特許第6790157号(P6790157)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6790157多数の変換素子の製造方法、変換素子およびオプトエレクトロニクス部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790157
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】多数の変換素子の製造方法、変換素子およびオプトエレクトロニクス部材
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20201116BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20201116BHJP
【FI】
   G02B5/20
   H01L33/50
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-45840(P2019-45840)
(22)【出願日】2019年3月13日
(65)【公開番号】特開2019-159327(P2019-159327A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】10 2018 105 910.8
(32)【優先日】2018年3月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ レーマー
(72)【発明者】
【氏名】マークス ライトル
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−228389(JP,A)
【文献】 特開2009−177106(JP,A)
【文献】 特開2015−076595(JP,A)
【文献】 特開2015−076594(JP,A)
【文献】 特開2016−219485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長領域の電磁放射線を第2の波長領域の電磁放射線に変換する第1の変換層(1)を、補助支持体(2)上に準備するステップと、
前記第1の波長領域の電磁放射線を第3の波長領域の電磁放射線に変換する第2の変換層(3)を、前記第1の変換層(1)上に塗布するステップと、
得られた積層スタック(4)を、多数の変換素子(7)が生じるように分離するステップと、
を有し、
各変換素子(7)は、前記第1の変換層(1)の材料を有する少なくとも1つの第1の変換領域(8)を含み、
各変換素子(7)は、前記第2の変換層(3)の材料を有する少なくとも1つの第2の変換領域(9)を含み、
前記変換領域(8,9)は、互いに側方に配置されており
前記積層スタック(4)の分離は2つの分離ステップを含み、第1の分離ステップの際に、前記積層スタック(4)を多数の断片(5)に分割し、第2の分離ステップの際に、前記断片(5)を多数の変換素子(7)に分割し、
前記積層スタック(4)をジグザグ状に折り畳んで長方体にする、
多数の変換素子(7)の製造方法。
【請求項2】
前記第2の変換層(3)上に、少なくとも1つの別の第1の変換層(1)および少なくとも1つの別の第2の変換層(3)を交互に塗布する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2の変換層(3)上に、前記第1の波長領域の電磁放射線を第4の波長領域の電磁放射線に変換する第3の変換層(10)を塗布し、
各変換素子(7)は、前記第3の変換層の材料を有する少なくとも1つの第3の変換領域を有する、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1の変換層(1)および/または前記第2の変換層(3)を、スプレーコーティング、テープキャスティング、スピンコーティングのうちの1つの方法により作製する、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第1の変換層(1)は、多数の第1の蛍光体粒子が導入されているポリマーのマトリックス材料を含み、前記第1の蛍光体粒子は、前記第1の波長領域の電磁放射線を前記第2の波長領域の電磁放射線に変換し、かつ/または
前記第2の変換層(3)は、多数の第2の蛍光体粒子が導入されているポリマーのマトリックス材料を含み、前記第2の蛍光体粒子は、前記第1の波長領域の電磁放射線を前記第3の波長領域の電磁放射線に変換する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
