【課題を解決するための手段】
【0010】
ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変ドメインを発現する遺伝子改変マウスであって、限定された軽鎖可変レパートリーを有するマウスが提供される。親和性成熟したヒト重鎖可変ドメインの多様なレパートリーと結合し、共に発現するヒト軽鎖可変ドメインを生成するための生物系が提供される。免疫グロブリン可変ドメインを含む結合タンパク質を作製するための方法であって、限定された免疫グロブリン軽鎖レパートリーを有するマウスを、目的の抗原を用いて免疫するステップ、および、マウスの免疫グロブリン可変領域遺伝子配列を、目的の抗原に特異的に結合する結合タンパク質に使用するステップを含む方法が提供される。方法は、多重特異性抗原結合タンパク質の作製において使用するために適したヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインを作製するための方法を含む。
【0011】
再構成されていないヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントのレパートリーに由来する適切な親和性成熟したヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインを選択する遺伝子操作されたマウスであって、親和性成熟したヒト重鎖可変ドメインが、1つのヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントに由来する単一のヒト軽鎖可変ドメインと結合し、共に発現するマウスが提供される。2つのヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントの選択を示す遺伝子操作されたマウスも提供される。種々の態様では、1つまたは2つの遺伝子セグメントはヒトVκ1−39およびヒトVκ3−20を含む。
【0012】
ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントの限定されたレパートリーからヒト軽鎖可変ドメインの限定されたレパートリーまたは単一のヒト軽鎖可変ドメインを発現する遺伝子操作されたマウスが提供される。一部の実施形態では、提供されるマウスは、再構成されて単一の軽鎖を発現する(または2つの軽鎖のいずれかもしくはその両方を発現する)再構成されたヒト軽鎖可変領域遺伝子(または2つの再構成された軽鎖可変領域遺伝子)を形成する単一の再構成されていないヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント(または2つのヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント)を含むように遺伝子操作されている。再構成されたヒト軽鎖可変ドメインは、マウスにより選択された複数の親和性成熟したヒト重鎖と対合させることができ、重鎖可変領域は異なるエピトープに特異的に結合する。
【0013】
ヒト軽鎖可変領域配列の限定されたレパートリーからヒト軽鎖可変ドメインの限定されたレパートリーまたは単一のヒト軽鎖可変ドメインを発現する遺伝子操作されたマウスが提供される。一部の実施形態では、提供されるマウスは、単一の軽鎖の可変領域を発現する(または2つの可変領域のいずれかもしくはその両方を発現する)単一のV/Jヒト軽鎖配列(または2つのV/J配列)を含むように遺伝子操作されている。可変配列を含む軽鎖は、マウスによりクローン選択された複数の親和性成熟したヒト重鎖と対合させることができ、重鎖可変領域は異なるエピトープに特異的に結合する。
【0014】
一態様では、ヒトJ遺伝子セグメント(1つまたは複数のJ
Lセグメントから選択される)と共に再構成することが可能であり、免疫グロブリン軽鎖のヒトV
Lドメインをコードする単一のヒト免疫グロブリン軽鎖可変(V
L)領域遺伝子セグメントを含む遺伝子改変マウスが提供される。別の態様では、それぞれが、ヒトJ遺伝子セグメント(1つまたは複数のJ
Lセグメントから選択される)と共に再構成することが可能であり、免疫グロブリン軽鎖のヒトV
Lドメインをコードする2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントを含む遺伝子改変マウスが提供される。一部の実施形態では、2つのヒトV
L遺伝子セグメントはマウスのゲノム内で並列している。一部の実施形態では、2つのヒトV
L遺伝子セグメントはマウスのゲノム内の異なる遺伝子座に存在する(例えば、第1の軽鎖対立遺伝子に第1のヒトV
Lセグメント、および第2の軽鎖対立遺伝子に第2のヒトV
Lセグメントを含み、第1のヒトV
Lセグメントと第2のヒトV
Lセグメントが同一ではないヘテロ接合体)。一部の実施形態では、2つのヒトV
L遺伝子セグメントはヒトVκ1−39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3−20遺伝子セグメントである。一実施形態では、ヒトJ
L遺伝子セグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5、およびこれらの対での組合せからなる群から選択される。種々の実施形態では、提供される遺伝子操作されたマウスは、内因性V
L遺伝子セグメントを含有する免疫グロブリン軽鎖を発現することができない。例えば、一部の実施形態では、提供される遺伝子操作されたマウスは、内因性V
L遺伝子セグメントの一部または全部が不活化され、かつ/または除去される遺伝子改変を含有する。
【0015】
一実施形態では、単一のヒトV
L遺伝子セグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、およびJκ5から選択されるヒトJ
L遺伝子セグメントに作動可能に連結しており、単一のヒトV
L遺伝子セグメントは、軽鎖可変領域遺伝子をコードする配列が形成されるように1つまたは複数のヒトJ
L遺伝子セグメントのいずれかと共に再構成することが可能である。
【0016】
一実施形態では、提供される遺伝子改変マウスは、免疫グロブリン軽鎖遺伝子が形成されるように再構成することが可能な内因性マウスV
L遺伝子セグメントを含まない免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を含み、V
L遺伝子座は、軽鎖遺伝子のV
L領域をコードするように再構成することが可能な単一のヒトV
L遺伝子セグメントを含有する。特定の実施形態では、ヒトV
L遺伝子セグメントは、ヒトVκ1−39Jκ5遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20Jκ1遺伝子セグメントである。一部の実施形態では、提供される遺伝子改変マウスは、免疫グロブリン軽鎖遺伝子が形成されるように再構成することが可能な内因性マウスV
L遺伝子セグメントを含まないV
L遺伝子座を含み、V
L遺伝子座は、軽鎖遺伝子のV
L領域をコードするように再構成することが可能な2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントを含む。いくつかのある特定の実施形態では、2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメント、ヒトVκ3−20遺伝子セグメント、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一部のある特定の実施形態では、2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントはヒトVκ1−39Jκ5遺伝子セグメントおよびヒトVκ3−20Jκ1遺伝子セグメントである。
【0017】
一態様では、免疫グロブリン軽鎖のヒトV
Lドメインをコードする単一の再構成された(V/J)ヒト免疫グロブリン軽鎖可変(V
L)領域(すなわち、V
L/J
L領域)を含む遺伝子改変マウスが提供される。別の態様では、マウスは、免疫グロブリン軽鎖のヒトV
Lドメインをコードすることができる2つ以下の再構成されたヒトV
L領域を含む。
【0018】
一実施形態では、V
L領域は、再構成されたヒトVκ1−39/J配列または再構成されたヒトVκ3−20/J配列である。一実施形態では、再構成されたV
L/J
L配列のヒトJ
Lセグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、およびJκ5から選択される。特定の実施形態では、V
L領域は、ヒトVκ1−39Jκ5配列またはヒトVκ3−20Jκ1配列である。特定の実施形態では、マウスはヒトVκ1−39Jκ5配列およびヒトVκ3−20Jκ1配列の両方を有する。
【0019】
一実施形態では、ヒトV
L遺伝子セグメントは、ヒトまたはマウスリーダー配列に作動可能に連結している。一実施形態では、リーダー配列はマウスリーダー配列である。特定の実施形態では、マウスリーダー配列はマウスVκ3−7リーダー配列である。特定の実施形態では、リーダー配列は、再構成されていないヒトV
L遺伝子セグメントに作動可能に連結している。特定の実施形態では、リーダー配列は、再構成されたヒトV
L/J
L配列に作動可能に連結している。
【0020】
一実施形態では、V
L遺伝子セグメントは、免疫グロブリンプロモーター配列に作動可能に連結している。一実施形態では、プロモーター配列はヒトプロモーター配列である。特定の実施形態では、ヒト免疫グロブリンプロモーターはヒトVκ3−15プロモーターである。特定の実施形態では、プロモーターは、再構成されていないヒトV
L遺伝子セグメントに作動可能に連結している。特定の実施形態では、プロモーターは、再構成されたヒトV
L/J
L配列に作動可能に連結している。
【0021】
一実施形態では、軽鎖遺伝子座は、5’側(V
L遺伝子セグメントの転写方向に対して)がヒト免疫グロブリンプロモーターに隣接し、3’側が、ヒトJセグメントと共に再構成されたヒトV
L遺伝子セグメントに隣接するリーダー配列を含み、内因性マウス軽鎖定常領域(C
L)を含むリバースキメラ軽鎖のV
Lドメインをコードする。特定の実施形態では、V
L遺伝子セグメントはマウスVκ遺伝子座にあり、マウスC
LはマウスCκである。
【0022】
一実施形態では、軽鎖遺伝子座は、5’側(V
L遺伝子セグメントの転写方向に対して)がヒト免疫グロブリンプロモーターに隣接し、3’側が再構成されたヒトV
L領域(V
L/J
L配列)に隣接するリーダー配列を含み、内因性マウス軽鎖定常領域(C
L)を含むリバースキメラ軽鎖のV
Lドメインをコードする。特定の実施形態では、再構成されたヒトV
L/J
L配列はマウスカッパ(κ)遺伝子座にあり、マウスC
LはマウスCκである。
【0023】
一実施形態では、改変マウスのV
L遺伝子座はκ軽鎖遺伝子座であり、κ軽鎖遺伝子座は、マウスκイントロンエンハンサー、マウスκ3’エンハンサーまたはイントロンエンハンサーと3’エンハンサーの両方を含む。
【0024】
一実施形態では、マウスは、非機能的な免疫グロブリンラムダ(λ)軽鎖遺伝子座を含む。特定の実施形態では、λ軽鎖遺伝子座は、遺伝子座の1つまたは複数の配列の欠失を含み、1つまたは複数の欠失により、λ軽鎖遺伝子座は、再構成して軽鎖遺伝子を形成することができない。別の実施形態では、λ軽鎖遺伝子座のV
L遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てが欠失している。
【0025】
一実施形態では、マウスにより、ヒトV
L遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したV
Lドメインを含む軽鎖が作製される。一実施形態では、軽鎖は、ヒトV
L遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したV
Lドメイン、およびマウスCκ領域を含む。一実施形態では、マウスはλ軽鎖を発現しない。
【0026】
一実施形態では、遺伝子改変マウスは、ヒトV
L領域配列を体細胞超変異させることができる。特定の実施形態では、マウスは、再構成可能であり、V
LドメインをコードするヒトV
L遺伝子セグメントに由来する再構成された免疫グロブリン軽鎖遺伝子を含む細胞を含み、再構成された免疫グロブリン軽鎖遺伝子は、体細胞変異したV
Lドメインを含む。
【0027】
一実施形態では、マウスは、マウスCκと連結した、体細胞変異したヒトV
Lドメインを含む軽鎖を発現する細胞を含み、軽鎖はヒトV
H遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したV
Hドメインを含む重鎖と結合しており、重鎖はマウス重鎖定常領域(C
H)を含む。特定の実施形態では、重鎖は、マウスC
H1、マウスヒンジ、マウスC
H2、およびマウスC
H3を含む。特定の実施形態では、重鎖は、ヒトC
H1、ヒンジ、マウスC
H2、およびマウスC
H3を含む。
【0028】
一実施形態では、マウスは、内因性マウスV
H遺伝子セグメントの、1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメントでの置き換えを含み、ヒトV
H遺伝子セグメントはマウスC
H領域遺伝子に作動可能に連結しており、その結果、マウスは、ヒトV
H遺伝子セグメントを再構成し、ヒトV
HドメインおよびマウスC
Hを含むリバースキメラ免疫グロブリン重鎖を発現する。一実施形態では、再構成されていないマウスV
H遺伝子セグメントの90−100%が少なくとも1つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントで置き換えられている。特定の実施形態では、内因性マウスV
H遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てが少なくとも1つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントで置き換えられている。一実施形態では、置き換えは、少なくとも19個、少なくとも39個または少なくとも80個または81個の再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントによるものである。一実施形態では、置き換えは、少なくとも12個の機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメント、少なくとも25個の機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントまたは少なくとも43個の機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントによるものである。一実施形態では、マウスは、マウスD
HおよびJ
Hセグメントの全ての、少なくとも1つの再構成されていないヒトD
Hセグメントおよび少なくとも1つの再構成されていないヒトJ
Hセグメントでの置き換えを含む。一実施形態では、少なくとも1つの再構成されていないヒトD
Hセグメントは、1−1、D1−7、1−26、2−8、2−15、3−3、3−10、3−16、3−22、5−5、5−12、6−6、6−13、7−27、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、少なくとも1つの再構成されていないヒトJ
Hセグメントは、1、2、3、4、5、6、およびこれらの組合せから選択される。特定の実施形態では、1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメントは、1−2、1−8、1−24、1−69、2−5、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−20、3−23、3−30、3−33、3−48、3−53、4−31、4−39、4−59、5−51、6−1ヒトV
H遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択される。
【0029】
一実施形態では、マウスは、目的の抗原に特異的に結合する結合タンパク質を発現するB細胞を含み、結合タンパク質はヒトVκ1−39/Jκ5再構成またはヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来する軽鎖を含み、細胞は1−69、2−5、3−13、3−23、3−30、3−33、3−53、4−39、4−59、および5−51遺伝子セグメントから選択されるヒトV
H遺伝子セグメントの再構成に由来する再構成された免疫グロブリン重鎖遺伝子を含む。一実施形態では、1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメントは、1、2、3、4、5、および6から選択されるヒト重鎖J
H遺伝子セグメントと共に再構成される。一実施形態では、1つまたは複数のヒトV
HおよびJ
H遺伝子セグメントは、1−1、1−7、1−26、2−8、2−15、3−3、3−10、3−16、3−22、5−5、5−12、6−6、6−13、および7−27から選択されるヒトD
H遺伝子セグメントと共に再構成される。特定の実施形態では、軽鎖遺伝子は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を有する。
【0030】
一実施形態では、マウスは、2−5/6−6/1、2−5/3−22/1、3−13/6−6/5、3−23/2−8/4、3−23/3−3/4、3−23/3−10/4、3−23/6−6/4、3−23/7−27/4、3−30/1−1/4、3−30/1−7/4、3−30/3−3/3、3−30/3−3/4、3−30/3−22/5、3−30/5−5/2、3−30/5−12/4、3−30/6−6/1、3−30/6−6/3、3−30/6−6/4、3−30/6−6/5、3−30/6−13/4、3−30/7−27/4、3−30/7−27/5、3−30/7−27/6、3−33/1−7/4、3−33/2−15/4、4−39/1−26/3、4−59/3−16/3、4−59/3−16/4、4−59/3−22/3、5−51/3−16/6、5−51/5−5/3、5−51/6−13/5、3−53/1−1/4、1−69/6−6/5、および1−69/6−13/4から選択されるV
H/D
H/J
H領域を含む再構成された免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子配列を含むB細胞を含む。特定の実施形態では、B細胞は、マウス重鎖定常領域と融合したヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、およびマウス軽鎖定常領域と融合したヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む結合タンパク質を発現する。
【0031】
一実施形態では、再構成されたヒトV
L領域はヒトVκ1−39Jκ5配列であり、マウスは、(i)マウスC
