(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
高炉スラグや転炉スラグ等を粉砕する装置として、竪型粉砕機(竪型ミル、或いは竪型ローラミルと称されることもある)と呼ばれる粉砕機が用いられている。竪型粉砕機は、被粉砕物(本明細書においては単に原料と称することもある)を効率的に粉砕することができるという優れた特性を備えている。
【0003】
竪型粉砕機の基本的な粉砕挙動等について以下簡略に説明する。
竪型粉砕機は、回転テーブル上に粉砕ローラが配されており、粉砕ローラは回転テーブルの方向に押圧されるよう構成されている。粉砕ローラは、回転テーブルが回転することにより、回転テーブルに対して原料を介して従動し回転する。
【0004】
竪型粉砕機に投入された原料は、原料投入用のシュート等を介して回転テーブル上に投入されて粉砕ローラに噛み込まれ粉砕される。回転テーブルと粉砕ローラに噛み込まれて粉砕された原料は、回転テーブルの外周部とケーシングとの間にある環状隙間へ向かう。
【0005】
原料を微粉砕して取り出すことに優れた上抜き式(エアスエプト式等と呼ばれることもある)の竪型粉砕機の場合には、テーブルの下方からガスが導入されており、機内において下方から上方に流れるガスの気流が生じている。前述の粉砕ローラにより蹴り出された原料の多くは、ガスにより吹き上げられて、機内上部へと向かう。そして、所望の寸法となった原料が、回転テーブルの上方に配した上部取出口からガスとともに取り出される。
【0006】
なお、所望の寸法まで粉砕されていない原料は、ガスにより吹き上げられず、そのままテーブル下方に落下する、或いは、ガスにより一旦吹き上げられても、上部取出口に到達する前にガスの流れから逸脱し落下し、回転テーブル上に落下する等して、再度、粉砕される。即ち、原料を微粉砕する際に、一度の粉砕で所望する粒度まで微粉砕できなかった原料は、機内で繰り返し粉砕されることになる。
【0007】
ここで、竪型粉砕機に使用されている粉砕ローラの形状について説明すると、代表的な形状として、スフェリカル型と呼ばれるドーナツ型タイプのものと、コニカル型と呼ばれる切頭円錐型タイプのものが、当業者において広く一般的に知られている。
【0008】
回転テーブルの形状について説明すれば、前述した粉砕ローラのタイプにあわせて最適な回転テーブルのタイプが異なる。通常、スフェリカル型の粉砕ローラを使用する場合は、回転テーブル上における粉砕ローラの転動面が、粉砕ローラの形状に合わせて加工されており、例えば、断面円弧状の溝が凹むようにして加工されている。特許文献1に示した竪型粉砕機の粉砕ローラの形状は、スフェリカル型と呼ばれるドーナツ型タイプのものである。回転テーブル上における粉砕ローラの転動面は、粉砕ローラの形状に合わせて断面円弧状の溝が加工されている。
【0009】
他方、コニカル型の粉砕ローラを使用する場合は、回転テーブル上における粉砕ローラの転動面が水平に形成されているケースが多い。
【0010】
ところで、粉砕ローラと回転テーブルの間で粉砕される原料は、一定の原料層厚みを確保した状態で、粉砕ローラと回転テーブルの間に噛み込まれて粉砕されることが望ましい。
しかし、高速で回転する回転テーブル上に供給された原料は、回転による遠心力により回転テーブル外周方向に向かって移動し、回転テーブル外側に飛び出そうとする。
その状況下で一定の原料層厚みを確保するため回転テーブルの外周部には、通常、ダムリングと呼ばれる環状の堰が設けられている。
【0011】
ダムリングで堰き止められた原料は、粉砕ローラと回転テーブルの間に噛み込まれて粉砕され、原料層の厚さが一定の厚さ以上になれば、ダムリングを乗り越えて回転テーブル外部に飛び出していく構造になっている。
【0012】
前述したスフェリカル型の粉砕ローラを使用する竪型粉砕機は、回転テーブル上の粉砕ローラの転動面に加工した溝の中に原料が入り込み留まり易い構造である。そのため、ダムリングは必要に応じて適宜設けられものであり必ずしも必要とは限らない。
