(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムを用いることを含む洗剤組成物を含む水溶性単位用量物品の製造方法であって、前記第1水溶性フィルム及び前記第2水溶性フィルムが、封止領域における封止強度を向上させるために、前記封止領域に沿って共に封止されており、
前記第1水溶性フィルム及び前記第2水溶性フィルムが、互いに化学的に異なるものであり、かつ前記第1水溶性フィルムが第1水容量を有し、かつ前記第2水溶性フィルムが第2水容量を有し、前記第1水容量が前記第2水容量未満であり、また前記第1水溶性フィルムと前記第2水溶性フィルムとの水容量の差が0.083%〜0.147%である、前記製造方法。
前記第1水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールホモポリマーとアニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、請求項5に記載の製造方法。
前記第2水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールホモポリマーとアニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、請求項5又は6に記載の製造方法。
前記アニオン性モノマー単位が、ビニル酢酸、アルキルアクリレート、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、シトラコン酸無水物、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、ビニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル、及びこれらの組み合わせ、から誘導されるアニオン性モノマーからなる群から選択される、請求項6又は7に記載の製造方法。
前記第1水溶性フィルム、及び前記第2水溶性フィルムが、前記単位用量物品へと組み込まれる前に、40マイクロメートル〜100マイクロメートルの厚さを独立して有する、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
前記第1水溶性フィルムが、破断時に300%〜1600%の第1引張歪を有し、また前記第2水溶性フィルムが、破断時に300%〜1200%の第2引張歪を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
使用
本発明は、洗剤組成物を含む水溶性単位用量物品の製造における、第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムの使用を目的とし、当該第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムは、封止領域における封止強度を向上させるために、封止領域に沿って共に封止されている。単位用量物品、第1水溶性フィルム、第2水溶性フィルム及び洗剤を、以下により詳細に記載する。
【0012】
封止領域内における封止強度を向上させて、水溶性単位用量物品の製造中に廃棄材料の量を減少させる、使用が好ましい。
【0013】
本発明の更なる態様は、少なくとも第1水溶性フィルム、第2水溶性フィルム、及び洗剤組成物を含む単位用量物品の使用であり、当該第1水溶性フィルム、第2水溶性フィルム、及び洗剤は、本発明により消費者の洗剤投与体験を向上させる。
【0014】
好ましくは、消費者の洗剤投与体験は、消費者が、保管容器から自動洗濯機、好ましくは自動洗濯機のドラムへと、少なくとも1つの水溶性単位用量物品を移動させることを含む。あるいは、水溶性単位用量物品を、自動洗濯機の引き出しに追加してもよい。
【0015】
水溶性単位用量物品を、手で洗濯機に追加してもよい。水溶性単位用量物品を、手でドラムに追加してもよい。あるいは、水溶性単位用量物品を、保管容器から洗濯機内へと、好ましくはドラム内へと分与してよい。当業者であれば、適切な保管容器を認識するであろう。
【0016】
当業者であれば、好適な自動洗濯機を認識するであろう。当業者であれば、自動洗濯機がドラム及び引き出しを備え、かつ当該ドラム又は引き出しを配置させ、また布地及び水溶性単位用量物品の両方を、そこへ適宜に追加することが可能であることを、認識するであろう。
【0017】
当業者であれば、適切な保管容器を認識するであろう。好ましくは、保管容器は可撓性であり、好ましくは再封止可能であり、袋物であり、堅く、好ましくは再密封可能であり、タブ型容器又はこれらの混合であり、好ましくは、本保管容器は小児用安全蓋を備える。当業者であれば、好適な小児用安全蓋を認識するであろう。
【0018】
好ましくは、向上した消費者の投与体験は、投与動作の間に消費者にとっての面倒さが減少し、かつ利便性が増大することを含む。
【0019】
理論に束縛されるものではないが、驚くべきことに、2つのフィルムの使用が、当該フィルムから製造される水溶性単位用量物品の封止強度を向上させる本発明の特性を有することが、見出された。封止強度を向上させることにより、製造、保管中、及び消費者による投与中の両方の早期破裂の実例が全て減少した。
【0020】
水溶性単位用量物品
本発明は、洗剤組成物を含む水溶性単位用量物品の製造における、第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムの使用を目的とし、当該第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムは、封止領域における封止強度を向上させるために、封止領域に沿って共に封止されている。
【0021】
