【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、多層体、特に光学セキュリティ要素または光学装飾要素を生産する方法によって達成され、前記方法において、
a)単層または多層をなす第1の装飾プライが、キャリアプライに施され、
b)少なくとも1つの金属層が、キャリアプライから向きが逸れている第1の装飾プライの側面に施され、
c)少なくとも1つの金属層は、金属層に、多層体の1つまたは複数の第1のゾーンにおいて第1の層厚が提供され、かつ多層体の1つまたは複数の第2のゾーンにおいて第1の層厚と異なる第2の層厚が提供されるように構造化され、特に、第2の層厚はゼロに等しく、
d)単層または多層をなす第2の装飾プライが、第1の装飾プライから向きが逸れている金属層の側面に施され、
e)第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、多層体の第1の領域において、金属層をマスクとして用いて、第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライが、第1のゾーンまたは第2のゾーンにおいて少なくとも部分的に取り除かれるように構造化される。
【0007】
本発明に従う方法の工程a)から工程e)が、好ましくは、明示された順序で実行されることになる。
【0008】
上記目的はさらに、単層または多層をなす第1の装飾プライ、単層または多層をなす第2の装飾プライ、および第1の装飾プライと第2の装飾プライとの間に配置される少なくとも1つの金属層を有する多層体によって達成され、金属層は、多層体の第1の領域において、少なくとも1つの金属層に、多層体の1つまたは複数の第1のゾーンにおいて、第1の層厚が提供され、かつ多層体の1つまたは複数の第2のゾーンにおいて、第1の層厚と異なる第2の層厚が提供されるように構造化され、特に、第2の層厚はゼロに等しく、第1の装飾プライおよび第2の装飾プライは互いと、かつ金属層と一致して構造化される。第1の装飾プライおよび第2の装飾プライならびに金属層は好ましくは、部分的な構造を有し、結果として、第1の領域において、第1の装飾プライおよび第2の装飾プライは、互いと、かつ金属層と一致する第1のゾーンまたは第2のゾーンにおいて、少なくとも部分的に取り除かれる。
【0009】
そのような多層体は好ましくは、上記の方法によって得られることができる。
【0010】
本発明に従う多層体は、例えば、ラベル、ラミネートフィルム、ホットスタンピングフィルムまたは転移フィルムとして用いられて、文書、紙幣、クレジットカードおよびプリペイドカード、IDカード、高価な製品用のパッケージング等のセキュリティに用いられる光学セキュリティ要素が提供され得る。装飾プライ、およびそれに対してレジストレーションが正確であるように配置された少なくとも1つの金属層は、光学セキュリティ要素として作用し得る。
【0011】
偽造に対する保護の程度が特に高い多層体の形成が、本発明によって達成される。本方法において、金属層は、多層体の生産中、マスクとして、好ましくは、照射、即ち、第1の装飾プライおよび/もしくは第2の装飾プライで構成され得る光活性化可能な層の光活性化用の照射マスクとして、または第1のゾーンもしくは第2のゾーンを、例えば、溶媒による攻撃から保護するための、かつ仕上げ加工された多層体上で光学効果を提供するためのマスクとして作用する。ゆえに、金属層は、いくつかの完全に異なる機能を満たす。
【0012】
工程c)および/または工程e)に従う構造化はまたここで、多層体の部分的な領域においてのみもたらされてもよく、続いて特に第1の領域が形成される。
【0013】
第1の装飾プライおよび第2の装飾プライは好ましくは、金属層をマスクとして用いて、第1の領域において、第1の装飾プライおよび第2の装飾プライが、それぞれの場合に、第1のゾーンもしくは第2のゾーンにおいて少なくとも部分的に取り除かれるように、
または金属層が、第1の装飾プライおよび第2の装飾プライをマスクとして用いて構造化されるように、構造化される。
【0014】
第1の装飾プライ、第2の装飾プライおよび金属層の、互いに対してレジストレーションが正確であるような構造化はここに、レジストレーションデバイスをさらに用いることなく達成され、これらの層の互いに対する非常に正確な、位置的に正確な構造化が可能となる。
【0015】
マスク照射によってエッチマスクを生産する従来の方法では、マスクは、別個のユニットとして、例えば別個のフィルムとして、または別個のガラスプレート/ガラスシリンダーとして、またはその後プリントされる層として存在する。マスクアラインメントが、既存のレジストレーションまたはレジスターマーク(通常、多層体の水平エッジおよび/または垂直エッジ上に配置される)を用いて達成されるが、特に熱的かつ/または機械的ストレスのレベルが高い、より早い段階のプロセス工程によってもたらされる多層体における線形かつ/または非線形の変形が、多層体上でのマスクのアラインメントによって、多層体の表面の全体にわたって完全に補償され得ないという問題が生じる虞がある。許容限度は、多層体の表面の全体にわたって、比較的大きな範囲内で変動する。本方法によれば、第1もしくは第2の装飾プライまたは金属層の構造化によって定義される第1および第2のゾーンが、好ましくは、残りの層を構造化するためのマスクとして直接的に、または間接的に用いられる結果として、この問題が回避される。
