(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主制御部は、前記第2差分および前記第3差分が異常値で前記第1差分が正常値のとき、前記高温検出用の第1温度検出素子の出力値から、前記蓄電部内の高温エリアの温度と低温エリアの温度の温度差の推定値を減算して、前記蓄電部の低温エリアの温度の代替値として使用する、
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電システムを構成する蓄電部20の外観構成を示す概略図である。
図1に示す蓄電部20は、第1蓄電モジュール(蓄電スタックともいう)M1と第2蓄電モジュールM2の2つにより形成される。第1蓄電モジュールM1は、直列接続された複数のセル(本実施の形態では第1セルS1〜第16セルS16)を含む。以下、第1セルS1〜第16セルS16に、代表電圧3.6〜3.7Vの角形のリチウムイオン電池セルが使用される例を想定する。なおリチウムイオン電池セルの代わりに、ニッケル水素電池セル、鉛電池セル、電気二重層キャパシタセル、リチウムイオンキャパシタセル等の他のセルを用いてもよい。
【0014】
第1セルS1〜第16セルS16の積層方向の両端面に、第1セルS1〜第16セルS16を挟むように2枚のエンドプレート2a、2bが設けられる。第1セルS1〜第16セルS16の長手方向の両側面に、両端のエンドプレート2a、2bを連結する2枚のバインドプレート3a、3bが設けられる。
【0015】
バインドプレート3aの内側には、冷却用の空気冷媒の供給路が設けられ、バインドプレート3aの第1セルS1側の所定の位置に吸気口4が設けられる。吸気口4から流入した空気冷媒は、バインドプレート3aの内側に設けられた供給路から、第1セルS1〜第16セルS16の、隣接する各セル間の冷却隙間に供給される。
【0016】
反対側のバインドプレート3bの内側には、冷却用の空気冷媒の排出路が設けられ、バインドプレート3bの第16セルS16側の先端に排気口5が設けられる。第1セルS1〜第16セルS16の、隣接する各セル間の冷却隙間から排出された空気冷媒は、バインドプレート3bの内側に設けられた排出路を通って排気口5から排出される。
【0017】
第1蓄電モジュールM1と第2蓄電モジュールM2は隣接した位置に配置され、第1蓄電モジュールM1のエンドプレート2aと第2蓄電モジュールM2のエンドプレート2aが、第1蓄電モジュールM1のエンドプレート2bと第2蓄電モジュールM2のエンドプレート2bがそれぞれ、図示しない固定治具で接続される。第1蓄電モジュールM1と第2蓄電モジュールM2を直列接続する場合は、固定治具で異極同士の電極を接続し、第1蓄電モジュールM1と第2蓄電モジュールM2を並列接続する場合は、固定治具で同極同士の電極を接続する。車載用途の場合、第1蓄電モジュールM1と第2蓄電モジュールM2は、図示しないケースに収納されて車両内に設置される。
【0018】
本実施の形態では、第1蓄電モジュールM1及び第2蓄電モジュールM2の2箇所に高温検出用の第1サーミスタT1と第2サーミスタT2を設置し、1箇所に低温検出用の第3サーミスタT3を設置する。第1サーミスタT1〜第3サーミスタT3の各設置位置は、第1蓄電モジュールM1及び第2蓄電モジュールM2の温度分布シミュレーションに基づき決定する。一般的に複数の角形の電池セルが積層される場合、その中央付近が最も高温となる。また空冷の冷却機構が設けられる場合、吸気口4に近いセル(
図1では、第2セルS2)ほど温度が低く、排気口5に近いセル(
図1では、第16セルS16)ほど温度が高くなる。
【0019】
第1蓄電モジュールM1及び第2蓄電モジュールM2の温度分布シミュレーションでは、第1蓄電モジュールM1の第12セルS12及び第2蓄電モジュールM2の第12セルS12付近の温度が最も高くなり、第1蓄電モジュールM1の第2セルS2及び第2蓄電モジュールM2の第2セルS2付近の温度が最も低くなった。
【0020】
