(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0149】
詳細な説明
本明細書で化合物Iと指定される化合物5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(5−((4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−4−メチルベンズアミド)としても公知である)は、式:
【化2】
を有する。
【0150】
化合物Iは、ASK1 293細胞ベースのアッセイにおいて約2ナノモル濃度のEC
50値を示す。このアッセイの実験プロトコールは、当技術分野で公知であり、その全体が参考として本明細書に援用される米国特許第8,742,126号に記載されている。
【0151】
本開示は、化合物Iの様々な結晶形態、およびその結晶形態を作製するプロセスに関する。化合物Iはまた、本明細書で「化合物Iの形態I」、「化合物Iの形態II」、「化合物Iの形態III」、「化合物Iの形態IV」、「化合物Iの形態V」、「化合物Iの形態VI」、「化合物Iの形態VII」、「化合物Iの形態VIII」、「化合物Iの形態IX」および「非晶質化合物I」とさらに説明される形態を提供する。一部の実施形態では、化合物Iのこのような形態は、溶媒和物であっても水和物であってよい。
【0152】
化合物Iの追加の結晶形態はまた、本明細書でさらに説明される。一部の実施形態では、化合物Iの結晶形態は、化合物Iの塩または共結晶を含み得る。化合物Iの塩または共結晶は、次式:
【化3】
を有し得る。
【0153】
一部の実施形態では、Xは、エシラート、フマラート、グリコラート、塩酸塩、マレアート、メシラート、オキサラート、スルファート、アジパート、ベシラート、エジシラート、ゲンチサート、グルタラート、L−タルトラート、プロピルガラート、スクシナート、およびトシラートであり得る。本明細書では、以下の例示的な形態、「化合物Iのエシル酸塩形態I」、「化合物Iのフマル酸塩形態I」、「化合物Iのグリコール酸塩形態I」、「化合物IのHCl形態I」、「化合物Iのマレイン酸塩形態I」、「化合物Iのメシル酸塩形態I」、「化合物Iのシュウ酸塩形態I」、「化合物Iの硫酸塩形態I」、「化合物Iのアジピン酸塩形態I」、「化合物Iのベシル酸塩形態I」、「化合物Iのエジシル酸塩形態I」、「化合物Iのエジシル酸塩形態II」、「化合物Iのゲンチシン酸塩形態I」、「化合物Iのゲンチシン酸塩形態II」、「化合物Iのグルタル酸塩形態I」、「化合物Iのグルタル酸塩形態II」、「化合物IのL−酒石酸塩形態I」、「化合物IのL−酒石酸塩形態II」、「化合物Iのプロピルガラート形態I」、「化合物Iのコハク酸塩形態I」および「化合物Iのトシル酸塩形態I」がさらに説明される。
【0154】
定義
本明細書で使用される場合、以下の語および句は、一般に、それらが使用される文脈によって別段指定されている場合を除き、下記の意味を有するものとする。
【0155】
本明細書で使用される場合、定量的測定の文脈で使用される用語「約」は、指定量±10%、あるいは指定量±5%または±1%を意味する。
【0156】
用語「複合体」は、化合物Iと別の分子との相互作用から生じた形成物を指す。
【0157】
用語「溶媒和物」は、化合物Iと溶媒を組み合わせることによって形成された複合体を指す。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」には、水和物(すなわち、溶媒が水である場合の溶媒和物)が含まれる。
【0158】
用語「共結晶」は、イオン化または非イオン化化合物I(または本明細書に開示の任意の他の化合物)と、非共有結合性相互作用によって接続された1つまたは複数の非イオン化共結晶形成剤(例えば薬学的に許容される塩)の分子複合体を指す。ある特定の実施形
態では、共結晶は、遊離形態(すなわち、遊離した分子、双性イオン、水和物、溶媒和物等)または塩(塩の水和物および溶媒和物を含む)と比較して、改善された特性を有することができる。さらなる実施形態では、改善された特性は、高められた可溶性、高められた溶解性、高められたバイオアベイラビリティ、高められた用量応答、低下させた吸湿性、通常は非晶質化合物の結晶形態、塩化(salt)困難なまたは塩化不能(unsaltable)な化合物の結晶形態、低下させた形態多様性、より望ましい形態等からなる群から選択される。
【0159】
用語「共結晶形成剤」または「共形成剤」は、化合物Iまたは本明細書に開示の任意の他の化合物に関連して本明細書に開示されている1つまたは複数の薬学的に許容される塩基および/または薬学的に許容される酸を指す。
【0160】
また、化合物Iを含む本明細書中で与えられる任意の式または構造は、化合物の非標識化形態および同位体標識された形態を表すことを企図する。同位体標識された化合物は、1つまたは複数の原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除き、本明細書中で与えられる式によって図示される構造を有する。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば
2H(重水素、D)、
3H(トリチウム)、
11C、
13C、
14C、
15N、
18F、
31P、
32P、
35S、
36Clおよび
125Iが挙げられるが、それらに限定されない。本開示の同位体標識された様々な化合物、例えば
3H、
13Cおよび
14Cなどの同位体が組み込まれた化合物を調製することができる。このような同位体標識された化合物は、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む代謝研究、反応速度研究、検出もしくは画像化技術、例えば陽電子放出断層撮影法(PET)もしくは単一光子発光コンピュータ断層撮影法(SPECT)において、または患者の放射線処置において有用であり得る。
【0161】
本開示はまた、炭素原子に結合している1個〜「n」個の水素(nは、分子中の水素の数である)が、重水素によって置き換えられている化合物Iを含む。このような化合物は、代謝に対する抵抗性の増大を示し、したがって哺乳動物に投与される場合、任意の化合物Iの半減期を増大させるのに有用であり得る。例えば、Foster、「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」、Trends Pharmacol. Sci. 5巻(12号):524〜527頁(1984年)参照。このような化合物は、当技術分野で周知の手段によって、例えば1つまたは複数の水素原子が重水素によって置き換えられている出発材料を用いることによって合成される。
【0162】
本開示の重水素で標識されたまたは置換された化合物は、分布、代謝および排出(ADME)に関して、改善されたDMPK(薬物代謝および薬物動態)特性を有することができる。より重い同位体、例えば重水素で置換すると、より高い代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点、例えばin vivo半減期の延長、または投与量必要条件の低減がもたらされ得る。
18Fで標識された化合物は、PETまたはSPECT研究に有用であり得る。本開示の同位体標識された化合物およびそのプロドラッグは、一般に、下記のスキームまたは実施例および調製に開示されている手順を実施し、同位体標識されていない試薬の代わりに容易に利用可能な同位体標識された試薬を用いることによって調製され得る。さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわち、
2HまたはD)で置換すると、より高い代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点ことができ、例えばin vivo半減期の延長、または投与量必要条件の低減、または治療指数の改善がもたらされ得る。この文脈における重水素は、化合物Iにおける置換基とみなされると理解される。
【0163】
このようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義
され得る。本開示の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定な同位体を表すことが意図されている。別段述べられていない限り、ある位置が具体的に「H」または「水素」と指定される場合、その位置は、天然存在度の同位体組成で水素を有すると理解される。したがって、本開示の化合物において、具体的に重水素(D)と指定される任意の原子は、重水素を表すことが意図されている。
【0164】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、本発明の化合物またはその使用にとって有害ではない、溶媒、賦形剤、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などの添加剤または剤等が含まれる。薬学的に活性な物質の組成物を調製するためのこのような担体および剤の使用は、当技術分野で周知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、ペンシルベニア州フィラデルフィア、17版(1985年)およびModern Pharmaceutics、Marcel Dekker, Inc. 第3版(G. S. BankerおよびC. T. Rhodes、編集)参照。
【0165】
用語「治療有効量」は、1回または複数回の用量のこのような処置を必要とする患者(特にヒト)に投与される場合の、以下に定義のとおり処置を行うのに十分な本明細書に記載の化合物の量を指す。治療有効量は、患者、処置を受ける疾患、患者の体重および/もしくは年齢、疾患の重症度、または認定された処方者もしくは治療奉仕者によって決定される投与方式に応じて変わる。
【0166】
用語「処置」または「処置する」は、
(i)疾患の発症を遅延させる、すなわち疾患の臨床症状を発生させない、もしくはその発生を遅延させる、
(ii)疾患を阻害する、すなわち臨床症状の発生を停止させる、かつ/または
(iii)疾患を軽減する、すなわち臨床症状もしくはその重症度の退縮を引き起こす
目的で、本明細書に記載の化合物を投与することを意味する。
【0167】
さらに、本明細書で使用される略語は、以下のとおりそれぞれの意味を有する。
【表A-1】
【表A-2】
【0168】
化合物Iの形態
一般に先に記載のとおり、本開示は、本明細書で指定されるとおりの化合物Iの結晶形態および化合物Iの塩/共結晶を提供する。また、追加の形態を、本明細書でさらに論じる。
【0169】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:16.7、21.3、および22.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、8.9、10.0、13.9、および29.0°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態Iはまた、
図1に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.9、10.0、13.1、13.9、15.0、16.7、17.8、18.6、18.8、21.3、21.6、22.2、22.8、23.7、および29.0°2θ±0.2°2θを含む。
【0170】
一部の実施形態では、化合物Iの形態Iは、約202℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態Iはまた、
図2に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0171】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態II)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:11.2、16.6、および17.4°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、4.9、23.7、および27.4°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態IIはまた、
図4に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態IIのディフラクトグラムは、以下のピーク:4.9、10.0、11.2、11.7、11.8、12.6、14.3、15.6、16.6、17.4、17.8、18.3、18.8、22.5、22.8、23.7、27.1、27.4
、28.2、および28.4°2θ±0.2°2θを含む。
【0172】
一部の実施形態では、化合物Iの形態IIは、約92℃における吸熱、約160℃における吸熱、約166℃における発熱、および約200℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態IIはまた、
図5に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0173】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態III)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:5.1、10.2、および25.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、11.4、18.4、および21.9°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態IIIはまた、
図7に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態IIIのディフラクトグラムは、以下のピーク:5.1、10.2、11.4、16.9、18.4、19.5、21.1、21.6、21.9、22.2、23.9、24.5、25.3、26.3、および26.6°2θ±0.2°2θを含む。
【0174】
一部の実施形態では、化合物Iの形態IIIは、約92℃における吸熱、約150℃における発熱、および約203℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態IIIはまた、
図8に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0175】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態IV)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:7.2、12.6、および19.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、13.8、25.9、および28.6°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態IVはまた、
図10に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態IVのディフラクトグラムは、以下のピーク:7.2、12.6、13.8、14.3、14.8、15.9、17.7、18.0、18.4、19.2、19.3、21.5、23.4、23.9、25.2、25.9、27.3、および28.6°2θ±0.2°2θを含む。
【0176】
一部の実施形態では、化合物Iの形態IVは、約62℃における吸熱、約147℃における吸熱、約153℃における発熱、および約204℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態IVはまた、
図11に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0177】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態V)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:9.7、13.3、および16.4°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、13.3、17.2、19.3、および22.2°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態Vおよび化合物Iの形態
IIの混合物はまた、
図13に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態Vのディフラクトグラムは、以下のピーク:9.7、12.4、13.3、16.4、17.2、19.3、22.2、24.9、および27.9°2θ±0.2°2θを含む。
【0178】
一部の実施形態では、化合物Iの形態Vおよび化合物Iの形態IIの混合物は、約164℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。別の実施形態では、化合物Iの形態Vおよび化合物Iの形態IIの混合物は、約91℃における吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態Vおよび化合物Iの形態IIの混合物はまた、
図14に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0179】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態VI)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.8、23.2、および23.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、10.3、15.2、18.6、および28.8°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態VIはまた、
図16に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態VIのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.8、10.3、10.9、15.2、16.1、18.1、18.3、18.6、23.2、23.3、23.5、26.1、28.5、および28.8°2θ±0.2°2θを含む。
【0180】
一部の実施形態では、化合物Iの形態VIは、約202℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態VIはまた、
図17に実質的に示されているそのDSC曲線によって特徴付けられる。
【0181】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態VII)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.2、14.2、および22.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、18.0および21.7°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態VIIはまた、
図41に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態VIIのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.2、14.2、18.0、21.7、および22.9°2θ±0.2°2θを含む。
【0182】
一部の実施形態では、化合物Iの形態VIIは、約202℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態VIIは、約147℃における吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態VIIはまた、
図42に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0183】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態VIII)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.4、19
.3、および24.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、14.6、15.0、16.8、および20.4°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態VIIIはまた、
図44に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態VIIIのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.4、14.6、15.0、16.8、19.3、20.4、および24.3°2θ±0.2°2θを含む。
【0184】
一部の実施形態では、化合物Iの形態VIIIは、約203℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態VIIIは、約75℃における小さい吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態VIIIはまた、
図45に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0185】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態IX)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:6.9、14.3、23.7、および24.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、10.1、21.0、および26.9°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの形態IXはまた、
図47に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの形態IXのディフラクトグラムは、以下のピーク:6.9、10.1、14.3、21.0、23.7、24.8、および26.9°2θ±0.2°2θを含む。
【0186】
一部の実施形態では、化合物Iの形態IXは、約91℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iの形態IXはまた、
図48に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0187】
一部の実施形態では、化合物Iは、非晶質である。ある特定の実施形態では、非晶質化合物Iは、
図50に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0188】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドエシル酸塩(化合物Iのエシル酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.9、23.6、および25.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、16.0および24.7°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのエシル酸塩形態Iはまた、
図19に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.9、10.5、10.6、11.4、12.9、14.5、16.0、17.6、18.6、19.8、20.9、21.3、23.6、24.7、25.9、および29.3°2θ±0.2°2θを含む。
【0189】
一部の実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Iは、約221℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのエシル酸塩形態Iはまた、
図20に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0190】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドフマル酸塩(化合物Iのフマル酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:18.9、23.2、および25.6°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、7.5および26.1°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのフマル酸塩形態Iはまた、
図22に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのフマル酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:7.5、8.0、10.2、11.8、12.1、14.6、16.0、16.6、16.8、18.6、18.9、19.5、20.1、23.2、23.6、23.8、24.3、24.6、25.6、26.1、27.8、および30.3°2θ±0.2°2θを含む。
【0191】
一部の実施形態では、化合物Iのフマル酸塩形態Iは、約130℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのフマル酸塩形態Iはまた、
図23に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0192】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドグリコール酸塩(化合物Iのグリコール酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:10.9、15.1、および25.2°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、22.2および24.6°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのグリコール酸塩形態Iはまた、
図25に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのグリコール酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:7.5、10.9、14.8、15.1、17.1、17.2、20.4、20.8、21.6、21.8、22.0、22.2、23.1、23.6、24.6、25.2、25.5、および28.6°2θ±0.2°2θを含む。
【0193】
一部の実施形態では、化合物Iのグリコール酸塩形態Iは、約148℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのグリコール酸塩形態Iはまた、
図26に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0194】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド塩酸塩(化合物IのHCl形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.2、26.0、および26.1°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、12.0および19.6°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物IのHCl形態Iはまた、
図28に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物IのHCl形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.2、9.7、12.0、14.1、14.4、14.6、15.3、19.3、19.6、19.8、21.6、23.9、26.0、26.1、26.3、および28.8°2θ±0.2°2θを含む。
【0195】
一部の実施形態では、化合物IのHCl形態Iは、約77℃における吸熱および約191℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物IのHCl形態Iはまた、
図29に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0196】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドマレイン酸塩(化合物Iのマレイン酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.7、25.7、および26.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、17.9および26.6°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのマレイン酸塩形態Iはまた、
図31に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのマレイン酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.7、9.0、9.1、10.4、13.0、13.5、14.2、14.9、16.8、17.9、18.4、19.7、20.0、23.2、23.5、25.5、25.7、26.5、および26.6°2θ±0.2°2θを含む。
【0197】
一部の実施形態では、化合物Iのマレイン酸塩形態Iは、約152℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのマレイン酸塩形態Iはまた、
図32に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0198】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドメシル酸塩(化合物Iのメシル酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.9、24.5、および25.6°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、10.7および21.6°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのメシル酸塩形態Iはまた、
図34に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのメシル酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.9、10.5、10.7、11.9、12.8、14.9、16.3、17.4、18.4、20.1、20.9、21.2、21.6、23.9、24.5、25.6、25.8、26.8、および30.1°2θ±0.2°2θを含む。
【0199】
一部の実施形態では、化合物Iのメシル酸塩形態Iは、0℃未満での吸熱、100℃未満での吸熱、および約232℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのメシル酸塩形態Iはまた、
図35に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0200】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドシュウ酸塩(化合物Iのシュウ酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:13.3、13.5、および26.0°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、7.3および24.5°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのシュウ酸塩形態Iはまた、
図37に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピー
ク:7.3、9.5、12.1、12.2、13.3、13.5、13.9、17.9、19.9、20.3、20.8、21.4、21.6、22.2、23.9、24.5、25.5、25.7、および26.0°2θ±0.2°2θを含む。
【0201】
一部の実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Iは、約216℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのシュウ酸塩形態Iはまた、
図38に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0202】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド硫酸塩(化合物Iの硫酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:7.1、13.8、および25.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、17.0および21.2°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iの硫酸塩形態Iはまた、
図40に実質的に示されているその完全なX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iの硫酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:7.1、9.1、9.3、10.8、12.2、13.1、13.4、13.8、17.0、18.1、18.2、20.4、21.0、21.2、25.4、25.5、26.9、27.8、および26.9°2θ±0.2°2θを含む。
【0203】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドアジピン酸塩(化合物Iのアジピン酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:6.4、14.6、および24.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、9.7、12.1、および19.3°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのアジピン酸塩形態Iはまた、
図51に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのアジピン酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:6.4、8.1、9.7、12.1、14.6、17.4、19.3、および24.5°2θ±0.2°2θを含む。
【0204】
一部の実施形態では、化合物Iのアジピン酸塩形態Iは、約151℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのアジピン酸塩形態Iはまた、
図52に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0205】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドベシル酸塩(化合物Iのベシル酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:6.9、10.8、および12.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、10.2、20.9、および25.4°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのベシル酸塩形態Iはまた、
図54に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:6.9、10.2、10.8、12.9、16.4、20.9、25.4、および25.9°2θ±0.2°2θを含む。
【0206】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドエジシル酸塩(化合物Iのエジシル酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:10.3、16.9、19.5、および23.7°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、15.6および26.0°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのエジシル酸塩形態Iはまた、
