特許第6790594号(P6790594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6790594画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム及び画像処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790594
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20201116BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20201116BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20201116BHJP
   G06T 1/20 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G03G15/00 303
   G03G15/01 113A
   G03G15/01 S
   G03G15/08 390Z
   G06T1/20 C
【請求項の数】16
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-167451(P2016-167451)
(22)【出願日】2016年8月30日
(65)【公開番号】特開2018-36343(P2018-36343A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 宏司
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−145600(JP,A)
【文献】 特開2015−068960(JP,A)
【文献】 特開2000−341530(JP,A)
【文献】 特開2006−245938(JP,A)
【文献】 特開2012−134648(JP,A)
【文献】 特開2010−192962(JP,A)
【文献】 特開2005−332381(JP,A)
【文献】 特開2015−177362(JP,A)
【文献】 特開平01−199280(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0279008(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105785730(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/01
G03G 15/08
G06T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するパイプライン処理部と、
前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する検出部と、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウントするカウンターと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を決定する距離係数決定部と、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を算出する補正値算出部と、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの各画素の画素値に加算する補正部と、を備え、
前記補正部により前記補正値を加算する位置が、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置にあり、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均する平均化処理部を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記先端又は後端のエッジの強度を決定するエッジ強度決定部と、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数を決定する濃度係数決定部と、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数を決定する線幅係数決定部と、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数を算出する補正係数出力部と、を備え、
前記補正値算出部は、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値を保持するメモリーを備えることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を判別する属性判別部を備え、
前記補正部は、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するパイプライン処理部と、
前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する検出部と、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウントするカウンターと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を決定する距離係数決定部と、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を算出する補正値算出部と、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの各画素の画素値に加算する補正部と、を備え、
前記補正部により前記補正値を加算する位置が、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置にあり、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均する平均化処理部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記先端又は後端のエッジの強度を決定するエッジ強度決定部と、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数を決定する濃度係数決定部と、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数を決定する線幅係数決定部と、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数を算出する補正係数出力部と、を備え、
前記補正値算出部は、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値を保持するメモリーを備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を判別する属性判別部を備え、
前記補正部は、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するパイプライン処理部と、
前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する検出部と、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウントするカウンターと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を決定する距離係数決定部と、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を算出する補正値算出部と、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの画素の画素値に加算する補正部と、を備え、
前記補正部により前記補正値を加算する位置が、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置にあり、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均する平均化処理部を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