水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムに取り囲まれた少なくとも1つの内部区画を単位用量物品が含むような形状の、第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムを含む。水溶性フィルムは、内部区画を画定するように互いに封止され、またこれにより、保管中に洗剤組成物が区画から漏出しない。しかし、水溶性単位用量物品を水に添加する際、水溶性フィルムが溶解して、内部区画の内容物が洗浄液中に放出される。
【0022】
2つのフィルムが触れて共に封止される領域は、封止領域と呼ばれる。多くの場合、封止領域は、第2水溶性フィルムの領域へと封止される第1水溶性フィルムの領域を含み、かつ通常単位用量物品の本体から隆起する、「裾」又は「フランジ」を含む。単位用量物品の好ましい製造方法を、以下により詳細に記載する。
【0023】
区画は、洗剤組成物を保持する、単位用量物品内の密閉された内部空間を意味する、と理解すべきである。製造中、本発明による第1水溶性フィルムは、洗剤組成物が追加される開口区画を含むように形成されてよい。本発明による第2水溶性フィルムは、次に、区画の開口を密閉するような配向で、第1フィルムにわたって敷設される。第1及び第2フィルムを、次に、封止領域に沿って共に封止する。
【0024】
単位用量物品は、2つ以上の区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画を含んでよい。区画は、重ね合わせる配向で、即ち、一方が他方の上に位置するように配置されてよい。このような配向では、単位用量物品は、上部、中央及び下部の3つのフィルムを含む。好ましくは、中央フィルムは本発明による第2水溶性フィルムに対応し、また上部及び下部フィルムは本発明による第1水溶性フィルムに対応する。あるいは、区画は、平行した配向で、即ち、一方が他方に隣接する配向で位置してよい。区画は、更に「タイヤ及びリム」配置での配向であってよく、即ち、第1区画が第2区画に隣接して位置するが、第1区画が第2区画を少なくとも部分的に取り囲み、しかし、第2区画を完全には囲まない。あるいは、1つの区画が別の区画内に完全に囲まれてもよい。このような多区画配向では、本発明による第1水溶性フィルムは、洗剤組成物が追加される開口区画を含むように形成されてよい。本発明による第2水溶性フィルムは、次に、区画の開口を密閉するような配向で、第1フィルムにわたって敷設される。
【0025】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、区画のうち1つがその他の区画より小さくてもよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を含む場合、区画のうち2つが第3区画より小さくてもよく、また好ましくは小さい方の区画が大きい方の区画上に重ね合わせられていてもよい。重ね合わせられた区画は、好ましくは平行して配向される。
【0026】
多区画配向では、本発明による洗剤組成物が区画の少なくとも1つ内に含まれてもよい。例えば、洗剤組成物は1つの区画のみに含まれてもよく、又は2つの区画、あるいは3つの区画に含まれてもよい。
【0027】
各区画は、同一の組成物又は異なる組成物を含んでもよい。異なる組成物は全て同一形態であってもよい、又は異なる形態であってもよい。
【0028】
水溶性単位用量物品は少なくとも2つの内部区画を含んでよく、液体洗濯洗剤組成物が本区画のうち少なくとも1つ内に含まれ、好ましくは、単位用量物品が少なくとも3つの区画を含み、洗剤組成物が本区画のうち少なくとも1つ内に含まれる。
【0029】
第1及び第2水溶性フィルム
水溶性単位用量物品は、第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムを含み、かつ第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムは、互いに化学的に異なる。
【0030】
疑義を避けるために明記すると、本発明との関係では、本明細書で「化学的に異なる」とは、「バージンフィルム」、即ち、供給元/製造業者から受領され、かつ単位用量物品の製造単位での巻出に先立ったフィルムが、本明細書に記載された試験方法ごとに、第2フィルムから第1フィルムを区別するフィルム組成物のうち少なくとも1種中に存在する少なくとも1種の物質を有し、かつ少なくとも水容量に影響を与え、第1フィルムと第2フィルムとの間で異なる、少なくとも1つの物理的フィルム特性においてこれを再現する、ということを意味する。自然な製造プロセス故のフィルムの化学的組成物の変動、即ち、バッチ間変動は、本発明の範囲内では、それ自体は化学的に異なるフィルムとは考慮されていない。
【0031】
化学的に区別される物質の非限定例としては、異なるポリマーの目的樹脂及び若しくは内容物、異なる可塑剤組成物及び若しくは内容物、又は異なる界面活性剤及び若しくは内容物の使用が挙げられる。物理的性質が独立して異なるフィルムを含むが、フィルム厚が独立して異なるフィルムなどの、同一物質の内容物を有する水溶性単位用量物品は、本発明の範囲外と考えられている。コーティング層の存在対不存在を介して独立して区別されるフィルム製の単位用量物品もまた、本発明の範囲外と考えられている。
【0032】
第1水溶性フィルムは第1水容量を有し、また第2水溶性フィルムは第2水容量を有し、第1水容量は第2水容量未満である。
【0033】
第1水溶性フィルムと第2水溶性フィルムとの水容量の差は、0.01%〜1%、好ましくは0.03%〜0.5%、最も好ましくは0.05%〜0.3%である。第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムを、以下により詳細に記載する。本明細書では、「差」とは、第1水容量の値と第2水容量の値における違いを意味する。本明細書では、「水容量」とは、特定の相対湿度及び温度にて、一定時間にわたってフィルムが水を吸収する容量であって、試験されるフィルムの質量増加として測定される容量を意味する。水容量を測定する方法を、以下により詳細に記載する。
