【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)地点案内システムの構成:
(2)地点案内処理:
(2−1)案内地点取得処理:
(3)他の実施形態:
【0011】
(1)地点案内システムの構成:
図1は、本発明にかかる地点案内システム10の構成を示すブロック図である。地点案内システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30、通信部41を備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして地点案内プログラム21を実行可能である。通信部41は、ナビゲーションシステム50と通信を行う回路を備えており、制御部20は、地点案内プログラム21の処理によってナビゲーションシステム50と通信を行うことが可能である。
【0012】
本実施形態において、制御部20は、ナビゲーションシステム50が送信した情報に基づいて案内地点を取得し、取得した案内地点をナビゲーションシステム50に送信することができる。ナビゲーションシステム50が当該案内地点を取得すると、図示しないディスプレイ等の案内部によって当該案内地点をナビゲーションシステム50の利用者(案内対象者)に案内する。従って、本実施形態においてはナビゲーションシステム50が地点案内端末に相当する。
【0013】
ナビゲーションシステム50は、図示しない制御部によってナビゲーションプログラムを実行可能であり、ナビゲーションシステム50はナビゲーションプログラムの処理により、現在地からナビゲーションシステム50の利用者が指示した目的地への経路を探索し、探索された経路を案内することができる。ナビゲーションシステム50の制御部は、当該プログラムによって移動履歴送信部50aと案内地点受信部50bと案内部50cを実行する。また、ナビゲーションシステム50は、ディスプレイ等の出力部およびタッチセンサー等の入力部を含むユーザI/F部50dを備えている。
【0014】
移動履歴送信部50aは、現在地の移動履歴を取得し、外部の地点案内システム10に送信する機能を制御部に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、ナビゲーションシステム50は、図示しないGPS受信部、車速センサ、ジャイロセンサ等を備えており、これらの装置を利用してナビゲーションシステム50の現在地を特定することができる。ナビゲーションシステム50の制御部は、ナビゲーションシステム50が移動する過程において当該現在地の移動履歴を取得し、予め決められたトリガに応じて当該移動履歴を地点案内システム10に送信することができる。
【0015】
なお、本実施形態において、当該移動履歴には、移動履歴を構成する位置毎に日時が対応づけられた情報と、ナビゲーションシステム50のIDとが含まれている。ナビゲーションシステム50のIDは、地点案内システム10においてナビゲーションシステム50の利用者を区別するために利用される。
【0016】
また、ナビゲーションシステム50の利用者は、現在地の次に訪問することが推奨される目的地の候補を案内地点としてユーザI/F部50dのディスプレイに表示させることができる。案内地点受信部50bは、当該案内地点を地点案内システム10から取得する機能を制御部に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、ナビゲーションシステム50の利用者がユーザI/F部50dの入力部を操作して目的地の提案を指示すると、制御部は案内地点受信部50bの処理により、案内地点の送信要求を地点案内システム10に対して送信する。地点案内システム10は、当該送信要求に応じて案内地点を特定し、ナビゲーションシステム50に対して返信する。なお案内地点が特定された理由が前回訪問時よりも走行コストが低い経路が探索できたことである場合、地点案内システム10は案内地点の送信要求に応じて、当該案内地点と、現在地から当該案内地点に至る経路とをナビゲーションシステム50に返信する。この結果、ナビゲーションシステム50の制御部は、現在地の次に訪問することが推奨される案内地点(および当該案内地点に至る経路)を取得する。
【0017】
案内部50cは、案内地点を案内する機能を制御部に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部は、案内部50cの処理により、ユーザI/F部50dのディスプレイに対して制御信号を出力し、案内地点を目的地の候補として表示させる。この結果、案内対象者の現在地の次の訪問地点として推奨される地点が案内される。ナビゲーションシステム50の利用者が、当該推奨される地点または自ら選んだ地点を目的地として指定すると、制御部は、図示しない地図情報を参照し、当該目的地への経路を探索する。なお、目的地の候補として表示された案内地点の中から、経路が対応付けられて送信された案内地点をナビゲーションシステム50の利用者が指定した場合、制御部は当該案内地点に対応付けられて送信された経路をユーザI/F部50dのディスプレイに表示する。
【0018】
地点案内システム10は、案内地点の送信を行うための構成を備えており、記録媒体30には、予め地図情報30aが記録されている。また、地点案内システム10の運用過程で移動履歴情報30bと施設情報30cとが記録される。地図情報30aは、現在地の特定等に利用される情報であり、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する施設の位置、属性および利用制限等を示す情報等が含まれている。また、周辺の景観がよい道路区間に対応するリンクのリンクデータには、周辺の景観がよいことを示す情報(後述する景観コスト値や景観がよい期間を示す情報)が含まれている。
【0019】
施設情報30cは、地図情報30aに含まれる施設の詳細を示す情報であり、本実施形態においては、施設の属性(店舗、公園、アミューズメント施設等)と、施設で開催されるイベントの期間および属性と、施設が変化した場合の変化の内容(改修、増築等)および変化した時期とを示す情報が含まれている。制御部20は、予め決められたトリガ(例えば、一定期間毎のトリガ等)に応じて、施設情報30cを更新する。施設情報30cの更新は、種々の手法で行われて良い。例えば、別の装置や管理者等が収集した施設情報によって記録媒体30の施設情報30cが更新されても良いし、インターネットを利用して制御部20が各施設に関連するウェブサイトを監視し、更新された情報を収集することによって施設情報30cを更新しても良い。