【0016】
ゆえに、装飾プライとして、または金属層として形成されるマスクは、多層体のためのその後の全プロセス工程を受けることによって、これらのプロセス工程によっておそらくもたらされるであろう多層体自体の全変形を自動的に辿る。このように、更なる許容限度、特にまた、更なる許容限度変動が、多層体の表面の全体にわたって生じ得ない。というのも、マスクのその後の生産、およびそれによる、レジストレーションができるだけ正確であることが必要な、プロセスの以前のコースから独立している、このマスクのその後のポジショニングが無効にされるからである。本発明に従う方法の許容限度またはレジストレーション精度は、第1および第2のゾーンの、かつ金属層の、おそらく完全に正確に形成されなかったであろうエッジにのみ基づき、その品質は、それぞれの場合に用いられる生産方法によって決定される。本発明に従う方法における許容限度またはレジストレーション精度は、おおよそマイクロメートル範囲内にあるので、眼の解像力をはるかに下回る。即ち、ヒトの裸眼ではもはや、存在するあらゆる許容限度を知覚し得ない。
【0017】
レジスターまたはレジストレーション精度が意味するところは、互いを覆う層(複数)の位置的に正確な配置である。
【0018】
プライは、少なくとも1つの層を備える。装飾プライは、特にニス層として形成される1つまたは複数の装飾層および/または保護層を備える。装飾層は、表面の全体にわたって、またはパターン化されるように構造化された形態で、キャリアプライ上に配置されることができる。
【0019】
第1のゾーンおよび/または第2のゾーンにおけるアイテムの配置が、以下で記載されるような場合、これは、アイテムならびに第1のゾーンおよび/または第2のゾーンが重なり合って、キャリアプライの平面と直角をなして見えるようにアイテムが配置されることを意味する。
【0020】
少なくとも1つの金属層は、単一の金属層から、または連続した2つ以上の金属層、好ましくは様々な金属層からなってよい。アルミニウム、銅、金、銀、またはこれらの金属の合金が、好ましくは、金属層用の金属として用いられる。
【0021】
工程c)、即ち金属層を構造化する工程において、電磁放射線によって活性化され得る第1のレジスト層が、第1の装飾プライから向きが逸れている金属層の側面に施され、かつ第1のレジスト層が、照射マスクを用いて、前記電磁放射線によって照らされると、さらに有利である。続いて、これは好ましくは、例えば現像、エッチングおよびストリッピング等の、金属層を構造化する更なる工程が続く。
【0022】
その後、手順は以下の通りであると有利である。工程d)において施される第2の装飾プライは、電磁放射線によって活性化され得る1つまたは複数の第2の有色レジスト層を備える。工程e)において、1つまたは複数の第2の有色レジスト層は、キャリアプライの側面からの前記電磁放射線によって照らされ、金属層は照射マスクとして作用する。このように、第2の装飾プライは、金属層に対して完全にレジスタリングされるように構造化され得る。
【0023】
さらに有利な設計において、1つまたは複数の第2の有色レジスト層は、少なくとも2つの異なる着色剤、または着色剤(複数)を異なる濃度で含有するレジスト層を含む。1つまたは複数の第2の有色レジスト層の1つまたは複数が、それぞれの場合において、プリントプロセスによってパターン化されて施されてよい。これらの有色レジスト層はここで好ましくは、第1のモチーフを形成するようにパターン化されて形成される。
【0024】
第1のレジスト層は、工程c)において、キャリアプライの側面から照らされると特に有利であり、そこで第1のレジスト層の照射用のマスクは、第1の装飾プライによって形成される。このために、第1の領域において、キャリアプライの平面と直角をなして見られる第1の装飾プライは、1つまたは複数の第1のゾーンにおいて第1の透過率を、そして1つまたは複数の第2のゾーンにおいて第1の透過率よりも大きな第2の透過率を有し、前記透過率は好ましくは、波長が第1のレジスト層の光活性化に適した電磁放射線に関する。
【0025】
光活性化可能な層から向きが逸れているキャリアプライの側面から第1の装飾プライを通しての前記電磁放射線による光活性化可能な層の照射中、第1の装飾プライは、第1のゾーンにおける透過率が、第2のゾーンの透過率と比較して低いので、照射マスクとして作用する。照射はさらに、金属層を通して、ゆえに構造化されることになる層を通して起こる。
【0026】
