(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収容容器の前記容器本体の内周面には、周方向と交差する長手方向に延びる少なくとも1つの第1誘導リブが設けられ、当該第1誘導リブは前記開口の手前まで伸びている、請求項1〜6の何れか一項に記載の検査ユニット。
前記嵌合部の内周面には、周方向と交差する長手方向に延びる少なくとも1つの第2誘導リブが設けられ、前記第2誘導リブは、前記採取部材と前記収容容器とが嵌合された際に前記第1誘導リブと接触可能である、請求項7に記載の検査ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の自己採血キットでは、一度採取した血液等の検査対象流体を採取部材から収容容器に移し替える際、採取部材を収容容器に装着した後に、これらをひっくり返す作業を行ったり、または採取部材の先端側に収容容器の口を配置して、検査対象流体がこぼれないように配慮しながら移し替えたり、といった作業をしなければならなかった。また、特許文献1に記載の自己採血キットでは、採血の際に血液が飛び散り、使用時に汚れを発生させる虞もあった。
【0005】
そこで、本発明では、血液等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材から収容容器に容易に移し替えることが可能な検査ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その一側面として、検査ユニットに関する。この検査ユニットは、検査対象流体を採取するための採取部材と、採取部材により採取された検査対象流体を収容する収容容器とを備え、採取部材は、先端から基端に向かって延びる中空の細管部と、当該細管部の基端側に設けられる中空の嵌合部とを有し、収容容器は、一端が開口する有底筒形状の容器本体と、容器本体の当該開口を開閉自在な蓋体とを有し、採取部材の嵌合部は、収容容器の一端に嵌合可能となるように構成され、収容容器内の空気を外部に逃がすための空隙が採取部材と収容容器との嵌合領域に設けられている。
【0007】
この検査ユニットでは、採取部材の嵌合部が収容容器の一端に嵌合可能となるように構成されており、しかも、収容容器内の空気を外部に逃がすための空隙が採取部材と収容容器との嵌合領域に設けられている。この場合、血液等の検査対象液体を毛細管現象等を利用して採取部材の細管部によって採取した後、所定の力を細管部又は検査対象流体に加えることで細管部内の検査対象流体を収容容器が位置する下方に移動させようとした際、収容容器内の空気が検査対象流体の移動に応じてそれらの中間にある嵌合領域の空隙から外部に向かってスムーズに逃げることができる。このため、この検査ユニットによれば、細管部で採取した検査対象流体を収容容器内に容易に移動させることができる。この結果、本検査ユニットによれば、血液等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材から収容容器に容易に移し替えることが可能となる。なお、この空隙については、収容容器内の空気の一部を外部に逃がすためのものであるため、過大な空隙である必要はないことから、このような空隙が設けられていても、検査対象流体への影響は軽微なものとすることが可能である。
【0008】
上記の検査ユニットにおいて、採取部材は、嵌合部が収容容器の開口の内周部に接合するように収容容器に取り付け可能であってもよい。この場合、採取部材と収容容器との嵌合領域に位置する空隙を設け易くなり、また、収容容器の外周側に嵌合部が配置されないので、蓋体を容器本体に連結するような連結部材を容器本体の外周に設けやすくなる。
【0009】
上記の検査ユニットにおいて、採取部材は、細管部と嵌合部との間にフランジ部を更に有し、当該フランジ部の嵌合部側の面に突起が設けられ、当該突起により空隙が画定されてもよい。また、嵌合部の外周には周方向と交差する方向に延びる溝が形成され、当該溝が空隙の少なくとも一部を構成するようにしてもよい。このように、空隙又はそれを画定する部材を採取部材(嵌合部)側に設けることにより、収容容器側、特に嵌合部と嵌合する部分の形状を単純又は平坦面状なものとすることができる。このため、例えば、自己採血等の検査を行う場合、検査液収容後の収容容器は、蓋体を開口に嵌めてしっかりと密封した上で検査機関に送る必要があるが、上述したように、収容容器の開口側をスムーズ(平坦面)な形状とすることができることにより、蓋体による収容容器の密封性を容易に高めることができる。
【0010】
