(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1は、本発明に係る入退室管理システム1を示す図である。
図1に示すように、入退室管理システム1は、複数の画像処理装置10と入退室管理サーバ70とコンピュータ30とを備える。
【0041】
本システム1における各要素10,30,70は、それぞれ、ネットワーク108を介して互いに通信可能に接続される。ネットワーク108は、LAN(Local Area Network)およびインターネット等などによって構成される。また、ネットワーク108に対する接続態様は、有線接続であってもよく、或いは無線接続であってもよい。
【0042】
また、ここでは、
図1に示すように、本システム1を導入している或る企業において、部署ごとに部屋(居室)R(Ra,Rb,Rc,...)が設けられている。
【0043】
また、本システム1においては、各部署の部屋Rにいずれのユーザもが自由に入室(入退室)できるのではなく、ユーザが自部署の部屋Rのみに入室できるように、各部屋Rの入退室管理が行われている。換言すれば、本システム1においては、ユーザが他部署の部屋Rには入室できないように、各部屋Rの入退室管理が行われている。ここでは、このような入退室管理を、入退室管理サーバ70が行っている。なお、当該入退室管理サーバ70は、画像処理装置10ともコンピュータ30とも異なるサーバ装置(サーバコンピュータ)である。
【0044】
具体的には、入退室管理サーバ70は、入室権限管理テーブル300(
図4参照)を有する。当該入室権限管理テーブル300においては、各部屋Rの入室権限を有するユーザ(詳細にはユーザ識別情報(たとえばユーザID))が管理者等によって予め登録されている。
図4において、「○」印は、入室権限を有する旨を示し、「×」印は、入室権限を有しない旨を示す。たとえば、
図4に示されるように、ユーザU1は、部屋Ra(ユーザU1の所属部署の部屋)への入室権限を非一時的に(原則的に)有するものの、他の部屋Rb,Rc,...(他部署の部屋)への入室権限は有しない。
【0045】
また、各部屋R(Ra,Rb,Rc,...)の出入口には、入退室管理装置が設置されている。ここでは、入退室管理用のゲートG(Ga,Gb,Gc,...)(ゲート装置とも称される)が、当該入退室管理装置として各部屋Rの出入口に配置されている(
図1参照)。なお、これに限定されず、たとえば電子錠装置が、当該入退室管理装置として各部屋Rの出入口(たとえばドア付近)に設置されていてもよい。
【0046】
入退室管理サーバ70は、入室権限管理テーブル300(
図4)に基づいて各部屋Rへのユーザの入退室(入室および退室)の許否を決定し、各部屋Rの出入口に設置された入退室管理装置(ここではゲートG)の動作を制御することによって、各部屋Rへのユーザの入退室を管理している。
【0047】
具体的には、或る部屋Rへのユーザの入室が許可される場合には、当該或る部屋のゲートGにおいて、進入禁止バーがユーザの進行経路から退避し、当該ユーザの通過は妨げられない(許可される)。一方、当該或る部屋Rへのユーザの入室が許可されない場合には、ゲートGにおいて(詳細には、ユーザの進行経路上において)、進入禁止バーを突出させることなどによって、当該ユーザの通過が妨げられる(禁止される)。
【0048】
より詳細には、或る部屋Rに入室しようとするユーザ(或る部屋Rの出入口に設置されたゲートGを通過しようとするユーザ)のユーザ識別情報(ここではユーザID)が、当該或る部屋RのゲートGによって取得される。取得されたユーザIDは、当該ゲートGから入退室管理サーバ70に送信される。入退室管理サーバ70は、当該或る部屋RのゲートGにて取得されたユーザIDと入室権限管理テーブル300とに基づいて、当該或る部屋Rに入室しようとするユーザが当該或る部屋Rへの入室権限を有するか否か、を判定する。
【0049】
たとえば、ユーザU1が自部署の部屋Raに入室しようとする(ゲートGaを通過しようとする)場合、入退室管理サーバ70は、ユーザU1のユーザIDと入室権限管理テーブル300(
図4)とに基づいて、当該ユーザU1が部屋Raへの入室権限を有する旨を判定する。そして、入退室管理サーバ70は、ユーザU1の入室を許可すべき旨をゲートGaに対して通知し、当該ゲートGaにおいては、ユーザU1による部屋Raへの入室が妨げられない(許可される)。
【0050】
一方、たとえばユーザU1が、(後述の一時的な入室権限を有さずに)他部署の部屋Rbに入室しようとする(ゲートGbを通過しようとする)場合、入退室管理サーバ70は、ユーザU1のユーザIDと入室権限管理テーブル300(
図4)とに基づいて、ユーザU1が部屋Rbへの入室権限を有しない旨を判定する。そして、入退室管理サーバ70は、ユーザU1の入室を拒否すべき旨を部屋RbのゲートGbに対して通知し、ゲートGbにおいては、ユーザU1による部屋Rbへの入室が妨げられる(禁止される)。
【0051】
なお、ここでは、ユーザは、自部署の部屋Rへの入室権限のみを有しているが、これに限定されず、ユーザが、他部署の部屋Rの一部への入室権限をも有していてもよい。たとえば、ユーザU1が、自部署の部屋Raのみならず、特定の部署の部屋(たとえば部屋Rc)への入室権限をも有していてもよい。
【0052】
また、各部屋R(Ra,Rb,Rc,...)には、画像処理装置10が設置されている。ここでは、部屋Raには、2台の画像処理装置10a1,10a2が設置されている。また、部屋Rbには、3台の画像処理装置10b1,10b2,10b3が設置されている。さらに、部屋Rcには、3台の画像処理装置10c1,10c2,10c3が設置されている。これらの画像処理装置10が、本システム1にて管理されている。
【0053】
各画像処理装置10には、次のような情報が登録されている。
【0054】
具体的には、各画像処理装置10には、自装置が設置されている設置部屋Rへの入室権限を有するユーザ(詳細にはユーザ識別情報(たとえばユーザID))が、入退室管理サーバ70から取得されて予め登録されている(
図4も参照)。たとえば、画像処理装置10a1には、画像処理装置10a1が設置された設置部屋Ra(
図1も参照)への入室権限をユーザU1,U2が有する旨が登録されている。
【0055】
また、各画像処理装置10には、自装置の使用権限を有するユーザ(詳細にはユーザ識別情報)が予め登録されている。
図5は、各画像処理装置10の使用権限を有するユーザを示す図である。
図5において、「○」印は、使用権限を有する旨を示し、「×」印は、使用権限を有しない旨を示す。たとえば、
図5に示されるように、画像処理装置10a1には、画像処理装置10aの使用権限をユーザU1,U2が有する旨が登録されている。
【0056】
さらに、各画像処理装置10には、自装置が保有する機能(保有機能)が予め登録されている。具体的には、各画像処理装置10には、当該保有機能として、ジョブの種類に対応する機能(「ジョブ種類対応機能」あるいは「概略機能」とも称する)と、当該概略機能よりも詳細な機能(「詳細機能」とも称する)とが予め登録されている。
【0057】
詳細には、
図6に示すように、各画像処理装置10には、自装置の保有概略機能(画像処理装置10が保有する「概略機能」)が予め登録されている。
図6において、「○」印は、該当する概略機能を有する旨を示し、「×」印は、該当する概略機能を有しない旨を示す。また、「印刷」機能は、印刷ジョブに対応する概略機能(印刷ジョブの実行に要する概略機能)であり、「コピー」機能は、コピージョブに対応する概略機能(コピージョブの実行に要する概略機能)である。さらに、「スキャン」機能は、スキャンジョブに対応する概略機能(スキャンジョブの実行に要する概略機能)であり、「ファクシミリ」機能は、ファクシミリジョブに対応する概略機能(ファクシミリジョブの実行に要する概略機能)である。たとえば、
図6に示されるように、画像処理装置10a1は、印刷機能とコピー機能とスキャン機能とファクシミリ機能とを有している。換言すれば、画像処理装置10a1は、印刷ジョブとコピージョブとスキャンジョブとファクシミリジョブとの4種類のジョブを実行することが可能である。
【0058】
また、
図7に示すように、各画像処理装置10には、自装置の保有詳細機能(画像処理装置10が保有する「詳細機能」)が予め登録されている。
図7において、「○」印は、該当する詳細機能を有する旨を示し、「×」印は、該当する詳細機能を有しない旨を示す。また、「カラー」印刷機能は、カラー印刷を伴う印刷ジョブ(あるいはコピージョブ)の実行に要する詳細機能であり、「両面」印刷機能は、両面印刷を伴う印刷ジョブ(あるいはコピージョブ)の実行に要する詳細機能である。また、「ソータ」機能は、ソータ処理を伴う印刷ジョブ(あるいはコピージョブ)の実行に要する詳細機能であり、「ステープル」機能は、ステープル処理を伴う印刷ジョブ(あるいはコピージョブ)の実行に要する詳細機能である。さらに、「Z折り」機能は、Z折り処理を伴う印刷ジョブ(あるいはコピージョブ)の実行に要する詳細機能である。たとえば、
