(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790464
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】位置照合装置、ADS−B通報取得装置及び位置照合方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/91 20060101AFI20201116BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20201116BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20201116BHJP
G01S 13/78 20060101ALI20201116BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
G01S13/91 200
G01S5/02 A
G08G5/00 A
G01S13/78
G01S13/86
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-107600(P2016-107600)
(22)【出願日】2016年5月30日
(65)【公開番号】特開2017-215164(P2017-215164A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】板倉 州優
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−162324(JP,A)
【文献】
特開2008−130047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00−17/95
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機から受信された位置通報を取得する位置通報取得部と、
マルチラテレーション測位された前記航空機の位置を取得するマルチラテレーション測位位置取得部と、
前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行う位置情報照合部と、
を有する位置照合装置を備え、
前記位置情報照合部は、前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置とが合致するか判断し、合致しない場合、前記位置通報を航空管制装置に送信しない位置照合装置。
【請求項2】
前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置とが合致しない場合、前記位置通報を記録する記録部を更に有する、請求項1に記載の位置照合装置。
【請求項3】
前記位置情報照合部は、前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置との誤差が所定の範囲内にあるか判断することにより前記照合を行う、請求項1または2に記載の位置照合装置。
【請求項4】
航空機からの位置通報を受信する受信局と、
マルチラテレーション測位された前記航空機の位置を取得するマルチラテレーション測位位置取得部と、
前記マルチラテレーション測位による位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行う位置情報照合部と、
を有し、
前記位置情報照合部は、前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置とが合致するか判断し、合致しない場合、前記位置通報を航空管制装置に送信しないADS−B通報取得装置。
【請求項5】
航空機からの位置通報を受信する受信局と、
前記航空機のマルチラテレーション測位を行うマルチラテレーション部と、
前記マルチラテレーション測位された前記航空機の位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行う位置情報照合部と、
を有し、
前記位置情報照合部は、前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置とが合致するか判断し、合致しない場合、前記位置通報を航空管制装置に送信しないADS−B通報取得装置。
【請求項6】
航空機からの位置通報を取得し、
マルチラテレーション測位された前記航空機の位置を取得し、
前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行い、
前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置とが合致するか判断し、合致しない場合、前記位置通報を航空管制装置に送信しない位置照合方法。
【請求項7】
航空機からの位置通報を取得する処理と、
マルチラテレーション測位された前記航空機の位置を取得する処理と、
前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行う処理と、
前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置とが合致するか判断し、合致しない場合、前記位置通報を航空管制装置に送信しない処理を
コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置照合装置、ADS−B通報取得装置及び位置照合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送型自動従属監視(Automatic Dependent Surveillance−Broadcast:ADS−B)は、航空機に搭載された機上装置が、当該航空機の航法装置による測位結果による位置を含む航空機情報を放送するものである。当該放送を地上装置により受信することで、当該航空機の位置を取得することが可能である。
【0003】
複数の航空機からの放送を地上のADS−B通報取得装置で受信することにより、航空機相互の位置関係を把握し、航空機間の安全間隔を確保するための航空管制に活用することが想定されている。
【0004】
ADS−Bによる航空機からの位置通報は、当該航空機から自発的に発信されたものであり、仮に当該航空機の機上装置が故障した等の理由により、誤った位置通報が放送されても、地上装置側でそれを検知することが出来ない。このため、誤った位置通報により航空管制が行われ、結果として航空機間の安全間隔が確保できなくなる問題がある。
【0005】
