(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)が、最大0.32重量%のヒドロキシル基を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性エマルション。
カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)が、最大0.10mmol/gのアミン価を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性エマルション。
使用されるアミノ官能基化オルガノポリシロキサン(A’)が、最大0.4mmol/gのアミン価を有するものであることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
請求項1〜7のいずれか一項に記載のカルバマト官能基化オルガノポリシロキサンの水性エマルション又は請求項8〜10のいずれか一項に従って製造されるカルバマト官能基化オルガノポリシロキサンの水性エマルションの少なくとも1種を、
少なくとも1種のヘアコンディショナー
及び任意に界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤、皮膜形成剤、保水剤、UVフィルター、真珠光沢化剤、ビタミン、酸化防止剤、カフェイン、抗フケ活性成分、保存剤及びそれらの混合物からなる群より選択されるさらなる標準的化粧品添加剤
と、化粧品として許容される媒質中で混合することによって、化粧品組成物を製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のエマルションは、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、及び好ましくは最大50.0重量%、より好ましくは最大35重量%、とりわけ好ましくは最大25重量%の、カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)を含有する。
【0015】
本発明のエマルションは、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも0.8重量%、とりわけ好ましくは少なくとも1.2重量%、及び好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大15重量%、とりわけ好ましくは最大10重量%の、非イオン性ポリエチレンオキシド含有乳化剤(B)を含有する。
【0016】
本発明のエマルションは、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、とりわけ少なくとも10重量%、及び好ましくは最大94.5重量%、より好ましくは最大85重量%、とりわけ最大80重量%の、水(C)を含有する。
【0017】
本発明のエマルションは、好ましくは、80nm以下、より好ましくは50nm以下、とりわけ好ましくは40nm以下の粒径(D50)を有する
本発明の水性エマルションは、任意に、
(A)カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン、
(B)40個を上回る式−CH
2−CH
2−O−のポリエチレンオキシド単位を含有し、15以上のHLB値を有する、非イオン性ポリエチレンオキシド含有乳化剤、
及び
(C)水
に加えて、
(D)いずれの場合も15未満のHLB値を有する、さらなるイオン性若しくは非イオン性乳化剤又はそれらの混合物、
(E)非水溶媒又は乳化助剤並びに
(F)補助剤、例えばpH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤及び/若しくは保護コロイド、保存剤、消毒薬、湿潤剤、腐食防止剤、染料、香料又はそれらの混合物
のようなさらなる成分を含んでもよい。
【0018】
カルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)はかなり以前から知られており、例えばJP2047371A2に記載されている。
【0019】
本発明の組成物では、以下の構造単位を含有するカルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)を使用することが好ましい:
M [R
12R
2SiO
1/2]及び/又は
M’ [R
12(Y)SiO
1/2]
並びに
D [R
12SiO
2/2]及び/又は
D’ [R
2(Y)SiO
2/2]及び/又は
T’ [(Y)SiO
3/2]
並びに任意に
T [R
1SiO
3/2]及び/又は
Q [SiO
4/2]
ただし、1分子あたり平均して少なくとも1個の、カルバマト官能性基Yを有する構造単位が存在し、1分子あたり平均して少なくとも1個のY基が、Z基を含有するものとし、
式中、
R
1は、同じであるか又は異なり、1〜18個の炭素原子を有する一価のSi−C結合ヒドロカルビル基であり、
R
2は、同じであるか又は異なり、R
1基又はヒドロキシル基−OH又は式−O−R
3のアルコキシ基であって、R
3は1〜8個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキル基であり、Yは上に定義したとおりである。
【0020】
本発明の組成物では、以下の式のカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)を使用することが好ましい:
[R
12R
2SiO
1/2]
2[R
2(Y)SiO
2/2]
k[R
12SiO
2/2]
m (I)
式中、
R
1、R
2及びYは上に定義したとおりであり、
1分子あたり平均して少なくとも1個のY基は、Z基を含有し、
mは、整数であって、少なくとも40、好ましくは少なくとも65、より好ましくは少なくとも110、及び最大1000、好ましくは最大800、より好ましくは最大500であり、
kは、整数であって、少なくとも1、好ましくは少なくとも2、及び最大15、好ましくは最大10、より好ましくは最大7であり、kに対するmの比は、少なくとも65、好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも130、及び最大1000、好ましくは最大800、より好ましくは最大600である。
【0021】
任意に、少量の構造単位
T又は
Qが、式(I)のカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)中に存在することも可能である。
【0022】
カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)、とりわけカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)において、Y基中のN結合X基のうちの好ましくは少なくとも5mol%、より好ましくは少なくとも15mol%、とりわけ好ましくは少なくとも20mol%、及び好ましくは100mol%未満、より好ましくは75mol%未満、とりわけ好ましくは50mol%未満は、水素原子ではなく、Z基の意味を有する。
【0023】
これは、アミノ基のうちの好ましくは少なくとも5mol%及び好ましくは100mol%未満、より好ましくは50mol%未満が、Z基によって、すなわちカルバマト基によって、官能基化されていることを意味する。
【0024】
1種類の本発明のカルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)又は2種類以上の混合物を使用することが可能である。
【0025】
本発明の組成物に使用されるカルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)は、好ましくは、1分子あたり平均して少なくとも1個の式
−R
4−[NH−R
5−]
nNH
2
(式中、R
4、R
5及びnは、上に定義したとおりである。)
の基Y’を含有するアミノ官能基化オルガノポリシロキサン(A’)と環状カーボネートとの反応によって調製される。
【0026】
カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)の調製には、以下の式のアミノ官能基化ポリジオルガノシロキサン(A’)を使用することが好ましい:
[R
12R
2SiO
1/2]
2[R
2(Y’)SiO
2/2]
k[R
12SiO
2/2]
m (I’)
式中、
R
1、R
2、m及びkは、上に定義したとおりであり、
Y’は、一般式
−R
4−[NH−R
5−]
nNH
2
(式中、R
4、R
5及びnは、上に定義したとおりである。)
の基である。
【0027】
使用される環状カーボネートは、好ましくは、以下の式のものである:
【0028】
【化1】
式中、
R
6は、上に定義したとおりである。
【0029】
カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)の調製には、調製されるカルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)において、Y基中のN結合X基のうちの好ましくは少なくとも5mol%、より好ましくは少なくとも15mol%、とりわけ好ましくは少なくとも20mol%、及び好ましくは100mol%未満、より好ましくは75mol%未満、とりわけ好ましくは50mol%未満が、Z基に変換されるように、環状カーボネートの使用量が選択される。
【0030】
アミノ官能基化オルガノポリシロキサン(A’)と、環状カーボネートから得られたカルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)との反応は、ヒドロキシル基を生成する。この官能基化によって導入されるカルバマト官能基化オルガノポリシロキサン中のヒドロキシル基の量(OHの重量%)は、好ましくは少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.02重量%、とりわけ好ましくは少なくとも0.03重量%、及び好ましくは最大0.7重量%、より好ましくは最大0.32重量%、とりわけ好ましくは最大0.17重量%である。
【0031】
ヒドロカルビル基R
1の例は、アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシル基である。
【0032】
R
1の好ましい例は、メチル、エチル、オクチル及びドデシル基である。R
1の特に好ましい例はメチル基である。
【0033】
ヒドロカルビル基R
2の例は、R
1基について記載した基又はヒドロキシル基−OH又は式−O−R
3のアルコキシ基であり、式中、R
3は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基である。
【0034】
R
2の好ましい例は、メチル基、エチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基及びエトキシ基である。
【0035】
R
4の例は、二価のヒドロカルビル基、例えばメチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基である。
【0036】
特に好ましい例は、1,3−プロピレン基及び1,3−ブチレン基である。
【0037】
R
5の例は、二価のヒドロカルビル基、例えば1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基である。
【0038】
特に好ましい例は1,2−エチレン基である。
