【実施例】
【0011】
図1は、本発明の自動取引装置の一実施例としてのATM(Automated Teller Machine)100の構成を示しており、
図2は、ATM100の外観とATM100を含む自動取引システム200の構成を示している。尚、ATM100は、例えば、金融機関の各支店に設置され、夫々金融機関のホストコンピュータ(以下、単にホストとも称する)300及びCRMサーバ400に接続されている。
【0012】
図1に示すATM100は、制御部11によって動作制御される。制御部11は、取引者が望む取引の選択に関する入力を受け付ける選択受付部11Aと、ATM100を操作する取引者(以下、使用者あるいは顧客ともいう。)が行う取引に関連する情報の提示を行う情報提示部11Bとを備えている。
【0013】
選択受付部11Aは、所定の情報に基づいて、種々の取引から所定の取引を選択して、当該選択された取引の選択に関する入力を受け付けることができる。
【0014】
情報保持部としての記憶部12は、制御部11の処理に必要なデータ及び処理において発生するデータを適宜記憶するハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。
【0015】
通信部13は、制御部11の指示に従って外部とのデータの送受信等の通信を行うためのNIC(Network Interface Card)等である。通信部13は、例えば、後述の取引制御において生ずるホストコンピュータ300やCRMサーバ400等の外部機器との通信を行う。以下、ATM100と外部との通信は、通信部13を介して行われるものとする。
【0016】
操作表示部14は、
図2に示すようにATM100の前面に設けられている。操作表示部14は、告知部としてのディスプレイ14Aと、このディスプレイ14Aの表示面を覆う入力部としてのタッチパッド14Bとを含む。
【0017】
ティスプレイ14Aは、制御部11から供給された操作表示信号に基づき、各種の操作画面又はメッセージ等を含む取引画面(取引者等が取引種別の選択し得る取引選択画面、及び取引内容の入力を受け付ける取引内容受付画面を含む)を表示する表示器(例えば、液晶表示装置)からなる。
【0018】
タッチパッド14Bは、使用者がディスプレイ14Aに表示された内容に対応した領域に触れると、当該表示された内容に対応した操作信号を制御部11に供給する(例えば、感圧式又は静電式の)タッチパッドである。
【0019】
現金入出機構15は、制御部11から供給された開閉制御信号に応じて、
図2に示すようにATM100の前面に設けられた紙幣入出口17及び硬貨入出口19のシャッタの開閉を行う。また、現金入出機構15は、制御部11から供給された現金引出信号に応じて、紙幣又は硬貨が格納されている現金格納庫(図示せず)から、当該現金引出御信号にて示される金額に対応した紙幣又は硬貨を取り出して、それぞれ紙幣入出口17及び硬貨入出口19に導出する。更に、現金入出機構15は、使用者が紙幣入出口17又は硬貨入出口19に投入した紙幣又は硬貨を取り込み、現金格納庫に格納する。
【0020】
通帳記帳機21は、
図2に示すようにATM100の前面に設けられた通帳挿入排出口23に顧客の預金通帳が挿入されると、これを取り込む。この際、通帳記帳機21は、制御部11から供給された取引結果信号にて示される取引内容、及び当該取引の実行日時等を、顧客の預金通帳に書き込む。当該書き込みが終了すると、通帳記帳機21は、顧客の預金通帳を通帳挿入排出口23から排出する。
【0021】
識別データ受付手段としての情報読取印刷機25は、
図2に示すATM100の前面に設けられたカード挿入排出口27に顧客の取引カードが挿入されると、当該取引カードを取り込んで当該取引カードが保持している情報を読み取る。この読み取りは、取引カードのエンボス、磁気ストライプ又はICチップを読み取ることで行われる。
【0022】
当該取引カードが保持している情報は、例えば、カードの名義人情報、当該取引カードを発行しているカード会社又は銀行等の金融機関の情報等である。すなわち、当該取引カードは、ATM100を操作する取引者の識別データを有している。情報読取印刷機25は、読み取ったカード情報を制御部11に供給する。
【0023】
また、情報読取印刷機25は、制御部11からカード排出信号が供給された場合には、取り込んだ取引カードをカード挿入排出口27から排出させる。また、情報読取印刷機25は、制御部11から供給された取引明細プリント信号に応じて、当該取引明細プリント信号にて表される取引結果を明細票用紙に印刷する。当該明細票は、取引カードと共にカード挿入排出口27から送出される。