【0020】
移動履歴情報30bは、端末の移動履歴を示す情報であり、本実施形態においては、地点案内システム10と協働し得る複数のナビゲーションシステム50が端末となる。すなわち、移動履歴情報30bは、通信部41を介してナビゲーションシステム50から送信された移動履歴を取得し、移動履歴情報30bとして記録媒体30に記録する。なお、ナビゲーションシステム50から送信される移動履歴には、日時とナビゲーションシステム50の位置とが対応づけられた情報およびナビゲーションシステム50のIDが含まれているため、制御部20は、ナビゲーションシステム50のID毎に移動履歴情報30bを記録媒体30に記録する。すなわち、制御部20は、ナビゲーションシステム50の利用者毎の移動履歴が特定できる状態で移動履歴情報30bを管理する。
【0021】
地点案内プログラム21は、案内地点を案内する処理を実行するために、訪問地点取得部21aと案内地点取得部21bと案内制御部21cとを備えている。訪問地点取得部21aは、端末の移動履歴に基づいて、訪問された実績のある訪問地点を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、ナビゲーションシステム50においては、ナビゲーションシステム50の利用者が移動する場合の位置の履歴をナビゲーションシステム50の現在地の移動履歴として取得し、予め決められたトリガに応じて地点案内システム10に送信する。
【0022】
そこで、制御部20は、訪問地点取得部21aの処理により、通信部41を介して移動履歴を取得し、移動履歴情報30bとして記録媒体30に記録する。この結果、複数存在し得るナビゲーションシステム50のそれぞれが送信した移動履歴が移動履歴情報30bとして記録媒体30に記録される。移動履歴情報30bが記録媒体30に記録されている状態において制御部20は、移動履歴情報30bを参照し、移動履歴における移動の終了地点(位置が既定期間以上変化しなかった地点やナビゲーションシステム50がオフにされた地点等)を特定し、訪問地点として取得する(メモリに保存する)。
【0023】
案内地点取得部21bは、移動履歴に基づいて、同一の端末の利用者によって予め決められた基準回数以上訪問され、かつ、案内対象者によって訪問された訪問地点の中から、案内対象者によって訪問された際に利用された経路の走行コストより低い走行コストの経路が探索できなかった訪問地点を案内地点として取得せず、案内対象者によって訪問された際に利用された経路の走行コストより低い走行コストの経路が探索できた訪問地点を案内地点として取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。
【0024】
本実施形態においては、ナビゲーションシステム50の利用者がユーザI/F部50dを操作して目的地の提案を指示すると、ナビゲーションシステム50から案内地点の送信要求が送信される。当該送信要求にはナビゲーションシステム50のIDおよびナビゲーションシステム50の現在地が含まれており、通信部41を介して制御部20が案内地点の送信要求を受け付けると、制御部20は、当該ナビゲーションシステム50のIDが利用者を示していると見なす。すなわち、制御部20は、送信要求に含まれるIDで特定されるナビゲーションシステム50の利用者が案内対象者であると見なす。
【0025】
さらに、本実施形態において制御部20は、移動履歴情報30bを参照して訪問地点が訪問された順序を取得し、当該順序に基づいて案内対象者の現在地の次に訪問された訪問地点を取得する。また、制御部20は、案内対象者の現在地の次に訪問された訪問地点以外の訪問地点をメモリから削除する。この結果、本実施形態においては、案内対象者の現在地の次に訪問された履歴のない地点は訪問地点とされないことになる。本実施形態においては、このように訪問地点を限定することにより、過度に多数の地点が訪問地点となる可能性が低減され、利用者にとって有意な提案が行われる可能性が高くなるように構成されている。
【0026】
訪問地点を再訪する価値があるか否かは個別の案内対象者毎に異なるため、次に、制御部20は、移動履歴情報30bの中から案内対象者の移動履歴を参照する。そして、制御部20は、訪問地点取得部21aの処理によって取得された訪問地点が案内対象者の移動履歴に含まれるか否かを判定する。案内対象者の移動履歴に含まれない訪問地点が存在した場合、当該訪問地点を案内対象者によって訪問されていない訪問地点と見なし、案内地点として取得する。
【0027】
さらに、制御部20は、案内対象者の移動履歴に含まれる訪問地点が存在した場合(すなわち、案内対象者によって訪問された訪問地点が存在する場合)、当該訪問地点が再訪の価値がある地点(施設)であるか否かを判定する。具体的には、制御部20は、同一のナビゲーションシステム50を利用する利用者であって、案内対象者以外の利用者によって訪問地点が再訪されている場合、当該訪問地点に再訪の価値があると推定する。このために、本実施形態においては、訪問地点に再訪の価値がなく、案内地点とする必要性が低いか否かを判定するための回数が基準回数として定義されている。そこで、制御部20は、案内対象者のナビゲーションシステム50のIDと異なるIDであって、同一のIDのナビゲーションシステム50から送信された移動履歴を参照し、訪問回数が基準回数未満の訪問地点が存在する場合、当該訪問地点を案内地点として取得しない。
【0028】
さらに、本実施形態においては、訪問地点に再訪の価値があり、案内地点とすることが有用であるか否かを判定するための評価指標が既定回数として定義されている。なお、既定回数は基準回数より大きい値である。制御部20は、案内対象者のナビゲーションシステム50のIDと異なるIDであって、同一のIDのナビゲーションシステム50から送信された移動履歴を参照し、訪問回数が既定回数以上の訪問地点が存在する場合、当該訪問地点を案内地点として取得する。なお、基準回数および既定回数は、同一の利用者が再訪している実績があるか否かを判定するための2以上の整数であり、予め決められている。
【0029】