図55に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.3、10.3、15.6、16.9、19.5、23.7、および26.0°2θ±0.2°2θを含む。
【0207】
一部の実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Iは、約240℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Iは、100℃未満での吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのエジシル酸塩形態Iはまた、
図56に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0208】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドエジシル酸塩(化合物Iのエジシル酸塩形態II)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:14.7、20.6、および22.7°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、12.1、17.3、および23.6°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのエジシル酸塩形態IIはまた、
図58に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態IIのディフラクトグラムは、以下のピーク:8.1、9.4、12.1、14.7、17.3、20.6、22.7、および23.6°2θ±0.2°2θを含む。
【0209】
一部の実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態IIは、約178℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態IIは、約91℃および約150℃における吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのエジシル酸塩形態IIはまた、
図59に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0210】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドゲンチシン酸塩(化合物Iのゲンチシン酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:9.7、12.5、および26.2°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、18.9および20.4°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのゲンチシン酸塩形態Iはまた、
図61に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのゲンチシン酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:9.7、12.5、18.9、20.4、および26.2°2θ±0.2°2θを含む。
【0211】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4
−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドゲンチシン酸塩(化合物Iのゲンチシン酸塩形態II)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:5.2、10.7、および12.1°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、14.4、16.9、および26.3°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのゲンチシン酸塩形態IIはまた、
図62に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのゲンチシン酸塩形態IIのディフラクトグラムは、以下のピーク:5.2、10.7、12.1、14.4、16.9、および26.3°2θ±0.2°2θを含む。
【0212】
一部の実施形態では、化合物Iのゲンチシン酸塩形態IIは、約95℃および約134℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのゲンチシン酸塩形態IIはまた、
図63に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0213】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドグルタル酸塩(化合物Iのグルタル酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:7.5、20.8、および23.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、14.7、15.8、および26.1°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのグルタル酸塩形態Iはまた、
図65に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのグルタル酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:7.5、10.6、14.7、15.8、18.0、20.8、23.3、および26.1°2θ±0.2°2θを含む。
【0214】
一部の実施形態では、化合物Iのグルタル酸塩形態Iは、約129℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのグルタル酸塩形態Iは、約66℃および約89℃における吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのグルタル酸塩形態Iはまた、
図66に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0215】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドグルタル酸塩(化合物Iのグルタル酸塩形態II)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:5.1、13.1、および16.4°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、11.0、12.6、および24.4°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのグルタル酸塩形態IIはまた、
図68に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのグルタル酸塩形態IIのディフラクトグラムは、以下のピーク:5.1、11.0、12.6、13.1、16.4、21.1、および24.4°2θ±0.2°2θを含む。
【0216】
一部の実施形態では、化合物Iのグルタル酸塩形態IIは、約106℃および約127℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのグルタル酸塩形態IIはまた、
図69に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0217】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドL−酒石酸塩(化合物IのL−酒石酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:4.3、12.4、および24.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、9.1、21.2、および27.4°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物IのL−酒石酸塩形態Iはまた、
図71に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物IのL−酒石酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:4.3、9.1、12.4、18.3、21.2、24.8、および27.4°2θ±0.2°2θを含む。
【0218】
一部の実施形態では、化合物IのL−酒石酸塩形態Iは、約61℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物IのL−酒石酸塩形態Iは、約128℃における吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物IのL−酒石酸塩形態Iはまた、
図72に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0219】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドL−酒石酸塩(化合物IのL−酒石酸塩形態II)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:4.7、9.9、11.4、および22.0°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、7.1、24.2、および25.2°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物IのL−酒石酸塩形態IIはまた、
図74に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物IのL−酒石酸塩形態IIのディフラクトグラムは、以下のピーク:4.7、7.1、9.9、11.4、22.0、24.2、および25.2°2θ±0.2°2θを含む。
【0220】
一部の実施形態では、化合物IのL−酒石酸塩形態IIは、約121℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物IのL−酒石酸塩形態IIは、110℃未満での吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物IのL−酒石酸塩形態IIはまた、
図75に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0221】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドプロピルガラート(化合物Iのプロピルガラート形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:3.8、7.6、および24.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、8.7、15.1、および25.8°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのプロピルガラート形態Iはまた、
図77に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのプロピルガラート形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:3.8、7.6、8.7、11.5、15.1、20.4、24.9、および25.8°2θ±0.2°2θを含む。
【0222】
一部の実施形態では、化合物Iのプロピルガラート形態Iは、約164℃における吸熱
を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのプロピルガラート形態Iは、100℃未満での吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのプロピルガラート形態Iはまた、
図78に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0223】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドコハク酸塩(化合物Iのコハク酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:12.7、21.2、および24.7°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、7.6、12.4、および16.3°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのコハク酸塩形態Iはまた、
図80に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのコハク酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:7.6、12.4、12.7、16.3、20.3、21.2、および24.7°2θ±0.2°2θを含む。
【0224】
一部の実施形態では、化合物Iのコハク酸塩形態Iは、約152℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのコハク酸塩形態Iは、120℃未満での吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのコハク酸塩形態Iはまた、
図81に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0225】
結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドトシル酸塩(化合物Iのトシル酸塩形態I)は、回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:6.6、12.1、および12.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる。ディフラクトグラムは、10.3、16.0、および25.2°2θ±0.2°2θにおける追加のピークを含む。化合物Iのトシル酸塩形態Iはまた、
図83に実質的に示されているその完全なX線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Iのディフラクトグラムは、以下のピーク:5.6、6.6、10.3、12.1、12.8、16.0、および25.2°2θ±0.2°2θを含む。
【0226】
一部の実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Iは、約131℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Iは、120℃未満での吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる。化合物Iのトシル酸塩形態Iはまた、
図84に実質的に示されているその完全なDSC曲線によって特徴付けられる。
【0227】
一部の実施形態は、本明細書に記載のある形態の化合物Iを含み、化合物Iの任意の他の形態を含まないままである組成物を対象とする。一部の実施形態では、組成物は、95%超の本明細書に記載のある形態の化合物Iを含み、化合物Iの任意の他の形態を含まないままである。一部の実施形態では、組成物は、97%超の本明細書に記載のある形態の化合物Iを含み、化合物Iの任意の他の形態を含まないままである。一部の実施形態では、組成物は、99%超の本明細書に記載のある形態の化合物Iを含み、化合物Iの任意の他の形態を含まないままである。
【0228】
一部の実施形態は、本明細書に記載の化合物Iの形態Iの結晶形態を含み、化合物Iの
任意の他の形態を含まないままである組成物を対象とする。一部の実施形態では、組成物は、95%超の本明細書に記載の化合物Iの形態Iの結晶形態を含み、化合物Iの形態Iの任意の他の形態を含まないままである。一部の実施形態では、組成物は、97%超の本明細書に記載の化合物Iの形態Iの結晶形態を含み、化合物Iの形態Iの任意の他の形態を含まないままである。一部の実施形態では、組成物は、99%超の本明細書に記載の化合物Iの形態Iの結晶形態を含み、化合物Iの任意の他の形態を含まないままである。
【0229】
一部の実施形態は、本明細書に記載の化合物Iの形態を作製するプロセスを対象とする。一部の実施形態では、該プロセスは、本明細書で提供される実施例に記載されているとおりである。
【0230】
別の実施形態では、本開示は、化合物Iの形態Iを作製するプロセスを提供する。該プロセスは、化合物Iをエタノール、メタノールと水の混合物、メタノールとメチルtert−ブチルエーテルの混合物、酢酸イソプロピルとn−ヘプタンの混合物、メチルtert−ブチルエーテルとn−ヘプタンの混合物、およびエタノールとn−ヘプタンの混合物からなる群から選択される溶媒と接触させ、それによって化合物Iの形態Iを形成するステップを含む。
【0231】
別の実施形態では、本開示は、化合物Iの形態Vを作製するプロセスを提供する。該プロセスは、化合物Iをジクロロメタンおよびn−ヘプタンと接触させ、それによって化合物Iの形態Vを形成するステップを含む。さらに別の実施形態は、化合物Iの形態IIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iの形態Vを脱溶媒和し、それによって化合物Iの形態IIを形成するステップを含む。
【0232】
別の実施形態は、化合物Iの形態IIIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをメタノールおよび水の混合物と接触させ、それによって化合物Iの形態IIIを形成するステップを含む。一部の実施形態では、メタノールと水の比は、約1:4であり得る。
【0233】
別の実施形態は、化合物Iの形態IVを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをメタノールおよび水の混合物と接触させ、それによって化合物Iの形態IVを形成するステップを含む。一部の実施形態では、メタノールと水の比は、約4:3であり得る。
【0234】
別の実施形態では、本開示は、化合物Iの形態VIを作製するプロセスを提供する。該プロセスは、溶媒から化合物Iを蒸発させ、それによって化合物Iの形態VIを形成するステップを含む。溶媒は、アセトニトリル、エタノール、テトラヒドロフラン、メタノール/メチルイソブチルケトン、およびMeOH/1−ブタノールであり得る。一部の実施形態では、該プロセスは、加熱をさらに含む。一部の実施形態では、化合物Iの形態VIを作製するプロセスは、化合物Iをエタノール中でヘプタンと接触させ、それによって化合物Iの形態VIを形成するステップを含む。
【0235】
別の実施形態は、化合物Iの形態VIIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iの形態IVを脱水し、それによって化合物Iの形態VIIを形成するステップを含む。
【0236】
別の実施形態は、化合物Iの形態VIIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iの形態IVを脱水し、それによって化合物Iの形態VIIを形成するステップを含む。
【0237】
別の実施形態は、化合物Iの形態VIIIを作製するプロセスである。該プロセスは、多湿条件で化合物Iの形態VIを平衡化し、それによって化合物Iの形態VIIIを形成するステップを含む。他の実施形態では、該プロセスは、化合物Iの形態VIをエタノールおよび水と接触させ、それによって化合物Iの形態VIIIを形成するステップを含む。
【0238】
別の実施形態は、化合物Iの形態IXを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iを酢酸と接触させ、それによって化合物Iの形態IXを形成するステップを含む。
【0239】
別の実施形態は、非晶質化合物Iを作製するプロセスである。該プロセスは、ジクロロメタンまたはメタノールから化合物Iを蒸発させるステップを含む。
【0240】
別の実施形態は、化合物Iのエシル酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびエタンスルホン酸と接触させ、それによって化合物Iのエシル酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0241】
別の実施形態は、化合物Iのフマル酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびフマル酸と接触させ、それによって化合物Iのフマル酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0242】
別の実施形態は、化合物Iのグリコール酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびグリコール酸と接触させ、それによって化合物Iのグリコール酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0243】
別の実施形態は、化合物IのHCl形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよび塩酸と接触させ、それによって化合物IのHCl形態Iを形成するステップを含む。
【0244】
別の実施形態は、化合物Iのマレイン酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをアセトニトリルおよびマレイン酸と接触させ、それによって化合物Iのマレイン酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0245】
別の実施形態は、化合物Iのシュウ酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびシュウ酸と接触させ、それによって化合物Iのシュウ酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0246】
別の実施形態は、化合物Iの硫酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをジクロロメタンおよび硫酸と接触させ、それによって化合物Iの硫酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0247】
別の実施形態は、化合物Iのアジピン酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをアセトニトリルおよびアジピン酸と接触させ、それによって化合物Iのアジピン酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0248】
別の実施形態は、化合物Iのベシル酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびベンゼンスルホン酸と接触させ、それによって化合物Iのベシル酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0249】
別の実施形態は、化合物Iのエジシル酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびエタンジスルホン酸と接触させ、それによって化合物
Iのエジシル酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0250】
別の実施形態は、化合物Iのエジシル酸塩形態IIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびエタンジスルホン酸と接触させ、それによって化合物Iのエジシル酸塩形態IIを形成するステップを含む。
【0251】
別の実施形態は、化合物Iのゲンチシン酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびゲンチシン酸と接触させ、それによって化合物Iのゲンチシン酸塩形態Iを形成するステップを含む。別の実施形態は、化合物Iのゲンチシン酸塩形態IIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびゲンチシン酸と接触させ、それによって化合物Iのゲンチシン酸塩形態IIを形成するステップを含む。
【0252】
別の実施形態は、化合物Iのグルタル酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをジクロロメタンおよびグルタル酸と接触させ、それによって化合物Iのグルタル酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0253】
別の実施形態は、化合物Iのグルタル酸塩形態IIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびグルタル酸と接触させ、それによって化合物Iのグルタル酸塩形態IIを形成するステップを含む。
【0254】
別の実施形態は、化合物IのL−酒石酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物IをエタノールおよびL−酒石酸(L−tartric acid)と接触させ、それによって化合物IのL−酒石酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0255】
別の実施形態は、化合物IのL−酒石酸塩形態IIを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物IをエタノールおよびL−酒石酸と接触させ、それによって化合物IのL−酒石酸塩形態IIを形成するステップを含む。
【0256】
別の実施形態は、化合物Iのプロピルガラート形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよび没食子酸プロピルと接触させ、それによって化合物Iのプロピルガラート形態Iを形成するステップを含む。
【0257】
別の実施形態は、化合物Iのコハク酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをアセトニトリルおよびコハク酸と接触させ、それによって化合物Iのコハク酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0258】
別の実施形態は、化合物Iのトシル酸塩形態Iを作製するプロセスである。該プロセスは、化合物Iをエタノールおよびp−トルエンスルホン酸と接触させ、それによって化合物Iのトシル酸塩形態Iを形成するステップを含む。
【0259】
医薬組成物および投与方式
本明細書に記載の化合物Iの前記形態は、医薬組成物の形態で投与することができる。したがって、本明細書では、本明細書に記載の化合物Iの前記形態の1つまたは複数、ならびに担体、アジュバントおよび添加剤から選択される1種または複数種の薬学的に許容されるビヒクルを含有する医薬組成物も提供される。適切な薬学的に許容されるビヒクルには、例えば、不活性な固体賦形剤および充填剤、滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含む賦形剤、透過促進剤、可溶化剤、ならびにアジュバントが含まれ得る。このような組成物は、製薬分野で周知の手法で調製される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、
ペンシルベニア州フィラデルフィア、17版(1985年)、およびModern Pharmaceutics、Marcel Dekker, Inc. 第3版(G.S.
BankerおよびC.T. Rhodes、編集)参照。医薬組成物は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて投与することができる。
【0260】
医薬組成物は、単回または複数回用量のいずれかで投与することができる。医薬組成物は、例えば、直腸、口腔内頬側、鼻腔内および経皮経路を含む様々な方法によって投与することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、動脈内注射によって、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、または吸入剤として投与することができる。
【0261】
1つの投与方式は、例えば注射による非経口である。本明細書に記載の医薬組成物を注射によって投与するために組み込むことができる形態には、例えば、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油またはピーナッツ油、ならびにエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および類似の医薬ビヒクルを用いる、水性または油性の懸濁液または乳濁液が含まれる。
【0262】
経口投与は、本明細書に記載の化合物Iの前記形態の1つまたは複数を投与するための別の経路であり得る。投与は、例えばカプセル剤または腸溶コーティング錠剤による投与であり得る。本明細書に記載の化合物Iの前記形態の1つまたは複数を含む医薬組成物を作製するときに、活性成分を、通常、添加剤によって希釈し、そして/またはカプセル、サシェ、紙もしくは他の容器の形態であり得るような担体内に封入する。添加剤が賦形剤として働く場合、添加剤は、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体または液体材料の形態であってよい。したがって組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁物、乳濁液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中で)、例えば最大10重量%の活性成分を含有する軟膏、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、注入可能な滅菌溶液剤、ならびに無菌パッケージ散剤の形態であってよい。
【0263】
適切な添加剤のいくつかの例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。製剤は、滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピル;甘味剤;ならびに香味剤をさらに含むことができる。
【0264】
本明細書に記載の化合物Iの前記形態の1つまたは複数を含む組成物は、当技術分野で公知の手順を用いることによって、被験体に投与した後に活性成分を急速放出、持続放出または遅延放出するように製剤化することができる。経口投与のための制御放出による薬物送達系には、浸透圧ポンプ系、およびポリマーでコーティングされたリザーバーまたは薬物−ポリマーマトリックス製剤を含有する溶解系が含まれる。制御放出系の例は、米国特許第3,845,770号、同第4,326,525号、同第4,902,514号、および同第5,616,345号において与えられている。本明細書に開示の方法で使用するための別の製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を用いる。このような経皮パッチは、本明細書に記載の化合物Iの前記形態の、制御された量での連続または不連続注入を提供するために使用され得る。医薬品を送達するための経皮パッチの構成および使用は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号、および同第5,001,139号参照。このようなパッチは、医薬品を連続的に、拍動的に、または要求に応じて送達するために構成されてよい。
【0265】
固体組成物、例えば錠剤を調製するために、主な活性成分を、医薬添加剤と混合して、本明細書に記載の化合物Iの前記形態の均一混合物を含有する固体予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質と称する場合、活性成分は、組成物が等しく有効な単位剤形、例えば錠剤、丸剤およびカプセル剤に容易に細分され得るように、組成物中に均一に分散させることができる。
【0266】
本明細書に記載の化合物Iの前記形態の錠剤または丸剤は、コーティングするかまたはその他の方法で配合して、長期作用の利点をもたらす剤形を提供することまたは胃の酸性状態から保護することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内側の投与構成成分と外側の投与構成成分を含むことができ、外側の投与構成成分は、内側の投与構成成分の上に外被の形態で存在する。2種の構成成分は、胃内での崩壊に耐え、内側構成成分を十二指腸へと無傷で通過させることまたは遅延放出させることを可能にする働きをする腸溶層によって分離され得る。このような腸溶層またはコーティングのために、様々な材料を使用することができ、このような材料には、いくつかのポリマー酸、ならびにポリマー酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物が含まれる。
【0267】
吸入または吹送のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物の溶液および懸濁物、ならびに散剤が含まれ得る。液体または固体組成物は、本明細書に記載の適切な薬学的に許容される添加剤を含有することができる。一部の実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために、経口または経鼻呼吸経路を経て投与される。他の実施形態では、薬学的に許容される溶媒中の組成物は、不活性ガスを使用することによって噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接吸入されてもよく、噴霧デバイスが、フェイスマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸器に取り付けられていてもよい。溶液、懸濁物、または散剤組成物は、製剤を適切な手法で送達するデバイスから投与すること、好ましくは、経口または経鼻投与することができる。
【0268】
本明細書に記載の化合物Iの前記形態は、薬学的に有効な量で投与することができる。経口投与では、各投与量単位は、1mg〜2グラム、1mg〜1グラム、または1mg〜500mgの化合物Iを含有することができる。一部の実施形態では、用量は、1mg〜250mgの化合物Iである。一部の実施形態では、化合物Iの用量は、1日2回約20mg〜1日2回約50mgの範囲である。一部の実施形態では、用量は、2mg、4mg、6mg、8mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、25mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mg、200mg、または500mgの化合物Iである。しかし通常、実際に投与される化合物の量は、処置を受ける状態、選択された投与経路、および併用投与化合物、ならびに適用できる場合には個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症状の重症度等を含む関連する環境に照らして、医師によって決定されることが理解される。
【0269】
本願の化合物Iの前記形態またはその組成物は、前述の任意の適切な方式を使用して、1日1回、2回、3回、または4回投与することができる。また、本願の化合物Iの前記形態またはその組成物は、週1回もしくは2回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回、または6週間ごとに1回投与することができる。一部の実施形態では、本願の化合物Iの前記形態またはその組成物は、4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間、48週間、52週間、または必要に応じてそれよりも長い期間にわたって、1日1回投与することができる。
【0270】
本願の化合物Iの前記形態またはその組成物は、摂食状態で投与することができる。用語「摂食状態」またはその変形は、活性成分の投与前または投与と同時に、固体もしくは
液体形態のいずれかの食品、または任意の適切な形態のカロリーを摂取することまたは取り込むことを指す。例えば、本願の化合物Iの前記形態またはその組成物は、カロリー(例えば食事)を摂取して数分または数時間以内に、被験体(例えばヒト)に投与することができる。一部の実施形態では、本願の化合物Iの前記形態またはその組成物は、カロリーを摂取して5〜10分、約30分、または約60分以内に、被験体(例えばヒト)に投与することができる。
【0271】
ASK1および使用方法
アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)は、c−Jun N末端タンパク質キナーゼ(「JNK」)およびp38MAPキナーゼを活性化するマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ(「MAP3K」)ファミリーのメンバーである(Ichijo, H.、Nishida, E.、Irie, K.、Dijke, P.
