(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記給紙トレイ、および前記用紙長に加えて、さらに搬送する用紙の紙種、坪量、および用紙搬送速度の少なくとも一つの条件に基づいて、前記搬送位置調整の実行可否を判断する、請求項1に記載の画像形成装置。
前記制御部は、いずれかの前記給紙トレイから用紙を搬送させて、前記片寄りずれ量に基づいて、前記給紙トレイを使用する印刷ジョブのスキュー補正に適用する前記スキュー補正量を決定する測定モードを実行する、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
前記調整位置よりも上流側の前記搬送路に配置された前記搬送ローラー対の少なくとも一つには圧着解除機構が設けられており、前記搬送位置調整を行うときに、用紙を挟持しない解除状態に切り替え可能である、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の画像形成装置。
複数枚の用紙を載置する複数の給紙トレイと、用紙に画像を転写する転写位置よりも上流側で、搬送される用紙の搬送方向と直交する幅方向の搬送位置を検出する搬送位置検出部と、前記転写位置よりも上流の調整位置で、検出した前記搬送位置から算出した片寄りずれ量で、用紙の幅方向の搬送位置調整を行う用紙位置調整部と、を備えた画像形成装置の制御方法であって、
使用する前記給紙トレイ、および該給紙トレイから給紙する用紙の用紙長に基づいて、前記搬送位置調整の実行可否を判断し、
前記判断により、前記搬送位置調整の実行を決定した場合に、前記搬送位置調整を行う場合に、使用する前記給紙トレイ、該給紙トレイから給紙する用紙の用紙長、および前記片寄りずれ量、に基づいてスキュー補正量を決定し、
決定された前記スキュー補正量に基づいて転写前の画像形成位置を調整することでスキュー補正を実行する、制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。以下においては特段の説明がない場合は、用紙搬送方向を単に「搬送方向」といい、この搬送方向に直交する方向を「幅方向」という。またこの搬送方向、幅方向をそれぞれ「副走査方向」、「主走査方向」ともいう。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2は、画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0034】
(全体構成)
図1および
図2に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体101と大容量給紙装置102から構成される。
【0035】
画像形成装置10は、ハードウェア構成として制御部11、記憶部12、画像処理部13、画像形成部14、給紙部15、操作表示部16、用紙位置センサー17、レジスト揺動部18、圧着解除機構19、搬送部20を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続されている。
【0036】
(制御部11)
制御部11は、CPUであり、プログラムにしたがって装置各部の制御や各種の演算処理を行う。
【0037】
(記憶部12)
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等からなる。また、記憶部12は、後述するスキュー補正係数、各給紙トレイに収納されている用紙のサイズ(用紙幅、用紙長)、坪量(斤量)、用紙種類(コート紙、普通紙等)の情報を記憶している。また、記憶部12は、後述する「測定モード」、「画像片寄り処理」に関する実行有無の設定についても記憶している。
【0038】
(画像処理部13)
画像処理部13は、印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理した画像データを記憶するページメモリ、画像形成部の基本色毎(Y、M、C、K)の画像データが記憶されるバッファー、およびこれらのデータを処理する画像制御回路を備える。バッファーに記憶された画像データは、主走査方向の1ライン画像毎に主副走査の位置を調整した所定タイミングで、画像形成部14の書込部に送られる。また画像処理部13は、片寄り調整部131、スキュー補正部132の機能を有する。
【0039】
(片寄り調整部131(画像位置調整部))
片寄り調整部131は、片寄り量に応じた画素数だけ、画素を主走査方向にシフトさせた位置に書き込むように画像データを処理したり、1ライン分の画像データを書込部に送るタイミングを制御したりすることで、転写前の画像形成位置を調整する。
【0040】
(スキュー補正部132)
スキュー補正部132は、スキュー補正量に基づいて転写前の転写ベルト142に形成する画像形成位置を調整することでスキュー補正を実行する。具体的には、スキュー補正部132では、画像データに対して2次元の位置補正を行って、画素の配置をスキュー補正量分回転させ、これをバッファーに記憶する。バッファーでは、1ライン毎にライン画像を書込部に送る。
【0041】
また、スキュー補正処理の他の例としては、2次元の位置補正を省略し、画像データの副走査方向の位置に応じて、スキュー補正量に応じた画素数だけ主走査方向にシフトさせた位置に書き込むように画像データを処理してもよい。具体的には、例えば、用紙の先端で2mm分、後端で0mm分スキューしていたとする。この場合、用紙の先端位置で2mm分、中央位置で1mm分、後端位置で0mm分だけ画素を主走査方向にシフトさせた位置に書き込むように画像データを処理したり、1ライン分の画像データを書込部に送るタイミングを副走査方向の位置に応じて制御したりする。