前記先端又は後端のエッジの強度を決定するエッジ強度決定部と、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数を決定する濃度係数決定部と、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数を決定する線幅係数決定部と、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数を算出する補正係数出力部と、を備え、
前記補正値算出部は、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値を保持するメモリーを備えることを特徴とする請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を判別する属性判別部を備え、
前記補正部は、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項13】
パイプライン処理部により、画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するステップと、
検出部により、前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出するステップと、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウンターによりカウントするステップと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を距離係数決定部により決定するステップと、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を補正値算出部により算出するステップと、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、補正部により、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの各画素の画素値に加算するステップと、を含み、
前記補正部により前記補正値を加算する位置を、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置とし、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、平均化処理部により当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均するステップを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
前記先端又は後端のエッジの強度をエッジ強度決定部により決定するステップと、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数決定部により濃度係数を決定するステップと、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数決定部により線幅係数を決定するステップと、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数出力部により補正係数を算出するステップと、を含み、
前記補正値を算出するステップでは、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項13に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値をメモリーに保持するステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を属性判別部により判別するステップを含み、
前記補正値を加算するステップでは、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにおける現像方式には、現像スリーブと感光体を同じ方向に回転させる方式と逆方向に回転させる方式とがあり、前者をウィズ方式、後者をカウンター方式と呼ぶことがある。このうち、カウンター方式では、図18に示すように、感光体aと逆方向に回転する現像スリーブbによって、画像の先端c1側のトナーがキャリアの穂によって後端c2側へ掃き寄せられ、画像の濃度が先端c1で薄くなるかすれ及び後端c2で濃くなる掃き寄せと呼ばれる画質劣化を引き起こすことがある。ウィズ方式においては、画像の先端と後端で逆の現象が発生する。
【0003】
このようなトナーの偏在を、画像処理によって改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。例えば、トナーの掃き寄せによって濃度変動が発生する領域を、画像データを解析して検出した文字や図形等のエッジを元に推測し、濃度低下が生じる領域では画素値を増やし、濃度上昇が生じる領域では画素値を減らす補正が行われている。
また、センサーによって画像の濃度変動を検出し、検出した濃度変動に応じて現像条件を調整する方法も提案されている(例えば、特許文献4及び5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−58765号公報
【特許文献2】特開平11−196277号公報
【特許文献3】特開平11−346315号公報
【特許文献4】特開平7−175367号公報
【特許文献5】特開平10−142856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像データを補正する上記特許文献1〜3では、文字や図形等の画像のエッジを検出し、そのエッジ方向やコントラスト等から補正すべき画像領域とその補正値を決定している。検出すべきエッジ付近の画像領域と補正すべき画像領域を同時に観察することが必要になるため、少なくとも両方の画像領域を含む画像データがメモリー上に展開されていることが前提になる。この観察のためにメモリーに保持する画像領域は、一般に観察窓と呼ばれている。
【0006】
例えば、掃き寄せが生じる起点である画像のエッジを検出するためには、エッジの内側と外側の画素値を同時に観察する必要があり、3〜5画素の領域が必要である。掃き寄せは、広範囲だと副走査方向に0.6mmの規模で発生することがあり、600dpiの解像度の場合、0.6mmは15画素分に相当する。図19に示すように、エッジの検出のために5画素の領域を観察し、エッジから15画素の領域を補正する場合、両方の領域を含む17画素の観察窓が必要になる。つまり、かすれ及び掃き寄せを補正するためには副走査方向に17画素(N=17)のサイズのメモリーを確保する必要がある。
【0007】
観察窓が大きくなるほど必要なメモリー容量が増え、回路規模が拡大するが、従来は回路規模を抑えるためにメモリー容量を削減する手段については考慮されていなかった。上記特許文献1〜3においても、CPUが使用するワークメモリーやページメモリー等の潤沢なメモリー資源を使用することを前提としており、使用するメモリーの容量を最小限に最適化することについては検討されていない。
【0008】
また、コピー機やプリンター等の画像形成装置においては、装置構成の単純化やパフォーマンス(スループット)向上の観点から、画質向上のための複数種の画像処理をパイプライン処理によって連結していることが多い。パイプライン処理は複数の処理要素を直列に連結するため、ある処理がそれより前の処理のリソース(回路、処理装置、メモリー等)を再利用することができない。このようなパイプライン処理の処理回路では、上述のように大きな観察窓に相当するメモリーを搭載しようとすると、回路規模が膨大になってしまい、コストアップにつながる。
【0009】
本発明の課題は、パイプライン処理する画像データの補正に使用するメモリー容量を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、
画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するパイプライン処理部と、
