特許第6790438号(P6790438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790438
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 13/02 20060101AFI20201116BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20201116BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B41J13/02
   B41J11/42
   B65H5/06 F
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-88882(P2016-88882)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-196788(P2017-196788A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】荻村 貴文
【審査官】 五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−051787(JP,A)
【文献】 特開2001−130762(JP,A)
【文献】 特開平10−279119(JP,A)
【文献】 特開平07−033279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 3/00
B65H 7/00
B41J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷する印刷部と、
前記媒体を所定の搬送経路に沿って搬送する第1ローラーと、
前記第1ローラーと相対する複数の位置で、前記媒体を前記第1ローラーとによって挟持する複数の第2ローラーと、
前記第1ローラーおよび前記第2ローラーよりも前記搬送経路の下流側に配設され、前記第1ローラーにより搬送される前記媒体を挟持して、前記印刷部による印刷がなされる印刷経路へ搬送する第3ローラーと、
複数の前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーであって、前記媒体を前記第1ローラーとによって挟持する第1位置と、前記第1ローラーから離間して前記媒体を挟持しない第2位置との間で変位する特定第2ローラーと、
前記各ローラーおよび前記印刷部を制御する制御部と、
前記第1ローラーを回転させる第1駆動源と、
前記第3ローラーを回転させる第2駆動源と、を備え、
前記第1ローラーは、前記媒体の供給元から前記媒体を前記搬送経路へ供給する供給ローラーと、前記供給ローラーにより送られた前記媒体を前記搬送経路の下流側へ搬送する搬送ローラーとを含み、
前記制御部は、
第1方向に前記第1駆動源を回転させることにより、前記供給ローラーと前記搬送ローラーとを回転させ、前記第1方向の反対の第2方向に前記第1駆動源を回転させることにより、前記供給ローラーを回転させずに前記搬送ローラーを回転させ、かつ、
(1)前記第1駆動源を前記第2方向に回転させて前記第3ローラーによ前記媒体挟持させた後に、(2)前記特定第2ローラーを前記第1位置から前記第2位置へ変位させ、前記第1駆動源を前記第1方向に回転させる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
記制御部は、前記(2)において、前記特定第2ローラーを前記第2位置へ変位させた後であって、前記媒体の後端が、前記特定第2ローラーを除いた前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーを通過したに、前記第1駆動源の前記第1方向の回転により前記供給ローラーを回転させて、前記供給元から次の媒体を前記搬送経路へ供給させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記(2)の後であって、前記媒体の後端が前記特定第2ローラーの位置を通過したに、前記第1駆動源の前記第2方向の回転より前記搬送ローラー回転させて前記供給元からの次の媒体を搬送させ、さらに前記特定第2ローラーを前記第2位置から前記第1位置へ変位させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記(2)の後であって、前記媒体の後端が前記特定第2ローラーの位置を通過した後であり、前記次の媒体の先端が、前記特定第2ローラーを除いた前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーと前記特定第2ローラーとの間の位置であって前記特定第2ローラーに近い特定位置へ達したに、前記特定第2ローラーを前記第2位置から前記第1位置へ変位させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第3ローラーが挟持している前記媒体への前記印刷部による印刷が最終ページの印刷であれば、当該最終ページが印刷される媒体の後端が、前記特定第2ローラーを除いた前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーを通過した場合に、前記第1駆動源を停止させることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、カセットやトレイ等の媒体の供給元にセットされた媒体を、複数のローラーの回転により搬送し、搬送対象としている媒体に対して印刷を行う。
【0003】
また、搬送ローラーの外周への接線の方向が、プラテンの支持面に対して斜め上向きである当接部材と、同じく接線の方向がプラテンの支持面に対して斜め下向きであるピンチローラーとを備え、ピンチローラーを離間した状態で搬送ローラーと当接部材でシートを挟持して搬送し、次いで、ピンチローラーを離間から当接に切り替えることでシートの先端がプラテンの支持面に着地するように、搬送ローラーの回転及びピンチローラーの当接を制御するプリンターが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010‐158844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷品質向上のためには、搬送の向きに対する印刷処理を受ける媒体の姿勢を安定させる必要があった。また、印刷効率向上のためには、媒体と媒体との間の距離(媒体間距離)を狭めて搬送することが有用である。従来においては、このような媒体姿勢や、媒体間距離の短縮に関して、改善の余地が有った。
【0006】
本発明は上述の少なくとも一つの課題の解決に有用な印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の1つは、印刷装置は、媒体に印刷する印刷部と、前記媒体を所定の搬送経路に沿って搬送する第1ローラーと、前記第1ローラーと相対する複数の位置で前記媒体に当接する複数の第2ローラーと、前記第1ローラーおよび前記第2ローラーよりも前記搬送経路の下流側に配設され、前記第1ローラーにより搬送される前記媒体を挟持して、前記印刷部による印刷がなされる印刷経路へ搬送する第3ローラーと、前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーであって前記媒体に当接する第1位置と前記媒体に当接不能な第2位置との間で変位する特定第2ローラーと、前記各ローラーおよび前記印刷部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第3ローラーによる前記媒体の挟持後に、前記特定第2ローラーを前記第1位置から前記第2位置へ変位させる。