特に有色の、エッチレジスト層が、第1のレジスト層が提供されていない金属層の部分的な領域に部分的に施されると、さらに好都合である。後のエッチングプロセスにおいて、エッチレジスト層のために、金属層は、この部分的な領域において、第1のレジスト層の照射と独立して構造化され得ることによって、更なるグラフィック効果が達成され得る。エッチレジスト層は好ましくは、ポリ塩化ビニルからなる。
【0027】
第1の装飾プライはまたここで、いくつかの完全に異なる機能、即ち照射マスクの機能、および光学情報のアイテムの規定を満たす。
【0028】
第1の装飾プライは好ましくは、多層体によって装飾されるアイテムの観察者が、第1の装飾プライを通して少なくとも1つの金属層を観察し得るように形成される。このために、第1の装飾プライは、例えば、透明または半透明であってよい。さらに、第1の装飾プライは、ヒト観察者の目に見える、第1および第2のゾーンと独立して設計される(有色の)第2のモチーフを形成することも可能である。このために、第1の装飾プライは、例えば、透明に、または半透明に染色されてよい。
【0029】
照射マスクとしての第1の装飾プライの使用により、第1のレジスト層は、多層体の第1および第2のゾーンに対してレジストレーションが正確であるように構造化される。即ち、構造化された第1のレジスト層の構造は、装飾プライの第1および第2のゾーンに対してレジスタリングされて配置される。また、本方法のこの実施形態に従えば、少なくとも1つの金属層は、レジスト層に対してレジストレーションが正確であるように構造化される。ゆえに、本方法は、互いに対してレジストレーションが正確であるように形成された少なくとも4つの層、第1の装飾プライ、第1のレジスト層、少なくとも1つの金属層、および第2の装飾プライの形成を可能にする。本方法の結果として、多層体は、多層体の第1のゾーンにおいて、または第2のゾーンにおいて、レジストレーションが正確であるように金属層および2つの装飾プライを有する。
【0030】
第1のレジスト層用の照射マスクとしての第1の装飾プライの、または場合によっては第2の装飾プライで構成される第2のレジスト層用の照射マスクとしての金属層の使用は不可避的に、金属層または第2の装飾プライに対する各照射マスクの完全なレジストレーション精度をもたらす。即ち、第1の装飾プライおよび構造化された金属層それ自体は、少なくとも領域において、照射マスクとして機能する。ゆえに、第1の装飾プライまたは金属層および照射マスクは、それぞれの場合において、共通の機能ユニットを形成する。単純かつ効果的である本方法は、別個の照射マスクが、多層体の層に対してレジスタリングされなければならない従来の方法に勝る実質的な利点をもたらし、実際には、非常に少数の場合におけるレジストレーションのずれが、完全に回避され得る。
【0031】
第1の装飾プライは、キャリアプライ上に配置される第1のニス層を備えることが可能であり、第1のゾーンにおいて第1の層厚を、そして第2のゾーンにおいて、完全にないか、第1の層厚よりも薄い第2の層厚を有する。結果として、第1の装飾プライは、第1のゾーンにおいて前記第1の透過率を、そして第2のゾーンにおいて前記第2の透過率を有する。第1の装飾プライのマスク機能はここで、単純な方法で実施される。
【0032】
ニス層は、プリントプロセス、例えばグラビアプリント、オフセットプリント、スクリーンプリント、インクジェットプリントを用いる特に単純な方法でパターン化されて施されてよく、結果としてマスク機能および所望の光学効果の双方が実施される。
【0033】
種々の光学効果またはセキュリティフィーチャを実施することが可能であるように、ニス層はUVアブソーバおよび/または着色剤を含有するとさらに有利である。
【0034】
第1の装飾プライを通る照射を含む方法の変形において、第1の装飾プライの厚さおよび材料を、第1の透過率がゼロよりも大きくなるように選択することが有利であると判明した。第1の装飾プライの厚さおよび材料は、波長が光活性化に適した電磁放射線が、第1のゾーンにおける第1の装飾プライを部分的に透過するように選択される。ゆえに、第1の装飾プライによって形成される照射マスクは、第1のゾーンにおいて放射線透過可能に形成される。
【0035】
第1の装飾プライの厚さおよび材料は、第2の透過率と第1の透過率との比率が2以上であるように選択されると価値があると判明した。第1の透過率と第2の透過率との比率は好ましくは1:2であり、1:2コントラストとも呼ばれる。1:2のコントラストは、従来のマスクの場合よりも少なくとも1桁小さい。これまで、レジスト層の照射のために、ここで記載されるように好ましく用いられる第1の装飾層のようにコントラストが低いマスクを用いることは、慣習的でなかった。従来のマスク(例えばクロムマスク)によりレジストを照射する場合、不透明(OD>2)な領域および完全に透明な領域が存在する。ゆえにマスクは、コントラストが高い。アルミニウム層の典型的な透過率の値がおよそ1%であるときに、従来のアルミニウムマスクは、典型的なコントラストが1:100であり、2.0の光学密度(=OD)に相当する。透過率(=T)およびODは、以下のように互いに関連付けられる:T=10
