(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1回目の折り動作が行われていない状態のシートの一端から他端までのシート長さをL、前記第1目標折り長さをL1s、前記第2目標折り長さをL2s(>L1s)、3つ折り後のシートの目標冊子長をLs、(L2s−L1s)を先端しろ目標値Fsとしたとき、シート長さLの大きさに応じて前記L1s、L2s、Ls、Fsの基準値が予め決められており、
前記Lsまたは前記Fsの値のユーザーからの入力を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられた入力値に応じて、次の(式3)、(式4)の関係を満たすように、前記L1sの基準値と前記L2sの基準値の少なくとも一方を変更する変更手段と、
を備え、
前記第1取得手段は、
前記L1sが変更された場合にはその変更後のL1sを第1目標折り長さの設定値として取得し、
前記第2取得手段は、
前記L2sが変更された場合にはその変更後のL2sを第2目標折り長さの設定値として取得することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート折り装置。
L1s=(L−Ls−Fs)/2・・・(式3)
Fs=(L2s−L1s)・・・(式4)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るシート折り装置および画像形成装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
〔1〕実施の形態1
(1)全体構成
図1は、画像形成装置1と後処理装置2の構成を示す図である。
【0021】
同図に示すように、画像形成装置1は、作像部10と、給送部11と、定着部12などを備え、シート上に画像を形成する。
給送部11は、給紙カセット13に収容されたシート、ここでは用紙Sを繰り出しローラー14により搬送路19に繰り出し、繰り出された用紙Sを矢印Aで示す方向に搬送ローラー15により作像部10に搬送する。
【0022】
作像部10は、電子写真方式により感光体ドラム上にトナー像を形成し、形成したトナー像を、給送部11からの用紙Sに転写する。
定着部12は、トナー像が転写された用紙S上にそのトナー像を加熱、加圧により定着する。定着後の用紙Sは、排出ローラー対16により排出(出力)され、後処理装置2に送られる。なお、画像形成装置1は、用紙Sに画像を形成可能であれば、電子写真方式によるものに限られず、例えばインクジェット方式によるものでも良い。
【0023】
後処理装置2は、画像形成装置1から出力された用紙Sに対する後処理として、3つ折りとステープル綴じを実行する機能を有し、用紙折り部21aと、ステープラー部21bと、制御部21cとを備える。
ここで、3つ折りは、ユーザーにより折りモードが選択された場合に実行され、ステープル綴じは、ステープルモードが選択された場合に実行される。この3つ折りとステープル綴じの両方の実行を選択することもできる。また、後処理が実行されない通常モードも選択可能になっている。
【0024】
通常モードが選択された場合、画像形成装置1から出力された用紙Sに対して後処理を施すことなく、用紙Sが搬送ローラー対22、23、24、25により搬送路20に沿って矢印Bで示す方向に搬送され、排紙トレイ36に収容される。
折りモードが選択された場合、画像形成装置1から出力された用紙Sに対して用紙折り部21aにより3つ折りが施される。用紙折り部21aは、搬送ローラー対22、23、折りローラー対26、搬送ローラー対27、折りローラー対28、搬送ローラー対29を含み、後述のように搬送路20上の用紙Sを、搬送路20の途中で分岐している搬送路30に引き込んで3つ折りを行う。3つ折り後の用紙Sは、搬送路30からこれの途中で分岐している搬送路31を介して搬送後、搬送路20に戻される。
【0025】
ステープルモードが選択された場合、搬送路20上の用紙Sの搬送先を、搬送路20の途中で分岐している搬送路32に切換爪35により切り換え、搬送路32を介してステープラー部21bに送る。搬送路20から搬送路32を介してステープラー部21bに送られる用紙Sには、3つ折りが施されていない用紙Sと3つ折り後の用紙Sが含まれる。
ステープラー部21bは、ステープルユニット33とステープルトレイ34を備える。
【0026】
ステープルトレイ34は、搬送路32から送られて来る用紙Sを収容する。
ステープルユニット33は、ステープルトレイ34上にステープル綴じすべき複数枚の用紙Sが積載されると、その用紙束に対してステープル針によりステープル綴じを施す。ステープル綴じ後の用紙束は、ステープルトレイ34上を搬送部材(不図示)により搬送されて、排紙トレイ37に収容される。
【0027】
制御部21cは、用紙折り部21aとステープラー部21bなどの各部を統括的に制御して、通常モード、折りモード、ステープルモードによる用紙Sの搬送、3つ折り、ステープル綴じの各動作を円滑に実行させる。
(2)3つ折りについて
図2は、用紙が3つ折りされる前後の様子を模式的に示す図であり、
図2(a)は3つ折り前の用紙Sの平面図を示し、
図2(b)は、3つ折りを行う場合に1回目の折り動作と2回目の折り動作により用紙Sが折られている様子を段階的に示している。
【0028】
図2(a)と(b)に示すように3つ折りは、用紙搬送方向に沿って間隔をあけてなる異なる2つの位置をα、βとして、最初に位置αで折った後(1回目)、その用紙Sを位置βでもう1回折って(2回目)、3つ折りするものであり、いわゆるZ折りと称されるものである。
このZ折りは、1回目に折られた用紙部分を折り返し片SA、2回目に折られた用紙部分(折り位置αからβまでの用紙部分)を折り返し片SB、残りの用紙部分を折り返し片SCとしたとき、折り返し片SBが折り返し片SAとSCの間に挟み込まれるようになる折り方法である。なお、3つ折りには、折り返し片SAが折り返し片SBとSC間に挟み込まれるようになる、いわゆる巻き3つ折りと称されるものもあるが、ここではZ折りを例に説明する。
【0029】
以下、1回目の折り動作により実際に折られた位置を折り位置α、2回目の折り動作により実際に折られた位置を折り位置βといい、1回目の折り動作での目標の折り位置を第1目標折り位置α、2回目の折り動作での目標の折り位置を第2目標折り位置βという。
また、用紙Sの一端から第1目標折り位置αまでの距離(折り返し片SAの搬送方向長さ)L1sを第1目標折り長さL1s、第1目標折り位置αから第2目標折り位置βまでの距離(折り返し片SBの搬送方向長さ)L2sを第2目標折り長さL2sという。
【0030】
さらに、第1目標折り位置αと第2目標折り位置βで折られた場合の3つ折り後の用紙Sの折り返し片SCの搬送方向長さLsを目標冊子長Lsという。第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sと目標冊子長Lsとを足し合わせた値が用紙Sの搬送方向長さ(用紙長)Lに相当する。
第1目標折り位置αと第2目標折り位置βは、1枚の用紙Sごとにそのサイズに応じて予め設定、具体的には記憶部73(
図17)に記憶されている構成とすることができ、また、これに代えて、ユーザーの希望の折り位置の入力を操作部(不図示)などの受付手段で受け付けて、受け付けた位置を第1目標折り位置αと第2目標折り位置βとして設定する構成とすることもできる。第1目標折り位置αと第2目標折り位置βが決まれば、その用紙Sのサイズ(搬送方向長さ)から第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sが決まるので、折り動作の実行の前に、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sも設定されていることになる。
【0031】
以下では、第1目標折り位置α、第2目標折り位置β、第1目標折り長さL1s、第2目標折り長さL2sが予め決まっているものとして説明するが、折り動作の開始前に取得できる構成であれば良い。
(3)3つ折り動作の詳細
図3〜
図14は、3つ折り動作の開始から終了までを段階的に説明する模式図であり、3つ折りに関係する部材だけを示し、その他の部材は省略されている。
【0032】
図3に示すように搬送ローラー対22、23を回転させ、搬送路20上の用紙Sを搬送方向(矢印Bで示す方向)に搬送する。この時点では、折りローラー対26、28、搬送ローラー対27は停止している。