T.、Saitoh, M.、Moriguchi, T.、Matsumoto, K.、Miyazono, K.、およびGotoh, Y.(1997年)Science、275巻、90〜94頁)。ASK1は、酸化ストレス、活性酸素種(ROS)、LPS、TNF−α、FasL、ERストレス、および細胞内カルシウム濃度の上昇を含む様々な刺激によって活性化される(Hattori, K.、Naguro, I.、Runchel, C.、およびIchijo, H.(2009年)Cell Comm. Signal. 7巻:1〜10頁;Takeda, K.、Noguchi, T.、Naguro, I.、およびIchijo, H.(2007年)Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 48巻:1−8.27;Nagai, H.、Noguchi, T.、Takeda, K.、およびIchijo, I.(2007年)J. Biochem. Mol. Biol. 40巻:1〜6頁)。ASK1タンパク質のリン酸化は、アポトーシスまたは細胞型に応じた他の細胞の応答をもたらし得る。ASK1の活性化およびシグナル伝達は、神経変性、心血管性、炎症性、自己免疫性、および代謝性の障害を含む幅広い疾患において重要な役割を果たすことが報告されている。さらにASK1は、心臓、脳、および腎臓の虚血および再灌流後の臓器損傷の媒介に関与している(Watanabeら(2005年)BBRC 333巻、562〜567頁;Zhangら(2003年)Life Sci 74−37−43;Teradaら(2007年)BBRC 364巻:1043〜49頁)。
【0272】
ROSは、腎臓の炎症性サイトカイン産生、線維症、アポトーシス、および壊死の増大と関連することが報告されている。(Singh D K、Winocour P、Farrington K. Oxidative stress in early diabetic nephropathy: fueling the fire. Nat Rev Endocrinol 2011年3月;7巻(3号):176〜184頁;Brownlee M. Biochemistry and molecular cell biology of diabetic complications. Nature 2001年12月13日;414巻(6865号):813〜820頁;Mimura I、Nangaku M. The suffocating kidney: tubulointerstitial hypoxia in end−stage renal disease. Nat Rev Nephrol 2010年11月;6巻(11号):667〜678頁)。
【0273】
さらに酸化ストレスは、さらなる腎傷害およびROSの産生を引き起こす進行糖化終末産物(AGE)の形成を容易にする。(Hung K Yら、N−acetylcysteine−mediated antioxidation prevents hyperglycemia−induced apoptosis and collagen synthesis in rat mesangial cells. Am J
Nephrol 2009年;29巻(3号):192〜202頁)。
【0274】
腎臓の尿細管間質性線維症は、慢性腎疾患を有する患者の腎不全の進行の強力な予測因子である(Schainuck L Iら、Structural−functional correlations in renal disease. Part II: The correlations. Hum Pathol 1970年;1巻:631〜641頁)。ラットの一側性尿管閉塞症(UUO)は、尿細管間質性線維症の広く使用されているモデルである。UUOは、尿細管間質性炎症、形質転換増殖因子ベータ(TGF−β)の発現の増大、ならびにコラーゲンおよびフィブロネクチンなどのマトリックスタンパク質を分泌する筋線維芽細胞の蓄積を引き起こす。UUOモデルを使用して、腎線維症を阻害することによって慢性腎疾患を処置する薬物の可能性を試験することができる(Chevalierら、Ureteral obstruction as a
model of renal interstitial fibrosis and obstructive nephropathy、Kidney International(2009年)75巻、1145〜1152頁。
【0275】
したがって、ASK1シグナル伝達の阻害剤として機能する治療剤は、神経変性、心血管性、炎症性、自己免疫性、および代謝性の障害などの疾患または状態の処置を必要とする患者の生活を救済または改善する可能性を有する。特に、ASK1阻害剤は、腎疾患、糖尿病性腎疾患、慢性腎疾患、線維性疾患(肺および腎線維症を含む)、拡張型心筋症、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)および急性肺傷害を含む)、急性および慢性肝疾患(例えば非アルコール性脂肪性肝炎およびアルコール性肝炎)を含む心腎疾患を処置する可能性を有する。
【0276】
化合物がASK1キナーゼ活性を阻害する能力、およびASK1阻害剤としてのその有用性を同定するための様々なアッセイは、当技術分野で公知であり、例えば米国特許第8,742,126号に記載されている。
【0277】
本明細書に記載の一部の実施形態は、ASK1阻害剤を用いる処置を必要とする患者の疾患の処置における、本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物の使用を対象とする。
【0278】
本明細書に記載の一部の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、糖尿病性腎症または糖尿病合併症を処置する方法である。一部の実施形態では、糖尿病には、1型および2型糖尿病、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリック症候群、空腹時血糖異常上昇、ならびに耐糖能障害が含まれる。1型糖尿病は、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)としても公知である。2型は、インスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)としても公知である。
【0279】
別の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、腎疾患または糖尿病性腎疾患を処置する方法を対象とする。
【0280】
別の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、腎線維症、肺線維症、または特発性肺線維症(IPF)を処置する方法を対象とする。
【0281】
別の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載のある結晶形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、糖尿病性腎疾患、糖尿病性腎症、腎線維症、肝線維症、または肺線維症を処置する方法を対象とする。
【0282】
肝疾患は、疾患の期間に基づいて、肝臓に対する急性または慢性の損傷である。肝損傷は、感染症、傷害、薬物もしくは毒性化合物、例えばアルコールもしくは食物中の不純物への曝露、血中の正常物質の異常な蓄積、自己免疫プロセス、遺伝的欠損(例えばヘモクロマトーシス)、または他の未知の原因によって引き起こされ得る。例示的な肝疾患として、肝硬変、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝虚血再灌流傷害、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、ならびにウイルス性およびアルコール性肝炎の両方を含む肝炎が挙げられるが、それらに限定されない。
【0283】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコールによって引き起こされない肝細胞中の余分な脂肪の蓄積である。NAFLDは、肝臓の膨張(すなわち脂肪性肝炎)を引き起こすおそれがあり、それによって、経時的に瘢痕化(すなわち肝硬変)が引き起こされる場合があり、肝がんまたは肝不全に至る場合がある。NAFLDは、肝細胞(hepatocye)中の脂肪の蓄積によって特徴付けられ、メタボリック症候群(例えば、2型真性糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、高血圧)のいくつかの態様としばしば関連する。この疾患の頻度は、炭水化物が豊富でありかつ高脂肪の食事の摂取に起因してますます上昇してきた。NAFLD患者のサブセット(約20%)は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を発症する。
【0284】
脂肪肝疾患の亜型であるNASHは、NAFLDのより重症の形態である。NASHは、大滴性脂肪肝、肝細胞の膨化変性、および/または最終的に肝臓瘢痕化(すなわち線維症)をもたらす炎症によって特徴付けられる。NASHと診断された患者は、進行期の肝線維症および最終的には肝硬変に進行する。末期疾患を有する肝硬変NASH患者の現在の処置は、肝移植である。
【0285】
研究では、診断を受けたNASH患者のうちの著しい割合の患者(39%)が、診断を確認するための肝生検を受けていなかったことが示されている。診断を受けたNASH患者のうち、文献に報告されているものよりも高い割合の患者が、メタボリック症候群パラメータを有している(II型真性糖尿病54%、肥満71%、メタボリック症候群59%)。医師の82%は、著しいアルコール消費量を定義するために、診療ガイドライン推奨と比較してより低い閾値を使用している。医師の88%は、NASHのために何らかの形態の薬理学的処置を処方している(Vit E:NASH患者の53%に処方、スタチン:57%、メトホルミン:50%)。したがって、患者の圧倒的多数は、介入を裏付ける確認された診断または有意なデータがなく、NASHを排除するためのアルコール閾値が予測を下回っているにも関わらず、薬剤を処方されている。
【0286】
別の一般的な肝疾患は、原発性硬化性胆管炎(PSC)である。PSCは、肝臓内側および外側の胆管にゆっくり損傷を与える、慢性または長期の肝疾患である。PSCを有する患者では、胆管の遮断に起因して胆汁が肝臓に蓄積し、そこでそれは徐々に肝細胞に損傷を与え、肝硬変、または肝臓の瘢痕化を引き起こす。現在、PSCを治癒する有効な処置はない。PSCを有する多くの患者は、最終的に、典型的にはその疾患と診断されてから約10年後には、肝不全により肝移植が必要となる。PSCは、胆管がんに至るおそれもある。
【0287】
肝線維症は、コラーゲンを含む細胞外マトリックスタンパク質の過度の蓄積であり、これは、ほとんどのタイプの慢性肝疾患において生じる。進行肝線維症は、肝硬変、肝不全、および門脈圧亢進症をもたらし、しばしば肝移植を必要とする。
【0288】
本明細書では、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたはその
組成物を、任意選択で治療有効量のLOXL2阻害剤と組み合わせて投与するステップを含む、それを必要とする患者の肝疾患を処置および/または予防する方法が開示される。活性な肝疾患の存在は、血中の上昇酵素レベルの存在によって検出することができる。具体的には、臨床的に許容される正常な範囲を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の血中レベルは、進行中の肝損傷を示すことが公知である。ALTおよびASTの血中レベルに関する、肝疾患患者の日常的なモニタリングを臨床的に使用して、医学的処置中に肝疾患の進行を測定する。上昇したALTおよびASTの許容される正常範囲内への低下は、患者の進行中の肝損傷の重症度の低下を反映する臨床的な証拠とみなされる。
【0289】
ある特定の実施形態では、肝疾患は、慢性肝疾患である。慢性肝疾患は、肝実質の進行性破壊および再生を伴い、線維症および肝硬変に至る。一般に、慢性肝疾患は、ウイルス(例えばB型肝炎、C型肝炎、サイトメガロウイルス(CMV)、またはエプスタインバーウイルス(EBV))、毒性の剤もしくは薬物(例えばアルコール、メトトレキセート、またはニトロフラントイン)、代謝性疾患(例えば非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、ヘモクロマトーシス、またはウィルソン病)、自己免疫疾患(例えば自己免疫性慢性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、または原発性硬化性胆管炎)、または他の原因(例えば右心不全)によって引き起こされ得る。
【0290】
本明細書に記載の一部の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、肝疾患を処置する方法を対象とする。肝疾患は、4段階に分類され得る。F0は、線維症がないことを示し、F1は、軽度の線維症を示し、F2は、中程度の線維症を示し、F3は、重症の線維症を示し、F4は、肝硬変を示す。本明細書に記載の一部の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、線維症段階F2またはF3を処置する方法を対象とする。
【0291】
一実施形態では、肝硬変のレベルを低減する方法が本明細書において提供される。一実施形態では、肝硬変は、線維症および結節再生と共に、正常な顕微鏡的な小葉構造の喪失によって病理学的に特徴付けられる。肝硬変の程度を測定する方法は、当技術分野で周知である。一実施形態では、肝硬変のレベルは、約5%〜約100%低減される。一実施形態では、肝硬変のレベルは、被験体において少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。
【0292】
ある特定の実施形態では、肝疾患は、代謝的肝疾患である。一実施形態では、肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。NAFLDは、インスリン抵抗性およびメタボリック症候群(肥満、高脂血症、真性糖尿病(II型)および高血圧の組合せ)と関連する。NAFLDは、ある範囲の疾患活動性に及ぶとみなされており、肝臓への脂肪蓄積(脂肪肝)として始まる。
【0293】
肥満とインスリン抵抗性の両方は、おそらくNAFLDの疾患プロセスにおいて強力な役割を果たすことが示されている。NAFLDには、質の低い食事に加えて、いくつかの他の公知の原因がある。例えば、NAFLDは、ある特定の薬剤、例えばアミオダロン、抗ウイルス薬(例えば、ヌクレオシド類似体)、アスピリン(まれに子どものライ症候群の一部として)、コルチコステロイド、メトトレキセート、タモキシフェン、またはテトラサイクリンによって引き起こされ得る。NAFLDはまた、腹部への脂肪沈着の増大を
引き起こし得る高フルクトースコーンシロップの存在により、ソフトドリンクの摂取と関連付けられているが、スクロースの摂取は類似の作用を示す(それのフルクトースへの分解に起因する可能性が高い)。この感受性について2種の遺伝子変異が同定されていることから、遺伝もある役割を果たすことが公知である。
【0294】
NAFLDは、処置されずに放置されると、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を発症するおそれがあり、これは、NAFLDの最も極端な形態であり、脂肪肝が炎症および線維症と組み合わさった状態である。NASHは、未知の原因の肝臓の肝硬変の主原因とみなされる。したがって本明細書では、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたはその組成物を、任意選択で治療有効量のLOXL2阻害剤と組み合わせて投与するステップを含む、それを必要とする患者の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を処置および/または予防する方法が提供される。
【0295】
また本明細書では、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたはその組成物を、任意選択で治療有効量のLOXL2阻害剤と組み合わせて投与するステップを含む、それを必要とする患者の肝線維症を処置および/または予防する方法が提供される。肝線維症は、ほとんどのタイプの慢性肝疾患に生じる、コラーゲンを含む細胞外マトリックスタンパク質の過度の蓄積である。ある特定の実施形態では、進行した肝線維症は、肝硬変および肝不全をもたらす。肝組織構造、例えば線維症の程度の変化、小葉肝炎、および門脈周囲の架橋壊死を測定する方法は、当技術分野で周知である。
【0296】
一実施形態では、線維組織、類線維腫または線維性変性の形成である肝線維症のレベルは、約90%超だけ低減する。一実施形態では、線維組織、類線維腫または線維性変性の形成である線維症のレベルは、少なくとも約90%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約10%、少なくとも約5%または少なくとも約2%低減する。
【0297】
一実施形態では、本明細書で提供される化合物は、肝臓中の線維形成のレベルを低減する。肝臓の線維形成は、線維症として公知の肝臓中の、過剰の細胞外マトリックス構成成分の沈着をもたらすプロセスである。肝臓の線維形成は、いくつかの状態、例えば慢性ウイルス性肝炎BおよびC、アルコール性肝疾患、薬物誘発性肝疾患、ヘモクロマトーシス、自己免疫性肝炎、ウィルソン病、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、肝臓住血吸虫症等で観察される。一実施形態では、線維形成のレベルは、約90%超だけ低減する。一実施形態では、線維形成のレベルは、少なくとも約90%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも40%、少なくとも約30%、少なくとも約20%、少なくとも約10%、少なくとも約5%または少なくとも2%低減する。
【0298】
さらに他の実施形態では、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたはその組成物を、任意選択で治療有効量のLOXL2阻害剤と組み合わせて投与するステップを含む、それを必要とする患者の原発性硬化性胆管炎(PSC)を処置および/または予防する方法が本明細書において提供される。
【0299】
本明細書に記載の方法および医薬組成物において使用するためのLOXL2阻害剤は、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)タンパク質を不活化できる任意の剤であり得る。前記剤は、化合物または生物学的分子(例えばタンパク質または抗体)であってよい。このような阻害剤は、公知の方法によって容易に同定される(例えば、U.S.8,461,303、U.S.2009/0053224およびU.S.2011/0044907を参照のこと。これにより、それらの全体が参考として本明細書に援用される。)。
【0300】
ある特定の実施形態では、LOXL2阻害剤は、抗LOXL2抗体である(例えば、U.S.8,461,303、U.S.2012/0309020、U.S.2013/0324705、およびU.S.2014/0079707を参照のこと。これらは、それら全体が参考として本明細書に援用される。)。抗LOXL2抗体は、所望の生物活性を示す限り、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二特異性抗体(diabody)、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、または単鎖結合ポリペプチドを含むがこれに限定されない抗体断片であってよい。
【0301】
ある特定の実施形態では、抗LOXL2抗体は、モノクローナル抗LOXL2抗体、またはその抗原結合断片である。他の実施形態では、抗LOXL2抗体は、ポリクローナル抗LOXL2抗体、またはその抗原結合断片である。このような抗体は、当技術分野で公知であり、または商業的供給源から入手可能である。一実施形態では、抗LOXL2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1と記載されるアミノ酸配列を有するエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、抗LOXL2抗体は、配列番号2、3、4または5と記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)、CDR1、CDR2およびCDR3、ならびに配列番号6、7または8と記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域のCDR、CDR1、CDR2およびCDR3を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片であり、ここで単離された抗体またはその抗原結合断片は、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)タンパク質に特異的に結合する。他の実施形態では、重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ配列番号9、10および11と記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3は、それぞれ配列番号12、13および14と記載されるアミノ酸配列を含む。一部の他の実施形態では、抗LOXL2抗体は、配列番号2、3、4または5と記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6、7または8と記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有しており、ここで単離された抗体またはその抗原結合断片は、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、LOXL2阻害剤は、配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗LOXL2抗体である。さらなる追加の実施形態では、LOXL2阻害剤は、配列番号4と約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を含む抗LOXL2抗体である。一部の追加の実施形態では、LOXL2阻害剤は、配列番号7と約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を含む抗LOXL2抗体である。ある特定の実施形態では、単離された抗体または抗原結合断片は、ヒト化されている。