さらに、案内対象者の移動履歴に含まれる訪問地点が存在した場合(すなわち、案内対象者によって訪問された訪問地点が存在する場合)、当該訪問地点が再訪の価値がある地点(施設)であるか否かを、当該訪問地点を案内対象者が前回訪問した際の経路よりも走行コストが低い経路が探索できたか否かによって制御部20は判定する。制御部20は、案内対象者が当該訪問地点を前回訪問した際に利用した経路よりも走行コストの低い経路が探索できた場合、当該訪問地点を案内地点として取得する。制御部20は、出発地(現在地)から目的地(訪問地点)までの経路を異なる探索条件で複数種類探索する。また、制御部20は、案内対象者が前回訪問地点を訪問した際の経路を、案内対象者の移動履歴を参照して取得する。そして、制御部20は、前回経路よりも走行コストが低い経路が、今回探索した複数種類の経路の中に存在する場合に、当該経路によって訪問できる当該訪問地点を案内地点とする。また制御部20は、当該経路を当該訪問地点と対応付けてメモリに記録し、案内地点の送信時に案内地点とともに当該経路を送信する。
【0030】
走行コストは、出発地から目的地までの経路の走行しやすさを比較するための評価値である。走行しやすさの具体的指標やその評価は利用者によって異なり得るが、例えば本実施形態においては、旅行時間、走行費用、経路の周辺の景観が指標として採用される。旅行時間は、出発地を出発してから目的地に到着するまでに要する時間である。走行コストの指標が旅行時間である場合、本実施形態では旅行時間が短いほど走行コストが低いとして扱う。すなわちある訪問地点について、旅行時間が前回経路よりも短い経路を探索できた場合に、制御部20は当該訪問地点を案内地点とする。
【0031】
走行費用は、出発地を出発してから目的地に到着するまでに要する料金である。本実施形態では、走行コストの指標が走行費用である場合、走行費用が少ないほど走行コストが低いとして扱う。すなわちある訪問地点について、走行費用が前回経路よりも少ない経路を探索できた場合に、制御部20は当該訪問地点を案内地点とする。
【0032】
走行コストの指標が経路周辺の景観である場合、本実施形態においては景観が良いほど走行コストが低いとして扱う。景観が良いエリアを通過する道路区間に対応するリンクには、景観が良いことを示す景観コスト値が予め対応付けて記録されている。本実施形態において景観コスト値は後述するように負の値であるため、景観が良い道路区間を多く含む経路ほど経路全体の景観コスト値が小さくなる。したがってある訪問地点について、景観コスト値が前回経路よりも小さい経路を探索できた場合に、制御部20は当該訪問地点を案内地点とする。
【0033】
案内制御部21cは、案内地点を案内対象者に対して案内させる機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、案内地点をナビゲーションシステム50に対して返信することにより、ナビゲーションシステム50のユーザI/F部50dのディスプレイに案内地点を表示させる。このために、制御部20は、通信部41を介して案内地点の送信要求を出力したナビゲーションシステム50に対して、当該案内地点を送信する。案内地点を特定した理由が前回訪問時よりも走行コストが低い経路が取得できたことである場合、制御部20は当該案内地点とともに当該案内地点に至る現在地からの経路を案内地点の送信要求を出力したナビゲーションシステム50に送信する。
【0034】
ナビゲーションシステム50が案内地点を受信すると、ナビゲーションシステム50は、案内部50cの処理によってユーザI/F部50dのディスプレイを制御し、案内地点を目的地の候補として表示させる。この結果、案内地点の案内を受けた案内対象者は、表示された目的地の候補または自ら選んだ地点を目的地として指定する。この結果、ナビゲーションシステム50においては現在地から目的地までの経路が探索され、経路案内が開始される。案内対象者が指定した目的地が案内地点とされた理由が、前回経路より走行コストが低い経路があることである場合、現在地から目的地までの経路探索を改めて行う必要はないため、地点案内システム10から受信した経路(案内地点に対応付けて送信された経路)にて経路案内が開始される。
【0035】
以上の構成によれば、案内対象者によって訪問されていない地点は案内地点として案内される。さらに、案内対象者によって既に訪問された訪問地点は、当該訪問地点に再訪価値がなければ当該案内対象者にとって訪問価値が低いと推定され、案内地点として案内されない。一方、訪問地点に再訪価値があれば案内地点として案内される。この結果、利用者にとって訪問価値が高い地点を案内できる可能性を高めることができる。
【0036】
(2)地点案内処理:
次に、制御部20が実行する地点案内処理を、
図2を参照しながら説明する。地点案内処理は、制御部20が、通信部41を介してナビゲーションシステム50から案内地点の送信要求を受信した場合に実行される。地点案内処理が開始されると、制御部20は、訪問地点取得部21aの処理により、ナビゲーションシステム50の現在地を取得する(ステップS100)。すなわち、ナビゲーションシステム50が出力する送信要求には、当該ナビゲーションシステム50の現在地が含まれているため、制御部20は、送信要求に基づいてナビゲーションシステム50の現在地を取得する。
【0037】
次に、制御部20は、現在地がナビゲーションシステム50の利用者の生活圏内であるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、送信要求に含まれているナビゲーションシステム50のIDを特定し、当該IDに基づいて当該ナビゲーションシステム50が送信した移動履歴情報30bを特定する。そして、制御部20は、特定された移動履歴情報30bに基づいて、ナビゲーションシステム50の位置が存在する確率が相対的に高い領域を生活圏と見なし、現在地が生活圏内であるか否かを判定する。
【0038】
ステップS105において、現在地がナビゲーションシステム50の利用者の生活圏内であると判定された場合、目的地の候補を提案する必要性が低いため、制御部20は、地点案内処理を終了する。この場合、制御部20は、通信部41を介して送信要求に対して案内地点が存在しない旨の返信を行う。この場合、ナビゲーションシステム50において案内地点は案内されず、案内対象者は、例えば、自ら目的地を指定する。
【0039】
一方、ステップS105において、現在地がナビゲーションシステム50の利用者の生活圏内であると判定されない場合、ナビゲーションシステム50の利用者がよく知らない領域に出かけていると推定される。そこで、制御部20は、当該利用者を案内対象者と見なしてステップS110以降の処理を実行する。
【0040】