放射線出射面から第1の波長領域の電磁放射線を放射する、放射線を発する半導体チップ(11)の前記放射線出射面上に、前記第1の波長領域の電磁放射線を、前記第2の波長領域および前記第3の波長領域の電磁放射線に変換する、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された方法により製造された変換素子(7)を設置する、オプトエレクトロニクス部材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多数の変換素子の製造方法、変換素子およびオプトエレクトロニクス部材に関する。
【0002】
異なる波長変換特性を有する、各々の、互いに別々の、少なくとも2つの異なる領域を有する、多数の変換素子の簡単な製造方法に関する。さらに、異なる波長変換特性を有する、互いに別々の、少なくとも2つの異なる領域を有する変換素子に関する。さらに、このような変換素子を有するオプトエレクトロニクス部材に関する。
【0003】
これらの課題は、請求項1のステップを有する方法により、請求項9の特徴を有する変換素子により、および請求項10の特徴を有するオプトエレクトロニクス部材により解決される。
【0004】
この方法、変換素子およびオプトエレクトロニクス部材の有利な実施形態および発展形態は、その都度の従属請求項の主題である。
【0005】
多数の変換素子の製造方法の一実施形態によると、第1の変換層が準備される。この第1の変換層は、第1の波長領域の電磁放射線を、第2の波長領域の電磁放射線に変換するために適している。特に好ましくは、第1の変換層は、補助支持体上に準備される。
【0006】
この方法の他の実施形態によると、第1の波長領域の電磁放射線を、第3の波長領域の電磁放射線に変換する第2の変換層が、第1の変換層上に塗布される。
【0007】
この方法の他の実施形態によると、生じた積層スタックは、多数の変換素子が生じるように分離される。変換素子は、この場合、互いに同じようにまたは異なるように形成されていてもよい。
【0008】
特に好ましくは、この積層スタックは、各変換素子が、第1の変換層の材料を有する、または第1の変換層の材料から形成されている少なくとも1つの第1の変換領域を有するように分離される。さらに、各変換素子は、好ましくは同様に、第2の変換層の材料を有する、または第2の変換層の材料から形成されている少なくとも1つの第2の変換領域を含む。特に好ましくは、異なる変換領域は、側方に互いに並んで配置されている。特に好ましくは、異なる変換領域は、互いに直接隣り合う。例えば、変換素子の少なくとも2つの異なる変換領域は、少なくとも部分的に、その都度、1つの界面で互いに直接接触している。ことに、各変換素子は、特に好ましくは、異なる変換領域の間に、例えば遮断部のような分離構造を含まない。
【0009】
2つの異なる変換領域の間の界面は、この場合、変換素子の主要な延在平面に対して垂直に延びていてもよい。さらに、2つの異なる変換領域の間の界面は、主要な延在平面の法線に対して一定の角度、例えば鋭角をなすことも可能である。
【0010】
この方法の他の実施形態によると、第2の変換層上に、少なくとも1つの別の第1の変換層および少なくとも1つの別の第2の変換層が交互に塗布される。換言すると、積層スタックは、好ましくは交互に配置されている多数の第1の変換層と多数の第2の変換層を含んでよい。
【0011】
この方法の他の実施形態によると、第2の変換層上に第3の変換層が塗布される。この第3の変換層は、第1の波長領域の電磁放射線を、第4の波長領域の電磁放射線に変換する。少なくとも3つの異なる変換層を有する積層スタックの分離の際に、好ましくは、各変換素子は、第1の変換領域と第2の変換領域との他に、第3の変換層の材料により形成されている、または第3の変換層の材料を有する少なくとも1つの第3の変換領域を有する。
【0012】
好ましくは、第1の変換層、第2の変換層および第3の変換層とは異なる波長変換特性を有する他の変換層が積層スタック内に組み込まれてもよい。しかしながら、好ましくは全ての変換層は、第1の波長領域からなる電磁放射線を変換する。
【0013】
例えば、積層スタックは、複数の変換層から形成されている。例えば、積層スタックは、1つ以上の第1の変換層と、1つ以上の第2の変換層と、1つ以上の第3の変換層とから形成されている。
【0014】
さらに、各変換素子は、積層スタックの分離後に、特に好ましくは、各変換層の材料を有する、またはこの種の材料から形成されるそれぞれ1つの変換領域を含む。これらの異なる変換領域は、好ましくはその都度側方に互いに並んで配置されている。
【0015】
