特許第6790370号(P6790370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790370
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   G03G15/08 310
   G03G15/08 364
   G03G15/08 321B
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-20015(P2016-20015)
(22)【出願日】2016年2月4日
(65)【公開番号】特開2017-138505(P2017-138505A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】大貫 富夫
【審査官】 堀川 あゆ美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−142674(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0223944(US,A1)
【文献】 特開2009−145373(JP,A)
【文献】 特開2009−205116(JP,A)
【文献】 特開2014−174495(JP,A)
【文献】 特開2011−137870(JP,A)
【文献】 特開2011−242611(JP,A)
【文献】 特開2007−219437(JP,A)
【文献】 特開2005−031327(JP,A)
【文献】 特開2010−128434(JP,A)
【文献】 特開2006−091298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を保持する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体に前記現像剤を供給する供給部材と、
前記供給部材との間で前記現像剤を受渡部にて受け渡しつつ搬送する搬送羽根、及び前記受渡部より搬送方向下流側に前記搬送羽根と同一の外径を有し且つ前記搬送羽根よりピッチが小さく連続して設けられ現像剤を搬送方向上流側へ押し戻すように搬送する排出用の搬送羽根を介して余剰現像剤を排出する排出部を有し、前記搬送羽根及び前記排出用の搬送羽根の上部が装置ハウジングにより覆われる搬送部材と、
前記排出部より搬送方向上流側でトナー濃度を検出する検出手段と、
前記現像剤の搬送方向に沿った下流側の端部に前記装置ハウジングの内面に接触せず前記現像剤に半径方向外方への搬送力を作用させない切欠き部を有し、前記搬送部材の前記検出手段に対応した領域に前記現像剤を滞留させる滞留部材と、
を備える現像装置。
【請求項2】
前記滞留部材は、前記搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて設けられた平板状部材からなり、前記切欠き部は、前記平板状部材の一部を切り欠いて形成される請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記滞留部材は、前記搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて突出し且つ前記搬送部材の搬送方向及び周方向に沿って間隔を隔てて設けられた円柱形状部材からなる請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記滞留部材は、前記搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて軸方向と交差する方向に傾斜して突出し、且つ前記搬送部材の搬送方向に沿って間隔を隔てて設けられた矩形状部材からなる請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
静電潜像を保持する像保持体と、
前記像保持体の静電潜像を現像する現像手段と、
を備え、
前記現像手段として請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置としては、装置筐体の内部に収容された現像剤のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段を備えたものがある。かかる現像装置に関連する技術としては、例えば、特許文献1及び2等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、現像剤受け渡し部における現像剤の凝集や固着を効果的に抑制するため、攪拌搬送部材は、トナー濃度を検出するトナーセンサーが配置される現像剤受け渡し部に対向する部分に、回転軸が欠損するとともに回転軸と平行な複数のリブを含むパドル部が形成されるように構成したものである。
【0004】
特許文献2は、現像剤の圧力の不足によるトナー濃度の検知精度の低下を抑えるため、現像剤搬送部材の回転軸線方向における少なくともトナー濃度検知手段との対向領域に、回転軸部材を中心にして公転するシャベル状の構造体を設けるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−60017号公報
【特許文献2】特開2009−222927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、検出手段に対応した領域に現像剤を滞留させる滞留部材が、現像剤に対して半径方向外方への搬送力を作用させない非作用部を有しない場合に比較して、現像剤が過剰に排出されるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、現像剤を保持する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体に前記現像剤を供給する供給部材と、
