【実施例】
【0013】
図1は本発明の一実施例としての燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は電源基板72を含む電源系の構成の概略を示す構成図である。
【0014】
実施例の燃料電池システム10は、
図1に示すように、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガス(エア)との供給を受けて発電する燃料電池36を有する発電ユニット20と、発電ユニット20の発電に伴って発生する熱を回収して給湯する貯湯タンク101を有する給湯ユニット100と、システム全体を制御する制御装置80と、発電ユニット20を収容する筐体22の排気口22b付近に設けられ可燃ガスのガス漏れを検知するための第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92と、を備える。
【0015】
発電ユニット20は、改質水と原燃料ガス(例えば天然ガスやLPガス)との供給を受けてこれらを加熱することにより改質水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に原燃料ガスを予熱する気化器32と、気化器32からの原燃料ガスを水蒸気改質反応により改質して水素を含む燃料ガスを生成する改質器33と、燃料ガスとエアとの供給を受けて発電する燃料電池36とを含む発電モジュール30と、気化器32に原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置40と、燃料電池36にエアを供給するエア供給装置50と、気化器32に改質水を供給する改質水供給装置55と、発電モジュール30で発生した排熱を回収する排熱回収装置60と、を備える。
【0016】
気化器32と改質器33と燃料電池36は、断熱性材料により形成された箱型のモジュールケース31内に収容されている。モジュールケース31内には、燃料電池36の起動や、気化器32における水蒸気の生成、改質器33における水蒸気改質反応に必要な熱を供給するための燃焼部34が設けられている。燃焼部34には燃料電池36からのアノードオフガス(燃料オフガス)とカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが供給され、これらの混合ガスが点火ヒータ35により点火されることにより燃焼して燃料電池36や気化器32、改質器33を加熱する。
【0017】
原燃料ガス供給装置40は、燃料供給装置1と気化器32とが原燃料ガス供給管41により接続され、原燃料ガスポンプ45の駆動により燃料供給装置1からの原燃料ガスを原燃料ガス供給弁(電磁弁)42,43と脱硫器46とを介して気化器32へ供給する。気化器32へ供給された原燃料ガスは、気化器32を経て改質器33へ供給され、燃料ガスへと改質される。原燃料ガス供給弁42,43は、直列に接続された2連弁として構成される。脱硫器46は、原燃料ガスに含まれる硫黄分を除去するものであり、例えば、硫黄化合物をゼオライトなどの吸着剤に吸着させて除去する常温脱硫方式などを採用することができる。また、原燃料ガス供給管41には、当該原料ガス供給管41内の原燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ47や原料ガス供給管41を流れる原燃料ガスの単位時間当たりの流量を検出する流量センサ48が設けられている。
【0018】
エア供給装置50は、外気と連通するフィルタ52と燃料電池36とがエア供給管51により接続され、エアブロワ53の駆動により外気をフィルタ52を介して燃料電池36へ供給する。エア供給管51には、当該エア供給管51を流れるエアの単位時間当たりの流量を検出する流量センサ54が設けられている。
【0019】
改質水供給装置55は、改質水を貯蔵する改質水タンク57と気化器32とが改質水供給管56により接続され、改質水供給管56に設けられた改質水ポンプ58の駆動により改質水タンク57の改質水を気化器32へ供給する。気化器32へ供給された改質水は、気化器32で水蒸気とされ、改質器33における水蒸気改質反応に利用される。改質水タンク57には、貯蔵される改質水を精製する図示しない水精製器が設けられている。
【0020】
排熱回収装置60は、発電モジュール30内の燃焼排ガスが供給される熱交換器62と貯湯水を貯蔵する貯湯タンク101とが循環配管61により接続され、循環配管61に設けられた循環ポンプ63の駆動により熱交換器62にて貯湯タンク101からの貯湯水が燃焼排ガスとの熱交換により加温されて貯湯タンク101に貯湯されるようになっている。熱交換器62は凝縮水供給管66を介して改質水タンク57に接続されると共に排気ガス排出管67を介して外気と接続されており、熱交換器62に供給された燃焼排ガスは貯湯水との熱交換によって水蒸気成分が凝縮されて改質水タンク57に回収されると共に残りの排気ガスが排気ガス排出管67を介して外気へ排出されるようになっている。