【0034】
好ましくは、第1水溶性フィルムは、1%〜10%、より好ましくは2%〜8%、最も好ましくは3%〜6%の水容量を有する。
【0035】
好ましくは、第2水溶性フィルムは、1.5%〜12%、より好ましくは2.5%〜10%、最も好ましくは3.5%〜8%の水容量を有する。
【0036】
好ましくは、第1水溶性フィルムは、単位用量物品の製造中に熱成形される。本明細書では、「熱形成」とは、変形に先立ってフィルムが加熱される、即ち、フィルムを赤外線ランプ下に通過させることにより、好ましくは、水溶性フィルムを空洞にわたって敷設して、フィルム下の空洞内で真空を適用する又は圧力下におくことにより、変形工程が可能になることを意味する。第2水溶性フィルムは、単位用量物品の製造中に熱成形されてよい。あるいは、第2水溶性フィルムは、単位用量物品の製造中に熱成形されなくてもよい。好ましくは、単位用量物品の製造中に第1水溶性フィルムが熱成形され、また単位用量物品の製造中に第2水溶性フィルムが熱成形されない。
【0037】
第1水溶性フィルム、第2水溶性フィルム、又はこれらの混合物は、単位用量物品へと組み込まれる前に、40マイクロメートル〜100マイクロメートル、好ましくは60マイクロメートル〜90マイクロメートル、より好ましくは70マイクロメートル〜80マイクロメートルの厚さを独立して有してよい。
【0038】
好ましくは、単位用量物品へと組み込まれる前の厚さにおける、第1水溶性フィルムと第2水溶性フィルムとの間の差は、50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、更により好ましくは10%未満、又は等しい厚さでもよい。
【0039】
本発明による第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムは、単一層フィルムであることが好ましく、より好ましくは溶液流延を介して製造される。
【0040】
第1水溶性フィルムは、破断時に300%〜1600%、好ましくは400%〜1200%、より好ましくは700%〜1200%の第1引張歪を有してよい。破断時の引張歪の測定方法を、以下により詳細に記載する。
【0041】
第2水溶性フィルムは、破断時に300%〜1200%、好ましくは500%〜1000%の第2引張歪を有してよい。本明細書では、破断時の引張歪とは、当該フィルム及び洗剤組成物を含む単位用量物品において、フィルムに接触する洗剤組成物と前平衡され、応力が適用された場合に破断に先立って伸長する、フィルムの性能を意味する。破断時の引張歪の測定方法を、以下により詳細に記載する。
【0042】
破断時の第1引張歪と破断時の第2引張歪との差は、10%〜1000%、好ましくは100%〜750%、より好ましくは200%〜500%であってよい。本明細書では、「破断時の引張歪における差」とは、破断時の第1引張歪及び破断時の第2引張歪の値における差を意味する。
【0043】
好ましくは、第1水溶性フィルムは第1引張弾性率を有し、第2水溶性フィルムは第2引張弾性率を有し、第1引張弾性率は第2引張弾性率よりも高く、また第1引張弾性率と第2引張弾性率との間の差は、0.5MPa〜10MPa、好ましくは1MPa〜8MPa、より好ましくは2MPa〜7MPaである。
【0044】
本明細書では、「差」とは、第1引張弾性率の値と第2引張弾性率の値における違いを意味する。本明細書では、「引張弾性率」とは、応力が加わった場合に伸長する、フィルムの性能を意味する。引張弾性率を測定する方法を、以下により詳細に記載する。
【0045】
好ましくは、第1引張弾性率は1MPa〜20MPa、より好ましくは3MPa〜20MPaである。
【0046】
好ましくは、第2引張弾性率は、1MPa〜15MPa、より好ましくは3MPa〜15MPaである。
【0047】
好ましくは、第1水溶性フィルムは第1水溶性樹脂を含み、第2水溶性フィルムは第2水溶性樹脂を含む。好ましくは、第1水溶性樹脂は、少なくとも1種のポリビニルアルコール若しくは少なくとも1種のポリビニルアルコールコポリマー又はこれらのブレンドを含み、また第2水溶性樹脂は、少なくとも1種のポリビニルアルコール若しくは少なくとも1種のポリビニルアルコールコポリマー又はこれらのブレンドを含む。
【0048】
第1水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールホモポリマーとアニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含んでよく、第1水溶性樹脂の総重量に基づいて、好ましくは、本ブレンドは0重量%〜70%重量%の、アニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマーの第1水溶性樹脂、及び30重量%〜約100重量%の、ポリビニルアルコールホモポリマーの第1水溶性樹脂を含み、より好ましくは、本ブレンドは、10%〜70%、更により好ましくは15%〜65%未満、更により好ましくは20%〜50%、最も好ましくは30%〜40%の、アニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマー、及び30%〜90%、又は35%超〜85%、又は50%〜80%、又は60重量%〜70重量%の、ポリビニルアルコールホモポリマーの第1水溶性樹脂を含む。ポリビニルアルコールコポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマーの濃度と共に合計で100%になる濃度にて、存在することができる。
【0049】
