(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御回路基板を収容する基板ケースを備え、前記基板ケースを前記電動工具のハウジングにネジで固定したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したように複数本の電線がハウジング内で配線されていると、工具を作動させたときの振動などにより電線が擦れて絶縁不良を起こしたり、パワー系に流れる大きな電流により発生するノイズがシグナル系の電線に重畳し、誤作動を引き起こしたりするおそれがある。
【0006】
例えば、上記した特許文献1に記載の技術のように、フラットケーブルと電源線とを接触させた場合、フラットケーブルの縁(エッジ部分)が電源線に擦れて電源線の被覆が損傷して絶縁不良を起こしたり、電源線を流れる大きな電流によってフラットケーブルにノイズが発生し、誤動作を引き起こしたりする可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、振動が発生しても電線の擦れや摩耗、断線を防止することができ、信号線がノイズの影響を受けにくくすることができる電動工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明は、制御回路基板と、前記制御回路基板に接続される複数の電線と、を備え、前記制御回路基板の外周部には複数の配線ガイドが設けられ、
前記配線ガイドを使用して前記複数の電線を接続先によってグループ分けし、前記グループごとに束ねた電線を前記グループごとに異なる
位置に設けられた前記配線ガイドを使用して配線したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、制御回路基板と、前記制御回路基板に接続される複数の電線と、を備え、前記制御回路基板の外周部には複数の配線ガイドが設けられ、
前記配線ガイドを使用して前記複数の電線を線径によってグループ分けし、前記グループごとに束ねた電線を前記グループごとに異なる
位置に設けられた前記配線ガイドを使用して配線したことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、前記制御回路基板の外周部に切欠きを形成し、この切欠き位置に前記配線ガイドを形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記制御回路基板を収容する基板ケースを備え、前記基板ケースに前記配線ガイドを形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記制御回路基板を収容する基板ケースを備え、前記基板ケースを前記電動工具のハウジングにネジで固定したことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、上記した請求項5記載の発明の特徴点に加え、前記基板ケースには、前記ネジで固定するためのネジ固定部が突出形成されており、前記ネジ固定部は、内部が空洞に形成され、前記空洞内には、ポッティング材が充填されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、上記した請求項1〜6のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記配線ガイドは、前記制御回路基板の外周の複数の辺に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、制御回路基板の外周部には複数の配線ガイドが設けられ、前記複数の配線ガイドを使用して複数の電線を配線した。このような構成によれば、例えばパワー系の電線を特定の配線ガイドを使用して配線し、シグナル系の電線を別の配線ガイドを使用して配線するといったことが可能となる。すなわち、パワー系の電線とシグナル系の電線とを別々の経路で配線することができるので、パワー系に流れる大きな電流により発生するノイズがシグナル系の電線に重畳して誤作動を引き起こすといった問題を回避することができる。そして、電線の取り回しが容易となるため、電線同士の接触や、電線と電子部品との接触を防止することができる。よって、振動が発生しても電線の擦れや摩耗、断線を防止することができる。また、電線の取り回しが容易となることで、製造時の組み付け性も向上する。
【0016】
また、前記複数の電線を線径または接続先によってグループ分けし、前記グループごとに異なる前記配線ガイドを使用して配線した。このような構成によれば、より一層、電線の擦れや摩耗、断線を防止することができる。
【0017】
