(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱硬化剤は、これを含む光変換樹脂組成物のうち固形分全体100重量%に対して、0.1〜40重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載の光変換樹脂組成物。
前記量子ドットは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/GaP/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSeTe/ZnSおよびInP/MnSe/ZnSよりなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の光変換樹脂組成物。
前記量子ドットは、発光中心波長の範囲が510nm〜540nmである緑色量子ドットと;発光中心波長の範囲が610nm〜630nmである赤色量子ドットと;を含むことを特徴とする請求項3に記載の光変換樹脂組成物。
前記ポリエチレングリコール系リガンドは、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、コハク酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、マロン酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、ダルタル酸モノ−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エチル}エステル、{2−[2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−エトキシ]−エトキシ}−酢酸、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル、マロン酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−イソブトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル、アジピン酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル、2−オキソ−アジピン酸6−(2−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エチル)エステル、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル、O−(スクシニル)−O’−メチルポリエチレングリコール2’000、(2−ブトキシ−エトキシ)−酢酸、カルボキシ−EG6−ウンデカンチオールおよび(2−カルボキシメトキシ−エトキシ)−酢酸よりなる群から選ばれる一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の光変換樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0014】
本発明で任意の部材が他の部材「上に」位置しているというとき、これは、任意の部材が他の部材に当接している場合だけでなく、二つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0015】
本発明で任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
<光変換樹脂組成物>
本発明の光変換樹脂組成物は、ポリエチレングリコール系リガンドを含む2種以上の非カドミウム系の量子ドット、散乱粒子、アルカリ可溶性樹脂、熱硬化剤および溶剤を含み、前記熱硬化剤は、多官能脂環族エポキシ樹脂またはノボラックエポキシ樹脂を含むことによって、塗膜の布面硬度、弾性回復率および密着力に優れており、アウトガスの発生量を最小化することができると共に、新規なリガンドが導入された量子ドットを含むことによって、分散性および光学特性に優れているという効果がある。
【0017】
量子ドット
本発明による光変換樹脂組成物は、ポリエチレングリコール系リガンドを含む量子ドットを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の光変換樹脂組成物に含まれる量子ドットは、ナノサイズの半導体物質である。原子が分子を成し、分子は、クラスター(cluster)という小さい分子の集合体を構成してナノ粒子を成すが、このようなナノ粒子が特に半導体の特性を帯びているとき、これを量子ドットという。このような量子ドットは、外部からエネルギーを受けて励起状態になると、自体的にエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する特性を有している。要するに、本発明の光変換樹脂組成物は、このような量子ドットを含むことによって、入射した青色光源を介して緑色光および赤色光への光変換が可能である。
【0019】
前記量子ドットは、光による刺激で発光できるものであれば、特に限定されるものではないが、非カドミウムであることがより好ましい。例えば、III−V族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、およびIV族元素またはこれを含む化合物から選ばれる1種以上を使用することができる。
【0020】
前記III−V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上であってもよい。
【0021】
前記IV−VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上であってもよい。
【0022】
前記IV族元素またはこれを含む化合物は、Si、Ge、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる元素化合物;およびSiC、SiGe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0023】