【0302】
さらなる実施形態では、LOXL2阻害剤は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号16に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する抗LOXL2抗体AB0023である。AB0023および他の抗LOXL2抗体を産生する方法は、一般に‘303特許に開示されている。ある特定の実施形態では、単離された抗体または抗原結合断片は、ヒト化されている。さらなる追加の実施形態では、LOXL2阻害剤は、配列番号15と約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を含む抗LOXL2抗体である。一部の追加の実施形態では、LOXL2阻害剤は、配列番号16と約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を含む抗LOXL2抗体である。
【0303】
一部の実施形態では、LOXL2阻害剤は、薬学的に有効な量で経口投与され得る。経
口投与では、各投与量単位は、1mg〜2グラム、1mg〜1グラム、または1mg〜500mgのLOXL2阻害剤を含有することができる。一部の実施形態では、用量は、1mg〜250mgまたは1mg〜350mgのLOXL2阻害剤である。LOXL2阻害剤の用量は、単回用量または1日2回、3回、4回、5回もしくは6回の分割用量として与えられてよい。しかし通常、実際に投与されるLOXL2阻害剤の量は、処置を受ける状態、選択された投与経路、および併用投与化合物、ならびに適用できる場合には個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症状の重症度等を含む関連する環境に照らして、医師によって決定されることが理解される。
【0304】
また本明細書では、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたはその組成物を、任意選択で治療有効量のFXRアゴニストと組み合わせて投与するステップを含む、それを必要とする患者の肝疾患を処置する方法が提供される。
【0305】
また本明細書では、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたはその組成物を、任意選択で治療有効量のFXRアゴニストと組み合わせて投与するステップを含む、それを必要とする患者の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を処置および/または予防する方法が提供される。
【0306】
FXRは、核内受容体スーパーファミリーのメンバーである。ファルネソイドX受容体(FXR)の薬理学的活性化は、NAFLDおよびNASHの根本的原因を攻撃することができる。本明細書に記載の方法および組成物において使用するためのFXRアゴニストは、FXRに結合し、FXRを活性化して、生物学的応答をもたらすことができる任意の剤であってよい。FXRアゴニストには、コール酸;オベチコール酸、ケノデオキシコール酸、ケノデオキシコレート、PX−102、PX−104、WAY−362450(FXR−450またはXL335)、オレアノール酸、およびGW−4064が含まれ得るが、それらに限定されない。一部の実施形態では、FXRアゴニストは、式:
【化4】
の化合物またはその塩、立体異性体もしくは立体異性体の混合物である。一部の実施形態では、FXRアゴニストは、式:
【化5】
の化合物またはその塩である。
【0307】
代替FXRアゴニストは、その全体が参考として本明細書に援用される米国特許第9,139,539号に記載されている。
【0308】
一部の実施形態では、FXRアゴニストは、薬学的に有効な量で経口投与され得る。経口投与では、各投与量単位は、1mg〜2グラム、1mg〜1グラム、または1mg〜500mgのFXRアゴニストを含有することができる。一部の実施形態では、用量は、1mg〜250mgまたは1mg〜350mgのFXRアゴニストである。FXRアゴニストの用量は、単回用量または1日2回、3回、4回、5回もしくは6回の分割用量として与えられてよい。しかし通常、実際に投与されるFXRアゴニストの量は、処置を受ける状態、選択された投与経路、および併用投与化合物、ならびに適用できる場合には個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症状の重症度等を含む関連する環境に照らして、医師によって決定されることが理解される。
【0309】
また本明細書では、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたはその組成物を、任意選択で治療有効量の追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、それを必要とする患者のアルコール性肝疾患を処置および/または予防する方法が開示される。一部の実施形態では、アルコール性肝疾患は、アルコール性肝炎である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイド(プレドニゾロンおよびプレドニゾンを含むがそれらに限定されない)、ペントキシフィリン、または抗酸化効果を有する他の剤(N−アセチルシステイン(NAC)を含むがそれに限定されない)である。追加の治療剤は、1mg〜2グラム、1mg〜1グラム、または1mg〜500mgの投与量で投与され得、単回用量または1日2回、3回、4回、5回もしくは6回の分割用量として与えられてよい。しかし通常、実際に投与される追加の治療剤の量は、処置を受ける状態、選択された投与経路、および併用投与化合物、ならびに適用できる場合には個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症状の重症度等を含む関連する環境に照らして、医師によって決定されることが理解される。
【0310】
ある形態の化合物IによるASK1の阻害、およびその結果生じる、酸化ストレス誘発性の肝細胞アポトーシスおよび壊死(これらは共にアルコール性肝疾患の病変形成の非常に重要なメディエーターである)の低減は、アルコール性肝疾患を有する患者における有効性および安全性を改善することができる。ASK1の阻害は、アルコール性肝疾患の重症度と相関する病理学的な肝細胞アポトーシスおよび壊死を低減すると予測される。げっ歯類モデルおよびヒトの病理組織学的研究の調査は、リポ多糖(LPS)誘発性の炎症および酸化ストレスが、アルコール性肝炎における肝細胞死の非常に重要なドライバーであることを示唆している。エタノールの摂取は、腸管透過性および肝臓への細菌移行を増大させ、LPS誘発性の肝臓炎症をもたらす。その後の肝細胞傷害は、好中球の酸化的バースト、ならびにFasリガンドおよびTNF−αによって誘発された肝細胞アポトーシスによって生じる。さらに、エタノールは、CYP2E1の発現を強力に誘発し、それによってエタノール代謝の副産物として活性酸素種(ROS)を生成し、肝臓の抗酸化能を低減する。酸化ストレスは、これらの変化の結果として生じ、肝細胞ミトコンドリアの機能障害および壊死を直接的に誘発し、肝細胞を、TNF−αおよびFASリガンドによって誘発されるアポトーシスに感作させる[14]。
【0311】
ASK1は、酸化ストレスによって活性化され、p38およびJNKキナーゼの活性化を誘発し、それによってミトコンドリアの機能障害を促進して、アポトーシスおよび壊死をもたらす。アルコール性肝疾患におけるASK1の潜在的な役割は、酸化ストレス、CYP2E1、FasリガンドおよびTNF−αシグナル伝達が、マウス肝臓においてASK1を活性化することを実証する非臨床研究によって裏付けられる。さらに、Ask1
−/−マウスは、Fas活性化、TNF−α(LPSとDガラクトサミンによって誘発される)、胆管結紮、またはアセトアミノフェン過剰服用によって引き起こされる急性肝傷害に対して抵抗性を示す。さらに、マウスにおけるASK1の薬理学的阻害は、アセトアミノフェン過剰服用によって誘発される肝細胞傷害および壊死、ならびに急性虚血/再灌流
傷害によって誘発される心臓および腎臓アポトーシスおよび壊死を低減する。これらの効果は、ASK1、p38およびJNKの活性化/リン酸化の低下、ならびにミトコンドリアの機能障害の低下と相関していた。
【0312】
ASK1阻害は、LPS媒介性シグナル伝達およびマクロファージによるサイトカイン放出を直接的に低減することもなく、好中球による酸化的バーストを低減することもないことが判明した。これらの経路は、重症のアルコール性肝炎の病態生理学において重要な機構とみなされる。プレドニゾロンは、重症のアルコール性肝炎のための標準ケアであり、サイトカイン(すなわちTNF−α、IL−8)の全身レベルを低減し、重症のアルコール性肝炎を有する患者の好中球活性(酸化的バースト)を低減することが示されている。ある形態の化合物Iおよびプレドニゾロン、ならびにアルコール性肝炎に有用であることが公知の他の治療剤の相補的な作用機序は、それらの組合せによって潜在的な利益が得られる可能性があることを示唆している。
【0313】
また、ASK1の活性化の下流マーカーであるホスホ−p38(p−p38)の肝臓における発現は、アルコール性肝炎を有する患者において上昇することが見出されている。このことは、ある形態の化合物Iを用いる処置が、アルコール性肝疾患を有する患者に利益をもたらし得ることを示唆している。
【0314】
アルコール性肝炎に起因する死亡率は、脳症、敗血症、および/または腎不全を含む多臓器不全を含む、肝機能の急性喪失および進行肝疾患の随伴合併症と関連する。化合物Iの肝保護的効果は、アルコール性肝疾患を有する患者における肝機能の改善、およびその結果として生じる死亡率の改善に変換され得ると考えられる。肝機能における早期改善は、より良好な生存期間と関連する(例えば、提示後1〜6カ月)。ASK1阻害が、続発性合併症(例えば、末期血行動態変化または敗血症によって引き起こされるものなど)を直接的に軽快させることは期待されない。
【0315】
また本明細書では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブを投与することによって、JAKの異常活性と因果関係があるまたはJAKの異常活性に起因する疾患または状態、特にJAK1および/またはJAK2の異常活性に関係する状態を処置する方法が提供される。さらに他の実施形態では、ある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量を投与することによって、JAKの異常活性と因果関係があるまたはJAKの異常活性に起因する疾患または状態、特にJAK1および/またはJAK2の異常活性に関係する状態を処置する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、ある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物は、経口投与することができる。一部の実施形態では、ある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物は、錠剤である。したがって、本開示の方法は、ヒトを含む哺乳動物の炎症状態、自己免疫疾患、増殖性疾患、移植拒絶反応、軟骨代謝回転の機能障害を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、およびIL6の分泌過多と関連する疾患の予防および/または処置を含む。ある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブの組合せは、相乗効果をもたらし得ることが企図される。フィルゴチニブは、米国特許第8,563,545号に記載されている。
【0316】
また、一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブ、またはある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量を投与することによって、炎症状態になりやすいまたは罹患している哺乳動物を処置する方法が提供される。特定の実施形態では、炎症状態は、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー性気道疾患(例えば、喘息)および炎症性腸疾患から選択される。
【0317】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブ、またはある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量の投与によって処置される疾患または状態は、自己免疫疾患である。特定の実施形態では、自己免疫疾患は、COPD、喘息、全身性エリテマトーデス、I型真性糖尿病および炎症性腸疾患から選択される。
【0318】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブ、またはある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量の投与によって処置される疾患または状態は、増殖性疾患、特にがん(例えば、固形腫瘍、例えば子宮平滑筋肉腫または前立腺がん)、白血病(例えば、AMLまたはALL)、多発性骨髄腫および/または乾癬である。
【0319】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブ、またはある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量の投与によって処置される疾患または状態は、移植拒絶反応、例えば臓器移植拒絶反応である。
【0320】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブ、またはある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量の投与によって処置される疾患または状態は、軟骨代謝回転の機能障害を伴う疾患である。
【0321】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブ、またはある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量の投与によって処置される疾患または状態は、先天性軟骨形成異常である。
【0322】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iおよび治療有効量のフィルゴチニブ、またはある形態の化合物Iおよびフィルゴチニブを含む医薬組成物の治療有効量の投与によって処置される疾患または状態は、IL6の分泌過多と関連する疾患、特にキャッスルマン病または糸球体間質の増殖性糸球体腎炎である。
【0323】
一部の実施形態では、フィルゴチニブは、薬学的に有効な量で経口投与され得る。経口投与では、各投与量単位は、1mg〜2グラム、1mg〜1グラム、または1mg〜500mgのフィルゴチニブを含有することができる。一部の実施形態では、用量は、1mg〜250mgのフィルゴチニブである。一部の実施形態では、フィルゴチニブの用量は、1日2回約20mg〜1日2回約50mgの範囲である。一部の実施形態では、用量は、2mg、4mg、6mg、8mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mg、200mg、または500mgのフィルゴチニブである。しかし通常、実際に投与されるフィルゴチニブの量は、処置を受ける状態、選択された投与経路、および併用投与化合物、ならびに適用できる場合には個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症状の重症度等を含む関連する環境に照らして、医師によって決定されることが理解される。
【0324】
一部の実施形態では、フィルゴチニブは、全体で約1〜約120時間、特に24〜96時間で約0.1mg/kg/時間〜少なくとも10mg/kg/時間の範囲の注射用量レベルを達成するように投与され得る。約0.1mg/kgから約10mg/kgまたは約10mg/kg超までの前投与ボーラスも、適切な定常状態レベルを達成するために投与され得る。最大総用量は、40〜80kgのヒト患者で約2g/日を超えると予測されない。
【0325】
長期間の状態、例えば変性状態の予防および/または処置では、処置レジメンは、通常、何か月にもまたは何年にも及ぶため、患者の都合および忍容性にとって経口投与が好ましい。フィルゴチニブの経口投与では、1日1〜5回、特に2〜4回、典型的には3回の経口用量が、代表的なレジメンである。これらの投与パターンを使用して、各用量は、約0.01〜約20mg/kgの本発明の化合物を提供し、特定の用量では、それぞれが約0.1〜約10mg/kg、特に約1〜約5mg/kgを提供する。
【0326】
フィルゴチニブの経皮用量は、一般に、注射用量を使用して達成される血中レベルと類似のまたはそれよりも低い血中レベルをもたらすように選択される。
【0327】
フィルゴチニブは、炎症状態の発症を予防するために使用される場合、典型的には、医師の指示によりおよび監視下、前述の投与レベルで、その状態を発症する危険性がある患者に投与され得る。特定の状態を発症する危険性がある患者には、一般に、その状態の家族歴がある患者、または遺伝的試験もしくはスクリーニングによってその状態を特に発症しやすいと同定されている患者が含まれる。
【0328】
任意選択でフィルゴチニブと組み合わされた本明細書に開示の化合物Iの前記形態は、限定されないが、がん、糖尿病、および炎症性疾患、例えば関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、敗血症、乾癬、誤調節された(misregulated)TNF発現および移植片拒絶を含む疾患または状態の処置に有用である。本明細書に開示の化合物Iの前記形態は、限定されないが、がん、糖尿病、および炎症性疾患、例えば関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、敗血症、乾癬、誤調節されたTNF発現および移植片拒絶を含む疾患または状態の症状を軽減するのに有用である。一部の実施形態では、該方法は、疾患または障害の症状を有する哺乳動物を同定し、その哺乳動物に、症状を軽快させる(すなわち、症状の重症度を低下させる)のに有効な量の本明細書に記載のある形態の化合物Iを提供するステップを含む。
【0329】
一部の実施形態では、任意選択でフィルゴチニブと組み合わされた本明細書に開示の化合物Iの前記形態は、固形腫瘍の処置に有用である。特定の実施形態では、固形腫瘍は、膵臓がん、膀胱がん、結腸直腸がん、乳がん、前立腺がん、腎がん、肝細胞がん、肺がん、卵巣がん、子宮頸がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、黒色腫、神経内分泌がん、CNSがん、脳腫瘍(例えば、神経膠腫、未分化乏突起神経膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人未分化星状細胞腫)、骨がん、または軟部組織肉腫に由来する。一部の実施形態では、固形腫瘍は、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、結腸がん、CNSがん、黒色腫、卵巣がん、腎がん、前立腺がん、または乳がんに由来する。
【0330】
一部の実施形態では、任意選択でフィルゴチニブと組み合わされた本明細書に開示の化合物Iの前記形態は、インスリン産生および耐糖能の障害によって特徴付けられる任意の代謝性障害を含む糖尿病の処置に有用である。一部の実施形態では、糖尿病には、1型および2型糖尿病、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリック症候群、空腹時血糖異常上昇、ならびに耐糖能障害が含まれる。1型糖尿病は、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)としても公知である。2型は、インスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)としても公知である。
【0331】
一部の実施形態では、任意選択でフィルゴチニブと組み合わされた本明細書に開示の化合物Iの前記形態は、炎症性疾患またはLPS誘発性エンドトキシンショックの処置に有用である。一部の実施形態では、疾患は、自己免疫疾患である。特定の実施形態では、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症(myestenia
gravis)、関節リウマチ(RA)、急性播種性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、敗血症、乾癬、シェーグレン症候群、乾癬、自己免疫性溶血性貧血、喘息、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。他の実施形態では、疾患は、炎症である。さらなる他の実施形態では、疾患は、過度のまたは破壊性の免疫反応、例えば喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および狼瘡である。
【0332】
本明細書に記載の一部の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を、任意選択でフィルゴチニブと組み合わせて投与するステップを含む、炎症性腸疾患(IBD)を処置する方法である。本明細書で使用される用語「炎症性腸疾患」または「IBD」は、胃腸管の炎症性障害を説明する集合的用語であり、その最も一般的な形態は、潰瘍性大腸炎およびクローン病である。本開示の化合物、組成物および方法で処置され得るIBDの他の形態には、空置大腸炎(diversion colitis)、虚血性大腸炎、感染性大腸炎、化学物質による大腸炎、顕微鏡的大腸炎(コラーゲン性大腸炎およびリンパ球性大腸炎を含む)、非定型大腸炎、偽膜性大腸炎、劇症性大腸炎、自閉症性腸炎、不確定大腸炎、ベーチェット病、胃十二指腸CD、空回腸炎、回腸炎、回結腸炎、クローン(肉芽腫性)大腸炎、過敏性腸症候群、粘膜炎、放射線誘発性腸炎、短腸症候群、セリアック病、胃潰瘍、憩室炎、嚢炎、直腸炎、および慢性下痢が含まれる。
【0333】
IBDの処置または予防には、IBDの1つまたは複数の症状の軽快または低減が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「IBDの症状」は、検出された症状、例えば腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱、食欲喪失、および他のより重篤な合併症、例えば脱水、貧血および栄養障害を指す。いくつかのこのような症状は、定量的分析に付される(例えば、体重減少、発熱、貧血等)。いくつかの症状は、血液検査(例えば貧血)または血液の存在(例えば直腸出血)を検出する試験によって容易に決定される。用語「前記症状が低減される」とは、疾患からの回復速度(例えば体重増加速度)に対する検出可能な影響を含むがこれに限定されない、検出可能な症状の定性的または定量的低減を指す。診断は、典型的には、粘膜の内視鏡的観察、および内視鏡的生検材料の病理学的試験を手段として決定される。