【0008】
当該構成によれば、第3ローラーによる媒体の挟持後に、特定第2ローラーが当該媒体から離間する。これにより、特定第2ローラーが媒体に与えていた力が開放されて媒体の姿勢が安定し易くなる。
【0009】
本発明の態様の1つは、印刷装置は、前記第1ローラーを回転させる第1駆動源と、前記第3ローラーを回転させる第2駆動源と、を備え、前記第1ローラーは、前記媒体の供給元から前記媒体を前記搬送経路へ供給する供給ローラーと、前記供給ローラーにより送られた前記媒体を前記搬送経路の下流側へ搬送する搬送ローラーとを含み、前記制御部は、前記特定第2ローラーを前記第2位置へ変位させた後、前記媒体の後端が、前記特定第2ローラーを除いた前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーを通過した場合に、前記第1駆動源に前記供給ローラーを回転させることにより前記供給元から次の媒体を前記搬送経路へ供給させる、としてもよい。
当該構成によれば、先行する媒体の後端が、特定第2ローラーを除いた第2ローラーのうち搬送経路の最も下流側に位置するローラーを通過したことを契機として、供給元から次の媒体を供給するため、媒体間距離を短縮することができる。
【0010】
本発明の態様の1つは、前記制御部は、前記媒体の後端が前記特定第2ローラーの位置を通過した場合に、前記第1駆動源に前記搬送ローラーだけを回転させ、さらに前記特定第2ローラーを前記第2位置から前記第1位置へ変位させるとしてもよい。
当該構成によれば、先行する媒体の後端が特定第2ローラーの位置を通過した後は、第1駆動源に搬送ローラーだけを回転させ(供給ローラーおよび搬送ローラーのうち供給ローラーの回転を止め)、特定第2ローラーを第1位置へ戻すため、搬送ローラーと特定第2ローラーを含めた複数の第2ローラーとの回転により、前記次の媒体を適切に搬送することができる。
【0011】
本発明の態様の1つは、前記制御部は、前記媒体の後端が前記特定第2ローラーの位置を通過した後、前記次の媒体の先端が、前記特定第2ローラーを除いた前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーと前記特定第2ローラーとの間の位置であって前記特定第2ローラーに近い特定位置へ達した場合に、前記特定第2ローラーを前記第2位置から前記第1位置へ変位させるとしてもよい。
当該構成によれば、特定第2ローラーを第2位置から第1位置へ戻すタイミングをできるだけ遅らせることで、電力消費量を抑えることができる。
【0012】
本発明の態様の1つは、前記制御部は、前記第3ローラーが挟持している前記媒体への前記印刷部による印刷が最終ページの印刷であれば、当該最終ページが印刷される媒体の後端が、前記特定第2ローラーを除いた前記第2ローラーのうち前記搬送経路の最も下流側に位置するローラーを通過した場合に、前記第1駆動源を停止させるとしてもよい。
当該構成によれば、媒体搬送のために第1ローラーを回転させる必要が無くなった時点で速やかに第1駆動源を停止させるため、電力消費量を抑えることができる。
【0013】
本発明の技術的思想は、印刷装置という物以外によっても実現される。例えば、印刷装置の各構成が実行する各工程を含んだ方法(媒体搬送方法)を発明として捉えることができる。また、このような方法をコンピューターに実行させるプログラムや、当該プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な記憶媒体も夫々に発明として成り立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】印刷装置の構成等を示すブロック図。
図2】本実施形態により搬送される媒体の位置変化を簡易的に示す図。
図3】本実施形態により搬送される媒体の位置変化を簡易的に示す図。
図4】特定第2ローラーを変位させる仕組みを説明するための図。
図5図5Aは本実施形態のタイミングチャート、図5Bは比較例のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。また各図は、形状や寸法が互いに整合していないこともある。
【0016】
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10の構成等をブロック図により例示している。印刷装置10は、画像(写真、CG、文字等の各種オブジェクトを含み得る画像)を表現する印刷データに基づいて媒体への印刷を実行可能である。印刷装置10は、例えば、プリンターや、プリンター、スキャナー、ファクシミリ等の複数の機能を含んだ複合機、等といった製品として把握される。印刷装置を、記録装置、液体吐出(噴射)装置、等と呼んでもよい。また、印刷装置の全体あるいは一部を指して、印刷制御装置、等と呼んでもよい。図1では、印刷装置10を、制御部11、操作入力部12、表示部13、通信インターフェイス(I/F)14、スロット部15、印刷部16、搬送部17等を含む構成として例示している。
【0017】
制御部11は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有するICや、その他の記憶媒体や電子回路等により構成される。制御部11では、例えば、CPUが、ROM等に保存されたプログラムに従った演算処理を、RAM等をワークエリアとして用いて実行することにより、印刷装置10の各構成の駆動を制御する。
【0018】
操作入力部12は、ユーザーによる操作を受け付けるための各種ボタンやキー等を含む。表示部13は、印刷装置10に関する各種情報を示すための部位であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)により構成される。操作入力部12の一部は、表示部13に表示されたタッチパネルとして実現されるとしてもよい。
【0019】
印刷部16は、制御部11による制御下で、印刷データに基づく画像を媒体に印刷するための機構である。媒体は、代表的には用紙であるが、紙以外の素材、例えば、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシートなどであってもよい。印刷部16が採用する印刷方式がインクジェット方式である場合、印刷部16は、複数のノズルを有し当該ノズルから液体(インク)を吐出する印刷ヘッド16aや、印刷ヘッド16aを搭載して所定の主走査方向に沿って移動するキャリッジ16bや、キャリッジ16bの移動の動力源となるキャリッジモーター(不図示)等の構成を有する。印刷ヘッドを、印字ヘッド、記録ヘッド、液体吐出(噴射)ヘッド、等と呼んでもよい。図示は省略しているが、印刷ヘッド16aは、インクを保持するインクカートリッジ等からインクの供給を受け、当該供給されたインクを各ノズルから吐出する。各ノズルから吐出されたインクが媒体に着弾することで媒体にインクのドットが形成される。