前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する検出部と、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウントするカウンターと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を決定する距離係数決定部と、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を算出する補正値算出部と、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの各画素の画素値に加算する補正部と、を備え、
前記補正部により前記補正値を加算する位置が、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置にあり、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均する平均化処理部を備えることを特徴とする画像処理装置が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記先端又は後端のエッジの強度を決定するエッジ強度決定部と、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数を決定する濃度係数決定部と、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数を決定する線幅係数決定部と、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数を算出する補正係数出力部と、を備え、
前記補正値算出部は、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置が提供される。
【0012】
請求項に記載の発明によれば、
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値を保持するメモリーを備えることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置が提供される。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を判別する属性判別部を備え、
前記補正部は、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の画像処理装置が提供される。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、
画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するパイプライン処理部と、
前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する検出部と、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウントするカウンターと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を決定する距離係数決定部と、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を算出する補正値算出部と、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの各画素の画素値に加算する補正部と、を備え、
前記補正部により前記補正値を加算する位置が、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置にあり、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均する平均化処理部を備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、
前記先端又は後端のエッジの強度を決定するエッジ強度決定部と、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数を決定する濃度係数決定部と、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数を決定する線幅係数決定部と、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数を算出する補正係数出力部と、を備え、
前記補正値算出部は、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置が提供される。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値を保持するメモリーを備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置が提供される。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を判別する属性判別部を備え、
前記補正部は、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の画像形成装置が提供される。
【0020】
請求項9に記載の発明によれば、
画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するパイプライン処理部と、
前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する検出部と、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウントするカウンターと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を決定する距離係数決定部と、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を算出する補正値算出部と、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの画素の画素値に加算する補正部と、を備え、
前記補正部により前記補正値を加算する位置が、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置にあり、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均する平均化処理部を備えることを特徴とする画像形成システムが提供される。
請求項10に記載の発明によれば、
前記先端又は後端のエッジの強度を決定するエッジ強度決定部と、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数を決定する濃度係数決定部と、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数を決定する線幅係数決定部と、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数を算出する補正係数出力部と、を備え、
前記補正値算出部は、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項9に記載の画像形成システムが提供される。
【0022】
請求項11に記載の発明によれば、
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値を保持するメモリーを備えることを特徴とする請求項10に記載の画像形成システムが提供される。
【0024】
請求項12に記載の発明によれば、
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を判別する属性判別部を備え、
前記補正部は、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項11のいずれか一項に記載の画像形成システムが提供される。
【0025】
請求項13に記載の発明によれば、
パイプライン処理部により、画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するステップと、
検出部により、前記パイプライン処理部に入力する前記画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出するステップと、
前記画像データの各画素が、前記検出部により前記先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウンターによりカウントするステップと、