前記量子ドットは、均質な(homogeneous)単一構造;コア−シェル(core−shell)構造、グラジエント(gradient)構造等のような二重構造;またはこれらの混合構造であってもよい。例えば前記コア−シェルの二重構造において、それぞれのコアとシェルを成す物質は、前記に言及された互いに異なる半導体化合物からなり得る。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記コアは、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選ばれる1種以上の物質を含むことができるが、これらに限定されるものではない。前記シェルは、ZnSe、ZnSおよびZnTeから選ばれる1種以上の物質を含むことができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、本発明のコア−シェル構造の量子ドットは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/GaP/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSeTe/ZnSおよびInP/MnSe/ZnSよりなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。前記量子ドットは、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程(MOCVD,metal organic chemical vapor deposition)または分子線エピタキシ工程(MBE,molecular beam epitaxy)により合成され得るが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明の量子ドットは、表面に配置されるポリエチレングリコール系リガンドを含み、
本発明の一実施形態によれば、前記ポリエチレングリコール系リガンドは、下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0028】
(前記化学式1で、
R
1は、下記化学式1−1で表され、
nは、2〜100の整数である。)
【0030】
(前記化学式1−1で、
R
3は、直接連結基または炭素数1〜10のアルキレン基であり、
R
4は、下記化学式1−2で表され、
*は、結合手を意味する。)
【0032】
(前記化学式1−2で、
R
5は、酸素原子または硫黄原子であり、
R
6は、直接連結基または炭素数1〜10のアルキレン基であり、
mは、0〜1の整数であり、lは、0〜10の整数であり、
*は、結合手を意味する。)
【0033】
具体的に前記化学式1の化合物は、下記化学式2で表される化合物を含むことができる。
【0035】
(前記化学式2で、
炭素数3〜20の分岐鎖アルキル基よりなる群から選ばれ、
oは、0〜5の整数であり、pは、0〜1の整数であり、qは、2〜50の整数である)。
【0036】
このように、本発明のポリエチレングリコール系リガンドが前記化学式2で表される化合物を含む場合、分散性および光特性がより向上する利点がある。
【0037】
本発明で「アルキル基」とは、別途の説明がない限り、直鎖または分岐鎖であってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1,1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、2−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記ポリエチレングリコール系リガンドは、より具体的に、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(2−(2−Methoxyethoxy)acetic acid、WAKO社製)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(2−[2−(2−Methoxyethoxy)ethoxy]acetic acid、WAKO社製)、コハク酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethyl] ester)、マロン酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル(Malonic acid mono−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethyl] ester)、グルタル酸モノ−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エチル}エステル(Pentanedioic acid mono−{2−[2−(2−ethoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethyl} ester)、{2−[2−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−エトキシ]−エトキシ}−酢酸({2−[2−(2−Ethyl−hexyloxy)−ethoxy]−ethoxy}−acetic acid)、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−ethoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl]ester)、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl] ester)、マロン酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−イソブトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Malonic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−isobutoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl] ester)、アジピン酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Hexanedioic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl] ester)、2−オキソ−アジピン酸6−(2−{2−[2−(2−エトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エチル)エステル(2−Oxo−hexanedioic