ここで、同図において搬送路20と、搬送路20の途中で搬送面に対して直交する下方向に向かって分岐している搬送路30(分岐路)との分岐位置(第1分岐位置)を20aとする。また、搬送路30と、搬送路30の途中で搬送面に対して直交する横方向に向かって分岐している搬送路31(分岐路)との分岐位置(第2分岐位置)を30aとする。
【0033】
折りローラー対26と搬送ローラー対27は、搬送路30に配置され、折りローラー対28は、搬送路31に配置されている。搬送ローラー対23は、同図に示す方向とこれとは逆の方向に回転方向を切り換えて回転することが可能になっている。同図に示す方向に回転することを正転、逆方向に回転することを逆転という。この正逆転が可能な構成は、搬送ローラー対27についても同様である。
【0034】
また、同図に三角で示す部材51、52、53は、用紙検出センサーである。この用紙検出センサーは、例えば反射型の光学センサーなどが用いられるが、搬送される用紙Sを検出可能なものであれば、透過型や他の方式の検出器を用いることができる。用紙検出センサー51〜53による検出信号は、制御部21cに送られる。
用紙Sの搬送が進み、
図4に示すように用紙Sの搬送方向先端Sf(搬送方向下流端)が用紙検出センサー51の検出位置51aを通過後、距離X1だけ搬送されると、搬送ローラー対23の回転が停止される。
【0035】
この搬送ローラー対23の回転停止は、用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aで検出されてから、距離X1の搬送に要する時間t1の経過を契機に実行される。時間t1は、用紙Sの用紙搬送速度をV(一定)としたとき、(X1/V)により求められる。用紙搬送速度Vは、予め一定値として記憶されている。なお、この時間t1の計時は、不図示のタイマーにより行われる。
【0036】
用紙検出センサー51は、その検出位置51aが搬送ローラー対23よりも搬送方向下流側かつ搬送ローラー対23の近傍に位置するように配置されているので、用紙Sの先端Sfが検出位置51aを通過する際にその先端Sfの姿勢が安定し易くなる。
これに代えて例えば、用紙検出センサー51の検出位置51aが搬送ローラー対23よりも搬送方向上流側かつ搬送ローラー対23の近傍の位置にあれば、用紙Sの先端Sfが検出位置51aに到達する時点では、用紙Sが搬送ローラー対22だけに挟持された状態で搬送路20上を搬送されていることになる。用紙Sが真っ直ぐに検出位置51aに向かって搬送される場合と搬送中の振動などにより上下に振れながら搬送される場合とが用紙Sごとに異なり、検出位置51aを通過する時点で先端Sfが真っ直ぐな姿勢と上または下に曲がった姿勢になるようなことがあれば、用紙Sごとに、その先端Sfの検出時点にばらつきが生じ易くなる。
【0037】
用紙検出センサー51による用紙Sの先端Sfの検出時点にばらつきが生じると、それだけ距離X1の長さにもばらつきが生じるが、
図4に示すように搬送ローラー対23でも挟持した状態で用紙Sの先端Sfを検出できる構成にすることにより、用紙Sの先端Sfの姿勢が安定するので、距離X1のばらつきを抑えることができる。後述のように距離X1は、第1折り長さL1mの算出に用いられるので、ばらつくことなく高精度に算出できることが望ましく、その高精度の算出を実施の形態の構成により実現が可能になる。
【0038】
他の用紙検出センサー52、53についても同様であるが、用紙検出センサー51〜53のそれぞれについてその配置位置が近傍のローラー対よりも搬送方向下流側に位置する構成に限られず、高精度の検出が可能であれば、例えば搬送方向上流側に配置することもできる。
搬送ローラー対23の回転が停止しても搬送ローラー対22の回転が継続されており、搬送路20のうち分岐位置20aよりも搬送方向の上流側の第1搬送路20bと下流側の第2搬送路20cとに用紙Sが跨った状態で、用紙Sの先端側が停止しつつ後端側が搬送ローラー対22により搬送方向に搬送される状態になる。
【0039】
これにより、
図5に示すように搬送路20上の分岐位置20aにおいて用紙Sの一部に、搬送路30に向かう方向に凸状になるループLp1が形成される。ループLp1は、搬送ローラー対22の回転継続により徐々に大きくなる。
用紙SのループLp1が大きくなり、その頂部Uを先頭に分岐位置20aから搬送路30に進入し、頂部Uが折りローラー対26のニップ260に至る直前に一旦、搬送ローラー対22が停止する。搬送ローラー対23の回転停止から搬送ローラー対22の回転停止までの時間tcは、用紙Sのうち、停止中の搬送ローラー対23と回転中の搬送ローラー対22との間に存する用紙部分に上記のループLp1が形成されるのに要する時間として予め決められている。
【0040】
搬送ローラー対22の停止後、搬送ローラー対22、23、27と折りローラー対26が同時に
図6に示す方向に回転が開始される。なお、搬送ローラー対23は逆転になる。
これにより、用紙Sのうち、分岐位置20aよりも搬送ローラー対22の位置する側の用紙部分は、矢印Bで示す方向に搬送され、分岐位置20aよりも搬送ローラー対23の位置する側の用紙部分は、矢印Bとは逆方向の矢印Eで示す方向に搬送される。
【0041】
用紙SのループLp1の頂部Uが折りローラー対26(第1折りローラー対)のニップ260に引き込まれると、折りローラー対26を構成する折りローラー26a、26bの押圧力により、用紙SがそのループLp1の頂部Uの位置で2つ折りされる(1回目の折り)。1回目の折り動作において搬送ローラー対22、23は、用紙Sの一部を折りローラー対26のニップ260に挟み込ませる第1挟持搬送動作を行う第1挟持搬送手段を構成する。
【0042】
ここでは、1回目の折り動作による折り位置αに誤差がないものとして、第1目標折り位置αで折られたものとする。このように用紙SのループLp1の頂部Uが折りローラー対26のニップ260に引き込まれて2つ折りされたときの折り位置αが第1目標折り位置αになるように、上記の距離X1が第1目標折り長さL1sに応じて予め決められる。
搬送ローラー対22、23、折りローラー対26の回転継続により、
図7に示すように1回目の折りによる用紙Sの折り位置αを先頭に用紙Sが搬送路30上を矢印Cで示す搬送方向に搬送される。
【0043】
そして、用紙Sの先端Sf(現時点では後端に相当)が用紙検出センサー51(第1検出部)の検出位置51a(第1検出位置)を通過したことが検出されると、制御部21cのタイマー72a(
図17)のカウントが開始される。このカウントは、第1折り長さL1mの測定に用いられる。用紙Sの先端Sfが搬送ローラー対23を通過すると、搬送ローラー対23が停止する。
【0044】
搬送ローラー対22、折りローラー対26の回転継続により、
図8に示すように1回目の折りによる用紙Sの折り位置α(折り部)が、搬送ローラー対27よりも搬送方向下流の位置に配される用紙検出センサー52(第2検出部)の検出位置52a(第2検出位置)に到達したことが検出されると、その検出時点でのタイマー72aのカウント値taが読み出される。
【0045】
同図において、用紙Sのうち、先端Sfから現実の折り位置αまでの用紙部分(折り返し片SA)の長さL1mは、1回目の折りによる実際の折り長さL1mを示す。
この第1折り長さL1mは、折り位置αが第1目標折り位置αに一致している場合、第1目標折り長さL1sに等しくなるが、搬送ローラー対22などの各ローラーと用紙Sとの間に生じるスリップにより実際の折り位置が第1目標折り位置αからずれていると、そのずれ量の分、第1目標折り長さL1sと異なることになる。
【0046】
第1折り長さL1mは、用紙検出センサー51の検出位置51aから分岐位置20aを介して用紙検出センサー52の検出位置52aまでの搬送路20、30上における距離(センサー間の用紙搬送路上の距離)をDiとすると、次の(式1)により求めることができる。
L1m=Di−(V×ta)・・・(式1)
さらなる搬送ローラー対22、27、折りローラー対26の回転継続により、
図9に示すように用紙Sの折り位置αが用紙検出センサー52の検出位置52aを通過後、距離X2だけ搬送されると、搬送ローラー対27の回転が停止される。この搬送ローラー対27の回転停止は、用紙Sの折り位置αが用紙検出センサー52の検出位置52aで検出されてから、距離X2の搬送に要する時間t2の経過を契機に実行される。時間t2は、(X2/V)により求められる。
【0047】
ここでは、用紙Sの折り位置αが用紙検出センサー52の検出位置52aを通過したことが検出されると、制御部21cのタイマー72b(