ポリビニルアルコールホモポリマーは、ポリビニルアルコール単位、及び任意に、しかし好ましくはポリ酢酸ビニル単位を含む、ポリビニルアルコールを意味する。ポリビニルアルコールコポリマーは、ポリビニルアルコール単位、任意に、しかし好ましくはポリ酢酸ビニル単位、及びアニオン変性ポリビニルアルコール単位を含む。
【0050】
第2水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールホモポリマーとアニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含んでよく、フィルム内の第2水溶性樹脂の総重量に基づいて、好ましくは、本ブレンドは0%〜70%の、アニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマー、及び30%〜100%のポリビニルアルコールホモポリマーを含み、フィルム内の第2水溶性樹脂の総重量に基づいて、より好ましくは、本ブレンドは、10%〜70%、更により好ましくは15%〜65%、更により好ましくは20%〜50%、最も好ましくは30%〜40%の、アニオン性モノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマー、及び30%〜90%、又は35%〜85%、又は50%〜80%、又は60重量%〜70重量%の、ポリビニルアルコールホモポリマーの第2水溶性樹脂を含む。ポリビニルアルコールコポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマーの濃度と共に合計で100%になる濃度にて、存在することができる。
【0051】
第1樹脂のポリビニルアルコールコポリマー中に存在するアニオン性モノマー単位、第2樹脂のポリビニルアルコールコポリマー中に存在するアニオン性モノマー単位、又はこれらの混合物は、ビニル酢酸、アルキルアクリレート、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、シトラコン酸無水物、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、ビニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル、及びこれらの組み合わせ、から誘導されるアニオン性モノマーからなる群から独立して選択されてよく、
好ましくは、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル、及びこれらの組み合わせ、から誘導されるアニオン性モノマーからなる群から選択され、
より好ましくは、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、これらのアルカリ金属塩、これらのエステル、及びこれらの組み合わせ、から誘導されるアニオン性モノマーからなる群から選択される。
【0052】
好ましくは、第1及び第2ポリビニルアルコールコポリマーは、存在する総ポリビニルアルコールコポリマーに関して、独立して、1モル%〜8モル%、より好ましくは2モル%〜5モル%、最も好ましくは3モル%〜4モル%のアニオン性モノマー単位を含む。
【0053】
好ましくは、第1ポリビニルアルコールホモポリマー及び第2ポリビニルアルコールホモポリマー並びに第1ポリビニルアルコールコポリマー及び第2ポリビニルアルコールコポリマーは、独立して、80%〜99%、好ましくは85%〜95%、より好ましくは86%〜93%の加水分解度を有する。
【0054】
好ましくは、第1ポリビニルアルコールホモポリマー及び第2ポリビニルアルコールホモポリマー並びに第1ポリビニルアルコールコポリマー及び第2ポリビニルアルコールコポリマーは、独立して、脱塩水中で25℃にて、4cP〜40cP、好ましくは10cP〜30cP、より好ましくは12cP〜25cPの範囲で、4%の溶液粘度を有する。
【0055】
好ましくは、第1水溶性フィルム及び第2水溶性フィルムは、独立して、30%〜90%、より好ましくは40%〜80%、更により好ましくは50%〜75%、最も好ましくは60%〜70%のフィルムの水溶性樹脂含有量を有する。
【0056】
好ましくは、水溶性単位用量物品は、後述の、単位用量物品の物品投与機洗浄溶解試験方法に従って、6.2未満、好ましくは6未満、より好ましくは5.8未満の溶解特性を示す。
【0057】
第1及び又は第2フィルムは、独立して、不透明、半透明又は透明であってよい。第1及び又は第2フィルムは、独立して、印刷領域を含んでよい。印刷領域は、フィルム表面の10〜80%、又は区画の内部空間と接触しているフィルム表面の10〜80%、又はフィルム表面の10〜80%及び区画表面の10〜80%に及んでいてよい。
【0058】
印刷領域は、フィルムの連続した部分に及んでいてもよく、また連続した部分の一部、即ち印刷の狭い方の領域に及んでいてもよく、その合計が、フィルム表面若しくは区画の内部空間と接触するフィルム表面、又はその両方の10〜80%に相当する。
【0059】
印刷領域はインク、顔料、染料、青味剤、又はこれらの混合物を含んでよい。印刷領域は、不透明、半透明又は透明でもよい。
【0060】
印刷領域は単色を含んでもよい、又は複数色、更には3色を含んでもよい。印刷領域は、白色、黒色、青色、赤色又はこれらの混色を含んでもよい。印刷は、フィルム表面上に層として存在してよい、又はフィルム内に少なくとも部分的に浸透していてもよい。フィルムは、第1の面及び第2の面を含む。印刷領域は、フィルムのいずれかの片面上に存在してよい、又はフィルムの両面上に存在してよい。あるいは、印刷領域は、フィルム本体内に少なくとも部分的に含まれてよい。
【0061】
印刷領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。好ましくは、印刷領域はフレキソ印刷を介して得られ、この場合、フィルムが印刷された後、開口区画の形状に成形される。次に、この区画に洗剤組成物が充填され、また区画上方に第2フィルムが配置され、かつ第1フィルムへと封止される。印刷領域は、フィルムの片面上にあっても、両面上にあってもよい。