【0334】
IBDの過程はさまざまであり、疾患の寛解および疾患の増悪の間欠期間としばしば関連する。IBDの疾患活動性および重症度、ならびにIBDを有する被験体における処置に対する応答を特徴付けるための様々な方法が、説明されている。本発明の方法による処置は、一般に、任意のレベルまたは程度の疾患活動性のIBDを有する被験体に適用できる。
【0335】
潰瘍性大腸炎を有する被験体における疾患活動性の評価に有用な基準は、例えばTrueloveら(1955年)Br Med J 2巻:1041〜1048頁)に見出すことができる。これらの基準を使用して、疾患活動性を、IBDを有する被験体において、軽度の疾患活動性または重度の疾患活動性として特徴付けることができる。重度の疾患活動性のすべての基準を満たさず、かつ、軽度の疾患活動性の基準を超える被験体は、中程度の疾患活動性を有するものとして分類される。
【0336】
また、本開示の処置法は、疾患の過程における任意の時点で適用することができる。ある特定の実施形態では、該方法は、寛解(すなわち非活動性疾患)の期間中にIBDを有する被験体に適用される。このような実施形態では、本方法は、寛解期間を延長する(例えば、非活動性疾患の期間を延長する)ことによって、または活動性疾患の発症を予防、低減もしくは遅延させることによって利益を提供する。他の実施形態では、方法は、活動性疾患の期間中にIBDを有する被験体に適用され得る。このような方法は、活動性疾患
の期間の持続時間を短縮し、IBDの1つもしくは複数の症状を低減もしくは軽快させ、またはIBDを処置することによって利益を提供する。
【0337】
臨床診療においてIBDの処置の有効性を決定する尺度は、説明されており、それには例えば以下の、症状の制御、瘻孔閉鎖、必要な副腎皮質ステロイド治療の程度、および生活の質の改善が含まれる。健康に関係する生活の質(HRQL)は、IBDを有する被験体の生活の質を評価するために臨床診療において広く使用されている炎症性腸疾患の質問表(IBDQ)を使用して評価することができる。(Guyattら(1989年)Gastroenterology 96巻:804〜810頁参照)。先の応答基準のいずれの改善も、本開示の方法によって具体的に提供される。
【0338】
本明細書に記載の一部の実施形態は、患者に、治療有効量の本明細書に記載のある形態の化合物Iまたは本明細書に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、それを必要とする患者の肺高血圧症を処置する方法を対象とする。
【0339】
本開示の方法によって処置される肺高血圧状態は、世界保健機関(WHO)またはVenice(2003年)分類に従って認識される状態の任意の1つまたは複数を含み得る(例えば、Rubin(2004年)Chest 126巻:7〜10頁参照)。
群1:肺動脈高血圧(PAH)
1.1 特発性PAH
1.2 家族性PAH
1.3 以下と関連するPAH
1.3.1 膠原血管疾患
1.3.2 先天性体肺(systemic−to−pulmonary)シャント(アイゼンメンゲル症候群を含む)
1.3.3 門脈圧亢進症
1.3.4 HIV感染症
1.3.5 薬物および毒素
1.3.6 他のもの(甲状腺障害、糖原病、ゴーシェ病、遺伝性出血性毛細血管拡張症、ヘモグロビン異常症、骨髄増殖性障害、脾摘出術)
1.4 著しい静脈または毛細血管関与と関連するPAH
1.4.1 肺静脈閉塞症(PVOD)
1.4.2 肺毛細血管腫症(PCH)
1.5 新生児の遷延性肺高血圧症
群2:左心疾患を伴う肺高血圧症
2.1 左側心房または心室の心疾患
2.2 左側心臓弁膜症
群3:肺疾患および/または低酸素血症と関連する肺高血圧症
3.1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
3.2 間質性肺疾患
3.3 睡眠時呼吸障害
3.4 肺胞低換気障害
3.5 高地への長期曝露
3.6 発生異常
群4:慢性血栓性および/または塞栓性疾患に起因する肺高血圧症
4.1 近位肺動脈の血栓塞栓性閉塞症
4.2 遠位肺動脈血栓塞栓性閉塞症
4.3 非血栓性肺塞栓症(腫瘍、寄生虫、異物)
群5:種々(サルコイドーシス、組織球増殖症X、リンパ管腫症、肺血管の圧迫(リンパ節腫脹、腫瘍、線維化性縦隔炎))
【0340】
一部の実施形態では、肺高血圧症は、肺動脈高血圧である。肺動脈高血圧は、一態様では、特発性PAH、家族性PAH、肺静脈閉塞症(PVOD)、肺毛細血管腫症(PCH)、新生児の遷延性肺高血圧症、または別の疾患もしくは状態と関連するPAHから選択され得る。
【0341】
併用治療
心腎疾患、例えば慢性腎疾患の処置を受ける患者は、組合せ薬物処置から利益を得ることができる。例えば、本発明の化合物は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばエナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、リシノプリル、およびキナプリルなど;またはアンギオテンシン(angiontesin)II受容体遮断剤(ARB)、例えばロサルタン、オルメサルタン、およびイルベサルタンなど;または降圧剤、例えばアムロジピン、ニフェジピン、およびフェロジピンなどの1つまたは複数と組み合わせることができる。組合せの利益は、構成成分の用量を下方調整して、その副作用を低減することができると同時に、化合物Iおよび/または他の活性な構成成分(複数可)の有効性によって増大したその有効性から利益を得ることができるので、その構成成分の有効性の増大および/または副作用の低減となり得る。
【0342】
ASK1阻害剤、例えば化合物Iで処置可能な慢性腎疾患を呈している患者は、化合物Iと組み合わされる、抗生物質、鎮痛剤、抗うつ剤および/または抗不安剤である1つまたは複数の治療剤の併用投与(資格を有する治療奉仕者によって指示される)から利益が得られる状態を呈している場合もある。組合せ処置は、2種またはそれより多種の活性剤を同時に、または資格を有する治療奉仕者によって指示された間隔内で交互に、または固定用量(すべての活性成分は、単一の剤形、例えば錠剤に組み合わされる)で提示して投与することができる。
【0343】
ASK1阻害剤の投与によって急性心血管疾患事象の処置を受けている冠動脈疾患の患者は、しばしば、他の治療剤を用いる処置から利益を得られる疾患または状態を呈する。これらの疾患または状態は、心血管の性質を有する可能性があり、肺障害、代謝性障害、胃腸障害等に関する可能性もある。さらに、ASK1阻害剤の投与によって急性心血管疾患事象の処置を受けている冠動脈疾患の一部患者は、抗生物質、鎮痛剤、および/または抗うつ剤および抗不安剤である治療剤を用いる処置から利益を得ることができる状態を呈する。
【0344】
ASK1阻害剤と他の治療剤の組合せ処置から利益を得ることができる心血管関連疾患または状態には、限定されないが、安定狭心症、不安定狭心症(UA)、労作性狭心症、異型狭心症を含む狭心症、不整脈、間欠性跛行、非STE心筋梗塞(NSTEMI)を含む心筋梗塞、うっ血性(または慢性)心不全、急性心不全を含む心不全、または再発性虚血が含まれる。
【0345】
心血管関連疾患または状態を処置するのに適した治療剤には、抗狭心症剤、心不全剤、抗血栓剤、抗不整脈剤、降圧剤、および脂質低下剤が含まれる。
【0346】
ASK1阻害剤と、心血管関連状態を処置するのに適した治療剤の併用投与によって、患者が現在受けている標準ケア治療を増強することができる。
【0347】
抗狭心症剤には、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、およびニトレートが含まれる。ベータ遮断剤は、心臓の作業負荷を低減して心拍数の減少および心収縮の活発さの相対的低下をもたらすことによって、心臓の酸素必要量を低減する。ベータ遮断剤の例として、アセブトロール(Sectral)、アテノロール(Tenormin)、ベタキ
ソロール(Kerlone)、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(Ziac)、ビソプロロール(Zebeta)、カルテオロール(Cartrol)、エスモロール(Brevibloc)、ラベタロール(Normodyne、Trandate)、メトプロロール(Lopressor、Toprol XL)、ナドロール(Corgard)、プロプラノロール(Inderal)、ソタロール(Betapace)、およびチモロール(Blocadren)が挙げられる。
【0348】
ニトレートは、動脈および静脈を拡張し、それによって冠状動脈血流を増大し、血圧を下げる。ニトレートの例として、ニトログリセリン、ニトレートパッチ、二硝酸イソソルビド、およびイソソルビド−5−モノニトレートが挙げられる。
【0349】
カルシウムチャネル遮断剤は、心臓細胞および血管へのカルシウムの正常流を防止して血管を弛緩させ、それによって心臓への血液および酸素の供給を増大させる。カルシウムチャネル遮断剤の例として、アムロジピン(Norvasc、Lotrel)、ベプリジル(Vascor)、ジルチアゼム(Cardizem、Tiazac)、フェロジピン(Plendil)、ニフェジピン(Adalat、Procardia)、ニモジピン(Nimotop)、ニソルジピン(Sular)、ベラパミル(Calan、Isoptin、Verelan)、およびニカルジピンが挙げられる。
【0350】
心不全を処置するために使用される剤として、利尿剤、ACE阻害剤、血管拡張剤、および強心配糖体が挙げられる。利尿剤は、組織および循環における過剰の流体を排除し、それによって心不全の症状の多くを軽減する。利尿剤の例として、ヒドロクロロチアジド、メトラゾン(Zaroxolyn)、フロセミド(Lasix)、ブメタニド(Bumex)、スピロノラクトン(Aldactone)、およびエプレレノン(Inspra)が挙げられる。
【0351】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は、血管を拡張し、血流に対する抵抗性を低減することによって、心臓にかかる作業負荷を低減する。ACE阻害剤の例として、ベナゼプリル(Lotensin)、カプトプリル(Capoten)、エナラプリル(Vasotec)、ホシノプリル(Monopril)、リシノプリル(Prinivil、Zestril)、モエキシプリル(Univasc)、ペリンドプリル(Aceon)、キナプリル(Accupril)、ラミプリル(Altace)、およびトランドラプリル(Mavik)が挙げられる。
【0352】
血管拡張剤は、血管を弛緩させ、拡張することによって、血管にかかる圧力を低減する。血管拡張剤の例として、ヒドララジン、ジアゾキシド、プラゾシン、クロニジン、およびメチルドパが挙げられる。ACE阻害剤、ニトレート、カリウムチャネル活性化因子、およびカルシウムチャネル遮断剤も、血管拡張剤として作用する。
【0353】
強心配糖体は、心臓の収縮力を増大する化合物である。これらの化合物は、心臓のポンピング能力を強化し、不規則な心拍活動を改善する。強心配糖体の例として、ジギタリス、ジゴキシン、およびジギトキシンが挙げられる。
【0354】
抗血栓剤は、血液の凝固能力を阻害する。血小板阻害剤、抗凝固剤、および血栓溶解剤の3つの主な種類の抗血栓剤がある。血小板阻害剤は、血小板の凝固活性を阻害し、それによって動脈中の凝固を低減する。血小板阻害剤の例として、アセチルサリチル酸(アスピリン)、チクロピジン、クロピドグレル(plavix)、ジピリダモール、シロスタゾール、ペルサンチン(persantine) スルフィンピラゾン、ジピリダモール、インドメタシン、ならびに糖タンパク質llb/llla阻害剤、例えばアブシキシマブ、チロフィバン、およびエプチフィバチド(Integrelin)が挙げられる。ベ
ータ遮断剤およびカルシウムチャネル遮断剤も、血小板阻害効果を有する。
【0355】
抗凝固剤は、血餅がより大きく成長するのを防止し、新しい血餅の形成を防止する。抗凝固剤の例として、ビバリルジン(Angiomax)、ワルファリン(Coumadin)、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、ダナパロイド、レピルジン、およびアルガトロバンが挙げられる。
【0356】
血栓溶解剤は、既存の血餅を分解するように作用する。血栓溶解剤の例として、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、およびテネクテプラーゼ(TNK)、および組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)が挙げられる。
【0357】
抗不整脈剤は、心拍数および心調律の障害を処置するために使用される。抗不整脈剤の例として、アミオダロン、キニジン、プロカインアミド、リドカイン、およびプロパフェノンが挙げられる。強心配糖体およびベータ遮断剤は、抗不整脈剤としても使用される。
【0358】
降圧剤は、血圧が一貫して正常よりも高い状態である高血圧を処置するために使用される。高血圧は、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、および血餅形成を含む心血管疾患の多くの態様と関連する。
【0359】
降圧剤の例として、アルファ−1−アドレナリンアンタゴニスト、例えばプラゾシン(Minipress)、ドキサゾシンメシル酸塩(Cardura)、プラゾシン塩酸塩(Minipress)、プラゾシン、ポリチアジド(Minizide)、およびテラゾシン塩酸塩(Hytrin);ベータアドレナリンアンタゴニスト、例えばプロプラノロール(Inderal)、ナドロール(Corgard)、チモロール(Blocadren)、メトプロロール(Lopressor)、およびピンドロール(Visken);中枢性アルファ−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばクロニジン塩酸塩(Catapres)、クロニジン塩酸塩およびクロルタリドン(Clorpres、Combipres)、グアナベンズ酢酸塩(Wytensin)、グアンファシン塩酸塩(Tenex)、メチルドパ(Aldomet)、メチルドパおよびクロロチアジド(Aldoclor)、メチルドパおよびヒドロクロロチアジド(Aldoril);アルファ/ベータアドレナリンアンタゴニストの組合せ、例えばラベタロール(Normodyne、Trandate)、カルベジロール(Coreg);アドレナリン作動性ニューロン遮断剤、例えばグアネチジン(Ismelin)、レセルピン(Serpasil);中枢神経系作用性の降圧剤、例えばクロニジン(Catapres)、メチルドパ(Aldomet)、グアナベンズ(Wytensin);抗アンギオテンシンII剤;ACE阻害剤、例えばペリンドプリル(Aceon)カプトプリル(Capoten)、エナラプリル(Vasotec)、リシノプリル(Prinivil、Zestril);アンギオテンシン−II受容体アンタゴニスト、例えばカンデサルタン(Atacand)、エプロサルタン(Teveten)、イルベサルタン(Avapro)、ロサルタン(Cozaar)、テルミサルタン(Micardis)、バルサルタン(Diovan);カルシウムチャネル遮断剤、例えばベラパミル(Calan、Isoptin)、ジルチアゼム(Cardizem)、ニフェジピン(Adalat、Procardia);利尿剤;直接血管拡張剤、例えばニトロプルシド(Nipride)、ジアゾキシド(Hyperstat IV)、ヒドララジン(Apresoline)、ミノキシジル(Loniten)、ベラパミル;ならびにカリウムチャネル活性化因子、例えばアプリカリム、ビマカリム、クロマカリム、エマカリム、ニコランジル、およびピナシジルが挙げられる。
【0360】
脂質低下剤は、血中に存在するコレステロールまたは脂肪糖の量を低下させるために使用される。脂質低下剤の例として、ベザフィブレート(Bezalip)、シプロフィブレート(Modalim)、およびスタチン、例えばアトルバスタチン(Lipitor
)、フルバスタチン(Lescol)、ロバスタチン(Mevacor、Altocor)、メバスタチン、ピタバスタチン(Livalo、Pitava)、プラバスタチン(Lipostat)、ロスバスタチン(Crestor)、およびシンバスタチン(Zocor)が挙げられる。
【0361】
本開示では、ASK1阻害剤を必要とする被験体は、しばしば続発する病状、例えば代謝性障害、肺障害、末梢性血管障害、または胃腸障害の1つまたは複数に罹患する。このような患者は、患者に、本発明の化合物を少なくとも1種の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む併用治療の処置から利益を得ることができる。
【0362】
肺障害は、肺に関係する任意の疾患または状態を指す。肺障害の例として、以下に限定されないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、および肺気腫が挙げられる。
【0363】
肺障害を処置するために使用される治療剤の例として、ベータ2アゴニストおよび抗コリン作用剤を含む気管支拡張剤、コルチコステロイド、ならびに電解質補助剤が挙げられる。肺障害を処置するために使用される治療剤の具体例として、エピネフリン、テルブタリン(Brethaire、Bricanyl)、アルブテロール(Proventil)、サルメテロール(Serevent、Serevent Diskus)、テオフィリン、イプラトロピウム臭化物(Atrovent)、チオトロピウム(Spiriva)、メチルプレドニゾロン(Solu−Medrol、Medrol)、マグネシウム、およびカリウムが挙げられる。
【0364】
代謝性障害の例として、以下に限定されないが、I型およびII型糖尿病を含む糖尿病、メタボリック症候群、脂質異常症、肥満、耐糖能障害、高血圧、高血清コレステロール、および高トリグリセリドが挙げられる。
【0365】
代謝性障害を処置するために使用される治療剤の例として、先のセクション「心血管系剤の併用治療」に記載されている、降圧剤および脂質低下剤が挙げられる。代謝性障害を処置するために使用される追加の治療剤として、インスリン、スルホニル尿素、ビグアニド、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、およびインクレチン模倣剤が挙げられる。
【0366】
末梢性血管障害は、例えば内臓、腕および脚に血液を供給する動脈が、アテローム性動脈硬化症の結果として完全にまたは部分的に遮断された場合に発生する状態である末梢性動脈疾患(PAD)を含む、心臓および脳の外側に位置する血管(動脈および静脈)に関係する障害である。
【0367】
胃腸障害は、胃腸管と関連する疾患および状態を指す。胃腸障害の例として、胃食道逆流症(GERD)、炎症性腸疾患(IBD)、胃腸炎、胃炎および消化性潰瘍疾患、ならびに膵炎が挙げられる。
【0368】
胃腸障害を処置するために使用される治療剤の例として、プロトンポンプ阻害剤、例えばパントプラゾール(Protonix)、ランソプラゾール(Prevacid)、エソメプラゾール(Nexium)、オメプラゾール(Prilosec)、ラベプラゾール;H2遮断剤、例えばシメチジン(Tagamet)、ラニチジン(Zantac)、ファモチジン(Pepcid)、ニザチジン(Axid);プロスタグランジン、例えばミソプロストール(Cytotec);スクラルファート;および制酸剤が挙げられる。
【0369】
一実施形態では、本明細書に開示のある形態の化合物Iは、胃腸障害を処置するために使用および/または開発されている1種または複数種の追加の治療剤と組み合わせて使用
することができる。一実施形態では、本明細書に開示のある形態の化合物Iは、炎症性障害(例えば、IBD)を処置するために使用および/または開発されている1種または複数種の追加の治療剤と組み合わせて使用することができる。このような実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、α4β7阻害剤、ステロイド、MMP−9抗体、S1P1アゴニスト、TNF生物学的製剤(biologic)、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0370】
一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、α4β7インテグリン阻害剤であっても、α4β7インテグリンの発現および/もしくは活性を阻害する剤であってもよい。阻害剤は、小分子または生物学的製剤(biologic)であってよい。例えば、α4β7インテグリン阻害剤は、ナタリズマブまたはベドリズマブであり得る。
【0371】
一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、以下に限定されないが、コルチコステロイドを含むステロイドであってよい。コルチコステロイドは、静脈内(すなわち、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン)、経口(すなわち、プレドニゾン、プレドニゾロン、ブデソニド、デキサメタゾン)、または局所(すなわち、浣腸、坐剤、または泡状調製物)を含む様々な経路によって投与され得る。
【0372】
一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、MMP9阻害剤であっても、MMP9の発現および/もしくは活性を阻害する剤であってもよい。MMP9の代表的なタンパク質配列は、GenBank受託番号NP_004985である。阻害剤は、小分子または生物学的製剤であってよい。例えば、Guら、The Journal of
Neuroscience、25巻(27号):6401〜6408頁(2005年)は、特異的MMP9阻害剤、SB−3CT(CAS292605−14−2)を開示している。さらに、siRNA、アンチセンスRNAおよび抗体も、MMP9の発現または活性を阻害することが実証されており、本開示の範囲内である。一実施形態では、MMP9阻害剤は、モノクローナル抗MMP9抗体である。一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤には、MMP9阻害剤およびヌクレオシド類似体、例えばゲムシタビンが含まれる。
【0373】