前記供給部材との間で前記現像剤を受渡部にて受け渡しつつ搬送する搬送羽根、及び前記受渡部より搬送方向下流側に前記搬送羽根と同一の外径を有し且つ前記搬送羽根よりピッチが小さく連続して設けられ現像剤を搬送方向上流側へ押し戻すように搬送する排出用の搬送羽根を介して余剰現像剤を排出する排出部を有し、前記搬送羽根及び前記排出用の搬送羽根の上部が装置ハウジングにより覆われる搬送部材と、
前記排出部より搬送方向上流側でトナー濃度を検出する検出手段と、
前記現像剤の搬送方向に沿った下流側の端部に前記装置ハウジングの内面に接触せず前記現像剤に半径方向外方への搬送力を作用させない切欠き部を有し、前記搬送部材の前記検出手段に対応した領域に前記現像剤を滞留させる滞留部材と、
を備える現像装置である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、前記滞留部材は、前記搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて設けられた平板状部材からなり、前記切欠き部は、前記平板状部材の一部を切り欠いて形成される請求項1に記載の現像装置である。
【0009】
請求項3に記載された発明は、前記滞留部材は、前記搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて突出し且つ前記搬送部材の搬送方向及び周方向に沿って間隔を隔てて設けられた円柱形状部材からなる請求項1に記載の現像装置である。
【0010】
請求項4に記載された発明は、前記滞留部材は、前記搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて軸方向と交差する方向に傾斜して突出し、且つ前記搬送部材の搬送方向に沿って間隔を隔てて設けられた矩形状部材からなる請求項1に記載の現像装置である。
【0011】
請求項5に記載された発明は、静電潜像を保持する像保持体と、
前記像保持体の静電潜像を現像する現像手段と、
を備え、
前記現像手段として請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、検出手段に対応した領域に現像剤を滞留させる滞留部材が、現像剤に対して半径方向外方への搬送力を作用させない切欠き部を有しない場合に比較して、現像剤が過剰に排出されるのを抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、滞留部材が、搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて設けられた平板状部材からなり、切欠き部を、前記平板状部材の一部を切り欠いて形成しない場合に比較して、滞留部材の構成が容易となる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、滞留部材を、搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて突出し且つ搬送部材の搬送方向及び周方向に沿って間隔を隔てて設けられた円柱形状部材から構成しない場合に比較して、滞留部材の設定が容易となる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、滞留部材を、搬送部材の回転軸の外周に半径方向へ向けて軸方向と交差する方向に傾斜して突出し、且つ搬送部材の搬送方向に沿って間隔を隔てて設けられた矩形状部材から構成しない場合に比較して、滞留部材の設定が容易となる。
【0016】
請求項5に記載された発明によれば、現像手段として請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置を用いない場合に比較して、現像剤が過剰に排出されるのを抑制することができ、画質低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態1に係る現像装置を適用した画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の画像形成部を示す構成図である。
図3】同図(a)はこの発明の実施の形態1に係る現像装置を示す正面構成図、同図(b)は同現像装置を示す上部ハウジングを除いた平面構成図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る現像装置の要部を示す平面構成図である。
図5】撹拌搬送部材を示す正面構成図である。
図6】撹拌搬送部材を示す斜視構成図である。
図7】従来の撹拌搬送部材の作用を示す構成図である。
図8】この実施の形態1の撹拌搬送部材の作用を示す構成図である。
図9】実験例を示すグラフである。
図10】参考例を示すグラフである。
図11】比較例を示すグラフである。
図12】同図(a)〜(g)はこの発明の実施の形態2に係る現像装置の要部をそれぞれ示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る現像装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
【0020】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、図中の1aは画像形成装置1の本体を示し、この本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。また、図中の一点鎖線は、装置本体1a内において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
【0021】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、本体1aの内部空間において水平方向に沿って1列に並べた状態となるよう配置されている。
【0022】