次に、制御部20は、訪問地点取得部21aおよび案内地点取得部21bの処理により、訪問地点を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、訪問地点取得部21aの処理により、移動履歴情報30bを参照し、位置が既定期間以上変化しなかった地点を訪問地点として取得し、メモリに記録する。さらに、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、移動履歴情報30bを参照して訪問地点が訪問された順序を取得する。さらに、制御部20は、メモリに記録された訪問地点の中でステップS100において取得された現在地の次に訪問された地点を特定する。そして、制御部20は、現在地の次に訪問された地点をメモリに残し、他の訪問地点をメモリから削除する。
【0041】
次に、制御部20は、メモリに記録された訪問地点の中の1個を判定対象としたループ処理をステップS115〜S130にて実行する。この際、制御部20は、ステップS110にて取得され、当該ループ処理における判定対象にまだなっていない訪問地点の中の1個を判定対象とし、全ての訪問地点についての判定が終了するまでループ処理を繰り返す。具体的には、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、判定対象の訪問地点が、案内対象者によって訪問済みであるか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、移動履歴情報30bの中から案内対象者の移動履歴を参照する。
【0042】
そして、制御部20は、判定対象の訪問地点が、案内対象者の移動履歴に訪問地点として含まれるか否かを判定する。判定対象の訪問地点が案内対象者の移動履歴に訪問地点として含まれる場合、制御部20は、案内対象者は当該訪問地点を訪問済みであると判定する。判定対象の訪問地点が案内対象者の移動履歴に訪問地点として含まれない場合、制御部20は、案内対象者は当該訪問地点を訪問済みであると判定しない。
【0043】
ステップS115において、判定対象の訪問地点が、案内対象者によって訪問済みであると判定されない場合、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、当該判定対象の訪問地点を案内地点として取得する(ステップS120)。なお、ステップS115において判定対象の訪問地点が案内対象者によって訪問済みであると判定されない場合であって、同一端末の利用者による訪問地点の訪問回数が後述する基準回数以上である場合にステップS120が実行されてもよい。この場合、案内対象者が訪問していない訪問地点であって、再訪の価値がある訪問地点は、案内地点として案内対象者に案内されることになる。
【0044】
ステップS115において、判定対象の訪問地点が、案内対象者によって訪問済みであると判定された場合、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、案内地点取得処理を実行し(ステップS125)、当該判定対象の訪問地点が案内地点であるか否かを特定する。
【0045】
ステップS120またはステップS125が実行された場合、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、ステップS110で取得された訪問地点の全てについて判定済であるか否かを判定する(ステップS130)。そして、制御部20は、ステップS130において、全訪問地点について判定済であると判定されるまでステップS115以降の処理を繰り返す。
【0046】
ステップS130において、全訪問地点について判定済であると判定された場合、制御部20は、案内制御部21cの処理により、ステップS130以前の処理で案内地点が取得されたか否かを判定する(ステップS135)。ステップS135において、案内地点が取得されたと判定されない場合、制御部20は、ステップS140をスキップする。この場合、ナビゲーションシステム50において案内地点は表示されない。ステップS135において、案内地点が取得されたと判定された場合、制御部20は、案内制御部21cの処理により、案内地点を案内する(ステップS140)。
【0047】
すなわち、制御部20は、通信部41を介してステップS120,S125で取得された案内地点を、案内対象者のナビゲーションシステム50に対して送信する。この結果、ナビゲーションシステム50のユーザI/F部50dのディスプレイにおいては、案内地点を目的地の候補として表示する。なお、本例においては、後述するように、案内地点に対して案内地点とされた理由(リピーターが多い、施設の変化があった、イベントがある、旅行時間が前回経路より短い経路がある、走行費用が前回経路より少ない経路がある、景観が前回経路より良い経路がある)が対応づけられている。そこで、ナビゲーションシステム50の案内部50cは、案内地点とともに案内地点とされた理由を表示する。この結果、利用者(案内対象者)はより容易に目的地を選択することが可能になる。
【0048】
また、利用者(案内対象者)が選択した目的地が案内地点とされた理由が、前回経路より走行コストが低い経路がある(具体的には、旅行時間が前回経路より短い経路がある、または、走行費用が前回経路より少ない経路がある、景観が前回経路より良い経路がある、のいずれかまたは組み合わせである)ことである場合、ナビゲーションシステム50は当該経路をユーザI/F部50dのディスプレイに表示し、当該経路の経路案内の対象とする。この構成によれば、案内対象者が前回訪問した場合の走行コストより低い走行コストの経路を走行して目的地に到達することが可能となる。
【0049】
(2−1)案内地点取得処理:
次に、制御部20が案内地点取得部21bによって実行するステップS125の案内地点取得処理を、
図3および
図4を参照しながら詳細に説明する。案内地点取得処理において、制御部20は、訪問地点を含む移動履歴を取得する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、移動履歴情報30bの中から、ステップS110〜S130のループ処理で判定対象となっている訪問地点を移動の終了地点として含む移動履歴を取得する。
【0050】
次に、制御部20は、同一端末の利用者による訪問地点への訪問回数を取得する(ステップS205)。ここで、制御部20は、移動履歴に対応づけられたIDを参照し、案内対象者のナビゲーションシステム50のIDと異なるIDが対応づけられた移動履歴を抽出する。すなわち、本実施形態において、制御部20は、案内対象者以外の利用者の移動履歴を抽出する。さらに、制御部20は、抽出された移動履歴に対応づけられたID同士を比較し、同一のIDが対応づけられた移動履歴を同一のナビゲーションシステム50の利用者(≠案内対象者)の移動履歴と見なす。そして、制御部20は、同一の端末の利用者の移動履歴に判定対象の訪問地点が移動終了地点として含まれる場合に、当該訪問地点への訪問回数を利用者毎に計測し、訪問回数として取得する。
