(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に従う燃焼装置が適用された給湯装置1の概略構成図である。
図1を参照して、給湯装置1は、入水管2と、出湯管3と、熱交換器4と、燃焼バーナ5と、コントローラ100とを備える。給湯装置1は、さらに、燃焼バーナ5に対して燃焼ガスを供給するための、ガス供給管6、元ガス電磁弁7および能力切換弁8を備える。熱交換器4および燃焼バーナ5は、図示しない缶体に格納されている。
【0021】
入水管2には、水道水等の非加熱水が給水される。熱交換器4は、燃焼バーナ5による燃料ガスの燃焼熱により入水管2からの非加熱水を熱交換によって加熱する。熱交換器4による加熱水は、出湯管3から出湯される。
【0022】
燃焼バーナ5へのガス供給管6には、元ガス電磁弁7および能力切換弁8が介挿される。燃焼バーナ5から出力された燃料ガスは、図示しないファンによって導入された燃焼用空気と混合されて、図示しない点火装置によって着火される。混合気が着火されることにより、燃料ガスが燃焼された火炎が生じる。燃焼バーナ5からの火炎によって生じる燃焼熱は、熱交換器4に与えられる。
【0023】
元ガス電磁弁7および能力切換弁8は、それぞれ、コントローラ100からの制御指令に応じて開閉される。元ガス電磁弁7は、燃焼バーナ5への燃料ガスの供給をオンオフする機能を有する。能力切換弁8は、複数の燃焼バーナ5のうちの、燃料ガスの供給対象となるバーナ本数を切換えるために開閉制御される。なお、図示は省略するが、元ガス電磁弁7および能力切換弁8の間に、ガス供給管6のガス流量を制御するためのガス比例弁をさらに設けてよい。缶体での発生熱量は、バーナ本数およびガス流量の組み合わせによって決まる、燃焼バーナ5全体への供給熱量に比例する。
【0024】
図1に示した構成において、燃焼バーナ5、ガス供給管6、元ガス電磁弁7、能力切換弁8、ならびにコントローラ100によって、本実施の形態に従う「燃焼装置」が構成される、すなわち、燃焼バーナ5は「燃焼部」の一実施例に対応し、元ガス電磁弁7および能力切換弁8は「負荷」の一実施例に対応する。元ガス電磁弁7および能力切換弁8の開閉を制御するための構成については後ほど詳細に説明する。
【0025】
給湯装置1は、さらに、給湯装置1内の予め設定された複数の検知対象の異常を検知するための構成として、ハイリミットスイッチ30と、温度ヒューズ32と、フレームロッド(FR)24とを備える。
【0026】
ハイリミットスイッチ30は、缶体に配置される。ハイリミットスイッチ30は、缶体からの異常な高温出湯を監視するための検知素子である。ハイリミットスイッチ30は、缶体が一定値以上の温度になると、その接点が開放することにより、電気的に導通状態から遮断状態に遷移する。なお、ハイリミットスイッチ30は、缶体の温度が下がると、その接点が自動的に復帰するようになっている。
【0027】
つまり、ハイリミットスイッチ30は、給湯装置1が正常に動作しており、ハイリミットスイッチ30で検知される温度が一定値未満の状態では、その接点が閉成状態を保つことで、ハイリミットスイッチ30が挿入されている経路をショートさせる。一方、缶体から異常な高温出湯があり、ハイリミットスイッチ30で検知される温度が一定値以上になると、その接点が開放状態となり、ハイリミットスイッチ30が挿入されている経路をオープンにする。
【0028】
温度ヒューズ32は、缶体の外周に配置される。温度ヒューズ32は、缶体からの炎が漏れ出すことを監視するための検知素子である。温度ヒューズ32は、缶体の破損等によって缶体外部に燃焼バーナ5の炎があふれ出たときに、その炎で加熱されて一定値以上の温度になると溶断するように構成されている。
【0029】
つまり、温度ヒューズ32は、給湯装置1が正常に動作しており、温度ヒューズ32で検知される温度が一定値未満の状態であれば、電気的に導通状態になる。これにより、温度ヒューズ32が挿入されている経路をショートさせる。一方、缶体から炎が漏れ出して、温度ヒューズ32で検知される温度が一定値以上になると、温度ヒューズ32は溶断して、電気的に導通状態から遮断状態に遷移する。これにより、温度ヒューズ32が挿入された経路をオープンにする。
【0030】
フレームロッド24は、燃焼バーナ5の近傍(たとえば、燃焼バーナの上方)に配置される。フレームロッド24は、燃焼バーナ5で生じた火炎の間に交流電圧を印加し火炎のイオン化による導電性、整流作用を利用して、フレームロッド24から火炎へ流れる直流電流を検知することにより火炎の有無を検知するための検知素子である。フレームロッド24の出力信号はコントローラ100に入力される。
【0031】
なお、本実施の形態において、缶体からの異常な高温出湯は「第1の検知対象」に対応し、ハイリミットスイッチは「第1の検知素子」の一実施例に対応する。また、缶体からの炎漏れは「第2の検知対象」に対応し、温度ヒューズ32は「第2の検知素子」の一実施例に対応する。また、フレームロッド24は「第3の検知素子」の一実施例に対応する。
【0032】
次に、
図2を用いて、元ガス電磁弁7および能力切換弁8の開閉を制御するための構成を説明する。
【0033】
図2を参照して、電源配線200は、ノードN1(第1のノード)を介して給電線210と接続される。電源配線200は、給電線210およびコントローラ100に電源電圧Vsを供給する役割を果たす。電源電圧Vsは、図示しない電源基板によって、たとえば15Vに制御される。給電線210には元ガス電磁弁(SVO)7および能力切換弁(SVQ)8が接続される。給電線210には、さらに、図示しない他の負荷が接続される。給電線210は「第1の給電線」に対応する。