図17)のカウントが開始され、このカウント値が時間t2に至ると、搬送ローラー対27の回転停止が実行される。
搬送ローラー対27の回転が停止しても搬送ローラー対22、折りローラー対26の回転が継続されており、搬送路30のうち分岐位置30aよりも搬送方向の上流側の第3搬送路30bと下流側の第4搬送路30cとに用紙Sが跨った状態で、用紙Sの折り位置αの存する側(先頭側)が停止しつつ後端側が搬送ローラー対22と折りローラー対26により搬送方向に搬送される状態になる。
【0048】
これにより、
図10に示すように搬送路30上の分岐位置30aにおいて用紙Sの一部に、搬送路31に向かう方向に凸状になるループLp2が形成される。ループLp2は、徐々に大きくなる。
用紙SのループLp2が大きくなり、その頂部Uを先頭に分岐位置30aから搬送路31に進入し、頂部Uが折りローラー対28のニップ280に至ると、
図11に示すように搬送ローラー対22、折りローラー対26が停止される。搬送ローラー対27の回転停止から搬送ローラー対22、折りローラー対26の回転停止までの時間tdは、用紙Sのうち、停止中の搬送ローラー対27と回転中の折りローラー対26との間に存する用紙部分に上記のループLp2が形成されるのに要する時間として予め決められている。
【0049】
そして、
図12に示すように、搬送ローラー対22、27と折りローラー対26、28が同時に同図に示す方向に回転が開始される。なお、搬送ローラー対27は逆転になる。
これにより、用紙Sのうち、分岐位置30aよりも折りローラー対26の位置する側の用紙部分は、矢印Cで示す方向に搬送され、分岐位置30aよりも搬送ローラー対27の位置する側の用紙部分は、矢印Cとは逆方向の矢印Fで示す方向に搬送される。
【0050】
用紙SのループLp2の頂部Uが折りローラー対28(第2折りローラー対)のニップ280に引き込まれると、折りローラー対28を構成する折りローラー28a、28bの押圧力により、用紙SがそのループLp2の頂部の位置で折られる(2回目の折り)。2回目の折り動作において搬送ローラー対22、27、折りローラー対26は、用紙Sの一部を折りローラー対28のニップ280に挟み込ませる第2挟持搬送動作を行う第2挟持搬送手段を構成する。
【0051】
ここでは、2回目の折り動作による折り位置βに誤差がないものとして、第2目標折り位置βで折られたものとする。このように用紙SのループLp2の頂部Uが折りローラー対28のニップ280に引き込まれて折られときの折り位置βが第2目標折り位置βになるように、上記の距離X2が第2目標折り長さL2sに応じて予め決められる。
具体的には、
図11に示すように用紙SのループLp2の頂部Uが折りローラー対28のニップ280に引き込まれる直前の当該頂部Uの位置から用紙検出センサー52の検出位置52aまでの搬送路30上における距離をX3とすると、距離X3は予め判っており、第2目標折り長さL2sは用紙Sに対して決められているので、距離X2は、第2目標折り長さL2sから距離X3を差し引くことにより求めることができる。
【0052】
搬送ローラー対22、27、折りローラー対26、28の回転継続により、
図12に示すように2回目の折りによる用紙Sの折り位置βを先頭に用紙Sが搬送路31上を矢印Dで示す搬送方向に搬送される。用紙Sのうち折り位置βから折り位置αまでの用紙部分が折り返し片SBに相当する。
用紙Sの搬送がさらに進み、折り位置αが搬送ローラー対27を通過後(
図13)、折りローラー対28も通過して(
図14)、さらに用紙Sの後端Seが折りローラー対28を通過して、折りローラー対28よりも搬送方向下流の位置に配される用紙検出センサー53により検出されると、搬送ローラー対22、27、折りローラー対26、28が停止される。折りローラー対28を通過した3つ折り後の用紙Sは、搬送路31から搬送路20(
図1)に戻されて、搬送ローラー対24によりさらに下流側に搬送される。
【0053】
(4)第2目標折り長さL2sの補正
上記では、1回目の折りにより実際に折られた用紙Sの第1折り長さL1mが第1目標折り長さL1sと等しい場合(実際の折り位置と第1目標折り位置αとが一致している場合)の例を説明したが、「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、搬送ローラー対22などの各ローラーと用紙Sとのスリップの発生などにより実際の折り位置がばらつき、第1目標折り位置αと一致しないことが起こり得る。
【0054】
1回目の折り動作で実際に折られた段階で現実の折り位置がばらつくと、その1回目の折り位置を基準に2回目の折り動作を行う構成では、2回目の折り動作で折られる折り位置βに1回目の折り位置のばらつきによる誤差分が含まれてしまい、2回目の折り動作で折られる折り位置βもばらつくことになる。
2回目の折り動作による実際の折り位置βがばらつくことは、3つ折り後の用紙Sの長さが目標冊子長Ls(
図2)に対してばらつくことになり、同じサイズの複数枚の用紙を順次、3つ折りした後、その各用紙Sを束ねて冊子を作製する場合、用紙ごとにその長さが揃っていない冊子が出来上がることになってしまう。
【0055】
また、例えばA3サイズの用紙Sを3つ折りによりA4サイズと同等の大きさまで畳んだものを、別のA4サイズの用紙束と重ねて冊子を作製する場合、3つ折り後の用紙Sの長さのばらつきが大きくなるほど、A4サイズの用紙束から外にはみだす量が大きくなりすぎたり、A4サイズの用紙束に対して小さくなりすぎたりする。
そこで、本実施の形態では、1回目の折り動作で折られた実際の折り位置αと第1目標折り位置αとの差分を検出して、その差分の大きさに基づき、2回目の折り位置βを決める第2目標折り長さL2sを補正することにより、2回目の折り動作における折り位置βに1回目の折り位置αのばらつきによる誤差を排除して、3つ折り後の用紙Sの長さのばらつきを低減する構成としている。以下、本実施の形態による第2目標折り長さL2sを補正する構成を実施例、この補正を行わない構成(従来に相当)を比較例として、実施例と比較例とで冊子長Lsのばらつきがどのように変わるのかを
図15と
図16を用いて説明する。
【0056】
図15は、実施例における第2目標折り長さL2sの補正を説明するための図である。
図15(a)は、1枚の用紙Sを第1目標折り位置αと第2目標折り位置βで3つ折りした場合における第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sと目標冊子長Lsと先端しろ目標値Fsとの関係を示す模式図である。ここで、先端しろ(代)とは、折り返し片SAとSBの搬送方向長さの差分を示しており、Fs=(L2s−L1s)の関係を有している。先端しろ目標値Fsは、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sの大きさにより決まり、例えば0mmの場合もあり得る。この先端しろ目標値Fsの大きさをユーザーから上記受付手段により受け付ける構成をとることもできる。
【0057】
図15(b)は、1回目の折り動作後の用紙Sを模式的に示す図であり、1回目の折りによる実際の折り長さ(第1折り長さ)L1mが上記のスリップなどに起因して第1目標折り長さL1sよりも距離E1だけ短くなった場合の例を示している。この距離E1が誤差になり、第1折り長さL1mは、(第1目標折り長さL1s−E1)で示される。
図15(c)は、第2目標折り長さL2sを1回目の折り動作による誤差E1に基づき補正する方法を説明するための図であり、第2目標折り長さL2sに誤差E1を足し合わせた値を、補正後の第2目標折り長さL2sとして設定する。第2目標折り長さL2sは、
図11に示すように距離X2の大きさにより決まるので、距離X2の大きさを誤差E1に応じて補正すれば、第2目標折り長さL2sを実質的に補正したことになる。
【0058】
図15(d)は、補正後の第2目標折り長さL2sに基づき3つ折りを行った後の用紙Sにおける実際の第1折り長さL1mと実際の第2折り長さL2mと実際の冊子長Lmと実際の先端しろ長さFmとの関係を示す模式図である。
第1折り長さL1mは、(L1s−E1)で示され、第2折り長さL2mは、(L2s+E1−E2)で示される。ここで、E2は、2回目の折り動作時に生じる上記スリップなどに起因する折り位置βのばらつき(誤差)を示しており、ここでは第2折り長さL2mが2回目の折り動作時にE2だけ短くなった場合の例を示している。
【0059】
先端しろ長さFmは、第1折り長さL1mと第2折り長さL2mとの差で示され、Fs=(L2s−L1s)の関係があるので、(Fs+2×E1−E2)で示される。
