(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙の搬送経路上に設けられ、用紙の搬送を許可する第1状態と用紙の搬送を禁止する第2状態とを切り替え可能に構成されており、前記第2状態において用紙の突き抜けを許容しつつ前記用紙の先端部と接触して前記用紙の傾きを矯正するレジスト部と、
前記レジスト部の上流側の前記搬送経路上に設けられ前記用紙を挟持搬送し、前記第2状態の前記レジスト部に前記用紙の先端部を突き当てた後、前記用紙の後端部を送り込んで前記用紙にループを形成するループローラー対と、
前記第2状態の前記レジスト部に突き当てられた前記用紙の先端部の前記レジスト部からの突き抜けを検知する検知部と、
前記検知部の出力により前記突き抜けの発生の有無を判断し、前記突き抜けが検知された場合、前記レジスト部および前記ループローラー対を制御して、前記突き抜けが検知されたときのループ量以下に前記用紙のループ量を維持しつつ前記用紙を搬送させる搬送制御部と、
を有する用紙傾き矯正装置。
前記検知部により前記突き抜けが検知された場合、前記搬送制御部は、前記レジストローラー対および前記ループローラー対を同じ速度で駆動して、前記用紙のループ量を一定に維持しつつ前記用紙を搬送させる、請求項2に記載の用紙傾き矯正装置。
前記検知部により前記突き抜けが検知された場合、前記搬送制御部は、前記レジストローラー対を第1速度で駆動し、前記ループローラー対を前記第1速度よりも遅い第2速度で駆動して、前記用紙のループ量を減少させながら前記用紙を搬送させる、請求項2に記載の用紙傾き矯正装置。
前記検知部により前記突き抜けが検知された場合、前記搬送制御部は、前記ループローラー対を停止させた後、前記レジストローラー対を駆動して前記用紙のループ量を減少させてから、前記ループローラー対を駆動して前記用紙を搬送させる、請求項2に記載の用紙傾き矯正装置。
前記検知部により前記突き抜けが検知された場合、前記搬送制御部は、前記ループローラー対を前記用紙の搬送方向と逆方向に駆動して前記用紙のループ量を減少させた後、前記レジスト部および前記ループローラー対を制御して前記用紙を搬送させる、請求項1または2に記載の用紙傾き矯正装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
図1に示すとおり、画像形成装置100は、制御部110、記憶部120、画像読取部130、画像形成部140、定着部150、給紙部160、および用紙搬送部170を備えている。
【0023】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。
【0024】
記憶部120は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等からなる。
【0025】
画像読取部130は、蛍光ランプ等の光源およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を備えている。画像読取部130は、所定の読み取り位置にセットされた原稿に光源から光を当て、その反射光を撮像素子で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
【0026】
画像形成部140は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナーに対応した現像ユニット141Y〜141Kを備えている。各現像ユニット141Y〜141Kにより帯電、露光、および現像のプロセスを経て形成されたトナー画像は、中間転写ベルト142上に順次重ねられて、2次転写ローラー143により用紙S上に転写される。
【0027】
定着部150は、加熱ローラー151および加圧ローラー152を備えており、両ローラー151,152の定着ニップ部に搬送された用紙Sを加熱および加圧して、用紙S上のトナー画像をその表面に溶融定着する。
【0028】
給紙部160は、複数の給紙トレイ161,162を備えており、給紙トレイ161,162に収容された用紙Sを1枚ずつ下流側の搬送経路に送り出す。
【0029】