図7に示されるように、画像処理装置10a1は、カラー印刷機能と両面印刷機能とソータ機能とを有しており、ステープル機能とZ折り機能とは有していない。また、各画像処理装置10には、自装置の処理能力(印刷速度)もが予め登録されている。
【0059】
さらに、各画像処理装置10には、自装置の稼働状況が登録されている。
図8は、各画像処理装置10の稼働状況を示す図である。たとえば、画像処理装置10a1において印刷ジョブが現在実行されている場合には、
図8に示されるように、画像処理装置10a1の状態が「動作中」(ジョブ実行中)である旨と、画像処理装置10a1にて実行中のジョブの実行終了時刻(終了予定時刻)とが、当該画像処理装置10a1に登録される。また、各画像処理装置10には、自装置におけるジョブの予約状況(使用予約状況)もが登録される。たとえば、
図8に示されるように、画像処理装置10b2においては、10時10分から10時30分までの期間において自装置(画像処理装置10b2)が使用される旨が登録(予約)されている。
【0060】
また、各画像処理装置10には、各部屋R(Ra,Rb,Rc,...)を利用すること(各部屋Rに入室すること)が可能な時間帯(利用可能時間帯あるいは入室可能時間帯とも称される)もが予め登録されている(
図9参照)。たとえば、部屋Raの利用可能時間帯は8時00分から22時00分である。換言すれば、ユーザは、(部屋Raへの入室権限を有する場合であっても、)7時59分以前および22時01分以降においては、部屋Raを利用(部屋Raに入室)することができない。
【0061】
各画像処理装置10に登録されているこれらの情報は、後述するように、画像処理装置10が、使用要求に係るジョブ(ユーザによって付与されたジョブ)に関する所定の条件を充足する装置(「条件充足装置」とも称する)であるか否か、の判定処理(条件充足性に関する判定処理)に用いられる。
【0062】
また、本システム1は、コンピュータ30をも有する。当該コンピュータ30は、いわゆるパーソナルコンピュータとして構成される。コンピュータ30には、プリンタドライバ(ソフトウエアプログラム)がインストールされており、コンピュータ30、ユーザ操作に応じて、当該プリンタドライバを用いて画像処理装置10に印刷ジョブ等を付与することが可能である。
【0063】
<1−2.画像処理装置の構成>
図2は、画像処理装置10の機能ブロックを示す図である。ここでは、画像処理装置10として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))を例示する。
図2においては、MFP10の機能ブロックが示されている。なお、MFP10は、画像形成装置とも称される。
【0064】
MFP10は、印刷機能(プリント機能)、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、
図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0065】
なお、本システム1を構成する複数のMFP10の中には、一部の機能(たとえばファクシミリ機能)を有しないものも存在する(
図6も参照)。
【0066】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置(ADF(原稿自動送り装置(Auto Document Feeder))あるいはガラス面等)に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像あるいはスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。
【0067】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータ(印刷対象データ)に基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0068】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先と連携して各種のデータを授受することが可能である。通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データを受信する受信部4bとを有する。
【0069】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
【0070】
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
【0071】
コントローラ(制御部)9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM(登録商標))内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてMFP10にインストールされてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされてMFP10にインストールされるようにしてもよい。
【0072】
具体的には、
図2に示すように、コントローラ9は、当該プログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13とジョブ制御部14と判定部15と算出部16とを含む各種の処理部を実現する。
【0073】
通信制御部11は、通信部4等と協働して、他の装置との間の通信動作を制御する処理部である。
【0074】
入力制御部12は、操作入力部6a(タッチパネル等)に対するユーザからの操作入力の受付動作等を制御する制御部である。
【0075】
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル等)における表示動作を制御する処理部である。表示制御部13は、MFP10を操作するための操作画面等をタッチパネルに表示させる。
【0076】
ジョブ制御部14は、各種のジョブに関する動作(印刷出力動作、画像読取動作等)を制御する処理部である。たとえば、ジョブ制御部14は、算出部16によって指定(算出)された実行開始時刻(開始予定時刻)の到来に応答して、印刷ジョブに関する動作(印刷出力動作)を印刷出力部3に実行させる。
【0077】
判定部15は、各種の判定動作を実行する処理部である。たとえば、判定部15は、使用要求に係るジョブ(たとえば印刷ジョブ)の実行に関する所定の条件(後述)の充足性に関する判定処理を実行する。具体的には、判定部15は、条件充足性に関する判定対象装置(たとえばユーザによって指定されたMFP10(「被指定装置」とも称する))が、当該所定の条件を充足するMFP10(「条件充足装置」とも称する)であるか否か、を判定する。また、判定部15(決定部)は、判定対象装置(たとえば被指定装置)が条件充足装置である場合、当該被指定装置を、当該ジョブが実行されるMFP10(「ジョブ実行装置」とも称する)として決定する。
【0078】
算出部16は、当該ジョブ実行装置が設置された設置部屋Rへのユーザの入退室が一時的(例外的)に許可される期間(「入退室許可期間」とも称する)を算出する処理部である。具体的には、入退室許可期間は、当該ユーザによる当該設置部屋Rへの入室許可を開始する時点(時刻)から当該ユーザによる当該設置部屋Rへの入室許可を終了する時点(時刻)までの期間である。また、算出部16は、当該ジョブ(詳細には印刷ジョブ)の実行開始時刻(開始予定時刻)をも算出(指定)する。
【0079】
<1−3.動作>
この実施形態では、ユーザU1の設定操作に応答して、コンピュータ30は、他部署のMFP10(ここでは部屋Rbに設置されたMFP10b1)に対して、当該MFP10b1での印刷ジョブの実行を希望する旨の使用要求を送信する。MFP10b1は、当該使用要求を受信すると、自装置が条件充足装置(後述の条件(1)〜(5)を充足するMFP10)であるか否か、を判定する。MFP10b1が条件充足装置である場合、MFP10b1は、自装置の設置部屋(MFP10b1が設置された部屋(ここでは部屋Rb))への入室権限をユーザU1が有するか否か、をさらに判定する。そして、ユーザU1が当該設置部屋Rbへの入室権限を有しない場合、MFP10b1は、ユーザU1による当該設置部屋Rbへの入退室が一時的に許可される期間(入退室許可期間)を算出する。ユーザU1に関して算出された入退室許可期間は、当該ユーザU1および入退室管理サーバ70に通知され、当該入退室許可期間のみにおいて、当該ユーザU1による部屋Rbへの入退室が許可される。そして、ユーザU1は、当該入退室許可期間内に部屋Rbに入室し、MFP10b1にて実行された印刷ジョブの印刷出力物を受け取って、当該入退室許可期間内に部屋Rbから退室する。
【0080】