H、および(ii)1−2、1−8、1−24、1−69、2−5、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−20、3−23、3−30、3−33、3−48、3−53、4−31、4−39、4−59、5−51、6−1ヒトV
H遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択されるヒトV
H遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトV
Hドメインを含むリバースキメラ重鎖と結合した、(i)ヒトV
L/J
L配列に由来するV
Lドメイン、および(ii)マウスC
Lを含むリバースキメラ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、体細胞変異した軽鎖を発現する。一実施形態では、C
LはマウスCκである。特定の実施形態では、ヒトV
H遺伝子セグメントは、2−5、3−13、3−23、3−30、4−59、5−51、および1−69遺伝子セグメントから選択される。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトV
Hドメインは、1−1、1−7、2−8、3−3、3−10、3−16、3−22、5−5、5−12、6−6、6−13、および7−27から選択されるD
Hセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトV
Hドメインは、1、2、3、4、5、および6から選択されるJ
Hセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトV
Hドメインは、2−5/6−6/1、2−5/3−22/1、3−13/6−6/5、3−23/2−8/4、3−23/3−3/4、3−23/3−10/4、3−23/6−6/4、3−23/7−27/4、3−30/1−1/4、3−30/1−7/4、3−30/3−3/4、3−30/3−22/5、3−30/5−5/2、3−30/5−12/4、3−30/6−6/1、3−30/6−6/3、3−30/6−6/4、3−30/6−6/5、3−30/6−13/4、3−30/7−27/4、3−30/7−27/5、3−30/7−27/6、4−59/3−16/3、4−59/3−16/4、4−59/3−22/3、5−51/5−5/3、1−69/6−6/5、および1−69/6−13/4から選択される再構成されたヒトV
H/D
H/J
H配列によりコードされる。
【0032】
一実施形態では、再構成されたヒトV
L領域はヒトVκ3−20Jκ1配列であり、マウスは、(i)マウスC
H、および(ii)1−2、1−8、1−24、1−69、2−5、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−20、3−23、3−30、3−33、3−48、3−53、4−31、4−39、4−59、5−51、6−1ヒトV
H遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択されるヒトV
H遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトV
Hを含むリバースキメラ重鎖と結合した、(i)再構成されたヒトV
L/J
L配列に由来するV
Lドメイン、および(ii)マウスC
Lを含むリバースキメラ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、体細胞変異した軽鎖を発現する。一実施形態では、C
LはマウスCκである。特定の実施形態では、ヒトV
H遺伝子セグメントは、3−30、3−33、3−53、4−39、および5−51遺伝子セグメントから選択される。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトV
Hドメインは、1−1、1−7、1−26、2−15、3−3、3−16、および6−13から選択されるD
Hセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトV
Hドメインは、3、4、5、および6から選択されるJ
Hセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトV
Hドメインは、3−30/1−1/4、3−30/3−3/3、3−33/1−7/4、3−33/2−15/4、4−39/1−26/3、5−51/3−16/6、5−51/6−13/5、および3−53/1−1/4から選択される再構成されたヒトV
H/D
H/J
H配列によりコードされる。
【0033】
一実施形態では、マウスは、再構成されたヒトVκ1−39Jκ5配列および再構成されたヒトVκ3−20Jκ1配列の両方を含み、マウスは、(i)マウスC
H、および(ii)1−2、1−8、1−24、1−69、2−5、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−20、3−23、3−30、3−33、3−48、3−53、4−31、4−39、4−59、5−51、6−1ヒトV
H遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択されるヒトV
H遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトV
Hを含むリバースキメラ重鎖と結合した(i)ヒトVκ1−39Jκ5配列またはヒトVκ3−20Jκ1配列に由来するV
Lドメインおよび(ii)マウスC
Lを含むリバースキメラ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、体細胞変異した軽鎖を発現する。一実施形態では、C
LはマウスCκである。
【0034】
一実施形態では、内因性の再構成されていないマウスV
H遺伝子セグメントの90−100%が少なくとも1つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントで置き換えられている。特定の実施形態では、内因性の再構成されていないマウスV
H遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てが少なくとも1つの再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントで置き換えられている。一実施形態では、置き換えは、少なくとも18個、少なくとも39個、少なくとも80個または81個の再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントによるものである。一実施形態では、置き換えは、少なくとも12個の機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメント、少なくとも25個の機能的な再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントまたは少なくとも43個の再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメントによるものである。
【0035】
一実施形態では、遺伝子改変マウスはC57BL系統であり、特定の実施形態では、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、およびC57BL/Olaから選択される。特定の実施形態では、遺伝子改変マウスは、上述の129系統と上述のC57BL/6系統との混合である。別の特定の実施形態では、マウスは、上述の129系統の混合または上述のBL/6系統の混合である。特定の実施形態では、混合の129系統は、129S6(129/SvEvTac)系統である。
【0036】
一実施形態では、マウスは、マウスCκおよび再構成されたヒトVκ1−39Jκ5配列または再構成されたヒトVκ3−20Jκ1配列に由来する体細胞変異したヒトV
Lドメインを含む軽鎖、ならびにマウスC
Hおよび1−2、1−8、1−24、1−69、2−5、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−20、3−23、3−30、3−33、3−48、3−53、4−31、4−39、4−59、5−51、および6−1ヒトV
H遺伝子セグメントから選択されるヒトV
H遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトV
Hドメインを含む重鎖を含むリバースキメラ抗体を発現し、マウスは完全マウス抗体を発現せず、完全ヒト抗体も発現しない。一実施形態では、マウスは、内因性マウスκ軽鎖遺伝子セグメントの、再構成されたヒトVκ1−39Jκ5配列または再構成されたヒトVκ3−20Jκ1配列での置き換えを含み、内因性マウスV
H遺伝子セグメンの全てまたは実質的に全ての、ヒトV
H遺伝子セグメントの完全なまたは実質的に完全なレパートリーでの置き換えを含むκ軽鎖遺伝子座を含む。
【0037】
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ1−39/Jκ5再構成またはヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来する軽鎖遺伝子を含み、抗体が、1−2、1−3、1−8、1−18、1−24、1−46、1−58、1−69、2−5、2−26、2−70、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−16、3−20、3−21、3−23、3−30、3−33、3−43、3−48、3−53、3−64、3−72、3−73、4−31、4−34、4−39、4−59、5−51、および6−1ヒトV
H遺伝子セグメントから選択されるヒトV
H遺伝子セグメントの再構成に由来する再構成された免疫グロブリン重鎖遺伝子を含む抗体の集団が提供される。一実施形態では、1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメントは、1、2、3、4、5、および6から選択されるヒト重鎖J
H遺伝子セグメントと共に再構成される。特定の実施形態では、軽鎖は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を有する。
【0038】
一実施形態では、軽鎖は、1つ、2つ、3つまたは4つの体細胞超変異を有する。一実施形態では、軽鎖遺伝子は1つまたは2つの変異を有する。種々の実施形態では、軽鎖遺伝子は、その配列にそって多数の変異を受けることができる。
【0039】
一実施形態では、軽鎖が、ヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、軽鎖は少なくとも1つまたは4つ以下の体細胞超変異を有する。一実施形態では、軽鎖は少なくとも2つの体細胞超変異を含む。一実施形態では、軽鎖は少なくとも3つの体細胞超変異を含む。一実施形態では、軽鎖は少なくとも4つの体細胞超変異を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのそのような体細胞超変異は軽鎖の1つまたは複数のフレームワーク領域(FW)に存在する。特定の実施形態では、少なくとも1つのそのような体細胞超変異は軽鎖の1つまたは複数の相補性(complementarity)決定領域(CDR)に存在する。特定の実施形態では、少なくとも1つのそのような体細胞超変異は軽鎖の1つもしくは複数のFWおよび/または1つもしくは複数のCDRに存在する。種々の実施形態では、フレームワーク領域は、フレームワーク1(FW1)、フレームワーク2(FW2)、フレームワーク3(FW3)、および/またはその組合せから選択される。種々の実施形態では、CDRは、CDR1、CDR2、CDR3、および/またはその組合せから選択される。
【0040】
一実施形態では、重鎖は1つもしくは複数のFWまたは1つもしくは複数のCDRに少なくとも1つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも1つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも2つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも3つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも4つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも5つまたは5つ超の変異を含み、特定の実施形態では、重鎖は2つのFWに少なくとも5つまたは5つ超の変異を含み、特定の実施形態では、重鎖は1つのFWおよび1つのCDRに少なくとも5つまたは5つ超の変異を含む。
【0041】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約9%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも9%がFW1に存在する1つの変異を含む。一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約25%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも19%がCDR1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも5%がCDR1に存在する2つの変異を有する。
【0042】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約20%がFW2に存在する少なくとも1つまたは3つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも17%がFW2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がFW2に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がFW2に存在する3つの変異を有する。
【0043】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約10%がCDR2に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも10%がCDR2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がCDR2に存在する2つの変異を有する。
【0044】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約29%がFW3に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも21%がFW3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも5%がFW3に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも2%がFW3に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも2%がFW3に存在する4つの変異を有する。
【0045】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約37%がCDR3に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも27%がCDR3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも8%がCDR3に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がCDR3に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がCDR3に存在する4つの変異を有する。
【0046】
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来する軽鎖を含み、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約9%がFW1に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約25%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約20%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約10%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約29%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1−39/Jκ5由来の軽鎖の約37%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
【0047】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約35%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも25%がFW1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも9%がFW1に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも1%がFW1に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも1%がFW1に存在する5つ超の変異を有する。
【0048】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約92%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも92%がCDR1に存在する少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも26%がCDR1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも44%がCDR1に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも19%がCDR1に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも3%がCDR1に存在する4つの変異を有する。