用紙Sの搬送方向長さ(用紙長)をLとすると、L=(L1m+L2m+Lm)の関係を有し、また、L=(L1s+L2s+Ls)の関係、L1m=(L1s−E1)の関係、L2m=(L2s+E1−E2)の関係も有しているので、これらの関係から、冊子長Lmは、(Ls+E2)で示すことができる。この冊子長Lmの式には、2回目の折り動作で折られた折り位置βの誤差E2が含まれているが、1回目の折り動作における折り位置αの誤差E1が排除されていることが判る。
【0060】
図16(a)に示すように比較例では、1回目の折り動作における折り位置αが第1目標折り位置αからずれていても、第2目標折り長さL2sの補正を行わない。このため、
図16(b)に示すように第2折り長さL2mは、(L2s−E2)で示され、冊子長Lmは、(Ls+E1+E2)になる。
つまり、比較例では、冊子長Lmに、1回目の折り動作における折り位置αの誤差E1と2回目の折り動作における折り位置βの誤差E2との両方が含まれることになり、誤差E1を含む分、誤差E1を排除している実施例よりも冊子長Lmのばらつきが大きくなる。換言すると、実施例の方が比較例よりも、冊子長Lmに誤差E1が含まれない分、冊子長Lmのばらつきを低減できることが判る。
【0061】
なお、上記の
図15(b)では、第1折り長さL1mが第1目標折り長さL1sよりも距離E1だけ短くなった場合の例を説明したが、例えば、距離E1だけ長くなった場合には、L1mが(L1s+E1)になり、第2目標折り長さL2sは、(L2s−E1)に補正される。この場合でも誤差E1が排除され、
図15(d)に示すように冊子長Lmが(Ls+E2)になるので、距離E1だけ短くなった場合と同様に、冊子長Lmのばらつきを低減できる。
【0062】
(5)制御部21cの構成
図17は、制御部21cの構成を示すブロックである。
同図に示すように、制御部21cは、中央処理部71と、タイマー72a、72bと、記憶部73を備える。
中央処理部71は、後処理装置2における後処理のために所定のプログラムを実行して、用紙Sに対するステープル綴じや用紙折りなどの後処理を実行させる。また、中央処理部71は、モーターM1〜M7、切換爪駆動アクチュエーター38を駆動させるためのドライバー90〜97に対して、モーターM1〜M7、切換爪駆動アクチュエーター38を制御するための制御信号を出力する。
【0063】
ここで、駆動モーターM1は、搬送ローラー対24、25、29を回転駆動するために用いられる。
搬送モーターM2は、搬送ローラー対22を回転駆動するために用いられる。
搬送モーターM3は、搬送ローラー対23を正転と逆転駆動するために用いられる。
第1折りモーターM4は、折りローラー対26を回転駆動するために用いられる。
【0064】
搬送モーターM5は、搬送ローラー対27を正転と逆転駆動するために用いられる。
第2折りモーターM6は、折りローラー対28を回転駆動するために用いられる。
ステープラーモーターM7は、ステープルユニット33に設けられているステープルクリンチャー(不図示:ステープル針を打ち込む部分)を駆動させて、用紙束にステープル針を打ち込むことにより用紙束をステープル綴じするために用いられる。
【0065】
切換爪駆動アクチュエーター38は、切換爪35の駆動に用いられるアクチュエーターであり、例えばソレノイドなどからなる。
タイマー72aは、上記の時間taの計時に用いられ、タイマー72bは、上記の時間t2の計時に用いられる。
記憶部73には、中央処理部71が実行するプログラム、当該プログラムの実行に必要なデータ、異なる用紙サイズのそれぞれごとに、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sと目標冊子長Lsと距離X1、X2、X3と時間tc、tdと用紙搬送速度Vと距離Diの各データが対応付けられた情報が記憶されている。
【0066】
中央処理部71は、画像形成装置1と通信可能に構成されており、画像形成装置1からの後処理(3つ折りやステープル綴じ)の実行指示、後処理を施すべき用紙サイズや用紙枚数などの情報を受け付けて、受け付けた指示や情報に基づき後処理を実行する。なお、当該情報の入力操作をユーザーなどから受け付ける受付部を後処理装置2に設け、画像形成装置1に代えて当該受付部から当該情報を取得する構成としても良い。
【0067】
なお、中央処理部71は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサーが含まれる。
(6)3つ折り動作の処理内容
図18は、3つ折り動作の処理内容を示すフローチャートである。この処理は、制御部21cの中央処理部71が1枚の用紙Sごとに画像形成装置1から折りモードの実行指示を受け付けることにより実行される。
【0068】
図18に示すように第1折り動作(ステップS1)、第1折り長さ測定(ステップS2)、第2折り長さの補正(ステップS3)、第2折り動作(ステップS4)がこの順に実行される。
図19は、第1折り動作のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、搬送ローラー対22を回転させるとともに搬送ローラー対23を正転させる(ステップS11)。これにより、用紙Sが搬送ローラー対22、23により搬送方向Bに搬送される(
図3)。
【0069】
距離X1の値を取得する(ステップS12)。この取得は、上記の記憶部73に記憶されているX1のデータを読み出すことにより行われる。
搬送中の用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51により検出されたか否かを判断する(ステップS13)。この判断は、用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aを通過したことを検出したか否かにより行われる。
【0070】
用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51により検出されたことを判断すると(ステップS13で「Yes」)、この検出時点からの用紙Sの搬送距離が距離X1に達したか否かを判断する(ステップS14)。この判断は、用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51により検出されてからの経過時間が時間t1に達したか否かにより行われる。
用紙Sの搬送距離がX1に達したことを判断すると(ステップS14で「Yes」)(
図4)、搬送ローラー対23を停止させる(ステップS15)。これにより、用紙SのループLp1の形成が開始される(
図5)。
【0071】
搬送ローラー対23の回転停止から用紙SのループLp1の形成に要する時間tcが経過したことを判断すると(ステップS16で「Yes」)、搬送ローラー対22を停止させる(ステップS17)。時間tcの値は、記憶部73から読み出される。
そして、搬送ローラー対22、27、折りローラー対26の回転と搬送ローラー対23の逆転を同時に開始させて(ステップS18)、リターンする。これにより、用紙Sに1回目の折りが施される(
図6、
図7)。なお、1回目の折り動作が円滑に行われるのであれば、搬送ローラー対22の一旦停止後(ステップS17)、搬送ローラー対22、27、折りローラー対26の回転と搬送ローラー対23の逆転の同時開始(ステップS18)という方法に限られず、例えば搬送ローラー対22を停止させることなく、搬送ローラー対27、折りローラー対26の回転と搬送ローラー対23の逆転を同時開始する方法をとることもできる。
【0072】
図20は、第1折り長さ測定のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、用紙検出センサー51により用紙Sの先端Sfが検出されたか否かを判断する(ステップS21)(
図7)。
用紙検出センサー51により用紙Sの先端Sfが検出されたことを判断すると(ステップS21で「Yes」)、タイマー72aのカウントをスタートさせる(ステップS22)。続いて、用紙検出センサー52により用紙Sの折り位置α(現実の折り位置)が検出されたことを判断すると(ステップS23で「Yes」)(
図8)、現在のタイマー72aのカウント値(時間ta)を取得しつつ、別のタイマー72bのカウントをスタートさせる(ステップS24)。タイマー72aをリセットした後(ステップS25)、搬送ローラー対23を停止させる(ステップS26)。
【0073】