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図1図2に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11(Y,M,C,K)を備えており、この感光体ドラム11(Y,M,C,K)の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11(Y,M,C,K)の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12(Y,M,C,K)と、感光体ドラム11(Y,M,C,K)の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある各色用の静電潜像を形成する露光装置13(Y,M,C,K)と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15(Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K)等である。
【0023】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
【0024】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性(負極性)と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
【0025】
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き実線)を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して半導体レーザ131により偏向走査して静電潜像を形成するものである。露光装置13は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10Y,10M,10C,10Kに対応してそれぞれ備えられている。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力されるフルカラー又は白黒に対応した画像の情報(信号)が送信される。なお、露光装置13としては、各作像装置10の感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものを用いても良い。
【0026】
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された装置ハウジング140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像剤保持体の一例としての現像ロール141と、現像剤4を撹拌しながら現像ロール141に供給するスクリューオーガー等の供給搬送部材142と、供給搬送部材142との間で現像剤4を遣り取りしながら撹拌しつつ搬送するスクリューオーガー等の撹拌搬送部材143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。上記4色の各現像剤4(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。なお、現像装置14(Y,M,C,K)については、後に詳述する。
【0027】
一次転写装置15(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0028】
ドラム清掃装置16は、図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体16aと、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板16bと、清掃板16bで取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材16c等で構成されている。清掃板16bとしては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばクリーニングブレード)が使用される。
【0029】
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜26と、ベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで主に構成されている。
【0030】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23,24は中間転写ベルト21の画像形成面を形成する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール25は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロール及び中間転写ベルト21の蛇行を補正する蛇行補正ロールとして構成され、ベルト支持ロール26は二次転写の背面支持ロールとして構成されている。
【0031】
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写手段を構成する二次転写ロール31を備えた接触型の転写装置である。二次転写装置30は、二次転写ロール31とバックアップロールとしてのベルト支持ロール26とから構成されている。また、二次転写ロール31又はベルト支持ロール26には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
【0032】
ベルト清掃装置27は、ドラム清掃装置16と同様に構成され、一部が開口する容器状の本体と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する図示しない清掃板と、清掃板で取り除いたトナー等の付着物を回収して回収システムに送り出すよう搬送する図示しないスクリューオーガー等の送出部材等で構成されている。
【0033】
定着装置40は、表面温度が所要の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるベルト形態又はロール形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。定着装置40は、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0034】