ここでは、ユーザU1(部屋Raの部署に属するユーザ)が、印刷出力用のデータに基づき、10枚の原稿を、ステープル処理が施された状態で15部印刷出力したい、と考える状況を想定する。なお、現在は9時30分であるものとする。
【0081】
まず、ユーザU1の設定操作によって、コンピュータ30は、使用要求に関する各種の設定を受け付ける。なお、ユーザU1は、自身の所属部署の部屋(ここでは部屋Ra)の内部にて居てもよく、あるいは当該部屋Raの外部に居てもよい。換言すれば、ユーザU1によって使用されるコンピュータ30は、ユーザU1の所属部署の部屋Raの内部に存在していてもよく、あるいは当該部屋Raの外部に存在していてもよい。
【0082】
具体的には、ユーザU1は、自身のユーザIDおよびパスワードを用いてコンピュータ30にログインした後、コンピュータ30(詳細にはプリンタドライバの表示画面)に表示された印刷設定画面(不図示)において、印刷ジョブに関する各種設定を行う。
【0083】
たとえば、ユーザU1は、印刷設定画面において、所望のMFP10(使用希望装置)を指定する。ここでは、ステープル処理を伴う印刷ジョブを実行したいとユーザU1は考え、ステープル機能を有するMFP10b1(
図7も参照)が、使用希望装置としてユーザU1によって指定される。なお、ユーザU1は、いずれのMFP10がステープル機能を有しているか、を予め知得しているものとする。
【0084】
また、ユーザU1は、印刷設定画面において、詳細設定項目「ステープル」にチェック印を付加することによって、所望の詳細機能(利用希望機能)を指定する。利用希望機能(ここではステープル機能)がユーザU1によって指定されると、印刷ジョブにおける設定内容に関する情報(設定内容情報)において、ステープル処理を実行すべき旨の情報(詳細機能の指定情報)が付加される。
【0085】
さらに、ユーザU1は、印刷設定画面において、印刷出力される原稿の部数(ここでは15部)を指定する。印刷部数が指定されると、印刷ジョブに関する設定内容情報において、指定された印刷出力部数の情報(部数情報)が付加される。
【0086】
また、ユーザU1は、印刷設定画面において、印刷ジョブの実行に関する所望の終了終了時刻(希望終了時刻)を設定(指定)する。ここでは、ユーザU1は、ステープルで留められた状態の印刷出力物を10時00分に受け取りたいと考え、「10時00分」を希望終了時刻(指定時刻)として設定(指定)する。ユーザによって希望終了時刻が指定されると、当該印刷ジョブに関する設定内容情報において、希望終了時刻(ここでは「10時00分」)の指定情報が付加される。
【0087】
そして、印刷設定画面内の「OK」ボタン等のクリック操作によって印刷ジョブの実行指示が付与されると、コンピュータ30は、ユーザU1によって指定されたMFP10(被指定装置)(ここではMFP10b1)にて所望のジョブ(ここでは印刷ジョブ)の実行を希望する旨の使用要求と印刷対象データとを、MFP10b1に送信する(ステップS12)。ここでは、当該使用要求には、当該使用要求に係るジョブ(ここでは印刷ジョブ)に関するジョブ情報と当該印刷ジョブの実行指令とが含まれる。当該ジョブ情報には、当該使用要求の要求元ユーザ(印刷ジョブの実行指示を付与したユーザ)であるユーザU1のユーザ識別情報(ここではユーザID)と、当該印刷ジョブに関する設定内容情報とが含まれる。
【0088】
被指定装置(ここではMFP10b1)においては、当該使用要求と印刷対象データとが受信されたことに応答して、当該印刷対象データがMFP10b1に一時的に格納されるとともに、以下の動作が開始される。
【0089】
図3は、被指定装置(ここではMFP10b1)の動作を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS11においては、被指定装置(MFP10b1)は、自装置が、当該使用要求に係るジョブ(ここでは印刷ジョブ)の実行に関する以下の条件(1)〜(5)を充足するMFP10(「条件充足装置」)であるか否か、を判定する。換言すれば、条件(1)〜(5)の充足性に関する判定対象装置(ここでは被指定装置)が条件充足装置であるか否か、が判定される。
【0091】
具体的には、被指定装置は、
(1)判定対象装置(ここでは被指定装置)の使用権限を要求元ユーザが有すること、
(2)使用要求に係るジョブの種類に対応する概略機能を判定対象装置(被指定装置)が有するMFP10であること、
(3)使用要求に係るジョブに関して要求元ユーザによって指定された詳細機能を判定対象装置(被指定装置)が有すること、
(4)要求元ユーザによる指定時刻(ここでは希望終了時刻)に当該ジョブを判定対象装置(被指定装置)が終了することが可能であること、および
(5)要求元ユーザによる指定時刻(指定時刻)に利用することが可能な部屋Rに判定対象装置(被指定装置)が設置されていること、
の条件が充足されるか否か、を判定する。
【0092】
各条件(1)〜(5)について、以下に説明する。
【0093】
条件(1)に関して、被指定装置(ここではMFP10b1)は、判定対象装置(自装置)の使用権限を使用要求の要求元ユーザ(ここではユーザU1)が有するか否か、を判定する。ここでは、
図5に示されるように、要求元ユーザU1は、MFP10b1の使用権限を有しており、MFP10b1は、自装置の使用権限を要求元ユーザU1が有する旨(自装置が条件(1)を充足するMFP10である旨)を判定する。なお、要求元ユーザが被指定装置の使用権限を有しない場合は、被指定装置は、自装置が条件(1)を充足するMFP10でない旨を判定する。
【0094】
次述の条件(2),(3)においては、判定対象装置(ここでは被指定装置)が当該ジョブ(ここではステープル処理を伴う印刷ジョブ)の実行のための所要機能(ジョブの実行に要する機能)を有するか否か、が判定される。
【0095】
具体的には、条件(2)に関して、被指定装置(MFP10b1)は、使用要求に係るジョブの種類(要求元ユーザによって指定された種類のジョブ(ここでは印刷ジョブ))に対応する概略機能(ここでは印刷機能)を判定対象装置(自装置)が有するか否か、を判定する。ここでは、
図6に示されるように、MFP10b1は印刷機能を有しており、MFP10b1は、使用要求に係るジョブの種類に対応する概略機能を自装置が有する旨(自装置が条件(2)を充足するMFP10である旨)を判定する。なお、使用要求に係るジョブの種類に対応する概略機能を被指定装置が有しない場合、被指定装置は、自装置が条件(2)を充足するMFP10でない旨を判定する。
【0096】
また、条件(3)に関して、被指定装置(MFP10b1)は、使用要求に係るジョブ(ここでは印刷ジョブ)に関して要求元ユーザ(ここではユーザU1)によって指定された詳細機能(ここではステープル機能)を判定対象装置(自装置)が有するか否か、を判定する。ここでは、
図7に示されるように、MFP10b1はステープル機能を有しており、MFP10b1は、印刷ジョブ(ステープル処理を伴う印刷ジョブ)に関して要求元ユーザU1によって指定された詳細機能(ステープル機能)を自装置が有する旨(自装置が条件(3)を充足するMFP10である旨)を判定する。なお、要求元ユーザによって指定された詳細機能(たとえばステープル機能)を被指定装置が有しない場合、被指定装置は、自装置が条件(3)を充足するMFP10でない旨を判定する。
【0097】
さらに、条件(4)に関して、被指定装置(MFP10b1)は、要求元ユーザU1による指定時刻(ここでは希望終了時刻)に判定対象装置(自装置)が当該ジョブ(ここでは印刷ジョブ)を終了することが可能であるか否か、を当該印刷ジョブの設定内容情報に基づいて判定する。ここでは、ユーザU1によって付与された印刷ジョブにおける印刷出力枚数は、150枚(=原稿枚数(10枚)×部数(15部))であり、MFP10b1の印刷速度は、50(枚/分)である(
図7も参照)。したがって、当該印刷ジョブの実行所要時間(実行開始から実行終了までに要する時間)は、約3分(=150/50)である。また、
図8に示されるように、MFP10b1は、現在待機中であり(別のジョブの実行中ではなく)、MFP10b1には、いずれの使用予約も登録されていない。すなわち、9時57分(希望終了時刻からジョブの実行所要時間(ここでは3分)前の時刻)から10時00分(希望終了時刻)までの間に、MFP10b1において他の印刷ジョブが実行される予定は無い。以上より、MFP10b1は、ユーザU1によって指定された希望終了時刻(10時00分)よりも前に印刷ジョブを実行して当該希望終了時刻に印刷ジョブを終了することが可能である旨(自装置が条件(4)を充足するMFP10である旨)を判定する。なお、要求元ユーザの希望終了時刻に被指定装置の使用予約が先行して登録されているなどによって当該希望終了時刻に当該ジョブを終了(実行)することができない場合、被指定装置は、自装置が条件(4)を充足するMFP10でない旨を判定する。
【0098】
