(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790314
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】薬剤自販機
(51)【国際特許分類】
G07F 11/00 20060101AFI20201116BHJP
G07F 11/58 20060101ALI20201116BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20201116BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20201116BHJP
【FI】
G07F11/00 C
G07F11/58 101
A61J3/00 310K
G06Q30/06 300
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-561940(P2017-561940)
(86)(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公表番号】特表2018-520426(P2018-520426A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】CN2016083601
(87)【国際公開番号】WO2016188467
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年5月27日
(31)【優先権主張番号】201510282572.8
(32)【優先日】2015年5月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518459938
【氏名又は名称】深▲ゼン▼市欧科力科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】リ,チョイ リン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チュン ワイ
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−090333(JP,A)
【文献】
特開2005−182506(JP,A)
【文献】
特開平04−226664(JP,A)
【文献】
特表2003−530650(JP,A)
【文献】
特開2014−046212(JP,A)
【文献】
特開平05−189656(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101425204(CN,A)
【文献】
中国実用新案第202167078(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/00−11/72
A61J 3/00
G06Q 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体、制御モジュール、処理モジュール、記憶モジュール、通信モジュール及びカードリーダーを含み、
前記制御モジュール、処理モジュール、通信モジュール、記憶モジュール及びカードリーダーはいずれも前記筐体に設けられ、
前記筐体は複数のボックスを含み、各ボックスは出口を備え、前記筐体の底部には薬剤受取口が設けられ、前記ボックスの出口と薬剤受取口は連通しており、前記ボックスの出口にはカッターが設けられ、同一サイズの独立した複数の薬剤袋によって同種の薬剤がボックスごとに保管され、独立した各薬剤袋内には1回服用分の最小薬量が包装されており、独立した薬剤袋は前後にそれぞれ連なっており、隣り合う薬剤袋の間に切取線が設けられ、前記通信モジュールは、ネットワーク側から伝送される患者の個人情報と、当該個人情報に対応する薬剤使用情報を受け付け、前記記憶モジュールは、患者の個人情報と、当該個人情報に対応する薬剤使用情報を記憶し、
