(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記突出部における上記交差方向の一方端は基端部であり、上記突出部における上記交差方向の他方端は自由端部であり、上記突出部は、上記基端部から上記自由端部に向けて突出しており、上記基端部に対して上記自由端部が上記移動方向に移動することにより屈曲して弾性変形する請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7(交差方向の一例)が定義され、開口22が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、前方から複合機10を視て左右方向9が定義される。
【0029】
[複合機10の全体構成]
複合機10(インクジェット記録装置の一例)は、プリント機能及びスキャン機能などの各種の機能を有している。複合機10は、
図1に示されるように、プリンタ筐体11(筐体の一例)と、プリンタ筐体11の上方に積層されたスキャナ筐体12とによって、全体として概ね直方体の外形をなしている。また、複合機10の前面には、各種操作ボタン及び液晶表示部を備える操作パネル13が設けられている。
【0030】
プリンタ筐体11は、記録紙19(
図2参照、シートの一例)に画像を記録するプリンタ部14の外壁を構成する。
図2に示されるように、プリンタ部14は、給送トレイ20から搬送された記録紙19に画像を記録し、画像が記録された記録紙19を排出トレイ21に排出する。給送トレイ20及び排出トレイ21は、プリンタ筐体11の前面に形成された開口22(
図1参照)を通じてプリンタ筐体11に対して着脱可能である。スキャナ筐体12(
図1参照)は、フラットベッドスキャナを有する画像読取部の外壁を構成する。画像読取部の詳細な構成は、本実施例においては省略される。
【0031】
[プリンタ部14]
図2に示されるように、給送ローラ25は、給送トレイ20の上方に位置する。給送アーム26は、給送ローラ25を回転自在に支持する。給送トレイ20に支持された複数枚の記録紙19の束の厚みに応じて、給送ローラ25が上下方向7に移動し、給送ローラ25の移動に伴って給送アーム26が回動する。給送ローラ25は、ギア列などの駆動伝達機構27によってモータ(不図示)の回転が伝達されて回転する。給送ローラ25が給送トレイ20上の記録紙19に接触しつつ回転することにより、積載された記録紙19のうち最上位置の記録紙19が搬送路23に給送される。
【0032】
搬送路23は、給送トレイ20の後端部から上方且つプリンタ部14の前方へ曲がって前後方向8に沿って排出トレイ21へ向かってほぼ直線状に延びている。搬送路23は、プリンタ筐体11(
図1参照)の内部において、左右方向9のほぼ中央に位置する。搬送路23には、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55が設けられている。搬送ローラ対54及び排出ローラ対55は、搬送路23において、記録紙19を挟持して搬送向き15に搬送する。給送トレイ20から給送された記録紙19は、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55の少なくともいずれかに搬送されることによって、搬送路23に沿って下方から上方へUターンして記録部24の下方へ到達し、記録部24によって画像記録が行われた後、排出トレイ21へ排出される。
【0033】
記録部24は、インクジェット方式で画像記録を行う。記録部24は、記録ヘッド65及びキャリッジ67を有する。キャリッジ67は、搬送路23の上方に位置する。キャリッジ67は、ベルト駆動機構(不図示)によってモータ(不図示)の駆動が伝達されることによって、左右方向9に沿って延びるガイドレール43、44(
図4から
図6参照)に沿って移動する。記録ヘッド65は、キャリッジ67に搭載されている。記録ヘッド65の下方には、プラテン66が位置する。プラテン66は、キャリッジ67が移動する領域(換言すれば、左右方向9における搬送路23の全域)にわたって延設されており、搬送路23を搬送される記録紙19を下方から支持する。記録ヘッド65は、プラテン66に対向している。キャリッジ67が左右方向9に移動するときに、記録ヘッド65がプラテン66に支持された記録紙19に対して選択的にインクを吐出することにより、記録紙19に画像が記録される。
【0034】
図3に示されるように、記録ヘッド65の下面には、複数のノズル69が開口している。ノズル69は、搬送向き15(
図2参照)に沿って複数が列をなして配置されている。複数のノズル69の列は、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのインク色に対応して4列が形成されている。
【0035】
図4から
図6に示されるように、プリンタ筐体11は、複合機10の前面の一部及び下面を主として構成する下カバー30を有する。複合機10の側面及び後面を主として構成する上カバー29(
図17参照)が、下カバー30の上方に組み付けられてプリンタ筐体11が構成される。
【0036】
下カバー30は、下面を構成する下壁31と、給送トレイ20が収容される空間34を区画する右壁32及び左壁33と、を有する。右壁32及び左壁33は、下壁31から上方へ向かってそれぞれ突出し、かつそれぞれ前後方向8に沿って平行に延出されている。右壁32及び左壁33によって、下壁31における左右方向9の中央部分の空間34が前後方向8に渡って区画されている。下カバー30において、下壁31より上方であって右壁32より右方に空間35が形成されている。空間35には、メンテナンス機構70(