【0042】
(画像形成部14)
画像形成部14は、例えば電子写真方式により画像を形成し、基本色のそれぞれに対応した書込部(図示せず)、現像ユニット141Y、141M、141C、141K(以下、これらを総称して「現像ユニット141」という)、中間転写ベルト142、転写部143、定着部144等を備える。
【0043】
各現像ユニット141は、内部に収納したトナーの色が異なる以外は同じ構成をしている。画像データに応じた書込部の露光により現像ユニット141の感光体ドラムには潜像が形成され、これを現像器により現像することで各色のトナー画像が形成される。このトナー画像は、中間転写ベルト142上に順次重ねられて、フルカラーのトナー画像が形成される。フルカラーのトナー画像は転写部143の「転写位置」で用紙に転写され、用紙上にトナー画像が形成される。このトナー画像は、定着部144で加熱処理されて用紙表面に定着される。なお、温度が低い場合には、定着部144での加熱処理が不十分になる場合があり、この場合は、用紙Sの搬送速度を低速に切り替える。具体的には、
画像形成装置10の機内温度センサーの検出値が所定温度以下の場合には、温度に応じて、用紙Sの搬送速度(プロセス速度)を切り替える。
【0044】
(給紙部15)
給紙部15は、複数の給紙トレイ150a、150b、150c、150dを備える。給紙トレイ150a、150b、150c、150dそれぞれには、複数枚の用紙を載置する載置台151、および載置した複数の用紙のうち最上位の用紙を送り出す送出しローラー152を備える。給紙トレイ150a、150b、150cの載置台151は、最上位の用紙が所定の高さになるように、用紙の量(高さ)に応じて昇降する。なお、以降においては給紙トレイ150cをLCTトレイ150c、給紙トレイ150dを手差しトレイ150dともいう。また、これらの給紙トレイを総称する場合には、単に「給紙トレイ150」という。
【0045】
(操作表示部16)
操作表示部16はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、警告表示等の各種情報の表示および各種の設定、指示の入力に使用される。
【0046】
(用紙位置センサー17(搬送位置検出部))
搬送する用紙Sの幅方向の端部位置(以下、「搬送位置」ともいう)を検出する。制御部11は、検出した端部位置、および予め取得した用紙幅から、幅方向の用紙中心位置と搬送基準位置とのずれ量(以下、「片寄りずれ量」という)を算出する。用紙位置センサー17は、いわゆるラインセンサーであり、CIS(Contact Image Sensor)等で構成された光電変換素子がライン状に1列または複数列に並んだ画像センサーであり1次元の画像を読み取る。用紙位置センサー17は、この光電変換素子の列に沿って配置された発光素子およびレンズアレイ等の光学エレメントを有する。この用紙位置センサー17は、転写位置よりも搬送方向上流側において、搬送路200を通過する用紙表面に対向するように、光電変換素子の列が、用紙Sの搬送方向に交差する方向、好ましくは幅方向に沿って配置されている。
【0047】
なお、
図1等では、搬送方向において、用紙位置センサー17の検出領域よりもレジストローラー対21aの方が上流側になるように配置しているが、これに限られない。転写位置よりも上流側であれば、用紙位置センサー17、レジストローラー対21aはどのような位置関係に配置してもよい。
【0048】
(搬送部20)
レジスト揺動部18、圧着解除機構19を説明する前に、搬送部20について説明する。
図3は、
図1の部分拡大図である。
図3に示すように搬送部20は、給紙部15から給紙された用紙を画像形成装置10内で用紙の搬送を行う。搬送部20は、搬送路200〜203およびこれらの搬送路200〜203に沿って設けられた複数の搬送ローラー対21a〜21i、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を備える。以下、これらの搬送ローラー対を総称する場合には、単に「搬送ローラー対21」という。給紙トレイ150から給紙された用紙Sは、搬送路200に沿って各搬送ローラー対21により搬送される。これらの搬送ローラー対21のうち、搬送ローラー対21a、21bはそれぞれレジストローラー対、ループローラー対として機能する。以下においてはそれぞれをレジストローラー対21a、ループローラー対21bともいう。用紙Sに画像を形成する場合には、一時的に停止しているレジストローラー対21aのニップ部に、搬送された用紙Sの先端が突き当てられる。この状態で、上流側のループローラー対21bを継続して回転することでレジストローラー対21aとループローラー対21bの間で、用紙Sのループを形成する。このループを形成することで、用紙Sの先端が、レジストローラー対133の軸方向と平行になる(曲がり補正)。その後、画像形成タイミングに同期させて、レジストローラー対21a、ループローラー対21b等を回転開始させることで用紙は再搬送されて、画像形成部14に搬送されて画像が形成される。その後、この用紙Sは、排紙トレイ22に排出される。
【0049】
(用紙反転部)
また、用紙Sの両面に画像を形成する場合には、画像形成部14で一方の面(おもて面)に画像を形成された用紙は、両面用の搬送路201〜203に搬送される。搬送路202、および搬送ローラー対21iは、「用紙反転部」として機能する。反転用の搬送路202に搬送された用紙Sは、搬送ローラー対21iが正逆回転することで、スイッチバックして表裏反転されてから下流側の搬送路203、200を経由して再び画像形成部14に搬送され、他方の面(裏面)に画像が形成される。
【0050】
(レジスト揺動部18(用紙位置調整部))