以上を踏まえ本実施の形態では、第1蓄電モジュールM1の第12セルS12の近傍に高温検出用の第1サーミスタT1を設置し、第2蓄電モジュールM2の第12セルS12の近傍に高温検出用の第2サーミスタT2を設置し、第1蓄電モジュールM1の第2セルS2の近傍に低温検出用の第3サーミスタT3を設置する。高温検出用のサーミスタは、その検出温度が蓄電システムの安全性担保の制御に直結するため2箇所設置し、冗長化している。一方、低温検出用のサーミスタは、その検出温度が蓄電システムの安全性担保の制御に直結しないため1箇所のみ設置し、コストを低減している。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態1に係る蓄電システム1の回路構成を示す図である。実施の形態1に係る蓄電システム1は、直列接続された第1蓄電モジュールM1と第2蓄電モジュールM2で形成される蓄電部20と、蓄電部20を管理する管理装置10を備える。管理装置10は、第1温度検出部11、第2温度検出部12、主制御部13及び副制御部14を含む。第1温度検出部11及び主制御部13は主制御系を形成し、第2温度検出部12及び副制御部14は冗長系を形成する。
【0022】
高温検出用の第1サーミスタT1及び低温検出用の第3サーミスタT3は、主制御系の温度検出素子であり、第1温度検出部11に接続される。第1温度検出部11は、第1サーミスタT1の出力値と第3サーミスタT3の出力値をもとに、蓄電部20の高温エリアの温度と低温エリアの温度を検出し、主制御部13に出力する。第1温度検出部11は例えば、分圧抵抗、アンプ、AD変換器を含んで構成される。
【0023】
主制御部13は、第1温度検出部11により検出された高温エリアの温度と低温エリアの温度、図示しない電圧検出部により検出された各セルの電圧、図示しない電流検出部により検出された蓄電部20に流れる電流をもとに、蓄電部20の充放電を制御する。主制御部13の構成は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、マイクロコンピュータ、DSP、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェア等のプログラムを利用できる。
【0024】
主制御部13は、過電圧、過小電圧、過電流、高温異常、または低温異常を検出すると、蓄電部20と、図示しない負荷との間に挿入されたスイッチSW1をターンオフして、充放電を停止させる。スイッチSW1には、リレーや半導体スイッチを使用することができる。また主制御部13は、SOC(State Of Charge)管理、SOH(State Of Health)管理、均等化制御などを実行する。
【0025】
高温検出用の第2サーミスタT2は冗長系の温度検出素子であり、第2温度検出部12に接続される。第2温度検出部12は、第2サーミスタT2の出力値をもとに、蓄電部20の高温エリアの温度を検出し、副制御部14に出力する。第2温度検出部12も例えば、分圧抵抗、アンプ、AD変換器を含んで構成される。
【0026】
副制御部14は、第2温度検出部12により検出された蓄電部20の高温エリアの温度をもとに蓄電部20の充放電を制御する。実施の形態1では、副制御部14は高温異常時の制御に特化しており、第2温度検出部12の検出温度が、高温異常判定用の閾値を超えたときスイッチSW1をターンオフに制御する単純なハードウェア回路で構成される。
【0027】
上述のように蓄電部20の高温異常は、発煙・発火のリスクが高まる最も危険な事象であり、冗長化の必要性が高い。主制御系に異常が発生し、主制御系の動作が停止した場合でも、蓄電部20に高温異常が発生した場合、冗長系によりスイッチSW1をターンオフするように設計する必要がある。
【0028】