そして、用紙搬送速度V、センサー間の用紙搬送路上の距離Diの値を取得する(ステップS27、S28)。この取得は、記憶部73から各値のデータを読み出すことにより行われる。取得した各値を用いて、1回目の折りによる実際の第1折り長さL1mを上記の(式1)から算出して(ステップS29)、リターンする。
上記では、用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51により検出後、折り位置αが用紙検出センサー52により検出されるとしたが、1枚の用紙ごとに、用紙長L、折り位置α、βが異なることによって、この検出順が逆になる場合もあり得る。この場合、折り位置αが用紙検出センサー52により検出されてから、用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51により検出されるまでの時間をtaとして取得して、第1折り長さL1mを次の(式2)により求めることができる。
【0074】
L1m=Di+(V×ta)・・・(式2)
このように用紙Sの先端Sfと折り位置αのいずれが先に検出されるのかの検出順に応じて2つの(式1)(式2)を使い分けることにより、第1折り長さL1mを求めることができるが、例えば、次のような構成により、いずれか一方の式だけを用いて第1折り長さL1mを算出することもできるようになる。
【0075】
すなわち、3つ折り対象の異なるサイズの用紙Sのうち、搬送方向長さが最大サイズの用紙Sに対して、用紙Sの先端Sfが検出されてから折り位置αが検出されるように、用紙検出センサー51、52の相対的な位置関係を決めることができる。このように構成すれば、最大サイズよりも小さいサイズの用紙Sに対しても最大サイズの場合と同じ検出順にすることができるので、上記の(式1)だけを用いて、第1折り長さL1mを算出することができる。
【0076】
これに代えて、例えば、最小サイズの用紙Sに対して、折り位置αが検出されてから用紙Sの先端Sfが検出されるように、用紙検出センサー51、52の相対的な位置関係を決めることもできる。このように構成すれば、最小サイズよりも大きいサイズの用紙Sに対しても最小サイズの場合と同じ検出順にすることができるので、上記の(式2)だけを用いて、第1折り長さL1mを算出することができる。
【0077】
いずれか一方の式だけを用いる構成をとれば、検出順に応じて2つの式の一方を選択する処理が不要になるので、その分、制御部21cのCPUなどの処理負担を軽減できる。
図21は、第2折り長さの補正のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sと距離X2の値を取得する(ステップS31)。この取得は、記憶部73に設定されている各値のデータを読み出すことにより行われる。そして、第1折り長さの誤差E1を(第1目標折り長さL1s−第1折り長さL1m)から算出する(ステップS32)。第1目標折り長さL1sは、ステップS31で取得された値が用いられ、第1折り長さL1mは、上記のステップS29により算出された値が用いられる。このステップS32を実行する際に制御部21cは、設定されている第1目標折り長さL1sと実際の第1折り長さL1mとの差(E1に相当)を検出する検出手段として機能する。
【0078】
なお、上記では、まず第1折り長さL1mを算出し(ステップS29)、算出値を用いて誤差E1を算出する(ステップS32)としたが、これに限られない。誤差E1を求めることができる方法であれば良い。
例えば、(式1)と(E1=L1s−L1m)の関係から、E1=L1s−(Di−V×ta)を示す(式1a)を導くことができる。この(式1a)を用いれば、第1折り長さL1mの算出(ステップS29)が不要になるので、算出値を誤差E1の算出(ステップS32)に用いるまでの間に記憶しておく必要がなくなる。また、用紙Sの先端Sfから折り位置αまでの間の距離(折り返し片SAの幅)を別のセンサーなどで計測できれば、その計測値を用いることもできる。
【0079】
誤差E1が0であるか否かを判断する(ステップS33)。誤差E1=0であれば(ステップS33で「Yes」)、ステップ36に移る。誤差E1が0でなければ(ステップS33で「No」)、第2目標折り長さL2sの大きさを補正、具体的には(L2s+E1)に補正する(ステップS34)。このステップS34を実行する際に制御部21cは、2回目の折り動作を実行する前に、第1目標折り長さL1sと第1折り長さL1mとの差の大きさに基づき第2目標折り長さL2sを補正する補正手段として機能する。
【0080】
そして、現在(補正後)の第2目標折り長さL2sの大きさに基づき、ステップS31で取得した距離X2を補正して(ステップS35)、ステップS36に移る。この補正は、当該距離X2から誤差E1を差し引くことにより行われる。補正後の距離X2は、現在の第2目標折り長さL2sから距離X3(一定値)を差し引いた値に等しい。
ステップS36では、距離X2(上記の補正がなされた場合には補正後の値)の大きさに基づき、用紙検出センサー52による用紙Sの折り位置αの検出時点(
図8)から搬送ローラー対27を停止すべき時点までの時間t2を算出する(ステップS36)。この算出は、上記のようにX2をVで除することにより行われる。
【0081】
タイマー72bのカウント値が時間t2に達したことを判断すると(ステップS37で「Yes」)、搬送ローラー対27を停止させる(ステップS38)(
図9)。これにより、用紙SのループLp2の形成が開始される(
図10)。
タイマー72bをリセットし(ステップS39)、搬送ローラー対27の回転停止から用紙SのループLp2の形成に要する時間tdが経過したことを判断すると(ステップS40で「Yes」)、搬送ローラー対22、折りローラー対26を停止させて(ステップS41)(
図11)、リターンする。時間tdの値は、記憶部73から読み出される。
【0082】
図22は、第2折り動作のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、搬送ローラー対22、折りローラー対26、28の回転と搬送ローラー対27の逆転を同時に開始させる(ステップS51)。これにより、用紙Sに2回目の折りが施される(
図12〜
図14)。制御部21cが上記のステップS35〜S41およびステップS51〜S53を実行する際に、2回目の折り動作を実行する際、1回目の折り動作による実際の折り位置αから補正後の第2目標折り長さLs2だけ離れた位置で折られるように、第2折り手段にとしての搬送ローラー対22、27、折りローラー対26、28の回転を制御する制御手段として機能する。
【0083】
なお、2回目の折り動作が円滑に行われるのであれば、搬送ローラー対22と折りローラー対26の一旦停止後(ステップS41)、搬送ローラー対22、折りローラー対26、28の回転と搬送ローラー対27の逆転の同時開始(ステップS51)という方法に限られず、例えば搬送ローラー対22と折りローラー対26を停止させずに、折りローラー対28の回転と搬送ローラー対27の逆転を同時開始する方法をとることもできる。
【0084】
そして、用紙検出センサー53により用紙Sの後端Seが検出されたことを判断すると(ステップS52で「Yes」)、搬送ローラー対22、27、折りローラー対26、28を停止させて(ステップS53)、リターンする。
以上、説明したように本実施の形態では、1回目の折り位置αが第1目標折り位置に対してずれていても、実際の第1折り長さL1mと第1目標折り長さL1sとの差の大きさに基づき第2目標折り長さL2sが補正されるので、3つ折り後のシートの長さのばらつきを、比較例のように1回目の折り位置の誤差を含んだ状態で2回目の折り動作を実行する構成よりも低減することができる。
【0085】
上記では、3つ折りとしてZ折りの場合の例を説明したが、巻き3つ折りの場合も同様に実際の第1折り長さL1mを検出することにより、第2目標折り長さL2sを補正することができる。巻き3つ折りの場合、
図10に示す搬送路31と折りローラー対28とが搬送路30を挟んで左右対称な位置(同図において搬送路30よりも右側)に配置され、ループLp2の頂部Uが同図の右方向を向くように形成され、搬送路30よりも右側に配置される折りローラー対28に引き込まれるように構成される。
【0086】
〔2〕実施の形態2