acid 6−(2−{2−[2−(2−ethoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethyl)ester)、コハク酸モノ−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチル]エステル(Succinic acid mono−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−methoxy−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethoxy]−ethoxy}−ethoxy)−ethyl] ester)、O−(スクシニル)−O’−メチルポリエチレングリコール2’000(O−(Succinyl)−O’−methylpolyethylene glycol 2’000、アルドリッチ社製)、(2−ブトキシ−エトキシ)−酢酸((2−Butoxy−ethoxy)−acetic acid、WAKO社製)、{2−[2−(カルボキシメトキシ)エトキシ]エトキシ}酢酸({2−[2−(carboxymethoxy)ethoxy]ethoxy}acetic acid、WAKO社製)、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]酢酸(2−[2−(Benzyloxy)ethoxy]acetic acid)、(2−カルボキシメトキシ−エトキシ)−酢酸((2−Carboxymethoxy−ethoxy)−acetic acid、WAKO社製)、カルボキシ−EG6−ウンデカンチオールを含むことができる。
【0039】
前述したように、本発明の量子ドットは、ポリエチレングリコール系リガンドを含むことによって、トルエン、ヘキサン、クロロホルムのように揮発性が大きい溶剤でなく、カラーフィルターの量産ラインで使用されているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような溶剤を使用するにもかかわらず、量子ドットの分散特性が良好であるという効果がある。
【0040】
本発明の光変換樹脂組成物は、前述したポリエチレングリコール系リガンドを含む非カドミウム系の量子ドット以外の量子ドットをさらに含むこともできるが、この場合、ポリエチレングリコール系リガンドを含む非カドミウム系の量子ドットの含量は、共に含まれるリガンドを含まない量子ドットの全体100重量部を基準として5〜150重量部、好ましくは10〜100重量部で含まれ得る。ポリエチレングリコール系リガンドを含む非カドミウム系の量子ドットが前記含量範囲未満で含まれる場合、量子ドットの分散特性が低下し得、前記範囲を超過する場合、塗膜の硬化特性が低下し得る。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記量子ドットは、2種以上の量子ドットを含むことができる。前記量子ドットが2種以上の量子ドットを含む場合、さらに優れた色再現性を有する画像表示装置を提供することができるという利点があるので好ましい。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記量子ドットは、入射した青色光源を用いて、緑色光および赤色光への光変換のために発光中心波長が互いに異なる2種またはそれ以上の量子ドットを含むことができる。具体的に、前記量子ドットは、色再現性の具現にさらに効果的な発光中心波長の範囲が510nm〜540nmである緑色量子ドット;および発光中心波長の範囲が610nm〜630nmである赤色量子ドット;を含むものであってもよく、この場合、青色光を緑色光または赤色光に変換するのにさらに有利であるという利点がある。
【0043】
この際、前記2種以上の量子ドットの発光中心波長の差は、70nm以上であってもよい。このように発光中心波長が異なる2種以上の量子ドットを使用する場合、色再現性をより向上させることができるという効果がある。
【0044】
本発明の非カドミウム系の量子ドットは、光変換樹脂組成物の固形分100重量部に対して1〜40重量部、好ましくは2〜20重量部で含まれ得る。前記量子ドットが前記範囲内に含まれる場合、発光効率に優れ、コーティング層の信頼性に優れているという利点がある。前記非カドミウム系の量子ドットが前記範囲未満で含まれる場合、緑色光および赤色光の光変換効率が不十分であり、前記範囲を超過する場合、相対的に青色光の放出が低下して、色再現性が劣る問題が発生し得る。
【0045】
散乱粒子
本発明による光変換樹脂組成物は、散乱粒子を含む。
【0046】
前記散乱粒子は、通常の無機材料を使用することができ、好ましくは平均粒径が50〜1,000nmである金属酸化物を含むことができる。
【0047】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、Inおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種の金属を含む酸化物であってもよいが、これらに限定されない。
【0048】
具体的に前記金属酸化物は、Al
2O
3、SiO
2、ZnO、ZrO
2、BaTiO
3、TiO
2、Ta
2O
5、Ti
3O
5、ITO、IZO、ATO、ZnO−Al、Nb
2O
3、SnO、MgOおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種が可能である。必要な場合、アクリレート等の不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0049】
ただし、本発明による光変換樹脂組成物が散乱粒子を含む場合、前記散乱粒子を通じて量子ドットから放出された光の経路を増加させて、光変換コーティング層での全体的な光効率を高めることができるので好ましい。
【0050】
