0022】
「脂環族炭化水素基」という用語は、単環式もしくは多環式のアルキル基、アルケニル基などを指しており、その例としては、以下のものが挙げられる:シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ビシクロオクチル基、ビシクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、および4−シクロヘキセニル基。たとえば、C3〜C8シクロアルキル基を使用するのがよい。
【0023】
「芳香族炭化水素基」という用語は、単環式もしくは多環式のアリール基を意味している。ここで、多環式アリール基の場合においては、「芳香族炭化水素基」という用語にはさらに、完全不飽和基に加えて、部分飽和基もまた包含される。その例としては、以下のものが挙げられる:フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、およびテトラリニル基。C6〜C10アリール基を使用するのがよい。
【0024】
「複素環族基」という用語は、ヘテロ原子として1〜4個の窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を有する5員〜7員の芳香族複素環、飽和複素環、または不飽和複素環、またはそれら複素環のいずれかを、他の炭素環(たとえば、ベンゼン)または複素環式環と縮合させた縮合複素環を意味している。それらの例としては、以下のものが挙げられる:フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピロル−1−イル基、ピロル−2−イル基、ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピラジン−3−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピリミジン−4−イル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソル−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソル−5−イル基、1,4−ベンゾジオキサン−5−イル基、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル基、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキソピン−6−イル基、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキソピン−7−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−6−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル基、ベンゾフラン−2−イル基、ベンゾフラン−3−イル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチオフェン−3−イル基、キノキサリン−2−イル基、キノキサリン−5−イル基、インドル−1−イル基、インドル−2−イル基、イソインドル−1−イル基、イソインドル−2−イル基、イソベンゾフラン−1−イル基、イソベンゾフラン−4−イル基、クロメン−2−イル基、クロメン−3−イル基、イミダゾル−1−イル基、イミダゾル−2−イル基、イミダゾル−4−イル基、ピラゾル−1−イル基、ピラゾル−3−イル基、チアゾル−2−イル基、チアゾル−4−イル基、オキサゾル−2−イル基、オキサゾル−4−イル基、イソオキサゾル−3−イル基、イソオキサゾル−4−イル基、ピロリジン−2−イル基、ピロリジン−3−イル基、ベンゾイミダゾル−1−イル基、ベンゾイミダゾル−2−イル基、ベンゾチアゾル−2−イル基、ベンゾチアゾル−4−イル基、ベンゾオキサゾル−2−イル基、ベンゾオキサゾル−4−イル基、キノリン−2−イル基、キノリン−3−イル基、イソキノリン−1−イル基、イソキノリン−3−イル基、1,3,4−チアジアゾル−2−イル基、1,2,3−トリアゾル−1−イル基、1,2,3−トリアゾル−4−イル基、テトラゾル−1−イル基、テトラゾル−2−イル基、インドリン−4−イル基、インドリン−5−イル基、モルホリン−4−イル基、ピペラシン−2−イル基、ピペリシン−2−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−5−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル基、および1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル基。一つの実施態様においては、Rが、1,3,4−チアジアゾール基である。