特に好ましくは、第1の波長領域と、第2の波長領域と、第3の波長領域と、第4の波長領域とは、その都度互いに異なるように形成されている。例えば第1の波長領域は、青色光を有する、または青色光から形成される。第2の波長領域は、特に好ましくは黄色〜緑色光を有する、または黄色〜緑色光から形成されている。第3の波長領域は、特に好ましくは赤色光を有する、または赤色光から形成されている。第4の波長領域は、例えばシアン色光を有する、またはシアン色光から形成されている。
【0016】
積層スタック中に2より多くの異なる種類の変換層が使用される場合、これらの変換層は、積層スタック内で交互にr回繰り返されることが可能である。
【0017】
この方法の別の実施形態によると、積層スタックの分離は、2つの分離ステップを含む。第1の分離ステップは、積層スタックが、好ましくは、例えば鋸またはレーザーを用いて、多数の断片に分割される。断片の厚みは、例えば10マイクロメートル以上でかつ200マイクロメートル以下である。好ましくは、断片の厚みは、30マイクロメートル以上でかつ100マイクロメートル以下である。
【0018】
これらの断片の各々は、好ましくは、積層スタックの変換層からなるパターンを有する。例えば、このパターンは、第1の変換層と第2の変換層との螺旋状の配置であってもよい。さらに、このパターンは、第1の変換層と第2の変換層との交互の順序のラインであることも可能である。最後に、この断片は、第1の変換層と第2の変換層とからなるメアンダ状の配置を有していてもよい。
【0019】
この方法の特に好ましい実施形態によると、これらの断片の各々は、第2の分離ステップで、多数の変換エレメントに分割される。第2の分離ステップは、この場合、好ましくは第1の分離ステップから時間を隔てて行われる。好ましくは、第2の分離ステップは、第1の分離ステップの後で行われる。
【0020】
好ましくは、この断片は、第2の分離ステップの際に、2つの分離方向に沿って分離される。好ましくは、2つの分離方向は、この場合、互いに垂直に延びる。例えば、この2つの分離方向に沿った分離は、唯一の分離ステップで行ってもよい。このために適した分離方法は、例えば打ち抜きである。特に好ましくは、こうして作製された変換エレメントは、断片の上述のパターンを少なくとも部分的に含む。換言すると、これらの変換領域は、好ましくは少なくとも部分的に、これらのパターンの1つの形で、1つの変換素子内に少なくとも部分的に配置されている。これは、変換光の混色を改善する。
【0021】
第2の分離ステップの際に、有利に多数の形態の仕上がった変換素子が作製されてもよい。例えば、凹部を有する変換素子が得られてもよい。これらの凹部は、好ましくは、半導体チップの接触箇所をボンディングワイヤと電気的に接続するために、この半導体チップの接続箇所を空けておくように調節されている。
【0022】
第1の変換層および/または第2の変換層、ならびにまた場合により積層スタックに含まれる他の変換層は、例えば次の方法によって作製されてもよい:スプレーコーティング、テープキャスティング、スピンコーティング。
【0023】
さらに、予め作製された変換層を使用することも可能である。予め作製された変換層は、例えば他の変換層と貼り合わせることにより結合されてもよい。貼り合わせのために、ロールが使用されてもよい。
【0024】
この方法の他の実施形態によると、第1の変換層は、多数の第1の蛍光体粒子が導入されているポリマーのマトリックス材料を含む。第1の蛍光体粒子は、この場合、第1の波長領域の電磁放射線を、第2の波長領域の電磁放射線に変換する。換言すると、好ましくは、蛍光体粒子は、変換層に波長変換特性を付与する。
【0025】
また、第2の変換層または各々の他の変換層は、多数の第2の蛍光体粒子または他の蛍光体粒子が導入されているポリマーのマトリックス材料を含んでよい。第2の蛍光体粒子は、第1の波長領域の電磁放射線を、第3の波長領域の電磁放射線に変換する。各々の他の変換層は、第1の波長領域の電磁放射線を他の波長領域の電磁放射線に変換する多数の他の蛍光体粒子を含んでよい。
【0026】
蛍光体粒子がポリマーのマトリックス材料中に導入されている変換層は、例えば、その都度の蛍光体粒子を液状の形のポリマーのマトリックス材料中に導入し、スプレーコーティング、テープキャスティングまたはスピンコーティングにより、液状の形で補助支持体上に塗布して、液状の変換層が形成されることにより作製されてもよい。次のステップで、この液状の変換層は、好ましくは完全にまたは部分的に硬化される。
【0027】
例えば、液状の状態のポリマーのマトリックス材料は、多数の未架橋のモノマーを含む、または多数の未架橋のモノマーからなる。変換層の硬化のために、これらのモノマーは、原則として互いに重合により架橋される。重合は、例えば、温度またはUV放射線により開始されてもよい。「部分的に硬化された」とは、ここでは、ポリマーのマトリックス材料のモノマーの全部は、重合によって互いに架橋されていない、ポリマーのマトリックス材料の状態をいう。むしろ、モノマーのかなりの部分は架橋されていない。しかしながら、モノマーの重合は、好ましくは、マトリックス材料の液状の状態がすでに固形の状態に移行されている程度に進行している。「完全に硬化された」とは、ここでは、マトリックス材料のモノマーの大部分が重合過程により互いに架橋されている状態をいう。