この課題解決に関連する技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。例えば特許文献1に、航空機から送信されるADS−B信号の信頼性を検査するADS−B検査装置が開示されている。特許文献1に開示されているADS−B検査装置は、航空機から送信されるADS−B信号を受信し、SSR(SSR:Secondary Surveillance Radar:二次監視レーダ)が受信した航空機からの応答信号を取得する。ADS−B検査装置は、ADS−B信号に含まれる航空機の位置と、応答信号に含まれる航空機の位置とを比較し、これらが一致しないとき、ADS−B信号の信頼性がないとする検査結果を出力する。
【0006】
また特許文献2に開示されているADS−B地上局は、受信したADS−B信号に基づきトラック情報を新たに作成した航空機に対して、このトラック情報の作成直後にモードS個別質問を行ない、その応答信号を受信解読してDBC及び位置情報を取得し、位置情報に基づき航空機までの距離を算出する。また、ADS−B地上局は、モードS個別質問信号の送信タイミング及びその応答としてのモードS個別応答信号の受信タイミングに基づいた距離情報を取得する。ADS−B地上局は、DBC及び距離情報が合致するか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−130047号公報
【特許文献2】特開2008−146450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、上述のようにADS−B信号と応答信号に含まれる航空機の位置を比較して判定するものである、比較される位置はいずれも航空機内の機器で測定されるため、判定の精度は航空機内の機器の精度に依存する。
【0009】
また特許文献2に記載の技術では、ADS−B地上局は、ADS−B信号に含まれる位置がモードS個別質問信号の送信タイミングと応答信号の受信タイミングにより計算された距離と合致するか否かを判定する。したがって、距離が等しい範囲で位置が大きくずれていても、それを検知することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、誤った位置通報が放送されたことを地上側の装置により高い信頼性で検知できる位置照合装置、ADS−B通報取得装置及び位置照合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1側面による位置照合装置は、航空機から受信された位置通報を取得する位置通報取得部と、マルチラテレーション測位された前記航空機の位置を取得するマルチラテレーション測位位置取得部と、前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行う位置情報照合部と、を有している。
【0012】
また本発明の他の側面によるADS−B通報取得装置は、航空機からの位置通報を受信する受信局と、マルチラテレーション測位された前記航空機の位置を取得するマルチラテレーション測位位置取得部と、前記マルチラテレーション測位による位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行う位置情報照合部と、を有している。
【0013】
また本発明のさらに他の側面による位置照合方法は、航空機からの位置通報を取得し、マルチラテレーション測位された前記航空機の位置を取得し、前記マルチラテレーション測位された位置と前記位置通報に含まれる位置との照合を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、誤った位置通報が放送されたことを地上側の装置により高い信頼性で検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の概略構成及び動作を説明する説明図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の変形例の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の変形例の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第3の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態の概略構成及び動作を説明する説明図である。ADS−B通報の位置照合装置1は、
図2に示すように、航空機30からのADS−Bによる位置通報を受信する受信局11と、航空機のマルチラテレーション(MLAT:multilateration)測位を行うマルチラテレーション装置12に接続されている。また位置照合装置1は、マルチラテレーション装置12によるMLAT測位位置100と位置通報に含まれる位置110との照合を行う。マルチラテレーション装置12は、航空機30から送信されたSSR(Secondary Surveillance Radar:二次監視レーダ)の応答信号41等を例えば4つの地点で受信してマルチラテレーション測位を行い、MLAT測位位置100を出力する。位置照合装置1は、受信局11が受信した位置通報40に含まれる位置110と、マルチラテレーション測位によるMLAT測位位置100が合致する場合、位置通報40が正しいと判断し、図示しない航空管制装置に送信する。また、位置照合装置1は、MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致しない場合、位置通報40が誤っていると判断し、図示しない航空管制装置に送信しない。もしくは、位置情報40に対して明示的に位置情報が誤っている旨の情報を付加して送信する。
【0017】
このように本実施形態のADS−B通報の位置照合装置1は、ADS−Bによる位置通報40に含まれる位置を、信頼性が高く高精度なマルチラテレーション測位による位置との比較により正誤判断を行う。マルチラテレーション測位による位置は、SSRの応答信号に含まれる航空機の位置110とは異なり、地上側で応答信号等を受信した時刻に基づいて測定した結果である。したがって本実施形態の位置照合装置1は、航空機上の装置の精度によらず高い信頼性で位置通報40を正誤判断することが可能となる。また航空管制において誤った位置情報を参照することが無くなり、航空管制運用の安全性が向上する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態の構成の一例を示すブロック図である。
マルチラテレーション装置12は、マルチラテレーション測位を行うのに必要な数、例えば4つの受信局11を備えている。受信局11は、航空機30からの位置通報40を受信するとともにSSRの応答信号41も受信する。受信局11は、位置が既知であり、航空機30から応答信号41を受信し、その受信時刻や識別情報などを含む情報をマルチラテレーション装置12に出力する。
【0019】
