(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得手段は、前記特定の操作として、実行する処理種別を選択する操作を受けた場合に、前記端末の記憶手段に記憶されている処理種別ごとの種別画面情報のうち、選択された処理種別についての種別画面情報を取得し、
前記受付手段は、前記設定画面として、取得された前記種別画面情報に従って生成した、前記選択された処理種別についての設定画面を表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載の処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
処理装置に実行させる処理についての設定をユーザが持つ端末で行い、その設定により得られた設定情報を処理装置に対して端末から送信する方式では、処理のための設定を端末上で完結させる必要がある。一方、近年、腕時計型のウエアラブル端末のように、貧弱なUI(ユーザインタフェース)(例えば非常に小さい画面)しかもたない端末が普及しつつある。このようなUIが貧弱な端末に、処理装置が行う処理についての多様な項目の設定のための画面を表示することは困難であり、仮に表示できたとしてもその画面に表示された細かい項目をユーザがタッチ操作等で選んで設定を行うのは現実的ではない。
【0010】
本発明は、処理装置が持つデフォルトの設定に対してユーザが希望する設定変更を加える場合よりもユーザの操作負担を軽減すると共に、端末上で処理の設定を行いその設定の情報を処理装置に送って実行させる場合よりも端末上でのユーザの設定操作の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、ユーザの端末と、ユーザから指示された処理を実行する処理装置と、を含み、前記端末は、前記処理に関する設定画面を構成するための、前記ユーザによって設定された画面情報を記憶する記憶手段と、を含み、前記処理装置は、短距離無線通信により前記端末から前記画面情報を取得する取得手段と、取得された前記画面情報に従って設定画面を表示し、その設定画面に対するユーザからの設定変更を受け付ける受付手段と、を含
み、
前記処理装置は、前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後、前記端末に対してその設定情報を提供する設定情報提供手段、を更に含み、前記端末は、前記記憶手段内の前記画面情報を、前記処理装置から提供された前記設定情報により更新する更新手段、を更に含み、前記画面情報には、前記処理装置の設定のための専用情報と、前記処理装置の設定以外の前記端末の処理でも用いられる共用情報と、が含まれ、前記更新手段は、前記記憶手段内の前記画面情報のうち前記専用情報のみを前記処理装置から提供された前記設定情報により更新する、ことを特徴とする処理システムである。
請求項2に係る発明は、ユーザの端末と、ユーザから指示された処理を実行する処理装置と、を含み、前記端末は、前記処理に関する設定画面を構成するための、前記ユーザによって設定された画面情報を記憶する記憶手段と、を含み、前記処理装置は、短距離無線通信により前記端末から前記画面情報を取得する取得手段と、取得された前記画面情報に従って設定画面を表示し、その設定画面に対するユーザからの設定変更を受け付ける受付手段と、を含み、前記処理装置は、前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後、前記端末に対してその設定情報を提供する設定情報提供手段、を更に含み、前記端末は、前記記憶手段内に前記画面情報がない場合、前記処理装置から提供された前記設定情報に対応する画面情報を前記記憶手段に格納する画面情報格納手段、を更に含む、ことを特徴とする処理システムである。
【0012】
請求項
3に係る発明は、前記取得手段は、前記処理装置がユーザから特定の操作を受けた場合に、前記端末から前記画面情報を取得する、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の処理システムである。
【0013】
請求項
4に係る発明は、前記記憶手段に記憶されている前記画面情報は、前記処理装置が実行可能な処理種別ごとの種別画面情報を含み、前記取得手段は、前記特定の操作として、実行する処理種別を選択する操作を受けた場合に、前記端末から、選択された処理種別についての前記種別画面情報を取得し、前記受付手段は、前記設定画面として、取得された前記種別画面情報に従って生成した、前記選択された処理種別についての種別設定画面を表示する、ことを特徴とする請求項
3に記載の処理システムである。
【0014】
請求項
5に係る発明は、前記端末は、前記画面情報の取得権限を証明する証明情報を更に記憶しており、前記処理装置は、前記ユーザから証明情報の入力を受け付け、受け付けた前記証明情報を前記端末に送信する証明情報送信手段、を更に含み、前記端末は、前記処理装置から送信された証明情報が、記憶している前記証明情報に合致する場合に、前記画面情報を前記処理装置に提供する、ことを特徴とする請求項1〜
4のいずれか1項に記載の処理システムである。
【0018】
請求項
6に係る発明は、処理を実行する手段と、短距離無線通信により、ユーザの端末から前記処理に関する設定画面を構成するための、前記ユーザによって設定された画面情報を取得する取得手段と、取得された前記画面情報に従って設定画面を表示し、その設定画面に対するユーザからの設定変更を受け付ける受付手段と、
前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後、前記端末に対してその設定情報を提供する設定情報提供手段と、を含む処理装置
であって、、前記画面情報には、前記処理装置の設定のための専用情報と、前記処理装置の設定以外の前記端末の処理でも用いられる共用情報と、が含まれ、前記設定情報提供手段は、前記設定情報のうち前記専用情報に対応する情報のみを前記端末に対して提供する、ことを特徴とする処理装置である。
