(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6790320
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】レンズ装置、撮像装置、及び移動体
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20201116BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20201116BHJP
G02B 7/08 20060101ALI20201116BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20201116BHJP
G02B 13/04 20060101ALN20201116BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G03B15/00 U
G02B7/02 H
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
G02B7/08 B
G02B5/00 B
!G02B13/04 D
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-188946(P2019-188946)
(22)【出願日】2019年10月15日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】城野 方博
(72)【発明者】
【氏名】徐 永旺
【審査官】
三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−304992(JP,A)
【文献】
特開2010−175713(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第108717224(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 5/00
G02B 7/08
G03B 15/00
G02B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズより像側に配置され、前記レンズから出射される一部の光を遮光する環状の遮光部材と、
前記レンズ及び前記遮光部材を保持する保持枠と
を備え、
前記遮光部材は、前記レンズから出射される一部の光を通過させる第1開口と、前記第1開口を取り囲む第1環状部分と、前記第1環状部分を取り囲む第2環状部分とを有し、
前記保持枠は、
前記第2環状部分の物体側の面に接する環状面と、
前記第2環状部分の物体側の面に対向する前記環状面の一部に、前記レンズと前記保持枠とを接着する接着剤を受け入れる少なくとも1つの凹部とを有し、
前記第2環状部分は、前記第1環状部分より厚い、レンズ装置。
【請求項2】
前記保持枠は、前記環状面の外縁から像側に延びる環状の延長部分を有する、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記第2環状部分の外径は、前記環状面の外径以下である、請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記保持枠は、前記延長部分に他の環状面をさらに有し、
前記レンズ装置は、前記他の環状面に配置され、前記レンズから出射される一部の光を遮光する他の環状の遮光部材をさらに有する、請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、
前記第1開口を有し、前記第1環状部分と、前記第2環状部分の一部とを構成する第1シートと、
前記第1シートに重ねられ、前記第1開口より径が大きい第2開口を有し、前記第2環状部分の他の一部を構成する第2シートとを有する、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記第2シートは、前記第1シートより厚い、請求項5に記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記遮光部材は、
前記第1シートと前記第2シートとを接着する接着層をさらに有する、請求項5に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記保持枠は、前記第2環状部分の物体側の面に対向する前記環状面の一部に、放射状に複数の前記凹部を有する、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項9】
物体側より順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
開口絞りと、
前記レンズを含み、正の屈折力を有する第2レンズ群と、