例えば、線径が異なる電線を一緒に束ねるようにして配線した場合、線径の異なる電線が振動時に異なる動き方をすることで擦れ易くなる可能性がある。この点、本発明によれば、線径によって電線をグループ分けし、グループごとに異なる配線ガイドを使用して配線できるので、電線の動き方もほぼ同じとなり、配線同士が擦れることが抑制されるので、摩耗や断線を防止することができる。
【0018】
また、接続先が異なる電線を一緒に配線した場合、電線が交差することで擦れ易くなる可能性がある。この点、本発明によれば、接続先によって電線をグループ分けし、グループごとに異なる配線ガイドを使用して配線できるので、電線の交差を回避して摩耗や断線を防止することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記制御回路基板の外周部に切欠きを形成し、この切欠き位置に前記配線ガイドを形成した。このような構成によれば、部品を増やしたり大型化したりすることなく配線ガイドを設けることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記制御回路基板を収容する基板ケースを備え、前記基板ケースに前記配線ガイドを形成した。このような構成によれば、基板ケースを利用して自由な位置に配線ガイドを形成することができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記制御回路基板を収容する基板ケースを備え、前記基板ケースを前記電動工具のハウジングにネジで固定した。このような構成によれば、振動が発生した場合でも制御回路基板及び基板ケースがハウジングと一体的に動くので、ハウジング内で電線が移動しにくい。よって、振動が発生したときの電線の擦れや摩耗を抑制し、断線を防止することができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、前記基板ケースには、前記ネジで固定するためのネジ固定部が突出形成されており、前記ネジ固定部は、内部が空洞に形成され、前記空洞内には、ポッティング材が充填されている。このような構成によれば、ネジ固定部に厚みを持たせることができ、ネジ固定部の強度が向上する。
【0023】
なお、ネジ固定部の内部に空洞を形成せずに厚みを持たせた場合、基板ケースを射出成形で形成したときにヒケが生じ、形状不良や強度不足が発生するおそれがある。この点、本発明によれば、ネジ固定部の内部に空洞を形成することでヒケを抑制している。そして、この空洞内にポッティング材を充填することでネジ固定部を補強している。ポッティング材は制御回路基板に防水加工を施すことで必然的に充填されるため、製造工程に影響を与えずにネジ固定部を補強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下の説明において「前」とは、充電式工具10の出力方向(先端工具が突出した先端方向)を意味する。
【0026】
本実施形態に係る電動工具10は、先端工具を往復動させることにより打撃を生じさせるハンマドリルである。
図1〜3に示すように、この電動工具10の先端部には、ドリルビットやブルポイントなどの先端工具(図示せず)を着脱可能な先端工具取付部10aが設けられている。この先端工具取付部10aに先端工具を取り付けた後に、先端工具をコンクリートや石材等の対象物に押し付けて電動工具10を駆動させると、先端工具で穿孔や破砕を行うことができる。なお、本実施形態においてはハンマドリルを例に説明するが、本発明の実施形態としてはハンマドリルに限らず、他の種類の電動工具10であってもよい。
【0027】
この電動工具10は、
図4に示すように、ハウジング11と、モータ25と、出力部29と、ファン26と、トリガスイッチ28と、バッテリコネクタ27と、バッテリー60と、制御回路基板30と、を備えている。
【0028】
ハウジング11は、電動工具10を覆うケース部材であり、機械の前側を覆う本体ハウジング12と、本体ハウジング12の後部に連設されるグリップハウジング13と、を備えている。
【0029】
本体ハウジング12は、出力部29を収容する機構収容部12aと、機構収容部12aの後方に連設されたモータ収容部12bと、機構収容部12aの下方に設けられたバッテリー装着部12cと、を備える。
【0030】
機構収容部12aは、出力部29を収容するコーン形状の部位であり、内部が密閉された状態でモータ収容部12bに接合されている。
【0031】
モータ収容部12bは、モータ25及びファン26を収容する短筒状の部位である。このモータ収容部12bの側方には、ファン26が作動したときに外部から空気を取り込むためのスリット(図示せず)が形成されている。このスリットは、後述する吸気口11aと連通しており、吸気口11aから取り込んだ外気がスリットを通過して本体ハウジング12の内部に導入されるように形成されている。
