特許第6789997号(P6789997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789997
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】反応性ガス供給用ガス分離膜モジュール
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/22 20060101AFI20201116BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20201116BHJP
   B01D 63/04 20060101ALI20201116BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20201116BHJP
   B01D 71/76 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B01D53/22
   B01D63/00 500
   B01D63/04
   B01D63/10
   B01D71/76
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-567190(P2017-567190)
(86)(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公表番号】特表2018-519155(P2018-519155A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】US2016039799
(87)【国際公開番号】WO2017004028
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】14/788,758
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】318006941
【氏名又は名称】エア・リキード・アドバンスド・テクノロジーズ・ユー.エス.・エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(73)【特許権者】
【識別番号】318006952
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】スディール・エス・クルカルニ
(72)【発明者】
【氏名】カール・エス・ベアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ピエール・アール・ビラゲ
(72)【発明者】
【氏名】ミリンド・エム・ヴァイダヤ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・エイ・デュヴァル
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0011157(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0217485(US,A1)
【文献】 特開平03−038222(JP,A)
【文献】 特開2007−127178(JP,A)
【文献】 特開昭57−136906(JP,A)
【文献】 特表2018−519157(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202936220(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00−53/96
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性ガス供給用ガス分離膜モジュールにおいて、
第一及び第二の端で開放する、炭素鋼又は低合金鋼で製作された中空の圧力容器であって、前記第一の端の第一の端面と、前記第二の端の第二の端面と、を有する中空の圧力容器と、
炭素鋼又は低合金鋼で製作され、前記圧力容器の前記第一の端を前記第一の端面において密閉する第一のエンドキャップであって、その中に形成された第一のポートを含む第一のエンドキャップと、
炭素鋼又は低合金鋼で製作され、前記圧力容器の前記第二の端を前記第二の端面において密閉する第二のエンドキャップであって、第二のエンドキャップが、その中に形成された第二のポートを含み、前記圧力容器がその中に形成された第三のポートを有する、第二のエンドキャップと、
前記圧力容器内に設置され、束状に配置された複数のガス分離膜であって、前記複数の膜は前記束の少なくとも一方の端において固体ポリマー内にシール状態で包み込まれ、前記膜の各々は第一の側と第二の側を有し、前記膜の各々はその第一の側へと供給される酸性ガスを含む供給ガスを、前記膜を通じたその第二の側へのガスの透過により、より低圧の透過ガスを前記第二の側に、また、より高圧の残留ガスを前記第一の側に供給することによって分離するように適応及び構成され、前記透過ガスが前記残留ガスと比較して1つ又は複数のガスが富化の状態である、複数のガス分離膜と、
高合金鋼で製作され、前記第一のポートと、前記膜の第一の側と前記膜の第二の側のうちの一方との間で流体連通する第一のポート管と、
高合金鋼で製作され、前記第二のポートと、前記膜の第一の側と前記膜の第二の側のうちの残りの一方との間で流体連通する第二のポート管と、
第一及び第二の圧縮性シーリング要素を含む少なくとも2つの圧縮性シーリング要素と、を含み、
前記第一の圧縮性シーリング要素は、前記第一のポート管の外面と前記第一のポートの内面との間で圧縮され、前記第一のポート管の外面と前記第一のポートの内面のうちの少なくとも一方に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第二の圧縮性シーリング要素は、前記第二のポート管の外面と前記第二のポートの内面との間で圧縮され、前記第二のポート管の外面と前記第二のポートの内面のうちの少なくとも一方に耐腐食性クラッド層が設けられている、
酸性ガス供給用ガス分離膜モジュール。
【請求項2】
前記第一のポート管は透過管であり、前記第一のポートは透過ポートであり、
前記第一の圧縮性シーリング要素は、前記透過管の外径に形成された溝内に設置された第一のOリングであり、
前記透過ポートの前記内面のうち、前記第一のOリングと接触する部分に前記耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第二のポート管は残留管であり、前記第二のポートは残留ポートであり、
前記第二の圧縮性シーリング要素は、前記残留管の外径に形成された溝内に設置された第二のOリングであり、
前記残留ポートの前記内面のうち、前記第二のOリングと接触する部分に前記耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第三のポートは供給ポートである、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項3】