上記の検査ユニットにおいて、細管部の内孔は、採取部材の先端から基端に向かってテーパ状に広がっていてもよい。上述した検査ユニットの採取部材は、いわゆる毛細管現象を利用して細管部の内孔に検査対象液体が入り込むことを想定して設計されうるが、基端(収容容器)側の内径が先端側よりも広がるように形成しておくことにより、細管部や検査対象流体に対して所定の力を加えた際に、細管部内の検査対象流体が重力等により下方の収容容器へ移動しやすくなる。より具体的には、細管部の基端側の内孔の内径を大きくしておくことにより、その領域における毛細管現象を弱め、一旦、採取された検査対象流体を収容容器側に移動しやすくしておくことが可能となる。このように、上記構成によれば、血液等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材から収容容器に更に容易に移し替えることが可能となる。なお、この場合において、細管部の内孔は、その基端側の最小内径がその先端側の最小内径の2倍以上であることが、移し替えの容易性の観点では好ましい。
【0011】
上記の検査ユニットにおいて、収容容器の容器本体の内周面には、周方向と交差する長手方向に延びる少なくとも1つの第1誘導リブが設けられ、当該第1誘導リブは開口の手前まで伸びていてもよい。この場合、採取部材に採取保持されている検査対象流体の一部、例えばその下端が、収容容器内に第1誘導リブに触れると、表面張力等の吸引により、第1誘導リブに沿って収容容器の中へと誘導されやくなる。このため、このような誘導リブを設けておくことにより、血液等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材から収容容器に更に容易に移し替えることが可能となる。この場合において、収容容器側に位置する嵌合部の内周面に、周方向と交差する長手方向に延びる少なくとも1つの第2誘導リブが設けられ、第2誘導リブが、採取部材と収容容器とが嵌合された際に第1誘導リブと接触可能であることが好ましい。この場合、採取部材内の検査対象流体がまずは第1誘導リブにより収容容器側に誘導され、その後、第2誘導リブにより収容容器内へと誘導されることになるため、採取部材から収容容器に更に一層、容易に移し替えることが可能となる。なお、この場合、第1誘導リブ及び第2誘導リブは、互いに異なる数がそれぞれ設けられていることが好ましい。このような構成により、第1誘導リブと第2誘導リブとが接触又は近接する場合と接触又は近接しない場合とを切り替えることが容易に行えるため、採取部材から収容容器への移し替えのタイミングをリブの位置合わせにより調整することが可能となる。
【0012】
なお、上記の検査ユニットは、血液検査に限られず、尿やその他の検査対象流体に用いることが可能であるが、血液検査に用いられる場合にあっては、収容容器には、血液検査のための血漿分離剤が収容されていることが好ましい。この場合、検査前に予め血液から血漿のみを分離することで、検査の迅速性及び精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、血液等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材から収容容器に容易に移し替えることが可能な検査ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る検査ユニットについて詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る検査ユニットを示す斜視図である。
図2は、
図1に示す検査ユニットの断面図である。
図1及び
図2に示すように、検査ユニット10は、血液などの検査対象流体を採取するための採取部材20と、採取部材20により採取された検査対象流体を収容する収容容器30と、を備えて構成されている。検査ユニット10は、例えば、検査希望者が自身の指などに採血針を指して出てきた血液などの検査対象流体を採取部材20により採取し、採取した血液を収容容器30に収容して検査機関に送り、検査してもらうための自己検査ユニットである(
図5参照)。なお、
図1及び
図2では、採取部材20が収容容器30に嵌め込まれた使用状態が示されているが、これら検査ユニットを郵送などにより使用者に送る際には、採取部材20と収容容器30とは嵌め込まれずに別々に1つの箱に収納されている。また、採血針などを検査ユニット10に含めるようにしてもよい。
【0017】
図3は、
図1に示す検査ユニットを構成する採取部材を下方から示す斜視図である。採取部材20は、
図1〜
図3に示すように、その全体がノズル形状を呈しており、細管部21と、嵌合部22と、フランジ部23とを主に備えている。このような採取部材20は、透明なポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、又はポリエチレン(PE)等の樹脂を射出成型することにより、一体的に形成することができる。
【0018】