前記散乱粒子は、50〜1,000nmの平均粒径を有し得、好ましくは100〜500nmの範囲であるものを使用することができる。この際、粒子のサイズがあまり小さい場合には、量子ドットから放出された光の十分な散乱効果を期待することができず、これとは反対に、あまり大きい場合には、組成物内に沈んだり、均一な品質の自発光層表面が得られないので、前記範囲内で適切に調節して使用することができる。
【0051】
前記散乱粒子は、前記光変換樹脂組成物の全体固形分100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部で含まれ得る。
【0052】
前記散乱粒子が前記範囲内に含まれる場合、発光強さの増加効果が最大化することができるので好ましい。前記散乱粒子が前記範囲未満に含まれる場合、得ようとする発光強さの確保が多少困難になり得、前記範囲を超過する場合、青色照射光の透過度が顕著に低下して、色再現性に問題が発生し得るので、前記範囲内で適切に使用することが好ましい。
【0053】
アルカリ可溶性樹脂
本発明による光変換樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含む。
【0054】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、当該適用技術分野において使用される多様な重合体の中から選択することができる。前記アルカリ可溶性樹脂は、酸価や水酸基を含有する樹脂であれば、特に限定しないが、形状やパターン段差、基板との密着性および耐溶剤性の観点からエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、カルボキシル基含有(脂環式)エポキシ基系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂等が挙げられるが、その中でもエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂や(脂環式)エポキシ基系樹脂がより効果的である。(脂環式)エポキシ基が含まれたバインダー樹脂は、経時変化が少なく、かつ耐薬品性、電気的特性など信頼性の向上が可能であるので、より好ましい。
【0055】
また、前記アルカリ可溶性樹脂の分子量は、重量平均分子量が3,000〜40,000の範囲内であるものが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000の範囲が好適である。前記アルカリ可溶性樹脂の分子量が前記範囲以内の場合には、膜形成能と信頼性、現像性のバランスに優れる傾向にある。また、前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、固形分を基準として50〜200mg・KOH/gの範囲が好ましく、前記バインダー樹脂の酸価が前記範囲以内の場合には、アルカリ現像に対する現像性に優れ、残渣の発生が抑制され、パターンの密着性が向上する利点がある。
【0056】
本発明において「酸価」とは、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、水酸化カリウム水溶液を使用して滴定することにより求めることができる。
【0057】
前記アルカリ可溶性樹脂は、前記光変換樹脂組成物全体100重量部に対して1〜80重量部、好ましくは5〜70重量部、より好ましくは2〜70重量部で含まれ得る。
【0058】
前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲内に含まれる場合、現像液での溶解性が十分であるので、パターン形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて、非画素部分の脱落性が良好になるので好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲未満に含まれる場合、非画素の部分が多少脱落し得、前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲を超過して含まれる場合、現像液での溶解性が多少低下して、パターン形成が多少困難になり得る。
【0059】
熱硬化剤
本発明による光変換樹脂組成物は、熱硬化剤を含む。
【0060】
前記熱硬化剤は、塗膜の表面硬度および密着性に優れていると共に、高温工程での弾性回復率に優れていることになり、アウトガスの発生量を最小化して、パネル作動時に発生し得る残像に有利であるという長所がある。
【0061】
本発明の熱硬化剤は、多官能脂環族エポキシ樹脂またはノボラックエポキシ樹脂を含むことを特徴とすることによって、特にシラン変性エポキシ樹脂を使用する場合より経時安定性の確保に有利であるという利点がある。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記多官能脂環族エポキシ樹脂は、下記化学式3または4で表される化合物を含むことができる。
【0064】
(前記化学式3で、
R
8は、C1〜C10アルキル基であり、
a、bおよびcは、それぞれ独立して、1〜20の整数である。)
【0066】
本発明において、前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1,1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、2−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル等があるが、これらに限定されない。
【0067】
前記多官能脂環族エポキシ樹脂の市販品としては、ダイセル化学工業株式会社製の「CEL−2021」、脂環式固形エポキシ樹脂「EHPE−3150」、エポキシ化ポリブタジエン「PB3600」、可撓性脂肪環エポキシ化合物「CEL−2081」、ラクトン変性エポキシ樹脂「PCL−G」等を使用することができる。また、その他にもダイセル化学工業株式会社製の「セロキサイド2000」、「エポリードGT−3000」、「GT−4000」等を使用することができるが、これらに限定されない。
【0068】
前記多官能脂環族エポキシ樹脂を使用することによって、塗膜の表面硬度および密着性に優れていると共に、高温工程での弾性回復率に優れ、アウトガスの発生量を最小化して、パネル作動時に発生し得る残像に有利であるという長所がある。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、前記ノボラックエポキシ樹脂は、下記化学式5で表される化合物を含むことができる。