無限遠物体から近距離物体への合焦時に光軸方向に沿って移動する正の屈折力を有する第3レンズ群とを備える、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記第2レンズ群の径は、前記第1レンズ群及び前記第3レンズ群の径より小さい、請求項9に記載のレンズ装置。
【請求項11】
前記第2レンズ群の半径方向の外側に配置され、前記第3レンズ群を光軸に沿って移動させる第1駆動部をさらに備える、請求項10に記載のレンズ装置。
【請求項12】
前記第2レンズ群の半径方向の外側に配置され、前記開口絞りを駆動させる第2駆動部をさらに備える、請求項11に記載のレンズ装置。
【請求項13】
前記第1レンズ群は、
最も物体側に配置された物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、
前記開口絞りに最も近くに配置された第1接合レンズと
を有し、
前記第2レンズ群は、前記開口絞りに最も近くに配置された第2接合レンズと、前記第2接合レンズより像側に配置される前記レンズとを有し、
前記第3レンズ群は、単レンズを有する、請求項9に記載のレンズ装置。
【請求項14】
前記保持枠は、前記第2接合レンズをさらに保持する、請求項13に記載のレンズ装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1つに記載のレンズ装置と、
前記レンズ装置を介して結像された像を撮像するイメージセンサと
を備える撮像装置。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像装置を備えて移動する移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ装置、撮像装置、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、布帛で補強された遮光性フィルムが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2009−3315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遮光部材が配置される場所によっては、遮光部材が変形して、遮光部材の遮光性に影響を与える場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係るレンズ装置は、レンズを備えてよい。レンズ装置は、レンズより像側に配置され、レンズから出射される一部の光を遮光する環状の遮光部材を備えてよい。レンズ装置は、レンズ及び遮光部材を保持する保持枠を備えてよい。遮光部材は、レンズから出射される一部の光を通過させる第1開口と、第1開口を取り囲む第1環状部分と、第1環状部分を取り囲む第2環状部分とを有してよい。保持枠は、第2環状部分の物体側の面に接する環状面と、第2環状部分の物体側の面に対向する環状面の一部に、レンズと保持枠とを接着する接着剤を受け入れる少なくとも1つの凹部とを有してよい。第2環状部分は、第1環状部分より厚くてよい。
【0005】
保持枠は、環状面の外縁から像側に延びる環状の延長部分を有してよい。
【0006】
第2環状部分の外径は、環状面の外径以下でよい。
【0007】
保持枠は、延長部分に他の環状面をさらに有してよい。レンズ装置は、他の環状面に配置され、レンズから出射される一部の光を遮光する他の環状の遮光部材をさらに有してよい。
【0008】
遮光部材は、第1開口を有し、第1環状部分と、第2環状部分の一部とを構成する第1シートを有してよい。遮光部材は、第1シートに重ねられ、第1開口より径が大きい第2開口を有し、第2環状部分の他の一部を構成する第2シートを有してよい。
【0009】
第2シートは、第1シートより厚くてよい。
【0010】
遮光部材は、第1シートと第2シートとを接着する接着層をさらに有してよい。
【0011】
保持枠は、第2環状部分の物体側の面に対向する環状面の一部に、放射状に複数の凹部を有してよい。
【0012】
レンズ装置は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、開口絞りと、レンズを含み、正の屈折力を有する第2レンズ群と、無限遠物体から近距離物体への合焦時に光軸方向に沿って移動する正の屈折力を有する第3レンズ群とを備えてよい。
【0013】
第2レンズ群の径は、第1レンズ群及び第3レンズ群の径より小さくてよい。
【0014】
レンズ装置は、第2レンズ群の半径方向の外側に配置され、第3レンズ群を光軸に沿って移動させる第1駆動部をさらに備えてよい。
【0015】
レンズ装置は、第2レンズ群の半径方向の外側に配置され、開口絞りを駆動させる第2駆動部をさらに備えてよい。
【0016】
第1レンズ群は、最も物体側に配置された物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、開口絞りに最も近くに配置された第1接合レンズとを有してよい。第2レンズ群は、開口絞りに最も近くに配置された第2接合レンズと、第2接合レンズより像側に配置されるレンズとを有してよい。第3レンズ群は、単レンズを有してよい。