前記カードリーダーは、外部からの精算カード情報を取得して前記処理モジュールに伝送し、前記処理モジュールは、精算カード情報からカード所有者の個人情報を抽出して制御モジュールに伝送し、制御モジュールは、カード所有者の個人情報を記憶モジュールに記憶されている患者の個人情報と照合し、前記精算カード情報におけるカード所有者の個人情報を記憶モジュールから検索可能な場合、前記処理モジュールは当該カード所有者の個人情報に対応する薬剤使用情報を取得し、前記制御モジュールは、薬剤使用情報における薬剤に対応するボックス内の薬剤について搬出する薬剤袋の数を制御するとともに、連なっている薬剤袋をカッターが切取線で切断するよう制御し、
互いに連なる複数の薬剤袋は切取線で折り畳まれた後、水平に一列となって前記ボックス内に配列され、ボックスの出口には一列に配列され且つ水平に配置された2つの搬送ベルトが設けられ、前記カッターは2つの搬送ベルトの間に位置し、前記薬剤袋は第1搬送ベルトから第2搬送ベルトに搬送される際にカッターにより切断されることを特徴とする薬剤自販機。
【請求項2】
前記カッターは上刃と下パッドを含み、上刃は薬剤袋の上方に位置し、下パッドは薬剤袋の下方に位置し、上刃と下パッドが互いに接触する際に薬剤袋が切取線で切断されることを特徴とする請求項1に記載の薬剤自販機。
【請求項3】
前記複数のボックスは平行且つ横方向に配列されるとともに、配列方向が、薬剤袋の搬送方向に対して同一の水平面内で垂直となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤自販機。
【請求項4】
前記複数のボックスは複数層配列されており、層ごとに互いに平行なボックスが複数備えられることを特徴とする請求項3に記載の薬剤自販機。
【請求項5】
前記ボックスは層ごとにカッターを備え、前記カッターは、水平に配置されるとともに薬剤袋の搬送方向に対して垂直に配列されるスライドレールに沿って往復摺動し、ボックスの幅は層ごとに同一であり、前記処理モジュールは切断しようとする薬剤に対応するボックス情報を取得するとともに、制御モジュールによってカッターが前記ボックスに正対する出口まで移動するよう制御することを特徴とする請求項4に記載の薬剤自販機。
【請求項6】
更に、前記カッターには光学識別モジュールが設けられ、前記薬剤袋が第1搬送ベルトから第2搬送ベルトへ搬送される際に、前記光学識別モジュールは隣り合う薬剤袋の間の切取線を透過する光を検出し、前記光学識別モジュールは透過光を検出するたびに電気信号を出力して前記処理モジュールに伝送し、前記制御モジュールは記憶モジュール内の対応する薬剤使用情報を呼び出して処理モジュールに送信し、前記処理モジュールによりカウントされた信号数が薬剤使用情報内の薬剤用量に等しくなると、前記処理モジュールは確認情報を出力し、前記制御モジュールは、確認情報に基づいてカッターが薬剤袋の間の切取線を切断するよう制御し、切断された薬剤が前記第2搬送ベルトによって薬剤受取口まで搬送されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤自販機。
【請求項7】
前記処理モジュールはボックスから搬出される薬剤袋の数を判断し、第2搬送ベルトの長さが搬出される薬剤袋の長さの和よりも小さい場合、処理モジュールは、搬送ベルトの長さを分母としてカッターによる切断回数及び毎回切断する薬剤袋の数を算出することを特徴とする請求項6に記載の薬剤自販機。
【請求項8】
カッターにより薬剤袋が切断されるたびに第2搬送ベルトは薬剤袋を継続的に搬送し、薬剤が第2搬送ベルトから薬剤受取口に落下すると、前記第1搬送ベルトが薬剤の搬送を開始し、第1搬送ベルトにより搬送される薬剤袋の数が処理モジュールにより算出された毎回切断する薬剤袋の数に達すると、第1搬送ベルトは搬送を停止して、前記カッターが薬剤袋の切断を開始することを特徴とする請求項7に記載の薬剤自販機。
【請求項9】
