特許第6790190号(P6790190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6790190
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】光ファイバー給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/30 20160101AFI20201116BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20201116BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20201116BHJP
   H04B 10/07 20130101ALI20201116BHJP
【FI】
   H02J50/30
   H02J50/80
   H04B10/80 160
   H04B10/07
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-134235(P2019-134235)
(22)【出願日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年8月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】巣山 武彦
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−324726(JP,A)
【文献】 特開2000−350387(JP,A)
【文献】 特許第6534999(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H04B 10/00 − 10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力によりレーザー発振して給電光を出力する半導体レーザーを含む給電装置と、前記給電装置による給電光を電力に変換する光電変換素子を含む受電装置と、前記給電装置から前記受電装置に前記給電光を伝送する光ファイバーケーブルを備えた光ファイバー給電システムであって、
前記光電変換素子の温度を検出する温度センサーと、
前記温度センサーが検出した温度が所定の閾値以上である場合に前記給電光の出力レベルを下げる処理を実行し、前記温度が所定の閾値未満である場合に前記給電光の出力レベルを上げる処理を実行する制御部と、
を備えた光ファイバー給電システム。
【請求項2】
前記給電装置を含む第1のデータ通信装置と、前記受電装置を含み前記第1のデータ通信装置と光通信する第2のデータ通信装置と、を備え、
前記制御部は、前記第2のデータ通信装置に含まれ、前記温度センサーが検出した温度情報を取得する受電側制御部と、前記第1のデータ通信装置に含まれ、前記受電側制御部が取得した前記温度情報に応じて前記半導体レーザーが出力する前記給電光の出力レベルを切り替える処理を実行する給電側制御部と、を有する請求項1に記載の光ファイバー給電システム。
【請求項3】
前記受電側制御部は、前記温度情報を光通信にて前記給電側制御部に通知する処理を実行し、
前記給電側制御部は、通知された前記温度情報に基づき前記給電光の出力レベルを下げるか上げるか判断し、前記給電光の出力レベルを切り替える処理を実行する請求項2に記載の光ファイバー給電システム。
【請求項4】
前記受電側制御部は、前記温度情報に基づき前記給電光の出力レベルを下げるか上げるか判断し、判断した出力レベルの切替情報を光通信にて前記給電側制御部に通知する処理を実行し、
前記給電側制御部は、通知された出力レベルの切替情報に基づき前記給電光の出力レベルを切り替える処理を実行する請求項2に記載の光ファイバー給電システム。
【請求項5】
前記半導体レーザーの光‐電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の光ファイバー給電システム。
【請求項6】
前記光電変換素子の光‐電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の光ファイバー給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光給電に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、電力を光(給電光と呼ばれる)に変換して伝送し、当該給電光を電気エネルギーに変換して電力として利用する光給電システムが研究されている。
特許文献1には、電気信号で変調された信号光、及び電力を供給するための給電光を発信する光発信機と、上記信号光を伝送するコア、上記コアの周囲に形成され上記コアより屈折率が小さく上記給電光を伝送する第1クラッド、及び上記第1クラッドの周囲に形成され上記第1クラッドより屈折率が小さい第2クラッド、を有する光ファイバーと、上記光ファイバーの第1クラッドで伝送された上記給電光を変換した電力で動作し、上記光ファイバーのコアで伝送された上記信号光を上記電気信号に変換する光受信機と、を備えた光通信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−135989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光ファイバー給電システムにおいて光受信機に電力を供給するのに、光発信機が一定の出力で給電光を発信する場合、光受信機側の電力消費の負荷が軽くなっても、光受信機にはその給電光が供給され続けるので、過剰になった電気エネルギーが熱となって失われてしまうことがある。そのため、このようなエネルギーロスを低減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様の光ファイバー給電システムは、
電力によりレーザー発振して給電光を出力する半導体レーザーを含む給電装置と、前記給電装置による給電光を電力に変換する光電変換素子を含む受電装置と、前記給電装置から前記受電装置に前記給電光を伝送する光ファイバーケーブルを備えた光ファイバー給電システムであって、
前記光電変換素子の温度を検出する温度センサーと、