また、条件(5)に関して、被指定装置(MFP10b1)は、要求元ユーザU1による指定時刻に利用することが可能な部屋(入室することが可能な部屋)に判定対象装置(自装置)が設置されているか否か、を判定する。換言すれば、要求元ユーザU1によって指定された時刻(指定時刻)が、判定対象装置(ここではMFP10b1)が設置された部屋R(Rb)を利用することが可能な時間内であるか否か、が判定される。ここでは、
図9に示されるように、要求元ユーザU1の指定時刻(10時00分)は、MFP10b1の設置部屋Rbの利用可能時間(入室可能時間)(ここでは8時00分〜20時00分)内である。そのため、MFP10b1は、要求元ユーザU1の指定時刻に利用することが可能な部屋Rbに自装置が設置されている旨(自装置が条件(5)を充足するMFP10である旨)を判定する。なお、要求元ユーザの指定時刻が被指定装置の設置部屋Rの利用可能時間外である場合、被指定装置は、自装置が条件(5)を充足するMFP10でない旨を判定する。
【0099】
このようにして、被指定装置(MFP10b1)において、条件充足性に関する判定対象装置(ここではMFP10b1)が上記条件(1)〜(5)を充足するMFP10(条件充足装置)であるか否か、が判定される。ここでは、上述のように、MFP10b1が条件(1)〜(5)の全てを充足するMFP10である旨(MFP10b1が条件充足装置である旨)がステップS11にて判定される。そして、処理はステップS12へと進む。
【0100】
なお、条件(1)〜(5)の少なくとも1つが充足されず、判定対象装置(被指定装置)が条件充足装置でない旨がステップS11にて判定される場合、被指定装置は、使用要求に係るジョブ(印刷ジョブ)を自装置にて実行することができない旨の実行不可通知を当該使用要求の要求元ユーザU1(詳細にはユーザU1のコンピュータ30)に通知する。
【0101】
ステップS12においては、被指定装置(MFP10b1)は、自装置(判定対象装置)をジョブ実行装置(使用要求に係るジョブ(ここでは印刷ジョブ)が実行されるMFP10)として決定する。そして、MFP10b1は、印刷ジョブに関して要求元ユーザU1によって指定された希望終了時刻(ここでは10時00分)を、当該印刷ジョブの終了予定時刻として算出する。また、MFP10b1は、当該終了予定時刻から当該印刷ジョブの実行所要時間(ここでは3分)前の時刻(9時57分)を、当該印刷ジョブの開始予定時刻として算出する。決定された開始予定時刻および終了予定時刻は、ジョブ実行装置(ここではMFP10b1)に登録(予約)される。
【0102】
そして、処理はステップS13へと進み、被指定装置(ジョブ実行装置)(ここではMFP10b1)は、自装置の設置部屋R(自装置が設置された部屋R)(ここでは部屋Rb(
図1参照))への入室権限を要求元ユーザU1が有するか否か、を判定する(ステップS13)。
【0103】
具体的には、MFP10b1は、要求元ユーザのユーザ識別情報(ここではユーザID)と自装置の設置部屋Rbの入室権限を有するユーザのユーザ識別情報(
図4参照)とに基づいて、要求元ユーザU1が当該設置部屋Rbへの入室権限を有するか否か、を判定する。ここでは、MFP10b1の設置部屋Rbへの入室権限を要求元ユーザU1が有しない旨が判定される。
【0104】
MFP10b1が設置された設置部屋Rbへの入室権限を要求元ユーザU1が有する旨がステップS13にて判定された場合は、後述のステップS14,S15の処理は実行されずに
図3のフローチャートは終了する。そして、ジョブ実行装置(被指定装置)が設置された設置部屋Rへの要求元ユーザの入退室は、通常通り(要求元ユーザが当該入室権限を原則的に有することに基づいて)許可される。
【0105】
一方、MFP10b1が設置された設置部屋Rbへの入室権限を要求元ユーザU1が有しない旨がステップS13にて判定された場合は、処理はステップS14へと進む。
【0106】
ステップS14においては、ジョブ実行装置として決定されたMFP10(被指定装置(MFP10b1))は、要求元ユーザU1による当該設置部屋Rbへの入退室が一時的に(例外的に)許可される期間(入退室許可期間)を算出する。
【0107】
たとえば、MFP10b1は、印刷ジョブの終了予定時刻(ここでは10時00分)から所定時間(たとえば10分)前の時刻を入退室許可期間の始期として算出し、さらに、当該終了予定時刻(ここでは10時00分)から所定時間(たとえば10分)後の時刻を入退室許可期間の終期として算出する。すなわち、ここでは、9時50分から10時10分までの期間が、入退室許可期間として算出される。
【0108】
そして、MFP10b1は、要求元ユーザU1に関して算出された入退室許可期間(ここでは9時50分〜10時10分)を、当該要求元ユーザU1(詳細にはユーザU1のコンピュータ30)と入退室管理サーバ70とに通知する(ステップS15)。
【0109】
ステップS15の処理が実行されると、
図3のフローチャートは終了し、各装置において、次のような動作が行われる。
【0110】
具体的には、コンピュータ30は、ユーザU1に関して算出された入退室許可期間の通知に応答して、当該入退室許可期間をプリンタドライバの表示画面(不図示)に表示する。そして、ユーザU1は、当該表示画面において、入退室許可期間(他部署の部屋Rb(入室権限を有しない部屋)への自身の入退室が一時的に許可される期間)を知得する。
【0111】
また、入退室管理サーバ70は、ユーザU1について、被指定装置にて算出された入退室許可期間を取得すると、入室権限管理テーブル300を更新する。
図10は、更新後の入室権限管理テーブル300を示す図である。具体的には、
図10に示されるように、ユーザU1について取得された入退室許可期間(ここでは9時50分から10時10分までの期間)において有効な入室権限(一時的な入室権限)を当該ユーザU1が有する旨が登録される。
【0112】
その後、ジョブ実行装置として決定されたMFP10(ここではMFP10b1)は、印刷ジョブに関して算出された開始予定時刻(ここでは9時57分)の到来に応答して、当該印刷ジョブを実行する。具体的には、MFP10b1は、自装置に一時的に格納されていた印刷対象データを印刷出力部3と協働して印刷出力するとともに、ステープル機能を用いてステープル処理を実行する。
【0113】
また、入退室管理サーバ70においては、ジョブ実行装置(ここではMFP10b1)が設置された設置部屋R(ここでは部屋Rb)へのユーザU1の入室に際して、要求元ユーザU1に関して算出された入退室許可期間における当該設置部屋Rbへの入退室(入室および退室)が、当該ユーザU1に対して一時的に許可される。換言すれば、当該設置部屋Rbへの要求元ユーザU1の入退室は、原則的には許可されないものの、当該入退室許可期間における当該設置部屋Rbへの要求元ユーザU1の入退室は、例外的に許可される。
【0114】
具体的には、当該入退室許可期間内(たとえば9時55分)において、ユーザU1が、ジョブ実行装置(MFP10b1)の設置部屋RbのゲートGbを通過して当該設置部屋Rbに入室しようとすると、当該ゲートGbは、当該ユーザU1のユーザ識別情報(ユーザID)を取得して入退室管理サーバ70に送信する。入退室管理サーバ70は、取得されたユーザIDと更新後の入室権限管理テーブル300(
図10参照)とに基づいて、ユーザU1が部屋Rbへの入室権限を有するか否か、を判定する。ここでは、ユーザU1について取得された入退室許可期間(9時50分〜10時10分)に基づいて、ユーザU1が部屋Rbへの一時的な入室権限を有する旨が判定される。そして、入退室管理サーバ70は、当該入退室許可期間における部屋Rbへの入退室をユーザU1に対して許可すべき旨を決定し、ユーザU1による部屋Rbへの入室を許可すべき旨の許可通知をゲートGbに通知する。ゲートGbにおいては、当該許可通知に応答して、ユーザU1による部屋Rbへの入室を許可する(妨げない)。
【0115】
ジョブ実行装置の設置部屋(たとえば部屋Rb)への入室が許可されると、ユーザU1は、ジョブ実行装置(MFP10b1)にて印刷出力された印刷出力物(ステープルで留められた状態の印刷出力物)を排紙トレイから受け取った後、入退室許可期間の終了時刻(ここでは10時10分)までに当該設置部屋Rbから退室する。
【0116】
なお、ユーザU1に関して算出された入退室許可期間の終了後において、当該設置部屋Rbからの当該ユーザU1の退室が確認されない場合には、入退室管理サーバ70は、当該設置部屋RbからのユーザU1の未退室を管理者(部屋Rbに関する管理者)に通知する。換言すれば、当該入退室許可期間の終了後において、ユーザU1が当該設置部屋Rbから未だ退室していない旨(ユーザU1が当該設置部屋Rbに未だ在室している旨)が確認される場合には、当該設置部屋Rbからの当該ユーザU1の未退室が管理者に通知される。
【0117】
