特許第6790132号(P6790132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6790132SDNベースの移動通信システム及びそのようなシステムの運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790132
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】SDNベースの移動通信システム及びそのようなシステムの運用方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20201116BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20201116BHJP
   H04W 92/24 20090101ALI20201116BHJP
【FI】
   H04W76/10
   H04W88/18
   H04W92/24
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-566528(P2018-566528)
(86)(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公表番号】特表2019-520755(P2019-520755A)
(43)【公表日】2019年7月18日
(86)【国際出願番号】EP2016064310
(87)【国際公開番号】WO2017220132
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2019年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】517451940
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ ヨーロッパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】ジュスト ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】リーブシュ マルコ
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/004921(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0298004(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0167471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SDNベースの移動通信システムを運用する方法であって、前記システムは、コントロールプレーン及びデータプレーンを含みそれらの間にネットワークコントローラー(3)が実装されたモバイルネットワークを含み、前記方法は
クセスネットワークから受信する、ユーザ又はマシンタイプの機器の位置及び/又は近接性についての情報と、前記機器のセッションを設定するのに必要なルール及び/又はポリシーについての情報と、を有するコントロールプレーン機能(2)を提供し、
前記ネットワークコントローラー(3)が、前記コントロールプレーン機能(2)と前記ネットワークコントローラー(3)の間の通信インターフェイスを介した情報交換を含む、コントロールプレーン機能(2)との協同動作により、特定の機器(5)のセッション確立要求に基づいて前記特定の機器(5)の接続を可能にするのに必要な前記データプレーン内のルールを実施するポリシー実施点(8)として好適な1つ又は複数のデータプレーンノード(4)を選択することを含む、方法。
【請求項2】
前記コントロールプレーン機能(2)と前記ネットワークコントローラー(3)との協同動作は
機器(5)のセッション確立要求に基づいて前記コントロールプレーン機能(2)においてシグナリングを介して機器(5)関連情報を受信し、
前記コントロールプレーン機能(2)が前記機器(5)関連情報を前記ネットワークコントローラー(3)に伝え、
前記ネットワークコントローラー(3)が前記機器(5)関連情報に基づいてポリシーの実施に好適なデータプレーンノード(4)を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントロールプレーン機能(2)と前記ネットワークコントローラー(3)との前記協同動作は
機器(5)のセッション確立要求に基づいてシグナリングを介して前記コントロールプレーン機能(2)において機器(5)関連情報を受信し、
前記コントロールプレーン機能(2)が前記機器(5)関連情報に基づいて、コントロールプレーンの抽象トポロジーで処理される抽象的データプレーンノード又は抽象的データプレーンノードのグループを選択しその後選択された前記抽象的データプレーンノード又は抽象的データプレーンノードのグループを前記ネットワークコントローラー(3)に公開し、
前記ネットワークコントローラー(3)が前記抽象的データプレーンノード又は抽象的データプレーンノードのグループについての情報に基づいてポリシーの実施に好適なデータプレーンノード(4)を選択することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コントロールプレーン機能(2)から前記ネットワークコントローラー(3)に伝えられた前記機器(5)関連情報は、前記機器(5)の位置及び/又は近接性についての情報を表す位置属性を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ネットワークコントローラー(3)は前記位置属性をポリシーの実施に好適なデータプレーンノード(4)に対応付ける、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コントロールプレーン機能(2)は前記位置属性を用いて前記データプレーンの前記コントロールプレーン機能の抽象図上で前記位置を仮想データプレーンノードに対応付け前記仮想データプレーンノードの識別子を前記ネットワークコントローラー(3)に伝え、次に前記ネットワークコントローラー(3)が前記識別子をポリシーの実施に好適なデータプレーンノード(4)に対応付ける、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記コントロールプレーン機能(2)は前記位置属性を用いて前記データプレーンの前記コントロールプレーン機能の抽象図上で仮想データプレーンノードのグループを特定し選択された前記仮想データプレーンノードのグループを特定するグループ識別子を前記ネットワークコントローラー(3)に伝え、次に前記ネットワークコントローラー(3)が前記グループ識別子をポリシーの実施に好適なデータプレーンノード(4)に対応付ける、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記コントロールプレーン機能(2)から前記ネットワークコントローラー(3)に伝えられた前記機器(5)関連情報は、前記機器(5)のコンテキストに関連する情報及び/又は前記機器(5)によって利用されている前記サービスの前記ネットワークに関連する情報を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記コントロールプレーン機能(2)は、結合されたサービングゲートウェイ及びPDNゲートウェイP/S−GWのコントロールプレーン要素を含む統合されたゲートウェイコントロール機能GW−C(9)の形で実装される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ポリシー実施点(8)は前記データプレーンにあるサービングゲートウェイ及びPDNゲートウェイ要素と入れ替わるように実装される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ポリシー実施点(8)として選択された前記データプレーンノード(4)の1つは、前記無線又は有線アクセスノード(7)に対するインターフェースを停止するエッジポリシー実施点(8a)として機能する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ポリシー実施点(8)として選択された前記データプレーンノード(4)の1つは、前記無線又は有線アクセスノード(7)上にあるエッジポリシー実施点(8a)として機能する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記GW−C(9)はモビリティ管理実体(10)を用いたシグナリングを介して受信した機器(5)の位置情報に基づいて前記エッジポリシー実施点(8a)を決定し、
前記GW−C(9)は前記GW−C(9)上に保持された前記トポロジー情報に従って前記機器(5)の位置情報を前記機器(5)の位置に適したエッジポリシー実施点(8a)を示す情報に変換する、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ポリシー実施点(8)として選択された前記データプレーンノード(4)の1つ又は複数は、前記機器(5)により要求された各サービスに最も近い、前記ネットワークコントローラー(3)の管理下にある前記転送要素からなるルートポリシー実施点(8b)として機能する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ルートポリシー実施点(8b)の選択及び構成は前記ネットワークコントローラー(3)での前記各機器(5)への/からのトラフィックの遮断に応じて引き起こされる、又は
デフォルトのルートポリシー実施点が、事前にデータプレーンノードにルートポリシー実施点(8b)となるための適切なルールを供給しトラフィックを前記デフォルトのルートポリシー実施点から前記各機器(5)へ伝送しかつ/又は前記デフォルトのルートポリシー実施点を介して前記機器(5)からのトラフィックを転送するためのルールを用いて前記エッジポリシー実施点(8a)を構成することにより選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
コントロールプレーン及びデータプレーンを含むモバイルネットワークと、
前記アクセスネットワークから受信する、ユーザ又はマシンタイプの機器の位置及び/又は近接性についての情報と、前記機器のためにセッションを設定するために必要なルール及び/又はポリシーについての情報と、を保持する、前記コントロールプレーンに実装されたコントロールプレーン機能(2)と
前記コントロールプレーン及び前記データプレーン間に実装されたネットワークコントローラー(3)であって、前記コントロールプレーン機能(2)との協同動作を可能にするインターフェースと、前記コントロールプレーン機能(2)から受信した情報を用いて特定の機器(5)のセッション確立要求に基づいて、前記特定の機器(5)の接続を可能にするのに必要なルールを前記データプレーン内で実施するためのポリシー実施点(8)として好適な1つ又は複数のデータプレーンノード(4)を選択する選択手段とを含むネットワークコントローラー(3)とを含む、特に請求項1〜15のいずれかに記載の方法を実施するためのSDNベースの移動通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SDNベースの移動通信システムを運用する方法であって、該システムは、コントロールプレーン及びデータプレーンを含みそれらの間にネットワークコントローラーが実装されたモバイルネットワークを含む方法に関する。更に、本発明はSDNベースの移動通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
略語一覧
【表1】
【0003】
MTC(Machine Type Communication:マシンタイプ通信)、V2X(Vehicle-to-X:ブイツーエックス)などの通信パラダイムのユーザトラフィックや多様化の爆発が予見される中、現在の集中型モバイルネットワーク(例えば、EPC)アーキテクチャはスケーラビリティー問題、準最適ルーティング、又はオーバーヘッドや複雑性の増大を引き起こす傾向がある。多くの通信事業者やベンダーは既に、ネットワーク内でのトラフィック分散の向上、ユーザデータトラフィック用の複数のアンカーポイントの設定、及びネットワークエッジでのインターネットサービスのユーザへの近接化に加えて、モビリティサポートのユーザニーズへの適応及び関連するオーバーヘッドの削減に着眼している。
【0004】
3GPPによる技術レポートTR 23.799(3GPP TR 23.799, Study on Architecture for Next generation System, v0.4.0, 2016-04を参照)は、5Gに向けたシステムアーキテクチャの進化への地ならしに最も適切な文書の1つである。この文書には、次世代システムが直面し変換しなければならないいくつもの要求事項と重要課題が評価段階にある潜在的変換法とともにまとめられている。
【0005】
次世代移動通信アーキテクチャへの移行を可能にしネットワーク機能の柔軟なデプロイ、スケーリング、ソフトウェア化などの関連する要求事項を満たすために様々な方策が採用される。そのいくつかを以下に列挙する。
【0006】