一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、スフィンゴシン1−リン酸受容体(S1P1)阻害剤であっても、S1P1の発現および/もしくは活性を阻害する剤であってもよい。阻害剤は、小分子または生物学的製剤であってよい。例えば、S1P1阻害剤は、RPC1063であってよい。
【0374】
一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、TNF阻害剤であっても、TNFの発現および/もしくは活性を阻害する剤であってもよい。阻害剤は、小分子または生物学的製剤であってよい。例えば、TNF阻害剤は、ゴリムマブであってよい。
【0375】
一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、潰瘍性大腸炎(UC)および/またはクローン病(CD)を処置するために使用および/または開発されている。剤は、生物学的製剤または小分子であってよい。一部の実施形態では、剤は、S1P1、IL−6、CX3CL1、DHODH、α4、β7、JAK、TNF、CB、IL−12/IL−23、CCL20、TLR9、MAdCAM、CCR9、CXCL10、Smad7、PDE4、MC、VLA−1、GC、GATA−3、Eotaxin、FFA2、LIGHT、FMS、MMP9、CD40、ステロイド、5−ASA、Immunomod、STAT3、および/またはEP4のモジュレーター(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)である。一部の実施形態では、JAK阻害剤は、フィルゴチニブである。
【0376】
潰瘍性大腸炎(UC)を処置するために使用および/または開発されている剤の非限定
的な例として、GSK3050002(CCL20モジュレーター、GSK製)、GS−5745(MMP9モジュレーター、Gilead製)、AVX−470(TNFモジュレーター、Avaxia製)、Bertilimumab(Eotaxinモジュレーター、Immune Pharma製)、Simponi(TNFモジュレーター、Johnson&Johnson and Merck製)、RX−10001(Resolvyx製)、IBD−98(5−ASAモジュレーター、Holy Stone製)、SP−333(GCモジュレーター、Synergy製)、KAG−308(EP4モジュレーター、Kaken製)、SB012(GATA−3モジュレーター、Sterna製)、AJM300(α4モジュレーター、味の素製)、BL−7040(TLR9モジュレーター、BiolineRx製)、TAK−114(SAT3モジュレーター、武田製)、CyCol(Sigmoid製)、GWP−42003(CBモジュレーター、GW Pharma製)、ASP3291(MCモジュレーター、Drais製)、GLPG0974(FFA2モジュレーター、Galapagos製)、Ozanimod(S1P1モジュレーター、Receptos製)、ASP015K(JAKモジュレーター、アステラス製)、Apremilast(PDE4モジュレーター、Celgene製)、Zoenasa(Altheus製)、Kappaproct(TLR9モジュレーター、InDex製)、ホスファチジルコリン(Dr Falk/Lipid Tx製)、トファシチニブ(JAkモジュレーター、Pfizer製)、Cortment(ステロイドモジュレーター、Ferring製)、Uceris(ステロイドモジュレーター、Salix製)、および5−ASAモジュレーター、例えばDelzicol(Actavis製)、Canasa(Aptalis製)、アサコール(Actavis製)、Pentasa(Shire/Ferring製)、Lialda(Shire製)、Mezavant(Shire製)、Apriso(Salix製)、Colazal(Salix製)、Giazo(Salix製)、およびSalofalk(Dr Falk製)が挙げられる。クローン病(CD)を処置するために使用および/または開発されている剤の非限定的な例として、FFP102(CD40モジュレーター、Fast Forward製)、E6011(CX3CL1モジュレーター、Eisai製)、PF−06480605(Pfizer製)、QBECO SSI(Immunomodモジュレーター、Qu Biologics製)、PDA−001(Celgene製)、BI655066(IL−12/IL−23モジュレーター、Boehringer製)、TNFα
kinoid(TNFモジュレーター、Neovacs製)、AMG139/MEDI−2070(IL−12/IL−23モジュレーター、AstraZeneca製)、PF−04236921(IL−6モジュレーター、Pfizer製)、Tysabri(β7モジュレーター、米国においてBiogen Idecによって販売)、Cimzia(米国においてUCBによって販売)、JNJ−40346527(FMSモジュレーター、J&J製)、SGX−203(ステロイドモジュレーター、Solgenix製)、CyCron(Sigmoid製)、CCX507(CCR9モジュレーター、ChemoCentryx製)、MT1303(S1P1モジュレーター、三菱製)、6−MP(Teva製)、ABT−494(JAkモジュレーター、Abbvie製)、トファシチニブ(JAkモジュレーター、Pfizer製)、TRK−170(β7モジュレーター、東レ製)、Mongersen(Smad7モジュレーター、Celgene製)、RHB−104(Redhill製)、Rifaxmin EIR(Salix製)、Budenofalk(Dr Falk製)、およびEntocort(AstraZeneca製)が挙げられる。
【0377】
潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を処置するために使用および/または開発されている剤の非限定的な例として、PF−06410293(Pfizer製)、SAN−300(VLA−1モジュレーター、Salix製)、SAR252067(LIGHTモジュレーター、Sanofi製)、PF−00547659(MAdCAMモジュレーター、Pfizer製)、Eldelumab(Smad7モジュレーター、B
MS製)、AMG181/MEDI−7183(β7モジュレーター、Amgen/AstraZeneca製)、Etrolizumab(β7モジュレーター、Roche製)、Ustekinumab(IL−12/IL−23モジュレーター、J&J製)、Remicade(TNFモジュレーター、J&J and Merck製)、Entyvio(β7モジュレーター、武田製)、Humira(TNFモジュレーター、Abbvie製)、インフリキシマブ(Celtrion製)、PF−06651600(Pfizer製)、GSK2982772(GSK製)、GLPG1205(FFA2モジュレーター、Galapagos製)、AG014(Intrexon製)およびVidofludimus(DHODHモジュレーター、4SC製)が挙げられる。
【0378】
一部の実施形態では、1種または複数種の追加の治療剤は、JAK阻害剤、特にJAK−1選択的阻害剤であってよい。阻害剤は、小分子または生物学的製剤であってよい。例えば、JAK阻害剤は、フィルゴチニブ、GLPG0634(JAKモジュレーター、Galapagos製)であってよい。
【0379】
急性冠動脈疾患(coronary disease)事象を呈している患者は、抗生物質、鎮痛剤、抗うつ剤および抗不安剤である1つまたは複数の治療剤を、ラノラジンと組み合わせて投与することから利益が得られる状態を呈している場合がある。
【0380】
抗生物質は、細菌および真菌の両方を含む微生物を死滅またはその成長を停止させる治療剤である。抗生物質剤の例として、ペニシリン(アモキシシリン)、セファロスポリン、例えばセファゾリン、セフロキシム、セファドロキシル(Duricef)、セファレキシン(Keflex)、セフラジン(Velosef)、セファクロール(Ceclor)、セフロキシムアキセチル(axtel)(Ceftin)、セフプロジル(Cefzil)、ロラカルベフ(Lorabid)、セフィキシム(Suprax)、セフポドキシムプロキセチル(Vantin)、セフチブテン(Cedax)、セフジニル(Omnicef)、セフトリアキソン(Rocephin)、カルバペネム、およびモノバクタムを含むβ−ラクタム抗生物質;テトラサイクリン、例えばテトラサイクリン;マクロライド系抗生物質、例えばエリスロマイシン;アミノグリコシド、例えばゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン;キノロン、例えばシプロフロキサシン;環状ペプチド、例えばバンコマイシン、ストレプトグラミン、ポリミキシン;リンコサミド、例えばクリンダマイシン;オキサゾリジノン(oxazolidinoes)、例えばリネゾリド;ならびにサルファ系抗生物質(sulfa antibiotics)、例えばスルフイソキサゾールが挙げられる。
【0381】
鎮痛剤は、疼痛を軽減するために使用される治療剤である。鎮痛剤の例として、オピエートおよびモルヒネ様物質、例えばフェンタニルおよびモルヒネ;パラセタモール;NSAID、およびCOX−2阻害剤が挙げられる。
【0382】
抗うつ剤および抗不安剤には、不安障害、うつ病を処置するために使用される剤、ならびに鎮静剤および精神安定薬(tranquiller)として使用されるものが含まれる。抗うつ剤および抗不安剤の例として、ベンゾジアゼピン、例えばジアゼパム、ロラゼパム、およびミダゾラム;ベンゾジアゼピン(enzodiazepine);バルビツレート;グルテチミド;クロラール水和物;メプロバメート;セルトラリン(Zoloft、Lustral、Apo−Sertral、Asentra、Gladem、Serlift、Stimuloton);エスシタロプラム(Lexapro、Cipralex);フルオキセチン(Prozac、Sarafem、Fluctin、Fontex、Prodep、Fludep、Lovan);ベンラファキシン(Effexor XR、Efexor);シタロプラム(Celexa、Cipramil、Talohexane);パロキセチン(Paxil、Seroxat、Aropax);トラゾドン
(Desyrel);アミトリプチリン(Elavil);およびブプロピオン(Wellbutrin、Zyban)が挙げられる。
【実施例】
【0383】
化合物Iの結晶形態を、XRPD、DSCおよびTGAによって分析した。化合物IのXRPDパターンを、PANalytical X’Pert PRO MPD回折計で、ほとんどは以下の実験設定を使用して収集した。45kV、40mA、Kα1=1.5406Å、走査範囲2〜40°2θ、ステップサイズ0.0167°2θ。DSC分析は、TA Instruments Q2000示差走査熱量計で、材料2〜3mgを使用し、(−30℃)〜300℃の範囲にわたって10℃/分の加熱速度を使用して実施した。TGAデータは、TA Instruments 2950およびQ5000熱重量分析器で、材料2〜5mgを使用し、25〜350℃の範囲にわたって10℃/分の加熱速度を使用して得た。
【0384】
1.1 化合物Iの形態I
化合物Iの形態Iは、化合物Iの無水形態であり、周囲条件において0.6超の水分活性で、DCMおよび水性混合物を除いてほとんどの有機溶媒/溶媒混合物から得られた化合物Iの最も熱力学的に安定な多形となることが企図される。
【0385】
化合物Iの形態Iは、XRPDによれば結晶性であり(
図1)、以下のピーク:8.9、10.0、13.9、16.7、21.3、22.8、および29.0°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。表1は、化合物Iの形態Iの単結晶データをまとめたものである。化合物Iの形態Iは、DSCに基づき約202℃の融解開始温度を示す(
図2)。TGA分析は、150℃未満で、残留溶媒の減少に相当する約0.1%の重量減少を示す(
図3)。
【0386】
最初に、化合物Iの形態Iを、以下の手順を使用して単離した。5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−フルオロ−4−メチル安息香酸塩酸塩(30g、102mmol)を、無水1,2−ジクロロメタン(900mL)に室温で懸濁させた。窒素下で撹拌しながら塩化オキサリル(18ml、205mmol)を添加した後、N,N−ジメチルホルムアミド(0.783ml、10.2mmol)を添加した。混合物を室温で約4時間撹拌し、次に溶媒を減圧下で除去した。残渣を、無水ジクロロメタン約600mLに溶解させた。6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−アミン(22.9g、113mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(12.5g、102mmol)を、窒素下で撹拌しながら急速に添加した。反応物を室温で約2時間撹拌し、ジクロロメタンを蒸発させた。残渣を、水500mLに溶解させ、混合物のpHが約7になるまで、固体NaHCO
3を添加した。ジクロロメタンを添加し(約500mL)、層を分離した。水層をジクロロメタン(2×300mL)で抽出した。合わせた有機物を水(2×200mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を最小量のTHFに溶解させ、濃厚なスラリーが形成されるまで、水をゆっくり添加した。固体を濾過によって収集し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0387】
得られた固体(約72g)を、熱EtOH(5ml/g固体)から再結晶し、固体を濾過によって収集し、2:1のジエチルエーテル/EtOHで洗浄した後、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
【表1】
【0388】
化合物Iの形態Iを、(以下に限定されないが)MeOH/水、MeOH/MTBE、iPrOAc/n−ヘプタン、MTBE/n−ヘプタン、およびEtOH/n−ヘプタンを含む様々な溶媒系から単離することができる。以下の2つの例示的な方法は、化合物Iの形態Iを単離するのに適切であり得る。
【0389】
方法1:
・化合物IのDCM溶液を、EtOH(投入化合物Iに対して約3mL/g)に溶媒交換し、約50℃に加熱する。
・ヘプタン(投入化合物Iに対して約6.7mL/g)を、約1時間にわたって添加し、得られたスラリーを約50℃で約1時間熟成させる。
・スラリーを、約10℃/時間で約0℃に冷却し、ほぼ終夜かけて約0℃で熟成させる。・スラリーを濾過し、湿潤ケーキを、2mL/g(1gの投入化合物Iに対する)の1:2v/v EtOH/ヘプタンですすぐ。
・単離した材料を、約45℃の真空オーブン中で乾燥させて、化合物Iの形態Iを得る。
【0390】
方法2:
EtOHへの化合物Iの可溶性は低いので(約20mg/mL)、先に概説した溶媒交換を実施した後、化合物Iの形態Iのスラリーが典型的には形成される。高温におけるDCM/EtOH混合物への化合物Iの可溶性の研究を実施して、種晶添加(seeding)を適応させるであろう溶媒交換における可溶性の範囲を決定した。このデータを使用して、種晶添加時に約10〜20%v/vのDCMが残るように、以下に概説したプロセスを開発した。次に、先に概説した方法1に沿って、結晶化を継続した。濾過後、形態Iの固体を約45〜50℃の真空オーブン中で乾燥させる。以下のステップを実施して、化合物Iの形態Iを単離することができる。
・DCM中、化合物Iの最終的な有機溶液を、一部、約7.5mL/gの20%v/v DCM/EtOH(1gの投入化合物Iに対する)に溶媒交換し、その溶液に、約0.5wt/wt%の化合物Iの形態Iを用いて約50℃で種晶添加し、種床を約0.5時間かけて形成する。
・蒸留を継続して、約3.3mL/gの総反応器容積の、主にEtOHを溶媒として得る。
・ヘプタン(1gの投入化合物Iに対して約6.7mL/g)を、約2時間かけて添加し、スラリーを約50℃で約0.5時間熟成させる。
・スラリーを、約1時間かけて約20℃に冷却し、約20℃で約0.5時間熟成させる。・スラリーを濾過し、湿潤ケーキを、2mL/g(1gの投入化合物Iに対する)の1:2v/v EtOH/ヘプタンですすぐ。
・単離した材料を約45℃の真空オーブン中で乾燥させて、化合物Iの形態Iを得る。
【0391】
1.2 化合物Iの形態IIおよび化合物Iの形態V
化合物Iの形態IIを、DCM/n−ヘプタンから化合物Iを単離する間に発見した。実験的XRPDは、形態Vが不安定な溶媒和物であることを示し、XRPDは、純粋相ではなかった。室温で風乾すると、形態Vが形態IIに変換し、少なくとも1つの中間体形態の存在が示された。形態Vは、単結晶の成長によってのみ真に単離された。
【0392】
化合物Iの形態IIは、化合物Iの脱溶媒和多形であり(
図4)、以下のピーク:4.9、11.2、16.6、17.4、23.7、27.4°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。研究は、化合物Iの形態IIが、化合物Iの形態Vの脱溶媒和、化合物IのDCM溶媒和物から誘導されることを示した。DSCデータは、約92℃で始まる吸熱、約160℃で始まる吸熱の後、約166℃における発熱、および約200℃で始まる吸熱を示す(
図5)。サーモグラムは、約150℃未満で約0.38%の重量減少を示す(
図6)。カールフィッシャーは、0.33%の水を示す。約110℃に加熱した後、形態変化は観察されなかった。しかし、化合物Iの形態IIは、約180℃まで加熱した後、化合物Iの形態VIに再度結晶化する。
【0393】
化合物Iの形態Vは、XRPDによって、DCMまたはDCM/n−ヘプタン混合物中で実施された結晶化から得られた化合物Iの湿潤ケーキを分析することによって過渡的に観察され得る(
図13)。化合物Iの形態Vはまた、以下のピーク:9.7、12.4、13.3、16.4、17.2、19.3、22.2、24.9、および27.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。化合物Iの形態Vは、乾燥すると、TGAによって示されたとおり化合物Iの形態IIに容易に脱溶媒和する(
図15)。現在まで、化合物Iの形態IIは、DCMから、または他の溶媒とDCMの混合物から得られている。
【0394】
化合物Iの形態IIおよび化合物Iの形態Vは、DCM中、化合物Iの形態Iの安定な形態のスクリーニング中にも観察された(以下のセクション2.1参照)。DCM中、化合物Iの形態Iのスラリーは、約24時間後にXRPDによれば形態IIおよびVの混合物を生成した。約14日後、スラリーは、化合物Iの形態IIおよび化合物Iの形態Vの混合物であった。DSCデータは、約91℃で始まる吸熱および約164℃で始まる吸熱を示す(
図14)。
【0395】
化合物Iの形態Vの単結晶を、安定な形態のスクリーニングの間に得(以下のセクション2.1)、それによって、化合物IのDCM溶媒和物の構造を確認した。DCM懸濁物から新しく得た湿潤ケーキ試料のXRPDは、形態Vの算出された粉末パターンに類似しており、算出された粉末パターンおよび実験パターンの差異は、中間体形態への部分的脱溶媒和(DCMの湿潤ケーキを室温で完全に乾燥させると、化合物Iの形態IIが得られる)および温度異方性に起因し得る。DCM由来の推定された中間体形態が本当のものであっても、形態の指定に値するほど明瞭な特徴がない。表2は、化合物Iの形態Vの単結晶データをまとめたものである。
【表2】
【0396】
化合物Iの形態Iと化合物Iの形態IIの熱力学的関係
【0397】
化合物Iの形態Iと化合物Iの形態IIの競合スラリーによって、化合物Iの形態Iが、DCMを含まない溶媒中、周囲温度でより安定な多形であることが明らかになった。例えば、MeOH/水中の形態IおよびIIの混合物は、形態Iを生成し、DCM/n−ヘプタン中でスラリー化した2種の形態の混合物は、形態IIを生成する。
【0398】
1.3 化合物Iの形態III
化合物Iの形態IIIは、化合物I(約100mg)を、メタノール/水(0.215:0.785)混合物(1mL)に約50℃で約7日間懸濁させることによって得られた水和形態である(
図7)。固体を、真空濾過によって単離し、室温において真空下で乾燥させた。化合物Iの形態IIIは、以下のピーク:5.1、10.2、11.4、18.4、21.9、および25.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。化合物Iの形態IIIのTGA分析は、<140℃で約7.5%の質量減少を示す(
図9)。カールフィッシャー分析は、約7.0%の水を示す。形態IIIのDSCは、約92℃で始まる広い吸熱、約150℃で始まる発熱、および約203℃で始まる吸熱を示す(
図8)。
【0399】
1.4 化合物Iの形態IV
化合物Iの形態IVは水和物であり、これは、3体積の水を4体積のメタノール中の化合物Iの溶液に入れた場合の溶液から沈殿することが観察された。以下の手順を使用して、形態IVを得た。化合物I(1g)を、約40℃に加熱することによって、MeOH 4mLに溶解させた。水(3mL)を入れて、濃厚なスラリーを得た。追加の水(11.6mL)を混合物に入れて、0.9の水分活性を得た。得られたスラリーを室温に冷却し、濾過した。湿潤ケーキを、真空オーブン中で室温において乾燥させて、化合物Iの形態IVを得た(0.98g)。
【0400】
化合物Iの形態IVは、以下のピーク:7.2、12.6、13.8、19.3、25.9、および28.6°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる(
図10)。DSCは、約62℃で始まる広い吸熱、約147℃で始まる鋭い吸熱の後、約153℃で始まる発熱、および約204℃で始まる吸熱を示す(
図11)。TGAは、75℃未満で、2当量の水減少に相当する7.8%の重量減少を示す(
図12)。カールフィッシャー分析も、約7.9%の水を示し、これは形態IVが二水和物であることを示している。
【0401】
1.5 化合物Iの形態VI
化合物Iの形態VIを、真空下においていくつかの異なる溶媒または溶媒混合物(アセトニトリル、エタノール、テトラヒドロフラン、メタノール/メチルイソブチルケトンおよびメタノール/1−ブタノール)から急速に蒸発させることによって作製した。最初に、化合物Iの形態VIを、不純状態で単離すると、これらの試料は、微量の化合物Iの形態Iまたは他の多形で汚染されていた。しかし、化合物Iの形態IIを180℃で約10分加熱した後(
図16)、さらに、化合物Iの熱エタノール溶液をヘプタンに注ぐことによって純粋形態を単離した。化合物Iの形態VIは、以下のピーク:8.8、10.3、15.2、18.6、23.2、23.5、および28.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。化合物Iの形態VIのDSCトレースは、約202℃で始まる単一の鋭い吸熱を示す(