前記温度センサーが検出した温度が所定の閾値以上である場合に前記給電光の出力レベルを下げる処理を実行し、前記温度が所定の閾値未満である場合に前記給電光の出力レベルを上げる処理を実行する制御部と、を備えるようにした。
【0006】
また、その光ファイバー給電システムは、
前記給電装置を含む第1のデータ通信装置と、前記受電装置を含み前記第1のデータ通信装置と光通信する第2のデータ通信装置と、を備え、
前記制御部は、前記第2のデータ通信装置に含まれ、前記温度センサーが検出した温度情報を取得する受電側制御部と、前記第1のデータ通信装置に含まれ、前記受電側制御部が取得した前記温度情報に応じて前記半導体レーザーが出力する前記給電光の出力レベルを切り替える処理を実行する給電側制御部と、を有するようにする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の1つの態様の光ファイバー給電システムによれば、給電光の過剰供給を抑え、エネルギーロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る光ファイバー給電システムの構成図である。
図2】本開示の第2実施形態に係る光ファイバー給電システムの構成図である。
図3】本開示の第2実施形態に係る光ファイバー給電システムの構成図であって、光コネクタ等を図示したものある。
図4】本開示の他の一実施形態に係る光ファイバー給電システムの構成図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る光ファイバー給電システムの構成図であって、制御部(受電側制御部、給電側制御部)を加えて図示したものある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の一実施形態につき図面を参照して説明する。
【0010】
(1)システム概要
〔第1実施形態〕
図1に示すように本実施形態の光ファイバー給電(PoF:Power over Fiber)システム1Aは、給電装置(PSE:Power Sourcing Equipment)110と、光ファイバーケーブル200Aと、受電装置(PD:Power Device)310を備える。
なお、本開示における給電装置は電力を光エネルギーに変換して供給する装置であり、受電装置は光エネルギーの供給を受け当該光エネルギーを電力に変換する装置である。
給電装置110は、給電用半導体レーザー111を含む。
光ファイバーケーブル200Aは、給電光の伝送路を形成する光ファイバー250Aを含む。
受電装置310は、光電変換素子311を含む。
【0011】
給電装置110は電源に接続され、給電用半導体レーザー111等が電気駆動される。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。
【0012】
光ファイバーケーブル200Aは、一端201Aが給電装置110に接続可能とされ、他端202Aが受電装置310に接続可能とされ、給電光112を伝送する。
給電装置110からの給電光112が、光ファイバーケーブル200Aの一端201Aに入力され、給電光112は光ファイバー250A中を伝搬し、他端202Aから受電装置310に出力される。
【0013】
光電変換素子311は、光ファイバーケーブル200Aを通して伝送されてきた給電光112を電力に変換する。光電変換素子311により変換された電力が、受電装置310内で必要な駆動電力とされる。さらに受電装置310は光電変換素子311により変換された電力を外部機器用に出力可能とされる。
【0014】
給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311の光‐電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が500nm以下の短波長のレーザー波長をもった半導体とされる。
短波長のレーザー波長をもった半導体は、バンドギャップが大きく光電変換効率が高いので、光給電の発電側及び受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
そのためには、同半導体材料として、例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、レーザー波長(基本波)が200〜500nmのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
また、同半導体材料として、2.4eV以上のバンドギャップを有した半導体が適用される。
例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、バンドギャップ2.4〜6.2eVのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
なお、レーザー光は長波長ほど伝送効率が良く、短波長ほど光電変換効率が良い傾向にある。したがって、長距離伝送の場合には、レーザー波長(基本波)が500nmより大きいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。また、光電変換効率を優先する場合には、レーザー波長(基本波)が200nmより小さいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
これらの半導体材料は、給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311のいずれか一方に適用してもよい。給電側又は受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
【0015】
〔第2実施形態〕
図2に示すように本実施形態の光ファイバー給電(PoF:Power over Fiber)システム1は、光ファイバーを介した給電システムと光通信システムとを含むものであり、給電装置(PSE:Power Sourcing Equipment)110を含む第1のデータ通信装置100と、光ファイバーケーブル200と、受電装置(PD:Power Device)310を含む第2のデータ通信装置300とを備える。
