特許第6790250号(P6790250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790250
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】疎水性シリカ成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/18 20060101AFI20201116BHJP
   C09C 1/28 20060101ALI20201116BHJP
   F16L 59/02 20060101ALN20201116BHJP
【FI】
   C01B33/18 C
   C01B33/18 E
   C09C1/28
   !F16L59/02
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-516631(P2019-516631)
(86)(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公表番号】特表2019-532003(P2019-532003A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2017054474
(87)【国際公開番号】WO2018153495
(87)【国際公開日】20180830
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】コンラート、ヒンデラング
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト、バイドナー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク、ヤントケ
【審査官】 宮崎 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0368440(US,A1)
【文献】 特開2001−226113(JP,A)
【文献】 特開2008−215492(JP,A)
【文献】 特開2008−215538(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0286189(US,A1)
【文献】 特開2014−141604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B33/00−33/193
F16L59/02
C09C1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性シリカ成形物の製造方法であって、前記方法が:
i) 55℃以下の温度において親水性シリカを含有する混合物を疎水化剤で被覆し、
ii) 工程iから得た混合物を、30日以下の貯蔵時間の後に圧縮して成形物を得て、
iii) 温度は、工程iおよびiiの間および成形物の使用まで、55℃以下であり、
前記疎水化剤が、25℃において液体であり、疎水性の特性を有し、かつ前記シリカ表面のSi−OH基と反応することができる反応性有機シラン、有機シロキサンまたはシリコーン樹脂の中から選択される、前記方法。
【請求項2】
前記成形物がプレートおよびマットの中から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
25℃において測定された5mm/秒〜100mm/秒の動粘度を有するOH末端ポリジメチルシロキサンを疎水化剤として使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
DIN66131に従った100〜500m/gの範囲のBET表面積を有する熱分解法シリカもしくは沈降シリカまたはその混合物を親水性シリカとして使用する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程iにおいて、前記親水性シリカを、いずれの場合も、全混合物に対して0.5〜20重量%の疎水化剤で被覆する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物を、工程i後で、かつ、工程iiの圧縮前に、15日間以下貯蔵する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
目標密度までの圧縮を行う前に、工程iからの前記混合物を脱気する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程ii前に、前記混合物に繊維を添加する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法において、および前記成形物の使用中に得られた残留物を前の工程段階に再び再循環する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温における疎水性シリカ成形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーのための断熱材は、エネルギーの持続可能な開発およびコスト増加ならびに化石原料不足の増加に対する意識を背景として高い重要性を獲得してきた。断熱材の最適化のためのこれらの要件は、建物、すなわち新しい建物または現存の建物、および物流部門または定置部門における断熱材に等しく当てはまる。
【0003】
低熱伝導および低可燃性を有する耐久性のある断熱材に関して、無機、多孔性材料にますます焦点が当てられている。
【0004】
有機断熱材(例えば、ポリスチレン)は、その可燃性および時に問題となる廃棄が理由で、ますます圧力をかけられている。したがって、非常に低可燃性の断熱材の製造が望まれている。
【0005】
熱分解法シリカまたは沈降シリカなどの多孔性無機材料は良好な断熱特性を示し、不燃性でもある。