前記カウンターのカウント値を用いて、前記先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にある前記オブジェクトの各画素の画素値を、前記先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を距離係数決定部により決定するステップと、
前記距離係数決定部により決定した距離係数を用いて、前記オブジェクトの各画素の補正値を補正値算出部により算出するステップと、
前記補正値算出部により算出した各画素の補正値を、補正部により、前記パイプライン処理部から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された前記画像データの各画素の画素値に加算するステップと、を含み、
前記補正部により前記補正値を加算する位置を、前記検出部に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置とし、
前記画像データの主走査方向に隣接する各画素の元の画素値が同じ場合、平均化処理部により当該各画素の補正後の画素値を重み付け平均するステップを含むことを特徴とする画像処理方法が提供される。
請求項14に記載の発明によれば、
前記先端又は後端のエッジの強度をエッジ強度決定部により決定するステップと、
前記先端又は後端のエッジが検出されたオブジェクトの画素値に応じて、濃度係数決定部により濃度係数を決定するステップと、
前記先端のエッジから前記後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数決定部により線幅係数を決定するステップと、
前記エッジ強度決定部により決定したエッジの強度、前記濃度係数決定部により決定した濃度係数及び前記線幅係数決定部により決定した線幅係数のうちの少なくとも1つを用いて、補正係数出力部により補正係数を算出するステップと、を含み、
前記補正値を算出するステップでは、前記距離係数決定部により決定した距離係数と、前記補正係数出力部により算出した補正係数と、を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項13に記載の画像処理方法が提供される。
【0027】
請求項15に記載の発明によれば、
前記補正係数出力部により算出した前記画像データの各画素の補正係数及び前記カウンターのカウント値をメモリーに保持するステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の画像処理方法が提供される。
【0029】
請求項16に記載の発明によれば、
前記画像データの属性データを入力し、当該属性データが示す前記画像データの各画素の属性を属性判別部により判別するステップを含み、
前記補正値を加算するステップでは、前記属性判別部により判別した各画素の属性に応じて、前記各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることを特徴とする請求項1315のいずれか一項に記載の画像処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、パイプライン処理する画像データの補正に使用するメモリー容量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施の形態の画像処理装置の構成を機能ごとに表すブロック図である。
図2】エッジ検出の処理手順を示すフローチャートである。
図3】カウンターのカウント動作を示すフローチャートである。
図4A】カウンター方式の場合の濃度変動例を示す図である。
図4B】カウンター方式の場合の画像データの補正例を示す図である。
図5A】ウィズ方式の場合の濃度変動例を示す図である。
図5B】ウィズ方式の場合の画像データの補正例を示す図である。
図6】カウント値に対してテーブルから出力される距離係数の一例を示す図である。
図7】濃度係数を決定するときの処理手順を示すフローチャートである。
図8】オブジェクトの画素値に対してテーブルから出力される濃度係数の一例を示す図である。
図9】線幅係数を決定するときの処理手順を示すフローチャートである。
図10】線幅に対してテーブルから出力される線幅係数の一例を示す図である。
図11A】エッジ検出時のオブジェクトの先端の画像データを示す図である。
図11B】エッジ検出時からN+1画素シフトした時のオブジェクトの先端の画像データを示す図である。
図12A】エッジ検出時のオブジェクトの後端の画像データを示す図である。
図12B】エッジ検出時からN+1画素シフトした時のオブジェクトの後端の画像データを示す図である。
図13】平均化処理に使用するフィルターの一例を示す図である。
図14】平均化処理前後の画像例を示す図である。
図15】本発明の一実施の形態である画像形成装置の構成を機能ごとに示すブロック図である。
図16】画像形成装置に搭載したときの画像処理装置の構成を機能ごとに示すブロック図である。
図17】本発明の一実施の形態である画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図18】カウンター方式におけるトナーの掃き寄せ現象を示す図である。
図19】従来の掃き寄せの補正に必要な観察窓を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像形成システム及び画像処理方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0033】
〔画像処理装置〕
図1は、本発明の実施の形態の画像処理装置1の構成を示している。
画像処理装置1は、パイプライン処理する画像データを補正することにより、文字、図形等の画像の先端及び後端で発生する、掃き寄せ、かすれ、吸い込み等と呼ばれる濃度変動を減らすことができる。
【0034】
画像処理装置1は、図1に示すように、パイプライン処理部10、検出部11、カウンター121及び122、距離係数決定部13、補正係数出力部14、ラインメモリー15、補正値算出部16、補正部17、平均化処理部18及び属性判別部19を備えて、構成されている。
以下、画像処理装置1が、1画素が0〜255段階の濃淡を表す8bitのデータ値を有する画像データを補正する例を説明するが、画像データのデータ量はこれに限定されない。
【0035】
パイプライン処理部10は、エッジ検出部11から副走査方向に1画素ずつ出力される画像データを入力し、入力した画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら、複数種の画像処理を施して出力する。なお、画像データのシフト方向は、電子写真方式により感光体上に形成した画像のシフト方向と同じである。
【0036】
トナーの掃き寄せによってオブジェクトの先端及び後端において濃度変動が生じる領域のサイズをN画素と表すと、パイプライン処理部10は、副走査方向のサイズがN画素以上のラインメモリー、当該ラインメモリーに保持した画像データに画像処理を施す複数種の画像処理要素等により構成することができる。補正対象となる副走査方向の画素数Nは、実際に電子写真方式により用紙上に画像を形成したときにトナーの掃き寄せが生じる画像領域の副走査方向のサイズに応じて決定すればよい。
【0037】
[エッジ検出]
検出部11は、副走査方向に1画素ずつシフトしてパイプライン処理部10に入力する画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する。オブジェクトは、文字、図形、写真等の画像部分である。検出部11は、ラインメモリー等の画像データを保持するメモリー、エッジ検出のための処理回路等により構成することができる。
【0038】
検出部11がエッジ検出のために保持する画像データの単位領域は、観察窓と呼ばれている。観察窓の副走査方向のサイズは、副走査方向におけるエッジの検出に必要な画像領域のサイズに応じて決定することができ、例えば3〜5画素である。観察窓の主走査方向のサイズは画像データの主走査方向のサイズと同じM画素にすればよい。観察窓の副走査方向のサイズを4画素とする場合、検出部11は注目画素と副走査方向において注目画素より1〜3画素前に位置する3画素を含むM×4画素単位で画像データを入力する。
【0039】
図2は、検出部11の具体的な処理手順を示している。
オブジェクトの先端エッジでは当該エッジを起点に画素値が単調増加し、オブジェクトの後端エッジでは当該エッジを起点に画素値が単調減少する。検出部11は、観察窓に入力したM×4画素の各画素値が副走査方向において単調増加又は単調減少しているかどうかを判断するため、副走査方向に並ぶ各画素の画素値を比較する。観察窓に入力した注目画素の画素値をPm0、副走査方向において注目画素より1〜3画素前に位置する各画素の画素値をそれぞれPm1、Pm2及びPm3と表す。
【0040】
図2に示すように、比較した各画素値Pm0〜Pm3が下記式(1)の大小関係を満たす場合(ステップS11:Y)、各画素値が単調増加しているため、検出部11は注目画素と注目画素より1画素前の画素間において先端のエッジを検出する。検出部11は、先端のエッジを検出したことを示すフラグEd1を出力する(ステップS12)。
(1) Pm0≧Pm2、Pm1≧Pm3かつPm0−Pm3>Th
【0041】
一方、比較した各画素値Pm0及びPm1〜Pm3が下記式(2)の大小関係を満たす場合(ステップS11:N、S13:Y)、各画素値が単調減少しているため、検出部11は注目画素と注目画素より1画素前の画素間において後端のエッジを検出する。検出部11は、後端のエッジを検出したことを示すフラグEd2を出力する(ステップS14)。
(2) Pm0≦Pm2、Pm1≦Pm3かつPm3−Pm0>Th
なお、上記式(1)及び(2)中のThはエッジ判定用の閾値であり、任意に設定することができる。
【0042】
なお、上記式(1)を満たす場合であっても、カウンター121のカウント値が一定値以下である場合は、検出部11は先端のエッジ検出を無効にする。これにより、単調増加が続くときのエッジの誤検出を防ぐことができる。
同様に、上記式(2)を満たす場合であっても、カウンター122のカウント値が一定値以下である場合は、検出部11は後端のエッジ検出を無効する。これにより、単調減少が続くときのエッジの誤検出を防ぐことができる。
【0043】
各画素値Pm0〜Pm3が上記式(1)及び(2)のいずれも満たさない場合(ステップS11:N、S13:N)、先端及び後端のエッジはないため、フラグは出力せずに終了する。
以上の処理を、検出部11は、入力する画像データを副走査方向に1画素シフトしながら繰り返す。
【0044】
[カウンター]
2つのカウンター121及び122は、画像データの各画素が、検出部11により先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をそれぞれカウントする。
掃き寄せの現象は、後端エッジのNライン手前から後端エッジまでの範囲で発生する。また、かすれの現象は先端エッジからNライン後方までの範囲で発生する。両者を同時に補正するには少なくともNの2倍の値までカウンターでカウントする必要がある。したがって、カウンター121及び122は、少なくともNの2倍までカウントすればよく、N=15の場合はカウント範囲の最大値を2N+1として、例えば0〜31とすることができる。
【0045】
図3は、カウンター121の具体的なカウントの手順を示している。カウンター122は、フラグEd1ではなくフラグEd2に応じてカウント値Cnをリセットすること以外は、カウンター121と同様の手順でカウントを行う。
図3に示すように、カウンター121の初期値はカウント範囲の最大値CMaxに設定されている(ステップS21)。カウント範囲が0〜31の場合、CMax=31である。
【0046】
先端のエッジ検出によりフラグEd1が出力されると(ステップS22:Y)、カウンター121はカウント値Cnを0にリセットする(ステップS23)。パイプライン処理部10において画像データが副走査方向に1画素シフトすると(ステップS24:Y)、カウンター121はカウント値Cnを1インクリメントする(ステップS25)。
【0047】
インクリメント後のカウント値Cnが最大値CMaxに到達していない場合は(ステップS26:N)、ステップS22の処理に戻って、カウンター121はシフトする画素数のカウントを継続する。カウント中、先端のエッジが検出されず(ステップS22:N)、カウント値Cnが最大値CMaxに到達した場合は(ステップS26:Y)、ステップS21の処理に戻り、先端のエッジが検出されるまで、最大値CMaxを維持する。
【0048】
[距離係数]
距離係数決定部13は、先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にあるオブジェクトの各画素の画素値を、先端又は後端のエッジからの各画素の距離に応じて調整する距離係数Dc1、Dc2、Ic1及びIc2を決定する。
トナーの掃き寄せによる濃度変動は、先端及び後端のエッジに近いほど大きくなる。エッジからの距離が短いほど補正量が大きくなるように、距離係数Dc1、Dc2、Ic1及びIc2により補正値を制御することができる。
【0049】
エッジからの距離と濃度変動量の関係は、現像方式がカウンター方式かウィズ方式かで、また先端のエッジか後端のエッジかで異なっている。
図4Aは、カウンター方式の場合のオブジェクトの濃度変動例を示している。図4Aに示すように、本来はオブジェクトの濃度はほぼ一定となるところ、カウンター方式ではトナーの掃き寄せによって、オブジェクトの先端側ではかすれが生じ、先端のエッジに近いほど濃度が大きく低下している。また、オブジェクトの後端側では後端のエッジに近いほど濃度が大きく上昇している。
図4Bは、カウンター方式の場合の画像データの補正例を示している。図4Bに示すように、オブジェクトの先端ではエッジに近いほど画素値を増やし、後端ではエッジに近いほど画素値を減らすことにより、図4Aに示すようにオブジェクトの濃度を本来の濃度へと補正することができる。
【0050】
図5Aは、ウィズ方式の場合のオブジェクトの濃度変動例を示している。図5Aに示すように、ウィズ方式ではカウンター方式と逆の現象が生じている。ウィズ方式では、オブジェクトの先端側に吸い込みが生じ、先端のエッジに近いほど濃度が大きく上昇している。また、オブジェクトの後端側ではかすれが生じ、後端のエッジに近いほど濃度が大きく低下している。
図5Bは、ウィズ方式の場合の画像データの補正例を示している。図5Bに示すように、オブジェクトの先端ではエッジに近いほど画素値を減らし、後端ではエッジに近いほど画素値を増やすことにより、図5Aに示すようにオブジェクトの濃度を本来の濃度へと補正することができる。
【0051】
このように、各現像方式における濃度変動量が異なるため、距離係数決定部13は、カウンター方式及びウィズ方式において先端及び後端の補正量をそれぞれ制御する4つの距離係数Dc1、Dc2、Ic1及びIc2を決定する。先端又は後端のエッジからの各画素の距離は、カウンター121又は122のカウント値Cnと対応しているので、距離係数Dc1、Dc2、Ic1及びIc2は、カウンター121又は122のカウント値Cnを入力値、距離係数Dc1、Dc2、Ic1及びIc2を出力値とするテーブルを用いて決定することができる。
【0052】
図6は、カウンター121又は122のカウント値Cnに対して、テーブルにより出力される各距離係数Dc1、Dc2、Ic1及びIc2の例を示している。
オブジェクトの先端の補正対象は、先端の輪郭画素からN画素後の画素までの各画素である。先端の輪郭画素が補正部17に入力されるのは、先端のエッジ検出から画像データが副走査方向にN+1画素シフトした時、すなわちカウンター121のカウント値がCn=N+1の時であり、先端の輪郭画素からN画素後の画素が補正部17に入力されるのはさらにN画素シフトした時、すなわちカウンター121のカウント値がCn=2Nの時である。先端の輪郭画素より前の画素は補正対象外であるため、図6に示すように、先端補正用の距離係数Dc1及びIc1は、カウンター121のカウント値が0〜Nの間では、Dc1=Ic1=0に設定されている。
【0053】
また、カウンター方式用の距離係数Dc1は、カウンター121のカウント値CnがN+1〜2Nの間では、Nから0まで単調減少するように設定されている。このような距離係数Dc1により、先端エッジに近いほど濃度低下するカウンター方式において先端のエッジからの距離が短いほど画素値が増えるように、補正値を制御することができる。一方、ウィズ方式用の距離係数Ic1は、カウンター121のカウント値CnがN+1〜2Nの間は、−Nから0まで単調増加するように設定されている。このような距離係数Ic1により、先端エッジに近いほど濃度上昇するウィズ方式において先端のエッジからの距離が短いほど画素値が減るように、補正値を制御することができる。