【0020】
搬送部17は、制御部11による制御下で媒体の搬送を行う。搬送部17は、媒体を所定の搬送経路において搬送するために回転するローラー(例えば、図2等に示す各ローラー20,21,22,23,24,25)や、ローラーを回転させる動力源としての第1モーター17aおよび第2モーター17bや、モーター17a,17bが生む動力をローラーへ伝えるためのギア輪列(不図示)等を含んでいる。印刷ヘッド16aは、搬送部17によって搬送経路を搬送される媒体に対してインクを吐出することにより印刷を行う。印刷ヘッド16aが吐出するインクの種類や数は特に限定されない。第1モーター17aは、第1駆動源の例であり、第2モーター17bは、第2駆動源の例である。制御部11は、モーター17a,17bをそれぞれ個別に駆動させる。制御部11を、モーター17a,17bをそれぞれ個別に駆動させる複数のモータードライバー回路を含む構成であると解してもよい。
【0021】
通信I/F14は、印刷装置10を外部機器100と有線あるいは無線にて接続するためのインターフェイスの総称である。外部機器100としては、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、デジタルスチルカメラ、パーソナルコンピューター(PC)等、印刷装置10にとって印刷に必要な情報(例えば、前記印刷データを含む印刷ジョブデータ)の入力元となる様々な機器が該当する。印刷装置10は、通信I/F14を介して外部機器100と、例えば、USBケーブル、有線ネットワーク、無線LAN、電子メール通信等の様々な手段や通信規格により接続可能である。スロット部15は、メモリーカード等の外部の記憶媒体を挿入するための部位である。つまり印刷装置10は、スロット部15に挿入されたメモリーカード等の外部の記憶媒体から、印刷に必要な情報を入力することも可能である。
【0022】
図2および図3は、印刷装置10内の主に媒体Pの搬送に関わる構成を、キャリッジ16bの主走査方向を向く視点により簡易的に示している。図2,3においては、主走査方向は図面に垂直な方向である。また、図2,3では、搬送部17により搬送される媒体Pの位置が変化する様子を、状態A(図2の上段)、状態B(図2の中段)、状態C(図2の下段)、状態D(図3の上段)、状態E(図3の中段)により段階的に示している。符号Dfは、印刷部16(印刷ヘッド16a)による印刷がなされるときに媒体Pが搬送される搬送方向を示している。搬送方向Dfは、基本的には主走査方向に直交している。
【0023】
印刷装置10は、例えば、複数枚の媒体Pを収容可能なカセット31と、媒体Pを印刷装置10の筐体30の外部へ排出する排出口32とを有する。図2,3の例では、カセット31は、筐体30の下部に収容されている。カセット31は、媒体Pの供給元の一種である。言うまでもなく、ユーザーは、カセット31を筐体30に装着したり、カセット31を筐体30から引き出したりすることができる。図2,3では、カセット31を1つだけ図示しているが、印刷装置10は、媒体Pの供給元として複数のカセット31を有するものであってもよい。排出口32は、例えば、筐体30の前面30Fに設けられている。前面30Fは、ユーザーが通常相対する側の面である。例えば、操作入力部12や表示部13は、前面30Fに近い位置に設けられている。また、筐体30の、前面30Fとは逆側の面を背面30Rと呼ぶ。
【0024】
印刷装置10は、図2,3において2点鎖線の矢印で示すように、カセット31を供給元として排出口32へ向かう媒体Pの搬送経路40を備える。カセット31は、搬送経路40の最も上流側となる。排出口32は、搬送経路40の最も下流側となる。以下、単に上流側と言った場合は、搬送経路の上流側を意味し、下流側と言った場合は、搬送経路の下流側を意味するものとする。また、媒体Pの下流側を向く端を、先端(あるいは前端)E1と呼び、媒体Pの上流側を向く端を、後端E2と呼ぶことにする。
【0025】
カセット31の近傍には、ピックアップ(PU)ローラー20と、分離ローラー21とが配設されている。PUローラー20は、カセット31に収容された一番上の媒体Pに接触して回転することで、カセット31から媒体Pを搬送経路40へ送る。PUローラー20によって送られた媒体Pは、分離ローラー21と分離ローラー21に相対する従動ローラー21aとの間を通過するときに1枚単位に分離され、1枚の状態で分離ローラー21よりも下流側へ供給される。
【0026】
搬送経路40に対応して、分離ローラー21よりも下流側には、中間ローラー22,23が配設されている。また、中間ローラー22,23の近傍には、搬送経路40に沿って、中間ローラー22,23に各々相対する複数の従動ローラー22a,22b,23aが配設されている。カセット31から供給された媒体Pは、中間ローラー22と従動ローラー22aとに挟まれ、その後、中間ローラー22と従動ローラー22bとに挟まれ、さらにその後、中間ローラー23と従動ローラー23aとに挟まれて、中間ローラー22,23の回転に従って下流側へ搬送される。ただし、中間ローラーは、図示したように2つのローラー22,23である以外に、その数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、中間ローラーに相対する従動ローラーは、図示したように3つの従動ローラー22a,22b,23aである以外に、その数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0027】
ローラー20,21,22,23は、媒体Pを所定の搬送経路(搬送経路40)に沿って搬送する第1ローラーに該当する。第1ローラー(ローラー20,21,22,23)は、第1モーター17aにより回転する。さらに、第1ローラーは、媒体Pの供給元から媒体Pを搬送経路へ供給する供給ローラーと、供給ローラーにより送られた媒体Pを搬送経路の下流側へ搬送する搬送ローラーと、に分けることができる。一例として、PUローラー20および分離ローラー21は供給ローラーに該当し、中間ローラー22,23は搬送ローラーに該当すると言える。従動ローラー21a,22a,22b,23aは、第1ローラーと相対する複数の位置で媒体Pに当接する複数の第2ローラーに該当する。
【0028】
本実施形態では、制御部11は、第1モーター17aを制御することにより、第1ローラー(ローラー20,21,22,23)を、第1駆動モードにより回転させ、また第2駆動モードにより回転させることができる。具体的には、第1駆動モードとは、第1ローラーの全て、つまり供給ローラー(PUローラー20および分離ローラー21)と搬送ローラー(中間ローラー22,23)との両方を回転させるモードである。一方、第2駆動モードとは、第1ローラーのうち、供給ローラー(PUローラー20および分離ローラー21)を回転させず、搬送ローラー(中間ローラー22,23)のみ回転させるモードである。
【0029】