【0039】
R
6は、好ましくは、水素原子であるか、又は1〜10個の炭素原子を有する、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、−O−で置換されていてもよい一価のヒドロカルビル基、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、とりわけ1〜6個の炭素原子を有する、アルキル又はアルコキシアルキル基である。
【0040】
Y’基の好ましい例は、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
2NH
2、
−(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2、
−(CH
2)
3NH(CH
2)
3NH
2、
−(CH
2−CH(CH
3)−CH
2−)NH(CH)
2NH
2及び
−(CH
2)
4NH(CH
2)
4NH
2
である。
【0041】
Y’基の特に好ましい例は、
−(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2及び
−(CH
2−CH(CH
3)−CH
2−)NH(CH)
2NH
2
である。
【0042】
式(I’)中の添字k及びmは、使用されるアミノ官能基化ポリジオルガノシロキサン(A’)の粘度が、いずれの場合も25℃及び10/sのずり速度で測定して、好ましくは少なくとも50mPas、より好ましくは少なくとも100mPas、とりわけ好ましくは少なくとも250mPas、及びいずれの場合も25℃及び5/sのずり速度で測定して、好ましくは最大100000mPas、より好ましくは最大50000mPas、とりわけ好ましくは最大10000mPasになるように選ばれる。
【0043】
kとmの比は、使用されるアミノ官能基化ポリジオルガノシロキサン(A’)が、好ましくは少なくとも0.025mmol/g、より好ましくは少なくとも0.075mmol/g、とりわけ好ましくは少なくとも0.1mmol/g、及び好ましくは最大0.4mmol/g、より好ましくは最大0.25mmol/g、とりわけ好ましくは最大0.2mmol/gのアミン価を有するように選ばれる。
【0044】
アミノ官能基化オルガノポリシロキサン(A’)と環状カーボネートとの反応はアミン価を低減する。したがって、カルバマト官能基化オルガノポリシロキサン(A)、とりわけカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)は、好ましくは少なくとも0mmol/g、より好ましくは少なくとも0.02mmol/g、とりわけ好ましくは少なくとも0.04mmol/g、及び好ましくは最大0.30mmol/g、より好ましくは最大0.20mmol/g、とりわけ好ましくは最大0.10mmol/gのアミン価を有する。
【0045】
カルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)の調製に使用される環状カーボネートは、市販されているか、又は例えばUS3642858Aに記載されているように合成することができる。
【0046】
典型的には、使用される環状カーボネートは、1,2−アルキレンカーボネート又はアルコキシアルキル置換エチレンカーボネートである。
【0047】
好ましい環状カーボネートは、
R
6が、水素原子であるか、又は1〜10個の炭素原子を有する、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、−O−で置換されていてもよい一価のヒドロカルビル基である、
カーボネートである。
【0048】
例は、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、1,2−ヘキシレンカーボネート、1,2−オクチレンカーボネート、1,2−ドデシレンカーボネート、3−メチル−1,2−ブチレンカーボネート、3−メチル−1,2−ペンチレンカーボネート、3−エチル−1,2−ペンチレンカーボネート、4−メチル−1,2−ペンチレンカーボネート、5−メチル−1,2−ヘキシレンカーボネート、3−メトキシ−1,2−プロピレンカーボネート、3−エトキシ−1,2−プロピレンカーボネート、3−n−プロポキシ−1,2−プロピレンカーボネート、4−メトキシ−1,2−ブチレンカーボネート、4−エトキシ−1,2−ブチレンカーボネート、S−メトキシ−3−ブチレンカーボネート、5−メトキシ−1,2−ヘプチレンカーボネートである。
【0049】
好ましい環状カーボネートは、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、3−メトキシ−1,2−プロピレンカーボネートである。
【0050】
特に好ましい環状カーボネートは1,2−プロピレンカーボネートである。
【0051】
本発明の水性エマルションにおいて使用される非イオン性ポリエチレンオキシド含有乳化剤(B)は、好ましくは16以上、より好ましくは17以上のHLB値を有し、同時に、好ましくは45個以上、好ましくは50個以上、及び好ましくは600個以下、より好ましくは400個以下、とりわけ好ましくは250個以下のエチレンオキシド単位の含有量を有するものである。
【0052】
HLB値(HLB値は親水性−親油性バランス(hydrophilic−lipophilic balance)を意味する。)は、主として非イオン性界面活性剤の親水性及び親油性構成成分を記述する。HLB値は、非イオン性界面活性剤については、Hans−Dieter Doerfler,Grenzflaechen−und Kolloidchemie[Interfacial and Colloidal Chemistry],VCH,Weinheim,1994,p.198に従って、以下のように計算することができる:
【0053】
【数1】
この式において、M
lは分子の親油性構成成分のモル質量であり、Mは分子全体のモル質量である。20という係数は、自由選択された換算係数である。
【0054】
本発明の非イオン性ポリエチレンオキシド含有乳化剤(B)の例は、
・アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは炭素原子数8〜20のアルキル基、例えばステアレス−100(9005−00−9)、タロウエス−50、タロウエス−80(61791−28−4)、トリデセス−50(24938−91−8)、
・カルボン酸ポリグリコールエステル、とりわけ脂肪酸ポリグリコールエステル、好ましくは炭素原子数8〜20のカルボン酸エステル、例えばオレイン酸PEG−75、オレイン酸PEG−200、モノオレイン酸PEG−300、オレイン酸PEG−400、ラウリン酸PEG−150、ラウリン酸PEG−400、ステアリン酸PEG−75、ステアリン酸PEG−100、ステアリン酸PEG−600、ジステアリン酸PEG−150、
・エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル、例えばオレイン酸PEG−40ソルビタン、ラウリン酸PEG−80ソルビタン、
・エトキシ化ヒマシ油又はそれらの水添型、例えば(INCI命名法による命名で)PEG 75 Castor Oil(PEG75ヒマシ油)又はPEG200 Castor Oil(PEG200ヒマシ油)又はPEG−80 hydrogenated Castor Oil(PEG−80水添ヒマシ油)、PEG−100 hydrogenated Castor Oil(PEG−100水添ヒマシ油)、PEG−200 hydrogenated Castor Oil(PEG−200水添ヒマシ油)、
・エトキシ化脂肪アミン、例えばPEG−100牛脂アルキルアミン(61791−44−4)、PEG−40ステアリルアミン、
・エトキシ化グリセリル脂肪酸カルボキシレート、例えばラウリン酸PEG−40グリセリル、ステアリン酸PEG−200グリセリル、牛脂脂肪酸PEG−200グリセリル、水添パーム油脂肪酸PEG−200グリセリル、
・エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位とのブロックコポリマー(いわゆるポロキサマーなどのポリアルキレンブロックポリマー)、例えばPEG−PPG−PEGブロックポリマーPluronic(R)F−108(HLB>24;M
n≒14600)(Sigma−Aldrichから入手可能)、
・エチレンジアミンコアを介して架橋されたエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位のコポリマー(ポロキサミンと呼ばれる。)、例えばTetronic1107(HLB値:24;M
n≒15000)(Sigma−Aldrichから入手可能)。
【0055】
本発明の非イオン性ポリエチレンオキシド含有乳化剤(B)は、上述の乳化剤のうちの1種からなるか、又は2種以上の上述の乳化剤の混合物からなってよく、その場合、それらは純粋な形態で使用するか、水又は有機溶媒中の1種以上の乳化剤の溶液として使用しうる。
【0056】
本発明のエマルションにおいて使用されるさらなる成分は、
(D)さらなるイオン性若しくは非イオン性乳化剤又はそれらの混合物、例えばそれぞれが15未満のHLB値を有する非イオン性乳化剤と陽イオン性乳化剤との組合せ
であってよい。
【0057】
陰イオン性乳化剤の例を以下に挙げる:
1.アルキルサルフェート、特に8〜18炭素原子の鎖長を有するもの、疎水性基中に8〜18個の炭素原子を有し、1〜30個のエチレンオキシド(EO)単位又はプロピレンオキシド(PO)単位を有する、アルキル及びアルカリールエーテルサルフェート。
【0058】
2.スルホネート、特に8〜18個の炭素原子を有するアルキルスルホネート、8〜18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルホネート、タウライド、スルホコハク酸と4〜15個の炭素原子を有する一価アルコール又はアルキルフェノールとのエステル及びモノエステル;これらのアルコール又はアルキルフェノールは任意に、1〜30個のEO単位でエトキシ化されていてもよい。
【0059】
3.アルキル、アリール、アルカリール又はアラルキル基中に8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩。
【0060】
4.部分リン酸エステル並びにそのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、特に有機基中に8〜20個の炭素原子を有するアルキルホスフェート及びアルカリールホスフェート、アルキル又はアルカリール基中に8〜20個の炭素原子を有し、1〜30個のEO単位を有する、アルキルエーテル又はアルカリールエーテルホスフェート。
【0061】
非イオン性乳化剤の例を以下に挙げる:
5.依然として5%〜50%、好ましくは8%〜20%のビニルアセテート単位を有し、500〜3000の重合度を有する、ポリビニルアルコール。
【0062】
6.アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは3〜30個のEO単位及び炭素原子数8〜20のアルキル基を有するもの。
【0063】
7.アルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくは5〜30個のEO単位を有し、アルキル及びアリール基中に8〜20個の炭素原子を有するもの。
【0064】
8.エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、好ましくは8〜30個のEO/PO単位を有するもの。