【0034】
コントローラ100は、元ガス電磁弁7および能力切換弁8の開閉を制御するための構成として、駆動回路10、監視回路12およびマイクロコンピュータ18を有する。
【0035】
マイクロコンピュータ18は、電源配線212および接地配線214の間に接続される。マイクロコンピュータ18は、電源配線212から電源電圧Vcの供給を受けて動作する。電源電圧Vcは、図示しない電源基板により、たとえば5Vに制御される。
【0036】
マイクロコンピュータ18は、元ガス電磁弁7の開閉を制御するための制御指令SVO1、能力切換弁8の開閉を制御するための制御指令SVQ1、および、給電線210に対する電源供給を制御するための制御指令SVCOMを生成する。生成された制御指令SVO1,SVQ1,SVCOMは、それぞれ、マイクロコンピュータ18の出力端子T4〜T6から駆動回路10へ入力される。
【0037】
駆動回路10は、給電線210と接地配線208との間に、元ガス電磁弁7と電気的に直列に接続される。駆動回路10は、また、給電線210と接地配線208との間に、能力切換弁8と電気的に直列に接続される。以下では、接地配線の電圧を接地電圧GND(0V)と表記する。
【0038】
駆動回路10は、給電線206から電源電圧Vs1の供給を受けて動作する。具体的には、駆動回路10は、制御指令SVO1に従って、給電線210から元ガス電磁弁7への通電を制御する。元ガス電磁弁7は、通電されることにより閉状態から開状態に変化する。駆動回路10は、また、制御指令SVQ1に従って、給電線210から能力切換弁8への通電を制御する。能力切換弁8は、通電されることにより閉状態から開状態に変化する。駆動回路10は、さらに、制御指令SVCOMに従って、給電線210に対する電源供給を制御する。給電線206は「第2の給電線」に対応する。
【0039】
監視回路12は、給電線216および接地配線218の間に接続される。監視回路12は、給電線216から電源電圧Vs2の供給を受けて動作する。監視回路12は、元ガス電磁弁7および能力切換弁8の各々の開閉状態を監視するように構成される。
【0040】
給電線216は、給電線210を介してノードN1と電気的に接続される。すなわち、給電線216は、電源配線200からハイリミットスイッチ30および給電線210を経由して供給される電源電圧を、電源電圧Vs2として監視回路12に供給する。
【0041】
監視回路12は、元ガス電磁弁7および駆動回路10の間のノードN3および、能力切換弁8および駆動回路10の間のノードN4と電気的に接続される。監視回路12は、ノードN3の電圧を検出し、検出した電圧を示す信号SVOをマイクロコンピュータ18の入力端子T3へ入力する。監視回路12は、ノードN4の電圧を検出し、検出した電圧を示す信号SVQをマイクロコンピュータ18の入力端子T2へ入力する。
【0042】
元ガス電磁弁7の開状態と閉状態とでは、ノードN3に現れる電圧が異なる。マイクロコンピュータ18は、信号SVOが示すノードN3の電圧に基づいて、元ガス電磁弁7が開状態であるか閉状態であるかを判断することができる。
【0043】
同様に、能力切換弁8の開状態と閉状態とでは、ノードN4に現れる電圧が異なるため、マイクロコンピュータ18は、信号SVQが示すノードN4の電圧に基づいて、能力切換弁8が開状態であるか閉状態であるかを判断することができる。
【0044】
コントローラ100は、さらに、給湯装置1内の複数の検知対象の異常を検知するための構成として、異常検知回路14およびインターロック回路16を有する。複数の検知対象には、缶体からの異常な高温出湯、缶体からの炎漏れ、および不完全燃焼が含まれる。
【0045】
図2に示されるように、ハイリミットスイッチ30は、電源配線200およびノードN1の間に電気的に接続されている。温度ヒューズ32および異常検知回路14は、ノードN1および接地配線204の間に電気的に直列に接続されている。すなわち、ハイリミットスイッチ30、温度ヒューズ32および異常検知回路14は、電源配線200および接地配線204の間に電気的に直列に接続されている。
【0046】
ノードN1は、ハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32の接続ノードに相当する。なお、上述したように、ノードN1には、元ガス電磁弁7および能力切換弁8に電源電圧を供給するための給電線210が接続されている。
【0047】
温度ヒューズ32および異常検知回路14の間のノードN2(第2のノード)には、駆動回路10に電源電圧Vs1を供給するための給電線206が接続されている。すなわち、給電線206は、電源配線200からハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32を経由して供給される電源電圧を、電源電圧Vs1として駆動回路10に供給する。
【0048】
異常検知回路14は、電源配線200からハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32を経由してノードN2に供給される電圧に基づいて、ハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32の少なくともいずれかが遮断状態になったことを検知するように構成される。異常検知回路14は、ノードN2の電圧を示す信号FSを生成する。生成された信号FSはマイクロコンピュータ18の入力端子T7へ入力される。