それに対して、コニカル型の粉砕ローラを使用する竪型粉砕機においては、回転テーブル上の粉砕ローラの転動面が水平で溝部がないため、回転テーブル上に原料が留まりにくい構造であるから、一般的にダムリングの設置が必須である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
竪型粉砕機の被粉砕物である原料の中に金属異物が入っていた場合において、金属異物が回転テーブルから円滑に排出されずに回転テーブル上に長く留まり問題を引き起こす可能性があった。
【0015】
というのは、金属異物は、粉砕ローラと回転テーブルの間に噛み込まれて粒状になるが、金属異物は比重が重いため、原料層の下層側に流れ込むようにして移動する。例えば、前述したスフェリカル型の粉砕ローラを備えた竪型粉砕機においては、回転テーブルに加工した溝の中に原料が入り込み留まり易い構造であり、その中に入り込んだ金属異物は、原料層の下層側に位置して留まり溝部の中から円滑に排出されない可能性がある。
【0016】
それに対して、前述したコニカル型の粉砕ローラを備えた竪型粉砕機においては、粉砕ローラ下の転動面が水平のため金属異物の比重が重くても転動面上には留まりにくい構造である。しかし、比重の重い金属異物は、原料層厚みを維持するために設置したダムリングの底部に留まり貯まることがあり、その結果、ダムリングで堰き止められたまま円滑に排出されないという問題を引き起こす可能性があった。
【0017】
本発明は、以上、説明したような問題点に鑑みてなされたものであり、コニカル型の粉砕ローラを備えた竪型粉砕機において、被粉砕物である原料の中に金属異物が入っていた場合に、金属異物が回転テーブルから円滑に排出されないという問題が生じる可能性を低減させる技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するため、本発明による竪型粉砕機は、
(1) 回転自在なコニカル型の粉砕ローラを備えて、回転テーブル上に投入した金属異物を含む原料を粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機において、
回転テーブルの上面外周部にダムリングを配し、回転テーブルの粉砕ローラ転動面からダムリングまで回転テーブル上に水平面を形成して、
該水平面に連続して回転テーブルの外周方向に向かい水平方向に伸びる排出口をダムリング
の下部に
のみ上方を閉塞させて形成した。
【0021】
(2)(1)
に記載の竪型粉砕機において、前記排出口の上部から回転テーブルの外周方向に向かって伸び下方に向かって屈曲する流路制御部を備えた。
【0022】
(
3)(2)に記載の竪型粉砕機において、前記流路制御部の下部が、回転テーブルの内周方向に向かって屈曲している構成とした。
【0023】
(
4)
(3)に記載の竪型粉砕機において、前記流路制御部が、回転テーブルの円周方向側側面の少なくとも一方に閉止板を備えた。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コニカル型の粉砕ローラを備えた竪型粉砕機において、被粉砕物である原料の中に金属異物が入っていた場合に、金属異物を回転テーブルから効率的に排出する。
【0025】
また、排出口の上部を覆うようにして流路制御部を設ければ、下方から上昇してくるガスにより金属異物が吹き上げられにくくなり、結果、金属異物が再度回転テーブル上に吹き上げられる可能性が減少するので効率良い粉砕が可能になる。特に、流路制御部の側面を閉止板で覆えば、さらに、金属異物が再度回転テーブル上に吹き上げられる可能性が減少するという優れた作用効果を奏することが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面等に基づき本発明の好ましい実施形態の1例を詳細に説明する。
図1から
図7は本発明の実施形態に係わり、その好ましい例を示したものである。
図1は竪型粉砕機の全体構成を説明する図であり、
図2は粉砕ローラ、回転テーブル及びダムリングの配置を説明する図であり、(1)が上方から観察した図であり、(2)が側面方向から観察した図である。