以上のように、第1実施形態では、使用要求に係るジョブが実行されるジョブ実行装置(ここではMFP10b1)の設置部屋(ここでは部屋Rb)への入室権限を当該使用要求の要求元ユーザ(ユーザU1)が有しない場合であっても、当該要求元ユーザU1による当該設置部屋Rbへの入退室が一時的に許可される。具体的には、当該要求元ユーザU1による当該設置部屋Rbへの入退室が一時的に許可される期間(入退室許可期間)が自動的に算出され、要求元ユーザU1に関して算出された当該入退室許可期間における当該設置部屋Rbへの入退室が、当該要求元ユーザU1に対して一時的に且つ自動的に許可される。これによれば、入室権限を有しない部屋へのユーザの一時入室に関して、管理者による設定操作(権限付与操作)が介在しない(課題欄参照)。詳細には、ユーザは、入室権限を有しない部屋への一時入室を希望する場合に、一時的な入室権限の付与を管理者に依頼することを要しない。また、当該管理者は、当該一時的な入室権限の付与設定を行うことを要しない。したがって、入室権限を有しない部屋への一時的な入室に関する入退室管理をより容易に行うことが可能である。
【0118】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0119】
上記第1実施形態では、使用要求の要求元ユーザによって指定されたMFP10(被指定装置)が条件充足装置でない場合、当該使用要求に係るジョブを実行することができない旨の実行不可通知が当該要求元ユーザに通知されている。
【0120】
この第2実施形態では、被指定装置が条件充足装置でない場合、当該被指定装置とは別のMFP10の中から条件充足装置が検索される。
【0121】
この第2実施形態では、各MFP10は、自装置に関する各種情報のみならず、他装置(他のMFP10)に関する各種情報(他のMFP10の使用権限を有するユーザ、他のMFP10の保有機能等(
図5〜
図8参照))をも有している。
【0122】
図11は、第2実施形態に係る被指定装置の動作を示すフローチャートである。
図11に示されるように、第2実施形態では、第1実施形態の各処理(
図3のステップS11〜S15)に加えて、ステップS21〜S26の処理が実行される。なお、第2実施形態のステップS11〜S15(
図11)の処理は、第1実施形態のステップS11〜S15(
図3参照)と同様である。
【0123】
具体的には、被指定装置が条件充足装置でない旨がステップS11にて判定される場合、当該被指定装置とは別のMFP10の中から、条件充足装置(使用要求に係るジョブに関する所定の条件(1)〜(5)(第1実施形態参照)を充足するMFP10)が検索される(ステップS21,S23)。換言すれば、条件(1)〜(5)の条件充足性に関する判定対象装置(ここでは被指定装置とは別のMFP10)が条件充足装置であるか否か、が判定される。
【0124】
詳細には、条件充足装置の検索処理が2段階(ステップS21,S23)に分けて実行される。第1段階の検索処理(ステップS21)では、要求元ユーザが入室権限を有する部屋(「権限保持室」とも称する)に設置されたMFP10の中から条件充足装置が検索される。第2段階の検索処理(ステップS23)では、要求元ユーザが入室権限を有しない部屋(「権限非保持室」とも称する)に設置されたMFP10の中から条件充足装置が検索される。なお、権限保持室は、「入室許可室」とも称される。また、権限非保持室は、「入室不許可室」とも称される。
【0125】
まず、ステップS21においては、第1段階の検索処理が(第2段階の検索処理に対して)優先的に行われる。具体的には、被指定装置は、要求元ユーザ(たとえばユーザU3)が入室権限を原則的に(非一時的に)有する部屋(権限保持室)(ここでは部屋Rb(
図4参照))に条件充足装置が存在するか否か、を判定する。
【0126】
たとえば、要求元ユーザU3が権限保持室RbのMFP10b3を使用希望装置として指定した場合において、被指定装置(MFP10b3)が条件充足装置でない旨がステップS11にて判定されるときには、権限保持室Rbに設置されたMFP10b1〜10b3のうち当該MFP10b2を除く残余のMFP10b1,10b2の中から条件充足装置が検索される。そして、条件充足性に関する判定対象装置(ここでは当該残余のMFP10b1,10b2)のうち少なくとも一つが条件充足装置である場合、権限保持室(ここでは部屋Rb)に条件充足装置が存在する旨がステップS21にて判定される。
【0127】
また、たとえば、要求元ユーザU3が入室権限を有しない部屋(権限非保持室)(たとえば部屋Rc)のMFP10c1が使用希望装置として指定された場合において、当該MFP10c1が条件充足装置でない旨がステップS11にて判定されるときには、条件充足性に関する判定対象装置(ここでは権限保持室RbのMFP10b1〜10b3)の中から条件充足装置が検索される。
【0128】
MFP10b1〜10b3のうち少なくとも一つが条件充足装置である場合、権限保持室Rbに条件充足装置が存在する旨がステップS21にて判定される。
【0129】
そして、処理はステップS22へと進み、被指定装置は、権限保持室(ここでは部屋Rb)内の条件充足装置(第1の検索処理にて検出された条件充足装置)を、ジョブ実行装置(使用要求に係るジョブが実行されるMFP10)として決定する(ステップS22)。たとえば、権限保持室RbのMFP10b2が条件充足装置として検出された場合は、当該MFP10b2がジョブ実行装置として決定される。
【0130】
なお、権限保持室Rbに複数の条件充足装置が存在する場合は、当該複数の条件充足装置の中から選択されたMFP10が、ジョブ実行装置として決定される。たとえば、被指定装置は、当該複数の条件充足装置の装置IDをコンピュータ30に表示させ、当該複数の条件充足装置の中から要求元ユーザによって選択されたMFP10を、ジョブ実行装置として決定する。ただし、これに限定されず、被指定装置は、当該複数の条件充足装置のうち、要求元ユーザの席の位置から最も近い位置に設置された条件充足装置を、ジョブ実行装置として決定してもよい。
【0131】
ジョブ実行装置がステップS22にて決定されると、被指定装置は、使用要求に係るジョブ(たとえば印刷ジョブ)に関するジョブ情報と当該印刷ジョブの実行指令と当該印刷ジョブの印刷対象データとを、ジョブ実行装置として決定されたMFP10に送信する。
【0132】
一方、権限保持室(ここでは部屋Rb)に条件充足装置が存在しない旨がステップS21にて判定されると、処理はステップS23へと進む。換言すれば、第1段階の検索処理(ステップS22)によって条件充足装置を検出できない場合、第2段階の検索処理がさらに実行される。
【0133】
具体的には、ステップS23においては、被指定装置は、要求元ユーザ(たとえばユーザU3)が入室権限を有しない部屋(権限非保持室)に条件充足装置が存在するか否か、を判定する。ここでは、当該要求元ユーザU3が入室権限を有しない部屋Ra,Rc,...(
図4参照)に設置されたMFP10の中から条件充足装置が検索される。換言すれば、当該権限非保持室に設置されたMFP10a1,10a2,10c1,10c2,10c3,...(
図1および
図5も参照)の中に条件充足装置が存在するか否か、が判定される。
【0134】
権限非保持室に設置された複数のMFP10のうち少なくとも一つが条件充足装置である場合、権限非保持室(ここではRa,Rc,...)に条件充足装置が存在する旨がステップS23にて判定される。
【0135】
そして、処理はステップS24へと進み、被指定装置は、権限非保持室(部屋Ra,Rc,...)内の条件充足装置を、ジョブ実行装置として決定する(ステップS24)。たとえば、権限非保持室Rcに設置されたMFP10c2が条件充足装置として検出された場合は、当該MFP10c2がジョブ実行装置として決定される。
【0136】
なお、権限非保持室(部屋Ra,Rc,...)に複数の条件充足装置が存在する場合は、当該複数の条件充足装置の中から選択されたMFP10が、ジョブ実行装置として決定される。たとえば、被指定装置は、当該複数の条件充足装置の装置IDをコンピュータ30に表示させ、当該複数の条件充足装置(権限非保持室内の複数の条件充足装置)の中から要求元ユーザU3によって選択されたMFP10を、ジョブ実行装置として決定する。ただし、これに限定されず、当該複数の条件充足装置のうち、要求元ユーザの所属部署の部屋から最も近い位置の部屋に設置された条件充足装置を、ジョブ実行装置として決定してもよい。
【0137】
ジョブ実行装置がステップS24にて決定されると、被指定装置は、使用要求に係るジョブ(たとえば印刷ジョブ)に関するジョブ情報と当該印刷ジョブの実行指令と当該印刷ジョブの印刷対象データとを、ジョブ実行装置として決定されたMFP10に送信する。
【0138】