前記第一のポート管は透過管であり、前記第一のポートは透過ポートであり、
前記第一の圧縮性シーリング要素は、前記透過管の外径に形成された溝内に設置された第一のOリングであり、
前記透過ポートの前記内面のうち、前記第一のOリングと接触する部分に前記耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第二のポート管は供給ガス管であり、前記第二のポートは供給ガスポートであり、
前記第二の圧縮性シーリング要素は、前記供給ガス管の外径に形成された溝内に設置された第二のOリングであり、前記供給ガスポートの前記内面のうち、前記第二のOリングと接触する部分に前記耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第三のポートは残留ポートである、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも2つの圧縮性シーリング要素は、前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの内向き面との間に設置された第三の圧縮性シーリング要素と、前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの内向き面との間に設置された第四の圧縮性シーリング要素と、をさらに含み、
前記第三の圧縮性シーリング要素は、前記第一の端面、前記第一のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの前記内向き面の各々に形成された溝内に設置され、
前記第一の端面、前記第一のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの前記内向き面の各々に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第四の圧縮性シーリング要素は、前記第二の端面、前記第二のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの前記内向き面の各々に形成された溝内に設置され、
前記第二の端面、前記第二のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの前記内向き面の各々に耐腐食性クラッド層が設けられる、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項5】
前記第三及び第四の圧縮性シーリング要素の各々は渦巻型ガスケットである、請求項に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項6】
前記ガス分離膜は、中空糸膜又はスパイラル型膜として構成される、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項7】
前記ガス分離膜はガラス状ポリマー又はゴム状ポリマーで製作される、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項8】
前記圧力容器は、ASME SA333 Grade 6シームレスパイプで製作される、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項9】
前記第一及び第二のエンドキャップの前記低合金鋼は、SA350 LF2 Class 2又はASTM 105Nである、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項10】
前記耐腐食性クラッド層の各々は、ハステロイ、インコネル、及びセラミックからなる群から選択される、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項11】
前記圧縮性シーリング要素はOリング、ガスケット、又はカップシールである、請求項1に記載のガス分離膜モジュール。
【請求項12】
酸性ガス含有供給ガスの分離方法において、
請求項1に記載のガス分離膜モジュールを提供するステップと、
酸性ガス含有供給ガスを前記第一から第三のポートのうちの1つを通じて前記ガス分離膜モジュールに供給するステップと、
前記第一から第三のポートのうちの他の1つを通じて前記ガス分離膜モジュールから透過ガスを引き出すステップと、
前記第一から第三のポートのうちのまた別の1つを通じて前記ガス分離膜モジュールから残留ガスを引き出すステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記供給ガスは、前記第三のポートを通じてガス分離膜モジュールに供給され、前記透過ガスは前記第一のポートを通じて前記膜モジュールから引き出され、前記残留ガスは前記第二のポートを通じて前記ガス分離膜モジュールから引き出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記供給ガスは、前記第二のポートを通じてガス分離膜モジュールに供給され、前記透過ガスは前記第一のポートを通じて前記ガス分離膜モジュールから引き出され、前記残留ガスは前記第三のポートを通じて前記ガス分離膜モジュールから引き出される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記酸性ガス含有供給ガスは、HSを少なくとも5vol%含むサワーな天然ガスである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性供給ガスからガスを分離する中で使用される、より高い耐漏出性を示すシーリング機能を含む経済的なガス分離膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのガス分離膜モジュールは、束状に配置された複数の中空糸を含み、束の少なくとも一方の端は管板内に埋め込まれ、束は圧力容器内に取り付けられる。供給ガスが膜束と接触するのは、シェル側(すなわち、中空糸の外面)からでも、中空糸の管/孔側(すなわち、中空糸の内面)からでもよい。
【0003】
孔側から供給される場合、ガス成分は優先的に糸の孔から糸壁を透過して糸の外側の空間に出る。これらの優先的に透過したガスはシェル側から、透過ポートを通じて透過ストリームとして引き出される。これらの優先的に透過した成分がなくなった残留ストリームは、残留ポートから引き出される。
【0004】
これに対して、より高圧での動作の場合には典型的に、供給ガスはシェル側から中空糸束と接触する。供給ガスの流路は典型的に外から中への方向を有するが、逆向きも可能である。優先的に透過したガス成分は、中空糸壁を通じて、中空糸の孔の中に入る。優先的に透過したガス成分は透過ポートから透過ストリームとして引き出され、減少した供給ガス(優先的に透過したガス成分の分が減少した)は、残留ポートから残留ストリームとして引き出される。
【0005】