【0062】
あるいは、フィルムの全部又は少なくとも一部が着色されるように、インク又は顔料をフィルムの製造中に追加してよい。
【0063】
第1及び第2フィルムは、独立して、嫌悪剤、例えば苦味剤を含んでもよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、サッカロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してよい。好適な濃度としては、1〜5000ppm、あるいは100〜2500ppm、あるいは250〜2000ppmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
第1及び又は第2フィルムは、水、可塑剤及び界面活性剤を含む、当業者に典型的に周知のその他の活性物質を更に含んでよい。
【0065】
洗剤組成物
洗剤組成物は、自由流動粉末、液体、圧縮固体、ゲル又はこれらの混合物の形態であってよい。
【0066】
洗剤組成物は、自由流動粉末の形態であってもよい。このような自由流動性粉末は、100マイクロメートル〜1500マイクロメートル、好ましくは100マイクロメートル〜1000マイクロメートル、より好ましくは100マイクロメートル〜750マイクロメートルの平均粒径寸法を有してよい。当業者であれば、粒径を測定する標準的な技術を認識するであろう。洗剤組成物は、自由流動洗濯洗剤組成物であってよい。
【0067】
洗剤組成物は液体であってよい。本発明の液体洗剤組成物に関連して、用語「液体」は、分散液、ゲル、ペースト等などの形態を包含する。液体組成物は、適切に細分された形態での気体を含んでよい。しかし、液体組成物は、錠剤又は顆粒などの、全体が非液体である形態を除外する。
【0068】
洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物であってよい。用語「液体洗濯洗剤組成物」とは、例えば、家庭用洗濯機で衣類を洗浄するなどの、布地を濡らして処理することができる液体を含む、任意の洗濯洗剤組成物を意味する。
【0069】
洗濯洗剤組成物は主要な洗浄プロセス中に使用されるが、更に前処理組成物又は浸漬組成物としても使用することができる。
【0070】
洗濯洗剤組成物としては、布地洗剤、布地柔軟剤、ツーインワン型洗剤及び柔軟剤、前処理組成物等が挙げられる。
【0071】
洗濯洗剤組成物は、漂白剤、漂白剤触媒、染料、色相染料、増白剤、アルコキシル化ポリアミン及びポリエチレンイミンを含む洗浄用ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性剤、溶剤、移染防止剤、キレート剤、ビルダー、酵素、香料、カプセル型香料、ポリカルボキシレート、レオロジー改質剤、構造化剤、ヒドロトロープ、顔料及び染料、乳白剤、防腐剤、抗酸化剤、加工助剤、カチオン性ポリマーを含む調整ポリマー、抗菌剤、水酸化物及びアルカノールアミンなどのpHトリミング剤、泡抑制剤、並びにはこれらの混合物から選択される成分を含んでよい。
【0072】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、非イオン性、両性又はこれらの混合物から選択することができる。好ましくは、布地ケア組成物は、アニオン性、非イオン性又はこれらの混合物を含む。
【0073】
アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシル化サルフェート、及びこれらの組み合わせから選択されてよい。
【0074】
本明細書で有用である好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される、従来のアニオン性界面活性剤のいずれかの種類を含むことができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びこれらの塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料が挙げられる。
【0075】
非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールアルコキシレート、オキソ合成脂肪族アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択されてよい。本明細書に用いるのに好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、一般式:R
1(C
mH
2mO)
nOH(式中、R
1はC
8〜C
16アルキル基であり、mは2〜4であり、またnは約2〜12の範囲である)に相当する材料である。一態様では、R
1は、一級又は二級であってよく、約9〜15個の炭素原子、又は約10〜14個の炭素原子を含むアルキル基である。一態様では、アルコキシル化脂肪族アルコールは、1分子当たり、平均で約2〜12個のエチレンオキシド部分、又は1分子当たり、平均で約3〜10個のエチレンオキシド部分を含有するエトキシル化材料である。
【0076】
本発明の洗濯洗剤組成物に用いられるシェーディング染料は、ポリマー性又は非ポリマー性の染料、顔料、又はこれらの混合物を含んでよい。好ましくは、シェーディング染料は、発色団成分及びポリマー性成分を含む、ポリマー性染料を含む。発色団成分は、光に曝露した際、青、赤、スミレ色、紫、又はこれらの組み合わせの範囲の波長の光を吸収する、という点を特徴とする。一態様では、発色団成分は、水及び/又はメタノール中で最大約520ナノメートル〜約640ナノメートルの吸収スペクトルを示し、その他の態様では、水及び/又はメタノール中で約560ナノメートル〜約610ナノメートルの吸収スペクトルを示す。