レジスト揺動部18は、レジストローラー対21aを軸方向(幅方向)に揺動する。レジスト揺動部18は、例えば駆動モーターおよびこれにより回転し、レジストローラー対21aに軸方向から当接するカムを備える。以下においては、搬送方向における、レジストローラー対21aのニップ位置を「調整位置」ともいう。
【0051】
揺動時の揺動量(移動長さのこと、「調整量」ともいう)は、制御部11により制御され、片寄りずれ量が揺動量として設定される。用紙Sを搬送させながらレジストローラー対21aを揺動させることで、用紙Sの幅方向の搬送位置調整を行う。
【0052】
レジスト揺動のタイミングは、用紙Sの先端側が用紙位置センサー17の検知領域を通過し、片寄りずれ量が算出されてから開始し、好ましくは用紙Sの先端が転写位置に到達する前に片寄りずれ量に応じた目標の揺動目標位置に到達する。元のホームポジションにまで戻り、元の圧着状態に戻るのは、少なくとも次の用紙の先端がレジストローラー対21aに到達する前である。好ましくは、用紙Sの先端が転写部143、または定着部144に到達し、レジストローラー対21aによる搬送が必要なくなった後、直ぐにホームポジションへの戻りを開始する。ホームポジションに戻っている最中では、以下に説明する圧着解除機構19によりレジストローラー対21aの圧着を解除しており、用紙Sの搬送には影響を与えない。
【0053】
(圧着解除機構19)
圧着解除機構19は、搬送路200〜203に沿って設けられた複数の搬送ローラー対21のうち少なくとも一つの搬送ローラー対21の圧着を解除し、離間状態に切り替える。本実施形態においては、圧着解除機構19は、搬送ローラー対21a、21b、21c、21e、21f、21gに連結されている。圧着解除機構19により離間可能な搬送ローラー対21については、
図1、
図3においては、二重丸で示している(後述の
図10も同じ)。圧着解除機構19が連結された搬送ローラー対21の一方のローラーは固定軸であり、他方のローラーは可動軸である。両ローラーは所定の圧力で互いにバネ等の弾性体により付勢されており、通常時は圧着状態で、用紙Sを両ローラーのニップ部で挟持しながら搬送する。圧着解除機構19を作動させることにより、この他方のローラーの回転軸は、一方のローラーから離れるように移動し、両ローラーは互いに非接触の離間状態になる。
【0054】
レジストローラー対21aが用紙を挟持し搬送しながらレジスト揺動部18により軸方向に揺動(以下、単に「レジスト揺動」という)するときに、これよりも上流側の用紙Sを挟持する位置にある搬送ローラー対21は、圧着解除機構19により離間状態に切り替えられる。例えば、LCTトレイ150cから用紙Sを給紙し、レジスト揺動する場合、レジストローラー対21a以外のこれよりも上流側の搬送ローラー対21b、21cを離間状態に切り替える。
【0055】
(給紙トレイと用紙長)
次に
図4、
図5を参照し給紙トレイおよび用紙長と用紙のスキューとの関係について説明する。ここで「用紙長」とは、用紙Sの搬送方向の長さである。
図4、
図5は、搬送路にある各搬送ローラー対21と用紙の位置関係を示す上面視の模式図である。
図4(a)はLCTトレイ150cから用紙長750mmの用紙を給紙したとき、
図4(b)はLTCトレイ150cから600mmの用紙を給紙したとき、
図4(c)は、手差しトレイ150dから900mmの用紙を給紙したときの状態を示している。また、各図では共通して、給紙した用紙Sの先端が、用紙位置センサー17の検知領域に到達し、搬送位置が検出されている。このタイミングでは、搬送位置から算出した片寄りずれ量に応じてレジスト揺動させることが可能である。
【0056】
図4(a)を参照すると、レジストローラー対21aのニップ位置p1(調整位置)と、搬送ローラー対21dのニップ位置p2との距離Lxは、例えば500mmである。用紙長750mmは、この距離Lxよりも長い。レジスト揺動を開始するときに、搬送ローラー対21b、21cは離間状態に切り替えられるが、搬送ローラー対21dは構成上、離間状態に切り替えることができず、圧着状態のままであり用紙Sを挟持している。なお、
図4においては、用紙Sを挟持している搬送ローラー対21を実線で示し、圧着を解除し挟持していない搬送ローラー対21を破線で示している。
【0057】
このような状況下、レジスト揺動を
図4(a)に示す状態からレジスト揺動を開始した場合に、用紙Sの後端が、搬送ローラー対21dを抜けるまでの一部の期間で、用紙Sの後端がこの搬送ローラー対21dにより挟持されていることになる。この期間では、用紙Sの先端側はレジスト揺動による軸方向へ移動されることになるが、後端側は、搬送ローラー対21dによりその移動を妨げるように押さえつけられている。
【0058】
図5は、レジスト揺動によって用紙Sがスキューする現象を説明する模式図である。
図5(a)では、レジスト揺動前の用紙Sの搬送状態を示している。
図5(a)では、幅方向の用紙の中心位置c2は、搬送基準位置c1に対して片寄りずれ量dx分、搬送方向から見て左方向(図の下方向)にずれている。この状態でレジスト揺動することで、用紙Sを片寄りずれ量dxを相殺する方向、すなわち右方向(図の上方向)に揺動し、搬送位置調整する。
【0059】
図5(b)に示すように、用紙Sを搬送位置調整した場合、用紙Sの後端側は、搬送ローラー対21dにより押さえつけられているので、用紙S全体は、点o2を回転中心として、角度θ(スキュー量)で右回りに回転することになる。
【0060】
以上のように
図4(a)のような、LCTトレイ150cから用紙長750mmの用紙Sを給紙、これに対してレジスト揺動の影響で用紙Sはスキューしてしまう。一方で、