マルチラテレーション装置12は、航空機30から送信された応答信号41を例えば4つの受信局11において受信し、同じ応答信号41についての4つの受信時刻及び受信局の位置から4つの連立方程式を作成し、その連立方程式を解くことにより航空機30のマルチラテレーション測位を行い、MLAT測位位置100を出力する。なお、マルチラテレーション装置12は、ADS−Bによる、航空機30からの位置通報40を4つの受信局11が受信した受信時刻及び4つの受信局の位置から4つの連立方程式を作成し、その連立方程式を解くことによりマルチラテレーション測位を行ってもよい。
【0020】
位置照合装置1は、
図1に示すように、受信局11から位置通報40を取得する位置通報取得部14と、マルチラテレーション部12から、マルチラテレーション測位によって得られたMLAT測位位置100を取得するMLAT位置取得部15と、位置照合部13を備えている。
【0021】
位置照合部13は、位置通報取得部14から位置通報40を解析し位置通報40に含まれる位置110を抽出する。位置照合部13は、位置通報40に含まれる位置110をマルチラテレーション装置12から取得したマルチラテレーション測位によるMLAT測位位置100と照合する。位置通報40に含まれる位置110とマルチラテレーション測位によるMLAT測位位置100が合致する場合、すなわち位置通報40に含まれる位置110と、マルチラテレーション測位によるMLAT測位位置100の誤差が所定の範囲内であれば、位置通報40が正しいと判断し、図示しない航空管制装置に送信する。なお位置照合部13には、この判断のために使用される所定の範囲が予め設定されているとしてよい。
【0022】
また、位置照合部13は、MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致しない場合に位置通報40を記録する記録部14を備えている。MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致しない場合、すなわち位置通報40に含まれる位置110と、MLAT測位位置100の誤差が所定の範囲外の場合、位置照合部13は、位置通報40が誤っていると判断し位置通報40を棄却する。すなわち、位置照合部13は、誤っていると判断された位置通報40を航空管制装置に送信しない。もしくは、位置情報40に対して明示的に位置情報が誤っている旨の情報を付加して送信する。
【0023】
このように本実施形態のADS−B通報の位置照合装置1は、位置通報40に含まれる位置と、信頼性が高く高精度なマルチラテレーション測位による位置との比較により位置通報40の正誤判断を行う。したがって位置照合装置1は、高い信頼性で位置通報40を正誤判断することが可能となる。また位置照合装置1は、誤っていると判断した位置通報40のデータを航空管制装置に送信しないので、航空管制において誤った位置情報を参照することが無くなり、航空管制運用の安全性が向上する。
【0024】
なお
図1に示すADS−B通報取得装置1及び後述の変形例の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。本実施形態のADS−B通報取得装置1及び後述の各変形例の各構成要素の一部又は全部は、例えば
図8に示すような情報処理装置50とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。情報処理装置50は、一例として、以下のような構成を含む。
【0025】
・CPU(Central Processing Unit)51
・ROM(Read Only Memory)52
・RAM(Random Access Memory)53
・RAM53にロードされるプログラム54
・プログラム54を格納する記憶装置55
・記録媒体56の読み書きを行うドライブ装置57
・通信ネットワーク59と接続する通信インタフェース58
・データの入出力を行う入出力インタフェース60
・各構成要素を接続するバス61
本実施形態の位置照合装置1及び後述の変形例の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム54をCPU51が取得して実行することで実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラム54は、例えば、予め記憶装置55やROM52やRAM53に格納されており、必要に応じてCPU51が読み出す。
【0026】
なお、プログラム54は、通信ネットワーク59を介してCPU51に供給されてもよいし、予め記録媒体56に格納されており、ドライブ装置57が当該プログラムを読み出してCPU51に供給してもよい。
【0027】
位置照合装置1及び後述の変形例の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、位置照合装置1及び後述の変形例の各構成要素は、構成要素毎にそれぞれ別個の情報処理装置とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つの情報処理装置とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0028】
また、ADS−B通報取得装置1及び後述の各変形例の各構成要素の一部又は全部は、その他の汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組み合わせによって実現される。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0029】
位置照合装置1及び後述の変形例の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0030】
次に本実施形態の動作について説明する。
図3は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。まず受信局11により航空機30から位置通報40が受信されると、位置通報取得部14が、受信局11から位置通報40を取得する(ステップS1)。
【0031】
次に、MLAT位置取得部15は、マルチラテレーション装置12からマルチラテレーション測位によるMLAT測位位置100を取得する(ステップS2)。
【0032】
そして位置照合部13は、マルチラテレーション測位によるMLAT測位位置100と位置通報40に含まれる航空機30の位置110との照合を行い(ステップS3)、MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致するか、判断する(ステップS4)。例えば位置通報40に含まれる位置110とMLAT測位位置100との誤差が所定の範囲内か、判断する。
【0033】
MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致する場合、位置照合部13は、位置通報40が正しいと判断し、図示しない航空管制装置に送信する(ステップS5)。また、MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致しない場合、すなわち位置通報40に含まれる位置110とMLAT測位位置100との誤差が所定の範囲外であれば、位置照合部13は、位置通報が誤っていると判断し、誤った位置通報40のデータを棄却する(ステップS6)。すなわち位置照合部13は、誤っていると判断した位置通報40のデータを航空管制装置に送信しない。もしくは、位置情報40に対して明示的に位置情報が誤っている旨の情報を付加して送信する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のADS−B通報の位置照合装置1は、ADS−Bによる位置通報40に含まれる位置を、信頼性が高く高精度な地上側でのMLAT測位による測位位置100と比較することにより、位置通報40の正誤判断を行う。したがって本実施形態のADS−B通報取得装置1は、航空機上の装置の精度によらず高い信頼性で位置通報40を正誤判断することが可能となる。また位置照合装置1は、誤っていると判断した位置通報40のデータを航空管制装置に送信しないので、航空管制において誤った位置情報を参照することが無くなり、航空管制運用の安全性が向上する。また航空管制において誤った位置情報を参照することが無くなり、航空管制運用の安全性が向上する。
【0035】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0036】
例えば、位置照合装置は、誤っていると判断された位置通報40のデータを保存する記録部16を備えてもよい。
【0037】
図4は、第1の変形例の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、第1の変形例の位置照合装置2は、誤っていると判断された位置通報40のデータを保存する記録部16を備えている点で
図1の構成と異なる。
【0038】
図5は、
図4の動作を示すフローチャートである。本変形例では、
図3に示すステップS1からS4と同じ処理を行った後、
図3に示すステップS5と同様、MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致する場合、位置照合部13は、位置通報40が正しいと判断し、図示しない航空管制装置に送信する(ステップS5)。一方、MLAT測位位置100と位置通報40に含まれる位置110が合致しない場合、すなわち位置通報40に含まれる位置110とMLAT測位位置100との誤差が所定の範囲外であり、位置照合部13は、位置通報が誤っていると判断した場合、本変形例では、誤った位置通報40のデータを記録部16に保存する(ステップS10)。なお本変形例でも、位置照合部13は、誤っていると判断した位置通報40のデータの取り扱いは
図3の例と同様である。
【0039】
このような構成とすることにより、上述の第1の実施形態と同じ効果が得られるとともに、記録部16に保存された誤った位置通報40を事後確認することが可能となる。
【0040】
更に他の変形例として、
図1の複数の装置を1つの装置に備えた構成としてもよい。例えば受信局と位置照合装置を1つの装置に備え、ADS−B通報取得装置とした構成としてもよい。
図6は、第2の変形例の構成を示すブロック図である。ADS−B通報取得装置3は、
図6に示すように、受信局11と、マルチラテレーション装置12からマルチラテレーション測位されたMLAT位置100を取得するMLAT位置取得部15を備え、位置照合部13が、受信局11が受信した位置通報40に含まれる位置110とMLAT位置100とを照合する。これらが合致する場合、位置照合部13は、位置通報40が正しいと判断し、図示しない航空管制装置に送信する。これらが合致しない場合、すなわち位置通報40に含まれる位置110とMLAT測位位置100との誤差が所定の範囲外の場合、位置通報40のデータを記録部16に保存する。なお本変形例でも、位置照合部13は、誤っていると判断した位置通報40のデータの取り扱いは
図1の例と同様である。
【0041】
このような構成でも、上述の第1の実施形態、第1の変形例の効果と同様に、高い信頼性で位置通報40を正誤判断でき、航空管制において誤った位置情報を参照することが無くなり、航空管制運用の安全性が向上するという効果が得られる。また誤った位置通報40のデータを記録部16に保存することにより、誤った位置通報40を事後確認することが可能となる。
【0042】
さらに、受信局と、マルチラテレーション装置と、位置照合装置を1つの装置に備えたADS−B通報取得装置として構成してもよい。
図7は、
図1の第3の変形例の構成を示すブロック図である。ADS−B通報取得装置4は、
図7に示すように、受信局11と、マルチラテレーション装置12と、を備え、位置照合部13が、受信局11からADS−Bによる位置通報40を取得し、マルチラテレーション装置12からマルチラテレーション測位されたMLAT測位位置100を取得し、位置通報40に含まれる位置110をMLAT測位位置100と照合する。マルチラテレーション装置12から取得したMLAT測位位置100と、位置通報40に含まれる位置110が合致する場合、位置照合部13は、位置通報40が正しいと判断し、図示しない航空管制装置に送信する。またこれらが合致しない場合、すなわち位置通報40に含まれる位置110とMLAT測位位置100との誤差が所定の範囲外での場合、位置通報40のデータを記録部16に保存する。なお本変形例でも、位置照合部13は、誤っていると判断した位置通報40のデータの取り扱いは
図1の例と同様である。
【0043】
このような構成でも、上述の第1の実施形態、第1及び第2の変形例の効果と同様に、高い信頼性で位置通報40を正誤判断でき、航空管制において誤った位置情報を参照することが無くなり、航空管制運用の安全性が向上するという効果が得られる。また誤った位置通報40のデータを記録部14に保存することにより、誤った位置通報40を事後確認することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1、2 位置照合装置
3、4 ADS−B通報取得装置
11 受信局
12 マルチラテレーション装置
13 位置照合部
14 位置通報取得部
15 MLAT位置取得部
16 記録部
30 航空機
40 位置通報
41 応答信号
50 情報処理装置
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 プログラム
55 記憶装置
56 記録媒体
57 ドライブ装置
58 通信インタフェース
59 通信ネットワーク
60 入出力インタフェース
61 バス
100 MLAT測位位置
110 位置