上述の膜モジュールは多くの種類の供給ガスについては通常程度に満足であるが、これらはモジュールが酸性ガス供給に組み込まれた場合は、漏出に対する感受性が高くなる可能性がある(すなわち、供給ガスの透過ガスへの漏出、供給ガスの残留ガスへの漏出、又は供給ガスのモジュール外への漏出)。酸性ガス供給とは、供給ガスが腐食性で、HS及びCO等の酸性ガスを含むことを意味しており、これは例えばサワーガスである。このような漏出感受性は、供給ガス中の酸性ガス、特にHSの濃度が比較的高いとより悪化する。例えば、非常にサワー又は超サワーな天然ガスについて、2桁のパーセンテージであり、75vol%にさえ至る場合のあるHSの濃度の報告がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、膜ベースのガス分離器の分野では、それほど漏出感受性のないガス分離膜モジュールが求められている。
【0007】
上述のニーズを満たすことが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、酸性ガス供給用ガス分離膜モジュールが開示され、これは、第一及び第二の端で開放する、炭素鋼又は低合金鋼で製作された中空の圧力容器であって、前記第一の端の第一の端面と、前記第二の端の第二の端面と、を含む中空の圧力容器と、炭素鋼又は低合金鋼で製作され、前記圧力容器の前記第一の端を前記第一の端面において密閉する第一のエンドキャップであって、その中に形成された第一のポートを含む第一のエンドキャップと、炭素鋼又は低合金鋼で製作され、前記圧力容器の前記第二の端を前記第二の端面において密閉する第二のエンドキャップであって、その中に形成された第二のポートを含み、前記圧力容器がその中に形成された第三のポートを有する、第二のエンドキャップと、圧力容器内に設置され、束状に配置された複数のガス分離膜であって、複数の膜の一方又は両方の端は固体ポリマー内にシール状態で包み込まれて束の端で管板を形成し、前記膜の各々は第一の側と第二の側を有し、前記膜の各々はその第一の側へと供給される酸性ガスを含む供給ガスを、膜を通じたその第二の側へのガスの透過により、より低圧の透過ガスを第二の側に、また、より高圧の残留ガスを第一の側に供給することによって分離するように適応及び構成され、透過ガスが残留ガスと比較して1つ又は複数のガスが富化の状態である、複数のガス分離膜と、高合金鋼で製作され、第一のポートと、膜の第一の側と膜の第二の側のうちの一方との間で流体連通する第一のポート管と、高合金鋼で製作され、第二のポートと、膜の第一の側と膜の第二の側のうちの残りの一方との間で流体連通する第二のポート管と、第一及び第二の圧縮性シーリング要素を含む少なくとも2つの圧縮性シーリング要素と、を含む。前記第一の圧縮性シーリング要素は、(i)圧力容器の内面と前記管板のうちの一方の外面、(ii)第一のポート管の外面と第一のポートの内面、及び(iii)第二のポート管の外面と第二のポートの内面からなる群から選択される第一のペアのシーリング面間で圧縮される。前記第一のペアのシーリング面のうちの少なくとも一方には、耐腐食性クラッド層が設けられる。前記第二の圧縮性シーリング要素は、(i)圧縮容器の内面と前記管板のうちの一方の外面、(ii)第一のポート管の外面と第一のポートの内面、及び(iii)第二のポート管の外面と第二のポートの内面からなる群から選択される第二のペアのシーリング面間で圧縮される。前記第二のペアのシーリング面のうちの少なくとも一方には、耐腐食性クラッド層が設けられる。
【0009】
酸性ガス含有供給ガスの分離方法も開示され、これは以下のステップを含む。上述の膜モジュールが提供される。酸性ガス含有供給ガスがポートのうちの1つを通じて膜モジュールに供給される。透過ガスはポートのうちの別の1つを通じて膜モジュールから引き出される。残留ガスは、ポートのうちの別のものを通じて膜モジュールから引き出される。
【0010】
膜モジュールと方法の何れか又は両方が、以下の態様の1つ又は複数を含んでいてもよい。
− 複数の膜の各々の一方の端だけが固体ポリマー内にシール状態で包み込まれて束の端で管板を形成し、前記第一のポート管は透過管であり、第一のポートは透過ポートであり、前記第一のペアのシーリング面は透過管の外面と透過ポートの内面であり、前記第一の圧縮性シーリング要素は、透過管の外径に形成された溝内に取り付けられた第一のOリングであり、透過ポートの内面のうち、第一のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、前記第二のポート管は残留管であり、第二のポートは残留ポートであり、前記第二のペアのシーリング面は残留管の外面と残留ポートの内面であり、前記第二の圧縮性シーリング要素は、残留管の外径に形成された溝内に取り付けられた第二のOリングであり、残留ポートの内面のうち、第二のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、前記第三のポートはフィードポートである。
− 複数の膜の各々の一方の端だけが固体ポリマー内にシール状態で包み込まれて束の端で管板を形成し、前記第一のポート管は透過管であり、第一のポートは透過ポートであり、前記第一のペアのシーリング面は透過管の外面と透過ポートの内面であり、前記第一の圧縮性シーリング要素は、透過管の外径に形成された溝内に取り付けられた第一のOリングであり、透過ポートの内面のうち、第一のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、前記第二のポート管は供給ガス管であり、第二のポートは供給ガスポートであり、前記第二のペアのシーリング面は供給ガス管の外面と供給ポートの内面であり、前記第二の圧縮性シーリング要素は、供給ガス管の外径に形成された溝内に取り付けられた第二のOリングであり、供給ポートの内面のうち、第二のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、前記第三のポートは残留ポートである。
− 複数の膜の各々の各端が固体ポリマー内にシール状態で包み込まれて、第一のポートの付近に第一の管板と第二のポートの付近に第二の管板を形成し、前記第一のポート管は残留管であり、第一のポートは残留ポートであり、前記第二のポート管は供給ガス管で、第二のポートは供給ガスボートであり、前記第三のポートは透過ボートであり、前記第一のペアのシーリング面は、第一の管板の外面と、圧力容器の、第一の管板に隣接する内面であり、前記第一の圧縮性シーリング要素は、第一の管板の外径に形成された溝内に取り付けられた第一のOリングであり、圧力容器の内面のうち、第一のOリングと接触する部分には耐腐食性クラッド層が設けられ、前記第二の圧縮性シーリング要素は、第二の管板の外径に形成された溝内に取り付けられた第二のOリングであり、圧力容器の内面のうち、第二のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、