【0054】
オブジェクトの後端の補正対象は、後端の輪郭画素からN画素前の画素までの各画素である。オブジェクトの後端からN画素前の画素が補正部17に入力されるのは、後端のエッジ検出から画像データが副走査方向に1画素シフトした時、すなわちカウンター122のカウント値がCn=1の時である。輪郭画素が入力されるのは、さらにN画素シフトした時、すなわちカウント値がCn=Nの時である。輪郭画素以降、すなわちCn=N+1以降は補正対象外であるため、図6に示すように、後端補正用の距離係数Dc2及びIc2は、カウンター122のカウント値CnがN+1〜2Nの間では、Dc2=Ic2=0に設定されている。
【0055】
また、カウンター方式用の距離係数Dc2は、カウンター122のカウント値Cnが0〜Nの間では、0から−Nまで単調減少するように設定されている。このような距離係数Dc2により、後端エッジに近いほど濃度上昇するカウンター方式において後端のエッジからの距離が短いほど画素値が減るように、補正値を制御することができる。一方、ウィズ方式用の距離係数Ic2は、カウンター122のカウント値が0〜Nの間では、0からNまで単調増加するように設定されている。このような距離係数Ic2により、後端エッジに近いほど濃度低下するウィズ方式において後端のエッジからの距離が短いほど画素値が増えるように、補正値を制御することができる。
【0056】
補正係数出力部14は、オブジェクトの先端側の補正量を制御する補正係数gap1及び後端側の補正量を制御する補正係数gap2を算出して出力する。
補正係数出力部14は、図1に示すように、エッジ強度決定部141、濃度係数決定部142、線幅係数決定部143及び演算部144を備えている。
【0057】
[エッジ強度]
エッジ強度決定部141は、検出部11により検出した先端及び後端のそれぞれのエッジ強度absを決定する。
具体的には、エッジ強度決定部141は、検出部11において先端又は後端のエッジを検出したときの注目画素と注目画素より3画素前の画素の各画素値Pm0及びPm3を用いて、下記式により先端又は後端のエッジ強度absを算出する。
abs=|Pm0−Pm3|
【0058】
[濃度係数]
濃度係数決定部142は、先端又は後端が検出されたオブジェクトの画素値に応じて、オブジェクトの先端及び後端のそれぞれの濃度係数ATDを決定する。
最大濃度か又は最小濃度に近いオブジェクトはトナーが掃き寄せられても濃度変動が少ないが、中間濃度付近のオブジェクトは濃度変動が大きく画質劣化として目立ちやすくなる。このような傾向に合わせて、掃き寄せによる濃度変動が小さい濃度範囲では補正量が小さく、濃度変動が大きい濃度範囲では補正量が大きくなるように、濃度係数ATDにより補正値を制御することができる。
【0059】
図7は、濃度係数決定部142の処理手順を示している。
図7に示すように、検出部11により先端のエッジが検出され、フラグEd1が出力された場合(ステップS31:A)、濃度係数決定部142は、オブジェクトの画素値として、注目画素の画素値Pm0を取得する(ステップS32)。一方、検出部11により後端のエッジが検出され、フラグEd2が出力された場合(ステップS31:B)、濃度係数決定部142は、オブジェクトの画素値として、注目画素より3画素前の画素の画素値Pm3を取得する(ステップS33)。
【0060】
濃度係数決定部142は、取得した画素値に対応する濃度係数ATDを決定する(ステップS34)。濃度係数ATDは、オブジェクトの画素値を入力値、濃度係数ATDを出力値とするテーブルを用いて決定することができる。
図8は、オブジェクトの画素値[%]に対してテーブルから出力される濃度係数ATD[%]の一例を示している。なお、画素値を最大値に対する割合で表している。例えば、8bitの画像データにおける画素値128は、最大値255に対する128の割合である50%と表す。
図8に示すように、オブジェクトの画素値が0%及び100%付近で小さく、50%付近で大きい濃度係数ATDを出力するように、入力値と出力値が定められている。
【0061】
[線幅係数]
線幅係数決定部143は、先端のエッジから後端のエッジまでの画素数に応じて、線幅係数ATWを決定する。
トナーの掃き寄せによる濃度変動は、副走査方向の線幅が短いほど目立ちにくい。この傾向に合わせて、線幅が短いほど補正量が小さくなるように、線幅係数ATWにより補正値を制御することができる。
【0062】
図9は、線幅係数決定部143の処理手順を示している。
図9に示すように、検出部11により先端のエッジが検出され(ステップS41:Y)、さらに後端のエッジが検出されると(ステップS42:Y)、線幅係数決定部143は、先端のエッジから後端のエッジまでの画素数を線幅として決定する(ステップS44)。
【0063】
カウンター121は先端のエッジ検出時からシフトした画素数をカウントしており、先端のエッジから後端のエッジまでの画素数は、後端のエッジを検出したときのカウンター121のカウント値Cnに等しいので、線幅係数決定部143は、このカウント値Cnを線幅として取得すればよい。ただし、線幅の上限をN画素とし、後端のエッジが検出されずに(ステップS42:N)、カウント値CnがNに至ると(ステップS43:Y)、線幅係数決定部143は線幅をN画素に決定する(ステップS44)。
【0064】
次に、線幅係数決定部143は、線幅に対応する線幅係数ATWを決定する(ステップS45)。線幅係数ATWは、線幅を入力値、線幅係数ATWを出力値とするテーブルを用いて決定することができる。
図10は、線幅[画素数]に対してテーブルから出力される線幅係数ATW[%]の一例を示している。
図10に示すように、線幅が短いほど小さい線幅係数ATWを出力するように、入力値と出力値が定められている。
【0065】
[補正係数]
演算部144は、オブジェクトの先端及び後端についてそれぞれ決定されたエッジ強度abs、濃度係数ATD及び線幅係数ATWを用いて、下記式により先端の補正係数gap1及び後端のgap2をそれぞれ算出する。
gap1=gap2
=abs×DIV×ATD×ATW
【0066】
上記式において、固有係数DIVは、画像形成装置ごとに設定できる固定値であり、実際に各画像形成装置で画像形成をしたときのトナー量に応じて任意に決定することができる。同じ画像を形成しても画像形成装置によってオブジェクトのトナー量が異なる場合は、固有係数DIVによって個々の画像形成装置の特性に応じて補正量を制御することができる。固有係数DIVは先端と後端で共通していてもよいし、先端と後端でトナー量が異なる場合に対応するため、先端用と後端用の固有係数DIVをそれぞれ用意して各補正係数gap1及びgap2の算出に使用してもよい。
【0067】
ラインメモリー15は、カウンター121及び122のカウント値Cnと、補正係数出力部14により出力された各画素の補正係数gap1及びgap2を保持する。
【0068】
ラインメモリー15に保持されたカウント値Cnは、線幅係数や距離係数の決定時に読み出されて補正値の算出に使用され、補正値が算出された後にカウンター121及び122でインクリメントされたカウント値Cnが再びラインメモリー15に保持される。この保持されたカウント値Cnが次の画素の補正値の算出に使用される。その間にエッジが検出され、カウンター121及び122のカウント値Cnがリセットされた場合は、ラインメモリー15に保持されたカウント値Cnもリセットされる。
【0069】
補正係数gap1及びgap2の算出時、エッジ強度abs及び濃度係数ATDは先端又は後端のエッジ検出時に決定されるが、線幅係数ATWが決定されるのは、後端のエッジ検出時かカウンター121のカウント値CnがN=15に達した時である。演算部144は、先に決定したエッジ強度abs及び濃度係数ATDを乗算した結果を補正係数gap1及びgap2としてラインメモリー15にいったん保持し、線幅係数ATWが決定された時点で保持したgap1及びgap2に線幅係数ATWを乗算して再度ラインメモリー15に保持すればよい。
【0070】
ラインメモリー15は、少なくとも副走査方向にN画素分の画像データの各画素の補正係数gap1及びgap2等を保持できるサイズであればよく、1ページ分を保持できるページメモリーであってもよい。
【0071】
補正値算出部16は、距離係数決定部13により決定された各画素の距離係数Dc1、Dc2、Ic1及びIc2と、補正係数出力部14により算出され、ラインメモリー15に保持された各画素の補正係数gap1及びgap2と、を用いて、トナーの掃き寄せによる濃度変動の補正値CR1及びCR2を算出する。