−OD(即ち、OD=0は、T=100%に相当する;OD=2は、T=1%に相当する;OD=3は、T=0.1%に相当する)。従来の照射方法と対照的に、レジスト層は、コントラストが低いマスク(=装飾プライ)を通してだけでなく、金属層を通しても照らされる。
【0036】
第1のゾーンを通して照らされる光活性化可能な第1のレジスト層の領域(透過率がより小さい)は、好ましくは、第2のゾーンを通して照らされる光活性化可能な第1のレジスト層の領域(透過率がより大きい)よりも小さい程度に活性化される。多層体の生産中に、第1のレジスト層は、金属層に一時的に施されてよく(金属層を構造化するために用いられる)、または第2の装飾プライの構成要素であってもよいし、第2の装飾プライを構造化するために用いられてもよい。
【0037】
第1の装飾プライの厚さおよび材料は、キャリアプライおよび装飾プライからなる層パケットを通過した後に測定される電磁放射線の透過率が、第1のゾーンにおいておよそ0%から30%、好ましくはおよそ1%から15%であり、かつ透過率が、第2のゾーンにおいておよそ60%から100%、好ましくはおよそ70%から90%であるように選択されると価値があると判明した。透過率は、好ましくは、コントラストが1:2となるような値の範囲から選択される。
【0038】
第2の実施形態の例に従えば、第1のレジスト層は、工程c)において、キャリアプライから向きが逸れている側面から照らされて、第1のレジスト層は照らされ、マスクが、第1のレジスト層と、照射用に用いられる光源との間に配置される。第1の領域において、キャリアプライの平面と直角をなして見られるマスクは、1つまたは複数の第1のゾーンにおいて第1の透過率を、そして1つまたは複数の第2のゾーンにおいて第1の透過率よりも大きな第2の透過率を有し、前記透過率は好ましくは、波長が第1のレジスト層の光活性化に適した電磁放射線に関する。
【0039】
構造が、本方法のこのステージにて多層体中にまだ導入されていないので、外部マスクが用いられてよく、レジストレーション問題はもたらされ得ない。続いて、外部マスクそれ自体によって金属層内に生産される構造は後に、記載されたように、第1の装飾層および/または第2の装飾層において、さらにレジストレーションが正確である構造の生産用のマスクとして作用する。
【0040】
光活性化可能な層、特に、電磁放射線によって活性化される第1のレジスト層および/または第2のレジスト層を形成するために、ポジ型フォトレジストが用いられる(その溶解度は、照射によって活性化される場合に増大する)、またはネガ型フォトレジストが用いられる(その溶解度は、照射によって活性化される場合に減少する)と価値があると判明した。光活性化可能な層の溶解度を光化学反応によって局所的に変更することを目的とした、照射マスクを通した光活性化可能な層の選択的な放射線照射は、照射と呼ぶ。溶解度の光化学的に達成可能な変化のタイプに応じて、フォトレジストとして形成され得る以下の光活性化可能な層(複数)間の相違点が引き出される。第1のタイプの光活性化可能な層(例えばネガ型レジスト)の場合、溶解度は、照射のために、層の非照射ゾーンと比較して減少する(これは例えば、光が層の硬化を引き起こすためである)。第2のタイプの光活性化可能な層(例えばポジ型レジスト)の場合、溶解度は、照射のために、層の非照射ゾーンと比較して増大する(これは例えば、光が層の分解を引き起こすためである)。
【0041】
さらに、ポジ型フォトレジストが用いられる場合に第2のゾーンにおいて、またはネガ型フォトレジストが用いられる場合に第1のゾーンにおいて、第1のレジスト層および/または第2のレジスト層が取り除かれると価値があると判明した。これは、塩基または酸等の溶媒によってもたらされてよい。ポジ型フォトレジストが用いられる場合、1つまたは複数の第2のゾーンにおけるレジスト層の第2の領域が強く照らされるほど、1つまたは複数の第1のゾーンにおけるレジスト層のあまり照らされていない第1の領域は、溶解度が高くなる。したがって、溶媒が、第2のゾーン内に配置されるレジスト層(ポジ型フォトレジスト)の材料を、第1のゾーン内に配置されるレジスト層の材料よりも速く、かつより良く溶解させる。ゆえに、溶媒の使用により、レジスト層は構造化され得る。即ち、レジスト層は、第2のゾーンにおいて取り除かれるが、第1のゾーンにおいて保存される。
【0042】
続いて、第1のレジスト層は好ましくは、エッチング工程用のエッチマスクとして用いられ、これによって、第1のレジスト層でカバーされていない金属層の領域、または金属層の1つが取り除かれる。続いて、第1のレジスト層は剥がされてよい、即ち取り除かれてよい。
【0043】