用紙搬送部170は、用紙Sを搬送するための複数の搬送ローラーを備えており、画像形成部140、定着部150、および給紙部160の各部間で用紙Sを搬送する。複数の搬送ローラーには、用紙Sの傾きを矯正するためのレジストローラー対210と、用紙Sに所定量のループを形成するためのループローラー対220とが含まれる。レジストローラー対210は、画像形成部140の上流側に配置され、搬送経路上を搬送される用紙Sの傾きを矯正する。ループローラー対220は、レジストローラー対210の上流側に配置され、給紙部160から搬送される用紙Sを挟持搬送する。ループローラー対220は、停止状態のレジストローラー対210に用紙Sの先端部を突き当てた後、用紙Sの後端部を送り込んで用紙Sにループを形成する。レジストローラー対210およびループローラー対220は、搬送制御部としての制御部110により制御される。
【0030】
図2は、レジストローラー対210の概略構成を示す図である。
図2(a)は、レジストローラー対210の概略構成を示す平面図であり、
図2(b)は、レジストローラー対210の概略構成を示す側面図である。
【0031】
図2に示すとおり、レジストローラー対210は、駆動モーター(不図示)により回転駆動するレジスト駆動ローラー211と、レジスト駆動ローラー211に圧接されるレジスト従動ローラー212とから構成される。レジスト駆動ローラー211およびレジスト従動ローラー212は、金属製の軸芯と、軸芯の表面に同心円状に形成された弾性体とからそれぞれ構成され、レジスト従動ローラー212の軸芯の端部には、ロータリーエンコーダー230が備えられている。ロータリーエンコーダー230は、検知部として、停止状態のレジストローラー対210に突き当てられた用紙Sの先端部がレジストローラー対210を突き抜けることを検知する。レジストローラー対211、ループローラー対220、ロータリーエンコーダー230、および制御部110は、用紙傾き矯正装置を構成する。
【0032】
なお、画像形成装置100は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、レジストローラー対210の構成は、上記の構成に限定されるものではなく、レジスト駆動ローラー211およびレジスト従動ローラー212として、種々の形態のローラーが用いられる。
【0033】
以上のとおり構成される画像形成装置100では、画像形成部140により用紙S上に画像を形成する直前に、レジストローラー対210およびループローラー対220が制御され、用紙Sの傾きが矯正される。以下、
図3〜
図8を参照して、用紙Sの傾きを矯正する画像形成装置100の動作について詳細に説明する。
【0034】
図3は、画像形成装置100により実行される用紙傾き矯正処理の手順を示すフローチャートである。用紙傾き矯正処理では、給紙部160から画像形成部140に供給される用紙Sの傾きが矯正される。
【0035】
まず、画像形成装置100は、用紙Sの先端部をレジストローラー対210へ突き当てる(ステップS101)。より具体的には、給紙部160から供給された1枚の用紙Sをループローラー対220が挟持搬送して、停止状態のレジストローラー対210に用紙Sの先端部を突き当てる。
【0036】
次に、画像形成装置100は、用紙Sにループを形成する(ステップS102)。より具体的には、レジストローラー対210に用紙Sの先端部が突き当たっている状態で、ループローラー対220が、用紙Sの後端部を送り込んで、用紙Sにループを形成する。用紙Sにループを形成することにより、用紙Sのコシにより用紙Sの先端部が押され、用紙Sの先端部がレジストローラー対210のニップ部に倣い、用紙Sの傾きが徐々に矯正される。
【0037】
次に、画像形成装置100は、用紙Sの突き抜けが発生したか否かを判断する(ステップS103)。より具体的には、画像形成装置100の制御部110が、レジストローラー対210の端部に設けられたロータリーエンコーダー230の出力に基づいて、レジストローラー対210に突き当てられている用紙Sの先端部がレジストローラー対210のニップ部を突き抜けたか否かを判断する。
【0038】
図4は、用紙Sの突き抜けを説明するための図である。上述したとおり、給紙部160から供給された用紙Sは、ループローラー対220により挟持搬送され、まず、停止状態のレジストローラー対210のニップ部に突き当てられる(
図4(a)参照)。その後、レジストローラー対210に先端部が突き当てられた状態の用紙Sの後端部がループローラー対220により送り込まれ、用紙SにループSLが形成される(
図4(b)参照)。ここで、用紙Sがコシの強い高剛度紙であれば、用紙Sのループ量が大きくなると(