【0049】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約66%がFW2に存在する少なくとも1つまたは3つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも66%がFW2に存在する少なくとも1つ、少なくとも2つまたは少なくとも3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも35%がFW2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも23%がFW2に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも8%がFW2に存在する3つの変異を有する。
【0050】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約70%がCDR2に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも70%がCDR2に存在する少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの変異を有し、一実施形態では、少なくとも34%がCDR2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも20%がCDR2に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも12%がCDR2に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも5%がCDR2に存在する4つの変異を有する。
【0051】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約91%がFW3に存在する少なくとも1つまたは5つまでまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも91%がFW3に存在する少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは少なくとも5つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも19%がFW3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも33%がFW3に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも22%がFW3に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも11%がFW3に存在する4つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも7%がFW3に存在する5つまたはそれ超の変異を有する。
【0052】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約63%がCDR3に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも63%がCDR3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも54%がCDR3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも9%がCDR3に存在する2つの変異を有する。
【0053】
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ1−39/Jκ5再構成に由来する軽鎖を含み、重鎖の少なくとも35%がFW1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約92%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約66%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約70%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約91%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約63%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
【0054】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、軽鎖遺伝子は少なくとも1つまたは2つ以下の体細胞超変異を有し、一実施形態では、軽鎖遺伝子は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれ超の体細胞超変異を有する。特定の実施形態では、変異は、軽鎖の1つまたは複数のフレームワーク領域に存在する。特定の実施形態では、変異は、軽鎖の1つまたは複数のCDR領域に存在する。特定の実施形態では、変異は、軽鎖の1つまたは複数のフレームワーク領域および/または1つまたは複数のCDR領域に存在する。種々の実施形態では、フレームワーク領域は、フレームワーク1(FW1)、フレームワーク2(FW2)、フレームワーク3(FW3)、および/またはその組合せから選択される。
【0055】
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約10%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも10%がFW1に1つの変異を有する。
【0056】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約53%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも27%がCDR1に1つまたは複数の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の約54%がCDR1に存在する1つまたは2つの変異を有する。
【0057】
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約6%がFW2に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも6%がFW2に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも3%がFW2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも3%がFW2に存在する2つの変異を有する。
【0058】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の少なくとも約3%がCDR2に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも3%がCDR2に1つの変異を有する。
【0059】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約17%またはそれ超がFW3に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも20%がFW3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも17%がFW3に存在する2つの変異を有する。
【0060】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の少なくとも43%がCDR3に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも43%がCDR3に1つの変異を有する。
【0061】
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来する軽鎖を含み、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約10%が少なくとも存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約53%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約6%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約3%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約37%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3−20/Jκ1由来の軽鎖の約43%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
【0062】
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約43%がFW1に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも41%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の約41%がFW1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の約2%がFW1に存在する2つの変異を有する。
【0063】
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約92%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも43%がCDR1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも25%がCDR1に存在する少なくとも2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも15%がCDR1に存在する少なくとも3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも10%がCDR1に存在する4つまたはそれ超の変異を有する。
【0064】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約46%がFW2に存在する少なくとも1つまたは3つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも34%がFW2に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも10%がFW2に存在する2つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも2%がFW2に存在する3つまたはそれ超の変異を有する。
【0065】
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約84%がCDR2に存在する少なくとも1つまたは5つまでまたは5つ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも39%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも18%がCDR2に存在する2つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも21%がCDR2に存在する3つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも3%がCDR2に存在する4つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも2%がCDR2に存在する5つまたはそれ超の変異を有する。
【0066】
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約92%がFW3に存在する少なくとも1つまたは5つまでまたは5つ超の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも21%がFW3に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも20%がFW3に存在する少なくとも2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも13%がFW3に存在する少なくとも3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも20%がFW3に少なくとも4つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも18%がFW3に少なくとも5つの変異を有する。
【0067】
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約7%がCDR3に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の約7%がCDR3に1つの変異を有する。
【0068】
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ3−20/Jκ1再構成に由来する軽鎖を含み、重鎖の約43%がFW1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約92%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約46%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約84%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約92%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約7%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
【0069】
一態様では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列から免疫グロブリン軽鎖を発現するマウスであって、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列がマウスの生殖系列に存在し、免疫グロブリン軽鎖がヒト可変配列を含むマウスが提供される。一実施形態では、マウスの生殖系列は、再構成された軽鎖配列を含むマウスのB細胞の全てに存在する全ての非代替軽鎖配列と同じVセグメントおよび同じJセグメントに由来する再構成された免疫グロブリン軽鎖配列を含む。
【0070】
一実施形態では、マウスの生殖系列は、機能的な再構成されていない免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントを欠く。一実施形態では、マウスの生殖系列は、機能的な再構成されていない免疫グロブリン軽鎖J遺伝子セグメントを欠く。
【0071】
一実施形態では、マウスの生殖系列は、1つ以下、2つ以下または3つ以下の再構成された(V/J)軽鎖配列を含む。
【0072】
一実施形態では、再構成されたV/J配列はκ軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、κ軽鎖配列はヒトκ軽鎖配列である。特定の実施形態では、κ軽鎖配列は、ヒトVκ1−39/J配列、ヒトVκ3−20/J配列、およびこれらの組合せから選択される。特定の実施形態では、κ軽鎖配列はヒトVκ1−39/Jκ5配列である。特定の実施形態では、κ軽鎖配列はヒトVκ3−20/Jκ1配列である。
【0073】
一実施形態では、マウスは、その生殖系列内に、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列に対して5’側のマウスκイントロンエンハンサー、マウスκ3’エンハンサー、およびこれらの組合せから選択される配列をさらに含む。
【0074】
一実施形態では、マウスは、再構成されていないヒトV
H遺伝子セグメント、再構成されていないヒトD
H遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ
H遺伝子セグメントを含み、前記V
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントは、再構成して重鎖定常遺伝子配列に作動可能に連結した免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列を形成することができる。一実施形態では、マウスは、複数のヒトV
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、内因性マウスV
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントをヒトV
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントに置き換えている。特定の実施形態では、マウスは、機能的なマウスV
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全ての、機能的なヒトV
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てでの置き換えを含む。
【0075】
一実施形態では、マウスは、マウス定常配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、ヒト定常配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する。
【0076】
一実施形態では、マウスは、C
H1配列、ヒンジ配列、C
H2配列、C
H3配列、およびこれらの組合せから選択されるマウス配列を含む免疫グロブリン重鎖を発現する。
【0077】
一実施形態では、マウスは、C
H1配列、ヒンジ配列、C
H2配列、C
H3配列、およびこれらの組合せから選択されるヒト配列を含む免疫グロブリン重鎖を発現する。
【0078】
一実施形態では、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列は、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にある。特定の実施形態では、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖遺伝子座において、マウス軽鎖V配列およびJ配列の全てまたは実質的に全てをマウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列に置き換えている。
【0079】