細管部21は、内孔21aを有する中空の略円錐筒形状であり、先端21bから基端21cに向かって延びるように形成された細管である。細管部21は、その外形がテーパ形状となっているが、ストレート形状であってもよい。細管部21の内孔21aは、検査対象流体を毛細管現象によって採取できるように、その内径が例えば0.5mm〜5mmとされており、先端21bの内径は例えば0.5mm〜2mmの範囲となっている。また、細管部21の内孔21aは、先端21bから基端21cに向かってテーパ状に広がるように形成されており、内孔21aの基端21c側の内径が先端21b側の内径よりも大きくなっている。より好ましくは、内孔21aの基端21c側の内径が先端21b側の内径の2倍以上であり、例えば、内孔21aの先端21b側の内径が1mmである場合、内孔21aの基端21c側の内径は2mm又は3mm以上である。なお、細管部21によって一度に採取される血液等は、例えば100μL〜150μL程度である。
【0019】
嵌合部22は、細管部21の基端21c側に設けられた中空の略円筒形状の部材であり、収容容器30の開口部33に嵌合され、採取部材20を収容容器30に取り付けるための部分である。嵌合部22は、細管部21の内孔21aよりも径が大きい内孔22aを有している。この内孔22aは、細管部21の内孔21aと流体的に連通するように連続して構成されている。つまり、細管部21の内孔21aで採取された検査対象流体が内孔22aを介して収容容器30へと移動可能となっている。嵌合部22の外周面上には、複数のリブ25(本実施形態では3つのリブ、
図3参照)が均等間隔(均等角度)で設けられており、これらのリブ25の頂部が収容容器30の開口部33の内周に接合することで、嵌合部22が収容容器30に嵌め合わされる。なお、このようなリブが周方向に設けられていることから、嵌合部22の外周面(リブ25の形成領域除く)と収容容器30の内周面との間に空隙26が画定され、この空隙26を介して、収容容器30内の空気が外部に逃げることができるようになっている。
【0020】
フランジ部23は、細管部21と嵌合部22との間に設けられた円板上の部材であり、細管部21及び嵌合部22の外周よりも大きな径の外周を有している。フランジ部23の外周は、例えば、収容容器30の外周と略同じであり、嵌合部22が収容容器30の開口部33に嵌合された際、収容容器30の図示上端上にその外周部分が引っかかるように配置される。フランジ部23の下面23aには、複数の突起24(本実施形態では3つの突起)が周方向に均等間隔に設けられており、フランジ部23は、これらの突起24を介して、収容容器30の上端に配置される。なお、このような突起24がフランジ部23の下面23aに設けられていることから、フランジ部23の下面23a(突起24の形成領域除く)と収容容器30の上端との間に空隙26が画定され、この空隙26を介して、収容容器30内の空気が外部に逃げることができるようになっている。
【0021】
図4は、
図1に示す検査ユニットを構成する収容容器を示す斜視図であり、(a)は蓋体を開放した際の状態を示し、(b)は蓋体を閉じた際の状態を示す。収容容器30は、
図1、
図2及び
図4に示すように、容器本体31と蓋体32とを備えて構成されている。収容容器30の容器本体31や蓋体32は、透明なポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、又はポリエチレン(PE)等の樹脂を射出成型することにより、それぞれ形成することができる。収容容器30では、蓋体32の紛失等を防止するため、容器本体31や蓋体32を連結部材34で互いに連結するようにしてもよく、この連結部材34が蓋体32と一体成型されていてもよい。
【0022】
容器本体31は、一端が開口する有底筒形状の容器であり、例えば円筒形状の容器から構成される。容器本体31の開口部33は、その内周面が平坦になっており、蓋体32が閉じた際に、当該蓋体32により容易に密封できるように構成されている。つまり、蓋体32は、この開口部33を開閉自在とすることができるように構成されている。なお、容器本体31は、検査対象液体(例えば血液)が収容できる大きさであれば特にその大きさに限定はない。
【0023】
続いて、このような構成を有する採取部材20と収容容器30とから構成される検査ユニットによる採血作業について、
図5を参照して説明する。
図5は、
図1に示す検査ユニットの使用例を示す図であり、(a)は、血液の採取時の方法を示し、(b)は採取した血液を収容容器に移し替える際の方法を示す。
【0024】
図5(a)に示すように、検査対象である血液を採取するには、まず検査対象者の指等に採血針(不図示)を指して、血液が出た状態にし、検査ユニット10の採取部材20の先端をその血液Bに接するように検査ユニット10を配置する。このような配置により、毛細管現象で血液Bが採取部材20の細管部21の内孔21a内を基端21c側に進むように採取される。検査ユニット10では、毛細管現象を利用して血液Bを採取しているため、スポイトのようにその一端に設けられた袋を用いて中を負圧にする必要はない。
【0025】
続いて、採取部材20の細管部21内に検査対象である血液Bが採取されると、検査ユニット10をその収容容器30が下にくるように机等の上に配置する。そして、