1)データプレーン機能からコントロールプレーン機能を分離して両者の間に通信基準点を有する論理的かつ物理的に分離した実体にする。(「データプレーン」という用語に関して、このテーマに関連する文献、更に様々なSDOにより作成される文書において、「ユーザプレーン」及び「データプレーン」という用語は同じ意味を持ち実際は交換可能に用いられることに留意されたい。本発明の文脈においても別段の指定がない限りこの習慣を採用する。)
2)コントロールプレーン機能を仮想化しデータプレーンネットワークトポロジーを抽象化する。
3)ネットワークコントローラー(例えば、SDNコントローラー)を活用してコントロールプレーンに向かうネットワークを抽象化しコントロールプレーン機能(群)(アプリケーションロジック)とネットワークコントローラー(ネットワークビュー)との明確な分離を可能にする。
4)装置タイプ並びにモビリティ及び通信パターンの将来の多様化のためにネットワーク管理を簡素化する。
5)分離されたネットワークスライスを可能にする。一般的で共有されたデータプレーンリソースに対応付けられる必要のあるデータプレーンスライスも、コントロールプレーンに対して、抽象図、例えば、トポロジーグラフとして表される。
6)モバイル機器とそれに対応する1つ又は複数のサービスとの間のデータパスを短くすることによりトラフィックファンアウトの向上を可能にする。
7)トラフィックを要求せずに対応する分散型サービス(例えば、中央、エッジ、ローカルPOP(Point-of-Presence:接続点)からモバイル機器のIPアドレスを提供して単一のモビリティアンカー(例えば、PDNゲートウェイ)を横切ることにより現在の3GPPのAPNやPDNの接続概念を打ち破る。
8)パケットオーバーヘッドを減らしオーバーレイモビリティアンカー間でパケットを転送するためのトンネルを回避する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
3GPPは既にこの問題に着眼し始め「EPCノードにおけるコントロールプレーンとユーザプレーンの分離−しばしばCUPS(Control User Planes Separation:コントロール/ユーザプレーン分離)と呼ばれる−に関する研究(3GPP TR 23.714, Study on control and user plane separation of EPC nodes, v0.4.0, 2016-04を参照)を発表しているが、ユーザプレーン構成のいくつかの態様をコントロールプレーン機能からネットワークコントローラーに肩代わりさせるためにネットワークコントローラーとSDNパラダイムを使用することはまだ探求していない。
【0008】
上記の観点から、本発明の目的は、データプレーン構成上の課題を可能な限りコントロールプレーン機能からネットワークコントローラーに肩代わりさせるSDNパラダイムを活用しながらモバイルデータトラフィックを効率的に搬送できるようにSDNベースの移動通信システム及びSDNベースの移動通信システムを運用する方法を改善及び発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記の目的はSDNベースの移動通信システムを運用する方法により達成される。前記システムは、コントロールプレーン及びデータプレーンを含みそれらの間にネットワークコントローラーが実装されたモバイルネットワークを含み、前記方法は前記アクセスネットワークからユーザ又はマシンタイプの装置群の位置及び/又は近接性についての情報、更に前記装置群のセッション群を設定するのに必要なルール群及び/又はポリシー群についての情報を有するコントロールプレーン機能を提供し、前記ネットワークコントローラーが特定の機器のセッション確立要求に基づいて前記コントロールプレーン機能との協同動作により、前記特定の機器の接続を可能にするのに必要な前記データプレーン内のルール群を実施するポリシー実施点として好適な1つ又は複数のデータプレーンノードを選択することを含む。
【0010】
更に、上記の目的はSDNベースの移動通信システムにより達成される。前記SDNベースの移動通信システムは、
コントロールプレーン及びデータプレーンを含むモバイルネットワークと、
前記アクセスネットワークからのユーザ又はマシンタイプの機器群の位置及び/又は近接性についての情報、更に前記機器群のためにセッションを設定するために必要なルール群及び/又はポリシー群についての情報を保持する、前記コントロールプレーンに実装されたコントロールプレーン機能と、
前記コントロールプレーン及び前記データプレーン間に実装されたネットワークコントローラーであって、前記コントロールプレーン機能との協同動作を可能にするインターフェースと、前記コントロールプレーン機能から受信した情報を用いて特定の機器のセッション確立要求に基づいて、前記特定の機器の接続を可能にするのに必要なルール群を前記データプレーン内で実施するためのポリシー実施点として好適な1つ又は複数のデータプレーンノードを選択する選択手段とを含むネットワークコントローラーとを含む。
【0011】
本発明によれば、上記の目的は分離されたコントロールプレーン機能(例えば、モビリティサポート用アプリケーション)とネットワークコントローラーとの協同動作により達成できそれによりデータプレーンにおけるデータプレーンルール群の分散型生成及びポリシー実施点群の選択及び/又は再選択が可能になることが認識された。実施形態によれば、前記ネットワークコントローラーは、前記データプレーンについての詳細図を持たない(仮想化された)コントロールプレーン機能から受信した情報を用いて前記コントロールプレーン機能と前記ネットワークコントローラーとの協同により物理トポロジー内で1つ又は複数の適切なデータプレーンノードを選択しそれらのデータプレーンノードでルール群を実施する選択手段を備えている。「適切な」データプレーンノードは、前記コントロールプレーンに要求されるような、トンネリング、メータリング、パケットバッファリングなどの必要なリソース及び機能を提供できなくてはならない。
【0012】
一般に、実施形態によれば、前記データプレーンにおけるポリシー実施点の適切な選択は、前記コントロールプレーン機能と前記ネットワークコントローラー間の通信インターフェース(すなわち、ネットワークコントローラーNBI)上での適切な情報交換により可能にされたコントロールプレーン機能トポロジー認識及びネットワークコントロール(物理)トポロジー認識に基づく2層トポロジー間の対応付けにより達成される。本発明は、レガシーモビリティコントロールプレーン(例えば、仮想化されたEPC)及び次世代モバイルコア(5G)におけるSDNベースデータプレーンのイネーブラと見なすことができる。
【0013】