【0049】
インターロック回路16は、ノードN4に電気的に接続され、かつ、フレームロッド24に電気的に接続されている。インターロック回路16は、ノードN4の電圧およびフレームロッド24の出力信号に基づいて、燃焼バーナ5への燃料ガスの供給を遮断するように構成される。
【0050】
具体的には、インターロック回路16は、ノードN4の電圧により示される能力切換弁8の開閉状態と、フレームロッド24により検知される火炎の有無とに基づいて、これらが一定の条件を満たしたときに、インターロック信号ILを出力するように構成される。インターロック信号ILは、マイクロコンピュータ18を介さずに、燃焼バーナ5への燃料供給を遮断させるインターロックの作動トリガとして用いられる。
【0051】
本実施の形態では、インターロック回路16は、能力切換弁8が開状態であるにもかかわらず、火炎無しである場合に、不完全燃焼状態であると検知して、インターロック信号ILを出力する。
【0052】
なお、インターロック信号ILが出力されたことによってインターロックが作動すると、インターロックが作動したことを示すデータがマイクロコンピュータ18内部の不揮発性メモリに記憶されるとともに、その後にインターロックが解除されない限り、給湯運転の実行が禁止される。したがって、インターロックの作動中は、ユーザが給湯装置1の運転スイッチを操作しても、給湯運転が実行されない状態となる。インターロックは、通常、給湯装置1のサービスマン等が所定のリセット操作を行なうことで解除することができる。
【0053】
次に、
図3を用いて、
図2に示したコントローラ100の回路構成例について詳細に説明する。
【0054】
図3は、
図2に示したコントローラ100の構成例を説明する回路図である。
図2に示したように、コントローラ100は、駆動回路10、監視回路12、異常検知回路14、インターロック回路16およびマイクロコンピュータ18を有する。
【0055】
(駆動回路10の構成)
図3を参照して、駆動回路10は、駆動トランジスタQ1〜Q4と、コモントランジスタQ5と、抵抗素子R5〜R12と、コンデンサC2とを含む。
図3の例では、駆動トランジスタQ1〜Q4は、NMOSトランジスタによって構成されている。コモントランジスタQ5は、PMOSトランジスタによって構成されている。
【0056】
なお、
図3では、説明の簡単のため、元ガス電磁弁7に対する通電の制御構成のみが示されているが、駆動回路10には、能力切換弁8への通電に対しても同様の制御構成が設けられている。
【0057】
駆動トランジスタQ1および抵抗素子R7は、給電線206および接地配線208の間に電気的に直列に接続されている。抵抗素子R6は、駆動トランジスタQ1のゲートと接地配線208との間に接続されている。抵抗素子R5は、駆動トランジスタQ1のゲートとマイクロコンピュータ18の出力端子T6との間に電気的に接続されている。駆動トランジスタQ1は「第1のスイッチング素子」に対応する。
【0058】
コモントランジスタQ5は、給電線210に介挿されている。抵抗素子R8は、コモントランジスタQ5のゲートとソースとの間に電気的に接続されている。抵抗素子R9および駆動トランジスタQ2は、コモントランジスタQ5のゲートと接地配線208との間に、電気的に直列に接続されている。駆動トランジスタQ2のゲートは、駆動トランジスタQ1および抵抗素子R7の接続ノードに電気的に接続されている。コモントランジスタQ5は「第3のスイッチング素子」に対応する。
【0059】
駆動トランジスタQ3および抵抗素子R1は、給電線206および接地配線208の間に電気的に直列に接続されている。駆動トランジスタQ3のゲートと接地配線208との間には、抵抗素子R11が接続されている。駆動トランジスタQ4のゲートとマイクロコンピュータ18の出力端子T4との間には、抵抗素子R12が接続されている。駆動トランジスタQ3は「第1のスイッチング素子」に対応する。
【0060】
駆動トランジスタQ4は、給電線210および接地配線208の間に、元ガス電磁弁7と電気的に直列に接続されている。駆動トランジスタQ4のゲートは、駆動トランジスタQ3および抵抗素子R10の接続ノードに電気的に接続されている。駆動トランジスタQ4は「第2のスイッチング素子」に対応する。
【0061】
マイクロコンピュータ18の出力端子T6から出力された制御指令SVCOMは、抵抗素子R5を経由して駆動トランジスタQ1のゲートに入力される。制御指令SVCOMは、上述したように、給電線210に対する電源供給を制御するための制御指令である。駆動回路10は、制御指令SVCOMの電圧レベルに応じて、給電線210に対する電源供給を制御することができる。
【0062】
具体的には、制御指令SVCOMの電圧レベルがH(論理ハイ)レベルであるとき、駆動トランジスタQ1がオンすることにより、給電線206から抵抗素子R7を経由して接地配線208に至る通電経路が形成される。駆動トランジスタQ1および抵抗素子R7の接続ノードに現われる電圧は駆動トランジスタQ2のゲートに入力される。そして、この入力電圧を受けて駆動トランジスタQ2がオンすることにより、コモントランジスタQ5のゲートには接地電圧GNDが入力される。ゲートにソースよりも低い電圧がかかることでコモントランジスタQ5がオンすると、電源配線200から給電線210に対する電源供給が実行される。
