【実施例】
【0026】
次に、本発明の効果を実施例および比較例を用いて説明する。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
【0027】
(1)表面粗さ(Sa)
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、
下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用
し、最大突起高さ(P)は5回測定の最大値を採用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:50倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 187×139μm
【0028】
(2)貯蔵弾性率測定
接着層の単層シートを複数枚積層し、厚さ0.6mmの測定用積層シートを作成した。得られた積層体から、直径8mmの円柱体(高さ0.6mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。次いで、JIS K7244−6に準拠し、粘弾性測定装置(Physica社製,MCR300)を用いてねじりせん断法により、以下の条件で貯蔵弾性率(MPa)を測定した。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃
【0029】
(3)積層フィルムの層厚み
ミクロトームを用いてフィルムを切削し、フィルム表面に垂直な断面を得た。光学顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSE LV100、倍率50倍)を用いて断面を観察し、厚みを算出した。
【0030】
(セラミックグリーンシート加工評価)
(4)セラミックグリーンシート圧着性
(a)評価用セラミックグリーンシートの作製
チタン酸バリウム系誘電体セラミック粉末100質量部に対し、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール5質量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート30質量部とを配合し、さらに容量比でトルエン及びエタノールを1:1で含む溶剤を添加し、10〜20時間湿式混合してセラミックスラリーを作製した。得られたセラミックスラリーを用い、セラミックグリーンシート製造用離型積層フィルムの離型層(A)側にドクターブレード法により、乾燥後の厚みが2μmとなるようにセラミックスラリーを塗布し、120℃で乾燥し評価用セラミックグリーンシートを作製した。
(b)擬似被着体の作製
導電性ペースト剤(東洋紡社製、DW-114L-1)を、ガラス板上に、スクリーン印刷で乾燥後の膜厚が1μmになるようにパターン塗布、80℃で1分乾燥し、擬似被着体を作製した。
(c)評価
熱ラミネーターを用い、温度80℃、面圧100MPaで、擬似被着体上に、評価用セラミックグリーンシートを圧着し、評価用サンプルを作製した。作製したサンプルをガラス面から顕微鏡観察し、擬似被着体の段差部分の気泡有無を確認した。
気泡が発生 : ×
気泡発生無し : ○
【0031】
(離型層形成用塗布液1の調整)
カチオン重合性紫外線硬化型シリコーン樹脂(荒川化学工業社製、シリコリース UV POLY215、固形分100%)100質量部に、光開始剤(荒川化学工業社製、シリコリース UV CATA211、固形分18%)10質量部を添加して調製したカチオン重合性紫外線硬化型シリコーン組成物を、酢酸エチル/イソプロピルアルコール(IPA)=50/50(質量部)の有機溶剤で固形分5%になるように希釈し離型層形成用塗布液1を得た。
【0032】
(離型層形成用塗布液2の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(固形分100%)94質量部と、ポリエーテル変性アクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン(ビッグケミー・ジャパン社製、BYK−3500、固形分100%)1質量部と、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤[BASF社製、IRGACURE907、固形分100%]5質量部を、イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン混合溶剤(質量比3/1)で希釈して、固形分20質量%の離型層形成用塗布液2を調製した。
【0033】
(接着層形成用塗布液3の調製)
ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA)質量比=90:10、重量平均分子量60万)100質量部に、エポキシ系架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、製品名「TETRAD−C」、濃度100%)0.025質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度40質量%の接着層形成用塗布液3を調製した。接着層形成用塗布液3は、粘着剤用塗布液と呼ばれるものと言える。
【0034】
(接着層形成用塗布液4の調製)
(メタ)アクリル酸エステル系重合体を主成分とする粘着剤(綜研化学社製,SKダイン1502C,固形分40質量%)100質量部と、イソシアネート系架橋剤(東洋インキ製造社製,BHS8515,固形分37.5質量%)1質量部と、溶剤としてのメチルエチルケトン35質量部とを混合し、接着層形成用塗布液4を調製した。接着層形成用塗布液4は、粘着剤用塗布液と呼ばれるものと言える。
【0035】
(ポリエチレンテレフタレートペレット(a)の調製)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用い、TPAを2トン/hrとし、EGをTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間で、255℃で反応させた。次いで、上記第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成ポリマー(生成PET)に対し8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウムを含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が20ppmのとなる量のTMPAを含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1.5時間で、260℃で反応させた。次いで、上記第2エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、さらに生成PETに対してP原子が20ppmのとなる量のTMPAを含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間0.5時間で、260℃で反応させた。上記第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、さらに、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度5μm粒子90%カット)で濾過し、極限粘度0.630dl/gのポリエステルペレット(a)を得た。
【0036】
(シリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレートペレット(b)の調製)
平均粒子径が2.5μmのシリカ粒子(富士シリシア社製)をエチレングリコール中に仕込み、さらに95%カット径が30μmのビスコースレーヨン製フィルターで濾過処理を行ない、シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを得た。シリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレート(b)を次の方法で得た。エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.03質量部および酢酸マグネシウム4水和物を0.088質量部、トリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm2、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.040質量部を添加した。さらに、260℃に昇温し、リン酸トリメチルを添加した15分後に、上記シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、生成ポリエステルに対して、10000ppmとなるよう添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃の減圧下で重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロンフィルター(日本精線(株)製)で濾過処理を行い、固有粘度が0.63dl/gのシリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレートマスターペレット(b)を得た。
【0037】
(ポリエチレンテレフタレートペレット(c)の調製)
ポリエチレンテレフタレートペレット(a)と同様の方法にて極限粘度を0.580dl/gに調整し、ポリエチレンテレフタレートペレット(c)を得た。
【0038】
上記のポリエチレンテレフタレートペレット(c)を50質量%、マスターペレット(b)を、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(a)で所定割合にて希釈し、180℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、押出機1に、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(a)を押出機2にそれぞれ供給し、285℃で融解した。この2つのポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、矩形積層部を備えた2層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この未延伸フィルムを長手方向に85℃で3.4倍に延伸した。この一軸フィルムをテンターを用いて幅方向に95℃で4.2倍延伸し、220℃にて5秒間熱処理し、シリカ粒子を含有する層(X層)の厚み及び実質粒子を含有しない層(Y層)の厚み、またシリカ粒子を含有する層(X層)の粒子含有量を表1に示す通りとし、ポリエステルフィルム5〜9を得た。
【0039】
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートフィルム5のシリカ粒子含有層(X層)表面に、ナイフコーターを用いて、乾燥後の膜厚が4μmになるように接着層形成用塗布液4を塗布した。次いで90℃で1分間乾燥し、接着層を形成した。その後、接着層面にポリエチレンテレフタレートフィルム5の平滑面を貼合し積層フィルムを得た。
次いで、積層フィルムの平滑面にマイヤーバーを用いて、離型層形成用塗布液1を乾燥後の膜厚が0.02μmになるように塗布、90℃で30秒間乾燥させた後、紫外線を照射し(積算光量100mJ/cm
2)、離型積層フィルムを得た。
【0040】
(実施例2〜4、比較例1及び2)
実施例1と同様の方法にて、表2中の条件で離型積層フィルムを作成した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】