第1のレジスト層および/または第2のレジスト層の照射のために、好ましくは最大放射がほぼ365nmであるUV放射線が用いられると有利である。ゆえに、マスクとして用いられる装飾層の透過特性は、紫外線領域と可視領域とで異なってよい。ゆえに、マスクの構造は、装飾層によって達成されることになる視覚的に認識可能な光学効果に依存しない。ほぼ365nmで、キャリアプライの重要な構成要素を形成し得るPET(=ポリエチレンテレフタレート)は追加的に透明である。高圧水銀灯の最大放射は、ほぼこの波長である。
【0044】
第1のレジスト層および/または第2のレジスト層は、厚さが0.3μmから0.7μmの範囲であることが可能である。
【0045】
本発明のさらに有利な実施形態において、工程c)は工程d)の後に実行され、工程c)において、金属層は、第2の装飾プライをマスクとして用いて、特に、マスクによって保護されていない金属層の領域の、腐食液の塗布および除去によって、構造化される。工程e)において、第1の装飾プライは、続いて、金属層をマスクとして用いて、特に、マスクによって保護されていない第1の装飾プライの領域の、溶媒の塗布および除去によって、構造化される。
【0046】
ゆえに、第2の装飾プライはここで、染色することによって達成される光学機能に加えて、マスクとしての更なる機能を有し、これを用いて、レジストレーションが正確である金属層の構造化がその後もたらされる。ゆえに、第2の装飾プライと金属層との間の完全なレジストレーションが、外部マスクを用いずに維持され得る結果、2つの層の構造は互いを正確にカバーする。同時に、この実施形態は、照射および現像工程なしで済み、特に単純な手順となる。金属層が第2の装飾プライを用いて構造化された後、金属層は今度は、例えば、溶媒を用いた、金属層によってカバーされていない第1の装飾プライのゾーンの除去による第1の装飾プライの構造化用のマスクとして用いられ得る。
【0047】
第2の装飾プライがプリントによってパターン化されて施されるとさらに有利であり、第2の装飾プライには、第1のゾーンにおいて第3の層厚が提供され、かつ第2のゾーンにおいて第3の層厚と異なる第4の層厚が提供され、特に、第4の層厚はゼロに等しい。第2の装飾プライのマスク機能および所望の光学効果は双方ともここに、単純な方法で実施され得る。
【0048】
さらに有利な実施形態において、第2の装飾プライは、金属層を構造化するのに用いられる腐食液に、かつ第1の装飾プライを構造化するのに用いられる溶媒に、抵抗性がある。ゆえに、第2の装飾プライは、金属層の構造化用の、かつ第1の装飾プライの構造化用の保護マスクとして作用し得る。
【0049】
第2の装飾プライが、特にプリントプロセスによって施される1つまたは複数の有色層を備えるとさらに有利である。
【0050】
さらに有利な設計において、金属層によって保護されていない第1のレジスト層および/または第1の装飾プライの領域は、溶媒によって取り除かれる。好ましい実施形態が、同様に、金属層を構造化する作業工程の間、または別個の続くその後の作業工程において、大部分が完全に取り除かれる(「剥がされる」)ことになるレジスト層を提供する。多層体において互いを覆う層の数の削減により、その抵抗性および耐久性が増大し得る。というのも、隣接する層間の接着問題が最小にされるからである。さらに、多層体の光学的な外見は向上し得る。というのもそれは特に、レジスト層の除去後、染色されてよく、かつ/または完全に透明なわけではないが、半透明もしくは不透明であってよく、その下にある領域が再び露出されるからである。しかしながら、抵抗性または光学的な外見に対する特に高い要求がない特定の用途については、第1のレジスト層を構造化層上にそのままにしておくことも可能である。
【0051】
工程c)において、第1のレジスト層および/または第2の装飾プライによって保護されていない金属層のゾーンは、腐食液を用いて取り除かれると価値があると判明した。これは、酸または塩基等の腐食液によってもたらされ得る。領域における、各領域におけるレジスト層の除去、かつそれによって露出した金属層の領域の除去は、同じ方法工程でもたらされると好ましい。これは、塩基または酸等の溶媒/腐食液を用いる単純な方法で達成され得、これは、レジスト層(ポジ型レジストの場合、照らされた領域であり、ネガ型レジストの場合、照らされていない領域)および構造化されることになる層の双方を取り除くことができる、即ち両材料を攻撃する。レジスト層は、構造化されることになる層を取り除くために用いられる溶媒または腐食液に対して、少なくとも十分な時間、即ち溶媒または腐食液の曝露時間、ポジ型レジストが用いられる場合には照らされていない領域において、またはネガ型レジストが用いられる場合には照らされた領域において、抵抗するように形成されなければならない。
【0052】