本発明の実施形態は、PGWの障害を取り除き、複数のゲートウェイに渡るデータトラフィックの分散を可能にし、データプレーンにおいて非GTP通信を用いるという利点を有する。更に、本発明の実施形態は、移動通信用のクラウドネイティブな仮想化されたSDN対応ネットワークにおけるSDNベースのデータプレーンを可能にし、更にスライスされたコントロールプレーン/データプレーン分離環境におけるモビリティ管理を可能にする。更に、実施形態は、いくつかの機能をSDNコントローラーに肩代わりさせながらモビリティコントロールプレーンに対して一定のデータプレーン制御を維持するという柔軟な実装方法を提供する。一般により高いコストを伴いクリーンさの低い概念を意味する既存の代替方法(例えば、DPN及び物理トポロジーをモビリティコントロールプレーンに露出して具体的なDPNを選択する方法)とは異なり、本発明はモビリティコントロールプレーンにおけるDPNについての特定の属性の特定の知識(例えば、DPN負荷及びサポートされる機能)を要求しない。
【0014】
一実施形態によれば、前記コントロールプレーン機能及び前記ネットワークコントローラーとの協同動作は、機器、例えば、モバイルネットワークとのセッションの確立を望むモバイル端末、に関連する情報の前記コントロールプレーン機能から前記ネットワークコントローラーへの送信を含んでもよい。前記コントロールプレーン機能はこの情報を前記機器がそのセッション確立要求を送信したときにシグナリングを介して受信してもよい。前記コントロールプレーン機能が前記機器関連情報を前記ネットワークコントローラーに伝えた又は露出した後、前記ネットワークコントローラーはこの情報に基づいてポリシー実施のための適切なデータプレーンノード群を選択してもよい。
【0015】
一実施形態によれば、(上記実施形態と同様、限定されないが、機器位置やカプセル化、バッファリングなどの前記データプレーンノードによりサポートされる必要な機能群を含む場合がある)前記機器関連情報に基づいて、前記コントロールプレーン機能は抽象的データプレーンノード又は抽象的データプレーンノードのグループを選択してもよく(ここで、前記選択は前記コントロールプレーンでのトポロジー抽象において実行される、すなわち、前記「抽象的データプレーンノード群」は前記コントロールプレーンでの抽象的トポロジーにおいて扱われる)、その後選択された前記抽象的データプレーンノード又は抽象的データプレーンノードのグループを、例えば、抽象的ノード識別子又は抽象的グループ識別子により、前記ネットワークコントローラーに露出してもよい。前記抽象的データプレーンノード又は抽象的データプレーンノードのグループについての情報に基づいて、前記ネットワークコントローラーはポリシー実施のための適切なデータプレーンノード群を選択してもよい。
【0016】
機器のセッション確立要求に基づくシグナリングによる最適なデータプレーン機能実体の効率的な選択及び/又は再選択並びに前記コントロールプレーン機能と前記ネットワークコントローラーとの協同に関して、対応するサービス情報(例えば、サービス位置、当該サービスをホストするネットワーク、PDN、当該サービスをホストするデータセンター、カプセル化、バッファリングなどのデータプレーンノードによりサポートされる必要な機能)が前記コントロールプレーン機能から前記ネットワークコントローラーに露出されてもよい。その後前記ネットワークコントローラーはこの対応するサービス情報に基づいてポリシー実施のための適切なデータプレーンノード群を選択してもよい。
【0017】
一実施形態によれば、前記コントロールプレーン機能から前記ネットワークコントローラーに伝えられた前記機器関連情報は前記機器の位置及び/又は近接性についての情報(例えば、アクセスポイント識別子、ジオロケーションなど)を表す位置属性を含んでもよい。シグナリングを介してこの位置属性を受信する場合がある前記コントロールプレーン機能(例えば、モビリティサポートアプリケーション)はその後、以下の様々な方法で実現可能なネットワークコントローラーノースバウンドインターフェースを介して前記機器の位置についての情報を前記ネットワークコントローラー、例えば、SDNコントローラー、に提供してもよい。
【0018】
一実装によれば、前記コントロールプレーン機能は前記位置属性をそのまま前記ネットワークコントローラーに提供してもよい。前記ネットワークコントローラーは、前記位置属性を適切なデータプレーンノードに対応付けて前記モビリティコントロールプレーンのルール群を実施するためのロジックを保持する。
【0019】
別の実装によれば、前記コントロールプレーン機能は前記位置属性を用いて前記データプレーンのその抽象図(トポロジーグラフ)上で前記位置を仮想のデータプレーンノード(例えば、トポロジーグラフノードID又は仮想ノードID)に対応付けてもよく、前記仮想データプレーンノードIDを前記ネットワークコントローラーに伝えてもよい。その後、前記ネットワークコントローラーは前記仮想データプレーンノードIDをポリシー実施のための適切なデータプレーンノードに対応付ける。
【0020】
更に別の実装によれば、前記コントロールプレーン機能は前記位置属性を用いて前記抽象的データプレーントポロジー内で仮想データプレーンノードのグループを特定してもよく、選択された前記仮想データプレーンノードのグループを識別する(データセンター、ネットワークセンター、ローカル接続点(point-of-presence:PoP)などを識別可能な)グループ識別子を前記ネットワークコントローラーに伝えてもよい。その後、前記ネットワークコントローラーは前記グループ識別子をポリシー実施のための適切なデータプレーンノードに対応付ける。
【0021】
一実施形態によれば、(例えば、限定されないが、モビリティパターン、好適な通信プロファイル、対応するサービスタイプについての情報、データプレーン機能群からの必要なサポートなどを含む)前記機器のコンテキストに関連する属性及び/又は前記機器により使用されているサービスのネットワークに関連する属性に基づいて、前記コントロールプレーン機能は前記位置属性を前記ネットワークコントローラーに伝える際前記ネットワークコントローラーが適切なデータプレーンノードの対応付け及び選択を行うのに役立つ追加情報を付加してもよい。
【0022】
特に、このような追加情報は、そこから前記機器のIPアドレスの決定又は割り当てが行われなくてはならないトポロジー内の前記ネットワークについての状態を含んでもよい。この文脈において、前記UEのIPアドレスが、特定されたネットワークに一致しておりそのネットワークにおいてトポロジー的に正しい、すなわち、特定された前記ネットワークのアドレスプレフィックスに一致していることに留意することが重要である。そのため、トランスポートネットワークは前記UEのIPアドレスに宛てられたIPパケットを特定された前記ネットワークに転送する。例えば、前記コントロールプレーン機能は、前記ネットワークエッジに近接しかつ前記位置属性により特定された位置に近接するローカルPoPのネットワークを特定してもよい。具体的に、前記追加情報はネットワーク識別子、ネットワークIPアドレスプレフィックス、データセンター識別子又はネットワークセンター識別子、又はそこから前記機器のIPアドレスが決定されるネットワーク内のノードのIPアドレスであってよい。この情報は、前記ネットワークコントローラーにより、前記機器のIPアドレスがトポロジー的に正しいネットワーク内のPEPを選択するために用いられてもよい。これにより、デフォルトのルート群により転送されるトラフィックが当該ネットワーク内の選択されたPEPにより確実に処理できるようになる。