図3はダムリングの構成を説明する図であり、(1)が回転テーブル付近の図を側面から観察した図であり、(2)がA―A面を観察したダムリング調整板、(3)がB−B面を観察した分割ダムリング、(4)がC−C面を観察した回転テーブル上面の形状を示した。
【0028】
図4はダムリングに形成した排出口の配置及び形状を説明する図であり、(2)がA―A面を観察した図であり、(3)がB−B面を観察した図である。
図5は回転テーブル上における金属異物の挙動を概念的に説明する図であり、(1)が上方から観察した図であり、(2)が側面方向から観察した図である。
図6は本発明による他の実施形態に係わりダムリングの形状を説明する図であり、(1)が第2タイプを示し、(2)が第3タイプを示し、(3)が第4タイプを示した。
図7はダムリングに備えた流路制御部の形状を説明する図であり、(1)が第5タイプを示し、(2)が第6タイプを示した。
【0029】
以下、本実施形態に係る竪型粉砕機1の好ましい構成の1例を説明する。
本実施形態に係る竪型粉砕機1は、
図1に示すように竪型粉砕機1の外郭を形成する分級機ケーシング1B、及びミルケーシング1A、並びに、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bと図示しない駆動モータによって駆動される回転テーブル2、コニカル型の粉砕ローラ3を備えている。なお、本実施形態においては、回転テーブル上面2Aをフラットな水平に形成した。
【0030】
ここで、粉砕ローラ3が回転テーブル上面2A上で回転する転動面の軌跡を
図2(1)及び
図2(2)に示す。本実施形態においては、粉砕ローラ3の回転テーブル上面2Aでの転動面Tから、ダムリング5に形成した排出口5Dの底面にかけて水平となっており、水平面Sを形成している。金属異物Kは、遠心力によって水平面Sを滑りながら外周方向に移動して排出口5Dから回転テーブル2の外方へ排出される構成となっている。
なお、ダムリング5の構成、並びに金属異物Kの挙動等については、詳細を後述する。
【0031】
そして、
図1に示した竪型粉砕機1は、図示しない駆動モータの駆動用電源としてインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブル2の回転速度が任意に変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
【0032】
図1に示した竪型粉砕機1は、内部に分級装置を備えた上抜き式である。回転テーブル2の上方には、形状が略逆円錐型の内部コーン19を備えており、内部コーン19の上部に固定式の一次分級羽根である固定式分級羽根14が配されている。そして、内部コーン19の上方で固定式分級羽根14の内側には、回転式分級羽根13を有している。回転式分級羽根13は、竪型粉砕機1の上部に設置された図示しない駆動モータにより駆動されて、自在に回転する構成となっている。本明細書においては、回転式分級羽根13と固定式分級羽根14を合わせて分級機構15と称する。
【0033】
そして、回転テーブル2の下方には、ガスを導入するためのガス導入口33と、重量の大きな原料を取り出すための排出シュート34(下部取出口34と称することもある)を備えている。また、回転テーブル2上方には、機内に原料を投入するための原料供給口35を備えており、さらにガスと共に製品(粉砕されて所望の粒径となった原料)を取り出すことのできる上部取出口39を備えている。
【0034】
図2に示すように、回転テーブル2の外周部分に対向する位置にあるミルケーシング1Aの内周面は、円筒状になっており、回転テーブル2の外周部分と竪型粉砕機1のミルケーシング1Aとの間で環状の隙間30(環状隙間30)を形成する。また、粉砕ローラ3は、
図2に示すように、回転テーブル2の外周部分に位相を90度ずつずらした形で4個配されている。
【0035】
以下、ダムリング5の構成について説明する。
図3に示すように、