【0019】
請求項
7に係る発明は、前記取得手段は、前記処理装置がユーザから特定の操作を受けた場合に、前記端末から前記画面情報を取得する、ことを特徴とする請求項
6に記載の処理装置である。
【0020】
請求項
8に係る発明は、前記取得手段は、前記特定の操作として、実行する処理種別を選択する操作を受けた場合に、前記端末の記憶手段に記憶されている処理種別ごとの種別画面情報のうち、選択された処理種別についての種別画面情報を取得し、前記受付手段は、前記設定画面として、取得された前記種別画面情報に従って生成した、前記選択された処理種別についての設定画面を表示する、ことを特徴とする請求項
7に記載の処理装置である。
【0021】
請求項
9に係る発明は、ユーザから、前記画面情報の取得権限を証明する証明情報の入力を受け付け、受け付けた前記証明情報を前記端末に送信する証明情報送信手段、を更に含む、ことを特徴とする請求項
6〜
8のいずれか1項に記載の処理装置である。
【0024】
請求項
10に係る発明は、ユーザから指示された処理を実行する処理装置が備えるコンピュータを、短距離無線通信により、ユーザの端末から前記処理に関する設定画面を構成するための、前記ユーザによって設定された画面情報を取得する取得手段、取得された前記画面情報に従って設定画面を表示し、その設定画面に対するユーザからの設定変更を受け付ける受付手段、
前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後、前記端末に対してその設定情報を提供する設定情報提供手段、として機能させるためのプログラム
であって、前記画面情報には、前記処理装置の設定のための専用情報と、前記処理装置の設定以外の前記端末の処理でも用いられる共用情報と、が含まれ、前記設定情報提供手段は、前記設定情報のうち前記専用情報に対応する情報のみを前記端末に対して提供する、ことを特徴とするプログラムである。
【0025】
請求項
11に係る発明は、処理装置が実行する処理に関する設定画面を構成するための、ユーザによって設定された画面情報を記憶する記憶手段と、前記画面情報を前記処理装置に提供する画面情報提供手段と、
前記処理装置が前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後に、前記処理装置から提供された前記設定情報により、前記記憶手段内の前記画面情報を更新する更新手段と、を含
む端末であって、、前記画面情報には、前記処理装置の設定のための専用情報と、前記処理装置の設定以外の前記端末の処理でも用いられる共用情報と、が含まれ、前記更新手段は、前記記憶手段内の前記画面情報のうち前記専用情報のみを前記処理装置から提供された前記設定情報により更新する、ことを特徴とする端末である。
請求項12に係る発明は、処理装置が実行する処理に関する設定画面を構成するための、ユーザによって設定された画面情報を記憶する記憶手段と、前記画面情報を前記処理装置に提供する画面情報提供手段と、前記処理装置が前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後に、前記処理装置から提供された前記設定情報に対応する画面情報を前記記憶手段に格納する画面情報格納手段と、を含む端末である。
【0026】
請求項
13に係る発明は、前記記憶手段に記憶されている前記画面情報は、前記処理装置が実行可能な処理種別ごとの種別画面情報を含み、前記画面情報提供手段は、前記処理装置から通知された処理種別についての前記種別画面情報を前記処理装置に提供する、ことを特徴とする請求項
11又は12に記載の端末である。
【0027】
請求項
14に係る発明は、前記画面情報の取得権限を証明する証明情報を記憶する手段、を更に含み、前記画面情報提供手段は、前記処理装置から送信された証明情報が、記憶されている前記証明情報に合致する場合に、前記画面情報を前記処理装置に提供する、ことを特徴とする請求項
11〜
13のいずれか1項に記載の端末である。
【0031】
請求項
15に係る発明は、
端末として機能するコンピュータを、処理装置が実行する処理に関する設定画面を構成するための、ユーザによって設定された画面情報を記憶する記憶手段、前記画面情報を前記処理装置に提供する画面情報提供手段、
前記処理装置が前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後に、前記処理装置から提供された前記設定情報により、前記記憶手段内の前記画面情報を更新する更新手段、として機能させるためのプログラム
であって、前記画面情報には、前記処理装置の設定のための専用情報と、前記処理装置の設定以外の前記端末の処理でも用いられる共用情報と、が含まれ、前記更新手段は、前記記憶手段内の前記画面情報のうち前記専用情報のみを前記処理装置から提供された前記設定情報により更新する、ことを特徴とするプログラムである。
請求項16に係る発明は、端末として機能するコンピュータを、処理装置が実行する処理に関する設定画面を構成するための、ユーザによって設定された画面情報を記憶する記憶手段、前記画面情報を前記処理装置に提供する画面情報提供手段、前記処理装置が前記設定画面に対応付けて保持されている設定情報に従って処理の実行を開始した後に、前記処理装置から提供された前記設定情報に対応する画面情報を前記記憶手段に格納する画面情報格納手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0032】
請求項1、
6、
10、
11、
15に係る発明によれば、処理装置が持つデフォルトの設定に対してユーザが希望する設定変更を加える場合よりもユーザの操作負担を軽減すると共に、端末上で処理の設定を行いその設定の情報を処理装置に送って実行させる場合よりも端末上でのユーザの設定操作の負担を軽減することができる。