【0024】
更に、識別データ受付部としての生体情報受付部28は、
図2に示すようにATM100の前面に設けられた指紋認証部28A及び撮像装置28Bを有している。生体情報受付部28は、ATM100を操作する取引者の識別データである生体情報を受け付けて、当該生体情報を制御部11に供給する。
【0025】
例えば、指紋認証部28Aは、操作者が指紋認証部に挿入した指の指紋を読み取ることが可能である。また、撮像装置28Bは、ATMを操作する操作者の映像を撮像し、例えば、目の虹彩を読み取ったり、操作者の顔画像を撮像して画像認識したりすることが可能である。
【0026】
さらに、ATM100においては、カード情報及び生体情報に代えて、取引者を識別可能な取引者識別データとしてのマイナンバーを識別データとして制御部11に供給することが可能である。例えば、当該マイナンバーは、タッチパッド14Bによって入力されてもよい。
【0027】
なお、以下の説明においては、取引者識別データとして、行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に定められる個人番号(マイナンバー)を用いる場合を例に説明する。
【0028】
制御部11は、取引者の識別データとして上記情報読取印刷機25から供給されたカード情報等の識別データをCRMサーバ400に送信して、CRMサーバ400に当該取引者に応じた(例えば、カードの名義人情報に応じた)情報である顧客情報(口座データ)を要求する。この口座データは、口座データ保持手段としてのCRMサーバ400内の顧客情報データベース(DB)400A内に保存(保持)されている。また、当該口座データは、取引者の取引口座に対応した暗証番号との組として保持されている。
【0029】
なお、CRMサーバ400は、取引者のマイナンバーと取引口座とを関連付けて、例えばマイナンバー口座データセットとして保持していても良い。その場合においては、制御部11は、上記受け付けたマイナンバーを識別データとしてCRMサーバ400に送信し、口座データの要求又は取引者の確認を行っても良い。
【0030】
ここで、本実施例のATM100は、識別データ受付部として、既存のATMと同様に取引カードの保持情報を読取る情報読取印刷機25を備えているが、本発明によれば、前述したように、取引カードのような媒体を使用することなく、すなわちカード情報に代えて、「マイナンバー」のような取引者識別データを用いることで取引者確認を行う機能を備えている。
【0031】
そのため、ATM100の情報読取印刷機25は、取引カードが挿入されることなく、取引選択画面で選択された「マイナンバー」の入力が実行されると、入力されたマイナンバーを取引者識別データとして取り込むことができる。その後、ATM100は、セキュリティのための「暗証番号」入力と当該暗証番号の判定及び取引可否の判定を経て、以降通常の取引操作を可能とするものである。
【0032】
また、本発明の自動取引装置としては、「マイナンバー」のような取引者識別データの入力・受付が可能で、当該データに基づいて取引者(顧客)確認を行う機能を備えればよく、
図2に示されたカード挿入排出口27のような取引カードの挿入・排出を行う設備はなくてもよい。
【0033】
なお、実施例では、カード情報と共に又はカード情報に代えて、取引者の識別データとして生体情報受付部28から供給された生体情報をCRMサーバ400に送信して、当該生体情報に対応取引者の口座データを顧客情報DB400Aに要求し、これを受信してもよい。また、制御部11がカード情報又は生体情報から取引者を識別して、当該識別によって得られた識別データを顧客情報DB400Aに送信し、当該識別された取引者の口座データを顧客情報DB400Aから受信してもよい。
【0034】
口座データは、例えば、取引者(取引カードの名義人等)である顧客が、複数の取引種別の中から選択し予め設定している1又は複数の指定取引、又は顧客の取引履歴、顧客の取引志向等の取引に関する情報を含んでいる。また、口座データは、顧客の性格、顧客の興味のある取引等の他の情報も含み得る。
【0035】
制御部11の選択受付部11Aは、「お引き出し」、「お預け入れ」、「外貨定期預金」等の取引から使用者が所望する取引の選択を行う取引選択画面において表示する取引の候補を決定する。
【0036】