【0065】
9.炭素原子数8〜22のアルキル基を持つアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物。
【0066】
10.6〜24個の炭素原子を有する脂肪酸。
【0067】
11.一般式R
*−O−Z
oのアルキルポリグリコシド。式中、R
*は平均して8〜24個の炭素原子を有する直線状又は分岐状の飽和又は不飽和アルキル基であり、Z
oは平均でo=1〜10個のヘキソース単位若しくはペントース単位又はそれらの混合物を有するオリゴグリコシド基である。
【0068】
12.天然物質及びそれらの誘導体、例えばレシチン、ラノリン、サポニン、セルロース;セルロースアルキルエーテル及びカルボキシアルキルセルロースであって、各アルキル基が4個までの炭素原子を有するもの。
【0069】
13.極性基を含有する、とりわけ元素O、N、C、S、P、Siを含有する、直線状オルガノ(ポリ)シロキサン、とりわけ24個までの炭素原子を有するアルコキシ基並びに/又は40個までのEO及び/若しくはPO基を有するもの。
【0070】
陽イオン性乳化剤の例を以下に挙げる:
14.8〜24個の炭素原子を有する1級、2級及び3級脂肪アミンと酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸との塩。
【0071】
15.アルキルピリジニウム、アルキルイミダゾリニウム及びアルキルオキサゾリニウム塩、とりわけアルキル鎖が18個までの炭素原子を有するもの、とりわけハライド、サルフェート、ホスフェート及びアセテート。
【0072】
16.4級アルキル及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、とりわけアルキル基が6〜24個の炭素原子を有するもの、とりわけハライド、サルフェート、ホスフェート及びアセテート。
【0073】
両性乳化剤の例を以下に挙げる:
17.長鎖置換を有するアミノ酸、例えばN−アルキルジ(アミノエチル)グリシン又はN−アルキル−2−アミノプロピオン酸塩。
【0074】
18.ベタイン、例えばC
8−C
18アシル基を有するN−(3−アシルアミドプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩及びアルキルイミダゾリウムベタイン。
【0075】
好ましい乳化剤は、非イオン性乳化剤、とりわけ上記6.に列挙したアルキルポリグリコールエーテルである。乳化剤(D)は、単独で使用するか、又は2種以上の上述の乳化剤の混合物の形態で使用してよく、その場合、それらは純粋な形態で使用するか、水又は有機溶媒中の1種以上の乳化剤の溶液として使用しうる。
【0076】
本発明のエマルションは、乳化剤(D)を、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、とりわけ少なくとも2重量%、及び好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大15重量%、とりわけ最大10重量%の量で含有する。
【0077】
本発明のエマルションにおいて使用されるさらなる成分は、
(E)非水溶媒又は乳化助剤
であってよい。
【0078】
本発明のエマルションは、(E)非水溶媒又は乳化助剤を、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.4重量%、とりわけ少なくとも0.8重量%、及び好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大15重量%、とりわけ最大10重量%の量で含有する。
【0079】
本発明の水性エマルションにおいて使用しうる非水溶媒(E)は、例えば、一価若しくは多価アルコール、アルカノールアミン又はグリコールエーテルの群から選ばれる。溶媒の例は、エタノール、n−又はi−プロパノール、ブタノール、例えば1−ブタノール、2−ブタノール又は2−メチル−2−プロパノール、ペンタノール、例えば1−ペンタノール、2−ペンタノール又は3−ペンタノール、ヘキサノール、例えば1−ヘキサノール、2−ヘキサノール又は3−ヘキサノール、ヘプタノール、例えば1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール又は4−ヘプタノール、オクタノール、例えば1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール又は4−オクタノール、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、例えばブタン−1,2−ジオール又はブタン−1,3−ジオール、ヘキサンジオール、例えばヘキサン−1,2−ジオール又は2−メチルペンタン−2,4−ジオール、オクタンジオール、例えば2−エチルヘキサン−1,3−ジオール又はオクタン−1,2−ジオール、グリセロール、ジグリコール、プロピル−又はブチル−ジグリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、1−ブトキシエトキシ−2−プロパノール又は3−メチル−3−メトキシブタノール、1−アミノブタン、2−アミノブタン、2−アミノ−2−メチルプロパン、1−アミノペンタン、2−アミノペンタン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン及び1−アミノオクタン;エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、ペンチルアセテート、イソペンチルアセテート及びヘキシルアセテート;メチルプロピオネート、エチルプロピオネート及びtert−ブチルプロピオネート;メチルブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレート及びブチルブチレート;2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2−オクタノン及び3−オクタノン並びにこれらのコサーファクタントの混合物である。
【0080】
好ましい非水溶媒又は乳化助剤(E)の例は、C
5〜C
8鎖を有する上掲の例から選ばれる1−アルカノール、C
4〜C
8鎖を有する上掲の例から選ばれるアルカンジオール、グリセロール、プロピルアセテート、ブチルアセテート及びペンチルアセテート、2−ペンタノン並びに上掲のエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はジエチレングリコールモノアルキルエーテルである。
【0081】
特に好ましい非水溶媒又は乳化助剤(E)は、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、プロパンジオール、ブタン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、オクタン−1,2−ジオール、グリセロール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルである。
【0082】
加えて、乳化助剤として、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール(例えばPEG600、PEG1000又はPEG6000)又はポリプロピレングリコール(例えばPPG2000)、15未満のHLB値を有するポリアルキレンブロックポリマー、例えばいわゆるポロキサマー(エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位のブロックコポリマー)、例えばPEG−PPG−PEGブロックポリマーPluronic(R)L−31、PEG−PPG−PEGブロックポリマーPluronic(R)L−61、PPG−PEG−PPGブロックポリマーPluronic(R)17R4、PPG−PEG−PPG Pluronic(R)ブロックポリマー31R1(いずれの場合もHLB<7)(Sigma−Aldrichから入手可能)を使用するか、そうでなければ15未満のHLB値を有するポロキサミン(エチレンジアミンコアを介して架橋されたエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位のコポリマー)、例えばTetronic 701又はTetronic 90R4(いずれの場合もHLB<7)(Sigma−Aldrichから入手可能)を使用することも可能である。
【0083】
本発明のエマルションにおいて使用されるさらなる成分は、
(F)補助剤、例えばpH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤及び/又は保護コロイド、保存剤、消毒薬、湿潤剤、腐食防止剤、染料、香料又はそれらの混合物
であってよい。
【0084】
ここで使用可能なpH調節剤は、あらゆる公知の酸又はアルカリである。ただし、それらの使用は、用途に関連する理由若しくは環境上の理由から、又は消費者保護という理由から、禁止されてはいないものとする。
【0085】
使用される酸は、所望のpHを確立するのに役立つか、又はカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)のアミノ含有基(Y)と共に酸付加塩を形成しうる。
【0086】
上述のアミノ含有基(Y)と反応させることができる鉱酸の例は、例えば塩酸、過塩素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、フッ化水素酸、リン酸、二リン酸及びポリリン酸である。適切なカルボン酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、クエン酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シアノ酢酸、フェニル酢酸、安息香酸、m−及びp−ニトロ安息香酸、シュウ酸、マロン酸並びに乳酸である。
【0088】
本発明との関連において、pHは、米国薬局方USP33に従い、20℃において電極を使って測定される。
【0089】
塩(電解質)の例は、とりわけ無機塩の群からのものであり、多種多様な塩のうちの多くを使用することが可能である。好ましい陽イオンは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属であり、好ましい陰イオンは、ハライド及びサルフェートである。製造という観点から、本発明の水性エマルションでは、酢酸ナトリウム又は塩化ナトリウムの使用が好ましい。
【0090】
抑泡剤の例は石けん、パラフィン又はシリコーン油である。
【0091】
保存剤の例は、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、ベンジルイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、アルカリ金属ベンゾエート、アルカリ金属ソルベート、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ベンジルアルコール及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールである。
【0092】