【0063】
一方、制御指令SVCOMの電圧レベルがL(論理ロー)レベルであるときには、駆動トランジスタQ1,Q2がともにオフするため、コモントランジスタQ5もオフする。したがって、電源配線200から給電線210に対する電源供給が遮断される。
【0064】
マイクロコンピュータ18の出力端子T4から出力された制御指令SVO1は、抵抗素子R12を経由して駆動トランジスタQ3のゲートに入力される。制御指令SVO1は、上述したように、元ガス電磁弁7の開閉を制御するための制御指令である。駆動回路10は、Hレベルの制御指令SVCOMに応答してコモントランジスタQ5がオンすることで、給電線210に電源電圧Vs2が供給されている状態において、制御指令SVO1の電圧レベルに応じて、給電線210から元ガス電磁弁7への通電を制御することにより、元ガス電磁弁7の開閉を制御することができる。
【0065】
具体的には、制御指令SVO1の電圧レベルがHレベルであるとき、駆動トランジスタQ3がオンすることにより、給電線206からから抵抗素子R10を経由して接地配線208に至る通電経路が形成される。駆動トランジスタQ3および抵抗素子R10の接続ノードに現われる電圧は駆動トランジスタQ4のゲートに入力される。そして、この入力電圧を受けて駆動トランジスタQ4がオンすることにより、給電線210から元ガス電磁弁7を経由して接地配線208に至る通電経路が形成される。元ガス電磁弁7が通電されることにより、元ガス電磁弁7は開状態となる。
【0066】
一方、制御指令SVO1の電圧レベルがLであるときには、駆動トランジスタQ3,Q4がともにオフするため、給電線210から元ガス電磁弁7への通電が遮断される。この結果、元ガス電磁弁7は閉状態となる。
【0067】
(監視回路12の構成)
監視回路12は、アンプ(増幅回路)IC1,IC2と、抵抗素子R14,R15,R16と、ダイオードD1,D2とを含む。
【0068】
アンプIC1の入力端子は、元ガス電磁弁7および駆動トランジスタQ4の間のノードN3と電気的に接続される。アンプIC1の出力端子は、マイクロコンピュータ18の入力端子T3と電気的に接続される。抵抗素子R15は、ノードN3とアンプIC1の入力端子との間に電気的に接続されている。抵抗素子R16は、給電線216とアンプIC1の入力端子との間に電気的に接続されている。
【0069】
アンプIC2の入力端子は、能力切換弁8および駆動回路10(図示しない駆動トランジスタ)の間のノードN4と電気的に接続される。アンプIC2の出力端子は、マイクロコンピュータ18の入力端子T2と電気的に接続される。抵抗素子R13は、ノードN4とアンプIC2の入力端子との間に電気的に接続されている。抵抗素子R14は、抵抗素子R13およびアンプIC2の入力端子の間のノードと接地配線218との間に電気的に接続されている。
【0070】
ノードN3と給電線210との間には、給電線210からノードN3に電流が流れるのを防止するためのダイオードD1が接続されている。ノードN4と給電線210との間には、給電線210からノードN4に電流が流れるのを防止するためのダイオードD2が接続されている。
【0071】
上述したように、駆動回路10においてコモントランジスタQ5および駆動トランジスタQ4がともにオンすると、元ガス電磁弁7は、給電線210から通電されて開状態となる。この場合、ノードN3は接地配線208と電気的に接続されるため、ノードN3の電圧は接地電圧GNDとなる。ノードN3の電圧(GND)は、抵抗素子R15およびアンプIC1を経由して、信号SVOとして、マイクロコンピュータ18の入力端子T3に入力される。
【0072】
同様にして、駆動回路10において能力切換弁8が通電されて開状態となった場合には、ノードN4の電圧は接地電圧GNDとなる。ノードN4の電圧(GND)は、抵抗素子R13およびアンプIC2を経由して、信号SVQとして、マイクロコンピュータ18の入力端子T2に入力される。
【0073】
一方、駆動回路10において、コモントランジスタQ5がオフすると、給電線210への電源供給が遮断されるため、元ガス電磁弁7および能力切換弁8はいずれも、給電線210からの通電が遮断されて開状態となる。この場合、監視回路12においては、給電線216から抵抗素子R16,R15、ノードN3、元ガス電磁弁7、給電線210、能力切換弁8、ノードN4、抵抗素子R13,R14を経由して接地配線218に至る通電経路が形成される。
【0074】
言い換えると、給電線216と接地配線218との間には、直列接続された、抵抗素子R16,R15、元ガス電磁弁7、能力切換弁8、および抵抗素子R13,R14からなる分圧回路が接続されることとなる。
【0075】
これにより、給電線210から元ガス電磁弁7および能力切換弁8への通電が遮断された場合、アンプIC1,IC2の各々の入力端子には、上記分圧回路における分圧比に基づいた分圧電圧が入力される。
【0076】
なお、上記分圧回路の合成抵抗値をR、抵抗素子R16の抵抗値をR16と表記すると、アンプIC1に入力される分圧電圧は、Vs2×(R−R16)/Rで示される。また、抵抗素子R14の抵抗値をR14と表記すると、アンプIC2に入力される分圧電圧は、Vs2×R14/Rで示される。
【0077】