また、ユーザが処理装置の設定画面で行った設定変更を端末の画面情報に反映して再利用することが可能になると共に、端末内の他のアプリケーション等の処理に影響のある共用情報が変更されてしまうことを防ぐことができる。
請求項2、12、16に係る発明によれば、処理装置が持つデフォルトの設定に対してユーザが希望する設定変更を加える場合よりもユーザの操作負担を軽減すると共に、端末上で処理の設定を行いその設定の情報を処理装置に送って実行させる場合よりも端末上でのユーザの設定操作の負担を軽減することができる。また、端末の画面が小さい等の理由で処理装置のための画面情報を設定することが困難な場合等に、処理装置に対して設定された設定情報に対応する画面情報を端末に持たせて再利用することができる。
【0033】
請求項
3、
7に係る発明によれば、処理装置に対する特定の操作というトリガを用いずに例えば定期的に端末から画面情報を取得する場合と比べて、使用されない画面情報を取得してしまう無駄を低減することができる。
【0034】
請求項
4、
8、
13に係る発明によれば、ユーザに選択された処理種別以外の処理種別も含むすべての画面情報を処理装置が端末から取得する場合と比べて、転送される画面情報のデータ量を抑えることができる。
【0035】
請求項
5、
9、14に係る発明によれば、処理装置から短距離無線通信が可能な範囲に複数の端末がある場合に、処理装置をローカルで操作しているユーザの端末を特定して画面情報を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に示すように、本実施形態のシステムは、機器100と携帯端末200とを含む。
【0041】
機器100は、ユーザに対していくつかのサービスを提供する装置である。機器100は、ユーザからローカルで操作を受け付けるためのUI(ユーザインタフェース)機構を有する。
図1では、UI機構の例としてタッチパネル106を例示しているが、タッチパネルに限らず、表示装置と機械式ボタンやテンキーの組み合わせであってもよい。機器100の例としては、コピー機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、又はこれらの機能を併せ持つ複合機、キオスク端末等がある。
【0042】
機器100は、短距離無線通信部102、UI管理部104、タッチパネル106を有する。
図1では、機器100が備える各種の機能モジュールのうち、本実施形態の処理に直接的に関係しないものは図示を省略した。
【0043】
短距離無線通信部102は、比較的短距離での無線データ通信を行う装置である。本実施形態では、短距離無線通信部102の一例として、Bluetooth Low Energy(商標)(以下「BLE」と略称)に準拠したBluetooth(商標)モジュールを用いる。ただし、これはあくまで一例に過ぎず、BLEが提供する機能をアプリケーションで補い、別の無線通信規格の無線装置を用いてもよい。
【0044】
UI管理部104は、機器100のUIのための情報処理を行う。UI管理部104は、タッチパネル106に表示するUI画面を生成したり、表示したUI画面に対するユーザからの入力を受け付けたりする機能を有する。例えばUI管理部104は、ユーザが実行を希望するジョブ(すなわち機器100が実行する処理)の種別(コピー、スキャン等)の選択を受け付けるメニュー画面や、選択したジョブ種別についての詳細なパラメータ(例えば用紙サイズ、部数、印刷濃度、スキャンデータの保存先等)の入力を受け付ける詳細設定画面等をタッチパネル106に表示し、ユーザからの入力を受け付ける。またUI管理部104は、ユーザからの入力内容(ジョブ種別やパラメータ群)を、ジョブ実行のための制御を担当する図示省略した制御部に渡し、制御部がその入力内容に従った制御を実行できるようにする。
【0045】
また本実施形態のUI管理部104は、携帯端末200から受け取ったユーザ用の画面情報(詳細は後述)に従ってその携帯端末200のユーザ用の設定画面を構成する機能を有する。なお、設定画面とは、機器100がユーザからの入力を受け付ける際に表示する画面であり、上に例示した詳細なパラメータの設定画面やメニュー画面等を含む。
【0046】
タッチパネル106は、UI管理部104の制御下で、各種の設定画面や機器100の状態等を示す画面を表示し、それら画面に対するユーザからの入力を受け付ける。
【0047】
携帯端末200は、ユーザが携帯する情報処理装置であり、スマートフォン、タブレット端末、腕時計型等のウエアラブルデバイス等がその例である。
【0048】
携帯端末200は、短距離無線通信部202、機器利用アプリ204及び記憶装置206を有する。
図1では、携帯端末200が備える機能モジュールのうち、本実施形態の処理に直接的に関係しないものは図示を省略した。
【0049】
短距離無線通信部202は、短距離無線通信部102と同じ通信プロトコルに従って、比較的短距離での無線データ通信を行う。以下では、短距離無線通信部202の一例として、BLEに準拠した機能を持つBluetoothモジュールを用いる場合を説明する。
【0050】
機器利用アプリ204は、機器100の利用に関する情報処理を実行するアプリケーションソフトウエアである。機器利用アプリ204は、特に機器100の設定画面群を規定する、ユーザによって設定された画面情報を機器100に提供したり、機器100から送られてくる更新(又は新規登録)要求に応じて携帯端末200の画面情報を更新(あるいは新規登録)したりする。
【0051】
記憶装置206は、その携帯端末200を持つユーザが設定した画面情報を記憶する。記憶装置206は、例えば、携帯端末200が内蔵するフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶装置206は、画面情報以外の情報を記憶していてもよい。
【0052】
図2を参照して、記憶装置206内に記憶される、本実施形態に関連するデータの例を説明する。
【0053】