本発明の非イオン性ポリエチレンオキシド含有乳化剤(B)を利用した本発明のカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)の乳化は、水(C)中のカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)を、乳化剤(B)、任意に乳化剤(D)、任意に非水溶媒又は乳化助剤(E)、任意にさらなる補助剤(F)と激しく混ぜ合わせることによって達成される。カルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)が微細に分割された形態にある安定エマルションが形成される。
【0093】
本発明のカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)の水性エマルションを製造するための乳化作業は、好ましくは、少なくとも10℃、より好ましくは少なくとも15℃、及び好ましくは最大80℃、より好ましくは最大70℃の温度において行われる。
【0094】
温度の上昇は、好ましくは、乳化工程に必要な機械的せん断エネルギーの導入によって生じる。何らかの化学過程を加速するために温度の上昇が必要になることはない。さらにまた、本発明の工程は、好ましくは、周囲雰囲気の圧力において行われるが、それより高圧又は低圧で行うこともできる。
【0095】
製造は連続式又はバッチ式であってよい。
【0096】
オルガノポリシロキサンのエマルションを製造するための技術は公知である。したがって、激しい混合及び分散は、ローターステーター撹拌装置、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、マイクロチャンネル、膜、ジェットノズルなどにおいて、又は超音波を使って、達成することができる。均質化の機器と方法は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,CD−ROM edition 2003,Wiley−VCH Verlagの「Emulsions」の項に記載されている。
【0097】
本発明のエマルションの製造に使用される構成成分を混合する方法はあまり重要ではなく、さまざまな順序で実行することができる。ただし、構成成分(A)、(B)、任意に(D)、任意に(E)及び任意に(F)によっては、好ましい手順が生じうるので、個別に検討すべきである。
【0098】
例えば最初の投入は、構成成分(A)及び任意に酸(F‘)を含みうる。次に、乳化剤(B)及び任意に(D)及び任意に乳化助剤(E)を加えてから、分散剤である水(C)及び任意にさらなる補助剤(F)を混ぜる。多くの場合、最初の投入において、乳化剤(B)、任意に乳化剤(D)及び任意に乳化助剤(E)及び任意に補助剤としての酸(F’)を、分散剤である水(C)の一部分と一緒に、乳化装置に含め、得られたこの混合物に、構成成分(A)及びさらなる構成成分を混ぜることが有利であることがわかっている。
【0099】
本発明はさらに、
化粧品として許容される媒質中、好ましくは水中に、
少なくとも1種のヘアコンディショナー及び
本発明の水性エマルションの少なくとも1種
を含む化粧品組成物を提供する。
【0100】
本発明はさらに、本発明の化粧品組成物でケラチン繊維、好ましくは毛髪を処理する方法を提供する。
【0101】
好ましくは、これらの組成物は、毛髪の洗浄及び手入れという役割が与えられた化粧品組成物である。毛髪の洗浄及び手入れのための組成物の例は、ヘアシャンプー、リンスオフコンディショナー、ヘアトニック、ヘアマスク、ヘアセラム、ヘアフォーム、ヘアスタイリングスプレー、ヘアクリーム、ヘアジェル、ヘアオイル、毛先液及び毛染め剤である。
【0102】
これに関連して、「手入れ」とは、ケラチン繊維をそれら本来の形態に保つことで、外からの影響(例えば時間、光、温度、圧力、汚損、物品と接触する他の反応性化合物との化学反応)の効果、例えば加齢、汚損、脱色を低減し又は回避すること、又はさらにはケラチン繊維の望ましい有益な特性を改良することを意味する。これらの例は、柔らかさ及びなめらかさの改良、くし通り力の低減、光沢特性、色印象の改良、色持ち特性、静電荷の低減、毛髪への熱ストレス下での保護特性又は疎水化である。
【0103】
本発明の水性エマルションは、これらの組成物において、好ましくは、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて0.1重量%〜40重量%、より好ましくは0.2重量%〜30重量%、とりわけ好ましくは0.4重量%〜20重量%の量で使用される。
【0104】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、W/O型エマルション(油中水型エマルション)、O/W型エマルション(水中油型エマルション)又は多重エマルションの形態をとりうる。
【0105】
好ましくは、化粧品組成物中の化粧品として許容される媒質は水である。
【0106】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、好ましくは、半透明又は透明な外観を有する組成物である。
【0107】
これらの好ましい組成物は、約0.01μm〜約0.1μmの範囲内の液滴直径を有する透明又は半透明マイクロエマルションである。
【0108】
対照的に、単純エマルションでは、1つの相内に、乳化剤のシェルで覆われた第2相の液滴(W/O型エマルションでは水の液滴又はO/W型エマルションでは脂質小胞)が微細に分散している。標準的エマルションの液滴直径は約1μm〜約50μmの範囲にある。そのような「マクロエマルション」は、着色剤をさらに添加しなければ、乳白色であり、不透明である。液滴直径が約0.1μm〜約1μmの範囲にある、より微細な「マクロエマルション」も、着色剤の添加がなければ、青白く、不透明である。
【0109】
約0.01μm未満の粒子直径を有するミセル溶液及び分子溶液だけが、清澄及び透明な外観を有する。
【0110】
本発明の水性エマルションが使用される化粧品組成物は、少なくとも1種のヘアコンディショナー(以下単にコンディショナーという。)を含有する。「The Chemistry and Manufacture of Cosmetics」Volume II,Formulating,Third Edition by Mitchell L. Schlossmann,2000,p.359−396のK.Krummel,Stephane Chiron,J.Jachowicz,Chapter 14と同様に、コンディショナーとは、毛髪表面を改質し毛髪の特徴に影響を及ぼす化粧品成分をいう。コンディショナーを含む化粧品組成物は、より良いもつれ解消性、湿潤時及び乾燥時のくし通り力の低減、毛髪の手入れ、帯電防止、毛髪を通した及び毛髪表面に沿ったよりなめらかな滑り、毛髪光沢の改良、毛髪の色堅牢度の保持、切れ毛の低減、髪型の保持及び自然で健康な毛髪に関係する他の化粧品特性を求めて、毛髪の柔らかさを改質又は改良するために使用される。
【0111】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、上述の効果の1つ以上を改良する。
【0112】
コンディショナーの例とそれらのINCI名は、Personal Care Product Council(編)の「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に記載されている。使用しうるリファレンスは、ワールドワイドウェブベースの「wINCI」Web Based International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook (http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)又はInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,13th Edition,The Personal Care Products Council(旧称:The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association(CTFA)),2010である。
【0113】
コンディショナーの好ましい例は陽イオン性ポリマーである。これらは、ペンダント陽イオン性基若しくは末端陽イオン性基又はイオン化によって陽イオン性基に変換されうるペンダント基若しくは末端基を保持するポリマーを意味すると理解される。4級アンモニウム基を有する陽イオン性ポリマーを使用することが好ましい。
【0114】
好ましく使用される陽イオン性ポリマーの例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookに「Polyquaternium(ポリクオタニウム)」という名で公表されており、各ポリマーは個別の数字コードによって、例えばポリクオタニウム−1などと同定されている。
【0115】
陽イオン性ポリマーのさらなる例は、4級アンモニウム基を有する修飾多糖の誘導体、例えばINCI名Cassia Hydroxypropyltrimonium Chloride(カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)を有するポリマー、修飾セルロース及び/又はデンプンの誘導体、例えばINCI名Guar Hydroxypropyltrimonium Chloride(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)を有するプロピレングリコールエーテル修飾シアモプシス・テトラゴノロバ(Cyamopsis tetragonoloba)(グアー)ガムの4級アンモニウム誘導体、又はヒドロキシエチルセルロースとトリメチルアンモニウム置換エポキシドとの反応生成物のポリマー型4級アンモニウム塩、例えばセルロース,2−ヒドロキシエチル2−(2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロポキシ)エチル2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロリド、例えばセルロース,2−ヒドロキシエチル2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテル,クロリド、例えばセルロース,2−ヒドロキシエチル2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテル,クロリド、例えばINCI名Polyquaternium−10(ポリクオタニウム−10)を持つセルロース,2−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロポキシ]エチルエーテル,クロリドである。
【0116】
陽イオン性ポリマーのさらなる例は、4級アンモニウム基を有する以下の陽イオン性ポリマーである:アクリル酸ポリマー誘導体、アクリル酸コポリマー誘導体、メタクリル酸誘導体及びメタクリル酸コポリマー誘導体、例えばINCI名Polyquaternium−37(ポリクオタニウム−37)を有するポリマー。
【0117】
陽イオン性ポリマーのさらなる例は、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸とから形成される4級アンモニウム基を有するコポリマー、例えばINCI名Polyquaternium−22(ポリクオタニウム−22)を有するポリマーである。
【0118】
陽イオン性ポリマーのさらなる例は、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール及びビニルイミダゾリンの誘導体とメタクリル酸とから形成される4級アンモニウム基を有するコポリマー、例えばINCI名Polyquaternium−86(ポリクオタニウム−86)を有するポリマーである。