アンプIC1は、入力される分圧電圧をデジタル値の信号SVOに変換し、マイクロコンピュータの入力端子T3に出力する。アンプIC1は、入力電圧(すなわち、ノードN3の電圧)が接地電圧GNDのときには信号SVOをLレベルに設定する。一方、アンプIC1は、入力電圧が分圧電圧のときには信号SVOをHレベルに設定する。
【0078】
ここで、信号SVOのHレベルはマイクロコンピュータの電源電圧Vcの電圧(5V)であり、Lレベルは接地電圧GNDである。
【0079】
マイクロコンピュータ18は、監視回路12からLレベルの信号SVOが入力されると、元ガス電磁弁7の開状態を検出する。一方、監視回路12からHレベルの信号SVOが入力されると、元ガス電磁弁7の閉状態を検出する。
【0080】
アンプIC2は、入力される分圧電圧をデジタル値の信号SVQに変換し、マイクロコンピュータの入力端子T2に出力する。アンプIC2は、入力電圧(すなわち、ノードN4の電圧)が接地電圧GNDのときには信号SVQをLレベルに設定する。一方、アンプIC2は、入力電圧が分圧電圧のときには信号SVQをHレベルに設定する。信号SVQのHレベルは電源電圧Vc(5V)であり、Lレベルは接地電圧GNDである。上記分圧回路は、Hレベルの信号SVO,SVQが5Vとなるように、回路設計されている。
【0081】
マイクロコンピュータ18は、監視回路12からLレベルの信号SVQが入力されると、能力切換弁8の開状態を検出する。一方、監視回路12からHレベルの信号SVQが入力されると、能力切換弁8の閉状態を検出する。
【0082】
(異常検知回路14の構成)
異常検知回路14は、電源配線200および接地配線204の間に、ハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32と電気的に直列に接続されている。
【0083】
具体的には、異常検知回路14は、抵抗素子R1〜R4と、コンデンサC4とを含む。抵抗素子R1およびコンデンサC1は、ノードN2および接地配線204の間に、電気的に直列に接続されている。抵抗素子R2,R3の各々は、コンデンサC1に対して電気的に並列に接続されている。抵抗素子R1およびコンデンサC1の接続ノードは、抵抗素子R4を経由してマイクロコンピュータ18の入力端子T7に電気的に接続されている。
【0084】
抵抗素子R1と、並列接続された抵抗素子R2,R3とは、ノードN2の電圧を分圧する分圧回路を構成する。この分圧回路の分圧電圧は抵抗素子R4を経由して、ノードN2の電圧を示す信号FSとして、マイクロコンピュータ18の入力端子T7に入力される。
【0085】
上記分圧回路は、マイクロコンピュータ18の入力端子T7にマイクロコンピュータ18の電源電圧Vc(5V)以上の電圧が入力されることがないように回路設計されている。具体的には、抵抗素子R1〜R3のいずれかがオープン故障したときでも、入力端子T7には電源電圧Vc未満の電圧が入力されるように構成されている。たとえば、ノードN2に電源電圧Vs1を受けたときに、入力端子T7には2.5V程度の電圧が入力されるように構成されている。
【0086】
一方、ハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32の少なくとも一方が電気的に導通状態から遮断状態に遷移したときには、入力端子T7には接地電圧GNDが入力されることになる。なお、分圧回路の抵抗素子R1〜R3のいずれかが故障していれば、その故障箇所および故障態様に応じた電圧が入力端子T7に入力されることになる。
【0087】
マイクロコンピュータ18は、入力端子T7に入力される信号FSの電圧レベルに基づいて、ハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32の少なくとも一方が遮断状態となったことを検知することができる。
【0088】
(インターロック回路16の構成)
インターロック回路16の一方入力端子は、監視回路12のアンプIC2の出力端子に電気的に接続されており、他方入力端子はフレームロッド24に電気的に接続されている。一方入力端子は、抵抗素子R17を介して電源配線に電気的に接続されている。当該電源配線は電源電圧Vc(5V)をインターロック回路16に供給する。インターロック回路16の一方入力端子とアンプIC2の出力端子との間には、電源電圧Vcを超える電圧から一方入力端子を保護するためのダイオードD3が接続されている。
【0089】
インターロック回路16は、一方入力端子にアンプIC2の出力信号SVQに応じた信号を受け、他方端子にフレームロッド24の出力信号を受ける。インターロック回路16は、これら2つの信号が一定の条件を満たしたときに、インターロック信号ILを出力する。たとえば、アンプIC2の出力信号SVQはLレベルであるとき、インターロック回路16の一方入力端子は、ダイオードD3の順方向電圧(たとえば0.6V程度)に等しい電圧レベルの信号を受ける。この場合、能力切換弁8の開状態を示しているが、フレームロッド24の出力信号が火炎無しを示していれば、インターロック回路16は、不完全燃焼であると検知して、インターロック信号ILを出力する。インターロック信号ILは、マイクロコンピュータ18の入力端子T1に入力されるとともに、駆動回路10に入力される。
【0090】
マイクロコンピュータ18は、入力端子T1にインターロック信号ILを受けると、インターロックが作動したことを示すデータを不揮発性メモリに記憶するとともに、給湯装置1のリモコン等を用いて、ユーザに対してインターロックが作動したことを報知する。