【0017】
保持枠は、第2接合レンズをさらに保持してよい。
【0018】
本発明の一態様に係る撮像装置は、上記レンズ装置と、レンズ装置を介して結像された像を撮像するイメージセンサとを備えてよい。
【0019】
本発明の一態様に係る移動体は、上記撮像装置を備えて移動する移動体でよい。
【0020】
本発明の一態様によれば、遮光部材が変形して、遮光部材の遮光性に影響を与えることを防止できる。
【0021】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】無人航空機及び遠隔操作装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】無人航空機の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】レンズ部が備えるレンズ系の構成の一例を示す図である。
【
図6】撮像装置の光軸に沿った方向の断面図を示す図である。
【
図7】保持枠からベース枠を取り外した状態の撮像装置の背面側から見た図である。
【
図8】接着剤を介して保持枠とレンズとが接着される部分を拡大した断面図である。
【
図9】保持枠の遮光部材が配置される環状面の部分を拡大した断面図である。
【
図10】遮光部材と、接着剤を介して保持枠とレンズとが接着される部分とを拡大した断面図である。
【
図11】接着剤を介して保持枠とレンズとが接着される部分を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0025】
図1は、無人航空機(UAV)10及び遠隔操作装置300の外観の一例を示す。UAV10は、UAV本体20、ジンバル50、複数の撮像装置60、及び撮像装置100を備える。ジンバル50、及び撮像装置100は、撮像システムの一例である。UAV10は、移動体とは、空中を移動する飛行体、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。空中を移動する飛行体とは、UAVの他、空中を移動する他の航空機、飛行船、ヘリコプター等を含む概念である。
【0026】
UAV本体20は、複数の回転翼を備える。複数の回転翼は、推進部の一例である。UAV本体20は、複数の回転翼の回転を制御することでUAV10を飛行させる。UAV本体20は、例えば、4つの回転翼を用いてUAV10を飛行させる。回転翼の数は、4つには限定されない。また、UAV10は、回転翼を有さない固定翼機でもよい。
【0027】
撮像装置100は、所望の撮像範囲に含まれる被写体を撮像する撮像用のカメラである。ジンバル50は、撮像装置100を回転可能に支持する。ジンバル50は、支持機構の一例である。例えば、ジンバル50は、撮像装置100を、アクチュエータを用いてピッチ軸で回転可能に支持する。ジンバル50は、撮像装置100を、アクチュエータを用いて更にロール軸及びヨー軸のそれぞれを中心に回転可能に支持する。ジンバル50は、ヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸の少なくとも1つを中心に撮像装置100を回転させることで、撮像装置100の姿勢を変更してよい。
【0028】
複数の撮像装置60は、UAV10の飛行を制御するためにUAV10の周囲を撮像するセンシング用のカメラである。2つの撮像装置60が、UAV10の機首である正面に設けられてよい。更に他の2つの撮像装置60が、UAV10の底面に設けられてよい。正面側の2つの撮像装置60はペアとなり、いわゆるステレオカメラとして機能してよい。底面側の2つの撮像装置60もペアとなり、ステレオカメラとして機能してよい。複数の撮像装置60により撮像された画像に基づいて、UAV10の周囲の3次元空間データが生成されてよい。UAV10が備える撮像装置60の数は4つには限定されない。UAV10は、少なくとも1つの撮像装置60を備えていればよい。UAV10は、UAV10の機首、機尾、側面、底面、及び天井面のそれぞれに少なくとも1つの撮像装置60を備えてもよい。撮像装置60で設定できる画角は、撮像装置100で設定できる画角より広くてよい。撮像装置60は、単焦点レンズまたは魚眼レンズを有してもよい。
【0029】
遠隔操作装置300は、UAV10と通信して、UAV10を遠隔操作する。遠隔操作装置300は、UAV10と無線で通信してよい。遠隔操作装置300は、UAV10に上昇、下降、加速、減速、前進、後進、回転などのUAV10の移動に関する各種命令を示す指示情報を送信する。指示情報は、例えば、UAV10の高度を上昇させる指示情報を含む。指示情報は、UAV10が位置すべき高度を示してよい。UAV10は、遠隔操作装置300から受信した指示情報により示される高度に位置するように移動する。指示情報は、UAV10を上昇させる上昇命令を含んでよい。UAV10は、上昇命令を受け付けている間、上昇する。UAV10は、上昇命令を受け付けても、UAV10の高度が上限高度に達している場合には、上昇を制限してよい。
【0030】