さらに、第1の装飾プライに向いている側面上のキャリアプライは、少なくとも1つの機能層、特に剥離層および/または保護ニス層を備えると価値があると判明した。これは特に、多層膜が転移フィルムとして用いられて、機能層が、第1の装飾プライおよび第2の装飾プライならびに金属層の少なくとも1つの層を備える転移プライからのキャリアプライの問題のない剥離を可能にする場合に有利である。
【0053】
第1の装飾プライおよび/もしくは第2の装飾プライは、表面レリーフが成型されている複製ニス層を備えると、かつ/または表面レリーフが、第1の装飾プライに向いているキャリアプライの表面中に成型されていると、さらに有利である。
【0054】
表面レリーフは好ましくは回析構造(好ましくは空間周波数が200から2000ライン/mm)、特にホログラム、kinegram(登録商標)、線形格子もしくは交差格子、ゼロオーダー回折構造(特に空間周波数が2000ライン/mmを超える)、ブレーズド格子、屈折構造、特にマイクロレンズアレイもしくは再帰反射構造、光学レンズ、フリーフォーム表面構造、および/またはマット構造、特に等方性もしくは異方性のマット構造を含む。マット構造は、好ましくは確率的マット表面プロフィールを有する光散乱特性を備える構造を表す。マット構造は好ましくは、レリーフ深さ(ピークから谷まで、P−V)が100nmから5000nm、さらに好ましくは200nmから2000nmである。マット構造は好ましくは、表面粗さ(Ra)が50nmから2000nm、さらに好ましくは100nmから1000nmである。マット効果は、等方性(即ち、全方位角で同一)であってもよいし、異方性(即ち、様々な方位角で変化する)であってもよい。
【0055】
複製層が一般に意味するところは、表面上のレリーフ構造と共に生産され得る層である。これとして例えば、プラスチックもしくはニス層等の有機層、または無機プラスチック(例えばシリコーン)、半導体層、金属層等の無機層の他、それらの組合せも挙げられる。複製層は、複製ニス層として形成されることが好ましい。レリーフ構造を形成するために、放射線硬化性もしくは熱硬化性(熱硬化型)の複製層または熱可塑性の複製ニス層が施されてよく、レリーフが、複製層中に成型されてよく、複製層は、場合によっては、その中にレリーフがインプリントされて硬化されてよい。
【0056】
金属層の構造化の後、特に、第1の装飾プライ、第2の装飾プライおよび/またはキャリアプライの、キャリアプライから向きが逸れている表面の領域上に、補償層が施されるとさらに有利である。
【0057】
金属層の構造化の後、金属層および第1のレジスト層は、第1のゾーンもしくは第2のゾーンでは取り除かれ、かつ他の領域では存在し、または対応する方法の変形において、第2のレジスト層によって保護されるゾーンでは存在し、かつ残りの領域では取り除かれると好ましい。補償層の塗布により、金属層、第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライの陥凹領域/凹所が少なくとも部分的に満たされ得る。第1のレジスト層または第2のレジスト層の陥凹領域/凹所はまた、補償層の塗布により少なくとも部分的に満たされることが可能である。補償層は、1つまたは複数の異なる層材料を含んでよい。補償層は、保護層および/または接着剤層および/または装飾層として形成されてよい。
【0058】
それ自体多層に形成されてもよい接着プロモーター層(接着剤層)が、キャリアプライから背いている補償層の側面に施されることが可能である。ゆえに、ラミネートフィルムまたは転移フィルムとして形成される多層体は、接着プロモーター層に隣接するターゲット基体に、例えばホットスタンピングまたはIMDプロセス(IMD=モールド内デコレーション)で結合してよい。ターゲット基体は、例えば、紙、カード、テクスタイルもしくは別の繊維状材料、またはプラスチック、あるいは、例えば紙、カード、テクスタイルおよびプラスチック製の複合体材料であってよく、フレキシブルであっても主に剛体であってもよい。
【0059】
保護ニスが好ましくは、キャリアプライから向きが逸れている多層体の側面上の多層体に施される。これは、多層体を環境の影響および機械的な操作から保護する。
【0060】
第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、照射によってブリーチされるとさらに有利である。ゆえに、多層体の照らされないゾーンにおいておそらくなお存在している光反応性物質が反応して、後の制御されないブリーチが防止される。このように、特に色が安定した多層体が得られる。
【0061】
多層体は好ましくは、特に表面の全体にわたって、キャリアプライを備える。キャリアプライは、各照射工程において用いられる放射線が透過可能でなければならない。以下のキャリア材料の場合、波長が254から314nmの範囲にある電磁放射線を用いることも可能である。PP(=ポリプロピレン)またはPE(=ポリエチレン)等のオレフィンキャリア材料、PVCおよびPVCコポリマーに基づくキャリア材料、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアセテートに基づくキャリア材料、脂肪族原材料に基づくポリエステルキャリア。