精算モジュールを更に含み、前記記憶モジュールは更に薬剤の金額情報を記憶し、前記処理モジュールは、カード所有者の個人情報に対応する薬剤使用情報と、当該薬剤使用情報に対応する薬剤使用金額情報を取得するとともに、前記薬剤使用金額情報を前記精算モジュールに伝送し、前記精算モジュールは、通信モジュールを通じて前記金額情報と精算カード情報を合わせて遠隔精算センターに伝送し、前記遠隔精算センターで精算が無事完了すると確認情報が出力されるとともに、前記精算情報が前記薬剤自販機に伝送され、前記制御モジュールは、確認情報に基づいてボックス内の薬剤を搬出するよう制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の薬剤自販機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤自販機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、病気によって入院した場合の病院での薬購入手順としては、医者が診断後にカルテを作成し、診断に基づいて患者に薬が処方される。薬の処方にあたり、医者はまずコンピュータに処方薬の名称や各種薬の使用方法といった処方箋を入力する。この処方箋は印刷され、印刷された処方箋が患者や患者の家族に手渡される。患者や患者の家族が印刷された処方箋を精算窓口に持参して精算するのと同時に、薬局職員はネットワークを通じて医者による処方箋と精算情報を入手する。薬局職員は処方箋にしたがって調剤を開始し、患者に適時服用を喚起すべく各種薬剤の外袋に使用方法を添付する。そして、患者は精算済みの処方箋を薬局に持参して薬を受け取る。このように、手順全体が非常に煩雑なほか、大多数の病院では診断室、薬局、精算窓口が同一階に存在しない。そのため、患者は薬を受け取るために各階を行き来せねばならず、身体的な問題を抱える患者にとってはたいへんな負担となる。このほか、一度に数クール分の薬が処方された場合、例えば途中でより効果の高い別の薬に変更されたり、身体的な理由で服用に適さなくなったりと、服用中にこれらの薬を飲み続けられなくなることがある。この場合、薬が無駄になるばかりか、患者にとっては経済的な損失となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、診断、精算、薬受け取りの流れが患者にとって煩雑であり、患者自身の実情ではなく医者の処方箋によってしか薬を購入できないとの課題を解決するために、病院での患者による精算、薬受け取りの流れが簡略化され、且つ、患者自身の実情に応じて一度に購入する薬の量を選択可能な薬剤自販機を提供することを目的とする。本発明の具体的技術方案は以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
薬剤自販機であって、筐体、制御モジュール、処理モジュール、記憶モジュール、通信モジュール及びカードリーダーを含み、前記制御モジュール、処理モジュール、通信モジュール、記憶モジュール及びカードリーダーはいずれも前記筐体に設けられ、前記筐体は複数のボックスを含み、各ボックスは出口を備え、前記筐体の底部には薬剤受取口が設けられ、前記ボックスの出口と薬剤受取口は連通しており、前記ボックスの出口にはカッターが設けられ、同一サイズの独立した複数の薬剤袋によって同種の薬剤がボックスごとに保管され、独立した各薬剤袋内には1回服用分の最小薬量が包装されており、独立した薬剤袋は前後にそれぞれ連なっており、隣り合う薬剤袋の間に切取線が設けられ、前記通信モジュールは、ネットワーク側から伝送される患者の個人情報と、当該個人情報に対応する薬剤使用情報を受け付け、前記記憶モジュールは、患者の個人情報と、当該個人情報に対応する薬剤使用情報を記憶し、前記カードリーダーは、外部からの精算カード情報を取得して前記処理モジュールに伝送し、前記処理モジュールは、精算カード情報からカード所有者の個人情報を抽出して制御モジュールに伝送し、制御モジュールは、カード所有者の個人情報を記憶モジュールに記憶されている患者の個人情報と照合し、前記精算カード情報におけるカード所有者の個人情報を記憶モジュールから検索可能な場合、前記処理モジュールは当該カード所有者の個人情報に対応する薬剤使用情報を取得し、前記制御モジュールは、薬剤使用情報における薬剤に対応するボックス内の薬剤について搬出する薬剤袋の数を制御するとともに、連なっている薬剤袋をカッターが切取線で切断するよう制御する。