第1モーター17aの回転と、ローラー20,21,22,23の回転との関係について説明する。モーターは、正転方向(CW)への回転と、逆転方向(CCW)への回転とを実行可能である。本実施形態では、第1モーター17aが第1方向(例えば、正転方向)へ回転したときにローラー20,21,22,23の全てが、媒体Pを下流側へ搬送する方向へ回転するように、第1モーター17aと各ローラー20,21,22,23との間のギア輪列が組まれているとする。また、第1モーター17aが第2方向(例えば、逆転方向)へ回転したときに中間ローラー22,23が媒体Pを下流側へ搬送する方向へ回転するように、第1モーター17aと中間ローラー22,23との間のギア輪列が組まれているとする。なお、ローラー20,21は、第1モーター17aによる動力を受けていない状態では空転可能である。このような構成により、制御部11は、第1モーター17aを第1方向へ回転させることで第1駆動モードを実現させ、第1モーター17aを第2方向へ回転させることで第2駆動モードを実現させることができる。
【0030】
第2ローラー(従動ローラー21a,22a,22b,23a)のうち、最も下流側に位置するローラーである従動ローラー23aは、特定第2ローラーに該当する。本実施形態では、特定第2ローラーに該当する従動ローラー23aについては、媒体Pに当接する第1位置と媒体Pに当接不能な第2位置との間で変位可能としている。第1位置は、中間ローラー23と従動ローラー23aとで媒体Pを挟持するときの従動ローラー23aの位置と言え、第2位置は、このような挟持をすることができないように中間ローラー23から離間したときの従動ローラー23aの位置と言える。従動ローラー23aの変位も、制御部11が制御する。なお、図2に示した状態A,Bおよび、図3に示した状態Eでは、従動ローラー23aは第1位置に在り、図2に示した状態Cおよび、図3に示した状態Dでは、従動ローラー23aは第2位置に在る。
【0031】
搬送経路40に対応して、第1ローラー(ローラー20,21,22,23)および第2ローラー(従動ローラー21a,22a,22b,23a)よりも下流側には、印刷搬送ローラー24および排出ローラー25が配設されている。印刷搬送ローラー24に相対する位置には従動ローラー24aが配設され、排出ローラー25に相対する位置には従動ローラー25aが配設されている。印刷搬送ローラー24は、第1ローラーにより搬送される媒体Pを(従動ローラー24aとともに)挟持して、印刷部16(印刷ヘッド16a)による印刷がなされる印刷経路へ搬送する第3ローラーに該当する。
【0032】
搬送経路40の一部はプラテン16cである。プラテン16cは印刷経路に該当する。プラテン16cよりも上流側に、印刷搬送ローラー24および従動ローラー24aが配設されており、プラテン16cよりも下流側に排出ローラー25および従動ローラー25aが配設されている。印刷搬送ローラー24のやや上流側には、媒体Pを検出可能な媒体検出センサー26が設けられている。媒体検出センサー26による検出結果を示す検出信号は、制御部11へ入力される。
【0033】
プラテン16cよりも上方の位置でプラテン16cと相対するように印刷ヘッド16aが配設されている。印刷ヘッド16aは、各ノズルが開口する面であるノズル面16a1をプラテン16c側に向けた状態で、キャリッジ16bにより主走査方向に沿って移動する。第1ローラーの回転に従って搬送経路40に沿って搬送される媒体Pは、やがて印刷媒体ローラー24と従動ローラー24aとに挟まれ、その後、排出ローラー25と従動ローラー25aとに挟まれて、ローラー24,25の回転に従って下流側へ搬送される。ローラー24,25は、第2モーター17bにより回転する。
【0034】
媒体Pは、ノズル面16a1下を通過する期間は、間欠的に搬送される(間欠送りされる)。つまり、媒体Pの先端E1がローラー24,24aに挟持された後は、ローラー24,25の回転による間欠送りと、主走査方向に沿ったキャリッジ16bの移動に伴う印刷ヘッド16aによるインク吐出(印刷ヘッド16aのパス)とが交互に繰り返されることにより、媒体Pのノズル面16a1に相対する面が、プラテン16c上で印刷される。このような印刷が終わった時点では、媒体Pは多くの場合、後端E2が印刷搬送ローラー24よりも下流側に在るため、ローラー24,24aには挟持されておらず、ローラー25,25aに挟持された状況である。この状況から、媒体Pは、排出ローラー25の回転に従ってさらに下流側へ搬送され、排出口32から排出される。
【0035】
図4は、従動ローラー23aを変位させる仕組みの一例を説明するための図である。図4では、従動ローラー23a近傍の一部構成のみ示している。図4の例では、従動ローラー23aを変位させるための駆動源として、自己保持型のソレノイド50を用いている。ソレノイド50は、可動鉄芯51を有しており、ソレノイド50が内包するコイルに電流を流して磁界を発生させることにより、可動鉄芯51を鉄芯の軸方向に変位させることができる。
【0036】
従動ローラー23aは、従動ローラーユニット60に搭載されている。従動ローラーユニット60は、一端に、各ローラーの軸と平行な軸61が通されており、軸61を支点にして回動可能である。また、従動ローラーユニット60の他端は、可動鉄芯51と、直接あるいは間接的に、可動鉄芯51に対して揺動可能に接続している。制御部11は、ソレノイド50に流す電流の向きを切替えることにより、図4の上段に示すように可動鉄芯がソレノイド50からより長く突出した状態(突出状態)と、図4の下段に示すように可動鉄芯がソレノイド50から突出する長さを短くした状態(収容状態)とを切替えることができる。自己保持型のソレノイド50は、内部に永久磁石等を有し、外部からの電流供給が止まった場合に、そのときの状態(突出状態または収容状態)を保持することができる。
【0037】
このような可動鉄芯51の変位に連動して、従動ローラー23aは従動ローラーユニット60とともに変位する。つまり、制御部11は、ソレノイド50を突出状態にすることにより、従動ローラー23aを中間ローラー23に接近した位置(第1位置)に保持させ(図4の上段参照)、一方、ソレノイド50を収容状態にすることにより、従動ローラー23aを中間ローラー23から離間した位置(第2位置)に保持させる(図4の下段参照)。従動ローラーユニット60は、バネ等で構成された付勢部材62を有する。付勢部材62は、従動ローラー23aを、中間ローラー23側に付勢している。そのため、従動ローラー23aは、第1位置に在る場合は、付勢部材62から受ける力により、媒体Pを中間ローラー23との間で確実に挟持することができる。なお、従動ローラー23aを変位させるための仕組みは、ソレノイド50を用いた仕組みに限定されることはなく、結果的に従動ローラー23aを変位させることができれば、あらゆる仕組みを採用可能である。
【0038】
以下では、図2,3および図5Aを参照して、印刷装置10による媒体Pの搬送方法を詳細に説明する。図5Aは、本実施形態によるキャリッジ16b、第1モーター17a、第2モーター17bおよび従動ローラー23aの動きを時間軸Tを用いて説明するためのタイミングチャートである。
信号SCは、制御部11が、キャリッジ16bを駆動するためのキャリッジモーター(不図示)に与える信号であり、信号SM1は、制御部11が、第1モーター17aを駆動するために与える信号であり、信号SM2は、制御部11が、第2モーター17bを駆動するために与える信号であり、信号SSは、制御部11が、ソレノイド50を駆動するために与える信号である。各信号SC,SM1,SM2,SSは、ある程度簡略化して記載している。
【0039】