制御部11の情報提示部11Bは、口座データに基づいて、取引選択画面において、残高情報等、当該決定された取引の候補に関する情報を提示する。また、情報提示部11Bは、使用者によって実行する取引が選択された後、取引内容の受付画面において、口座データに基づいて、所定の振込先及び振込手数料等、当該選択された取引に関する情報を提示する。
【0037】
[取引制御ルーチン]
以下、ATM100の取引制御ルーチンについて説明する。
図3及び
図4は、制御部11によって実行される取引制御ルーチンR1を示す。制御部11は、例えば電源が投入されると、取引制御ルーチンR1を実行する。なお、ATM100に人感センサ等を設けて、顧客がATM100に近づいたことが検出された際に取引制御ルーチンが実行されるようにしてもよい。
【0038】
初めに
図3に示すように、制御部11の選択受付部11Aは、ディスプレイ14Aに、例えば
図5に示すような取引種別入力受付案内画面(以下、受付案内画面を単に受付画面という)を表示させる(ステップS1)。ここで表示される取引種別入力受付画面は、所望の取引の選択入力の他、マイナンバーによる取引の選択入力を取引者に促す表示画面である。
【0039】
図5の表示画面では、「お預入れ」、「お引出し」等の取引が選択されると、全顧客に共通の画面を表示させるための通常取引選択ボタン群A1(図中破線内)が表示されている。また、
図5の表示画面においては、ATM100を操作する顧客がマイナンバーを登録する場合、或いは登録後に可能となるマイナンバー取引を行う場合に操作する画面に遷移するためのボタンとして、「マイナンバー」ボタンA2が用意されている。
【0040】
制御部11は、ステップS1の実行後、取引種別が選択されたか否か、具体的には、タッチパッド14Bを介して通常取引ボタン群A1(
図5)の何れかのボタンが押されたか否かを判定する(ステップS2)。
【0041】
制御部11は、
図5に示すような表示画面で取引種別が選択されたと判定する(ステップS2:YES)と、当該取引種別に応じた通常の取引処理を実行する(ステップS211)。そして、取引処理が終了すると、後述のステップS4の表示画面と同様に、
図6(a)に示すようなマイナンバー登録確認画面を表示させ、この画面で「登録する」が選択されたかを判定する(ステップS212)。そして、「登録する」が選択されない(ステップS212:NO)ときは、このルーチンを終了する。一方、「登録する」が選択される(ステップS212:YES)と、
図6(b)に示すようなマイナンバー入力画面を表示する(ステップS213)。そして、この画面で取引者が未登録のマイナンバーを入力すると、ホスト300との通信によって、後述のステップS16と同様のマイナンバー登録処理を実行し(ステップS214)、最後に
図6(c)に示すような登録完了通知画面を表示して終了する。この一連のマイナンバー登録処理については、後で説明する。
【0042】
一方、ステップS2において取引種別が選択されていないと判定する(ステップS2:NO)と、タッチパッド14Bを介してマイナンバーボタンA2(
図5)が押されたか否かを判定する(ステップS3)。そして、ステップS3において、マイナンバーボタンA2が押されていないと判定する(ステップS3:NO)と、ステップS2に戻り、取引種別が選択されたか否かの判定を行う。
【0043】
制御部11は、ステップS3において、マイナンバーボタンA2が押されたと判定する(ステップS3:YES)と、ディスプレイ14Aに、例えば、
図7(a)又は
図8(a)に示すような登録確認入力画面を表示させる(ステップS4)。この表示画面は、顧客(使用者)に自己のマイナンバーを「登録する」、「登録しない」或いは「登録済」の選択入力を促す画面である。
【0044】
制御部11は、次のステップS5において、ステップS4の表示画面で「登録する」ボタンが押されたと判定する(ステップS5:YES)と、後述のステップS8に移行する。一方、「登録する」ボタンが押されていないと判定する(ステップS5:NO)と、次のステップS6において「登録しない」ボタンが押されたか否かを判定する。そして、「登録しない」ボタンが押されたと判定する(ステップS6:YES)と、ステップS2に戻り、取引種別が選択されたか否かの判定を行う。
【0045】
一方、「登録しない」ボタンが押されていないと判定する(ステップS6:NO)と、制御部11は、次のステップS7において「登録済」ボタンが押されたか否かを判定する。そして、「登録済」ボタンも押されていないと判定する(ステップS7:NO)と、ステップS5に戻って以降の判定を繰り返す。