記憶装置206内には、機器利用アプリ204用の専用記憶領域2060が確保されている。この専用記憶領域2060には、携帯端末200にインストールされたオペレーティングシステムやアプリケーションの中で機器利用アプリ204のみが利用する情報(以下「専用情報」と呼ぶ)が記憶される(詳細は後述)。
【0054】
また、記憶装置206内には、端末名2072やアドレス帳2074等のように、機器利用アプリ204と、携帯端末200にインストールされた他のアプリケーションやオペレーティングシステムとが共通して利用する情報(以下「共用情報」と呼ぶ)も記憶されている。なお、端末名2072は、例えば携帯端末200の初期設定時にユーザが設定した当該携帯端末200の名称であり、アドレス帳2074はユーザがよく通信する相手の名前やアドレス情報(電話番号、電子メールアドレス等)を記録したリストである。
【0055】
図示例では、専用記憶領域2060内には、PINコードの記憶領域2062と、画面情報の記憶領域2064とが含まれる。
【0056】
記憶領域2062に記憶されるPIN(Personal Identification Number)コードは、ユーザが機器利用アプリ204に対して登録した暗証番号である。ユーザは機器100に対してこのPINコードを入力し、機器100はそのPINコードを伴った要求を携帯端末200に送ることで、その機器100がユーザが実際に操作している機器であることを証明する。
【0057】
また、図示例では、画面情報の記憶領域2064には、印刷ジョブ、スキャナ(メール送信)ジョブ、スキャナ(ボックス保存)ジョブ、ファックス送信等と言ったジョブの種別ごとに、画面情報2066−1、2066−2、・・・(個々を区別せずに総称する場合は単に画面情報2066と記す)が記憶されている。画面情報は、機器100が表示する設定画面群を規定する情報であり、携帯端末200が持つ画面情報は、その携帯端末200を持つユーザのためにカスタマイズされた画面情報である。あるジョブ種別のための画面情報には、そのジョブ種別のための各設定項目について、その設定項目のためにユーザが選んだデフォルト値、選択リスト、又は選択範囲の情報が含まれる。デフォルト値は、ユーザが当該設定項目の値としてよく使う(あるいは主に使いたい)値である。選択リストは、ユーザが当該設定項目の値として主に使用する複数の値からなるリストである。選択範囲は、ユーザが当該設定項目について主に使用する値の範囲であり、例えばその範囲の上限と下限の値で規定される。なお、1つの設定項目について、単一のデフォルト値と、選択リスト又は選択範囲とを設定することも可能である。このように、記憶領域2064内の画面情報2066群は、そのユーザの希望に応じてカスタマイズされた情報である。
【0058】
あるユーザのスキャナ(メール送信)というジョブ種別についての画面情報2066の例を以下に示す。なお、スキャナ(メール送信)というジョブ種別は、スキャンした画像を電子メールに添付して、指定された電子メールアドレスに送信するジョブを示す。
{“Plex”:”Tumble”, “ImageMode”: “Photo”, “FileFormat”: “TIFF”, “Subjects”:[“報告書”, “見積書”, “請求書”], “SenderName”: “富士太郎”, “SenderAddress”: “FujiTaro@example.jp”}
【0059】
この例の画面情報は、JSON又はそれに類似したデータ記述言語で記述されており、個々の設定項目についてのキー(名前)と値のペアを列挙したものである。例えば、“ImageMode”という設定項目は、スキャンの際の画像モードを指定する項目であり、この例ではその項目の値は“Photo”(「写真」)に指定されている。また、“Subjects”(「件名」)という設定項目は、スキャン結果のデータを電子メール送信する際の電子メールの件名を表す項目である。上述の例では、この項目“Subjects”については、“報告書”、“見積書”、“請求書”という3つの値からなる選択リストが設定されている。“SenderName”及び“SenderAddress”は、スキャンした画像を添付して送信する電子メールの送信者名及び送信者アドレスを示す。また、上述の例では省略したが、「スキャナ(メール送信)」についての画面情報には、共用情報であるアドレス帳2074のうちの各宛先の名前と電子メールアドレスのデータをその画像情報に組み込む旨の指示情報が関連付けられている。
【0060】
本実施形態のジョブ実行サービスのシステムでは、機器100は、BLEのプロトコルにおけるペリフェラル(Peripheral)として振る舞い、携帯端末200は同プロトコルにおけるセントラル(Central)として振る舞う。機器100は、自身がこのシステムにおける、ジョブを実行する装置であることを示す信号(BLEのアドバタイジングパケット)を定期的に発信(アドバタイズ)する。機器100の周辺に複数のユーザがいる場合、複数の携帯端末200がそのアドバタイズの信号を同時に受信することもある。携帯端末200は、機器100からその信号を受信すると、自身を特定可能な情報(例えば端末名、その信号の受信強度等)をその機器100に通知する。機器100は、各携帯端末200から通知された情報に基づき、その機器100をローカルで操作しているユーザの携帯端末200を特定し、その携帯端末200から画面情報を取得する。そして、機器100は、取得した画面情報に従って、そのユーザ用の設定画面を生成し、タッチパネル106に表示する。表示される設定画面には、各設定項目について、画面情報内に規定されたデフォルト値や選択リスト、選択範囲が表示される。例えば、設定画面では、デフォルト値が設定された項目については、そのデフォルト値が選択された状態、又は、入力欄に入力された状態の表示がなされる。また、選択リストが設定された項目については、選択リストに含まれる選択肢を示すメニュー(例えばプルダウンメニュー形式)が表示される。選択範囲が設定された項目については、その選択範囲内の値が指定可能なスケール等が表示される。ユーザは、タッチパネル106上で、その自分専用の設定画面の表示内容を確認し、値を変更したい項目がある場合は、タッチパネル106上で値の変更操作を行う。そして、所望の設定内容が確定すると、スタートボタン押下等の操作により、その設定内容に従ったジョブの実行を機器100に指示する。