図4(b)に示すように、手差しトレイ150dから用紙Sを給紙した場合には、用紙長が750mmと十分長くても、搬送路の上流側の搬送ローラー対21は全て離間状態に切り替えることで、レジスト揺動時に用紙Sを挟持している搬送ローラー対21は存在しない。そのため、
図5で説明したような用紙Sがスキューする現象は生じない。
【0061】
また、
図4(c)に示すような条件、すなわち用紙長600mmと、距離Lxよりもそれほど長くない場合には、LCTトレイ150cから用紙Sを給紙したとしても、用紙Sがスキューする現象はほとんど発生しない。
【0062】
このように、レジスト揺動によるスキュー量は、給紙トレイに依存する。より具体的には、使用する給紙トレイに応じた、レジスト揺動時に離間しない搬送ローラー対から調整位置までの距離に依存する。また離間しない搬送ローラーまでの距離Lxよりも用紙長が長い場合であっても、その用紙長の長さにスキュー量は依存する。また、その他の因子として、同じ用紙長(同じサイズ)であっても用紙Sの坪量(斤量)が大きいほど、スキュー量は大きくなる。また、同様に同じ用紙長であっても用紙種類が普通紙に比べて塗工紙の方がスキュー量は大きくなる。これらの現象は給紙する用紙Sの剛性が影響すると考えられる。坪量/用紙種類に応じて用紙の剛性が高いほど、用紙がたわみ難く、先端の調整位置でのレジスト揺動の影響が用紙後端に伝わりやすくなる。また、用紙Sの搬送速度が低速なほど、スキュー量は小さくなる。
【0063】
(画像形成装置10の動作)
次に、画像形成装置10の特徴的な制御方法について説明する。
【0064】
(第1の実施形態)
図6は、第1の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートであり、制御部11により実行される。ユーザーの指示により、PC端末、または操作表示部16を通じてから印刷ジョブの実行指示を受け付けることにより、印刷を開始する。印刷ジョブには、使用する用紙サイズ、給紙トレイ等の印刷設定が記述されたジョブチケットと、印刷画像の元となる画像データが含まれる。
【0065】
制御部11は、ジョブチケットに基づいて、最初に使用する用紙Sの用紙長が500mm以上であるか判断する(S101)。
【0066】
用紙長が500mm未満であれば(S101:NO)、用紙位置センサー17が検出した搬送位置から算出した片寄りずれ量に基づいて、レジスト揺動を行い、用紙Sの搬送位置を調整する(S106)。その後、画像形成部14で画像形成する。用紙長が500mm未満の場合には、画像形成装置本体101の給紙トレイ150a、150bを含め、何れの給紙トレイ150から給紙された場合であっても、レジスト揺動時に用紙の後端側で用紙を挟持している搬送ローラー対21が存在しない。そのため、
図5で示したような用紙がスキューする現象が生じないからである。
【0067】
一方で、用紙長が500mm以上であれば(S101:YES)、印刷ジョブで使用する給紙トレイ150が、LCTトレイ150cであるか否かを判断する(S102)。LCTトレイ150cでなければ(S102:NO)、すなわち手差しトレイ150dであれば、処理をステップS106に進めレジスト揺動を実施する。
図4(b)で説明したように、手差しトレイ150dの場合も同様に、レジスト揺動時に用紙の後端側で用紙を挟持している搬送ローラー対21が存在しないからであり、
図5で示したような用紙がスキューする現象が生じないからである。なお、用紙長500mm以上の用紙を給紙できるのは、LCTトレイ150cまたは手差しトレイ150dのみであり、給紙トレイ150a、150bは500mm以上の用紙を収納することはできない。
【0068】
使用する給紙トレイ150がLCTトレイ150cであれば(S102:YES)、さらに、用紙長が600mmを超えているかを判断する。用紙長が600mmを超えていなければ(S103:NO)、処理をステップS106に進め、レジスト揺動を実施する。LCTトレイ150cであったとしても、
図4(c)で説明したように、レジスト揺動時に用紙の後端側で用紙を挟持している搬送ローラー対21が存在したとしても、期間が短いために、
図5で示したような用紙がスキューする現象がほとんど生じないからである。
【0069】
一方で、用紙長が600mmを超えていれば(S103:YES)、さらに用紙長が750mm以上であるかを判断する(S104)。用紙長が750mmを以上であれば(S104:YES)、レジスト揺動をせずに、画像形成部14で画像形成し、終了する。
【0070】
用紙長が750mm未満であれば、用紙坪量が100g/m
2以下であるかを判断し、そうであれば(S105:YES)、処理をステップS106に進め、レジスト揺動を実施する。用紙の坪量が少なければ、剛性は比較的低く、先端の調整位置でのレジスト揺動の影響が用紙後端に伝わりにくくなる。そのため、レジスト揺動時に用紙の後端側で用紙を挟持している搬送ローラー対21が存在したとしても、
図5で示したような用紙がスキューする現象がほとんど生じない。
【0071】
このように、本実施形態においては、使用する給紙トレイ、およびこの給紙トレイから給紙する用紙の用紙長に基づいて、レジスト揺動の実行可否を判断することにより、用紙がスキューするおそれがない場合またはスキュー量が小さいと見込まれるときに、レジスト揺動を実行する。これにより、用紙のスキューの増加を未然に防ぐことが可能となる。
【0072】
(第1の実施形態の変形例)
図7は、変形例に係る制御方法を示すフローチャートであり、制御部11により実行される。第1の実施形態とは、ステップS110の処理が異なる。その他の処理は、第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0073】