【0028】
ポリマーのマトリックス材料として、例えばシリコーンが使用されてもよい。一実施形態によると、積層スタックの全体の変換層は同じマトリックス材料を有する。
【0029】
例えば、蛍光体粒子のために次の材料の一つが適している:希土類元素でドープされたガーネット類、例えば(Y,Lu,Gd)3(Al,Ga)512型の化合物、希土類元素でドープされたアルカリ土類ケイ素窒化物、例えば(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si58型もしくは(Mg,Ca,Sr,Ba)SiN2型の化合物、希土類元素でドープされたアルミノニトリドケイ酸塩、例えば(Ca,Sr,Ba)AlSiN3型もしくは(Sr,Ca)SrAl2Si26型の化合物、希土類元素でドープされた酸窒化物、例えば(Ca,Sr,Ba)Si222、希土類元素でドープされたアルミニウム酸窒化物、例えばα−もしくはβ−SiAlON型の化合物、希土類元素でドープされたケイ素窒化物、例えば(Sr,Ba)(Y,Yb)Si47型の化合物、希土類元素でドープされた(Sr,Ca)[LiAl34]型の化合物、K2SiF6:Mn4+および希土類元素でドープされた(K,Na)2(Si,Ti)F6型の化合物、希土類元素でドープされたオルトケイ酸塩、例えば(Mg,Ca,Sr,Ba)2SiO4型の化合物、希土類元素でドープされた酸化物、例えば(Mg,Ca,Sr,Ba)4Al1425型の化合物。
【0030】
さらに、半導体ナノ材料も蛍光体粒子にとって適している。この種の半導体ナノ材料は、例えばCdS/CdSeコアシェル構造体、好ましくは波長変換するための他のナノ粒子の半導体材料、例えばCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgTe、HgSe、GaP、GaAs、GaSb、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、SiC,InN、AlNまたはこれらの混晶(三元、四元…)またはいくつかの異なる半導体材料の組合せである。ナノ粒子として形成されている蛍光体粒子は、コアシェル構造および/または合金構造を有していてもよい。
【0031】
この場合、各変換層は、異なる波長変換特性を有する異なる蛍光体粒子の混合物を有することが可能である。好ましくは、変換層の異なる蛍光体粒子が第1の波長領域の電磁放射線を、類似のスペクトル領域に由来する異なる波長領域に変換する。特に好ましくは、仕上がった変換層は、その都度、他の変換層の蛍光体粒子を含まない。
【0032】
蛍光体粒子は、例えば、1マイクロメートル以上でかつ40マイクロメートル以下、好ましくは5マイクロメートル以上でかつ30マイクロメートル以下、特に好ましくは10マイクロメートル以上でかつ25マイクロメートル以下の平均直径d50を有する。
【0033】
半導体ナノ材料を有する、または半導体ナノ材料から形成されている蛍光体粒子は、例えば1ナノメートル以上でかつ25マイクロメートル以下、好ましくは10ナノメートル以上でかつ10マイクロメートル以下の平均直径d50を有する。
【0034】
特に好ましくは、変換層は、その都度1マイクロメートル以上でかつ500マイクロメートル以下の厚みを有する。
【0035】
変換層の他に、積層スタックは、蛍光体粒子に加えてまたは蛍光体粒子の代わりに、充填材料または他の材料を有する他の層を有していてもよい。
【0036】
この方法の特に好ましい実施形態によると、積層スタックは、変換層の塗布後でかつ積層スタックの主要な延在平面からの分離の前に巻き付けられる、または折り畳まれる。この方法様式で、有利に、上述の多様なパターンを断片中に、ひいては仕上がった変換素子中に容易に作製することができる。
【0037】
例えば、積層スタックは巻き付けられて、円筒体にされてもよい。円筒体に巻き付けられた積層スタックの分離の際に、螺旋状のパターンを有する円形の断片が作製されてもよい。
【0038】
さらに、積層スタックがメアンダ状またはジグザグ状に折り畳まれて、長方体にされることも可能である。メアンダ状に折り畳まれた長方体の分離の際に、メアンダ状のパターンを有する長方形の断片が作製されてもよい。
【0039】
この方法の好ましい実施形態によると、積層スタックは、巻き付けまたは折り畳みの後に、完全に硬化される。これは、巻き付けまたは折り畳みにより作製された、積層スタックの形状を有利に固定する。