【0032】
バッテリー装着部12cは、バッテリー60を取り付けるための部位である。このバッテリー装着部12cは、機構収容部12aの下方に配置されて、前方に突出して形成されている。このバッテリー装着部12cの下面には、バッテリー60の摺動をガイドするレール部が形成されており、バッテリー60を前方からスライドさせて取り付け可能となっている。
【0033】
このバッテリー装着部12cの内部には、制御回路基板30及びバッテリコネクタ27が互いに平行に収容されている。バッテリコネクタ27は制御回路基板30よりも下方に配置されている。
【0034】
このバッテリー装着部12cの左側面(機械を正面から見たときに左側に位置する面)には、
図2に示すように、風窓11bが形成されている。この風窓11bは、ファン26が生成した冷却風を外部へ排出するための開口部である。なお、本実施形態においては、
図1に示すように、右側面には風窓11bが形成されていない。このため、右手で工具を持ったときに風窓11bが体の方を向かないので、冷却風が体に吹き付けられることがなく、使用者が快適に工具を使用できる。
【0035】
また、
図1に示すように、このバッテリー装着部12cの右側面にはモード表示部55が設けられ、バッテリー装着部12cの上面にはモード切替部50が設けられている。本実施形態に係る電動工具10は、複数のパワーモードを備えており、モード切替部50を操作することでパワーモードを切替可能となっている。現在のパワーモードはモード表示部55に表示されて使用者に通知される。本実施形態に係るモード表示部55は、LED窓55aを備えており、このLED窓55aを通して、後述する表示用LED33の点灯状況が視認できるようになっている。
【0036】
具体的には、本実施形態に係る電動工具10は、モータ25の出力が異なる3つのパワーモード(強モード、中モード、弱モード)を備えている。モード切替部50を押下操作すると、「強モード」→「中モード」→「弱モード」と順番にパワーモードが切り替わる。なお、パワーモードが「弱モード」の状態でモード切替部50を押下操作すると「強モード」に移行する。現在のパワーモードはモード表示部55(表示用LED33)によって表示される。例えば、点灯する表示用LED33の数でパワーモードが表示される。なお、点灯する表示用LED33の数でパワーモードを表示する方法に限らず、どの表示用LED33が点灯しているか、表示用LED33が何色で点灯しているか、といったことでパワーモードを確認できるようにしてもよい。
【0037】
また、このバッテリー装着部12cの前面には、
図3に示すように、照射用窓部11cが設けられている。この照射用窓部11cは、後述する照射用LED32の光を通過させるために設けられている。この照射用窓部11cから照射用LED32の光を照射することで、作業箇所を明るくすることができる。
【0038】
グリップハウジング13は、モータ包囲部13aと、モータ包囲部13aの下方に延在するグリップ部13bと、グリップ部13bの下端部から前方に向けて突出する連結部13cと、を備える。
【0039】
モータ包囲部13aは、本体ハウジング12のモータ収容部12bの後端を覆うように取り付けられる籠状の部位である。このモータ包囲部13aの側方には、ファン26が作動したときに外部から空気を取り込むための吸気口11aが開口形成されている。
【0040】
グリップ部13bは、作業者が電動工具10の使用時に握る部位である。このグリップ部13bの内部には後述するトリガスイッチ28が収容されている。
【0041】
連結部13cは、グリップ部13bの下端部から略直角に前方に突出している。この連結部13cの前端部は、回り継ぎ手21を介して本体ハウジング12に回動可能に連結されている。
【0042】
上記した本体ハウジング12とグリップハウジング13とは、以下のように接続されている。
【0043】
まず、グリップハウジング13の上部(モータ包囲部13aの上端付近)は、
図4に示すように、弾性部材20を介して変位可能に本体ハウジング12に接続されている。弾性部材20は、本体ハウジング12とグリップハウジング13と間に圧縮して配置される圧縮バネである。この弾性部材20は、本体ハウジング12とグリップハウジング13とが互いに相対移動したときに、弾性変形することで振動を吸収する役割を果たす。
【0044】
一方、グリップハウジング13の下部(連結部13cの先端)は、回り継ぎ手21を介して回動可能に本体ハウジング12に接続されている。
【0045】