【0005】
更に、互いに連なる複数の薬剤袋は切取線で折り畳まれた後、水平に一列となって前記ボックス内に配列され、ボックスの出口には一列に配列され且つ水平に配置された2つの搬送ベルトが設けられ、前記カッターは2つの搬送ベルトの間に位置し、前記薬剤袋は第1搬送ベルトから第2搬送ベルトに搬送される際にカッターにより切断される。
【0006】
更に、前記カッターは上刃と下パッドを含み、上刃は薬剤袋の上方に位置し、下パッドは薬剤袋の下方に位置し、上刃と下パッドが互いに接触する際に薬剤袋が切取線で切断される。
【0007】
更に、前記複数のボックスは平行且つ横方向に配列されるとともに、配列方向が、薬剤袋の搬送方向に対して同一の水平面内で垂直となっている。
【0008】
更に、複数のボックスは複数層配列されており、層ごとに互いに平行なボックスが複数備えられる。
【0009】
更に、前記ボックスは層ごとにカッターを備え、前記カッターは、水平に配置されるとともに薬剤袋の搬送方向に対して垂直に配列されるスライドレールに沿って往復摺動し、ボックスの幅は層ごとに同一であり、前記処理モジュールは切断しようとする薬剤に対応するボックス情報を取得するとともに、制御モジュールによってカッターが前記ボックスに正対する出口まで移動するよう制御する。
【0010】
更に、前記カッターには光学識別モジュールが設けられ、前記薬剤袋が第1搬送ベルトから第2搬送ベルトへ搬送される際に、前記光学
識別モジュールは隣り合う薬剤袋の間の切取線を透過する光を検出し、前記光学識別モジュールは透過光を検出するたびに電気信号を出力して前記処理モジュールに伝送し、前記制御モジュールは記憶モジュール内の対応する薬剤使用情報を呼び出して処理モジュールに送信し、前記処理モジュールによりカウントされた信号数が薬剤使用情報内の薬剤用量に等しくなると、前記処理モジュールは確認情報を出力し、前記制御モジュールは、確認情報に基づいてカッターが薬剤袋の間の切取線を切断するよう制御し、切断された薬剤が前記第2搬送ベルトによって薬剤受取口まで搬送される。
【0011】
更に、前記処理モジュールはボックスから搬出される薬剤袋の数を判断し、第2搬送ベルトの長さが搬出される薬剤袋の長さの和よりも小さい場合、処理モジュールは、搬送ベルトの長さを分母としてカッターによる切断回数及び毎回切断する薬剤袋の数を算出する。
【0012】
更に、ボックスごとにモーターが2つずつ内蔵されている。第1搬送ベルトにより薬剤袋を搬送するよう、第1モーターは第1搬送ベルトに接続されている。第2搬送ベルトにより薬剤を搬送するよう、第2モーターは第2搬送ベルトに接続されている。カッターにより薬剤袋が切断されるたびに第2搬送ベルトは薬剤袋を継続的に搬送し、薬剤が第2搬送ベルトから薬剤受取口に落下すると、前記制御モジュールが前記第1モーターを回動させることで前記第1搬送ベルトが薬剤の搬送を開始し、第1搬送ベルトにより搬送される薬剤袋の数が処理モジュールにより算出された毎回切断する薬剤袋の数に達すると、前記制御モジュールが前記第1モーターの回動を停止させることで前記第1搬送ベルトは搬送を停止して、前記カッターが薬剤袋の切断を開始する。
【0013】
更に、精算モジュールを更に含み、前記記憶モジュールは更に薬剤の金額情報を記憶し、前記処理モジュールは、カード所有者の個人情報に対応する薬剤使用情報と、当該薬剤使用情報に対応する薬剤使用金額情報を取得するとともに、前記薬剤使用金額情報を前記精算モジュールに伝送し、前記精算モジュールは、通信モジュールを通じて前記金額情報と精算カード情報を合わせて遠隔精算センターに伝送し、精算センターで精算が無事完了すると確認情報が出力されるとともに、前記精算情報が前記薬剤自販機に伝送され、前記制御モジュールは、確認情報に基づいてボックス内の薬剤を搬出するよう制御する。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較して、本発明が提供する薬剤自販機は主として以下のような有益な効果を有する。即ち、制御モジュールがカード所有者の個人情報を記憶モジュールに記憶されている患者の個人情報と照合する。前記精算カード情報におけるカード所有者の個人情報を記憶モジュールから検索可能な場合、前記処理モジュールは当該カード所有者の個人情報に対応する薬剤使用情報を取得し、前記制御モジュールが前記薬剤使用情報に基づいて自動的に薬を搬出する。そのため、病院での処方箋に基づく薬購入の流れが簡易化されるとともに、処方箋の受け取り、精算、薬購入の流れが一本化される。よって、患者にとってより便利となり、患者の体力や時間、費用の節約になる。