【0046】
また、後述のように取引者(顧客)のマイナンバーが登録済の場合には、自己の登録済マイナンバーを使用して取引を行うため、例えば
図8(a)に示した登録確認入力画面(
図7(a)と同じ)において、「登録済」ボタンを選択する。その結果、制御部11は、登録済と判定する(ステップS7:YES)と、
図4のステップS13に移行して、
図8(b)に示すようなマイナンバー入力画面を表示させる。ここでマイナンバーを入力することにより、取引者は、取引カード等の媒体を使用せず、自己の登録済マイナンバーを取引者識別データとして使用して取引を行うことが可能になる。
【0047】
これに対し、取引者(顧客)のマイナンバーが未登録の場合には、制御部11は、上記のステップS5で「登録する」ボタンが押されたか又はステップS6で「登録しない」ボタンが押されたと判定すると、取引者にカードの挿入(又は生体認証)を促す要求画面をディスプレイ14Aに表示させる(ステップS8)。この画面は、例えば
図7(b)に示すカード挿入要求画面である。例えば、取引者に生体認証を促す場合は、
図7(b)の画面において、「認証装置に登録した指を置いてください。」などの文字メッセージが表示されることとしても良い。
【0048】
制御部11は、上記ステップS8の実行後、カード情報又は生体情報が取り込まれたか否かを判定する(ステップS9)。この判定は、カード挿入排出口27から情報読取印刷機25に取引カードが取り込まれたか否か、具体的には、情報読取印刷機25内のセンサが取引カードの存在を検出したか否か、又は生体情報受付部28から生体情報が取り込まれたか否かの判定することで行うことができる。
【0049】
制御部11は、ステップS9において、カード情報又は生体情報が取り込まれていないと判定する(ステップS9:NO)と、一定時間待機した後に再度ステップS9を実行する。
【0050】
制御部11は、ステップS9において、カード情報又は生体情報が取り込まれたと判定する(ステップS9:YES)と、当該カード情報又は生体情報により口座データを取得(特定)する(ステップS10)。なお、カード情報は、カードの名義人情報、当該取引カードを発行しているカード会社又は銀行等の金融機関の情報等である。
【0051】
制御部11は、ステップS10の実行後、顧客に暗証番号の入力を促す画面表示である暗証番号受付画面をディスプレイに表示させる(ステップS11)。この画面表示は、例えば、
図7(c)に示すようにテンキーを表示して行われる。
【0052】
制御部11は、ステップS11の実行後、暗証番号受付画面において正しい暗証番号が入力されたか否かを判定する(ステップS12)。この判定は、使用者によってタッチパッド14Bを用いた暗証番号の入力が行われたか否かで判定してもよい。入力された暗証番号が正しいか否かは、取引カード内の情報によって判定してもよいし、ホストコンピュータ300に問い合わせて判定してもよい。
【0053】
制御部11は、暗証番号が入力されていない又は正しい暗証番号が入力されていないと判定する(ステップS12:NO)と、一定時間待機した後、再度ステップS12を実行する。
【0054】
次に
図4に示すように、制御部11は、上記ステップS12において正しい暗証番号が入力されたと判定する(ステップS12:YES)か、又は上記ステップS7において「登録済」ボタンが押されたと判定する(ステップS7:YES)と、マイナンバーの入力を促すマイナンバー入力(受付)画面をディスプレイ14Aに表示させる(ステップS13)。この画面表示は、上記暗証番号受付画面(ステップS11)と同様に、例えば
図7(d)に示すようなテンキーを表示して行われる。
【0055】
制御部11は、上記ステップS13の実行後、マイナンバーが入力されたか否かを判定する(ステップS14)。そして、マイナンバーが入力されていないと判定する(ステップS14:NO)と、一定時間待機した後、再度ステップS14を実行する。このステップにおいて、制御部11は、識別データ受付手段として機能する。
【0056】
一方、制御部11は、マイナンバーが入力されたと判定する(ステップS14:YES)と、次のステップS15において、ホスト300と通信して当該マイナンバーが登録済か否かを判定する。これは、本実施例の取引制御ルーチンでは、マイナンバー未登録の場合と登録済(上記ステップS7で「登録済」入力)の場合とがあり、それを確認すると共に、未登録と登録済の場合で以下の処理が異なるためである。