【0023】
更に、このような追加情報は、前記機器により用いられているサービスが位置するネットワーク識別子又はプレフィックスなどの前記機器の対応するサービスのネットワークについての情報、又はインターネット相互接続点(Internet Exchange Point:IXP)を提供して接続された機器群にインターネットサービス群を提供するネットワークについての情報を含んでもよい。このようなサービス位置情報は前記サーバのアドレス又は識別子、前記サービスをホストするネットワーク、前記サービスをホストするPDN、又は前記サービスをホストするデータセンターであってもよく、カプセル化やバッファリングなどの前記データプレーンノードによりサポートされる必要な機能群を含んでもよい。この情報は、前記ネットワークコントローラーにより、対応するサービスに近い又はローカルな前記ネットワーク内のPEPを選択するために用いられてもよく、この情報により、例えば、ポリシー実施又は計測のために、前記機器と対応するサービスとの間のトラフィックが前記サービスの近くで確実に処理できるようになる。
【0024】
更に、このような追加情報は、対応するサービスタイプについての情報(例えば、ウェブブラウジングのためのインターネットアクセス、ボイスサービス、M2M通信など)を含んでもよい。この情報は、前記データプレーンノードがサービス毎のサポート(例えば、バッファリング、データ圧縮など)を提供すべきかどうかを決定するために用いられる。
【0025】
更に、このような追加情報は、前記モバイル機器のモビリティパターンについての情報(例えば、静止、低速、高速など)を含んでもよい。この情報は、前記ネットワークコントローラーにより、データプレーンノードの再配置回数の最小化につながりうるデータプレーンノードを決定するために用いられてもよい。
【0026】
更に、このような追加情報は、ルールが適用されるデータプレーンスライスについての情報(例えば、スライス名又は識別子)を含んでもよい。前記ネットワークコントローラーはこのスライス情報を用いてルール群が適用される前記データプレーン上の関連リソースを決定してもよい。
【0027】
一実施形態によれば、前記コントロールプレーン機能は、結合されたサービングゲートウェイ及びPDNゲートウェイP/S−GWのコントロールプレーン要素群を含む統合されたゲートウェイコントロール機能GW−Cの形で実装されてもよい。本実施形態は、単一の論理モバイルゲートウェイ(例えば、結合されたSGW+PGW)がモバイルネットワークのコントロールプレーンにデプロイされた場合モバイルユーザのデータトラフィックのために1つ又は複数のPEPを選択する機構を提供する。
【0028】
一実施形態によれば、前記ポリシー実施点群は前記データプレーン内にあるサービングゲートウェイS−GW及びPDNゲートウェイP−GW要素と入れ替わるように実装されてもよい。
【0029】
一実施形態によれば、ポリシー実施点群として選択されたデータプレーンノード群の1つは、無線又は有線のアクセスノードに対するインターフェース、例えば、EPSに適用する場合のE−UTRAN要素群(すなわち、eNodeB)に対するS1−Uインターフェース、を停止するエッジポリシー実施点として機能してもよい。或いは、ポリシー実施点群として選択されたデータプレーンノード群は、無線又は有線のアクセスノード上に位置するエッジポリシー実施点として機能してもよく、このエッジポリシー実施点はアクセスノード自身であってもよい。
【0030】
一実施形態によれば、前記GW−Cはモビリティ管理実体(mobility management entity:MME)を用いたシグナリングを介して受信した機器の位置情報に基づいて前記エッジポリシー実行点(エッジPEP)を決定してもよい。ここで前記GW−Cは前記GW−C上に保持された前記トポロジー情報に従って前記機器の位置情報を前記機器の位置に適したエッジポリシー実行点に変換する。
【0031】
一実施形態によれば、ポリシー実行点群として選択されたデータプレーンノード群の1つ又は複数は、前記機器により要求された各サービスに最も近い、前記ネットワークコントローラーの管理下にある前記転送要素群からなるルートポリシー実行点群として機能してもよい。
【0032】
一実施形態によれば、前記ルートポリシー実施点(ルートPEP)の選択又は再選択及び構成は前記ネットワークコントローラーにおける各機器への/各機器からのトラフィックの遮断に応じて引き起こされてもよい。代替実施形態によれば、「デフォルト」のルートPEPは、事前にデータプレーンノードにルートPEPとなるための適切なルール群を供給し対応するエッジPEPを各機器からそのデフォルトルートPEPへのトラフィックを伝達又は転送するためのルール群及び/又はそのデフォルトルートPEPから各機器へのトラフィックを伝達又は転送するためのルール群で構成することにより(すなわち、アップリンク及びダウンリンク構成)選択される。
【0033】
本発明の内容を有利なやり方で設計し発展させる方法がいくつもある。このため、従属する請求項、及び図示された、例としての本発明の好適な実施形態についての以下の説明を参照されたい。図に補助された本発明の好適な実施形態の説明と関連して、本発明の内容の一般的に好適な実施形態及び更なる進展が説明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は本発明の実施形態によるSDNベースの移動通信アーキテクチャにおけるコントロールプレーン機能群、ネットワークコントロール、及びデータプレーンリソース群の分離を示す模式図である。
図2図2は本発明の実施形態によるSDNベースの移動通信アーキテクチャのモビリティコントロールプレーンの視点からのデータプレーンの抽象図である。
図3図3は、本発明の実施形態による結合されたSGW/PGWと接続して動作するコントロールプレーン及びユーザプレーンの処理を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態によるSDNベースのCUPS(Control User Planes Separation:コントロールユーザプレーン分離)アーキテクチャを示す模式図である。