【0071】
(前記化学式5で、vは、1〜20の整数である。)
【0072】
前記ノボラックエポキシ樹脂の市販品としては、スミエポキシESCN 195XL (住友化学工業株式会社製造)等を使用することができるが、やはりこれに限定されない。
【0073】
前記ノボラックエポキシ樹脂を使用することによって、塗膜の表面硬度および密着性に優れていると共に、高温工程での弾性回復率に優れていることになり、アウトガスの発生量を最小化して、パネル作動時に発生し得る残像に有利であるという長所がある。
【0074】
前記熱硬化剤は、前記光変換樹脂組成物の固形分100重量%に対して0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜35重量%、より好ましくは5〜30重量%で含まれ得る。
【0075】
前記熱硬化剤が前記範囲を満たす場合には、塗膜の硬度を向上させて、塗膜の表面硬度および密着性に優れていると共に、高温工程での弾性回復率に優れていることになり、アウトガスの発生量を最小化して、パネル作動時に発生し得る残像に有利であるという長所がある。他方で、前記熱硬化剤が前記範囲を外れる場合には、塗膜の表面硬度が低下し得、密着力が低下して、クラックが発生し得、高温工程での弾性回復率が低下して、表面シワが発生する可能性がある。また、アウトガスの発生量が増加すると、パネル作動時に残像の発生危険性がある。
【0076】
溶剤
本発明による光変換樹脂組成物は、溶剤を含む。
【0077】
前記溶剤は、少なくとも1種以上を含むことができ、特に沸点が100〜240℃である溶剤が全体溶剤に比べて50%以上含まれる場合、流れ特性に優れていることになり、コーティングムラおよび乾燥異物が発生しないので、コーティング異物がない良好な光変換積層基材を提供することができる。
【0078】
前記沸点が100℃未満である溶剤が全体溶剤の50%以上である場合、乾燥速度が速くて、真空乾燥(Vacuum Dry)工程時に塗膜の表面にムラが発生して、不良を引き起こすことができるのに対し、沸点が240℃を超過する溶剤が全体溶剤の50%以上である場合、真空乾燥工程時に所要時間(Tack−time)が長くなる問題を引き起こすことができる。したがって、全体溶剤の50%以上の溶剤は、沸点が100〜240℃である溶剤を使用することが適切である。
【0079】
前記溶剤の具体的な例としては、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類およびアミド類等よりなる群から選ばれる1種以上を含むことができ、具体的にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサンオールおよび3−エトキシプロピオン酸エチル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノプロピレンエテール、エチレングリコールモノブチレンエテール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メトキシブチルアセテート、エチレングリコールおよびγ−ブチロラクトン等よりなる群から選ばれる1種〜2種以上であってもよい。
【0080】
本発明の光変換樹脂組成物中の溶剤の含量は、前記光変換樹脂組成物100重量%に対して5〜90重量%、好ましくは30〜80重量%で含むことができる。前記溶剤が前記範囲内に含まれる場合、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう)、インクジェット等の塗布装置で塗布したとき、塗布性が良好になり得る。
【0081】
<光変換積層基材>
本発明による光変換積層基材は、光変換樹脂組成物の硬化物を含む。前記光変換積層基材は、光変換樹脂組成物の硬化物を含むことによって、基材の上にコーティング層を形成するとき、100〜250℃の温度でより効果的に加工することができ、従来の複雑な構造に比べて輝度および長期信頼性に優れている。
【0082】
前記基材は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)または高分子基板であってもよく、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone,PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)等であってもよい。
【0083】
前記光変換積層基材は、前述した基材上に前記光変換樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光、現像および熱硬化して形成され得る。
【0084】
<画像表示装置>
本発明による画像表示装置は、前述した光変換積層基材を含む。前記画像表示装置は、具体的に、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、液晶プロジェクター、ゲーム機用表示装置、携帯電話等の携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カー・ナビゲーション用表示装置等の表示装置等が挙げられ、特にカラー表示装置が好適である。
【0085】
前記画像表示装置は、前記光変換積層基材を具備したことを除いて、本発明の技術分野において当業者に知られている構成をさらに含むことができ、すなわち、本発明は、本発明の光変換積層基材を適用できる画像表示装置を含む。
【0086】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を取って詳細に説明する。しかしながら、本明細書による実施例は、様々な他の形態に変形され得、本明細書の範囲が以下で詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下で含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0087】
散乱粒子分散液の製造
製造例1:散乱粒子分散液S−1の製造
散乱粒子として粒径が150nmのTiO
2(ハンツマン社製、TTO−55(C))70.0重量部、分散剤としてDISPERBYK−2001(BYK社製造)4.0重量部、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート26重量部をビーズミルにより12時間混合/分散して、散乱粒子分散液S−1を製造した。