【0057】
この判定は、例えば、ATM100からホスト300にマイナンバーを送ることによってホスト300で実行される。そして、登録済と判定される(ステップS15:YES)と、後述のステップS17で他のマイナンバーを登録するか否かを判定する。一方、登録済でない(未登録)と判定される(ステップS15:NO)と、次のステップS16でマイナンバー登録処理を実行する。
【0058】
マイナンバー登録処理は、例えば、銀行等の金融機関との取引の場合、預金口座の名義人、口座番号等のデータである口座データと、取引者識別データとしてのマイナンバーとを、ホスト300において関連(対応)付けて、例えばCRMサーバの顧客情報DB400Aのような情報記憶部に保存(保持)することである。なお、当該関連付けはATM100で実行し、当該関連付けたデータをホスト300を介してCRMサーバ等の情報記憶部に保存するようにしてもよい。
【0059】
上記ステップS16でのマイナンバー登録処理が完了するか、又はステップS15で登録済と判定すると、次のステップS17で他のマイナンバーを登録するか否かを判定する。これは、一つの取引口座を家族などの複数人で使用する場合に、各人のマイナンバーを登録する必要があることに対応するものである。
【0060】
そのため、制御部11は、例えば
図7(e)に示すような他登録確認画面を表示させる。そして、この画面で「登録する」が選択される(ステップS17:YES)と、ステップS13に戻って、
図7(f)に示すようなマイナンバー入力画面を表示させ、次のステップS14でマイナンバーの入力を待機する。以降、「登録する」マイナンバーがある限り、ステップS13〜S17を繰り返し実行する。
【0061】
制御部11は、上記ステップS17の表示画面(例えば
図7(e))で「登録しない」が選択(入力)される(ステップS17:NO)と、次に取引者に取引を行うか終了かを選択させる取引選択画面を表示する(ステップS18)。ここで、終了が選択される(ステップS18:NO)と、この制御ルーチンを終了する。
【0062】
一方、取引が選択される(ステップS18:YES)と、次のステップS19で取引種別が選択されたかを判定し、選択されていないと判定される(ステップS19:NO)であればステップS18に戻って、再度取引開始の判定を行う。
【0063】
一方、ステップS19において取引種別が選択されると(ステップS19:YES)、入力された暗証番号及び取引内容(例えば、取引金額、振込先等)をホスト300に送信する(ステップS20)。なお。前記ステップS7で「登録済」の場合は、暗証番号の入力(ステップS12)なしで、ステップS13以降の処理が行われ、ステップS20で暗証番号の入力を要求しても良い。
【0064】
ステップS20において、暗証番号及び取引内容が送信されると、ホスト300においては、例えば次のような判定が行われる。登録済みのマイナンバーが入力された場合においては、ホスト300はCRMサーバ400に問い合わせを行い、登録済みのマイナンバーと、入力されたマイナンバーとを対比して、入力されたマイナンバーに関連付けられた口座データに対応した取引口座を特定する。そして、当該取引口座に対応した暗証番号と、ステップS20において入力された暗証番号とが一致するか否かを判定する。
【0065】
一方、マイナンバー登録処理に続くステップS20においても、再度暗証番号の入力を要求しても良い。この場合、マイナンバー登録処理時に特定された取引口座に対応した暗証番号と、ステップS20において入力された暗証番号とが一致するか否かを判定する。ホスト300は、当該判定により一致すると判定された場合に取引の許可をATM100に通知する。
【0066】
その後、制御部11は、ホスト300と通信してホスト300が取引を許可したか否かを判定する(ステップS21)。この判定は、ホスト300から取引の許可通知が到来したか否かで判定してもよい。
【0067】
制御部11は、上記ステップS21において、ホスト300が取引を許可したと判定する(ステップS21:YES)と、取引内容に応じて取引処理を実行する(ステップS22)。例えば、取引が「引出し」の場合には、現金入出機構15に、現金格納庫(図示せず)から、当該取引内容に含まれる金額に対応した紙幣又は硬貨を取り出させ、それぞれ紙幣入出口17及び硬貨入出口19に導出させる。
【0068】
上記のように、本実施例によれば、取引者のマイナンバーが未登録の場合には、初めの取引種別選択画面(