【0077】
任意の好適な発色団を使用することができるが、染料発色団は、好ましくは、ベンゾジフラン、メチン、トリフェニルメタン、ナフタルイミド、ピラゾール、ナフトキノン、アントラキノン、アゾ、オキサジン、アジン、キサンテン、トリフェノジオキサジン、及びフタロシアニンの染料発色団から選択される。モノ及びジアゾ染料発色団が好適である。
【0078】
染料は、有機合成経路の直接生成物である未精製混合物の形態で洗剤組成物に組み込まれてよい。したがって、染料ポリマーに加えて、あらゆる重合工程の結果として生じることが予測される、少量の未反応出発材料、副反応生成物及び異なる鎖長の反復単位を含む染料ポリマーの混合物も存在し得る。
【0079】
洗濯洗剤組成物は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果を提供する1種以上の洗浄性酵素を含んでもよい。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような、従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0080】
本発明の洗濯洗剤組成物は、1つ以上の漂白剤を含んでよい。漂白触媒以外の好適な漂白剤としては、光漂白剤、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0081】
組成物は、増白剤を含んでよい。好適な増白剤は、増白剤15などのスチルベンである。その他の好適な増白剤は、疎水性増白剤、及び増白剤49である。増白剤は、3〜30マイクロメートル、又は3〜20マイクロメートル、又は3〜10マイクロメートルの範囲内の重量平均粒径を有する、微粉化微粒子形態であってよい。増白剤は、アルファ結晶形又はベータ結晶形であってよい。
【0082】
本明細書の組成物は、1種以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤もまた、所望により含有してよい。キレート剤は、1−ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩、N,N−ジカルボキシメチル−2−アミノペンタン−1,5−二酸及びその塩、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸及びその塩、並びにこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0083】
本発明の組成物はまた、1種以上の移染防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、並びにポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
洗濯洗剤組成物は、1つ以上のポリマーを含んでよい。好適なポリマーとしては、カルボキシレートポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、テレフタレートポリマーなどのポリエステル汚れ放出ポリマー、アミンポリマー、セルロース系ポリマー、移染防止ポリマー、イミダゾールとエピクロロヒドリンとの縮合により生成される縮合オリゴマーなどの染料固定ポリマー、任意に1−4−1の比率のヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマー、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0085】
その他の好適なセルロース系ポリマーは、0.01〜0.99の置換度(DS)、及びDS+DBが少なくとも1.00であるか、又はDB+2DS−DS
2が少なくとも1.20であるかのいずれかとなるようなブロック歪み度(DB)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.55の置換度(DS)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.35のブロック度(DB)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、1.05〜2.00のDS+DBを有し得る。好適な置換セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロースである。
【0086】
別の好適な置換セルロース系ポリマーは、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースである。
【0087】
好適な香料としては、香料マイクロカプセル、シッフ塩基香料/ポリマー錯体を含むポリマー補助香料送達系デンプン封入香料アコード、香料充填ゼオライト、ブルーミング香料アコード、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な香料マイクロカプセルは、メラミンホルムアルデヒド系であり、典型的には、メラミンホルムアルデヒドを含むシェルによりカプセル化される香料を含む。このような香料マイクロカプセルは、ポリビニルホルムアミド(PVF)及び/又はカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(catHEC)などのカチオン性材料及び/又はカチオン性前駆体材料をシェル内に含むことが非常に好適であり得る。
【0088】
好適な泡抑制剤としては、シリコン、及び/又はステアリン酸などの脂肪酸が挙げられる。
【0089】
洗濯洗剤組成物は、着色されてよい。液体洗濯洗剤組成物の色は、物品のフィルム上の任意の印刷領域と同じであっても異なっていてもよい。単位用量物品の各区画は、異なる色を有してよい。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、少なくとも16の平均アルコキシル化度を有する非直接染料を含む。