【0091】
一方、駆動回路10では、インターロック信号ILを受けると、制御指令SVCOMによらず、コモントランジスタQ5を強制的にオフする。これにより、給電線210への電源供給が遮断されるため、元ガス電磁弁7および能力切換弁8は閉状態となる。この結果、燃焼バーナ5への燃料ガスの供給が停止する。なお、上述したように、サービスマン等により所定のリセット操作が行なわれてインターロックを解除されるまでは、給湯運転の実行が禁止される。
【0092】
(コントローラ100の制御構成)
次に、本実施の形態によるコントローラ100における、温度ヒューズ32が溶断した場合の元ガス電磁弁7の制御について説明する。以下の説明では、ハイリミットスイッチ30は電気的に導通状態であることを前提とする。
【0093】
図3に示されるように、温度ヒューズ32および異常検知回路14の間のノードN2には、駆動回路10に電源電圧Vs1を供給するための給電線206が接続されている。なお、給電線206には、電源電圧Vs1を安定化するためのコンデンサC2が接続されている。
【0094】
駆動回路10は、電源配線200からハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32を経由して供給される電源電圧Vs1を受けて動作することにより、給電線210への電源供給、および元ガス電磁弁7の開閉を制御する。
【0095】
ハイリミットスイッチ30および温度ヒューズ32の間のノードN1には、給電線210を介して、監視回路12に電源電圧Vs2を供給するための給電線216が接続されている。すなわち、監視回路12は、電源配線200からハイリミットスイッチ30を経由して供給される電源電圧Vs2を受けて動作することにより、元ガス電磁弁7および能力切換弁8の各々の開閉状態を監視する。
【0096】
インターロック回路16は、監視回路12のアンプIC2の出力信号およびフレームロッド24の出力信号に基づいて、インターロック信号ILを出力する。
【0097】
ここで、缶体からの炎漏れが発生したことによって温度ヒューズ32が溶断し、温度ヒューズ32が電気的に導通状態から遮断状態に遷移した場合を考える。
【0098】
温度ヒューズ32が電気的に遮断状態となると、電源配線200とノードN2とは電気的に切り離されるため、電源配線200からノードN2を経由した給電線206への電源供給が遮断される。これにより、駆動回路10では、駆動トランジスタQ1,Q2がともにオフとなるため、コモントランジスタQ5もオフとなる。そして、コモントランジスタQ5がオフすることで、電源配線200から給電線210への電源供給が遮断される。
【0099】
駆動回路10では、さらに、電源電圧Vs1の供給が遮断されることによって、駆動トランジスタQ3がオフとなるため、駆動トランジスタQ4もオフとなる。
【0100】
すなわち、温度ヒューズ32が溶断すると、電源電圧Vs1の供給が絶たれるため、駆動回路10は、制御指令SVCOM,SVO1,SVQ1に拘らず、給電線210から元ガス電磁弁7および能力切換弁8へ通電できなくなる。これにより、元ガス電磁弁7および能力切換弁8はいずれも開状態とされるため、燃焼バーナ5に対する燃料の供給が停止する。
【0101】
異常検知回路14は、上述したように、温度ヒューズ32が電気的に遮断状態となると、電圧レベルが接地電圧GNDの信号FSをマイクロコンピュータ18の入力端子T7に出力する。マイクロコンピュータ18は、この信号FSを受けると、給湯装置1のリモコン等を用いて、ユーザに対して温度ヒューズ32が溶断したことを報知する。
【0102】
監視回路12は、駆動回路10においてコモントランジスタQ5をオフして給電線210への電源供給を遮断した場合と実質的に同じ状態となる。すなわち、給電線216と接地配線218との間には、直列接続された、抵抗素子R16,R15、元ガス電磁弁7、能力切換弁8、および抵抗素子R13,R14からなる分圧回路が接続される。アンプIC1,IC2の各々の入力端子には、上記分圧回路における分圧比に基づいた分圧電圧が入力される。
【0103】
アンプIC1は、入力される分圧電圧をHレベル(電源電圧Vc)の信号SVOに変換し、マイクロコンピュータの入力端子T3に出力する。マイクロコンピュータ18は、監視回路12からHレベルの信号SVOが入力されると、元ガス電磁弁7の閉状態を検出する。
【0104】
アンプIC2は、入力される分圧電圧をHレベル(電源電圧Vc)の信号SVQに変換し、マイクロコンピュータの入力端子T2に出力する。マイクロコンピュータ18は、監視回路12からHレベルの信号SVQが入力されると、能力切換弁8の閉状態を検出する。
【0105】
インターロック回路16は、一方入力端子に、監視回路12のアンプIC2からHレベルの信号SVQに応じた電圧(電源電圧Vcに相当)を受け、他方入力端子にフレームロッド24の出力信号を受ける。上記のように、Hレベルの信号SVQは、能力切換弁8が閉状態であることを示している。よって、インターロック回路16は、上述した一定の条件が満たされないことから、不完全燃焼状態でないと検知し、インターロック信号ILを出力しない。すなわち、温度ヒューズ32が溶断した場合には、インターロック回路16はインターロックを作動させないように構成されている。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態によるコントローラ100によれば、電源配線200から温度ヒューズ32を経由して駆動回路10に電源電圧Vs1を供給する構成を採用したことにより、缶体からの炎漏れを検知して温度ヒューズ32が溶断した場合には、駆動回路10への電源電圧Vs1の供給経路を物理的に遮断することができる。これにより、温度ヒューズ32が溶断した場合に、元ガス電磁弁7および能力切換弁8を速やかかつ確実に閉じて、燃焼バーナ5に対する燃料供給を停止することができる。