図6参照)、インクリフィルケース61、固定廃インクタンク80(第1廃液貯留部の一例)、及び可動廃インクタンク110(第2廃液貯留部の一例)が収容される。
【0037】
[インクリフィルケース61]
図4から
図6に示されるように、プリンタ部14は、インクリフィルケース61を備えている。インクリフィルケース61は、空間35の前部に位置する。インクリフィルケース61は、前面に開口を有する箱形状である。インクリフィルケース61には、記録ヘッド65に供給するための各色インクを貯留する複数のインクカートリッジ62(
図2参照、インク貯留部の一例)が装着される。各インクカートリッジ62が装着されたインクリフィルケース61から記録ヘッド65には、インク色に対応した複数のチューブ63が延出されており、当該チューブ63を通じてインクカートリッジ62から記録ヘッド65へインクが供給される。下カバー30の開口48を通じて複合機10の前面からインクカートリッジがインクリフィルケース61へ挿入されたり取り出されたりする。
【0038】
インクリフィルケース61及びインクカートリッジ62は、下カバー30の空間35において、キャリッジ67より前方に位置している。換言すると、インクリフィルケース61及びインクカートリッジ62は、前後方向8においてキャリッジ67と重ならない位置、すなわち異なる位置にある。また、インクリフィルケース61及びインクカートリッジ62の右端部は、左右方向9におけるキャリッジ67の移動範囲の右端より右方、すなわち、ガイドレール43、44の右端より右方に位置している。すなわち、左右方向9におけるキャリッジ67の移動範囲の外方に、インクリフィルケース61及びインクカートリッジ62の少なくとも一部が配置される。
【0039】
[メンテナンス機構70]
図6に示されるように、メンテナンス機構70は、記録ヘッド65の移動経路の下方であって、プラテン66の右端よりも右方において、空間35に位置する。なお、メンテナンス機構70は、キャリッジ67が左右方向9における移動範囲の右端に位置する状態において、キャリッジ67の下方に位置する。
図3に示されるように、メンテナンス機構70は、記録ヘッド65の各ノズル69からインクを吸引し、吸引したインクを固定廃インクタンク80に流出するものである。以下、メンテナンス機構70によって各ノズル69から排出されたインクが「廃インク」と称される。なお、
図3では、メンテナンス機構70と固定廃インクタンク80とがチューブ76、77によって接続されていることを示すために、固定廃インクタンク80を模式的に図示しているが、固定廃インクタンク80と他の構成要素との位置関係を示すものではない。
【0040】
図3に示されるように、メンテナンス機構70は、可動部71と、可動部71を上下方向7へ移動させるカム機構72と、チューブ76、77と、ポンプ73と、を有する。可動部71は、ゴム材料からなるキャップ74、75(インク受容部の一例)を有する。キャップ74、75は、キャリッジ67が可動部71の上方に位置するメンテナンス位置に位置するとき、記録ヘッド65の下面と上下方向7に対向する。カム機構72は、モータ(不図示)から駆動力が伝達されて動作し、可動部71を上下方向7へ移動させる。キャップ74、75は、可動部71が上方へ移動すると、記録ヘッド65の下面に当接する。その際、キャップ74がブラックのインクを吐出するノズル69の列を覆い、キャップ75がシアン、マゼンタ、イエローの各ノズル69の列を覆う。キャップ74、75には、チューブ76、77の一端がそれぞれ接続されている。チューブ76、77は、可撓性を有する樹脂チューブである。
【0041】
ポンプ73は、例えば、モータ(不図示)から駆動力が伝達されて動作するロータリ式のチューブポンプである。ポンプ73は、チューブ76、77を通じて記録ヘッド65の下面とキャップ74、75との間の密閉空間に連通されている。キャップ74、75がノズル69を覆った状態においてポンプ73が駆動されると、キャップ74、75内が負圧となり、各ノズル69から排出されたインクがキャップ74、75に受容される。キャップ74、75に受容された廃インクは、ポンプ73の動作によって、チューブ76、77を通じて固定廃インクタンク80に流れ込む。チューブ76の内部空間は、大気が流通する流路であり、チューブ77の内部空間は、廃インクが流通する流路である。
【0042】
[ワイパ45]
図6に示されるように、メンテナンス機構70は、ワイパ45を備えている。ワイパ45は、前後方向8において、記録ヘッド65のノズル69(
図3参照)と同じ位置に位置しており、左右方向9において、ノズル69の移動範囲内であって、キャップ74、75より左方に位置している。ワイパ45は、上下方向7に延び前後方向8に長い形状である。ワイパ45は、例えば、ゴムにより形成されている。
【0043】
ワイパ45は、上下方向7に移動可能である。キャリッジ67が
図4及び
図5に示されるメンテナンス位置に位置するときに、ワイパ45の上端部は、上下方向7においてノズル69と重なる位置に位置する。そして、キャリッジ67が左方へ移動することによって、ワイパ45の上端部がノズル69をワイピングする。キャリッジ67がメンテナンス位置から左方へ移動する過程において、ワイパ45は、上端が基端に対して左方にしなった状態でノズル69をワイピングする。そのため、キャリッジ67がワイパ45の上方を通過した後、ワイパ45は、しなりが戻ることにより上端が右方に移動する。これにより、ワイパ45に付着したインクが右方へ飛散する。右方へ飛散したインクは、後述する可動廃インクタンク110の開口119を通じてインク保持体113によって受け止められる。可動廃インクタンク110の構成については後述される。
【0044】
[固定廃インクタンク80]
図4から