【0025】
「エーテル含有基」という用語は、1個または複数のエーテル結合を含む有機残基、たとえば、オキシアルキレン含有基を意味している。オキシアルキレン含有基は、一般構造−O−(CH2o−(ここで、oは、少なくとも1の整数(たとえば、1、2、3、4など)であり、CH2残基の中の1個または複数の水素原子が、置換基、たとえばアルキル基(たとえば、メチルまたはエチル)、アリール基、または複素環式残基で置換されていてもよい)を有する少なくとも1個の残基を含む基であってよい。一例として、本発明の一つの実施態様におけるRが、二価のオキシアルキレン含有残基、たとえば−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−である。
【0026】
式(I)および(II)におけるMの素性は、決定的に重要であるとは考えられず、水素であるか、または有機スルフィドまたは有機ポリスルフィド(−S−)のアニオン性末端と塩を形成することが可能な各種のカチオン性化学種であってよい。たとえば、Mは、アルカリ金属のカチオン(たとえば、Li+、Na+、K+)、アルカリ土類金属のカチオン(たとえば、(1/2)Ca2+)、その他の金属のカチオン、アンモニウム残基、またはホスホニウム残基であってよい。そのアンモニウム残基は、四級アンモニウム残基であってよい。そのホスホニウム残基は、四級ホスホニウム残基であってよい。たとえば、Mは、N(R’)(R’’)(R’’’)(R’’’’)、またはP(R’)(R’’)(R’’’)(R’’’’)であってよく、ここでR’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、同一または異なっていて、Hまたは有機基、たとえばアルキル基または芳香族基であってよい。
【0027】
その出発物質の有機モノスルフィドが、構造R−Sn−R’(III)(ここで、RおよびR’が、それぞれ有機残基(互いに同一であるかまたは異なっていてもよい)である)である本発明の実施態様においては、元素状硫黄とのその総括反応は、次式のように表すことができる(元素状硫黄が完全に反応した状況を示している):
R−S−R’+Sn→R−Sn+1−R’
【0028】
RおよびR’は、先に式(I)および(II)における基Rの説明に関連して述べた有機残基のいずれであってもよい。したがって、RおよびR’は独立して、場合によっては1個の置換基を有する脂肪族炭化水素基、場合によっては少なくとも1個の置換基を有する脂環族炭化水素基、場合によっては少なくとも1個の置換基を有する芳香族炭化水素基、場合によっては少なくとも1個の置換基を有する複素環族基、またはオキシアルキレン含有基を表すことができる。
【0029】
本発明のプロセスにおける出発物質として有用な、好適な有機モノスルフィド塩の説明例としては、以下のものが挙げられる:C1225SLi(リチウム n−ドデシルポリチオレート)、CH3OCH2CH2SLi、LiSCCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SLi(リチウム 3,6−ジオキサオクタン−1,8−ポリチオレート)、C65SNa、および2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール二カリウム塩。
【0030】
元素状硫黄は、多くの商業的供給源から容易に入手することが可能であり、一般的には、いかなる予備的な精製も加工も必要とすることなく、採用することができる。元素状硫黄は、各種の同素体の形態で、各種の数の同族化学種、たとえば、S6、S8、S12、ホモポリマー的化学種Szなどとして存在することが可能であるということも認識されている。そのような同族体、同素体、またはそれらの混合物のいずれもが、本発明における元素状硫黄として使用可能である。
【0031】
使用される、有機モノスルフィド(または有機モノスルフィド塩)と元素状硫黄の相対的な量は、その反応生成物のポリスルフィドの部分(−Sn−)におけるオリゴマー化の具体的な程度を達成させるために、望むように変化させることができる。一般的に言って、有機モノスルフィドまたは有機モノスルフィド塩のモル量に対して、元素状硫黄のモル量を高くしていくと、nの値は大きくなるであろう。たとえば、反応剤として使用される有機モノスルフィド(またはその塩)および元素状硫黄との量は、S(元素状硫黄の中に存在する硫黄のモル量)対有機モノスルフィド(または有機モノスルフィド塩)のモル比が、(1:1)から(50:1)になるように選択する。
【0032】