【0015】
同一サイズの独立した複数の薬剤袋によって同種の薬剤がボックスごとに保管されており、独立した各薬剤袋には1回服用分の最小薬量が包装されている。よって、患者は自身の実情に合わせて薬の購入量を選択可能であり、従来のように一度に1クール以上の薬を購入する必要がなくなる。よって、服用途中であってもより効果の高い別の薬に変更することが可能となり、一度に大量の薬を購入することによる経済的損失が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施例にかかる薬剤自販機の内部構造を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例にかかる薬剤自販機を左側から見た断面構造図である。
【
図3】
図3は、実施例にかかる薬剤自販機を正面から見た構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下に図面と実施例を組み合わせて本発明につき更に詳細に説明する。なお、ここで記載する具体的実施例は本発明を説明するためのものにすぎず、本発明を限定する主旨ではないと解釈すべきである。
【0020】
本発明は、筐体1、制御モジュール、処理モジュール、記憶モジュール、通信モジュール、カードリーダー及び電気供給モジュールを含む薬剤自販機を提供する。前記制御モジュール、処理モジュール、通信モジュール、記憶モジュール、カードリーダー及び電気供給モジュールは、いずれも前記筐体1に設けられる。前記処理モジュール、通信モジュール、記憶モジュール、カードリーダー及び電気供給モジュールは、いずれも前記制御モジュールに接続される。前記電気供給モジュールは前記薬剤自販機に対し電気を供給する。
【0021】
前記筐体1は複数のボックス2を含む。複数の前記ボックス2は複数層配列され、層ごとに同一サイズで互いに平行なボックス2が複数備えられる。各ボックス2にはボックス番号が振られており、ボックス2ごとに同種の薬剤が保管されている。当該薬剤は同一サイズの独立した複数の薬剤袋10により包装されており、独立した各薬剤袋10内に1回服用分の最小薬量が包装されている。例えば、成人用量が2〜6粒の薬剤Aの場合、独立した各薬剤袋に包装される薬剤量は2粒、成人用量が1〜2粒の薬剤Bの場合、独立した各薬剤袋の薬剤量は1粒となる。独立した隣り合う薬剤袋10は前後に連なっている。即ち、互いに連なることで複数の薬剤袋10からなる薬剤ベルトを形成している。隣り合う薬剤袋10の間にはいずれも切取線が設けられており、互いに連なる複数の薬剤袋10が切取線で折り畳まれた後、水平に一列となって前記ボックス2内に配列されている。つまり、各薬剤袋10は直立してボックス2内に配置されている。各ボックス2の後端には薬補給口3が備えられ、ボックス2の薬剤がなくなった場合に新たな薬剤を補給するために用いられる。
【0022】
各ボックス2は出口11を備え、前記筐体1の底部には薬剤受取口12が設けられている。各前記ボックス2の出口11はいずれも薬剤受取口12と連通している。前記ボックス2の出口11には、カッターと、一列に配列され且つ水平に配置された2つの搬送ベルトが設けられている。2つの搬送ベルトはそれぞれ第1搬送ベルト4及び第2搬送ベルト5とされる。互いに連なる複数の薬剤袋10が切取線で折り畳まれた後に水平に配列される方向は、前記第1搬送ベルト4、第2搬送ベルト5による搬送方向と同一である。前記薬剤袋10は第1搬送ベルト4から第2搬送ベルト5まで搬送される。前記第1搬送ベルト4と前記第2搬送ベルト5の間隔はわずかであり、且つ、前記第1搬送ベルト4と前記第2搬送ベルト5の間隔は薬剤袋10の長さ1つ分よりも小さい。