図6に示されるように、固定廃インクタンク80は、下カバー30の空間35における前後方向8の中央部に位置する。固定廃インクタンク80は、キャリッジ67より前方であって、インクリフィルケース61及びインクカートリッジ62より後方に位置している。また、固定廃インクタンク80の左端部は、左右方向9におけるキャリッジ67の移動範囲と重なる位置、すなわち、ガイドレール43、44の右端より左方に位置している。固定廃インクタンク80の右端部は、左右方向9におけるキャリッジ67の移動範囲の右端より右方、すなわち、ガイドレール43、44の右端より右方に位置している。固定廃インクタンク80の後方にメンテナンス機構70が位置する。メンテナンス機構70のチューブ76、77が前方に延出されて固定廃インクタンク80に接続されている。
【0045】
固定廃インクタンク80は、下カバー30に固定されている。
図16に示されるように、固定廃インクタンク80は、例えば、ネジ57により下カバー30に固定されている。具体的には、下カバー30は、前後方向8及び左右方向9において、固定廃インクタンク80が配置されている領域内の位置に、上下方向7に貫通する複数の貫通孔58を有している。また、固定廃インクタンク80は、下壁85Aにおける貫通孔58に対応する位置に、雌ネジが形成された、下壁85Aの下面から上方に凹むネジ穴59を有している。下カバー30の下壁31の下方から貫通孔58を通じて、ネジ穴59にネジ57が挿入されて締付けされることにより、固定廃インクタンク80が下カバー30に固定される。固定廃インクタンク80は、ネジによる固定以外の方法によって下カバー30に固定されていてもよい。例えば下カバー30の下壁31と固定廃インクタンク80とに、互いに係合可能な係合部が備えられており、これらの係合部が互いに係合されることによって固定廃インクタンク80が下カバー30に固定されてもよい。また、下カバー30と固定廃インクタンク80とが一体に形成されていてもよい。
【0046】
図7及び
図8に示されるように、固定廃インクタンク80は、固定廃インクタンクケース81(第1貯留筐体の一例)及びインク保持体83(第1保持体の一例)を有する。
【0047】
図7から
図10に示されるように、固定廃インクタンクケース81は、中空の箱形状であり、上方に開口86を有する。開口86は、平面視においてL字形状であり、固定廃インクタンクケース81の上端によって区画されている。
【0048】
固定廃インクタンクケース81は、左右方向9に延びて前後方向8が薄い薄平な直方体形状の左部87と、左部87の右端に連続して前後方向8に延びて左右方向9が薄い薄平な直方体形状の右部88とから構成される。左部87の内部空間は、上下方向7に延びており、上部の右端において右部88の内部空間と連続している。右部88の内部空間は、前後方向8に延びており、前部の左端において左部87の内部空間と連続している。左部87の内部空間の下端は、右部88の内部空間の下端より下方に位置している。右部88の内部空間の後端は、左部87の内部空間の後端より後方に位置している。
【0049】
具体的には、左部87の内部空間は、前壁91の左半分と、左壁92と、後壁93と、前中壁94と、下壁85Aとにより区画されている。
【0050】
図7及び
図8に示されるように、固定廃インクタンクケース81の前壁91の左半分は、左部87の前端を構成する。前壁91の左半分は、上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。
【0051】
固定廃インクタンクケース81の後壁93は、左部87の後端を構成する。図示されていないが、後壁93は、上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。
【0052】
図7及び
図9に示されるように、固定廃インクタンクケース81の左壁92は、左部87の左端を構成する。左壁92は、上下方向7及び前後方向8に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。
【0053】
図9及び
図10に示されるように、固定廃インクタンクケース81の前中壁94は、左部87の右端を構成する。前中壁94は、上下方向7及び前後方向8に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。前中壁94の上端は、前壁91の左半分の上端及び後壁93の上端より下方に位置している。これにより、左部87の右端の上部において、左部87の内部空間が右部88の内部空間と連通されている。
【0054】
左部87の下端を構成する下壁85Aは、下壁85の一部であり、前後方向8及び左右方向9に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。
【0055】
また、
図9及び
図10に示されるように、右部88の内部空間は、後中壁95と、前壁96と、後壁97と、右壁98と、下壁85Bとにより区画されている。
【0056】
固定廃インクタンクケース81の後中壁95は、右部88の左端を構成する。後中壁95は、上下方向7及び前後方向8に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。
【0057】
固定廃インクタンクケース81の後壁97は、右部88の後端を構成する。後壁97は、上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。
【0058】
図7及び
図8に示されるように、固定廃インクタンクケース81の前壁91の右半分は、右部88の前端を構成する。左右方向9における前壁91の中央と、後中壁95の前端との間は、前後方向8に間隔が空いている。これにより、右部88の内部空間が左部87の内部空間と連通されている。
【0059】
