【実施例】
【0061】
次に、本発明の熱交換用シートについて実施例を挙げて詳細に説明する。
[測定方法]
(1)多孔性フィルムおよび熱交換用シートの厚み
厚みは、試料(多孔性フィルムまたは熱交換用シート)の異なる箇所から長さ100mm、幅100mmの試験片を5枚採取し、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置後、それぞれの中央と4隅の5点の厚さ(μm)を測定器(DIGIMICRO MF−501、MFC−101(Nikon))を用いてμm単位まで測定し、平均値を値(μm)とした。
【0062】
(2)層Aおよび/又は層Bの合計厚み
層Aおよび/又は層Bの合計厚みは、次のようにして求めた。すなわち、超高分解能電解放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製SU−8010型)を用いて、10cm×10cmの熱交換用シートの試験片の任意の1辺の一方の端部の断面、その1辺の他方の端部の断面、一方の端部から他方の端部側に2.5cmずらしたA点の断面、A点から他方の端部側に更に2.5cmずらしたB点の断面、B点から他方の端部側に更に2.5cmずらしたC点の断面の5点の断面を倍率3,000〜50,000倍で撮影し、得られた写真を用いて、熱交換用シートの有する層Aおよび/又は層Bの合計厚みを0.01μm単位まで測定した。また、上記の測定は、5枚の熱交換用シートの試験片について行い、得られた合計25点の測定値の平均を層Aおよび/又は層Bの合計厚み(μm)とした。ここで、層Aおよび/又は層Bの合計厚みとは、上述のとおり、熱交換用シートが層Aのみを有する場合には、層Aと層Bとの合計厚みは層Aの厚みと同じとなり、層Aの厚みは、多孔性フィルムの一方の面に垂直方向上で、多孔性フィルムの一方の面と層Aの多孔性フィルム側の反対側の面との間の距離をいい、次に、熱交換用シートが層Bのみを有する場合には、層Aと層Bとの合計厚みは層Bの厚みと同じとなり、層Bの厚みは、多孔性フィルムの一方の面に垂直方向上で、多孔性フィルムの一方の面と層Bの多孔性フィルムの一方の面側の反対側の面との間の距離をいい、さらに、熱交換用シートが層Aおよび層Bを有する場合には、層Aと層Bとの合計厚みは上述した層Aの厚みと上述した層Bの厚みの合計値となる。
【0063】
(3)多孔性フィルムおよび熱交換用シートの目付
JIS L1906(2000)5.2の方法により目付を測定した。試料(多孔性フィルムまたは熱交換用シート)の異なる箇所から長さ100mm、幅100mmの試験片を5枚採取し、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置後、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m
2当たりの質量(g/m
2)で表し、5枚の平均値を目付(g/m
2)とした。
【0064】
(4)多孔性フィルムおよび熱交換用シートの密度
上記(1)の厚み及び上記(3)の目付より密度(g/cm
3)を下記式にて求めた。
密度(g/cm
3)=目付(g/m
2)/厚さ(μm)(3)
(5)多孔性フィルムの空孔率
多孔性フィルムの空孔率は、下記式により計算し値とした。
空孔率(%)=(W
2−W
1)/W
2×100
W
1:上記(3)にて測定した質量(g)
W
2:上記(3)のサンプルが無孔のフィルム(100%充填している)であるときの理論質量(g)。
【0065】
(6)多孔性フィルムの細孔径
JIS K3832(1990)バブルポイント法により細孔径を測定した。多孔性フィルムの異なる箇所から直径70mmの円形を5枚採取し試験片とし、パームポロメーター(型式CFP−1200AEX、西華産業(株))に試験片をセットし、その試験片の最大細孔径の測定を行い、試験片5枚の平均値を多孔性フィルムの細孔径(nm)とした。
【0066】
(7)透気度
透気度は、JIS P8117(1998)透気度(ガーレ試験機法)の方法により測定した。長さ100mm、幅100mmの試験片(多孔性フィルム、熱交換用シート、無孔性フィルムまたは紙)を5枚用意した。試験片は温度20℃、湿度65%RHで24hr放置後、同温湿度の環境下で、ガーレ式デンソメータ(型式G−B3C、(株)東洋精機製作所)に試験片を設置し、空気100mlが通過する時間を測定し、5枚の平均値を透気度(秒/100ml)とした。
【0067】
(8)透湿度
透湿度は、JIS Z0208(1976)透湿度(カップ法)の方法により測定した。使用したカップは、直径60mmで深さ25mmである。試験片(多孔性フィルム、熱交換用シート、無孔性フィルムまたは紙)は、直径70mmの円形のものを5枚用意した。試験片は、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置した。次に、その試験片を、水分測定用塩化カルシウム(和光純薬工業製)の入ったカップに設置し、初期重量(T
0)を測定し、温度20℃、湿度65%RHに設定した恒温恒湿槽内で1時間、2時間、3時間、4時間および5時間静置し、その際の質量(それぞれT
1、T
2、T
3、T
4、T
5)を測定した。下記式により透湿度を求め、5枚の平均値を透湿度(g/m
2/hr)とした。
透湿度(g/m
2/hr)={[(T−T
0)/T
0)+((T−T
1)/T
1)+((T−T
2)/T
2)+((T−T
3)/T
3)+((T−T
4)/T
4)+((T−T
5)/T
5)]/5}×100。
【0068】
(9)重量平均分子量(Mw)
親水性樹脂を溶媒(例えばポリビニルピロリドンであればクロロホルム)に溶解させて測定溶液とし、これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。測定数は5回とし、その平均値を重量平均分子量とした。
【0069】
(10)熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付
長さ100mm、幅100mmの熱交換用シートの試験片を5枚用意し、それらを温度20℃、湿度65%RHで24hr放置し、それらの初期質量(g)を測定する。次に、溶媒(例えば、親水性樹脂が、ポリビニルピロリドンであればエタノールなど)にて、5枚の試験片の表面及び裏面を2回ずつ拭き取り、次に、それらを200mlの溶媒に2分間浸漬し、再度、200mlの溶媒に2分間浸漬させ、続いて、それらの試験片を温度20℃、湿度65%RHで24hr放置し、試験片から親水性樹脂を除去した後、5枚の試験片の質量(g)を測定し、下記式より付着量を計算し、試験片5枚の平均値を値(g/m
2)とした。
熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付(g/m
2)
=(初期質量(g)−親水性樹脂を除去した質量(g))/0.01(m
2)。
【0070】
(11)多孔性フィルムおよび熱交換用シートの二酸化炭素遮蔽率
幅0.36m、長さ0.60m、高さ0.36m(0.078m
3)のボックスの開口部(20cm×20cm)に熱交換用シートまたは多孔性フィルムの試験片(25cm×25cm)を貼り、ボックス内の濃度が8,000ppmとなるように二酸化炭素注入口から二酸化炭素を注入し、1時間後のボックス内の二酸化炭素濃度(ppm)を測定し、次式により二酸化炭素遮蔽率(%)を計算した。二酸化炭素濃度は、測定機(testo535((株)テストー))を用いて評価した。