− 前記少なくとも2つの圧縮性シーリング要素は、第一の端面と第一のエンドキャップの内向き面との間に取り付けられた第三の圧縮性シーリング要素と、第二の端面前記第二のエンドキャプの内向き面との間に取り付けられた第四の圧縮性シーリングと、をさらに含み、第三の圧縮性シーリング要素は、第一の端面内、前記第一のエンドキャップの内向き面の何れか、又は前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの前記内向き面の各々に形成された溝内に取り付けられ、第一の端面、前記第一のエンドキャップの内向き面の何れか、又は前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの前記内向き面の各々に耐腐食性クラッド層が設けられ、第四の圧縮性シーリング要素は、第二の端面、前記第二のエンドキャップの内向き面の何れか、又は前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの前記内向き面の各々に形成された溝内に取り付けられ、第二の端面、前記第二のエンドキャップの内向き面の何れか、又は前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの前記内向き面の各々に耐腐食性クラッド層が設けられる。
− 前記第三及び第四の圧縮性シーリング要素は渦巻型ガスケットである。
− 膜は、中空糸膜又はスパイラル型膜として構成される。
− 膜は、ガラス状ポリマー又はゴム状ポリマーで製作される。
− 圧力容器は、ASME SA333 Grade 6シームレスパイプで製作される。
− 第一及び第二のエンドキャップの低合金はSA350 LF2 Class 2又はASTM 105Nである。
− クラッド層の各々は、ハステロイ、インコネル、及びセラミックからなる群から選択される。
− 酸性ガスは、HSを少なくとも10vol%含むサワーガスである。
− 圧縮性シーリング要素はOリング、ガスケット、又はカップシールである。
− 供給ガスは、第三のポートを通じて膜モジュールに供給され、透過ガスは第一のポートを通じて膜モジュールから引き出され、残留ガスは第二のポートを通じて膜モジュールから引き出される。
− 供給ガスは、第一のポートを通じて膜モジュールから引き出され、残留ガスは、第三のポートを通じて膜モジュールから引き出される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1】本発明の膜モジュールの第一の実施形態の、部品を取り除いた断面略図である。
図1A図1の膜モジュールの詳細部分であり、第一のシールを明瞭に示すために部品が取り除かれている。
図1B図1の膜モジュールの別の詳細部分であり、第二のシールを明瞭に示すために部品が取り除かれている。
図1C図1の膜モジュールのさらに別の詳細部分であり、第三のシールを明瞭に示すために部品が取り除かれている。
図1D図1の膜モジュールのまた別の詳細部分であり、第四のシールを明瞭に示すために部品が取り除かれている。
図2】本発明の膜モジュールの第二の実施形態の、部品を取り除いた断面略図である。
図2A図2の膜モジュールの詳細部分であり、第一のシールを明瞭に示すために部品が取り除かれている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ガス分離膜モジュールは、腐食性ガス供給に適している。膜は高い内圧に耐えることのできる圧力容器内に設置される。圧力容器の主要な構成材料は比較的安価な金属、例えば低合金鋼であり、これは腐食性ガスの加圧供給に使用するには、高い腐食しろを必要とする。しかしながら、比較的安価な金属の多くが示す腐食感受性は、酸性ガス供給に膜モジュールが使用されるようにするものとして、それらが受け入れられなくなるという影響を有するかもしれない。
【0013】
特に出願人は、比較的安価で耐腐食性の低い金属を含むシールは、シール部で相互に接触する金属面が腐食し、シール部に低強度の腐食生成物が残るため、不良となると判断した。この腐食したシールの前後の(モジュール内のより高圧の領域と低圧領域との間の)圧力差が大きくなると、低強度の腐食生成物は、シール内で高圧領域から低圧領域まで形成される経路を通じた漏出を防止するのに必要な強度を持たないため、それ以前に腐食していなかったシールが不良となる。このような漏出は、膜モジュールから可燃性ガスが漏れた場合、危険でありうる。このような漏出は、そのほかに、その漏出によりガス分離が妨害されるため、膜モジュールの性能の重大な損失につながりかねない。
【0014】
何れの特定の理論にも縛られないが、出願人は腐食が2つの方法の何れかで発生する可能性があると考えている。第一に、これは通常運転中又は動作停止中に表面が気体のHS及びCOにさらされることにより起こるかもしれない。第二に、そしてより大きな腐食原因の可能性が高いが、これは、動作停止中、輸送中、又は膜束交換中に表面に蓄積されるかもしれない、HS及びCOを含む、少量の凝縮水分に表面がさらされることにより起こるかもしれない。
【0015】
この問題を回避するために、膜モジュールの金属部品を耐腐食性材料で製作してもよいが、今度は別の問題が発生し、すなわち、膜ベースのガス分離方式の経済的正当性である。多くの例において、あるガス分離を実現するための技術的方式の全体的価格は、膜ベースのガス分離方式と膜ベース以外のガス分離方式の選択の決定を左右すものである。
【0016】
したがって、出願人は、ガス分離膜モジュールの金属部品に比較的低コストの金属を使用し、金属部品の、特に漏出及び/又は不良の発生しやすいあらゆるシールに隣接する表面をクラッド被覆することを提案する。表面をクラッド被覆する、とは、金属部品の少なくとも1つの、シールに隣接する表面がクラッド被覆されることを意味する。しかしながら、2つの金属部品の各々の、シールに隣接する表面がクラッド被覆されてもよい。クラッド層は、耐腐食性を有することが実証されている何れの金属材料であってもよく、例えばハステロイ、インコネル、又はセラミックである。最大の圧力差は、透過ガスから供給ガスを隔離するためのシールにおいて生じるため、これらの表面をクラッド被覆することが最も重要である。また、供給ガス/透過ガスのシールより重要性は低いかもしれないが、供給ガスを残留ガスから、供給ガスを膜モジュール外部の周辺雰囲気から、及び残留ガスを膜モジュール外部の周辺雰囲気から隔離するシールもまた重要である。
【0017】
典型的に、圧縮性シーリング要素は、シールを構成する2つの金属部品(そのうちの一方又は両方がクラッド被覆される)間で使用される。溝がシールの金属部品の一方に形成されて、圧縮性シーリング要素を受けてもよく、それによって要素は溝の表面と、金属部品の、溝のある金属部品と対向する平面との間で圧縮される。最低限、クラッド被覆は当該のシールのうちの溝のない表面に提供すべきであるが、溝のある表面と溝のない表面の両方をクラッド被覆することにより、より耐腐食性の高いシールが生成される。
【0018】
あるいは、対応する溝が、シールを形成する金属部品の各々に形成されてもよく、それによって圧縮性要素は溝のある2つの表面間で圧縮される。この場合、クラッド層は好ましくは、溝のある表面の各々に提供される。