図8に示されるように、固定廃インクタンクケース81の右壁98は、右部88の右端を構成する。右壁98は、上下方向7及び前後方向8に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。
【0060】
図9及び
図10に示されるように、右部88の下端を構成する下壁85Bは、下壁85の一部であり、前後方向8及び左右方向9に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。下壁85Bは、上下方向7において、前中壁94の上端と同一の位置に位置している。
【0061】
また、下壁85Bの後方には、下壁85Bの後端と、後壁97の前面と、後中壁95の右面と、右壁98の左面とによって区画された開口100が形成されている。
【0062】
図7から
図10に示されるように、固定廃インクタンクケース81の内部空間には、インク保持体83が設けられている。インク保持体83は、例えば、フェルト成形品などの繊維材料からなる。固定廃インクタンクケース81の内部空間に流入した廃インクは、繊維材料で形成されたインク保持体83によって吸収されて保持される。
【0063】
インク保持体83は、概ね直方体形状の複数の部分(本実施形態では5つの部分)からなり、固定廃インクタンクケース81の内部空間に充填されて配置されている。
【0064】
図10に示されるように、インク保持体83は、右部88の内部空間に位置する部分の後端部において、下面から下方へ向かって突出する突出部107を有している。突出部107は、左右方向9に延びる薄平な直方体形状である。突出部107は、固定廃インクタンクケース81の開口100から固定廃インクタンクケース81の外部へ突出している。すなわち、突出部107の下端107B(自由端部の一例)は、固定廃インクタンクケース81の下壁85Bよりも下方に延びており、固定廃インクタンクケース81の外部へ露出されている。また、突出部107の基端部107Eは、固定廃インクタンクケース81の開口100に位置している。
【0065】
図7及び
図9に示されるように、固定廃インクタンクケース81には、チューブ76、77がそれぞれ接続されるポート部101、102が設けられている。ポート部101、102は、上下方向7に離間されて配置されている。下方のポート部102は、左壁92から左方へ突出した円管形状である。ポート部102の内部空間は左壁92を貫通している。ポート部102の内部空間は、固定廃インクタンクケース81の内部空間と外部と連通する。ポート部102には、チューブ77が接続される。
【0066】
チューブ77及びポート部102を通じて固定廃インクタンク80の内部空間に廃インクが流入されると、廃インクは、固定廃インクタンク80の内部空間において、まず、左部87におけるポート部102より、インク保持体83に保持・吸収されながら、下方に充満する。その後、廃インクは、インク保持体83を伝わって左部87におけるポート部102より上方に至り、右部88に充填されたインク保持体83に到達する。そして、廃インクは、インク保持体83を伝わって右部88の内部空間の後方へ移動し、さらにインク保持体83の突出部107に到達し、下方へ伝わる。
【0067】
図7に示されるように、左壁92の左面には、下方へ凹む凹部105が形成されている。具体的には、
図9に示されるように、左壁92は、上下方向7の中央部92Aにおいて、中央部92Aから直上に延びる外壁92Bと、右方に屈曲した後、上方へ延びる内壁92Cとに分岐している。凹部105は、外壁92Bと内壁92Cと前壁91と後壁93とによって区画されている。
【0068】
上方のポート部101は、左壁92における外壁92Bから左方へ突出した円管形状であり、ポート部101の内部空間は外壁92Bを貫通している。ポート部101の内部空間は、凹部105の内部空間と外部とを連通する。ポート部101には、チューブ76が接続される。
【0069】
[可動廃インクタンク110]
図4及び
図5に示されるように、可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、可動廃インクタンク110は、下カバー30の空間35における前後方向8の中央より後方に位置する。可動廃インクタンク110は、インクリフィルケース61、インクカートリッジ62及び固定廃インクタンク80より後方に位置している。また、可動廃インクタンク110は、左右方向9におけるキャリッジ67の移動範囲の右端より右方、すなわち、ガイドレール43、44の右端より右方であって、左右方向9においてインクリフィルケース61及びインクカートリッジ62と重なる位置に位置している。すなわち、左右方向9におけるキャリッジ67の移動範囲の外方に、可動廃インクタンク110は位置している。換言すると、左右方向9におけるインクリフィルケース61及びインクカートリッジ62の存在領域と重なる領域であって、且つ、前後方向8におけるキャリッジ67の存在領域と重なる領域に、可動廃インクタンク110が配置されている。また、可動廃インクタンク110は、上下方向7において給送トレイ20と重なる位置にある。
【0070】
図7及び
図8に示されるように、可動廃インクタンク110は、可動廃インクタンクケース111(第2貯留筐体)及びインク保持体113(第2保持体の一例)を有する。
【0071】
可動廃インクタンクケース111は、中空の箱形状であり、上方に開口117を有する。可動廃インクタンクケース111の外形は前後方向8に延びて左右方向9に薄い薄平な概ね直方体である。開口117は、可動廃インクタンクケース111の上端によって区画されている。可動廃インクタンクケース111は、前壁141と、後壁142と、左壁143と、右壁144と、下壁116(