【0061】
次に、本実施形態の具体的な処理手順の例を、
図3を参照して説明する。
【0062】
この処理では、ユーザは、自分の携帯端末200にインストールされている機器利用アプリ204を起動している(S10)ものとする。動作中の機器利用アプリ204は、機器100からBLEのアドバタイジングパケット(本実施形態のジョブ実行サービスのUUIDを含む)を待ち受けている。携帯端末200を携帯しているユーザは、希望するジョブを実行するために、機器100に向かって歩いているとする。
【0063】
機器100の短距離無線通信部102(Bluetoothモジュール)は、GATT(Generic Attribute Profile)サーバとして振る舞う。
図4に、このGATTサーバが持つGATTプロファイルの例を示す。このGATTプロファイルには、本実施形態のジョブ実行サービス(Service)のUUID(Universally Unique Identifier)と、このサービスで用いるいくつかのキャラクタリスティック(Characteristic)が含まれる。この例では、GATTプロファイルには、「端末情報取得要求」、「端末情報」、「画面情報取得要求」、「画面情報更新要求」、「画面情報」という意味をそれぞれ持つ5つのキャラクタリスティックが含まれる。各キャラクタリスティックには、それぞれ固有のUUIDが割り当てられている。また、各キャラクタリスティックがとる値(又は値の組)が規定されている。例えば、ClientInformation(端末情報)というキャラクタリスティックは、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)とDeviceName(端末名)を値として持つ。またJobData(画面情報)というキャラクタリスティックは、設定画面を規定する上述の画面情報を値として取る(JSONで記述されたSetting)。
【0064】
機器100の短距離無線通信部102は、BLEに従って、ジョブ実行サービスのUUIDを含んだアドバタイジングパケットを定期的に送信(アドバタイズ)する(S12)。
【0065】
携帯端末200の短距離無線通信部202は、機器100からのアドバタイジングパケットを受信すると、その受信についての受信信号強度(RSSI)を求める。この受信信号強度が予め定められた閾値より高い場合、機器100の短距離無線通信部102に対してGATT通信を開始するためのアクセス(サービス検索)を行う(S14)。なお受信信号強度が上記閾値以下の場合は、携帯端末200は機器100から遠すぎるため、その機器100とこれ以上の通信は行わない。
【0066】
機器100の短距離無線通信部102は、その携帯端末200からのサービス検索に対して、自身が保持しているGATTプロファイルのデータ構造の情報(
図4参照)を応答する(S16)。また短距離無線通信部102は、アクセスしてきた携帯端末200(短距離無線通信部202)を現在アクセス中のクライアントとして登録(記憶)する(S18)。
【0067】
また携帯端末200の短距離無線通信部202は、取得したGATTプロファイルのデータ構造のうち「端末情報取得要求」及び「ジョブデータ取得要求」について、機器100(短距離無線通信部102)に対してそれら要求の通知の有効化を指示する(通知の有効化)。これにより、短距離無線通信部102は、それら要求を発する条件が満たされると、それら要求をその携帯端末200(短距離無線通信部202)に送信することとなる。
【0068】
ユーザがその機器100のところに到着し、機器100のタッチパネル106に表示されたメインメニュー画面1060(
図5参照)にて、実行したいジョブを選択する(S22)。以下では、このときユーザが、
図5に例示したメインメニュー画面1060上で、「スキャナ(メール送信)」というジョブ種別のボタンを押下した場合を具体例として説明を行う。
【0069】
機器100のUI管理部104は、メインメニュー画面でジョブが選択されたことを認識すると、短距離無線通信部102に対してジョブ選択がなされた旨を示す通知(言い換えれば「端末情報取得要求」を発することを求める指示)を行う。この通知を受けた短距離無線通信部102は、登録されている現在アクセス中の各クライアント(携帯端末200)に対して端末情報取得要求(InformationRequest:
図4参照)を送信する(S24)。また、S24と並行して、UI管理部104は、タッチパネル106に対してPINコード入力画面1062を表示する(S26)。
図6にPINコード入力画面1062の表示例を示す。この例では、PINコード入力画面1062は、メインメニュー画面1060の上にダイアログとしてポップアップ表示されている。PINコード入力画面1062には、ユーザの携帯端末200の端末名を選択するためのプルダウンメニュー1064と、PINコードの入力欄1066とが含まれる。
【0070】
携帯端末200の短距離無線通信部202は、機器100から端末情報取得要求を受信すると、その要求に対応する端末情報(ClientInformation:
図4参照)を短距離無線通信部102に応答する(S28)。この端末情報には、記憶装置206に記憶されている端末名2072と、機器100からの受信信号の強度(RSSI)とが含まれる。機器100の短距離無線通信部102は、自身が管理しているGATTプロファイル(
図4)のClientInformationキャラクタリスティックに対して、携帯端末200から受信した端末情報を値として書き込む。
【0071】