一態様では、単一のヒトV遺伝子セグメントおよび単一のヒトJ遺伝子セグメントから生成される再構成された軽鎖遺伝子を含む非代替軽鎖配列を含む各B細胞によって特徴付けられるB細胞集団を含むマウスであって、マウスの生殖系列内の軽鎖可変配列のみが単一のヒトVセグメントおよび単一のヒトJセグメントから生成される再構成された配列であり、再構成された軽鎖遺伝子を含む各B細胞はコグネイトヒト重鎖可変ドメインをコードする遺伝子をさらに含み、再構成された軽鎖遺伝子は少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの体細胞超変異を含むマウスが提供される。
【0080】
一部の実施形態では、成熟B細胞集団が、各成熟B細胞が表面上に非代替軽鎖配列を含み、その配列が2つのヒトV
L遺伝子セグメントのうちの1つおよび5つ以下のヒトJ
L遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する再構成された軽鎖遺伝子を含むという点で特徴付けられるマウスであって、マウスの生殖系列内の軽鎖可変配列(V
LJ
L配列)のみが2つのヒトV
L遺伝子セグメントのうちの1つおよび5つ以下のヒトJ
L遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する再構成された配列であり、再構成された軽鎖遺伝子を含む各B細胞がコグネイトヒト重鎖可変ドメインをコードする遺伝子をさらに含み、再構成された軽鎖遺伝子が少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成された軽鎖遺伝子は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの体細胞超変異を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスは目的の抗原を用いて免疫されており、一部の実施形態では、成熟B細胞集団は目的の抗原に結合するB細胞が富化されている。
【0081】
一部の実施形態では、成熟B細胞集団が、各成熟B細胞が表面上に非代替軽鎖配列を含み、その配列が2つのヒトV
L遺伝子セグメントのうちの1つおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ
L遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する再構成された軽鎖遺伝子を含という点で特徴付けられるマウスであって、V
L遺伝子セグメントが、同一ではない2つのV
L遺伝子セグメントから本質的になり、V
L遺伝子座が、2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ
L遺伝子セグメントを含み、再構成された軽鎖遺伝子を含む各B細胞が、コグネイトヒト重鎖可変ドメインをコードする遺伝子をさらに含み、再構成された軽鎖遺伝子が、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成された軽鎖遺伝子は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの体細胞超変異を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスは目的の抗原を用いて免疫されており、一部の実施形態では、成熟B細胞集団は目的の抗原に結合するB細胞が富化されている。
【0082】
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する多能性細胞、人工多能性細胞または全能性細胞が提供される。特定の実施形態では、細胞はマウス胚性幹(ES)細胞である。
【0083】
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する組織が提供される。一実施形態では、組織は、本明細書に記載のマウスの脾臓、リンパ節または骨髄に由来する。
【0084】
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する核が提供される。一実施形態では、核は、B細胞ではない二倍体細胞に由来する。
【0085】
一態様では、本明細書に記載のマウスから単離されたマウス細胞が提供される。一実施形態では、細胞はES細胞である。一実施形態では、細胞はリンパ球である。一実施形態では、リンパ球はB細胞である。一実施形態では、B細胞は、ヒト遺伝子セグメントに由来する可変ドメインを含むキメラ重鎖、および再構成されたヒトVκ1−39/J配列、再構成されたヒトVκ3−20/J配列、またはこれらの組合せに由来する軽鎖を発現し、重鎖可変ドメインはマウス定常領域と融合しており、軽鎖可変ドメインはマウスまたはヒト定常領域と融合している。
【0086】
一態様では、本明細書に記載のマウスのB細胞を用いて作製されたハイブリドーマが提供される。特定の実施形態では、B細胞は目的のエピトープを含む免疫原を用いて免疫した本明細書に記載のマウス由来のものであり、B細胞は目的のエピトープに結合する結合タンパク質を発現し、結合タンパク質は体細胞変異したヒトV
HドメインおよびマウスC
Hを有し、再構成されたヒトVκ1−39Jκ5または再構成されたヒトVκ3−20Jκ1に由来するヒトV
LドメインおよびマウスC
Lを有する。
【0087】
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来するドナーES細胞を含むマウス胚が提供される。
【0088】
一態様では、ベクターの5’および3’マウス相同性アームの配列に関して、転写方向に5’から3’へ、5’マウス相同性アーム、ヒトまたはマウス免疫グロブリンプロモーター、ヒトまたはマウスリーダー配列、および再構成されたヒトVκ1−39Jκ5または再構成されたヒトVκ3−20Jκ1から選択されるヒトV
L領域、および3’マウス相同性アームを含むターゲティングベクターが提供される。一実施形態では、5’および3’相同性アームにより、マウスCκ遺伝子に対して5’側の近位に存在するエンハンサー配列に関して5’側の配列にベクターがターゲティングされる。一実施形態では、プロモーターは、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントプロモーターである。特定の実施形態では、プロモーターはヒトVκ3−15プロモーターである。一実施形態では、リーダー配列はマウスリーダー配列である。特定の実施形態では、マウスリーダー配列はマウスVκ3−7リーダー配列である。
【0089】
一態様では、上記の通りであるが、5’マウス相同性アームの代わりに、ヒトまたはマウスプロモーターの5’側に部位特異的リコンビナーゼ認識部位(SRRS)が隣接し、3’マウス相同性アームの代わりに、ヒトV
L領域の3’側にSRRSが隣接するターゲティングベクターが提供される。
【0090】
一態様では、リバースキメラ抗体が本明細書に記載のマウスから作製され、リバースキメラ抗体は、ヒトV
LおよびマウスC
Lを含む軽鎖、およびヒトV
HおよびマウスC
Hを含む重鎖を含む。
【0091】
一態様では、抗体を作製するための方法であって、単一細胞において、(a)ヒトC
H遺伝子配列と融合した、本明細書に記載の免疫したマウスの第1のV
H遺伝子配列、(b)ヒトC
L遺伝子配列と融合した、本明細書に記載の免疫したマウスのV
L遺伝子配列を発現させるステップ、および、(c)細胞を、完全ヒト抗体が発現するのに十分な条件下で維持し、抗体を単離するステップを含む方法が提供される。一実施形態では、細胞は、ヒトC
H遺伝子配列と融合した、本明細書に記載の第2の免疫したマウスの第2のV
H遺伝子配列を含み、第1のV
H遺伝子配列は第1のエピトープを認識するV
Hドメインをコードし、第2のV
H遺伝子配列は第2のエピトープを認識するV
Hドメインをコードし、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではない。
【0092】
一態様では、エピトープ結合タンパク質を作製するための方法であって、本明細書に記載のマウスを、目的のエピトープを含む免疫原に曝露するステップ、マウスを、マウスが目的のエピトープに特異的に結合する免疫グロブリン分子を生成するのに十分な条件下で維持するステップ、および目的のエピトープに特異的に結合する免疫グロブリン分子を単離するステップを含み、エピトープ結合タンパク質が、マウスC
Lおよび再構成されたヒトVκ1−39Jκ5または再構成されたヒトVκ3−20Jκ1由来のヒトV
Lを含む軽鎖と結合した体細胞変異したヒトV
HおよびマウスC
Hを含む重鎖を含む方法が提供される。
【0093】
一態様では、第1のエピトープを認識するエピトープ結合タンパク質を発現する細胞であって、(a)ヒトヌクレオチド配列であって、ヒト免疫グロブリン軽鎖定常ドメインcDNA配列(例えば、ヒトκ定常ドメインDNA配列)と(直接またはリンカーを通じて)融合しており、再構成されたヒトVκ1−39Jκ5または再構成されたヒトVκ3−20Jκ1に由来するヒトV
Lドメインをコードする、ヒトヌクレオチド配列;および(b)第1のヒトV
Hヌクレオチド配列であって、ヒト免疫グロブリン重鎖定常ドメインcDNA配列と(直接またはリンカーを通じて)融合しており、第1のヒトV
Hヌクレオチド配列に由来するヒトV
Hドメインをコードする、第1のヒトV
Hヌクレオチド配列、を含む細胞が提供される。一実施形態では、エピトープ結合タンパク質は、第1のエピトープに、10
−6M未満、10
−8M未満、10
−9M未満、10
−10M未満、10
−11M未満または10
−12M未満の解離定数で結合する。
【0094】
一実施形態では、細胞は、第2のヒトV
Hドメインをコードする第2のヒトヌクレオチド配列を含み、第2のヒト配列は、ヒト免疫グロブリン重鎖定常ドメインcDNA配列と融合しており(直接またはリンカーを通じて)、第2のヒトV
Hドメインは第1のエピトープを特異的には認識せず(例えば、例えば、10
−6M、10
−5M、10
−4Mまたはそれ超の解離定数を示す)、エピトープ結合タンパク質は第1のエピトープおよび第2のエピトープを認識し、第1の免疫グロブリン重鎖および第2の免疫グロブリン重鎖はそれぞれ(a)の同一の軽鎖と結合している。
【0095】
一実施形態では、第2のV
Hドメインは、第2のエピトープに、10
−6M未満、10
−7M未満、10
−8M未満、10
−9M未満、10
−10M未満、10
−11M未満または10
−12M未満の解離定数で結合する。
【0096】
一実施形態では、エピトープ結合タンパク質はヒトVκ1−39Jκ5またはヒトVκ3−20Jκ1から選択される再構成されたヒトV
L領域に由来する同一の軽鎖とそれぞれ結合した第1の免疫グロブリン重鎖および第2の免疫グロブリン重鎖を含み、第1の免疫グロブリン重鎖は第1のエピトープに、ナノモル濃度からピコモル濃度の範囲の解離定数で結合し、第2の免疫グロブリン重鎖は第2のエピトープに、ナノモル濃度からピコモル濃度の範囲の解離定数で結合し、第1のエピトープおよび第2のエピトープは同一ではなく、第1の免疫グロブリン重鎖は第2のエピトープに結合しないまたは第2のエピトープにマイクロモル濃度の範囲よりも弱い(例えば、ミリモル濃度範囲の)解離定数で結合し、第2の免疫グロブリン重鎖は第1のエピトープに結合しないまたは第1のエピトープにマイクロモル濃度の範囲よりも弱い(例えば、ミリモル濃度範囲の)解離定数で結合し、第1の免疫グロブリン重鎖のV
L、V
Hのうちの1つまたは複数、および第2の免疫グロブリン重鎖のV
Hが体細胞変異したものである。
【0097】
一実施形態では、第1の免疫グロブリン重鎖はプロテインA結合残基を含み、第2の免疫グロブリン重鎖はプロテインA結合残基を欠く。
【0098】
一実施形態では、細胞は、CHO、COS、293、HeLa、およびウイルス核酸配列を発現する網膜細胞(例えば、PERC.6(商標)細胞)から選択される。
【0099】
一態様では、ヒトV
Hおよびマウス重鎖定常ドメイン、ヒトV
Lおよびマウス軽鎖定常ドメインを含むリバースキメラ抗体であって、本明細書に記載のマウスを、エピトープを含む免疫原を用いて免疫するステップを含むプロセスによって作製され、また、マウスを免疫した免疫原のエピトープに特異的に結合するリバースキメラ抗体が提供される。一実施形態では、V
Lドメインは体細胞変異したものである。一実施形態では、V
Hドメインは体細胞変異したものである。一実施形態では、V
LドメインとV
Hドメインはどちらも体細胞変異したものである。一実施形態では、V
LはマウスCκドメインに連結している。
【0100】
一態様では、マウスであって、内因性マウス重鎖遺伝子座における全てまたは実質的に全てのマウスV
H遺伝子セグメントのヒトV
H遺伝子セグメントでの置き換え;全てのマウス軽鎖遺伝子セグメントの、再構成されたVκ1−39/Jおよび再構成されたVκ3−20/Jまたはこれらの組合せから選択される1つ以下または2つの再構成されたヒト軽鎖V
L/J
L配列での置き換えを含み、ヒト重鎖可変遺伝子セグメントがマウス定常遺伝子に連結しており、再構成されたヒト軽鎖配列がヒトまたはマウス定常遺伝子に連結しているマウスが提供される。
【0101】
一部の実施形態では、内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンV
H遺伝子セグメントをえるヒト免疫グロブリンV
H遺伝子セグメント;全てのマウス免疫グロブリン軽鎖遺伝子セグメントを置き換える2つ以下の再構成されていないヒト免疫グロブリンV
L遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)の再構成されていないヒト免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントまたは5つのヒト免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントを含むマウスであって、ヒト免疫グロブリンV
H遺伝子セグメントがマウス免疫グロブリン定数遺伝子に連結しており、再構成されていないヒト免疫グロブリンV
L遺伝子セグメントおよびヒト免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントがヒトまたは非ヒト免疫グロブリン定数遺伝子に連結しているマウスが提供される。一部の実施形態では、非ヒト定数遺伝子はマウス免疫グロブリン定数遺伝子である。一部の実施形態では、非ヒト免疫グロブリン定数遺伝子はラット免疫グロブリン定数遺伝子である。
【0102】
一態様では、マウスES細胞は、全てまたは実質的に全てのマウス重鎖可変遺伝子セグメントのヒト重鎖可変遺伝子セグメントでの置き換え、および1つ以下または2つの再構成されたヒト軽鎖V
L/J
L配列を含み、ヒト重鎖可変遺伝子セグメントはマウス免疫グロブリン重鎖定常遺伝子に連結しており、再構成されたヒト軽鎖V
L/J
L配列はマウスまたはヒト免疫グロブリン軽鎖定常遺伝子に連結している。特定の実施形態では、軽鎖定常遺伝子はマウス定常遺伝子である。
【0103】
一部の実施形態では、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンV
H遺伝子セグメントの、ヒト免疫グロブリンV
H遺伝子セグメントおよび2つ以下の再構成されていないヒト免疫グロブリンV
L遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)の再構成されていないヒト免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントでの置き換えを含むマウスES細胞であって、ヒト免疫グロブリンV
H遺伝子セグメントがマウス免疫グロブリン重鎖定常遺伝子に連結しており、再構成されていないヒト免疫グロブリンV
L遺伝子セグメントおよびヒト免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントが非ヒトまたはヒト免疫グロブリン軽鎖定常遺伝子に連結しているマウスES細胞が提供される。一部のある特定の実施形態では、非ヒト免疫グロブリン軽鎖定常遺伝子はマウス免疫グロブリン定数遺伝子である。一部のある特定の実施形態では、マウスは、5つの再構成されていない免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントを含む。
【0104】
一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、少なくとも1つ、一部の実施形態では全てのマウスV
L遺伝子セグメントが1つのヒトV
L遺伝子セグメントまたは2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントで置き換えられているという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、マウスのヒトV
L遺伝子セグメントは、抗体の免疫グロブリンV
Lドメインをコードするように2つまたはそれ超のヒトJ
L遺伝子セグメントのうちの1つへと再構成することが可能である。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスの軽鎖遺伝子座のヒトV
L遺伝子セグメント(複数可)は、2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ
L遺伝子セグメントに作動可能に連結している。
【0105】
一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性V
L遺伝子セグメントをコードする再構成前のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性J
L遺伝子セグメントをコードする再構成前のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性V
LおよびJ
L遺伝子セグメントをコードする再構成前のヌクレオチドを含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
【0106】
一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性V
L遺伝子セグメントをコードする再構成後のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性J
L遺伝子セグメントをコードする再構成後のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性V
LおよびJ
L遺伝子セグメントをコードする再構成後のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
【0107】
一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成前の2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ
L遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成前の2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントおよび5つのヒトJ
L遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
【0108】
一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントおよび5つまたはそれ未満(例えば、5つ、4つ、3つ、2つまたは1つ)のヒトJ
L遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の2つ以下のヒトV
L遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJ
L遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
【0109】
一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の1つのヒトV
L遺伝子セグメントおよび5つまたはそれ未満(例えば、5つ、4つ、3つ、2つまたは1つ)のヒトJ
L遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の1つのヒトV
L遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJ
L遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
【0110】
種々の実施形態では、ヒトV
L遺伝子セグメントおよびヒトJ
L遺伝子セグメントはヒトVκ遺伝子セグメントおよびヒトJκ遺伝子セグメントである。種々の実施形態では、ヒトVκセグメントは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3−20遺伝子セグメントから選択される。一部の実施形態では、ヒトVκセグメントはヒトVκ1−39およびヒトVκ3−20である。一部の実施形態では、ヒトJκセグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択される。一部の実施形態では、ヒトJκ遺伝子セグメントはヒトJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、およびJκ5である。
【0111】
一部の実施形態では、構造が
図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成前の
図1、
図2、
図3または
図9の構造の軽鎖遺伝子座と実質的に同じ構造を含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が再構成前の
図1、
図2、
図3または
図9の構造と同一である軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
【0112】
一態様では、本明細書に記載のマウスにより作製される抗原結合タンパク質が提供される。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、マウス定常領域と融合したヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、およびVκ1−39遺伝子セグメントまたはVκ3−20遺伝子セグメントに由来するヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、当該軽鎖定常領域はマウス定常領域である。
【0113】
一態様では、本明細書に記載のマウス由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子配列から生じる完全ヒト抗原結合タンパク質であって、本明細書に記載のマウスの配列に由来するヒト可変領域を含む完全ヒト重鎖、およびVκ1−39またはVκ3−20を含む完全ヒト軽鎖を含む抗原結合タンパク質が提供される。一実施形態では、軽鎖可変領域は、1つ〜5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、軽鎖可変領域は、マウスのB細胞において重鎖可変領域と対合させているコグネイト軽鎖可変領域である。
【0114】
一実施形態では、完全ヒト抗原結合タンパク質は第1の重鎖および第2の重鎖を含み、第1の重鎖および第2の重鎖は、それぞれ独立に、本明細書に記載のマウスに由来する同一でない可変領域を含み、第1の重鎖および第2の重鎖のそれぞれがVκ1−39遺伝子セグメントまたはVκ3−20遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖と結合して宿主細胞から発現する。一実施形態では、第1の重鎖は第1の抗原の第1のエピトープに特異的に結合する第1の重鎖可変領域を含み、第2の重鎖は第2の抗原の第2のエピトープに特異的に結合する第2の重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は異なる。特定の実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は同じであり、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではなく、特定の実施形態では、第1のエピトープに結合タンパク質の第1の分子が結合することにより第2のエピトープへの結合タンパク質の第2の分子の結合は遮断されない。
【0115】
一態様では、本明細書に記載のマウスのヒト免疫グロブリン配列に由来する完全ヒト結合タンパク質は、第1の免疫グロブリン重鎖および第2の免疫グロブリン重鎖を含み、第1の免疫グロブリン重鎖は第2の免疫グロブリン重鎖の可変領域と同一ではない第1の可変領域を含み、また、第1の免疫グロブリン重鎖は野生型プロテインA結合決定基を含み、第2の重鎖は野生型プロテインA結合決定基を欠く。一実施形態では、第1の免疫グロブリン重鎖は単離条件下でプロテインAに結合し、第2の免疫グロブリン重鎖はプロテインAに結合しないまたは第1の免疫グロブリン重鎖が単離条件下でプロテインAに結合するよりも少なくとも10分の1、100分の1または1000分の1の弱さでプロテインAに結合する。特定の実施形態では、第1の重鎖および第2の重鎖はIgG1アイソタイプであり、第2の重鎖は95R(EU435R)、96F(EU436F)、およびこれらの組合せから選択される改変を含み、第1の重鎖はそのような改変を欠く。
【0116】
一態様では、二重特異性抗原結合タンパク質を作製するための方法であって、本明細書に記載の第1のマウスを第1のエピトープを含む目的の第1の抗原に曝露するステップ、本明細書に記載の第2のマウスを第2のエピトープを含む目的の第2の抗原に曝露するステップ、第1および第2のマウスにそれぞれ目的の抗原に対する免疫応答を開始させるステップ、第1のマウスにおいて目的の第1の抗原の第1のエピトープに結合する第1のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、第2のマウスにおいて目的の第2の抗原の第2のエピトープに結合する第2のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、目的の第1の抗原の第1のエピトープに結合する第1の重鎖をコードする第1の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、目的の第2の抗原の第2のエピトープに結合する第2の重鎖をコードする第2の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、第1の重鎖および第2の重鎖をヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来する単一の完全ヒト軽鎖を発現する細胞において発現させて二重特異性抗原結合タンパク質を形成するステップ、および二重特異性抗原結合タンパク質を単離するステップを含む方法が提供される。
【0117】
一実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は同一ではない。
【0118】
一実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は同一であり、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではない。一実施形態では、第1の重鎖可変領域が第1のエピトープに結合することにより第2の重鎖可変領域の第2のエピトープへの結合は遮断されない。
【0119】
一実施形態では、ヒト軽鎖は、第1の重鎖と対合させている場合には第1の抗原の第1のエピトープに特異的に結合し、第2の重鎖と対合させている場合には第2の抗原の第2のエピトープに特異的に結合する。
【0120】
一実施形態では、第1の抗原は可溶性抗原および細胞表面抗原(例えば、腫瘍抗原)から選択され、第2の抗原は細胞表面受容体を含む。特定の実施形態では、細胞表面受容体は免疫グロブリン受容体である。特定の実施形態では、免疫グロブリン受容体はFc受容体である。一実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は同じ細胞表面受容体であり、第1の重鎖が第1のエピトープに結合することにより第2の重鎖の第2のエピトープへの結合は遮断されない。
【0121】
一実施形態では、軽鎖の軽鎖可変ドメインは2つ〜5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、軽鎖可変ドメインは、第1の免疫したマウスまたは第2の免疫したマウスのB細胞において第1の重鎖可変ドメインまたは第2の重鎖可変ドメインのいずれかと共に発現する体細胞変異したコグネイト軽鎖である。一実施形態では、細胞の軽鎖は生殖系列配列を含む。
【0122】
一実施形態では、第1の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有し、第2の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含まない。
【0123】
一態様では、第1および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を調製する方法であって、(a)第1の抗原に対して特異的である第1のヒト重鎖可変(V
H)ドメインをコードする第1の核酸配列を同定するステップ;(b)第2の抗原に対して特異的である第2のヒト重鎖可変(V
H)ドメインをコードする第2の核酸配列を同定するステップ;(c)(a)のV
H領域と対合させている場合には第1の抗原に特異的に結合し、(b)のV
H領域と対合させている場合には第2の抗原に特異的に結合するヒト軽鎖可変(V
L)領域をコードする第3の核酸配列をもたらすステップ;(d)第1の核酸配列、第2の核酸配列、および第3の核酸配列を含む宿主細胞を培養して、第1のヒトV
H領域および第2のヒトV
H領域およびヒトV
L領域を発現させて二重特異性抗体を形成するステップ;ならびに(d)前記二重特異性抗体を回収するステップを含む方法が提供される。種々の態様では、第1および第2の抗原は互いに異なる。種々の態様では、第1の核酸配列および第2の核酸配列は、マウスの生殖系列内にある再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV
L領域を発現する免疫したマウスから単離される。
【0124】
一実施形態では、ヒトV
L領域は、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト軽鎖配列に由来する。特定の実施形態では、再構成されたヒト軽鎖配列は生殖系列配列である(すなわち、V遺伝子セグメント配列内に体細胞超変異を含まない)。
【0125】
一実施形態では、第3の核酸配列は、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV
L領域を発現するマウスから単離される。一実施形態では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列はヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列はヒトVκ1−39遺伝子セグメントを含む。一実施形態では、ヒト免疫グロブリンV
L領域は改変された内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。
【0126】
一実施形態では、第1および第2の抗原は1つの分子上に存在する。一実施形態では、第1および第2の抗原は異なる分子上に存在する。種々の実施形態では、第1または第2の核酸配列は、コードされる重鎖のプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含む。
【0127】
一実施形態では、第1の核酸配列または第2の核酸配列は、V
H1−2、V
H1−3、V
H1−8、V
H1−18、V
H1−24、V
H1−46、V
H1−58、V
H1−69、V
H2−5、V
H2−26、V
H2−70、V
H3−7、V
H3−9、V
H3−11、V
H3−13、V
H3−15、V
H3−20、V
H3−21、V
H3−23、V
H3−30、V
H3−33、V
H3−43、V
H3−48、V
H3−53、V
H3−64、V
H3−72、V
H3−73、V
H4−31、V
H4−34、V
H4−39、V
H4−59、V
H5−51、およびV
H6−1から選択されるヒト重鎖遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト重鎖可変領域配列を含む。特定の実施形態では、重鎖遺伝子セグメントはV
H2−5、V
H3−23またはV
H3−30である。
【0128】
一態様では、第1および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を調製する方法であって、(a)第1の抗原に対して特異的である第1のヒト重鎖可変(V
H)ドメインをコードする第1の核酸配列を同定するステップ;(b)第2の抗原に対して特異的である第2のヒト重鎖可変(V
H)ドメインをコードする第2の核酸配列を同定するステップ;(c)(a)のV
H領域と対合させている場合には第1の抗原に特異的に結合し、(b)のV
H領域と対合させている場合には第2の抗原に特異的に結合するヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変(V
L)領域をコードする第3の核酸配列をもたらすステップ;(d)第1の核酸配列、第2の核酸配列、および第3の核酸配列を含む宿主細胞を培養して、第1のヒトV
H領域および第2のヒトV
H領域およびヒトV
L領域を発現させて二重特異性抗体を形成するステップ;ならびに(d)前記二重特異性抗体を回収するステップを含む方法が提供される。種々の態様では、第1の抗原と第2の抗原は互いに異なる。種々の態様では、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来する再構成された免疫グロブリン配列由来のヒト免疫グロブリンV
L領域を発現する免疫したマウスから第1の核酸配列および第2の核酸配列を単離し、また、当該再構成されたヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはVκ3−30遺伝子セグメントはマウスの生殖系列内にある。
【0129】
一実施形態では、第3の核酸配列は生殖系列配列である(すなわち、V遺伝子セグメント配列内に体細胞超変異を含まない)。一実施形態では、第3の核酸配列は、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来するヒト免疫グロブリンV
L領域を発現するマウスから単離される。特定の実施形態では、第3の核酸配列は、相補性決定領域(CDR)および/またはフレームワーク領域(FWR)内に2つ〜5つの体細胞超変異を含む。一実施形態では、ヒト免疫グロブリンV
L領域は改変された内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。
【0130】
一実施形態では、第1および第2の抗原は1つの分子上に存在する。一実施形態では、第1および第2の抗原は異なる分子上に存在する。一実施形態では、第1または第2の核酸配列は、コードされる重鎖のプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含む。
【0131】
一実施形態では、第1の核酸配列または第2の核酸配列は、V
H1−2、V
H1−3、V
H1−8、V
H1−18、V
H1−24、V
H1−46、V
H1−58、V
H1−69、V
H2−5、V
H2−26、V
H2−70、V
H3−7、V
H3−9、V
H3−11、V
H3−13、V
H3−15、V
H3−20、V
H3−21、V
H3−23、V
H3−30、V
H3−33、V
H3−43、V
H3−48、V
H3−53、V
H3−64、V
H3−72、V
H3−73、V
H4−31、V
H4−34、V
H4−39、V
H4−59、V
H5−51、およびV
H6−1から選択されるヒト重鎖遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト重鎖可変領域配列を含む。特定の実施形態では、重鎖遺伝子セグメントはV
H2−5、V
H3−23またはV
H3−30である。
【0132】
一態様では、二重特異性抗体を作製するための方法であって、本明細書に記載のマウスを目的の抗原に曝露するステップ、マウスに目的の抗原に対する免疫応答を開始させるステップ、目的の抗原の第1のエピトープに結合する第1のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、目的の抗原の第2のエピトープに結合する第2のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、目的の抗原の第1のエピトープに結合する第1の重鎖をコードする第1の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、目的の抗原の第2のエピトープに結合する第2の重鎖をコードする第2の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、第1の重鎖および第2の重鎖をヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来する単一の完全ヒト軽鎖を発現する細胞において発現させて二重特異性抗体を形成するステップ、および二重特異性抗原結合タンパク質を単離するステップを含む方法が提供される。
【0133】
一実施形態では、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではない。一実施形態では、第1の重鎖可変領域が第1のエピトープに結合することにより第2の重鎖可変領域の第2のエピトープへの結合は遮断されない。一実施形態では、第1の重鎖および第2の重鎖は、第1のエピトープと第2のエピトープに同時に結合することができる。