図11参照)とを有し、これらの壁によって囲まれる内部空間にインク保持体113が充填されている。後壁142の上端、並びに後壁142の上端と上下方向7に同一の位置にある左壁143の上端、及び右壁144の上端は、可動廃インクタンク110の上端115を構成し、上端115は、給送トレイ20の上端より上方に位置している。
【0072】
図11に示されるように、可動廃インクタンクケース111の前端の下部は、前端の上部より前方に突出している。可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、可動廃インクタンクケース111の前端の下部は、固定廃インクタンク80の固定廃インクタンクケース81の右部88の下壁85Bの下方に位置する。
【0073】
右壁144は、上下方向7及び前後方向8に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。図示されていないが、右壁144の前端の下部は、右壁144の前端の上部144B(
図8参照)より前方に突出している。
【0074】
図11に示されるように、左壁143は、上下方向7及び前後方向8に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。左壁143の前端の下部143Aは、左壁143の前端の上部143Bより前方に突出している。
【0075】
図7に示されるように、左壁143は、前後方向8の中央部において、上端が下方へ凹む凹部145が形成されており凹部145によって左右方向9に貫通する開口119が形成されている。これにより、ワイパ45が記録ヘッド65のノズル69をワイピングすることによって、ワイパ45に付着したインクが右方に飛散したときに、飛散したインク滴がインク保持体113に付着する。そして、インク滴はインク保持体113によって保持される。
【0076】
左壁143と右壁144とは、凹部145を除いて同一の形状を有しており、上下方向7及び前後方向8において同一の位置に位置している。
【0077】
図11に示されるように、前壁141は、上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。前壁141は、左壁143の前端の下部143Aと、右壁144の前端の下部(不図示)とに架設されている。前壁141の上端は、左壁143の前端の下部143Aの上端より下方に位置している。
【0078】
後壁142は、上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる概ね矩形の平板形状である。後壁142は、左壁143の後端と、右壁144の後端(
図8参照)とに架設されている。
【0079】
可動廃インクタンクケース111の内部空間は、前壁141と、後壁142と、左壁143と、右壁144と、下壁116とによって区画されている。
【0080】
図11に示されるように、可動廃インクタンクケース111には、下壁116の上面から上方へ突出し、かつ左右方向9に沿って延びる2本のリブ118が形成されている。各リブ118の上下方向7の長さは、可動廃インクタンクケース111の上下方向7の長さの約3分の1である。各リブ118の左端及び右端は、左壁143の右面と右壁144の左面とにそれぞれ連続している。各リブ118、前壁141及び後壁142は、前後方向8に間隔を空けて位置している。
【0081】
図7、
図8及び
図11に示されるように、可動廃インクタンクケース111の内部空間には、インク保持体113が設けられている。インク保持体113は、例えば、フェルト成形品などの繊維材料からなる。可動廃インクタンクケース111の内部空間に流入した廃インクは、繊維材料で形成されたインク保持体113によって吸収されて保持される。
【0082】
インク保持体113は、概ね直方体形状であり、
図8に示されるように、複数の部分(本実施形態においては2つの部分)から構成されている。
図11に示されるように、インク保持体113は、前端において上下方向7の中央部から下方にかけて前方へ突出した突部121を有している。突部121は、突部121の上面121Aにおける前端部に、上面121Aから上方へ突出する山部122を有している。突部121の前面の上部には、後方へ向かうにつれて上方へ向かうように上下方向7に対して傾斜した前傾斜面123が形成されている。前傾斜面123の上端部は、山部122の前面である。前傾斜面123は、後方へ向かうほど緩やかに傾斜し、山部122の上端122Aに続いている。山部122において上端122Aより後方には、後傾斜面122Bが形成されている。後傾斜面122Bは、後方へ向かうにつれて下方へ向かうように上下方向7に対して傾斜している。山部122は、前傾斜面123と、上端122Aと、後傾斜面122Bとによって形成される。
【0083】
突部121の上面121Aにおいて、山部122より後方には、後方へ向かうにつれて上方へ向かうように上下方向7に対して傾斜する当接面124が形成されている。当接面124は、後方へ向かうほど急角度に傾斜している。
【0084】
[ガイド部131、132]
図17に示されるように、下カバー30及び上カバー29は、それぞれ一対のガイド部131、132を有している。ガイド部131は、下カバー30の空間35(
図4から
図6参照)における前後方向8の中央より後方であって、装着位置における可動廃インクタンク110の下方に位置している。ガイド部131は、下カバー30の下壁31の上面31Aから上方へ突出して、前後方向8に延びている。一対のガイド部131は、左右方向9に間隔を開けて平行に位置している。一対のガイド部131における互いに対向する内面131Aの間隔は、可動廃インクタンク110の左右方向9の長さに対応している。ガイド部131は、左右方向9における断面が矩形状である。