図17)。TGAサーモグラムは、約150℃まで約0.2%の連続的な重量減少を示す(
図18)。カールフィッシャー分析は、約0.1%の水を示す。
【0402】
1.6 化合物Iの形態VII
化合物Iの形態VIIは、化合物Iの形態IV(先に論じた通り作製した)を低い相対湿度条件に曝露することによって作製した(
図41)。化合物Iの形態VIIは、典型的なKF値が<0.1%である化合物Iの形態IVの脱溶媒和形態である。化合物Iの形態VIIは、周囲温度および湿度で化合物Iの形態IVに急速に戻る。化合物Iの形態VIIは、以下のピーク:8.2、14.2、18.0、21.7、および22.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。また、化合物Iの形態VIIは、低い相対湿度での化合物Iの形態IVのDVS分析後、窒素
流を用いて化合物Iの形態IVを約110℃で加熱し、XRPD分析に従って約45℃の真空オーブンで化合物Iの形態IVを乾燥させることによって得た。化合物Iの形態VIIのDSCトレースは、約147℃で始まる鋭い吸熱の後、約153℃で始まる発熱、および202℃で始まる最終的な融解を示した(
図42)。TGAサーモグラムは、周囲条件下で約30分間曝露した後、150℃未満で0.3%の連続的な重量減少を示した(
図43)。この重量減少は、周囲湿度で再吸収した表面の水分に相当し得る。エタノール中の化合物Iの形態Iと化合物Iの形態VIIの競合的なスラリーは、終夜かき混ぜた後に、化合物Iの形態VIIから化合物Iの形態Iへの完全な変換をもたらした。
【0403】
1.7 化合物Iの形態VIII
化合物Iの形態VIIIは不安定な水和物であり、急速に水を喪失し、周囲条件で化合物Iの形態VIに変換する。化合物Iの形態VIIIを、90%RHの湿度チャンバ中、溶媒和していない化合物Iの形態VIを平衡化した後に、0.9の水分活性のEtOH/水中の化合物Iの形態VIのスラリーから得た(
図44)。化合物Iの形態VIIIは、以下のピーク:8.4、14.6、15.0、16.8、19.3、20.4、および24.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。単離した固体を、濾紙を用いて乾燥させて残留溶媒を除去し、DSC、TGAおよびKFによって分析した。DSCトレースは、75℃未満で広い吸熱および約203℃で始まる鋭い吸熱を示した(
図45)。TGAサーモグラムは、75℃未満で、残留溶媒の減少に相当する約12.6%の重量減少を示した(
図46)。KF分析は、約16.1%の水を示した。
【0404】
1.8 化合物Iの形態IX
化合物Iの形態IXは、酢酸溶媒和物である。化合物Iの形態IXは、化合物Iを氷酢酸に溶解させ、周囲温度で撹拌することによって得た(
図47)。追加の化合物Iを、溶液が完全に粘性になるまで溶液に添加したが、数日経過しても飽和に達しなかった。試料を2カ月超撹拌した後、かき混ぜずに周囲条件で保存した。保存中、結晶性材料が溶液から沈殿した。材料を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。XRPD分析は、結晶性材料を示した。化合物Iの形態IXは、以下のピーク:6.9、10.1、14.3、21.0、23.7、24.8、および26.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けることができる。DSCトレースは、約91℃で始まる吸熱を示した(
図48)。TGA分析中に、3つの段階的な重量減少を検出した(
図49)。21.1%の総重量減少を測定した。最終的な重量減少は、分解レジームに十分に現れると思われる。二酢酸塩または二酢酸溶媒和物は、酢酸の減少に伴って21.2%減少する。
1H NMR分光法によって、化合物I1モルごとに2モルの酢酸が存在することを確認した。形態IXは、二酢酸溶媒和物であり得、単離し、周囲条件で保存すると、形態Iに変換する。
【0405】
1.9 非晶質化合物I
非晶質化合物Iは、DCM溶液の急速真空蒸発、メタノール溶液の急速蒸発によって、および110℃で化合物Iの形態IIIを乾燥させることによって得た(
図50)。
【0406】
2.1 化合物Iの安定な形態のスクリーニング
化合物Iの形態Iから出発し、化合物Iの安定な形態のスクリーニングを実施した。化合物Iの形態Iを、キャップ付きガラスバイアル中、室温で撹拌しながら懸濁させた。懸濁物から得た試料を、遠心分離/濾過し、単離した固体および液体を分析した。固体を、XRPDによって分析し、液体をTGAによって可溶性について分析した。サンプリングおよび分析を、1日後および14日超後に実施した。
【0407】
表3は、この研究で調査した溶媒を提示している。この研究では、化合物Iの形態II
および化合物Iの形態Vを観察した。さらに、化合物Iの形態Vの単結晶X線分析に適した結晶を、DCMから得、化合物Iの形態Iの単結晶X線分析に適した結晶を、メタノールから得た(先に論じた)。安定な形態のスクリーニングからは、化合物Iの新しい多形は発見されなかった。
【表3】
【0408】
3.1 化合物Iの塩および共結晶のスクリーニング
【0409】
塩/共結晶のスクリーニングを、ハイスループットおよび手動技術を使用して実施し、例示的な塩を、下記のとおりに得た。
【0410】
3.1.1 化合物Iのエシル酸塩形態I
化合物I 60.4mgを、およそ60℃においてエタノール1mL中でスラリー化した。次に、エタンスルホン酸12μL(約1.1当量)を混合物に添加し、試料は清澄化した。試料を周囲温度に冷却し、蒸発乾固させた。得られた固体のXRPDパターンを、
図19に提示する。
【0411】
DSCサーモグラムは、約221℃で始まる単一の吸熱を示す(
図20)。TGAは、約175℃未満で約0.4%の重量減少、および約175〜約210℃で約1.0%の重量減少の後、分解を示す(
図27)。
1H NMRスペクトルは、およそ1:1比の化合物I:エタンスルホン酸を有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0412】
3.1.2 化合物Iのフマル酸塩形態I
化合物I 90.8mgを、およそ60℃でエタノール0.75mLと共に撹拌した。次に、フマル酸48.2mg(2モル当量)を溶液に入れた。試料を高温でおよそ2時間撹拌し、次に周囲温度に冷却した。得られた固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。XRPDパターンを、
図22に提示する。
【0413】
DSCサーモグラムは、約130℃で始まる広い肩部分を有する吸熱を示す(
図23)。TGAトレースは、約125〜160℃で約2.7%の重量減少の後、分解を示す(
図24)。
1H NMRスペクトルは、およそ1:1比の化合物I:フマル酸および残存量のEtOHを有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0414】
3.1.3 化合物Iのグリコール酸塩形態I
化合物I 109.6mgを、およそ60℃でエタノール0.75mLと共にスラリー化した。次に、グリコール酸38.7mg(2モル当量)を、混合物にゆっくり添加した。試料を、高温でおよそ2時間撹拌した後、撹拌しながら周囲温度に冷却した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件で乾燥させた。得られた固体のXRPDパターンを、
図25に提示する。
【0415】
DSCサーモグラムは、約148℃で始まる単一の吸熱を示す(
図26)。TGAは、約120℃未満で約1.4%の重量減少を示す(
図27)。
1H NMRスペクトルは、1:1比の化合物I:グリコール酸を有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0416】
3.1.4 化合物IのHCl形態I
化合物I 142.2mgを、およそ60℃でエタノール1mLと共にスラリー化した。次に、濃HCl水溶液30μL(約1.1モル当量)をゆっくり添加した。混合物は清澄化した。試料を、撹拌しながら周囲温度に冷却した。固体は生成しなかった。固体が沈殿するまで、溶液の体積を蒸発によって低減した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。これらの固体のXRPDパターンを、
図28に提示する。
【0417】
DSCサーモグラムは、約77℃で始まる広い吸熱の後、約191℃における吸熱を示す(
図29)。TGAトレースは、約101℃未満で約3.0%の重量減少および約110〜180℃で約1.7%の重量減少を示す(
図30)。
1H NMRスペクトルは、構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0418】
3.1.5 化合物Iのマレイン酸塩形態I始まる
化合物I 108.6mgを、およそ40℃でアセトニトリル1mLと共にスラリー化した。次に、マレイン酸28.8mg(1モル当量)を添加し、試料を高温で撹拌した。次に、試料を周囲温度で撹拌し、体積を低減し、油状物を得た。アセトニトリル250μLを添加し、試料を周囲温度でスラリー化した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。得られた固体のXRPDパターンを、
図31に提示する。
【0419】
DSCサーモグラムは、約152℃で始まる鋭い吸熱を示す(
図32)。TGAは、約120℃未満で約0.5%の重量減少を示す(
図33)。
1H NMRスペクトルは、およそ1:1比の化合物I:マレイン酸を有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0420】
3.1.6 化合物Iのメシル酸塩形態I
化合物I 58.5mgを、およそ60℃でアセトニトリル2mLと共にスラリー化した。次に、メタンスルホン酸8.5μL(1モル当量)およびアセトニトリル11.5μLを合わせ、化合物Iの混合物に添加した。試料はすぐに清澄化した。溶液を、撹拌しながら周囲温度に冷却した。試料の体積を、およそ半分まで低減し、試料を、プローブによる超音波処理に付した。得られた固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。これらの固体のXRPDパターンを、
図34に提示する。
【0421】
DSCサーモグラムは、0℃未満での小さい吸熱、約100℃未満での広い吸熱、および約232℃で始まる別の鋭い吸熱を示す(
図35)。TGAは、約50℃未満で約1.6%の重量減少を示す(
図36)。
1H NMRスペクトルは、1:1比の化合物I:メタンスルホン酸および少量の残留EtOHを有する構造と一致している。75%RH/R
Tにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0422】
3.1.7 化合物Iのシュウ酸塩形態I
化合物I 69.5mgを、およそ60℃でエタノール0.75mLと共にスラリー化した。次に、シュウ酸14.2mg(1モル当量)を、混合物にゆっくり添加した(固体が残存した)。試料を、高温でおよそ2時間静置し、次に撹拌しながら非制御方式により周囲温度に冷却した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。得られた固体のXRPDパターンを、
図37に提示する。
【0423】
DSCサーモグラムは、約216℃で始まる単一の鋭い吸熱を示す(
図38)。TGAは、約150℃未満で重量減少を示さない(
図39)。
1H NMRスペクトルは、微量の残留EtOHを有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0424】
3.1.8 化合物Iの硫酸塩形態I
化合物I 41.6mgを、およそ45℃でジクロロメタン400μLに溶解させた。試料溶液を、硫酸7.3mgと合わせ、次に撹拌しながら周囲温度に冷却した。得られた溶液を蒸発乾固させ、次にアセトニトリル100μLと共に周囲条件下でスラリー化した。得られた固体を、真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させ、XRPDによって分析した(
図40)。
1H NMRスペクトルは、化合物Iの構造と一致する。IC分析によって、およそ1:1比の化合物I:硫酸を有する塩の形成が確認された。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0425】
3.1.9 化合物Iのアジピン酸塩形態I
化合物I 104.3mgを、アセトニトリル1mL中でスラリー化した。試料を、およそ40℃で撹拌した(固体が残存した)。次に、アジピン酸(34.4mg、1モル当量)を撹拌した混合物に添加し、混合物を温め、終夜撹拌した。次に、混濁溶液を、周囲温度の撹拌装置に移し、3日間かき混ぜた。得られた固体を、真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させ、XRPD、DSC、TGAおよびNMRによって分析した。XRPDパターンを、
図51に提示する。DSCトレースは、約151℃で始まる単一の吸熱を示した(
図52)。分解の前に、TGAによって重量減少は観察されなかった(
図53)。
1H NMRは、1:1比の化合物I:アジピン酸を示した。
【0426】
3.1.10 化合物Iのベシル酸塩形態I
化合物I 56.6mgを、およそ60℃で、エタノール1mL中でスラリー化した(固体が残存した)。次に、ベンゼンスルホン酸(21.2mg、1.06モル当量)を溶液に入れ、溶液はすぐに清澄化した。試料を撹拌し、周囲温度に冷却した。固体は生成せず、したがって溶液を蒸発乾固させた。固体のXRPD分析を、
図54に示し、
1H NMRスペクトルは、1:1未満の化合物I:塩の比を示した。
【0427】
3.1.11 化合物Iのエジシル酸塩形態I
化合物I 58.9mgを、およそ60℃で、エタノール1mL中でスラリー化した(固体が残存した)。次に、1,2−エタンジスルホン酸(30.1mg、1.2モル当量)を混合物に入れ、試料は清澄化した。溶液を、60℃において撹拌しながらおよそ1時間維持した後、撹拌しながら周囲温度に冷却した。固体が得られなかったので、溶液を蒸発乾固させた。得られた材料のXRPDパターンを、
図55に提示する。DSCトレースは、100℃未満で広い吸熱(約15℃で開始)の後、約240℃で始まる分解を伴う融解を示す(
図56)。TGAは、70℃未満で0.7%の重量減少を示す(
図57)。
1H NMRスペクトルは、およそ1:1比の化合物I:酸および微量の残留エタノールを有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかな
る潮解の証拠も示されなかった。
【0428】
3.1.12 化合物Iのエジシル酸塩形態II
化合物I 91.1mgを、およそ60℃でエタノール0.75mLと共にスラリー化した。次に、1,2−エタンジスルホン酸(49.2mg、1.26モル当量)を混合物にゆっくり添加し、試料は清澄化した。試料を、60℃においておよそ2時間撹拌した後、撹拌しながら周囲温度に冷却した。得られた固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。得られた固体は、化合物Iのエジシル酸塩形態Iとは異なるXRPDパターンを与えた(
図58)。DSCは、約91℃および約150℃で始まる複数の弱く広い吸熱の後、約178℃で始まる融解を示す(
図59)。TGAはまた、150℃未満で0.9、0.8および2.5%の重量減少の3つのステップを示す(
図60)。
1H NMRスペクトルは、およそ1:1比の化合物I:酸および微量の残留エタノールを有する構造と一致している。
【0429】
3.1.13 化合物Iのゲンチシン酸塩形態I
エタノール/化合物Iの標準溶液を調製し、0.005mmolの化合物Iを、96ウェルプレートの各ウェルに入れた。エタノールを、蒸発によって除去し、1当量のゲンチシン酸(エタノール中またはエタノール/水溶液中のいずれか)をウェルに添加した。ウェルプレートをSilverseal(登録商標)で被覆し、ホットプレート上で温めた。高温で一定期間経過した後、熱源を切り、試料を周囲温度にゆっくり冷却した。Silverseal(登録商標)を除去し、溶媒を周囲条件下で蒸発させた。化合物Iのゲンチシン酸塩形態IのXRPDパターンを、
図61に示す。
【0430】
3.1.14 化合物Iのゲンチシン酸塩形態II
化合物I 76.5mgを、およそ60℃でエタノール0.75mLと共に撹拌した。次に、ゲンチシン酸(25.2mg、1モル当量)を混濁溶液に添加した。溶液はすぐに清澄化した。試料を、高温でおよそ2時間撹拌し、次に撹拌しながら周囲温度にゆっくり冷却した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。得られた固体は、化合物Iのゲンチシン酸塩形態Iと比較して異なるXRPDパターンを与えた(
図62)。DSCサーモグラムは、約95℃および約134℃で始まる2つの広い吸熱を示す(
図63)。TGAは、80℃未満で3.6%の重量減少を示す(
図64)。
1H NMRスペクトルは、およそ1:1比の化合物I:酸およびいくらかの残留エタノールを有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0431】
3.1.15 化合物Iのグルタル酸塩形態I
化合物I 24.9mgを、ジクロロメタン550μL中で撹拌した。グルタル酸(8.0mg、1.08モル当量)を、アセトン40μLに溶解し、化合物Iの溶液に入れた。試料を乾燥させ、次にジエチルエーテル200μLと共にスラリー化し、蒸発乾固させた。得られた固体は、結晶性XRPDパターンを与えた(
図65)。
【0432】
DSCサーモグラムは、約66℃で始まる小さい吸熱、約89℃で始まる弱く広い吸熱、および約129℃で始まる融解を示す(
図66)。TGAスペクトルは、160℃での分解より低い温度で重量減少を示さない(
図67)。
1H NMRスペクトルは、約1:1.2比の化合物I:グルタル酸を有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0433】
3.1.16 化合物Iのグルタル酸塩形態II
化合物I 78.5mgを、およそ60℃で、エタノール0.75mL中でスラリー化した。次に、グルタル酸(50.0mg、2モル当量)を混合物にゆっくり添加し、試料
は清澄化した。試料を、撹拌しながら周囲温度に冷却した。固体は生成しなかった。試料の体積を、真空中で注意深く低減し、それによって透明なガラス状物が得られた。試料を完全に乾燥させ、アセトニトリル400μL中でスラリー化した。得られた固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。得られた固体は、化合物Iのグルタル酸塩形態Iと比較して独特なXRPDパターンを示した(
図68)。
【0434】
DSCサーモグラムは、100℃未満で弱く広い吸熱の後、約106℃で始まる鋭い吸熱、および約127℃で始まる別の吸熱を示す(
図69)。TGAスペクトルは、120℃未満で2.9%の重量減少を示す(
図70)。
1H NMRスペクトルは、1:1比の化合物I:酸を有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0435】
3.1.17 化合物IのL−酒石酸塩形態I
化合物I 47.6mgを、およそ60℃でエタノール1mLと共にスラリー化した。次に、L−酒石酸(16.8mg、1.05モル当量)を添加し、試料はすぐに清澄化した。溶液を、撹拌しながら非制御方式により周囲温度に冷却した。固体は生成しなかった。次に、試料を蒸発乾固させた。残留固体のXRPDパターンを、
図71に提示する。
【0436】
DSCサーモグラムは、約61℃で始まる広い吸熱、および約128℃で始まる別の小さく広い吸熱を示す(
図72)。TGAは、120℃未満で3.5%の重量減少を示す(
図73)。
1H NMRスペクトルは、1:1比の化合物I:酸および存在する微量の残留EtOHを有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0437】
3.1.18 化合物IのL−酒石酸塩形態II
化合物I 77.7mgを、およそ60℃でエタノール0.5mLと共にスラリー化した。次に、L−酒石酸(26.4mg、1.01モル当量)をゆっくり添加した。混合物を、高温でおよそ2時間撹拌した。次に、溶液を撹拌しながら周囲温度に冷却した。固体は得られなかったので、試料を蒸発乾固させ、次に周囲温度においてジエチルエーテル2mL中でスラリー化した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。得られた固体は、独特なXRPDパターンを与えた(
図74)。
【0438】
DSCサーモグラムは、110℃未満で広い吸熱(約55℃で始まる)および約121℃で始まる別の鋭い吸熱を示す(
図75)。TGAは、120℃未満で6.1%の重量減少を示す(
図76)。
1H NMRスペクトルは、1:1比の化合物I:酸および存在する微量の残留EtOHを有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0439】
3.1.19 化合物Iのプロピルガラート形態I
化合物I 110.3mgを、およそ60℃でエタノール1mLに溶解させた。試料を撹拌した。没食子酸プロピル(57.3mg、1.09モル当量)を、エタノール0.5mLに溶解させた。溶液を高温で合わせ、およそ5分間撹拌した。次に、溶液を撹拌しながら周囲温度に冷却した。得られた固体を真空濾過によって収集し、周囲条件で乾燥させた。XRPDパターンを、
図77に提示する。
【0440】
DSCサーモグラムは、100℃未満での弱く広い吸熱、および約164℃で始まる鋭い吸熱を示す(
図78)。TGAは、100℃未満で0.1%の重量減少を示す(
図79)。
1H NMRスペクトルは、約1:1.5比の化合物I:共形成剤を有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0441】
3.1.20 化合物Iのコハク酸塩形態I
化合物I 106.4mgを、アセトニトリル1mLと共にスラリー化した。試料を、およそ40℃でスラリー化した。コハク酸(27.8mg、1モル当量)を溶液に添加した。固体が溶液中に残存した。試料を高温で終夜静置した。試料を、周囲温度の撹拌装置に移し、3日間静置した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。XRPDパターンを、
図80に提示する。
【0442】
DSCサーモグラムは、約120℃未満での弱く広い吸熱の後、約152℃で始まる吸熱を示す(
図81)。TGAは、120℃未満で0.5%の重量減少を示す(
図82)。