そして、処理はステップS25へと進み、被指定装置は、ジョブ実行装置として決定されたMFP10(権限非保持室のMFP10)の設置部屋Rに関して入退室許可期間を算出する。入退室許可期間が算出されると、被指定装置は、当該入退室許可期間を、要求元ユーザおよび入退室管理サーバ70に通知する(ステップS26)。なお、ステップS25,S26の処理内容は、ステップS14,S15の処理内容(第1実施形態参照)と同様である。
【0139】
一方、権限非保持室に条件充足装置が存在しない旨がステップS23にて判定されると、被指定装置は、使用要求に係るジョブ(ここでは印刷ジョブ)を実行することができない旨の実行不可通知を要求元ユーザ(詳細にはコンピュータ30)に通知する。
【0140】
そして、
図11のフローチャートは終了する。
【0141】
その後、ジョブ実行装置として決定されたMFP10においては、印刷ジョブの開始予定時刻の到来に応答して、当該印刷ジョブが実行される。また、入退室管理サーバ70においては、要求元ユーザに関して算出された入退室許可期間におけるジョブ実行装置の設置部屋Rへの入退室が当該要求元ユーザに対して一時的に許可される。
【0142】
このように、第2実施形態においては、被指定装置が条件充足装置でない場合、権限保持室(要求元ユーザが入室権限を有する部屋R)に設置されたMFP10の中から条件充足装置を検索する検索処理(第1段階の検索処理)が優先的に行われる。そして、当該第1段階の検索処理によって条件充足装置を検出できない場合に、権限非保持室(要求元ユーザが入室権限を有しない部屋R)に設置されたMFP10の中から条件充足装置を検索する検索処理(第2段階の検索処理)がさらに行われる。換言すれば、権限保持室(ここでは要求元ユーザの所属部署の部屋)に条件充足装置が存在する場合(端的に言えば、一時的な入室権限を付与しなくても済む場合)は、権限保持室の条件充足装置がジョブ実行装置として決定される。したがって、権限非保持室へのユーザの入室機会を最小限に抑えることによって当該権限非保持室におけるセキュリティの低下を抑えつつ、入室権限を有しない部屋への一時的な入室に関する入退室管理をより容易に行うことが可能である。
【0143】
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記内容のものに限定されるものではない。
【0144】
<印刷ジョブの実行開始に関する変形例>
たとえば、上記各実施形態では、印刷ジョブに関して算出された開始予定時刻(上記実施形態では9時57分)の到来に応答して、印刷ジョブがジョブ実行装置にて直ちに実行されているが、これに限定されない。
【0145】
ここにおいて、印刷ジョブの開始予定時刻の到来に応答して当該印刷ジョブの実行が開始される場合において、印刷ジョブの終了予定時刻に要求元ユーザがジョブ実行装置の設置位置に到着していないときには、印刷ジョブの終了から当該要求元ユーザの到着までの間、ジョブ実行装置にて出力された印刷出力物が排紙トレイに放置されてしまう。たとえば、印刷ジョブの終了予定時刻(たとえば10時00分)から5分後に要求元ユーザがジョブ実行装置の設置位置に到着した場合、5分間(10時00分〜10時05分)に亘って、当該印刷出力物が排紙トレイに放置されてしまう。その結果、要求元ユーザ以外のユーザに当該印刷出力物が見られる恐れがある。
【0146】
このような事情を考慮して、印刷ジョブに関して算出された開始予定時刻が到来した場合であっても、ジョブ実行装置の設置部屋Rへの要求元ユーザの入室が未だ確認されていないときには、ジョブ実行装置にて当該印刷ジョブの実行が開始されないようにしてもよい。端的に言えば、印刷ジョブが終了した時点で要求元ユーザがジョブ実行装置の設置位置に到着している(実行終了時に印刷出力物を直ちに受け取ることができる)ように、印刷ジョブの実行開始を遅らせるようにしてもよい。
【0147】
具体的には、要求元ユーザに関して算出された入退室許可期間(たとえば9時50分〜10時10分)内においてジョブ実行装置の設置部屋Rへの当該要求元ユーザの入室(実際の入室)が確認されたことに応答して、ジョブ実行装置にて印刷ジョブが実行されてもよい。
【0148】
詳細には、印刷ジョブに関して算出された開始予定時刻(たとえば9時57分)が到来した場合であっても、要求元ユーザによる当該設置部屋Rへの入室が未だ確認されていないときには、ジョブ実行装置は、印刷ジョブ(印刷ジョブの実行)を(この時点では)開始しない。その後、たとえば10時05分に当該要求元ユーザが当該設置部屋Rに入室すると、当該要求元ユーザによる当該設置部屋Rへの入室が(入退室管理サーバ70との通信を介して)確認されたことに応答して、ジョブ実行装置は、印刷ジョブを開始する。そして、要求元ユーザは、ジョブ実行装置の設置位置へと移動し、ジョブ実行装置にて印刷ジョブが終了すると、当該要求元ユーザは、ジョブ実行装置にて印刷出力された印刷出力物を受け取る。
【0149】
また、ジョブ実行装置が設置されている設置部屋Rの出入口から当該ジョブ実行装置が設置されている設置位置までの距離が比較的離れていることもある。たとえば、ジョブ実行装置の設置部屋Rの出入口から徒歩で3分程度の距離に当該ジョブ実行装置が設置されていることもある。このような場合、要求元ユーザの入室が確認されたことに応答してジョブ実行装置にてジョブが実行されるとしても、印刷ジョブの終了から要求元ユーザがジョブ実行装置の設置位置に到着するまでの間、印刷出力物が排紙トレイに放置されてしまう恐れもある。
【0150】
このような事情を考慮して、たとえば、当該入退室許可期間内において要求元ユーザによる当該設置部屋への入室が確認されてから所定時間ΔT(たとえば2分)が経過したことに応答して、ジョブ実行装置にて印刷ジョブが実行されるようにしてもよい(
図13参照)。
【0151】
詳細には、要求元ユーザは、印刷ジョブの設定に際して、当該印刷ジョブの印刷対象データのデータ量(印刷枚数)等に基づいて、印刷ジョブのおおよその実行所要時間(たとえば約1分)を推定する。また、要求元ユーザは、被指定装置の設置部屋Rの出入口から当該被指定装置の設置位置までの徒歩での所要時間(たとえば約3分)を(自身の経験等に基づき)予め知得している。これらの情報を用いて、要求元ユーザは、印刷ジョブの印刷設定画面において、被指定装置の設置部屋Rに自身が入室してから当該印刷ジョブの実行が被指定装置にて開始されるまでの時間(入室確認から実行開始までの待機時間)ΔT(ここでは2分(=3分−1分))を指定する。
【0152】
そして、ジョブ実行装置(被指定装置)は、印刷ジョブに関して算出された開始予定時刻T10の到来に応答して直ちに印刷ジョブを開始するのではなく、入退室許可期間において要求元ユーザによる自装置の設置部屋への入室が確認された後、要求元ユーザによる指定時間ΔTが経過すると、当該印刷ジョブを開始する(
図13参照)。たとえば、ジョブ実行装置は、印刷ジョブの開始予定時刻(たとえば9時57分)が到来した場合であっても、直ちに印刷ジョブの実行を開始しない。そして、たとえば10時05分に当該要求元ユーザが当該設置部屋Rに入室した旨が確認されると、当該要求元ユーザによる当該設置部屋Rへの入室が確認されてから2分(指定時間ΔT)が経過した時点で(ここでは10時07分に)、ジョブ実行装置は印刷ジョブを実行する(
図13参照)。その後、当該印刷ジョブ(約1分の実行所要時間を有する印刷ジョブ)は10時08分に終了し、印刷出力物は、10時05分に当該設置部屋Rに入室して10時08分頃にジョブ実行装置の設置位置に到着した要求元ユーザによって受け取られる。
【0153】
なお、ここでは、所定時間ΔTが要求元ユーザによって指定されているが、これに限定されず、当該所定時間は、管理者等によって予め指定されてもよい。たとえば、印刷ジョブの平均的な実行所要時間と各部屋Rの出入口から各MFP10の設置位置までの徒歩での所要時間とに基づいて、当該所定時間ΔTが管理者等によって予め指定されていてもよい。
【0154】
このように、印刷ジョブに関して算出された開始予定時刻が到来した場合であっても、要求元ユーザによるジョブ実行装置の設置部屋Rへの入室が未だ確認されていないときには、当該印刷ジョブの実行が開始されないようにしてもよい。
【0155】
これによれば、ジョブ実行装置の設置部屋Rへの要求元ユーザの入室が確認されたこと(あるいは当該入室が確認されてから所定時間が経過したこと)に応答して、当該ジョブ実行装置にて印刷ジョブの実行が開始される。換言すれば、印刷ジョブの開始予定時刻が到来した場合であっても、当該要求元ユーザによる当該設置部屋Rへの入室が確認されるまでは、当該印刷ジョブはジョブ実行装置にて実行されない。したがって、ジョブ実行装置にて印刷出力物が出力されてから要求元ユーザが当該ジョブ実行装置の設置位置に到着するまで期間に亘って当該印刷出力物が排紙トレイに放置されること、を抑制することが可能である。
【0156】
<退室許可条件に関する変形例>
さらに、上記各実施形態等において、さらに、ジョブ実行装置の設置部屋Rからの退室許可条件が設けられてもよい。
【0157】