信号SCを構成する信号波形c1,c2,c3,c4,c5は、それぞれがキャリッジ16bが移動する期間を示している。印刷ヘッド16aは、キャリッジ16bの移動に伴ってインク吐出を行うため、信号波形c1,c2,c3,c4,c5は、それぞれが印刷が行われるタイミング、つまり印刷ヘッド16aのパスが行われるタイミングをほぼ示していると解してよい。信号波形c1,c2,c3,c4,c5の向き(正負)が交互に異なるのは、キャリッジ16bの移動の向きの違いを示している。つまり、制御部11は、キャリッジ16bに、主走査方向の一端側から他端側への移動と、他端側から一端側への移動とを交互に実行させるために、図示したような信号SCを与える。
【0040】
信号SM1を構成する信号波形m11,m12,m13,m14,m15,m16は、それぞれが第1モーター17aが回転する期間を示している。信号波形m11,m12,m13,m14,m15,m16それぞれの向きの違いは、第1モーター17aの回転方向の違い、つまり正転と逆転との違い(=第1駆動モードと第2駆動モードの違い)を意味している。
【0041】
同様に、信号SM2を構成する信号波形m21,m22,m23,m24,m25,m26,m27は、それぞれが第2モーター17bが回転する期間を示している。信号波形m21,m22,m23,m24,m25,m26,m27それぞれの向きの違いは、第2モーター17bの回転方向(正転と逆転)の違いを意味している。第2モーター17bが正転方向へ回転することで、ローラー24,25は、媒体Pを下流側へ搬送する方向に回転し、第2モーター17bが逆転方向へ回転することで、ローラー24,25は、媒体Pを上流側へ搬送する方向に回転するものとする。
また、信号SSを構成する信号波形s1,s2は、可動鉄芯51が変位するタイミング、つまり従動ローラー23aが変位するタイミングを示している。信号波形s1,s2の向きの違いは、ソレノイド50に流す電流の向きの違いに相当する。
【0042】
(1)第1駆動モードによる媒体搬送の開始:
制御部11は、例えば、外部機器100からの印刷ジョブデータの入力を契機として印刷処理を開始するために、カセット31からの媒体Pの搬送を開始する。この場合、制御部11は、第1モーター17aへ信号SM1として信号波形m11を与える。信号波形m11は、第1モーター17aを正転方向に回転させ、第1駆動モードを実現させる。つまり、ローラー20,21,22,23の全てが回転して、カセット31から媒体Pが搬送経路40へ供給される。図2の状態Aは、このような信号波形m11による第1モーター17aの駆動によりカセット31から媒体P(媒体P1)が搬送される様子を示している。なお、従動ローラー23aのデフォルトの位置は、第1位置である。従って、カセット31から1枚目の媒体Pの搬送を開始した時点では、従動ローラー23aは第1位置に在る。
【0043】
(2)第2駆動モードへの切替え:
次に、制御部11は、第1モーター17aへ、信号SM1として信号波形m12を与える。信号波形m12は、第1モーター17aを逆転方向に回転させ、第2駆動モードを実現させる。つまり、第1駆動モードから第2駆動モードへの切替えを行い、ローラー20,21への動力供給を止めて中間ローラー22,23を引き続き回転させる。これにより、媒体P(媒体P1)は引き続き下流側へ搬送される。第1駆動モードは、カセット31から媒体Pを搬送経路40へ供給するために必要なモードである一方で、各ローラーにかかる負荷の違いに起因する媒体搬送の停滞を招き得る。具体的には、中間ローラー22や中間ローラー23が従動ローラー22a,22b,23aとの間で媒体Pを挟持する力を、分離ローラー21が従動ローラー21aとの間で媒体Pを挟持する力が上回ることがあり、この場合、中間ローラー22,23と媒体Pとの間で滑りが発生し得る。そこで、制御部11は、第1駆動モードから第2駆動モードへの切替えを行うことで、媒体Pの搬送を安定させる。
【0044】
制御部11は、媒体P1の先端E1が、従動ローラー23aを通過するよりも早いタイミングで、第1駆動モードから第2駆動モードへの切替えを行う。具体的には、図2の状態Aに示すように、媒体P1の先端E1が、従動ローラー21a,22a,22b,23aの中で、特定第2ローラーである従動ローラー23aを除いて最も下流側に位置する従動ローラー22bを通過し、かつ、従動ローラー23aを通過していないタイミングで、制御部11は、第1モーター17aへ信号波形m12を与えることにより、第1駆動モードから第2駆動モードへの切替えをする。
【0045】
制御部11は、例えば、第1モーター17aの回転に応じたパルスを出力する不図示のロータリーエンコーダーからの当該パルスに基づいて、カセット31から搬送を開始した媒体Pの移動量を演算することにより、媒体Pの先端E1や後端E2の現在位置を把握することができる。媒体Pのサイズは、予め定められているものとする。あるいは、制御部11は、搬送経路40に沿って配置された所定のセンサーからの検出信号に基づいて、媒体Pの現在位置を把握するとしてもよい。また、搬送経路40における各ローラーの位置も予め定められている。制御部11は、このような媒体Pの位置把握の方法により、媒体P1の先端E1が、従動ローラー22bと従動ローラー23aとの間に有るか否かも判定することができる。
【0046】
(3)スキュー取り:
第2駆動モードで駆動する第1モーター17aによる中間ローラー22,23の回転に従って、下流側へ搬送される媒体P(媒体P1)は、やがて、図2の状態Bに示すように、先端E1が印刷搬送ローラー24に当接する。制御部11は、先端E1を印刷搬送ローラー24に当接させた媒体Pに対してスキュー取りを実行する。媒体Pの先端E1が媒体検出センサー26を通過したとき、制御部11は、媒体検出センサー26からの検出信号により、媒体Pの先端E1が媒体検出センサー26を通過したことを認識する。例えば、これを契機として、制御部11は、第2モーター17bへ、信号SM2として信号波形m21を与える。信号波形m21は、第2モーター17bを逆転方向に回転させる。これにより、ローラー24,25は、媒体P(媒体P1)を上流側へ戻す方向に回転を始める。一方で、第1モーター17aへは上述の信号波形m12が引き続き与えられているため、媒体P(媒体P1)は、中間ローラー22,23の回転により下流側へ送られる。このような状況においては、媒体P(媒体P1)は、先端E1が印刷搬送ローラー24の下流側へ進めないまま後側からの力を受けることになり、結果、搬送方向Dfに対する先端E1の向きの傾き(スキュー)が矯正される。つまりスキュー取りされる。
【0047】
(4)頭出し:
スキュー取りの後は、当該スキュー取りをした媒体P(媒体P1)を対象とした1回目の間欠送りを行う。1回目の間欠送りを“頭出し”とも言う。制御部11は、1枚の媒体Pを中間ローラー22,23と、印刷搬送ローラー24との両方で搬送する期間における間欠送りは、第1モーター17aの駆動と第2モーター17bの駆動とを同期させる。つまり、制御部11は、スキュー取りを終えた後のタイミングt1(図5A参照)において、第1モーター17aへ信号波形m13を与えるとともに、これに同期して第2モーター17bへ信号波形m22を与える。信号波形m13に応じた中間ローラー22,23の回転と、信号波形m22に応じた印刷搬送ローラー24(および排出ローラー25)の回転とが同期して生じることで、媒体P(媒体P1)の所定距離の搬送、つまり頭出しが実行される。頭出しが終了したタイミングを、タイミングt2(図5A参照)と表記する。頭出しを開始することで、媒体P(媒体P1)は、印刷搬送ローラー24(および従動ローラー24a)によって挟持された状態となる。