【0051】
次に、制御部20は、判定対象の訪問地点への訪問回数が基準回数(例えば2回)以上であるか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210において、判定対象の訪問地点への訪問回数が基準回数以上であると判定されない場合、制御部20は、判定対象の訪問地点に再訪の価値はないと見なして案内地点取得処理を終了する。この場合、判定対象の訪問地点は案内地点として取得されない。
【0052】
ステップS210において、判定対象の訪問地点への訪問回数が基準回数以上であると判定された場合、制御部20は、判定対象の訪問地点への訪問回数が既定回数(例えば5回)以上であるか否かを判定する(ステップS215)。ステップS215において、判定対象の訪問地点への訪問回数が既定回数以上であると判定された場合、制御部20は、当該訪問地点を、リピーターが多い案内地点として取得する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、当該訪問地点に対してリピーターが多いことを示す情報(フラグ等)を対応づけ、案内地点としてメモリに記録する。訪問地点が、リピーターが多い案内地点として取得された場合、制御部20は、
図2に示すフローに復帰する。
【0053】
一方、ステップS215において、判定対象の訪問地点への訪問回数が既定回数以上であると判定されない場合、制御部20は、訪問地点に存在する施設の施設情報を取得する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、記録媒体30に記録された施設情報30cを参照し、判定対象の訪問地点としての施設に関する施設情報を取得する。この結果、当該施設情報に基づいて、当該施設の属性と、施設で開催されるイベントの期間および属性と、施設が変化した場合の変化の内容および変化した時期を特定可能な状態となる。
【0054】
次に、制御部20は、訪問地点に存在する施設に変化があったか否かを判定する(ステップS230)。本実施形態において、制御部20は、案内対象者が最後に訪問地点を訪問した日時を基準にして施設に変化があったか否かを判定する。このため、制御部20は、案内対象者が利用するナビゲーションシステム50のIDが対応づけられた移動履歴から訪問地点が訪問された履歴を特定し、最も新しい履歴に基づいて最後の訪問日時を特定する。そして、制御部20は、ステップS220で取得された施設情報を参照し、当該最後の訪問日時の後に判定対象の訪問地点に存在する施設が変化したか否かを判定する。
【0055】
ステップS230において、訪問地点に存在する施設に変化があったと判定された場合、制御部20は、判定対象の訪問地点を、施設の変化があった案内地点として取得する(ステップS235)。すなわち、制御部20は、当該訪問地点に対して施設の変化があったことを示す情報(フラグ等)を対応づけ、案内地点としてメモリに記録する。訪問地点が、施設の変化があった案内地点として取得された場合、制御部20は、
図2に示すフローに復帰する。すなわち、訪問地点に存在する施設が変化した場合、案内対象者が当該訪問地点を訪問した際の施設と異なっており、再訪の価値が生じている可能性がある。本実施形態において制御部20は、施設の変化があった訪問地点を案内地点とするため、利用者にとって訪問価値が高い地点を案内できる可能性を高めることができる。
【0056】
ステップS230において、訪問地点に存在する施設に変化があったと判定されない場合、制御部20は、訪問地点に存在する施設でイベントがあるか否かを判定する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、図示しない計時回路に基づいて現在の日時を特定し、ステップS225で取得された施設情報を参照し、現在開催中のイベントが存在するか否かを判定する。
【0057】
ステップS240において、訪問地点に存在する施設でイベントがあると判定されない場合、制御部20は、後述するステップS260の処理を実行する。一方、ステップS240において、訪問地点に存在する施設でイベントがあると判定された場合、制御部20は、案内対象者の嗜好を取得する(ステップS245)。案内対象者の嗜好は、施設を訪問する動機になるような嗜好であれば良く、本実施形態において制御部20は、案内対象者の移動履歴を参照し、訪問された施設において開催されていたイベントの属性を案内対象者の嗜好とみなす。
【0058】
次に、制御部20は、ステップS240においてイベントがあると判定された当該イベントが案内対象者の嗜好に合うイベントであるか否かを判定する(ステップS250)。すなわち、制御部20は、ステップS240においてイベントがあると判定された当該イベントの属性と案内対象者の嗜好としての属性とが一致する場合、案内対象者の嗜好に合うイベントであると判定する。
【0059】
ステップS250において、案内対象者の嗜好に合うイベントであると判定された場合、制御部20は、判定対象の訪問地点を、イベントがある案内地点として取得する(ステップS255)。すなわち、制御部20は、当該訪問地点に対してイベントがあることを示す情報(フラグ等)を対応づけ、案内地点としてメモリに記録する。訪問地点が、イベントがある案内地点として取得された場合、制御部20は、
図2に示すフローに復帰する。
【0060】
すなわち、施設でイベントがある場合、過去に訪問地点としての施設を訪問していたとしても、その際の施設の利用態様と異なる利用態様で施設を利用し得る状態となっており、再訪の価値が生じている可能性がある。そこで、この場合において訪問地点を案内地点とすれば、利用者にとって訪問価値が高い地点を案内できる可能性を高めることができる。なお、ステップS250において、案内対象者の嗜好に合うイベントであると判定されない場合、制御部20は、訪問地点を含む案内対象者の移動履歴を取得する(ステップS260)。すなわち、制御部20は、ステップS200で取得した移動履歴のうち、案内対象者のナビゲーションシステム50のIDに対応付けられた移動履歴を抽出する。
【0061】
次に制御部20は、ステップS260で取得した移動履歴のうち、案内対象者が前回当該訪問地点を訪問した際の出発地(前回出発地)から当該訪問地点までの経路(前回経路)を取得する(ステップS265)。そして制御部20は、前回経路における走行コストを算出する。具体的には本実施形態においては、旅行時間に関する走行コスト、走行費用に関する走行コスト、景観に関する走行コストを算出する。
【0062】