図5(b)に示すように、採取部材20の上方に小型のゴム袋等からなる送出し部材であるエアーキャップSを被せ、エアーキャップSを指で押圧することで、細管部21内の血液Bを下方に押し出し、収容容器30へと血液Bを移動させる。この際、収容容器30内の空気が採取部材20と収容容器30との間に位置する空隙26から外部に逃げ出すため、採取部材20から収容容器30への血液の移動がスムーズに行われる。また、空隙26は、嵌合部22の外側上方に設けられているため、嵌合部22の内孔22a内を流れる血液によって塞がれることもない。このような空隙26の配置構成により、血液等の移動作業が損なわれないようにすることが可能となる。なお、収容容器30には、血液検査のため、アクリル樹脂ゲルやポリエステルゲルといった血漿分離剤Lが収容されていてもよい(
図4及び
図5参照)。この場合、検査前に予め血液から血漿のみを分離することで、検査の迅速性及び精度を向上させることができる。
【0026】
以上、上述した検査ユニット10によれば、採取部材20の嵌合部22が収容容器30の一端の開口部33に嵌合可能となるように構成されており、しかも、収容容器30内の空気を外部に逃がすための空隙26が採取部材20と収容容器30との嵌合領域に設けられている。このため、血液等の検査対象液体を毛細管現象等を利用して採取部材20の細管部21によって採取した後、所定の力を細管部21又は検査対象流体に加えることで細管部21内の検査対象流体を収容容器30が位置する下方に移動させようとした際、収容容器30内の空気が検査対象流体の移動に応じてそれらの中間に位置する嵌合領域の空隙26から外部に向かってスムーズに逃げることができる。その結果、検査ユニット10によれば、細管部21で採取した検査対象流体の血液B等を収容容器30内に容易に移動させることができ、血液B等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材20から収容容器30に容易に移し替えることが可能となる。なお、この空隙26については、図からも明らかであるが、収容容器30内の空気の一部(微量な空気)を外部に逃がすためのものであるため、過大な空隙である必要はないことから、このような空隙26が設けられていても、検査対象流体への影響は軽微なものとすることが可能である。
【0027】
また、検査ユニット10では、採取部材20は、嵌合部22が収容容器30の開口部33の内周部に接合するように収容容器30に取り付けられている。このため、採取部材20と収容容器30との嵌合領域に位置する空隙26を設け易くなり、また、収容容器30の外周側に嵌合部が配置されないので、蓋体32を容器本体31に連結するような連結部材34を容器本体31の外周に設けやすくなる。
【0028】
また、検査ユニット10では、採取部材20は、細管部21と嵌合部22との間にフランジ部23を更に有し、当該フランジ部23の嵌合部22側の下面23aに複数の突起24が設けられ、当該突起24により空隙26が画定されている。このように、空隙26を画定する部材(突起24やリブ25等)を採取部材20(嵌合部22)側に設けることにより、収容容器30側、特に嵌合部22と嵌合する部分(開口部33)の内周形状を単純又は平坦面状なものとすることができる。このため、例えば、自己採血等の検査を行う場合、検査液収容後の収容容器30は、蓋体32を開口部33に嵌めてしっかりと密封した上で検査機関に送る必要があるが(
図4(b)参照)、上述したように、収容容器30の開口部33側をスムーズ(平坦面)な形状とできることにより、蓋体32による収容容器30の密封性を容易に高めることができる。
【0029】
また、検査ユニット10では、細管部21の内孔21aは、採取部材20の先端21bから基端21cに向かってテーパ状に広がっている。上述した検査ユニット10の採取部材20は、いわゆる毛細管現象を利用して細管部21の内孔21aに検査対象液体が入り込むことを想定して設計されうるが、基端21c(収容容器)側の内径が先端21b側よりも広がるように形成しておくことにより、細管部21や検査対象流体に対して所定の力を加えた際に、細管部21内の検査対象流体が重力等により下方の収容容器30へ移動しやすくなる。より具体的には、細管部21の基端21c側の内孔の内径を大きくしておくことにより、その領域における毛細管現象による力を弱め、採取された検査対象流体を収容容器30側に移動しやすくしておくことが可能となる。このように、上記構成によれば、血液等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材20から収容容器30に更に容易に移し替えることが可能となる。なお、この場合において、細管部21の内孔21aは、その基端21c側の内径がその先端21b側の内径の2倍以上であることが、移し替えの容易性の観点では好ましい。
【0030】
[第2実施形態]