一般的に言って、有機モノスルフィド(またはその塩)と元素状硫黄とを、それら二つの成分を密に結合させるのに有効な条件下で混合するのが有利となるであろう。その反応では、最初に固体の粒子を密に接触させることが必要なので、それら固体の反応剤が微粒の形態で利用されるようにするのが有利となるが、それが必須という訳ではない。それらの反応剤が、最初はそのような形態でないような場合には、グラインディングおよび/またはミリング技術を採用して、初期粒径を小さくしてもよい。反応剤を混合した後でグラインディングおよび/またはミリングをすると、有機モノスルフィド(またはその塩)と元素状硫黄との所望の反応を促進するのにも役立つ可能性がある。
【0033】
本発明のプロセスは、固体物質、特に粒子状の形態にある固体物質を密に混合、接触、および粉砕するのに適した、当業者公知の各種の装置または技術を使用して実施するのがよい。たとえば、有機モノスルフィド(またはその塩)と元素状硫黄とを、たとえば以下のようなグラインディングまたは混合装置を使用して混合するのがよい:単純な臼と杵、ドライブレンドデバイス、ドライパウダーブレンダー、ホリゾンタルドライパウダーミキサー、ロータリーバッチミキサー、リボンブレンダー、パドルブレンダー、タンブルブレンダー、バーティカルブレンダー、ドラムブレンダー、ボールミル(プラネタリーボールミルを含む)、リボンブレンダー、ロータリーキルン、ジェットミル、ロッドミル、グラインディングロール(時にはローラープレスまたはローラーミルとも呼ばれる、高圧グラインディングロールを含む)、ブーアストンミル、スタードミル、ビブラトリーミル(高振幅バイブレーションミルおよび低振幅バイブレーションミルを含む)、ハンマーミル、ディスクミル、ランダムオービットミキサーミル、アトリションミル、スモールメディアミル、アジテーテッドメディアミル、およびスタードメディアミル。そのような装置を組み合わせて使用することも可能であり、たとえば、有機モノスルフィド(またはその塩)と元素状硫黄とを、最初に、一つのタイプのグラインディング装置または混合装置の中で混合させて混合物を得て、次いでそれを、第二のタイプのグラインディング装置または混合装置の中でさらなる加工にかけることもできる。
【0034】
そのような混合工程の際の温度は、少なくとも元素状硫黄が固体状態の形態を維持できるように調節するのがよい。たとえば0℃〜95℃の間の混合温度を採用するのがよい。典型的には、室温近辺(すなわち、約15℃〜約35℃)の混合温度で十分であることが見出された。
【0035】
所望のレベルの反応が達成されたら(典型的には、0.2〜5時間かかる)、混合を停止し、そのようにして得られた有機ポリスルフィドまたは有機ポリスルフィド塩を含む反応生成物を回収し、場合によっては、所望に応じて、さらなる加工および/または精製工程にかけるのがよい。そのようにして得られた有機ポリスルフィドまたは有機ポリスルフィド塩は、当業者には公知の各種の最終用途、たとえば国際公開第2013/155038号パンフレットに記載されているような金属−硫黄バッテリーの構成成分を含め、そのような物質のために使用することができる。
【0036】
本発明の態様には、以下の項目が含まれる。
【0037】
有機ポリスルフィドまたはその塩を製造するための方法であって、前記方法が、有機モノスルフィドまたはその塩と元素状硫黄とを混合する工程を含み、前記混合が、95℃以下の温度で、いかなる添加液相も存在させることなく、前記有機ポリスルフィドまたはその塩を製造するのに有効な時間の間実施される、方法。
【0038】
前記有機ポリスルフィドまたはその塩が、一般式(I):
R−[Sn−M]p (I)
[式中、nは2以上の整数であり、pは少なくとも1の整数であり、Rは、1〜25個の炭素原子を含み、場合によっては1個または複数の水素原子および/または1個または複数のヘテロ原子をさらに含む有機残基であり、Mは、形式陽電荷を担持する元素または残基である]
に相当し;
有機モノスルフィドまたはその塩が、一般式(II):
R−[S−M]p (II)
[式中、R、M、およびpは、一般式(I)と同じ意味を有する]に相当する、
前記方法。
【0039】
pが、1〜3の整数である、前記方法。
【0040】
nが、2〜30の整数である、前記方法。
【0041】
Rが、場合によっては1個または複数のヘテロ原子を含む炭化水素残基である、前記方法。
【0042】
Rが、場合によっては1個または複数のヘテロ原子を含む炭化水素残基であり、N、O、S、Se、P、およびハロゲンからなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む、前記方法。
【0043】
Mが、H、Li、Na、K、(1/2)Ca、金属、ホスホニウム残基、およびアンモニウム残基からなる群から選択される、前記方法。
【0044】
前記有機モノスルフィドが一般式(III):
R−S−R’ (III)