図1に示した竪型粉砕機1においては、回転テーブル上面2Aの外周部に、円弧状の分割ダムリング5Bを間隔をあけて複数枚(本実施形態では8枚)を並べて配することにより、排出口5Dを複数箇所(本実施形態では8箇所)で形成し、その上に環状のダムリング調整板5Aを配した構成となっている。
【0036】
なお、本実施形態においては、ダムリング調整板5Aと分割ダムリング5Bを組み合わせて使用することにより、排出口5Dが形成された環状のダムリング5を形成した。
しかし、本発明において使用できるダムリングの構成はこれに限るものではなく、例えば、
図6(1)示した第2タイプのダムリング52のように、環状リングの下部に切り欠きを形成して排出口を設けたタイプのダムリングであっても良い。また、それ以外にも、例えば、
図6(2)に示した第3タイプのダムリング53のように、円弧状に形成された複数枚のダムリング並べて配して、その両端部を併設するダムリングに重ね合わせることにより組み合わせて排出口5Dを形成したタイプのダムリングであっても良く、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で変更が可能である。
【0037】
以下、竪型粉砕機1の粉砕挙動等について簡略に説明する。
前述したように、
図1に示した竪型粉砕機1は、回転テーブル2上に粉砕ローラ3が配されており、それぞれの粉砕ローラ3が、回転テーブル2の方向に押圧されるよう構成されている。そして、粉砕ローラ3は、回転テーブル2が回転することにより、回転テーブル2に対して、原料を介して従動して回転する。
【0038】
竪型粉砕機1の原料供給口35に投入された原料(本実施形態においては高炉スラグ)は、原料投入シュートを介して回転テーブル2の中央付近に投入されて、渦巻き状の軌跡を描きながら、回転テーブル2の外周側に移動する。そして、回転テーブル2の外周側に移動した原料は、粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕される。
【0039】
回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料は、回転テーブル2の外縁部に周設されたダムリング5を乗り越えて、回転テーブル2の外周部とミルケーシング1Aとの間に形成された環状隙間30の領域に移動する。そして、環状隙間30に移動した原料は、ガスにより吹き上げられてケーシング内を上昇する。この際において吹き上げられるガスの流れは、回転式分級羽根13の回転による影響を受けて、旋回流となる。
【0040】
旋回流となったガスの中に同伴されて吹き上げられた原料は、回転テーブル2の上方に配した分級機構15の方向に向かって旋回しながら流れる。そして、分級機構15を通過した径の小さな原料が、上部取出口39から製品として取り出される。
【0041】
分級機構15を通過できなかった原料の多くは、機内を落下し、再度、回転テーブル2まで戻されて粉砕される、或いは、内部コーン19に捕集されて、再度、回転テーブル2上に供給されて粉砕される。一方、原料の中で極端に重量の大きなものは、ガスにより吹き上げられず、回転テーブル2の下方に向かって落下する。回転テーブル2の下方に落下した原料は、竪型粉砕機1の底面部に達し、図示しないスクレーパ等によって排出シュート34から機外に取り出される。
【0042】
ここで、前述した竪型粉砕機1の運転中においては、被粉砕物である高炉スラグの中に入っている金属異物Kが、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に噛み込まれて粉砕される。しかし、金属異物Kは、一般的に延性が高く、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に噛み込まれて、ある程度の大きさまで粉砕された後、粒状になる。そして、粒状になった金属異物Kは比重が重いため、原料層の下層側に流れ込むようにして移動する。
【0043】
従来技術においては、前述したように、比重の重い金属異物Kが、原料層厚みを維持するために設置したダムリングの底部に留まり貯まることがあり、その結果、ダムリングで堰き止められたまま円滑に排出されないという問題を引き起こす可能性があった。