図2は、UAV10の機能ブロックの一例を示す。UAV10は、UAV制御部30、メモリ37、通信インタフェース36、推進部40、GPS受信機41、慣性計測装置42、磁気コンパス43、気圧高度計44、温度センサ45、湿度センサ46、ジンバル50、撮像装置60、及び撮像装置100を備える。
【0031】
通信インタフェース36は、遠隔操作装置300などの他の装置と通信する。通信インタフェース36は、遠隔操作装置300からUAV制御部30に対する各種の命令を含む指示情報を受信してよい。メモリ37は、UAV制御部30が、推進部40、GPS受信機41、慣性計測装置(IMU)42、磁気コンパス43、気圧高度計44、温度センサ45、湿度センサ46、ジンバル50、撮像装置60、及び撮像装置100を制御するのに必要なプログラム等を格納する。メモリ37は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、USBメモリ、及びソリッドステートドライブ(SSD)等のフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ37は、UAV本体20の内部に設けられてよい。UAV本体20から取り外し可能に設けられてよい。
【0032】
UAV制御部30は、メモリ37に格納されたプログラムに従ってUAV10の飛行及び撮像を制御する。UAV制御部30は、CPUまたはMPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成されてよい。UAV制御部30は、通信インタフェース36を介して遠隔操作装置300から受信した命令に従って、UAV10の飛行及び撮像を制御する。推進部40は、UAV10を推進させる。推進部40は、複数の回転翼と、複数の回転翼を回転させる複数の駆動モータとを有する。推進部40は、UAV制御部30からの命令に従って複数の駆動モータを介して複数の回転翼を回転させて、UAV10を飛行させる。
【0033】
GPS受信機41は、複数のGPS衛星から発信された時刻を示す複数の信号を受信する。GPS受信機41は、受信された複数の信号に基づいてGPS受信機41の位置(緯度及び経度)、つまりUAV10の位置(緯度及び経度)を算出する。IMU42は、UAV10の姿勢を検出する。IMU42は、UAV10の姿勢として、UAV10の前後、左右、及び上下の3軸方向の加速度と、ピッチ、ロール、及びヨーの3軸方向の角速度とを検出する。磁気コンパス43は、UAV10の機首の方位を検出する。気圧高度計44は、UAV10が飛行する高度を検出する。気圧高度計44は、UAV10の周囲の気圧を検出し、検出された気圧を高度に換算して、高度を検出する。温度センサ45は、UAV10の周囲の温度を検出する。湿度センサ46は、UAV10の周囲の湿度を検出する。
【0034】
撮像装置100は、撮像部102及びレンズ部200を備える。レンズ部200は、レンズ装置の一例である。撮像部102は、イメージセンサ120、撮像制御部110、メモリ130、及び加速度センサ140を有する。イメージセンサ120は、CCDまたはCMOSにより構成されてよい。イメージセンサ120は、第1レンズ群410、第2レンズ群420、及び第3レンズ群430を介して結像された光学像を撮像し、撮像された画像を撮像制御部110に出力する。撮像制御部110は、CPUまたはMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。撮像制御部110は、UAV制御部30からの撮像装置100の動作命令に応じて、撮像装置100を制御してよい。撮像制御部110は、第1制御部及び第2制御部の一例である。メモリ130は、コンピュータ可読可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、USBメモリ、及びソリッドステートドライブ(SSD)などのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ130は、撮像制御部110がイメージセンサ120などを制御するのに必要なプログラム等を格納する。メモリ130は、撮像装置100の筐体の内部に設けられてよい。メモリ130は、撮像装置100の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0035】
加速度センサ140は、撮像装置100の前後、左右、及び上下の3軸方向の加速度を検出する。撮像制御部110は、撮像装置100の前後、左右、及び上下の3軸方向の加速度を示す情報を、撮像装置100の姿勢状態を示す姿勢情報として加速度センサ140から取得する。
【0036】
レンズ部200は、第1レンズ群410、第2レンズ群420、及び第3レンズ群430を備える。レンズ部200は、レンズ駆動部214、レンズ制御部220、絞り駆動部240、及び絞り機構242をさらに備える。第1レンズ群410、第2レンズ群420、及び第3レンズ群430の少なくとも一部または全部は、光軸に沿って移動可能に配置されてよい。
【0037】