主制御部13で判定する温度範囲より、副制御部14で判定する温度範囲の上限を高めに設定して、常に主制御部13が副制御部14より優先的に動作するようにしている。例えば、上限温度を主制御部13では65℃、副制御部14では68℃として、高温異常時には主制御部13が副制御部14よりも先に異常検出して、スイッチSW1をターンオフする。また副制御部14は、主制御部13が正常に動作しているとき動作を停止していてもよい。この場合、副制御部14は、主制御部13から動作停止信号を受信すると、自己によるスイッチSW1の制御を有効化し、第2温度検出部12の検出温度が、高温異常判定用の閾値を超えたときスイッチSW1をターンオフに制御する。
【0029】
図3は、実施の形態1に係る主制御部13の動作を示すフローチャートである。主制御部13は、第1温度検出部11から第1サーミスタT1の設置位置の第1温度t1と第3サーミスタT3の設置位置の第3温度t3を取得し、第2温度検出部12から第2サーミスタT2の設置位置の第2温度t2を取得する(S10)。
【0030】
主制御部13は、第1温度t1と第2温度t2との第1差分温度Δ1、第1温度t1と第3温度t3との第2差分温度Δ2、及び第2温度t2と第3温度t3との第3差分温度Δ3をそれぞれ算出する(S11)。なお、これらの差分は、第1温度t1〜第3温度t3が充放電温度範囲を逸脱しているか否かに関わらず、常時算出してもよいし、第1温度t1及び第3温度t3の少なくとも一方の値が充放電温度範囲を逸脱しているとき算出してもよい。
【0031】
主制御部13は、第1温度t1、第2温度t2、第3温度t3、第1差分温度Δ1、第2差分温度Δ2、及び第3差分温度Δ3をもとに、蓄電部20の最高温度と最低温度を特定する(S12)。この温度特定処理は、第1サーミスタT1と第1温度検出部11の故障判定処理も兼ねる。この故障判定処理では、第1サーミスタT1に接続された配線の故障、及び第1温度検出部11に接続された配線の故障も検出される。主制御部13は、特定した最高温度と最低温度をもとに、蓄電部20に対する各種の制御を実行する(S13)。
【0032】
図4は、
図3のステップS12の温度特定処理において参照する参照テーブルを示す図である。
図4に示すように第1温度t1、第2温度t2及び第3温度t3の内、2つ以上の温度が異常値の場合(ケース2、3、4、8)、第1差分温度Δ1、第2差分温度Δ2及び第3差分温度Δ3の全てが許容値を超える異常値(NG)となる。この場合、主制御部13は、蓄電部20の最高温度と最低温度を特定することができず、エラーを出力し、スイッチSW1をターンオフする。当該エラーは、副制御部14にも通知される。
【0033】
第1温度t1、第2温度t2及び第3温度t3の全てが正常値の場合(ケース5)、第1差分温度Δ1、第2差分温度Δ2及び第3差分温度Δ3の全てが正常値(OK)となる。この場合、主制御部13は、第1温度t1を蓄電部20の最高温度に設定し、第3温度t3を蓄電部20の最低温度に設定する。
【0034】
第1温度t1及び第3温度t3が正常値で第2温度t2が異常値の場合(ケース7)、第1差分温度Δ1及び第3差分温度Δ3が異常値(NG)で第2差分温度Δ2が正常値(OK)となる。この場合、主制御部13は、第1温度t1を蓄電部20の最高温度に設定し、第3温度t3を蓄電部20の最低温度に設定する。ケース7は、冗長化している第2サーミスタT2の異常であり、主制御系に異常が発生しているわけではないため、ケース5と同様に扱う。
【0035】
第2温度t2及び第3温度t3が正常値で第1温度t1が異常値の場合(ケース1)、第1差分温度Δ1及び第2差分温度Δ2が異常値(NG)で第3差分温度Δ3が正常値(OK)となる。この場合、主制御部13は、第2温度t2に偏差αを加算した温度を蓄電部20の最高温度に設定し、第3温度t3を蓄電部20の最低温度に設定する。
【0036】
偏差αは、定常時の第1温度t1と第2温度t2の誤差を測定した値である。当該誤差は、サーミスタ、アンプ、AD変換器等の素子バラツキに起因する測定誤差と、第1サーミスタT1と第2サーミスタT2の設置位置の違いに起因する温度誤差を加算した値である。なお設置位置の違いに起因する温度誤差がない場合は、素子バラツキに起因する測定誤差が偏差αとなる。