【0021】
また、循環配管61には温水ヒータ64が設けられており、循環配管61内の貯湯水を温水ヒータ64からの熱によって加温できるようになっている。例えば、制御装置80は、燃料電池36の運転が停止しているときに外気温センサ65により検出される外気温が所定温度(例えば5℃)以下となった場合に、温水ヒータ64と循環ポンプ63とを駆動することにより、貯湯水を加温してその凍結を予防する。
【0022】
燃料電池36は、電解質とこの電解質を挟持するアノード電極およびカソード電極とを含む単セルが複数積層された固体酸化物燃料電池として構成されており、燃料ガス中の水素とエア中の酸素とによる電気化学反応によって発電する。燃料電池36の出力端子にはインバータとDC/DCコンバータとを含むパワーコンディショナ71を介して商用電源2から負荷4への電力ライン3が接続されており、燃料電池36からの直流電力が交流電力に変換されて商用電源2からの交流電力に付加されて負荷4に供給できるようになっている。パワーコンディショナ71から分岐した電力ラインには電源基板72が接続されている。
【0023】
電源基板72は、原燃料ガス供給弁42,43やエアブロワ53、原燃料ガスポンプ45、改質水ポンプ53、循環ポンプ63、温水ヒータ64、第1可燃ガスセンサ91、第2可燃ガスセンサ92、圧力センサ47、流量センサ48,54、外気温センサ65などの補機に直流電力を供給する直流電源として機能する。
図2に示すように、電源基板72には第1リレー93を介して第1可燃ガスセンサ91が接続されると共に第2リレー94を介して第2可燃ガスセンサ92が接続されており、他の補機とは独立して電源基板72から第1可燃ガスセンサ91と第2可燃ガスセンサ92とにそれぞれ直流電力の供給と供給の停止とができるようになっている。
【0024】
第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92は、本実施例では触媒燃焼式ガスセンサとして構成される。ここで、触媒燃焼式ガスセンサは、白金触媒などの酸化触媒(燃焼触媒)をアルミナなどの担体に担持させたものを白金線コイル上に固定した検知素子と、酸化触媒を持たない補償素子とによりブリッジ回路を構成したものである。触媒燃焼式ガスセンサはブリッジ回路に電流を印加した状態で使用され、検知素子は電流の印加によって加熱されて触媒反応が起こりやすい温度(例えば200〜500℃)に保持される。検知素子は可燃ガスが触れると触媒燃焼反応により発熱して抵抗値が変化するため、ブリッジ回路の平衡が崩れ、ブリッジ回路の出力端子には不均衡電圧が出力される。不均衡電圧とガス濃度との間には比例関係を有するため、不均衡電圧を測定することによりガス濃度を検知することができる。
図3に可燃ガス濃度と可燃ガスセンサ出力(不均衡電圧)との関係を示す。例えば、図示するように、爆発下限界濃度付近のガス濃度Xに対応するセンサ出力C(不均衡電圧)を閾値に定めることで、センサ出力が閾値C以上のときに、ガス漏れが生じていると判断することができる。こうした触媒燃焼式ガスセンサは、有機シリコン化合物などにより触媒が被毒したり、耐熱温度以上の使用により触媒が熱劣化を起こすことが知られており、経年使用(通電)によって触媒が劣化し、性能低下を招きやすい。また、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92は、本実施例では、
図3に示すように、可燃ガスの存在しない雰囲気下(可燃ガス濃度ゼロ)において通電したときのセンサ出力(ゼロ点出力)が通電していないときのセンサ出力と異なるようにブリッジ回路の抵抗値が調整されたものを用いるものとした。
【0025】
制御装置80は、CPU81を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU81の他に処理プログラムを記憶するROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、計時を行なうタイマ84と、図示しない入出力ポートと、を備える。制御装置80には、圧力センサ47や流量センサ48、流量センサ54、外気温センサ65などからの各種検出信号が入力ポートを介して入力されている。また、制御装置80からは、筐体22の吸気口22aに設けられた換気ファン24のファンモータへの駆動信号や原燃料ガス供給弁42,43のソレノイドへの駆動信号、原燃料ガスポンプ45のポンプモータへの駆動信号、エアブロワ53のブロワモータへの駆動信号、改質水ポンプ58のポンプモータへの駆動信号、循環ポンプ63のポンプモータへの駆動信号、パワーコンディショナ71のインバータやDC/DCコンバータへの制御信号、点火ヒータ35への駆動信号、温水ヒータ64への駆動信号、表示パネル90への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0026】