図4(c)参照)、用紙Sの先端部を押す力も大きくなり、用紙Sの先端部がレジストローラー対210のニップ部を突き抜けてしまう(
図4(d)参照)。用紙Sの先端部がレジストローラー対210を突き抜ける場合、レジストローラー対210が僅かに回転する。ステップS103に示す処理では、用紙Sの先端部の突き抜けに伴うレジストローラー対210の回転を検知することにより、制御部110は、用紙Sの突き抜けが発生したか否かを判断する。
【0039】
ステップS103に示す処理において、用紙Sの突き抜けが発生したと判断する場合(ステップS103:YES)、画像形成装置100は、ステップS106の処理に移る。
【0040】
一方、用紙Sの突き抜けが発生していないと判断する場合(ステップS103:NO)、画像形成装置100は、ループSLの形成が完了したか否かを判断する(ステップS104)。より具体的には、画像形成装置100の制御部110が、たとえば、用紙Sがループローラー対220を通過した時点からの経過時間を計測することにより、用紙Sに所定量のループSLが形成されたか否かを判断する。
【0041】
ループSLの形成が完了していないと判断する場合(ステップS104:NO)、画像形成装置100は、ステップS102の処理に戻る。一方、ループSLの形成が完了したと判断する場合(ステップS104:YES)、画像形成装置100は、用紙Sを搬送し(ステップS105)、処理を終了する。より具体的には、画像形成装置100の制御部110が、停止状態のレジストローラー対210を駆動して用紙Sを画像形成部140に搬送させる。画像形成部140に搬送された用紙S上には、画像形成部140により画像が形成される。
【0042】
一方、ステップS103に示す処理において、用紙Sの突き抜けが発生したと判断する場合(ステップS103:YES)、画像形成装置100は、突き抜け発生時のループ量以下のループ量で用紙Sを搬送する(ステップS106)。本実施形態では、画像形成装置100の制御部110が、レジストローラー対210およびループローラー対220を同じ速度で駆動して、突き抜け発生時の用紙Sのループ量を維持しながら、用紙Sを画像形成部140に搬送させる。画像形成部140に搬送された用紙S上には、画像形成部140により画像が形成される。
【0043】
そして、画像形成装置100は、用紙Sのループ形成条件を変更し(ステップS107)、処理を終了する。より具体的には、画像形成装置100の制御部110は、レジストローラー対210を用紙Sの先端部が突き抜けた時点での用紙Sのループ量を計算し、後続する用紙Sの傾き矯正時に突き抜けが発生しないように、後続する用紙Sのループ形成条件を変更する。その結果、ループローラー対220の送り量を減少したり、突き当て時の用紙搬送速度を遅くしたりして、後続する用紙Sに対する用紙傾き矯正処理が行われるようになる。
【0044】
以上のとおり、
図3に示すフローチャートの処理によれば、レジストローラー対210に用紙Sの先端部を突き当てている間に、用紙Sがレジストローラー対210を突き抜けた場合、用紙Sのループ量を維持したまま用紙Sが搬送される。このような構成によれば、突き抜けが発生した時点で発揮されている用紙傾き矯正効果が維持され、用紙Sの傾きが矯正される。
【0045】
次に、
図5を参照して、用紙Sの突き抜けが検知されたときの画像形成装置100の動作についてより詳細に説明する。
【0046】
図5は、レジストローラー対210およびループローラー対220の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図5(a)は、レジストローラー対210の回転速度の時間変化を示し、
図5(b)は、ループローラー対220の回転速度の時間変化を示す。
【0047】
図5では、第1時点t1において、ループローラー対220により挟持搬送される用紙Sの先端部が停止状態のレジストローラー対210に突き当てられ、その後、第2時点t2において、用紙Sの突き抜けが検知されたと仮定する。なお、用紙Sの突き抜けが検知されなければ、ループルーラー対220は、第3時点t3まで用紙Sの後端部を送り続けて、用紙Sに所定量のループSLを形成する。
【0048】
図5に示すとおり、第2時点t2において、レジストローラー対210を用紙Sが突き抜けたことが検知されれば、画像形成装置100の制御部110は、レジストローラー対210をループローラー対220の速度V