【0134】
一実施形態では、二重特異性抗体は第1のエピトープと第2のエピトープに同時に結合する。一実施形態では、二重特異性抗体は第1のエピトープと第2のエピトープにそれぞれ独立に結合する。
【0135】
一実施形態では、二重特異性抗体の抗原に対する結合応答は第1の重鎖可変領域の抗原に対する結合応答の約2倍高い。一実施形態では、二重特異性抗体の抗原に対する結合応答は第2の重鎖可変領域の抗原に対する結合応答の約2倍高い。一実施形態では、二重特異性抗体の抗原に対する結合応答は第1の重鎖可変領域および/または第2の重鎖可変領域の抗原に対する結合応答とほぼ同じであるまたはほぼ等しい。
【0136】
一実施形態では、抗原は、可溶性抗原、細胞表面抗原(例えば、腫瘍抗原)および細胞表面受容体から選択される。特定の実施形態では、細胞表面受容体は免疫グロブリン受容体である。特定の実施形態では、免疫グロブリン受容体はFc受容体である。
【0137】
一実施形態では、軽鎖の軽鎖可変ドメインは2つ〜5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、軽鎖可変ドメインは、第1の重鎖可変ドメインまたは第2の重鎖可変ドメインのいずれかとともに、免疫したマウスのB細胞において発現する体細胞変異したコグネイト軽鎖である。
【0138】
一実施形態では、第1の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有し、第2の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含まない。
【0139】
種々の実施形態では、二重特異性抗体を作製するための方法は、二重特異性抗体の各重鎖可変領域との対合に共通の軽鎖を使用することにより増強される。種々の実施形態では、本明細書に記載の共通の軽鎖を使用することにより、元のコグネイト軽鎖を使用することと比較して、二重特異性を欠く不適切な種の免疫グロブリンの数が減少する。種々の実施形態では、共通の軽鎖を含む単一特異性抗体から二重特異性抗体の重鎖可変領域を同定する。種々の実施形態では、二重特異性抗体の重鎖可変領域は、ヒト重鎖とコグネイトである限定されたヒト軽鎖レパートリーまたは単一のヒト軽鎖を発現するように予め操作された(engineered)マウスB細胞内にin vivoで再構成されたヒト重鎖可変遺伝子セグメントを含み、目的の抗原での曝露に応答して、可能性のあるヒト軽鎖可変領域の1つまたは2つのうちの1つとコグネイトである複数のヒト重鎖可変領域を含有するキメラ抗体レパートリーを生じ、当該キメラ抗体が目的の抗原に特異的である。
【0140】
種々の態様では、二重特異性抗体を調製する方法であって、二重特異性抗体が、1)第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドであって、該第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが二量体を形成することを可能にする多量体形成ドメイン(例えば、免疫グロブリンFcドメイン)をそれぞれが含み、多量体形成ドメインにより第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの間の安定な相互作用が促進され、多量体形成ドメインのうちの一方がプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有し、他方の多量体形成ドメインが当該改変を欠く第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチド、2)第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのそれぞれの結合ドメインであって、各結合ドメインが可変重鎖および可変軽鎖を含み、第1のポリペプチドの可変軽鎖および第2のポリペプチドの可変軽鎖が共通のアミノ酸配列を有し、共通の配列がポリペプチドのそれぞれの元の軽鎖に対して少なくとも80%の、少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%および最も好ましくは100%の配列同一性を有する結合ドメインを含む方法が提供される。種々の実施形態では、可変軽鎖は、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来する。種々の実施形態では、可変軽鎖は再構成されたヒト軽鎖配列である。種々の実施形態では、可変軽鎖は本明細書に記載のマウスから単離される。
【0141】
種々の実施形態では、方法は、(i)第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、および共通の軽鎖をコードする核酸を含む宿主細胞を培養するステップであって、当該核酸を発現させるステップ;および(ii)二重特異性抗体を宿主細胞培養物から回収するステップを含み、一実施形態では、第1のポリペプチドをコードする核酸または第2のポリペプチドをコードする核酸はプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有する。一実施形態では、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、および共通の軽鎖をコードする核酸は単一のベクターまたは別々のベクターに存在する。一実施形態では、前述の段落に従って、宿主細胞を使用して二重特異性抗体を作製する。
【0142】
一態様では、二重特異性抗体を調製する方法であって、(a)本明細書に記載のマウスから単離された第1のヒト重鎖可変領域をコードする第1の核酸を選択するステップ;(b)本明細書に記載の同じまたは別のマウスから単離された第2のヒト重鎖可変領域をコードする第2の核酸を選択するステップ;(c)本明細書に記載のマウスから単離されたまたは本明細書に記載の再構成されたヒト軽鎖可変領域に由来するヒト軽鎖可変領域をコードする第3の核酸をもたらすステップ;(c)第1の核酸、第2の核酸および第3の核酸を宿主細胞に導入し、第1の核酸、第2の核酸および第3の核酸の発現が起こるように宿主細胞を培養するステップ;ならびに(d)形成された二重特異性抗体を細胞培養物から回収するステップを含む方法が提供される。
【0143】
一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域および第2のヒト重鎖可変領域は体細胞変異したものである。特定の実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域および第2のヒト重鎖可変領域は、それぞれ独立に、1−2、1−3、1−8、1−18、1−24、1−46、1−58、1−69、2−5、2−26、2−70、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−16、3−20、3−21、3−23、3−30、3−33、3−43、3−48、3−53、3−64、3−72、3−73、4−31、4−34、4−39、4−59、5−51、および6−1ヒトV
H遺伝子セグメントから選択される再構成されたヒトV
H遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域および第2のヒト重鎖可変領域は、それぞれ独立に、2−5、3−30および3−23から選択される再構成されたヒトV
H遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域はヒトV
H2−5遺伝子セグメントに由来し、第2のヒト重鎖可変領域はヒトV
H3−30遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域はヒトV
H3−30遺伝子セグメントに由来し、第2のヒト重鎖可変領域はヒトV
H3−23遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域はヒトV
H3−23遺伝子セグメントに由来し、第2のヒト重鎖可変領域はヒトV
H3−30遺伝子セグメントに由来する。
【0144】
一実施形態では、第1の核酸または第2の核酸をステップ(c)の前に、プロテインAに対する親和性が低下するように改変する。
【0145】
一実施形態では、第3の核酸は、本明細書に記載のマウスから単離される。一実施形態では、第3の核酸は2つ〜5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、第3の核酸は、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変領域をコードする。一実施形態では、第3の核酸は、ヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変領域をコードする。
【0146】
一実施形態では、第3の核酸は、再構成されたヒト軽鎖可変領域に由来する。一実施形態では、再構成されたヒト軽鎖可変領域は、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来する配列を含む。一実施形態では、再構成されたヒト軽鎖可変領域は、生殖系列ヒトVκ1−39配列を含む(すなわち、V遺伝子セグメント配列内に体細胞超変異を含まない)。一実施形態では、再構成されたヒト軽鎖可変領域は、生殖系列ヒトVκ3−20配列を含む。
【0147】
種々の実施形態では、生殖系列内に再構成ヒト軽鎖配列を欠く改変マウスに由来する可変ドメインを含む第1のヒト重鎖が組み入れられる二重特異性抗体を調製する方法であって、第1のヒト重鎖を、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来する再構成されたヒト軽鎖可変領域を含むコグネイトヒト軽鎖と対合させる方法が提供される。種々の実施形態では、第1のヒト重鎖とは特異性が異なる第2のヒト重鎖を本明細書に記載の免疫したマウスから同定する。2種の重鎖および共通の軽鎖をコードする核酸を、前述の段落に記載の通り、3つの鎖全ての発現が起こるように宿主細胞に導入し、二重特異性抗体を細胞培養物から回収する。
【0148】
一実施形態では、マウスを、第1のヒト重鎖可変ドメインを生成するために使用したものと同じ抗原を用いて免疫する。一実施形態では、マウスを、第1のヒト重鎖可変ドメインを生成するために使用したものとは異なる抗原を用いて免疫する。
【0149】
一態様では、二重特異性抗体をコードする核酸および当該核酸を含む宿主細胞を含めた、二重特異性抗体を作製するために単一のヒト軽鎖と対合させることができるヒト重鎖を選択する方法が提供される。
【0150】
一態様では、細胞培養物中の所望の二重特異性抗体の量を単一特異性抗体などの望ましくない産物を上回って増加させる方法であって、二重特異性抗体の重鎖の1つを、プロテインAに対する親和性が低下するように改変する方法が提供される。
【0151】
一態様では、単離された宿主細胞であって、(a)第1の抗原に結合する第1のヒト重鎖可変領域をコードする第1の核酸配列であって、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV
L領域を発現する、第1の抗原を用いて免疫したマウスから単離された第1の核酸配列;(b)第2の抗原に結合する第2のヒト重鎖可変領域をコードする第2の核酸配列であって、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV
L領域を発現する、第2の抗原を用いて免疫したマウスから単離された第2の核酸配列;(c)(a)の重鎖可変領域と対合させている場合には第1の抗原に特異的に結合し、(b)の重鎖可変領域と対合させている場合には第2の抗原に特異的に結合するヒト軽鎖可変領域をコードする第3の核酸配列を含む宿主細胞が提供される。
【0152】
種々の態様では、第1および第2の抗原は互いに異なる。種々の態様では、第1、第2および第3の核酸配列の発現により、第1および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体の形成がもたらされる。
【0153】
一実施形態では、ヒトV
L領域は、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト軽鎖配列に由来する。特定の実施形態では、再構成されたヒト軽鎖配列は生殖系列配列である(すなわち、可変ドメイン内に体細胞超変異を含まない)。一実施形態では、第3の核酸配列は再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV
L領域を発現するマウスから単離され、当該再構成されたヒト軽鎖配列はマウスの生殖系列に存在する。一実施形態では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列は、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントは、相補性決定領域(CDR)またはフレームワーク領域(FWR)内に少なくとも1つの体細胞超変異を含む。特定の実施形態では、第1、第2および第3の核酸配列は、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントに由来するヒト免疫グロブリンV
L領域を発現するマウスから単離され、当該再構成された免疫グロブリン軽鎖配列はマウスの生殖系列に存在する。
【0154】
種々の実施形態では、マウスは、再構成して免疫グロブリン軽鎖を形成することが可能な内因性軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含有しない。
【0155】
一実施形態では、ヒト免疫グロブリンV
L領域は改変された内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。一実施形態では、第1および第2の抗原は1つの分子上に存在する。一実施形態では、第1および第2の抗原は異なる分子上に存在する。一実施形態では、第1または第2の核酸配列は、コードされる重鎖のプロテインAに対する親和性を低下させる改変を含む。
【0156】
一実施形態では、第1または第2の核酸配列は、V
H1−2、V
H1−3、V
H1−8、V
H1−18、V
H1−24、V
H1−46、V
H1−58、V
H1−69、V
H2−5、V
H2−26、V
H2−70、V
H3−7、V
H3−9、V
H3−11、V
H3−13、V
H3−15、V
H3−20、V
H3−21、V
H3−23、V
H3−30、V
H3−33、V
H3−43、V
H3−48、V
H3−53、V
H3−64、V
H3−72、V
H3−73、V
H4−31、V
H4−34、V
H4−39、V
H4−59、V
H5−51、およびV
H6−1から選択されるヒト重鎖遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト重鎖可変領域配列を含む。特定の実施形態では、重鎖遺伝子セグメントはV
H2−5、V
H3−23またはV
H3−30である。
【0157】
一態様では、本発明に従って作製されたヒト重鎖可変ドメインを含む抗体または二重特異性抗体が提供される。別の態様では、完全ヒト抗体または完全ヒト二重特異性抗体を作製するための、本明細書に記載のマウスの使用が提供される。
【0158】
一態様では、本明細書に記載の遺伝子改変マウス、胚または細胞は、内因性調節または制御エレメント、例えば、マウスκイントロンエンハンサー、マウスκ3’エンハンサーまたはイントロンエンハンサーと3’エンハンサーの両方を保持するκ軽鎖遺伝子座を含み、調節または制御エレメントにより、κ軽鎖遺伝子座の発現された配列の体細胞変異および親和性成熟が容易になる。
【0159】
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたまたは再構成されていない免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する免疫グロブリン軽鎖を有することによって特徴付けられるB細胞集団を含むマウスであって、免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じκ:λ軽鎖比を示すマウスが提供される。
【0160】
一実施形態では、免疫グロブリン軽鎖は、1つ以下または2つ以下の再構成された免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する。特定の実施形態では、軽鎖は、1つ以下の再構成された免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、免疫グロブリン軽鎖は2つの再構成されていない免疫グロブリンV
L遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントのうちの1つから生成される。一実施形態では、免疫グロブリン軽鎖は2つの再構成されていない免疫グロブリンV
L遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つの免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメントから生成される。
【0161】
一態様では、1つ以下または2つ以下のヒトVκ/Jκ配列に由来する免疫グロブリン軽鎖を発現する本明細書に記載のマウスであって、全てまたは実質的に全ての内因性マウス重鎖可変領域遺伝子セグメントの、1つまたは複数のヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントでの置き換えを含み、また、(a)λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19
+B細胞の(b)κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19
+B細胞に対する比が約1〜約20であるマウスが提供される。
【0162】
一実施形態では、マウスはヒトVκ1−39Jκ5配列に由来する単一のκ軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19
+B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19
+B細胞に対する比は約1〜約20であり、一実施形態では、当該比は約1〜少なくとも約66であり、特定の実施形態では、当該比は約1〜66である。
【0163】
一実施形態では、マウスはヒトVκ3−20Jκ5配列に由来する単一のκ軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19
+B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19
+B細胞に対する比は約1〜約20であり、一実施形態では、当該比は約1〜約21である。特定の実施形態では、当該比は1〜20または1〜21である。