【0090】
単位用量物品の少なくとも1つの区画は、固体を含んでよい。存在する場合、固体は、単位用量物品の少なくとも5重量%の濃度で存在し得る。
【0091】
単位用量物品の製造方法
当業者であれば、本発明の洗剤組成物を製造するためのプロセスを認識するであろう。当業者であれば、本洗剤組成物を製造するための標準的なプロセス及び装置を認識するであろう。
【0092】
当業者であれば、本発明の任意の態様による、単位用量物品を製造するための標準的な技法を認識するであろう。熱成形及び真空成形技術を含むが、これらに限定されない標準的な形成プロセスを、使用してよい。
【0093】
本発明による水溶性単位用量物品の好ましい製造方法は、型内に第1水溶性フィルムを成型して開口空洞を形成し、洗剤組成物で空洞を充填し、第1フィルムにわたって第2フィルムを敷設して空洞を閉じ、かつ好ましくは溶剤シールを介して第1及び第2フィルムを共に封止し、好ましくは溶剤は水を含み、水溶性単位用量物品を生成する工程を含む。
【0094】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値周辺の機能的に同等の範囲の、両方を意味することを目的としている。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを目的としている。
【0095】
試験プロトコル
1.単位用量物品の封止不良試験方法
本試験方法は、最大100kN(キロニュートン)のロードセルを伴うインストロンユニバーサル材料試験機(インストロンインダストリアルプロダクト、マサチューセッツ州、02062−2643、ノーウッド、ユニバーシティーアベニュー825)を使用した、単位用量物品の封止不良測定の実行について記載する。本方法は、単位用量物品の圧縮を介して、フィルム及び封止領域に圧力を加えることにより、単位用量物品の封止不良を測定する。封止領域にて250Nよりも低い圧力で開口する単位用量物品は、封止不良として報告される。
【0096】
フィルム/単位用量物品が加工後の設定時間を有するように、単位用量物品の製造後1時間ですぐに、単位用量物品の封止不良を測定した。本方法は、30%〜40%の相対湿度(RH)及び20%〜23℃での室内環境にて実施された。保管した単位用量物品を、試験に先立って、1時間、試験室環境に再平衡させた。
【0097】
図1は、単位用量物品の封止不良試験の基本構造の略図を示す。単位用量物品の封止不良を測定するために、プラスチック脱気袋物500(密閉部付き150mm×124mm、60ミクロン厚−例えば、Raja grip RGP6B)内に単位用量物品510を封入し、単位用量物品の破裂の際の作業環境の汚染を防止した。袋物内への封入後、単位用量物品510を、試験機の2つの圧縮板520、530の間の中央に置いた。封止幅寸法540(例えば、封止領域をちょうど包含する、画定された長方形の平面内での最小寸法、試験された実際の単位用量物品において41mm)が圧縮板の間になり(x方向)、これにより、応力が封止幅に加わるように、単位用量物品510を直立位置に置いた。圧縮に関して、板520と530との間の距離を減少させる速度を、60mm/minに設定する。試験工程ごとに10回の反復を実施して、封止不良を起こした単位用量物品の数、即ち、250Nよりも低い圧力にて封止領域における開口が報告される。
【0098】
2.水容量の測定方法
DVS(動的水蒸気吸着)装置を用いて、水容量を測定した。使用される装置は、ProUmidからのSPS−DVS(透過性キットを備えるSPSx−1μ−高荷重モデル)であった。DVSは、湿気吸着/脱着の測定用の重量測定を使用し、また完全に自動化されている。
【0099】
システムの精度は、0〜98%の範囲にわたって、RH(相対湿度)に関して±0.6%であり、かつ25℃の温度で±0.3℃である。温度は、+5〜+60℃の範囲であり得る。装置における微量天秤は、0.1μgの質量変化を分解することができる。各フィルムの2度の反復が測定され、かつ平均水容量値が報告される。
【0100】
試験の特定の条件に関しては、5つのフィルムを同時に試験することを可能にする、6皿の円形コンベヤ(1つの皿が微量天秤の基準として使用されるので、空のままである必要がある)が使用された。
【0101】
各皿は、ねじを伴うアルミニウムリングを有し、フィルムを固定するように設計されている。フィルム片を皿の上に置いて、緩やかに延伸させた後、リングを上に置いて、ネジでフィルムをきつく固定し、かつ余分なフィルムを除去する。皿の表面を覆うフィルムは、80mmの直径を有した。
【0102】
温度は20℃に固定された。相対湿度(RH)を、6時間、35%に設定し、また次に、5分間で50%へと徐々に上昇させた。RHは、12時間、50%にて維持された。測定の総持続時間は18時間であった。
【0103】
サイクル時間(=各皿の測定間の時間)は10分に設定され、またDVSは、時間に対する各重量結果を記録し、かつ%Dm(フィルムの開始重量に対する相対質量変動、即ち、10%は、開始フィルム重量に対する10%のフィルム重量の増加を反映する)を自動的に計算する。
【0104】
50%RHでの%Dm値(50%RHで測定した最終値)から、35RHでの%Dm(50%RHに到達する前の最終値)を減じた差分により、水容量(又は、20℃にて12時間の固定時間中に、50%のRHサイクルにわたって得られる%Dm)を計算した。
【0105】
3.引張歪試験及び弾性率試験