【0037】
第1温度t1及び第2温度t2が正常値で第3温度t3が異常値の場合(ケース6)、第1差分温度Δ1が正常値(OK)で第2差分温度Δ2及び第3差分温度Δ3が異常値(NG)となる。この場合、主制御部13は、第2温度t2を蓄電部20の最高温度に設定し、第1温度t1から、第1温度t1と第3温度t3の温度差の推定値βを減算した温度を蓄電部20の最低温度に設定する。温度差の推定値βは、定常時に測定した第1温度t1と第3温度t3の最大温度差を使用してもよいし、定常時に測定した両者の平均温度差を使用してもよい。
【0038】
図5は、実施の形態1に係る副制御部14の動作を示すフローチャートである。副制御部14は、第2温度検出部12から第2サーミスタT2の設置位置の第2温度t2を取得する(S21)。副制御部14は、第2温度t2をもとに、蓄電部20の高温異常時の制御を実行する(S22)。
【0039】
以上説明したように実施の形態1によれば、蓄電部20に高温検出用の第1サーミスタT1と第2サーミスタT2、及び低温検出用の第3サーミスタT3の3つのサーミスタを設置することにより、蓄電部20の温度制御系を、安全性を確保しつつ低コストで実現することができる。サーミスタの設置数を3つに抑えることにより、コストを低減することができる。その際、高温検出用のサーミスタを二重化し、高温検出用の第2サーミスタT2を、主制御系(第1温度検出部11及び主制御部13)と独立した冗長系(第2温度検出部12及び副制御部14)に接続することにより、安全性を担保することができる。また冗長系を、高温異常時の制御のバックアップに特化させることにより、副制御部14のコストを低減することができる。
【0040】
また、高温検出用の第2サーミスタT2の出力を主制御系にも出力することにより、第1サーミスタT1または第3サーミスタT3が故障した場合でも、主制御部13による温度制御を継続させることができる。
図4に示したように3つの差分温度の1つが正常値の場合、3つのサーミスタの2つが正常であることを示している(ケース1、6、7)。第1サーミスタT1と第3サーミスタT3の2つが正常で、バックアップ用の第2サーミスタT2が異常な場合(ケース7)、第1サーミスタT1と第3サーミスタT3の測定値をそのまま使用する。
【0041】
第2サーミスタT2と第3サーミスタT3の2つが正常で、第1サーミスタT1が異常な場合(ケース1)、バックアップ用の第2サーミスタT2の測定値に偏差αを加算して、第1サーミスタT1の測定値の代替値として使用する。これにより、第1サーミスタT1の故障により、蓄電部20の充放電動作が停止することを回避することができる。
【0042】
第1サーミスタT1と第2サーミスタT2の2つが正常で、第3サーミスタT3が異常な場合(ケース6)、第1サーミスタT1の測定値から温度差の推定値βを減算して、第3サーミスタT3の測定値の代替値として使用する。これにより、第3サーミスタT3の故障により、蓄電部20の充放電動作が停止することを回避することができる。
【0043】
なお、第1サーミスタT1の第1温度t1が正常であれば、第1温度t1と第2サーミスタT2の第2温度t2との第1差分温度Δ1の正常/異常を判定することなく、第1サーミスタT1の測定値から温度差の推定値βを減算して、第3サーミスタT3の測定値の代替値として使用することも考えられる。ただしこの場合、蓄電部20の最高温度と最低温度が第1サーミスタT1の第1温度t1のみを根拠とすることになり、安全性の観点から好ましくない。これに対して第1差分温度Δ1の正常を確認することにより、第1サーミスタT1が正常であるとの判断がより強固になり、第1サーミスタT1の測定値から温度差の推定値βを減算した値を、最低温度として使用することが許容される。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態2に係る蓄電システム1の回路構成を示す図である。実施の形態2に係る蓄電システム1では、副制御部14に、主制御部13と同一または略同等の制御部を使用し、副制御部14が、主制御部13の全てまたは略全ての制御をバックアップする。実施の形態2では、高温検出用の第1サーミスタT1及び低温検出用の第3サーミスタT3が、第2温度検出部12にも接続される。実施の形態2に係る主制御部13の動作は、