このように構成することで、打撃の反力によって先端が押し戻され、工具を回転させようとする力が働いたときでも、弾性部材20と回り継ぎ手21とによってこのような反力を吸収され、グリップ部13bを握っている手に振動が伝わりにくくなっている。
【0046】
モータ25は、電動工具10の後方においてハウジング11の内部に収容されている。このモータ25の出力軸は、後述する出力部29に接続されており、モータ25の回転力が出力部29に伝達されるようになっている。
【0047】
出力部29は、モータ25を駆動力として先端工具を作動させるものであり、モータ25の前方に配置されている。この出力部29はピストンを内蔵しており、モータ25を駆動力として作動する。具体的には、モータ25が回転するとその回転力が出力部29の内部機構に伝達され、モータ25の駆動力によってピストンが往復動する。ピストンの前端には先端工具を打撃するための打撃子が取り付けられており、この打撃子により先端工具が打撃されるようになっている。
【0048】
なお、詳細は省略するが、この出力部29は複数の作業モードを備えている。例えば、先端工具が回転しながら打撃する回転・打撃モードと、先端工具が打撃せずに回転だけを実行する回転モードと、を備えており、これらの作業モードを切り替えて使用できるように構成されている。この作業モードは
図1に示すモード切替レバー53によって切り替えられる。
【0049】
ファン26は、モータ25や制御回路基板30を冷却するために電動工具10の内部に冷却風を供給するためのものであり、本実施形態においてはモータ25と出力部29との間に配置されている。このファン26は、モータ25の出力軸に接続されており、モータ25が回転したときに同時に回転する。ファン26が回転すると、ハウジング11の側部に開口する吸気口11aから外部の空気が吸い込まれるとともに、ハウジング11内の空気がハウジング11の側部に開口する風窓11bから外部へと排出される。言い換えると、ファン26によって生成された冷却風は、吸気口11aから風窓11bへと至る風路を通過するようになっている。
【0050】
トリガスイッチ28は、モータ25を作動させるための操作部であり、グリップ部13bを握ったときにちょうど人差し指がかかる位置に配設されている。このトリガスイッチ28を引き操作したときに、制御回路基板30にトリガスイッチ28の操作信号が出力され、この操作信号に基づいて制御回路基板30がモータ25の回転制御を行うようになっている。
【0051】
バッテリコネクタ27は、バッテリー60を電気的に接続するためのものであり、バッテリー60に接続される端子部を備えている。このバッテリコネクタ27はバッテリー装着部12cに内蔵されており、バッテリコネクタ27の端子部がバッテリー装着部12cの下面に露出するように配置されている。
【0052】
バッテリー60は、モータ25や制御回路基板30に電力を供給し、出力部29の動力源となる二次電池である。このバッテリー60は、ハウジング11のバッテリー装着部12cに取り付け可能な着脱式のバッテリー60であり、バッテリー装着部12cから取り外して充電ができるようになっている。
【0053】
特に図示しないが、バッテリー60をバッテリー装着部12cにスライドさせると、バッテリー装着部12cのレール部に沿ってバッテリー60が移動し、バッテリー装着部12cの係合凹部にバッテリー60のラッチが係合することでバッテリー60が固定される。バッテリー60が固定されると、バッテリコネクタ27の端子部とバッテリー60の端子部が電気的に接続される。
【0054】
制御回路基板30は、モータ25の作動などを制御するためのものである。この制御回路基板30には、
図5に示すように、モータ25を駆動するFET31a〜31f、機械の前方を照射するための照射用LED32、パワーモードを表示するための表示用LED33、パワーモードを変更するためのタクトスイッチ34などの電子部品が実装されている。
【0055】
この制御回路基板30は、出力部29の下方かつバッテリー60の上方に、先端工具の軸方向に平行となるように配置される。この制御回路基板30の収容空間は、モータ25の収容空間と連通しており、ファン26が生成した冷却風の風上にモータ25が配置され、風下に制御回路基板30が配置されている。ファン26が生成した冷却風は、制御回路基板30の上面に沿って流れ、風窓11bへと導かれる。
【0056】
上記した制御回路基板30は、
図5に示すような基板ケース40に収容された状態でハウジング11に固定される。基板ケース40は、