次に、こうして構成された燃料電池システム10の動作、特に、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92に関連する動作について説明する。
図4は、制御装置80のCPU81により実行される可燃ガスセンサ関連処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0027】
可燃ガスセンサ関連処理ルーチンが実行されると、制御装置80のCPU81は、まず、原燃料ガス供給弁42,43が開弁中であるか否か、即ち原燃料ガスが筐体22(気化器32)内へ供給されているか否かを判定する(ステップS100)。原燃料ガス供給弁42,43が開弁中でない、即ち閉弁中であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92への通電が停止されるよう第1リレー93および第2リレー94をオフして(ステップS110)、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。上述したように、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92は、電流の印加によって検知素子が発熱すると、触媒の劣化が進む一方、原燃料ガス供給弁42,43が閉弁して原燃料ガスが筐体22内へ供給されていなければ、燃料ガスのガス漏れを検出する必要がない。したがって、原燃料ガス供給弁42,43が閉弁しているときに第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92への通電を停止することで、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92の触媒劣化の進行を遅らせることができる。ここで、燃料電池システム10は、例えば集合住宅に設置される場合など、設置,試運転された後、実運転が開始されるまでに比較的長い期間に亘って放置される場合がある。こうした場合でも、循環配管61内の貯湯水の凍結を防止するために、循環ポンプ63や温水ヒータ64などの補機を駆動する必要があり、電源基板72は、燃料電池36の運転が停止されているとき、即ち原燃料ガスが筐体22(気化器32)に供給されていないときでも、補機に直流電力を供給するよう構成されている。しかしながら、電源基板72が可燃ガスセンサ(第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92)にも常時通電すると、上述したように、可燃ガスセンサの触媒劣化が進み、その寿命が短くなってしまう。本実施例では、電源基板72に対して第1可燃ガスセンサ91と第2可燃ガスセンサ92とをそれぞれ第1リレー93と第2リレー94とを介して接続し、原燃料ガス供給弁42,43が閉弁中であるときには、第1リレー93および第2リレー94をオフとして、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92への通電を停止するから、これらに常に通電するものに比して、その劣化の進行を遅らせて、寿命を延長させることができる。
【0028】
ステップS100において、原燃料ガス供給弁42,43が開弁していると判定すると、使用センサ切替フラグFが値0であるか否かを判定する(ステップS120)。ここで、使用センサ切替フラグFは、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92のうち使用(通電)すべきセンサを示すフラグであり、第1可燃ガスセンサ91を使用すべきときには値0が設定され、第2可燃ガスセンサ92を使用すべきときには値1が設定される。この使用センサ切替フラグFは、
図5の使用センサ切替処理ルーチンにより設定される。以下、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンの説明を中断し、使用センサ切替処理ルーチンについて説明する。使用センサ切替処理ルーチンでは、まず、使用中の可燃ガスセンサのセンサON時間T1を入力する(ステップS300)。センサON時間T1は、使用中の可燃ガスセンサの累積通電時間を示し、タイマ84により計測される。センサON時間T1を入力すると、センサON時間T1が閾値Dよりも大きいか否かを判定する(ステップS310)。閾値Dは、使用する可燃ガスセンサの切替タイミングを判断するための閾値であり、例えば、1ヶ月などのように定めることができる。