図3のフローチャートに示した実施の形態1に係る主制御部13の動作と同じである。
【0045】
図7は、実施の形態2に係る副制御部14の動作を示すフローチャートである。副制御部14は、主制御部13に異常が発生しているか否か判定する(S20)。この異常には主制御部13自体の異常に加えて、主制御部13とスイッチSW1間の配線の異常、温度検出異常が含まれる。温度検出異常は、上記
図4のケース2、3、4、8のケースである。主制御部13に異常が発生している場合(S20のY)、
図3の主制御部13によるステップS10−S13の処理と同様の処理を実行する。
【0046】
即ち、副制御部14は、第1温度検出部11から第1サーミスタT1の設置位置の第1温度t1と第3サーミスタT3の設置位置の第3温度t3を取得し、第2温度検出部12から第2サーミスタT2の設置位置の第2温度t2を取得する(S10)。副制御部14は、第1温度t1と第2温度t2との第1差分温度Δ1、第1温度t1と第3温度t3との第2差分温度Δ2、及び第2温度t2と第3温度t3との第3差分温度Δ3をそれぞれ算出する(S11)。副制御部14は、第1温度t1、第2温度t2、第3温度t3、第1差分温度Δ1、第2差分温度Δ2、及び第3差分温度Δ3をもとに、蓄電部20の最高温度と最低温度を特定する(S12)。副制御部14は、特定した最高温度と最低温度をもとに、蓄電部20に対する各種の制御を実行する(S13)。
【0047】
なお、副制御部14は
図4に示した参照テーブルをもとに、ステップS12の温度特定処理を実行してもよいし、
図4の第1温度t1と第2温度t2を入れ替えた参照テーブルをもとに、ステップS12の温度特定処理を実行してもよい。
【0048】
以上説明したように実施の形態2によれば、3つのサーミスタを用いて実施の形態1と比較して、よりリッチなバックアップを実現することができる。即ち、主制御部13に異常が発生しても、主制御部13による制御と同等の制御を副制御部14が実行することができる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0050】
上述の実施の形態では、第1蓄電モジュールM1と第2蓄電モジュールM2の2つの蓄電モジュールを含む蓄電部の温度制御を説明した。この点、1つの蓄電モジュールを含む蓄電部20の温度制御にも適用可能である。例えば、第1蓄電モジュールM1の第12セルS12の近傍に高温検出用の第1サーミスタT1を設置し、第1蓄電モジュールM1の第11セルS11の近傍に高温検出用の第2サーミスタT2を設置し、第1蓄電モジュールM1の第2セルS2の近傍に低温検出用の第3サーミスタT3を設置する。主制御系、冗長系の回路構成は上述の実施の形態と同様である。
【0051】
またケース内の温度が比較的均一な用途では、3つ以上の蓄電モジュールを含む蓄電部の温度制御にも適用可能である。
【0052】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0053】
[項目1]
複数のセル(S1−S16)を含む蓄電部(20)を管理する管理装置(10)であって、
前記蓄電部(20)の高温エリアの第1の箇所に設置される高温検出用の第1温度検出素子(T1)と、前記蓄電部(20)の低温エリアの所定の箇所に設置される低温検出用の温度検出素子(T3)の出力値をもとに、前記蓄電部(20)の高温エリアの温度と低温エリアの温度を検出する第1温度検出部(11)と、
前記第1温度検出部(11)により検出された高温エリアの温度と低温エリアの温度をもとに、前記蓄電部(20)の充放電を制御する主制御部(13)と、