1と同じ速度V
1で駆動させる。このような構成によれば、用紙Sの突き抜けが検知された第2時点t2の用紙Sのループ量が維持されたまま、用紙Sが画像形成部140に搬送される。したがって、第2時点t2において用紙Sに対して最大限に発揮されている用紙傾き矯正効果が維持され、用紙Sの傾きが矯正される。
【0049】
次に、
図6〜
図8を参照して、本実施形態に係る用紙傾き矯正処理の効果についてより詳細に説明する。
【0050】
図6は、本実施形態に係る用紙傾き矯正処理の効果を説明するための図であり、
図7は、比較例として、
図8に示すような一般的な用紙傾き矯正処理の効果を説明するための図である。
【0051】
図6および
図7の縦軸は、用紙の傾きの程度を示し、横軸は、用紙のサンプル番号を示す。
図6および
図7では、傾きの程度が異なる複数の用紙サンプルについて、用紙傾き矯正処理の前後での用紙の傾きを比較している。◇印は、用紙傾き矯正処理前の用紙の傾きを示し、□印は、用紙傾き矯正処理後の用紙の傾きを示す。
【0052】
図8に示すような一般的な用紙傾き矯正処理では、用紙がレジストローラー対を突き抜けた場合でも、レジストローラー対が停止したまま、ループローラー対により用紙の後端部が引き続き送られる。このため、一般的な用紙傾き矯正処理では、用紙の先端部の突き抜け量が増大し、用紙の先端部がレジストローラー対のニップ部に倣わない。このため、
図7に示すとおり、一般的な用紙傾き矯正処理によれば、用紙傾き矯正処理前の用紙の傾きと、用紙傾き矯正処理後の用紙の傾きに差がなく、用紙の傾きが矯正されない。加えて、一般的な用紙傾き矯正処理によれば、用紙がループローラー対を突き抜けている状態が長時間続くため、用紙にダメージが発生するおそれがある。
【0053】
一方、本実施形態の用紙傾き矯正処理では、用紙Sがレジストローラー対210を突き抜けた場合、レジストローラー対210が直ちに駆動され、突き抜け発生時のループ量を維持しつつ用紙Sが搬送される。その結果、突き抜け発生時に発揮されている用紙傾き矯正効果が維持される。このため、
図6に示すとおり、本実施形態の用紙傾き矯正処理によれば、一定の範囲において、用紙傾き矯正処理前の用紙の傾きよりも、用紙傾き矯正処理後の用紙の傾きの方が小さくなる。つまり、本実施形態の用紙傾き矯正処理によれば、用紙の突き抜けが発生した場合でも、画像形成装置100の傾き矯正能力が最大限に活用され、用紙Sの傾きが矯正される。
【0054】
加えて、本実施形態の用紙傾き矯正処理によれば、用紙Sの突き抜けが検知された場合、用紙Sが直ちに搬送されるため、用紙Sの先端部がレジストローラー対を突き抜けた後も用紙Sの後端部を送り続ける一般的な用紙傾き矯正処理と比べ、用紙Sのダメージを低減できる。
【0055】
なお、用紙の突き抜けを防止するために、用紙のループ量を用紙の種類に応じて最適化することが考えられる。しかしながら、用紙種類の設定ミスや、環境変化に起因する用紙の剛度の変化等により、用紙の突き抜けを完全に防止することはできない。
【0056】
また、用紙の傾きを矯正する他の方法として、用紙の傾きを検知し、用紙を搬送しながら傾きを矯正するステアリング方式が知られている。しかしながら、高い生産性が要求される状況下では、ステアリング方式を採用する場合、高精度な傾き検知センサー等が必要になり、さらなるコストの増加に繋がり、好ましくない。
【0057】
(変形例)
上述した実施形態では、レジストローラー対210の端部に設けられたロータリーエンコーダー230により、レジストローラー対210を用紙Sの先端部が突き抜けたことが検知された。しかしながら、用紙Sの突き抜けを検知する検知部は、ロータリーエンコーダー230に限定されるものではない。たとえば、
図9に示すとおり、レジストローラー対210の下流側にCCDラインセンサー240(または、反射式光センサー)を設け、用紙の突き抜けを直接的に検知してもよい。
【0058】
あるいは、
図10に示すとおり、レジストローラー対210のレジスト従動ローラー212の軸芯にトルクメーター250(または、歪ゲージ)を設け、軸芯の歪みを検知することにより用紙Sの突き抜けを検知してもよい。軸芯の歪みを検知する場合、用紙Sの突き抜けが実際に発生する直前に用紙Sの突き抜けが生じることを検知できる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、