【0164】
一部の実施形態では、本発明は、配列が2つのヒトVκ遺伝子セグメントのうちの1つの、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJκ遺伝子セグメントとの再構成によって実現される配列と同一である免疫グロブリン軽鎖を発現するマウスを提供する。
【0165】
一部の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成により生成する免疫グロブリン軽鎖を発現するマウスであって、全てまたは実質的に全ての内因性免疫グロブリンV
H遺伝子セグメントの、1つまたは複数のヒト免疫グロブリンV
H遺伝子セグメント、1つまたは複数のD
H遺伝子セグメント、および1つまたは複数のJ
H遺伝子セグメントでの置き換えを含み、(a)λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中のB細胞の、(b)κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中のB細胞に対する比が約1〜約15であるマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成にはヒトVκ1−39遺伝子セグメントが含まれる。一部の実施形態では、再構成にはヒトVκ3−20遺伝子セグメントが含まれる。一部の実施形態では、内因性免疫グロブリンV
H遺伝子セグメントの置き換えは内因性免疫グロブリンV
H遺伝子座に存在する。一部の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントは内因性免疫グロブリンVκ遺伝子座に存在し、一部の実施形態では、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントを2つのヒトVκ遺伝子セグメントに置き換えている。一部の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントは内因性免疫グロブリンVκ遺伝子座に存在し、一部の実施形態では、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよびJκ遺伝子セグメントを2つのヒトVκ遺伝子セグメントに置き換えている。種々の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントは、2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントに作動可能に連結している。
【0166】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中の未成熟B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する未成熟B細胞に対する比は約1〜約13である。
【0167】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中の成熟B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する未成熟B細胞に対する比は約1〜約7である。
【0168】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約2.5×10
4個、3.0×10
4個、3.5×10
4個、4.0×10
4個、4.5×10
4個、5.0×10
4個、5.5×10
4個、6.0×10
4個、6.5×10
4個、7.0×10
4個、7.5×10
4個、8.0×10
4個、8.5×10
4個、9.0×10
4個、9.5×10
4個、1.0×10
5個または1.5×10
5個を含めた、細胞約2.5×10
4〜約1.5×10
5個の範囲内のプロB細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.88×10
4個のプロB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.42×10
4個のプロB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約9.16×10
4個のプロB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.19×10
5個のプロB細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的なプロB細胞は、CD19、CD43、c−kitおよび/またはその組合せの発現(例えば、CD19
+、CD43
+、c−kit
+)によって特徴付けられる。
【0169】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約1.0×10
6個、1.1×10
6個、1.2×10
6個、1.3×10
6個、1.4×10
6個、1.5×10
6個、1.6×10
6個、1.7×10
6個、1.8×10
6個、1.9×10
6個または2.0×10
6個を含めた、細胞約1×10
6〜約2×10
6個の範囲内のプレB細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.25×10
6個のプレB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.46×10
6個のプレB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.64×10
6個のプレB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.03×10
6個のプレB細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的なプレB細胞は、CD19、CD43、c−kitおよび/またはその組合せの発現(例えば、CD19
+、CD43
−、c−kit
−)によって特徴付けられる。
【0170】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約5.0×10
5個、5.1×10
5個、5.2×10
5個、5.3×10
5個、5.4×10
5個、5.5×10
5個、5.6×10
5個、5.7×10
5個、5.8×10
5個、5.9×10
5個、6.0×10
5個、6.1×10
5個、6.2×10
5個、6.3×10
5個、6.4×10
5個、6.5×10
5個、6.6×10
5個、6.7×10
5個、6.8×10
5個、6.9×10
5個または7.0×10
5個を含めた、細胞約5×10
5〜約7×10
5個の範囲内の未成熟B細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.33×10
5個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.80×10
5個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.92×10
5個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、マウスは、細胞約6.67×10
5個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的な未成熟B細胞は、IgM、B220および/またはその組合せの発現(例えば、IgM
+、B220
int)によって特徴付けられる。
【0171】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約3.0×10
4個、3.5×10
4個、4.0×10
4個、4.5×10
4個、5.0×10
4個、5.5×10
4個、6.0×10
4個、6.5×10
4個、7.0×10
4個、7.5×10
4個、8.0×10
4個、8.5×10
4個、9.0×10
4個、9.5×10
4個、1.0×10
5個または1.5×10
5個を含めた、細胞約3×10
4〜約1.5×10
5個の範囲内の成熟B細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.11×10
4個の成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.09×10
5個の成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.16×10
5個の成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.44×10
5個の成熟B細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的な成熟B細胞は、IgM、B220および/またはその組合せの発現(例えば、IgM
+、B220
hi)によって特徴付けられる。
【0172】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3−20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約1.0×10
6個、1.1×10
6個、1.2×10
6個、1.3×10
6個、1.4×10
6個、1.5×10
6個、1.6×10
6個、1.7×10
6個、1.8×10
6個、1.9×10
6個、2.0×10
6個、2.1×10
6個、2.2×10
6個、2.3×10
6個、2.4×10
6個、2.5×10
6個、2.6×10
6個、2.7×10
6個、2.8×10
6個、2.9×10
6個または2.0×10
6個を含めた、細胞約1×10
6〜約3×10
6個の範囲内の総B細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.59×10
6個の総B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.75×10
6個の総B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.13×10
6個の総B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.55×10
6個の総B細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的な総B細胞は、CD19、CD20および/またはその組合せの発現(例えば、CD19
+)によって特徴付けられる。
【0173】
一態様では、単一の再構成されたκ軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、機能的なλ軽鎖遺伝子座を含み、同じ単一の再構成されたκ軽鎖に由来するκ軽鎖を発現するIgκ
+細胞を含むB細胞集団を発現するマウスが提供される。一実施形態では、マウスにおけるIgκ
+Igλ
+B細胞のパーセントは野生型マウスにおけるものとほぼ同じである。特定の実施形態では、マウスにおけるIgκ
+Igλ
+B細胞のパーセントは約2〜約6パーセントである。特定の実施形態では、単一の再構成されたκ軽鎖がVκ1−39Jκ5配列に由来する場合のマウスにおけるIgκ
+Igλ
+B細胞のパーセントは約2〜約3であり、特定の実施形態では、当該パーセントは約2.6である。特定の実施形態では、単一の再構成されたκ軽鎖がVκ3−20Jκ1配列に由来する場合のマウスにおけるIgκ
+Igλ
+B細胞のパーセントは約4〜約8であり、特定の実施形態では、当該パーセントは約6である。
【0174】
一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、機能的な免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座を含み、約1〜約8であり、一部の実施形態では約1〜約5であるIgλ
+B細胞のIgκ
+B細胞に対する比を含む脾性B細胞集団を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列は、2つのヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する。一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列は、ヒト免疫グロブリンVκ1−39遺伝子セグメントおよびJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5、およびこれらの組合せから選択されるヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントの再構成によって生成する。一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列は、ヒト免疫グロブリンVκ3−20遺伝子セグメントおよびJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5、およびこれらの組合せから選択されるヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントの再構成によって生成する。
【0175】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約2.0×10
6個、2.5×10
6個、3.0×10
6個、3.5×10
6個、4.0×10
6個、4.5×10
6個、5.0×10
6個、5.5×10
6個、6.0×10
6個、6.5×10
6個または7.0×10
6個を含めた、細胞約2×10
6個〜約7×10
6個の範囲内のCD19
+脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.74×10
6個のCD19
+脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約4.30×10
6個のCD19
+脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.53×10
6個のCD19
+脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.18×10
6個のCD19
+脾性B細胞集団を含む。
【0176】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約1.0×10
6個、1.5×10
6個、2.0×10
6個、2.5×10
6個、3.0×10
6個、3.5×10
6個、4.0×10
6個を含めた、細胞約1×10
6〜約4×10
6個の範囲内のCD19
+、IgD
hi、IgM
lo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約1.30×10
6個のCD19
+、IgD
hi、IgM
lo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.13×10
6個のCD19
+、IgD
hi、IgM
lo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.15×10
6個のCD19
+、IgD
hi、IgM
lo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.93×10
6個のCD19
+、IgD
hi、IgM
lo脾性B細胞集団を含む。
【0177】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約9.0×10
5個、9.25×10
5個、9.5×10
5個、9.75×10
5個、1.0×10
6個、1.25×10
6個、1.50×10
6個、1.75×10
6個、2.0×10
6個を含めた、細胞約9×10
5個〜約2×10
6個の範囲内のCD19
+、IgD
lo、IgM
hi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約9.52×10
5個のCD19
+、IgD
lo、IgM
hi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.23×10
6個のCD19
+、IgD
lo、IgM
hi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.40×10
6個のCD19
+、IgD
lo、IgM
hi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.42×10
6個のCD19
+、IgD
lo、IgM
hi脾性B細胞集団を含む。
【0178】
一部の実施形態では、遺伝子改変マウスであって、2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)の再構成されていないヒトJκ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、免疫グロブリンκ軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じ移行(例えば、T1、T2およびT3)B細胞集団を含む末梢脾性B細胞集団を含む遺伝子改変マウスが提供される。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの脾臓中の例示的な移行B細胞集団(例えば、T1、T2およびT3)は、IgM、CD23、CD93、B220および/またはその組合せの発現によって特徴付けられる。
【0179】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、約2.0×10
6個、2.5×10
6個、3.0×10
6個、3.5×10
6個、4.0×10
6個、4.5×10
6個、5.0×10
6個、5.5×10
6個、6.0×10
6個、6.5×10
6個または7.0×10
6個を含めた、細胞約2×10
6個〜約7×10
6個の範囲内のT1 B細胞集団(例えば、CD93
+、B220
+、IgM
hi、CD23
−)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.16×10
6個のT1 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.63×10
6個のT1 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約3.91×10
6個のT1 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.83×10
6個のT1 B細胞集団を脾臓中に含む。