【0088】
合成例1:量子ドットの合成
合成例1−1:緑色量子ドットの合成(A−1)
インジウムアセテート(Indium acetate)0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸(palmitic acid)0.6mmol(0.15g)および1−オクタデセン(octadecene)20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換した。280℃に加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS
3P)0.2mmol(58μl)およびトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を迅速に注入し、1分間反応させた。
【0089】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP混合溶液2mlを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中のセレニウム(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷ました反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後に減圧乾燥して、InP/ZnSeコア−シェルを形成させた。
【0090】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP/ZnSeコアシェル2mlを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷ました反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後に減圧乾燥して、InP/ZnSe/ZnSコア−シェル構造の量子ドットを収得して、クロロホルムに分散させた。
【0091】
得られたナノ量子ドットの光発光スペクトルの最大発光ピークは、515nmであり、量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離を通じて分離した上澄み液を捨て、沈殿物に2mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、0.5gのO−(スクシニル)−O’−メチルポリエチレングリコール2’000(アルドリッチ社製)を入れ、窒素の雰囲気下で60℃に加熱しつつ、1時間反応させた。
【0092】
次に、得られた反応物に25mLのn−ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4mLを投入して、80℃に加熱しつつ、分散させた。PGMEAで固形分は、25%に調整した。最終的に得られた量子ドットの最大発光ピークは、515nmであった。
【0093】
合成例1−2:緑色量子ドットの合成(A−2)
インジウムアセテート0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸0.6mmol(0.15g)および1−オクタデセン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換した。280℃に加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS
3P)0.2mmol(58μl)およびトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を迅速に注入し、1.5分間反応させた。
【0094】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換して反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP混合溶液2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中のセレニウム(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷ました反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後に減圧乾燥して、InP/ZnSeコア−シェルを形成させた。
【0095】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP/ZnSeコア−シェル2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷ました反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後に減圧乾燥して、InP/ZnSe/ZnSコア−シェル構造の量子ドットを収得した後、クロロホルムに分散させた。
【0096】
得られたナノ量子ドットの光発光スペクトルの最大発光ピークは、526nmであり、量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離を通じて分離した上澄み液を捨て、沈殿物に2mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、0.50gの(2−ブトキシ−エトキシ)−酢酸を入れ、窒素の雰囲気下で60℃に加熱しつつ、1時間反応させた。
【0097】
次に、反応物に25mLのn−ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4mLを投入して、80℃に加熱しつつ、分散させた。PGMEAで固形分は、25%に調整した。最終的に得られた量子ドットの最大発光波長は、536nmであった。
【0098】
合成例1−3:赤色量子ドットの合成(A−3)
インジウムアセテート0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸0.6mmol(0.15g)および1−オクタデセン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換した。280℃に加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS
3P)0.2mmol(58μl)およびトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を迅速に注入し、5分間反応後、反応溶液を常温に迅速に冷ました。
【0099】
亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP混合溶液2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中のセレニウム(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応後、常温に下げて、InP/ZnSeコア−シェルを形成させた。
【0100】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP/ZnSeコア−シェル2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷ました反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後に減圧乾燥して、InP/ZnSe/ZnSコア−シェル構造の量子ドットを収得した後、クロロホルムに分散させた。
【0101】
得られたナノ量子ドットの光発光スペクトルの最大発光ピークは、628nmであり、合成された量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離を通じて分離した上澄み液を捨て、沈殿物に2mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、0.65gの2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(WAKO社製)を入れ、窒素の雰囲気下で60℃に加熱しつつ、1時間反応させた。
【0102】
次に、反応物に25mLのn−ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して上澄み液を捨て、沈殿物を分離した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4mLを投入して、80℃に加熱しつつ、分散させた。この際、PGMEAで固形分を25%に調整した。最終的に得られた量子ドットの最大発光波長は、628nmであった。
【0103】
合成例1−4:赤色量子ドット合成(A−4)
インジウムアセテート0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸0.6mmol(0.15g)および1−オクタデセン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換した。280℃に加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS
3P)0.2mmol(58μl)およびトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を迅速に注入し、4.5分間反応後、反応溶液を常温に迅速に冷ました。
【0104】
亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP混合溶液2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中のセレニウム(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応後、常温に下げて、InP/ZnSeコア−シェルを形成させた。
【0105】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下に120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に転換し、反応器を280℃に昇温させた。先立って合成したInP/ZnSeコア−シェル2mLを入れ、次に、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷ました反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧濾過後に減圧乾燥して、InP/ZnSe/ZnSコア−シェル構造の量子ドットを収得した後、クロロホルムに分散させた。
【0106】
得られたナノ量子ドットの光発光スペクトルの最大発光ピークは、616nmであり、合成された量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離を通じて上澄み液を捨て、沈殿物に2mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、0.65gの2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(WAKO社)を入れ、窒素の雰囲気下で60℃に加熱しつつ、1時間反応させた。
【0107】
次に、反応物に25mLのn−ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して、上澄み液を捨て、沈殿物を分離した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4mLを投入して、80℃に加熱しつつ、分散させた。この際、PGMEAで固形分を25%に調整した。最終的に得られた量子ドットの最大発光波長は、616nmであった。
【0108】
合成例2:アルカリ可溶性樹脂(C)