機器100のUI管理部104は、現在アクセス中の各携帯端末200から応答された各端末名を、端末名の選択肢のリストに追加する(S30)。UI管理部104は、そのリストに含まれる各端末名を、PINコード入力画面1062の端末名のプルダウンメニュー1064に選択肢として表示する。すなわち、S24で端末情報取得要求が発せられた時点で機器100の近傍に複数のユーザがいる場合、それら各ユーザの携帯端末200からS28の応答(端末名等を含む)がなされ、それら各携帯端末200の端末名がプルダウンメニュー1064に表示される。ここで、プルダウンメニュー1064には、受信信号の強度(RSSI)が大きい順に端末名を配列してもよい。受信信号の強度が最も大きい携帯端末200が、機器100の最も近くにいるユーザのものである可能性が高い。
【0072】
ユーザは、PINコード入力画面1062内のプルダウンメニュー1064にて自分の携帯端末200の端末名を選択すると共に、入力欄1066に対して(自分がその携帯端末200に登録した)PINコードを入力する(S32)。UI管理部104は、入力された端末名とPINコードを短距離無線通信部102に渡し、画面情報取得要求(JobDataWriteRequest:
図4参照)の送信を短距離無線通信部102に指示する。この指示に応じ短距離無線通信部102は、その端末名とPINコードを含む画面情報取得要求を、その端末名に対応する携帯端末200の短距離無線通信部202に送る(S34)。
【0073】
画面情報取得要求を受け取った携帯端末200の短距離無線通信部202は、その要求に含まれるPINコードが、記憶装置206に記憶されているPINコードの記憶領域2062と一致するかチェックする(S36)。一致しなかった場合は、機器100の短距離無線通信部102に対してエラー(例えば空文字のデータ)を返す(図示省略)。所定回数連続してエラーが生じた場合、短距離無線通信部202は、機器100の短距離無線通信部102との通信を切断する。
【0074】
機器100の短距離無線通信部102から受け取ったPINコードが記憶しているものと一致した場合、短距離無線通信部202は、記憶装置206内の画面情報2066(
図2参照)群を読み出し(S38)、短距離無線通信部102に応答する(S40)。なお、画面情報取得要求にユーザが選択したジョブの種別の識別情報を含めておき、携帯端末200の短距離無線通信部202が、記憶領域2064内の画面情報2066群のうちその識別情報に対応するジョブ種別についての画面情報2066のみを抽出し、機器100に応答してもよい。
【0075】
ここで、いずれかの共用情報(例えば
図2のアドレス帳2074)を組み込む旨の指示情報が含まれている画面情報2066については、短距離無線通信部202は、専用情報である画面情報2066と記憶装置206内のその共用情報とを含む画面情報を生成し(S38)、機器100に応答する(S40)。例えば、ジョブ種別「スキャナ(メール送信)」の場合、短距離無線通信部202は、上に例示した画像モードのデフォルト値や件名の選択リスト等を含んだ専用情報と、共用情報であるアドレス帳から抽出した名前とメールアドレスのリストとを併合することで、例えば以下に例示するような画面情報を生成する。なお、アドレス帳の先頭のアドレス情報は、携帯端末200を持っているユーザ自身のアドレス情報であり、応答される画像情報の共用情報部分の先頭には、アドレス帳の先頭にあるユーザ自身のアドレス情報が組み込まれるものとする。
{“Plex”:” Tumble”, “ImageMode”: “Photo”, “FileFormat”: “TIFF”, “Subjects”:[“報告書”, “見積書”, “請求書”], “SenderName”: “富士太郎”, “SenderAddress”: “FujiTaro@example.jp”,
“Addresses”:[{“Name”:“富士花子”, “Address”:“hanako@example.jp”},
{“Name”:“鈴木二郎”, “Address”:“Jiro@example.jp”},
{“Name”:“佐藤三郎”, “Address”:“Saburo@example.jp”},
{“Name”:“田中四郎”, “Address”:“Shiro@example.jp”}]}
【0076】
そして短距離無線通信部202は、生成した画面情報を機器100に応答する。
【0077】
次に短距離無線通信部202は、機器100(短距離無線通信部102)に対して、当該携帯端末200に対する画面情報更新要求(
図4参照)の通知の有効化を指示する(S42)。これにより、短距離無線通信部102は、画面情報更新要求を発する条件が満たされると、その要求をその携帯端末200(短距離無線通信部202)に送信することとなる。
【0078】
S40で携帯端末200側から画面情報を取得した機器100の短距離無線通信部102は、GATTプロファイル(
図4参照)にその画面情報を反映する。例えば、携帯端末200から受け取った画面情報が、ユーザがS22で選択したジョブ種別に対応する画面情報2066(及び、もしあれば、そのジョブ種別の設定に利用される共用情報)のみであれば、そのジョブ種別に対応する画面情報(及びもしあれば共用情報)がGATTプロファイルの「画面情報」の項目に書き込まれる。UI管理部104は、携帯端末200から取得されたその画面情報を用いてUI画面の表示情報を生成し、その表示情報に従いそのUI画面をタッチパネル106に表示する(S44)。言い換えれば、UI管理部104は、その画面情報に含まれるデフォルト値、選択リスト、選択範囲の情報を、UI管理部104が管理しているUI管理情報内の対応する項目の値に設定する。UI管理部104は、UI画面を表示する際、UI管理情報のうちその画面に対応する各項目の値を、その画面内のその項目に対応する入力欄に反映させる。
【0079】
例えば、S22でジョブ種別「スキャナ(メール送信)」が選択されていた場合、UI管理部104は、携帯端末200側から受け取った画面情報のうちの「スキャナ(メール送信)」についての画面情報(上に例示した専用情報と共用情報であるアドレス帳とを併合したもの)に従い、