前記カッターは第1搬送ベルト4と第2搬送ベルト5の間に位置しており、上刃6と下パッド7を含む。前記上刃6は前記間隔の真上に位置し、前記下パッド7は前記上刃6の位置に対応するように前記間隔の真下に設けられている。前記薬剤袋10が前記第1搬送ベルトから前記第2搬送ベルトに搬送される際、前記上刃6が薬剤袋10の上方に位置し、下パッド7が薬剤袋10の下方に位置する。上刃6と下パッド7が互いに接触すると、薬剤袋10は切取線で切断される。更に、前記ボックス2は層ごとに上刃6を1つずつ有している。且つ、ボックス2には層ごとにスライドレール8が設けられており、前記上刃6は前記スライドレール8に設けられている。前記上刃6は前記スライドレール8の軌道に沿って往復摺動する。前記スライドレール8の摺動方向は、前記搬送ベルトによる搬送方向に対し垂直とされる。
【0023】
更に、前記筐体1の底部には、前記筐体1を移動させて相応の位置に配置可能とする摺動ローラが設けられている。
【0024】
前記通信モジュールは、ネットワーク側から伝送される患者の個人情報及び当該個人情報に対応する薬剤使用情報を受け付ける。前記患者の個人情報には、患者の氏名、身分証番号、性別等の情報が含まれる。また、前記薬剤使用情報には、薬名情報、薬剤の1回用量情報、薬剤の1日服用回数(例えば、1日あたりの薬剤用量情報)、及び薬剤用量情報に対応する金額情報が含まれる。前記記憶モジュールは、患者の個人情報及び当該個人情報に対応する薬剤使用情報、ボックス番号情報及び前記ボックス番号情報に対応する薬名情報を記憶する。
【0025】
前記カードリーダーは、外部からの精算カード情報を取得して前記処理モジュールに伝送する。前記処理モジュールは精算カード情報からカード所有者の個人情報を抽出し、制御モジュールに伝送する。前記制御モジュールは、カード所有者の個人情報を記憶モジュールに記憶されている患者の個人情報と照合する。前記精算カード情報におけるカード所有者の個人情報を記憶モジュールから検索可能な場合、前記処理モジュールは当該カード所有者の個人情報に対応する薬剤使用情報を取得し、前記制御モジュールに伝送する。前記制御モジュールは、薬剤使用情報内の薬名情報と前記薬名に対応するボックス番号情報を取得し、前記ボックス番号情報に基づいて、カッターが前記ボックス2に正対する出口11まで移動するよう制御する。
【0026】
前記カッターには光学識別モジュールが設けられている。前記光学識別モジュールは前記処理モジュールに接続されており、前記薬剤袋10が第1搬送ベルト4から第2搬送ベルト5へ搬送される際に、隣り合う薬剤袋10の間の切取線を透過する光を検出する。前記光学識別モジュールは透過光を検出するたびに電気信号を出力し、前記電気信号を前記処理モジュールに伝送する。一方、前記制御モジュールは記憶モジュール内の対応する薬剤使用情報を呼び出して処理モジュールに送信し、処理モジュールによりカウントされた信号数が薬剤使用情報内の薬剤用量に等しくなると、前記処理モジュールは確認情報を出力する。前記制御モジュールと前記カッターの制御回路は電気的に接続されており、前記制御モジュールは確認情報に基づいて、カッターが薬剤袋10間の切取線を切断するよう制御する。切断された薬剤は前記第2搬送ベルト5によって薬剤受取口12へと搬送される。
【0027】
更に、受付モジュールを含む。前記受付モジュールは、例えば薬剤Bについて、1回用量が1袋、3回用量が3袋というように、外部から入力された服薬回数情報を受け付ける。前記受付モジュールは受け付けた外部からの服薬回数情報を前記処理モジュールに伝送し、前記処理モジュールが薬について薬剤袋10の数を算出する。前記処理モジュールが算出した薬剤袋10の数とカウントされた信号数が等しくなると、前記処理モジュールは確認情報を出力する。前記制御モジュールは確認情報に基づいて、カッターが薬剤袋10間の切取線を切断するよう制御する。切断された薬剤は前記第2搬送ベルト5によって薬剤受取口12へと搬送される。
【0028】