給紙装置50は、中間転写装置20の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
【0035】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、トレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0036】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対53,54や図示しない搬送ガイド等で構成される給紙搬送路55が設けられている。用紙搬送ロール対54は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30の二次転写ロール31から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するための搬送ベルト56が設けられている。さらに、本体1aに形成される用紙の排出口に近い部分には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を本体1aの側面に設けられた図示しない用紙排出部に排出するための用紙排出ロール対57が配置されている。
【0037】
また、給紙装置50は、本体1aの外部に配置される図示しない大容量の用紙収容体から記録用紙5を搬送するための複数の用紙搬送ロール対58や図示しない搬送ガイド等で構成される給紙搬送路59を備えている。
【0038】
図1中、符号145(Y,M,C,K)は、紙面に直交する方向に沿って複数配列され、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容したトナーカートリッジをそれぞれ示している。この実施の形態では、トナーカートリッジ145(Y,M,C,K)の内部にトナーが収容されており、当該トナーには、トリクル用のキャリアが少量充填されている。
【0039】
また、図1中符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
【0040】
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0041】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する動作について説明する。
【0042】
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0043】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)では、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、各露光装置13が帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0044】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0045】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
【0046】
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
【0047】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路55に送り出す。給紙搬送路55では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対54が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0048】
二次転写位置においては、二次転写装置30の二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0049】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に搬送ベルト56を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対57により、本体1aの側方に設置された図示しない用紙排出部に排出される。
【0050】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラーの画像が形成された記録用紙5が出力される。
【0051】
<現像装置の構成>
図2はこの実施の形態1に係る現像装置を示す断面構成図である。
【0052】
現像装置14は、装置筐体の一例としての装置ハウジング140を備えている。装置ハウジング140は、大別して、現像装置14の下部に配置される下部ハウジング140aと、現像装置14の上部に配置される上部ハウジング140bとを有している。下部ハウジング140aと上部ハウジング140bは、図示しないスペーサ部材を介して接合されており、装置ハウジング140の内部には、二成分現像剤4を収容する現像剤収容室146が形成されている。装置ハウジング140の感光体ドラム11と対向する領域には、開口部147が設けられている。また、装置ハウジング140の内部には、現像剤保持体の一例としての現像ロール141が開口部147から一部露出するよう矢印方向に沿って回転可能に配置されている。現像ロール141は、内部に固定して配置され、所要の位置に所要極性の磁極が配置されたマグネットロール141bと、マグネットロール141bの外周に矢印方向に沿って所要の速度で回転可能に配置される現像スリーブ141aとを有している。現像スリーブ141aは、アルミニウムや非磁性ステンレス等からなる非磁性材料により円筒形状に形成される。
【0053】