【0119】
陽イオン性ポリマーのさらなる例は、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとから形成される4級アンモニウム基を有するコポリマー、例えばINCI名Polyquaternium−7(ポリクオタニウム−7)を有するポリマーである。
【0120】
陽イオン性ポリマーのさらなる例は、ジエチルサルフェートとビニルピロリドン及びジメチルアミノエチルメタクリレートとの反応生成物から形成される4級アンモニウム基を有するコポリマー、例えばINCI名Polyquaternium−11(ポリクオタニウム−11)を有するポリマーである。
【0121】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、陽イオン性ポリマーを、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.05重量%〜4重量%、とりわけ好ましくは0.10重量%〜3重量%の量で含有する。
【0122】
コンディショナーのさらなる好ましい例は、陽イオン性界面活性剤である。好ましく使用される陽イオン性界面活性剤の例は、陽イオン性乳化剤の例として項目14.〜16.に列挙した物質に相当する。例は、セチルトリメチルアンモニウム塩又はベヘニルトリメチルアンモニウム塩である。存在しうる陰イオン性対イオンの例として、クロリド、ブロミド、メトサルフェートが挙げられる。好ましく使用される陽イオン性界面活性剤のINCI名は、例えばCetrimonium Chloride(セトリモニウムクロリド)、Cetrimonium Methosulfate(セトリモニウムメトサルフェート)、Behentrimonium Chloride(ベヘントリモニウムクロリド)、Behentrimonium Methosulfate(ベヘントリモニウムメトサルフェート)、Steartrimonium Bromide(ステアリルトリモニウムブロミド)である。
【0123】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、陽イオン性界面活性剤を、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜7重量%、より好ましくは0.15重量%〜6重量%、とりわけ好ましくは0.2重量%〜5重量%の量で含有する。
【0124】
コンディショナーのさらなる例は、非ポリマー型4級アンモニウム化合物である。これは、陽イオン型であるかイオン化によって陽イオン性基に変換されうる非ポリマー型アンモニウム化合物を意味すると理解される。好ましく使用される非ポリマー型4級アンモニウム化合物の例は、INCI名Distearyldimonium Chloride(ジステアリルジモニウムクロリド)を有するジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、INCI名Stearamidopropyl Dimethylamine(ステアラミドプロピルジメチルアミン)を有するN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−オクタデカンアミド、又はINCI名Dicocoylethyl Hydroxyethylmonium Methosulfate(ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート)又はQuaternium−87(クオタニウム−87)を有する化合物である。
【0125】
コンディショナーのさらなる好ましい例は、本発明の水性エマルション中に存在するカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)以外のオルガノポリシロキサン及びオルガノポリシロキサンコポリマーである。これらのオルガノポリシロキサンは、油、ワックス、ガム又は樹脂の形態をとるか、エマルションの形態をとりうる。
【0126】
そのようなカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)以外のオルガノポリシロキサンの例は、以下のとおりである:
式[R
*2SiO]
xの環状オルガノポリシロキサン
式中、xは4〜8の整数である、
一般式R
*3SiO[R
*2SiO]
ySiR
*3又はHOSiR
*2O[R
*2SiO]
ySiR
*2OHの直鎖状オルガノポリシロキサン
式中、yは、0又は1〜2000の整数である、
及び
一般式R
*tSiO
(4−t)/2の樹脂状オルガノポリシロキサン
式中、各R
*は、R
1又はY’について上に記載した定義を有し、tは0、1、2又は3であって、
オルガノポリシロキサン樹脂は、M、D、T及び/又はQ単位から形成され、主として又はもっぱらD単位及びT単位から構成される組合せは、主として又はもっぱらM単位及びQ単位から構成される組合せと同様に好ましく、主として又はもっぱらD単位及びT単位から形成される樹脂の場合、T単位は好ましくは0.45〜1、より好ましくは0.55〜1.0のT/[M+D+T+Q]のモル比をとり、M単位及びQ単位の数は、どちらの場合も、好ましくはゼロであり、オルガノポリシロキサン樹脂が主として又はもっぱらM単位及びQ単位から形成される場合、Q単位は好ましくは0.25〜0.9、より好ましくは0.35〜0.7のモル比Q/[M+D+T+Q]をとり、D単位及びT単位の数はどちらの場合も好ましくはゼロである。
【0127】
油の形態にあるオルガノポリシロキサンの例は、0.65〜2000000mPas(25℃)の粘度を有するポリジメチルシロキサン、並びにINCI名Disiloxane(ジシロキサン)及びDimethicone(ジメチコン)である。
【0128】
油又はワックスの形態にあるオルガノポリシロキサンのさらなる例は、官能基化オルガノポリシロキサン、例えば少なくとも1個のアルキル基がメチル以外であるポリアルキルシロキサン、例えばINCI名Stearyl Dimethicone(ステアリルジメチコン)、Cetyl Dimethicone(セチルジメチコン)又はC26−28Alkyl Dimethicone(アルキル(C26−28)ジメチコン)を有するオルガノポリシロキサン、又は例えばポリアリールシロキサン及びポリアリールアルキルシロキサン、例えばINCI名Phenyl Trimethicone(フェニルトリメチコン)、Trimethylsiloxyphenyl Dimethicone(トリメチルシロキシフェニルジメチコン)又はDimethylphenyl Dimethicone(ジメチルフェニルジメチコン)を有するオルガノポリシロキサン、又は例えばアミノプロピル、アミノプロピル−アミノエチル、アミノプロピル−アミノイソブチル基などの有機官能性基を有するオルガノポリシロキサン、例えばINCI名Amodimethicone(アモジメチコン)を有するオルガノポリシロキサン、又は例えばポリエチレングリコール若しくはポリアルキレングリコール基を有するオルガノポリシロキサン、例えばINCI名PEG−12 Dimethicone(PEG−12ジメチコン)、PEG/PPG−25,25−Dimethicone(PEG/PPG−25,25ジメチコン)又はCetyl PEG/PPG−15/15 Butyl Ether Dimethicone(セチルPEG/PEG−15/15ブチルエーテルジメチコン)を有するオルガノポリシロキサンである。
【0129】
オルガノポリシロキサンのさらなる例は、INCI名Trimethylsiloxysilicate(トリメチルシロキシケイ酸)又はPolymethylsilsesquioxane(ポリメチルシルセスキオキサン)を有するシリコーン樹脂である。
【0130】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、カルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)以外のオルガノポリシロキサン及びオルガノポリシロキサンコポリマーを、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜40重量%、好ましくは0.2重量%〜30重量%、とりわけ好ましくは0.3重量%〜20重量%の量で含む。
【0131】
コンディショナーのさらなる好ましい例は、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルコールである。
【0132】
脂肪酸アルコールの例は、C
8−C
28炭素鎖を有するアルコール、例えば脂肪アルコール、INCI名Stearyl Alcohol(ステアリルアルコール)を有する1−オクタデカノール、INCI名Cetyl Alcohol(セチルアルコール)を有する1−ヘキサデカノール、又はINCI名Cetearyl Alcohol(セテアリルアルコール)、Myristyl Alcohol(ミリスチルアルコール)、Caprylic Alcohol(カプリルアルコール)、Lauryl Alcohol(ラウリルアルコール)、Decyl Alcohol(デシルアルコール)及びOleyl Alcohol(オレイルアルコール)を有する脂肪アルコールである。
【0133】
脂肪酸アルコールは、コンディショニング特性だけでなく、化粧品組成物における構造・増粘効果も果たす。
【0134】
脂肪酸エステルのさらなる例は、INCI名Palmitic Acid(パルミチン酸)、Oleic Acid(オレイン酸)、Linolic Acid(リノール酸)、Linoleic Acid(リノール酸)、Caprylic Acid(カプリル酸)、Myristic Acid(ミリスチン酸)、Stearic Acid(ステアリン酸)を有する脂肪酸のエステル、例えばINCI名Isopropyl Palmitate(パルミチン酸イソプロピル)、Ethylhexyl Palmitate(パルミチン酸エチルヘキシル)、Isopropyl Myristate(ミリスチン酸イソプロピル)、Isopropyl Stearate(ステアリン酸イソプロピル)を有する脂肪酸エステルである。
【0135】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、脂肪酸エステル及び脂肪酸アルコールを、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜15重量%、より好ましくは0.3重量%〜12重量%、とりわけ好ましくは0.5重量%〜10重量%の量で含有する。
【0136】
コンディショナーのさらなる好ましい例は、天然又は合成の油及びワックスである。
【0137】
好ましい油及びワックスの例は、直線状又は分岐状の飽和又は不飽和C
4−C
60炭素鎖を有する炭化水素、例えばINCI名Isododecane(イソドデカン)、hydrated Polyisobutylene(含水ポリイソブチレン)、hydrated Polydecene(含水ポリデセン)、Paraffin(パラフィン)及びIsoparaffin(イソパラフィン)を有する油及びワックスである。
【0138】
好ましい油及びワックスのさらなる例は、カルナウバワックス、ミツロウ、羊毛ロウ、マイクロクリスタリンワックス、ホホバ油、米ぬか油、カレンデュラ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ヤシ油、オリーブ油及びアーモンド油である。