更に、前記処理モジュールは、搬出される薬剤袋10の数と各薬剤袋10の長さ(各薬剤袋10は同一サイズのため、薬剤袋10の長さは固定値となる)から、搬出される薬剤袋10の全長を算出する。例えば、搬出される薬剤袋10の数が7袋、各薬剤袋10の長さが2cmの場合、薬剤袋10の全長は14cmとなる。前記処理モジュールは、薬剤袋10の全長を第2搬送ベルト5の長さと比較処理する。第2搬送ベルト5の長さが搬出される薬剤袋の長さの和よりも小さい場合(例えば、前記第2搬送ベルト5の長さが6cm、薬剤袋10の全長が14cmの場合)、処理モジュールは搬送ベルトの長さを分母としてカッターによる切断回数及び毎回切断する薬剤袋の数を算出する。例えば、前記処理モジュールは、搬送ベルトの長さ6cmを分母としてカッターによる切断回数及び毎回切断する薬剤袋の数を算出する。即ち、全長を第2搬送ベルト5の長さで割ることで商と余りを算出し、商の値に1を加えた値がカッターによる切断回数となる。切断回数をNとすると、1回目に切断される薬剤袋の数とN−1回目に切断される薬剤袋の数は、いずれも前記第2搬送ベルト5における薬剤袋10の最多収容数となる。なお、この例の場合、前記第2搬送ベルト5における薬剤袋10の最多収容数は3袋である。また、N回目に切断される薬剤袋数は残りの値となる。例えば、14cmを6cmで割ると、商は2、余りは2となるため、前記カッターによる切断回数は3回、1回目に切断される袋の数は3袋、2回目に切断される袋の数は3袋、3回目に切断される袋の数は1袋となる。薬剤袋の全長が前記第2搬送ベルトの長さよりも大きいと、前記薬剤袋が第2搬送ベルトから落下するときに、第2搬送ベルトを離れた薬剤袋の重力によって第2搬送ベルト方向への薬剤袋ベルト全体の移動が加速する結果、薬剤袋の移動速度が加速してしまう。よって、この場合、前記処理モジュールは搬送ベルトの長さを分母としてカッターによる切断回数及び毎回切断する薬剤袋の数を算出する。これにより、カッターが薬剤袋間の切取線を切断する際のずれが回避されるという有益な技術的効果が得られる。
【0029】
更に、カッターにより薬剤袋10が切断されるたびに、第2搬送ベルトは薬剤袋10を継続的に搬送する。薬剤が第2搬送ベルト5から薬剤受取口12に落下すると、前記第1搬送ベルト4が薬剤の搬送を開始する。そして、第1搬送ベルト4により搬送される薬剤袋10の数が処理モジュールにより算出された毎回切断する薬剤袋の数に達すると、第1搬送ベルト4は搬送を停止して、前記カッターが薬剤袋10の切断を開始する。
【0030】
更に、精算モジュールを含む。前記記憶モジュールには薬剤の金額情報についても記憶される。前記カードリーダーは外部からの精算カード情報を取得するが、前記精算カードは社会保険証であってもよいし、銀行カードであってもよい。前記処理モジュールは、前記精算カード情報におけるカード所有者の個人情報と、前記カード所有者の個人情報に対応する薬剤使用情報、及び当該薬剤使用情報に対応する薬剤使用金額情報を取得する。例えば、薬剤Bの1回用量情報をDとすると、前記Dに対応する金額情報Fを取得する。受付モジュールが外部から入力された用量情報として2Dを受け付けると、前記処理モジュールにより対応する金額情報として2Fが算出される。前記処理モジュールは、前記薬剤使用金額情報を前記精算モジュールに伝送する。前記精算モジュールは、通信モジュールを通じて前記金額情報と精算カード情報を合わせて遠隔精算センターに伝送する。
前記遠隔精算センターで精算が無事完了すると確認情報が出力され、前記精算情報が前記薬剤自販機に伝送される。前記制御モジュールは、確認情報に基づいてボックス2内の薬剤を搬出するよう制御する。このように、処方箋の受け取り、薬の精算、薬の受け渡しの流れが一本化により簡易化されるため、病院での管理が容易となり、管理コストや人件費の節約となるほか、患者にとっては体力や時間の大幅な節約になるという有益な技術的効果が得られる。
【0031】
なお、以上の実施例は本発明の技術方案を説明するためのものであって、限定的意図はない。また、好ましい実施例を参照して本発明につき詳細に説明したが、当業者であれば本発明の技術方案につき修正又は等価の置き換えが可能であり、本発明の技術方案の主旨及び範囲を逸脱しない限り、いずれも本発明の請求の範囲に包含されるものと解釈すべきである。