この実施の形態では、現像スリーブ141aの回転方向が感光体ドラム11の回転方向と逆方向に設定されている。すなわち、感光体ドラム11の回転方向は、図2に示されるように、時計回り方向に設定されている。これに対して、現像スリーブ141aの回転方向は、反時計回り方向に設定されている。その結果、現像スリーブ141aの外周面は、感光体ドラム11と対向する現像領域において、感光体ドラム11表面の移動方向と同方向に移動する。なお、現像スリーブ141aの回転方向は、感光体ドラム11の回転方向と同方向に設定しても良い。
【0054】
装置ハウジング140の内部には、現像剤収容室146内の現像剤4を汲み上げて現像ロール141に供給するスクリューオーガー(サプライオーガー)等からなる供給搬送部材142が現像ロール141の斜め下方に配置されている。また、装置ハウジング140の内部には、当該装置ハウジング140の内部に供給される現像剤4を撹拌しつつ搬送するスクリューオーガー(アドミックスオーガー)等からなる撹拌搬送部材143が、供給搬送部材142の水平方向に沿った背面側に配置されている。撹拌搬送部材143も図示しない駆動装置によって時計回り方向に回転駆動される。
【0055】
下部ハウジング140aには、供給搬送部材142及び撹拌搬送部材143を収容するため、断面略半円筒形状に形成された第1の収容部148及び第2の収容部149が設けられている。第1の収容部148及び第2の収容部149は、下部ハウジング140aに設けられた仕切り壁150によって仕切られている。
【0056】
また、仕切り壁150の長手方向に沿った両端部には、図3(b)に示されるように、供給搬送部材142と撹拌搬送部材143との間で現像剤4を受け渡す第1及び第2の通路部151,152がそれぞれ設けられている。また、撹拌搬送部材143の軸方向に沿った一方の端部は、装置ハウジング140の背面側に突出するように延長されている。装置ハウジング140には、撹拌搬送部材143の延長部分143cに対応して角筒形状の供給部153が突出するように設けられている。また、供給部153の上面には、トナーカートリッジ145(Y,M,C,K)から対応する色の現像剤4が供給される供給口154が開口されている。
【0057】
供給搬送部材142及び撹拌搬送部材143は、図3(b)に示されるように、円柱形状に形成された回転軸142a,143aと、回転軸142a,143aの外周に軸方向に沿って螺旋状に一体的に形成された搬送羽根142b,143bとを有している。
【0058】
ところで、現像装置14は、当該現像装置14を経時的に使用する間に、二成分現像剤4を構成するキャリアにトナーやトナーの外添剤等が付着して現像剤4が劣化し、トナーとキャリアを混合した状態で撹拌しつつ搬送する際にトナーを摩擦帯電させるキャリアの帯電性能が低下する。キャリアによるトナーの帯電性能が低下するとトナーの帯電不良が発生し、トナーの帯電不良に起因した濃度低下やかぶり等の画質低下が生じることが知られている。
【0059】
そこで、この実施の形態に係る現像装置14は、トナーの帯電不良に起因した画質低下の発生を抑制するため、現像装置14の装置ハウジング140の内部にキャリアを含む現像剤4を供給しつつ、装置ハウジング140内に収容された現像剤4のうち過剰な現像剤を外部に徐々に排出する所謂トリクル現像方式を採用している。
【0060】
現像装置14の装置ハウジング140の内部には、図4に示されるように、撹拌搬送部材143の搬送方向に沿った下流側の端部に、余剰な現像剤4を排出するための排出用の搬送羽根155が設けられている。排出用の搬送羽根155は、現像剤4の搬送方向が撹拌搬送部材143の搬送羽根143bと逆方向に設定されている。また、排出用の搬送羽根155は、ピッチが撹拌搬送部材143の搬送羽根143bより狭く(小さく)設定されている。排出用の搬送羽根155は、現像剤4の搬送能力が撹拌搬送部材143の搬送羽根143bより小さく、撹拌搬送部材143の回転に伴って当該撹拌搬送部材143の搬送羽根143bにより下流側へと搬送される現像剤4を上流側へ押し戻すように搬送する。上流側へ押し戻された現像剤4は、第1の通路部151を通して供給搬送部材142へと受け渡される。そのため、装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4の総量は、通常、所要の値に維持されている。
【0061】
一方、現像装置14の装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4の総量が所要の値を超えた場合には、第2の収容部149に収容されて撹拌搬送部材143の搬送羽根143bにより下流側へと搬送される現像剤4のうち、余剰な現像剤が排出用の搬送羽根155を乗り越えて下流側へと搬送されるようになる。撹拌搬送部材143には、図5に示されるように、排出用の搬送羽根155の下流側に現像剤4を撹拌搬送部材143の搬送方向に沿った下流側へと搬送する補助搬送羽根156が設けられている。補助搬送羽根156は、ピッチが排出用の搬送羽根155と略等しく、外径が排出用の搬送羽根155より小さく設定されている。また、補助搬送羽根156の外周に形成される図示しない搬送通路は、当該補助搬送羽根156の外径に応じて小さく設定されている。そのため、補助搬送羽根156による現像剤の搬送量は、排出用の搬送羽根155よりも大幅に少ない。また、補助搬送羽根156の軸方向に沿った先端部に位置する装置ハウジング140には、余剰現像剤を装置ハウジング140の外部に排出する図示しない排出口が下向きに開口されている。排出口から排出された余剰現像剤は、図示しない回収装置により回収される。
【0062】
また、この実施の形態では、図4に示されるように、余剰現像剤を排出する排出用の搬送羽根155より現像剤4の搬送方向に沿った上流側に、装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4のトナー濃度を検出する検出手段の一例としてのトナー濃度センサー160を備えている。トナー濃度センサー160は、撹拌搬送部材143の搬送方向に沿った下流側の端部近傍であって、第1の通路部151の上流側に隣接した位置に配置されている。トナー濃度センサー160としては、現像剤4の透磁率を検出することにより当該現像剤4中のトナー濃度を求める透磁率センサーが用いられる。トナー濃度センサー160は、図2に示されるように、円柱形状に形成された検出部161が撹拌搬送部材143を収容した第2の収容部149の内壁に露出するよう取り付けられている。