図5)で「マイナンバー」が選択され(ステップS3:YES)、
図7(a)に示すような登録確認画面(ステップS4)で「登録する」ボタンが押されると、カード情報又は生体情報による口座データの取得(ステップS10)と正しい暗証番号の入力(ステップS12)を経て、未登録のマイナンバーが入力される(ステップS13)。
【0069】
従って、マイナンバーの登録処理は、取引者のカード情報又は生体情報が取得された状態で正しい暗証番号が入力されるので、セキュリティを確保してマイナンバーの登録を行うことができる。なお、ステップS17において他のマイナンバーを登録することもできる。
【0070】
また、取引者のマイナンバー登録後は、例えば
図8(a)に示されるマイナンバー登録確認表示画面(ステップS4)で「登録済」が選択され(ステップS7:YES)、次に
図8(b)に示されるような表示画面で登録済のマイナンバーが入力され(ステップS14:YES)、登録済と判定(ステップS15:YES)後、ステップS17で他のマイナンバー登録がなく、ステップS18で取引開始後、ステップS19の取引種別選択、及びステップ21の取引許可を経て、取引処理が実行される(ステップS22)。
【0071】
なお、セキュリティすなわち取引の安全性をより向上させるため、マイナンバー入力の他に、カード等の媒体を使用しない生体情報と暗証番号の入力を要求することで本人確認を行うようにしてもよい。
【0072】
上記の取引処理においては、登録済マイナンバーの入力後にホスト300との通信により取引許可が得られると、制御部11は、例えば、
図8(c)に示すような取引口座選択画面を表示し、ここで口座が選択されると、次に
図8(d)に示すような取引選択画面を表示する。そして、例えば「お引出し」が選択されると、通常(既存)の取引処理と同様に、
図8(e)に示すような暗証番号入力画面を表示し、ここで入力された暗証番号を確認後、
図8(f)に示すように引出し金額を入力させる画面を表示する。以降、通常の取引処理を実行する。
【0073】
一方、上記ステップS21において、ホスト300から取引許可が得られなかった場合(ステップS21:NO)には、制御部11は、当該取引を扱えない旨の表示をディスプレイ14Aにさせる(ステップS23)。この表示は、例えば「入力されたお取引内容ではお取引できません」と画面に表示するものである。
【0074】
制御部11は、ステップS22又はS23の実行後、取引の終了処理を実行し(ステップS24)、その後、制御ルーチンを終了する。この終了処理は、例えば、情報読取印刷機25に取引の内容を記載した明細票を印刷させて排出させる処理、又はマイナンバー登録のために使用した取引カードをカード挿入排出口27から排出する処理であってもよい。
【0075】
なお、上記のマイナンバー登録後は、取引カード等の媒体を使用せずマイナンバーの入力で取引可能になり、終了処理(ステップS24)では取引カード等の媒体の排出は行われない。
【0076】
上記したように、本実施例のATMとこれを含む取引システムは、取引者識別データとして汎用性及び識別性の高いマイナンバーを登録し、取引の際には、従来のキャッシュカードや通帳等の媒体に代えて、登録済のマイナンバーを使用可能とすることで、媒体不要の利便性を向上させたものである。
【0077】
本実施例は、上記の取引処理ルーチンR1を備えることにより、マイナンバーの登録と、登録済のマイナンバーを用いる取引とを、次のように実行する。
【0078】
(1)マイナンバー登録
取引者が自己のマイナンバーを登録する場合は、
図5に示された表示画面で「マイナンバー」を選択すると(ステップS3:YES)、
図7(a)に示す登録確認入力画面が表示され(ステップS4)、取引者が「登録する」ボタンを押す(ステップS5:YES)と、
図7(b)に示されたようなカード挿入(又は生体認証)を促す要求画面が表示される(ステップS8)。
【0079】
ここで、取引者が取引カードの挿入又は生体情報の入力操作を行う(ステップS9:YES)と、制御部11は、カード情報又は生体情報の保存(ステップS10)を経て、
図7(c)に示すような暗証番号受付画面を表示させる(ステップS11)。そして、正しい暗証番号の入力が確認される(ステップS12:YES)と、制御部11は、
図7(d)に示されたようなマイナンバー入力画面を表示させる(ステップS13)。
【0080】
ここで、マイナンバーが入力される(ステップS14:YES)と、制御部11は、当該マイナンバーが登録済でない(ステップS15:NO)ことの確認を経て、当該マイナンバーを登録する処理(ステップS16)を実行する。