二酸化炭素遮蔽率(%)
={(1時間後のボックス内の二酸化炭素濃度−外気二酸化炭素濃度炭素濃度)/(ボックス内の初期二酸化炭素濃度−外気二酸化炭素濃度)}×100。
【0071】
(12)接触角
接触角は、長さ100mm、幅100mmの多孔性フィルムの試験片を5枚用意し、温度25℃、湿度50%RHで24hr放置する。その後、それぞれの試験片の中央部分の接触角を接触角計(DMs−400(協和界面科))と塗液を用いて、液量1μLの液滴法にて測定し、5枚の試験片の接触角の測定値の平均値を接触角(°)とした。
【0072】
(13)塗液の粘度
塗液の粘度は、TVB15形粘度計(東機産業株式会社)を用いて測定した。110mlスクリュー管に25℃の塗液を80ml入れ、ロータM−2、回転数100rpm、測定時間60秒間にて測定し、3回測定した平均値を値(cP)とした。
【0073】
(14)熱交換用シートの耐久性処理
熱交換用シートにおける結露の耐久性処理は次の通り行った。
上記(7)透気度、および、上記(11)二酸化炭素遮蔽率に用いた熱交換用シートの試験片を、温度55℃、湿度90%RHの条件の恒温恒湿槽にて100hr処理する。
【0074】
(15)熱交換用シートの耐久性評価
耐久性評価における透湿度は、上記(14)耐久性処理にて処理した熱交換用シートの試験片の透湿度を、上記(8)透湿度の方法にて評価した。また、耐久性評価における二酸化炭素遮蔽率は、上記(14)耐久性処理にて処理した熱交換用シートの試験片の二酸化炭素遮蔽率を、上記(11)二酸化炭素遮蔽率の方法にて評価した。
次に、耐久性評価を下記の通り行った。
◎:「耐久性処理後の透湿度(g/m
2/hr)」が「耐久性処理前の透湿度−10以上」であり、かつ、「耐久性処理後の二酸化炭素遮蔽率(%)」が「耐久性処理前の二酸化炭素遮蔽率−10以上」である。
○:「耐久性処理後の透湿度(g/m
2/hr)」が「耐久性処理前の透湿度−20以上−10未満」であり、かつ、「耐久性処理後の二酸化炭素遮蔽率(%)」が「耐久性処理前の二酸化炭素遮蔽率−20以上−10未満」である。
×:「耐久性処理後の透湿度(g/m
2/hr)」が「耐久性処理前の透湿度−20未満」であり、かつ、「耐久性処理後の二酸化炭素遮蔽率(%)」が「耐久性処理前の二酸化炭素遮蔽率−20未満」である。
【0075】
(16)熱交換用シートの質量変化率
熱交換用シートの質量変化率が下記の方法にて算出した。すなわち、上記「(3)多孔性フィルムおよび熱交換用シートの目付」の測定方法にて用いた5枚の試験片を温度20℃、湿度65%RHで24hr静置した後、これら5枚の試験片それぞれの質量T1(g)を測定した。質量T1(g)(以下、T1とする)の測定後、水温20℃の水を2L入れた3Lのビーカーに5枚の試験片を浸漬させた。そして、5枚の試験片の浸漬開始から3秒後に5枚の試験片を3Lのビーカーから取り出し、これら5枚の試験片を室温50℃の恒温機室内に静置し乾燥させた。次に、5枚の試験片の恒温機室内への静置開始30分後に、これら5枚の試験片を恒温機室内から取り出し、温度20℃、湿度65%RHで24hr静置した後、これら5枚の試験片それぞれの質量T2(g)(以下、T2とする)を測定した。そして、T1からT2を減じた値をT1で除し、さらに、得られた値に100を乗じることで5枚の試験片個々の質量変化率を算出し、5枚の試験片個々の質量変化率の平均値を熱交換用シートの質量変化率(%)とした。
(実施例1)
多孔性フィルムとして、目付6.9g/m
2、厚さ12μm、密度0.58g/cm
3、空孔率43%、細孔径33nmのポリエチレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度101g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率2%、透気度158秒/100mlであった。
【0076】
親水性樹脂として、重量平均分子量90×10
4のポリビニルピロリドン(K−85W 株式会社日本触媒)を用いた。
【0077】
塗液は、上に示したポリビニルピロリドン5wt%、メタノール80wt%、水15wt%を混ぜ合わせ作成した。塗液の粘度は、41cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は48°であった。
【0078】
熱交換シートの製造方法は、マイクログラビアコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に2g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃のロールサポート型乾燥炉にて40秒間乾燥し、巻き取り、熱交換用シートとした。
【0079】
熱交換用シートは、目付7.0g/m
2、厚さ12μm、密度0.58g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.1g/m
2、層Aの厚みは0.11μmであった。
【0080】
熱交換用シートの物性は、透湿度82g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率23%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性を有する熱交換用シートを得た。
【0081】
(実施例2)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0082】
熱交換用シートの製造方法は、マイクログラビアコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に8g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃のロールサポート型乾燥炉にて40秒間乾燥し、巻き取り、熱交換用シートとした。
【0083】
熱交換用シートは、目付7.3g/m
2、厚さ12μm、密度0.60g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.4g/m
2、層Aの厚みは0.18μmであった。
【0084】
熱交換用シートの物性は、透湿度78g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率64%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0085】
(実施例3)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0086】
熱交換シートの製造方法は、マイクログラビアコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に12g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃のロールサポート型乾燥炉にて40秒間乾燥し、巻き取り、熱交換用シートとした。
【0087】
熱交換用シートは、目付7.5g/m
2、厚さ12μm、密度0.61g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.6g/m
2、層Aの厚みは0.24μmであった。
【0088】