【0048】
(5)特定第2ローラーの離間:
頭出しの終了後、制御部11は、信号波形s1によるソレノイド50への通電を行い、ソレノイド50をそれまでの前記突出状態から前記収容状態に変化させる。これにより、特定第2ローラーである従動ローラー23aは、第1位置から第2位置へ変位する。図2の状態Cは、媒体P(媒体P1)の頭出し終了後に従動ローラー23aを第2位置へ変位させた状態を示している。このように、制御部11は、第3ローラー(印刷搬送ローラー24)による媒体Pの挟持後に、特定第2ローラーを第1位置から第2位置へ変位させる。
【0049】
また、制御部11は、頭出しを終了する前の所定のタイミングで、キャリッジモーターに信号SCとして信号波形c1を与えることにより、キャリッジ16bの移動を開始させる。信号波形c1に応じて、キャリッジ16bが移動を開始し、当該移動の開始後かつ間欠送りが止まった後に印刷ヘッド16aのパスが実行され、やがて当該移動が終わる。制御部11は、信号波形c1に応じたキャリッジ16bの移動が終了する前の所定のタイミング(キャリッジ16b移動中の印刷ヘッド16aのパスが終了したタイミング)で、次の間欠送りを開始する。つまり、第1モーター17aへ信号波形m14を与えるとともに、これに同期して第2モーター17bへ信号波形m23を与える。信号波形m14に応じた中間ローラー22,23の回転と、信号波形m23に応じた印刷搬送ローラー24(および排出ローラー25)の回転とが同期して生じることで、媒体P(媒体P1)の間欠送りが実行される。このように、媒体Pの間欠送り(例えば、信号波形m22,m23,m24,m25,m26参照)と、キャリッジ16bの移動(例えば、信号波形c1,c2,c3,c4,c5参照)とが交互に実行される。また、制御部11は、図5Aに示すように、これら媒体Pの間欠送りとキャリッジ16bの移動とを、それらの実行タイミングが一部で重なるように制御することで、印刷処理に要する時間を短縮している。
【0050】
(6)第1駆動モードへの切替えによる後続媒体の搬送開始:
制御部11は、従動ローラー23aを第2位置へ変位させた後は、現在印刷している媒体Pの後端E2が、従動ローラー23aを除いた第2ローラーのうち最も下流側に位置するローラー、つまり従動ローラー22bを通過したか否かを判定する。制御部11は、例えば、媒体Pの2回目の間欠送り(頭出しを含めた2回目の間欠送り)が終わったタイミングt3(図5A参照)で、当該媒体Pの後端E2が従動ローラー22bを通過したと判定したとする。制御部11は、タイミングt3の後、第1モーター17aへ信号波形m15を与えることにより第1モーター17aを第1駆動モードで駆動させる。これにより、PUローラー20および分離ローラー21が再び回転を開始し、カセット31から次の媒体Pが搬送経路40へ供給される。
【0051】
図3の状態Dでは、現在印刷されている媒体P1の後端E2が従動ローラー22bを通過した後に、上述の信号波形m15による第1モーター17aの駆動によりカセット31から次の媒体P(媒体P2)が搬送される様子を示している。媒体P1と媒体P2との関係においては、媒体P1を先行媒体、媒体P2を後続媒体と呼ぶことができる。むろん、媒体P2と、媒体P2の次にカセット31から搬送される媒体Pとの関係では、媒体P2が先行媒体に該当し、媒体P2の次に搬送される媒体Pが後続媒体に該当する。
【0052】
上述したように、1枚の媒体Pを中間ローラー22,23と、印刷搬送ローラー24との両方で搬送する期間における間欠送りは、第1モーター17aの駆動と第2モーター17bの駆動とを同期させなければいけない。また、これまでの説明から明らかなように、第1モーター17aは、間欠送りを第2駆動モードにより実行する。従って、制御部11は、1枚の媒体Pを中間ローラー22,23と印刷搬送ローラー24との両方で搬送する期間が終わるまでは、第1モーター17aのモードを第2駆動モードに維持しなければならず、次の媒体Pの搬送を開始することができない。1枚の媒体Pを中間ローラー22,23と印刷搬送ローラー24との両方で搬送する期間が終わるのは、中間ローラー22,23が当該媒体Pを挟持できなくなった時、つまり中間ローラー22,23に対応して配設されている複数の従動ローラー22a,22b,23aのうち媒体Pに当接可能でありかつ最も下流側のローラーを媒体Pの後端E2が通過した時、である。
【0053】
従動ローラー22a,22b,23aのうち最も下流側の従動ローラー23aは、上述の頭出しの後に第1位置から第2位置へ変位している。そのため、1枚の媒体Pを中間ローラー22,23と印刷搬送ローラー24との両方で搬送する期間が終わるのは、従動ローラー22bを当該媒体Pの後端E2が通過した時である。従って、先行媒体の後端E2が従動ローラー22bを通過したことを制御部11が認識したタイミングt3が、カセット31から後続媒体の搬送を開始できる(第1モーター17aを第2駆動モードから第1駆動モードへ切替えることができる)最も早いタイミングになる。このような観点に基づき、制御部11は、タイミングt3の後、即座に第1モーター17aへ信号波形m15を与えて第1駆動モードで駆動させ、後続媒体の搬送を開始するようにしている。
【0054】
媒体P1の後端E2が従動ローラー22bを通過した後は、媒体P1は、第2モーター17bの駆動だけで搬送される。図5Aの例によれば、タイミングt3の後は、媒体P1は、信号波形m24,m25,m26のそれぞれに対応する第2モーター17bの駆動(ローラー24,25の回転)による間欠送りで、下流側へ送られる。また、媒体P1は、このような間欠送りと交互に実行される、信号波形c2,c3,c4,c5のそれぞれに対応するキャリッジ16bの移動に伴い、印刷される。
【0055】
(7)第2駆動モードへの切替えおよび特定第2ローラーの復帰:
制御部11は、後続媒体をカセット31から搬送するために前記のように第1モーター17aの駆動を第1駆動モードに切替えた後は、上述したように搬送の安定のために、再び第2駆動モードへ切替える。本実施形態では、制御部11は、現在印刷している媒体P(先行媒体)の後端E2が従動ローラー23aの位置を通過したか否かを判定する。制御部11は、例えば、図5Aに示す信号波形m25に対応する間欠送りが終わったタイミングt4で、当該媒体Pの後端E2が従動ローラー23aの位置を通過したと判定したとする。制御部11は、タイミングt4の後、第1モーター17aへ信号波形m16を与えることにより第1モーター17aを第2駆動モードで駆動させる。これにより、ローラー20,21,22,23のうち、中間ローラー22,23だけが回転する状況となり、後続媒体を引き続き下流側へ搬送することができる。
【0056】