【0040】
例えば巻き付けられていない、または折り畳まれていない積層スタックの場合のように積層スタックが主要な延在平面を有する場合、この積層スタックは、積層スタックの主要な延在平面に対して垂直に延びる、または主要な延在平面の法線に対して鋭角をなす分離平面に沿って断片に分離されてもよい。
【0041】
例えば巻き付けられたまたは折り畳まれた積層スタックの場合のように積層スタックが主要な延在方向を有する場合、この積層スタックは、積層スタックの主要な延在方向に対して垂直に延びる、または主要な延在方向の法線に対して鋭角をなす分離平面に沿って断片に分離されてもよい。
【0042】
ここに記載された方法は、ことに変換素子を作製するために適している。ここでこの方法との関連で単に記載されている特徴、実施形態および発展形態は、変換素子の場合でも形成されていてもよく、かつその逆も同様である。
【0043】
特に好ましくは、変換素子は、異なる変換特性を有する少なくとも2つの異なる変換領域を有する。特に好ましくは、2つの変換領域は互いに完全に分離されている。例えば、第1の変換領域は、第2の変換領域の蛍光体粒子を含まず、かつその逆も同様である。特に好ましくは、異なる変換領域は、側方に互いに並んで、かつ好ましくは共通の平面内に配置されている。特に好ましくは、異なる変換領域は一定のパターンを形成する。特に好ましくは、変換素子のその都度2つの変換領域は互いに直接隣り合うので、これらの材料は互いに直接接触している。
【0044】
例えば、変換素子は、10マイクロメートル以上でかつ200マイクロメートル以下、好ましくは30マイクロメートル以上でかつ100マイクロメートル以下の厚みを有する。
【0045】
ここに記載された変換素子は、ことに、オプトエレクトロニクス部材において使用することが予定されている。ここでこの変換素子との関連で単に記載されている特徴、実施形態および発展形態は、オプトエレクトロニクス部材の場合でも形成されてもよく、かつその逆も同様である。
【0046】
一実施形態によると、オプトエレクトロニクス部材は、放射線を発する半導体チップを含む。放射線を発する半導体チップは、放射線出射面から第1の波長領域の電磁放射線を放射する。好ましくは、放射線を発する半導体チップは、青色光を放射する。
【0047】
他の実施形態によると、オプトエレクトロニクス部材は、第1の波長領域の電磁放射線を第2の波長領域および第3の波長領域の電磁放射線に変換する変換素子を含む。例えば、変換素子は、半導体チップの放射線出射面に直接接触するように設置されている。
【0048】
好ましくは、変換素子は、半導体チップの青色放射線を、黄色〜緑色の放射線および赤色の放射線に変換する。オプトエレクトロニクス部材は、好ましくは、第1の波長領域の未変換の放射線と、第2の波長領域の変換された放射線と、第3の波長領域の変換された放射線とから構成された混色の放射線を放射する。好ましくは、混色光は、半導体チップの青色放射線と、第2の波長領域の黄色〜緑色の変換された放射線と、第3の波長領域の赤色の変換された放射線とから構成されている。特に好ましくは、混色光は、温白色領域の色度座標を有する。
【0049】
変換素子を用いて達成された混色光の色度座標は、有利に、変換層の厚みの選択により、積層スタックの巻き付けおよび/または折り畳みにより、かつそれにより達成された変換素子のパターンにより、ならびに仕上がった変換素子の厚みにより、所望の値に調節されてもよい。
【0050】
ここに記載された方法は、ことに、簡単な技術で、互いに別々に側方に配置された変換領域を有する多数の変換素子を同時に作製することができるという利点を提供する。変換領域は、この場合、より良好な光の混合のために、パターンの形に配置されていてもよい。有利に、本方法の場合に、異なる変換領域の作製のために、例えば遮断部のような分離構造、またはマスクを使用することを省くことができる。本方法で作製された変換素子は、有利に、オプトエレクトロニクス部材の効率およびその輝度を高めることに寄与することができる。
【0051】
本発明の他の好ましい実施形態および発展形態は、図面との関連で次に説明された実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】実施例による多数の変換素子の製造方法を詳細に説明する概略断面図。
図2】実施例による多数の変換素子の製造方法を詳細に説明する概略断面図。
図3】実施例による多数の変換素子の製造方法を詳細に説明する概略断面図。
図4】実施例による多数の変換素子の製造方法を詳細に説明する概略断面図。
図5】実施例による多数の変換素子の製造方法を詳細に説明する概略断面図。
図6】実施例による多数の変換素子の概略平面図。