【0062】
キャリアプライは、単層または多層をなすキャリアフィルムを有することが可能である。本発明に従う多層体のキャリアフィルムの、12から100μmの範囲の厚さが価値があると判明した。例えば、PETも、PMMA(=ポリメチルメタクリレート)等の他のプラスチック材料も、キャリアフィルム用の材料として考慮される。
【0063】
キャリアプライの平面と直角をなして見られる第1の装飾プライは、第1のゾーンにおいて第1の透過率を、そして第2のゾーンにおいて第1の透過率よりも大きな第2の透過率を有すると特に好都合であり、前記透過率は、可視スペクトルおよび/または紫外スペクトルおよび/または赤外スペクトルにおける電磁放射線に関する。本方法に関して既に説明されたように、そのような第1の装飾プライはそれ自体で、金属層の構造化用の照射マスクとして作用し得、結果として多層体が、特にレジストレーションが正確である層配置となる。
【0064】
第2の装飾プライは、第1のゾーンまたは第2のゾーンにおいて、前記電磁放射線によって光活性化される少なくとも1つのレジスト層を有することがさらに可能であり、そこでは少なくとも1つの金属層およびレジスト層が互いに対してレジストレーションが正確であるように位置合わせされる。
【0065】
第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、少なくとも電磁スペクトルの波長領域内で有色である、即ち色を生じる、特に多色である、即ち多色を生じる、少なくとも1つの不透明な着色剤および/または少なくとも1つの透明な着色剤で染色される1つまたは複数の層を備えること、特に、可視スペクトルの外側で励起され得、かつ視覚的に認識可能に着色された印象を生む着色剤が、第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライの層の1つまたは複数において含有されることが可能である。第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、波長がおおよそ380から750nmの範囲内である可視光が少なくとも部分的に透過可能であると好ましい。
【0066】
第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、少なくとも1つの顔料もしくは少なくとも1つの着色剤(色はシアン、マゼンタ、イエローまたはブラック(CMYK=Cyan Magenta Yellow Key;Key:色の深みとしてのブラック)または赤色、緑色もしくは青色(RGB))で染色されて、特に、減法混色がもたらされること、そして/または赤および/もしくは緑および/もしくは青の蛍光を発する少なくとも1つの放射線励起性顔料もしくは着色剤が提供されることが可能であり、これによって、特に、付加的な混色が、放射線照射時にもたらされ得る。混色に代えて、特別な色として、または特定の色系(例えばRAL、HKS、Pantone(登録商標))由来の色として、特定のプレ混色(例えばオレンジまたは紫)をもたらす顔料または着色剤もまた、用いられてよい。
【0067】
照射が第1の装飾プライを通してもたらされる本方法の変形において、第1の装飾プライは、それによって二重の機能を満たす。一方では、第1の装飾プライは、多層体の第1のゾーンおよび第2のゾーンに対するレジストレーションが正確であるように配置される少なくとも1つの金属層の形成用の照射マスクとして作用する。特に、第1の装飾プライは、領域における金属層の脱金属被覆用の照射マスクとして作用する。他方では、両装飾プライ、または各装飾プライの少なくとも1つもしくは複数の層は、多層体上で、光学要素として、特に、少なくとも1つの構造化層の染色用のモノクロのまたは多色の色層として作用し、色層は、レジストレーションが正確になるように、少なくとも1つの金属層の全体にわたって、かつ/またはこれに隣接して配置される。
【0068】
第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、複製ニス層を備えることが可能であり、この中に、少なくとも1つのレリーフ構造を備える表面レリーフが成型され、少なくとも1つの金属層は、少なくとも1つのレリーフ構造の表面上に配置される。
【0069】
少なくとも1つのレリーフ構造は、第1のゾーンおよび/または第2のゾーン内に少なくとも部分的に配置されることが可能である。レリーフ構造の表面レイアウトは、第1のゾーンおよび第2のゾーンの表面レイアウトにマッチしてよく、特に、それに対してレジスタリングされて形成されてよく、または、レリーフ構造の表面レイアウトは、例えば、第1のゾーンおよび第2のゾーンの表面レイアウトと独立して、連続的な無限パターンとして形成される。レリーフ構造はまた、勿論、装飾プライにおいて透過が異なり、かつ装飾プライの表面レイアウトにマッチするゾーンを必要としない本方法の変形において導入されてもよい。レジスト層が、キャリアプライから背いている少なくとも1つの金属層の側面上に配置され、かつ装飾プライが、少なくとも1つの金属層の他の側面上に配置されるような、キャリアプライの第1の側面上へのレジスト層の本発明に従う配置によって、洗浄レジストを用いる構造化方法と対照的に、レリーフ構造上に少なくとも部分的に構造化されることとなる層を配置することが可能である。