【0180】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、約1.0×10
6個、1.5×10
6個、2.0×10
6個、2.5×10
6個、3.0×10
6個、3.5×10
6個、4.0×10
6個、4.5×10
6個、5.0×10
6個、5.5×10
6個、6.0×10
6個、6.5×10
6個または7.0×10
6個を含めた、細胞約1×10
6個〜約7×10
6個の範囲内のT2 B細胞集団(例えば、CD93
+、B220
+、IgM
hi、CD23
+)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.30×10
6個のT2 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.46×10
6個のT2 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約3.24×10
6個のT2 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.52×10
6個のT2 B細胞集団を脾臓中に含む。
【0181】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、約1.0×10
6個、1.5×10
6個、2.0×10
6個、2.5×10
6個、3.0×10
6個、3.5×10
6個または4.0×10
6個を含めた、細胞約1×10
6個〜約4×10
6個の範囲内のT3 B細胞集団(例えば、CD93
+、B220
+、IgM
lo、CD23
+)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.08×10
6個のT3 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.35×10
6個のT3 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約3.37×10
6個のT3 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.63×10
6個のT1 B細胞集団を脾臓中に含む。
【0182】
一部の実施形態では、遺伝子改変マウスであって、2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよびJκ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じである辺縁帯および辺縁帯前駆B細胞集団(marginal zone precursor B cell population)を含む末梢脾性B細胞集団を含む遺伝子改変マウスが提供される。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの脾臓中の例示的な辺縁帯B細胞集団は、IgM、CD21/35、CD23、CD93、B220および/またはその組合せの発現によって特徴付けられる。
【0183】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約1.0×10
6個、1.5×10
6個、2.0×10
6個、2.5×10
6個または3.0×10
6個を含めた、細胞約1×10
6個〜約3×10
6個の範囲内の辺縁帯B細胞集団(例えば、CD93
−、B220
+、IgM
hi、CD21/35
hi、CD23
−)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.47×10
6個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.49×10
6個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.26×10
6個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.33×10
6個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含む。
【0184】
一部の実施形態では、遺伝子改変マウスであって、2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよびJκ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じである濾胞(例えば、FO−IおよびFO−II)B細胞集団(複数可)を含む末梢脾性B細胞集団を含む遺伝子改変マウスが提供される。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの脾臓中の例示的な濾胞B細胞集団(例えば、FO−IおよびFO−II)は、IgM、IgD、CD21/35、CD93、B220および/またはその組合せの発現によって特徴付けられる。
【0185】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約3.0×10
6個、3.5×10
6個、4.0×10
6個、4.5×10
6個、5.0×10
6個、5.5×10
6個、6.0×10
6個、6.5×10
6個、7.0×10
6個、7.5×10
6個、8.0×10
6個、8.5×10
6個、9.0×10
6個、9.5×10
6個、1.0×10
7個または1.5×10
7個を含めた、細胞約3×10
6個〜約1.5×10
7個の範囲内の濾胞1型B細胞集団(例えば、CD93
−、B220
+、CD21/35
int、IgM
lo、IgD
hi)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.57×10
6個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.31×10
6個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約9.42×10
6個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.14×10
7個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含む。
【0186】
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞1.0×10
6個、1.25×10
6個、1.5×10
6個、1.75×10
6個または2.0×10
6個を含めた、細胞約1×10
6個〜約2×10
6個の範囲内の濾胞2型B細胞集団(例えば、CD93
−、B220
+、CD21/35
int、IgM
int、IgD
hi)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.14×10
6個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.45×10
6個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約1.80×10
6個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.06×10
6個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含む。
【0187】
一態様では、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントに由来する単一の再構成されたκ軽鎖を発現し、単一の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を含むB細胞集団を発現し、体細胞超変異に対して抵抗性にされていない遺伝子改変マウスが提供される。一実施形態では、マウスのB細胞において発現されるκ軽鎖の少なくとも90%が少なくとも1つ〜約5つの体細胞超変異を示す。
【0188】
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を発現するように改変された遺伝子改変マウスであって、野生型マウスによって示されるκ軽鎖の使用の、またはκ軽鎖遺伝子セグメントの野生型レパートリーを含む同じ系統のマウスによって示されるκ軽鎖の使用の約2倍もしくはそれ超、少なくとも約3倍もしくはそれ超または少なくとも約4倍もしくはそれ超のκ軽鎖の使用を示すマウスが提供される。特定の実施形態では、マウスは、1つ以下の再構成されたκ軽鎖配列から単一のκ軽鎖を発現する。その他の特定の実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1−39Jκ5配列およびVκ3−20Jκ1配列から選択される。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1−39Jκ5配列である。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ3−20Jκ1配列である。
【0189】
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、完全なまたは実質的に完全なヒトκ軽鎖遺伝子座を有するマウスによって示される同じκ軽鎖の使用の約100倍またはそれ超、少なくとも約200倍またはそれ超、少なくとも約300倍またはそれ超、少なくとも約400倍またはそれ超、少なくとも約500倍またはそれ超、少なくとも約600倍またはそれ超、少なくとも約700倍またはそれ超、少なくとも約800倍またはそれ超、少なくとも約900倍またはそれ超、少なくとも約1000倍またはそれ超のκ軽鎖の使用を示すマウスが提供される。特定の実施形態では、完全なまたは実質的に完全なヒトκ軽鎖遺伝子座を有するマウスは、機能的な再構成されていないマウスκ軽鎖配列を欠く。特定の実施形態では、マウスは、1つ以下の再構成されたκ軽鎖配列から単一のκ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、再構成されたκ軽鎖配列の1つのコピー(例えば、ヘテロ接合体)を含む。一実施形態では、マウスは、再構成されたκ軽鎖配列の2つのコピーを含む(例えば、ホモ接合体)。その他の特定の実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1−39Jκ5配列およびVκ3−20Jκ1配列から選択される。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1−39Jκ5配列である。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ3−20Jκ1配列である。
【0190】
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成された軽鎖配列に由来する単一の軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、該マウスにおける軽鎖が、完全なまたは実質的に完全な軽鎖遺伝子座を有するマウスによって示される同じ再構成された軽鎖の発現の少なくとも10倍〜約1,000倍、100倍〜約1,000倍、200倍〜約1,000倍、300倍〜約1,000倍、400倍〜約1,000倍、500倍〜約1,000倍、600倍〜約1,000倍、700倍〜約1,000倍、800倍〜約1,000倍または900倍〜約1,000倍高い発現のレベルを示す遺伝子改変マウスが提供される。一実施形態では、軽鎖はヒト配列を含む。特定の実施形態では、ヒト配列はκ配列である。一実施形態では、ヒト配列はλ配列である。一実施形態では、軽鎖は完全ヒト軽鎖である。
【0191】
一実施形態では、発現レベルは、転写された軽鎖配列のmRNAを定量し、それを完全なまたは実質的に完全な軽鎖遺伝子座を有するマウスの転写された軽鎖配列と比較することによって特徴付けられる。
【0192】
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、抗原を用いて免疫されると、同じ抗原を用いて免疫した野生型マウスに匹敵する血清力価を示すマウスが提供される。特定の実施形態では、マウスは、1つ以下の再構成されたκ軽鎖配列から単一のκ軽鎖を発現する。一実施形態では、血清力価は総免疫グロブリンとして特徴付けられる。特定の実施形態では、血清力価はIgM特異的力価として特徴付けられる。特定の実施形態では、血清力価はIgG特異的力価として特徴付けられる。その他の特定の実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1−39Jκ5配列およびVκ3−20Jκ1配列から選択される。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1−39Jκ5配列である。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ3−20Jκ1配列である。
【0193】
一態様では、抗原特異的抗体の集団を発現する遺伝子改変マウスであって、抗原特異的抗体の集団の免疫グロブリン軽鎖の全てが同じ単一のヒトV
L遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変(V
L)領域を含み、免疫グロブリン重鎖が複数のヒトV
H遺伝子セグメントのうちの1つに由来するヒト重鎖可変(V
H)領域を含むマウスが提供される。
【0194】
種々の実施形態では、ヒトV
H遺伝子セグメントは、V
H1−2、V
H1−3、V
H1−8、V
H1−18、V
H1−24、V
H1−46、V
H1−58、V
H1−69、V
H2−5、V
H2−26、V
H2−70、V
H3−7、V
H3−9、V
H3−11、V
H3−13、V
H3−15、V
H3−20、V
H3−21、V
H3−23、V
H3−30、V
H3−33、V
H3−43、V
H3−48、V
H3−53、V
H3−64、V
H3−72、V
H3−73、V
H4−31、V
H4−34、V
H4−39、V
H4−59、V
H5−51、およびV
H6−1から選択される。
【0195】
種々の実施形態では、同じ単一のヒトV
L遺伝子セグメントは、ヒトVκ1−39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3−20遺伝子セグメントから選択される。種々の実施形態では、免疫グロブリン軽鎖の全てが、Jκ遺伝子セグメントおよびJλ遺伝子セグメントから選択されるヒト軽鎖J(J
L)遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、ヒトJ
L遺伝子セグメントは、ヒトJκ1遺伝子セグメントおよびヒトJκ5遺伝子セグメントから選択される。種々の実施形態では、マウスは、マウス免疫グロブリンV
L遺伝子セグメント、マウス免疫グロブリンJ
L遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択される配列を欠く。種々の実施形態では、ヒトV
L領域は、ヒト、マウス、またはラット免疫グロブリン軽鎖定常(C
L)領域に作動可能に連結している。特定の実施形態では、ヒトV
L領域はマウスCκ領域に作動可能に連結している。特定の実施形態では、ヒトV
L領域はラットCκ領域に作動可能に連結している。
【0196】
種々の実施形態では、ヒトV
L領域は、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。種々の実施形態では、ヒトV
H領域は、ヒト、マウス、またはラット免疫グロブリン重鎖定常(C
H)領域に作動可能に連結している。種々の実施形態では、(C
H)領域は、C
H1、ヒンジ、C
H2、C
H3、C
H4、および/またはその組合せから選択されるヒト配列を含む。種々の実施形態では、ヒトV
H領域は、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座から発現する。
【0197】
一態様では、単一の軽鎖と結合した複数の免疫グロブリン重鎖を発現する遺伝子改変マウスが提供される。一実施形態では、重鎖はヒト配列を含む。種々の実施形態では、ヒト配列は、可変配列、C
H1、ヒンジ、C
H2、C
H3、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、単一の軽鎖はヒト配列を含む。種々の実施形態では、ヒト配列は、可変配列、定常配列、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、マウスは、機能しない内因性免疫グロブリン遺伝子座を含み、導入遺伝子または染色体外エピソームから重鎖および/または軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、内因性マウス遺伝子座において一部もしくは全ての内因性マウス重鎖遺伝子セグメント(すなわち、V、D、J)、および/または一部もしくは全ての内因性マウス重鎖定常配列(例えば、C
H1、ヒンジ、C
H2、C
H3、またはこれらの組合せ)、および/または一部もしくは全ての内因性マウス軽鎖配列(例えば、V、J、定常、またはこれらの組合せ)の、1つまたは複数のヒト免疫グロブリン配列での置き換えを含む。
【0198】
一態様では、同じ軽鎖を有する抗体の作製に適したマウスであって、該マウスにおいて作製する全てまたは実質的に全ての抗体が同じ軽鎖とともに発現するマウスが提供される。一実施形態では、軽鎖は内因性軽鎖遺伝子座から発現する。
【0199】
一態様では、ヒト抗体のための軽鎖を作製するための方法であって、本明細書に記載のマウスから軽鎖配列および重鎖配列を得るステップ、およびヒト抗体の作製において当該軽鎖配列および重鎖配列を使用するステップを含む方法が提供される。一実施形態では、ヒト抗体は二重特異性抗体である。
【0200】
一態様では、本明細書に記載の操作された軽鎖と共に目的の抗原と結合することができるヒト重鎖可変ドメインを同定するための方法であって、抗原に結合することができる第1の抗体に由来する重鎖可変ドメインをもたらすステップ、重鎖可変ドメインを生殖系列軽鎖配列と再対合させ(repairing)、細胞をトランスフェクトし、したがって、それぞれが発現して第2の抗体を形成するステップ、第2の抗体を抗原に曝露するステップ、および第2の抗体の抗原への結合を測定するステップを含む方法が提供される。
【0201】
一実施形態では、第1の抗体の軽鎖はヒトVκ1−39配列を含む。一実施形態では、第1の抗体の軽鎖はヒトVκ3−20配列を含む。一実施形態では、生殖系列軽鎖配列はヒトVκ1−39配列またはヒトVκ3−20配列を含む。種々の実施形態では、第2の抗体の抗原への結合を第1の抗体の抗原への結合との比較によって決定する。
【0202】
別段の指定がある場合または文脈から明らかである場合を除き、本明細書に記載されている実施形態および態様はいずれも互いと併せて使用することができる。以下の記載を精査することで他の実施形態が当業者には明らかである。