図7】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図8】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図9】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図10】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図11】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図12】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図13】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図14】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図15】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図16】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図17】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図18】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図19】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図20】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図21】本方法の多様な実施形態を詳細に説明する概略図。
図22】実施例によるオプトエレクトロニクス部材の概略断面図。
【0053】
図1〜5の概略断面図に基づき、実施例による多数の変換素子の製造方法を詳細に説明する。
【0054】
図6は、実施例による多数の変換素子の概略平面図を示す。
【0055】
図7〜21の概略図に基づき、この方法の多様な実施形態を詳細に説明する。
【0056】
図22は、実施例によるオプトエレクトロニクス部材の概略断面図を示す。
【0057】
同じ、同種の、または同じに作用する構成要素は、これらの図面において同じ符号を備えている。図および図中に示された構成要素の相互のサイズ比率は、縮尺通りであるとは見なされない。むしろ、個々の構成要素、特に層厚は、より表示しやすくするためおよび/またはより理解しやすくするために、過度に大きく示されていてもよい。
【0058】
図1〜5の実施例による方法の場合、まず、第1の変換層1を補助支持体2上に準備する(図1)。例えば、第1の変換層1を補助支持体2上にスプレーコーティング、テープキャスティングまたはスピンコーティングによって作製することができる。第1の変換層1を完全にまたは部分的に硬化する。さらに、予め作製された第1の変換層1を使用することも可能である。第1の変換層1は、青色スペクトル領域の電磁放射線を黄緑色の光に変換するために適している。このため、第1の変換層1は、例えばポリマーのマトリックス材料中に導入されているガーネット型蛍光体からなる蛍光体粒子を含む。
【0059】
さらなる方法ステップで、第2の変換層3を、第1の変換層1上に、例えば同様にスプレーコーティング、テープキャスティングまたはスピンコーティングにより塗布する(図2)。第2の変換層3を、完全にまたは部分的に硬化する。さらに、この方法ステップの場合でも、予め作製された第2の変換層3を使用してもよい。これを、第1の変換層1上に貼り合わせてもよい。第2の変換層3は、青色光を赤色光に変換するために適している。このため、第2の変換層3は、例えばポリマーのマトリックス材料中に導入されているニトリド型蛍光体からなる蛍光体粒子を含む。
【0060】
図3に概略的に示すように、複数の別の第1の変換層1と複数の別の第2の変換層3とが、第2の変換層3上に交互に塗布されていてもよい。よって、互いに積み重ねられて直接接触するように塗布されている複数の第1の変換層1と複数の第2の変換層3とを有する積層スタック4が生じる。また、この積層スタック4を、全体の変換層1,3を塗布した後に、完全にまたは部分的に硬化してもよい。
【0061】
第1の分離ステップにおいて、次いで積層スタック4を個々の断片5に、例えば鋸により分割する(図4)。各々の断片5は、この場合、第1の変換層1の材料と第2の変換層3の材料とが交互に配置された薄層を有する。
【0062】
第2の分離ステップにおいて、各々の断片5は互いに垂直に延びる分離線6に沿って、多数の変換素子7に分割される(図5)。
【0063】
図6の実施例による変換素子7は、例えば図1〜5に基づいて説明されているような方法で作製することができる。