熱交換用シートの物性は、透湿度81g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率72%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0089】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度82g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率71%であった。耐久性評価は「◎」であり、耐久性に優れた熱交換用シートであることを確認できた。
【0090】
(実施例4)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
【0091】
親水性樹脂として、重量平均分子量105×10
4のポリビニルピロリドン(K−95W 株式会社日本触媒)を用いた。
【0092】
塗液は、上に示したポリビニルピロリドン5wt%、メタノール80wt%、水15wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度73cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は55°であった。
【0093】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に12g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0094】
熱交換用シートは、目付7.5g/m
2、厚さ12μm、密度0.60g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.6g/m
2、層Aの厚みは0.43μmであった。
【0095】
熱交換用シートの物性は、透湿度88g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0096】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度87g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であった。耐久性評価は「◎」であり、耐久性に優れた熱交換用シートであることを確認できた。
【0097】
(実施例5)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
【0098】
親水性樹脂として、重量平均分子量8×10
4のポリビニルピロリドン(K−30W 株式会社日本触媒)を用いた。
【0099】
塗液は、上に示したポリビニルピロリドン20wt%、メタノール70wt%、水10wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度27cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は58°であった。
【0100】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に3.0g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0101】
熱交換用シートは、目付7.5g/m
2、厚さ12μm、密度0.62g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.6g/m
2、層Aの厚みは0.19μmであった。
【0102】
熱交換用シートの物性は、透湿度76g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率71%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0103】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度75g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率59%であった。耐久性評価は「○」であり、耐久性の有る熱交換用シートであることを確認できた。
(実施例6)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0104】
熱交換用シートの製造方法は、マイクログラビアコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に16g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃のロールサポート型乾燥炉にて40秒間乾燥し、巻き取り、熱交換用シートとした。
【0105】
熱交換用シートは、目付7.7g/m
2、厚さ12μm、密度0.62g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.8g/m
2、層Aの厚みは0.36μmであった。
【0106】
熱交換用シートの物性は、透湿度85g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0107】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度87g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であった。耐久性評価は「◎」であり、耐久性に優れた熱交換用シートであることを確認できた。
【0108】
また、熱交換用シートの質量変化率は7.2%であった。
【0109】
(実施例7)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0110】
熱交換用シートの製造方法は、マイクログラビアコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に24g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃のロールサポート型乾燥炉にて40秒間乾燥し、巻き取り、熱交換用シートとした。
【0111】
熱交換用シートは、目付8.1g/m
2、厚さ12μm、密度0.65g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は1.2g/m
2、層Aの厚みは0.41μmであった。
【0112】
熱交換用シートの物性は、透湿度86g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0113】
(実施例8)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0114】
塗液は、上に示したポリビニルピロリドン5wt%、水94wt%、界面活性剤プライサーフM208F(第一工業製薬株式会社)1wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度39cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は53°であった。
【0115】