次に、
図6〜
図8を参照して、本発明に係る検査ユニットの第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る検査ユニットを示す斜視図である。
図7は、
図6に示す検査ユニットを構成する採取部材を示し、(a)は側面図を示し、(b)は下面図を示し、(c)は下方からの斜視図を示す。
図8は、
図6に示す検査ユニットを構成する収容容器を示し、(a)は上面図を示し、(b)は断面図を示す。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る検査ユニット10と相違する点について主に説明し、同じ点については、説明を省略する場合がある。
【0031】
図6〜
図8に示すように、検査ユニット40は、血液などの検査対象流体を採取するための採取部材50と、採取部材50により採取された検査対象流体を収容する収容容器60とを備えて構成されている。検査ユニット40は、第1実施形態と同様に、例えば検査希望者が自身の指などに採血針を指して出てきた血液などの検査対象流体を採取し、採取した検査対象流体を検査機関に送り、検査してもらうための自己検査ユニットである。
【0032】
採取部材50は、細管部51と、嵌合部52と、フランジ部53と、補強リブ58とを主に備えている。細管部51は、第1実施形態の細管部21と略同様の形状である。また、フランジ部53は、第1実施形態のフランジ部23と略同様の形状であるが、その下面に突起を備えない点で相違している。
【0033】
嵌合部52は、細管部51の基端21c側に設けられた中空の略円筒形状の部材であり、第1実施形態の嵌合部22と略同様の形状を有しており、収容容器60の開口部63に嵌合され、採取部材50を収容容器60に取り付ける。嵌合部52は、第1実施形態の嵌合部22と異なり、その外周面に断面L字状の溝56が設けられている。この溝56により、収容容器60内の空気が外部に逃げることができるようになっている。また、嵌合部52には、その内周側に複数の誘導リブ57(第2誘導リブ)が設けられている。誘導リブ57は、周方向と直行(交差)する長手方向に延びるように嵌合部52の内孔52aにその略全長に渡って形成されており、誘導リブ57により、細管部51の内孔51a内に採取された血液等が嵌合部52の内孔52a内に移動するように誘導される。
【0034】
収容容器60は、
図6及び
図8に示すように、容器本体61と蓋体62とを備えて構成されている。蓋体62は、連結部材64により容器本体61に取り付けられている。蓋体62は第1実施形態と同様の構成である。
【0035】
容器本体61は、一端が開口する有底筒形状の容器であり、例えば円筒形状の容器から構成される。容器本体61の開口部63は、その内周面が平坦になっており、蓋体62が閉じた際に、当該蓋体62により容易に密封できるように構成されている。また、容器本体61の内周面には、その周方向に直行(交差)する方向に延びる2つの誘導リブ65(第1誘導リブ)が設けられている。誘導リブ65は、嵌合部52の内孔52aまで誘導された血液を更に収容容器60へ誘導して移動させるための部材である。誘導リブ65は、採取部材50が収容容器60に嵌め合わされた際に嵌合部52が開口部63に嵌合する領域の手前まで延びるように形成されており、両者の嵌合を阻害しないように構成されている。一方、誘導リブ65は、採取部材50が収容容器60に嵌め合わされた際には、嵌合部52の誘導リブ57に接触可能である又は検査対象流体を誘導できる程度に近接して配置されていてもよい。
【0036】
このような構成の検査ユニットによれば、第1実施形態と同様に、検査ユニットによる採血作業を行うことができるが、特に
図9及び
図10に示すように、採取部材50から収容容器60への検査対象流体の移動を更に容易に行うことが可能である。より具体的には、本実施形態に係る検査ユニット40によれば、まず
図9(a)及び
図10(a)に示すように、採取部材50と収容容器60との嵌め合わせがやや不完全な状態(両者間に多少の隙間がある状態)で、血液等の採取を行う。そして、採取が終了した後、
図9(b)及び
図10(b)に示すように、採取部材50を収容容器60に向かって押し込み、両者を嵌合させる。その際、採取部材50の誘導リブ57と収容容器60の誘導リブ65とが接触するようにさせることで、両誘導リブ57,65による誘導により、採取部材50内の血液等が収容容器60内へと誘導される。なお、本実施形態では、嵌合部52の誘導リブ57と容器本体61の誘導リブ65とはその数が異なっているが、このように数が異なることにより、誘導リブ57と誘導リブ65とが接触していない状態も容易に作り出すことができ、接触しない位置関係で血液の採取を行い、その後、採取部材を回転させながら押し込むことで両誘導リブ57,65が接触するようにすることで、採取部材50から収容容器60への血液等の移動を開始させることができる。なお、第2実施形態の検査ユニット40では、上述したように誘導リブを用いて採取部材50から収容容器60への血液等の移動を行うようにしているが、第1実施形態のように、ゴム状のエアーキャップS(