引張歪(TS)試験による引張歪及び弾性率(MOD)試験による弾性率(引張弾性率又は引張応力)によって特徴づけられる、又は試験される水溶性フィルムを、以下のとおり分析した。本手順は、ASTM D 882(「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」)による、引張歪の測定及び弾性率の測定を含む。インストロン引張試験装置(引張試験機5544モデル又は同等品−インストロンインダストリアルプロダクト、マサチューセッツ州、02062−2643、ノーウッド、ユニバーシティーアベニュー825)を、フィルムデータの取集に使用した。確実な切断工具(例えば、Thwing Albert Instrument Company、米国、ペンシルバニア州、フィラデルフィアからの、JDC精密サンプル切断機、モデル1〜10)によりそれぞれ切断されて、寸法安定性及び再現性が確実になる、最小量で3つの試験片を、長さ方向(MD)(適用可能な場合)、即ち、各測定に関して、水溶性フィルムのロール巻付/巻出の方向で試験した。水溶性フィルムを、最低限度で48時間の間、試験環境条件へと前処理した。23±2.0℃及び35±5%の相対湿度の、標準的な実験室雰囲気にて、試験を実施した。引張歪及び弾性率の測定を行うため、76.2±3.8μm(又は3.0±0.15ミル)の厚さを有する、2.54cm(1”)幅の単一フィルムシートのサンプルを作製する。弾性率試験に関しては、バージンフィルムを試験した。引張歪試験に関しては、最初に、後述のプロトコルに従って、試験用フィルムを試験用洗剤内に前浸漬させた。サンプルを次に、インストロン引張試験機へと移動させて、試験を進めた。製造者取扱説明書に従って引張試験機を準備し、500Nロードセルを装備させ、較正した。適切なグリップ及びフェース(ゴムでコーティングされ、かつ幅25mmである、モデル番号2702−032のフェースを有するインストロングリップ、又は同等品)を適合させた。サンプルを引張試験機に装着させ、1N/minの速度で引き伸ばして、弾性率(即ち、弾性変形領域における応力−歪みカーブの勾配)及び破断時の引張歪(即ち、フィルム破断時に得られる伸長率%、即ち、100%が開始長さを反映し、200%が破断時に2倍に伸長したフィルムを反映する)を測定するために分析した。最小限で3つの試験片の平均を、計算して報告した。
【0106】
フィルム前浸漬プロトコル
液体家庭用洗剤組成物を封入する封止区画を形成するために使用することを目的とする両方のフィルムに関して、11cm×12cmで測定されるフィルムサンプルを作製した。試験用フィルムを含む封止区画内に封入されることを目的としている、合計750mLの家庭用液体洗剤組成物が、各試験用フィルムに関して必要であった。透明な不活性ガラスの受容器の底を液体の薄層で覆い、また試験されるフィルムを液体上に敷き、フィルムの下に捕捉された気泡を、側面に向けて緩やかに押し動かした。残留液体を、次に、フィルムが液体中に完全に浸漬するような方法で、フィルム上部に緩やかに注ぐ。フィルムにはしわが残るべきではなく、またフィルムに気泡が接触するべきではない。フィルムは液体と接触した状態を保ち、また密閉容器条件下で、35℃にて6日間、また21℃にて一晩、保管された。別個のガラス受容器を、各試験用フィルムのために使用した。次に保管容器からフィルムを取り出し、かつフィルムから余分な液体を取り除いた。標紙の上部に敷設されたフィルム上に紙片を置き、次に、乾燥した紙で十分にフィルムを拭いて乾燥させた。上記のように、引張歪環境試験条件へと、最終的にフィルムを前処理した。固形家庭用洗剤組成物の封入を意図する場合、引張歪試験にバージンフィルムを使用した。
【実施例】
【0107】
本明細書に記載されたプロトコルごとの単位用量物品の封止強度に関して、下記の単位用量物品を準備し、かつ試験した。本発明による実施例の単位用量物品は2つの異なるフィルム以外から作製されており、本発明による水容量値において異なっている一方で、本発明の範囲外の比較単位用量物品は、単一フィルム型以外から作製されている。
【0108】
41mm×43mmの設置面積、20.1mmの空洞深さ、及び25mLの空洞容積を伴う多区画の水溶性単位用量物品を、熱成形/真空成形を介して調製した。二重フィルムの実施例に関しては、フィルムB及びDが密閉フィルムとしてそれぞれ使用された一方で、単位用量物品のフィルムA及びCは、減圧下にて変形した。2016年1月にイギリスにて市販の標準的な洗浄剤組成物が、優美な非生物スリーインワン水溶性単位用量物品製品の底部区画にて、これらの単位用量物品内に封入された。
【0109】
下表1は、比較単位用量物品及び実施例の単位用量物品の作製に使用される、フィルム組成物を詳細に示している。
【0110】
【表1】
【0111】
下表2は、実施例で使用される各フィルムの重要な物理的性質を詳細に示している。
【0112】
【表2】
【0113】
下表3から、本発明の範囲による、水容量において異なった2つのフィルム製の単位用量物品1及び2は、単一型フィルム製ではない対応する比較実施例1及び2と比較して、両方とも良好な封止強度を提供することが明らかである。
【0114】
【表3】
【0115】
本明細書にて開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0116】
相互参照される又は関連特許若しくは出願のいずれも含めた、本明細書に引用されている全ての文書は、明示的に除外される、又は特に限定されない限り、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを独立して又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。なお、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0117】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の種々の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。