熱交換用シートの製造方法は、塗液をバーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に24g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度80℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、巻き取り、熱交換用シートとした。
【0116】
熱交換用シートは、目付8.1g/m
2、厚さ12μm、密度0.65g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は1.2g/m
2、層Aの厚みは0.38μmであった。
【0117】
熱交換用シートの物性は、透湿度80g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0118】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度78g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であった。耐久性評価は「◎」であり、耐久性に優れた熱交換用シートであることを確認できた。
【0119】
(実施例9)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0120】
熱交換用シートの製造方法は、マイクログラビアコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に36g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃のロールサポート型乾燥炉にて40秒間乾燥し、巻き取り、熱交換用シートとした。
【0121】
熱交換用シートは、目付8.7g/m
2、厚さ13μm、密度0.68g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は1.8g/m
2、層Aの厚みは0.72μmであった。
【0122】
熱交換用シートの物性は、透湿度82g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0123】
(実施例10)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0124】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に108g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0125】
熱交換用シートは、目付12.3g/m
2、厚さ14μm、密度0.88g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は5.4g/m
2、層Aの厚みは1.95μmであった。
【0126】
熱交換用シートの物性は、透湿度62g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0127】
(実施例11)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0128】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に180g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0129】
熱交換用シートは、目付15.9g/m
2、厚さ17μm、密度0.96g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は9.0g/m
2、層Aの厚みは4.62μmであった。
【0130】
熱交換用シートの物性は、透湿度51g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性が有り、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0131】
(実施例12)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、重量平均分子量9×10
4のカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1220 ダイセルファインケム株式会社)を用いた。
【0132】
塗液は、上に示したカルボキシメチルセルロース5wt%、水94wt%、界面活性剤プライサーフM208F(第一工業製薬株式会社)1wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度64cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は63°であった。
【0133】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に24g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度80℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0134】
熱交換用シートは、目付8.1g/m
2、厚さ13μm、密度0.62g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は1.2g/m
2、層Aの厚みは1.12μmであった。
【0135】
熱交換用シートの物性は、透湿度86g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率55%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0136】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度87g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率42%であった。耐久性評価は「○」であり、耐久性の有る熱交換用シートであることを確認できた。
【0137】
(実施例13)
多孔性フィルムとして、目付4.0g/m
2、厚さ7μm、密度0.57g/cm
3、空孔率32%、細孔径27nmのポリエチレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度98g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率3%、透気度250秒/100mlであった。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0138】
塗液は、上に示したポリビニルピロリドン5wt%、メタノール60wt%、水35wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度42cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は51°であった。
【0139】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に16g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0140】
熱交換用シートは、目付4.8g/m