図7に示すスキャナ(メール送信)用のUI画面1070をタッチパネル106に表示する。このUI画面1070は、宛先リスト1072、送信者入力欄1074、件名入力欄1076、原稿送り設定ボタン1077、画像モード設定ボタン1078、出力ファイル形式設定ボタン1079等が含まれている。UI管理部104は、受け取った画面情報に含まれる共用情報(アドレス帳部分)に含まれる各宛先の名称(あるいはアドレス情報)を宛先リスト1072に一覧表示し、この宛先リスト1072の中から今回スキャンするデータの送信先の選択を受け付ける。またUI管理部104は、送信者入力欄1074に、その画面情報中の送信者名(“SenderName”)の値を設定する。またこれに伴い、その画面情報中の送信者アドレス(“SenderAddress”)の値をこれから生成する電子メールの送信者アドレスの設定として保持する。またUI管理部104は、件名入力欄1076に、その画面情報に含まれる件名の選択リスト「“Subjects”:[“報告書”, “見積書”, “請求書”]」が含む3つの選択肢を示すプルダウンメニューを表示する。ユーザは、件名入力欄1076に表示されるプルダウンメニューから、今回スキャンする文書を添付するメールの件名を選択する。
原稿送り設定ボタン1077は、スキャンの際の原稿送りの方式を設定するためのGUIボタンである。原稿送り設定ボタン1077には、現在設定されている原稿送り方式の名前が表示されている。図示例の原稿送り設定ボタン1077は、携帯端末200から受信した画面情報に含まれていた原稿送り情報「“Plex”:” Tumble”」(原稿送り:両面・上下めくり)に応じて「両面・上下めくり」が設定されていることを表す。もし、原稿送り方式を変更したい場合は、原稿送り設定ボタン1077を押下して原稿送り設定画面(図示省略)を開き、その画面で、変更先の原稿送り方式を選択すればよい。画像モード設定ボタン1078は、スキャンの際の画像モードを設定するためのGUIボタンであり、現在設定されている画像モードの名前を表示している。図示例の画像モード設定ボタン1078は、現在の画像モードが、携帯端末200からの画面情報に含まれていた画像モード情報「“ImageMode”: “Photo”」(画像モード:写真)に応じた「写真」モードであることを表している。画像モードを変更したい場合は、このボタンを押下して画像モード設定画面(図示省略)を呼び出し、その設定画面上で変更を行えばよい。出力ファイル形式設定ボタン1079は、スキャン結果として出力する画像データのファイル形式を設定するためのGUIボタンであり、現在設定されている出力ファイル形式を表示している。図示例は、現在の出力ファイル形式が、携帯端末200からの画面情報に含まれていた出力ファイル形式情報「“FileFormat”: “TIFF”」(ファイルフォーマット:TIFF)に応じた「TIFF」であることを表している。出力ファイル形式を変更したい場合は、このボタンを押下して出力ファイル形式設定画面(図示省略)を呼び出し、その設定画面上で変更を行えばよい。
【0080】
ユーザは、タッチパネル106上の、当該ユーザ自身がカスタマイズした情報(デフォルト値、選択リスト等)を反映したUI画面を見ながら、必要に応じて選択肢の選択(例えば宛先リスト1072や件名入力欄1076)や設定値(原稿送り設定ボタン1077等)の変更を行う。例えば、ユーザは、出力ファイル形式設定ボタン1079を押下して出力ファイル形式設定画面を開き、出力ファイル形式をTIFFからPDFに変更したとする。この設定変更が完了すると、タッチパネル106には、
図8に示すスキャナ(メール送信)用のUI画面1070が表示される。この画面内の出力ファイル形式ボタン1079Aは、出力ファイル形式がPDFに設定されていることを表している。この設定変更を行った後、ユーザが、原稿を原稿フィーダーにセットし、スタートボタン(図示省略)を押下したとする(S46)。
【0081】
機器100は、スタートボタンが押下されると、その時点でUI管理部104が管理しているUI管理情報が含む各項目の値に従って、機器100内の処理機構(例えばスキャナ部)を制御することで、ユーザが指示した処理を実行する。上述のスキャナ(メール送信)の例では、機器100は、原稿フィーダーに置かれた原稿を両面読み取りし、この読み取りで得た画像を写真モードで画像処理し、得られた画像をPDF形式のファイルに変換する。そして、このファイルを、宛先リスト1072から選ばれた宛先が設定された電子メール(送信元及び件名も、携帯端末200からの画面情報に従って設定済み)に添付し、送信する。
【0082】
S46で、携帯端末200から機器100に送られた画面情報に含まれるデフォルト値を変更した項目がない場合は、このジョブの実行が終了すると一連の処理が完了する。
【0083】
一方、携帯端末200からの画面情報に指定されたデフォルト値をユーザがタッチパネル106上で変更した項目があった場合、UI管理部104は、ジョブの実行を開始した後(あるいは実行が完了した後)に、更新要否ダイアログをタッチパネル106に表示する(S48)。例えばユーザが、出力ファイル形式を当該ユーザのデフォルト値であるTIFFからPDFに変更し、スキャン開始を指示した場合、UI管理部104は、
図9に示すように、スキャナ(メール送信)用のUI画面1070上に、更新要否ダイアログ1090をポップアップ表示する。この更新要否ダイアログ1090には、変更後の設定値をデフォルト値として携帯端末200に保存するかどうかを問い合わせるメッセージ(「設定変更を保存しますか?」)と、その問合せに対する回答の選択肢(「はい」及び「いいえ」)を選ぶためのGUIボタンが含まれている。
【0084】
ユーザが更新要否ダイアログ1090で設定変更を保存しない旨(「いいえ」)を選択した場合、機器100はなにも行わずに、当該携帯端末200との間での一連の処理を終了する。
【0085】