たとえば、ジョブ実行装置で印刷出力された印刷出力物を要求元ユーザが保持していることを条件(退室許可条件)に、当該ジョブ実行装置の設置部屋Rからの当該要求元ユーザの退室が許可されるようにしてもよい。
【0158】
具体的には、ジョブ実行装置は、2次元バーコード(QRコード(登録商標)等)150を付加した印刷出力物(
図12参照)を印刷出力する。当該2次元バーコード150には、ジョブ実行装置で実行されたジョブに関するジョブ識別情報(たとえばジョブ実行装置の装置IDおよびジョブID等)が書き込まれる。
【0159】
そして、要求元ユーザが、印刷出力物に付加された2次元バーコード150をジョブ実行装置の設置部屋RのゲートG(詳細にはゲートGに設置された読取装置)にかざすことによって、ゲートGは、当該2次元バーコード150に書き込まれたジョブ識別情報を抽出する。抽出されたジョブ識別情報は、ゲートGから入退室管理サーバ70へと送信される。入退室管理サーバ70においては、ジョブ実行装置で実行されるジョブに関するジョブ識別情報が、正規の情報として当該ジョブ実行装置から予め取得される。
【0160】
そして、入退室管理サーバ70は、ゲートGにて印刷出力物から取得されたジョブ識別情報と予め取得されたジョブ識別情報(正規の情報)との同一性に基づいて、ジョブ実行装置によって印刷出力された印刷出力物を要求元ユーザが保持しているか否か、を判定する。
【0161】
たとえば、ジョブ実行装置で印刷出力された印刷出力物を要求元ユーザが保持していることが確認されると、入退室管理サーバ70は、当該要求元ユーザの退室(ジョブ実行装置の設置部屋Rからの退室)を許可する。
【0162】
一方、ジョブ実行装置で印刷出力された印刷出力物を要求元ユーザが保持していることが確認されない場合は、入退室管理サーバ70は、当該要求元ユーザの退室(ジョブ実行装置の設置部屋Rからの退室)を許可しない。そして、入退室管理サーバ70は、印刷出力物の取り忘れの防止を音声出力等によって要求元ユーザに通知する。たとえば、「印刷出力物に付加された2次元バーコードを読取装置にかざしてください。」等のメッセージが音声出力され、印刷出力物の取り忘れの防止が要求元ユーザに通知される。
【0163】
このように、ジョブ実行装置で実行されるジョブに関するジョブ識別情報と当該ジョブ実行装置で印刷出力された印刷出力物に付加されたジョブ識別情報とに基づいて、当該印刷出力物を要求元ユーザが保持している旨が確認されることを条件に、当該ジョブ実行装置の設置部屋Rからの当該要求元ユーザの退室が許可されてもよい。
【0164】
これによれば、要求元ユーザが当該印刷出力物を保持していない場合は、ジョブ実行装置の設置部屋Rからの退室は許可されない。したがって、当該印刷出力物の取り忘れを防止することが可能である。
【0165】
<一時入室の他ユーザへの通知に関する変形例>
また、上記各実施形態等において、要求元ユーザに関して算出された入退室許可期間(ジョブ実行装置の設置部屋Rに関する入退室許可期間)の開始前において、当該設置部屋Rへの入室権限を有するユーザに対して、要求元ユーザによる当該設置部屋Rへの一時入室が更に通知されるようにしてもよい。
【0166】
具体的には、要求元ユーザ(たとえばU1)が、ジョブ実行装置の設置部屋(たとえば入室権限を有しない部屋Rb)に一時入室する場合、要求元ユーザU1に関して算出された入退室許可期間の開始時点から所定時間(たとえば5分)前において、被指定装置は、当該部屋Rbの部署に属するユーザに対して、当該ユーザU1による部屋Rbへの一時入室を通知する。なお、当該部屋Rbの部署に属する全てのユーザに対して、当該ユーザU1による部屋Rbへの一時入室が通知されてもよく、あるいは、当該部屋Rbの部署に属するユーザの一部(たとえば部屋Rbに現在居るユーザ)に対して、当該ユーザU1による部屋Rbへの一時入室が通知されるようにしてもよい。また、現在いずれのユーザが部屋Rbに居るかは、たとえば入退室管理サーバ70によって特定されればよい。
【0167】
このように、要求元ユーザに関して算出された入退室許可期間の開始前において、ジョブ実行装置の設置部屋Rへの入室権限を(非一時的に)有するユーザに対して、要求元ユーザ(当該設置部屋Rへの入室権限を有しないユーザ)による当該設置部屋Rへの一時入室が通知されてもよい。
【0168】
<ジョブ実行装置がジョブ実行不可状態に遷移した場合に関する変形例>
さらに、上記実施形態等において、ジョブ実行装置の設置部屋Rに関して入退室許可期間が算出された後において当該ジョブ実行装置がジョブを実行することができない状態(「ジョブ実行不可状態」とも称する)に遷移した場合に、次のような動作が更に行われてもよい。
【0169】
たとえば、ジョブ実行装置の設置部屋Rに関して入退室許可期間が算出された後(ステップS14あるいはステップS25の後)、当該ジョブ実行装置において異常(たとえばエラー)が発生すると、当該ジョブ実行装置は、当該ジョブを実行することができない状態(ジョブ実行不可状態)に遷移する。ジョブ実行装置は、自装置がジョブ実行不可状態に遷移した旨を取得(検知)すると、要求元ユーザ(詳細にはコンピュータ30)に対して、ジョブ実行装置がジョブ実行不可状態に遷移した旨を通知する。
【0170】
そして、ジョブ実行装置は、自装置にて発生した異常の種類に基づいて、使用要求に係るジョブを実行することが可能な状態(ジョブ実行可能状態)に復帰することが可能であるか否か、を判定する。詳細には、当該ジョブの終了予定時刻までにジョブ実行装置がジョブ実行可能状態に復帰することが可能であるか否か、が判定される。
【0171】
たとえば、別のジョブの実行中に紙詰まり(比較的早期に解消することが可能な異常)が発生したことに起因してジョブ実行装置がジョブ実行不可状態に遷移した場合、ジョブ実行装置は、自装置がジョブ実行可能状態に復帰することが可能である旨を判定する。当該ジョブの終了予定時刻までにジョブ実行装置がジョブ実行可能状態に復帰することが可能である場合、ジョブ実行装置は、その旨(終了予定時刻までにジョブ実行可能状態に復帰することが可能である旨)を要求元ユーザに通知する。そして、たとえば当該紙詰まりが解消してジョブ実行装置がジョブ実行可能状態に復帰した旨が検知されると、当該ジョブ実行装置は、要求元ユーザに関して入退室許可期間を再度算出する。再度算出された入退室許可期間は、ジョブ実行装置から要求元ユーザと入退室管理サーバ70とに通知される。
【0172】
一方、装置故障(たとえば給紙ローラーの故障)(比較的早期に解消することが困難な異常)が発生したことに起因してジョブ実行装置がジョブ実行不可状態に遷移した場合、ジョブ実行装置は、当該ジョブの終了予定時刻までにジョブ実行装置がジョブ実行可能状態に復帰することが困難である旨を判定する。当該ジョブの終了予定時刻までにジョブ実行装置がジョブ実行可能状態に復帰することが困難である場合、ジョブ実行装置は、その旨(終了予定時刻までにジョブ実行可能状態に復帰することが困難である旨)を要求元ユーザに通知するとともに、別のMFP10を新たなジョブ実行装置として決定する。詳細には、ジョブ実行装置は、当該ジョブ実行装置とは異なるMFP10の中から条件充足装置を検索して、条件充足装置として判定されたMFP10を、新たなジョブ実行装置として決定する(第2実施形態のステップS21〜S26等も参照)。そして、新たなジョブ実行装置の設置部屋Rへの入室権限を要求元ユーザが有しない場合には、当該新たなジョブ実行装置の設置部屋Rに関して新たな入退室許可期間が算出され、当該新たな入退室許可期間が要求元ユーザおよび入退室管理サーバ70に通知される。その後、入退室管理サーバ70においては、当該新たな入退室許可期間における要求元ユーザの入退室(当該新たなジョブ実行装置の設置部屋Rへの入退室)が、一時的に許可される。
【0173】
このように、ジョブ実行装置の設置部屋Rに関して入退室許可期間が算出された後において当該ジョブ実行装置がジョブ実行不可状態に遷移した場合に、上記のような措置が取られるようにしてもよい。
【0174】
<使用要求に係るジョブに関する変形例>
また、上記各実施形態等においては、印刷ジョブの実行を希望する旨の使用要求が被指定装置に送信されているが、これに限定されず、他のジョブ(スキャンジョブ、コピージョブ等)の実行を希望する旨の使用要求が被指定装置に送信されてもよい。
【0175】
たとえば、ユーザがスキャンジョブの実行を希望する場合において、自部署の部屋Rに設置されたMFP10が他ユーザによって現在使用されているときには、ユーザが、他部署の部屋Rに設置されたMFP10で当該スキャンジョブを実行したいと考えることもある。
【0176】
このような場合、コンピュータ30にてスキャンジョブに関する各種設定が当該ユーザによって行われた後、他部署の部屋Rに設置されたMFP10(被指定装置)に対して、被指定装置にてスキャンジョブの実行を希望する旨の使用要求が送信される。当該使用要求には、スキャンジョブに関するジョブ情報が含まれる。当該ジョブ情報には、当該使用要求の要求元ユーザのユーザ識別情報(たとえばユーザID)と、当該スキャンジョブに関する設定内容情報とが含まれる。