センサON時間T1が閾値Dよりも大きくない、即ち閾値D以下と判定すると、そのまま使用センサ切替処理ルーチンを終了する。一方、センサON時間T1が閾値Dよりも大きいと判定すると、現在の使用センサ切替フラグFが値1であるか否か、即ち使用中の可燃ガスセンサが第2可燃ガスセンサ92であるか否かを判定し(ステップS320)、使用センサ切替フラグFが値1であると判定すると、使用する可燃ガスセンサを第2可燃ガスセンサ92から第1可燃ガスセンサ91へ切り替えるために、使用センサ切替フラグFに値0を設定し(ステップS330)、使用センサ切替フラグFが値1でない、即ち値0であると判定すると、使用する可燃ガスセンサを第1可燃ガスセンサ91から第2可燃ガスセンサ92へ切り替えるために、使用センサ切替フラグFに値1を設定する(ステップS340)。そして、センサON時間T1を値0に初期化して(ステップS350)、使用センサ切替処理ルーチンを終了する。これにより、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92は、使用(通電)が開始されてから閾値Dが経過する度に、使用する可燃ガスセンサが切り替えられることとなるため、一方の可燃ガスセンサに偏って劣化が進むのを防止することができる。
【0029】
可燃ガスセンサ関連処理ルーチンに戻って、使用センサ切替フラグFが値0であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91へ通電されるよう第1リレー93をオンとすると共に第2可燃ガスセンサ92への通電が停止されるよう第2リレー94をオフとする(ステップS130)。そして、第1可燃ガスセンサ91のセンサ出力V1が閾値A以上で且つ第2可燃ガスセンサ92のセンサ出力V2が閾値B未満であるか否かを判定する(ステップS140)。ここで、
図3に示すように、閾値Aは、可燃ガスセンサのゼロ点出力付近の値が定められ、閾値Bは、ゼロ点出力よりも小さく値0よりも大きな値が定められている。したがって、可燃ガスセンサが正常であれば、通電している可燃ガスセンサのセンサ出力V1は、閾値A以上となり、通電していない可燃ガスセンサのセンサ出力V2は、閾値B未満となる。センサ出力V1が閾値A以上でないと判定すると、第1可燃ガスセンサ91の故障や第1リレー93の故障、ハーネスの断線等が生じていると判定し、センサ出力V2が閾値B未満でないと判定すると、第2リレー94の接点の溶着等が生じていると判定して(ステップS150)、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。
【0030】
一方、センサ出力V1が閾値A以上であり且つセンサ出力V2が閾値B未満であると判定すると、センサ出力V1が閾値C未満であるか否かを判定する(ステップS160)。ここで、閾値Cは、上述したように、ガス漏れを検出するための値である。センサ出力V1が閾値C未満であると判定すると、可燃ガスのガス漏れは生じていないと判断して、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。一方、センサ出力V1が閾値C未満でない、即ち閾値C以上であると判定すると、第2可燃ガスセンサ92へ通電されるよう第2リレー94をオンとする(ステップS170)。そして、第2可燃ガスセンサ92のセンサ出力V2が閾値C以上であるか否かを判定する(ステップS180)。センサ出力V2が閾値C以上であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92の両センサ出力V1,V2は何れも閾値C以上であるため、可燃ガスのガス漏れが生じていると判定して(ステップS190)、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。一方、センサ出力V2が閾値C未満であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91と第2可燃ガスセンサ92の各センサ出力V1,V2が互いに矛盾した出力値であるため、何れかの可燃ガスセンサ等に故障が生じていると判定して(ステップS150)、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。
【0031】