一方、ユーザが更新要否ダイアログ1090で設定変更を保存する旨(「はい」)を選択した場合(S50)、UI管理部104は、短距離無線通信部102に対して、GATTプロファイル(
図4参照)中の画面情報の更新及び画面情報更新要求の発信を指示する。これに応じて、短距離無線通信部102は、GATTプロファイル内の画面情報に、UI管理部104がその時点で保持しているUI管理情報を反映させる(例えば、UI管理情報を画面情報に上書きする)。ここでGATTプロファイルに反映させるのは、UI管理部104が持つUI管理情報のうち、S46で設定変更された項目のみとする。例えば、スキャナ(メール送信)という種別のジョブについての設定を変更した場合、印刷やファックス送信などと言った他のジョブ種別についてのUI管理情報内の項目は、GATTプロファイルには反映させない。また、GATTプロファイル内の画面情報には、デフォルト値が設定されている項目の他に、選択リストや選択範囲等のようにユーザが選択可能な範囲の情報を持つ項目があるが、このような選択可能な範囲の情報を持つ項目については、UI管理情報における対応項目の値(これは選択リスト等からの選択結果である)を反映させないようにしてもよい。そして、短距離無線通信部102は、画面情報更新要求の通知が有効化(S42)済みである通信相手(携帯端末200)に対して、画面情報更新要求を送る(S52)。
【0086】
画面情報更新要求を受け取った携帯端末200の短距離無線通信部202は、機器100が保持するGATTプロファイル(
図4参照)から画面情報から読み込む(S54)。そして、読み込んだ画面情報により、記憶装置206内の画面情報2066群を更新する(S56)。
【0087】
ここで、短距離無線通信部202は、機器100のGATTプロファイル内の画面情報のうち、共用情報(上の例ではアドレス帳の情報)は読み込まないようにしてもよい。携帯端末200内の共用情報は、機器利用アプリ204以外のアプリ等でも利用され、機器利用アプリ204を書き換えると他のアプリに影響するので書き換えることができない。このように携帯端末200内の共用情報を書き換えることはないので、仮に機器100側で共用情報に変更が加えられたとしても、携帯端末200の短距離無線通信部202はそれを読み込まない。あるいは、そもそも共用情報をGATTプロファイル内の画像情報に含めず、S40及びS50のいずれの時点でも共用情報をGATTプロファイルに書き込まないようにしてもよい。
【0088】
以上に説明した処理手順では、ユーザが機器100のメインメニュー画面1060上で実行するジョブを選択(S22)したことをトリガとして、機器100は端末情報取得要求を発し(S24)、近傍の各携帯端末200から端末名等の情報を取得した(S26)。ユーザがジョブを選択した場合、通常そのジョブが実行されることになるので、その段階で近傍の携帯端末200群から収集した情報には、機器100を操作しているユーザの携帯端末200の情報が含まれている可能性が高く、収集した情報が無駄になりにくい。端末情報取得要求を発信するトリガは、ジョブの選択操作に限らず、ユーザがこれから機器100でジョブを実行しようとしていることを示唆する別の操作であっても構わない。このような操作の例としては、機器100が有する節電モード解除ボタンの押下、原稿フィーダーへの原稿の載置、メインメニュー画面のいずれかのボタンへのタッチ等、機器100のUIに対してユーザがローカルで行う様々な操作がある。
【0089】
別の方法として、短距離無線通信部102が、端末情報取得要求を、機器100に対するユーザのローカルでの操作とは無関係に、例えば定期的に発信して情報収集を行ってもよい。ただしこの場合、機器100が近傍の携帯端末200群から収集した情報が無駄になる可能性は高い。
【0090】
さて、上述の実施の形態の仕組みは、携帯端末200の専用記憶領域2060内の画面情報の記憶領域2064が空(すなわち画面情報が完全に未設定)の場合でも機能する。この場合、
図3の手順のS40で携帯端末200から機器100に提供される画面情報は、専用記憶領域2060内の画面情報2066を1つも含まない(あるいは画面情報2066が空であることを示す情報を含む)が、アドレス帳2074等の共用情報は含み得る。機器100のUI管理部104は、携帯端末200から取得した画面情報に専用情報部分(専用記憶領域2060内の画面情報2066)が含まれていない場合、S44で、専用情報に該当する項目については当該機器100に設定されたデフォルト値が設定されたUI画面を生成し、表示する。ユーザは、表示されたUI画面を用いてジョブの設定を行い、設定内容が決定したら、ジョブの開始を指示する。この場合、元の画面情報(専用情報部分)は空なので、この設定操作により設定変更がなされたことになる。したがって、UI管理部104はS48で更新要否ダイアログ1090(
図9参照)を表示する。ユーザは、いま機器100のUI画面で設定した内容を自分のデフォルトの画面情報として携帯端末200に設定したい場合、その更新要否ダイアログ1090に対して、設定変更を行うことを示す操作(「はい」を押下)を行う。これにより、UI管理部104が受け付けた設定内容がGATTプロファイルの画面情報に書き込まれる。携帯端末200は、このGATTプロファイルの画面情報を読み込み、専用記憶領域2060内にその画面情報を格納する。
【0091】
以上、本発明の実施形態を説明した。以上に例示した機器100及び携帯端末200の情報処理機構は、コンピュータにそれら各装置についての上述の機能を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)や等の固定記憶装置を制御するコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバス等を介して接続された回路構成を有する。それら各機能の処理内容が記述されたプログラムがネットワーク等の経由でフラッシュメモリ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。