【0070】
第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、以下の層の1つまたは複数を備えることが可能である。液晶層、ポリマー層、特に導電性または半導性ポリマー層、薄フィルム干渉層パケット、顔料層。
【0071】
第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライは、厚さが0.5μmから5μmの範囲であることが可能である。
【0072】
UVアブソーバが、装飾プライを形成する材料に加えられることが、特に、装飾プライの材料が、例えばUV吸収顔料またはUV吸収着色剤等のUV吸収構成素の十分な量を含有しない場合に、可能である。装飾プライは、散乱比が高い無機アブソーバ、特に無機酸化物に基づくナノスケールUVアブソーバを有することが可能である。中でも、例えばサンプロテクションファクターが高いサンスクリーン中でも用いられるような、非常に分散された形態のTiO
2およびZnOが、適切な酸化物であると判明した。これらの無機アブソーバは、高い散乱レベルの原因となるので、マット、特に絹マット、装飾プライの染色に特に適している。
【0073】
しかしながら、装飾プライは、特に装飾プライの材料が、例えばUV吸収顔料またはUV吸収着色剤等のUV吸収構成素の十分な量を含有しない場合に、有機UVアブソーバ、特にベンゾトリアゾール誘導体を有することも可能であり、質量割合はおよそ3%から5%の範囲である。適切な有機UVアブソーバが、Tinuvin(登録商標)の商標名でBASFによって売られている。装飾プライは、蛍光着色剤または有機もしくは無機蛍光顔料を、非常に分散された顔料、特にMikrolith(登録商標)−Kと組合せて有することが可能である。これらの蛍光顔料の励起によって、UV放射線は、既に大部分が各装飾プライにおいてフィルタ除去され、結果として放射線の微々たる画分しかレジスト層に達しない。蛍光顔料は、多層体において更なるセキュリティフィーチャとして用いられてよい。
【0074】
UV活性化可能なレジスト層の使用により、利点が提供される。可視波長範囲において透明に作用するUVアブソーバの使用により、第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライにおいて、可視波長範囲における各装飾プライの特性である「色」は、各装飾プライの所望の特性から分離されて、各レジスト層(例えば近UV領域において感度が高い)、およびそれにより少なくとも1つの金属層が構造化され得る。このように、第1のゾーンと第2のゾーンとの間の高いコントラストが、装飾プライの視覚的に認識可能な染色と独立して、達成され得る。
【0075】
少なくとも1つの金属層は、厚さが20nmから70nmの範囲であることが可能である。多層体の金属層は、複製層の側面から入射する光用の反射層として作用することが好ましい。複製層のレリーフ構造および下部に配置される金属層の組合せにより、セキュリティフィーチャに効果的に用いられ得る複数の異なる光学効果をもたらすことが可能である。金属層は、例えば、アルミニウムまたは銅または銀からなってよく、これは、その後の方法工程において、ガルバニックによって(galvanically)強化される。ガルバニック強化に用いられる金属は、構造化層の金属と同じであってもよいし、異なってもよい。例として、例えば、薄いアルミニウム層、銅層または銀層の、銅によるガルバニック強化がある。
【0076】
第1の装飾プライおよび/または第2の装飾プライならびに金属層における凹所が、補償層で満たされることが可能である。
【0077】
可視波長範囲における補償層の屈折率n1は、複製層の屈折率n2の90%から110%の範囲にあると好ましい。金属層が取り除かれ、かつ空間構造、即ちレリーフが表面上に形成されている第1のゾーンまたは第2のゾーンにおいて、レリーフの凹所および高所は、複製層に類似の屈折率(「Δn=|n2−n1|<0.15)を有する補償層によって均一にされると好ましい。このように、補償層が複製層に直接的に施されているゾーンにおけるレリーフによって形成される光学効果は、もはや認識できない。なぜなら、光学的に十分に活性のある境界表面が、屈折率が十分に類似する材料を用いた均一化のために、形成され得ないからである。
【0078】
補償層は、接着層、例えば接着剤層として形成されることが可能である。
【0079】
本発明は、図面を参照して一例として説明される。