【0064】
図6の実施例によると、各々の変換素子7は、第1の変換領域8と第2の変換領域9とを有する。第1の変換領域8は、この場合、第1の変換層1の材料から形成されている。第2の変換領域9は、この場合、第2の変換層3の材料から形成されている。第1の変換領域8と第2の変換領域9とは、その都度直接接触して側方に互いに並んで配置されている。
【0065】
図7および8は、第2の分離ステップにおいて、図5に基づいてすでに説明されたような断片5を分離するための分離線6の別の態様を示す。これらの分離線6は、この場合、互いに垂直に延び、図5および7によるこれらの分離線6は、変換層1,3の主要な延在平面に対して平行方向に、ならびに変換層1,3の主要な延在平面に対して垂直方向に延びる。図5による分離線6とは異なり、図7による実施例の場合のこの分離線6は、互いにより大きな間隔を有する。図7による分離線6とは異なり、図8による実施例の場合の分離線6は、90°回転している。
【0066】
図9〜15の実施例による方法の場合、まず、図1および2に基づいてすでに説明されたような方法ステップを実施する(図9および10)。
【0067】
図11に概略的に示されている次のステップにおいて、第1の変換層1と第2の変換層3とから形成されている積層スタック4を巻き付けて円筒体にする。巻き付け後に、特に好ましくは、この円筒体の形を固定するために、積層スタック4の硬化を行う(図12および13)。
【0068】
次のステップで、円筒体を、切断により、図14に概略的に示されている薄い断片5に分割する。
【0069】
図15および16は、概略的に互いに垂直に延びる分離線6を示し、これらの分離線に沿って打ち抜くことにより、巻き付けられた積層スタック4の断片5を多数の変換素子7に分割することができる。この場合、分離線6の相互の間隔の選択により、変換素子7内に多様なパターンを作製することが可能である。
【0070】
図17の実施例によると、第1の変換層1と第2の変換層3とからなる積層スタック4を折り畳むことにより成形してメアンダ状の長方体にし、この長方体を切断により断片5に分割する。
【0071】
図18および19に示すように、断片5を、互いに垂直に延びる分離線6に沿って、多数の変換素子7に分割することができる。この場合、図19の実施例による分離線6は、図18の実施例による分離線6に対して90°回転している。
【0072】
図20は、第1の変換層1と第2の変換層3とからなる積層スタック4(図2も参照)をジグザグ状に折り畳むことにより作製することができるような長方体を概略的に示す。
【0073】
図21の実施例による円筒状に巻き付けられた積層スタック4は、図12による円筒状に巻き付けられた積層スタック4とは異なり、第3の変換層10を有する。第3の変換層10は、第2の変換層3上に塗布されていて、第1の波長領域の電磁放射線を、第4の波長領域の電磁放射線に変換するために適している。
【0074】
図22の実施例によるオプトエレクトロニクス部材は、放射線出射面から青色光を放射する、放射線を発する半導体チップ11を有する。放射線出射面上には、図6に基づきすでに例示的に説明されたような変換素子7が設置されている。
【0075】
変換素子7は、半導体チップ11の青色放射線を緑色放射線に変換する第1の変換領域8を有する。第1の変換領域8の側方に、半導体チップ11の青色放射線を赤色放射線に変換する第2の変換領域9が配置されている。これらの変換領域8,9は、この場合、互いに直接隣り合う。
【0076】
図22の実施例によるオプトエレクトロニクス部材は、未変換の青色光と、変換された赤色光と、変換された緑色光とから構成され、かつ温白色領域内の色度座標を有する混色光を放射する。
【0077】
本出願は、独国特許出願第102018105910.8号の優先権を主張し、これによりこの開示内容は参照により本願に組み込まれる。
【0078】
本発明は、これらの実施例に基づく説明により、これらの実施例に限定されるものではない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲または実施例においてこれらの特徴またはこの組合せ自体が明確には述べられていない場合であっても、ことに特許請求の範囲内の特徴のあらゆる組合せが含むあらゆる新たな特徴ならびにこれらの特徴のあらゆる組合せを含む。
【符号の説明】
【0079】
1 第1の変換層
2 補助支持体
3 第2の変換層
4 積層スタック
5 断片
6 分離線
7 変換素子
8 第1の変換領域
9 第2の変換領域
10 第3の変換層
11 半導体チップ
図1
図2
図3
図4
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