給電装置110は、給電用半導体レーザー111を含む。第1のデータ通信装置100は、給電装置110のほか、データ通信を行う発信部120と、受信部130とを含む。第1のデータ通信装置100は、データ端末装置(DTE(Date Terminal Equipment))、中継器(Repeater)等に相当する。発信部120は、信号用半導体レーザー121と、モジュレーター122とを含む。受信部130は、信号用フォトダイオード131を含む。
【0016】
光ファイバーケーブル200は、信号光の伝送路を形成するコア210と、コア210の外周に配置され、給電光の伝送路を形成するクラッド220と有する光ファイバー250を含む。
【0017】
受電装置310は、光電変換素子311を含む。第2のデータ通信装置300は、受電装置310のほか、発信部320と、受信部330と、データ処理ユニット340とを含む。第2のデータ通信装置300は、パワーエンドステーション(Power End Station)等に相当する。発信部320は、信号用半導体レーザー321と、モジュレーター322とを含む。受信部330は、信号用フォトダイオード331を含む。データ処理ユニット340は、受信した信号を処理するユニットである。また、第2のデータ通信装置300は、通信ネットワークにおけるノードである。または第2のデータ通信装置300は、他のノードと通信するノードでもよい。
【0018】
第1のデータ通信装置100は電源に接続され、給電用半導体レーザー111、信号用半導体レーザー121と、モジュレーター122、信号用フォトダイオード131等が電気駆動される。また、第1のデータ通信装置100は、通信ネットワークにおけるノードである。または第1のデータ通信装置100は、他のノードと通信するノードでもよい。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。
【0019】
光電変換素子311は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた給電光112を電力に変換する。光電変換素子311により変換された電力は、発信部320、受信部330及びデータ処理ユニット340の駆動電力、その他の第2のデータ通信装置300内で必要となる駆動電力とされる。さらに第2のデータ通信装置300は、光電変換素子311により変換された電力を外部機器用に出力可能とされていてもよい。
【0020】
一方、発信部120のモジュレーター122は、信号用半導体レーザー121からのレーザー光123を送信データ124に基づき変調して信号光125として出力する。
受信部330の信号用フォトダイオード331は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた信号光125を電気信号に復調し、データ処理ユニット340に出力する。データ処理ユニット340は、当該電気信号によるデータをノードに送信し、その一方で当該ノードからデータを受信し、送信データ324としてモジュレーター322に出力する。
発信部320のモジュレーター322は、信号用半導体レーザー321からのレーザー光323を送信データ324に基づき変調して信号光325として出力する。
受信部130の信号用フォトダイオード131は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた信号光325を電気信号に復調し出力する。当該電気信号によるデータがノードに送信され、その一方で当該ノードからデータが送信データ124とされる。
【0021】
第1のデータ通信装置100からの給電光112及び信号光125が、光ファイバーケーブル200の一端201に入力され、給電光112はクラッド220を伝搬し、信号光125はコア210を伝搬し、他端202から第2のデータ通信装置300に出力される。
第2のデータ通信装置300からの信号光325が、光ファイバーケーブル200の他端202に入力され、コア210を伝搬し、一端201から第1のデータ通信装置100に出力される。
【0022】
なお、図3に示すように第1のデータ通信装置100に光入出力部140とこれに付設された光コネクタ141が設けられる。また、第2のデータ通信装置300に光入出力部350とこれに付設された光コネクタ351が設けられる。光ファイバーケーブル200の一端201に設けられた光コネクタ230が光コネクタ141に接続する。光ファイバーケーブル200の他端202に設けられた光コネクタ240が光コネクタ351に接続する。光入出力部140は、給電光112をクラッド220に導光し、信号光125をコア210に導光し、信号光325を受信部130に導光する。光入出力部350は、給電光112を受電装置310に導光し、信号光125を受信部330に導光し、信号光325をコア210に導光する。
以上のように、光ファイバーケーブル200は、一端201が第1のデータ通信装置100に接続可能とされ、他端202が第2のデータ通信装置300に接続可能とされ、給電光112を伝送する。さらに本実施形態では、光ファイバーケーブル200は、信号光125,325を双方向伝送する。
【0023】
給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311の光‐電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料としては上記第1実施形態と同様のものが適用され、高い光給電効率が実現される。
【0024】
なお、図4に示す光ファイバー給電システム1Bの光ファイバーケーブル200Bように、信号光を伝送する光ファイバー260と、給電光を伝送する光ファイバー270とを別々に設けてもよい。光ファイバーケーブル200Bも複数本で構成してもよい。
【0025】
(2)給電光の出力レベルの切り替えについて
次に、受電装置310の光電変換素子311の温度変化に応じて、給電装置110の給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替える処理について説明する。
図5に示す光ファイバー給電システム1は、給電装置110を含む第1のデータ通信装置100と、受電装置310を含む第2のデータ通信装置300と、第1のデータ通信装置100と第2のデータ通信装置300が光通信するための光ファイバーケーブル200とを備えている。
【0026】
図5に示すように、第2のデータ通信装置300に含まれている受電装置310には、光電変換素子311の温度を検出する温度センサー312が設けられている。