【0006】
熱分解法シリカは、揮発性ケイ素化合物、例えば、有機および無機クロロシラン類を酸素水素炎中において火炎加水分解することにより製造される。この方法で製造されたシリカは、多孔性構造を有し、親水性である。
【0007】
沈降シリカは、沈澱法により水ガラスから製造される。水ガラスというのは、ガラス質、すなわち、その溶融物または水溶液から固化された非晶質で水可溶性のケイ酸ナトリウム、カリウムおよびリチウムを言う。塩の中和、加水分解および縮合は、鎖状Si−O−Si化合物から微粒子状[SiO4/2]化合物を生成する。
【0008】
このような微粒子系は、圧縮しないルーズ床(loose bed)においてさえ良好な断熱特性を有する。建築部門では、沈降シリカまたは熱分解法シリカの微分化構造は、加工の難しさ、例えば、激しいダスト生成などをもたらす。
【0009】
シリカを繊維と混合した後に加圧することで、シリカ粉末より著しく取り扱い易いプレートなどの成形物を製造することが可能となる。
【0010】
しかしながら、断熱材として使用するため、特に、建物の断熱材において、親水性シリカは望ましくない高吸湿性を示し、この結果、とりわけ断熱特性が低下するので、このような親水性材料は容易に使用することはできない。
【0011】
完全に疎水性成形物は、おそらく疎水性シリカの圧縮により得られるだろう。しかしながら、当業者は、疎水性シリカが充分に圧縮することができず加圧成形できないことを知っているだろう。同様に、疎水性シリカが含まれた混合物の加圧成形はできない。
【0012】
したがって、欧州特許第2736979(B1)号は、疎水化を加圧成形操作後に行うことを提案している。この場合、加圧成形操作後、親水性成形物を、減圧および過圧の組合せによってチャンバー内で少なくとも1つのガス状有機シランと反応させる。この場合の不都合は、圧力スイング法のための装置が複雑であり、したがって、この方法を工業的規模で実施することが困難であることである。
【0013】
欧州特許出願公開第2982660(A1)号は、親水性混合物を先ず予め圧縮し、この方法で製造されたボードをガス状疎水化剤と反応させた後に最終密度まで加圧成形する、疎水性断熱ボードの製造方法を記載している。ガス状疎水化剤の使用およびシリル化剤を気化させるための減圧または高温の印加は、この方法を複雑にしている。
【0014】
欧州特許第0032176(B1)号は、シリカ、繊維および有機ケイ素化合物の混合による疎水性断熱材の製造方法を記載している。有機ケイ素化合物とシリカとを反応させるために、混合物を加圧成形前に貯蔵する。したがって、貯蔵および加熱されたシリカと比較して新たに被覆されたシリカは有利であると認識されていなかった。
【0015】
完全に疎水性である断熱材は、例えば、加圧成形前にシリカに疎水化剤を適用することにより得られる。したがって、独国特許出願公開第102009054566(A1)は、シリカ、繊維および比較的非揮発性有機シランまたは有機シロキサンの混合物を加圧成形することによる完全に疎水性である断熱材を記載している。その後、揮発性成分は、ベーキングにより取り除かれる([0025]+実施例)。しかしながら、熱処理工程は追加コストを招く。
【0016】
独国特許出願公開第102007020716(A1)号は、揮発性有機シランで被覆されてから、直ちに加圧成形される、シリカから製造された疎水性中空建築物ブロック充填物を記載している。この場合の問題は、解離生成物、特に、揮発性有機分解生成物の遊離である。これらは、加熱により取り除かれる([0040]+実施例)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、疎水性シリカ含有成形物の製造のために連続的に実施することができる経済的方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、
i) 55℃以下の温度において親水性シリカを含有する混合物を疎水化剤で被覆し、
ii) 工程iから得た混合物を、30日以下の貯蔵時間の後に圧縮して成形物を得て、
iii) 温度は、工程iおよびiiの間および成形物の使用まで、55℃以下である、
疎水性シリカ成形物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
方法は、簡便な方法で、機械的に安定である疎水性シリカ含有成形物、特に、プレートまたはマットを与える。疎水化剤は、圧縮工程iiの間または圧縮工程iiの後にのみ、完全に反応する。
【0020】
驚くべきことに、適切な疎水化剤で新たに被覆されたシリカが、造粒に対するその適性に関して疎水性シリカのように振る舞うことが見出された。被覆されたシリカが加熱される場合、この特殊効果は失われる。
【0021】
欧州特許出願公開第2781558(A1)号では、低温において短鎖OH末端ポリジメチルシロキサンで被覆されたシリカが、加熱されたシリカと比較して著しく低い疎水性(メタノール湿潤性により決定)を有すると記述されている。加えて、疎水性は貯蔵中にゆっくりと増大することが記述されている。従来技術と比較してこのシリカの利点は、ゴムへのより短い取込み時間であると言われる。例えば、断熱材の製造のための圧縮特性に対する正の効果は開示されていない。
【0022】
本発明で開示される方法は、驚くべきことに、圧縮工程前に疎水化剤を混ぜ入れることを可能とした。したがって、疎水化剤は、断熱ボードの中核部にも存在する。加圧成型操作中の加工特性は悪影響を受けない。結果として、プレートまたはマットの製造のために標準装置を使用することができ、その後の疎水化および加熱などの複雑な工程段階をなしで済ますことができる。
【0023】
Si−OH基との反応において揮発性有機化合物(VOC)を全く脱離しない疎水化剤を使用することが好ましいので、被覆処理および造粒後に、揮発性成分(例えば、脱離生成物)を除去するための加熱処理(精製とも呼ぶ)は実施する必要がない。