【0107】
一方、本実施の形態によるコントローラ100では、監視回路12に対しては、電源配線200から温度ヒューズ32を経由せずに電源電圧Vs2を供給する構成を採用している。このような構成を採ることで、監視回路12に電源電圧Vs1を供給する構成(
図4参照)と比較して、以下に述べる効果を奏する。
【0108】
図4は、比較例によるコントローラ100Aの構成を示す回路図である。
図4を
図3と比較して、比較例によるコントローラ100Aは、実施の形態によるコントローラ100に対して、監視回路12が給電線206および接地配線218の間に接続されている点が異なる。すなわち、比較例では、監視回路12は給電線206から電源電圧Vs1の供給を受けて動作する。
【0109】
ここで、温度ヒューズ32として、電気抵抗値が0Ωである温度ヒューズ(以下、第1の温度ヒューズとも称する)を用いる場合を考える。
【0110】
第1の温度ヒューズは電気抵抗値が0Ωであるため、ノードN2には、ノードN1の電圧と略同じ大きさの電圧が供給される。したがって、電源電圧Vs1は給電線210から供給される電源電圧Vs2と略等しい大きさとなる。
【0111】
なお、比較例では、駆動回路10において、電源配線206と駆動トランジスタQ1のドレインとの間に抵抗素子R18が接続され、かつ、駆動トランジスタQ1のソースおよび抵抗素子R7の接続ノードと駆動トランジスタQ2のゲートとの間に抵抗素子R19が接続されている。また、電源配線206と駆動トランジスタQ3のドレインとの間に抵抗素子R20が接続されている。
【0112】
駆動トランジスタQ1がオンのときに駆動トランジスタQ2がオンするように、抵抗素子R18,R7,R19の各々の電気抵抗値が設定されている。また、駆動トランジスタQ3がオンのときに駆動トランジスタQ4がオンするように、抵抗値R20,R10の各々の電気抵抗値が設定されている。
【0113】
監視回路12においては、元ガス電磁弁7および能力切換弁8が閉状態のとき、給電線206と接地配線218との間に、直列接続された、抵抗素子R16,R15、元ガス電磁弁7、能力切換弁8、および抵抗素子R13,R14からなる分圧回路が接続されることとなる。アンプIC1に入力される分圧電圧は、Vs1×(R−R16)/Rで示され、アンプIC2に入力される分圧電圧は、Vs1×R14/Rで示される。ただし、電源電圧Vs1は電源電圧Vs2と略同じ大きさであるため、監視回路12は実質的に、実施の形態による監視回路12と同じ動作を行ない、Hレベル(5V)の信号SVO,SVQを出力する。
【0114】
次に、比較例によるコントローラ100Aにおいて、温度ヒューズ32として、上記の第1の温度ヒューズに代えて、電気抵抗値が0Ωでない(たとえば、数十kΩ)温度ヒューズ(以下、第2の温度ヒューズとも称する)を用いる場合を考える。
【0115】
この場合、第2の温度ヒューズは電気抵抗値が0Ωでないため、ノードN1の電圧とノードN2の電圧との間には、温度ヒューズ32での電圧降下に基づいた電圧差が生じる。なお、ノードN2の電圧は、第2の温度ヒューズの電気抵抗値と異常検知回路14の分圧回路が持つ電気抵抗値との比で決まる。分圧回路の電気抵抗値が一定のもとでは、第2の温度ヒューズの電気抵抗値が高くなるほど、ノードN2の電圧が低くなる。
【0116】
すなわち、温度ヒューズ32に第2の温度ヒューズを用いた場合、給電線206から供給される電源電圧Vs1は、電源電圧Vs2よりも低くなる。駆動回路10では、
図3に示されるように、駆動回路10から抵抗素子R18,R19,R20を除くことで、低い電源電圧Vs1であっても駆動トランジスタQ2,Q4をオンすることができる。
【0117】
一方、監視回路12においては、電源電圧Vs1が低下することで、アンプIC1に入力される分圧電圧、およびアンプIC2に入力される分圧電圧が低下する。そのため、アンプIC1は、入力電圧の大きさによっては信号SVOをHレベル(5V)に設定できない可能性がある。アンプIC2も同様に、入力電圧の大きさによっては信号SVQをHレベルに設定できない可能性がある。この場合、マイクロコンピュータ18は、入力端子T3,T2に、Lレベル(接地電圧GND)の信号SVO,SVQをそれぞれ受けることになり、結果的に元ガス電磁弁7および能力切換弁8の開状態を誤って検出することとなる。
【0118】
このように、温度ヒューズ32として第2の温度ヒューズを用いると、第2の温度ヒューズでの電圧降下による電源電圧Vs1の低下に起因して、監視回路12では、アンプIC1,IC2に入力される電圧が低くなり、元ガス電磁弁7および能力切換弁8の状態を誤って検出してしまう可能性がある。
【0119】
このような不具合を防ぐための方策としては、監視回路12の抵抗素子R16の電気抵抗値を小さくすることで、実質的に分圧比(R−R16)/Rを大きくし、電源電圧Vs1の低下に対しても、アンプIC1に入力される分圧電圧Vs1×(R−R16)/Rを一定値に保つことが考えられる。