【0139】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、油及びワックスを、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.2重量%〜7重量%、とりわけ好ましくは0.3重量%〜5重量%の量で含有する。
【0140】
コンディショナーのさらなる好ましい例は、パンテノール、セラミドなどの脂質、タンパク質及び加水分解タンパク質、例えば加水分解コラーゲン、加水分解コムギタンパク質及び加水分解絹である。
【0141】
使用されるヘアコンディショナーは、好ましくは、
陽イオン性ポリマー、
陽イオン性界面活性剤、
非ポリマー型4級アンモニウム化合物、
本発明の水性エマルション中に存在するカルバマト官能基化ポリジオルガノシロキサン(A)以外のオルガノポリシロキサン及びオルガノポリシロキサンコポリマー、
脂肪酸エステル及び脂肪酸アルコール、
天然又は合成の油及びワックス並びに
パンテノール、脂質、タンパク質及び加水分解タンパク質並びにそれらの混合物
の群から選択されるものである。
【0142】
任意に、組成物は、さらなる標準的化粧品添加剤、例えば界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤、皮膜形成剤、保水剤、UVフィルター、真珠光沢顔料、ビタミン、酸化防止剤、カフェイン、抗フケ活性成分若しくは保存剤、又はそれらの混合物を含む。
【0143】
化粧品に慣用されるさらなる添加剤の例とそれらのINCI名は、Personal Care Product Councilの「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に記載されている。
【0144】
任意に、組成物は、界面活性剤などのさらなる標準的化粧品添加物を含む。
【0145】
化粧品に慣用される界面活性剤の例も、K.Schrader,A.Domsch,Cosmetology−Theory and Practice,Volume II,pages II−8 to II−22,Verlag fuer chemische Industrie,2005,及び乳化剤の例として項目1.〜18.に記載されている。
【0146】
好ましく使用される陰イオン性界面活性剤の例は、陰イオン性乳化剤の例として項目1.〜3.に列挙した物質に相当する。
【0147】
好ましく使用される陰イオン性界面活性剤のINCI名は、例えばSodium Lauryl Sulfate(ラウリル硫酸ナトリウム)、Ammonium Laureth Sulfate(ラウレス硫酸アンモニウム)、Sodium Laureth Sulfate(ラウレス硫酸ナトリウム)、Disodium 2−Sulfolaurate(2−スルホラウリン酸二ナトリウム)、Disodium Lauryl Sulfosuccinate(スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム)又はDisodium Laureth−Sulfosuccinate(スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム)である。
【0148】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、陰イオン性界面活性剤を、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%、とりわけ好ましくは7重量%〜20重量%の量で含有する。
【0149】
好ましく使用される非イオン性界面活性剤の例は、非イオン性乳化剤の例として項目5.〜13.に列挙した物質に相当する。好ましく使用される非イオン性界面活性剤のINCI名は、例えばCoco Glucoside(ヤシ油アルキルグルコシド)、Lauryl glucoside(ラウリルグルコシド)、Decyl Glucoside(デシルグルコシド)、PEG−40 Hydrogenated castor oil(PEG−40水添ヒマシ油)、Polysorbate 80(ポリソルベート80)又はPEG−7 Glyceryl Cocoate(PEG−7グリセリルココエート)である。
【0150】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、非イオン性界面活性剤を、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは1重量%〜15重量%、より好ましくは2重量%〜12重量%、とりわけ好ましくは3重量%〜10重量%の量で含有する。
【0151】
好ましく使用される両性界面活性剤の例は、非イオン性乳化剤の例として項目17.〜18.に列挙した物質に相当する。さらなる好ましい例は、アルキルアミドベタイン、アルキルアンホアセテート及びアルキルアンホプロピオネートの各クラスからの化合物である。好ましく使用される非イオン性界面活性剤のINCI名は、例えばCocamidopropyl Betaine(コカミドプロピルベタイン)、Cetyl Betaine(セチルベタイン)、Cocamide MEA(コカミドMEA)、Cocamide DEA(コカミドDEA)、Cocamide MIPA(コカミドMIPA)、Sodium Cocoamphoacetate(ココアンホ酢酸ナトリウム)及びSodium Cocoamphopropionate(ココアンホプロピオン酸ナトリウム)である。
【0152】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、両性界面活性剤を、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは1重量%〜15重量%、より好ましくは2重量%〜12重量%、とりわけ好ましくは3重量%〜10重量%の量で含有する。
【0153】
任意に、組成物は、増粘剤などのさらなる標準的化粧品添加剤を含む。
【0154】
好ましく使用される増粘剤の例は、デンプン、セルロース、アラビアガム及びグアーガムなどの修飾多糖、例えばINCI名Cellulose Gum(セルロースガム)、Guar Gum(グアーガム)、Xanthan Gum(キサンタンガム)又はCassia Gum(カシアガム)を有するポリマーである。
【0155】
増粘剤のさらなる例は、疎水基で修飾された非イオン性セルロース誘導体、例えばINCI名Hydroxyethylcellulose(ヒドロキシエチルセルロース)を有するセルロース誘導体である。
【0156】
増粘剤のさらなる例は、架橋アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー並びに架橋アクリル酸又はメタクリル酸ポリマーの誘導体、例えばINCI名Carbomer(カルボマー)を有するポリマーである。
【0157】
増粘剤のさらなる例は、界面活性剤との併用によって、増粘効果を達成する薬剤である。例は、脂肪酸のモノグリセリド、エトキシ化脂肪酸のモノ/ジグリセリド及びエトキシ化脂肪アルコールである。界面活性剤との併用によって増粘効果を達成する、好ましく使用される増粘剤のINCI名は、PEG−120 Methyl Glucose Dioleate(ジオレイン酸PEG−120メチルグルコース)、PEG−150 Distearate(ジステアリン酸PEG−150)、Myristyl Glycol(ミリスチルグリコール)、PEG−200 Glyceryl Palmitate(パルミチン酸PEG−200グリセリル)、Laureth−4(ラウレス−4)又はPEG−200 Glyceryl Palmitate(パルミチン酸PEG−200グリセリル)である。
【0158】
増粘剤のさらなる例は、塩、例えばINCI名Sodium Chloride(塩化ナトリウム)を有する塩である。
【0159】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、増粘剤を、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜10重量%の量で含有する。
【0160】
任意に、組成物は、皮膜形成剤などのさらなる標準的化粧品添加剤を含む。
【0161】
皮膜形成剤の好ましい例はポリマーである。
【0162】
好ましく使用される皮膜形成ポリマーの例は、Personal Care Product Councilの「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に記載されている。
【0163】
好ましい皮膜形成ポリマーの例は、アクリル酸ポリマー誘導体、アクリル酸コポリマー誘導体、メタクリル酸誘導体及びメタクリル酸コポリマー誘導体である。好ましい陰イオン性ポリマーの例は、ビニルアセテートと1種以上のアクリル酸モノマー又はメタクリル酸モノマー及びそれらのエステルとのコポリマー、例えばINCI名Acrylates/VA Copolymer((アクリレーツ/VA)コポリマー)を有するポリマーである。
【0164】
好ましい皮膜形成ポリマーのさらなる例は、ビニルピロリドンと1種以上のアクリル酸モノマー又はメタクリル酸モノマー及びそれらのエステルとのコポリマー、例えばINCI名Acrylates/VP Copolymer((アクリレーツ/VP)コポリマー)を有するポリマーである。
【0165】
好ましい皮膜形成ポリマーのさらなる例は、tert−ブチルアクリルアミドと1種以上のアクリル酸モノマー又はメタクリル酸モノマー及びそれらのエステルとのコポリマー、例えばINCI名Acrylates/t−Butylacrylamide Copolymer((アクリレーツ/t−ブチルアクリルアミド)コポリマー)を有するポリマーである。
【0166】
好ましい皮膜形成ポリマーのさらなる例は、ビニルアセテートモノマー、クロトン酸モノマー及びビニルネオデカノエートモノマーのコポリマー、例えばINCI名VA/Crotonates/Vinyl Neodecanoate Copolymer((VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー)を有するポリマーである。
【0167】
好ましい皮膜形成ポリマーのさらなる例は、ビニルアセテートモノマー、クロトン酸モノマー及びビニルネオデカノエートモノマーとビニルシリコーンとのコポリマー、例えばINCI名Crotonic Acid/Vinyl C8−C12 Isoalkyl Esters/VA/Bis−Vinyldimethicone Copolymer(クロトン酸/ビニルイソアルキル(C8−C12)エステルズ/VA/ビスビニルジメチコンコポリマー)を有するポリマーである。
【0168】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、皮膜形成ポリマーを、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜15重量%、より好ましくは0.2重量%〜10重量%、とりわけ好ましくは0.3重量%〜7重量%の量で含有する。
【0169】
任意に、組成物は、保水剤などのさらなる標準的化粧品添加剤を含む。
【0170】
好ましく使用される保水剤の例は、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール又はポリプロピレングリコールである。
【0171】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、保水剤を、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.2重量%〜8重量%、とりわけ好ましくは0.3重量%〜6重量%の量で含有する。