【0044】
それに比較して、本実施形態においては、回転テーブル上面2Aの粉砕ローラ3の転動面Tからダムリング5まで回転テーブル上に水平面を形成して、水平面に連続して回転テーブル2の外周方向に向かい水平方向に伸びる排出口5Dをダムリングに形成することによって、粉砕ローラ3の回転テーブル上面2Aでの転動面Tからダムリング5に形成した排出口5Dの底面にかけて水平面Sを形成している。
【0045】
したがって、
図5(1)及び(2)に示すように、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に噛み込まれて粒状になった金属異物Kが、回転テーブル2の回転による遠心力によって、水平面Sを円滑に滑り又転がりながら移動して、排出口5Dより回転テーブル2外へ排出される。
【0046】
なお、前述したように金属異物Kは原料層の下層側に流れ込んで行く傾向があり、金属異物K以外の粉砕品Fは原料層の上層側に流れて込んで行く確率が高くなっている。
本実施形態では、排出口5Dの上方を閉塞させてダムリング5の下部にのみ排出口5Dを形成する構成としているので、金属異物K以外の粉砕品Fをダムリング5によりせき止めて、金属異物Kを選択的に回転テーブル2の外部に排出する確率を高めることが可能である。したがって、本実施形態によれば、金属異物Kを回転テーブル2から効率的に排出することによって、竪型粉砕機1の粉砕効率を改善することが可能になる。
【0047】
なお、本実施形態においては、特に好ましい構成の1例として、排出口5Dの上方を閉塞させることによりダムリング5の下部にのみ排出口5Dを形成する構成とした。金属異物Kは原料層の下層側に位置する傾向があるので、排出口5Dの上方を閉塞させたタイプのダムリング5、ダムリング52、又ダムリング53は、原料層の上層側に位置する金属異物K以外の原料が排出口5Dから排出される危険性が減少し、金属異物Kを選択的に回転テーブル2の外部に排出できるという点において好ましい構成である。
しかし、ダムリング5Dの上部を閉塞しない
図6(3)に示した第4タイプのダムリング54であっても、金属異物Kを効果的に排出できるという効果は奏するので、本発明の適応の範囲である。
【0048】
以下、本発明に係わる他の実施形態について
図7等を利用して説明する。
図7(1)に示した実施形態においては、ベース部55Bと流路制御部55Aによって排出口5Dを備えた第5タイプのダムリング55を形成しており、前述した実施形態と同様に、粉砕ローラ3の回転テーブル上面2Aでの転動面Tからダムリング55に形成した排出口5Dの底面にかけて水平面Sを形成している。そして、
図7(1)に示した実施形態は、前述した実施形態と比較して、流路制御部55Aを備えているという点において構成が相違する。流路制御部55Aは、排出口5Dの上部から回転テーブル2の外周方向に向かって伸びて、下方に向かって屈曲するとともに、その下部が回転テーブルの内周方向に向かって屈曲している構成となっている。
【0049】
以下、
図7(1)に示した実施形態における粉砕挙動等について簡略に説明すれば、前述した実施形態と同様に、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に噛み込まれて粒状になった金属異物Kは、回転テーブル2の回転による遠心力によって、水平面Sを円滑に滑り又転がりながら移動して、排出口5Dより回転テーブル2外へ排出される。
【0050】
排出口5Dから排出された金属異物Kは、環状隙間30に落下するが、環状隙間30には、粉砕後の粉砕品Fを吹き上げて搬送するためのガスが下方から上方に向かって流れている。環状隙間30を吹き上がるガスの中に金属異物Kが排出されるとガスの圧損が増えるとともに、金属異物Kが吹き上げられて再度回転テーブル上面2Aに戻ってしまう可能性もあり好ましくない。
【0051】