さらに制御部11は、現在印刷している媒体P(先行媒体)の後端E2が従動ローラー23aの位置を通過した場合に、従動ローラー23aを、現在の第2位置から第1位置へ変位させる。図5Aによれば、制御部11は、タイミングt4の後、信号波形s2によるソレノイド50への通電を行い、ソレノイド50をそれまでの前記収容状態から前記突出状態に変化させる。これにより、特定第2ローラーである従動ローラー23aは、第2位置から第1位置へ変位する。図3の状態Eは、先行媒体である媒体P1の後端E2が従動ローラー23aの位置を通過した後に従動ローラー23aを第1位置へ変位させた状態を示している。また状態Eの時点では、上述したように第1モーター17aは、第2駆動モードに切り替わっているものとする。このように、第1モーター17aの駆動を第2駆動モードに切替え、かつ、従動ローラー23aを第1位置へ復帰させることにより、後続媒体である媒体P2を、その後、中間ローラー23と従動ローラー23aとで挟持して安定的に搬送することができる。
【0057】
図5Aの例によれば、制御部11は、信号波形m16と信号波形s2を同時に発生させている。つまり、タイミングt4の後、第1モーター17aの第2駆動モードへの切替えと、従動ローラー23aの第1位置への復帰とを、ほぼ同時に行っている。ただし、これら2つの処理は、同時に行うことは必須ではない。特に、従動ローラー23aの第1位置への復帰は、先行媒体の後端E2が従動ローラー23aの位置を通過した後であって、かつ後続媒体の先端E1が従動ローラー23aの位置に到達するよりも前に、実行すればよい。従って、制御部11は、タイミングt4の後、第1モーター17aを第2駆動モードへ切替えた後に、従動ローラー23aを第1位置へ復帰させるとしてもよい。具体的には、制御部11は、後続媒体の先端E2が従動ローラー23aの直前位置に達したときに、従動ローラー23aを第1位置へ復帰させればよい。
【0058】
一例として、搬送経路40における従動ローラー22bの位置と従動ローラー23aの位置との間であって従動ローラー23aに近い(従動ローラー22bの位置と従動ローラー23aの位置との中間地点よりも従動ローラー23a側に寄った)特定位置を、前記直前位置と定義する。そして、制御部11は、タイミングt4の後、後続媒体の先端E1が前記直前位置へ達したと判定した場合に、信号波形s2を発生させて、従動ローラー23aを第2位置から第1位置へ変位させる。従動ローラー23aが第1位置に在る状況では、従動ローラー23aが中間ローラー23を押圧することで中間ローラー23に負荷がかかり、第1モーター17aの電力消費量が増える。このような課題を鑑みて、前記のように、従動ローラー23aを第2位置から第1位置へ復帰されるタイミングをできるだけ遅らせる(後続媒体の先端E2が前記直前位置に達したときに従動ローラー23aを第1位置へ復帰させる)ことにより、電力消費量を抑制することができる。
【0059】
(8)排出および次のスキュー取り:
図5Aにおける信号波形c5が対応するキャリッジ16bの移動は、1枚の媒体Pに対する最後のパスのための移動であるとする。制御部11は、当該最後のパスのためのキャリッジ16bの移動の終盤に合わせて、信号波形m27を第2モーター17bに与え始めることにより、排出ローラー25(および印刷媒体ローラー24)を回転させて、印刷が終わった媒体P(媒体P1)を排出口32から排出させる。一方、第2駆動モードで駆動する第1モーター17aによる中間ローラー22,23の回転に従って、下流側へ搬送される媒体P(媒体P2)は、やがて先端E1が印刷搬送ローラー24に当接する。すなわち、図3の状態Eの後は、図2の状態Bに戻る。むろん、図2,3の解釈としては、状態Eの時点で後続媒体に該当していた媒体P(媒体P2)が、状態Bに遷移したとき、スキュー取りの対象となる媒体P(媒体P1)に該当することになる。
【0060】
媒体Pの排出後は、上述の“(3)スキュー取り”以降の処理の繰り返しである。つまり、制御部11は、第2モーター17bに信号波形m27を与えた後は、第2モーター17bへ信号波形m21を与える。一方で、第1モーター17aへは上述の信号波形m16が引き続き与えられているため、次の媒体Pを対象としてスキュー取りを行うことができる。図5Aでは、媒体Pの排出後に次の媒体Pを対象として実行したスキュー取りを終えた後のタイミング(当該次の媒体Pの頭出しを開始するタイミング)を、タイミングt5として表記している。タイミングt5以降は、これまで説明したタイミングt1〜t5の間の処理が繰り返される。なお図5Aの例では、信号SCにおいて、信号波形c5の次に、当該信号波形c5と向きが同じ信号波形c1を発生させているが、制御部11は、信号波形c5と信号波形c1との間に、図示しない信号波形をキャリッジモーターに与えることにより、キャリッジ16bの移動(印刷ヘッド16aによるインク吐出を伴わない移動)をさせておけばよい。タイミングt1〜t5に要する時間は、ある媒体Pの頭出しを開始してから次の媒体Pの頭出しを開始するまでの時間であるため、これを媒体1枚あたりの印刷時間、と定義することができる。
【0061】
本実施形態による効果を説明する。
印刷搬送ローラー24に先端E1が当接した媒体Pのスキュー取りを的確に実行するためには、当該媒体Pを上流側から押す力が必要であり、そのため印刷搬送ローラー24の上流側のより近い位置で中間ローラー23と従動ローラー23aとで当該媒体Pを挟持して下流側へ搬送する必要がある。一方、スキュー取り後の媒体Pを印刷搬送ローラー24と従動ローラー24aとが挟持した状態では、印刷搬送ローラー24の回転により当該媒体Pを搬送方向Dfへ真っ直ぐ搬送することができ、このような段階で当該媒体Pを印刷搬送ローラー24の上流側で強く挟持することは、却って当該媒体Pに不要な傾きや撓みを与える原因となり得る。そこで、上述したように制御部11は、印刷搬送ローラー24による媒体Pの挟持後に、従動ローラー23aを第1位置から前記第2位置へ変位させる(図2の状態B→状態C)。このような構成によれば、印刷搬送ローラー24と従動ローラー24aとに挟持されて間欠送りされる媒体Pは、従動ローラー23aにより与えられていた力から開放され、姿勢が全体的により安定する。これにより印刷品質が向上する。
【0062】
さらに本実施形態は、印刷効率の向上に寄与する。
図5Bは、本実施形態(図5A)に対する比較例であり、図5Aと同様に、キャリッジ16b、第1モーター17a、第2モーター17bの動きを時間軸Tを用いて説明するためのタイミングチャートである。図5Bにおける図5Aと共通の符号については、基本的には図5Aと同じ解釈をすればよい。本実施形態は、特徴の1つとして、特定第2ローラーに該当する従動ローラー23aを第1位置と第2位置との間で変位させる構成を有するが、比較例にはこのような特徴は無い。つまり比較例では、従動ローラー23aは、中間ローラー22,23に相対する他の従動ローラー22a,22bと同様に、媒体Pに当接可能な位置を維持する。従って、図5Bには信号SSに関する記載は無い。
【0063】
上述したように、1枚の媒体Pを中間ローラー22,23と、印刷搬送ローラー24との両方で搬送する期間における間欠送りは、第1モーター17aの駆動と第2モーター17bの駆動とを同期させなければいけない。比較例においては、1枚の媒体Pを中間ローラー22,23と印刷搬送ローラー24との両方で搬送する期間が終わるのは、従動ローラー23aを当該媒体Pの後端E2が通過した時である。つまり比較例では、先行媒体の後端E2が従動ローラー23aの位置を通過したことを制御部11が認識したタイミングt4が、カセット31から後続媒体の搬送を開始できる(第1モーター17aを第2駆動モードから第1駆動モードへ切替えることができる)最も早いタイミングになる。従って、図5Bに示すように比較例では、制御部11は、タイミングt4の後に、第1モーター17aへ信号波形m15を与えて第1駆動モードで駆動させ、後続媒体の搬送を開始する。なお、図5Bに示した信号SM1に含まれる信号波形m141,m142は、媒体Pの間欠送りのために、信号SM2に含まれる信号波形m24,m25と同期して第1モーター17aに与えられる信号波形である。