また、第2のデータ通信装置300は、給電光112の出力レベルを切り替える処理のため、温度センサー312が検出した温度情報を取得する受電側制御部360を備えている。
また、第1のデータ通信装置100は、受電側制御部360が取得した温度情報に応じて半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替える処理を実行する給電側制御部150を備えている。
この受電側制御部360と給電側制御部150が協働することで、温度センサー312が検出した温度が所定の閾値以上である場合に給電光112の出力レベルを下げる処理を実行し、温度センサー312が検出した温度が所定の閾値未満である場合に給電光112の出力レベルを上げる処理を実行する制御部として機能する。
なお、閾値とする温度には、光電変換素子311が給電光112を電力に効率よく変換するのに適した温度や、光電変換素子311がオーバーヒートせずに給電光112を電力に変換できる温度が設定されるものとする。
【0027】
例えば、受電側制御部360は、温度センサー312が検出した温度情報を取得して、その取得した温度情報を給電側制御部150に通知する処理を実行し、給電側制御部150は、通知された温度情報に基づき給電光112の出力レベルを下げるか上げるか判断し、給電光112の出力レベルを切り替える処理を実行する。
具体的には、受電側制御部360は、取得した温度情報を発信部320から信号光325として出力し、給電側制御部150に通知する。
給電側制御部150は、受電側制御部360から通知された温度情報に基づき、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値以上である場合に、半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを下げる処理を実行し、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値未満である場合に、半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを上げる処理を実行する。
【0028】
例えば、給電用半導体レーザー111は、給電側制御部150の制御のもと、デューティー比の異なるPWM方式の給電光112を出力可能であり、給電光112の出力レベルを下げるようにデューティー比が小さい給電光112を出力し、給電光112の出力レベルを上げるようにデューティー比が大きい給電光112を出力するものとする。
【0029】
ここで、給電用半導体レーザー111が給電光112のデューティー比を0.0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0の6段階に切り替えて出力することができる場合に、給電装置110の給電用半導体レーザー111がデューティー比0.6の給電光112を出力して受電装置310を含む第2のデータ通信装置300に電力を供給しているとする。
そして、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値以上である場合、給電用半導体レーザー111は1段階出力レベルを下げたデューティー比0.4の給電光112を出力するように切り替える。
そして所定時間後も、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値以上である場合、給電用半導体レーザー111は更に1段階出力レベルを下げて、デューティー比0.2の給電光112を出力するように切り替える。
一方所定時間後に、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値未満であった場合、給電用半導体レーザー111は1段階出力レベルを上げて、デューティー比0.6の給電光112を出力するように切り替える。
【0030】
また、給電装置110の給電用半導体レーザー111がデューティー比0.6の給電光112を出力している状態で、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値未満である場合、給電用半導体レーザー111は1段階出力レベルを上げたデューティー比0.8の給電光112を出力するように切り替える。
そして所定時間後も、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値未満である場合、給電用半導体レーザー111は更に1段階出力レベルを上げて、デューティー比1.0の給電光112を出力するように切り替える。
一方所定時間後に、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値以上であった場合、給電用半導体レーザー111は1段階出力レベルを下げて、デューティー比0.6の給電光112を出力するように切り替える。
【0031】
こうして、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値以上である場合には給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを下げて、受電装置310(光電変換素子311)への給電光112の供給を抑え、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値未満である場合には給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを上げて、受電装置310(光電変換素子311)への給電光112の供給を積極的に行うことができる。
【0032】
このように、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度に応じて、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替えることで、光電変換素子311の温度が変動し難くなり、閾値に定めた温度を維持し易くなる。