ステップS110では、制御部11は、用紙搬送速度が低速設定になっているか否かを判断する。例えば、機内温度センサーの所定値以下の低温を検知しており、搬送速度を通常の1/2の低速モードに設定していた場合には、給紙トレイ150cから給紙する用紙長が600〜750mmであったとしても、処理をステップS106に進め、レジスト揺動を実施する。用紙Sの搬送速度が低速なほど、レジスト揺動の影響は小さくスキュー量は小さくなるからである。
【0074】
このように、第1の実施形態の変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、レジスト揺動によりスキュー量への影響がある場合、またはその影響が小さくないと判断した場合には、レジスト揺動を実行しなかった。以下に説明する第2の実施形態では、片寄りずれ量に応じて、レジスト揺動により生じるスキュー量を予め予測し、予測したスキュー量に応じて、画像処理によりスキュー補正を行う。
【0076】
図8は、第2の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートであり、制御部11により実行される。
【0077】
最初に、制御部11は、スキュー補正量が決定済みか否かを判断する(S201)。印刷ジョブの1枚目のプリントであれば、スキュー補正量は決定していないので(S201:NO)、スキュー補正を実行しない画像データによって、画像形成部14による画像形成を開始する(S207)。
【0078】
続く、S203〜S205の処理は、スキュー補正量を算出し、記憶する処理である。
図8および以降のフローチャートでは、これらの処理を囲み破線で示しており、以下、これらをまとめて「スキュー補正量決定処理S20」ともいう。
【0079】
スキュー補正量決定処理S20では、最初に、印刷ジョブの実行に使用する給紙トレイ、用紙長、用紙の坪量の情報を取得し、これによりスキュー補正係数を決定する。
【0080】
図9は、スキュー補正係数の決定に用いる補正テーブルの例である。スキュー量は、片寄りずれ量(揺動量)に依存するが、その依存度は、上述したように使用する給紙トレイ、用紙長、用紙の坪量により異なる。上述したように、この給紙トレイは、レジスト揺動時に用紙を挟持する(離間しない)搬送ローラー対の位置(調整位置までの距離)、個数と関連する。本実施形態においては、揺動量、給紙トレイ、用紙長、用紙の坪量が同じ条件で用紙を搬送した場合、スキュー量の再現性が高いので、予め揺動量に対応した補正係数を求めておき、これを記憶部12に記憶している。
【0081】
図9は、給紙トレイ、用紙長、坪量の各パラメーターとスキュー補正係数の対応関係を示す補正テーブルの例である。なお、画像形成装置本体101の給紙トレイ150a、150bは、500mm以上の用紙を収納、給紙することができないため、補正係数は全て0(ゼロ)である。そのため、同図の補正テーブルでは表示を省略している。例えば、パラメーターが、LCTトレイ150c、用紙長600mm、坪量120g/m
2の場合は、スキュー補正係数αは「0.2」に決定される。
【0082】
続いて、画像形成部14の転写位置に搬送する用紙Sに対して、用紙位置センサー17により搬送位置を検出する(S204)。
【0083】
ステップS204で検出した搬送位置から算出した片寄りずれ量、および、ステップS203で決定した補正係数αを用い、次の用紙の印刷に用いるスキュー補正量を算出し、記憶部12、または画像処理部13の内部メモリーに記憶する(S205)。
【0084】
用紙Sの片寄りずれ量dx(または揺動量)、用紙長Lsの場合には下記式(1)からスキュー補正量(角度)が算出される。
スキュー補正量=α×atan(dx/Ls) (1)
以上までがスキュー補正量決定処理S20である。このスキュー補正量は、次の用紙の画像形成時に利用される。
【0085】
再び、ステップS201を参照すると、2枚目以降のプリントでは、前のプリントでスキュー補正量は決定済みの状態となる(S201:YES)。そのため、次の処理では、スキュー補正部132は、スキュー補正量決定処理S20で決定し、記憶したスキュー補正量を用いて、画像データに対してスキュー補正を実行する(S202)。
【0086】
スキュー補正部132では、スキュー補正量に基づいて上述のようにスキュー補正を行う。例えば、先端位置で片寄りずれ量が2mm、補正係数αが0.2であれば用紙Sの画像データの先端位置のシフト量は0.4m(=2×0.2)となる。先端位置でのライン画像は0.4mmの画素数分だけ主走査方向(幅方向)にシフトさせる。中央部のライン画像のシフト量はその半分とし、後端位置ではシフト量はゼロとする。
【0087】
その後は、スキュー補正処理した画像データを用いて、画像形成部14による画像形成を開始する(S202)。以降は、再び、次のプリントのためのスキュー補正量決定処理S20を実行する。
【0088】
以降の処理では、検出された片寄りずれ量に基づいて、レジスト揺動を行って、用紙Sの搬送位置調整を行う(S206)。
【0089】
その後、画像形成部14でこのレジスト揺動して搬送した用紙Sに対して画像形成して終了する。
【0090】
なお、第2の実施形態では、1枚のプリント毎に、スキュー補正量を更新し、これを同じ印刷ジョブの次のプリントに使用していたが、これに限らず、1枚目で決定したスキュー補正量を、同じ印刷ジョブの2枚目以降の全てのプリントに適用してもよい。
【0091】
以上のように、本実施形態では、用紙の後端側が搬送ローラー対で挟持されている状態で、レジストローラー対により先端側を幅方向に揺動させるレジスト揺動を行った場合であって、スキュー補正量を用いたスキュー補正処理をすることで、減少させることができる。
【0092】
(第3の実施形態)
図10、