【0024】
被覆されたシリカを効率的に圧縮することができ、安定なプレートを形成するために、被覆処理手順の工程iにおける温度が55℃以下、好ましくは40℃以下、特に好ましくは25℃以下であることを確認する。
【0025】
工程iiにおける圧縮後および応用(例えば、断熱システムを得るためのさらなる加工の設備)における使用までの時間を含む全工程段階における温度は、好ましくは55℃以下、より好ましくは40℃以下、特に好ましくは25℃以下である。55℃は、成形物の疎水性の発現に充分である。
【0026】
より良好な圧縮性および改良された製品特性は別として、これらの温度条件は、該方法において生じる残差が工程iおよびiiに再循環されることを可能とする。加えて、加熱および/または精製工程を含む方法と比較して、追加の工程段階およびエネルギーコストを節約することができる。特に、低温および圧変化が取り除かれるため、該方法を全工程において連続的に実施することができる。
【0027】
シリカ
当業者に公知の全ての親水性シリカを、本発明の方法において使用することができる。熱分解法シリカもしくは沈降シリカまたはその混合物を使用することが好ましい。DIN66131(窒素を使用して決定)に従った、50〜800m/g、特に好ましくは100〜500m/gの範囲のBET表面積を有するシリカ、特に、150〜400m/gの範囲の表面積を有するシリカがさらに好ましい。本発明の目的のため、親水性であるとは、表面上のSi−OH基が利用でき、シリカが水により湿潤することができることを意味する。150〜400m/gの範囲のBET表面積を有する熱分解法シリカを使用することが特に好ましい。
【0028】
添加剤
さらなる成分として、特に工程iにおいて、赤外領域の熱放射を吸収、散乱または反射する添加剤を添加することができる。概して、これらは、IR乳白剤と呼ばれる。好ましくは、これらの乳白剤は、好ましくは1.5〜10mのIRスペクトル範囲において最大値を有する。粒子の粒径は、好ましくは0.5〜15μmである。このような物質の例は、好ましくは、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン鉄鉱、チタン酸鉄、酸化鉄、ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、酸化マンガンおよびカーボンブラックである。
【0029】
さらに、静電帯電を減少させるために、静電帯電を減少させるための当業者に公知の全ての添加剤、例えば、導電性アルキルアンモニウム塩を、必要に応じて添加することができる。
【0030】
技術的および/または経済的理由のため、さらなるフィラーを添加することができる。この場合、二酸化ケイ素の合成的に製造される修飾品、例えば、エアロジル、沈降シリカ、電気アークシリカ、ケシリコンまたはフェロシリコンの電気化学的製造における揮発性一酸化ケイ素の酸化により生成されるSiO含有集塵ダストを使用することが好ましい。同様に、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムおよび混合ケイ酸塩、例えば、カンラン石などのケイ酸塩を酸で浸出することにより製造されるシリカ。珪藻土および多孔質珪藻土などの天然SiO含有化合物も使用される。
【0031】
工程iにおいて疎水化剤で被覆される親水性シリカを含有する混合物は、好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%の親水性シリカを含有する。
【0032】
好ましい実施形態では、繊維材料の使用により機械的補強または外装を行う。これらは、システム全体の機械的安定性を増大する(実施例4と比較した実施例1)。外装のため、すなわち、機械的補強または強化のため、繊維を使用する。これらの繊維は無機物起源でもよく、有機物起源でもよい。無機繊維の例は、ガラスウール、ロックウール、玄武岩繊維、スラグウールおよびアルミニウムおよび/または二酸化ケイ素またはさらに無機金属酸化物の溶融物からなるセラミック繊維である。純粋な二酸化ケイ素繊維は、例えば、シリカ繊維である。有機繊維は、例えば、セルロース繊維、織物繊維または合成繊維である。セルロース系の有機繊維(ビスコースステープル繊維)を使用するのが好ましい。毒性理由および持続可能性の面(廃棄)に関して、本発明の目的のため、結晶性無機繊維、例えば、アスベスト繊維は使用しないのが好ましい。1〜25mm、特に好ましいのは3〜10mmの長さの繊維を好適に使用する。繊維径は、好ましくは1〜12μm、特に好ましいのは6〜9μmである。好ましい実施形態では、全混合物に対する繊維の割合は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
【0033】
疎水化剤
疎水化剤として、シリカを疎水化するための当業者に公知の全ての材料、特に、有機ケイ素化合物(例えば、有機シラン、有機シロキサンまたはシリコーン樹脂)および炭化水素(例えば、パラフィン、ワックス、カルボン酸、特に脂肪酸)を使用することができる。25℃において液体であり、疎水性を有し、かつシリカ表面のSi−OH基と反応することができる反応性有機シラン、有機シロキサンまたはシリコーン樹脂を、疎水化剤として好適に使用する。
【0034】
有機シラン、有機シロキサンまたはシリコーン樹脂を、純粋な形態で使用してもよく、いずれかの混合物で使用してもよい。
【0035】
使用される有機シラン、有機シロキサンまたはシリコーン樹脂の反応性を、疎水性効果が圧縮工程ii前に完全には発現しないように、好適に選択する。
【0036】
シリカのSi−OH基と反応中、混合物の質量に対して、1%以下(0.1%以下、0.01%以下)の揮発性有機化合物および/または腐食性化合物を脱離する有機シラン、有機シロキサンまたはシリコーン樹脂を使用するのが好ましく、これらの化合物は、好ましくは、CHOH、CHCHOH、CHCOOH、HCl、NHである。