更に、
図7(e)に示すように他のマイナンバーの登録を確認する画面で登録希望がある場合は、
図7(f)に示すようなマイナンバーの入力画面を経て、登録処理を行う。そして、
図7(e)に示された再確認画面で「登録しない」と入力されると、ホスト300との通信によりマイナンバーの登録完了を報知する画面を表示する。この画面は、例えば
図7(g)に示すように「次回からカードや通帳等の媒体が不要になる」旨を知らせるものである。
【0081】
また、上記実施例では、初めの取引種別選択画面で選択された場合には、その取引種別に応じた通常の取引処理(ステップS211)の終了後に、
図6(a)に示すようなマイナンバー登録確認画面を表示させ、この画面で「登録」が選択されたとき(ステップS212:YES)、マイナンバー入力を経て、マイナンバー登録処理を実行する(ステップS214)。
【0082】
この場合、通常の取引処理の前段階で、カード情報や生体情報と暗証番号による本人確認が行われているので、取引者がマイナンバーを入力することにより、迅速に登録処理を開始することができる。
【0083】
こうしてマイナンバーを登録した取引者は、以後、取引カード等の媒体を使用することなく自己の登録済マイナンバーを入力することで、取引できることになる。
【0084】
(2)登録済マイナンバーを用いた取引
取引者が自己の登録済マイナンバーを使用して取引を行う場合は、
図5に示された表示画面で「マイナンバー」を選択すると(ステップS3:YES)、
図8(a)に示すような登録確認画面が表示され(ステップS4)、取引者が「登録済」ボタンを押す(ステップS7:YES)と、
図8(b)に示した入力画面が表示される(ステップS13)。ここで、登録済のマイナンバーが入力されると、制御部11は、マイナンバーの入力確認(ステップS14)、ホスト300との通信により当該マイナンバーの登録確認(ステップS15)から取引許可の確認(ステップ21)を経て、取引処理を実行する。なお、上記登録済のマイナンバーの入力の際、入力画面に入力する代わりに、例えば、カード挿入排出口27又は非接触型ICカードリーダ/ライタ(図示せず。)がマイナンバーカードのICチップに記録された情報を読み取って、場合によっては暗号化された情報を復号等することで、マイナンバーを特定する場合などがあっても良い。
【0085】
この場合、取引処理の前段階でマイナンバー入力(ステップS14:YES)後に登録済を確認している(ステップS15:YES)ので、迅速にホストの取引許可を得て登録処理を開始することができる。
[変形例]
本実施例では、登録済マイナンバーの入力後にホスト300との通信により取引許可が得られたとき、取引者が複数の取引口座を有する場合は、
図8(c)に示すように複数の取引口座が表示され、その中から取引の口座を選択できるようになっているが、表示された複数の取引口座の全てを対象として取引ができるようにしてもよい。これは、例えば、
図8(c)に示すような画面において全口座を選択するボタンを表示することで実現できる。
【0086】
その場合、取引者が、表示された全口座を選択後、次に
図8(d)のように表示される取引選択画面で、例えば「お引出し」を選択すると、ATMの制御部11は、ホスト300との通信により、次のような取引種別(この場合、引出し)確認処理を行う。
【0087】
図9のフローチャートにおいて、初めに、取引者の登録済マイナンバー或いは取引カードの情報等で紐付け(対応付け)された複数の取引口座の残高の総和を確認して(ステップS101)、その総和は十分あるかを判定する(ステップS102)。ここで、「十分」とは、例えば、各口座の引き出し可能な金額の合計が、取引者の要求する金額以上であることである。
【0088】
上記ステップS102の判定で“NO”の場合は、複数の取引口座(要求元口座)を管理する取引サーバに「引出し不可」を通知して(ステップS103)、終了する。一方、ステップS102の判定で“YES”の場合は、予め定められた取引順位に従って、引き落としの取引を取引サーバに指示する(ステップS104)。そして、引き落とし取引の額が要求金額になるまで上記引き落としの取引を実行し(ステップS105)、引き落としが完了する(ステップS105:YES)と、この処理ルーチンを終了する。
【0089】
上記の取引確認処理によれば、取引者は、取引カード等の媒体がなくても、自己の登録済マイナンバー等の取引者識別データを用いるだけで引出し等の取引を迅速に行うことが可能になる。