2、厚さ7μm、密度0.65g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.8g/m
2、層Aの厚みは0.44μmであった。
【0141】
熱交換用シートの物性は、透湿度83g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0142】
(実施例14)
多孔性フィルムとして、目付8.3g/m
2、厚さ14μm、密度0.59g/cm
3、空孔率39%、細孔径31nmのポリエチレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度95g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率4%、透気度268秒/100mlであった。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0143】
塗液は、実施例13に記載の塗液を用いた。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は53°であった。
【0144】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に16g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0145】
熱交換用シートは、目付9.1g/m
2、厚さ14μm、密度0.63g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.8g/m
2、層Aの厚みは0.39μmであった。
【0146】
熱交換用シートの物性は、透湿度84g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0147】
(実施例15)
多孔性フィルムとして、目付10.6g/m
2、厚さ20μm、密度0.53g/cm
3、空孔率45%、細孔径28nmのポリエチレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度94g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率3%、透気度222秒/100mlであった。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0148】
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は50°であった。
【0149】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に16g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0150】
熱交換用シートは、目付11.4g/m
2、厚さ20μm、密度0.56g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.8g/m
2、層Aの厚みは0.42μmであった。
【0151】
熱交換用シートの物性は、透湿度85g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0152】
(実施例16)
多孔性フィルムとして、目付7.1g/m
2、厚さ20μm、密度0.36g/cm
3、空孔率62%、細孔径44nmのポリプロピレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度104g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率3%、透気度201秒/100mlであった。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0153】
塗液は、上に示したポリビニルピロリドン7wt%、メタノール60wt%、水33wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度54cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は48°であった。
【0154】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に16g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0155】
熱交換用シートは、目付7.9g/m
2、厚さ20μm、密度0.39g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.8g/m
2、層Aの厚みは0.41μmであった。
【0156】
熱交換用シートの物性は、透湿度87g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率96%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
【0157】
(実施例17)
多孔性フィルムとして、目付8.3g/m
2、厚さ20μm、密度0.42g/cm
3、空孔率54%、細孔径19nmのポリプロピレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度79g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率6%、透気度2,088秒/100mlであった。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0158】
塗液は、実施例13に記載の塗液を用いた。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は44°であった。
【0159】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に16g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0160】
熱交換用シートは、目付9.1g/m
2、厚さ20μm、密度0.44g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.8g/m
2、層Aの厚みは0.45μmであった。
【0161】
熱交換用シートの物性は、透湿度63g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートを得た。
(実施例18)
実施例6に記載の熱交換用シートにγ線(線源がコバルト60であり、吸収線量25kGy)を照射した。
【0162】
γ線照射後の熱交換用シートの高耐久性評価における質量変化率は0.1%であり、高耐久性に優れた熱交換用シートであることを確認できた。
【0163】
(比較例1)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0164】
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は50であった。