図5に示すように、底板部40aの4辺から4つの壁部40b〜40eが立ち上がることにより、制御回路基板30を収容するための収容部40fを形成している。この基板ケース40は、収容部40fに制御回路基板30がぴったりと収まるように形成されている。例えば、制御回路基板30の外周には二箇所に切欠き30aが形成されているが、この切欠き30aに対応するように基板ケース40も切欠かれている。この切欠き位置には第1配線ガイド41及び第2配線ガイド42が形成されている。これらの第1配線ガイド41及び第2配線ガイド42は、制御回路基板30に接続される電線を配線するためのガイド部である。なお、第2配線ガイド42には電線を引っ掛けるためのフック42aが設けられている。また、これらの切欠き位置とは別の位置には、フック43aを備えた第3配線ガイド43が形成されている。この第3配線ガイド43も制御回路基板30に接続される電線を配線するためのガイド部である。
【0057】
基板ケース40の底部には、
図4(b)に示すように、ネジ固定部44が下方に突出形成されている。このネジ固定部44は、基板ケース40をハウジング11にネジ48で固定するための部位である。このネジ固定部44を貫通するようにネジ48を取り付け、ネジ48をハウジング11に螺着することで、基板ケース40がハウジング11にしっかりと固定されるようになっている。
【0058】
なお、このネジ固定部44は、
図8(b)に示すように略C字形に形成されており、ネジ48を挿入するための係止溝44aが下方に向けて開口している。また、このネジ固定部44は、
図9に示すように内部が空洞44bに形成されている。このようにネジ固定部44の内部を空洞44bに形成することで、ネジ固定部44の幅に厚みを持たせるとともに、ネジ固定部44の形成する樹脂の厚みが、底板部40aや壁部40b〜40eの厚みとほぼ同じとなるように形成されている。樹脂の厚みがほぼ一定となることで、基板ケース40を射出成形で形成したときにヒケが生じにくくなっている。
【0059】
制御回路基板30及び基板ケース40をハウジング11に組み付けるときには、
図6に示すように、基板ケース40の内側にポッティング材47を充填し、制御回路基板30の表面に防水加工を施す。このとき、ポッティング材47がネジ固定部44の空洞44b内にも充填されて凝固するため、ポッティング材47によってネジ固定部44の強度が増すようになっている。このようにネジ固定部44の強度が増すことで、一箇所だけのネジ固定であっても基板ケース40をしっかりと固定できる。よって、ネジ48による固定作業が最小限で済むので、組み付け性が向上する。
【0060】
ところで、前述したように、本実施形態に係る制御回路基板30の外周部には複数の配線ガイドが設けられ、これらの複数の配線ガイドを使用して電線が配線されている。本実施形態においては、複数の電線を線径または接続先によってグループ分けし、グループごとに異なる配線ガイドを使用して配線するようにしている。
【0061】
具体的には、
図7及び
図10に示すように、電線の線径及び接続先を基準として、第1グループの電線35と、第2グループの電線36と、第3グループの電線37と、第4グループの電線38との4つのグループに電線をグループ分けしている。
【0062】
第1グループの電線35は、バッテリコネクタ27に接続される信号線であり、例えば電池残量などのバッテリー60の状態を電気信号として送信するために使用される電線である。この第1グループの電線35は、第1配線ガイド41を使用して配線される。この第1グループの電線35は、第1配線ガイド41を通って制御回路基板30の裏側に誘導される。
【0063】
第2グループの電線36は、バッテリコネクタ27に接続されるパワー系の電線であり、例えばバッテリー60から電力供給を受けるために使用される電線である。この第2グループの電線36は、第2配線ガイド42を使用して配線される。この第2グループの電線36は、第2配線ガイド42を通って制御回路基板30の裏側に誘導される。なお、この第2グループの電線36は、
図10等に示すように、基板ケース40をネジ48で固定したときに、ネジ固定部44の裏側に配線されるようになっている。このように第2グループの電線36がネジ固定部44によって抑え込まれることで、ハウジング11の左右の分割片を組み付けるときに電線を挟み込むことがないようになっている。
【0064】
第3グループの電線37は、トリガスイッチ28に接続される電線であり、例えばトリガスイッチ28の操作信号を送信するために使用される電線である。この第3グループの電線37は、第3配線ガイド43を使用して配線される。この第3グループの電線37は、第3配線ガイド43を通って制御回路基板30の裏側に誘導され、グリップハウジング13の連結部13cを通過してグリップ部13b内のトリガスイッチ28まで配線される。