図5(b)参照)を更に用いてもよい。
【0037】
以上、上述した検査ユニット40によれば、第1実施形態の検査ユニット10と同様に、細管部51で採取した検査対象流体の血液B等を収容容器60内に容易に移動させることができ、血液B等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材50から収容容器60に容易に移し替えることが可能となる。
【0038】
また、検査ユニット40では、嵌合部52の外周に周方向と直行する方向に延びる溝56が形成され、溝56が収容容器60内の空気を外に逃がす空隙の少なくとも一部を構成するようになっている。このように、空隙に相当する溝56を採取部材50(嵌合部52)側に設けることにより、収容容器60側、特に嵌合部52と嵌合する部分の形状を単純又は平坦面状なものとすることができる。このため、例えば、自己採血等の検査を行う場合、検査液収容後の収容容器60は、蓋体62を開口部63に嵌めてしっかりと密封した上で検査機関に送る必要があるが、上述したように、収容容器60の開口部63をスムーズ(平坦面)な形状とすることができることにより、蓋体62による収容容器60の密封性を容易に高めることができる。
【0039】
また、検査ユニット40では、収容容器60の容器本体61の内周面に、周方向と直行する長手方向に延びる誘導リブ65が設けられ、誘導リブ65は開口部63の手前まで伸びている。このため、採取部材50に採取保持されている検査対象流体の一部、例えばその下端が、収容容器60内の誘導リブ65に触れると、表面張力等の吸引により、誘導リブ65に沿って収容容器60の中へと誘導されやくなる。このため、誘導リブ65を設けておくことにより、血液等の検査対象流体の採取後に検査対象流体を採取部材50から収容容器60に更に容易に移し替えることが可能となる。この場合において、収容容器60側に位置する嵌合部52の内周面に、周方向と直行する長手方向に延びる誘導リブ57が更に設けられ、誘導リブ57が、採取部材50と収容容器60とが嵌合された際に誘導リブ65と接触可能となっている。このため、採取部材50内の検査対象流体がまずは誘導リブ57により収容容器60側に誘導され、その後、誘導リブ65により収容容器60内へと誘導されることになるため、採取部材50から収容容器60に更に一層、容易に移し替えることが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態では、誘導リブ57,65は、互いに異なる数がそれぞれ設けられている。このような構成により、誘導リブ57と誘導リブ65とが接触する場合と接触しない場合とを採取部材50の回転等により切り替えることが容易に行えるため、採取部材50から収容容器60への移し替えのタイミングをリブの位置合わせにより調整することが可能となる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形を適用できる。例えば、上記第2実施形態では、嵌合部52の外周面に1つの溝56を設け、これを空隙とするようにしたが、第1実施形態において空隙26を構成する突起24やリブ25を第2実施形態の嵌合部52に更に設けるようにして、空隙を広げるようにしてもよいし、また複数の溝56を設けるようにしてもよい。また、上述した実施形態では、空隙26や溝56に特に何らかの部材を設けていなかったが、これらの空隙等を介して外部から内部への汚染粒子等の浸入が気になる検査分野においては、当該部分に気体が通過可能なフィルタなどを設けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、採取部材20,50と収容容器30,60とは郵送時に別々に箱に収容されており、使用時に採取部材20,50を収容容器30,60に嵌合させて両者を一体化させて採取していたが、用途によっては、採取部材20,50と収容容器30,60とを予め嵌合して一体化させておき、それをそのまま郵送して使用するようにしてもよい。
【0042】
また、上記の実施形態では、検査ユニット10,40の採取部材20,50の先端21b等の内孔形状については特に限定していないが、
図11(a)及び(b)に示すように、採取部材71の先端71aが内側テーパ形状となっていてもよいし、採取部材81の先端81aが内側R形状となっていてもよい。
図11(a)に示す先端71aの内側テーパ形状の傾斜角は、採取部材71の外周面と平行な線に対してその傾斜角が例えば45°以下であってもよい。また、
図11(b)に示す先端81aの内側テーパ形状のR部は、そのRが1mm〜10mmの範囲であってもよい。このような先端形状とすることにより、検査ユニット(採取部材)による血液等の採取吸引をより行い易くすることが可能となる。