【0165】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に346g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて180秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0166】
熱交換用シートは、目付24.2g/m
2、厚さ23μm、密度1.07g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は17.3g/m
2、層Aの厚みは10.70μmであった。
【0167】
熱交換用シートの物性は、透湿度34g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い熱交換用シートを得た。
【0168】
(比較例2)
多孔性フィルムとして、実施例1に記載のポリエチレン多孔性フィルムを用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
【0169】
塗液は、上に示したポリビニルピロリドン5wt%、水95wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度44cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は117°であった。
【0170】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に24g/m
2(WET)を塗工したが、多孔性フィルムが塗液を弾き、均一に塗工することができなかった。
【0171】
(比較例3)
多孔性フィルムとして、目付12.7g/m
2、厚さ25μm、密度0.51g/cm
3、空孔率48%、細孔径32nmのポリテトラフルオロエチレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度92g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率3%、透気度246秒/100mlであった。
親水性樹脂として、オキシレン基を30wt%含むポリウレタンを用いた。
【0172】
塗液は、上に示したポリウレタン20wt%、水79wt%、界面活性剤プライサーフM208F(第一工業製薬株式会社)1wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度28cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は57°であった。
【0173】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に356g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて180秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0174】
熱交換用シートは、目付30.5g/m
2、厚さ35μm、密度0.87g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は17.8g/m
2、層Aの厚みは10.20μmであった。
【0175】
熱交換用シートの物性は、透湿度31g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い熱交換用シートであった。
【0176】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度30g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であった。耐久性評価は「◎」であるが、透湿性が低い熱交換用シートであることを確認できた。
【0177】
(比較例4)
多孔性フィルムとして、目付10.4g/m
2、厚さ20μm、密度0.52g/cm
3、空孔率47%、細孔径32nmのポリテトラフルオロエチレン多孔性フィルムを用いた。物性は、透湿度93g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率3%、透気度237秒/100mlであった。
親水性樹脂として、エーテル基を有するポリウレタンを用いた。
【0178】
塗液は、上に示したポリウレタン20wt%、水79wt%、界面活性剤プライサーフM208F(第一工業製薬株式会社)1wt%を混ぜ合わせ作成した。物性は、粘度31cPであった。また、上に示した多孔性フィルムと上に示した塗液の接触角は54°であった。
【0179】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した多孔性フィルムの表面に362g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて180秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0180】
熱交換用シートは、目付28.5g/m
2、厚さ31μm、密度0.93g/cm
3であり、層Aのみを有するものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は18.1g/m
2、層Aの厚みは10.50μmであった。
【0181】
熱交換用シートの物性は、透湿度33g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い熱交換用シートであった。
【0182】
また、耐久性処理後の熱交換用シート物性は、透湿度33g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であった。耐久性評価は「◎」であるが、透湿性が低い熱交換用シートであることを確認できた。
【0183】
(比較例5)
基材として、目付35.0g/m
2、厚さ53μm、密度0.66g/cm
3の片艶クラフト紙(城山製紙株式会社)を用いた。物性は、透湿度32g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率1%、透気度22秒/100mlであった。
【0184】
塗液は、セルロースが4.8wt%のビスコースをロールコーターにより塗布し、濃度11%の硫酸水溶液浴に連続的に浸漬させてセルロースを再生させ、水洗を行い、各々0.6wt%の水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとの混合水溶液浴により脱硫処理を行った。その後、0.6wt%次亜塩素酸ナトリウム水溶液浴により漂白処理を行って、十分水洗し、乾燥させ、熱交換用シートを得た。
【0185】
熱交換用シートは、目付37.5g/m
2、厚さ53μm、密度0.71g/cm
3であり、熱交換用シートが有する親水性樹脂は目付2.5g/m
2であり、親水性樹脂が熱交換用シート内部に全て含浸されているため、熱交換用シートの親水性樹脂を含有する層の厚さは53.00μmであった。
【0186】
熱交換用シートの物性は、透湿度25g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い熱交換用シートであった。
【0187】