【0019】
何れの面にクラッド被覆するかに関係なく、圧縮性シーリング要素は、比較的高圧の領域(例えば、圧縮供給ガスを含むもの)と比較的低圧の領域(例えば、透過ガスを含むもの)との間のバイパスリークを防止するシールを形成する。圧縮性シーリング要素の構造は限定されず、ガス分離膜モジュールのシールの分野で知られている配置を有していてもよい。典型的に、圧縮性シーリング要素は、Oリング、平面ガスケット、渦巻型ガスケット、又はカップシールとして構成される。シーリング要素の材料は、供給ガスの成分に対して耐性があるように選択され、例えば、Viton(商標)(フルオロエラストマ)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、Teflon(商標)コート材料(ポリテトラフルオロエチレン)、及びKalrez(商標)(パーフルオロエラストマ)である。
【0020】
シェル側供給モジュールの1つの典型的な構成において、供給ガスは容器内に供給ガスポートから入り、圧力容器の内径と膜束の外径との間の環状の空間に流入する。供給ガスはその後、中空糸束のシェル面を通じて半径方向に、束の円周面から残留/中央管に向かって流れる。膜中空糸を容易に透過しないガス成分を含む残留ガスは、残留ガスがその中へと通過できるようにさん孔された中央管で回収される。膜中空糸を容易に透過する供給ガス成分を含む透過ガスは、糸壁を通って孔側へと流れ、束の片側又は両側で回収され、透過管の中へと流れる。中央管は典型的に、束を通って縦方向に延び、透過管内に格納されるか、透過管が中央管内に、この管内で好ましくは同心円状に格納される。
【0021】
管板(複数の場合もある)は、中空糸をエポキシで結合又は密着させることによって形成される。糸の内孔は、少なくとも1つの管板において、管板を再び切断して開放させ、糸の孔を露出させて、透過ガスが場合に応じて孔に入り、又はそこから出ることができるようにする。糸のもう一方の端は典型的にエポキシ内でも密閉されたままであり、閉じた管板に耐圧シールを形成する。残留管は開放した管板から束の反対側の開放していない管板まで伸びる。多孔質の支持ブロックが開放した管板に隣接してある。このブロックは、糸の孔から出る透過ガスのための流路を提供し、また、供給ガスの圧力に抵抗するように管板のたのめ機械的支持手段も提供する。端板が多孔質の支持ブロックの横に位置付けられる。この端板は、ねじと保持リングによってその場に保持される。端板は、流路アダプタを収容できるように機械加工される。この流路アダプタは、多孔質の支持ブロックを介して孔を透過管に、及び透過ポートの外へと接続するために使用される。最後に、束を容器に挿入しやすくするために、センタリングリング(束を圧力容器内でセンタリングする)が追加されてもよい。
【0022】
残留管の一方の端は閉じられ、他方の端は残留ポートに接続される。残留ガスを供給ガスからシールし、残留ガスを膜モジュール外の周辺雰囲気から隔離するためにシールが提供されるのはこの地点である。シールは、残留管の外径と、関連するエンドキャップの残留ポートの内径との間の圧縮性シーリング要素を含む。典型的に、残留管の外径又は関連するエンドキャップの残留ポートの内径の何れか(又は両方)に溝をつけて、圧縮性シーリング要素を収容する。典型的に、この圧縮性シーリング要素はOリングである。
【0023】
同様に、透過管の一方の端は閉じられ、他方の端は透過ポートに接続される。再び、透過ガスを供給ガスから、及び透過ガスを膜モジュール外の周辺雰囲気から隔離するためにシールが提供されるのはこの地点である。シールは、透過管の外径と関連するエンドキャップの透過ポートの内径との間の圧縮性シーリング要素を含む。典型的に、透過管の外径又は関連するエンドキャップの透過ポートの内径の何れか(又は両方)に溝をつけて、圧縮性シーリング要素を収容する。典型的に、この圧縮性シーリング要素もまたOリングである。
【0024】
重さとコストの理由から、エンドキャップは典型的にへこんでいる。エンドキャップは、エンドキャップの内向き面/圧力容器端面の各ペア間の適当な量のボルト圧縮により圧縮性シーリング要素を圧縮することによって、圧力容器に密着される。典型的に、この圧縮性シーリング要素は渦巻型ガスケットである。このシールにより、比較的高圧の、可燃性であることの多い供給ガス及び残留ガスが大気中に漏出するのが防止される。
【0025】
任意選択により、高合金鋼は膜モジュールの特定の金属部品、例えば透過管、残留管、及び流路アダプタに使用されてもよい。これらの耐腐食性によって、圧縮性シーリング要素は、腐食性条件にさらされたとしても安全な状態のままであることがさらに確実となるかもしれない。
【0026】
前述のように、圧力容器とエンドキャップのための基材として、炭素鋼又は低合金鋼を使用することが材料費と強度特性の点から望ましい。「炭素鋼」とは、鉄と炭素から作られる鋼鉄を意味する。「低合金鋼」とは、他の金属の量が4wt%を超えない炭素鋼の合金を意味する。非常に多くの種類の低合金鋼がよく知られており、様々な販売元から市販されている。サワーガス(CO及び/又はHS用のパイプラインの仕様に適合しない天然ガス)の供給については特に、圧力容器の基材は、NACE TM0284(NACE Internationalより入手可能)に記載されている試験手順及びエンドユーザが任意選択により規定する他の何れかの基準又はNACE MR0175−ISO 15156(付属書B)(NACE Internationalより入手可能)に記載されているガイドラインによる耐水素誘起割れ性炭素鋼から選択すべきである。圧力容器のためその他の典型的な材料は、ASME SA 333 Grade 6シームレスパイプ(特定の種類の炭素鋼構造)である。典型的に、エンドキャップは、SA350 LF2鋼鉄又はA105N鋼鉄で製作されてもよい。上述の鋼鉄の各々はよく知られており、様々な販売元から市販されている。
【0027】
膜束は複数のスパイラル型シートとして構成されてもよいが、典型的にこれは複数の中空糸である。束の少なくとも一方の端は管板内に埋め込まれる。束は圧力容器内に設置される。供給ガスは、シェル側から、又は中空糸の管/孔側から膜束と接触してもよい。
【0028】
孔側から供給された場合、ガス成分は優先的に糸壁を透過し、結果として得られる透過ガスは透過ポートを通じてシェル側から引き出される。これらの優先的に透過した成分の分が減少した残留ストリームは、残留ポートから引き出される。管板と容器壁との間のOリングは、より高圧の供給ガス及び残留ストリームを透過ガスから隔離する。
【0029】
より高圧の動作には典型的に、供給ガスはシェル側から中空糸束と接触する。供給ガス流路は典型的に、外から中への方向であるが、逆方向もまた可能である。優先的に透過するガス成分は、糸壁を通過して孔に入り、透過ガスとして透過ポートから引き出される。これらの優先的に透過した成分の分が減少した残留ストリームは残留ポートから引き出される。Oリングが、より高圧の供給及び残留ストリームを透過ガスから隔離するために使用される。