【0085】
一対のガイド部132は、一対のガイド部131の上方において、上カバー29の下面29Aから下方へ突出している。一対のガイド部132は、一対のガイド部131と同一の形状を有しており、前後方向8及び左右方向9において一対のガイド部131と同一の位置に配置されている。一対のガイド部132における互いに対向する内面132Aの間隔は、可動廃インクタンク110の左右方向9の長さに対応している。
【0086】
可動廃インクタンク110は、装着位置に位置する状態において、左壁143の左面と、右壁144の右面の各下端部がガイド部131の内面131Aにそれぞれ当接し、左壁143の左面と、右壁144の右面の各上端部がガイド部132の内面132Aにそれぞれ当接する。可動廃インクタンク110は、左壁143の左面と、右壁144の右面の各下端部がガイド部131の内面131Aに対して摺動し、左壁143の左面と、右壁144の右面の各上端部がガイド部132の内面132Aに対して摺動することにより、装着位置を前端として、前後方向8に移動可能である。
【0087】
図10に示されるように、固定廃インクタンク80において、後中壁95は、前中壁94よりやや右方に位置している。
【0088】
また、
図8に示されるように、固定廃インクタンク80において、右壁98における上下方向7の中央より上方の上部98Aは、右壁98における上下方向7の中央より下方の下部98Bより左方に位置している。これにより、右壁98における上下方向7の中央には、前後方向8及び左右方向9に沿って拡がる水平部98Cが形成されている。右壁98はの下端部は、後方に延出された延出部98Dを有している。
【0089】
図8に示されるように、左壁143の右面と右壁144の左面との間の長さは、固定廃インクタンク80の固定廃インクタンクケース81の後中壁95の左面と右壁98の上部98Aの右面との間の長さに対応している。また、左壁143の左面と右壁144の右面との間の長さは、固定廃インクタンク80の固定廃インクタンクケース81の前中壁94の右面(
図9参照)と右壁98の下部98Bの左面との間の長さに対応している。
【0090】
図7及び
図8に示されるように、可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、可動廃インクタンク110の左壁143と右壁144との間に、固定廃インクタンク80の右部88の前端部が位置する。また、この状態において、可動廃インクタンク110の前端部における下端部が、固定廃インクタンク80の右壁98の下部98Bと前中壁94との間に位置する。この状態で、可動廃インクタンク110の左壁143の前端は、固定廃インクタンク80の左部87の後壁93の後面に当接し、可動廃インクタンク110の右壁144の前端は、固定廃インクタンク80の右壁98の水平部98Cの後端に当接する。これにより、可動廃インクタンク110が装着位置より前方に移動することが規制される。
【0091】
また、可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、可動廃インクタンク110が備える図示しない係合部と、下カバー30が備える図示しない係合部とが互いに係合する。これにより、可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、意図せずに後方へ移動することが規制される。係合部は、可動廃インクタンク110と固定廃インクタンク80とが係合するように設けられていてもよい。また、可動廃インクタンク110は、プリンタ筐体11に対してネジで固定されてもよい。
【0092】
[電極134、135]
図11から
図15に示されるように、可動廃インクタンク110の可動廃インクタンクケース111は、上前壁146を有している。上前壁は、上下方向7及び左右方向9に沿って拡がる矩形の平板形状である。上前壁146は、可動廃インクタンクケース111の上端部おける前端部に位置している。上前壁146は、可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、固定廃インクタンク80の後壁97より後方に位置している。
【0093】
図11から
図15に示されるように、固定廃インクタンク80には、電極134(センサの一例)が備えられている。電極134は、固定廃インクタンクケース81の後壁97の後面に設けられている。また、可動廃インクタンク110には、電極135(センサの一例)が設けられている。電極135は、可動廃インクタンクケース111の上前壁146の前面に設けられている。電極134、135は、それぞれ演算装置に電気的に接続されている。演算装置は、例えばCPU,ROM,RAMなどからなるものであり、複合機10の制御部として構成されていてもよい。可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態で、電極134と電極135とが当接し、電極134と電極135とが電気的に導通される。演算装置は、電極134と電極135とが電気的に導通したことを検知可能である。演算装置は、電極134と電極135とが電気的に導通したことを検知したことに応じて、例えば、操作パネル13に可動廃インクタンク110が正常に装着された旨のメッセージを表示させる。
【0094】
[可動廃インクタンク110の着脱]
可動廃インクタンク110は、交換可能である。可動廃インクタンク110を脱抜する際には、ユーザは、装着位置に位置する可動廃インクタンク110をプリンタ筐体11の開口47通して後方へ引き出す。可動廃インクタンク110を装着する際には、ユーザは、可動廃インクタンク110をプリンタ筐体11の開口47通して装着位置に向けて押し込む。
【0095】