前記蓄電部(20)の高温エリアの第2の箇所に設置される高温検出用の第2温度検出素子(T2)の出力値をもとに、前記蓄電部(20)の高温エリアの温度を検出する第2温度検出部(12)と、
前記主制御部(13)に異常が発生したとき、前記第2温度検出部(12)により検出された高温エリアの温度をもとに前記蓄電部(20)の充放電を制御する副制御部(14)と、
を備え、
前記高温検出用の第2温度検出素子(T2)の出力値は、前記第1温度検出部(11)にも出力されており、
前記主制御部(13)は、前記高温検出用の第1温度検出素子(T1)の出力値と前記高温検出用の第2温度検出素子(T2)の出力値との第1差分、前記高温検出用の第1温度検出素子(T1)の出力値と前記低温検出用の温度検出素子(T3)の出力値との第2差分、及び前記高温検出用の第2温度検出素子(T2)の出力値と前記低温検出用の温度検出素子(T3)の出力値との第3差分をそれぞれ算出し、前記第1差分および前記第2差分が異常値で前記第3差分が正常値のとき、前記高温検出用の第2温度検出素子(T2)の出力値に、前記高温検出用の第1温度検出素子(T1)の出力値との定常時の偏差を加算して、前記蓄電部(20)の高温エリアの温度の代替値として使用する、
ことを特徴とする管理装置(10)。
これによれば、蓄電部(20)の温度制御系を、安全性を確保しつつ低コストで実現することができる。また、主制御部(13)による温度制御が、できるだけ停止しない設計を実現することができる。
[項目2]
前記主制御部(13)は、前記第2差分および前記第3差分が異常値で前記第1差分が正常値のとき、前記高温検出用の第1温度検出素子(T1)の出力値から、前記蓄電部(20)内の高温エリアの温度と低温エリアの温度の温度差の推定値を減算して、前記蓄電部(20)の低温エリアの温度の代替値として使用する、ことを特徴とする項目1に記載の管理装置(10)。
これによれば、主制御部(13)による温度制御が、できるだけ停止しない設計を実現することができる。
[項目3]
前記高温検出用の第1温度検出素子(T1)の出力値および前記低温検出用の温度検出素子(T3)の出力値は、前記第2温度検出部(12)にも出力されており、
前記副制御部(14)は、前記第1差分、前記第2差分、及び前記第3差分をそれぞれ算出し、前記第1差分および前記第2差分が異常値で前記第3差分が正常値のとき、前記高温検出用の第2温度検出素子(T2)の出力値に、前記高温検出用の第1温度検出素子の出力値(T1)との定常時の偏差を加算して、前記蓄電部(20)の高温エリアの温度の代替値として使用する、ことを特徴とする項目1または2に記載の管理装置(10)。
これによれば、主制御部(13)に異常が発生しても、主制御部(13)の制御と同等の制御を、副制御部(14)により実現することができる。
[項目4]
前記蓄電部(20)は、複数のセル(S1−S16)を含む第1蓄電モジュール(M1)と、複数のセル(S1−S16)を含む第2蓄電モジュール(M2)が接続されて形成され、
前記高温検出用の第1温度検出素子(T1)は、前記第1蓄電モジュール(M1)の高温エリアに設置され、
前記高温検出用の第2温度検出素子(T2)は、前記第2蓄電モジュール(M2)の高温エリアに設置され、
前記低温検出用の温度検出素子(T3)は、前記第1蓄電モジュール(M1)の低温エリアに設置される、
ことを特徴とする項目1から3のいずれかに記載の管理装置(10)。
これによれば、3つの温度検出素子(T1、T2、T3)で、2つの蓄電モジュールを含む蓄電部(20)の温度制御を、安全性を確保しつつ実現することができる。
[項目5]
蓄電部(20)と、
前記蓄電部(20)を管理する項目1から4のいずれかに記載の管理装置(10)と、
を備えることを特徴とする蓄電システム(1)。
これによれば、蓄電システム(1)の蓄電部(20)の温度制御系を、安全性を確保しつつ低コストで実現することができる。また、主制御部(13)による温度制御が、できるだけ停止しない設計を実現することができる。