【0065】
第4グループの電線38は、モータ25に接続されるパワー系の電線であり、例えばモータ25のコイルに給電するために使用される電線である。この第4グループの電線38は、配線ガイドを使用せずに配線される。この第4グループの電線38は、制御回路基板30の上方へと配線されるため、制御回路基板30の裏側に誘導される他のグループの電線とは別方向へと配線される。
【0066】
このような本実施形態によれば、パワー系の電線とシグナル系の電線とを別々の経路で配線することができるので、パワー系に流れる大きな電流により発生するノイズがシグナル系の電線に重畳して誤作動を引き起こすといった問題を回避することができる。そして、電線の取り回しが容易となるため、電線同士の接触や、電線と電子部品との接触を防止することができる。よって、振動が発生しても電線の擦れや摩耗、断線を防止することができる。また、電線の取り回しが容易となることで、製造時の組み付け性も向上する。
【0067】
また、複数の電線を線径または接続先によってグループ分けし、グループごとに異なる配線ガイドを使用して配線している。このような構成によれば、より一層、電線の擦れや摩耗、断線を防止することができる。
【0068】
例えば、線径が異なる電線を一緒に配線した場合、線径の異なる電線が振動時に異なる動き方をすることで配線同士が擦れ易くなる可能性がある。この点、本実施形態によれば、線径(シグナル系かパワー系か)によって電線をグループ分けし、グループごとに異なる配線ガイドを使用して配線しているので、電線の動き方もほぼ同じとなり、摩耗や断線を防止することができる。
【0069】
また、接続先が異なる電線を一緒に配線した場合、電線が交差することで擦れ易くなる可能性がある。この点、本実施形態によれば、接続先によって電線をグループ分けし、グループごとに異なる配線ガイドを使用して配線しているので、電線の交差を回避して摩耗や断線を防止することができる。
【0070】
また、制御回路基板30の上において、同じグループの電線が近接するように部品を配置しているので、電線をグループごとに束ねる際、電線が制御回路基板30上で交差することを回避できる。
【0071】
また、制御回路基板30上を横切るような配線を減らすことで、冷却風の流れが阻害されることがなくなり、制御回路基板30の冷却効果を高めることができる。
【0072】
また、制御回路基板30の外周部に切欠き30aを形成し、この切欠き30aの位置に配線ガイドを形成した。このような構成によれば、部品を増やしたり大型化したりすることなく配線ガイドを設けることができる。
【0073】
また、制御回路基板30を収容する基板ケース40を備え、基板ケース40に配線ガイドを形成した。このような構成によれば、基板ケース40を利用して自由な位置に配線ガイドを形成することができる。
【0074】
また、基板ケース40を電動工具10のハウジング11にネジ48で固定した。このような構成によれば、振動が発生した場合でも制御回路基板30及び基板ケース40がハウジング11と一体的に動くので、ハウジング11内で電線が移動しにくい。よって、振動が発生したときの電線の擦れや摩耗を抑制し、断線を防止することができる。
【0075】
また、基板ケース40には、ネジ48で固定するためのネジ固定部44が突出形成されており、ネジ固定部44は、内部が空洞44bに形成され、空洞44b内には、ポッティング材47が充填されている。このような構成によれば、ネジ固定部44に厚みを持たせることができ、ネジ固定部44の強度が向上する。
【0076】
なお、ネジ固定部44の内部に空洞44bを形成せずに厚みを持たせた場合、基板ケース40を射出成形で形成したときにヒケが生じるおそれがある。この点、本実施形態によれば、ネジ固定部44の内部に空洞44bを形成することでヒケを抑制している。そして、この空洞44b内にポッティング材47を充填することでネジ固定部44を補強している。ポッティング材47は制御回路基板30に防水加工を施すことで必然的に充填されるため、製造工程に影響を与えずにネジ固定部44を補強することができる。
【0077】
なお、上記した実施形態においては電線の線径及び接続先の両方を基準として電線のグループ分けを行ったが、これに限らず、少なくとも電線の線径または接続先のいずれかを基準にグループ分けを行えばよい。
【0078】
また、異なる線径や接続先の電線を同じグループとしてもよい。例えば、バッテリコネクタ27に接続される信号線(線径が細い電線)とバッテリコネクタ27に接続されるパワー系の電線(線径が太い電線)とを同じグループとしたり、バッテリコネクタ27に接続される電線とトリガスイッチ28に接続される電線とを同じグループとしてもよい。