可動廃インクタンク110が、装着位置に向けて前方へ移動する際、
図12に示される非装着位置(第2位置の一例)から、
図13に示される当接位置を経て、
図14に示される装着位置(第1位置の一例)へ至る。
【0096】
図12に示されるように、非装着位置において、固定廃インクタンク80のインク保持体83における突出部107は、下方へ延びている。この状態において、突出部107の後面107Aの下端107Bは、可動廃インクタンク110のインク保持体113における前傾斜面123の下端123Aより上方であって山部122の上端122Aより下方に位置している。
【0097】
図12に示される可動廃インクタンク110の非装着位置から、可動廃インクタンク110が前方に移動されると、突出部107の後面107Aの下端107Bがインク保持体113の前傾斜面123に当接する。
【0098】
可動廃インクタンク110が更に前方に移動されて、
図13に示される可動廃インクタンク110の当接位置まで至ると、突出部107は、後面107Aの下端107Bが前傾斜面123と当接して停止したまま、上端部が更に前方に移動する。そのため、突出部107が弾性変形して、突出部107の上下方向7の中央部から下が前方へ湾曲する。
【0099】
可動廃インクタンク110が、
図13に示される可動廃インクタンク110の当接位置から更に前方に移動されると、突出部107が更に湾曲されて突出部107の後面107Aの下端部がインク保持体113の前傾斜面123を後方に摺動して山部122の上端122Aまで登る。可動廃インクタンク110が、そのまま前方に移動されると、突出部107の後面107Aが山部122の後傾斜面122Bを後方に摺動して、後傾斜面122Bを下る。その後、可動廃インクタンク110が、更に前方に移動されると、突出部107の後面107Aが当接面124を摺動して、
図14に示される可動廃インクタンク110の装着位置に至る。可動廃インクタンク110の装着位置では、突出部107の後面107Aは、当接面124の傾斜に沿って当接する。この状態において、突出部107は、復元向き150の復元力を発揮する。
【0100】
可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、固定廃インクタンク80のインク保持体83の突出部107は、可動廃インクタンク110のインク保持体113の当接面124と上下方向7に当接する。このとき、突出部107が上に位置し、当接面124が下に位置する状態となる。この状態において、
図18に示されるように、突出部107と当接面124とは、突出部107の溝107Cと当接面124の溝124Aとが互いに?合うように当接する。そのため、溝107C、124Aがない構成と比較して、より広い面積によって当接する。
【0101】
可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、ポート部102を通じて固定廃インクタンク80の内部空間に廃インクが流入される。廃インクは、固定廃インクタンク80の内部空間において、まず、左部87におけるポート部102より、インク保持体83に保持・吸収されながら、下方に充満する。その後、廃インクは、インク保持体83を伝わって左部87におけるポート部102より上方に至り、固定廃インクタンク80の右部88の内部空間に充填されたインク保持体83に到達する。そして、廃インクは、インク保持体83を伝わって右部88の内部空間の後方へ移動し、突出部107まで到達し、突出部107の下端まで下降する。そして、廃インクは、当接面124を介して、可動廃インクタンク110のインク保持体113へ伝わり、保持・吸収される。その後、さらに廃インクは、可動廃インクタンク110内において、インク保持体113の前部から後部に向かって伝わる。これにより、廃インクが可動廃インクタンク110のインク保持体113によって吸収されて保持される。
【0102】
可動廃インクタンク110を脱抜する際には、可動廃インクタンク110が装着位置から後方
(離間向きの一例)へ移動される。この過程において、インク保持体83とインク保持体113との間の摺動抵抗により、突出部107の後面107Aの下端107Bが前方に移動せずに突出部107の上端が前方へ移動する。これにより、
図15に示されるように、突出部107は、上端が下端107Bに対して前方に位置するように湾曲する。そして、インク保持体113の山部122の後傾斜面122Bと突出部107の前面107Dとが当接した状態となる。この状態から可動廃インクタンク110が後方に移動されると、突出部107の前面107Dが山部122の後傾斜面122Bを摺動しながら、突出部107が山部122の上端122Aを後方から前方に乗り越える。このとき、突出部107に吸収されている廃インクを山部122が拭い、突出部107に保持されていた廃インクがインク保持体113の山部122に移る。これにより、可動廃インクタンク110が
図12に示される非装着位置に位置したときに、突出部107の下端から廃インクが下方に垂れることが抑制される。
【0103】
[本実施形態の作用効果]
以上のように、可動廃インクタンク110の着脱により可動廃インクタンク110が移動する方向(前後方向8)と、インク保持体83とインク保持体113とが当接する方向(上下方向7)とが異なる。また、可動廃インクタンク110が非装着位置にある状態でインク保持体83の突出部107とインク保持体113の当接面124とは、上下方向7において位置が重複している。そのため、部品の公差によってインク保持体83とインク保持体113とが当接しないことが抑制される。また、インク保持体83とインク保持体113との当接における圧力により、可動廃インクタンク110が固定廃インクタンク80に対して後方へ移動することが抑制される。その結果、インク保持体83とインク保持体113とが確実に当接する。