旅行時間に関する走行コストは、種々の定義が可能であるが本実施形態においては経路の旅行時間自体が旅行時間に関する走行コストに相当する。前回経路の旅行時間は、移動履歴情報30bに含まれる出発地を出発した時刻と目的地(訪問地点)に到着した時刻との差分によって算出される。走行費用に関する走行コストは、前回経路内に含まれる有料道路区間の料金の合計である。制御部20は、地図情報30aや有料道路情報を提供する外部のサーバー等から前回経路に含まれる有料道路区間の料金の合計を算出する。
【0063】
地図情報30aにおいて、景観がよいエリアを通過するリンクには景観がよいことを示す景観コスト値と、景観がよい期間(季節、時刻等)を示す情報とが対応付けて記録されている。具体的には、リンク内において景観がよい区間の距離に−1を乗算した値が景観コスト値として当該リンクに対応付けて記録されている。例えば、長さが0.2kmのリンクにおいて、景観がよい区間が0.15kmある場合に、当該リンクには景観コスト値として−0.15が対応付けて記録されている。景観がよい区間を含まないリンクには景観コスト値として0が対応付けて記録されている。制御部20は、前回経路における景観コスト値が記録されているリンクを抽出し、当該リンクの通過時刻が景観がよい期間内である場合に、当該リンクの景観コスト値同士を足し合わせて、前回経路の景観コスト値とする。本実施形態においては景観の良さは、景観がよい道路区間の長さによって表される。すなわち、景観がよい区間を多く含む経路ほど、景観コスト値は小さくなる(走行コストは低くなる)。
【0064】
次に、制御部20は、現在地から訪問地点までの経路(今回経路)であって異なる探索条件で探索された複数種類の経路を取得する(ステップS270)。異なる探索条件としては、距離優先、一般道路優先、有料道路優先等を含んでいる。そして制御部20は、今回経路として取得した複数種類の経路のそれぞれについて、走行コストを取得する。すなわち制御部20は、走行コストとして、各経路についての旅行時間に関する走行コストと、走行費用に関する走行コストと、景観に関する走行コストを取得する。
【0065】
旅行時間は、リンクごとの予想旅行時間を積算することで算出される。今回経路の複数種類の経路についてそれぞれ旅行時間が算出される。なお旅行時間には、通信部41を介して図示しない渋滞情報提供元から取得した渋滞情報が加味される。具体的には例えば制御部20は、経路を構成する各リンクについて、(当該リンクの長さ)/(渋滞情報を加味した当該リンクの平均車速)によって予想旅行時間を算出し、各リンクの予想旅行時間を積算することで経路全体の旅行時間を取得する。経路の旅行時間が短いほど旅行時間に関する走行コストは低い。走行費用は、前回経路の場合と同様に、今回経路内に含まれる有料道路区間の料金によって算出される。走行費用は今回経路の複数種類の経路それぞれについて算出される。走行費用が少ないほど、走行費用に関する走行コストは低い。景観に関する走行コストについては、景観コスト値と景観がよい期間を示す情報とに基づいて前回経路の場合と同様にして今回経路の複数経路においてそれぞれ算出される。景観がよい区間を多く含む経路ほど景観に関する走行コストは低い。
【0066】
次に、制御部20は、前回出発地が今回の出発地(すなわち現在地)と同じであるか否かを判定し(ステップS275)、前回出発地が現在地と同じであると判定されない場合は後述するステップS300に移行する。ステップS275において前回出発地が現在地であると判定される場合、制御部20は、前回より旅行時間に関する走行コストが低い経路が有るか否かを判定する(ステップS280)。前回、訪問地点に至った経路の出発地が現在地である場合、すなわち、今回と出発地も目的地も同一である場合であっても、新規道路の開通などで前回経路よりも旅行時間が短い、あるいは、走行費用が少なくて済む経路が探索できる可能性があるため、本実施形態ではステップS275で前回出発地が今回の出発地(すなわち現在地)と同じであると判定された場合にステップS280やステップS290の判定を行う。なお、ステップS275を省略し、ステップS270の後、ステップS280を実行するようにしてもよい。
【0067】
ステップS280では制御部20はステップS270で取得した複数種類の経路の中に前回経路より旅行時間が短い経路があるか否かを判定する。ステップS275にて前回経路より旅行時間に関する走行コストが低い(旅行時間が短い)経路が有ると判定される場合、制御部20は、旅行時間が前回より短い経路がある案内地点として訪問地点を取得する(ステップS285)。すなわち、制御部20は、当該訪問地点に対して前回より旅行時間が短い経路が存在することを示す情報(フラグ等)を対応づけ、案内地点としてメモリに記録する。また制御部20は、ステップS270で取得した複数種類の経路のうち前回経路よりも旅行時間が短い経路を当該訪問地点と対応付けてメモリに記録する。
【0068】
ステップS280にて前回経路より旅行時間が短い経路が有ると判定されない場合、または、ステップS285の実行後、制御部20は前回経路より走行費用に関する走行コストが低い経路が有るか否かを判定する(ステップS290)。すなわち、制御部20はステップS270で取得した複数種類の経路の中に前回経路より走行費用が少ない経路があるか否かを判定する。ステップS290にて前回経路より走行費用が少ない経路が有ると判定される場合、制御部20は、走行費用が前回より少ない経路がある案内地点として訪問地点を取得する(ステップS295)。すなわち、制御部20は、当該訪問地点に対して前回より走行費用が少ない経路が存在することを示す情報(フラグ等)を対応づけ、案内地点としてメモリに記録する。また制御部20は、ステップS270で取得した複数種類の経路のうち前回経路よりも走行費用が少ない経路を当該訪問地点と対応付けてメモリに記録する。
【0069】
ステップS290にて前回経路より走行費用が少ない経路が有ると判定されない場合、または、ステップS295の実行後、またはステップS275において前回出発地が今回の出発地(すなわち現在地)と同じであると判定されない場合、制御部20は、前回経路より景観に関する走行コストが低い経路が有るか否かを判定する(ステップS300)。すなわち制御部20は、ステップS270にて取得した複数種類の今回経路の中に前回経路より景観がよい経路が有るか否かを判定する。ステップS300にて前回経路より景観がよい経路が有ると判定される場合、制御部20は景観が前回経路よりよい経路がある案内地点として訪問地点を取得する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、当該訪問地点に対して前回より景観がよい経路が存在することを示す情報(フラグ等)を対応づけ、案内地点としてメモリに記録する。また制御部20は、ステップS270で取得した複数種類の経路のうち前回経路よりも景観がよい経路を当該訪問地点と対応付けてメモリに記録する。