【0063】
また、撹拌搬送部材143には、図5及び図6に示されるように、トナー濃度センサー160の検出部161と対向する領域に、当該トナー濃度センサー160の検出部161の前面に存在する現像剤4を周方向に沿って撹拌することにより、検出部161に現像剤4が付着して検出誤差が生じるのを抑制する撹拌部材の一例として平板状のパドル162が一体的に設けられている。
【0064】
一方、近年、上記の如く構成される現像装置14は、画像形成装置1に求められる生産性の向上に応えるべく、感光体ドラム11とともに、現像ロール141や撹拌搬送部材143等の回転速度が増速されて高速化する傾向にある。現像装置14において現像ロール141等の回転速度を増速した場合には、図7に示されるように、現像剤4を回転軸143aの周方向に沿って撹拌するパドル162により第2の収容部149内に収容された現像剤4が掻き上げられて飛散し、排出用の搬送羽根155を超えて補助搬送羽根156へと到達する現像剤4が存在することが判明した。
【0065】
撹拌搬送部材143のパドル162により掻き上げられた現像剤4が補助搬送羽根156へ到達すると、第2の収容部149内に収容された現像剤量が所要の値を越えておらず、本来排出されるべきでない現像剤4が補助搬送羽根156により排出口から排出されることになる。そのため、装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4が過剰に排出されてしまい、装置ハウジング140内の現像剤4の総量が本来存在すべき現像剤量よりも減少する。すると、供給搬送部材142により現像ロール141へと供給される現像剤4の量が減少し、感光体ドラム11表面の現像されるべき画像に濃度低下等の画質欠陥が発生する虞れがある。
【0066】
そこで、この実施の形態では、現像ロール141等の回転速度を高速化させることに伴う現像剤4の過剰な流出を抑制するため、パドル162に、図4及び図5に示されるように、現像剤4に対して回転軸143aの半径方向外方への搬送力を作用させない非作用部の一例としての切欠き部163を設けている。
【0067】
さらに説明すると、この実施の形態に係る現像装置14のパドル162には、図4及び図5に示されるように、トナー濃度センサー160の検出部161と対向する領域において、撹拌搬送部材143の現像剤4の搬送方向に沿った下流側に位置する搬送羽根143bに連結される部分に、所要の幅Wの切欠き部163が設けられている。このパドル162に設けられた切欠き部163は、パドル162が回転した場合であっても現像剤4と接触することがないため、現像剤4に対して半径方向外方への搬送力を作用させることが不可能な非作用部を構成している。
【0068】
これに対して、従来のパドル162は、図7に示されるように、撹拌搬送部材143の搬送方向に沿って隣接する搬送羽根143bの間を連結するようにパドル162が設けられている。そのため、パドル162が回転した場合には、パドル162の搬送方向に沿った全領域が現像剤4と接触し、現像剤4に対して半径方向外方への搬送力を作用させ、現像ロール141や撹拌搬送部材143等の回転速度を高速化させると、現像剤4を掻き上げて飛散させることとなる。
【0069】
<現像装置の特徴部分の動作>
実施の形態1に係る現像装置14では、図2に示されるように、画像形成動作に伴って、現像ロール141、供給搬送部材142及び撹拌搬送部材143が図示しない駆動装置によって矢印方向にそれぞれ回転駆動される。装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4は、供給搬送部材142及び撹拌搬送部材143の回転に伴って撹拌しつつ搬送され、供給搬送部材142から現像ロール141へと供給され、現像ロール141によって感光体ドラム11と対向する現像領域へと搬送されて、感光体ドラム11表面の静電潜像を現像する。
【0070】
また、装置ハウジング140の内部には、図3(b)に示されるように、所要のタイミングで供給口154から新たな現像剤が供給される。装置ハウジング140の内部に供給された新たな現像剤は、撹拌搬送部材143によって搬送される間に装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4と撹拌され、第1及び第2の通路部151,152を介して供給搬送部材142へ搬送されて、現像ロール141へと供給される。
【0071】
このように、現像装置14の装置ハウジング140の内部に新たな現像剤が徐々に供給されると、装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4の総量が所要の値を超えることとなる。装置ハウジング140の内部に収容された現像剤4の総量が所要の値を超えた場合には、図4及び図5に示されるように、第2の収容部149に収容されて撹拌搬送部材143の搬送羽根143bにより下流側へと搬送される現像剤4のうち、余剰な現像剤が排出用の搬送羽根155を乗り越えて下流側へと搬送され、補助搬送羽根156によって余剰現像剤が装置ハウジング140の図示しない排出口から外部に排出される。
【0072】
ところで、上記の如く構成される現像装置14は、画像形成装置1に求められる生産性の向上に応えるべく、現像ロール141や撹拌搬送部材143等の回転速度が増速されて高速化する傾向にある。現像装置14において現像ロール141等の回転速度を増速した場合には、撹拌搬送部材143のパドル162によって第2の収容部149内に収容された現像剤4が掻き上げられて飛散しやすくなる。
【0073】