図5図5は、本発明の実施形態によるエッジPEP選択機構を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態によるルートPEP構成機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、冒頭部に記載された態様のいくつかの実現を試み文書3GPP TR 23.799: “Study on Architecture for Next generation System, v0.4.0, 2016-04”に記載された重要問題のいくつかを解決するSDNベースのアーキテクチャ1を示す。この文書において、冒頭部に記載された概要の重要課題1)〜6)は提案されたアーキテクチャにより取り組むことが可能であるとされていることに留意されたい。具体的に、図1は、ネットワークコントローラー3に接続されネットワークコントローラー3を活用してデータプレーンノード群(Data-Plane Nodes:DPNs)4内のルールを実施してUE5のモバイルデータトラフィックを搬送するコントロールプレーン機能2の典型図を示す。以後詳細に説明される本発明の実施形態に関連して、ネットワークコントローラー3の概念は実際はSDNパラダイムからの概念を介して、従ってSDNコントローラー6を介して実現される。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、SDN概念ではないが同様の考え方に依存する物理的かつ論理的に分離されたコントロールプレーン及びデータプレーンを有する様々な実装も可能である。
【0036】
コントロールプレーンがデータプレーンから分離されSDNコントローラー6がそれらの間にあるデプロイに最も関連する課題の1つは、関連する情報を配信して適切なデータプレーンノード4を選択し選択された1つ又は複数のデータプレーンノード4に対するルールの実施により必要なデータプレーンパスを設定することである。コントロールプレーン機能2がセッション状態についての情報、例えば、機器状態、位置情報、及び通信エンドポイント、を保持する一方、SDNコントローラー6はネットワーク関連の情報、例えば、物理トポロジー、及びデータプレーンノード4のサポートされた機能及び負荷、を保持する。このような分解及び分散されたアーキテクチャの課題は、コントロールプレーンとSDNコントローラー6とが相互作用して上記リストに従って所望の動作を可能にしデータプレーンにモビリティセッション状態及び合意されたサービスレベルを適切に反映させることである。
【0037】
本発明の実施形態は、SDNパラダイムを抽象層として活用してコントロールプレーンに分散型でIPネイティブのデータプレーンを稼働させる。この文脈において、1つ又は複数のDPN 4をユーザトラフィック用のポリシー実施点(Policy Enforcement Points:PEPs)として選択することは、データパスの構築において決定的な役割を果たす。必要に応じて、SDNコントローラー6は、例えば、図1において点線で示されるように分散型データセンター間にトランスポートSDNを実現するために、PEP間のトランスポートノードに接続されてもよい。
【0038】
一般に、CUPS(コントロールユーザプレーン分離)を有するアーキテクチャにおいて、コントロールプレーン機能2は、アクセスネットワーク(特に、無線アクセスノード7)から、モバイル機器5の近接性についての情報(位置情報、アクセスポイント識別子など)、更にモバイル機器5のコンテキストについての情報(モビリティパターン、好適な通信プロファイル、対応するサービスタイプについての状態、要求されるデータプレーン機能からのサポートなど)を受信してもよい。図1には示されていないが、このアクセスノードは固定アクセス(例えば、xDSL)用のアクセスノードであってもよいことを理解すべきである。コントロールプレーン機能2は機器、すなわち、図1のUE5の接続を可能にするためにデータプレーン内で実施しなければならないルールを認識しており、データプレーンの抽象図を、例えば、抽象トポロジーグラフとして認識している場合があるが、その代わりにSDNコントローラー6に属する十分詳細なトポロジー及びルーティングに関する情報は持たない。
【0039】
コントロールプレーン機能2はプログラミングのため及びモバイル機器のトラフィックを供給するデータプレーンルールの実施のための詳細図もデータプレーンノード4への直接アクセスも持たないため、適切なデータプレーンノード4の選択はコントロールプレーン上では容易に実行できない。これは図2から明らかであり、図2は典型的なデータプレーントポロジー20(図2の下部を参照)をコントロールプレーン(図2の上部を参照)における対応するトポロジー抽象21とともに模式的に示している。
【0040】
一方、SDNコントローラー6はモバイル機器5に適したセッションを設定するために必要なルールやポリシーを保有していない。
【0041】
異なるネットワークスライスに関連付けられたデータプレーンリソースを分離するスライスネットワークの場合、コントロールプレーン機能2はセッション情報から特定のルールがどのデータプレーンスライスに当てはまるかを認識しているが、各ルールがどの物理データプレーンノード4に当てはまるかは認識していない。SDNコントローラー6は、物理データプレーンについての詳細図を有しまたどのデータプレーンスライスがどのデータプレーンリソースにより実現されるかを認識している場合があったとしても、加入者/データセッションとデータプレーンネットワークスライスとの関連についての情報は持っていない。
【0042】
従って、本発明の実施形態によれば、データプレーンノード4の選択は、適切な情報がそれらの間で交換されるという条件で、コントロールプレーン機能2とSDNコントローラー6との協同により実行される。一般に、本発明の実施形態はコントロール/データプレーン分離アーキテクチャにおいて適切なDPN(群)4でのルールの選択と構成を可能にしこれらのDPN4をモバイル機器5に接続を提供するためのポリシー実施点8として扱う。そのため、本発明の実施形態は、以下により詳細に述べるように、コントロールプレーン機能2、SDNコントローラー8間の適切なインターフェース機構を提供して適切なデータプレーンノード4を一貫して選択できるようにする。
【0043】
現在のモバイルネットワーク用アーキテクチャ、例えば、3GPP TS 23.401に準拠したLTEネットワーク用EPS、への適用を考えた場合、本発明の実施形態は単一のPGWコントロールインスタンスの制御下での複数のPGWのユーザプレーン要素の同時利用を可能にする。
【0044】