図7(1)に示した実施形態においては、流路制御部55Aの下部が回転テーブル2の内周方向に向かって屈曲している構成となっていることによって、排出口5Dから排出される金属異物Kに対して、環状隙間30を吹き上がるガスが直接あたりにくい構造となっている。また、例え、排出口5Dから排出された金属異物Kが一旦ガスにより吹き上げられたとしても、排出口5Dの上部から回転テーブル2の外周方向に向かって伸びる板に邪魔されて、回転テーブル上面2Aへ吹き戻されにくい構造となっている。
【0052】
図7(1)に示した実施形態においては、前述した理由によって、環状隙間30を吹き上がるガスの流れに、金属異物Kが曝されにくくなるため、ガスの圧損を抑えることができるとともに、金属異物Kが吹き上げられて再度回転テーブル上面2Aに戻る可能性を低減できる。したがって、竪型粉砕機1の粉砕効率を改善することが可能である。
【0053】
また、
図7(2)に示した実施形態においては、前述した
図7(1)に示した実施形態と同様に、ベース部56Bと流路制御部56Aによって排出口5Dを備えた第6タイプのダムリング56を形成しており、粉砕ローラ3の回転テーブル上面2Aでの転動面Tからダムリング56に形成した排出口5Dの底面にかけて水平面Sを形成している。
【0054】
そして、
図7(2)に示した実施形態は、
図7(1)に示した実施形態と比較して、回転テーブル2の円周方向側側面に閉止板56Cを配しているという点で構成が相違する。
なお、
図7(2)に示した実施形態では、流路制御部56Aの円周方向側の両側面に閉止板56Cを配している。
【0055】
以下、
図7(2)に示した実施形態における粉砕挙動等について簡略に説明すれば、前述した
図7(1)に示した実施形態と同様に、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に噛み込まれて粒状になった金属異物Kが、回転テーブル2の回転による遠心力によって、水平面Sを円滑に滑り又転がりながら移動して、排出口5Dより回転テーブル2外へ排出される。排出口5Dから排出された金属異物Kは、環状隙間30に落下する。
【0056】
なお、
図7(2)に示した実施形態では、流路制御部56を設けることによって、前述した
図7(1)に示した実施形態と同様な理由により、排出口5Dから排出される金属異物Kに対して環状隙間30を吹き上がるガスが直接あたりにくい構造である。
その結果として、ガスの圧損を抑えることができるとともに、排出口5Dから排出される金属異物Kが、例え、一旦ガスによって吹き上げられたとしても回転テーブル上面2Aへ吹き戻されにくい構造であるから、金属異物Kが吹き上げられて再度回転テーブル上面2Aに戻る可能性を低減できる。
【0057】
また、
図7(2)に示した実施形態では、流路制御部56Aの円周方向側の両側面に閉止板56Cを配しているので、回転テーブル2の回転にともない側面側から排出口5D側に流れ込んでくるガスも遮断できる。したがって、ガスの流れに対して、金属異物Kがさらに曝されにくい構造となり、結果、金属異物Kが、吹き上げられて再度回転テーブル上面2Aに戻る可能性を、さらに低減できるので、竪型粉砕機1の粉砕効率を改善することが可能になる。
【0058】
なお、
図7(2)に示した実施形態では、特に好ましい構造として、流路制御部56Aの円周方向側の両側面に閉止板56Cを配することにより、金属異物Kがガスの流れに対して曝されにくい構造とした。しかし、本発明の適応の範囲はこれに限るものではなく、少なくとも一方側に閉止板56Cを配すれば、金属異物Kが吹き上げられて再度回転テーブル上面2Aに戻る可能性を低減できる。
【0059】
例えば、回転テーブル2の回転方向側となる円周方向側側面に閉止板56Cを配すれば、流路制御部56Aの内側に、側面側からガスがまわり込み入るのを防止して、金属異物Kが吹き上げられるのを抑制でき、金属異物Kが吹き上げられて再度回転テーブル上面2Aに戻る可能性を低減できる。また、回転テーブル2の反回転方向側となる円周方向側側面に閉止板56Cを配すれば、流路制御部56Aの内側に入り込んだガスが流路制御部56Aから出ていくのを防止して、金属異物Kが吹き上げられて再度回転テーブル上面2Aに戻る可能性を低減できる。