また、耐久性処理後の物性は、透湿度24g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であった。耐久性評価は「◎」であるが、透湿性が低い熱交換用シートであることを確認できた。
【0188】
(比較例6)
基材として、比較例5に記載の片艶クラフト紙を用いた。
【0189】
塗液は、セルロースが4.8wt%のビスコースをロールコーターにより塗布し、濃度11%の硫酸水溶液浴に連続的に浸漬させてセルロースを再生させ、水洗を行い、各々0.6wt%の水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとの混合水溶液浴により脱硫処理を行った。その後、0.6wt%次亜塩素酸ナトリウム水溶液浴により漂白処理を行って、十分水洗し、乾燥させた。得られた紙を、25wt%塩化リチウム(本荘ケミカル株式会社)水溶液にて含浸させ、マングルで搾り、乾燥させることで熱交換用シートを得た。
【0190】
熱交換用シートは、目付42.2g/m
2、厚さ53μm、密度0.80g/cm
3であり、熱交換用シートが有する親水性樹脂は目付2.5g/m
2、熱交換用シートが有する塩化リチウムは目付4.7g/m
2であり、親水性樹脂が熱交換用シート内部に全て含浸されているため、熱交換用シートの親水性樹脂を含有する層の厚さは53.00μmであった。
【0191】
熱交換用シートの物性は、透湿度83g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、透湿性に優れ、気体遮蔽性に優れる熱交換用シートであった。
【0192】
また、耐久性処理後の物性は、透湿度29g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であった。耐久性評価は「×」であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い熱交換用シートであることを確認できた。
(比較例7)
基材として、比較例5に記載の片艶クラフト紙を用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例8に記載の塗液を用いた。
【0193】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した片艶クラフト紙の表面に12g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度80℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0194】
熱交換用シートは、目付35.6g/m
2、厚さ53μm、密度0.67g/cm
3であり、親水性樹脂を含有する層は片艶クラフト紙の一部を含まない層のみからなるものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.6g/m
2、親水性樹脂を含有する層の厚みは0.13μmであった。
【0195】
熱交換用シートの物性は、透湿度19g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い、熱交換用シートであった。
【0196】
(比較例8)
基材として、針葉樹晒しクラフトパルプを2.9wt%で叩解し、ダブルディスクリファイナーを用いて叩解した。その後、長網抄紙機により、目付22.0g/m
2、厚さ20μm、密度1.10g/cm
3の原紙を製造した。物性は、透湿度24g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率98%、透気度10,000秒/100mlであった。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例8に記載の塗液を用いた。
【0197】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した原紙を片艶クラフト紙の表面に12g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度80℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0198】
熱交換用シートは、目付22.6g/m
2、厚さ21μm、密度1.10g/cm
3であり、親水性樹脂を含有する層は片艶クラフト紙の一部を含まない層のみからなるものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.6g/m
2、親水性樹脂を含有する層の厚みは0.53μmであった。
【0199】
熱交換用シートの物性は、透湿度18g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い、熱交換用シートであった。
【0200】
(比較例9)
基材として比較例8に記載の原紙を用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例8に記載の塗液を用いた。
【0201】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した原紙を片艶クラフト紙の表面に24g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度80℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0202】
熱交換用シートは、目付23.2g/m
2、厚さ21μm、密度1.10g/cm
3であり、親水性樹脂を含有する層は片艶クラフト紙の一部を含まない層のみからなるものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は1.2g/m
2、親水性樹脂を含有する層の厚みは10.2μmであった。
【0203】
熱交換用シートの物性は、透湿度16g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い、熱交換用シートであった。
(比較例10)
基材として比較例8に記載の原紙を用いた。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例8に記載の塗液を用いた。
【0204】
熱交換シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示した原紙を片艶クラフト紙の表面に120g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度80℃の防爆型乾燥機にて120秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0205】
熱交換用シートは、目付28.0g/m
2、厚さ25μm、密度1.12g/cm
3であり、親水性樹脂を含有する層は片艶クラフト紙の一部を含まない層のみからなるものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は6.0g/m
2、親水性樹脂を含有する層の厚みは5.07μmであった。
【0206】
熱交換用シートの物性は、透湿度11g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が低い、熱交換用シートであった。
(比較例11)