【0037】
疎水化剤として、一般式:
SiX4−(n+m) (I)、
式中、nおよびmは0、1、2、または3であり、n+mの合計は3以下であり、
は、−CN、−NCO、−NR、−COOH、−COOR、−ハロゲン、−アクリル、−エポキシ、−SH、−OHまたは−CONR、好ましくはC−C18炭化水素ラジカル、またはアリールラジカルまたはC−C15炭化水素オキシラジカル、好ましくはC−C炭化水素オキシラジカル、特に好ましくはC−C炭化水素オキシラジカルにより置換されていてもよい飽和または一不飽和もしくは多価不飽和一価Si−C結合C〜C20炭化水素ラジカルであり、いずれの場合も、1つ以上の隣接しないメチレン単位は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−もしくは−OCOO−、−S−または−NR−末端基により置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位は−N=、−N=N−または−P=基により置換されていてもよく、
は、水素または−CN、−NCO、−NR、−COOH、−COOR、−ハロゲン、−アクリル、−エポキシ、−SH、−OHもしくは−CONR、好ましくはC−C18炭化水素ラジカル、もしくはアリールラジカルもしくはC−C15炭化水素オキシラジカル、好ましくはC−C炭化水素オキシラジカル、特に好ましくはC−C炭化水素オキシラジカルにより置換されていてもよい飽和または一不飽和もしくは多価不飽和一価Si−C結合C〜C20炭化水素ラジカルであり、いずれの場合も、1つ以上の隣接しないメチレン単位は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−もしくは−OCOO−、−S−または−NR−基により置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位は−N=、−N=N−または−P=基により置換されていてもよく、
は、Rと同じ意味を有し、RおよびRは同じでも異なっていてもよく、
Xは、C−O結合されたC〜C15炭化水素ラジカル、好ましくはC〜C炭化水素ラジカル、特に好ましくはC〜C炭化水素ラジカル、またはアセチルラジカルもしくはハロゲンラジカル、好ましくは塩素、または水素ラジカルもしくはOHラジカルである、
の有機シラン、
または、
1122Si−Y−SiR1122 (II)
式中、R11は前記Rの意味を有し、R22は前記Rの意味を有し、
iおよびjは、0、1、2または3であり、i+jの合計は3であり、
Yは、基NHまたは−O−である、
の有機シランを使用するのが好ましい。
【0038】
一般式:
(RSiO1/2) (III−a)
(RSiO2/2) (III−b)
(RSiO3/2) (III−c)
(RSiO2/2) (III−d)
(SiO4/2) (III−e)、
のビルディングブロックからなる鎖状または環式、分岐鎖または非分岐鎖有機シロキサンであって、
該ビルディングブロックはいずれもの混合物中に存在し、
式中、
は前記Rの意味を有し、Rは前記Rの意味を有し、
Zは前記Xの意味を有し、いずれの場合も、同じでも異なっていてもよく、aおよびbは0、1、2、または3であり、a+bの合計は3である、
該有機シロキサンを使用するのが好ましい。
【0039】
環式有機シロキサンを使用するのが好ましい。
【0040】
好ましくは一般式III−aの2個のビルディングブロックおよび好ましくは一般式III−bの1〜100,000個のビルディングブロックおよび好ましくは一般式III−dの1〜500個のビルディングブロック、好ましくは一般式III−bの1〜50,000個のビルディングブロックおよび好ましくは一般式III−dの1〜250個のビルディングブロック、特に好ましくは一般式III−bの1〜10,000個のビルディングブロックおよび好ましくは一般式III−dの1〜200個のビルディングブロック、ならびに非常に特に好ましくは一般式III−bの1〜5000個のビルディングブロックおよび好ましくは一般式III−dの1〜100個のビルディングブロックからなり、Rは好ましくはメチルであり、Rは好ましくは−CH−CH−CH−NHまたは−CH−CH−CH−NH−CH−CH−NHである、鎖状有機官能性有機ポリシロキサンを使用するのが好ましい。
【0041】
好ましくは、一般式III−aの2個のビルディングブロックおよび一般式III−bの1〜100,000個のビルディングブロック、好ましくは一般式III−bの1〜50,000個のビルディングブロック、特に好ましくは一般式III−bの1〜10,000個のビルディングブロック、ならびに特に好ましくは一般式III−bの1〜5000個のビルディングブロックからなり、Rは好ましくはメチルである、鎖状有機ポリシロキサンを使用するのが好ましい。Rが好ましくはメチルであり、Zが好ましくは−OHである、鎖状有機シロキサンを使用するのが特に好ましい。
【0042】
25℃で測定される有機シロキサンの動粘度は、好ましくは1mm/秒〜100,000mm/秒、好ましくは2mm/秒〜10,000mm/秒、特に好ましくは5mm/秒〜1000mm/秒である。
【0043】
好ましくは、25℃で測定される、5mm/秒〜100mm/秒の動粘度を有するOH末端ポリジメチルシロキサンを使用するのが特に好ましい。
【0044】
シリコーン樹脂として知られる架橋または部分的架橋有機ポリシロキサンを使用するのも好ましく;これらは、好ましくは、一般式III−aのビルディングブロックおよび一般式III−eのビルディングブロックを含有し、特に好ましくは、R=メチル、a=3およびb=0である有機ポリシロキサンであるか、または一般式III−cのビルディングブロックおよび一般式III−bのビルディングブロックを含有し、特に好ましくはR=メチルである有機ポリシロキサンである。
【0045】
疎水化剤の量