【0030】
その他の特筆すべきシールは、圧力容器の端面及びエンドキャップの内向き面にある。これらのシールは、高圧の、時々は可燃性の供給及び残留ストリームが大気中に漏出するのを防止する。典型的に、これらのシールにおける圧縮性シーリング要素はOリング又はガスケット、例えば渦巻型ガスケットである。これらのシールの各々について、圧力容器の端面に、又は関連するエンドキャップの内向き面に、又はそれらの両方に溝が形成されて、圧縮性シーリング要素を受けてもよい。溝がこれらのシーリング面の1つにのみ形成された場合、シーリング面(すなわち、溝のある面とそれに対向する平らなシーリング面)の何れか又は両方に耐腐食性クラッド層が設けられる。溝がこれらのシーリング面の各々に形成された場合、同様に、シーリング面の一方又は両方に耐腐食性クラッド材が提供される。
【0031】
クラッド被覆は、類似しない金属を結合するか、又はセラミック材料を金属に結合するための、よく知られたプロセスである。高圧及び高温が、電気的及び/又は機械的エネルギーを印加する装置を通じて供給され、母材(例えば、炭素鋼、低合金鋼、間は高合金炭素鋼)とクラッド層の肉盛耐腐食性金属(例えば、ハステロイ、インコネル、又はセラミック)との間の金属結合を形成する。レーザ、赤外線加熱、爆着等を利用する、融着を誘導する各種のクラディング技術が知られている。典型的に、クラッド被覆は、SA 02−SAMSS−012標準に記載されている仕様書にしたがって実行される(ASME、第IX項(腐食防止−溶接金属オーバレイを参照)。ホットワイヤアーク溶接、特にガスタングステンアーク溶接(GTAW)は、母材の表面上にクラッド層として耐腐食性合金を堆積させるための特に適当な技術である。その他の方法も、金属母材上にセラミック層を生成するためのコーティング及び金属加工業界においてよく知られている。
【0032】
膜束は、圧力容器に容易に投入できるように適応された単体ユニットとして構成できる。あるいは、複数の束が、米国特許第5,137,631号及び米国特許第5,470,469号に開示されているように圧力容器の中に容易に挿入されて、逐次的又は並列的に動作するように配置されてもよい。単体のユニット内の束の数は2−10、好ましくは2−4の間で異なっていてもよい。
【0033】
図1に最もよく示されているように、膜モジュールの第一の実施形態は、ガス分離膜Mの複数の束を含み、1つの圧力容器PVの中で使用される。束M間の相互接続ではOリングが使用され、これは中央管又は流路アダプタの耐腐食性表面に密着される。第一のポート1は第一のエンドキャップEC1に形成され、第二のポート2は第二のエンドキャップEC2に形成される。第三のポート3は圧力容器内に形成される。
【0034】
図1の膜モジュールの第一の動作モードでは、膜モジュールはシェル側から供給され、第三のポート3は供給ガスポートであり、第一のポート1は透過ポートであり、第二のポート2は残留ポートであり、膜は中空糸膜である。この構成において、供給ガスは圧力容器PVに供給ガスポート3を通って入り、圧力容器PVの内径と膜束Mの外径との間の環状の空間内に流入する。次に、シードガスが半径方向に内側に、束を通じて、束の円周面から残留中央管(図示せず)に向かって流れる。糸壁を容易に透過しないガス成分を含む残留ガスは、残留ガスがその中を通過できるようにさん孔された残留中央管で回収される。糸壁を容易に透過する供給成分含む透過ガスは、糸の壁を通って、糸の孔側へと流れ、管板において膜束Mの片側又は両側で回収され、透過中央管(図示せず)の中へと、透過ガスの流れを糸の孔から透過中央管へと案内する流路アダプタを介して流れる。残留中央管は典型的に、束を通って縦方向に延び、透過中央管の中に格納されるか、透過中央管は残留中央管の中に、好ましくはこの管の中で同心円状に格納される。一方が他方の中に配置されているか否かにかかわらず、透過装置中央管と流路アダプタは高合金鋼で製作される。透過中央管は第一のポート管PT1(透過管)に接続され、透過ガスが第一のポート1(透過ポート)を通じて膜モジュールから流出できる。あるいは、透過中央管と第一のポート管PT1は、1つの一体管を含む。残留中央管は第二のポート管PT2(残留管)に接続され、残留ガスが第二のポート2(残留ポート)を通じて膜モジュールから流出できる。
【0035】
図1の膜モジュールの第二の動作モードでは、膜モジュールは孔から供給され、第二のポート2は供給ガスポートであり、第一のポート1は透過ポートであり、第三のポート3は残留ポートであり、膜は中空糸である。この構成において、供給ガスは圧力容器PVに供給ガスポートを通じて入り、第二のポート管2(供給ガス管)に、その後、さん孔された供給ガス中央管の中に入る。供給ガスは、細孔を通じて供給ガス中央管から出て、束を通って軸方向に外側に移動する。糸壁を容易に透過しないガス成分を含む残留ガスは、膜束Mの外面間の環状スぺースにおいて回収され、圧力容器PVの、第一のポート1の反対側の端へと流れ、第三のポート3を通じて圧力容器PVから出る。糸壁を容易に透過した供給ガス成分を含む透過ガスは、糸壁を通過して糸の孔側に流れ、管板において、膜束Mの片側又は両側で回収され、透過ガスを糸の孔から透過中央管へと案内する流路アダプタを通じて透過中央管(図示せず)に流入する。残留中央管は典型的に、束を通って縦方向に延び、透過中央管の中に格納されるか、又は透過中央管が残留中央管の中に、好ましくはこの管内で同心円状に格納される。一方が他方の中に配置されているか否かにかかわらず、透過装置中央管と流路アダプタは高合金鋼で製作される。透過中央管は第一のポート管PT1(透過管)に接続され、透過ガスが第一のポート1(透過ポート)を通じて膜モジュールから流出できる。あるいは、透過中央管と第一のポート管PT1は、1つの一体管を含む。
【0036】
図1Aに最もよく示されているように、図1の膜モジュールのシール1Aは圧縮性シーリング要素CSEで製作され、これは溝Gの中に受けられ、2つのシーリング面、すなわち第一のポート管PT1の外面PT1OSと第一のポート1の内面P1ISの間で圧縮される。典型的に、第一のポート管PT1は高合金鋼で製作され、第一のエンドキャップEC1は炭素鋼又は低合金鋼で製作される。第一のポート管PT1の外面PT1OS又は第一のポート1内面P1ISにはクラッド層が設けられてもよいが、典型的に、溝のない表面(内面P1IS)のみがクラッド被覆される。クラッド層は、前述のように耐腐食性材料で製作される。
【0037】
図1Bに最もよく示されているように、図1の膜モジューのシール1Bは圧縮性シーリング要素CSEで製作され、これは溝Gの中に受けられ、2つのシーリング面、すなわち第二のポート管PT2の外面PT2OSと第二のポート2の内面P2ISとの間で圧縮される。典型的に、第二のポート管PT2は高合金鋼で製作され、第二のエンドキャップEC2は炭素鋼又は低合金鋼で製作される。第二のポート管PT2の外面PT2OS又は第二のポート2の内面P2ISにはクラッド層が設けられてもよいが、典型的に、溝のない表面(内面P2IS)のみがクラッド被覆される。クラッド層は、前述のように耐腐食性材料で製作される。