具体的に、本発明の一実施形態によれば、このアーキテクチャは、まずSGWとPGWとを結合し次に結合した実体をコントロールプレーン要素とユーザプレーン要素に分割することからなる文書3GPP TR 23.714, Study on control and user plane separation of EPC nodes, v0.4.0, 2016-04に提案された結合したS/P-GWの機能的分割の一部を再利用する。そのセクション6.1、特にサブセクション6.1.2が参照により本明細書に組み込まれている、上に引用された3GPP TR 23.714に提案された分離が、適切なインターフェース機構の実施形態とともに図3に示されている。コントロールプレーンCPの実体が図3の上部に示され、一方、ユーザプレーンUPの実体が図3の下部に示されている。
【0045】
本発明の実施形態によれば、図3のP/S−GW CP要素を表す統合されたゲートウェイコントロール機能(以下、GW−Cと略す)が導入される。図4に示すように、GW−C9はMME(Mobility Management Entity:モビリティ管理実体)10に対するインターフェースS11に加えてPCRF(Policy and Charging Rules Function:ポリシー及びチャージルール機能)11に対するインターフェースGxの停止を担当する。
【0046】
図4の実施形態に示すように、データプレーン内にあるSGW、PGW要素はポリシー実施点(PEP)8に置き換えられている。PEP8は、フローベースでパケットに対し所定のポリシー(QoS、NATなど)を実施できるデータプレーンノード4(すなわち、スイッチやルーターなどの転送要素)である。PEP8にはエッジPEP8aとルートPEP8bの2つの種類がある。これらのPEPはともにSBIプロトコル(例えば、限定されないが、OpenFlow)を用いてSDNコントローラー6により設定される。
【0047】
図4に示すように、エッジPEP8aはE−UTRAN要素12(例えば、eNodeB)に対するインターフェースS1−Uを停止させる。エッジPEP8aはeNBsとの後方互換性を維持でき従ってSGWデータプレーン機能の一部をエミュレートできるGTP−Uである。
【0048】
ルートPEP8bは、SDNコントローラー6の管理範囲(SDNドメイン)にある、要求されたサービスに最も近接した転送要素である。エッジ及びルートPEP8a、8bはローカルブレークアウトデプロイを可能にするようにコロケートされてもよい。
【0049】
図4に示すように、UE5への特定のアクセスリンク対して1つのエッジPEP8aがあり、一方(図4には明確に示されていないが)トラフィックパターン及び要求されたサービスに従って複数のルートPEP8bがあってもよい。
【0050】
3GPPの提案によるSxa及びSxb基準点(又はこの2つの組み合わせ)はSDNコントローラー6が介在するNBI及びSBIプロトコルの連結に置き換えられている。
【0051】
図2に示すように、図4のSDNコントローラー6はネットワーク内のスイッチング要素のトポロジー及び対応するリンクを維持する。GW−C9は対象となるエッジ及びルートPEP8a、8bを表す論理トポロジーを維持する。SDN−C範囲内の一塊のDPNはGW−U範囲内の単一のPEPに変換可能である。論理エッジPEP8aとPEP機能を実装する機器との対応付けはGW−C9に透過的でありSDNコントローラー6により稼働される。
【0052】
図5は本発明の一実施形態によるエッジPEP8a選択手順を示す。
【0053】
現行のEPC動作においては、SGWは主にネットワークトポロジーに基づいて選択され、更に負荷バランシングなどの他の基準に基づいて選択される。本発明の実施形態によれば、このような選択はエッジPEP8a選択への対応付けが可能なため、3GPPのセマンティクスをNBIプロトコル用のセマンティクスへ適切に変換する必要がある。
【0054】
そのために、以下の論理ステップを考慮してもよい。
【0055】
1)MME10は対応するイベントを選択されたSGWに信号で伝えるEPC内の実体である。従って、信号伝達対象は暗黙的にSGW選択過程を表している。
【0056】
2)提案されたアーキテクチャでは、MME10によるシグナリングを停止させるGW−C9が1つだけ存在する場合があるので、GW−C9は自身でエッジPEP8aを決定しなくてはならないためにSGW選択ロジックは多少失われる。
【0057】
3)GW−C9によりなされる選択は、MME10によるシグナリングで伝達されるUE5位置情報により主に援助されるべきである。UE5のコンテキストに関連する他の機器属性(例えば、モビリティパターン、通信プロファイルなど)も選択過程で用いることができる。
【0058】
4)GW−C9により維持されるトポロジーに基づき、GW−C9はUE5の位置をその位置に適したエッジPEP8aに変換する。
【0059】
5)エッジPEP8aについての情報は、SDNコントローラー6がGW−C9により示されるエッジPEP8aをこの目的にかなう場合のあるDPNの塊に割り当てるのを可能にする形でNBIを介してSDNコントローラー6に伝えられる。従ってこの情報はSBIプロトコル内の情報要素と規定される。この要素は様々な名称を有していてもよく、本例では、地域ID(RID)と名付ける。
【0060】
6)RIDに基いて、SDNコントローラー6はDPNの塊を決定し、内部メトリック、例えば、経路最適化、負荷バランシングなどに基づいて塊の中から最も適切なDPNを選ぶ。
【0061】
既に述べたように、図5はEPCに統合されたエッジPEP8aの選択手順に関する本発明の一実施形態を示す。本実施形態によれば、当該手順は以下のステップを含み、ステップの番号付けは図に示された表示に従う(ただし、当業者には容易に理解されるように、特定のステップは以下の順序とは異なる順序で実行されてもよく、又は異なる方法で実行されてもよく、又は省略されてもよい)。
【0062】
1.UE5が接続され次第、MME10は“E−UTRANセルグローバルID(ECGI)”パラメーターを介してeNB粒度でのUE5の位置を含む“セッション生成要求”メッセージをGW−C9に転送する。
【0063】
2.加入者情報、要求されたPDN13、及びデフォルトベアラ用のTFTに基づき、GW−C9はモバイルネットワーク内でのUE5のトラフィックを扱うためのルールを算定する。ルールはPORT−IDと呼ばれるキーに関連付けられる。それらのルールはカプセル化/非カプセル化、NAT、QoSクラスなどの様々な特性に基づいてデータトラフィックがモバイルネットワーク内で受ける処理を含む。ECGIパラメーターから、GW−C9はエッジPEP8aを選択する、すなわち、GW−C9は非カプセル化アクション用のトラフィックルールに結合される、インターフェースS1−Uの上り方向で用いられるSGWのIPアドレス及びTEIDを算定する。更にGW−C9は、UE5に、エッジPEP8aが存在するネットワーク内でトポロジー的に有効なIPv4アドレス(又はIPv6のプレフィックス)を割り当てる。
【0064】