つまり、受電装置310の光電変換素子311の温度変化に応じて、給電装置110の給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替えることによって、給電光112の過剰供給を抑えることができ、給電光112の過剰供給により光電変換素子311が高温に発熱することはなく、給電光112として受電装置310(光電変換素子311)に供給された電気エネルギーが熱となって失われてしまうエネルギーロスを低減することができる。
特に、光電変換素子311の温度を、光電変換素子311が給電光112を電力に効率よく変換するのに適した温度に維持するようにすれば、給電装置110から受電装置310に効率よく電力供給できる。
また、光電変換素子311の温度が高温になり過ぎないように維持するようにすれば、光電変換素子311がオーバーヒートするなど損傷するのを防ぐことができる。
【0033】
また、上記実施形態では、給電側制御部150が、受電側制御部360から通知された温度情報に基づき給電光112の出力レベルを下げるか上げるか判断して、給電光112の出力レベルを切り替える処理を実行したが、受電側制御部360が温度情報に基づいて給電光112の出力レベルを下げるか上げるか判断してもよい。
つまり、受電側制御部360は、取得した温度情報に基づき給電光112の出力レベルを下げるか上げるか判断し、判断した出力レベルの切替情報を給電側制御部150に通知する処理を実行し、給電側制御部150は、通知された出力レベルの切替情報に基づき給電光112の出力レベルを切り替える処理を実行する。
【0034】
具体的には、受電側制御部360は、取得した温度情報に基づき、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値以上である場合に給電光112の出力レベルを下げるとの判断をし、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が所定の閾値未満である場合に給電光112の出力レベルを上げるとの判断をし、その判断した出力レベルの切替情報を発信部320から信号光325として出力し、給電側制御部150に通知する。
給電側制御部150は、受電側制御部360から通知された出力レベルの切替情報が、給電光112の出力レベルを下げる切替情報であるとき、半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを下げる処理を実行し、受電側制御部360から通知された出力レベルの切替情報が、給電光112の出力レベルを上げる切替情報であるとき、半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを上げる処理を実行する。
なお、ここでも給電用半導体レーザー111は、給電側制御部150の制御のもと、給電光112の出力レベルを下げるようにデューティー比が小さい給電光112を出力し、給電光112の出力レベルを上げるようにデューティー比が大きい給電光112を出力する。
【0035】
このように、受電側制御部360が取得した温度情報に基づいて給電光112の出力レベルを下げるか上げるか判断し、給電装置110の給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替えるようにしても、給電光112の過剰供給を抑えることができ、給電光112として受電装置310(光電変換素子311)に供給された電気エネルギーが熱となって失われてしまうエネルギーロスを低減することができる。
【0036】
なお、上述した給電光112の出力レベルの切り替え処理では、所定の閾値で1つの境界を定め、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度がその閾値を超えたか否かによって給電光の出力レベルを下げたり上げたり切り替えるようにしたが、所定の閾値は1つの境界を定めるものでなく、上限の閾値と下限の閾値とで2つの境界を定めるものでもよい。
その場合、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が上限の閾値以上である場合に給電光112の出力レベルを下げるように切り替え、温度センサー312が検出した光電変換素子311の温度が下限の閾値未満である場合に給電光112の出力レベルを上げるように切り替えるようにすればよい。
【0037】
以上本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、この他の様々な形態で実施が可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
1A 光ファイバー給電システム(光給電システム)
1 光ファイバー給電システム(光給電システム)
1B 光ファイバー給電システム(光給電システム)
100 第1のデータ通信装置
110 給電装置
111 給電用半導体レーザー
112 給電光
120 発信部
125 信号光
130 受信部
140 光入出力部
141 光コネクタ
150 給電側制御部
200A 光ファイバーケーブル
200 光ファイバーケーブル
200B 光ファイバーケーブル
210 コア
220 クラッド
250A 光ファイバー
250 光ファイバー
260 光ファイバー
270 光ファイバー
300 第2のデータ通信装置
310 受電装置
311 光電変換素子
312 温度センサー
320 発信部
325 信号光
330 受信部
350 光入出力部
351 光コネクタ
360 受電側制御部
【要約】
【課題】光ファイバー給電システムにおいて、給電光として供給された電気エネルギーが熱となって失われてしまうエネルギーロスを低減する。
【解決手段】電力によりレーザー発振して給電光112を出力する半導体レーザー111を含む給電装置110と、給電装置110による給電光112を電力に変換する光電変換素子311を含む受電装置310と、給電装置110から受電装置310に給電光112を伝送する光ファイバーケーブル200を備えた光ファイバー給電システム1において、光電変換素子311の温度を検出する温度センサー312を備え、その温度センサー312が検出した温度が所定の閾値以上である場合に給電光112の出力レベルを下げる処理を実行し、検出した温度が所定の閾値未満である場合に給電光112の出力レベルを上げる処理を実行するようにした。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5