【0038】
図1Cに最もよく示されているように、図1の膜モジュールのシール1Cは圧縮性シーリング要素(図示せず)で製作され、これは2つのシーリング面、すなわち圧力容器PVの第一の端面EF1と第一のエンドキャップEC1の内向き面EC1IFSとの間で圧縮される。典型的に、圧力容器PVと第一のエンドキャップEC1の各々は、炭素鋼又は低合金鋼で製作される。圧力容器PVの第一の端面EF1と第一のエンドキャップEC1の内向き面EC1IFSの一方又は両方にはクラッド層が設けられる。クラッド層は、前述のように耐腐食性材料で製作される。典型的に、圧縮性シーリング要素は渦巻型ガスケットである。
【0039】
図1Dに最もよく示されているように、図1の膜モジュールのシール1Dは、圧縮性シーリング要素(図示せず)で製作され、これは2つのシーリング面、すなわち圧力容器PVの第二の端面EF2と第二のエンドキャップEC2の内向き面EC2IFSとの間で圧縮される。典型的に、圧力容器PVと第一のエンドキャップEC2の各々は、炭素鋼又は低合金鋼で製作される。圧力容器PVの第一の端面EF2と第二のエンドキャップEC2の内向き面EC2IFSの一方又は両方にクラッド層が設けられる。クラッド層は、前述のように耐腐食性材料で製作される。典型的に、圧縮性シーリング要素は渦巻型ガスケットである。
【0040】
図2に最もよく示されているように、膜モジュールの第二の実施形態は、圧力容器PV内に取り付けられた孔側供給型の1つの膜束Mを含む。供給ガスは、第一のエンドキャップEC1に形成された供給ガスポートFPを通じて圧力容器PVに入り、分散されて束Mの第一の管板TS1と接触する。この構成において、束Mの両端の管板TS1、TS2は切断により開かれて、中空糸の開放端が露出し、供給ガスは糸孔を通り、束Mの、第二の管板TS2に隣接する残留端へと移動し、第二のエンドキャップEC2に形成された残留ポートRPを通じて圧力容器から出る。透過ガスは糸壁を通り、その後、半径方向に外側に、束Mの外面と圧力容器PVの内面との間の環状空間ASの中に入る。透過ガスは次に、圧力容器PV内に形成された透過ポート(図示せず)を通って出る。
【0041】
この第二の実施形態において、供給及び残留ガスは、束Mの外面と圧力容器PVの内面との間の環帯の中の透過シェル側空間から隔離する必要がある。図2Aにおいて最もよく示されているように、圧縮性シーリング要素CSEは溝Gに受けられ、圧力容器PVの内面PVISと第一の管板TS1の外面TS1OSとの間で圧縮される。圧縮容器PVは炭素鋼又は低合金鋼から製作される。圧縮容器PVの内面PVISには、前述のような耐腐食性材料から製作されるクラッド層が設けられる。典型的に、圧縮性シーリング要素はOリングでありこれは容器内径と管板の直径との間を隔離する。溝が管板に切り込まれて、Oリングを拘束してもよい。
【0042】
図1〜2Aに示される実施形態は、中空糸膜の束を用いた場合に信頼性の高いシーリング要素を形成するためにクラッド層を使用することを説明しているが、本発明は、圧力容器の内側に対してシールを形成する必要のある他の膜構成(スパイラル型又は板枠式)にも一般化することができる。これらの例においても、より高コストの耐腐食性材料で比較的小さいシーリング面をクラッド被覆することにより、確実なシーリングが可能となり、その一方で、容器自体は低コストの鋼材で製作される。
【0043】
膜モジュールの構成、実施形態、又はモードに関係なく、本発明によれば、膜モジュールは、HSの濃度が少なくとも5vol%、10vol%の高さ、さらには60vol%の高さ、さらには75vol%の高さの非常にサワーの、又は超サワーな天然ガス混合物のガス分離に適したものとなる。
【0044】
本発明をその具体的な実施形態に関連して説明したが、上記の説明から、多くの改変、改良、及び変更が当業者にとって明らかであろう。したがって、このような改変、改良、及び変更を、付属の特許請求の範囲の主旨と広い範囲に含まれるとして包含するものとする。本発明は適切に、開示されている要素を含み、それらからなり、又は基本的にそれらからなっていてもよく、また開示されていない要素がない状態で実施されてもよい。さらに、第一の、及び第二の、等の順序を示す文言があっても、これは限定的ではなく、例示的な意味で理解すべきである。例えば、当業者であればわかるように、特定の複数のステップをまとめて1つのステップにすることができる。
【0045】
単数形である冠詞(a、an、the)は、文脈から明らかにそうでない場合を除き、複数も含む。
【0046】
特許請求項の中の「〜を含む(comprising)」とは、「オープン」のつなぎ言葉であり、その後に明記されているクレーム要素は非限定的な羅列であり、すなわち、それに加えて他の何れかのものが含められ、「〜を含む(comprisign)」の範囲内にとどまってもよいことを意味する。「〜を含む(comprising)」はここでは、「基本的に〜からなる(consisting essentially of)」及び「〜なる(consisting of)」という、より限定的なつなぎ言葉を必然的に包含すると定義され、したがって、「〜を含む(comprising)」は「基本的に〜からなる(consisting essentially of)」または「〜からなる(consisting of)」に置き換えられてもよく、「〜を含む(comprising)」の明示的に定義された範囲内にとどまる。
【0047】
特許請求項の中の「〜を提供する(prividing)」は、何かを提供し、供給し、使用可能にし、又は準備することを意味すると定義される。ステップは、特許請求項の中に別段の明瞭な文言がない限り、何れの行為者が実行してもよい。
【0048】
任意選択の、又は任意選択により、とは、その後に記載されている事象又は状態が発生しても発生しなくてもよいことを意味する。説明には、その事象又は状態が発生した例と発生しない例が含まれる。
【0049】
範囲は、本明細書の中でほぼ1つの特定の数値から、及び/またはほぼ他の特定の数値まで、のように表現されているかもしれない。このような範囲が明記された場合、他の実施形態は、他の特定の数値から、及び/又は他の特定の数字までのほか、前記範囲内のすべての組合せであると理解するものとする。
【0050】
本明細書に明記されたすべての参考文献は各々、それぞれが引用された具体的な情報と共に、それらの全体が参照によって本願に援用される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 酸性ガス供給用ガス分離膜モジュールにおいて、
第一及び第二の端で開放する、炭素鋼又は低合金鋼で製作された中空の圧力容器であって、前記第一の端の第一の端面と、前記第二の端の第二の端面と、を含む中空の圧力容器と、
炭素鋼又は低合金鋼で製作され、前記圧力容器の前記第一の端を前記第一の端面において密閉する第一のエンドキャップであって、その中に形成された第一のポートを含む第一のエンドキャップと、