工程iにおいて添加される疎水化剤の量は、シリカの比表面積(BET表面積)、混合物中のこれらの割合、シランまたはシロキサンの種類および末端応用に必要な疎水性に依存する。添加される量は、好ましくは、いずれの場合も、全混合物に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
【0046】
混合物の製造
好ましい実施形態では、成分を混合する。混合物の製造中、好ましくは、疎水化剤を液体で添加し;このとき、個々の成分が均質混合することが必要である。好ましくは、移動床または流動床において、液体疎水化剤と一緒にシリカを噴霧することにより、疎水化剤の吸着を行う。
【0047】
概して、工程iにおける混合操作中および圧縮前に、使用される疎水化剤がシリカ表面のシラノール基とまだ完全に反応しないように、温度を選択する。この温度設定の結果として、被覆されたシリカは、成形物を得るための圧縮、特にプレートおよびマットの加圧成形に対する加工性に関して、親水性シリカとほとんど同様に振る舞う。これは、疎水性および機械的安定性の最適な組合せを有する断熱プレートの製造に重要である。この温度がほんの数時間でも超える場合、シリカ混合物は、圧縮性および得られた製品安定性に関して匹敵する炭素含有率を有する疎水性HDKの様に振る舞う(比較例2と比較して実施例1も参照)。
【0048】
概して、均質混合が保証されるように、疎水化剤の添加速度および後撹拌時間を選択する。
【0049】
工程ii前に、繊維を混合物に添加することができる。繊維を使用する場合、疎水化剤で被覆処理する前、被覆処理中または被覆処理後に、工程iにおいて混合物に、これらの繊維を添加することができる。例えば、激しい撹拌により過剰に長い機械的応力は繊維の破断を引き起こす場合があり、したがって、安定性効果が低下するので、好ましい実施形態では、疎水化剤を混ぜ入れた後に繊維を添加する。
【0050】
工程i後で工程iiの圧縮前に短時間だけ混合物を貯蔵する。混合物の貯蔵時間を、概して、脱気前および圧縮前の混合処理中に、使用される疎水化剤がシリカ表面のシラノール基とまだ完全に反応しないように選択する(比較例3と比較して実施例1も参照)。
【0051】
圧縮
加圧成形混合操作後に、得られた粉末混合物を加圧成形することにより圧縮を行う。粉末混合物は、好ましくは、混合操作の完了後、40〜180g/L、好ましくは40〜90g/Lの範囲のかさ密度を有する。製造された粉末混合物は良好な粉末流動性を有し、容易に型に導入またはベルトに適用し、その後圧縮することができる。
【0052】
特定の熱分解法シリカにおいて、シリカまたはシリカ含有混合物は、通常、非常に低いかさ密度を有するので、工程iからの混合物を好ましくは脱気する、すなわち、加圧成形前、目標密度までの高密度化を行う前に空気を取り除く。
【0053】
工程iからの混合物の脱気により、加圧操作後に、得られたプレートまたはマットが再び膨張もせず亀裂も起こらないようになる。
【0054】
良好な脱気を、例えば、非常に緩慢な圧縮により行うことができる。このような非常に緩慢な圧縮は、大規模、特に連続式製造のため、経済的に実行可能なものではない。したがって、シリカを積極的に含有する混合物を脱気することは有利である。脱気を、例えば、減圧の使用により行うことができる(実施例5参照)。この場合、混合物の体積減少が脱気中に起こり得る。脱気およびその後のプレートまたはマットを得るための圧縮を、異なる装置あるいは両方の機能を果たす1つの装置のいずれかで行うことができる。
【0055】
プレートまたはマットの連続製造を、例えば、材料の充分な脱気をやり遂げるために好ましくはガス透過性であるベルトを用いて、ベルト間の混合物の加圧成形により行うことができる。
【0056】
圧縮までの貯蔵時間は、好ましくは、15日以下、特に好ましくは1週間以下、特に3日以下、非常に特に好ましくは24時間以下であり、材料を、特に好ましくは、目標密度まで直ちに圧縮する。
【0057】
これからの断熱成形物の所望の形状および密度を圧縮によりもたらす。
【0058】
プレート、マット、円柱状、中空円柱状または複雑な形状パーツを好適に製造する。本発明の目的のため、複雑な形状パーツは、例えば、家庭電化製品、自動車用、冷凍装置などのコンポーネントである。
【0059】
粉末、顆粒材料、断片、破片および他の不規則な形状の粒子などの形状は、本発明に含まれない。
【0060】
好ましくは、水圧プレス、ベルトプレス、圧延または粉末混合物から成形物を製造するための当業者に公知のさらなる方法によって圧縮を行う。得られた成形物の多孔性、だから断熱効果は、密度の設定により影響を受け得る。成形物の熱伝導度は、好ましくは、18〜35mW/(m・K)、好ましくは20〜28mW/(m・K)、特に20〜25mW/(m・K)、の範囲である。
【0061】
成形物の機械的安定性も、密度設定により影響を受け得る。より高密度は、概して、より安定な成形物をもたらす。加圧成形操作後の成形物の密度は、好ましくは100〜400g/L、特に好ましくは150〜300g/L、特に180〜260g/Lの範囲である。
【0062】
圧縮中または圧縮後に熱処理を行う他の方法とは対照的に、方法および成形物の使用中に得られた残留物、例えば、成形物の加工(例えば、穿孔、製粉、その他)の結果として、例えば、寸法断裁からの微粉および他のスクラップを、前の工程段階に再循環することができる。再循環前または混合物の製造(工程i)中直接、好ましくは、残留物を微粉砕する(実施例7)。得られた残留物の再循環は、好ましくは、混合物に対して規定された貯蔵時間内に行う。この方法では望ましくない副産物(例えば、スクラップ、不合格品、製粉または穿孔などからの作業屑)は得られないので、この閉じた手順は、工業的実践のために特に有利である。
【0063】