【0172】
任意に、組成物は、真珠光沢化剤などのさらなる標準的化粧品添加剤を含む。
【0173】
好ましく使用される真珠光沢化剤の例は、真珠光沢顔料又はグリコールジステアレートである。
【0174】
本発明の水性エマルションが使用される組成物は、真珠光沢化剤を、いずれの場合も組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜7重量%、より好ましくは0.2重量%〜6重量%、とりわけ好ましくは0.3重量%〜5重量%の量で含有する。
【0175】
本発明はさらに、本発明の水性エマルションの少なくとも1種を、少なくとも1種のヘアコンディショナー及び任意にさらなる標準的化粧品添加剤と、化粧品として許容される媒質中で混合することによって、化粧品組成物、好ましくは透明化粧品組成物を製造する方法を提供する。
【0176】
個々の成分は、熱間/熱間法、熱間/冷間法又は冷間/冷間法で、互いに混合することができる。
【0177】
本発明の水性エマルションは、本発明の化粧品組成物の製造に、好ましくは最大50℃の温度で、より好ましくは最大40℃の温度で、とりわけ好ましくは最大35℃の温度で加えられる。本発明の水性エマルションは、好ましくは、少なくとも5℃の温度で、好ましくは少なくとも10℃の温度で加えられる。
【0178】
下記の実施例において、部数及びパーセンテージに関する数字はすべて、別段の言明がある場合を除き、重量に基づく。
【0179】
別段の言明がある場合を除き、下記の実施例は、周囲雰囲気の圧力、すなわち約1000hPa、及び室温、すなわち約20℃で、又は室温において反応物を混合した時に確立される温度で、さらなる加熱又は冷却を行わずに、行われる。
【0180】
粘度は、Anton Paarの「MCR302」レオメーターで、DIN EN ISO3219:1994及びDIN53019に従い、開口角度2°のコーンプレート系(CP50−2コーン)を使って測定した。計器は、Physikalisch−Technischen Bundesanstalt[ドイツ計量標準総合センター]の標準オイル10000で較正した。測定温度は25.00℃+/−0.05℃、測定時間は3分とする。粘度の数値は、独立して行った3回の個別測定の算術平均である。動的粘度測定の不確かさは1.5%である。ずり速度勾配は粘度に応じて選び、各粘度値について個別に示す。
【0181】
アミン価は、何mmolのKOHが1gの測定対象物質に等価であるかを表す。アミン価は、DIN16945−Version 1989−03に従って決定される。
【0182】
1H NMRスペクトルは、CDCl
3溶液として、Bruker Avance 500 NMR分光計(5mm選択的1H NMRプローブヘッド)において、測定周波数500.13MHzで記録する。
【0183】
評価は、当業者に知られているように及び以下の文献に記載されているように行う:「Ueber die 1H−, 13C− und 29Si−NMR chemischen Verschiebungen einiger linearer, verzweigter und cyclischer Methyl−Siloxan−Verbindungen」[On the 1H,13C and 29Si Chemical Shifts of Some Linear,Branched and Cyclic Methylsiloxane Compounds],G.Engelhardt,H.Jancke;J.Organometal.Chem.28(1971),293−300;「Chapter 8−NMR Spectroscopy of organosilicon compounds」,Elizabeth A.Williams,The Chemistry of Organic Silicon Compounds,1989 John Wiley and Sons Ltd,511−533。
【0184】
粒径は、MalvernのZetasizer Nano−S粒度計ソフトウェアバージョン6.01で、動的光散乱法(Mie分析法)によって決定した。このために、濾過及び脱気した水でエマルションを0.5重量%に希釈した。報告する値は、常に、D(50)値に基づく。D(50)は、測定された全粒子の50%が与えられたD(50)値より小さな体積平均直径を有する体積平均粒子直径であると見なすべきである。
【実施例】
【0185】
[実施例1]
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
1
粘度(25℃及びずり速度10 1/sで)4320mPas及びアミン価0.135mmol/gの、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン単位及びジメチルシロキサン単位から構成される末端反応性コポリマー1000.0gをまず、窒素雰囲気下で、2000ml三つ口フラスコに投入し、3.62gのプロピレンカーボネートを加える。反応混合物を50℃で2時間及び60℃で2時間撹拌する。冷却後に、粘度(25℃及びずり速度10 1/sで)6200mPasの清澄な生成物
1を得る。1H NMRスペクトルは、カルバメートに関して利用可能な全アミン基のうちの25%という官能基化度を、したがって0.058重量%のヒドロキシル基を示す。カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
1は0.10mmol/gのアミン価を有する。
【0186】
[実施例2]
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
2
粘度(25℃及びずり速度10 1/sで)4320mPas及びアミン価0.135mmol/gの、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン単位及びジメチルシロキサン単位から構成される末端反応性コポリマー1000.0gをまず、窒素雰囲気下で、2000ml三つ口フラスコに投入し、7.24gのプロピレンカーボネートを加える。反応混合物を50℃で2時間及び60℃で2時間撹拌する。冷却後に、粘度(25℃及びずり速度10 1/sで)9480mPasの清澄な生成物
1を得る。1H NMRスペクトルは、カルバメートに関して利用可能な全アミン基のうちの47%という官能基化度を、したがって0.107重量%のヒドロキシル基を示す。カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
2は0.07mmol/gのアミン価を有する。
【0187】
[(比較)例V3]
アミノ官能基化ポリジメチルシロキサン
V3
これは、0.13mmol/gのアミン価及び(25℃及びずり速度10 1/sで)3900mPasの粘度を有する、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルシロキシ単位及びジメチルシロキシ単位の末端反応性コポリマー
V3である。
【0188】
[実施例4]
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
1のエマルション
E1
Ultra−Turrax T50乳化装置(Janke & Kunkel/IKA製)に、Imbentin T/060という商品名で(Kolbから)市販されているイソトリデシルヘキサエトキシレート12.0g、Rewoderm LI 520−70という商品名で(Evonikから)市販されている水添パーム油脂肪酸PEG−200グリセリル(HLB>19;200エチレンオキシド単位)7.5g及び脱塩水8.0gを、まず投入する。比較的安定した硬い相が予備エマルションとして得られるように、30.0gのカルバマト官能基化生成物
1を4000rpmのずり速度で一度に加える。2.3gの80%酢酸を加え、その混合物を90.93gの脱塩水で低せん断下に少しずつ希釈することで、所望のエマルションを得る。このエマルションを1.35gの2−フェノキシエタノールで保存処理する。結果は、32nmの粒径D(50)を有する、清澄な無色の帯淡青色に光る流動性エマルション
E1である。このエマルションは、室温で6ヶ月間の貯蔵後でさえ、均質であり、安定である。
【0189】
[実施例5]
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
2のエマルション
E2
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
2を実施例4と同じ方法で乳化する。結果は、同様に、30nmの粒径D(50)を有する、清澄な無色の帯淡青色に光る流動性エマルション
E2である。このエマルションは、室温で6ヶ月間の貯蔵後でさえ、均質であり、安定である。
【0190】
[実施例6〜10]
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
2と異なる種類及び異なる量の乳化剤とから構成されるエマルション
E3〜
E7
以下のエマルションを、実施例4に記載の方法と同じ方法で調製する。
【0191】
以下の乳化剤/乳化剤量を使用した:
【0192】
実施例6:
Imbentin T/060という商品名で(Kolbから)市販されているイソトリデシルヘキサエトキシレート12.0g
Rewoderm LI 520−70という商品名で(Evonikから)市販されている水添パーム油脂肪酸PEG−200グリセリル(HLB>19;200エチレンオキシド単位)3.75g
グリセロール3.75g
結果は、21nmの粒径D(50)を有する、清澄な無色の帯淡青色に光る流動性エマルション
E3である。
【0193】
実施例7:
Imbentin T/060という商品名で(Kolbから)市販されているイソトリデシルヘキサエトキシレート12.0g
Cirrasol G−1300という商品名で(Crodaから)市販されているPEG−200ヒマシ油(50%水溶液)(HLB=18.1;200エチレンオキシド単位)2.25g
結果は、25nmの粒径D(50)を有する、清澄な帯淡青色の易流動性エマルション
E4である。
【0194】
実施例8:
Imbentin T/060という商品名で(Kolbから)市販されているイソトリデシルヘキサエトキシレート12.0g
Cirrasol G−1300という商品名で(Crodaから)市販されているPEG−200ヒマシ油(50%水溶液)(HLB=18.1;200エチレンオキシド単位)7.25g
結果は、22nmの粒径D(50)を有する、清澄な帯青色に光る易流動性エマルション
E5である。
【0195】
実施例9:
Imbentin T/060という商品名で(Kolbから)市販されているイソトリデシルヘキサエトキシレート12.0g
Sympatens−BS/1000Gという商品名で(Kolbから)市販されているステアリン酸PEG−100(HLB=18.8;100エチレンオキシド単位)3.45g
結果は、28nmの粒径D(50)を有する、清澄な帯青色に光る易流動性エマルション
E6である。
【0196】
実施例10:
Imbentin T/060という商品名で(Kolbから)市販されているイソトリデシルヘキサエトキシレート12.0g
Tween28という商品名で(Crodaから)市販されている、ラウリン酸PEG−80ソルビタン(HLB=19.1;80エチレンオキシド単位)7.50g
結果は、22nmの粒径D(50)を有する、清澄な帯青色に光る易流動性エマルション
E7である。
【0197】
[(比較)例11]
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