炭素鋼又は低合金鋼で製作され、前記圧力容器の前記第二の端を前記第二の端面において密閉する第二のエンドキャップであって、その中に形成された第二のポートを含み、前記圧力容器がその中に形成された第三のポートを有する、第二のエンドキャップと、
前記圧力容器内に設置され、束状に配置された複数のガス分離膜であって、前記複数の膜は前記束の少なくとも一方の端において固体ポリマー内にシール状態で包み込まれ、前記膜の各々は第一の側と第二の側を有し、前記膜の各々はその第一の側へと供給される酸性ガスを含む供給ガスを、前記膜を通じたその第二の側へのガスの透過により、より低圧の透過ガスを前記第二の側に、また、より高圧の残留ガスを前記第一の側に供給することによって分離するように適応及び構成され、前記透過ガスが前記残留ガスと比較して1つ又は複数のガスが富化の状態である、複数のガス分離膜と、
高合金鋼で製作され、前記第一のポートと、前記膜の第一の側と前記膜の第二の側のうちの一方との間で流体連通する第一のポート管と、
高合金鋼で製作され、前記第二のポートと、前記膜の第一の側と前記膜の第二の側のうちの残りの一方との間で流体連通する第二のポート管と、
第一及び第二の圧縮性シーリング要素を含む少なくとも2つの圧縮性シーリング要素と、
を含み、
前記第一の圧縮性シーリング要素は、前記第一のポート管の外面と前記第一のポートの内面との間で圧縮され、前記第一のポート管の外面と前記第一のポートの内面のうちの少なくとも一方に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第二の圧縮性シーリング要素は、前記第二のポート管の外面と前記第二のポートの内面との間で圧縮され、前記第二のポート管の外面と前記第二のポートの内面のうちの少なくとも一方に耐腐食性クラッド層が設けられている、
酸性ガス供給用ガス分離膜モジュール。
[2] 前記第一のポート管は透過管であり、前記第一のポートは透過ポートであり、
前記第一の圧縮性シーリング要素は、前記透過管の外径に形成された溝内に設置された第一のOリングであり、
前記透過ポートの前記内面のうち、前記第一のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第二のポート管は残留管であり、前記第二のポートは残留ポートであり、
前記第二の圧縮性シーリング要素は、前記残留管の外径に形成された溝内に設置された第二のOリングであり、
前記残留ポートの前記内面のうち、前記第二のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第三のポートは供給ポートである、
[1]に記載の膜モジュール。
[3] 前記第一のポート管は透過管であり、前記第一のポートは透過ポートであり、
前記第一の圧縮性シーリング要素は、前記透過管の外径に形成された溝内に設置された第一のOリングであり、
前記透過ポートの前記内面のうち、前記第一のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第二のポート管は供給ガス管であり、前記第二のポートは供給ガスポートであり、
前記第二の圧縮性シーリング要素は、前記供給ガス管の外径に形成された溝内に設置された第二のOリングであり、前記供給ガスポートの前記内面のうち、前記第二のOリングと接触する部分に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第三のポートは残留ポートである、
[1]に記載の膜モジュール。
[4] 前記少なくとも2つの圧縮性シーリング要素は、前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの内向き面との間に設置された第三の圧縮性シーリング要素と、前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの内向き面との間に設置された第四の圧縮性シーリング要素と、をさらに含み、
前記第三の圧縮性シーリング要素は、前記第一の端面、前記第一のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの前記内向き面の各々に形成された溝内に設置され、
前記第一の端面、前記第一のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第一の端面と前記第一のエンドキャップの前記内向き面の各々に耐腐食性クラッド層が設けられ、
前記第四の圧縮性シーリング要素は、前記第二の端面、前記第二のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの前記内向き面の各々に形成された溝内に設置され、
前記第二の端面、前記第二のエンドキャップの前記内向き面の何れか、又は前記第二の端面と前記第二のエンドキャップの前記内向き面の各々に耐腐食性クラッド層が設けられる、
[1]に記載の膜モジュール。
[5] 前記第三及び第四の圧縮性シーリング要素の各々は渦巻型ガスケットである、[1]に記載の膜モジュール。
[6] 前記膜は、中空糸膜又はスパイラル型膜として構成される、[1]に記載の膜モジュール。
[7] 前記膜はガラス状ポリマー又はゴム状ポリマーで製作される、[1]に記載の膜モジュール。
[8] 前記圧力容器は、ASME SA333 Grade 6シームレスパイプで製作される、[1]に記載の膜モジュール。
[9] 前記第一及び第二のエンドキャップの前記低合金鋼は、SA350 LF2 Class 2又はASTM 105Nである、[1]に記載の膜モジュール。
[10] 前記クラッド層の各々は、ハステロイ、インコネル、及びセラミックからなる群から選択される、[1]に記載の膜モジュール。
[11] 前記圧縮性シーリング要素はOリング、ガスケット、又はカップシールである、[1]に記載の膜モジュール。
[12] 酸性ガス含有供給ガスの分離方法において、
[1]に記載の膜モジュールを提供するステップと、
酸性ガス含有供給ガスを前記ポートのうちの1つを通じて前記膜モジュールに供給するステップと、
前記ポートの他の1つを通じて前記膜モジュールから透過ガスを引き出すステップと、
前記ポートのまた別の1つを通じて前記膜モジュールから残留ガスを引き出すステップと、
を含む方法。
[13] 酸性ガス含有供給ガスの分離方法において、
供給ガスは、第三のポートを通じて膜モジュールに供給され、透過ガスは第一のポートを通じて前記膜モジュールから引き出され、残留ガスは第二のポートを通じて前記膜モジュールから引き出される方法。
[14] 酸性ガス含有供給ガスの分離方法において、
供給ガスは、第二のポートを通じて膜モジュールに供給され、透過ガスは第一のポートを通じて前記膜モジュールから引き出され、残留ガスは第三のポートを通じて前記膜モジュールから引き出される方法。
[15] 前記酸性ガスは、HSを少なくとも5vol%含むサワーガスである、[12]に記載の方法。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図2A