混合物中の繊維は別として、プレートまたはマットの表面の外装、積層、包囲または他の処理を、機械的強化を行うため、またはダスト生成の低減のために行うことができる。この外装または積層の適用を、加圧成形操作中またはその後に行うことができる。この目的のために当業者に公知の全ての材料(例えば、タイル、織物、薄膜)を使用することができる。必要に応じて、適切なバインダーまたは接着剤も使用して接着性を向上させることができる。
【0064】
目標密度まで加圧した後、疎水化剤は、シリカのシラノール基と反応することができ、この結果、断熱プレートまたはマットの疎水性は好適に増大する。
【0065】
追加の工程段階、特に、熱処理は、充分な疎水性の発現に関するこの目的には必要ない。これは、方法を簡便にし、エネルギーコストを最小限にする(比較例1と比較した実施例1)。
【0066】
プレートおよびマットの貯蔵時間は、室温において、好ましくは少なくとも3日、好ましくは少なくとも1週間、特に好ましくは少なくとも2週間である。疎水性は、好ましくは、プレートまたはマットの使用時間により発現される。加圧成形後の疎水化は、触媒活性物質の添加によっても促進することができる。官能性有機ケイ素化合物を活性化するための当業者に公知の全ての化合物、例えば、ブレンステッド酸またはルイス酸をこの目的のために使用することができる。ブレンステッド酸の例は、塩酸、硫酸または硝酸であり、ブレンステッド酸として塩酸を使用するのが好ましい。使用することができるルイス酸は、例えば、スズアルコキシド類またはチタンアルコキシド類などのスズまたはチタン化合物である。
【0067】
使用
本発明による成形物を断熱材および/または防音材として使用し、断熱材のために好適に使用する。したがって、本発明による成形物を、例えば、中空建築用ブロックの充填物として使用することができる。同様に、包囲後にガス抜きをした後に真空断熱パネルとしてこれらを使用することができる。特に、本発明による成形物を、建物の壁および天井の直接防音および断熱用絶縁要素の製造のために使用することができる。例えば、自動車部門または航空機部門の電気機器、冷凍装置など建築用途以外の使用も可能である。良好な機械的安定性によって、成形物の取り扱いは簡便である。本発明により製造された成形物を、好ましくは、例えば、接着、断熱システム設置のための当業者に公知のくぎ、ねじまたはさらなる可能性を用いた機械的締結により、例えば、壁への応用により断熱システムとして好適に使用する。疎水性と低可燃性とを組合せた良好な絶縁作用(断熱および防音)が必要である場合、疎水性でシリカ含有断熱成形物を好適に使用する。
【実施例】
【0068】
以下の実施例では、特定に場合に特に指示がない限り、全ての量およびパーセンテージは重量基準であり、全ての圧は0.10MPa(絶対)であり、全ての温度は20℃である。
【0069】
密度
プレートの密度を、プレートの重量およびプレート体積から算出した。プレートの体積をプレートの外寸から算出した。特に指示がない限り、密度はリットル当たりのグラム(g/l)で報告する。
【0070】
熱伝導度の決定
加圧成形操作によるプレート状物体の製造では、寸法11×11×2cmのプレートに対し、Hesto社のA206装置でDIN EN12667:2001に基づいた方法により23℃の温度において熱伝導度を決定した。
【0071】
疎水性の定性試験
加圧成形後2週間目で疎水性の評価を行った。この目的のため、約5mmの大きさを有する小片を鋭利なナイフを用いて切り出した。これらの小片1gを水100ml中に入れて、密閉した容器内で24時間貯蔵した。次の通り評価を行う:
+ 疎水性:プレートの小片は水によりほとんど濡れず、水面上に完全に浮く。
○ 部分的に疎水性:プレートの小片は水に濡れるが、水面にほとんど浮く。
− 疎水性でない:プレートの小片は直ちに濡れ、数分以内で水中下方に沈む。
【0072】
破砕強度
破砕強度、すなわち、断熱プレートの破砕が起こるまでの力を、DIN 53423(3点曲げ試験)に基づいた方法により決定した。この目的のため、Zwick/Roell社のBTC−FR010TH.A50装置を使用した。測定の支持体間のスパン幅は100mmであり、プレートの寸法は110×110mmである。プレートの厚さは20mmである(正確な値については表参照)。
【0073】
破砕強度をニュートン(N)で報告する。
【0074】
炭素含有率の決定
サンプルの炭素含有率(C含有率)の決定をLeco CS230アナライザーで行った。酸素流中でのサンプルの高周波燃焼により分析を行った。非分散型赤外線検出器を用いて検出を行った。
【0075】
原料:
HDK(登録商標)T30:300m/gのBET表面積を有するWacker Chemie AGの親水性熱分解法シリカ。
【0076】
HDK(登録商標)H30:270〜320m/gのBET表面積、約40g/lの密度および1.4〜2.6%のC含有率を有するWacker Chemie AGの親水性熱分解法シリカ。
【0077】
HDK(登録商標)H18:170〜230m/gのBET表面積、約50g/lの密度および4〜5.2%のC含有率を有するWacker Chemie AGの親水性熱分解法シリカ。
【0078】
OH末端PDMS:約35mm/秒の領域の動粘度を有するWacker Chemie AGのOH末端ポリジメチルシロキサン。
【0079】
メチルトリエトキシシラン:Wacker Chemie AGのWACKER(登録商標) SILAN M1−TRIETHOXY。
【0080】
ジメチルジエトキシシラン:Wacker Chemie AGのWACKER(登録商標) SILAN M2−DIETHOXY。
【0081】
全てのさらなる実験化学薬品はSigma−Aldrich社から入手した。
【0082】
6mmの長さおよび9μmの径を有する消化ビスコースステープル繊維を外装するために使用した。
【0083】
全てのさらなる実験化学薬品は通例の供給者から入手した。
【0084】
シリカ含有混合物の製造
方法A