上記実施の形態1では、1回目の折りを行う折りローラー対26(第1折りローラー対)と2回目の折りを行う折りローラー対28(第2折りローラー対)とを別々に設ける構成例を説明したが、実施の形態2では、第1折りローラー対と第2折りローラー対が1つの折りローラーを共有するとしており、この点が実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
【0087】
図23は、実施の形態2に係る用紙折り部211aの構成を示す図である。
同図に示すように用紙折り部211aは、搬送ローラー対22と、折りローラー対231と261を備える。
折りローラー対231(第1折りローラー対)は、折りローラー23aとこれに圧接される折りローラー23bからなり、折りローラー対261(第2折りローラー対)は、折りローラー26aとこれに圧接される折りローラー23bからなる。折りローラー23bが折りローラー対231と261に共有される。
【0088】
折りローラー対231は、搬送路20に沿って用紙Sを搬送し、折りローラー対261は、搬送路30に沿って用紙Sを搬送する。折りローラー23a、23b、26aのそれぞれは、同図の矢印に示す方向に同時に回転(正転)する状態と逆方向に同時に回転(逆転)する状態を切り替え可能に構成される。
画像形成装置1から用紙Sが後処理装置2に送られて来る前に、搬送ローラー対22と折りローラー対231が正転される。
【0089】
そして、画像形成装置1から出力された用紙Sが搬送路20上を搬送ローラー対22、折りローラー対231により矢印Bで示す方向(搬送方向)に搬送される。
用紙Sの搬送が進み、
図24に示すように用紙Sの搬送方向先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aを通過後、距離X1だけ搬送されると、折りローラー23a、23b、26aの回転が停止される。
【0090】
折りローラー23a、23b、26aの回転が停止しても搬送ローラー対22の回転が継続されており、用紙Sの先端側が停止しつつ後端側が搬送ローラー対22により搬送方向に搬送される状態になり、
図25に示すように搬送路20上の分岐位置20aにおいて用紙Sの一部に、折りローラー対261のニップ26cに向かう方向に凸状になるループLp1が形成される。ループLp1は、搬送ローラー対22の回転継続により徐々に大きくなる。
【0091】
用紙SのループLp1が大きくなり、その頂部Uが折りローラー対261のニップ26cに至る直前に一旦、搬送ローラー対22が停止される。折りローラー23a、23b、26aの回転停止から搬送ローラー対22の回転停止までの時間tcは、実施の形態1と同様に予め決められている。
搬送ローラー対22の停止後、搬送ローラー対22の回転と折りローラー23a、23b、26aの逆転とが同時に開始される。これにより、用紙SのループLp1の頂部Uが折りローラー対261のニップ26cに引き込まれ、用紙SがそのループLp1の頂部Uの位置で2つ折りされる(1回目の折り)。
【0092】
図26に示すように1回目の折り動作の開始後、搬送ローラー対22、折りローラー23a、23b、26aの回転継続により、1回目の折りによる用紙Sの折り位置αを先頭に用紙Sが搬送路30上を矢印Cで示す搬送方向に搬送される。
そして、用紙Sの先端Sf(現時点では後端に相当)が用紙検出センサー51の検出位置51aで検出されてから、さらなる搬送継続により、
図27に示すように用紙Sの折り位置αが用紙検出センサー52の検出位置52aで検出されるまでの時間taが計測される。この時間taの計測により、1回目の折りによる実際の第1折り長さL1mが算出される。時間taの計測と第1折り長さL1mの算出は、実施の形態1と同様の方法が用いられる。
【0093】
搬送ローラー対22、折りローラー23a、23b、26aの回転継続により、
図28に示すように用紙Sの折り位置αが用紙検出センサー52の検出位置52aを通過後、距離X2だけ搬送されると、折りローラー23a、23b、26aの回転が停止される。この停止の前に、実施の形態1と同様に、第1折り長さL1mと第1目標折り長さL1sの差分に基づく第2目標折り長さL2sの補正と、この補正による距離X2の補正(ステップS34、S35)の実行が終了されている。
【0094】
折りローラー23a、23b、26aの回転が停止しても搬送ローラー対22の回転が継続されているので、分岐位置20aにおいて用紙Sの一部に、折りローラー対231のニップ23cに向かう方向に凸状になるループLp2が形成される。ループLp2は、徐々に大きくなる。
用紙SのループLp2が大きくなり、その頂部Uが折りローラー対231のニップ23cに至ると、搬送ローラー対22が停止される。折りローラー23a、23b、26aの回転停止から搬送ローラー対22の回転停止までの時間tdは、実施の形態1と同様に予め決められている。
【0095】
そして、搬送ローラー対22の回転と折りローラー23a、23b、26aの正転が同時に開始される。これにより、用紙SのループLp2の頂部Uが折りローラー対231のニップ23cに引き込まれ、用紙SがそのループLp2の頂部Uの位置で折られる(2回目の折り)。
各ローラーの回転継続により、
図29に示すように2回目の折りによる用紙Sの折り位置βを先頭に用紙Sのうち搬送路20上に存する用紙部分が矢印Bで示す搬送方向に搬送されつつ搬送路30上に存する用紙部分が矢印Fで示す搬送方向に搬送される。そして、用紙Sの後端が折りローラー23a、23bを通過後、用紙検出センサー51の検出位置51aを通過したことが検出されると、各ローラーの回転が停止される。
【0096】
このように3つの折りローラー23a、23b、26aにより第1折りローラー対231と第2折りローラー対261を構成することにより、折りローラーの数を4本から3本に低減でき、それだけコスト低減を実現することができる。
〔3〕実施の形態3
上記実施の形態1では、搬送路20から搬送路30が分岐しており、その搬送路30からさらに分岐している搬送路31に折りローラー対28が配置されている構成例を説明したが、本実施の形態3では、
図30に示すように折りローラー対281が搬送路20から分岐している搬送路40に配置されており、この点が実施の形態1と異なっている。
【0097】
図30に示すように実施の形態3では、搬送路20の途中の分岐位置20aから搬送面に対して直交する下方向に向かって分岐している搬送路30と斜め上方向に向かって分岐している搬送路40が設けられている。この搬送路40の搬送方向下流側の端部(不図示)は、搬送ローラー対23よりも搬送路20上の搬送方向下流側の合流位置(不図示)で搬送路20と合流するようになっている。
【0098】
搬送路30は、実施の形態1と同じであるが、実施の形態3では、実施の形態1の搬送ローラー対27と搬送路31と折りローラー対28が配置されていない。
搬送路40は、実施の形態3にのみ設けられており、搬送路40に折りローラー対281が配置されている。搬送ローラー対23と折りローラー対26は、それぞれが正逆転可能に構成されている。
【0099】
このような構成において、
図30に示すように搬送路20に沿って搬送ローラー対22、23により矢印Bで示す方向(搬送方向)に搬送されている用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aを通過後、距離X1だけ搬送されると、搬送ローラー対23の回転だけが停止される。
これにより、用紙Sの先端側が停止しつつ後端側が搬送ローラー対22により搬送方向に搬送される状態になり、
図31に示すように搬送路20上の分岐位置20aにおいて用紙Sの一部に、折りローラー対26のニップ260に向かう方向に凸状になるループLp1が形成される。
【0100】
実施の形態1と同様に用紙SのループLp1の頂部Uが折りローラー対26のニップ260に至る直前に一旦、搬送ローラー対22が停止後、
図32に示すように搬送ローラー対22の回転と搬送ローラー対23の逆転と折りローラー対26の正転が開始される。
これにより、用紙SのループLp1の頂部Uが折りローラー対26のニップ260に引き込まれ、用紙Sが2つ折りされ(1回目の折り)、折り位置αを先頭に用紙Sが搬送路30上を矢印Cで示す搬送方向に搬送される。
【0101】
そして、
図33に示すように用紙Sの折り位置αが用紙検出センサー52の検出位置52aを通過してから距離X2だけ搬送されると、搬送ローラー対23、折りローラー対26の回転が停止される。この停止前に上記同様に、第1折り長さL1mと第1目標折り長さL1sの差分に基づく第2目標折り長さL2sの補正と、この補正による距離X2の補正の実行が終了されている。
【0102】
搬送ローラー対22の回転継続により、