フィルム(無孔)として、目付18.0g/m
2、厚さ20μm、密度0.90g/cmのポリエチレンフィルム(無孔)を用いた。物性は、透湿度0g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%、透気度10,000秒/100ml以上であった。
親水性樹脂として、実施例1に記載のポリビニルピロリドンを用いた。
塗液は、実施例1に記載の塗液を用いた。
【0207】
熱交換用シートの製造方法は、バーコーターを用いて、上に示したフィルムの表面に12g/m
2(WET)を塗工した。その後、温度60℃の防爆型乾燥機にて40秒間乾燥し、熱交換用シートとした。
【0208】
熱交換用シートは、目付18.6g/m
2、厚さ21μm、密度0.91g/cm
3であり、親水性樹脂を含有する層は片艶クラフト紙の一部を含まない層のみからなるものであった。熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付は0.6g/m
2、親水性樹脂を含有する層の厚みは0.54μmであった。
【0209】
熱交換用シートの物性は、透湿度0g/m
2/hr、二酸化炭素遮蔽率100%であり、気体遮蔽性に優れるが、透湿性が無い熱交換用シートであった。
【0210】
【表1】
【0211】
【表2】
【0212】
表1および2には、同じ多孔性フィルムに同じ塗液を、その塗液の塗工量(WET)を変えて塗布して得られた熱交換用シートについてまとめた。表1および2に示すとおり、多孔性フィルムに塗工する塗液の塗工量(WET)が多くなるほど層Aおよび/又は層Bの合計厚みが厚くなり、熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付が大きくなっている。具体的に、実施例1〜3、6、7および9〜11の熱交換用シートでは、多孔性フィルムに塗工する塗液の塗工量(WET)を調整し、その層Aおよび/又は層Bの合計厚みが5μm以下、かつ、熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付が10g/m
2以下となっている。そして、それらの熱交換用シートの透湿度は50g/m
2/hr以上、かつ、それらの熱交換用シートの二酸化炭素遮蔽率は20%以上であり、透湿性および気体遮蔽性に極めて優れた熱交換用シートとなっている。結果、それらの熱交換用シートを用いた熱交換素子も、極めて優れた熱交換効率、湿度交換効率および有効換気量率を有するものとなっている。その一方で、比較例1、3および4の熱交換用シートは、熱交換用シートの層Aおよび/又は層Bの合計厚みが10.20μm以上、かつ、熱交換用シートが有する親水性樹脂の目付が17.3g/m
2以上となっており、それらの熱交換用シートの透湿度は34g/m
2/hr以下と透湿性に劣るものであった。
【0213】
【表3】
【0214】
表3には、同じ多孔性フィルムに異なる塗液を塗工して得られた熱交換用シートをまとめている。表3に示すとおり、実施例3〜5の熱交換用シートは、それらに用いる塗液に含まれる親水性樹脂の重量平均分子量を変えたものである。それらの塗液の粘度と、多孔性フィルムと塗液の接触角を適正範囲に調整することで、親水性樹脂の重量平均分子量が異なる場合であっても、熱交換用シートの層Aおよび/又は層Bの合計厚みを5μm以下とすることができ、それらの熱交換用シートの透湿度および気体遮蔽性を優れたものとすることができる。また、実施例7、8および12の熱交換用シートは、塗液に用いる溶媒の種類、塗液への界面活性剤の添加量および塗液に用いる親水性樹脂の種類からなる群より選ばれる少なくとも1種を変えて作製されたものである。このような場合であっても、塗液の粘度や、多孔性フィルムに対する塗液の濡れ性(すなわち、接触角)を適正範囲に調整することで、熱交換用シートの層Aおよび/又は層Bの合計厚みを5μm以下とすることができ、それらの熱交換用シートの透湿度および気体遮蔽性を優れたものとすることができる。その中でも、実施例8は、親水性樹脂としてPVPを用いることで、接触角が53°となり、実施例12と比べ、塗液をより均一に塗工することができ、二酸化炭素遮蔽率をより高くすることができる。また、実施例7は、親水性樹脂としてPVPとすることで、溶媒として有機溶媒を用いることができ、実施例12と比べ、塗工工程における乾燥温度と乾燥時間を低減することが可能となり、生産性を良好なものとすることができる。一方で、比較例2の熱交換用シートは、多孔性フィルムに対する塗液の濡れ性が不適切(すなわち、接触角が117°)であるため、多孔性フィルムが塗液を弾いてしまい、層Aおよび/又は層Bを形成することができなかった。
【0215】
【表4】
【0216】
表4には、異なる基板(多孔性フィルムまたは紙)に同じ塗液を塗工して得られた熱交換用シートをまとめている。表4に示すとおり、実施例3は、熱交換用シートに用いる多孔性フィルムの透湿度が101g/m
2/hrと高い。そのため、層Aおよび/又は層Bにより多孔性フィルムの孔を塞いだ熱交換用シートは、その透湿度が81g/m
2/hrと優れている。一方、比較例5、7は、基板がパルプを用いた紙であり、透気度は22秒/100mlと低いが厚さが53μmと厚いため、透湿度が32g/m
2/hrと低い。そのため、その紙に塗液を塗工し紙の孔を塞いだ熱交換用シートにおいても透湿度は19、25g/m
2/hrと低いものとなる。比較例6は、塗液に塩化リチウムを含ませたものを用いている。そうするとこで、熱交換用シートの透湿度が83g/m
2/hrと優れたものとなる。しかしながら、耐久性処理後の透湿度が29g/m
2/hrと低下し、耐久性に劣るものであった。比較例8〜10では、基板としてパルプを用いた紙を採用しており、その紙の厚さは20μmと薄いが、その紙の透気度は10000秒/100ml以上と高く、透湿度が24g/m
2/hrと低い。そのため、塗液を塗工することにより、紙の孔を塞いだ熱交換用シートにおいても透湿度は11〜18g/m
2/hrと低いものとなる。比較例11は、無孔のフィルムであり、その透湿度が極めて低いものとなっている。そのため、そのフィルムに塗液を塗工しても、その透湿度は極めて低いものとなる。
【0217】
【表5】
【0218】
表5には、異なる多孔性フィルムに塗液を塗工して得られた熱交換用シートをまとめている。表5に示すとおり、実施例13〜15において多孔性フィルムの厚さは20、14、7μmであり、細孔径は28、31、27μmとした構成であるが、塗液を適宜調整することで、透湿度がより優れたものとなった。また、実施例16は実施例15、17に対して、多孔性フィルムの厚みが20μmと同じで、細孔径が44nmと大きい。そうすることで、多孔性フィルムの透湿度が高くなり、それを用いた熱交換用シートにおいても、その透湿度87g/m
2/hrと優れたものとなった。
【0219】
【表6】
【0220】
表6には、γ線照射による架橋有無の熱交換用シートをまとめている。表6に示す通り、実施例18は、γ線を照射したことにより硬化性親水性樹脂であるPVPが架橋しており、架橋したPVPが水に不溶となったため実施例18の熱交換用シートの質量変化率は小さいものであったと推測する。一方で、実施例6の熱交換用シートにおいてはγ線の照射をおこなっておらず、PVPは架橋をしていない状態となっている。よって、架橋していないPVPが水に可溶であることで実施例6の熱交換用シートの質量変化率は大きいものであったと推測する。