図11を参照し、第3の実施形態に係る画像形成装置の制御方法について説明する。
図10は、第3の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す部分拡大図である。
図11は、第3の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。
【0093】
第3の実施形態に係る画像形成装置10bでは、レジストローラー対21a(以下、本実施形態の説明においては特に「第1のレジストローラー対21a」ともいう)に加えて、第2のレジストローラー対21xを備える。第2のレジストローラー対21xの構成以外は、
図1〜
図3に示した画像形成装置10と同じ構成であり、説明を省略する。第2のレジストローラー対21xは、第1のレジストローラー対21aよりも十数cm下流側に配置されている。第3の実施形態においては、第1のレジストローラー対21aで用紙Sのレジスト揺動を行う。第2のレジストローラー対21xでは、停止状態の用紙Sを突き当てて、一旦停止させ、画像形成タイミングに同期させて、回転開始することで、用紙Sの転写位置に向けての用紙Sの再搬送を行う。第1のレジストローラー対21aによる揺動のタイミングは、上述した実施形態と同じである。すなわち、片寄りずれ量を検出してから、直ぐに揺動を開始し、用紙Sの先端が、少なくとも転写位置に到達するよりも前までに揺動目標位置までの移動を完了する。より好ましくは、第2のレジストローラー対21xで再搬送する前に揺動目標位置までの移動を完了する。
【0094】
上述の画像形成装置10では、画像処理に用いるスキュー補正量は、ページ毎の画像形成を開始する時点より前に決定されている必要があった。そのため、
図8に示した制御方法では、前のプリントで決定したスキュー補正量を次のプリントに適用していた。一方で、第3の実施形態に係る画像形成装置10bでは、第2のレジストローラー対21xを備えることから、その分、画像処理を実行する時間を確保できる。画像形成を開始、すなわち書込部による露光を開始する前に、片寄りずれ量を検出して、スキュー補正量を決定することが可能となる。以下、
図11を参照して説明する。
【0095】
S301〜S303のスキュー補正量決定処理S20でスキュー補正量を算出し、記憶する。
【0096】
続いて、スキュー補正量決定処理S20で決定したスキュー補正量で、スキュー補正部132は、画像データに対してスキュー補正を行い、スキュー補正処理した画像データを用いて、画像形成部14は画像形成を開始する(S304)。これは、前のプリントの用紙ではなく、現プリントの用紙Sの片寄りずれ量から決定したスキュー補正量を使用した以外は、上述のS202の処理と同様の処理である。
【0097】
続く処理では、検出された片寄りずれ量に基づいて、レジスト揺動を行い用紙Sの搬送位置調整を行う(S305)。
【0098】
その後、第2のレジストローラー対21xで用紙Sを一旦停止させ、画像形成部14での画像形成タイミングに同期させて、再搬送する(S306)。その後、再搬送した用紙Sに対して画像形成して終了する。
【0099】
第3の実施形態においては、第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、実際に搬送する用紙Sの片寄りずれ量を用いてスキュー補正量を決定するので、第2の実施形態よりもスキュー補正の精度が向上する。
【0100】
(第4の実施形態)
上述の第2、第3の実施形態では、片寄りずれ量に応じて、決定したスキュー補正量を用いてスキュー補正を実行していた。第4の実施形態は、第1の実施形態と同様に、レジスト揺動によって大きなスキューが生じることを未然に防ぐものであり、さらに、片寄りずれ量または、スキュー補正量が所定の閾値以上の場合には、レジスト揺動に代えて画像処理により片寄り調整を行うものである。この閾値は、予め定められた固定値を用いても良く、ユーザーにより適宜、更新できるようにしてもよい。また、スキュー補正が実行可能なスキュー補正量の上限に基づいて定められていてもよい。
【0101】
図12は、第4の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートであり、制御部11により実行される。
【0102】
最初に、制御部11は、同じ印刷ジョブ(給紙トレイが同一)の前のプリントでスキュー補正量が決定済みか否かを判断する(S401)。印刷ジョブの1枚目のプリントであれば、スキュー補正量は決定していないので(S401:NO)、スキュー補正を実行しない画像データによって、画像形成部14による画像形成を開始する(S404)。
【0103】
スキュー補正量が決定済みであれば(S401:YES)、次に、このスキュー補正量が所定の閾値(第1の閾値)以上であるか、または、片寄りずれ量が所定の閾値(第2の閾値)以上であるかを判断する。一方を満たせば(S402:YES)、レジスト揺動を禁止し、次の処理に進める。次の処理では、前のプリントの片寄りずれ量S0で、画像処理部13の片寄り調整部131で画像データに対して画像形成位置の調整を行う(S403)。前のプリントの片寄りずれ量S0を用いて、現在、搬送している用紙の片寄りずれ量を用いないのは、画像処理が、現在のプリントの画像形成開始タイミングに間に合わないためである。
【0104】
以降は、
図8のステップS207、S203〜S205と同様の処理であるステップS404〜S407の処理を実行する。
【0105】
一方で、2つの条件を満たさなければ(S402:NO)、決定されているスキュー補正量でスキュー補正を実行して画像形成を開始する。
【0106】