【0120】
しかしながら、抵抗素子R16の電気抵抗値を小さくすると、元ガス電磁弁7および能力切換弁8が閉状態のときに、給電線206から抵抗素子R16,R15、ノードN3、元ガス電磁弁7、給電線210、能力切換弁8、ノードN4、抵抗素子R13,R14を経由して接地配線218に至る通電経路に流れる電流が増えることになる。その結果、給湯装置1が給湯待機の状態であるときに、監視回路12が無駄に電力を消費することになり、給湯装置1の待機時の消費電力が増大することが懸念される。
【0121】
このように、比較例によるコントローラ100Aでは、温度ヒューズ32として、電気抵抗値が0Ωである第1の温度ヒューズに代えて、電気抵抗値が0Ωでない第2の温度ヒューズを用いると、第2の温度ヒューズでの電圧降下による電源電圧Vs1の低下に起因した不具合が発生する場合がある。そのため、コントローラ100Aとしては、第2の温度ヒューズを用いるためには第2の温度ヒューズでの電圧降下を考慮した回路設計が別途必要となり、第1の温度ヒューズと第2の温度ヒューズとで共通の回路構成とすることができない。換言すると、比較例によるコントローラ100Aは、温度ヒューズ32として、第1の温度ヒューズおよび第2の温度ヒューズのいずれも使用することができる構成とはなっていない。
【0122】
これに対して、本実施の形態によるコントローラ100では、
図3に示したように、電源配線200から温度ヒューズ32を経由せずに電源電圧Vs2を監視回路12に供給する構成を採用しているため、監視回路12は、上述したような温度ヒューズ32での電圧降下に影響されることなく動作することができる。すなわち、温度ヒューズ32の電気抵抗値に左右されることなく、元ガス電磁弁7および能力切換弁8の状態を正確に検出することができる。したがって、温度ヒューズ32として、第1の温度ヒューズおよび第2の温度ヒューズのいずれも使用することが可能となる。
【0123】
本実施の形態によるコントローラ100は、さらに、温度ヒューズ32が溶断した場面においても、比較例によるコントローラ100Aに対する優位性を発揮し得る。
【0124】
比較例では、本実施の形態と同様、電源配線200から温度ヒューズ32を経由して駆動回路10に電源電圧Vs1を供給する構成が採用されている。したがって、温度ヒューズ32が溶断した場合には、駆動回路10への電源電圧Vs1の供給経路が物理的に遮断される。よって、元ガス電磁弁7および能力切換弁8を速やかかつ確実に閉じて、燃焼バーナ5に対する燃料供給を停止することができる。
【0125】
一方、比較例では、本実施の形態とは異なり、温度ヒューズ32が溶断すると、駆動回路10に加えて、監視回路12への電源電圧Vs1の供給も遮断される。そのため、監視回路12では、元ガス電磁弁7および能力切換弁8が閉じているにもかかわらず、給電線206と接地配線218との間に分圧回路を経由した通電経路が形成されない。その結果、アンプIC1,IC2の各々の入力端子には、接地電圧GNDが入力されることになる。
【0126】
この場合、アンプIC2が、接地電圧GNDを受けてLレベルの信号SVQを出力すると、インターロック回路16は、アンプIC2の出力信号SVQに基づいて、能力切換弁8が開状態であると判断する。一方、燃焼バーナ5に対する燃料供給が停止されたことにで、フレームロッド24の出力信号は火炎無しを示している。したがって、インターロック回路16は、能力切換弁8が開状態であるにもかかわらず、火炎無しであるため、不完全燃焼状態であると検知して、インターロック信号ILを出力する。
【0127】
このように、比較例では、温度ヒューズ32が溶断した状態であるにもかかわらず、不完全燃焼状態であると誤って検知され、インターロック回路16からインターロック信号ILが出力されることになる。その結果、ユーザからの連絡を受けて来訪した給湯装置1のサービスマン等が所定のリセット操作を行なうまで、インターロック状態が維持されることになる。
【0128】
また、マイクロコンピュータ18内の不揮発性メモリには、インターロックが作動したことを示すデータが記憶されているため、サービスマン等は、給湯装置1のメンテナンス作業の際に、缶体からの炎漏れに対応して缶体の破損等を修復すれば十分であるところを、該データからコントローラ100の異常(コントローラ100の暴走等)と判断して、コントローラ100を構成する制御基板の修復または交換を行なう可能性がある。
【0129】
これに対して、本実施の形態によれば、
図3で説明したように、温度ヒューズ32が溶断した場合においても、監視回路12が電源電圧Vs2の供給を受けて動作し、Hレベルの信号SVQを出力するため、インターロック回路16からはインターロック信号ILが出力されない。この結果、インターロック回路16の誤動作が回避される。なお、マイクロコンピュータ18は、異常検知回路14から電圧レベルが接地電圧GNDの信号FSを入力端子T7に受け、ユーザに対して温度ヒューズ32が溶断したことを報知する。
【0130】
これにより、本実施の形態によれば、温度ヒューズ32が溶断したときに給湯装置1がインターロック状態とされることを回避できる。また、サービスマン等は、給湯装置1のメンテナンス作業の際に、缶体からの炎漏れに対する適切な処置を採ることができる。
【0131】
なお、本実施の形態では、給湯装置1における燃焼部での燃料として燃料ガスを例示したが、任意の燃料を用いる燃焼装置に対して、本発明の適用が可能である。