【0090】
以上のとおり、実施例及び変形例について説明したが、本発明は、これらに限られるものではない。
【0091】
例えば、上記実施例では、マイナンバーの登録も可能な構成を備えているが、登録自体は、予め金融機関の窓口等で登録の手続きをとることで行ってもよい。従って、本発明の自動取引装置は、マイナンバーの登録が可能な構成を備えないものでもよい。その場合においても、自動取引装置又は自動取引システムは、予め登録されたマイナンバーと取引者によって入力されたマイナンバーとを対比して、口座データの特定、暗証番号の判定及び取引許可の判定を実行するように構成されていれば良い。
【0092】
また、実施例のATMは、取引カードを使用する既存の構成(仕様)を備えているが、本発明によれば、マイナンバーのような取引者識別データの登録後は、当該マイナンバーを用いて取引可能になるので、取引カード等の媒体を扱う構成を備えなくてもよい。実施例は、取引者識別データとしてのマイナンバーの登録や本人確認(口座データ特定)のために取引カードを使用できるように構成されたものである。これは、既存のATMにマイナンバー取引の機能を実現する構成を付与することによって実現できる。
【0093】
なお、マイナンバー登録時の本人確認(口座データの特定)において、キャッシュカード又は生体認証を使用する例について説明したが、これらに加えて、他の本人確認を組み合わせても良い。例えば、免許証、パスポート、保険証などの身分証明書により、特定された取引口座の取引者本人であることを確認することとしても良い。当該本人確認は、例えば、身分証の提示又は身分証に固有の番号又は記号を入力することとしても良い。当該本人確認の組み合わせにより、取引の安全性を更に高めることが可能となる。
【0094】
また、ATMを例に説明したが、上記構成及び取引制御ルーチンは、ATM以外の他の装置においても適用可能である。
【0095】
上記実施例では、CRMサーバ400内に顧客情報DB400Aが備えられていることとして説明したが、顧客情報DB400AはATM100内に備えられていてもよい。また、顧客情報DB400Aはホストコンピュータ300内に備えられていても良い。
【0096】
また、上記の実施例においては、ホストコンピュータ300において、取引口座の特定、暗証番号に関する判定及び取引許可の判定を行う例について説明したが、当該取引口座の特定、暗証番号の判定及び取引許可の判定は、ATM100において行うこととしても良い。この場合、顧客情報DB400AがATM100内に備えられていれば、ATM100は、口座データを外部から受信する必要はない。
【0097】
上述した実施例における種々の構成、制御ルーチンは例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択及び変更可能である。
【0098】
上記の実施例において、取引カード等の媒体の使用に代えて用いられる取引者識別データとしては、「マイナンバー」を例にして説明した。しかし、取引者識別データはこれに限らず、例えば行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に定められる法人番号であっても良い。また、取引者識別データは、上記マイナンバー又は法人番号以外のデータであって、各個人及び法人に各々対応付けられた固有の番号、記号、或いはこれらの組み合わせであっても良い。
【0099】
例えば、取引者識別データは、免許証番号、パスポート番号、保険証番号、住民票コード、社会保障番号等であっても良い。取引者識別データは、特定の金融機関等との契約とは無関係に成立するデータであれば良い。
【0100】
以上、詳細に説明したように、本発明の自動取引装置、自動取引システム及び自動取引プログラムによれば、金融機関との口座取引処理において、マイナンバー等の取引者識別データを口座データ、すなわち取引口座及び暗証番号の組と関連付けて登録し、これを利用することが可能である。従って、キャッシュカードや通帳等の顧客情報を担持した媒体を使用することなく、取引者識別データ及び暗証番号による取引が可能となり、取引の安全性を確保しつつ利便性の向上を図ることができる。
【0101】
また、複数の口座と取引者識別データとを関連付けた登録、又は特定の口座と複数の取引者識別データとを関連付けた登録が可能となり、さらなる利便性の向上を図ることが可能な自動取引装置、自動取引システム及び自動取引プログラムを提供することができる。