【0104】
突出部107が弾性変形して後面107Aが当接面124と当接するので、突出部107の下端部が当接面124と当接する構成と比較して、当接面積を大きくすることができる。
【0105】
可動廃インクタンク110が装着位置から後方へ移動される過程において、突出部107が山部122によってしごかれる。そのため、突出部107が保持しているインクが山部122によって拭われる。その結果、可動廃インクタンク110の外にインクが垂れることが抑制される。更に、インク保持体83から廃インクが直接伝わる箇所であるインク保持体113の当接面124よりも前方に山部122が設けられるているので、廃インクが保持されている量は、当接面124よりも山部122の方が少ない。そのため、廃インクをより確実に山部122で拭うことができる。
【0106】
インク保持体113の当接面124は、後方へ向かって上方に向かうように上下方向7に対して傾斜している。そのため、突出部107の傾斜と当接面124の傾斜とが一致する。その結果、突出部107と当接面124との当接面積がより大きくなる。
【0107】
インク保持体113は、後方に向かって上方に向かうように上下方向7に対して傾斜している前傾斜面123を、前端に有する。そのため、突出部107がインク保持体113に当接する際に、突出部107が前傾斜面123によってインク保持体113の上面に誘い込まれる。これにより、突出部107に加わる衝撃が緩和される。そのため、突出部107が保持しているインクが可動廃インクタンク110の外に垂れることが抑制される。
【0108】
非装着位置にある可動廃インクタンク110のインク保持体113の前傾斜面123の下端123Aは、突出部107の下端107Bより下方に位置する。そのため、突出部107がインク保持体113に当接する際に、上下方向7に延びる面に当接することがない。その結果、突出部107に加わる衝撃がより緩和される。
【0109】
インク保持体83の突出部107の後面107Aと、インク保持体113の当接面124とは、当接時において前後方向8にに沿って延びる溝107C、124Aをそれぞれ有する。そのため、溝107C、124Aがない構成と比較して当接面積がより大きくなる。
【0110】
可動廃インクタンク110が装着位置に位置する状態において、電極134と電極135とが当接する。そのため、可動廃インクタンク110が装着されたことが容易に検知される。
【0111】
インク保持体83は、一部がポート部102より上方に位置する。そのため、キャップ74、75より下方にポート部102を位置させることが容易になる。これにより、インクがキャップ74、75に逆流することが抑制される。
【0112】
[変形例]
前述の実施形態では、インク保持体83が突出部107を有していたが、インク保持体83は、必ずしも突出部107を有していなくてもよい。例えば、インク保持体83の下面が、インク保持体113の上面に当接するように構成されていてもよい。また、インク保持体83が前方に突出する凸部を有し、インク保持体113が前方に凹む凹部を有しており、凸部における上下方向7又は左右方向9の側面が、凹部における上下方向7又は左右方向9の側面と当接するように構成されていてもよい。また、インク保持体113の前端に、前傾斜面123が必ずしも設けられていなくてもよい。また、前傾斜面123の下端123Aは、突出部107の下端107Bより下方に位置していなくてもよい。
【0113】
また、前述の実施形態では、インク保持体83とインク保持体113とは、上下方向7に当接したが、可動廃インクタンク110の移動方向(前述の実施形態では前後方向8)と交差する方向であればどのような方向に当接してもよい。すなわち、可動廃インクタンクが上下方向7に移動することで装着及び脱抜する構成において、インク保持体83とインク保持体113とが、上下方向7に互いに押圧し、インク保持体83及びインク保持体113の少なくとも一方が上下方向7に弾性変形して当接する構成であってもよい。
【0114】
また、可動廃インクタンク110は可動廃インクタンクケース111を備えていなくてもよく、固定廃インクタンク80は固定廃インクタンクケース81を備えていなくてもよい。その場合、インク保持体83及びインク保持体113には、インク保持体83及びインク保持体113から廃インクが染みださないように、インク保持体83及びインク保持体113の表面に膜が形成されるような表面加工がされていればよい。表面加工には、例えは、フィルムが貼り付けされること、樹脂が塗工されること、表面が熱等により溶かされることなどが含まれる。
【0115】
前述の実施形態では、センサの一例として、電極134、135を固定廃インクタンク80と可動廃インクタンク110にそれぞれ設けたが、センサは、電極134、135でなくてもよい。例えば、可動廃インクタンク110が装着位置に位置されたときに、所定の位置に移動するように設けられた可動部分を有する機械式のセンサであってもよいし、可動廃インクタンク110が装着位置に位置されたときに、レーザ光を遮蔽するように設けられた光学式のセンサであってもよい。
【0116】
また、前述の実施形態では、記録ヘッド65がキャリッジ67に搭載され、キャリッジ67が左右方向9に移動された。この構成に代えて、左右方向9における記録紙19の幅より長い左右方向9の長さを有する記録ヘッドが採用されてもよい。この構成において、インクリフィルケース61及びインクカートリッジ62は、前後方向8において記録ヘッドと重ならない位置にあり、且つ一部が記録ヘッドより右方に位置している。可動廃インクタンク110は、左右方向9においてインクリフィルケース61及びインクカートリッジ62と重なる位置にあり、且つ記録ヘッドより右方に位置する。