シリカおよび添加剤からなる混合物を25℃で10分間激しく撹拌して、材料を流動化した。有機シロキサンを二流体ノズルによりアトマイズし、流動化シリカ上に噴霧した。被覆後、繊維を添加し、混合物を高速度ミキサー(4000rpm)内でさらに2分間激しく混合した。これにより混合物を得て、これを圧縮前に最大3日間室温において貯蔵した。
【0085】
方法B
シリカおよび添加剤からなる使用される混合物の10%を25℃で10分間激しく撹拌して、材料を流動化した。その後、有機シロキサンを撹拌しながら混合物に滴下した。撹拌機および撹拌時間の選択では、容器の壁に有機シロキサンがほとんど残らないことを保証するように注意を払った。例えば、有機シロキサンの着色および得られた混合物の重量測定により、これをチェックすることができ、必要に応じて最適化した。
【0086】
被覆処理後、易流動性粉末(マスターバッチ)を得た。
【0087】
より大きな撹拌装置では、シリカおよび添加剤からなる混合物の残留量を室温で激しく撹拌した。マスターバッチを撹拌しながらこの混合物中にふりかけた。その後、激しく撹拌(高速度ミキサー、4000rpm)しながら繊維を添加し、混合物を2分間激しく混合した。これにより混合物を得て、これを圧縮前に最大3日間室温において貯蔵した。
混合物A:
HDK T30 800g
OH末端ポリジメチルシロキサン(粘度 35mm/秒) 150g
ビスコースステープル繊維 50g
混合物B:
HDK T30 800g
炭化ケイ素 50g
OH末端ポリジメチルシロキサン(粘度 35mm/秒) 100g
ビスコースステープル繊維 50g
混合物C:
HDK T30 875g
OH末端ポリジメチルシロキサン(粘度 35mm/秒) 75g
ビスコースステープル繊維 50g
【0088】
実施例1
方法Aにより製造された混合物A 60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、型からダメージを受けず取ることができた。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0089】
実施例2
方法Bにより製造された混合物A 60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、ダメージなしで型抜きすることができた。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0090】
実施例3
方法Aにより製造された混合物B 60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、型からダメージを受けず取ることができた。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0091】
実施例4
親水性シリカ(HDK T30) 85.0gを、25℃で10分間激しく撹拌して、材料を流動化した。OH末端ポリジメチルシロキサン(粘度 35mm2/秒) 15.0gを、二流体ノズルによりアトマイズし、混合物上に噴霧した。プレートは、繊維を含むプレート(実施例1)と比較して、脆く、機械的安定性が小さく、型抜き中および分析試験中に注意深く取り扱わなければならない。混合物を得て、これを圧縮前に最大3日間室温において貯蔵した。
【0092】
実施例5
方法Aにより製造された混合物A 60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。不織布フィルターで覆われた下部取付板を経て減圧を印加し、この結果、加圧成形される材料を脱気して、これにより予備圧縮した。その後、材料を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さまでパンチを使用して加圧成形した。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、型からダメージを受けず取ることができた。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0093】
実施例6
方法Aにより製造された混合物C 60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、型からダメージを受けず取ることができた。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。プレートは、疎水化剤のより小さい割合のせいで、いくらかより低い疎水性を示した。
【0094】
実施例7
実施例1に従って新たに製造された断熱プレートを、帯のこを用いて、約5mmのストリップに切断した(切断屑)。方法Aにより製造された新たに製造された混合物A 80gを、高速度ミキサー(4000rpm)で3分間、切断屑20gと混合した。この混合物60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、型からダメージを受けず取ることができた。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0095】
実施例8
丸底フラスコ内で、ジメチルジエトキシシラン11g、Ti(OiPr) 0.5gおよびHDK T30 10gを混合し、易流動性粉末を生成した。この粉末混合物を、高速度ミキサー(4000rpm)で、HDK T30の追加の45gとさらに60分間混合した。その後、ビスコースステープル繊維3.3gを添加した。この混合手順を2分間継続した。その後、粉末混合物を11×11cmの寸法を有する加圧成形型に移動し、水圧プレスを用いて2cmの厚さまで圧縮した。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、ダメージなしで型抜きすることができた。さらなる分析前に25℃、2週間プレートを貯蔵した。
【0096】
実施例9