3.トラフィックルールはECGIに基づいてRIDとともにNBIを介してSDNコントローラー6へ伝えられる。RIDはGW−C9に保持されるトポロジーマップに従ってエッジPEP8aを識別するパラメーターである。
【0065】
4.SDNコントローラー6は、RID及びSGWのIPアドレスからエッジPEP8aとして適切な転送要素(DPN)を導き出す。必要に応じて、SDN−CはDPNを選択する際(トラフィックルールに示された)UE5のIPアドレスを考慮してもよい。SDNコントローラー6はその後、エッジPEP8aを設定するためにトラフィックルールをSBI命令に変換する。
【0066】
5.DPN4は、上りトラフィックに適切なトラフィックルールで、すなわち、規定されたTEIDを保持する、RANから受信したパケットを非カプセル化することを示すトラフィックルールでSDNコントローラー6により設定される。
【0067】
6.SDNコントローラー6はGW−C9に対するルール生成要求を承認する。
【0068】
7.GW−C9はMME10に対し適切なメッセージ、すなわち、セッション生成応答で応答する。
【0069】
8.MME10、eNB12、UE5間でレガシーEPS動作が実行されてUE5のRRCが構成されるとともに、対応する上りトラフィックルール(SGWのIPアドレス及びTEID)及び下りトラフィックルール(eNBのIPアドレス及びTEID)でeNB12が構成される。MME10は下りトラフィックのためのeNB12のIPアドレス及びTEIDをGW−C9に送る。
【0070】
9.GW−C9はeNB12のIPアドレス及びダウンリンクS1 TEIDをUE5のトラフィック用ルールに付加する。これらのパラメーターはSDNコントローラー6へ送られる。
【0071】
10.SDNコントローラー6はそのルールの記述を更新しエッジPEP8aであるDPN4に対する指示を作成する。
【0072】
11.DPN4は、宛先アドレスであるUE5のIPアドレスにマッチするトラフィックを適切なeNB12のTEID及びIPアドレスでカプセル化するように設定される。
【0073】
12.エッジPEP8aの構成を終了するために、SDNコントローラー6により承認がGW−C9に送られる。
【0074】
13.GW−C9はMME10との対話を終了する。
【0075】
図6は本発明の一実施形態によるルートPEP8b構成手順を示す。本実施形態によれば、IPネイティブのパケットコアは以下の検討につながるEPCのSGW、PGW間のインターフェースS5との実質的な違いに基づくものである:
【0076】
エッジPEP8a及びルートPEP8bからのデータ経路にはGTPトンネリングが存在しない。その代わりに、標準的IPルーティングを用いてそれらの間のトランスポートリンクでパケットを伝送してもよい。更に、同一のPDN13のために複数のルートPEP8bがユーザに対応してもよい。(図4に示すような)ルートPEP8bを構成するための動作フローは以下のように実行されてもよい(ステップの番号付けは図に示された表示に従う。ただし、当業者には容易に理解されるように、特定のステップは以下の順序とは異なる順序で実行されてもよく、又は異なる方法で実行されてもよく、又は省略されてもよい)。
【0077】
1.UE5により生成された又はUE5に宛てられたデータトラフィックは最終的にルートPEP8bとして適格なDPN4に当たる。
a.UE5はひとたびRRCの構成を終了すると上りトラフィックを送ってもよい。ユーザパケットはエッジPEP8aにより宛先に向けて転送され最終的にデフォルトのルールなしにDPN4により遮断される、若しくは
b.UE5に宛てられた下りパケットはUE5用の下りルールなしにDPN4に引き寄せられる。
【0078】
2.SDN機構、例えば、OpenFlowにおけるPacket_INメッセージを用いたDPN4はSDNコントローラー6に通知してマッチング用のパケットのヘッダー(例えば、パケットヘッダーの5つ組に対するもの)を伝達する。
【0079】
3.SDNコントローラー6はUE5用のルール定義を検索する。SDNコントローラー6はそのルールからルートPEP8b指示を導き出す。多数のルールが当てはまる場合、最も適切な一致項目を持つものを選択する。当てはまるルールがない場合、SDNコントローラー6はその要求を廃棄する。
【0080】
4.SDNコントローラー6はDPN4を設定する。
【0081】
5.DPN4はルートPEP8bとして機能するためのポリシーを組み込む。
【0082】
上記の本発明の実施形態によれば、データ構造及び機能は基本的に以下のようにまとめられてもよい。
【0083】
GW−U及び論理PEPトポロジーに関して、E−UTRANを複数の領域に分割し各領域が同一のエッジPEP8aの責任下に置かれることを検討することが重要である。位置以外に追加のメトリックを考慮してもよい。例えば、ユーザモビリティパターン(例えば、列車の軌跡)が既知であれば、エッジPEP8a間のハンドオーバーを最小化するための領域を作ってもよい。
【0084】
GW−Uにおいてフロールールに対応付けられたベアラに関して、MME10やPCRF11などのEPCコントロール実体は、ポリシーをベアラに分類されたものとして参照する。ベアラはAPNに関連付けられている。GW−C9はそのようなベアラをキー、例えば、PORT−IDと呼ばれるキー(図5のステップ2を参照)、により特定されるフロールールに対応付ける必要がある。PORT−IDにより転送ディスクリプタをすばやく検索してトラフィックセレクターをフロー用特性に対応付けることが可能になる。
【0085】
一方、SDNコントローラー6は転送要素及びリンクの観点からネットワークのトポロジーを維持するように構成されてもよく、PEPの位置を機器に対応付けてもよい。また、SDNコントローラー6はPORT−IDの検索結果をSBI指示に変換してもよい。更に、SDNコントローラー6はネットワークの機器に対して実施されるルールの一覧を維持するように構成されてもよい。この一覧は、ユーザに対応付けられたルールが複数のDPN4に適用される場合であってもそれらのルールがすばやく取り出せるように実現されるべきである。
【0086】
ここで説明した本発明の変形例や他の実施形態が、本発明が関係し上記の説明や添付の図面に示された内容の恩恵を受ける当業者により想到されよう。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、変形例や他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていると理解すべきである。ここでは特定の用語が使われているが、それらは限定する目的ではなく一般的及び説明的意味で使われている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6