ステップS120で使用センサ切替フラグFが値0でない、即ち値1であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91への通電が停止されるよう第1リレー93をオフとすると共に第2可燃ガスセンサ92へ通電されるよう第2リレー94をオンとする(ステップS200)。そして、第2可燃ガスセンサ92のセンサ出力V2が閾値A以上で且つ第1可燃ガスセンサ91のセンサ出力V1が閾値B未満であるか否かを判定する(ステップS210)。センサ出力V2が閾値A以上でないと判定すると、第2可燃ガスセンサ92の故障や第2リレー94の故障、ハーネスの断線等が生じていると判定し、センサ出力V1が閾値B未満でないと判定すると、第1リレー93の接点の溶着等が生じていると判定して(ステップS150)、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。
【0032】
一方、センサ出力V2が閾値A以上であり且つセンサ出力V1が閾値B未満であると判定すると、センサ出力V2が閾値C未満であるか否かを判定する(ステップS220)。センサ出力V2が閾値C未満であると判定すると、可燃ガスのガス漏れは生じていないと判断して、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。一方、センサ出力V2が閾値C未満でない、即ち閾値C以上であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91へ通電されるよう第1リレー93をオンとする(ステップS230)。そして、第1可燃ガスセンサ91のセンサ出力V1が閾値C以上であるか否かを判定する(ステップS240)。センサ出力V1が閾値C以上であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92の両センサ出力V1,V2は何れも閾値C以上であるため、可燃ガスのガス漏れが生じていると判定して(ステップS250)、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。一方、センサ出力V1が閾値C未満であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91と第2可燃ガスセンサ92の各センサ出力V1,V2が互いに矛盾した出力値であるため、可燃ガスセンサ等に故障が生じていると判定して(ステップS150)、可燃ガスセンサ関連処理ルーチンを終了する。
【0033】
次に、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92の故障を定期的に診断する定期診断処理について説明する。
図6は、制御装置80のCPU81により実行される定期診断処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。この処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。定期診断処理ルーチンが実行されると、制御装置80のCPU81は、まず、センサON時間T2を入力する(ステップS400)。ここで、センサON時間T2は、センサON時間T1と同様に、使用中の可燃ガスセンサの累積通電時間を示し、タイマ84により計測される。センサON時間T2を入力すると、センサON時間T2が閾値Eよりも大きいか否かを判定する(ステップS410)。閾値Eは、故障の診断タイミングを判断するための閾値であり、例えば、1ヶ月などのように定められる。センサON時間T2が閾値Eよりも大きくないと判定すると、定期診断処理ルーチンを終了する。一方、センサON時間T2が閾値Eよりも大きいと判定すると、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92の両方に通電されるよう第1リレー93および第2リレー94を共にオンとし(ステップS420)、第1可燃ガスセンサ91からのセンサ出力V1と第2可燃ガスセンサ92からのセンサ出力V2とを入力し(ステップS430)、両センサ出力V1,V2の偏差の絶対値を出力差ΔVとして計算する(ステップS440)。そして、出力差ΔVが閾値F未満であるか否かを判定し(ステップS450)、出力差ΔVが閾値F未満であると判定すると、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92に故障は生じていないと判断し、センサON時間T2を値0に初期化して(ステップS460)、定期診断処理ルーチンを終了し、出力差ΔVが閾値F未満でない、即ち閾値F以上であると判定すると、可燃ガスセンサ等に故障が生じていると判定して(ステップS470)、定期診断処理ルーチンを終了する。
【0034】
なお、本実施例では、CPU81は、可燃ガス漏れ異常または可燃ガスセンサ(第1可燃ガスセンサ91や第2可燃ガスセンサ92等)故障を判定すると、原燃料ガス供給弁42,43を閉弁してシステムを停止させる。そして、可燃ガス漏れ異常と判定した場合にはガス漏れ箇所の対策を促す警告表示を表示パネル90に出力し、可燃ガスセンサ故障と判定した場合には、メンテナンスや交換を促す所定の警告表示を表示パネル90に出力する。