丸底フラスコ内で、メチルトリエトキシシラン6g、ジメチルジエトキシシラン6g、Ti(OiPr) 0.5gおよびHDK T30 10gを混合し、易流動性粉末を生成した。この粉末混合物を、高速度ミキサー(4000rpm)で、HDK T30の追加の40gとさらに60分間混合した。その後、ビスコースステープル繊維3.3gを添加した。この混合手順を2分間継続した。その後、粉末混合物を11×11cmの寸法を有する加圧成形型に移動し、水圧プレスを用いて2cmの厚さまで圧縮した。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、ダメージなしで型抜きすることができた。さらなる分析前に25℃、2週間プレートを貯蔵した。
【0097】
比較例1(本発明によるものではない)
方法Aにより製造された混合物A 60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。その後、プレートを、125℃で60分間加熱した。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、型からダメージを受けなかった。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。追加の加熱処理にもかかわらず、プレートは、その後の加熱処理を省略する本発明による実施例1と匹敵する疎水性を示した。
【0098】
比較例2(本発明によるものではない)
方法Aにより製造された混合物A 100gを、60℃で6時間貯蔵した。その後、この混合物60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは、疎水化剤の同じ含有率を有する本発明による実施例と比較して、著しく低い機械的安定性を示し、注意深く取り扱う場合のみ、ダメージなしで型抜きすることができた。分析試験のため、無処置のプレートのみを使用し;これらを得るために、必要に応じて多くのプレートを製造した。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0099】
比較例3(本発明によるものではない)
HDK T30 800gを、25℃で10分間激しく撹拌して、材料を流動化した。OH末端ポリジメチルシロキサン(粘度 35mm/秒) 150gを、二流体ノズルによりアトマイズし、流動化シリカ上に噴霧した。被覆処理後、混合物を25℃で3か月間貯蔵した。その後、貯蔵された被覆されたシリカおよびビスコースステープル繊維50gを高速度ミキサー(4000rpm)で2分間激しく混合した。その後、この混合物60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは、疎水化剤の同じ含有率を有する本発明による実施例と比較して、著しく低い機械的安定性を示し、注意深く取り扱う場合のみ、ダメージなしで型抜きすることができた。分析試験のため、無処置のプレートのみを使用し;これらを得るために、必要に応じて多くのプレートを製造した。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0100】
比較例4(本発明によるものではない)
疎水性シリカ(HDK H18)95.0gおよびビスコースステープル繊維5.0gを25℃で2分間激しく混合した(高速度ミキサー、4000rpm)。その後、この混合物60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは、本発明による実施例と比較して、著しく低い機械的安定性を示し、注意深く取り扱う場合のみ、ダメージなしで型抜きすることができた。分析試験のため、無処置のプレートのみを使用し;これらを得るために、必要に応じて多くのプレートを製造した。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0101】
比較例5(本発明によるものではない)
親水性シリカ(HDK H30)95.0gおよびビスコースステープル繊維5.0gを25℃で2分間激しく混合した(高速度ミキサー、4000rpm)。その後、この混合物60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは、本発明による実施例と比較して、著しく低い機械的安定性を示し、注意深く取り扱う場合のみ、ダメージなしで型抜きすることができた。分析試験のため、無処置のプレートのみを使用し;これらを得るために、必要に応じて多くのプレートを製造した。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。
【0102】
比較例6(本発明によるものではない)
親水性シリカ(HDK T30)95.0gおよびビスコースステープル繊維5.0gを25℃で2分間激しく混合した(高速度ミキサー、4000rpm)。その後、この混合物60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。プレートは良好な機械的安定性を示し、問題なく、ダメージなしで型抜きすることができた。型抜き後、厚さを測定した(表1参照)。プレートは疎水性ではない。
【0103】
比較例7(本発明によるものではない)
疎水性HDK(HDK H18) 60gを、一定の床高さを保証するように注意を払いながら、11×11cmの寸法を有する加圧成形型に入れた。その後、混合物を、手動水圧プレスを用いて2cmの厚さにした。型抜き後、厚さを測定した(表参照)。多くの試みにもかかわらず、低い機械的安定性のせいで、プレートをダメージなしで型から取り出して分析することができず、それだから、疎水性試験は別として、さらなる分析を行うことができなかった。繊維を含まない本発明による実施例(実施例4)と比較して、得られた小片の機械的安定性は著しく低いとして分類しなければならない。
【0104】
【表1】