[式中、RおよびR’は、互いに同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、1〜25個の炭素原子を含み、場合によっては1個または複数の水素原子および/または1個または複数のヘテロ原子をさらに含む有機残基である]
に相当する、請求項1に記載の方法。
【0045】
前記混合が、臼と杵、ボールミル、リボンブレンダー、ロータリーキルン、ジェットミル、ロッドミル、グラインディングロール、ブーアストンミル、スタードミル、ビブラトリーミル、ハンマーミル、ディスクミル、ランダムオービットミキサーミル、アトリションミル、スモールメディアミル、アジテーテッドメディアミル、およびスタードメディアミルからなる群から選択される少なくとも1種の装置を使用して実施される、前記方法。
【0046】
前記混合に、前記有機モノスルフィドまたはその塩と元素状硫黄とをグラインディングまたはミリングすることが含まれる、前記方法。
【0047】
前記方法が、無機ポリスルフィド塩である副生物をさらに形成する、前記方法。
【0048】
前記混合が、触媒の非存在下で実施される、前記方法。
【0049】
pが、1、2、または3である、前記方法。
【0050】
前記混合が、0℃〜95℃の温度で実施される、前記方法。
【0051】
Rが、C6〜C25炭化水素基である、前記方法。
【0052】
Rが、オキシアルキレン含有基である、前記方法。
【0053】
Rが、二価のオキシエチレン含有基である、前記方法。
【0054】
Mが、アルカリ金属である、前記方法。
【0055】
Mが、Liである、前記方法。
【0056】
混合の前には、前記有機モノスルフィドまたはその塩と前記元素状硫黄の両方が、固体状態にある、前記方法。
【0057】
本発明の上述の各種の態様を各種組み合わせた方法によって得られる、有機ポリスルフィドまたはその塩。
【0058】
本明細書においては、実施態様は、明瞭かつ簡潔な明細書を書くことを可能とするようにして記載してきたが、それらの実施態様は、本発明から外れない範囲で、各種の併合または分離をしてもよいということが意図されており、このことは認められるであろう。たとえば、本明細書に記載の「好ましい態様」は、本明細書に記載されている本発明のすべての態様にあてはめることができるということは認められるであろう。
【0059】
特定の実施態様を参照しながら、本明細書の中で本発明を説明し、記述しているが、以下に示す詳細に本発明が限定されることは意図されていない。むしろ、特許請求の範囲と等価の範囲の中で、本発明から逸脱することなく、各種の修正を細かく実施することができる。
【実施例】
【0060】
実施例1
グローブボックスの中で、20mLのシンチレーションバイアルの中に、0.1000gのC1225SLiを秤り込んだ。次いでそれと同じバイアルに、0.0462gの元素状硫黄を添加した。バイアルの中に撹拌バーを入れ、バイアルに蓋をした。その密閉した容器を、マグネチックスターラーの上に置いた。2時間後に、その混合物質の色が変化して、明るいカナリヤ色となった。
【0061】
実施例2
グローブボックスの中で、20mLのシンチレーションバイアルの中に、0.1000gのLi−S−C24−O−C24−O−C24−S−Liを秤り込んだ。次いでそれと同じバイアルに、0.1055gの元素状硫黄を添加した。バイアルの中に撹拌バーを入れ、バイアルに蓋をした。その密閉した容器を、マグネチックスターラーの上に置いた。2時間後に、その混合物質の色が変化して、明るいカナリヤ色となった。
【0062】
実施例3
グローブボックスの中で、100mLのフラスコの中に、5.000gのLi−S−C24−O−C24−O−C24−S−Liを秤り込んだ。次いでそれと同じフラスコに、4.94gの元素状硫黄を添加した。フラスコの中に撹拌バーを入れ、フラスコに蓋をした。その密閉した容器を、マグネチックスターラーの上に置いた。2時間後に、その混合物質の色が変化して、黄色となった。
【0063】
実施例4
グローブボックスの中で、20mLのシンチレーションバイアルの中に、1.000gのC65SNaを秤り込んだ。次いでそれと同じバイアルに、0.7264gの元素状硫黄を添加した。バイアルの中に撹拌バーを入れ、バイアルに蓋をした。その密閉した容器を、マグネチックスターラーの上に置いた。1時間後に、その混合物質の色が変化して、黄色となった。
【0064】
実施例5
グローブボックスの中で、20mLのシンチレーションバイアルの中に、1.000gの2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール二カリウム塩を秤り込んだ。次いでそれと同じバイアルに、0.4239gの元素状硫黄を添加した。バイアルの中に撹拌バーを入れ、バイアルに蓋をした。その密閉した容器を、マグネチックスターラーの上に置いた。1時間後に、その混合物質の色が変化して、黄色となった。