以降は、ステップS412〜S414のスキュー補正量決定処理S20を行い、その後、ステップS413で算出した片寄りずれ量で、レジスト揺動を行って、用紙Sの搬送位置調整を行う(S415)。その後、画像形成部14でこのレジスト揺動して搬送した用紙Sに対して画像形成して終了する。
【0107】
以上のように、片寄りずれ量またはスキュー補正量が所定の閾値以上である場合には、レジスト揺動による用紙搬送位置調整をせずに、片寄り調整部131による画像処理で画像位置調整を行うことで、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、レジスト揺動によって生じるスキューを未然に防ぐことができる。また、さらに、画像処理により画像位置調整を行うことで、片寄りずれも生じさせることもない。
【0108】
なお、
図12のステップS402の片寄りずれ量およびスキュー補正量の所定の閾値との比較判断に代えて、「画像片寄り処理」を常に実行する設定がユーザーによりなされているかを判断するようにしてもよい。この設定がなされている場合には、ステップS403〜S407の処理を実行する。
【0109】
また、第4の実施形態では、S402の条件を満たす場合には、片寄りずれ量の全部をレジスト揺動部18での調整ではなく、片寄り調整部131の調整に振り分けていたが、これに限られない。例えば、所定の閾値(例えば第2の閾値)を超える片寄りずれ量を、片寄り調整部131の画像処理による調整に振り分け、残りの片寄りずれ量(第2の閾値と等しい)をレジスト揺動部18の用紙位置調整の調整量として振り分けるようにしてもよい。この場合、さらに、レジスト揺動部18の調整に振り分けた残りの片寄りずれ量に基づいて、スキュー補正量決定処理S20と同様の処理により決定したスキュー補正量でスキュー補正部132によるスキュー補正処理をするようにしてもよい。
【0110】
(第5の実施形態)
第2、第4の実施形態において、印刷ジョブの1枚目のプリントでは、スキュー補正量が決定されておらず、そのため、スキュー補正を実行することができなかった(S207)。第5の実施形態では、このような状況を避けるため、実際に印刷ジョブのプリントを開始する前に白紙を搬送する「測定モード」を実施し、この測定モードによりスキュー補正量を決定しておく。この測定モードは、例えば、印刷ジョブを実行するごとにユーザーの指示を受け付けることで実行するようにしてもよく、予めユーザーによるモード選択より測定モード実行する設定になっていた場合に実行するようにしてもよい。
【0111】
図13、
図14Aは、第5の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートであり、制御部11により実行される。
【0112】
図13では、印刷ジョブを受け付けた場合(S501:YES)、次に測定モードを実行する(S502)。
【0113】
図14Aは測定モード(S502)のサブルーチンを示す図である。最初に、ステップS501で受け付けた印刷ジョブで使用する給紙トレイ、用紙長、用紙の坪量により、スキュー補正形成を決定する(S511)。このスキュー補正係数の決定には、
図9に示したような補正テーブルを用いる。
【0114】
続いて、印刷ジョブで使用する給紙トレイから用紙を給紙し、搬送する(S512)。
【0115】
搬送した用紙Sに対して、用紙位置センサー17により搬送位置を検出する(S513)。
【0116】
続いて、ステップS513で検出した搬送位置から算出した片寄りずれ量、および、ステップS511で決定した補正係数αを用い、次の用紙の印刷に用いるスキュー補正量を算出し、記憶部12、または画像処理部13の内部メモリーに記憶する(S514)。この測定モードにおいて搬送した用紙(白紙)は、排紙トレイ22に排出される。
【0117】
以降は、
図13の処理に戻り、ステップS502で決定したスキュー補正量を用いて、スキュー補正処理した画像データにより、印刷ジョブの1枚目以降のプリントを実行する(S503)。給紙トレイ、用紙長が同じである印刷ジョブの2枚目以降のプリントは、S502で決定したスキュー補正量を用いてもよく、前のプリントで決定したスキュー補正量を用いて、次のプリントのスキュー補正を実行してもよい。
【0118】
このように、第5の実施形態では、測定モードを実行することにより。印刷ジョブの1枚目の用紙からスキュー補正を実行することが可能となる。
【0119】
(第5の実施形態の変形例)
上述の第3、第4の実施形態では、スキュー補正係数を用いて、スキュー補正量を推定していた。本変形例においては、よりスキュー補正の精度を向上させるために、実際に搬送した用紙Sの先端から後端までに渡って検出した搬送位置の傾きからスキュー量を求める。なお、他の実施形態においては、基本的には、スキュー補正量の決定に用いる片寄りずれ量は、レジスト揺動により用紙Sが幅方向に移動(揺動)される前の用紙Sの搬送位置に基づいて算出した。
【0120】
図14Bは、変形例に係るサブルーチンを示す図である。最初に、ステップS501で受け付けた印刷ジョブで使用する給紙トレイから用紙を給紙し、搬送する(S521)。
【0121】
搬送した用紙Sに対して、用紙位置センサー17により用紙Sの先端側の搬送位置を検出する(S522)。
【0122】
次に、ステップS522で検出された片寄りずれ量に基づいて、レジスト揺動を行い用紙Sの搬送位置調整を行う(S523)。
【0123】
搬送した用紙Sに対しは、先端から後端に渡って継続して、用紙位置センサー17により用紙Sの先端側の搬送位置を検出する(S524)。
【0124】
そして、検出した用紙の少なくとも先端、後端の2箇所の幅方向の搬送位置から、用紙Sの傾きを算出し、これをスキュー補正量として決定する(S525)。
【0125】
以降は、