図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、用紙Sの突き抜けが検知された場合、用紙Sのループ量を減少させながら用紙Sを搬送する実施形態である。
【0060】
図11は、本実施形態に係るレジストローラー対210およびループローラー対220の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図11(a)は、レジストローラー対210の回転速度の時間変化を示し、
図11(b)は、ループローラー対220の回転速度の時間変化を示す。なお、用紙Sの突き抜けが検知された場合のレジストローラー対210およびループローラー対220の制御内容を除けば、本実施形態に係る画像形成装置100の構成は第1実施形態と同様であるため、画像形成装置100の構成についての説明は省略する。
【0061】
第1実施形態と同様、
図11では、第1時点t1において、ループローラー対220により挟持搬送される用紙Sの先端部が停止状態のレジストローラー対210に突き当てられ、第2時点t2において、用紙Sの突き抜けが検知されたと仮定する。
【0062】
図11に示すとおり、第2時点t2において、レジストローラー対210を用紙Sが突き抜けたことが検知されれば、画像形成装置100の制御部110は、レジストローラー対210を第1速度V
1で駆動する。加えて、制御部110は、ループローラー対220を第1速度V
1よりも遅い第2速度V
2で駆動する。このような構成によれば、用紙Sのループ量が減少されつつ、用紙Sが画像形成部140に搬送される。したがって、突き抜けが発生した時点の用紙傾き矯正効果が維持され、用紙Sの傾きが矯正される。
【0063】
(第3実施形態)
次に、
図12を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、用紙Sの突き抜けが検知された場合、ループローラー対220を一時的に停止させる実施形態である。
【0064】
図12は、本実施形態に係るレジストローラー対210およびループローラー対220の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図12(a)は、レジストローラー対210の回転速度の時間変化を示し、
図12(b)は、ループローラー対220の回転速度の時間変化を示す。
【0065】
第1実施形態と同様、
図12では、第1時点t1において、ループローラー対220により挟持搬送される用紙Sの先端部が停止状態のレジストローラー対210に突き当てられ、第2時点t2において、用紙Sの突き抜けが検知されたと仮定する。
【0066】
図12に示すとおり、第2時点t2において、レジストローラー対210を用紙Sが突き抜けたことが検知されれば、画像形成装置100の制御部110は、まず、ループローラー対220を停止する。そして、制御部110は、レジストローラー対210を駆動する。ループローラー対220が停止した状態でレジストローラー対210のみが駆動すれば、用紙Sのループ量が減少する。その後、制御部110は、ループローラー対220を駆動して、レジストローラー対210およびループローラー対220に用紙Sを搬送させる。このような構成によれば、用紙Sの突き抜け検知時のループ量以下に用紙Sのループ量が低減された後、用紙Sが画像形成部140に搬送される。したがって、突き抜けが発生した時点の用紙傾き矯正効果が維持され、用紙Sの傾きが矯正される。
【0067】
(第4実施形態)
次に、
図13を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、用紙Sの突き抜けが検知された場合、ループローラー対220から用紙Sを離間させる実施形態である。
【0068】
図13は、本実施形態に係るレジストローラー対210およびループローラー対220の動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、第1〜第3実施形態と異なり、本実施形態の画像形成装置100では、ループローラー対220を構成する2つのローラーが、互いに近接離間可能に構成されている。
【0069】
図13(a)は、レジストローラー対210の回転速度の時間変化を示し、
図13(b)は、ループローラー対220の回転速度の時間変化を示す。