現像方式がカウンター方式の場合、先端側の補正値CR1と後端側の補正値CR2は、下記式により算出することができる。
CR1=Dc1×gap1
CR2=Dc2×gap2
【0072】
現像方式がウィズ方式の場合、先端側の補正値CR1と後端側の補正値CR2は、下記式により算出することができる。
CR1=Ic1×gap1
CR2=Ic2×gap2
【0073】
補正部17は、パイプライン処理部10から副走査方向に1画素ずつシフトして出力されるM×1画素の各画素の画素値に、補正値算出部16により算出した当該各画素の補正値CR1及びCR2を加算し、補正後の画素値を出力する。補正対象の画素の元の画素値をPin、補正後の画素値をPoutと表すと、補正後の画素値Poutは下記式により表すことができる。
Pout=Pin+CR1+CR2
【0074】
図11A及び図11Bは、オブジェクトの先端の画像データの補正例を示している。
図11Aに示すように、補正部17により補正値を加算する補正位置p2は、検出部11のエッジ検出用の観察窓p1に各画素が入力される位置(注目画素p0の位置)から、画像データが副走査方向にN+1画素シフトした位置にある。観察窓p1にオブジェクトの先端の画像データが入力されると、検出部11により、観察窓p1に入力された注目画素p0とその1画素前の画素間において先端のエッジが検出される。このとき、注目画素p0はオブジェクトの先端の輪郭画素である。先端においてかすれが生じる場合、補正値算出部16において、画素値が増えるように先端の輪郭画素と輪郭画素より後のN画素の各画素の補正値CR1が算出される。観察窓p1内の注目画素p0の位置から補正部17の補正位置p2まではN画素離れているため、図11Bに示すように、観察窓p1に入力された先端の輪郭画素がN+1画素シフトすると、補正部17において補正が開始され、輪郭画素からN画素後の画素の補正が行われると、先端の補正が完了する。
【0075】
図12A及び図12Bは、オブジェクトの後端の画像データの補正例を示している。
図12Aに示すように、エッジ検出の観察窓p1にオブジェクトの後端の画像データが入力されると、観察窓p1に入力された注目画素p0とその1画素前の画素間において後端のエッジが検出される。このとき、注目画素p0はオブジェクトの後端の輪郭画素に隣接する背景の画素である。後端において掃き寄せが生じる場合、補正値算出部16において、画素値が減るように後端の輪郭画素と輪郭画素より前のN画素の各画素の補正値CR2が算出される。画像データが1画素シフトして補正位置p2に後端の輪郭画素よりN画素前の画素が位置すると後端の補正が開始され、当該画素から輪郭画素まで補正が行われる。輪郭画素の補正が終了し、さらに1画素シフトすると、すなわちエッジ検出からN+1画素シフトすると、図12Bに示すように、後端の補正が完了する。
【0076】
補正部17は、属性判別部19により判別した各画素の属性に応じて、各画素に補正値を加算するか否かを切り替えることができる。
例えば、補正部17は、属性が写真の画素を補正対象外とし、属性が文字又は図形の画素を補正対象として決定することができる。写真の画像領域は、ノイズ除去のためにローパスフィルター処理等が施されてオブジェクトと背景のコントラスト差が明瞭でなく、エッジとして検出しにくいことがある。また、オブジェクトの濃度が平坦な領域が少なく、トナーの掃き寄せによる濃度変動がもともと目立ちにくく補正の効果が小さい反面、補正により意図しない濃度変動が生じることがあるため、写真の属性の画素を補正対象外とすることにより、新たな画質劣化を防止することができる。
【0077】
平均化処理部18は、補正部17から出力された補正後の画像データと、パイプライン処理部10から出力された補正前の元の画像データを入力する。平均化処理部18は、元の画像データにおいて主走査方向に隣接する各画素の画素値が同じであれば、補正後の画像データにおける当該各画素の画素値を重み付け平均する。
補正部17により、副走査方向において各画素の画素値が段階的に変化するように補正が行われるが、この補正は主走査方向においては各画素に対して独立した補正であるため、主走査方向における濃度変化が不連続となってスジ状のノイズが生じることがある。平均化処理部18が上述のように重み付け平均を行うことにより、主走査方向における画素値も滑らかに変化させることができ、補正により生じるノイズを抑えることができる。
【0078】
重み付け平均にはフィルターを使用することができる。図13は、フィルターの一例を示している。平均化処理部18は、7×1画素のフィルターf1を使用して、各画素のうち主走査方向に隣接する7画素の画素値を比較し、同じであれば各画素値を重み付け平均する。同じでなければ、平均化処理部18は、5×1画素のフィルターf2を使用して、主走査方向に隣接する5画素の画素値を比較し、同じであれば各画素値を重み付け平均する。同じでなければ、平均化処理部18は、3×1画素のフィルターf3を使用して、隣接する3画素の画素値を比較し、同じであれば重み付け平均し、同じでなければ平均化処理はせずに元の画素値を出力する。
【0079】
各フィルターf1〜f3は、フィルターの各画素に設定された複数の重み付け係数のセットを備えて、重み付け係数のセットを切り替えられるようにしてもよい。
例えば、フィルターf3の場合、3×1画素の各画素の重み付け係数が、(1/8,6/8,1/8)のセットと(2/8,4/8,2/8)のセットを備えて、各セットを切り替えられるようにしてもよい。
【0080】
図14は、平均化処理前後の画像例を示している。
図14に示すように、補正直後の画像g1は、主走査方向の濃度が不連続であり、図14中の矢印で示す部分にスジ状のノイズがみられるが、平均化処理後の画像g2は、主走査方向の濃度変化が滑らかであり、ノイズが解消している。
【0081】
[属性判別]
属性判別部19は、画像データに付帯されている属性データを入力して、画像データの各画素の属性を判別し、判別した属性のフラグを出力する。
属性データは、形成する画像の内容がページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータ(以下、PDLデータという。)をラスタライズ処理して画像データを生成する際にともに生成することもできるし、画像データを解析して生成することもできる。例えば、ラスタライズ処理時に生成する場合、PDLで記述されたデータ中の文字コードの記述にしたがって描画した、かな、アルファベット、数字等の画像の各画素の属性を文字(Text)と決定することができる。また、DXF、SVG、WMF等のベクター形式の記述にしたがって描画した多角形、円、罫線等の画像の各画素の属性を図形(Graphics)と決定し、JPEG形式のファイルにより描画した写真画像等の画像の属性を写真(Image)と決定することができる。このようにして生成された属性データを画像データとともに入力すればよい。
【0082】
以上のように、画像処理装置1は、画像データを副走査方向に1画素ずつシフトさせながら入力し、複数種の画像処理を施して出力するパイプライン処理部10と、パイプライン処理部10に入力する画像データの各画素を、各画素を含む副走査方向の複数の画素単位で入力して保持し、保持した複数の画素の各画素値を比較することにより、オブジェクトの先端又は後端のエッジを検出する検出部11と、画像データの各画素が、検出部11により先端又は後端のエッジを検出してから副走査方向にシフトした画素数をカウントするカウンター121及び122と、カウンター121及び122のカウント値を用いて、先端又は後端のエッジからN画素の範囲内にあるオブジェクトの各画素の画素値を、先端又は後端のエッジからの距離に応じて調整する距離係数を決定する距離係数決定部14と、距離係数決定部14により決定した距離係数を用いて、オブジェクトの各画素の補正値を算出する補正値算出部15と、補正値算出部15により算出した各画素の補正値を、パイプライン処理部10から副走査方向に1画素ずつシフトして出力された画像データの各画素の画素値に加算する補正部17と、を備え、補正部17により補正値を加算する位置が、検出部11に各画素が入力される位置から少なくともN+1画素シフトした位置にある。
【0083】