レンズ部200は、インナーフォーカス式の固定焦点レンズでよい。レンズ部200は、撮像部102に対して着脱可能に設けられる交換レンズでよい。レンズ駆動部214は、カム環などの機構部材を介して、第3レンズ群430を光軸に沿って移動させてよい。レンズ駆動部214は、アクチュエータを含んでよい。アクチュエータは、ステッピングモータを含んでよい。
【0038】
レンズ制御部220は、撮像部102からのレンズ制御命令に従って、レンズ駆動部214を駆動して、第3レンズ群430を光軸方向に沿って移動させてよい。レンズ制御命令は、例えば、フォーカス制御命令である。
【0039】
絞り機構242は、イメージセンサ120に入射される光の量を調整する。絞り機構242は、少なくとも一枚の羽部材を含んでよい。絞り駆動部240は、アクチュエータを含んでよい。アクチュエータは、電磁アクチュエータでよい。電磁アクチュエータは、電磁石、またはソレノイドでよい。絞り駆動部240は、レンズ制御部220からの指令を受けて、アクチュエータを駆動して、複数の羽部材の重なり度合いを調整して、絞り開口の大きさを調整してよい。
【0040】
レンズ部200は、メモリ222をさらに有する。レンズ制御部220は、撮像部102からのレンズ動作命令に応じてレンズ駆動部214を介して、第3レンズ群430の光軸方向への移動を制御する。
【0041】
メモリ222は、レンズ駆動部214を介して移動する第3レンズ群430の制御値を記憶する。メモリ222は、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。
【0042】
なお、本実施形態では、第3レンズ群430のみが光軸方向に沿って移動する例について説明する。しかし、第1レンズ群410及び第2レンズ群420の少なくとも一方が光軸方向に沿って移動してもよい。
【0043】
図3は、レンズ部200が備えるレンズ系の構成の一例を示す。レンズ部200が備えるレンズ系は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群410と、絞り機構242と、正の屈折力を有する第2レンズ群420と、無限遠物体から近距離物体への合焦時に光軸方向に沿って移動する正の屈折力を有する第3レンズ群430とを備える。第1レンズ群410は、最も物体側に配置された物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、絞り機構242に最も近くに配置された第1接合レンズCL1とを有する。第2レンズ群420は、絞り機構242に最も近くに配置された第2接合レンズCL2を有する。第3レンズ群430は、単レンズL31を有する。
【0044】
第1レンズ群410は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11、レンズL12、絞り機構242に最も近くに配置された第1接合レンズCL1から構成される。第2レンズ群420は、物体側から順に、絞り機構242に最も近くに配置された第2接合レンズCL2、レンズL21から構成される。レンズL21は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。レンズL21は、レンズ装置が備える「レンズ」の一例である。像側とは、撮像装置100の基準軸である光軸に沿ってイメージセンサ120の像面側であり、物体側とは光軸に沿ってイメージセンサ120側とは反対側の被写体の光が光学系に入射する側のことである。
【0045】
第3レンズ群430は、レンズL31の単レンズから構成される。第1接合レンズCL1は、物体側から順に正レンズCL1pと負レンズCL1nとから構成される。正レンズCL1pと負レンズCL1nとは接合されている。第2接合レンズCL2は、物体側から順に負レンズCL2nと正レンズCL2pとから構成される。負レンズCL2nと正レンズCL2pとは接合されている。
【0046】
このように構成されたレンズ系において、第2レンズ群420の径は、第1レンズ群410及び第3レンズ群430の径より小さい。第2レンズ群420の半径方向の外側のスペースに、第3レンズ群430を駆動させるレンズ駆動部214及び絞り機構242を駆動させる絞り駆動部240が配置される。これにより、スペースを有効的に使用することで、レンズ部200を小型化できる。
【0047】
図4は、撮像装置100を正面から見た外観斜視図である。
図5は、撮像装置100を背面から見た外観斜視図である。
【0048】
撮像装置100は、レンズ系を収容する外筒500と、外筒500を保持する保持枠502と、保持枠502を介してレンズ系を支持する支持枠503と、支持枠503を保持するベース枠510と、ベース枠510の背面に設けられる基板150とを備える。
【0049】