【0177】
そして、被指定装置においては、当該使用要求に応答して、自装置が条件充足装置であるか否か、が判定されるとともに、ジョブ実行装置の決定処理および入退室許可期間の算出処理等が実行される(第1実施形態の
図3あるいは第2実施形態の
図11参照)。
【0178】
その後、要求元ユーザに関して算出された入退室許可期間におけるジョブ実行装置の設置部屋Rへの入退室が当該要求元ユーザに対して一時的に許可され、当該要求元ユーザは、当該入退室許可期間内において当該設置部屋Rに入室する。そして、当該要求元ユーザによる操作に応答して、ジョブ実行装置はスキャンジョブを実行する。
【0179】
このように、印刷ジョブ以外のジョブに関する使用要求が被指定装置に送信されてもよい。
【0180】
<各処理の実行主体に関する変形例>
また、上記各実施形態等では、条件充足性に関する判定処理および入退室許可期間の算出処理等(
図3,11参照)を被指定装置(要求元ユーザによって指定されたMFP10)が実行しているが、これに限定されない。たとえば、入退室管理システム1が、各部屋Rに設置されたMFP10を一括して管理する装置管理サーバを有し、当該装置管理サーバが、当該判定処理および算出処理等の動作を行うようにしてもよい。
【0181】
具体的には、コンピュータ30は、要求元ユーザによって指定されたMFP10(被指定装置)の使用要求を、被指定装置ではなく、装置管理サーバに送信する。そして、装置管理サーバは、被指定装置が条件充足装置であるか否か、を判定する(ステップS11)。この改変例では、各部屋Rへの入室権限を有するユーザが、当該装置管理サーバに予め登録されている(
図4参照)。また、装置管理サーバには、各MFP10の使用権限を有するユーザ、各MFP10の保有機能、各MFP10の保有詳細機能、および各MFP10の稼働状況もが登録されている(
図5〜
図8参照)。さらに、装置管理サーバには、各部屋Rの利用可能時間もが予め登録されている(
図9参照)。装置管理サーバは、これらの情報に基づいて、被指定装置が条件充足装置であるか否か、を判定する。
【0182】
被指定装置が条件充足装置である旨がステップS11にて判定されると、装置管理サーバは、被指定装置をジョブ実行装置として決定し(ステップS12)、要求元ユーザがジョブ実行装置の設置部屋Rへの入室権限を有するか否か、を判定する(ステップS13)。そして、要求元ユーザが当該設置部屋Rへの入室権限を有しない場合、装置管理サーバは、当該要求元ユーザに関して入退室許可期間を算出し(ステップS14)、当該入退室許可期間を要求元ユーザと入退室管理サーバ70とに通知する(ステップS15)。
【0183】
なお、被指定装置が条件充足装置でない旨がステップS11にて判定される場合は、たとえば第1実施形態のように、被指定装置でジョブを実行することができない旨の実行不可通知が要求元ユーザに通知されてもよい。あるいは、第2実施形態のように、被指定装置とは別のMFP10の中から条件充足装置を検索する検索処理が実行されてもよい(
図11のステップS21〜S26参照)。
【0184】
また、上記各実施形態等では、被指定装置(あるいは装置管理サーバ)が
図3(あるいは
図11)の処理(ステップS11〜S15(およびS21〜S26))の全てを実行しているが、これに限定されない。たとえば、
図3(あるいは
図11)の処理(ステップS11〜S15(およびS21〜S26))の一部の処理を被指定装置が実行し、残余の処理を装置管理サーバが実行してもよい。具体的には、ジョブ実行装置が決定されるまでの処理(ステップS11,S12(およびS21〜S24))を装置管理サーバが実行し、ジョブ実行装置が決定された後の処理(入退室許可期間の算出処理等)(ステップS13〜S15(およびS25,S26))をジョブ実行装置が実行してもよい。
【0185】
さらに、上記各実施形態等では、要求元ユーザが各部屋Rへの入室権限を有するか否かの判定処理(ステップS13)を被指定装置(あるいは装置管理サーバ)が実行しているが、これに限定されない。たとえば、当該判定処理を、被指定装置(あるいは装置管理サーバ)からの問合せに応答して、入退室管理サーバ70が実行してもよい。そして、被指定装置(あるいは装置管理サーバ)は、入退室管理サーバ70によって判定された判定結果(要求元ユーザが各部屋Rへの入室権限を有するか否かの判定結果)を、当該入退室管理サーバ70から取得するようにしてもよい。
【0186】
なお、この改変例では、装置管理サーバと入退室管理サーバ70とは別個の装置であるが、これに限定されず、装置管理サーバと入退室管理サーバ70とが同一の装置であってもよい。換言すれば、1台のサーバ装置(管理サーバ)が、装置管理サーバの処理(ステップS11〜S15(およびS21〜S26))と入退室管理サーバ70の処理(各部屋Rへのユーザの入退室の許否を決定する処理等)との双方を行うようにしてもよい。ただし、装置管理サーバと入退室管理サーバ70とが同一の装置である場合、要求元ユーザに関して算出された入退室許可期間を入退室管理サーバ70に送信する処理(ステップS15の一部)は実行されない。
【0187】
<その他>
また、上記各実施形態等においては、印刷ジョブに関して算出された終了予定時刻から所定時間(たとえば10分)前の時刻が入退室許可期間の始期として算出されているが、これに限定されず、たとえば、当該終了予定時刻が入退室許可期間の始期として算出されてもよい。
【0188】
さらに、上記各実施形態等においては、条件充足性に関する判定対象装置が要求元ユーザによる指定時刻(希望終了時刻)にジョブを終了することが可能であること、が条件充足装置に関する条件(4)(第1実施形態参照)として用いられているが、これに限定されない。たとえば、当該判定対象装置が要求元ユーザによる指定時刻(希望開始時刻)にジョブを開始することが可能であること、が条件(4)として用いられてもよい。
【0189】
具体的には、たとえばユーザが10時00分に所望のMFP10を用いてスキャンジョブを実行したいと考える場合、当該ユーザは、スキャンジョブの設定画面において、所望の開始時刻(希望開始時刻あるいは利用開始時刻)を指定する。条件(4)に関しては、当該設定画面にて要求元ユーザによって指定された時刻(希望開始時刻)に判定対象装置がジョブ(ここではスキャンジョブ)を開始することが可能であるか否か、が判定される。換言すれば、要求元ユーザによる指定時刻に当該要求元ユーザが判定対象装置の使用を開始することが可能であるか否か、が判定される。そして、条件充足性に関する判定処理においては、上述の条件(1)〜(3),(5)に加えて、当該条件(4)を充足するMFP10が、ジョブ実行装置として決定される。このように、条件充足性に関する判定対象装置が要求元ユーザの希望開始時刻にジョブを開始することが可能であること、が条件(4)として用いられてもよい。
【0190】
また、上記各実施形態等においては、条件充足性に関する判定対象装置が条件(1)〜(5)の全てを充足する場合に、当該判定対象装置がジョブ実行装置として決定されているが、これに限定されず、当該判定対象装置が条件(1)〜(5)の少なくとも一部を充足する場合に、当該判定対象装置がジョブ実行装置として決定されてもよい。
【0191】
さらに、上記実施形態等においては、ユーザによって指定されたMFP10(被指定装置)の使用要求に応答して、当該被指定装置が条件充足装置であるか否かが判定され、被指定装置が条件充足装置でない場合に、他のMFP10の中から条件充足装置が検索されているが、これに限定されない。たとえば、ユーザによってMFP10が指定されずに、ユーザからの使用要求に応答して、複数のMFP10の中から条件充足装置が検索されるようにしてもよい。
【0192】
具体的には、コンピュータ30は、ジョブの設定に際してMFP10の指定をユーザから受け付けずに、MFP10(当該ジョブを実行することが可能なMFP10)の使用要求を装置管理サーバ(あるいは所定のMFP10)に送信する。装置管理サーバ(あるいは所定のMFP10)は、当該使用要求に応答して、各部屋Rに設置された複数のMFP10の中から条件充足装置を検索し、条件充足装置として判定されたMFP10を、ジョブ実行装置として決定する。そして、ジョブ実行装置として決定されたMFP10の設置部屋Rの使用権限を当該使用要求の要求元ユーザが有しない場合、当該要求元ユーザに関して入退室許可期間が算出され、当該要求元ユーザに対して、ジョブ実行装置として決定されたMFP10と当該MFP10の設置部屋Rと当該入退室許可期間とが通知される。その後、要求元ユーザに関して算出された入退室許可期間における当該設置部屋Rへの入退室が当該要求元ユーザに対して一時的に許可される。
【0193】
このように、MFP10の使用要求に応答して、複数のMFP10の中からジョブ実行装置が決定されるようにしてもよい。