撹拌器、温度計、還流冷却観、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド45重量部、メタクリル酸45重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという)40重量部を投入した後、撹拌混合して、モノマー滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れ、撹拌混合して、連鎖移動剤滴下漏斗を準備した。その後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に転換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート10重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しつつ、固形分が29.1重量%、重量平均分子量が32,000、酸価が114mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂を得た。
【0109】
実施例1〜12および比較例1〜14:光変換樹脂組成物の製造
下記表1の成分および含量(重量%)を使用して実施例および比較例による光変換樹脂組成物を製造した。
【0111】
実験例
前記実施例および比較例で製造された光変換樹脂組成物を用いて下記のように光変換コーティング層を製造し、この際の塗膜輝度、色再現性、表面硬度、弾性回復率、密着力、アウトガスの発生量および経時変化率を下記のような方法で測定し、その結果は、下記表2に示した。
【0112】
(1)光変換コーティング層の製造
実施例および比較例で製造された光変換樹脂組成物を用いてコーティング膜を製造した。すなわち、前記それぞれの光変換樹脂組成物をスピンコーティング法で5cm×5cmのガラス基板の上に塗布した後、加熱板の上に載置し、100℃の温度で10分間維持して薄膜を形成させた後、180℃の加熱オーブンで30分間加熱して、光変換コーティング層を製造した。前記で製造された光変換樹脂膜の厚さは、量子ドットの含量によって8.0μmの厚さに製作した。
【0113】
(2)輝度
前記(1)で製造されたコーティング膜を青色光源(XLamp XR−E LED,Royal blue 450、Cree社製)の上部に位置させた後、輝度測定機(CAS140CT Spectrometer、インスツルメントシステムズ社製)を用いて、青色光の照射時に測定輝度を測定し、その評価結果は、下記表2に記載した。
【0114】
(3)色再現性
前記(1)で製造されたコーティング膜を青色光源(XLamp XR−E LED、Royal blue 450、Cree社)の上部に位置させ、その上に赤色、緑色{みどりいろ}、青色がパターンされたカラーフィルター基板(UN65、三星電子株式会社製のTV Color filterを使用)を位置させた後、色度測定機(OSP−200、オリンパス社製)を用いて、赤色、緑色{みどりいろ}、青色の色座標を測定して、この際に表現される色再現領域を、NTSC色領域対比面積比を計算し、その評価結果は、下記表2に記載した。
【0115】
(4)塗膜の表面硬度
前記(1)で製造されたコーティング膜の硬化度を硬度計(HM500;フィッシャー社製品)を使用して150℃の高温で測定した。この際に得られた結果は、下記表2に示した。この際、塗膜の表面硬度は、下記基準に基づいて評価した。
<評価基準>
○:表面硬度50以上
△:表面硬度30以上50未満
×:表面硬度30未満
【0116】
(5)弾性回復率
前記(1)で製造されたコーティング膜の弾性回復率は、フィッシャー硬度計(fischerscope HM−2000、フィッシャー社製)を用い、前記(1)で製造されたコーティング膜に50mNまで力(Force)を加えて測定し、その結果は、下記表2に示した。
<評価基準>
○:優秀、弾性回復率60以上
△:不足、弾性回復率30以上60未満
×:悪化、弾性回復率30未満
【0117】
(6)密着力
前記(1)で製造されたコーティング膜の密着力の評価は、TQC社製のCross Cut Adhesion Test CC1000を使用して表面に1mmの間隔で横および縦方向にそれぞれ11行の線を引いて総100個の格子が生じるようにカッティングを行い、TQC社のテープを使用してカッティングした表面の密着力を評価した。この際、密着力は、下記基準に基づいて評価し、得られた結果は、下記表2に示した。
<評価基準>
○:90個以上のパターンを維持
△:60〜89個のパターンを維持
×:9〜59個のパターンを維持
【0118】
(7)アウトガスの発生量
前記(1)で製造されたコーティング層をPy−GC/FIDを通じて230℃で30分間熱分解して捕集した化合物を分析した。
【0119】
この際、アウトガスの発生量は、下記基準に基づいて評価し、得られた結果は、下記表2に示した。
<評価基準>
比較例1の値を100%基準として百分率で表示し、その値が低いほど優秀である。
【0120】
(8)経時変化率
前記(1)のコーティング層の製作のために、製造された光変換樹脂組成物を調製した日の初期粘度と常温で1ヶ月間保管した後の粘度を測定して、経時変化の如何を確認した。粘度計(東機産業株式会社製造の[TV−35粘度計])を用いて、25℃において回転数50rpmの条件で測定した。
【0121】
この際、経時変化率は、下記基準に基づいて評価し、得られた結果は、下記表2に示した。
<評価基準>
常温での粘度変化率は、102%以内を基準とし、102%以下は、経時変化の安定性があるもので示した。
[光変換樹脂組成物の粘度変化率]=(経時粘度/初期粘度)×100
【0122】
(9)ヘーズ
前記実施例および比較例で散乱粒子を投入しない光変換樹脂組成物に対して、ヘーズメーター(haze meter)(HZ−1、Suga社製)を用いてヘーズを測定し、得られた結果は、下記表2に示した。
<評価基準>
ヘーズ数値が8.0以下は、良好な水準とする。
【0124】
前記表2を参照すると、本発明で提示する構成をすべて満たす実施例1〜12の場合、本発明で提示する構成をいずれか一つでも満足しない比較例1〜14の場合より、輝度、色再現性、ヘーズ等の光学特性はもちろん、塗膜硬度、弾性回復率、密着力、アウトガスの発生防止、経時変化率の面においてさらに優れた効果を示すことを確認することができた。
【0125】
具体的に、本発明で提示する量子ドットの構成を満足しない比較例1〜10の場合、液状分散性が不良で、量子ドットの量子効率が低下することによって、輝度および色再現性が低下し、ヘーズが増加する等光学特性が良くないことを確認することができ、熱硬化剤としてシラン変性エポキシ樹脂を含む比較例5〜8および比較例11〜13の場合、経時変化率が良くないことを確認することができた。特に、熱硬化剤を全く含まない比較例14の場合、塗膜硬度、弾性回復率、密着力がすべて良くないことを確認することができた。