図6は、撮像装置100の光軸に沿った方向の断面図を示す。外筒500は、第1レンズ群410、第2レンズ群420、及び第3レンズ群430を収容する。保持枠501は、第1レンズ群410を保持する。保持枠501は、外筒500に固定される。保持枠502は、第2レンズ群420を保持する。絞り機構242は、保持枠502に固定される。保持枠504は、第3レンズ群430を保持する。保持枠504は、レンズ駆動部214を介して光軸方向に移動可能に、保持枠502に支持される。保持枠502は、ネジ515を介して支持枠503に固定される。支持枠503は、外筒500、保持枠501、保持枠502、及び保持枠504を介して、第1レンズ群410、第2レンズ群420、及び第3レンズ群430を支持する。なお、支持枠503及びベース枠510は、一例に過ぎない。少なくとも1つのレンズを直接的または間接的に支持する支持枠、及び支持枠の傾きを調整可能に支持枠を保持するベース枠であれば、他の構造でよい。
【0050】
絞り駆動部240及びレンズ駆動部214は、保持枠502の半径方向の外側に配置される。基板150は、イメージセンサ120を保持する。絞り駆動部240及びレンズ駆動部214は、保持枠502の第2レンズ群420の保持部分の外周の外側に配置される。すなわち、保持枠502は、絞り駆動部240及びレンズ駆動部214と第2レンズ群420の間に設けられる。基基板150は、ベース枠510に固定される。
【0051】
第2レンズ群420を構成するレンズL21の像側には、レンズL21から出射される一部の光を遮光する環状の遮光部材550が配置される。保持枠502は、遮光部材550を保持する。保持枠502は、遮光部材550が配置される環状面512を内壁に有する。環状面512は、保持枠502の内壁面に形成される段差でよい。
【0052】
図7は、保持枠502からベース枠510を取り外した状態の撮像装置100の背面側から見た図である。遮光部材550は、レンズL21から出射される一部の光を通過させる開口5501と、開口5501を取り囲む第1環状部分5502と、第1環状部分5502を取り囲む第2環状部分5503とを有する。第2環状部分5503の少なくとも一部は、保持枠502の環状面512上に配置される。開口5501は、第1開口の一例である。
【0053】
保持枠502は、第2環状部分5503の物体側の面に対向する環状面512の一部に、レンズL21と保持枠502とを接着する接着剤を受け入れる少なくとも1つの凹部514をさらに有する。3つの凹部514が、放射状に、環状面512に形成されてよい。凹部514には、接着剤が充填される。凹部514内に充填された接着剤により、レンズL21が、保持枠502に接着される。
【0054】
第2環状部分5503が配置される環状面512に、凹部514が存在することで、第2環状部分5503の凹部514に対応する面が、保持枠502に支持されない状態になる。保持枠502の外周側には、絞り駆動部240及びレンズ駆動部214が配置されている。すなわち、遮光部材550の周囲には、絞り駆動部240及びレンズ駆動部214が配置されている。絞り駆動部240及びレンズ駆動部214は、アクチュエータを含み、静電気または振動が発生する可能性がある。このような静電気または振動により、遮光部材550の保持枠502に支持されていない部分が撓む可能性がある。遮光部材550が撓むことで、遮光部材550の遮光性に影響を与え、レンズ部200の光学性能に影響を与える可能性がある。
【0055】
図8は、接着剤560を介して保持枠502とレンズL21とが接着される部分を拡大した断面図である。遮光部材700は、一枚の環状の遮光シート701と、保持枠502の環状面512に接着させるための接着層702とにより構成される。このような遮光部材700によれば、遮光部材700の凹部514に対応する部分710が、保持枠502に支持されていない。そのため、遮光部材700が、アクチュエータの静電気または振動により、撓む可能性がある。
【0056】
そこで、本実施形態では、少なくとも一部が環状面512に配置される第2環状部分5503を、第1環状部分5502より厚くする。第2環状部分5503を厚くすることで、第2環状部分5503の凹部514に対応する部分が撓むことを防止できる。また、第1環状部分5502が薄い状態を維持することで、第1環状部分5502の光軸側の縁部分で、レンズL21から出射される一部の光が反射することを防止できる。
【0057】
図9は、本実施形態に係る保持枠502の遮光部材550が配置される環状面512の部分を拡大した断面図である。
図10は、本実施形態に係る遮光部材550と、接着剤560を介して保持枠502とレンズL21とが接着される部分とを拡大した断面図である。
【0058】
遮光部材550は、第1シート552と、第2シート554とを有する。第1シート552は、開口5501を有し、第1環状部分5502と、第2環状部分5503の一部とを構成する。第2シート554は、第1シート552に重ねられ、開口5501より径が大きい開口5504を有し、第2環状部分5503の他の一部を構成する。開口5504は、第2開口の一例である。
【0059】
第2シート554は、第1シート552より厚くてよい。第1シート552及び第2シート554は、それぞれポリエチレンテレフタラート(PET)で構成されてよい。遮光部材550は、第1シート552を保持枠502の環状面512に接着するための環状の接着層551をさらに有する。また、遮光部材550は、第1シート552と第2シート554とを接着するための環状の接着層553をさらに有する。