図34に示すように分岐位置20aにおいて用紙Sの一部に、折りローラー対281のニップ282に向かう方向に凸状になるループLp2が形成される。
用紙SのループLp2が大きくなり、その頂部Uが折りローラー対281のニップ282に至ると、一旦搬送ローラー対22が停止後、
図35に示すように搬送ローラー対22の回転と折りローラー対26の逆転と折りローラー対281の回転が同時に開始される。これにより、用紙SのループLp2の頂部Uが折りローラー対281のニップ282に引き込まれ、用紙Sがその頂部Uの位置で折られる(2回目の折り)。
【0103】
各ローラーの回転継続により、2回目の折りによる用紙Sの折り位置βを先頭に用紙Sのうち搬送路40上に存する用紙部分が矢印Gで示す搬送方向に搬送されつつ搬送路30上に存する用紙部分が矢印Fで示す搬送方向に搬送される。そして、用紙Sの後端が折りローラー対281を通過したことが不図示の検出センサーにより検出されると、各ローラーの回転が停止される。
【0104】
このように1回目の折りを行う折りローラー対26が配置される搬送路30とは別に、搬送路20から分岐する搬送路40を設ける構成により、搬送路30の周辺に折りローラー対281を配置するスペースを確保できなくても、搬送路40に折りローラー対281を配置することができるようになり、設計の自由度が広がる。
なお、上記では、搬送路20の途中の分岐位置20aから搬送路30とは別の搬送路40が分岐している構成例を説明したが、搬送路40が搬送路30と同じ分岐位置20aから分岐する構成に限られない。3つ折りできる構成であれば良く、例えば搬送路20上において分岐位置20aよりも一定距離だけ搬送方向(矢印Bで示す方向)の下流側の分岐位置から搬送路40が分岐している構成とすることもできる。
【0105】
〔4〕実施の形態4
上記実施の形態1では、搬送ローラー対23と折りローラー対26、28とが別々に配置されている構成例を説明したが、本実施の形態4では、
図36に示すように折りローラー対28が配置されておらず、搬送ローラー対23が2回目の折り動作を行う折りローラー対を兼用する構成になっており、この点が実施の形態1と異なっている。搬送ローラー対23が折りローラー対を兼用するので、実施の形態4では搬送路30から分岐する搬送路31も設けられていない。搬送ローラー対23と折りローラー対26は、それぞれが正逆転可能に構成されている。
【0106】
このような構成において、
図36に示すように搬送路20に沿って搬送ローラー対22、23により矢印Bで示す方向(搬送方向)に搬送されている用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aを通過後、距離X1だけ搬送されると、搬送ローラー対23の回転だけが停止される。
これにより、
図37に示すように搬送路20上の分岐位置20aにおいて用紙Sの一部に、折りローラー対26のニップ260に向かう方向に凸状になるループLp1が形成される。
【0107】
実施の形態1と同様に用紙SのループLp1の頂部Uが折りローラー対26のニップ260に至る直前に一旦、搬送ローラー対22が停止後、
図38に示すように搬送ローラー対22の回転と搬送ローラー対23の逆転と折りローラー対26の正転が開始される。
これにより、用紙SのループLp1の頂部Uが折りローラー対26のニップ260に引き込まれ、用紙Sが2つ折りされ(1回目の折り)、折り位置αを先頭に用紙Sが搬送路30上を矢印Cで示す搬送方向に搬送される。
【0108】
そして、
図39に示すように用紙Sの折り位置αが用紙検出センサー52の検出位置52aを通過してから距離X2だけ搬送されると、搬送ローラー対23、折りローラー対26の回転が停止される。この停止前に上記同様に、第1折り長さL1mと第1目標折り長さL1sの差分に基づく第2目標折り長さL2sの補正と、この補正による距離X2の補正の実行が終了されている。
【0109】
搬送ローラー対22の回転継続により、
図40に示すように用紙Sの一部が分岐位置20aから搬送ローラー対23のニップ230に向かう方向に凸状になるループLp2が形成される。
用紙SのループLp2が大きくなり、その頂部Uが搬送ローラー対23のニップ230に至ると、一旦搬送ローラー対22が停止後、
図41に示すように搬送ローラー対22の回転と搬送ローラー対23の正転と折りローラー対26の逆転が同時に開始される。これにより、用紙SのループLp2の頂部Uが搬送ローラー対23のニップ230に引き込まれ、用紙Sがその頂部Uの位置で折られる(2回目の折り)。
【0110】
各ローラーの回転継続により、2回目の折りによる用紙Sの折り位置βを先頭に用紙Sのうち搬送路20上に存する用紙部分が矢印Bで示す搬送方向に搬送されつつ搬送路30上に存する用紙部分が矢印Fで示す搬送方向に搬送される。そして、用紙Sの後端が用紙検出センサー51の検出位置51aを通過したことが検出されると、各ローラーの回転が停止される。
【0111】
このように2回目の折りを行う折りローラー対を搬送ローラー対23と兼用する構成をとることにより、折りローラー対の数を低減でき、その分、コスト低減を実現できる。
なお、実施の形態4では、
図36に示すように搬送ローラー対23が2本の搬送ローラー23a、23bからなり、折りローラー対26が2本の折りローラー26a、26bからなる。これらの搬送ローラー23a、23bのうち、搬送路20から分岐している搬送路(分岐路)30が位置する側に配される搬送ローラー23bが、折りローラー26aと26bのうち、搬送ローラー23bに近い方の折りローラー26bを兼ねる構成としたものが、
図23に示す実施の形態2の構成に相当する。装置構成によって、実施の形態2の構成と実施の形態4の構成のいずれをとるかを決めることができる。
【0112】
本発明は、後処理装置に含まれるシート折り装置に限られず、シートを3つ折りする方法であるとしても良い。また、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。さらに、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0113】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、用紙サイズごとに第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sが予め決まっている構成例を説明したが、これに限られない。例えば、ユーザーから第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sの設定入力を操作部などの受付手段により受け付けて設定する構成をとることもできる。
【0114】
また、3つ折り後の目標冊子長Lsの設定入力を受け付ける構成をとることもできる。この構成の場合、例えば次のようにして第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sを取得することができる。
すなわち、ユーザーによる目標冊子長Lsの設定可能な範囲を予め決めておき、その範囲内の目標冊子長Lsのそれぞれの値に対して、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sとを対応付けてなるテーブルを事前に記憶しておく。そして、ユーザーから設定入力された目標冊子長Lsに対応する第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sとをそのテーブルから読み出す。
【0115】
また、これに代えて、用紙サイズ(用紙長L)の大きさごとに、目標冊子長Lsと第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sと先端しろ目標値Fsの各基準値が予め決められており、ユーザーによる目標冊子長Lsの設定入力を受け付けると、受け付けた長さと用紙サイズに対応する目標冊子長Lsの基準値との差分を求める。
その差分の大きさに応じて、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sの少なくとも一方の基準値を、3つ折り後の冊子長がユーザーにより設定入力された用紙長に一致するように変更する。
【0116】
上記のように用紙長L=(第1目標折り長さL1s+第2目標折り長さL2s+目標冊子長Ls)、第2目標折り長さL2s=(第1目標折り長さL1s+先端しろ目標値Fs)の関係があるので、次の(式3)、(式4)の関係を有する。