1H NMRスペクトルは、1:1比の化合物I:酸と微量の残留EtOHを有する構造と一致している。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0443】
3.1.21 化合物Iのトシル酸塩形態I
化合物I 48.3mgを、およそ60℃においてエタノール1mL中でスラリー化した。p−トルエンスルホン酸(21.3mg、1.14モル当量)を混合物にゆっくり添加し、溶液を得た。試料を、撹拌しながら周囲温度にゆっくり冷却した。固体は生成しなかった。固体が生成するまで、試料の体積を低減した。固体を真空濾過によって収集し、周囲条件下で乾燥させた。XRPDパターンを、
図83に提示する。
【0444】
DSCサーモグラムは、120℃未満での非常に広い吸熱の後、約131℃で始まる吸熱を示す(
図84)。TGAは、100℃未満で4.1%の重量減少を示す(
図85)。
1H NMRスペクトルは、1:1比の化合物I:酸および存在する0.5当量の残留EtOHを有する構造と一致していた。75%RH/RTにおける高湿度ストレス試験では、いかなる潮解の証拠も示されなかった。
【0445】
4.1 アルコール性肝炎のための化合物I
アルコール性肝生検における肝臓p−p38発現を、ヒトp−p38に対するウサギモノクローナル抗体を使用する免疫組織化学的検査に基づいて定量化した。低、中および高程度の染色の閾値、ならびに各分類の範囲内の細胞の百分率を決定した。染色強度を、染色の分布および強度(範囲、0〜300)を考慮する組織学的点数(HS)として表した。また、肝生検を、アルコール性肝炎組織学的点数(AHHS)に従って段階分けした。アルコール性肝炎におけるp−p38発現の強度と臨床的および組織学的特徴との相関を決定し、NASH(n=60)を有する患者および原発性硬化性胆管炎(PSC、n=105)を有する患者と比較した。
【0446】
アルコール性肝炎患者9人から得た肝生検を研究した(年齢中央値、42歳;45%男性;末期肝疾患(MELD)モデル中央値、24(IQR23〜27);44%が架橋線維症または肝硬変を伴う;および死亡者2人、22%)。すべてのアルコール性肝炎生検は、p−p38免疫反応性であった(HS中央値、124;範囲100154);非アルコール性脂肪性肝炎を有する患者(13.4[IQR4.3〜30.3])およびPSCを有する患者(54.1[27.1〜76.9];共にP<0.001)において観察されたものよりも著しく高かった。アルコール性肝炎では、p−p38は、肝細胞クラスターにおいて多局的に検出された。肝細胞p−p38は、細胞質に拡散的に発現し、かつ/または核に強力に発現した。膨化肝細胞において、p−p38は、マロリー小体と一致する細胞質の凝集体に限局していた。p−p38に対してポジティブ染色の炎症性浸潤物は、主にマクロファージであり、多形核の好中球(PMN)は、p−p38を発現しなかった。反応性胆管も、偶発的な細胞質および/または核のp−p38を含有していた。p−p38発現は、MELD(ρ=0.67;P=0.047)およびヘマトクリット(ρ=
0.73;P=0.025)と相関しており、血清重炭酸塩濃度(ρ=−0.69;P=0.038)とは反比例の関係であるが、他の標準実験パラメータとは関連していなかった。p−p38発現は、細管または小管のビリルビンうっ滞(bilirubinostasis)よりも肝細胞ビリルビンうっ滞において高かった(中央値HS;133.5対103;P=0.020)。しかし、p−p38染色強度は、総AHHSまたは他の組織学的変数と関連していなかった。
【0447】
結果は、肝臓におけるp−p38の発現が、MELDおよびアルコール性肝炎の重症度の他のマーカーと相関していることを示しており、これは、ASK1阻害が、この疾患を有する患者において治療上の利益をもたらし得ることを示唆している。
【0448】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:16.7、21.3、および22.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態I)。
(項2)
前記ディフラクトグラムが、8.9、10.0、13.9、および29.0°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項1に記載の化合物Iの形態I。
(項3)
前記ディフラクトグラムが、
図1に実質的に示されているとおりである、上記項1に記載の化合物Iの形態I。
(項4)
約202℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項1に記載の化合物Iの形態I。
(項5)
前記DSC曲線が、
図2に実質的に示されているとおりである、上記項1に記載の化合物Iの形態I。
(項6)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:11.2、16.6、および17.4°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態II)。
(項7)
前記ディフラクトグラムが、4.9、23.7、および27.4°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項6に記載の化合物Iの形態II。
(項8)
前記ディフラクトグラムが、
図4に実質的に示されているとおりである、上記項6に記載の化合物Iの形態II。
(項9)
約92℃における吸熱、約160℃における吸熱、約166℃における発熱、および約200℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項6に記載の化合物Iの形態II。
(項10)
前記DSC曲線が、
図5に実質的に示されているとおりである、上記項6に記載の化合
物Iの形態II。
(項11)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:5.1、10.2、および25.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態III)。
(項12)
前記ディフラクトグラムが、11.4、18.4、および21.9°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項11に記載の化合物Iの形態III。
(項13)
前記ディフラクトグラムが、
図7に実質的に示されているとおりである、上記項11に記載の化合物Iの形態III。
(項14)
約92℃における吸熱、約150℃における発熱、および約203℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項11に記載の化合物Iの形態III。
(項15)
前記DSC曲線が、
図8に実質的に示されているとおりである、上記項11に記載の化合物Iの形態III。
(項16)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:7.2、12.6、および19.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態IV)。
(項17)
前記ディフラクトグラムが、13.8、25.9、および28.6°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項16に記載の化合物Iの形態IV。
(項18)
前記ディフラクトグラムが、
図10に実質的に示されているとおりである、上記項16に記載の化合物Iの形態IV。
(項19)
約62℃における吸熱、約147℃における吸熱、約153℃における発熱、および約204℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項16に記載の化合物Iの形態IV。
(項20)
前記DSC曲線が、
図11に実質的に示されているとおりである、上記項16に記載の化合物Iの形態IV。
(項21)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.8、23.2、および23.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態VI)。
(項22)
前記ディフラクトグラムが、10.3、15.2、18.6、および28.8°2θ±
0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項21に記載の化合物Iの形態VI。
(項23)
前記ディフラクトグラムが、
図16に実質的に示されているとおりである、上記項21に記載の化合物Iの形態VI。
(項24)
約202℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項21に記載の化合物Iの形態VI。
(項25)
前記DSC曲線が、
図17に実質的に示されているとおりである、上記項21に記載の化合物Iの形態VI。
(項26)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.2、14.2、および22.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態VII)。
(項27)
前記ディフラクトグラムが、18.0および21.7°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項26に記載の化合物Iの形態VII。
(項28)
前記ディフラクトグラムが、
図41に実質的に示されているとおりである、上記項26に記載の化合物Iの形態VII。
(項29)
約202℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項26に記載の化合物Iの形態VII。
(項30)
約147℃における吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項29に記載の化合物Iの形態VII。
(項31)
前記DSC曲線が、
図42にあるように実質的に示される、上記項26に記載の化合物Iの形態VII。
(項32)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.4、19.3、および24.3°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態VIII)。
(項33)
前記ディフラクトグラムが、14.6、15.0、16.8、および20.4°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項32に記載の化合物Iの形態VIII。
(項34)
前記ディフラクトグラムが、
図44に実質的に示されているとおりである、上記項32に記載の化合物Iの形態VIII。
(項35)
約203℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項32に記載の化合物Iの形態VIII。
(項36)
約75℃において小さい吸熱をさらに含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項35に記載の化合物Iの形態VIII。
(項37)
前記DSC曲線が、
図45に実質的に示されているとおりである、上記項32に記載の化合物Iの形態VIII。
(項38)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:6.9、14.3、23.7、および24.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド(化合物Iの形態IX)。
(項39)
前記ディフラクトグラムが、10.1、21.0、26.9°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項38に記載の化合物Iの形態IX。
(項40)
前記ディフラクトグラムが、
図47に実質的に示されているとおりである、上記項38に記載の化合物Iの形態IX。
(項41)
約91℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項38に記載の化合物Iの形態IX。
(項42)
前記DSC曲線が、
図48に実質的に示されているとおりである、上記項38に記載の化合物Iの形態IX。
(項43)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.9、23.6、および25.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドエシル酸塩(化合物Iのエシル酸塩形態I)。
(項44)
前記ディフラクトグラムが、16.0および24.7°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項43に記載の化合物Iのエシル酸塩形態I。
(項45)
前記ディフラクトグラムが、
図19に実質的に示されているとおりである、上記項43に記載の化合物Iのエシル酸塩形態I。
(項46)
約221℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項43に記載の化合物Iのエシル酸塩形態I。
(項47)
前記DSC曲線が、
図20に実質的に示されているとおりである、上記項43に記載の化合物Iのエシル酸塩形態I。
(項48)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:18.9、23.2、および25.6°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドフマル酸塩(化合物Iのフマル酸塩形態I)。
(項49)
前記ディフラクトグラムが、7.5および26.1°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項48に記載の化合物Iのフマル酸塩形態I。
(項50)
前記ディフラクトグラムが、
図22に実質的に示されているとおりである、上記項48に記載の化合物Iのフマル酸塩形態I。
(項51)
約130℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項48に記載の化合物Iのフマル酸塩形態I。
(項52)
前記DSC曲線が、
図23に実質的に示されているとおりである、上記項48に記載の化合物Iのフマル酸塩形態I。
(項53)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:10.9、15.1、および25.2°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドグリコール酸塩(化合物Iのグリコール酸塩形態I)。
(項54)
前記ディフラクトグラムが、22.2および24.6°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項53に記載の化合物Iのグリコール酸塩形態I。
(項55)
前記ディフラクトグラムが、
図25に実質的に示されているとおりである、上記項53に記載の化合物Iのグリコール酸塩形態I。
(項56)
約148℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項53に記載の化合物Iのグリコール酸塩形態I。
(項57)
前記DSC曲線が、
図26に実質的に示されているとおりである、上記項53に記載の化合物Iのグリコール酸塩形態I。
(項58)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.2、26.0、および26.1°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド塩酸塩(化合物IのHCl形態I)。
(項59)
前記ディフラクトグラムが、12.0および19.6°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項58に記載の化合物IのHCl形態I。
(項60)
前記ディフラクトグラムが、
図28に実質的に示されているとおりである、上記項58に記載の化合物IのHCl形態I。
(項61)
約77℃における吸熱および約191℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項58に記載の化合物IのHCl形態I。
(項62)
前記DSC曲線が、
図29に実質的に示されているとおりである、上記項58に記載の化合物IのHCl形態I。
(項63)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.7、25.7、および26.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドマレイン酸塩(化合物Iのマレイン酸塩形態I)。
(項64)
前記ディフラクトグラムが、17.9および26.6°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項63に記載の化合物Iのマレイン酸塩形態I。
(項65)
前記ディフラクトグラムが、
図31に実質的に示されているとおりである、上記項63に記載の化合物Iのマレイン酸塩形態I。
(項66)
約152℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項63に記載の化合物Iのマレイン酸塩形態I。
(項67)
前記DSC曲線が、
図32に実質的に示されているとおりである、上記項63に記載の化合物Iのマレイン酸塩形態I。
(項68)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:8.9、24.5、および25.6°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドメシル酸塩(化合物Iのメシル酸塩形態I)。
(項69)
前記ディフラクトグラムが、10.7および21.6°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項68に記載の化合物Iのメシル酸塩形態I。
(項70)
前記ディフラクトグラムが、
図34に実質的に示されているとおりである、上記項68に記載の化合物Iのメシル酸塩形態I。
(項71)
0℃未満での吸熱、100℃未満での吸熱、および約232℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項68に記載の化合物Iのメシル酸塩形態I。
(項72)
前記DSC曲線が、
図35に実質的に示されているとおりである、上記項68に記載の化合物Iのメシル酸塩形態I。
(項73)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:13.3、13.5、および26.0°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミドシュウ酸塩(化合物Iのシュウ酸塩形態I)。
(項74)
前記ディフラクトグラムが、7.3および24.5°2θ±0.2°2θにおけるピークをさらに含む、上記項73に記載の化合物Iのシュウ酸塩形態I。
(項75)
前記ディフラクトグラムが、
図37に実質的に示されているとおりである、上記項73に記載の化合物Iのシュウ酸塩形態I。
(項76)
約216℃における吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、上記項73に記載の化合物Iのシュウ酸塩形態I。
(項77)
前記DSC曲線が、
図38に実質的に示されているとおりである、上記項73に記載の化合物Iのシュウ酸塩形態I。
(項78)
回折計により波長1.5406ÅのCu−Kα放射線を使用して決定される以下のピーク:7.1、13.8、および25.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムによって特徴付けられる、結晶性5−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(6−(4−イソプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチルベンズアミド硫酸塩(化合物Iの硫酸塩形態I)。
(項79)
前記ディフラクトグラムが、17.0および21.2°2θ±0.2°2θにおける追加のピークをさらに含む、上記項78に記載の化合物Iの硫酸塩形態I。
(項80)
前記ディフラクトグラムが、
図40に実質的に示されている、上記項78に記載の化合物Iの硫酸塩形態I。
(項81)
化合物Iのアジピン酸塩形態I、化合物Iのベシル酸塩形態I、化合物Iのエジシル酸塩形態I、化合物Iのエジシル酸塩形態II、化合物Iのゲンチシン酸塩形態I、化合物Iのゲンチシン酸塩形態II、化合物Iのグルタル酸塩形態I、化合物Iのグルタル酸塩形態II、化合物IのL−酒石酸塩形態I、化合物IのL−酒石酸塩形態II、化合物Iのプロピルガラート形態I、化合物Iのコハク酸塩形態I、および化合物Iのトシル酸塩形態Iからなる群から選択される、結晶性塩形態。
(項82)
前記上記項のいずれかに記載の1つまたは複数の結晶形態、および1種または複数種の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
(項83)
ASK1によって少なくとも部分的に媒介される疾患の処置を必要とする患者の、ASK1によって少なくとも部分的に媒介される疾患を処置する方法であって、治療有効量の上記項1〜81のいずれかに記載のある形態の化合物Iまたは上記項82に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
(項84)
別の治療剤を投与するステップさらに含む、上記項83に記載の方法。
(項85)
前記疾患が、糖尿病、糖尿病性腎症、腎疾患、腎線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、肝線維症、肺高血圧症、非アルコール性脂肪性肝炎、肝疾患、アルコール性肝疾患、アルコール性肝炎、炎症状態、自己免疫疾患、増殖性疾患、移植拒絶反応、軟骨代謝回転の機能障害を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、またはIL6の分泌過多と関連する疾患である、上記項83〜84のいずれかに記載の方法。
(項86)
前記追加の治療剤がフィルゴチニブである、上記項84に記載の方法。
(項87)
前記追加の治療剤が、式:
【化6】
の化合物またはその塩である、上記項84に記載の方法。
(項88)
前記疾患が、炎症状態である、上記項83に記載の方法。
(項89)
前記疾患が、クローン病である、上記項83に記載の方法。
(項90)
前記疾患が、関節リウマチである、上記項83に記載の方法。
(項91)
前記疾患が、炎症性腸疾患である、上記項83に記載の方法。