【0035】
以上説明した本実施例の燃料電池システム10は、可燃ガスのガス漏れを検知するための可燃ガスセンサ(第1可燃ガスセンサ91、第2可燃ガスセンサ92)と、可燃ガスセンサへの通電と通電の停止とが可能なリレー(第1リレー93、第2リレー94)とを備え、原燃料ガス供給弁42,43が閉弁して原燃料ガスの供給が停止されているときには、可燃ガスセンサへの通電を停止する。これにより、ガス漏れの検知が不要な場面で可燃ガスセンサへの通電を停止させることにより、可燃ガスセンサの劣化の進行を遅らせて、その寿命を延長させることができる。
【0036】
また、本実施例の燃料電池システム10は、可燃ガスセンサとして第1可燃ガスセンサ91と第2可燃ガスセンサ92とを設けると共に、リレーとして第1可燃ガスセンサ91への通電と通電の停止とが可能な第1リレー93と第2可燃ガスセンサ92への通電と通電の停止とが可能な第2リレー94とを設け、所定時間(閾値D)が経過する度に通電する可燃ガスセンサを切り替える。これにより、一方の可燃ガスセンサに劣化の進みが偏るのを防止し、可燃ガスセンサのメンテナンス時期や交換時期を遅らせることができる。
【0037】
さらに、本実施例の燃料電池システム10は、可燃ガスの存在しない雰囲気下で通電している可燃ガスセンサのセンサ出力(ゼロ点出力)と通電していない可燃ガスセンサのセンサ出力とが異なるように可燃ガスセンサを構成し、通電している可燃ガスセンサのセンサ出力が閾値A未満のときや通電していない可燃ガスセンサのセンサ出力が閾値B以上のときには、可燃ガスセンサ等が故障していると判定する。これにより、可燃ガスセンサへ通電しているときでも通電していないときでもその故障を適切に判定することができる。
【0038】
また、本実施例の燃料電池システム10は、通電している一方の可燃ガスセンサのセンサ出力が閾値C以上となった場合、通電していない他方の可燃ガスセンサへ通電し、他方の可燃ガスセンサのセンサ出力が閾値C以上のときにガス漏れと判定し、他方の可燃ガスセンサのセンサ出力が閾値C未満のときには可燃ガスセンサ等の故障と判定する。これにより、可燃ガスセンサによるガス漏れの誤判定をより確実に抑制することができる。
【0039】
また、本実施例の燃料電池システム10は、定期的に第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92へ通電し、両センサ出力V1,V2の出力差ΔVが閾値Fよりも大きいときには、何れかの可燃ガスセンサに故障が生じていると判定する。これにより、可燃ガスセンサの故障を適切な頻度で診断することができる。
【0040】
実施例では、可燃ガスセンサとして第1可燃ガスセンサ91と第2可燃ガスセンサ92の2つを備えるものとしたが、1つのみ備えるものとしてもよいし、3つ以上備えるものとしてもよい。なお、前者の場合でも、原燃料ガス供給弁42,43が閉弁しているときに可燃ガスセンサへの通電を停止することで、可燃ガスセンサの寿命を延長させることは可能である。
【0041】
実施例では、可燃ガスの存在しない雰囲気下において通電しているときのセンサ出力(ゼロ点出力)と通電していないときのセンサ出力とが異なるように可燃ガスセンサを構成するものとしたが、両センサ出力が略同じになるように構成してもよい。
【0042】
実施例では、所定時間(閾値D)が経過する度に複数の可燃ガスセンサ(第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92)の中で使用する可燃ガスセンサを切り替えるものとしたが、他方の可燃ガスセンサは故障判定のために用いるものとして使用する可燃ガスセンサを切り替えないものとしてもよいし、複数の可燃ガスセンサのうち使用している一方の可燃ガスセンサが故障したタイミングで他方の可燃ガスセンサに切り替えるものとしてもよい。
【0043】
実施例では、可燃ガスセンサとして触媒燃焼式可燃ガスセンサを用いるものとしたが、例えば、半導体式可燃ガスセンサや熱線半導体式可燃ガスセンサ、固体電解質式可燃ガスセンサなど、通電により内蔵するヒータが発熱等して劣化が進む虞のあるものであれば、如何なる方式の可燃ガスセンサにも適用することができる。
【0044】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、第1可燃ガスセンサ91および第2可燃ガスセンサ92が「可燃ガスセンサ」に相当し、第1リレー93および第2リレー94が「リレー」に相当し、制御装置80が「制御装置」に相当する。
【0045】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0046】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。