L1s=(L−Ls−Fs)/2・・・(式3)
Fs=(L2s−L1s)・・・(式4)
先端しろ目標値Fsの長さが固定の場合、ユーザーにより設定入力された目標冊子長と基準値との差分に応じて、(式3)を満たすように第1目標折り長さL1sを基準値から変更することにより、ユーザーによる目標冊子長の設定入力に伴う変更後の第1目標折り長さL1sを取得できる。また、先端しろ目標値Fsの長さを変更しても良ければ、(式3)、(式4)を満たす範囲で、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sの少なくとも一方をその基準値から変更することにより、変更後の第1目標折り長さL1s、第2目標折り長さL2sを取得できる。ユーザーにより入力された目標冊子長をLsとし、用紙長Lが判っているので、(式3)、(式4)を満たすようなL1s、L2s、Fsの値の組み合わせを予め求めておくまたは算出することにより実現できる。
【0117】
同様に、先端しろ目標値Fsの設定入力を受け付ける構成をとることもできる。この構成の場合、例えば目標冊子長Lsが固定の場合、(式3)を満たすように第1目標折り長さL1sを基準値から変更することができる。また、目標冊子長Lsの長さを変更しても良ければ、(式3)、(式4)を満たす範囲で、第1目標折り長さL1sと第2目標折り長さL2sの少なくとも一方をその基準値から変更することができる。
【0118】
(2)上記実施の形態では、3つ折りの方法として、
図2に示すようにまず用紙Sの折り返し片SAを折り、次に折り返し片SCを折る方法(短辺から折る方法)の例を説明したが、これに限られない。例えば、まず用紙Sの折り返し片SCを折り、次に折り返し片SAを折る方法(長辺から折る方法)をとることもできる。
図42、
図43は、長辺から折る方法を説明するための図であり、搬送ローラー対201と2つの折りローラー対202、203を備える構成例を示している。なお、折りローラー対202は、搬送ローラー対を兼用している。
【0119】
図42(a)は、用紙Sが搬送ローラー対201と折りローラー対202により矢印Bで示す方向(搬送方向)に搬送され、用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aを通過後、距離X1だけ搬送された状態を示している。同図において搬送ローラー対201と折りローラー対202の回転方向を正転とする。
用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aから距離X1だけ搬送されると、
図42(b)に示すように折りローラー対202が正転から逆転に切り替えられつつ、折りローラー対203の正転が開始される。これにより、用紙Sのうち、折りローラー対202よりも検出位置51a側の用紙部分が矢印Eに示す方向に搬送されつつ、搬送ローラー対201による搬送が継続されるので、搬送ローラー対201と折りローラー対202との間に存する用紙部分にループLp1が形成される。
【0120】
形成されたループLp1の頂部Uが折りローラー対203のニップ213に引き込まれると、用紙Sがその頂部Uの位置で折られる(1回目の折り)。この折り位置は
図2に示す折り位置βに相当する。
各ローラーの回転の継続により、用紙Sの折り位置βを先頭に用紙Sが搬送され、
図42(c)に示すように用紙Sの折り位置βが用紙検出センサー52の検出位置52aに至り、さらなる搬送により、
図42(d)に示すように用紙Sの折り位置βが用紙検出センサー52の検出位置52aから距離X2だけ搬送されると、折りローラー対202が逆転から正転に切り替えられつつ、折りローラー対203が正転から逆転に切り替えられる。
【0121】
これにより、
図43(a)に示すように用紙Sのうち、搬送ローラー対201と折りローラー対203との間に存する用紙部分にループLp2が形成されつつ、折りローラー対202よりも検出位置51a側に存する用紙部分が矢印Bで示す方向に搬送される。
形成されたループLp2の頂部Uが折りローラー対202のニップ212に引き込まれると、用紙Sがその頂部Uの位置で折られる(2回目の折り)。この折り位置は
図2に示す折り位置αに相当する。
【0122】
各ローラーの回転の継続により、
図43(b)に示すように用紙Sの折り位置αを先頭に用紙Sが搬送され、用紙Sの後端Seが折りローラー対202を通過すると、各ローラーの回転が停止される。
図43(c)は、本変形例による長辺から折る方法で3つ折りされた後の用紙Sを模式的に示しており、1回目に折られた位置をβ、2回目に折られた位置をαで示している。
【0123】
本変形例では、1回目の折り動作により冊子長Lmの大きさ(折り返し片SCの長さ)が決まるので、1回目の折り動作において上記のスリップなどにより折り位置βが1枚の用紙Sのそれぞれごとにばらつくと、冊子長Lmの大きさがばらつき、この冊子長Lmのばらつきにより先端しろ長さFmがばらつくことになる。
1回目の折りによる折り位置βの誤差、つまり目標冊子長Lsと実際の冊子長Lmとの差分の影響を排除して、先端しろ長さFmのばらつきを抑えるには、実施の形態1と同様に、その誤差分だけ2回目の折り位置αを本来の目標折り位置からずらす、つまり折り返し片SBの本来の長さ(第2目標折り長さLs2)を補正することにより可能になる。第2目標折り長さLs2の補正は、実施の形態1と同様に、
図42(d)で示す距離X2を補正することにより行える。
【0124】
第2目標折り長さLs2の補正は、3つ折り後の用紙Sの折り返し片SAの長さのばらつきを抑制することにより、先端しろ長さFmのばらつきを抑制することに等しい。
本変形例の長辺から折る方法では、1回目の折り位置の誤差が冊子長Lm(折り返し片SCの長さ)に現れるので、上記(式1)を適用するのに際し、
図43(c)に示す冊子長Lmを
図42(c)に示すようにL1mに置き換えることにより、実際の第1折り長さL1mを求めることができる(第1折り長さ測定:
図20)。なお、(式1)に含まれる時間taは、
図42(b)において矢印Eで示す方向に搬送中の用紙Sの先端Sfが用紙検出センサー51の検出位置51aを通過してから、
図42(c)において用紙Sの折り位置βが用紙検出センサー52の検出位置52aに至るまでの時間に相当し、実施の形態1と同様にタイマー72aにより計時される。なお、
図42(c)に示すDiは、
図8に示すDiに相当し、
図42(c)に示す(ta×V)は、上記(式1)、(式2)の(V×ta)に相当する。
【0125】
求めた第1折り長さL1m(実際の冊子長Lm)と第1目標折り長さL1s(目標冊子長Ls)との差分E1を求め、求めた差分E1の大きさに基づき、第2目標折り長さLs2が補正される(第2折り長さ補正:
図21)。
このように本変形例でも用紙Sごとに、第2目標折り長さLs2の補正により先端しろ長さFmのばらつき、つまり3つ折り後の用紙Sの長さ(折り返し片SAの長さの)のばらつきを、その補正を行わない比較例よりも抑制することができる。
【0126】
(3)上記実施の形態では、用紙Sの搬送、用紙Sの折りのそれぞれをローラー対により行うとしたが、用紙Sの搬送や3つ折りが可能であれば、これに限られず、例えばローラーやベルトなどを含む一対の回転体からなる回転体対を用いることができる。
(4)上記実施の形態では、1回目の折り動作では、回転する搬送ローラー対22の用紙搬送力により用紙SにループLp1を形成して、そのループLp1の頂部を折りローラー対26のニップ260に引き込ませることにより、用紙Sの2つ折りを行う構成例を説明したが、これに限られない。例えば、用紙Sが搬送ローラー対22、23に跨った状態で分岐位置20aにおいて用紙Sの一部を板状の押込部材で折りローラー対26のニップ260に押し込む構成をとることも可能である。
【0127】
この押込部材は、押込動作以外のときには搬送路20の外で待機し、押込動作時には搬送路20の外から搬送路20を横切る方向に移動して、押込部材の先端で用紙Sにおける第1目標折り位置に相当する部分を折りローラー対26のニップ260に押し込む構成をとることができる。2回目の折り動作についても同様の構成をとることもできる。
(5)上記実施の形態では、画像形成装置1と、用紙折り部21aを含む後処理装置2とを別々に構成する場合の例を説明したが、これに限られず、例えば画像形成装置1が用紙折り部21aをシート折り装置として備える構成をとることもできる。
【0128】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。