上記実施形態によれば、先端又は後端のエッジからN画素の画像領域を補正対象として、各画素が検出部11に入力した位置からN+1画素シフトした位置において、各画素の画素値に補正値を加算するだけであるため、補正対象の画像領域を観察する必要がない。また、エッジ検出についても先端と後端の両方を同時に観察する必要がない。すなわち、トナーの掃き寄せによる濃度変動を補正するために必要な観察窓は、先端又は後端のエッジを検出するのに必要な数画素分で足りるため、パイプライン処理する画像データの補正に使用するメモリー容量を大幅に減らすことができる。これにより、回路規模を抑えてコストダウンを図ることができる。
【0084】
〔画像形成装置〕
上述した画像処理装置1を、画像形成装置に搭載することができる。
図15は、本発明の一実施の形態の画像形成装置Gの構成を機能ごとに示している。
図15に示すように、画像形成装置Gは、制御部G1、記憶部G2、操作部G3、表示部G4、通信部G5、画像生成部G6、画像メモリーG7、画像処理装置1及び画像形成部G8を備えている。
【0085】
制御部G1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部G2から各種プログラムを読み出して実行することにより、各部を制御する。
例えば、制御部G1は、画像生成部G6により生成され、画像メモリーG7に保持された画像データを、画像処理装置1により画像処理させて、画像処理後の画像データに基づいて、画像形成部G8により用紙上に画像を形成させる。
【0086】
記憶部G2は、制御部G1により読み取り可能なプログラム、プログラムの実行時に用いられるファイル等を記憶している。記憶部G2としては、ハードディスク等の大容量メモリーを用いることができる。
【0087】
操作部G3は、ユーザーの操作に応じた操作信号を生成し、制御部G1に出力する。操作部G3としては、キーパッド、表示部G4と一体に構成されたタッチパネル等を用いることができる。
【0088】
表示部G4は、制御部G1の指示にしたがって操作画面等を表示する。表示部G4としては、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro Luminescence Display)等を用いることができる。
【0089】
通信部G5は、ネットワーク上の外部装置、例えばユーザー端末、サーバー、他の画像形成装置等と通信する。
通信部G5は、ユーザー端末等からネットワークを介して、PDLデータを受信する。
【0090】
画像生成部G6は、通信部G5により受信したPDLデータをラスタライズ処理し、ビットマップ形式の画像データを生成する。画像データは、各画素がC(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の4色の画素値を有する。
【0091】
画像メモリーG7は、画像生成部G6により生成された画像データを一時的に保持するバッファーメモリーである。画像メモリーG7としては、DRAM(Dynamic RAM)等を用いることができる。
【0092】
画像処理装置1は、画像メモリーG7から画像データを読み出して、各種画像処理を施す。
【0093】
画像形成部G8は、画像処理装置1により画像処理を施した画像データに基づき、電子写真方式により用紙上にC、M、Y及びKの4色からなる画像を形成する。
具体的には、画像形成部G8は、帯電させた感光体上を、画像データに基づいて光走査装置により出射した光束で走査し、静電潜像を形成した後、現像スリーブによりトナーを供給して現像する4つの書込みユニットや中間転写ベルト等を備えている。画像形成部G8は、4つの書込みユニットの感光体上にそれぞれC、M、Y及びKの画像を形成し、中間転写ベルト上に順次重ねて転写(1次転写)した後、用紙上へさらに転写(2次転写)し、転写後の用紙を定着装置において加熱及び加圧してトナーを定着させる。
【0094】
図16は、画像形成装置Gに搭載したときの画像処理装置1の構成を機能ごとに示している。
図16に示すように、画像処理装置1は、色変換処理部101を備え、パイプライン処理部10の画像処理要素として、輪郭強調部102、スムージング処理部103、解像度変換部104、スクリーン処理部105を備えていること以外は、図1に示す構成と同じである。
【0095】
画像データに対し、色変換処理部101は、カラーマネジメントのための色変換処理を施す。輪郭強調部102は、オブジェクトの輪郭を強調するため、オブジェクトの輪郭画素の画素値を調整する輪郭強調処理を施し、スムージング処理部103は、オブジェクトのエッジ周辺のがたつきを減らすため、オブジェクトの輪郭画素と輪郭画素に隣接する背景の画素の画素値を調整するスムージング処理を施す。解像度変換部104は、画像データの解像度を変換し、スクリーン処理部105は疑似的に中間調を再現するスクリーン処理を施す。
【0096】
このように、画質向上のための複数種の画像処理要素をパイプライン処理により連結する場合においても、検出部11においてパイプライン処理前の画像データを1画素ずつ副走査方向にシフトしながら数画素単位で入力してエッジを検出し、パイプライン処理後すなわちエッジ検出からN+1画素シフトした各画素を補正部17において補正する。上述したように、エッジ検出のための画像領域と補正対象の画像領域の両方を同時に観察する必要がなく、トナーの掃き寄せによる濃度変動を補正するために必要な観察窓は、エッジ検出のための数画素分で足りるため、パイプライン処理する画像データの補正に使用するメモリー容量を減らすことができる。
【0097】
〔画像形成システム〕
画像形成装置を備える画像形成システムにおいても、同様に上記画像処理装置1を備えることができる。画像形成システムとしては、画像形成装置を備えるのであれば、例えば搬送路が接続された複数の画像形成装置や、ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置、画像処理装置と画像形成装置、画像形成装置とサーバー等を備える構成が挙げられる。
図17は、複数の画像形成装置GとサーバーJを備える画像形成システムの例を示している。図17に示すように、各画像形成装置GとサーバーJは、ネットワークMを介して接続されている。
画像形成システムG10においては、上述した掃き寄せによる濃度変動の補正のための処理要素、すわなち検出部11、距離係数決定部13、補正係数出力部14、補正値算出部16、補正部17等を画像形成装置とサーバーに分散処理させてもよい。
【0098】
上記実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、パイプライン処理部10の副走査方向のサイズを、掃き寄せの補正を行う画像領域と同じN画素のサイズとして、補正部17により補正値を加算する補正位置を、検出部11に各画素が入力される位置からN+1画素シフトした位置としている。しかし、補正位置は少なくともN+1画素シフトした位置にあれば、補正が可能であるので、パイプライン処理部10の副走査方向のサイズに合わせて、補正位置をN+1画素より大きくシフトした位置にしてもよい。例えば、パイプライン処理部10の副走査方向のサイズが2Nであれば、補正位置も検出部11に各画素が入力される位置から2N+1画素シフトした位置にすればよい。
【0099】
また、濃度変動はエッジからの距離に大きく変動することから、少なくとも距離係数を用いて補正値を算出するのであれば、補正係数を用いずに補正値を算出してもよいが、上述のように補正係数を用いて補正値を算出すれば、エッジ付近のコントラスト、オブジェクトの濃度、線幅の長さ等による濃度変動に対応することができ、補正の精度を高めることができるため、好ましい。補正係数についても、エッジ強度、濃度係数及び線幅係数のすべてを用いると、補正精度が高まり好ましいが、そのうちの1つか2つを組み合わせて算出してもよい。
【0100】
例えば、回路構成を簡素化する場合は濃度変動に大きく影響する距離係数のみによって補正値を算出してもよい。さらに、オブジェクトの濃度と線幅の長さも考慮する場合は、濃度係数と線幅係数を用いて補正係数を算出し、距離係数と算出した補正係数によって補正値を算出することもできる。
【符号の説明】
【0101】
1 画像処理装置
10 パイプライン処理部
11 検出部
121、122 カウンター
13 距離係数決定部
14 補正係数出力部
15 ラインメモリー
16 補正値算出部
17 補正部
18 平均化処理部
19 属性判別部
G 画像形成装置
G10 画像形成システム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19