【0060】
第2シート554は、第1シート552の撓みを防止する第1シート552の補強板として機能する。遮光部材550が、第1シート552に加えて、第2シート554を備えることで、遮光部材550が補強される。
図10に示すように、遮光部材550の第1シート552及び第2シート554が存在する第2環状部分5503は、第1シート552のみが存在する第1環状部分5502よりも厚い。第2環状部分5503の光軸方向の厚さが、第1環状部分5502の光軸方向の厚さより厚い。これにより、環状面512に凹部514が存在することで、遮光部材550の一部が、環状面512に支持されていなくても、遮光部材550が、レンズ駆動部214または絞り駆動部240で発生する静電気または振動で、撓むことを防止できる。よって、本実施形態によれば、遮光部材550の遮光性を向上させることができる。
【0061】
保持枠502は、環状面512の外縁5121から像側に延びる環状の延長部分5021を有する。延長部分5021は、
図6に示すように、レンズL21から出射される一部の光を遮光する他の環状の遮光部材570を配置するための環状面5022を有する。環状面5022は、環状面512より像側の保持枠502の内壁に設けられてよい。
【0062】
第2環状部分5503の外径5510は、環状面512の外縁5121である環状面512の外径以下でよい。
【0063】
図11は、接着剤560を介して保持枠502とレンズL21とが接着される部分を拡大した断面図である。第2シート554の内径は、第1シート552の内径より大きくてよい。すなわち、光学系の最大有効光線610から第1シート552の内径までの距離aより、最大有効光線610から第2シート554の内径までの距離bが大きくてよい。これにより、第2シート554が、最大有効光線610のカット範囲を妨げない。第2シート554を加えることで遮光部材550の遮光性に影響を与えることを防止できる。
【0064】
遮光部材550を安定して配置できるようにするために、環状面512の半径方向の幅を大きくすることが考えられる。環状面512の幅を大きくするためには、延長部分5021の肉厚を薄くする必要がある。しかし、延長部分5021の強度を確保するために、延長部分5021もある程度の肉厚を確保する必要がある。したがって、環状面512の幅を大きくするには限界がある。このような構造上の制限がある場合でも、本実施形態によれば、第2シート554により第2環状部分5503を第1環状部分5502より厚くすることで、遮光部材550の補強できる。よって、第2環状部分5503の凹部514に対応する部分が撓むことを防止できる。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0066】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0067】
10 UAV
20 UAV本体
30 UAV制御部
36 通信インタフェース
37 メモリ
40 推進部
41 GPS受信機
42 慣性計測装置
43 磁気コンパス
44 気圧高度計
45 温度センサ
46 湿度センサ
50 ジンバル
60 撮像装置
100 撮像装置
102 撮像部
110 撮像制御部
120 イメージセンサ
130 メモリ
140 加速度センサ
150 基板
200 レンズ部
214 レンズ駆動部
220 レンズ制御部
222 メモリ
240 絞り駆動部
242 絞り機構
300 遠隔操作装置
410 第1レンズ群
420 第2レンズ群
430 第3レンズ群
500 外筒
501 保持枠
502 保持枠
503 支持枠
504 保持枠
510 ベース枠
512 環状面
514 凹部
515 ネジ
550 遮光部材
551,553 接着層
552 第1シート
554 第2シート
560 接着剤
570 遮光部材
610 最大有効光線
700 遮光部材
701 遮光シート
702 接着層
5021 延長部分
5022 環状面
5121 外縁
5501,5504 開口
5502 第1環状部分
5503 第2環状部分
【要約】
【課題】遮光部材が配置される場所によっては、遮光部材が変形して、遮光部材の遮光性に影響を与える場合がある。
【解決手段】レンズ装置は、レンズと、レンズより像側に配置され、レンズから出射される一部の光を遮光する環状の遮光部材と、レンズ及び遮光部材を保持する保持枠を備えてよい。遮光部材は、レンズから出射される一部の光を通過させる第1開口と、第1開口を取り囲む第1環状部分と、第1環状部分を取り囲む第2環状部分とを有してよい。保持枠は、第2環状部分の物体側の面に接する環状面と、第2環状部分の物体側の面に対向する環状面の一部に、レンズと保持枠とを接着する接着剤を受け入れる少なくとも1つの凹部とを有してよい。第2環状部分は、第1環状部分より厚くてよい。
【選択図】
図9