2のエマルション
CE1
カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサン
2を実施例4と同じ方法で乳化する。ただし、使用した乳化剤は、Sympatens ALM/040という商品名で(Kolbから)市販されているラウレス−4(HLB=9.7;4エチレンオキシド単位)12.38g及びSympatens ALM/230Gという商品名で(Kolbから)市販されているラウレス−23(HLB=16.9、ただし23エチレンオキシド単位)7.13gである。結果は、112nmの粒径D(50)を有する、白濁した流動性エマルション
VE1である。
【0198】
比較例11は、ポリエチレンオキシド単位の含有量が40個未満である非イオン性ポリエチレンオキシド含有乳化剤を使用した場合は、たとえHLB値が15を上回っていても、100nm以下の粒径を有する本発明のエマルションを得ることは不可能であることを示している。
【0199】
[(比較)例12]
アミノ官能基化ポリジメチルシロキサン
V3のエマルション
VE2
PC LaborsystemのLDV1溶解機を利用して、Lutensol TO 5という商品名で(BASFから)市販されているイソトリデシルペンタエトキシレート6.5g、20.0gのアミノ官能基化ポリジメチルシロキサン
V3、2.9gのグリセロール、0.12gの80%酢酸、0.19gのN−モルホリノメチル−トリエトキシシラン及び70gの水を使って、20〜50nmの平均粒径(D50)を有するエマルションを調製する。0.13gの2−フェノキシエタノールをこのエマルションに混合した。
【0200】
化粧品組成物の効果を評価するための試験方法:
化粧品組成物の適用特性並びにくし通り力及び柔らかさに関するそれらの効果を、白人毛髪で評価する。すべての毛髪束を使用前に洗浄する。このために、等量のアセトン、エタノール、イソプロパノール及び脱塩水の溶媒混合物に、毛髪束を24時間入れる。溶媒混合物を除去した後、毛髪束を脱塩水でよく洗浄する。次に、3mLのラウリル硫酸アンモニウム溶液(濃度25%)、すなわちSTEPAN CompanyのSTEPANOL(R)ALS25で洗浄し、泡がもはや見えなくなるまで(少なくとも2分)、脱塩水ですすぐ。主洗浄後に、使用に先だって少なくとも12時間は、毛髪束を23℃及び空気湿度60%で条件付けする。
【0201】
くし通り力の測定:
Kerling International Haarfabrik GmbHから入手した、重量2g及び長さ20cmの傷んだ白人毛髪の毛髪束(損傷レベルBの毛髪束、2回牽引)を使って、湿潤時及び乾燥時の毛髪におけるくし通り力を決定する。くし通り力は、Instron3343引張圧縮試験機で、Y.K.Kamath and Hans−Dietrich Weigmann,J.Soc.Cosmet.Chem.,37,111−124,1986に従い、ダブルコーム法によって測定した。まず、湿潤時及び乾燥時のくし通り力を、未処理の毛髪束から測定ゾーン全体にわたって決定する。次に、毛髪束を本発明の化粧品組成物で処理し、くし通し操作中に吸収される力を決定する。報告する測定値は、処理した毛髪束と未処理の毛髪束との間に生じる測定ゾーン全体にわたるくし通り力(仕事)の低減である。3つの毛髪束からの平均をとる。くし通り力の低減をパーセントで報告する。
【0202】
しなやかさ:
毛髪の疎水性を決定するための測定原理は、DE102010020192に記載の詳細に従う。Kerling International Haarfabrik GmbHから入手した、重量2g及び長さ20cmの傷んだ白人毛髪の毛髪束(損傷レベルBの毛髪束、2回牽引)を使って、毛髪の柔らかさを決定した。Instron3343引張圧縮試験機を使用し、要求される引張力を毛髪の束の曲げ剛性及び表面粗さのパラメータと相関させることによって、乾燥状態での毛髪の柔らかさを測定した。そしてまたこれら2つのパラメータは毛髪の柔らかさと相関する。このために、向かい合って互いにずらして配置された5本の棒からなる測定器具に、未処理の毛髪束を固定する。この開始位置における毛髪束の形状は二重Sの一種である。この準備後に、毛髪束を測定器具から一方向に引き抜き、測定ゾーン全体にわたる必要な力を仕事として評価する。次に、毛髪束を本発明の化粧品組成物で処理し、測定ゾーン全体にわたって測定器具を通して毛髪束を牽引する際に吸収される力を決定する。報告する測定値は、処理した毛髪束と未処理の毛髪束との間に生じる測定ゾーン全体にわたる引張力(仕事)の低減である。引張力(仕事)の大きな低減は、良好な柔らかさ又は高いしなやかさに対応する。3つの毛髪束からの平均をとる。
【0203】
洗髪のための洗浄手順:
毛髪1gあたり0.1gのシャンプーを、清浄な湿った毛髪束に適用する。シャンプーを毛先に向かって30秒間マッサージする。次に、毛髪束を流脱塩水下で30秒すすぎ、目の粗い櫛でもつれをほどく。この手順を2回繰り返す。最後は、このすすぎ工程を60秒に延ばす。次に、毛髪束を空気湿度60%及び温度23℃で少なくとも12時間にわたって乾燥させる。
【0204】
以下、部数の数値はすべて、重量部を指す。
【0205】
[実施例13A〜13B]
化粧品組成物:シャンプー
以下の実施例は、実施例4〜実施例5のエマルション
E1〜
E2を含む化粧品組成物に相当する。化粧品組成物中のオルガノポリシロキサンの有効含有量は0.66%である。
【0206】
【表1】
【0207】
調製の手順説明:
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを水に分散させ、この混合物を75℃に加熱する。次に、ラウリルポリグルコース、ラウリルグルコシド、ジステアリン酸グリコール及びジステアリン酸PEG−150を加える。75℃で5分間撹拌した後、この溶液を撹拌しながら35℃まで徐冷する。このターゲット温度に達したら、エマルション
E1(エマルション
E2の場合も同様の手順)、クエン酸、コカミドプロピルベタイン及び保存剤メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノンを加え、この混合物を室温まで冷却する。
【0208】
使用される比較用組成物
VF3は表1の化粧品組成物である。エマルション
E1〜
E2ではなく、5.0部のエマルション
VE2を製剤に組み入れる。
【0209】
得られた化粧品組成物
F1〜
F2及び
VF3の粘度を製造直後及び12日後に決定する。
【0210】
下記表2に示すように、化粧品組成物
F1及び
F2では、本発明のエマルション
E1及び
E2を使用することにより、経時的な組成物の粘度の低下が、たとえあったとしても、わずかになる。これに対し、カルバマト官能基化ポリジメチルシロキサンではなくアミノ官能基化ポリジメチルシロキサンが使用された比較用組成物
VF3の場合は、より明確な粘度の低下が明らかである。このように、本発明のエマルション
E1及び
E2を含む化粧品組成物
F1及び
F2は、より高い安定性を有する。
【0211】
【表2】
【0212】
[実施例14]
化粧品組成物:シャンプー
以下の実施例は、実施例5のエマルション
E2を含む化粧品組成物
F4に相当する。化粧品組成物中のオルガノポリシロキサンの有効含有量は2%である。
【0213】
【表3】
【0214】
調製の手順説明:
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを水に分散させ、この混合物を75℃に加熱する。次に、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドMIPA、ジステアリン酸グリコール及びジステアリン酸PEG−150を加える。75℃で5分間撹拌した後、この溶液を穏やかに撹拌しながら35℃まで冷ます。このターゲット温度に達したら、エマルションE2、コカミドプロピルベタイン及び保存剤メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノンを加え、この混合物を室温まで冷却する。最後に、撹拌しながら塩化ナトリウムを加える。
【0215】
[比較例]
エマルション
E2を含まない表3の化粧品組成物、すなわちシリコーン非含有シャンプー基剤を、比較用組成物
VF5として使用する。
【0216】
表4に、本発明の化粧品組成物
F4及び本発明ではない化粧品組成物
VF5で処理した毛髪での乾燥時くし通り力、湿潤時くし通り力及びなめらかさのパラメータに関する測定結果を、未処理の毛髪と比較して示す。
【0217】
【表4】
【0218】
表4は、化粧品組成物
F4における本発明のエマルション
E2の使用が、手入れ特性の明確な改良につながることを示している。本発明のエマルション
E2の使用は、乾燥毛髪及び湿潤毛髪において費やされるくし通り力の低減をもたらす。乾燥時及び湿潤時のくし通り力の低減は、本発明の組成物
F4で処理した場合には、本発明でない組成物
VF5による処理と比較して、はるかに大きい。加えて、本発明の組成物
F4による処理では、毛髪のしなやかさが、本発明のエマルションをいずれも含有しない本発明でない化粧品組成物
VF5による処理と比較して改良される。
【0219】
[実施例15A及び15B]
化粧品組成物:透明シャンプー
以下の実施例は、実施例4のエマルション
E1及び実施例5のエマルション
E2を含む化粧品組成物に相当する。化粧品組成物中のオルガノポリシロキサンの有効含有量は0.5%である。
【0220】
【表5】
【0221】
調製の手順説明:
ポリクオタニウム−10を水に分散させ、この混合物を撹拌しながら70℃に加熱する。次に、ラウレス硫酸ナトリウム及びコカミドMEAを加える。混合物を穏やかに撹拌しながら35℃まで冷ましてから、コカミドプロピルベタイン及び保存剤メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノンを加える。次に、水で前もって希釈しておいたエマルション
E1又はエマルション
E2を加える。塩化ナトリウムを加えることによって、シャンプーの粘度を約10000mPasのターゲット領域に調節する。
【0222】
傷んだ白人の毛髪は、実施例15A及び15Bのシャンプー
F6及び
F7による処理後は、未処理の毛髪よりも柔らかく感じられる。
【0223】
[実施例16A〜16G]
化粧品組成物:リンスオフコンディショナー16A〜16G
以下の実施例は、実施例4〜10のエマルション
E1〜
E7を含む表6の化粧品組成物
F8〜
F14に相当する。化粧品組成物中のオルガノポリシロキサンの有効含有量は0.5%〜2%である。
【0224】
【表6】
【0225】
調製の手順説明:
まず水を投入し、撹拌しながら75℃まで加熱する。この過程において、1.2部のヒドロキシエチルセルロースを加える。65℃に到達したら、0.5部のステアラミドプロピルジメチルアミン、1部のポリソルベート80、3部のステアリルアルコール、1部のセチルアルコール及び1.8部のベヘントリモニウムクロリドを加える。この混合物を、75℃に到達して成分が溶解状態になるまで、撹拌する。次に、この混合物を冷ます。冷却中に、0.2部のクエン酸及び0.2部のEDTA4ナトリウムを加える。35℃で、0.9部のフェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリンを加える。撹拌を継続しつつ、各実施例のエマルションを加える。組成物を15分間撹拌しながら均質化する。
【0226】
傷んだ白人の毛髪は、実施例16A〜16Gのリンスオフコンディショナー
F8〜
F14による処理後は、未処理の毛髪よりも柔らかく感じられる。