【0070】
ステップS260以降の処理は、ステップS210において同一端末の利用者による訪問地点の訪問回数が基準回数以上である場合に実行されるため、同一端末の利用者によって再訪された回数が基準回数以上である訪問地点であって、案内対象者によって訪問された際に利用された経路の走行コストより低い走行コストの経路が探索できた訪問地点は、訪問価値があると推定され、案内地点となる。また、同一端末の利用者によって再訪された回数が基準回数以上である訪問地点であっても、案内対象者によって訪問された際に利用された経路の走行コストより低い走行コストの経路が探索できなかった訪問地点は、案内地点とならない。
【0071】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、同一の端末の利用者によって基準回数訪問されているか否かに基づいて案内地点を決定する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ナビゲーションシステム50とともに移動する移動体は任意であり、車両であっても良いし、歩行者であっても良く、種々の例が想定される。また、ナビゲーションシステム50は、車両等に搭載された装置であっても良いし、可搬型の端末によって実現される装置であっても良いし、複数の装置(例えば、クライアントとサーバ)によって実現される装置であっても良い。
【0072】
さらに、地点案内システム10を構成する訪問地点取得部21a、案内地点取得部21b、案内制御部21cの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していても良い。例えば、訪問地点取得部21aの機能がナビゲーションシステム50で実現されてもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0073】
さらに、実施例では案内対象者以外の利用者が基準回数または既定回数訪問した訪問地点について案内地点とするか否かを特定しているが、案内対象者が基準回数または既定回数訪問した訪問地点についても案内地点とするか否かが判定される構成であって良い。さらに、訪問回数は基準回数と既定回数(>基準回数)に基づいて解析されているが、基準回数と既定回数は同値であってもよい。基準回数と既定回数とが異なる値である場合において、訪問回数が基準回数以上、既定回数未満である訪問地点は、案内地点とされても良いし、案内地点とされなくても良いし、他の要素に基づいて案内地点とされるか否かが特定されても良い。さらに、案内地点が案内される場面は、現在地の次の目的地が提案される場面に限定されない。
【0074】
さらに、上記実施形態では、
図4の案内地点取得処理において、案内対象者が処理対象の訪問地点を過去に訪問している場合に、前回(すなわち直近の1つの経路)の訪問時の経路と、今回取得された経路とを比較する構成を採用していたが、前回に限定されなくてもよい。例えば、過去に訪問した際の全ての経路、あるいは、直近の複数の経路を比較対象としてもよい。旅行時間や走行費用や景観等の走行コストに関しても、それら複数の経路における平均値や中央値や最小値等の統計値が今回経路の走行コストとの比較対象になってもよい。
【0075】
訪問地点取得部は、端末の移動履歴に基づいて、訪問された実績のある訪問地点を取得することができればよい。すなわち、端末においては、端末の利用者が移動する場合の位置の履歴を移動履歴として取得し、訪問地点取得部は、1以上の端末の移動履歴を取得する。そして、訪問地点取得部は、当該移動履歴に基づいて利用者が訪問した地点を訪問地点として取得する。
【0076】
訪問地点は種々の手法で特定されて良く、例えば、移動履歴における移動の終了地点(位置が既定期間以上変化しなかった地点)等であっても良いし、端末の利用者が入力した目的地を移動履歴として取得し、当該目的地が訪問地点とされても良く、種々の構成が採用可能である。
【0077】
案内地点取得部は、移動履歴に基づいて、同一の端末の利用者によって予め決められた基準回数以上訪問され、かつ、案内対象者によって訪問された訪問地点の中から、案内対象者によって訪問された際に利用された経路の走行コストより低い走行コストの経路が探索できなかった訪問地点を案内地点として取得せず、案内対象者によって訪問された際に利用された経路の走行コストより低い走行コストの経路が探索できた訪問地点を案内地点として取得することができればよい。
【0078】
すなわち、地点案内システムにおいては、案内対象者に対して案内を行う。訪問地点を再訪する価値があるか否かは個別の案内対象者毎に異なるため、案内地点取得部は、当該案内対象者の移動履歴を参照して、当該案内対象者が訪問済みの訪問地点を特定する。そして、案内地点取得部は、訪問地点を含む移動履歴を参照し、当該訪問地点が再訪の価値がある施設であるか否かに基づいて案内地点を取得する。
【0079】
再訪の価値は種々の基準で特定され得るが、同一の端末を利用する利用者によって訪問地点が再訪されている場合、案内地点取得部は、当該訪問地点に再訪の価値があると推定する。そこで、予め再訪の価値があると見なすことができるか否かを訪問回数によって判定するために、予め基準回数が定義されている。基準回数は、訪問地点に再訪の価値がなく、案内地点とする必要性が低いか否かを判定するための評価指標である。基準回数は、予め決められていれば良く、2以上の整数であれば良い。訪問地点を基準回数以上訪問したか否かが判定される端末は、同一の端末であれば良く、案内対象者が利用する端末であっても良いし、案内対象者以外の者が利用する端末であっても良いし、双方であっても良い。したがって、案内対象者が既に訪問済みの訪問地点であっても、同一の端末の利用者によって基準回数以上訪問された地点であれば、案内対象者にとっても再訪の価値がある可能性があるとみなすことができる。
【0080】