図13(c)は、ループローラー対220を構成する2つのローラーの距離の時間変化を示す。
【0070】
第1実施形態と同様、
図13では、第1時点t1において、ループローラー対220により挟持搬送される用紙Sの先端部が停止状態のレジストローラー対210に突き当てられ、第2時点t2において、用紙Sの突き抜けが検知されたと仮定する。
【0071】
図13に示すとおり、第2時点t2において、レジストローラー対210を用紙Sが突き抜けたことが検知されれば、画像形成装置100の制御部110は、まず、ループローラー対220を制御して、2つのローラーを互いに離間させる。ループローラー対220の2つのローラーが離間されれば、用紙SのループSLが解消される。その後、制御部110は、ループローラー対220を制御して2つのローラーを互いに近接させるとともに、レジストローラー対210を駆動する。このような構成によれば、用紙SのループSLが解消された後、用紙Sが画像形成部140に搬送される。したがって、突き抜けが発生した時点の用紙傾き矯正効果が維持され、用紙Sの傾きが矯正される。
【0072】
(第5実施形態)
次に、
図14を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、用紙Sの突き抜けが検知された場合、ループローラー対220を逆方向に駆動する実施形態である。
【0073】
図14は、本実施形態に係るレジストローラー対210およびループローラー対220の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図14(a)は、レジストローラー対210の回転速度の時間変化を示し、
図14(b)は、ループローラー対220の回転速度の時間変化を示す。
【0074】
第1実施形態と同様、
図14では、第1時点t1において、ループローラー対220により挟持搬送される用紙Sの先端部が停止状態のレジストローラー対210に突き当てられ、第2時点t2において、用紙Sの突き抜けが検知されたと仮定する。
【0075】
図14に示すとおり、第2時点t2において、レジストローラー対210を用紙Sが突き抜けたことが検知されれば、画像形成装置100の制御部110は、まず、ループローラー対220を用紙Sの搬送方向と逆方向に駆動する。ループローラー対220が逆方向に駆動されれば、用紙Sのループ量が減少する。その後、制御部110は、ループローラー対220の回転方向を逆転させるとともに、レジストローラー対210を駆動する。このような構成によれば、用紙Sの突き抜け検知時のループ量以下に用紙Sのループ量が低減された後、用紙Sが画像形成部140に搬送される。したがって、突き抜けが発生した時点の用紙傾き矯正効果が維持され、用紙Sの傾きが矯正される。
【0076】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0077】
たとえば、上述した第1〜第5実施形態では、本発明の用紙傾き矯正装置が画像形成装置に適用され、画像形成部に搬送される用紙の傾きを矯正する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の用紙傾き矯正装置は、画像形成装置に連結される後処理装置に適用され、後処理装置により後処理が行われる直前の用紙の傾きを矯正してもよい。
【0078】
また、上述した第4および第5実施形態では、レジストローラー対に用紙の先端部を突き当てて用紙の傾きを矯正する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明のレジスト部は、レジストローラー対に限定されるものではない。レジスト部は、用紙の搬送経路上に設けられて機械的に開閉され、用紙の搬送を許可する開状態(第1状態)と用紙の搬送を禁止する閉状態(第2状態)とが切り替えられる板状のシャッター部材であってもよい。この場合、シャッター部材を用紙の先端部が突き抜ければ、画像形成装置の制御部は、ループローラー対の2つのローラーを一時的に離間して用紙のループを解消したり、ループローラー対を逆方向に駆動して用紙のループ量を減少させたりする。その後、画像形成装置の制御部は、シャッター部材を開状態に制御して、ループローラー対に用紙を搬送させる。
【0079】
上述した実施形態に係る画像形成装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。