この実施の形態では、図4及び図5に示されるように、パドル162の現像剤の搬送方向に沿った下流側の端部に、現像剤4に対して回転軸143aの半径方向外方への搬送力を作用させない切欠き部163を設けている。そのため、この実施の形態に係る現像装置14のパドル162では、図8に示されるように、撹拌搬送部材143の回転に伴って当該パドル162によって掻き上げられる現像剤4の量が、切欠き部163が設けられている分だけ減少し、パドル162によって掻き上げられて飛散した現像剤4が排出用の搬送羽根155を乗り越えて下流側に位置する補助搬送羽根156に到達することが抑制される。
【0074】
したがって、この実施の形態に係る現像装置14では、現像ロール141や撹拌搬送部材143等の回転速度を増速した場合であっても、パドル162によって現像剤4が掻き上げられて飛散し、補助搬送羽根156に到達して当該補助搬送羽根156によって排出口から排出されることが防止乃至抑制される。そのため、現像装置14では、現像ロール141や撹拌搬送部材143等の回転速度を増速した場合であっても、装置ハウジング140の内部の現像剤4の総量が略適正な値に維持され、現像濃度の低下等が生じるのを回避することができる。
【0075】
実験例
次に、本発明者らは、上記実施の形態1に係る現像装置の効果を確認するため、図2に示されるような画像形成装置1のベンチモデルを試作し、現像装置14の装置ハウジング140内の現像剤4の総量を確認する実験を行った。なお、画像形成装置1の生産性は、A4サイズの記録用紙5に毎分100枚画像を形成する100ppmに設定した。
【0076】
図9は上記実験例の結果を示すグラフである。
【0077】
この図9から明らかなように、現像装置14の装置ハウジング140内の現像剤4の総量は、設定値である略480g程度に収斂させることができることが判った。
【0078】
なお、図10は参考例の結果を示したものである。この参考例は、パドル162そのものを撹拌搬送部材143から削除し、現像剤4に対して半径方向外方への搬送力をまったく作用させないように構成したものである。
【0079】
この参考例の場合には、図10から明らかなように、現像ロール141等の回転速度を100ppmの生産性に対応した速度に増速しても、装置ハウジング140内の現像剤4の総量が設定値である略480g程度に近づくと、1分当たりの現像剤の排出量が急激に増加し、装置ハウジング140内の現像剤4の総量を設定値に略等しく保持することが可能であることが判る。
【0080】
比較例
次に、本発明者らは、図7に示されるように、比較例として撹拌搬送部材143の現像剤の搬送方向に沿った隣接する搬送羽根143bの間にわたり全面にパドル162を設けた従来の現像装置14を用いた画像形成装置1のベンチモデルを試作し、現像装置14の装置ハウジング140内の現像剤4の総量を確認する実験を行った。なお、画像形成装置1の生産性は、A4サイズの記録用紙5に毎分100枚画像を形成する100ppmに設定した。
【0081】
図11は上記比較例の結果を示すグラフである。なお、図11では縦軸のスケールが図9及び図10と異なる。
【0082】
この図11から明らかなように、現像装置14の装置ハウジング140内の現像剤4の総量は、設定値である略480g程度に達する以前に現像剤の排出量が急激に増加してしまい、装置ハウジング140内の現像剤4が過剰に排出されてしまっていることが判る。
【0083】
このように、上記実施の形態によれば、トナー濃度センサー160に対応した領域に現像剤4を滞留させるパドル162が、現像剤4に対して半径方向外方への搬送力を作用させない非作用部を有しない場合に比較して、現像剤4が過剰に排出されることが抑制される。
【0084】
[実施の形態2]
図12はこの発明の実施の形態2に係る現像装置の要部を拡大して示している。
【0085】
この実施の形態2では、図12(a)〜(g)に示されるように、パドル162に設けられる切欠き部163の形状がそれぞれ異なっている。
【0086】
図12(a)に示される実施形態では、パドル162を正面略正三角形状に形成された複数の板体164から構成しており、各板体164の間及びパドル162の現像剤搬送方向に沿った下流側に切り欠いた切欠き部163を設けている。
【0087】
図12(b)に示される実施形態では、パドル162を現像剤搬送方向に沿った上流側から下流側に向けて高さを直線的に低く形成した三角形状に形成された1枚の板体165から構成しており、板体165の上部に切り欠いた切欠き部163を設けている。
【0088】
図12(c)に示される実施形態では、平板状に形成されたパドル162の内部に現像剤搬送方向に沿った下流側に向けて切欠き部の面積を増大させた切欠き部163を設けている。
【0089】
図12(d)に示される実施形態では、平板167として形成されたパドル162の上部に現像剤搬送方向に沿った下流側に向けて切欠き部の面積を増大させた切欠き部163を設けている。
【0090】
図12(e)に示される実施形態では、平板168として形成されたパドル162を回転軸143aの外周に先端部168aが回転方向の上流側に向けて傾斜するように配置し、平板168の基端部168bに現像剤に対して半径方向外方への搬送力を作用させない切欠き部163を設けている。
【0091】
図12(f)に示される実施形態では、パドル162を平板ではなく、回転軸143aの外周に植設した複数の棒状部材169から構成し、複数の棒状部材169の間に現像剤に対して半径方向外方への搬送力を作用させない切欠き部163を設けている。
【0092】
図12(g)に示される実施形態では、パドル162を連続した平板ではなく、回転軸143aの外周に傾斜させて植設した複数の平板状部材170から構成し、複数の平板状部材170の間に現像剤に対して半径方向外方への搬送力を作用させない切欠き部163を設けている。
【符号の説明】
【0093】
1…画像形成装置
14…現像装置
143…撹拌搬送部材
143a…回転軸
143b…搬送羽根
162…パドル
163…切欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12