図13の処理に戻り、次の処理(S503)に進め、ステップS525で決定したスキュー補正量を用いて印刷ジョブを開始する。給紙トレイ、用紙長が同じ印刷ジョブの2枚目以降のプリントは、S525で決定したスキュー補正量を継続して用いることが好ましい。
【0126】
(第6の実施形態)
図15は、第6の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートであり、制御部11により実行される。第6の実施形態は、上述の「測定モード」(S502)で実行される処理である。
【0127】
図14A、または
図14Bの測定モードにより、片寄りずれ量、およびスキュー補正量を決定した後(S514またはS525)、最初に、この片寄りずれ量が所定の閾値(第3の閾値)以上であるかを判断する(S531)。
【0128】
超えていなければ(S531:NO)、次に、スキュー補正量が所定の閾値(第4の閾値)以上であるかを判断する(532)。
【0129】
超えていなければ(S532:NO)、
図13のフローチャートに戻り、ステップS404以降の処理を進める。
【0130】
一方で、いずれか一方の閾値を超えていた場合には、操作表示部16の表示面161に警告のための確認メッセージを表示する。
【0131】
図16は、表示面161に表示した確認メッセージの例である。この確認メッセージには、トレイ内の用紙の装填状態の確認を促すメッセージまたは片寄りずれ量の検出結果が含まれる。確認メッセージの表示は、片寄りずれ量が第3の閾値以上、例えば5mm以上である場合に表示する。このような状況は、特に給紙トレイ150に設けられた用紙の幅方向を規制する規制板が緩くなっていたりして、セット状態が正しくない場合に生じる。そのため、多くの場合、ユーザーが給紙トレイ150を再装填し、給紙トレイ150の用紙の載置を正規の状態にすることで、片寄りずれ量やスキュー補正量が減少する。
【0132】
なお、第6の実施形態は、測定モードに限られず、第1〜第4の実施形態に適用してもよい。具体的には、印刷ジョブを実行開始時または実行途中に、片寄りずれ量、スキュー補正量の少なくとも一方が所定の閾値以上の場合には、
図16に示したような確認メッセージを表示する。また、第3、第4の閾値は、それぞれ上述の第4の実施形態で用いた、第2、第1の閾値と同じ値を用いてもよく、異なる値を適用してもよい。
【0133】
(他の変形例)
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された内容によって規定されるものであり、様々な変形形態が可能である。
【0134】
(他の変形例1)
例えば、以下に説明するように用紙の両面に画像を形成する両面モード時に、第2の実施形態等で実施したスキュー補正処理を適用してもよい。
【0135】
図17は、両面時に用いる、給紙トレイ、用紙長、坪量の各パラメーターとスキュー補正係数の対応関係を示す補正テーブルの例である。この補正テーブルは、両面用の搬送路201〜203を搬送する用紙に対応して予め設定しておいたものである。具体的には、用紙反転部からレジスト揺動の調整位置に至る搬送路203に配置された搬送ローラー対21a、21b、21e〜21iのうち、レジスト揺動を行う場合に、用紙Sを挟持する搬送ローラー対の個数および搬送ローラー対の位置、用紙長の条件に基づいてスキュー補正係数を定めている。具体的には、
図3等に示したように、レジスト揺動時に用紙Sに接触する搬送ローラー対21a〜21hのうち、搬送ローラー対21hは離間状態とはならず、その他のローラー対21b〜21gは離間状態となる。また、搬送ローラー対21f、21hは、レジスト揺動の調整位置からそれぞれ500mm、650mm上流側に配置されている。なお、補正テーブルの用紙長の上限は、用紙反転部で反転可能な最大の用紙長に設定している。
【0136】
この補正テーブルを用い、搬送路201〜203を搬送される用紙の用紙長、坪量からスキュー補正係数を決定し、これを用いて第2の実施形態等と同様にスキュー補正量を求めスキュー補正を実行する。このようにすることで両面時においても第2の実施形態と同様の効果が得られる。具体的には、両面の画像形成時にレジスト揺動によって生じるスキューを、算出したスキュー補正量を用いたスキュー補正を実行することで、減少させることができる。
【0137】
(他の変形例2)
第1の実施形態を他の実施形態に組み合わせる等、各実施形態を相互に組み合わせてもよい。例えば、第1、第2の実施形態を組み合わせる。具体的には
図6に示した第1の実施形態において、レジスト揺動を実施した場合に、第2の実施形態のスキュー補正理を実行する。また第1、第4の実施形態を組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態でレジスト揺動を行わない場合には、第4の実施形態で説明したように、片寄り調整部131により画像位置調整を行う。また、第1の実施形態の変形例と、第2の実施形態を組み合わせてもよい、すなわち、用紙の搬送速度をパラメーターとて追加した
図9に示したような補正テーブルを予め作成し、これを用いて、スキュー補正量を決定する。
【0138】
また、画像形成装置10を動作させるプログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD−ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリーやストレージ等に転送され記憶される。また、このプログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置10の一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。