さらに、同一の端末の利用者によって予め決められた基準回数以上訪問され、かつ、案内対象者によって訪問された訪問地点の中から、案内対象者によって訪問された際の経路よりも走行コストが低い経路を探索できた地点を抽出する。そして当該訪問地点を、以前よりも訪問しやすく(走行しやすく)なったために再訪の価値がある地点として案内対象者に案内することができる。同一の端末の利用者によって予め決められた基準回数以上訪問され、かつ、案内対象者によって訪問された訪問地点の中であって、前回案内対象者によって訪問された際の経路よりも走行コストが低い経路を経路探索の結果取得できない地点については、以前よりも訪問しやすく(走行しやすく)なった訳ではないため、案内地点としないことで、過度に多くの訪問地点が案内地点として案内されることを防止できる。
【0081】
なお、出発地から目的地までの経路を走行コストに基づいて探索し、探索の結果得られた経路が、案内対象者が過去に当該出発地から当該目的地まで走行した際の経路と異なる場合に、走行コストが低い経路が探索されたとみなしても良い。例えば、旅行時間優先で探索した結果得られた経路が過去の経路と異なる場合、旅行時間に関する走行コストが低い経路が探索できたとみなしてもよい。同様に、走行費用優先で探索した結果得られた経路が過去の経路と異なる場合、走行費用に関する走行コストが低い経路が探索できたとみなしてもよい。また例えば、景観優先で探索した結果得られた経路が過去の経路と異なる場合、景観に関する走行コストが低い経路が探索できたとみなしてもよい。
【0082】
案内制御部は、案内地点を案内対象者に対して案内させることができればよい。すなわち、案内制御部は、案内部を制御して案内を出力させることができればよい。案内部は、地点案内システムの外部に備えられていても良いし、地点案内システムが案内部を備えていても良い。前者としては、例えば、地点案内システムから外部の地点案内端末に対して案内内容を示す情報を送信し、当該地点案内端末が備える案内部によって案内を出力することにより、当該地点案内端末を利用する案内対象者に案内地点を案内する構成等が挙げられる。後者としては、案内対象者が地点案内システムの利用者であり、地点案内システムが備える案内部において案内が出力される構成等が挙げられる。
【0083】
なお、地点案内端末は、その移動履歴が収集される端末であっても良い。この場合、当該地点案内端末は、現在地の移動履歴を取得し、外部の地点案内システムに送信する移動履歴送信部を備え、予め決められたトリガに応じて移動履歴を地点案内システムに送信する。地点案内端末において案内地点の案内要求が行われると、地点案内システムから案内地点が送信されるため、地点案内端末は案内地点受信部によって案内地点を受信する。そして、地点案内端末においては、案内部において案内地点を案内する。
【0084】
案内地点の案内は、任意の場面で実行されてよい。案内地点の案内が行われる場面の例として、例えば、案内対象者の現在地の次の訪問地点として推奨される地点を案内地点として案内する構成等が挙げられる。この構成のより具体的な例としては、例えば、案内地点取得部が、移動履歴に基づいて訪問地点が訪問された順序を取得し、当該順序に基づいて案内対象者の現在地の次に訪問された訪問地点を取得し、取得された訪問地点の中から案内地点を取得し、案内制御部が現在地の次に訪問される地点として案内地点を案内させる構成が採用されてもよい。
【0085】
すなわち、案内対象者に対して種々の場面で目的地を提案する機能が提供されて良いが、前提となる条件が全く存在しない状況で目的地が提案されると、案内対象者のニーズに幅がありすぎて適切な提案ができないことも考えられる。一方、案内対象者がある訪問地点を訪問した場合、当該訪問地点の次に他の利用者が訪問した訪問地点は、案内対象者が訪問したいと感じる可能性が高い。そこで、ある訪問地点の次に訪問される地点を提案する構成が採用されると、利用者にとって有意な提案が行われる可能性が高くなる。そして、この場合において、次の訪問地点の訪問価値に応じて案内地点が提案されると、利用者にとって訪問価値が高い地点を案内できる可能性を高めることができる。
【0086】
さらに、旅行時間を評価するための走行コストは、経路の走行に要する時間が短いほど低くなるように定義されていればよく、種々の定義が可能である。また、走行費用を評価するための走行コストは、経路を走行する際に要する費用が少ないほど低くなるように定義されていればよく、種々の定義が可能である。走行費用としては、経路に含まれる有料道路区間の料金の合計以外の費用が加味されても良い。例えば、経路長や経路の旅行時間や経路を構成する道路の形状(上り坂が多い、下り坂が多い等)等の特徴に基づいて取得された燃料や電力等の消費量が走行費用に加味されてもよい。
【0087】
また、景観を評価するための走行コストは、経路周辺の景観がよいほど低くなるように定義されていれば良く、種々の定義が可能である。例えば、海沿い、季節毎の花や紅葉の名所、日の出の風景、日没の風景、夜景、等、景観が良いとされる特定の風景が予め決めてあり、道路脇や道路からの距離が閾値以内の範囲にその特定の風景が道路区間の一定割合以上存在する場合に当該道路区間に景観が良いことを示す景観コスト値が対応付けて記録され、当該特定の風景が道路区間の一定割合以上存在しない場合には景観が良い訳ではないことを示す景観コスト値が対応付けて記録されていてもよい。また例えば、景観が良い区間の距離に応じて景観コスト値が増減する構成であってもよい。
【0088】
走行コストは、訪問地点に至るまでの経路の魅力を評価するための指標であればよい。経路の魅力は経時的に変化しうるものであってよい。例えば、同じ経路であっても走行の際の利用者の負担が過去よりも変化し、経路の魅力が過去よりも増加しているなどの経時変化が想定し得る。従って、走行コストは当該経時変化を反映できるように定義されていることが好ましい。このような経時変化としては、例えば、道路構造の変化があった場合に、変化後の道路や変化によって新設された道路の走行コストを他の道路よりも低くする構成等が挙げられる。
【0089】
また、走行コストは、利用者が経路に関して感じる魅力を反映した構成とすることが可能であり、経路走行の際の運転の負担が少ないほど低くなるように定義されていても良い。例えば、勾配や合流地点が少ないほど低くなってもよい。また、走行コストは、利用者の関心が高い経路ほど低くなるように定義されていても良い。例えば、新規道路が開通した場合に当該新規道路の走行コストが低くなる構成や案内対象者の嗜好に合致するほど低くなる構成等を採用可能である。嗜好としては例えば、未舗装路を含む経路、予め設定された標高より高い道路を含む経路、予め設定された曲率以上のカーブを含む経路等であってもよい。
【0090】
さらに、本発明のように、案内対象者が訪問地点を訪問した際の経路よりも走行コストの低い経路が存在するか否かに基づいて案内地点を決定する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。