【0064】
このような比較例では、タイミングt4を契機として第1駆動モードで後続媒体の搬送を開始した後の、第2駆動モードへの切替え後の搬送(信号波形m16に対応する搬送)まで考慮すると、当該後続媒体の先端E1が印刷搬送ローラー24に当接するまでに、本実施形態(図5A)と比べて長い時間を要することは明らかである。図5Bでは、媒体Pの排出後に次の媒体Pを対象として実行したスキュー取りを終えた後のタイミング(当該次の媒体Pの頭出しを開始するタイミング)を、タイミングt6として表記している。比較例では、タイミングt1〜t6に要する時間が、媒体1枚あたりの印刷時間になる。つまり図5A図5Bとの対比から明らかなように、本実施形態(図5A)による媒体1枚あたりの印刷時間は、比較例(図5B)による媒体1枚あたりの印刷時間よりも大幅に短くなっており、よって本実施形態は、印刷効率(単位時間あたりの印刷可能な枚数)を大幅に向上させたと言える。
【0065】
別の表現を用いると、本実施形態は、媒体間距離を比較例よりも狭めたと言える。図3の状態Eに示す媒体P1の後端E2と媒体P2の先端E1との距離は、本実施形態が実現する媒体間距離の一例と言える。仮に、図3の状態Eに前記比較例を当てはめると、比較例では媒体P1の後端E2が従動ローラー23aを通過した直後においては、後続の媒体P2は、まだカセット31からの搬送が開始されていないか、あるいはカセット31からの搬送が開始された直後である。そのため、比較例では、図3の状態Eに示すような媒体間距離は実現できず、その媒体間距離は、より長いものとなる。すなわち本実施形態は、媒体間距離をより狭めることにより、印刷効率を高めていると言える。
【0066】
なお、媒体間距離を狭めるための方法の1つとして、搬送経路40の一部であるPUローラー20から中間ローラー23に到る経路長を短くすることが考えられる。このような経路長を短くすれば、先行媒体の後端E2が従動ローラー23aを通過してから後続媒体の搬送を開始したとしても、先行媒体の後端E2までの距離自体が短いため、第1モーター17aの駆動により短い時間で後続媒体の先端E1を先行媒体の後端E2に近づけることができる。しかし、PUローラー20から中間ローラー23に到る経路の一部は、印刷装置10の設計上、いわゆる両面印刷のために媒体を反転させる搬送経路の一部を兼ねていることが多い。そのため、前記経路長を短くしてしまうと、反転させられる媒体長さに制限が生じるという不都合が発生する。また、前記経路長を短くした上で、前記反転のために必要な長さの搬送経路を別途設けることは、製品のコスト増等の問題から現実的でない。このような観点から見ても、本実施形態は、媒体間距離を狭めるために非常に有用な構成を提示していると言える。
【0067】
本実施形態では、さらに以下に述べるような変形例を採用可能である。
印刷装置10は、印刷ジョブデータに含まれた印刷データに基づいて、複数枚の媒体Pに対して連続して印刷を実行可能である。このような状況で、制御部11は、印刷搬送ローラー24が挟持している媒体Pへの印刷部16による印刷、つまり現在実行中の印刷が最終ページの印刷であれば、当該最終ページが印刷される媒体Pの後端E2が、従動ローラー22bを通過した場合に、第1モーター17aを停止させる。制御部11は、例えば、ファイルの終端を示す特定のコード(例えば、EOF(エンドオブファイル))の有無を印刷データのページ毎に判定することで、最終ページであるか否かを判定できる。
【0068】
本実施形態では、媒体Pの後端E2が従動ローラー22bを通過する時点では、従動ローラー23aは第2位置に在る(図3の状態D参照)。従って、最終ページが印刷されている媒体Pの後端E2が従動ローラー22bを通過した後は、第1モーター17aを駆動させておく必要が無くなるため、即座に第1モーター17aを停止させる。このような構成によれば、より早いタイミングで第1モーター17aを停止させることができ、電力消費量の抑制に繋がる。また、印刷装置10が、媒体Pに対して両面印刷を行う場合、制御部11は、媒体Pの表面(先に印刷する方の面)への印刷をするための搬送の過程で、媒体Pの後端E2が従動ローラー22bを通過した場合に、第1モーター17aを一時的に停止させるとしてもよい。この場合、制御部11は、表面への印刷が終わった媒体Pを、その裏面(後に印刷する方の面)への印刷をするために搬送する過程で、中間ローラー22,23を回転させるべきタイミングになった場合に、一時停止していた第1モーター17aを再び駆動させる。
【0069】
媒体Pの供給元は、カセット31に限定されない。
例えば、印刷装置10は、筐体30の背面30Rの上方に図示しないトレイを有しているとしてもよい。当該トレイには、複数枚の媒体が載置され、カセット31と同様に、PUローラーや分離ローラーが配設され、媒体を1枚単位で供給することができる。図2の上段(状態A)には、一例として、当該トレイを供給元とする搬送経路41を2点鎖線の矢印で示している。搬送経路41は、搬送経路40における従動ローラー23aよりも上流側の位置で、搬送経路40に合流する。
【0070】
また、印刷装置10は、筐体30の前面30Fに、図示しない供給口を有しているとしてもよい。ユーザーは、当該供給口から媒体を1枚単位で、手差しで印刷装置10内へ供給することができる。図2の上段(状態A)には、一例として、当該供給口を供給元とする搬送経路42を2点鎖線の矢印で示している。詳細は省略しているが、搬送経路42は、搬送経路40における中間ローラー22よりも上流側の位置で、搬送経路40に合流する。むろん、搬送経路41や搬送経路42に対応して、媒体を搬送経路41や搬送経路42において搬送するためのローラー等が筐体30内には設けられている。
【0071】
搬送経路41を通って搬送される媒体および搬送経路42を通って搬送される媒体はいずれも、搬送経路40に合流した後、従動ローラー23aの位置を通過する。従って、搬送経路41を通って搬送される媒体や、搬送経路42を通って搬送される媒体についても、カセット31から搬送される媒体Pと同様に、本実施形態による搬送方法の一部あるいは全部を採用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10…印刷装置、11…制御部、12…操作入力部、13…表示部、14…通信I/F、15…スロット部、16…印刷部、16a…印刷ヘッド、16a1…ノズル面、16b…キャリッジ、16c…プラテン、17…搬送部、17a…第1モーター、17b…第2モーター、20…PUローラー、21…分離ローラー、22,23…中間ローラー、24…印刷搬送ローラー、25…排出ローラー、21a,22a,22b,23a,24a,25a…従動ローラー、26…媒体検出センサー、30…筐体、30F…前面、30R…背面、31…カセット、32…排出口、40,41,42…搬送経路、50…ソレノイド、51…可動鉄芯、60…従動ローラーユニット、61…軸、62…付勢部材、Df…搬送方向、E1…先端、E2…後端、P,P1,P2…媒体
図1
図2
図3
図4
図5